説明

ペプチド精製物の製造方法

【課題】ゼラチンまたはコラーゲンの酵素消化精製物のようなペプチド混合物(例えば、トリペプチドGly-X-Yの含有率が2〜35%のペプチド混合物)から、大量生産に適した方法で、トリペプチドGly-X-Yの含有率が40%以上のペプチド精製物を製造できる方法を提供する。
【解決手段】トリペプチドGly-X-Y(Gly-X-Yはアミノ酸配列であり、X、YはGly以外のアミノ酸残基を示す)を含有するペプチド混合物を塩基性陰イオン交換樹脂と接触させて、トリペプチドGly-X-Yを前記イオン交換樹脂に吸着させ、トリペプチドGly-X-Yを吸着した前記イオン交換樹脂からトリペプチドGly-X-Yを溶出することを含む、トリペプチドGly-X-Yの含有率が前記ペプチド混合物より高められたペプチド精製物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トリペプチドGly-X-Yの含有率が低いペプチド混合物から、高いトリペプチドGly-X-Yの含有率が高められたペプチド精製物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼラチンまたはコラーゲンをプロテアーゼ、ペプチターゼ或はコラゲナーゼ(以下酵素という)にて加水分解して得られるペプチドに僅かに含まれるトリペプチドGly-X-Yは、コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚コラーゲン合成促進作用、骨折治癒促進作用、腱損傷治癒促進作用等の効果が認められており、食品及び化粧品などに利用されている(特開2002-255847号公報(特許文献1)、特開2003-137807号公報(特許文献2)、特開2004-123637号公報(特許文献3)、特開2005-281186号公報(特許文献4))。
【0003】
一般に、ゼラチンやコラーゲンは、牛や豚などの陸上動物及び魚原料から抽出して製造されており、これを原料に酵素にて加水分解することでトリペプチドを含むペプチド組成物が得られる。
【0004】
ゼラチンやコラーゲンを酵素にて加水分解することによりトリペプチドを含むペプチドが得られることが知られている。ここでは、バイオリアクターによる連続分解、回分式分解、逆相クロマトグラフィーによりトリペプチドの精製(画分)がなされている(特許第3146251号公報(特許文献5))。しかし、トリペプチド含有率の高いペプチドを工業的に製造するまでには至っていない。
【特許文献1】特開2002-255847号公報
【特許文献2】特開2003-137807号公報
【特許文献3】特開2004-123637号公報
【特許文献4】特開2005-281186号公報
【特許文献5】特許第3146251号公報
【特許文献6】特開昭63-258559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献5には、アミノ酸配列が(Gly−X−Y)n:n=1〜3であるペプチドが70%以上含有することを特徴とするペプチド組成物が記載されている(請求項1)。既に40%以上のGly−X−Yペプチドを含む組成物の製造例は知られている。特許文献5の請求項4には、出発原料を酵素処理することで、ペプチド含有率が70%以上の組成物が得られることが記載されている。より具体的には、酵素処理法には、固定化酵素を用いる連続分解法と原料に酵素を添加して原料を加水分解する方法(回分式分解法)とがある。
【0006】
回分式分解法でGly−X−Yペプチドを含む組成物を製造する場合、生成するGly−X−Yペプチドの含有率と添加する酵素量に相関関係がある。生成するGly−X−Yペプチドの含有率が約15%であるときに必要な酵素量を1とすると、生成するGly−X−Yペプチドの含有率を約40%にするには、酵素量を約35倍にする必要があり、さらに、生成するGly−X−Yペプチドの含有率を約60〜90%にするには、酵素量を約743〜43912倍にする必要がある。
【0007】
このように、高濃度のGly−X−Yペプチドを含有する組成物を調製することは可能であるが、回分式分解法では、必要とする酵素量が著しく増加するため、上述のように、工業的な生産はできないのが実情であった。
【0008】
また、固定化酵素を用いる連続分解法でも、生成するGly−X−Yペプチドの含有率と固定化酵素を充填したカラム中での原料の滞留時間 (接触時間) に相関関係がある。生成するGly−X−Yペプチドの含有率が約15%である生成物を調製するために必要な滞留時間を1とすると、生成するGly−X−Yペプチドの含有率を約40%にするには、滞留時間は6〜7倍となり、生成するGly−X−Yペプチドの含有率を約60〜90%にするには、滞留時間は12〜23倍となる。
【0009】
回分式分解法と異なり、生成するGly−X−Yペプチドの含有率を増やすために固定化酵素量を増やす必要は必ずしもない。固定化酵素が安定で、長期間の使用に耐え得るものであれば、このような状況でも、Gly−X−Yペプチドの含有率が高い組成物の製造は可能である。しかし、実際には、固定化酵素の安定性はそれほど高くはない。さらに、滞留時間が長くなればそれだけ処理能力が低下するという問題もある。処理能力の低下を補ってカラムでの処理量を増加させるには、カラムの本数を増やすことが必要になり、結果的に、必要な固定化酵素量が増大する。
【0010】
このように、連続分解法でも、Gly−X−Yペプチドの含有率が高い組成物を適当な生産効率で得るには、固定化酵素量は格段に増加する。Gly−X−Yペプチドの含有率が40%以上の組成物を、適切なコストで製造することは、現時点では出来ていない。
【0011】
そこで、本発明者らは、Gly−X−Yペプチドの含有率が15%前後の組成物を原料として、Gly−X−Yペプチドの含有率が40%以上の高濃度のGly−X−Yペプチド精製物を得ることを企画した。
【0012】
卵白またはカゼイン等のタンパク質加水分解物よりトリペプチドを精製する方法として、強酸性陽イオン交換樹脂を使用してトリペプチドやジペプチドを分離精製する方法が知られている(特開昭63-258559号公報(特許文献6))。
【0013】
本発明者らは、トリペプチドGly-X-Yの含有率が高いペプチド精製物を製造すべく、上記特許文献6に記載の方法を用いて、ゼラチンまたはコラーゲンの酵素消化精製物(トリペプチドGly-X-Yの含有率約15%)からペプチド精製物の製造を試みた。しかし、特許文献6に記載の方法では、得られる精製物のトリペプチド含有率は40%にも満たなかった。
【0014】
そこで本発明の目的は、ゼラチンまたはコラーゲンの酵素消化精製物のようなペプチド混合物(例えば、トリペプチドGly-X-Yの含有率が2〜35%のペプチド混合物)から、大量生産に適した方法で、トリペプチドGly-X-Yの含有率が40%以上のペプチド精製物を製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
[1]トリペプチドGly-X-Y(Gly-X-Yはアミノ酸配列であり、X、YはGly以外のアミノ酸残基を示す)を含有するペプチド混合物を塩基性陰イオン交換樹脂と接触させて、トリペプチドGly-X-Yを前記イオン交換樹脂に吸着させ、トリペプチドGly-X-Yを吸着した前記イオン交換樹脂からトリペプチドGly-X-Yを溶出することを含む、トリペプチドGly-X-Yの含有率が前記ペプチド混合物より高められたペプチド精製物の製造方法。
[2]前記ペプチド混合物がタンパク質加水分解物である[1]に記載の製造方法。
[3]タンパク質加水分解物がゼラチンまたはコラーゲンの酵素消化精製物である[2]に記載の製造方法。
[4]前記ペプチド混合物のトリペプチドGly-X-Yの含有率が2〜35%の範囲であり、かつペプチド精製物のトリペプチドGly-X-Yの含有率が40%以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]塩基性陰イオン交換樹脂が第四アンモニウム形の官能基を有するスチレン系またはアクリル系の強塩基性陰イオン交換樹脂である[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]トリペプチドGly-X-Yのイオン交換樹脂への吸着は、pHを8以上10以下、または4.5以上6.5以下に調整したペプチド混合物を用いることで行う[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]イオン交換樹脂からのトリペプチドGly-X-Yの溶出は、塩水溶液、酸水溶液またはアルカリ水溶液を用いて行う[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]ペプチド精製物のトリペプチドGly-X-Yの含有率が60〜95%の範囲である[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]イオン交換樹脂からのトリペプチドGly-X-Yを含有する溶出液を、脱塩処理して、塩分含有量の低いペプチド精製物を得る[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]イオン交換樹脂からのトリペプチドGly-X-Yを含有する溶出液、またはこの溶出液を脱塩処理した後の溶液をMFろ過して除菌したペプチド精製物を得る[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]イオン交換樹脂からのトリペプチドGly-X-Yを含有する溶出液、またはこの溶出液を脱塩処理及び/又はMFろ過した溶液を乾燥して、固形のペプチド精製物を得る[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12][9]または[10]に記載の方法で得られたトリペプチド精製物を含む水溶液を、分画分子量1000の限外ろ過膜で処理して、透過液としてエンドトキシンを低減したトリペプチド精製物を得る、エンドトキシンを低減したトリペプチド精製物の製造方法。
[13]トリペプチドGly-X-Y(Gly-X-Yはアミノ酸配列であり、X、YはGly以外のアミノ酸残基を示す)の含有率が40%以上であり、かつエンドトキシンの含有量が0.03EU/mL未満であるペプチド組成物。
[14]トリペプチドGly-X-Yの含有率が60〜95%の範囲である[13]に記載のペプチド組成物。
[15][13]または[14]に記載のペプチド組成物を含有する腹膜透析液。
[16][13]または[14]に記載のペプチド組成物を含有する輸液製剤。
【発明の効果】
【0016】
本発明によって得られるトリペプチドを40%以上含有するペプチド精製物は、機能性の高い健康食品、機能性食品、医薬品、医薬部外品または化粧品原料として利用することができる。また、ペプチド精製物に対して限外ろ過を行うことにより更に精製(脱エンドトキシン)されたトリペプチドが得られ、その機能性から再生医療や注射用剤、輸液製剤、人口透析への利用も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、トリペプチドGly-X-Y(Gly-X-Yはアミノ酸配列であり、X、YはGly以外のアミノ酸残基を示す)を含有するペプチド混合物を塩基性陰イオン交換樹脂と接触させて、トリペプチドGly-X-Yを前記イオン交換樹脂に吸着させ、トリペプチドGly-X-Yを吸着した前記イオン交換樹脂からトリペプチドGly-X-Yを溶出することを含む、トリペプチドGly-X-Yの含有率が前記ペプチド混合物より高められたペプチド精製物の製造方法に関する。
【0018】
本発明の製造方法に用いる原料は、トリペプチドGly-X-Yを含有するペプチド混合物である。Gly-X-Yはアミノ酸配列であり、X、YはGly以外のアミノ酸残基を示す。ペプチド混合物は、タンパク質加水分解物であり、より具体的には、タンパク質加水分解物は、ゼラチンまたはコラーゲンの酵素消化精製物である。トリペプチドGly-X-Yを含有するペプチド混合物は、例えば、特許文献5に記載の方法で調製でき、ある程度精製したコラーゲンあるいは変性コラーゲン(ゼラチン)などを原材料として、コラゲナーゼで選択的に加水分解することによって得られる。コラーゲンあるいは変性コラーゲン(ゼラチン)などを原材料として、コラゲナーゼで選択的に加水分解することで、トリペプチドGly-X-Yを含有するペプチド混合物が得られる。コラゲナーゼ以外でもプロテアーゼ、ペプチダーゼ等の酵素を用いれば、トリペプチドGly-X-Yを含有するペプチド混合物が得られる。以下、コラゲナーゼ及びコラゲナーゼ以外の酵素を含めて、コラゲナーゼ等と言う。
【0019】
ペプチド混合物のトリペプチドGly-X-Yの含有率は、特に制限はない。しかし、前述のように、トリペプチドGly-X-Yの含有率が高いペプチド混合物の調製には、多量のコラゲナーゼ等または固定化コラゲナーゼ等が必要であり、トリペプチドGly-X-Yの含有率が2〜35%の範囲であれば、実用に耐え得る程度のコストで製造できる。従って、この範囲のトリペプチドGly-X-Yの含有率を有するがペプチド混合物を用いることが本発明では好ましい。また、本発明では、トリペプチドGly-X-Yの含有率が2〜35%の範囲のペプチド混合物を用いて、トリペプチドGly-X-Yの含有率が40%以上であるペプチド精製物を得ることが好ましい。
【0020】
上記のペプチド混合物を塩基性陰イオン交換樹脂と接触させて、トリペプチドGly-X-Yを前記イオン交換樹脂に吸着させる。塩基性陰イオン交換樹脂は、塩基性かつ陰イオン交換能を有するイオン交換樹脂であれば、特に制限はない。塩基性陰イオン交換樹脂は、好ましくはOH形強塩基性陰イオン交換樹脂であり、例として例えば、第四アンモニウム形の官能基を有するスチレン系またはアクリル系の強塩基性陰イオン交換樹脂を挙げることが出来る。そのようなイオン交換樹脂としては、例えば、Rohm&Haas社製のIRA400J CL、IRA400t CL、4400CL、IRA402J、IRA402BL CL、IRA404J CL、IRA458RF CL、IRA900J CL、IRA904 CL、IRA958 CL、三菱化学社製のダイヤイオンSAシリーズ、PAシリーズ、HPAシリーズ等を挙げることができる。
【0021】
ペプチド混合物と塩基性陰イオン交換樹脂との接触は、カラム以外の方法で行うこともできる。例えば、バッチ式(適当な容器へイオン交換樹脂を入れ、そこへペプチド混合物等の原料を入れてトリペプチドを吸着させる方法)も可能である。
【0022】
ペプチド混合物の塩基性陰イオン交換樹脂への接触は、例えば、塩基性陰イオン交換樹脂を充填したカラムにペプチド混合物を流し込むことで実施できる。その際、ペプチド混合物に含有されるトリペプチドGly-X-Yを塩基性陰イオン交換樹脂に吸着させる。トリペプチドGly-X-Yのイオン交換樹脂への吸着は、ペプチド混合物のpHを8以上10以下、または4.5以上6.5以下に調整することでより良好に行うことができる。トリペプチドGly-X-Yのイオン交換樹脂への吸着は、好ましくはペプチド混合物のpHを8.5以上9.5以下、または5以上6以下に調整する。この範囲のpHに調整したペプチド混合物を塩基性陰イオン交換樹脂と接触させることで、トリペプチドGly-X-Yが、選択的にイオン交換樹脂に吸着する。
【0023】
pH調整には、例えば、リン酸、塩酸、トリスまたはトリメチルアミン等を使用することができる。その際、使用する塩基性陰イオン交換樹脂の解離基と逆の電荷を持つ緩衝作用のあるイオンの使用は避けることが好ましい。
【0024】
陰イオン交換樹脂にトリペプチドを吸着させたのち、残留しているトリペプチド以外のペプチド組成物を精製水、蒸留水或は純水で洗浄するか、好ましくは超純水で洗浄することが適当である。
【0025】
次いで、トリペプチドGly-X-Yを吸着した前記イオン交換樹脂からトリペプチドGly-X-Yを溶出する。イオン交換樹脂からのトリペプチドGly-X-Yの溶出は、例えば、塩水溶液、酸水溶液またはアルカリ水溶液等の溶離液を用いて行うことができる。溶離液としては、具体的には、塩酸、塩化カリウム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を用いることが出来るが、水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。また、溶離液の濃度は吸着したトリペプチドを十分に溶出できる濃度であればよく、より好ましくは0.15〜2.0Mの範囲である。溶離液をトリペプチドGly-X-Yを吸着した前記イオン交換樹脂に通液することでトリペプチドGly-X-Yを溶出させる。
【0026】
溶出したトリペプチドGly-X-Y含有水溶液は、吸着の条件および溶出の条件に応じて、トリペプチドGly-X-Yの含有率が40〜95%の範囲にできる。処理速度を変えることにより、トリペプチド含有率はコントロール出来る。処理速度を上げるとトリペプチド含有率は上昇し、処理速度を下げるとトリペプチド含有率は減少する傾向がある。また、負荷量を変えることでもトリペプチド含有率をコントロールできる。負荷量を上げるとトリペプチド含有率は減少し、負荷量を至適量にすることでトリペプチド含有率を70%以上にすることが出来る。さらに、イオン交換樹脂への吸着および溶出で得られたペプチド精製液を、さらに限外ろ過に供することにでも、トリペプチド含有率を上昇させることができる。尚、トリペプチド含有率と、処理速度および負荷量との関係は、使用するイオン交換樹脂のイオン交換能や原料中のトリペプチドGly-X-Yの含有率により、変化する。従って、イオン交換樹脂のイオン交換能や原料中のトリペプチドGly-X-Yの含有率を考慮し、かつペプチド精製液中の所望のトリペプチド含有率を考慮して、処理速度および負荷量を制御することが適当である。
【0027】
なお、上記“負荷量”とは、イオン交換樹脂1mLに対するトリペプチドの負荷量を意味し、原料であるペプチド混合物の負荷量ではない。よって、トリペプチド含有率の異なる原料(ペプチド混合物)を用いた場合には、ペプチド混合物の負荷量は異なり、トリペプチド含量から負荷量を算出する。
【0028】
イオン交換樹脂からのトリペプチドGly-X-Yを含有する溶出液は、脱塩処理、に供して、塩分含有量の低いペプチド精製物を得ることができる。脱塩処理には、無機イオンを除去する(脱塩)方法として、例えば、一般的に使用されている電気透析或はイオン交換樹脂を用いることができる。また、イオン交換樹脂からのトリペプチドGly-X-Yを含有する溶出液は、脱塩処理して、または脱塩処理することなしに、MFろ過等のろ過処理に供することで、滅菌することもできる。
【0029】
イオン交換樹脂からのトリペプチドGly-X-Yを含有する溶出液、この溶出液を脱塩処理した溶液、この溶出液を脱塩処理し、かつMFろ過等で処理をした溶液、及びこの溶出液をMFろ過等で処理した溶液を乾燥して、固形のペプチド精製物を得ることができる。本発明により得られたトリペプチドを40%以上含有するペプチド精製物は、上記の水溶液の状態で十分な保存安定性はある。しかし、脱塩処理及び/又はMFろ過したトリペプチド水溶液は、必要に応じて濃縮、乾燥を行うことができる。真空乾燥、真空凍結乾燥、噴霧乾燥等により、乾燥粉末とすることも出来る。
【0030】
さらに、上記で脱塩処理及び/又はMFろ過したトリペプチド水溶液は、好ましくはメンブランフィルター(好ましくは孔径0.2μm)で前処理した後、分画分子量1000の限外ろ過にて、脱エンドトキシンを行うことが好ましい。メンブランフィルター処理したトリペプチド精製物を含む水溶液を、分画分子量1000の限外ろ過膜で処理して、エンドトキシンを低減したトリペプチド精製物を透過液として得る。トリペプチド精製物の原料は、前述のように、ある程度精製したコラーゲンあるいは変性コラーゲン(ゼラチン)などであるが、不可避的にエンドトキシンを含有する。それに対して、トリペプチド精製物を分画分子量1000の限外ろ過膜で処理することで、エンドトキシン含有量を日本薬局方 一般試験法 7.エンドトキシン試験法(ゲル化法)による検出限界である0.03EU/mL未満にまで低減できる。
【0031】
本発明は、上記方法で得られたペプチド組成物を包含する。即ち、本発明は、トリペプチドGly-X-Y(Gly-X-Yはアミノ酸配列であり、X、YはGly以外のアミノ酸残基を示す)の含有率が40%以上であり、かつエンドトキシンの含有量が0.03EU/mL未満であるペプチド組成物を包含する。トリペプチドGly-X-Yの含有率は、好ましくは60〜95%の範囲である。
【0032】
さらに本発明は、上記エンドトキシンの含有量が0.03EU/mL未満であるペプチド組成物を含有する腹膜透析液、および輸液製剤に関する。これら腹膜透析液および輸液製剤であり、エンドトキシンの含有量が0.03EU/mL未満であることから、安全性に優れたものである。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1
(1)pH条件の検討
イオン交換樹脂へ標的物を吸着させる際には、標的物をイオン化させる必要がある。そこで本検討では原料のpHを変えてトリペプチドの精製における至適pHを調査した。方法は、強塩基性陰イオン交換樹脂〔ダイアイオン SA10A(三菱化学(株))〕を充填したカラムにpH調整に使用した溶媒(塩酸、トリスまたはトリメチルアミン)を用いて樹脂の3倍量以上通液し、コンディショニングを行う。その後、pH調整した原料を通液しトリペプチドを吸着させた。原料のpH調整には、塩酸、トリスまたはトリメチルアミンを使用する(陰イオン交換体の解離基と逆の電荷を持つ緩衝作用のあるイオンの使用は避ける)。なお、本検討におけるトリペプチド負荷量は確実に吸着することが予想された“16.8mg/mL-R”で行った。また、処理速度はSV12で検討を実施した。
【0034】
その結果、トリペプチドを樹脂へ吸着させる条件として原料のpH調整が必要であることが判明した。pHの条件としてpH8.0以上或はpH6.5以下でトリペプチドの吸着が良好となり、アルカリ側のほうが安定してトリペプチドの吸着を行うことができる。表1にpHとトリペプチドの吸着率の関係を示した。また、pH別に樹脂へ吸着しない成分(非吸着成分)及び吸着した成分(吸着成分)のトリペプチド含有率を表2に示した。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
(2)処理速度条件の検討
トリペプチドを樹脂へ吸着させる際の処理速度〔Space velocity(SV)〕がトリペプチドの吸着率及び吸着成分のトリペプチド含有率に影響を与えるのか否かの検討を行った。なお、本検討におけるトリペプチド負荷量は確実に吸着することが予想された“16.8mg/mL-R”で行った。また、pHは9.5で検討を実施した。
【0038】
その結果、処理速度を変えることによりトリペプチドの吸着率及び吸着成分のトリペプチド含有率に変化が認められた。処理速度を下げることによりトリペプチドの吸着率は上昇するが、吸着成分のトリペプチド含有率が著しく低下する。よって、処理速度は、トリペプチドの吸着率及び含有率が共に高いSV1〜SV12が望ましい。表3に処理速度とトリペプチドの吸着率の関係を示した。また、非吸着成分及び吸着成分のTp含有率を表4に示した。
【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

【0041】
(3)トリペプチド負荷量の検討
前記(1)及び(2)の検討から、(a)トリペプチド負荷量:16.8mg/mL-R、(b)処理速度:SV1〜12、(c)pH:8.0以上6.5以下(pH6.0を除く)の(a)〜(c)の条件において、負荷したトリペプチドの80%以上が樹脂へ吸着することが判った。本検討では、トリペプチド負荷量をどの程度まで増やせるのか検討を行った。なお、処理速度はSV12、pHは9.0または5.0の条件で検討を行った。
【0042】
その結果、負荷量を50.4mg/mL-R以上にすることでpH5.0及びpH9.0共にトリペプチドの吸着率が著しく低下することが判った(表5参照)。このことから、原料であるHACP中にはトリペプチドと同等(競合成分)、或はそれ以上に樹脂へ吸着しやすい成分が存在し、原料であるHACPの負荷量を増やすことで吸着成分のトリペプチド含有率が低下すると考えられた。また、その傾向はpH9.0に比べてpH5.0の方が顕著であった。よって、トリペプチド負荷量は50.4mg/mL-Rが上限であると考えられた。
【0043】
また、負荷量と精製物のトリペプチド含有率との関係について検討した結果を以下記の表5に記載する。この結果から、負荷量を増減させることにより精製物のトリペプチド含有率をコントロールすることが可能であることが分かる。この系では、トリペプチド負荷量を50mg/mL-Rにすることでトリペプチド含有率を70%以上にすることが出来る。分離条件は、以下の通りである。
樹脂:強塩基性陰イオン交換樹脂(ダイアイオン SA10A)
カラムサイズ:5mL(内径1.0mm×長さ90mm)
処理速度:1.0mL/min(SV12)
溶離液:0.5M NaOH
試料:10% HACP溶液(pH9.5)・・・ 使用したHACPのトリペプチド含有率は15.7%。
【0044】
【表5】

【0045】
次にトリペプチド負荷量の上限であると考えられた50.4mg/mL-Rの条件において、pH5.0、8.0、9.0、10.0にして検討を行った。その結果、今回検討した全てのpH条件におけるトリペプチドの吸着率は80%以上であり、pH5.0以外の条件では90%以上の結果が得られた。また、得られた吸着成分のトリペプチド含有率は70%以上となった(表7、表8参照)。
【0046】
【表6】

【0047】
【表7】

【0048】
【表8】

【0049】
(4)トリペプチドの溶出条件の検討
イオン交換樹脂へ吸着させた成分(トリペプチド)の溶出方法としては、一般的に塩化ナトリウム、塩酸または水酸化ナトリウム等の溶離液を用いるが、溶離液の濃度を変えることにより得られる吸着成分のトリペプチド含有率に変化が認められるのか否か検討した。
【0050】
その結果、溶離液の濃度0.05mol/L以下において得られる吸着成分のトリペプチド含有率が著しく低下することが判った。また、0.15mol/L〜2.0mol/Lにおいては吸着成分のトリペプチド含有率は70%以上と良好な結果が得られた。表9に溶離液の濃度と溶出された吸着成分のトリペプチド含有率を示した。
【0051】
【表9】

【0052】
実施例2
(1)出発原料としてゼラチンまたはコラーゲンをコラゲナーゼで加水分解して得られた、トリペプチドを含有する加水分解物を使用する。なお、本実験では(株)ゼライス社製のHACP(登録商標)を用いた。
【0053】
(2)実施例1の結果より、至適であると考えられた条件において、トリペプチドの精製を実施した。トリペプチドの分離は以下の通りである。
樹脂:強塩基性陰イオン交換樹脂(ダイアイオン SA10A)
カラムサイズ:3L
強塩基性陰イオン交換樹脂充填量:3L
処理速度:600mL/min(SV12)
溶離液:0.5M NaOH
試料:10% HACP(登録商標)溶液(pH9.5)
トリペプチド負荷量:52.3mg/mL-R
【0054】
尚、上記試料は、トリペプチドを15.7%含有する原料(HACP粉末)1.0kgを純水9.0kgで溶解して、10%HACP溶液を調製した。このペプチド混合液中のトリペプチド含量は157gとなり、この際のトリペプチド負荷量は、イオン交換樹脂量が3Lであるので、157000mg÷3000mL=52.3mg/mL-Rとなる。上記(2)の操作で精製液約7リットルを得た。ペプチド固形分換算で1kgの原料から、123.1gのトリペプチド精製物が得られた。
【0055】
上記条件での分離の状態を図1に示す。この条件で得られた精製物(脱塩前)の分子量分布を以下の条件で測定した。結果を図2に示す。
分析条件 カ ラ ム : Superdex Peptide
ベッド体積 : 24mL
移 動 相 : 100mM トリス塩酸(pH7.4)
流 速 : 1mL/min
検 出 : UV(214nm)
シ ス テ ム : HPLC System
【0056】
(3)脱塩
上記(2)の操作で得た精製液(約7リットル)について脱塩を行った。なお、本実験では、イオン交換樹脂を用いて脱塩を実施した。具体的には、溶出液に0.5NのNaOHを使用した。イオン交換樹脂へ吸着したトリペプチドと溶離液NaOHのOH-が置換されることによって、トリペプチドを溶出させた。この際に、トリペプチドを含む溶出液へ大量のNa+が混入する。そこで、このNa+除去のために、陽イオン交換樹脂〔実際に使用した樹脂は、強酸性陽イオン交換樹脂であるダイヤイオンSK1BまたはダイヤイオンSK116(三菱化学社製)〕を用いてNa+の除去を行った。この際の樹脂量は約5Lとした。次に、僅かに存在する陰イオン除去の為に陰イオン交換樹脂を用いて陰イオンの除去を行った。この際に用いた陰イオン交換樹脂は弱塩基性陰イオン交換樹脂であるダイヤイオンWA30(約1L)である。表10に脱塩前後の分析結果を示した。
【0057】
【表10】

【0058】
(4)乾燥
上記(3)で得られた脱塩処理液を乾燥して中間体とした。本実験においては大河原化工機(株)社製のスプレードライヤー(L-8型)を使用して以下の条件で乾燥を行った(表11参照)。
【0059】
【表11】

【0060】
(5)限外ろ過
上記(4)で乾燥した中間体を純水で10〜20%に溶解し、最終0.2μmのメンブランフィルターを用いて滅菌ろ過を実施した後に限外ろ過を行なった。限外ろ過は、分画分子量1,000〔Prep Scale Ultracel Seriesスパイラルカートリッジ(日本ミリポア(株)〕の膜を備えたMILLIPORE社のPro Flux(登録商標)30を用いて行なった。この限外ろ過により、トリペプチド精製物中に存在する分子量1000以上の成分の約80〜90%を除去することが出来、トリペプチド以外の成分を除去することにより、結果的にトリペプチド含有率が上昇する。
【0061】
得られた精製液について日本薬局方 一般試験法 7.エンドトキシン試験法(ゲル化法)に従い測定を行った。その結果、エンドトキシンは陰性であった(表12参照)。また、表13に限外ろ過前後のゲルろ過分析による分子量分布測定の結果を示した。
【0062】
【表12】

方法 : ゲル化転倒法(日局)
【0063】
【表13】

【0064】
(6)凍結乾燥
上記(5)限外ろ過液の乾燥は、真空凍結乾燥機〔(株)宝製作所社製(TF20-80型)〕を用いて行った。
【0065】
(7)凍結乾燥精製物の物性
前記(1)〜(6)の工程を経て得られた凍結乾燥精製物の組成及び特性、なお、表14〜15に最終製品の品質、アミノ酸組成を示した。また、図3に凍結乾燥精製物のゲルろ過分析による分子量分布測定におけるクロマトグラムを示した。図3の凍結乾燥精製物の分子量分布の測定条件は以下の通りである。
【0066】
分析条件 カ ラ ム : Superdex Peptide
ベッド体積 : 24mL
移 動 相 : 100mM トリス塩酸(pH7.4)
流 速 : 1mL/min
検 出 : UV(214nm)
シ ス テ ム : HPLC System
【0067】
【表14】

【0068】
【表15】

*アミノ酸1000残基当たりの残基数で示した。
※1:J.E.Eastoe and A.A.Lench,“The Science and Technology of Gelatin”,p73,1997
【0069】
精製ペプチドの主要アミノ酸は1000残基当たりグリシン(347残基)、プロリン(250残基)、ヒドロキシプロリン(123残基)、アラニン(121残基)などであった。
【0070】
実施例3
配合例
以下、ペプチド精製組成物を配合した医薬品、再生医療用材料、医薬部外品、化粧品を示すが、これら配合例は本発明の範囲を何ら制限するものではない。また本発明に係るペプチド精製組成物を医薬品、再生医療用材料、医薬部外品、化粧品に配合する方法は既に公知になっている操作方法に準じて実施することができる。
【0071】
配合例1
[腹膜透析液]
次の組成で腹膜透析液を調製した。
ナトリウムイオン 140.0mEq/L
カルシウムイオン 4.5mEq/L
マグネシウムイオン 1.5mEq/L
塩素イオン 101.0mEq/L
乳酸 45.0mEq/L
グルコース 8g/L
実施例2の凍結乾燥精製物 25g/L
注射用水 適量
全量 1L
【0072】
本腹膜透析液は高い除水効果があるため、透析液の交換回数、透析時間を減ずることができ、患者に与える負担を小さくすることができる。
【0073】
配合例2
[輸液製剤]
次の組成で輸液製剤を調製した。
塩化ナトリウム 8.6g/L
塩化カリウム 0.3g/L
塩化カルシウム 0.33g/L
グルコース 8g/L
実施例2の凍結乾燥精製物 25g/L
注射用水 適量
全量 1L
【0074】
本輸液製剤は循環血液量及び組織間液の減少時に投与されることによって、循環血液量を回復する効果がある。
【0075】
配合例3
[化粧水]
次の組成で保湿化粧水を調整した。
実施例2の凍結乾燥精製物 0.5%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05%
1,3-ブチレングリコール 5.0%
グリセリン 1.0%
防腐剤 適量
精製水 残余
【0076】
本化粧水はコラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用を有するので、肌のハリや弾力を保つ効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の方法で得られるプチド精製物は、機能性の高い健康食品、機能性食品、医薬品、医薬部外品または化粧品原料として利用することができ、食品及び医療の分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】トリペプチドの分離結果である。
【図2】精製工程で得られた吸着成分の分子量分布を示す。
【図3】凍結乾燥精製物の分子量分布を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリペプチドGly-X-Y(Gly-X-Yはアミノ酸配列であり、X、YはGly以外のアミノ酸残基を示す)を含有するペプチド混合物を塩基性陰イオン交換樹脂と接触させて、トリペプチドGly-X-Yを前記イオン交換樹脂に吸着させ、トリペプチドGly-X-Yを吸着した前記イオン交換樹脂からトリペプチドGly-X-Yを溶出することを含む、トリペプチドGly-X-Yの含有率が前記ペプチド混合物より高められたペプチド精製物の製造方法。
【請求項2】
前記ペプチド混合物がタンパク質加水分解物である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
タンパク質加水分解物がゼラチンまたはコラーゲンの酵素消化精製物である請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ペプチド混合物のトリペプチドGly-X-Yの含有率が2〜35%の範囲であり、かつペプチド精製物のトリペプチドGly-X-Yの含有率が40%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
塩基性陰イオン交換樹脂が第四アンモニウム形の官能基を有するスチレン系またはアクリル系の強塩基性陰イオン交換樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
トリペプチドGly-X-Yのイオン交換樹脂への吸着は、pHを8以上10以下、または4.5以上6.5以下に調整したペプチド混合物を用いることで行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
イオン交換樹脂からのトリペプチドGly-X-Yの溶出は、塩水溶液、酸水溶液またはアルカリ水溶液を用いて行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
ペプチド精製物のトリペプチドGly-X-Yの含有率が60〜95%の範囲である請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
イオン交換樹脂からのトリペプチドGly-X-Yを含有する溶出液を、脱塩処理して、塩分含有量の低いペプチド精製物を得る請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
イオン交換樹脂からのトリペプチドGly-X-Yを含有する溶出液、またはこの溶出液を脱塩処理した後の溶液をMFろ過して除菌したペプチド精製物を得る請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
イオン交換樹脂からのトリペプチドGly-X-Yを含有する溶出液、またはこの溶出液を脱塩処理及び/又はMFろ過した溶液を乾燥して、固形のペプチド精製物を得る請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
請求項9または10に記載の方法で得られたトリペプチド精製物を含む水溶液を、分画分子量1000の限外ろ過膜で処理して、透過液としてエンドトキシンを低減したトリペプチド精製物を得る、エンドトキシンを低減したトリペプチド精製物の製造方法。
【請求項13】
トリペプチドGly-X-Y(Gly-X-Yはアミノ酸配列であり、X、YはGly以外のアミノ酸残基を示す)の含有率が40%以上であり、かつエンドトキシンの含有量が0.03EU/mL未満であるペプチド組成物。
【請求項14】
トリペプチドGly-X-Yの含有率が60〜95%の範囲である請求項13に記載のペプチド組成物。
【請求項15】
請求項13または14に記載のペプチド組成物を含有する腹膜透析液。
【請求項16】
請求項13または14に記載のペプチド組成物を含有する輸液製剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−246460(P2007−246460A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73753(P2006−73753)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(391024353)ゼライス株式会社 (9)
【Fターム(参考)】