説明

ペプトイド化合物

【課題】バンコマイシン耐性菌感染の治療に有用な新たな化合物の提供。
【解決手段】新規なペプトイド化合物はバンコマイシン耐性、メチシリン耐性微生物を含む、特にグラム陽性菌による感染に対して有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ペプトイド化合物、その製造法およびその抗生物質としての用途に関する。
【背景技術】
【0002】
先進国における細菌感染による死亡率はここ十年間増加してきている。これは、先進国から途上国への人々の流動性が増してきたこと、人口全体の高齢化、細菌感染に対する免疫力の低下した、移植、ガン若しくはAIDS患者の数が増えたこと、抗菌剤に対する多剤耐性の細菌の種類が増えたこと等、多くの要因が挙げられる(文献1-3参照)。
バンコマイシン系の抗生剤はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌およびその他のグラム陽性菌に対する最後の防衛線のひとつである(文献4-6参照)。これら抗生剤は、ペプチドグリカン二糖ペンタペプチドの末端、D-Ala-D-Ala部分に結合し細菌の細胞壁の生合成を阻害して細胞死をもたらす(文献4-6参照)。ところが、最近バンコマイシン耐性菌が現れた。この耐性菌は細胞壁ペプチドグリカンのD-Ala-D-Ala末端部分にD-Ala-D-乳酸の構造を有することが判明した。バンコマイシンは耐性菌のD-Ala-D-乳酸に対しては非常に小さな親和性(およそ1/1000の親和性)しか示さず、結果として抗生剤としての有効性をほとんど示さない(文献4-6参照)。
【0003】
細菌細胞壁のD-Ala-D-Ala末端部分に対するバンコマイシンの結合部位が特徴付けられた。バンコマイシン分子のD-O-E環部分が細胞壁のD-Ala-D-Ala末端部分に対する結合に重要であって、多くの水素結合による相互作用を伴っている(文献4-6参照)。バンコマイシ分子のより複雑な左側部分がペプチド部分の結合部位の立体的制御に重要であることが最近示された(文献7参照)。
ビフェノマイシンA、B(文献8-9参照)が強力な抗生剤であって特にグラム陽性菌に対して効力を示すことが見出された。ビフェノマイシンAは、またマウスにおいて低毒性であることが示された(文献8参照)。ビフェノマイシンはバンコマイシンよりもより単純な構造を有する。バンコマイシンに見られるジフェニルエーテルの代わりにビフェノマイシンはビフェニル基を有し、その上たったひとつの環状ポリペプチドがあるだけで糖部分もない。ビフェノマイシンもまた細胞壁の生合成を阻害するが、バンコマイシンと異なって細菌細胞壁のペプチドグリカン二糖ペンタペプチドの末端、D-Ala-D-Ala部分に対する結合を介するものではない(文献9参照)。
【発明の開示】
【0004】
細菌感染、特にバンコマイシン耐性菌感染の治療に有用な新たな化合物が求められている。本発明のひとつの観点は式(I)
【化1】

〔式中、Aは芳香族環若しくはヘテロ芳香族環またはその全部若しくは一部が還元された誘導体であり;
Qは、水素原子であるか、またはひとつ以上の水酸基で置換されたC1-C12の直鎖、分枝鎖若しくは環状アルキルまたは単糖若しくは二糖残基であって;
Zは、−CR1011−、−NR12−、−C(O)O−、−C(O)NR12−又は−O−であって、ここでR10およびR11は、水素原子、水酸基、C1-C6アルキル、C6-C10アリール、C1-C6アルコキシおよび−N(R13)よりそれぞれ独立して選択され、各R13は水素原子又はC1-C6アルキルより選択され、R12は水素原子又はC1-C6アルキルより選択され;Rは、水素原子、水酸基、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、−N(R13)および−N(R12)−COR14より選択され、ここでR12およびR13は上記のとおりであり、R14は水素原子、水酸基、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、−NR12より選択され;
【0005】
は独立して、水素原子、水酸基、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、−N(R13)および−N(R12)−COCHR2a2bより選択され;ここでR2aおよびR2bは水素原子、水酸基、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、−NR12、−N(R12)−COR14より選択され、R12、R13およびR14は上記と同じであり;
、RおよびRは、水素原子、C1-C6アルキル、α-アミノ酸(エナンチオマー若しくはその誘導体を含む)のα位側鎖から独立して選択され;
は、−CO15、−CONHR16、−CONHOR16、−CONHNHR16、−SON(R16)、−SO17、−P(O)(OR18)(OR18)であって、R15、R16、R17およびR18は水素原子、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C6-C10アリール、C7-C10アリールアルキルより独立して選択され;
Bは、α-アミノ酸残基、β-アミノ酸残基又はα,α-二置換アミノ酸残基であって、隣接する部分とアミド結合を形成し;
Wは、−O−又はCR1011であって、R10およびR11は上記の定義の通りであり;
【0006】
Yは、置換基を有することのあるアミノ基、または置換基を有することのあるアミノ基若しくはその塩を含む基であり;

【化2】

は、単結合又は二重結合を表し;
とR8aは水素原子を表すか、又は該線
【化3】

が二重結合の場合はRとR8aは存在せず;
【0007】
8bとRは水素原子で、Xは、(CR1011)、−(CR1011)−CH=CH−、NR12(CR1011)−、−(CR1011)NR12、−O(CR1011)、−(CR1011)O−より選択され、ここでR10、R11およびR12は上記の定義の通りであり;またはR8bとRは一緒になって、R8bが結合している炭素原子とXとをつなぐ共有結合を形成し、Xは、(CR1011)、−NR12(CR1011)−、−(CR1011)NR12−、−O(CR1011)−、−O(CR1011)CH=CH−および−(CR1011)O−より選択され、ここでR10、R11およびR12は上記の定義の通りであり;
n、m、r、tは独立して0又は1より選択され;
sは0から3より選択される整数であり;
pは0から6より選択される整数であり、Wが−O−である場合はpは少なくとも1であり;u、xおよびqは独立して0から4より選択される整数である〕
の化合物を提供することである。
芳香族環系又はヘテロ芳香族環系の語は、モノアリール、モノヘテロアリール、または架橋し、結合し若しくは縮合した二環式若しくは多環式のアリール若しくはヘテロアリールおよびそれらのアトロプ異性体をいい、XおよびZは環上のいずれの位置で置換していてもよい。縮合した二環式若しくは多環式のアリール若しくはヘテロアリールの例としては、ナフテン、フルオレン、フェナンスレン、インドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、カルバゾール、キノリン、イソキノリン、ジベンズアゼピン、ジベンズアゾシン等が含まれる。
【0008】
架橋若しくは結合した二環式若しくは多環式のアリール若しくはヘテロアリールの例としては、共有結合又はひとつ以上の原子、例えば−O−、−CH−、−NH−、−SO−等を含む架橋原子団によって結合された二以上の芳香族炭素環若しくはヘテロ環であって、例えば、ベンゼン、ナフテン、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、インドール、インダゾール、ベンズイミダゾール等が含まれる。結合した二環性若しくは多環性のアリール若しくはヘテロアリールの例としては、ビフェニル、ビナフチル、ビキノリル、ビイソキノリル、ビインドール、ビベンズイミダゾール、フェニルイソキノリル、フェニルキノリル、フェニルナフチル、フェニルインドール、フェニルベンズイミダゾール、フェニルインダゾール、フェニルピリジン、フェニルピリミジン、ナフチルピリジン、ナフチルピリミジン、ナフチルイソキノリル、ナフチルキノリル、ナフチルインドール、ナフチルベンズイミダゾール、ナフチルインダゾール、キノリルイソキノリル、キノリルインドール、キノリルインダゾール、キノリルベンズイミダゾール、インドールインダゾール、インドールベンズイミダゾール、インダゾールベンズイミダゾール等、およびそのアトロプ異性体が含まれる。
【0009】
芳香族、ヘテロ芳香族、又はその全部若しくは一部が還元された誘導体は、ひとつ以上のC1-C6アルキル、C1-C6チオアルコキシ、ヒドロキシ、C1-C6アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、C1-C6ジアルキルアミノ、ハロ、ニトロ、ニトリル、スルホニルスルホンアミド、アルキル−若しくはアリールスルホニル、C1-C6ハロアルキル(例えばトリフルオロメチル)又はカルボキシ基で置換されていてもよい。好ましくは、芳香族、ヘテロ芳香族、又はその全部若しくは一部が還元された誘導体は、置換基を有しないか、又はメチル、ヒドロキシ、メトキシ、アミノ、ハロ、トリフルオロメチルより選択される1から4の置換基を有するものがよい。ヘテロ芳香族に含まれる窒素原子はいずれもt-ブトキシカルボニル(BOC)、2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル(Pmc)、ベンジル、アセチル、カルボベンジルオキシ等の保護基により保護されていてもよい(Protective Groups in Organic Synthesis, T.Greene and P.Wuts, Wiley Interscience,1999)。
好ましい芳香族環およびヘテロ芳香族環としては1,1'-ビナフチルを含み、特に該ビナフチルの2位および2'位に、C1-C3アルキル、C1-C3アルコキシ、アリールアルキル、インドール、フェニルおよびN-保護若しくはN-無保護カルバゾールより選択される置換基を有するものがよい。特に好ましい芳香族環は、XおよびZが3位および3'位にそれぞれ結合し(3,3'-結合ビナフチル化合物)し、特に、2,2'位にC1-C3アルコキシ基の置換した3,3'-結合の1,1'-ビナフチル;XおよびZが2位および2'位にそれぞれ結合(2,2'-結合ビナフチル化合物)した2,2'-結合の1,1'-ビナフチル;3,6-結合した9H-カルバゾール(3,6-結合9H-カルバゾール化合物);1,3-結合したインドール(1,3-結合したインドール化合物);および1,4-結合したフェニル(1,4-結合フェニル化合物)である。
本願で使用されるアトロプ異性体の語は、回転による軸性キラリティーを示すエナンチオマーをいう。
【0010】
本願で使用される単糖部分の語は、単糖類又はその誘導体より由来する単純な糖置換基をいう。単糖は天然に存在する単糖部分でもよく、又は置換基若しくは保護基その他を有し、天然に存在する単糖から誘導される類縁体であってもよい。単糖は一リン酸化、二リン酸化又は三リン酸化されていてもよく、また完全な酸化体又はデオキシ体であってもよい。単糖の例としては、限定はされないが、アベクォース、イズロン酸、アロース、リキソース、アルトロース、マンノース、アピオース、ムラミン酸、アラビノース、ノイラミン酸、アラビニトール、N-アセチルノイラミン酸、2-デオキシリボース、N-アセチル-2-デオキシノイル-2-エナミン酸、フルクトース、N-グリコロイルノイラミン酸、フコース、3-デオキシ-D-マンノ-オクト-2-ウロソン酸、フシトール、ラムノース、ガラクトース、3,4-ジ-O-メチルラムノース、ガラクトサミン、プシコース、N-アセチルガラクトサミン、キノボース、β-D-ガラクトピラノース 4-サルフェート、リボース、グルコース、ソルボース、グルシトール、タガトース、N-アセチルグルコサミン、タロース、グルクロン酸、キシロース、グルコピラヌロン酸エチル、キシルロース、グロース、2-C-メチルキシロース、イドース等を含み、これらより単糖部分を誘導することもできる。
【0011】
本願で使用される「二糖部分」の語は、グリコシル結合でつながった二つの単糖体またはその誘導体よりなる糖置換基をいう。二糖部分の例としては、限定はされないが、スクロース、ラクトース、マルトース等が含まれる。
本願で使用される「置換基を有することのあるアミノ基」の語は、無置換のアミノ基(NH2)又は窒素原子上最多で二つの置換基を有するアミノ基又はその塩をいう。ここで置換基の例としては、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C6-C10アリールおよび適切な窒素保護基が挙げられる。(Protective Groups in Organic Synthesis, T.Greene and P.Wuts, Wiley Interscience,1999)。好ましくは、生物学的pHにおいて、正電荷を帯びることができるアミノ基がよい。本発明の具体的態様としては、Yは−N(R13)、−N(R12)−COR14、−NR13C(=NR13)N(R13)、−C(=NR13)N(R13)、−NR13C(=O)N(R13)、−N=NC(=NR13)N(R13)、NR13NR13C(=O)NHN(R13、−NR13C(=)NHN(R13)より選択されたものが好ましく、ここでR12、R13は独立して、水素原子又はC1-C6アルキルより選択され、R14は、水素原子、ヒドロキシ、C1-C6アルコキシ、NR12および含窒素3-8員環状体より選択され、該環状体は例えばピペリジニル、ピロリジニル、イミダゾリジル、ピラゾリジル、ピペラジニルであって、窒素原子上又は炭素原子上で結合することができる。好ましいYとしては、置換基を有することのある、グアニジノ[−NHC(=NH)NH]、アミジノ[−C(=NH)NH]、ウレイド[−NHC(=O)NH]、カルバゾノ[−N=NC(=)NHNH]、カルバジド[−NHNHC(=O)NHNH]、セミカルバジド[−NHC(=O)NHNH]およびアミノ(NH)が含まれる。
【0012】
本願で使用される「C1-C6アルキル」の語は、1個から6個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖のアルキル基をいう。
本願で使用される「C3-C7シクロアルキル」の語は、3個から7個の炭素原子を有する環状のアルキル基をいう。その例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルが含まれる。
本願で使用される「C6-C10アリール」の語は、6個から10個の炭素原子を有する、炭素環芳香族をいい、フェニル、ナフチルが例として含まれる。
本願で使用される「C1-C10アリールアルキル」の語は、C1-C4アルキルと結合した6個の炭素原子を有する炭素環芳香族をいう。アリールアルキルの例はベンジル基である。
本願で使用される「C1-C6アルコキシ」の語は、1個から6個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基をいう。その例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシおよび異なるブトキシ異性体を含む。
αアミノ酸のα−側鎖の語は、天然に存在するαアミノ酸のα−R基を包含し、−CH、−(CH)NHC(=NH)NH、−CHCONH、−CHCOH、−CHSH、−(CH)COH、−CH(4-イミダゾール)、−CH(CH)CHCH、−CHCH(CH)、−(CH)NH、−(CH)NH、−(CH)SCH、−CHPh、−CHOH、−CH(CH)OH、−CH(3-インドリル)、−CH(4-ヒドロキシフェニル)、−CH(CH)より選択することができる。この語はまた、例えばホモアルギニン、ホモセリン、ホモシステイン、ノルバリン、ノルロイシン又はアミジノ誘導体等の非天然アミノ酸のα-R基を含む。そのようなα-側鎖の例としては、−(CH)NHC(=NH)NH、−(CH)OH、−(CH)SH、−CHCHCH、−(CH)CH又は(CH)C(=NH)NH等が含まれ、ここでvは1から4の整数である。その他、側鎖上のヒドロキシ、チオール、アミノ基がそれぞれ適切な保護基で保護されたα-側鎖も含まれる(Protective Groups in Organic Synthesis, T.Greene and P.Wuts, Wiley Interscience,1999)。
【0013】
Bはα-アミノ酸残基、β-アミノ酸残基又はα,α-二置換アミノ酸残基である。適切なα-アミノ酸残基としては、天然α-アミノ酸および非天然α-アミノ酸が含まれる。適切なα-アミノ酸の例としては、アラニン、アルギニン、ホモアルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、ホモシステイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、ノルロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、ホモセリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、プロリン、バリンおよびノルバリンより由来するD-若しくはL-α-アミノ酸残基が含まれる。その他の適切なα-アミノ酸残基としては、側鎖にアミジノ基、例えば(CH)C(=NH)NH(vは1から4の整数を表す)を有するものが含まれる。D-又はL-アラニル、D-リシル、D-アルギニルおよびD-ホモアルギニルが特に好ましい。適切なβ-アミノ酸としては、HNC(R)RC(R)RCOHが含まれる。ここで、R、R、R、RはHおよびα-アミノ酸の上記置換基のいずれでもよく、すべての可能な立体異性体が含まれる。適切なα,α-二置換アミノ酸としては、α-位に更に置換基を有する上記のα-アミノ酸がいずれも含まれる。適切な置換基としては、C1-C6アルキル、ヒドロキシ、C1-C6アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、C1-C6ジアルキルアミノ、(CH)NH、(CH) NHC1-C6アルキル、(CH)N(C1-C6アルキル)、(CH)NHC(=NH)NH、(CH)OH、(CH)OC1-C6アルキルが含まれる。
【0014】
本発明の好ましい化合物としては以下のものが含まれる;
ベンジル(aR/S,2S,5R)-8-アセタミド-2-アリル-9-{3-[3'-アリル-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル]}-3,6-ジアザ-5-(4-{[(t-ブトキシ)カルボニル]アミノ}ブチル)-4,7-ジオキソノナノエート、
(aR/S,7R,10S)-4-アセタミド-7-(4-アミノブチル)-6,9-ジアザ-10-メトキシカルボニル-1(1,3),2(1,3)-ジ(2-メトキシナフタレナ)-5,8-ジオキソシクロテトラデカファン-12-エン・塩酸塩、
(aR/S,7R,10S)-4-アセタミド-7-(4-アミノブチル)-6,9-ジアザ-10-メトキシカルボニル-1(1,3),2(1,3)-ジ(2-メトキシナフタレナ)-5,8-ジオキソシクロテトラデカファン・塩酸塩、
(aR/S,7R,10S)-4-アセタミド-6,9-ジアザ-10-ベンジルオキシカルボニル-7-(4-{[(t-ブトキシ)カルボニル]アミノ}ブチル)-1(1,3),2(1,3)-ジ(2-メトキシナフタレナ)-5,8-ジオキソシクロテトラデカファン-12-エン、
メチル(aR/S,2S,5R)-8-アセタミド-2-アリル-9-[3-(3'-アリル-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル)]-3,6-ジアザ-5-(3-グアニジノプロピル)-4,7-ジオキソノナノエート・塩酸塩、
(aR/S,7S,10S)-4-アセタミド-6,9-ジアザ-7-(3-グアニジノプロピル)-10-メトキシカルボニル-1(1,3),2(1,3)-ジ(2-メトキシナフタレナ)-5,8-ジオキソシクロテトラデカファン-12-エン・塩酸塩、
(aR/S,7R,10S)-4-アセタミド-6,9-ジアザ-7-(3-グアニジノプロピル)-10-メトキシカルボニル-1(1,3),2(1,3)-ジ(2-メトキシナフタレナ)-5,8-ジオキソシクロテトラデカファン-12-エン・塩酸塩、
(aR/S,7R,10S)-4-アセタミド-6,9-ジアザ-7-(3-グアニジノプロピル)-10-メトキシカルボニル-1(1,3),2(1,3)-ジ(2-メトキシナフタレナ)-5,8-ジオキソシクロテトラデカファン・塩酸塩、
【0015】
メチル(2S,5S,8R/S)-8-アセタミド-2-アリル-9-[6-アリル-9-t-ブトキシカルボニル-9H-カルバゾール-3-イル]-3,6-ジアザ-5-{3-[(2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル)-グアニジノ]プロピル}-4,7-ジオキソノナノエート、
6-アセタミド-8,11-ジアザ-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9S,12S)、
6-アセタミド-8,11-ジアザ-14-エン-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9R,12S)、
6-アセタミド-8,11-ジアザ-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9R,12S)、
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-1-t-ブトキシカルボニル-14-エン-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ [12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9S,12S) 、
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9S,12S)、
メチル(2S,5S,8R/S)-8-アセタミド-5-(4-アミノブチル)-3,6-ジアザ-9-{9-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-プロピル-9H-カルバゾール-3-イル}-4,7-ジオキソ-2-プロピルノナノエート・塩酸塩、
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9R,12S)、
メチル(aR/S,2S,5R)-2-アリル-5-[2-({[(2'-アリルオキシ-1,1'-ビナフトキシメチル]カルボニル}アミノ)-3-アザ-9-グアニジノ-4-オキソノナノエート・塩酸塩、
(aR,S,7R,10S)-6,9-ジアザ-3,15-ジオキサ-5,8-ジオキソ-7-(4-グアニジノブチル)-10-メトキシカルボニル-1(1,2),2(1,2)-ジナフタレナシクロペンタデカファン-12-エン・塩酸塩、
メチル(aS/R,2S,5R)-2-アリル-10-(2'-アリルオキシ-1,1'-ビナフト-2-オキシ)-5-(4-アミノブチル)-3,6-ジアザ-4,7-ジオキソデカノエート・塩酸塩、
メチル(aS/R,2S,5R)-2-アリル-10-(2'-アリルオキシ-1,1'-ビナフト-2-オキシ)-3,6-ジアザ-5-(4-グアニジノブチル)-4,7-ジオキソデカノエート・塩酸塩、および
(aR/S,9R,12S)-8,11-ジアザ-9-(4-グアニジノブチル)-12-メトキシカルボニル-1(1,2),2(1,2)ジナフタレナ-3,17-ジオキサ-7,10-ジオキソヘプタデカファン-15-エン・塩酸塩。
【0016】
本発明の化合物はひとつ以上の不斉中心を有し、そのためにひとつ以上の立体異性体が存在することを正しく理解すべきである。ある化合物にはまた幾何異性体が存在するかもしれない。更に本発明のある化合物は回転軸性のキラリティーを有し、アトロプ異性体を与えるかもしれない。本発明はそれらの個々の化合物およびラセミ体を含む混合物まで拡張されるものである。異性体は、常法に従いクロマトグラフィー又は分割剤を用いて分離される。別法として、個々の異性体はキラルな中間体、試薬または触媒等を用いて不斉合成され得る。
式(I)の化合物の塩は薬学的に許容されるものが好ましいが、そのような塩を製造するための中間体として有用な場合があり、薬学的に許容される塩でなくとも本発明の範囲内に入ることを十分に理解すべきである。薬学的に許容される塩としては、慣用的な非毒性の塩又は四級アンモニウム塩が含まれ、これらは例えば有機若しくは無機の酸若しくは塩基より製造され得る。酸付加塩の例としては、限定はされないが、薬学的に許容される酸、例えば酢酸、プロピオン酸、クエン酸、乳酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、アスコルビン酸、塩酸、オルトリン酸、硫酸、臭化水素酸等により製造されるものが含まれる。塩基の塩としては、限定はされないが、薬学的に許容される陽イオン、たとえば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム等により製造されるものが含まれる。また、塩基性の含窒素原子団は低級アルキルハライド(例えば塩化、臭化、ヨウ化メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、ジメチル硫酸又はジエチル硫酸、その他により四級化される。
【0017】
薬学的に許容される誘導体としては、薬学的に許容されるすべての塩の他、水和物、プロドラッグ、および投与後に式(I)の化合物又は抗菌活性を有する代謝物やその残基等を(直接的に又は間接的に)与えるすべての化合物が含まれる。例えば、Q部分のヒドロキシ基がリン酸エステルに置き換えられた化合物は薬学的に許容される誘導体の範疇に含まれる。
プロドラッグの語は、最も広義の意で用いられ、体内において本発明化合物に変換されるすべての誘導体を包含する。そのような誘導体は当業者にとって容易に思いつくものであり、例えばN−α−アシルオキシアミド、N−(アシルオキシカルボニル)アミン誘導体、フェノールおよびアルコールのα−アシルオキシアルキルエステル等が含まれる。プロドラッグは、本発明化合物の官能基をひとつ以上修飾したものも含む。
本明細書を通じて、「体内において変換され得る原子団」の語を他の官能基との関連において用いた場合は、哺乳類に投与した後該官能基に変換され得るすべての官能基を含む。当業者であれば、ある原子団が体内で該官能基に変換され得るか否か、日常的な酵素又は動物試験により容易に決定できる。
【0018】
本発明における好ましい化合物は式(IA)
【化4】

〔式中、A、Q、Z、R2a、R2b、R、B、W、Y、R、R、R、R、R8a、R8b、R、X、r、s、n、m、p、qおよびtは前記の定義のとおり〕
で表される。
【0019】
より好ましくは、以下のひとつ以上の定義が好適な化合物に適用される;
−Qは、水素原子;
−Aは、2,2'-結合1,1'-ビナフチル、3,3'-結合2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル、好ましくは1,4-結合のフェニル、好ましくは1,3-結合したインドリル、好ましくは3,6-結合したフルオレニル若しくは9H-カルバゾール;
−Zは、−O−又は−CR1011、好ましくは−O−又は−CH−;
−Rは、水素原子又はヒドロキシ;
−Rは、水素原子、ヒドロキシ又はNHC(=O)CHR2a2b
−Rは、水素原子;
−Bは、存在しないか、又はD-若しくはL-アラニン残基、D-若しくはL-リシン残基、D-若しくはL-アルギニン残基又はD-若しくはL-ホモアルギニン残基;
−Wは、存在しないか、又は−CH−;
−Yは、NH、NHC(=NH)NH又はその塩;
−Rは、水素原子;
−Rは、水素原子;
−Rは、−CO15で、R15はC1-C6アルキル又はC7-C10アリールアルキル、最も好ましいR15はメチル又はベンジル;
−R8bとRは、水素原子であり、Xは、−(CR1011)−、−CH=CH−、−O(CR1011)CH=CH−、−CR1011−CH=CH−であって、R10とR11は水素原子でuは2若しくは3より選ばれる整数;
−R8bとRはまた一緒に、XとR8bが結合する炭素間で共有結合を形成し、Xは−CR1011−であってR10とR11は水素原子である。
【0020】
Aがカルバゾールであって特に好ましい化合物としては、
6-アセタミド-8,11-ジアザ-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9R,12S)、
メチル8-アセタミド-3,6-ジアザ-5-(3-グアニジノプロピル)-4,7-ジオキソ-2-プロピル-9-[3-(6-プロピル)-9H-カルバゾール]ノナノエート・HCl (2S,5R)、
6-アセタミド-8,11-ジアザ-14-エン-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9R,12S)、
メチル8-アセタミド-5-(4-アミノブチル)-3,6-ジアザ-4,7-ジオキソ-2-プロピル-9-[3-(6-プロピル)-9H-カルバゾール]ノナノエート・HCl (2S,5R)
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ [12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9S,12S)、
6-アセタミド-8,11-ジアザ-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9S,12S)、
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-14-エン-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ [12](4,17)-1H-カルバゾロファン・HCl (9R,12S)、
【0021】
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ [12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9R,12S)、
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-1-t-ブトキシカルボニル-14-エン-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ [12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9S,12S)、
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-1-t-ブトキシカルボニル-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ [12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9S,12S)、
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-12-メトキシカルボニル-1-(4-メトキシフェニルメチレン)-7,10-ジオキソ [12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9S,12S)、
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-4-エン-12-メトキシカルボニル-1-(4-メトキシフェニルメチレン)-7,10-ジオキソ [12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9S,12S)、
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-14-エン-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9S,12S)、
6-アセタミド-8,11-ジアザ-14-エン-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9S,12S)、
メチル8-アセタミド-5-(4-アミノブチル)-3,6-ジアザ-9-[3-(9-メトキシフェニルメチレン)-6-プロピル-9H-カルバゾール]-4,7-ジオキソ-2-プロピルノナノエート・HCl (2S,5S)
が、挙げられる。
Aが、2,2'-二置換ビナフチルであって、特に好ましい化合物は実施例15および21で製造されたものである。
【0022】
上記の式(I)の化合物は式(II)の化合物
【化5】

〔式中、LはOH又は活性化基を示す〕
【0023】
を、式(III)の化合物
【化6】

〔式中、Bは水素原子又は遊離のアミノ基を有するアミノ酸を表す。〕
と適切な条件下で反応させて製造することができる。尚、式(II)および式(III)においてA、Q、X、Z、B、W、Y、R、R、R、R、R、R、R、R8a、R8b、R、n、m、p、q、r、sおよびtは式(I)における定義と同じである。
【0024】
式(II)の化合物および式(III)の化合物を縮合させて得られた式(I)の化合物は常法により式(I)の別の化合物に更に変換することができる。
好都合なことには、式(II)および式(III)の化合物間の反応はアミド結合形成に基づくもので、ペプチド合成において日常的に使用される方法により行うことができる。例えば、アミンとカルボン酸(L=OH)又は酸クロリド、アシルアジド若しくは無水物〔L=Cl、N、OC(O)R〕のような活性化カルボニルとの反応である。
式(II)の化合物は、以下のような芳香族環又はヘテロ芳香族環;
(a)所望の置換基を有するもの
(b)当業者の常法により、所望の置換基に変換可能な官能基を有するもの
(c)環の核の上に、適切に活性化された位置があり、当業者の常法により所望の置換基に置き換えることができるもの
から都合よく製造される。
更に、該環状骨格は、原子団−(X)に変換可能な位置と、(III)と反応させるべき側鎖を形成する位置とを含む。これらの位置とは、官能基でもよいし、適当に活性化された環上の位置であって当業者の常法により官能基に変換させ得るものであってもよい。例えば、官能基とはハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシカルボニル、アルケニル等を含む。適当に活性化された位置とは、ハロゲン化、ヒドロキシ化、カルボニル基への酸化、アルキル化、アシル化等がされる位置である。
【0025】
適切な芳香族環又はヘテロ芳香族環は市販品として入手可能であるし、市販の前駆体より容易に製造することもできる。
式(III)の化合物と反応させるべき側鎖は、当業者にとって容易に確認できる方法により形成される。簡便には環上のハロアルキル基は更にアルキル化されて側鎖を形成し、その上さらに修飾がなされる場合もある。側鎖は、式(II)および式(III)の化合物間の反応を可能にするための適切な官能基を含む。好ましくは、この反応はアミド結合形成であって、ペプチド合成の常法、例えばアミンと活性化されたカルボニル炭素との反応により行うことができる。当業者であれば、所望の側鎖形成のための適切な方法論を容易に決定できる。
適切な場合には、好ましくない副反応を抑え若しくは避けるため、式(II)の化合物のある位置を保護基でもって覆うことができる。
【0026】
式(III)の化合物は、ペプチド化学の当業者が精通した方法若しくはそれを修正した方法により製造される。当業者であれば所望の式(III)の化合物製造のための方法論を容易に決定できる。
適切な場合には、好ましくない副反応を抑え若しくは避けるため、式(III)の化合物のある位置を保護基でもって覆うことができる。
好ましくは式(III)の化合物が遊離のアミノ基を含み、式(II)の化合物が遊離のカルボキシル基若しくは適切な条件下で反応してアミド結合を形成し得る活性化カルボニル炭素を含むのがよい。
8bとRが一緒になり、XとR8bが結合する炭素間で共有結合を形成する式(I)の化合物は、対応する非環状化合物の環化反応により便利に製造できる。環化反応は当業者によく知られたいずれの閉環反応でも利用できる。例えば、CHRとCHR8a8b間の結合が二重結合であって、−(X)tRがアルケニル結合を有する場合は、閉環メタセシス反応を利用することにより簡便に閉環を行うことができる。得られた環状のアルケンは常法により簡単にアルキルへと還元できる。
これらの一般的な手引きの例は、実施例に詳しく記載がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明化合物は哺乳類、特にヒトにおいて細菌感染の治療に有用である。これらは特にグラム陽性菌による感染に対して有用である。中でも、腸球菌(エンテロコッカス ファエシウム)、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、肺炎桿菌、肺炎連鎖球菌のようなグラム陽性菌(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含む)の治療に対して有効である。
従って、本発明は更に、哺乳類において化合物(I)の有効量を投与する過程を含む細菌感染治療方法を提供する。
本発明はまた、細菌感染の予防又は治療のための薬物製造における式(I)の化合物の用途を提供する。
本発明化合物は、その治療上の有効量を哺乳類に投与する。本明細書では、治療上の有効量とは、少なくとも部分的に目的の効果を達成し、細菌感染の発現を遅らせ、進行を阻害すること、あるいは細菌感染の進行若しくは発現を休止させ、覆すことを含むものと意図する。
【0028】
本明細書において、「治療上の有効量」の語は、所望の投薬計画に従って投与された場合に、目的の治療活性を提供する化合物の量に関係する。投薬は、分、時間、日、週、月、年の間隔で可能であり、いずれの間隔ごとに継続することもできる。適切な投与量は体重1kgあたり0.1ngから1gの範囲である。好ましくは、投与量は体重1kgあたり1ngから1gの範囲であり、例えば1mgから1gの範囲である。適切には、投与量は体重1kgあたり1mgから500mgの範囲であり、例えば体重1kgあたり1mgから200mg、又は1mgから100mgである。他の適切な投与量は、体重1kgあたり1mgから250mgであり、1mgから10、20、50若しくは100mgの範囲であり、又は体重1kgあたり10mgから100mgの範囲である。本発明化合物は単回投与又は連続して投与することができる。
適切な投与量および投与計画は薬剤を使用する医師が決定できるし、体全体の健康度、年齢、被験者の体重等の外、治療される側の特別な状況、重篤度等にも依存する。
治療のための使用には本発明の化合物をそのまま投与することも可能であるが、製剤化した有効成分として提示するほうが好ましい。
本発明は更に、本発明化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体と、薬学的に許容される担体、時には、他の治療上又は予防のための成分を一緒に含む製剤を提供する。この担体は、製剤中の他の成分に適合し被投与者にとって害がないという意味で許容されるものでなければならない。
【0029】
製剤は、経口、直腸、経鼻、局所(口腔内および舌下を含む)、経膣、非経口(筋肉内、皮下および静脈内)の各投与および吸入若しくはガス注入投与のための適切な形態を含む。本発明化合物は日常的に使用されるアジュバント、担体、希釈剤等と一緒に薬剤組成物と単位容量の製剤中に組み込まれる。そして、本発明化合物は、錠剤、充填カプセルのような固体として、又は懸濁液、乳液、エリキシル若しくはこれらを充填したカプセルのような液体として、すべて経口用途で用いることができる。その他、直腸投与のための座剤の形態で、又は非経口(皮下投与を含む)用途のための無菌注射溶液の形態でも使用できる。この薬剤組成物と単位容量の製剤は、慣用的成分を慣用的な比率で含み、追加的な活性化合物若しくは主成分を含む場合も含まない場合もある。そして、意図された一日投与量の範囲と相応した、活性成分の適切な有効量を含む。活性成分10mg含有製剤、又はより広くは、1錠あたり0.1から200mgを含む製剤が適切な代表的単位容量製剤である。本発明化合物は経口および非経口の種々の剤形で投与することができる。当業者であれば以下の剤形が有効成分として本発明化合物、その薬学的に許容される塩または誘導体を含み得るか自明である。
本発明化合物の薬学的組成物を調製するために、薬学的に許容される担体は固体でも液体でもよい。固体製剤としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、座剤、分散顆粒剤等を含む。固体の担体はひとつ以上の物質で希釈剤、香料、溶解剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤又はカプセル化剤等としても機能できるものである。
散剤の場合、担体は細かく粉砕された固体であり、細かく粉砕された有効成分と一緒に混合される。
【0030】
錠剤の場合、有効成分は必要な結合能を有する担体と適切な比率で混合され、所望の形状および大きさに整形される。散剤も錠剤も有効成分を好ましくは5若しくは10%から約70%の比率で含有する。好ましい担体としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココア脂等である。製剤化の語は、担体としてカプセル化原料を用いて活性化合物をカプセル化する場合も含む;該カプセル内においては、活性化合物が担体とともに又は担体なしで、担体であるカプセルに囲まれているので、その関連によりかかる場合も含まれる。同様に、カシェやトローチ剤も包含される。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ、トローチ剤は経口投与に適した固体製剤として用い得る。
座剤を製造するためには、低融点ワックス、例えば脂肪酸グリセリド又はココア脂等の混合物を融解し、撹拌することによりその中に活性化合物を均一に分散させる。それからその融解した均一な混合物を都合のよい大きさの型に注ぎ込み、放冷して固化させる。
【0031】
膣内投与に適した製剤は、例えばペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、スプレー等の、有効成分の他当業者に知られた適切な担体を含む剤形により提供され得る。
液状製剤は、液剤、懸濁剤、乳剤、例えば、水又は水−プロピレングリコール溶液を含む。非経口注射液は、例えば水性のポリエチレングリコール溶液として製剤化され得る。
本発明化合物は、このようにして非経口投与(例えば、大量の瞬時投与、連続注入等の注射)のための製剤化をすることができ、これらはアンプル、充填済みシリンジ、少量注入等の単位用量製剤、又は保存剤入りの容器に入れた多用量製剤として提供され得る。組成物は、懸濁剤、液剤、油性若しくは水性基剤中の乳剤等とすることができ、懸濁、安定化および/又は分散化のための試薬を含めることができる。別法として、有効成分は無菌状態で固体より単離し又は溶液より凍結乾燥して得られる粉末としてもよい;この場合、適切な溶媒、例えば、発熱物質のない無菌の水で使用前に製剤を構成できる。
経口投与に適した水性の液剤は有効成分を水に溶解し、適切な着色剤、香料、安定化剤、増粘剤等を希望通りに加えて調製できる。
経口投与に適した水性の懸濁剤は、有効成分を細かく分割して、水と粘性物質、例えば、天然の若しくは合成したガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、その他のよく知られた懸濁剤の中に分散させて調製できる。
固形製剤中にはまた、使用直前に経口投与のための液状製剤に転換させるものも含まれる。そのような液状製剤中には、液剤、懸濁剤および乳剤が含まれる。
【0032】
皮膚に対する局所投与用には、本発明化合物を軟膏、クリーム、ローション、又は経皮パッチ剤として製剤化できる。例えば、軟膏、クリーム等は、水性又は油性基剤中に適切な増粘剤および/又はゲル化剤を加えて調製できる。ローションは、水性又は油性基剤を用いて調製でき、また一般には、ひとつ以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、着色剤等を含む。
口中の局所投与に適した製剤としては、有効成分と香料基剤と通常、ショ糖、アカシア又はトラガントよりなるトローチ剤が含まれる。パスチルは、有効成分とゼラチン、グリセリンのような不活性基剤とショ糖、アカシア等よりなり、マウスウォッシュは有効成分と適切な液状担体よりなる。
液剤および懸濁剤は常套手段、例えばドロッパー、ピペット又はスプレー等により鼻腔内へ直接投与できる。製剤は単回用量又は多用量で提供できる。ドロッパー又はピペットで多用量投与の場合は、患者があらかじめ定められた液量の液剤若しくは懸濁剤を投与することにより達成される。スプレーの場合は、例えば噴霧スプレーポンプを計測する手段により達成できるかもしれない。本発明化合物をシクロデキストリンでカプセル化し、又は鼻腔粘膜内での薬物搬送と滞留促進が期待できる試薬で製剤化することで、鼻腔投与における薬物搬送と滞留が改良されるかもしれない。
呼吸器への投与もまたエアロゾル製剤で達成され得る。この場合、有効成分は適切な推進剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンのようなクロロフルオロカーボン、二酸化炭素その他の適当な気体で加圧されたパック中で供給される。エアロゾルはまたレシチンのような界面活性剤を含むほうが好都合かもしれない。薬物投与量は計測バルブを付加することで制御可能かもしれない。
【0033】
別法として、有効成分を乾燥粉末の形態、例えば乳糖、デンプン、デンプン誘導体(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン(PVP)のような適切な粉末状基剤と化合物の粉末を混合して提供することもできる。
粉末の担体が鼻腔内で都合よくゲル状になるかもしれない。粉末組成物は、例えばゼラチンのカートリッジ又はカプセルのような単位用量製剤で提供し得るし、ブリスター包装で提供した場合は吸入器を用いて投与することが可能である。
呼吸器への投与を意図する製剤には、鼻腔内投与製剤が含まれ、化合物は一般には微粒子、例えば1から10ミクロン又はそれ以下の大きさである。そのような大きさの粒子は公知の方法、例えば微粉化により得られる。
必要であれば、有効成分の徐放性製剤も用いることができる。
【0034】
製剤は好ましくは単位用量製剤がよい。その場合、有効成分の適切な量を含む単位用量に分割できる。単位用量製剤はパッケージ化し、小包みの錠剤、カプセル、バイアル又はアンプルの散剤等、別個の量の製剤を含むパッケージとすることができる。また、単位用量製剤はカプセル、錠剤、カシェ、トローチとすることができ、いずれも適切な数のパッケージとすることができる。
鼻腔内投与のための液剤又は散剤、経口投与のための錠剤又はカプセル剤、静脈投与のための液剤が好ましい製剤である。
これより、参考のために以下の実施例により本発明を記述する。これら実施例は本発明のいくつかの好ましい観点を図解するものである。しかしながら、以下の発明の記述における個別性は、これまで説明した本発明の一般性に優先するものでないことを理解すべきである。
本明細書および続く請求の範囲を通じて、文脈が他に要求しない限り、「〜よりなる」の語、およびその文法的に変化した語は、記載された整数、工程又はこれらの群を包含することを意味し、他の整数、工程又はこれらの群を除くものでないことを理解すべきである。
【実施例】
【0035】
実験全体の情報
融点の決定は、融点測定装置(Gallenkamp又はReichert)を用いた。化学イオン化(CI)および電子衝突(EI)質量スペクトルは島津QP-5000質量分析計により70eVの電子ビームを直接挿入する技術により行った。電子スプレー(ES)質量スペクトルはVG Quattro分析計より得た。高分解能質量スペクトル(HRMS)はVG Autospec分析計又は微小質量QToF分析計により決定した。m/z値は括弧内のピーク強度(百分率)とともに記載した。HおよびCの核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Varian Unity 300MHzにより、又、記載した場合にはVarian Unity 400MHzにより得た。特に記載のない限り、内部標準としてTMSを使用し、重クロロホルム(CDCl3)中で測定した。化学シフト(δ)は内部標準に対してppmで測定した。被験体がいくつかの異性体を含む場合は、主たる異性体と少量の異性体を分離することができず、ピークの重なりによって少量の異性体のピークすべてを同定することは困難なので、主たる異性体の化学シフトのみを記載した。分析用の薄層クロマトグラフィ(TLC)にはMerckのKieselgel60 F254をあらかじめコーティングしたアルミナ板(0.25mm)を用いた。カラムクロマトグラフィーはすべてMerckのKieselgel60(230-400メッシュ)を用い、フラッシュ条件下で実施した。クロマトグラフィーの溶媒混合物は体積で表示した。有機溶媒抽出物は無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、溶媒はBuchiの回転エバポレーターで減圧下に留去した。溶媒は標準的な方法で精製し乾燥した。化合物はすべて、1H-NMRおよびTLC分析結果から90%以上の純度と判定された。出発物質および試薬はSigma-Aldrich Pty Ltdから購入しそのまま使用した。石油スピリットは沸点40-60℃のものをいう。使用したGrubbsのルテニウム触媒とは、ベンジリデン-ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)-ジクロロルテニウムであった。
【0036】
使用した略号は以下の通りである。
Ac アセチル
Boc t-ブチルオキシカルボニル
DCM ジクロロメタン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
HCl 塩酸
EtOAc 酢酸エチル
MeOH メタノール
Pmc 2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル
PS 石油スピリット
TFA トリフルオロ酢酸
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DCC 1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド
HMPA ヘキサメチルホスホルアミド
TMEDA N,N,N',N'-テトラメチレンジアミン
Fmoc 9-フルオレニルメトキシカルボニル
【0037】
ペプチド合成の実施例
実施例1
L-アリルグリシンのカルボン酸の保護
L-アリルグリシン(0.600g)を無水メタノール(7mL)に溶解し氷冷した。塩化チオニル(2当量)を滴下し、反応液を室温にまで加温し室温で3時間撹拌した。その後、回転エバポレーターで溶媒を除去した。残渣をメタノールに溶解し溶媒の留去を繰り返し、白色の低融点固体を90%収率で得た。
ME ES 130 [RNH3]+
1H-NMR 400MHz(CDCl3)δ:8.58(3H, br s, NH3), 5.8(1H, br s, H2), 5.32(1H, d, J=15.6Hz, H1), 5.26(1H, d, J=6.8Hz, H1'), 4.20(1H, m, H4), 3.80(3H, s, OCH3), 2.88(2H, m, H3,H3').
13C-NMR 75MHz δ:169.2(CO2CH3), 130.1(C2), 121.5(C1), 53.3(OCH3), 53.0(C4), 34.5(C3).
【0038】
実施例2
N-α-Fmoc-N-ε-Boc-D-リシン-L-アリルグリシンメチルエステル
【化7】

L-アリルグリシンメチルエステル・HCl(0.706g)を無水ジクロロメタン(10mL)中に懸濁し、Fmoc-D-リシン(Boc)-OH(1当量)を窒素下に加えて撹拌し、DMAP(1当量)とジイソプロピルエチルアミン(1当量)を加えた。混合物を0℃に冷却し、DCC(1当量)を加えた。反応液を室温で終夜撹拌した。懸濁液をセライトを用いて濾過し、固体を冷DCMで洗って濾液と洗浄液を一緒にして二回水洗してから回転エバポレーターで溶媒を除去した。残渣を2%CH3OH/DCMでクロマトグラフィーに付し淡いクリーム色の薄片状固体を76%収率で得た。
HRMS Calc.mass 580.3023, Found 580.3018 [M+H], C32H42N3O7
1H-NMR (CDCl3)δ:7.76(2H, d, J=7.5Hz, H17,17'), 7.59(2H, d, J=6.9Hz, H20,20'), 7.40(2H, t, J=7.2Hz, H19,19'), 7.31(2H, ddd, J=9.0, 7.2, 1.2Hz, H18,18'), 6.7(1H, br.d, J=6.6Hz, NH), 5.63(2H, br.m, NH,H2), 5.10(1H, d, J=5.4Hz, H1), 5.05(1H, s, H1'), 4.65(2H, H4,NH), 4.38(2H, d, J=6.6Hz, H14,H14'), 4.21(2H, H15,H8), 3.71(3H, s, OCH3), 3.11(2H, d, J=6.0Hz, H12,H12'), 2.52(2H, m, H3,H3'), 1.85(2H, m), 1.68(2H, m), 1.48-1.25(2H, m), 1.43(9H, s, t-Bu).
【0039】
実施例3
N-α-Fmoc-N-ε-Boc-D-リシン-L-アリルグリシンメチルエステルのα-アミノ基の脱保護
【化8】

Fmoc-D-Lys(Boc)-L-アリルグリシンメチルエステル(0.631g)を無水アセトニトリル(10mL)に溶解し、20モル%のピペリジン/アセトニトリル溶液を加えた。フラスコに冷却器を取り付け、反応液を窒素下30℃で終夜撹拌した。溶媒を除去して淡いクリーム色の油状半固体を得、シリカゲルクロマトグラフィー(5%メタノール/ジクロロメタン)により脱保護生成物0.389g(収率58%)をクリーム色のオイルとして得た。
MS ES 358.1 [M+H]+
1H-NMR 300MHz(CHCl3)δ:7.79(1H, d, J=8.1Hz, NH), 5.66(1H, m, H2), 5.16(1H, d, J=5.7Hz, H1), 5.11(1H, d, J=0.9Hz, H1'), 4.91(1H, NH), 4.30(1H, m, H4), 3.74(3H, s, OCH3), 3.33(1H, br s, H8), 3.12(2H, d, J=6.0Hz, H12,H12'), 2.56(2H, m, H3,H3'), 1.87-1.26(8H, m, H9,H9',H10,H10',H11,H11',NH2), 1.43(9H, s, 3CH3).
【0040】
3,3'-置換ビナフチル核に基づく化合物
実施例4
(±)-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチルの調製
【化9】

(±)-1,1'-ビ-2,2'-ジナフトール(10.13g, 35mmol)をアセトン(300mL, 0.12M)に溶解した。炭酸カリウム(16.69g, 1212mmol)とヨウ化メチル(22mL, 353mmol)を加え、窒素下で48時間加熱還流した。反応混合物を冷却し乾固させ残渣にアセトン(60mL)と水(360mL)を加えて7.5時間撹拌した。固体を集めて減圧下100℃で終夜乾燥し、(±)-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチルを無色の固体として得た(10.76g, 収率97%)、〔224-225℃(文献10参照)〕。
1H-NMRδ:3.75(s, 6H, OCH3), 7.10(br d, J=8Hz, 2H), 7.20(dt, J=1.5, 8Hz, 2H), 7.30(ddd, J=1.5, 7, 8Hz, 2H), 7.45(d, J=9Hz, 2H), 7.86(d, J=7.5Hz, 2H), 7.96(d, J=9Hz, 2H, ArH).
【0041】
実施例5
(±)-3,3'-ジヨード-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチルの調製
【化10】

TMEDA(1.0mL, 6.6mmol)をジエチルエーテル(50mL)に溶解し、n-ブチルリチウム溶液(1.6Mヘキサン溶液4.4mL, 7.0mmol)を加えた。得られた溶液を室温で15分間撹拌した。(±)-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル(1.038g, 3.3mmol)を固体のまま反応溶液に加え室温で3時間撹拌した。反応混合物を-80℃に冷却しヨウ素(2.8g, 11.0mmol)を数分間かけて追加チューブより加えた。反応混合物を徐々に室温にまで加温し終夜撹拌した。亜硫酸ナトリウムの飽和水溶液を注意深く加え、混合物を4時間室温で撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(200mL)と水(200mL)に分液した。有機層を乾燥(MgSO4/Na2SO4)し、濾過して濾液を乾固させた。得られた深黄色オイルをフラッシュカラムクロマトグラフィー(5%酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、(±)-3,3'-ジヨード-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチルを淡黄色結晶固体として得た(0.954g, 収率51%)。
1H-NMRδ:3.41(s, 6H, 2xOCH3), 7.07(d, J=8Hz, 2H), 7.26(ddd, J=1.5, 7, 8Hz, 2H), 7.40(ddd, J=1, 7, 8Hz, 2H), 7.79(d, J=8Hz, 2H, ArH), 8.53(s, 2H, ArH4,4').
13C-NMR δ:61.1, OCH3; 92.3, 125.3, 4oArH; 125.6, 125.75, 126.9, 127.05, 132.2, 4oArH; 133.8, 4oArH; 139.9, 154.5, 4oArH.
m/z (CI, +ve) 567(100%). C22H16I2O2+H 567
この反応の副生成物は、(±)-3-ヨード-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチルであって、クロマトグラフィーにより(±)-3,3'-ジヨード-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチルと分離された。
【0042】
実施例6
(±)-3-ヨード-2,2'-ジメトキシ-3'-メチル-1,1'-ビナフチルの調製
【化11】

(±)-3,3'-ジヨード-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル(2.016g 3.6mmol)を無水THF(蒸留済み、80mL, 0.044M)に溶解し-80℃に冷却して、n-ブチルリチウム(2.8mL, 3.9mmol)を滴下した。反応溶液は黄色に変化し、1時間撹拌した後、無水のヨウ化メチル(蒸留済み, 0.35mL, 5.6mmol)を加えた。反応混合物を徐々に室温にまで加温した。更に3時間撹拌後、塩化アンモニウムの飽和水溶液(4滴)を加えた。反応溶液を乾固し、残渣をジエチルエーテルに溶解して水洗した。有機層を乾燥し(MgSO4)、濾過して濾液を乾固し淡黄色の固体を得た。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(4%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して(±)-3-ヨード-2,2'-ジメトキシ-3'-メチル-1,1'-ビナフチルを得た。
1H-NMR δ:2.55(s, 3H, CH3), 3.36(s, 6H, OCH3), 7.06(d, J=8Hz, 1H), 7.12(d, J=8Hz, 1H), 7.16-7.42(m, 2H, ArH), 7.80(t, J=8Hz, ArH), 7.81(s, 3H, ArH4''), 8.52(s, ArH4).
(±)-3,3'-ジヨード-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル(10%)および2,2'-ジメトキシ-3,3'-ジメチル-1,1'-ビナフチル(8%)もまた生成物として得られた。更に、クロマトグラフィーにより分離された他の生成物は(±)-2,2'-ジメトキシ-3-ヨード-1,1'-ビナフチルおよび(±)-2,2'-ジメトキシ-3-メチル-1,1'-ビナフチルであった。
【0043】
実施例7
(±)-3-ブロモメチル-3'-ヨード-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチルの調製
【化12】

(±)-3-ヨード-2,2'-ジメトキシ-3'-メチル-1,1'-ビナフチル(1.737g, 3.8mmol)を四塩化炭素(100mL)に溶解し、N−ブロモスクシンイミド(1.316, 7.4mmol)を加えた。混合物を加熱還流し、パイレックスフラスコの外部から500Wの水銀ランプを1時間照射した。冷却した混合物を濾過してスクシンイミドを除去し、濾液を乾固して赤色の固体を得た。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(4%酢酸エチル/ヘキサン)で精製して無色の結晶(1.130g)を得たが、これは(±)-3-ブロモメチル-3'-ヨード-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル(0.942g, 46%)を含む混合物であった。
1H-NMRδ:3.36(s, 3H, OCH3), 3.40(s, 3H, OCH3), 4.72(d, J=9.9Hz, 1H, CH2A), 4.91(d, J=9.9Hz, 1H, CH2B), 7.08(d, J=8Hz, 1H), 7.18(d, J=8Hz, 1H), 7.23-7.44(m, 4H), 7.80(d, J=8Hz, 1H), 7.88(d, J=8Hz, 1H, ArH), 8.07(s, 1H, ArH4), 8.54(s, 1H, ArH4').
他の成分は、(±)-3-ブロモ-3'-ブロモメチル-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル(0.188g, 10%)であった。
【0044】
実施例8
エチル(±)-3-[3-(2,2'-ジメトキシ-3'-ヨード-1,1'-ビナフチル)]-2-[(ジフェニルメチレン)アミノ]プロパノエートの調製
【化13】

HMPA(0.7mL, 4.02mmol)とジイソプロピルアミン(0.24ml, 1.71mmol)を無水THF(蒸留済、40mL)に溶解し-10℃に冷却して、n-ブチルリチウム(1.32Mヘキサン溶液、1.4mL, 1.85mmol)を加えた。淡黄色溶液を10分間撹拌してから-78℃に冷却した。この溶液に対して、N-ジフェニルメチレングリシンエチルエステル(0.450g, 1.68mmol)を無水THF(蒸留済, 20mL)に溶解したものをカニューレを介して加えた。その際、フラスコ側壁を伝わらせて滴下することにより、滴下液をあらかじめ冷却した。得られた混合物を30分間撹拌し、3-ブロモメチル-2,2'-ジメトキシ-3'-ヨード-(±)-1,1'-ビナフチル(0.895g, 1.68mmol)を無水THF(蒸留済, 40mL)に溶解し、カニューレを介して加えた。反応混合物を徐々に加温して室温にまで戻し、終夜撹拌した。黄色の溶液に塩化アンモニウム水溶液(1mL)を加えてクエンチした。反応混合物を乾固させて、(±)-3-[3-(2,2'-ジメトキシ-3'-ヨード-1,1'-ビナフチル)]-2-[(ジフェニルメチレン)アミノ]プロパン酸エチルを含む黄色のオイルを得た。HMPAが残存していたので、更に精製することなく次の工程に供した。
1H-NMRδ:1.21(t, J=5Hz, 3H, CH3), 3.00(s, 3H, OCH3), 3.20(s, 3H, OCH3), 3.40,(dd, J=7, 10Hz, 1H,CH2A), 3.71(dd, J=3, 10Hz, 1H, CH2B), 4.11-4.22(m, 2H, OCH2), 4.50(q, J=3Hz, 1H, α-CH), 6.82(d, J=5Hz, 1H, NH), 7.78-6.98(m, 19H, ArH), 8.49(s,1H, ArH).
【0045】
実施例9
エチル(±)-2-アミノ-3-[3-(2,2'-ジメトキシ-3'-ヨード-1,1'-ビナフチル)]プロパノエート・塩酸塩の調製
【化14】

実施例8のアルキル化粗生成物(1.208g, 1.68mmol)をジエチルエーテル(30mL)に溶解し、3%の塩酸(15mL, 4.6mmol)を加えた。反応混合物を室温で終夜撹拌すると黄色の有機層の下の水層の下に黄色のオイルが遊離した。混合物を乾固し、得られた粘性の高い黄色残渣にエタノールを加えて再度乾固した。この操作を二度繰り返した。最終の残渣を減圧下で乾燥し凍結乾燥した。粗生成物を更に精製することなく次の工程に供した。
13C-NMR δ:13.8, 13.9, ArCH3; 33.0, 33.6, ArCH2; 53.2, 53.7, OCH2; 61.0, 61.1, 61.2, 62.3, OCH3; 92.3, α-CH; 117.4, 124.1, 124.2, 125.1, 125.3, 125.5, 125.6, 125.8, 126.0, 126.2, 126.5, 126.7, 126.75, 126.9, 127.05, 127.65, 127.85, 128.2, 130.0, 130.4, 131.3, 132.0, 132.1, 132.4, 132.8, 132.9, 133.3, 134.8, 133.9, 134.1, 139.7 (x2), 152.5, 154.4, 154.7, 154.9, ArC; 168.6, 169.0, C=O.
【0046】
実施例10
エチル(±)-2-アセチルアミノ-3-[3-(2,2'-ジメトキシ-3'-ヨード-1,1'-ビナフチル)]プロパノエートの調製
【化15】

酸加水分解により得られた、実施例9のビナフチル塩を含む残渣(0.993g, 1.68mmol)を、無水の塩化メチレン(蒸留済, 100mL)に溶解した。溶液に無水MgSO4を加えて少し撹拌し氷冷した。トリエチルアミン(0.70mL, 5.02mmol)を加え、5分間撹拌の後、続いて無水酢酸(0.4mL, 4.24mmol)とDMAPを加えた。反応混合物を室温にまで加温して終夜撹拌した。3%の塩酸(50mL)と塩化メチレンを加えた。水層を分離し、塩化メチレンで抽出し、有機層をあわせて3%塩酸(x1)、飽和塩化リチウム水溶液と水との1:1混合液(x2)、ついで水(x1)でそれぞれ洗浄した。溶液を乾燥し(MgSO4)濾過して乾固させ黄色のオイルを得た。粗生成物をスカットカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサンから酢酸エチル)にて精製し、(±)-2-アセチルアミノ-3-[3-(2,2'-ジメトキシ-3'-ヨード-1,1'-ビナフチル)]プロパン酸エチルを淡黄色固体として得た〔0.75g, (±)-3-ブロモメチル-3'-ヨード-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチルからの収率75%〕(一工程あたりの収率平均91%)。
1H-NMR δ:1.25(t, J=7Hz, 3H, CH3), 1.98(s, 3H, COCH3), 3.26(s, OCH3), 3.28(s, 3H, OCH3), 3.30-3.42(m, ArCH2), 4.23(m, OCH2), 4.73(q, J=7Hz, 1H, α-CH), 6.79(d, J=7Hz, 1H, NH), 7.05-7.82(ArH), 7.86(s, 1H, ArH4), 8.535(s, 1H, ArH4').
【0047】
実施例11
エチル(±)-2-アセチルアミノ-3-[3-(3'-アリル-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル)]プロパノエートの調製
【化16】

実施例10で得られたビナフチル誘導体(0.740g, 1.24mmol)を無水1,4-ジオキサン(蒸留済、40mL)に溶解し、塩化パラジウム(0.025mmol)とトリフェニルホスフィン(0.136g, 0.52mmol)を加えた。アルゴンで10分間脱酸素化し、アリルトリブチルスズを加えた。反応混合物を5時間加熱還流した。反応液を冷却し、セライトで濾過してから乾固した。残渣をスカットカラムクロマトグラフィーに付してスズ成分を除去した後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)により、エチル(±)-2-アセチルアミノ-3-[3-(3'-アリル-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル)]プロパノエートを含む混合物を無色オイルとして得た(0.54g, 85%)。
1H-NMR δ:0.92(t, J=7Hz), 1.26(t, J=7Hz, 3H, CH3), 1.98(s), 2.04(s, 3H, COCH3), 3.17(s, 3H, OCH3), 3.235(s, 3H, OCH3), 3.25-3.33(m, 2H, CH2), 3.58-3.72(br m, 2H, CH2), 4.12(q, J=7Hz, OCH2), 4.21(q, J=7Hz, 2H, OCH2), 4.71(q, J=7Hz, α-CH), 4.84(q, J=5Hz, 1H, α-CH), 5.125-5.19(m, 2H, =CH2), 6.08-6.22(m, 1H, CH=), 6.78(d, J=7Hz), 6.91(d, J=7Hz, 1H, NH), 7.14-7.26(m, 4H, ArH), 7.35-7.46(m, 2H, ArH), 7.81-7.85(m, 4H, ArH).
m/z (CI, +ve) 512 (100%). C32H33NO5+H+ 512.
他の生成物は、エチル(±)-2-アセチルアミノ-3-[3-(3'-ブロモ-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル)]プロパノエートであった。
【0048】
実施例12
(±)-2-アセチルアミノ-3-[3-(3'-アリル-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル)]プロパン酸の調製
【化17】

実施例11で得られたビナフチル誘導体(0.522g, 1.02mmol)をTHF(22mL)に溶解し氷冷した。水酸化リチウム一水和物(0.196g, 4.67mmol)を水(9mL)に溶解し、この溶液に加えた。混合物を徐々に加温して室温にまで戻し、5時間撹拌した。ジエチルエーテルを加えて、水層をエーテルで洗浄しエーテル層あわせて水で抽出した(x2)。水層をあわせて酸性化(3%塩酸)し、ジエチルエーテルで抽出して乾燥した(MgSO4)。濾液を乾固して(±)-2-アセチルアミノ-3-[3-(3'-アリル-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル)]プロパン酸(0.462g 94%)を白色固体として得た
1H-NMR δ: 2.07(s, 3H, COCH3), 3.07(s, 3H, OCH3), 3.20(s, 3H, OCH3), 3.28-3.77(m, 2xCH2), 4.55(2xt, J=5Hz, 1H, α-CH), 5.11-5.19(m, 2H, =CH2), 6.07-6.20(m, 1H, CH=), 7.16-7.56(m, 6H, ArH), 7.74(br s, 1H, NH), 7.84(d, J=8Hz, ArH), 7.88(s, 4H, ArH4,4').
【0049】
実施例13
メチル(aR/S,2S,5R)-8-アセタミド-2-アリル-9-[3-(3'-アリル-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル)]-3,6-ジアザ-5-(4-t-ブトキシカルボニルアミノブチル)-4,7-ジオキソノナノエートの調製
【化18】

実施例12で得られたビナフチル誘導体(0.258g, 0.53mmol)を無水塩化メチレン(3mL)に溶解し、実施例3のジペプチド(脱保護した直後)(0.22g, 0.61mmol)を塩化メチレン(3mL)に溶解して加えた。得られた溶液に4-ジメチルアミノピリジン(結晶)を加えて溶液を氷冷した。この冷却溶液に1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.111g, 0.54mmol)を加えた。反応混合物を室温にまで戻し終夜撹拌した。反応混合物に塩化メチレン(10mL)を加えてセライトで濾過した。濾液を乾固してアミドを淡黄色結晶として得た(0.404g, 92%)。
m/z (ES, +ve) 823(M+H+, 生成物,32%), 723(823-Boc, 8), 565(11), 428(19), 358(21), 302(26), 225(DCU+H+, 100). C47H58N4O9+H+ 823
実施例13A
ベンジル(aR/S,2S,5R)-8-アセタミド-2-アリル-9-[3-(3'-アリル-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル)]-3,6-ジアザ-5-(4-t-ブトキシカルボニルアミノブチル)-4,7-ジオキソノナノエートの調製
実施例13の化合物の対応するアリルグリシンベンジルエステルは、ベンジル前駆体を用いる以外は上記と同様にして調製した。リシン側鎖のアミノ基は実施例15で標的化合物を得る方法に従って脱保護した。
【0050】
実施例13B
ベンジル(aR/S,2S,5R)-8-アセタミド-2-アリル-9-[3-(3'-アリル-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル)]-5-(4-アミノブチル)-3,6-ジアザ-4,7-ジオキソノナノエート・塩酸塩の調製
【化19】

実施例13で得られた生成物(0.0226g, 0.025mmol)から、実施例15の方法に従って調製した。生成物は淡黄色の固体として得られた(0.014g, 67%)。
m/z (ES, +ve) 839(M+CH3CN, 1%), 837(M+K+, 1), 799(M+H+,19), 626(2), 449(4), 338(6), 225(DCU+H+, 100).
実施例14
(aR/S,2S,5R)-4-アセタミド-6,9-ジアザ-t-ブトキシカルボニルアミノブチル-10-メトキシカルボニル-1(1,3),2(1,3)-ジ(2-メトキシナフタレナ)-5,8-ジオキソシクロテトラデカファン-12-エンの調製
【化20】

実施例13のビナフチル誘導体(0.205g, 0.25mmol)を塩化メチレン(50mL)に溶解した。溶液をアルゴンで10分間脱酸素化し、ベンジリデン-ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム(0.022g, 0.027mmol)を加えた。反応混合物を18時間加熱還流した。冷却した反応溶液を乾固し得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して三つの分画を得たが、これらはそれぞれ環状のジアステレオマー異性体であった;
1)淡黄色のガラス状固体(0.038g). m/z (ES, +ve) 817(M+Na+, 4%), 795(M+H+, 16), 593(48), 297(O=P(C6H11)3+H+, 100)
2)うす褐色の固体(0.041g). m/z (ES, +ve) 795(M+H+, 54%), 593(35), 297(O=P(C6H11)3+H+, 100), 145(44), 104(33), 86(64).
3)わずかに淡黄色のガラス状固体(0.073g)(全量0.152g, 74%). m/z (ES, +ve) 795(M+H+, 15%), 297(O=P(C6H11)3+H+, 29), 147(32), 145(66), 106(16), 104(52), 86(100). C45H54N4O9+H+ 795
【0051】
実施例15
(aR/S,2S,5R)-4-アセタミド-7-(4-アミノブチル)-6,9-ジアザ-10-メトキシカルボニル-1(1,3),2(1,3)-ジ(2-メトキシナフタレナ)-5,8-ジオキソシクロテトラデカファン-12-エン・塩酸塩の調製
【化21】

実施例14で得られた、被保護ジアステレオ環状ペプトイド(0.073g, 0.09mmol)を塩化メチレン(2mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2mL)を加えた。混合物を室温で25分間撹拌した。混合物を乾固し、残渣を塩化メチレン中に採り再び乾固した。この操作を二回以上繰り返した。残渣を塩化メチレン(3mL)に採り、1.0MのHCl-ジエチルエーテル溶液(1mL)を加えた。室温で10分間撹拌してから混合物を乾固した。残渣を塩化メチレン中に採り再び乾固した。この操作を二回以上繰り返した。
ジエチルエーテルと塩化メチレンを用いて残渣から脱保護生成物を結晶化させた。凍結乾燥により脱保護した環状生成物を淡黄色の結晶性固体として得た(0.055g, 82%)。
m/z (ES, +ve) 696.5(41%), 695.8(53), 695.4(M+H+, 73)(会合); 111(48), 60(100); C40H46N4O7+H+ Calcd m/z 695.3445. Found 695.3400
他のジアステレオマーも同様にして得た。
(0.021g, 60%) m/z (ES, +ve) 697(32%), 696(100), 695(M+H+, 96)(会合); C40H46N4O7+H+ Calcd m/z 695.3445. Found 695.3435.
(0.023g, 60%) m/z (ES, +ve) 696(9%), 695(M+H+, 20); 111(12), 60(100); C40H46N4O7+H+ Calcd m/z 695.3445. Found 695.3427.
【0052】
実施例15A
(aR/S,7R,10S)-4-アセタミド-7-(4-アミノブチル)-6,9-ジアザ-10-メトキシカルボニル-1(1,3),2(1,3)-ジ(2-メトキシナフタレナ)-5,8-ジオキソシクロテトラデカファン・塩酸塩の調製
【化22】

実施例15で得られた脱保護環状ペプトイドの異性体のひとつを塩化メチレン(0.2mL)、メタノール(0.5mL)および水(0.2mL)の混合物に溶解した。この溶液に10%Pd/C(0.001g, 0.0009mmol)を加え反応容器を密封した。反応混合物を撹拌し、容器内の大気を除去して水素と置換した。この操作を二回繰り返した。反応溶液を室温で数日間撹拌した後、セライトプラグを通し反応溶液中のすべての固体を除去した。濾液を乾固して還元された脱保護環状ペプトイドを白色固体として得た(0.001g, 33%)。
m/z (ES, +ve) 697(M+H+, 100%); 316(51), 288(74).
【0053】
実施例15B
(aR/S,7R,10S)-4-アセタミド-6,9-ジアザ-10-ベンジルオキシカルボニル-7-(4-t-ブトキシカルボニルアミノブチル)-1(1,3),2(1,3)-ジ(2-メトキシナフタレナ)-5,8-ジオキソシクロテトラデカファン-12-エンの調製
【化23】

適切なベンジル前駆体を用いること以外は上記の方法と同様にして、実施例15の化合物に対応するベンジルエステルを調製した。保護環状ペプチドの段階で二つの異性体を単離し、これらは別々に脱保護して目的の生成物を得た。それぞれの分析結果は次の通りであった。
m/z (ES, +ve) 771(M+H+, 100)
m/z (ES, +ve) 771(M+H+, 72%), 699(7), 59(100).
【0054】
実施例16
(±)-2-アセチルアミノ-3-[3-3'-アリル-(2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチルプロパン酸とNε-Fmoc-L-リシン-L-アリルグリシンメチルエステルとの縮合
【化24】

実施例12で得られたビナフチル誘導体(0.447g, 0.92mmol)を塩化メチレン(1mL)に溶解し、Nε-Fmoc-L-リシン-L-アリルグリシンメチルエステル(脱保護直後のもの)(0.450g, 0.94mmol)を塩化メチレン(2mL)に溶解して加えた。得られた溶液に4-ジメチルアミノピリジン(結晶)を加え溶液を氷冷し、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.195g, 0.94mmol)を加えた。反応混合物を徐々に加温して室温にまで戻し、終夜撹拌した。反応混合物に塩化メチレンを加えセライトで濾過をした。濾液を乾固して残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し縮合生成物を灰白色の結晶性固体として得た(0.474g, 54%)。
m/z (ES, +ve) 945(M+H+, 36%), 225(DCU+H+, 100); C57H60N4O9+H+ Calcd. 945
【0055】
実施例17
保護環状ペプトイドの調製
【化25】

実施例16で得られたビナフチル誘導体(0.470g, 0.50mmol)を塩化メチレン(120mL)に溶解した。アルゴンで10分間脱酸素化を行い、ベンジリデン-ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム(0.022g, 0.027mmol)を加えた。反応混合物を18時間加熱還流した。反応液を冷却して乾固し、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(4%メタノール/塩化メチレン)にて精製し、環状ペプトイド生成物を灰白色の結晶性固体として得た(0.329g, 72%)。
m/z (ES, +ve) 918(4%), 917(M+H+, 5), 593(9), 522(3), 297(100); C55H56N4O9+H+, Calcd. 917
【0056】
実施例18
脱保護環状ペプトイドの調製
【化26】

実施例17で得られた保護環状ペプトイド(0.123g, 0.13mmol)に無水アセトニトリル(9mL)を加えた。混合物を密閉系で60℃に加熱し、ピペリジンの0.02Mアセトニトリル溶液(0.54mL)を加えた。反応混合物を60℃で43時間加熱した。反応液を冷却後濾過し濾液を乾固して白色固体を得た。その固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10%メタノール/塩化メチレン、続いて2%トリエチルアミンを含む10%メタノール/塩化メチレン)で精製した。単離した生成物を塩化メチレン(5mL)に溶解し、1.0M HClのジエチルエーテル溶液(0.5mL)を加えた。溶液を10分間撹拌してから乾固し減圧下で乾燥して脱保護環状ペプトイド生成物を淡黄色の結晶性固体として得た(0.048g, 51%)。
m/z (ES, +ve) 729(30%), 695(M+H+, 100), 498(25); C40H46N4O7+H+ Calcd. m/z695.3445. Found 695.3419
【0057】
実施例19
(±)-2-アセチルアミノ-3-[3-3'-アリル-(2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチルプロパン酸とNω-PMC-L-アルギニン-L-アリルグリシンメチルエステルとの縮合
【化27】

実施例12で得られたビナフチル誘導体(0.127g, 0.26mmol)とNω-PMC-L-アルギニン-L-アリルグリシンメチルエステル(脱保護直後のもの)(0.150g, 0.27mmol)とを無水塩化メチレン(1.5mL)に溶解した。得られた溶液に4-ジメチルアミノピリジン(結晶)を加え、溶液を氷水浴で冷却し、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.053g, 0.25mmol)を加えた。反応混合物を徐々に加温して室温にまで戻し、終夜撹拌した。反応混合物に塩化メチレンを加えセライトで濾過をした。濾液を乾固して残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(4%メタノール/塩化メチレン)で精製し保護アルギニン誘導体を無色の固体として得た(0.176g, 68%)。
m/z (ES, +ve) 1056(M+K+, 4%), 1040(M+Na+, 16), 1018(M+H+, 64), 1017(M+, 100), 920(13), 624(14), 225(24); C56H68N6O10S Calcd. 1017.
【0058】
実施例19A
メチル(aR/S,2S,5R)-8-アセタミド-2-アリル-9-[3-(3'-アリル-2,2'-ジメトキシ-1,1'-ビナフチル)]-3,6-ジアザ-5-(3-グアニジノプロピル)-4,7-ジオキソノナノエート・塩酸塩の調製
【化28】

実施例19のD-アルギニン体を上記と同様の方法により調製した。これを実施例21の方法に従って脱保護し、淡黄色固体として単離した。
実施例20
保護環状ペプトイドの調製
【化29】

実施例19により得られたビナフチル誘導体(0.176g, 0.17mmol)を塩化メチレン(50mL)に溶解した。アルゴンで10分間脱酸素化を行い、ベンジリデン-ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム(0.015g, 0.017mmol)を加えた。反応混合物を20時間加熱還流した。反応液を冷却して乾固し、得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(4%メタノール/塩化メチレン)にて精製し、環状ペプトイド生成物を褐色がかったガラス状固体として得た(0.132g, 77%)。
m/z (ES, +ve) 1011(M+Na+), 989(M+H+); C54H64N6O10S+H+ Calcd. 989
【0059】
実施例21
(aR/S,7S,10S)-4-アセタミド-6,9-ジアザ-7-(3-グアニジノプロピル)-10-メトキシカルボニル-1(1,3),2(1,3)-ジ(2-メトキシナフタレナ)-5,8-ジオキソシクロテトラデカファン-12-エン・塩酸塩の調製
【化30】

実施例20で得られた環状ペプトイド(0.047g, 0.05mmol)を塩化メチレン(2mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2mL)を加えた。混合物を室温で25分間撹拌した。混合物を乾固し、残渣を塩化メチレン中に採り再び乾固した。この操作を二回以上繰り返した。残渣を塩化メチレン(3mL)に採り、1.0MのHCl-ジエチルエーテル溶液(1mL)を加えた。室温で10分間撹拌してから混合物を乾固した。残渣を塩化メチレン中に採り再び乾固した。この操作を二回以上繰り返した。ジエチルエーテルと塩化メチレンを用いて、脱保護生成物を残渣より結晶化させた。凍結乾燥により脱保護生成物を灰白色の固体として得た(0.021g, 58%)。
m/z (ES, +ve)724(100%); C40H46N6O7+H+ Calcd 723.3506. Found 723.3488.
【0060】
実施例21A
(aR/S,7R,10S)-4-アセタミド-6,9-ジアザ-7-(3-グアニジノプロピル)-10-メトキシカルボニル-1(1,3),2(1,3)-ジ(2-メトキシナフタレナ)-5,8-ジオキソシクロテトラデカファン-12-エン・塩酸塩の調製
【化31】

実施例21のD-アルギニン体を上記と同様にして調製し、D-アルギニンを含む脱保護環状ペプトイドの異性体をそれぞれ灰白色固体および淡黄色固体として単離した。
m/z (ES, +ve) 723(M+H+, 15), 316(28), 288(78), 217(100), 199(79), 111(41).
m/z (ES, +ve) 723(M+H+, 30), 316(51), 288(100), 217(34), 199(45)
【0061】
実施例21B
(aR/S,7R,10S)-4-アセタミド-6,9-ジアザ-7-(3-グアニジノプロピル)-10-メトキシカルボニル-1(1,3),2(1,3)-ジ(2-メトキシナフタレナ)-5,8-ジオキソシクロテトラデカファン・塩酸塩の調製
D-アルギニン残基を含む還元環状ペプトイドの調製
【化32】

実施例21Aの環状ペプトイドをメタノールに溶解した。この溶液に10%Pd/C(0.012g, 0.01mmol)を加え反応容器を密封した。反応混合物を撹拌し、容器内の大気を除去して水素と置換した。この操作を二回繰り返した。反応溶液を室温で数日間撹拌した後、セライトプラグを通し反応溶液中のすべての固体を除去した。濾液を乾固して還元された脱保護環状ペプトイドを薄茶色の固体として得た。
m/z (ES, +ve) 725(M+H+, 19%), 394(13), 316(71), 288(100), 180(37), 111(47).
【0062】
実施例22
環状テトラペプトイドの調製
【化33】

縮合反応に用いるアミノアシル部分がアラニン残基を追加的に含んでいるが、本化合物は実施例18の化合物と同様にして調製した。
m/z (ES, +ve) 766.5(100%), 767(79), 767.5(58); C43H51N5O8+H+ Calcd m/z 766.3816; Found 766.3740.
3,6-置換カルバゾール核に基づく化合物
実施例23から実施例35に記載された6-アセタミド-8,11-ジアザ-14-エン-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HClの調製はスキーム1に示す。
【0063】
【化34】

【0064】
カルバゾールに基づく環状ペプトイドの命名法
6-アセタミド-8,11-ジアザ-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン
【化35】

これら化合物はシクロファン構造の番号付けを用いてカルバゾロファンとして命名される。[12]の表記は、ヘテロ芳香環の足場に結合した原子鎖の長さを示し、(3,6)の表記は12原子よりなる該鎖が親構造である9H-カルバゾールに結合する位置を示す。
注;実施例23-24では、化合物がいくつかの異性体(ジアステレオ異性体、(E)又は(Z)異性体および/又は回転体)を有するが、少量のものはNMRスペクトルにおいて星印で示した。
【0065】
実施例23
6-ブロモ-3-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロカルバゾールの調製
4-メチルシクロヘキサノン(5.47mL, 44.6mmol)、シクロヘキサン(70mL)、氷酢酸(50mL)の混合物に4-ブロモフェニルヒドラジン・塩酸塩(10.0g, 44.6mmol)を加え、反応混合物を23時間窒素下で還流した。反応混合物を冷却し、濾過して濾液を乾固した。ジエチルエーテルを加え混合物を炭酸水素ナトリウム飽和液、次いで水で洗浄し、エーテル溶液を乾燥し乾固した。粗生成物をエタノールより氷浴上で再結晶させ濾取して冷PSで洗浄し減圧下に乾燥して6-ブロモ-3-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロカルバゾールを灰白色固体として得た(8.73g, 33.1mmol, 74%)。mp 108-110℃.
1H-NMR 400MHz, (D6)ベンゼンδ:7.78(d, J=2Hz, 1H, H-5). 7.41(dd, J=8,2Hz, 1H, H7), 6.77(d, J=8Hz, 1H, H-8), 6.23(b s, 1H, NH), 2.53(dd, J=15, 5Hz, 1H, H-4), 2.32-2.15(m, 2H, H-1,H-2), 2.01(dd, J=15, 9Hz, 1H, H-4), 1.73-1.61(m, 2H, H-2,H-3), 1.29(m, 1H, H-1), 0.99(d, J=7Hz, 3H, CH3).
【0066】
実施例24
6-ブロモ-9-t-ブトキシカルボニル-3-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロカルバゾールの調製
実施例23で得られた6-ブロモ-3-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロカルバゾール(7.0g, 26.5mmol)を無水THF(25mL)に溶解し、窒素下で水素化ナトリウム(1.17g, 29.2mmol)に加え、混合物を室温で0.5時間撹拌した。ジ-t-ブチルジカーボネート(8.67g, 39.8mmol)を無水THF(55mL)に溶解して該混合物に加え、反応溶液を20.5時間撹拌した。反応溶媒を乾固しエーテルを加え、エーテル混合物を水洗し、乾燥して乾固した。粗生成物をエタノールに溶解し、溶媒を最小量にまで乾固し氷浴上で生成物を再結晶した。再結晶した固体を濾取し冷メタノールで洗浄し減圧下で乾燥して6-ブロモ-9-t-ブトキシカルボニル-3-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロカルバゾールを灰白色固体として得た(8.33g, 22.9mmol, 86%)。mp.122℃
1H-NMR, (D6)ベンゼンδ:8.27(d, J=8.7Hz, 1H, H-8), 7.61(d, J=2.1Hz, 1H, H-5), 7.44(dd, J=8.7, 2.1Hz, 1H, H-7), 3.06-2.94(m, 1H, H-1), 2.85-2.70(m, 1H, H-2), 2.36(dd, J=16, 5Hz, 1H, H-4), 1.90-1.78(m, 1H, H-4), 1.65(m, 2H, H-2,H-3), 1.38(s, 9H, C(CH3)3), 1.30-1.16(m, 1H, H-1), 0.96(d, J=6.6Hz, 3H, CHCH3).
【0067】
実施例25
3-ブロモ-9-t-ブトキシカルボニル-6-メチル-カルバゾールの調製
実施例24で得られた6-ブロモ-9-t-ブトキシカルボニル-3-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロカルバゾール(2.0g, 5.49mmol)、2,3-ジクロロ-4,5-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(2.62g, 11.5mmol)および活性化した3Åモレキュラーシーブスの混合物に無水ベンゼン(17mL)を窒素下で加え混合物を20時間還流した。冷却した反応混合物を濾過し、濾液を乾固した。粗生成物をクロマトグラフィー(グラディエント溶出;PSからPS:DCM=3:1まで)に付し3-ブロモ-9-t-ブトキシカルボニル-6-メチル-カルバゾールを無色の固体として得た(1.64g, 4.56mmol, 83%)。次の副生成物も得られた;6-ブロモ-9-t-ブトキシカルボニル-4-エトキシ-3-メチル-カルバゾール(12mg, 0.030mmol, 0.5%)を無色のオイルとして、6-ブロモ-9-t-ブトキシカルボニル-1,2-ジヒドロ-3-メチル-カルバゾール-4-(3H)-オン(52mg, 0.14mmol, 2.5%)を淡黄色固体としてそれぞれ得た。
3-ブロモ-9-t-ブトキシカルボニル-6-メチル-カルバゾール:
mp.96℃. Rf:0.66 PS:DCM=2:1
1H-NMR δ:8.14(d, J=9Hz, 1H, H-1), 8.10(d, J=8.7Hz, 1H, H-8), 7.99(d, J=2.1Hz, 1H, H-4), 7.65(bs, W1/24Hz, 1H, H-5), 7.50(dd, J=8.9, 2Hz, 1H, H-2), 7.27(dd, J=8.4, 1.8Hz, 1H, H-7), 2.48(s, 3H, ArCH3), 1.74(s, 9H, C(CH3)3).
6-ブロモ-9-t-ブトキシカルボニル-4-エトキシ-3-メチル-カルバゾール:
Rf:0.58 PS:DCM=2:1
1H-NMR δ:8.32(d, J=2.1Hz, 1H, H-4), 8.16(d, J=9Hz, 1H, H-1), 7.91(d, J=8.4Hz, 1H, H-8), 7.51(dd, J=8.9, 2Hz, 1H, H-2), 7.27(d, J=8.7Hz, 1H, H-7), 4.06(q, J=7.2Hz, 2H, OCH2CH3), 2.40(s, 3H, ArCH3), 1.72(s, 9H, C(CH3)3), 1.55(t, J=7.2Hz, 3H, OCH2CH3).
6-ブロモ-9-t-ブトキシカルボニル-1,2-ジヒドロ-3-メチル-カルバゾール-4-(3H)-オン:
mp.137℃.
【0068】
実施例26
3-ブロモ-6-ブロモメチル-9-t-ブトキシカルボニルカルバゾールの調製
実施例25で得られた3-ブロモ-9-t-ブトキシカルボニル-6-メチル-カルバゾール(653mg, 1.81mmol)と再結晶したN-ブロモスクシンイミド(355mg, 2.00mmol)を四塩化炭素に懸濁し、窒素下で150Wのハロゲンランプを照射しながら2.5時間還流した。反応混合物を氷浴中で冷却し濾過して濾液を乾固した。粗生成物をクロマトグラフィーに付し(PSからPS:DCM=1:1へグラディエント溶出)3-ブロモ-6-ブロモメチル-9-t-ブトキシカルボニルカルバゾール(551mg, 1.26mmol, 69%)を無色の固体として得た。mp 150℃(dec)
1H-NMR, 400MHz, δ:8.22(d, J=8.4Hz, 1H, H-8), 8.16(d, J=8.8Hz, 1H, H-1), 8.07(d, J=2Hz, 1H, H-4), 7.93(d, J=1.6Hz, 1H, H-5), 7.54(dd, J=8.8, 2Hz, 1H, H-2), 7.50(dd, J=8.8, 2Hz, 1H, H-7), 4.66(s, 2H, CH2), 1.73(s, 9H, CH3).
【0069】
実施例27
2-アセタミド-2-[3'-(6'-ブロモ-9'-t-ブトキシカルボニル)カルバゾリルメチル]-プロパンジオン酸ジエチル
アセタミドマロン酸ジエチル(225mg, 1.04mmol)を無水DMSO(6mL)に溶解し窒素下で水素化ナトリウム(44mg, 1.09mmol)に加え、混合物を室温で1.5時間撹拌した。その後、実施例26で得られた3-ブロモ-6-ブロモメチル-9-t-ブトキシカルボニルカルバゾール(500mg, 1.14mmol)を加えて反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。反応溶液をジエチルエーテルで希釈し、エーテル混合物を飽和食塩水、次いで水で数回洗浄した。水層をジエチルエーテルで抽出し、エーテル抽出物を水洗した。エーテル溶液を合一して乾燥し乾固して、2-アセタミド-2-[3'-(6'-ブロモ-9'-t-ブトキシカルボニル)カルバゾリルメチル]-プロパンジオン酸ジエチルを黄色固体として得た(448mg, 0.78mmol, 75%)。mp158℃
1H-NMR 400MHz, δ:8.14(d, J=8Hz, 2H, H-1',H-8' 直接重複), 7.95(d, J=1.6Hz, 1H, H-5'), 7.54(d, J=2Hz, 1H, H-4'), 7.53(dd, J=8.8, 2Hz, 1H, H-7'), 7.10(dd, J=8.6, 2Hz, 1H,H-2'), 6.53(s, 1H, NH), 4.28(q, J=7.2Hz, 4H,OCH2CH3), 3.79(s, 2H, ArCH2), 2.05(s, 3H, COCH3), 1.72(s, 9H, C(CH3)3), 1.31(t, J=7.2Hz, 6H, OCH2CH3).
【0070】
実施例28
エチル2-アセタミド-3-[3'-(6'-ブロモカルバゾール)]プロパノエートの調製
実施例27で得られた2-アセタミド-2-[3'-(6'-ブロモ-9'-t-ブトキシカルボニル)カルバゾリルメチル]-プロパンジオン酸ジエチル(310mg, 0.54mmol)、塩化リチウム(23mg, 0.54mmol)、蒸留水(0.02mL, 1.08mmol)およびDMSO(5mL)を懸濁し、窒素雰囲気下で2時間還流した。冷却した反応混合物をエーテルで希釈し、エーテル混合物を飽和食塩水次いで水で洗浄した。エーテル層を乾燥し乾固してエチル2-アセタミド-3-[3'-(6'-ブロモカルバゾール)]プロパノエートを黄色固体として得た(181mg, 0.45mmol, 83%)。
mp 175℃
1H-NMR,δ:8.49(s, 1H, NH), 8.05(d, J=1.8Hz, 1H, H-5'), 7.69(s, W1/2 4Hz, 1H, H-4'), 7.43(dd, J=8.6,1.8Hz, 1H, H-7'), 7.25(d, J=9Hz, 1H, H-1'), 7.23(d, J=8.4Hz, 1H, H-8'), 7.12(dd, J=8.3, 1.5Hz, 1H, H-2'), 6.05(d, J=7.5Hz, 1H, NH), 4.90(dt, J=7.8, 6Hz, 1H, CHN), 4.16(q, J=7.2Hz, 2H, OCH2CH3), 3.27(dd, J=14.1, 6.3Hz, 1H, ArCH2), 3.20(dd, J=14, 5.9Hz, 1H, ArCH2), 1.96(s, 3H, COCH3), 1.22(t, J=7.2Hz, 3H, OCH2CH3).
【0071】
実施例29
別法によるエチル2-アセタミド-3-[3'-(6'-ブロモカルバゾール)]プロパノエートのワンポット調製
アセタミドマロン酸ジエチル(368mg, 1.70mmol)を無水DMSO(10mL)に溶解し窒素下で水素化ナトリウム(71mg, 1.78mmol)に加え、混合物を室温で1.5時間撹拌した。その後、実施例26で得られた3-ブロモ-6-ブロモメチル-9-t-ブトキシカルボニルカルバゾール(820mg, 1.87mmol)を加えて反応混合物を室温で0.5時間撹拌した。塩化リチウム、蒸留水を加えて反応溶液を1.75時間還流した。反応混合物をエーテルで希釈し、エーテル混合物を飽和食塩水、次いで水で洗浄した。水層を合一してからジエチルエーテルで抽出し、エーテル抽出物を水洗した。エーテル溶液を合一して乾燥し乾固して得られた粗生成物をクロマトグラフィーに付し、エチル2-アセタミド-(6'-ブロモ-9'-エチル)-3-カルバゾールプロパノエート (56mg, 0.13mmol, 8%)を暗黄色オイルとして、およびエチル2-アセタミド-3-[3'-(6'-ブロモカルバゾール)]プロパノエート (481mg, 1.19mmol, 70%)を淡黄色結晶としてそれぞれ得た。
エチル2-アセタミド-3-[3'-(6'-ブロモ-9'-エチルカルバゾール)]プロパノエート:
1H-NMR, δ:8.11(d, J=1.8Hz, 1H, H-5'), 7.73(s, W1/2 4.7Hz, 1H, H-4'), 7.51(dd, J=8.5, 2Hz, 1H, H-7'), 7.30(d, J=8.4Hz, 1H, H-1'), 7.24(d, J=8.4Hz, 1H, H-8'), 7.20(dd, J=8.4, 1.8Hz, 1H, H-2'), 5.98(d, J=7.5Hz, 1H, NH), 4.91(dt, J=7.8, 6Hz, 1H, CHN), 4.29(q, J=7.2Hz, 2H, NCH2CH3), 4.18(q, J=7.2Hz, 2H, OCH2CH3), 3.27(d, J=5.7Hz, 2H, ArCH2), 1.98(s, 3H, COCH3), 1.38(t, J=7.2Hz, 3H, NCH2CH3), 1.24(t, J=7.2Hz, 3H, OCH2CH3).
【0072】
実施例30
エチル2-アセタミド-3-[3'-(6'-アリルカルバゾール)]プロパノエートの調製
ガラス製耐圧管に実施例28又は29で得られたエチル2-アセタミド-3-[3'-(6'-ブロモカルバゾール)]プロパノエート (1.0g, 2.48mmol)と塩化パラジウム(22mg, 0.124mmol)、トリフェニルホスフィン(130mg, 0.496mmol)を入れ無水DMF(10mL)続いてアリルトリブチルスズ(0.92mL, 2.98mmol)を加えた。耐圧管を窒素下で密封し反応混合物を110℃の油浴中で22時間加熱した。冷却した反応溶液をジエチルエーテルで希釈し、エーテル混合物を飽和食塩水、次いで水で洗浄しエーテル層を乾燥して乾固した。粗生成物をクロマトグラフィー(PSからDCM:EtOAc=2:1へのグラディエント溶出)に付し、エチル2-アセタミド-3-[3'-(6'-アリルカルバゾール)]プロパノエートを淡黄色固体として得た(823mg, 2.26mmol, 91%)。mp 100℃
1H-NMR, δ:8.13(bs, 1H, ArNH), 7.80(s, W1/2 4.8Hz, 1H, H-5'), 7.76(s, W1/2 4.8Hz, 1H, H-4'), 7.32(d, J=8.7Hz, 1H, H-8'), 7.29(d, J=8.4Hz, 1H, H-1'), 7.22(dd, J=8.7, 1.2Hz, 1H, H-7'), 7.10(dd, J=8.4, 1.5Hz, 1H, H-2'), 6.05(ddt, J=17, 10, 6.6Hz, 1H, CH2CH=CH2), 5.96(d, J=8.4Hz, 1H, NHAc), 5.11(dd, J=15, 1.8Hz, 1H, CH2CH=CH2), 5.08(d, J=8.1Hz, 1H, CH2CH=CH2), 4.90(dt, J=7.8, 6.3Hz, 1H, CHN), 4.17(q, J=7.2Hz, 2H, OCH2CH3), 3.54(d, J=6.6Hz, 2H, CH2CH=CH2), 3.26(d, J=5.7Hz, 2H, ArCH2), 1.97(s, 3H, COCH3), 1.23(t, J=7.2Hz, 3H, OCH2CH3).
【0073】
実施例31
エチル2-アセタミド-3-[3'-(6'-アリル-9'-t-ブトキシカルボニルカルバゾール)]プロパノエートの調製
実施例30で得られた2-アセタミド-3-[3'-(6'-アリルカルバゾール)]プロパン酸エチル(823mg, 2.26mmol)と炭酸セシウム(1.47g, 4.52mmol)を無水DMF(20mL)中に懸濁し、窒素雰囲気下で15分間室温で撹拌した後、ジ-t-ブチルジカーボネート(739mg, 3.39mmol)を無水DMF(6mL)に溶解して加えた。反応混合物を室温で20時間撹拌した。その後、反応溶液をエーテルで希釈し、エーテル混合物を飽和食塩水、次いで水で洗浄し乾燥して乾固した。粗生成物をクロマトグラフィー(PSからDCM:EtOAc=5:1へのグラディエント溶出)で精製しエチル2-アセタミド-3-[3'-(6'-アリル-9'-t-ブトキシカルボニルカルバゾール)]プロパノエートを淡黄色固体として得た(820mg, 1.77mmol, 78%)。mp 125℃
1H-NMR,δ:8.18(d, J=8.1Hz, 1H, H-8'), 8.16(d, J=8.1Hz, 1H, H-l'), 7.71(d, J=1.2Hz, 1H, H-4'), 7.68(d, J=1.5Hz, 1H, H-5'), 7.27(dd, J=8.5, 1.5Hz, 1H, H-2'), 7.17(dd, J=8.5, 1.8Hz, 1H, H-7'), 6.03(ddt, J=16.5, 9.9, 6.9Hz, 1H, CH2CH=CH2), 5.11(dd, J=17.7, 1.8Hz, 1H, CH2CH=CH2), 5.10(dd, J=10.2, 1.8Hz, 1H, CH2CH=CH2), 4.90(dt, J=7.5, 6Hz, 1H, CHN), 4.17(q, J=7.2Hz, 2H, OCH2CH3), 3.52(d, J=6.6Hz, 2H, CH2CH=CH2), 3.28(dd, J=14, 5.7Hz, 1H, ArCH2), 3.22(dd, J=14.1, 5.7Hz, 1H, ArCH2), 1.98(s, 3H, COCH3), 1.72(s, 9H, C(CH3)3), 1.23(t, J=7.2Hz, 3H, OCH2CH3).
【0074】
実施例32
2-アセタミド-3-[3'-(6'-アリル-9'-t-ブトキシカルボニルカルバゾール)]プロパン酸の調製
実施例31で得られたエチル2-アセタミド-3-[3'-(6'-アリル-9'-t-ブトキシカルボニルカルバゾール)]プロパノエート(787mg, 1.70mmol)をTHF(50mL)に溶解して氷冷し、水酸化リチウム(440mg, 10.5mmol)を蒸留水(20mL)に溶解して加え、反応混合物を0℃で3.5時間撹拌した。その後、THF部分を留去し、残った水性混合物を蒸留水で希釈しエーテルで洗浄した。水層を10%塩酸を用いてpH2以下に酸性化し、その水層に固体の塩化ナトリウムを十分な量加えて溶解させてから生成物をジエチルエーテルで抽出した。最後にエーテル抽出物を乾燥し乾固して2-アセタミド-3-[3'-(6'-アリル-9'-t-ブトキシカルボニルカルバゾール)]プロパン酸を無色の固体として得た(666mg, 1.53mmol, 90%)。
mp 177℃
1H-NMR, (D6)アセトンδ:8.21(d, J=8.4Hz, 1H, H-8), 8.20(d, J=8.7Hz, 1H, H-1'), 7.96(d, J=1.2Hz, 1H, H-4'), 7.89(d, J=0.9Hz, 1H, H-5'), 7.39(dd, J=8.4, 1.5Hz, 2H, H-2',NH; ArHシグナルの下に重複), 7.33(dd, J=8.5, 1.8Hz, 1H, H-7'), 6.07(ddt, J=16.9, 9.9, 6.9Hz, 1H, CH2CH=CH2), 5.14(dd, J=17.2, 1.5Hz, 1H, CH2CH=CH2), 5.07(dd, J=9.9, 1.5Hz, 1H, CH2CH=CH2), 4.80(m, 1H, CHN), 3.55(d, J=6.9Hz, 2H, CH2CH=CH2), 3.34(dd, J=13.8, 5.4Hz, 1H, ArCH2), 3.15(dd, J=13.8, 8.1Hz, 1H, ArCH2), 1.89(s, 3H, COCH3), 1.76(s, 9H, C(CH3)3).
【0075】
実施例33
カルバゾールペプトイド誘導体の調製
【化36】

2-アセタミド-3-[3'-(6'-アリル-9'-t-ブトキシカルボニルカルバゾール)]プロパン酸(84mg, 0.192mmol)、L-Arg(Pmc)-アリルグリシンメチルエステル(106mg, 0.192mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(1結晶)の混合物に、無水DCM(3mL)および無水アセトニトリル(5mL)を加えた。混合物を加温し窒素下で激しく撹拌すると半透明の溶液となり、ここへ1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド・塩酸塩(37mg, 0.192mmol)を加えた。反応混合物を室温、窒素下で19.5時間撹拌した。その後、反応溶媒を乾固し、DCMを加えて混合物を飽和食塩水、次いで水で洗浄した。DCM層を乾燥し乾固してクロマトグラフィー(PSからDCM:MeOH=10:1へのグラディエント溶出)に付した。精製した生成物をPSとDCMから粉末化しカルバゾールペプトイド誘導体をクリーム色の固体として得た。
mp 141-143℃ Rf:0.60 10%MeOH/DCM
1H-NMR, δ:8.12(d, J=8.4Hz, 1H, ArH), 8.10(d, J=8.4Hz, 1H, ArH), 7.78(s, W1/2 6Hz, ArH), 7.66(s, W1/2 4Hz, 1H, ArH), 7.59(d, J=7.5Hz, 1H, NH), 7.29-7.19(m, 2H, ArH), 6.93(d, J=6.9Hz, 1H, NH), 6.76(d, J=7.2Hz, 1H, NH), 6.33(bs, 1H, NH), 6.26(bs, 1H, NH), 5.97(m, 1H, ArCH2CH=CH2), 5.63(m, 1H, CH2CH=CH2), 5.14-4.95(m, 4H, CH2CH=CH2), 4.80(m, 1H, CHN), 4.71(dt, J=7.2, 7.2Hz, 1H, CHN), 4.56-4.40(m, 2H, NH,CHN), 3.62(s, 3H, OCH3), 3.46(d, J=8.1Hz, 1H, ArCH2CH=CH2), 3.43(d, J=7.2Hz, 1H, ArCH2CH=CH2), 3.32-2.94(m, 6H, NHCH2CH2CH2,ArCH2), 2.54(s, 3H, ArCH3(SO2のo-位)), 2.51(s, 3H, ArCH3(SO2のo-位)), 2.44(m, 4H, CH2CH=CH2,ArCH2CH2), 2.06(s, 3H, ArCH3), 1.90(s, 3H, COCH3), 1.74(t, J=6.3Hz, 2H, ArCH2CH2), 1.68(s, 9H, C(CH3)3), 1.58(m, 2H, NHCH2CH2CH2), 1.26(s, 6H, C(CH3)2).
【0076】
実施例34
保護環状カルバゾールペプトイド生成物の調製
【化37】

実施例33で得られた化合物(110mg, 0.113mmol)を無水DCM(28mL)に溶解し、Grubbsのルテニウム触媒(9mg, 0.0113mmol)を加え、反応混合物を窒素雰囲気下で23時間還流した。その後、反応溶媒を乾固し粗生成物をクロマトグラフィー(PSからDCM:MeOH=10:1へグラディエント溶出)に付し、ジエチルエーテル/PSとDCMより粉末化して環状カルバゾールペプトイド生成物をクリーム色の固体として得た(107mg, 0.113mmol, 100%)。
mp 190℃(dec) Rf:0.37 10%MeOH/DCM
Mass (ES+), m/z 942(30%)[MH+]
【0077】
実施例35
6-アセタミド-8,11-ジアザ-14-エン-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HClの調製
【化38】

実施例34で得られた環状カルバゾール誘導体(20mg, 0.0212mmol)をTFA(2mL)に溶解し、室温で1.5時間窒素雰囲気下で撹拌した。DCMと一緒に留去を繰り返すことによりTFAを除いた。粗生成物をMeOHに溶解し、1M HClのエーテル溶液(0.04mL, 0.0425mmol)を加え反応混合物を15分間撹拌した。その後、溶媒を最小量まで乾固させ生成物を氷浴上でエーテル/PSより再結晶させ6-アセタミド-8,11-ジアザ-14-エン-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HClを淡褐色固体として得た(12mg, 0.0196mmol, 92%)。
mp 222-224℃(dec)
Mass (ES+), m/z 576(100%)[MH+]
HRMS calcd C30H37N7O5+H: 576.2934; found: 576.2902.
【0078】
実施例36
【化39】

実施例35の化合物を水素化することにより6-アセタミド-8,11-ジアザ-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl(9S,12S)を調製した。
【0079】
実施例37
【化40】

D-アルギニン残基を含む前駆体を用いること以外は実施例35の工程と同様にして6-アセタミド-8,11-ジアザ-14-エン-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl(9R,12S)を調製した。
【0080】
実施例38
【化41】

実施例37の化合物を水素化することにより6-アセタミド-8,11-ジアザ-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl(9R,12S)を調製した。
【0081】
実施例39
【化42】

対応する保護Fmoc-Lys-Pmb保護カルバゾール誘導体を最初アニソール/TFAで脱保護した後続いてピペリジンで処理することにより、実施例35と同様にして6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-14-エン-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl(9S,12S)を調製した。
【0082】
実施例39A
【化43】

6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-1-t-ブトキシカルボニル-14-エン-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl(9S,12S)を実施例39と同様にして調製した。但し、リシン側鎖の脱保護は無水THF中室温でピペリジンを用いることにより行った。遊離塩基はHClのエーテル溶液を用いて塩酸塩とし、クリーム色の固体として目的物を単離した。
mp 約230℃(dec)
1H-NMR, [500MHz, (CD3)2SO]δ:8.84*(br d, J=7.5Hz, NH-11), 8.82*(br d, J=8.0Hz, NH-11), 8.70(br d, J=7.5Hz, NH-11), 8.63(br d, J=7.5Hz, NH-11), 8.49*(br d, J=10.0Hz, NH-8), 8.47(br d, J=9.5Hz, NHAc), 8.41*(br d, J=8.5Hz, NH-8), 8.38-8.28(m, NHAc), 8.24-8.16*(m, NH-11), 8.14-7.93(m, 2H, ArH-2,ArH-19), 8.04(br s, NH2), 7.97*(br s, NH2), 7.83-7.77*(m, NH-8), 7.69(br d, J=8.0Hz, NH-8), 7.57*(s, ArH-21), 7.55(s, ArH-20), 7.53(s, ArH-20), 7.50*(s, ArH-20), 7.49*(br d, J=8.5Hz, NHAc), 7.41(s, ArH-21), 7.38-7.30*(m, ArH-3), 7.30(br d, J=8.0Hz, ArH-18), 7.22(br d, J=6.5Hz, NHAc), 7.16*(br d, J=8.0Hz, ArH-3), 7.10(br d, J=8.0Hz, ArH-3), 5.89-5.79(m, ArCH2CH=CH(E体)), 5.81-5.70(m, ArCH2CH=CH*(Z体),CHCH2CH=CH), 5.72-5.62(m, CHCH2CH=CH), 5.65-5.42(m, CHCH2CH=CH), 4.84*(br s, NCH-6), 4.62*(br d, J=3.5Hz, NCH-6,NCH-9), 4.46(br d, J=3.5Hz, NCH-9,NCH-12), 4.31(br d, J=8.0Hz, NCH-12), 4.28*(br d, J=7.5Hz, NCH-12), 4.18(br s, NCH-6), 3.72-3.36(m, ArCH2CH=CH), 3.65(s, OCH3), 3.60*(s, OCH3), 3.57*(s, OCH3), 3.22-2.84(m, 2H, ArCH2-5), 2.78-2.50(m, 2H, NCH2(CH2)3), 2.59(br d, J=11.0Hz, CHCH2CH=CH), 2.42-2.28(m, CHCH2CH=CH), 2.33(br d, J=11.0Hz, CHCH2CH=CH), 1.90(s, COCH3), 1.87(s, COCH3), 1.84-1.45(m, 2H, N(CH2)3CH2), 1.77*(s, COCH3), 1.73*(s, COCH3), 1.67(s, 9H, C(CH3)3), 1.62-1.40(m, 2H, NCH2CH2(CH2)2), 1.32(m, N(CH2)2CH2CH2), 1.21(m, N(CH2)2CH2CH2).
【0083】
実施例40
実施例39の化合物を水素化することにより、6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl(9S,12S)を調製した。
実施例41
【化44】

保護D-リシン残基を含むアミノアシル部分を用いること以外は実施例39と同様にして、6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-14-エン-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl(9R,12S)を調製した。
【0084】
実施例42
【化45】

実施例41の化合物を水素化することにより、6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl(9R,12S)を調製した。
【0085】
実施例43
【化46】

実施例37の開環ジエン前駆体を脱保護し、水素化することにより8-アセタミド-3,6-ジアザ-5-(3-グアニジノプロピル)-4,7-ジオキソ-2-プロピル-9-[3-(6-プロピル)-9H-カルバゾール]ノナン酸メチル・HCl(2S,5R)を調製した。
実施例33で得られた化合物の水素化によりアリル基がプロピル基に還元された対応する化合物が得られた。これを実施例35の方法に従って脱保護しクリーム色の固体を得た。
mp 210℃
1H-NMR [500MHz, (CD3)2SO, 異性体比率69:31]δ:11.16*(br s, 0.3H, ArNH), 10.99(br s, 0.7H, ArNH), 8.33(br d, J=8.0Hz, 0.7H, NH-6), 8.30(br d, J=6.5Hz, 0.7H, NHAc), 8.25*(br d, J=7.5Hz, 0.3H, NH-3), 8.21-8.11*(m, 0.6H, NH-6,NHAc), 8.07(br d, J=7.5Hz, 0.7H, NH-3), 7.94(s, 1H, ArCH-4), 7.81(s, 1H, ArCH-5), 7.62-7.53*(m, 0.3H, NHCH2), 7.45(br s, 0.7NHCH2), 7.35(m, 2H, ArH-1,ArH-8), 7.26(d, J=8.5Hz, 1H, ArH-2), 7.17(d, J=8.0Hz, 1H, ArH-7), 6.85(v br s, 3H, NH(C=NH)NH2), 4.56(m, 1H, NCH-8), 4.37*(dt, J=6.0, 7.5Hz, 0.3H, NCH-5), 4.30-4.16(m, 1.7H, NCH-2,NCH-5), 3.61(s, 3H, OCH3), 3.20-3.11*(m, 0.3H, ArCHH-9), 3.15-3.05*(m, 0.6H, NCH2(CH2)2), 3.11-3.03(m, 0.7H, ArCHH-9), 2.98-2.88(m, 0.7H, ArCHH-9), 2.93-2.83(m, 1.4H, NCH2(CH2)2), 2.88-2.82*(m, 0.3H, ArCHH-9), 2.69(t, J=7.5Hz, 2H, ArCH2CH2CH3), 1.77(s, 2.1H, COCH3), 1.75*(s, 0.9H, COCH3), 1.68-1.54(m, 2H, CHCH2CH2CH3), 1.67-1.58*(m, 0.6H, C(CH2)2CH2), 1.65(m, 2H, ArCH2CH2CH3), 1.52-1.38*(m, 0.6H, NCH2CH2CH2), 1.48-1.36(m, 1.4H, N(CH2)2CH2), 1.34-1.17(m, 2H, CHCH2CH2CH3), 1.25-1.13(m, 1.4H, NCH2CH2CH3), 0.91(t, J=7.0Hz, 3H, Ar(CH2)2CH3), 0.83(t, J=7.0Hz, 3H, CH(CH2)2CH3).
【0086】
実施例44
【化47】

実施例41の開環ジエン前駆体の脱保護と水素化により、メチル8-アセタミド-5-(4-アミノブチル)-3,6-ジアザ-4,7-ジオキソ-2-プロピル-9-[3-(6-プロピル)-9H-カルバゾール]ノナノエート・HCl(2S,5R)を調製した。
実施例41に対する非環状保護前駆体を水素化により還元し通常の脱保護によりクリーム色の固体を得た。
mp160-162℃
1H-NMR [500MHz, (CD3)2SO, 異性体比率69:31]δ:11.16(br s, 0.7H, ArNH), 11.07*(br s, 0.3H, ArNH), 8.36(br d, J=6.5Hz, 0.7H, NHAc), 8.32(br d, J=8.0Hz, 0.7H, NH-6), 8.29*(br d, J=7.5Hz, 0.3H, NH-3), 8.21*(br d, J=8.0Hz, 0.3H, NHAc), 8.21*(br d, J=8.5Hz, 0.3H, NH-6), 8.06*(br s, 0.6H, NH2), 8.02(br d, J=8.0Hz, 0.7H, NH-3), 7.99(br s, 1.4H, NH2), 7.96*(s, 0.3H, ArH-4), 7.93(s, 0.7H, ArH-4), 7.81(s, 0.7H, ArH-5), 7.79*(s, 0.3H, ArH-5), 7.37*(d, J=8.0Hz, 0.3H, ArH-8), 7.35(d, J=8.5Hz, 1.4H, ArH-1,ArH-8), 7.32*(d, J=8.5Hz, 0.3H, ArH-1), 7.27*(d, J=8.5Hz, 0.3H, ArH-2), 7.25(d, J=8.5Hz, 0.7H, ArH-2), 7.17(d, J=8.0Hz, 1H, ArCH-7), 4.57*(m, 0.3H, NCH-8), 4.53(dt, J=7.0, 7.5Hz, 0.7H, NCH-8), 4.34*(dt, J=5.5, 8.0Hz, 0.3H, NCH-5), 4.22(m, 1H, NCH-2), 4.09(m, 0.7H, NCH-5), 3.60(s, 3H, OCH3), 3.18*(dd, J=13.5, 4.0Hz, 0.3H, ArCHH-9), 3.05(dd, J=13.2, 7.5Hz, 0.7H, ArCHH-9), 2.96(dd, J=13.2, 8.5Hz, 0.7H, ArCHH-9), 2.89*(dd, J=13.2, 10.5Hz, 0.3H, ArCHH-9), 2.73*(br d, J=5.5Hz, 0.6H, NCH2(CH2)3), 2.68(t, J=7.5Hz, 2H, ArCH2CH2CH3), 2.45(br s, 1.4H, NCH2(CH2)3), 1.79(s, 2.1H, COCH3), 1.76*(s, 0.9H, COCH3), 1.71-1.51(m, 2.6H, CHCH2CH2CH3,N(CH2)3CH2*), 1.69-1.58(m, 2H, ArCH2CH2CH3), 1.61-1.52*(m, 0.6H, NCH2CH2(CH2)2), 1.61-1.48(m, 0.7H, N(CH2)3CH2), 1.41-1.26(m, 2.7H, N(CH2)2CH2,NCH2CH2(CH2)2,N(CH2)2CH2CH2*), 1.32-1.18(m, 2H, CHCH2CH2CH3), 0.91(t, J=7.0Hz, 3H, Ar(CH2)2CH3), 0.90-0.82(m, 1.4H, N(CH2)2CH2CH2), 0.82(t, J=7.0Hz, 2.1H, CH(CH2)2CH3), 0.81*(t, J=7.0Hz, 0.9H, CH(CH2)2CH3).
【0087】
1,4-置換フェニル核に基づく化合物
一般的合成工程
N-BocおよびN-Pmcの脱保護(工程A)
N-Boc又はN-Pmc保護アミン(1当量)をDCM/TFAの1:1溶液中、室温で3時間撹拌した。溶媒を減圧下に除去し、残渣を最小量のメタノールに再び懸濁した。その後、過剰の1MHClのエーテル溶液で処理して、溶媒を再度乾固した。粗生成物をDCMおよび/又はMeOHにエーテルを加える再結晶/再沈殿により精製した。
ペプチド縮合(工程B)
カルボン酸(1当量)のDMF溶液に室温でHOBt(1.1当量)、EDCI(1当量)およびアミン(1.2当量)を加えた。アミンが塩酸塩の場合は更にDIPEA(1当量)を加えた。混合物を16時間撹拌した後、沈殿が生じるまで水を加えて反応をクエンチした。固体を吸引濾過して水で十分に洗浄した。非結晶性の生成物をP2O5上で乾燥し目的のペプチドを得た。
【0088】
N-Fmocの脱保護(工程C)
Fmoc保護アミン(1当量)を1%ピペリジン/アセトニトリル中室温で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=15:1)で精製して遊離のアミンを得た。
オレフィンのメタセシスによる大環状化反応(工程D)
前駆体トリペプチド(1当量)をDCM(0.004Mまで)に溶解し、Grubbsのルテニウム触媒を加えて反応液を48時間還流した。その後溶媒を減圧下で除去し粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=15:1)で精製して相当する大環状生成物を得た。
【0089】
実施例45
メチル(2S)-2{(1S)-1-[(1S)-2-(4-アリルオキシフェニル)-1-メチルカルボキサミドエチルカルボキサミド]-5-t-ブトキシカルボキサミドペンチルカルボキサミド}-4-ペンテノエート
【化48】

(2S)-2-[(1S)-1-アミノ-5-t-ブトキシカルボキサミド]-4-ペンテン酸メチル(782mg, 2.19mmol)および(2S)-3-(4-アリルオキシフェニル)-2-メチルカルボキサミドプロパン酸(576mg, 2.19mmol)をDCM(10mL)に溶解し、EDCI(420mg, 2.19mmol)および触媒量のDMAPを加えた。得られた混合物を室温で16時間撹拌し、DCM(25mL)を加えてクエンチした。有機層を飽和食塩水(2x25mL)次いで水(2x25mL)で洗浄しMgSO4上で乾燥し、溶媒を乾固した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=25:1)で精製して、メチル(2S)-2{(1S)-1-[(1S)-2-(4-アリルオキシフェニル)-1-メチルカルボキサミドエチルカルボキサミド]-5-t-ブトキシカルボキサミドペンチルカルボキサミド}-4-ペンテノエート(664mg, 1.10mmol, 50%)を白色固体として得た。
Mass (ES,+ve) m/z 503.4(100%)[MH+(less t-Boc)], 603.4(35%)[MH+].
HRMS calcd for C31H47N4O8 603.3394, found 603.3397
【0090】
実施例46
(5S)-5-[(1S)-2-(4-アリルオキシフェニル)-1-メチルカルボキサミドエチルカルボキサミド]-5-[(1S)-1-メチルオキシカルボニル-3-ブテニルカルバモイル]ペンチルアンモニウムクロリド
【化49】

このアンモニウム塩は、(2S)-2{(1S)-1-[(1S)-2-(4-アリルオキシフェニル)-1-メチルカルボキサミドエチルカルボキサミド]-5-t-ブトキシカルボキサミドペンチルカルボキサミド}-4-ペンテン酸メチル(104mg, 0.170mmol)より一般のN-Boc脱保護(工程A)を行って合成し、(5S)-5-[(1S)-2-(4-アリルオキシフェニル)-1-メチルカルボキサミドエチルカルボキサミド]-5-[(1S)-1-メチルオキシカルボニル-3-ブテニルカルバモイル]ペンチルアンモニウムクロリドを黄色固体として得た(55mg, 0.10mmol, 60%)。
Mass (ES, +ve) m/z 503.3(100%)[M+(less Cl-)].
HRMS calcd for C26H39N4O6 503.2870, found 503.2894
【0091】
実施例47
メチル(7S,13S,10S)-10-(4-t-ブトキシカルボキサミドブチル)-13-メチルカルボキサミド-9,12-ジオキソ-2-オキサ-8,11-ジアザビシクロ[13,2,2]ノナデカ-1(17),4,15,18-テトラエン-7-カルボキシレート
【化50】

この大環状ペプチドは、メチル(2S)-2{(1S)-1-[(1S)-2-(4-アリルオキシフェニル)-1-メチルカルボキサミドエチルカルボキサミド]-5-t-ブトキシカルボキサミドペンチルカルボキサミド}-4-ペンテノエート(311mg, 0.52mmol)を用いて一般のオレフィンメタセシス(工程D)を行うことにより調製し、メチル(7S,13S,10S)-10-(4-t-ブトキシカルボキサミドブチル)-13-メチルカルボキサミド-9,12-ジオキソ-2-オキサ-8,11-ジアザビシクロ[13,2,2]ノナデカ-1(17),4,15,18-テトラエン-7-カルボキシレートを褐色の固体として得た(228mg, 0.40mmol, 76%)。
Mass (ES, +ve) m/z 475.3(40%)[MH+(less t-Boc)], 575.3(25%)[MH+].
【0092】
実施例48
4-[(3S,9S,6S)-3-メチルカルボキサミド-9-メチルオキシカルボニル-4,7-ジオキソ-14-オキサ-5,8-ジアザビシクロ[13,2,2]ノナデカ-1(17)-11,15,18-テトラエン-6-イル]ブチルアンモニウムクロリド
【化51】

このアンモニウム塩は、(7S,13S,10S)-10-(4-t-ブトキシカルボキサミドブチル)-13-メチルカルボキサミド-9,12-ジオキソ-2-オキサ-8,11-ジアザビシクロ[13,2,2]ノナデカ-1(17),4,15,18-テトラエン-7-カルボン酸メチル(220mg, 0.380mmol)を用いて一般のN-Boc脱保護(工程A)を行うことにより合成し、4-[(3S,9S,6S)-3-メチルカルボキサミド-9-メチルオキシカルボニル-4,7-ジオキソ-14-オキサ-5,8-ジアザビシクロ[13,2,2]ノナデカ-1(17)-11,15,18-テトラエン-6-イル]ブチルアンモニウムクロリドを暗黄色固体として得た(152mg, 0.300mmol, 79%)。
Mass (ES, +ve) m/z 475.4 (100%)[M+(lessCl-)].
【0093】
実施例49
メチル(2S)-2[(1S)-1-[(1S)-2-(4-アリルオキシフェニル)-1-メチルカルボキサミドエチルカルボキサミド]-5-ジ(t-ブトキシカルボキサミド)メチレンアミノペンチルカルボキサミド]-4-ペンテノエート
【化52】

(5S)-5-[(1S)-2-(4-アリルオキシフェニル)-1-メチルカルボキサミドエチルカルボキサミド]-5-[(1S)-1-メチルオキシカルボニル-3-ブテニルカルバモイル]ペンチルアンモニウムクロリド(41mg, 0.081mmol)をDCM(2mL)に溶解し、N,N'-ジBoc-N''-トリフリルグアニジン(35mg, 0.089mmol)、トリエチルアミン(0.1mL)およびDCM(2mL)。得られた溶液を窒素雰囲気下で終夜撹拌した。溶媒を乾固し、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=15:1)で精製して、メチル(2S)-2[(1S)-1-[(1S)-2-(4-アリルオキシフェニル)-1-メチルカルボキサミドエチルカルボキサミド]-5-ジ(t-ブトキシカルボキサミド)メチレンアミノペンチルカルボキサミド]-4-ペンテノエートをオレンジ色/黄色の固体として得た(45mg, 0.060mmol, 74%)。
1H-NMR, (CDCl3, 300MHz)δ:8.26(bs,1H), 7.08(t, J=8.4Hz, 2H), 6.97(m, 1H), 6.83(t, J=8.4Hz, 2H), 6.73(d, J=8.0Hz, 1H), 6.57(t, J=9.3Hz, 1H), 6.03(m, 1H), 5.66(m, 1H), 5.39(d, J=17.3Hz, 1H), 5.26(d, J=10.1Hz, 1H), 5.10(m, 2H), 4.51(m, 5H), 3.74(s, 3H), 3.33(bs, 2H), 2.96(ddd, J=6.7, 7.2, 14.0Hz, 2H), 2.52(m, 2H), 1.97(s, 3H), 1.47(m, 6H), 1.54(s, 3H), 1.49(s, 18H).
13C-NMR(CDC13, 300MHz)δ:171.7; 171.3; 171.2; 170.9; 170.6; 163.2; 157.5; 156.0; 153.1; 151.4; 133.1; 132.0; 130.1; 128.2; 119.2; 119.0; 117.5; 114.8; 83.2; 79.5; 68.7; 55.2; 53.1; 53.0; 52.4; 40.7; 40.5; 37.2; 36.1; 32.0; 28.6; 28.3; 22.9.
Mass (ES, +ve) m/z 745.2(100%) [MH+].
HRMS calcd for C37H57N6O10 745.4136, found 745.4105.
【0094】
実施例50
(5S)-5-[(1S)-2-(4-アリルオキシフェニル)-1-メチルカルボキサミドエチルカルボキサミド]-5-[(1S)-1-メチルオキシカルボニル-3-ブテニルカルバモイル]ペンチルグアニジウムクロリド
【化53】

この塩は、実施例49の化合物に対して一般的なN-Boc脱保護(工程A)を行って合成した。
Mass (ES, +ve) m/z 545.3(100%) [M+].
HRMS calcd for C27H41N6O6 545.3088, found 545.3066.
【0095】
実施例51
メチル(7S,13S,10S)-10-[4-ジ(t-ブトキシカルボキサミド)メチレンアミノブチル]-13-メチルカルボキサミド-9,12-ジオキソ-2-オキサ-8,11-ジアザビシクロ[13,2,2]ノナデカ-1(17),4,15,18-テトラエン-7-カルボキシレート
【化54】

実施例49と同様にして、実施例48の化合物をその保護グアニジン誘導体に変換した。オレンジ色/黄色の固体として得た。
Mass (ES, +ve) m/z 717.4(100%) [MH+].
HRMS calcd for C35H53N6O10 717.3823, found 545.3806.
【0096】
実施例52
イミノ{4-[(3S,6S,9S)-3-メチルカルボキサミド-9-メチルオキシカルボニル-4,7-ジオキソ-14-オキサ-5,8-ジアザビシクロ[13.2.2]ノナデカ-1 (17),11,15,18-テトラエン-6-イル]ブチルアミノ}メチルアンモニウムクロリド
【化55】

実施例51の化合物を脱保護(工程A)することにより、目的の化合物を黄色固体として得た。
Mass (ES, +ve) m/z 517.4 (100%)[M+ (lessCl-)].
HRMS calcd forC25H37N6O6 517.2775, found 517.2765.
実施例53-60
同様にして、実施例45-52に対応する一連の化合物(L-リシンをD-リシン残基に置き換えたもの)を調製した。
実施例61-64
実施例45-48の化合物に対応する一連の化合物(L-アリルグリシンをD-アリルグリシンに置き換え、L-リシンをD-アルギニンに置き換えたもの)を、各実施例と同様にして調製した。アルギニンはPmcで保護した。
実施例65-68
同様にして、実施例61-64に対応する一連の化合物(D-アルギニンをL-アルギニンに置き換えたもの)を調製した。
【0097】
1,3-置換インドール核に基づく化合物
環状ペプトイドの命名法は1,3-置換インドール核に基づいた。これら化合物は原子1と原子15の間のメテノ架橋を有する架橋化合物として命名される。大環状骨格は以下に示したように標識化され番号が付される。
メチル1,2,5,6,7,9,10,12,13,14-オクタヒドロ-1,15-メテノ-7,10-ジアザ-8,11-ジオキソ-9-4'(t-ブトキシカルボニルアミノ)ブチル-1-ベンズアザシクロドデシン-6-カルボキシレート
【化56】

【0098】
実施例69
1-プロプ-2-エニル 1-(1-プロプ-2-エニル)-インドール-3-アセテートおよび1-プロプ-2-エニル 1H-インドール-3-アセテートの調製
【化57】

水素化ナトリウム(1.0g, 25.1mmol, 2.2モル当量、パラフィン中含量60%)を窒素雰囲気下で石油スピリットを用いて二回洗浄し、無水DMFを加えた。1H-インドール-3-酢酸(2.0g, 11.4mmol)をDMFに溶解して窒素下で当該懸濁液に加え、室温で半時間撹拌した。臭化アリル(2.5mL, 28.6mmol, 2.5モル当量)を滴下し反応混合物を室温で終夜撹拌した。DMFを乾固し、残渣をジエチルエーテル(20mL)と水(20mL)に分配した。エーテル層を分液し、水層をさらにジエチルエーテルで抽出した。エーテル層を合一して水洗し、乾燥(Na2SO4)して乾固した。粗生成物をフラッシュシリカゲルカラム上でクロマトグラフィー(20%DCM/石油スピリットで溶出)に付し、ジアリル誘導体をオイルとして得た(1.9g, 95%)。更にアリルエステルを50%DCM/石油スピリットで溶出して得た(90mg)。
25:
MS (CI) m/z 256 (100%MH+).
HRMS (CI) calcd for C16H18NO2 : 256.1338 ; found: 256.1338.
ジアリル誘導体:
MS (CI) m/z 216 (100%MH+).
HRMS (CI) calcd for C13H14NO2 : 216.1024 ; found: 216.1021.
【0099】
実施例70
1-(1-プロプ-2-エニル)-1H-インドール-3-酢酸の調製
【化58】

実施例69のジアリル体(1.8g, 7.2mmol)の溶液に、水酸化リチウム(0.3g, 0.15M)をTHF/水(2.5:1)の混合溶媒(35mL)に溶解して加えた。反応混合物を氷冷下、0℃で3時間撹拌した。溶媒のTHFを乾固し粗生成物をジエチルエーテルと水で抽出した。水層とエーテル層を分液し、エーテル層を水で抽出した。水層を合一して10%塩酸によりpH2以下に酸性化し、塩化ナトリウムを飽和させてDCM(20mL)で抽出し乾燥(Na2SO4)して溶媒を乾固した。標記化合物(1.1g, 74%)をオイルとして得た。
1H-NMR(CDC13)δ:7.60(d, J=8Hz, 1H, ArH-4), 7.30(d, J=8Hz, 1H, ArH-7), 7.22(dt, J=8, 1Hz, 1H, ArH-6), 7.13(dt, J=8, 1Hz, 1H, ArH-5), 7.08(s, 1H, ArH-2), 5.98(ddt, J=17, 11, 5Hz, 1H, CH=CH2), 5.20*(dd, J=9, 1Hz, 2H, CH=CH2), 5.11(dd, J=16, 1Hz, 2H, CH=CH2), 4.68(dd, J=5, 1Hz, 2H, NCH2CH=CH2), 3.80(s, 2H, CH2C=O).
13C-NMRδ:177.5(C=O), 136.1(ArC), 133.2(CH=CH2), 127.6(ArC), 126.8, 121.8 and 119.3(ArCH), 118.9(CH=CH2), 117.4 and 109.6(ArCH), 106.4(ArC), 48.8(NCH2), 31.0(CH2).
MS (CI) m/z 216 (100%MH+).
HRMS (CI) calcd for C13H14NO2 : 216.1024 ; found: 216.1039.
【0100】
実施例71
N-[(1S)-1-[(1S)-1-メトキシカルボニル-3-ブテニルアミノカルボニル]-5-(t-ブトキシカルボニルアミノ)ペンチル]-1-(1-プロプ-2-エニル)-1H-インドール-3-アセタミドの調製
【化59】

実施例70の化合物(0.05g, 0.2mmol)をDCM(3mL)中で、N-Boc-D-Lys-L-アリルグリシンメチルエステル(0.08g, 0.2mmol)と標準的な方法で縮合させて標記化合物を固体として得た(0.08g, 100%)。
1H-NMR(CDCl3) δ:7.52(d, J=8Hz, 1H, ArH-4), 7.29(d, J=8Hz, 1H, ArH-7), 7.20(t, J=8Hz, 1H, ArH-6), 7.10(t, J=8Hz, 1H, ArH-5), 7.06(s, 1H, ArH-2), 6.78(d, J=8Hz, 1H, NH-3'), 6.21(d, J=8Hz, 1H, NH-6'), 5.97(ddt, J=17, 11, 5Hz, 1H, NCH2CH=CH2), 5.61(m, 1H, CHCH2CH=CH2), 5.18(d, J=10Hz, 1H, CH=CHH), 5.09-5.04(m, 3H, CH=CH2,CH=CHH), 4.69(d, J=6Hz, 2H, NCH2CH=CH2), 4.53(m, 1H, αCH-2'), 4.43(m, 1H, αCH-5'), 3.72(s, 2H, CH2-8'), 3.68(s, 3H, OCH3), 2.93(d, J=5Hz, 2H, NCH2(CH2)3), 2.53-2.35(m, 2H, CHCH2CH=CH2), 1.77-1.66(m, 1H, N(CH2)3CH2), 1.41(s, 9H, Boc), 1.45-1.27(m, 4H, N(CH2)3CH2,NCH2CH2(CH2)2), 1.15-1.08(m, 2H, N(CH2)2CH2CH2).
【0101】
実施例72
N-[(1S)-1-[(1S)-1-メトキシカルボニル-3-ブテニルアミノカルボニル]-5'-アミノペンチル]-1-(1-プロプ-2-エニル)-1H-インドール-3-アセタミドの調製
【化60】

実施例71の化合物を標準的な方法により脱保護して、標記化合物を褐色の固体として得た。
mp103-106℃
MS (ES) m/z 455 (100%MH+), 326[79%, M+-(NHCH(CH2CH=CH2)COOCH3)].
HRMS (ES) calcd for C25H35N4O4 : 455.2658 ; found: 455.2663.
【0102】
実施例73
メチル1,2,5,6,7,9,10,12-オクタヒドロ-1,13-メテノ-7,10-ジアザ-8,11-ジオキソ-9-4'(t-ブトキシカルボニルアミノ)ブチル-1-ベンズアザシクロドデシン-6-カルボキシレートの調製
【化61】

実施例71の化合物を標準的な方法により閉環させて環状化合物を褐色の非結晶性固体として得た。
MS (ES) m/z 527 (45%MH+), 471(56%, M+-CMe3), 453(74%, M+-OC(CH3)3), 427(100%, MH+-Boc).
HRMS (ES) calcd for C23H31N4O4 : 527.2870 ; found: 527.2870.
【0103】
実施例74
メチル1,2,5,6,7,9,10,12-オクタヒドロ-1,13-メテノ-7,10-ジアザ-8,11-ジオキソ-9-(4'-アミノブチル)-1-ベンズアザシクロドデシン-6-カルボキシレートの調製
【化62】

実施例73の化合物を標準的な方法により脱保護して、標記化合物を褐色の固体として得た。
mp168-170℃
1H-NMR(CD3OD, 500MHz)δ:7.39(d, J=8Hz, 1H, ArH-14''), 7.27*(d, J=8Hz, ArH-17''), 7.21(d, J=8Hz, 1H, ArH-17''), 6.98(t, J=8Hz, 1H, ArH-16''), 6.93(s, 1H, ArH-18''), 6.88(t, J=8Hz, 1H, ArH-15''), 5.78*(dd, J=10, 5Hz, CH-3''), 5.52(dt, J=15, 5Hz, 1H, CH-3''), 5.40*(dd, J=10, 5Hz, CH-4''), 4.88-4.83(dt, J=15, 8Hz, 1H, CH-4''), 4.59(dd, J=9, 3Hz, 1H, CHH-2''), 4.36(dd, J=9, 6Hz, 1H, CHH-2''), 4.20(t, J=7Hz, 1H, CH-9''), 4.10(dd, J=9, 5Hz, 1H, CH-6''), 3.67(d, J=9Hz, 1H, CHH-12''), 3.51(s, 3H, OCH3), 3.31(d, J=9Hz, 1H, CHH-12''), 2.74(dd, 2H, NCH2(CH2)3), 2.51-2.42*(m, CHH-5''), 2.41-2.34(m, 1H, CHH-5''), 2.12(ddd, J=14, 6Hz, 1H, CHH-5''), 1.69-1.49(m, 2H, N(CH2)3CH2), 1.58-1.48(m, 2H, NCH2CH2(CH2)2), 1.36-1.23(m, 2H, N(CH2)2CH2CH2).
【0104】
実施例75
メチル1,2,5,6,7,9,10,12-オクタヒドロ-1,13-メテノ-7,10-ジアザ-8,11-ジオキソ-9-(4'-ジ-t-ブトキシカルボニルアミノ)ペンチルグアニジン-1-ベンズアザシクロドデシン-6-カルボキシレートの調製
【化63】

実施例49の一般的方法に従って、実施例74の化合物をグアニジノ化し、標記化合物を得た。
MS (ES) m/z 669 (27% MH+).
HRMS (ES) calcd for C34H49N6O8 : 669.3612 ; found: 669.3624.
【0105】
実施例76
メチル1,2,5,6,7,9,10,12-オクタヒドロ-1,13-メテノ-7,10-ジアザ-8,11-ジオキソ-9-4'-ペンチルグアニジン-1-ベンズアザシクロドデシン-6-カルボキシレートの調製
【化64】

実施例75の化合物を標準的な方法で脱保護し、標記化合物を得た(0.06g, 75%)。
mp151-154℃
実施例77-84
実施例69-76の化合物に対応する一連の化合物(アセテートの代わりにインドール環の3位にプロパノエートが結合したもの)を、各実施例に従って調製した。
実施例85-92
実施例69-76の化合物に対応する一連の化合物(アセテートの代わりにインドール環の3位にブタノエートが結合したもの)を、各実施例に従って調製した。
【0106】
2,2'-置換ビナフチル核に基づく化合物
実施例93
(aR/S)-2'-アリルオキシ-1,1'-ビナフチル-2-オールの調製
【化65】

アセトン(20mL)中の1,1'-ビナフトール-2,2'-ジオール(4.8678g, 17mmol)に無水炭酸カリウム(顆粒状)3gとモレキュラーシーブ3Å(5.0g)を加えて窒素下で1時間撹拌し、臭化アリル(2mL)をゆっくり加えた。反応混合物を24時間還流した後放置して冷却した。混合物を濾過し、濾過された固体をアセトンで、濾液が無色になるまで洗浄した。濾液を合一して乾固し得られた残渣をDCM50mLに採り、濾過して残存するカリウム塩を除いた。生成物をクロマトグラフィー(塩化メチレン/ヘキサン=1/2)で精製した。Rf=0.8, 収量4.0g, mp111℃〔文献mp112.5-114℃;Nakamura et al., Helvetica Chimica Acta, 58(7), 214-215(1975)〕
【0107】
実施例94
エチル(aR/S)-(2'-アリルオキシ-1,1'-ビナフチル-2-オキシ)エタノエートの調製
【化66】

無水アセトン(10mL)中の実施例93の化合物(3.631g, 11.138mmol)に無水炭酸カリウム(2.35g)を加え、窒素下で1時間撹拌後、ブロモ酢酸エチル(1.86g, 11.138mmol, 1.24mL)を加えた。反応液を終夜撹拌した後反応混合物を濾過した。固体を繰り返しアセトンで洗浄した。濾液を乾固して得られた残渣をクロロホルム(50mL)に採り濾過をした。生成物をカラムクロマトグラフィー〔クロロホルム/ヘキサンの比を20%から60%まで増加〕により無色の半固体として得た。収量4.33g
MS m/z for C27H24O4: 413(M+1)100%; 339(M+-COOC2H5)11%
【0108】
実施例95
(aR/S)-(2'-アリルオキシ-1,1'-ビナフチル-2-オキシ)エタン酸の調製
【化67】

実施例94の化合物(0.1386g, 0.336mmol)をTHF(0.047M, 4mL)に溶解した。これを氷冷し水酸化リチウム一水和物(1.523mmol, 0.063g)を水(9mL)に溶解して加えた。反応混合物を徐々に室温にまで戻し、更に5時間撹拌した。反応混合物にジエチルエーテルを加えた。水層を分液してエーテルで洗浄し、合一したエーテル層を水で抽出した。水層を合一して酸性化し(希塩酸)ジエチルエーテルで抽出し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。濾液を乾固して目的物を灰白色の沈殿として得た。m.p.77-80℃.
【0109】
実施例96
【化68】

実施例95の化合物(0.2689g, 0.700mmol)とNε-Boc-D-Lys-L-アリルグリシンメチルエステル(0.25g, 0.700mmol)とを通常の方法で縮合し白色固体を得た。m.p.54-6℃ 収量0.3g
1H-NMR(CDCl3, 300MHz)δ:8.015-7.982(d, 1H, J=5.7Hz), 7.982-7.955(d, 1H, J=5.7Hz), 7.910-7.886(d, 1H, J=4.2Hz), 7.886-7.860(d, 1H, J=4.2Hz), 7.510-7.469(d, 1H, J=9.3Hz), 7.469-7.433(d, 1H, J=9.0Hz), 7.396-7.100(m, 6H), 6.638-6.609(d, 1H-N, J=7.5Hz), 6.491-6.461(d, 1H-N, J=7.8Hz), 6.182(dd, 1H, J1=7.8, J2=12.0Hz), 5.699-5.520(m, 2H, HC=allyl), 5.109-4.885(m, 4H), 4.581-4.459(m, 6H), 4.116-4.060(m, 1H), 3.685(s, 3H), 2.980-2.865(m, 2H), 2.570-2.350(m, 2H), 1.679(br, 2H), 1.455,1.436(s, 9H, R&S異性体), 1.350-1.200(m, 2H), 1.060-0.760(m, 2H).
MS, m/z for C42H49N3O8: 723(M+)25%; 722(M+-1)100%; 348 18%
【0110】
実施例97
【化69】

実施例96の化合物を通常の方法で脱保護し生成物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6, 300MHz)δ:8.290-8.216(m, 1H), 8.055-8.022(m, 2H), 7.959-7.925(m, 2H), 7.743(br, 3H-N), 7.568-7.478(m, 2H), 7.378-7.305(m, 2H), 7.269-7.190(m, 2H), 7.050-6.870(m, 3H), 5.801-5.605(m, 2H), 5.120-4.920(m, 4H), 4.610-4.250(m, 6H), 3.611,3.602(s, 3H, R&S), 2.637(br, 2H), 2.450-2.310(m, 2H), 1.500-0.860(m, 6H).
MS, m/z:625(M++1)100%; 626, 19%; 737(M-+TFA)66%
【0111】
実施例98
【化70】

実施例96の化合物を通常の方法で環化し生成物を得た。
1H-NMR(CDCl3, 300MHz)δ:8.103-7.810(br, 1H), 8.04-7.97(m, 2H), 7.930-7.875(m, 2H), 7.502(dd, 1H, J1=4.2, J2=8.7Hz), 7.390-7.315(m, 3H), 7.285-7.090(m, 4H), 6.512(dd, 1H, J1=7.8, J2=38.7Hz), 6.135(dd, 1H, J1=4.2, J2=7.5Hz), 5.733-5.523(m, 2H), 5.110-5.880(m, 4H), 4.583-4.469(m, 5H), 4.120-4.058(m, 1H), 3.682(s, 3H), 3.212(dd, 2H, J1=7.2, J2=12.6Hz), 2.577-2.363(m, 2H), 1.502&1.486(2xs, 9H, Boc), 1.458-1.354(m, 2H), 1.018-0.810(m, 4H).
MS, m/z for C40H45N3O8: 696(M++1)52%; 695(M+)44%; 694(M+-1)100%.
実施例99
実施例98の化合物を通常の方法で脱保護し生成物を得た。
MS, m/z for C35H38N3O6: 596(M+)100%; 597 40%.
【0112】
実施例100
【化71】

実施例97の化合物を通常の方法によりグアニジノ化してこの化合物を得た。
1H-NMR(CDCl3, 300MHz)δ:8.273-8.212(br, 1H), 8.04-7.97(m, 2H), 7.930-7.875(m, 2H), 7.502(dd, 1H, J1=4.2, J2=8.7Hz), 7.3920-7.315(m, 3H), 7.285-7.090(m, 4H), 6.512(dd, 1H, J1=7.8, J2=38.7Hz), 6.135(dd, 1H, J1=4.2, J2=7.5Hz), 5.733-5.523(m, 2H), 5.110-5.880(m, 4H), 4.583-4.469(m, 5H), 4.120-4.058(m, 1H), 3.682(s, 3H, CH3), 3.212(dd, 2H, J1=7.2, J2=12.6Hz), 2.577-2.363(m, 2H), 1.502(s, 9H, Boc), 1.486(s, 9H, Boc), 1.458-1.354(m, 2H), 1.018-0.810(m, 4H).
MS, m/z for C48H59N5O10: 867(M++1)100%; 867 67%; 868 67%.
【0113】
実施例101
メチル(aR/S,2S,5R)-2-アリル-5-2'-アリルオキシ-1,1'-ビナフトキシメチルカルボニルアミノ-3-アザ-9-グアニジノ-4-オキソノナノエート・塩酸塩の調製
【化72】

この化合物は実施例100の化合物を通常の方法により脱保護して調製した。
MS m/z for C38H44ClN5O6: 666(M++1)100%; 667 25%; 668 7%; 664 100%; 665 55%.
【0114】
実施例102
メチル(aR/S,2S,5R)-2-アリル-5-2'-アリルオキシ-1,1'-ビナフトキシメチルカルボニルアミノ-3-アザ-9-グアニジノ-4-オキソノナノエート・塩酸塩の調製
【化73】

この化合物は実施例99の化合物を通常の方法によりグアニジノ化することにより調製した。
【0115】
実施例103
(aR/S,7R,12S)-6,9-ジアザ-3,15-ジオキサ-5,8-ジオキソ-7-(4-グアニジノプロピル)-10-メトキシカルボニル-1(1,2),2(1,2)-ジナフタレナシクロペンタデカファン-12-エン・塩酸塩の調製
【化74】

この化合物は実施例102の化合物を通常の方法により脱保護することにより調製した。
MS m/z for C36H40ClN5O6: 638(M++1)100%; 639 55%
実施例104-113
実施例94-103に対応する一連の化合物(但しエタン酸誘導体ではなくブタン酸誘導体)を各実施例と同様にして調製した。
実施例104
エチル(aR/S)-(2'-アリルオキシ-1,1'-ビナフト-2-オキシ)ブタノエートの調製
MS m/z for C29H28O4: 441(M++1)14.5%; 115(CH2CH2CH2COOC2H5+)100%
実施例105
(aR/S)-(2'-アリルオキシ-1,1'-ビナフト-2-オキシ)ブタン酸の調製
MS m/z for C27H24O4: 412(M++1)77.1%; 395 81.5%; 355(M+-OCH2CHCH2)12.8%; 87(CH2CH2CH2COOH+)100%.
【0116】
実施例106
【化75】

mp. 90℃
1H-NMR (CDCl3, 300MHz)δ:7.985-7.850(m, 4H), 7.466-7.300(m, 4H), 7.238-7.130(m, 4H), 6.558(t, 1H-N, J=7.5Hz), 5.749-5.591(m, 2H, HC=アリル), 5.451(dd, 1H-N, J1=7.5, J2=19.2Hz), 5.117-4.930(m, 4H, OCH2), 4.640-4.540(m, 3H), 4.275-3.840(m, 3H), 3.725,3.693(s, 3H 1:1), 3.08-2.950(m, 2H), 2.578-2.450(m, 3H), 1.965-1.570(m, 10H), 1.442,1.424(s, 9H, Boc, 1:1), 1.363-1.080(m, 2H).
【0117】
実施例107
メチル(aR/S,2S,5R)-2-アリル-10-2'-アリルオキシ-1,1'-ビナフト-2-オキシ)-5-(4-アミノブチル)-3,6-ジアザ-4,7-ジオキソデカノエート・塩酸塩
【化76】

MS m/z for C39H46ClN3O6: 652(M++1)100%; 653 81%; 654 44%.
【0118】
実施例108
【化77】

MS m/z for C42H49N3O8: 724(M++1)76%; 725 40%; 768 100%; 624(M+-Boc)20%; 593 38%; 521 48%.
【0119】
実施例109
【化78】

MS m/z for C37H42ClN3O6: 624(M++1)100%; 625 42%; 622 52%; 623 17%.
【0120】
実施例110
【化79】

MS m/z for C50H63N5O10: 894(M++1)100%; 895 70%; 896 20%.
【0121】
実施例111
メチル(aR/S,2S,5R)-2-アリル-10-(2'-アリルオキシ-1,1'-ビナフト-2-オキシ)-3,6-ジアザ5-(4-グアニジノブチル)-4,7-ジオキソデカノエート・塩酸塩の調製
【化80】

MS m/z for C40H48ClN5O6: 694(M++1)92%; 695 15%; 693 22%; 692 35%.
【0122】
実施例112
【化81】

mp. 95℃
MS m/z for C48H59N5O10: 866(M++1)100%; 867 45%.
【0123】
実施例113
(aR/S,9R,12S)-8,11-ジアザ-9-(4-グアニジノブチル)-12-メトキシカルボニル-1(1,2),2(1,2)-ジナフタレナ-3,17-ジオキサ-7,10-ジオキソヘプタデカファン-15-エン・塩酸塩の調製
【化82】

MS m/z for C38H44ClN5O6: 666(M++1)100%; 667 40%.
【0124】
生物学的試験:
抗菌スクリーニングの一般法
定義
SA:スタフィロコッカスアウレウス(黄色ブドウ球菌)
PA:シュードモナスエルギノーサ(緑膿菌)
KP:クレブシエラニューモニエ(肺炎桿菌)
SP:ストレプトコッカスニューモニエ(肺炎連鎖球菌)
用いた菌株
黄色ブドウ球菌(ATCC6538P)
緑膿菌(ATCC27853)
肺炎桿菌(IP103623)
肺炎連鎖球菌(IP53164)
培地
ミューラー-ヒントン ブロス培地(MHB):最終濃度がMgCl21μg/mL、CaCl22μg/mLとなるようにMHB(Oxoid CM405)を調製した。培地は、あらかじめその使用前に37℃で約2-3時間加温した。
ミューラー-ヒントン 寒天培地(MHA):寒天(Merck Agar1.01614)1.5%を含むMHB
血液寒天(BA):Oxoid PP2001.
【0125】
菌の保存
解凍したクライオバイアルから、緑膿菌、肺炎桿菌および黄色ブドウ球菌をミューラー-ヒントン 寒天培地(MHA)上に、肺炎連鎖球菌を血液寒天(BA)上にそれぞれ画線し、プレートを37℃で終夜培養した。20%グリセロール溶液0.5mLにいくつかのコロニーをひとまとめにし、それぞれの菌株に対して10のクライオバイアルを調製した。これらは直ちに-140℃で冷凍保存した。
種培養の調製
クライオバイアルを-140℃の保存庫より取り出し室温にて解凍した。MHAプレートを菌懸濁液1白金耳量で画線し、37℃で終夜培養して親プレート(P1)を作製した。娘プレート(D1)を親プレートで画線し、37℃で終夜培養した。親プレートは4℃で保存した。娘プレートより、コロニーのループをミューラー-ヒントン ブロス培地(MHB)20mL(CaCl2 2H2O 25μg/mLおよびMgCl2 6H2O 12.5μg/mLを含む)を含む125mLフラスコに播種した。そのフラスコを260rpm、37℃で18時間、軌道培養振盪器を用いて振盪した。親プレートは9日間別の娘プレート(D2)作製のために再使用し、該娘プレートはブロス培養の播種のために使用した。親プレートは、以前に解凍したクライオバイアルから新しい親プレートを作製するまで、二回(D1およびD2作製のため)使用した。第二の親プレート(P2)は、上記に概略を示した方法により二つの追加的な娘プレート作製のために用いてから廃棄した。クライオバイアルは、親プレート(P1およびP2)作製のため二回使用してから廃棄した。
試験用標準化接種菌液の調製
使い捨てキュベット中のMHB2,250μLに対して250μLの種培養を加え、種培養10倍希釈液を作製する。OD650を計測し、該OD650値に10の因子を乗じて非希釈培養液の光学密度を計算する。観測したOD650値を各菌株についての標準OD650値(試験最適化の検討により前もって決定済みのもの)で割ることにより、必要な希釈因子を計算する。
【0126】
【表1】

続く例で示すように、標準化接種菌液10mLを調製する。
計算の例(肺炎桿菌の場合)
OD650=0.652 (1/10希釈)
10 x 0.652 = 6.52
∴6.16/6.52 = 0.94
【0127】
この場合最初の希釈として、肺炎桿菌の種培養0.94mLをMHB 9.06mLに加える。
標準化培養を必要な最終濃度にまで希釈することにより、前もって加温(37℃)したMHB中に十分な量の最終接種菌液を調製する。各菌株についての最終希釈は以下の通りであった:
肺炎桿菌 106希釈
緑膿菌 106希釈
黄色ブドウ球菌 108希釈
肺炎連鎖球菌 104希釈
【0128】
試験方法(96ウェル マイクロタイタープレート)
96ウェル マイクロタイタープレートの各ウェルに50μLの液体培地を加える。被験試料を液体培地に溶解する。被験試料50μLをマイクロタイタープレートの最初の列に加え、その中にはバンコマイシンの対照を含む。また、陰性対照化合物のウェルも含む。
接種培地を37℃で30分間培養し130rpmで振盪する。マルチチャネルピペットを用いて最初の列の内容物をよく混合してから、その混合ブロス溶液50μLを次の列へ移す。チップを交換し、同じ操作を繰り返して最終列が希釈された化合物又は対照を含むようにし、その50μLを取り出して廃棄する。その結果、各ウェルは希釈された化合物又は対照を含む培地50μLで満たされている。マルチステッパーピペットを用いて接種菌液50μLを各ウェルに加え、陰性対照化合物を含む一列は別にしてこの列には液体ブロス50μLを加える。プレートを37℃で18時間、相対湿度約90%の環境下、100rpmで振盪して培養する。結果は、菌の生育を阻止する化合物の最高希釈で記録した(MIC)。
本発明化合物は、1−250μg/mLのMICを示した。
黄色ブドウ球菌に対する化合物の結果
【0129】
【表2】

【0130】
参考文献
1. S. C. Stinson, Chem. & Eng. News, 1996, 75.
2. S. J. Brickner, Chemistry & Industry, 1997, 131.
3. T Kaneko, R G Linde II, W. -G. Su, Ann. Rep. Med. Chem., 1999, 34, 169
4. P. Groves, M. S. Searle, I. Chicarelli-Robertson, D. H. Williams, J. Chem. Soc. PerkinI, 1994, 659.
5. R. J. Dancer, A. C. Try, G. J. Sharman, D. H. Williams, J Chem. Soc. Chem. Commun., 1996, 1445.
6. D. H. Williams, B Bardsley, Angew. Chem. 2nd Ed., 1999, 38, 1173.
7. K. Nakamura et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36, 8625 and 8629.
8. M. Ezaki et al., J. Antibiot., 1985, 38, 1453.
9. P. H. Popieniek, P. R. Pratt, Anal. Biochem. 1987, 165, 108.
10. D. S. Lingerfelter, R. C. Helgeson, D. J. Cram, J. Org. Chem. , 1981, 46, 393.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

〔式中、Aは芳香族環若しくはヘテロ芳香族環またはその全部若しくは一部が還元された誘導体であり;
Qは、水素原子であるか、またはひとつ以上の水酸基で置換されたC−C12の直鎖、分枝鎖若しくは環状アルキルまたは一糖若しくは二糖残基であって;
Zは、−CR1011−、−NR12−、−C(O)O−、−C(O)NR12−又は−O−であって、ここでR10およびR11は、水素原子、水酸基、C−Cアルキル、C−C10アリール、C−Cアルコキシおよび−N(R13よりそれぞれ独立して選択され、各R13は水素原子又はC−Cアルキルより選択され、R12は水素原子又はC−Cアルキルより選択され;
は、水素原子、水酸基、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−N(R13および−N(R12)−COR14より選択され、ここでR12およびR13は上記のとおりであり、R14は水素原子、水酸基、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−NR12より選択され;
は、水素原子、水酸基、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−N(R13および−N(R12)−COCHR2a2bより選択され;R2aおよびR2bは水素原子、水酸基、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−N(R13および−N(R12)−COR14より選択され、R12、R13およびR14は上記と同様であり;
、RおよびRは、水素原子、C−Cアルキル、α−アミノ酸(エナンチオマー若しくはその誘導体を含む)のα位側鎖から独立して選択され;
は、−CO15、−CONHR16、−CONHOR16、−CONHNHR16、−SON(R16、SO17、−P(O)(OR18)(OR18)であって、R15、R16、R17およびR18は水素原子、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−C10アリール、C−C10アリールアルキルより独立して選択され;
Bは、α-アミノ酸残基、β-アミノ酸残基又はα,α-二置換アミノ酸残基であって、隣接する部分とアミド結合を形成し;
Wは、−O−又はCR1011であって、R10およびR11は上記の定義の通りであり;
Yは、置換基を有することのあるアミノ基または置換基を有することのあるアミノ基若しくはその塩を含む原子団であり;

【化2】

は、単結合又は二重結合を表し;
とR8aは水素原子を表すか、又は該線
【化3】

が二重結合を表す場合はRとR8aは存在せず;
8bとRは水素原子で、Xは、(CR1011)、−(CR1011)−CH=CH−、NR12(CR1011)−、−(CR1011)NR12、−O(CR1011)、−(CR1011)O−、−O(CR1011)CH=CH−より選択され、ここでR10、R11およびR12は上記の定義の通りであり;
またはR8bとRは一緒になって、R8bが結合している炭素原子とXとをつなぐ共有結合を形成し;Xは、(CR1011)、−NR12(CR1011)−、−(CR1011)NR12−、−O(CR1011)−および−(CR1011)O−より選択され、ここでR10、R11およびR12は上記の定義の通りであり;
n、m、r、tは独立して0又は1より選択され;
sは0から3より選択される整数であり;
pは0から6より選択される整数であり、Wが−O−である場合はpは少なくとも1であり;u、xおよびqは独立して0から4より選択される整数である〕
の化合物、その塩およびその薬学的に許容される誘導体。
【請求項2】
式(IA):
【化4】

〔式中、A、Q、Z、R2a、R2b、R、B、W、Y、R、R、R、R、R8a、R8b、R、X、r、s、n、m、p、qおよびtは上記の定義に同じ〕
で表される請求項1の化合物。
【請求項3】
Aが、置換基を有することのあるモノアリール又は置換基を有することのある縮合したジアリール、ポリアリール若しくはヘテロアリールであって該置換基はひとつ以上のC−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、アミノ、C−Cアルキルアミノ、C−C6ジアルキルアミノ、ハロ、C−Cハロアルキル(例えばトリフルオロメチル)、ニトロ、ニトリル、スルホニルスルホンアミド、アルキルスルホニル、アリールスルホニル又はカルボキシから選択される、請求項1の化合物。
【請求項4】
Aが、置換基を有することのあるフェニル、フルオレン、フェナントレン、インドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、カルバゾール、キノリン、イソキノリン、ジベンズアゼピン又はジベンズアゾシンである請求項3の化合物。
【請求項5】
Aが、置換基を有することのある1,4−結合フェニル、1,3−結合フルオレンまたは3,6−結合9H−カルバゾールである請求項4の化合物。
【請求項6】
Aが、置換基を有することのある架橋若しくは結合したジアリール、ポリアリール若しくはヘテロアリール又はそのアトロプ異性体であって該置換基はひとつ以上のC−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、アミノ、C−Cアルキルアミノ、C1−C6ジアルキルアミノ、ハロ、C−Cハロアルキル(例えばトリフルオロメチル)、ニトロ、ニトリル、スルホニルスルホンアミド、アルキルスルホニル、アリールスルホニル又はカルボキシから選択される、請求項1の化合物。
【請求項7】
Aが、置換基を有することのあるビフェニル若しくはビナフチル又はそのアトロプ異性体である請求項6の化合物。
【請求項8】
Qが水素原子である請求項1の化合物。
【請求項9】
Zが、−CH−又は−O−である請求項1の化合物。
【請求項10】
sが0、1又は2であり、各Rが独立して水素原子又はヒドロキシより選択される請求項1の化合物。
【請求項11】
が、水素原子、ヒドロキシ又は−N(R12)COR2a2bである請求項1の化合物。
【請求項12】
が、水素原子である請求項1の化合物。
【請求項13】
Bが存在しないか、又はD−若しくはL−アラニン残基、D−リジン残基、D−アルギニン残基又はD−ホモアルギニン残基である請求項1の化合物。
【請求項14】
Yが、−N(R13)、−N(R12)−COR14、−NR13C(=NR13)N(Rl3)、−C(=NR13)N(R13)、−NR13C(=O)N(R13)、−N=NC(=NR13)N(R13)、NR13NR13C(=O)NHN(R13)および−NR13C(=)NHN(Rl3)よりなる群から選択され、ここでR12およびR13は独立して水素原子、C−Cアルキルより選択され、R14は水素原子、ヒドロキシ、C1−C6アルキル、C−Cアルコキシ、NR12、およびNを含む3−8員環より選択されるところの、請求項1の化合物。
【請求項15】
Yが置換基を有さないアミノ基、グアニジノ基またはその塩酸塩である請求項14の化合物。
【請求項16】
がCO15であり、R15がC−Cアルキル又はC−C10アリールアルキルである請求項1の化合物。
【請求項17】
15がメチル又はベンジルである請求項16の化合物。
【請求項18】
8bとRが水素原子であり、Xが−(CR1011)−、−O(CH)−、−CH=CH−、−O(CR1011)CH=CH−又は−CR1011−CH=CH−であって、R10とR11が水素原子であり、uが2又は3である請求項1の化合物。
【請求項19】
8bとRが一緒になって、R8bが結合している炭素原子とXとをつなぐ共有結合を形成し、Xが、−(CR1011)−又は−O(CH)−であり、R10とR11が水素原子でありxが1から4の整数である請求項1の化合物。
【請求項20】
メチル(2S,5S,8R/S)-8-アセタミド-2-アリル-9-[6-アリル-9-t-ブトキシカルボニル-9H-カルバゾール-3-イル]-3,6-ジアザ-5-{3-[(2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル)-グアニジノ]プロピル}-4,7-ジオキソノナノエート、
6-アセタミド-8,11-ジアザ-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・塩酸塩 (9S,12S)、
6-アセタミド-8,11-ジアザ-14-エン-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・HCl (9R,12S)、
6-アセタミド-8,11-ジアザ-9-(3-グアニジノプロピル)-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・塩酸塩(9R,12S)、
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-1-t-ブトキシカルボニル-14-エン-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・塩酸塩(9S,12S)、
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ-[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・塩酸塩(9S,12S)、
メチル(2S,5S,8R/S)-8-アセタミド-5-(4-アミノブチル)-3,6-ジアザ-9-{9-[(4-メトキシフェニル)メチル]-6-プロピル-9H-カルバゾール−3-イル}-4,7-ジオキソ-2-プロピルノナノエート・塩酸塩、および
6-アセタミド-9-(4-アミノブチル)-8,11-ジアザ-12-メトキシカルボニル-7,10-ジオキソ−[12](3,6)-1H-カルバゾロファン・塩酸塩・(9R,12S)の化合物より選択される請求項1の化合物。
【請求項21】
ひとつ以上の薬学的に許容される担体若しくはアジュバントとともに、請求項1に記載の式(I)の化合物、その塩又はその薬学的に許容される誘導体よりなる組成物。
【請求項22】
請求項1に記載された式(I)の化合物、その塩又はその薬学的に許容される誘導体を投与することよりなる、哺乳類の細菌感染症を治療する方法。
【請求項23】
哺乳類がヒトである、請求項22の方法。
【請求項24】
細菌感染症がグラム陽性菌によるものである、請求項23の方法。
【請求項25】
細菌感染症がバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌によるものである、請求項23の方法。
【請求項26】
細菌感染症治療のための薬物の製造における、請求項1の式(I)の化合物の使用。

【公開番号】特開2009−108054(P2009−108054A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266473(P2008−266473)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【分割の表示】特願2003−508926(P2003−508926)の分割
【原出願日】平成14年6月28日(2002.6.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【出願人】(504003260)ユニバーシティ・オブ・ウーロンゴン (4)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF WOLLONGONG
【Fターム(参考)】