説明

ペリクル収容容器

【課題】容器本体の所定位置に固定した状態のペリクルを蓋体で被覆して異物付着を防止しつつ、輸送中にも前記固定状態を確実に維持でき、且つ前記固定状態を簡単に解除してペリクルの取り出しを可能とするペリクル収容容器を提供する。
【解決手段】ペリクル16を載置した容器本体12と蓋体14とから構成され、ペリクルフレーム16aの凹部26に、先端部28aを挿入した状態で回動可能のピン28と、容器本体12に設けた、ペリクルフレーム16aの凹部26から先端部28aが抜き出し可能にピン28を装着するピン装着部32と、容器本体12に被着した蓋体14の外側からピン装着部32のピン28を回動できるように蓋体14に形成した開口部14aと、開口部14aの閉塞板40とを備えたペリクル固定部18を複数設置し、ピン装着部32に装着したピン28を所定角度回動して、ピン28を保持する突起部30と切欠部32bとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス、プリント基板或いは液晶ディバイスディスプレイ等の製造に使用される、ペリクル膜がペリクルフレームに貼着されたペリクルを収容するペリクル収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIや超LSI等の半導体製造或は液晶ディスプレイ等の製造において、半導体ウエハー或いは液晶用原板に光を照射してパターンを作製するリソグラフィーの作業が行われる。この際に、フォトマスク或いはレチクルにゴミが付着していると、このゴミが光を吸収したり光を曲げてしまうために、転写したパターンが変形したり、エッジががさついたものとなる他、下地が黒く汚れたりする等の現象が発生することがある。かかる作業は通常クリーンルームで行われているが、それでもフォトマスクを常に清浄に保つことが難しいため、透明なペリクル膜がペリクルフレームに貼着されたペリクルが使用されている。このペリクルをフォトマスク上に載置して露光を行うことにより、異物はフォトマスクの表面には直接付着せず、ペリクル膜上に付着するため、リソグラフィーの際に、焦点をフォトマスクのパターン上に合わせておけば、ペリクル膜上の異物は転写に無関係となる。
【0003】
かかるペリクルは、それ自体に異物が付着すると、フォトマスクへの異物付着にも繋がるため、高い清浄性が求められる。このため、その保管や輸送の際には、ペリクル収容容器が用いられる。かかるペリクル収容容器或いはペリクルの収容方法として、例えば下記特許文献1、2、3に記載されているものがある。具体的には、特許文献1に、硬質樹脂製の容器本体の内底部にペリクル枠の他側面を密接載置するようになっていて、容器本体の内底部に、内底部上に載置されたペリクル枠を周囲から保持する複数の支持体を点在して立設し、さらに、容器本体上を硬質樹脂製の蓋体で開閉自在に覆い、この蓋体は、閉蓋時に内底部上に載置されたペリクル枠の前記一側面に当接する当接部をその内面に有するペリクル用容器が記載されている。
【0004】
特許文献2に、枠体と、該枠体の上縁面に接着されたペリクル膜と、該枠体の下縁面に塗着した粘着材と、該粘着材を保護するために枠体の下面に粘着された保護フィルムからなる大型ペリクルをトレイと蓋とよりなるケースに収納する方法に於いて、前記大型ペリクルの保護フィルムの外周縁の一部或は全部を外側に突出させて押え代を形成し、かつ該押え代を粘着テープを介して該トレイに固定して大型ペリクルをケース内に収納することが記載されている。
【0005】
特許文献3に、ペリクルを載置する容器本体と、ペリクルを被覆すると共に容器本体と互いに周縁部で嵌合係止する蓋体と、前記容器本体に接合されている金属部品と、ペリクルフレームの互いに平行な一組の辺のそれぞれの外側面に少なくとも1つ設けられた合計3つ以上の穴にそれぞれ挿入される同数のフレーム保持ピンと、前記フレーム保持ピンを位置決めする位置決め部品と、からなるペリクル収納容器において、前記位置決め部品は前記金属部品に機械的に固定されているペリクル収納容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平6−45965号公報
【特許文献2】特開2004−361647号公報
【特許文献3】特許第4391435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたペリクル用容器は、射出成型で形成でき、部品点数が少ないという利点があり、半導体用ペリクルの収納用として使用できる。しかし、このペリクル用容器は、蓋体及び容器本体のどちらも高精度で成形されている必要があるため、辺長が500mmを超えるような液晶用ペリクルの収納用としては使用されない。このような大型の容器を真空成型では精度良く形成できないことに加え、容器自体の剛性確保が難しい。このため、容器の取扱い時や搬送時に容器の変形が惹起され、容器とペリクルフレームとの擦れが生じて発塵し、品質の低下を招き易いからである。
【0008】
かかる辺長が500mmを越えるような大型のペリクルの収納容器としては、特許文献2に記載されているように、マスク粘着層を保護するライナーの一部を外側に突出させ、粘着テープにより容器本体に固定すること、或いは特許文献3に記載されているように、ペリクルフレーム外側面に設けた凹部にピンを挿入して容器本体に固定することにより、ペリクルを容器本体に確実に固定できる方法が提案されている。
【0009】
しかしながら、特許文献2のように、ペリクルの保護フィルムの外周縁の一部或は全部を外側に突出させた押え代を粘着テープで容器本体に貼付固定する場合、その作業は人手で行わざるを得ず、清浄な状態でトレイ上に固定するのが難しい。更に、粘着テープを剥がして取り出す際に、人手がペリクルフレーム付近に接近して異物付着の懸念がある。
【0010】
一方、特許文献3のように、ペリクルフレーム外側面の穴にピンを挿脱してペリクルを容器本体に着脱する場合、ペリクルの脱着に際に、さほど人手がペリクルに接近せず、異物付着が少ない。
【0011】
しかし、ペリクルを収納したペリクル収納容器を輸送する際には、ペリクルフレーム外側面の穴に挿入したピンの挿入位置を維持し続ける必要がある。このようにピンの挿入位置を維持するには、ピンを更に他のネジ等の締結手段で固定する固定手段、或いはピンを若干テーパー状に形成して嵌め合わせ、その摩擦力で固定する固定手段が考えられる。しかし、ネジ等の締結手段でピンを固定する場合は、ピンを固定する点では確実であるが、発塵の恐れがある。また、ピンを若干テーパー状に形成して摩擦力で固定する場合は、摩擦力を適切な大きさに調節することが難しく、信頼性に欠けるところがある。
【0012】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、容器本体の所定位置に固定された状態のペリクルを蓋体で被覆して異物付着を防止しつつ、輸送中にも前記固定状態を確実に維持でき、且つ蓋体を閉じた状態で前記固定状態を解除した後、蓋体を開いてペリクルの取り出しができるペリクル収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載されたペリクル収容容器は、ペリクル膜がペリクルフレームに貼着されたペリクルが載置される容器本体と、前記ペリクルを被覆するように前記容器本体の周縁部で嵌め合い係止される蓋体とから構成されるペリクル収容容器であって、前記ペリクル収容容器には、前記容器本体に載置された前記ペリクルフレームの外側面に形成された凹部に、先端部が挿入された状態で回動可能のピンと、前記容器本体に装着され、前記ペリクルフレームの凹部から前記先端部が抜き出し可能に前記ピンが装着されるピン装着部と、前記容器本体に被着された前記蓋体の外側から前記ピン装着部の前記ピンを回動できるように前記蓋体に形成された開口部と、前記開口部の閉塞部材とを備えたペリクル固定部が複数個設置され、前記ピン装着部に装着され、前記先端部が前記ペリクルフレームの凹部に挿入された前記ピンを所定角度回動したとき、前記ピンの先端部が前記凹部から抜け出なくするように、前記ピンを保持するピン保持手段が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載されたペリクル収容容器は、請求項1に記載されたものであって、前記ピン保持手段が、前記ピンに形成されている突起部と、前記ピン装着部に形成され、前記ピンが所定角度回動して前記突起部と係止する切欠部とから構成されることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載されたペリクル収容容器は、請求項1に記載されたものであって、前記容器本体に被着された前記蓋体の開口部を閉塞する前記閉塞部材には、前記容器本体に載置された前記ペリクルフレームの凹部に先端部が挿入された前記ピンの回動を防止する回動防止部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載されたペリクル収容容器は、請求項3に記載されたものであって、前記回動防止部が、前記蓋体の開口部を閉塞する閉塞板に突設された柱状部と、前記柱状部の先端部に形成された、前記ピンの後端部と係合する係合部と、前記蓋体に設けられ、前記開口部に前記柱状部が挿入された前記閉塞板を保持する閉塞板保持部とから構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載されたペリクル収容容器は、請求項2に記載されたものであって、前記ピンが30〜180度回動したとき、前記ピンの突起部と前記ピン装着部の切欠部とが係止されることを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載されたペリクル収容容器は、請求項1〜5のいずれか一項に記載されたものであって、前記ピンの先端部に、前記ペリクルフレームとの当接の緩衝部材としての弾性体が設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載されたペリクル収容容器は、請求項1〜6のいずれか一項に記載されたものであって、前記ピンの後端面に、前記ピンの回動用の工具が挿入される工具用凹部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るペリクル収容容器は、簡便な構造でありながらペリクルを容器本体に固定したピンを確実に保持することができ、輸送中にピンが脱落等してペリクルの固定が外れることがなく、且つ収容したペリクルに破損や異物付着のおそれのない信頼性の高いものである。また、ペリクル収容容器からペリクルを取り出す際には、蓋体を容器本体に被着した状態で、閉塞部材を除去して開口した蓋体の開口部を利用し、ピンを所定角度回動してピン装着部から取り外すことにより、ペリクルの固定を解除できる。固定が解除されたペリクルはペリクル収容容器本体から簡単に取り出すことができる。このように極めて簡便な操作でペリクル収容容器からペリクルの取出しが可能となり、取り出し作業に伴うペリクルへの異物付着のおそれも少ない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るペリクル収容容器の一例を示す正面図である。
【図2】図1に示すペリクル収容容器のX−X面での横断面図である。
【図3】図2に示すペリクル収容容器10のペリクル固定部18を含む部分の拡大部分断面図である。
【図4】図3に示すピン28の斜視図である。
【図5】図3に示すピン装着部32の斜視図である。
【図6】図3に示す閉塞板部材としての閉塞板40の斜視図である。
【図7】図3に示す閉塞板保持部42の斜視図である。
【図8】図4に示すピン28をピン装着部32に装着する様子を説明する斜視図である。
【図9】ピン28が装着されたピン装着部32に、閉塞板保持部42に設けられた蓋体14が被覆された状態を説明する斜視図である。
【図10】図9に示す蓋体14の閉塞板保持部42に閉塞板40が装着された状態を説明する斜視図である。
【図11】ぺリクル収容容器10内からピン28を抜き出す状態を説明する斜視図である。
【図12】ピン装着部に装着したピンを装着孔の摩擦力を利用して保持する比較例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0023】
本発明に係るペリクル収容容器の一例を図1に示す。図1に示すペリクル収容容器10は、長方形状の容器本体12と蓋体14とから成る。このペリクル収容容器10の容器本体12の中央部に、図1のX−X面での横断面図である図2に示すように、ペリクル16が収容されている。ペリクル16は、長方形状のアルミニウム等の金属製のペリクルフレーム16aに透明なフッ素樹脂等のペリクル膜16bが貼着されているものである。ペリクル16が載置されている容器本体12は、図2に示すように、容器本体12の底部にリブ12a,12aを形成して補強されている。かかる容器本体12と蓋体14とは、ABS樹脂(アクリルニトリルブタジエンスチレン樹脂)やアクリル等の合成樹脂シートを真空成型したものが用いられる。真空成型方法は、金型に加熱した樹脂シートを被せ、真空引きするだけで大型容器も容易に成形が可能であるからである。これに対して、一箇所又は数箇所のゲートから金型内に樹脂を高速注入する射出成形方法では、樹脂の流れる距離が長すぎるため、大型容器の製造が困難となる傾向にある。
【0024】
この容器本体12と蓋体14とは、図2に示すように、その周縁部で嵌め合って係止され一体化されている。かかるペリクル収容容器10内には、図3に示すようにライナー22とマスク粘着層24とを介して容器本体12の中央部に載置されたペリクル16が収容されている。このペリクル16は、図1に示すように、ペリクル収納容器10の長辺側の角部近傍の4箇所に設けられたペリクル固定部18によって固定されている。ペリクル固定部18は、図3に示すように、ピン28と、容器本体12の長辺側に沿って形成された平坦面20の角部近傍に配設されたピン装着部32と、蓋体14に開口する開口部14aと、開口部14aを閉塞する閉塞部材としての閉塞板40と、閉塞板40を保持する閉塞板保持部42とから構成される。
【0025】
かかるピン28は、容器本体12の所定位置に載置したペリクルフレーム16aの側面に開口した凹部26に先端部を挿入した状態で回動可能である。このピン28は、その先端部がペリクルフレーム16aの凹部26に抜き出し可能にピン装着部32に装着されている。このようにピン装着部32に装着されたピン28は、蓋体14の開口部14aを経由して抜き出しできる。かかる開口部14aは、蓋体14に装着された閉塞板保持部42で保持される閉塞板40により閉塞される。このため、ペリクル収納容器10内に開口部14aから塵埃等が入り込むことを防止できる。かかる閉塞板40の一面側に、図3に示すように、ピン装着部32に装着されたピン28の回動を防止する回動防止部として、ピン28の後端部の端部と凹凸係止する係止部が先端部に形成された柱状部44が突設されている。
【0026】
ピン28は、図4に示すように、先端部28a,中間部28b、後端部28cとから形成され、中間部28bと後端部28cとの間に、ピン28の保持手段を構成する突起部30が形成されている。突起部30は、先端部が先細状の傾斜面に形成されている。ピン28の後端部28cは、ピン28に回動等を施す操作部であって、先端部28a及び中間部28bよりも太く形成されている。かかる後端部28cの端部は、回動防止部としての柱状部44の先端部と凹凸係止する凸部28dに形成されている。更に、凸部28dの端面には、ピン28の回動用の工具が挿入される工具用凹部36が形成されている。図4に示す工具用凹部36は、六角レンチの先端部を挿入できるように六角形に形成されている。また、ピン28の中間部28bは、先端部28aよりも太く形成されており、ピン28の先端部28aと中間部28bとの境界に段差28eが形成されている。この段差28eが、ペリクルフレーム16aの側面と当接する。かかる段差28eとペリクルフレーム16aの側面と当接を緩和する緩衝部材として、段差28eにリング状の弾性体34が装着されている。弾性体34としては、ニトリルゴム、エチレンプロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴムを利用できる。
【0027】
かかるピン28は、樹脂を射出成型、トランスファー成型等で一体成型で製作できる。材質としては、エポキシ樹脂、ABS樹脂(アクリルニトリルブタジエンスチレン樹脂)、PPS樹脂(ポリフェニレンスルファイド樹脂)、PE樹脂(ポリエチレン樹脂)、PEEK樹脂(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)等を用いることができ、必要に応じてガラス繊維などのフィラーなどを混入して強度を向上させることも好ましい。
【0028】
ピン28が回動可能で且つ抜出可能に装着されるピン装着部32は、図3に示すように、容器本体12の平坦面20に取り付けられるものである。かかるピン装着部32は、図5に示すように、四面体であって、ピン28に形成された突起部30及び後端部28cが挿入されるU字溝32aの一端が四面体の一面側に開口されている。このU字溝32aの他端は、四面体の中央部近傍に形成された四角形状の切欠部32bの内壁面の一面側に開口されている。かかる切欠部32bは、ピン28の突起部30とピン保持手段を構成し、ピン28の中間部28bと後端部28cとの間に形成された突起部30が回動可能に挿入される。更に、切欠部32bの内壁面であって、U字溝32aの他端が開口された一面側に対応する他面側には、ピン28の先端部28a及び中間部28bの一部が挿通される孔32cが開口されている。かかるピン装着部32に抜出可能で且つ回動可能に装着されたピン28を所定方向に回動することにより、ピン28の突起部30の外周面の一部と切欠部32bの内壁面の一部とが当接し、ピン28をピン装着部32から抜き出しができないように係止して保持できる。
【0029】
ピン装着部32は、樹脂を射出成型、トランスファー成型等で一体成型で製作できる。材質としては、エポキシ樹脂、ABS樹脂(アクリルニトリルブタジエンスチレン樹脂)、PPS樹脂(ポリフェニレンスルファイド樹脂)、PE樹脂(ポリエチレン樹脂)、PEEK樹脂(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)等を用いることができる。かかるピン装着部32は、容器本体12の長辺に沿って形成された平坦面20の所定箇所に取り付ける。この際に、後述する図9に示すようにピン装着部32にピン28が装着されたとき、ピン28の先端部28aがペリクルフレーム16aの凹部26に挿入される位置とする。かかる取り付けは、ネジ等の締結手段で行う。この締結手段としては、ピン装着部32中に金属のインサート部品などでメスネジ部を設け、容器本体12の外側からボルト固定することが、ペリクル収容容器10内に、ネジ等の部品が露出することがなく、クリーン度維持の点から好適である。更に、ボルト固定は、樹脂ワッシャ等を介して固定するのが好ましく、特に、ピン装着部32を容器本体12に固定した後、更に樹脂部品同士の接線部を有機溶剤などで溶解して接着することが発塵防止の点から好ましい。
【0030】
かかるピン装着部32に図3に示すように回動可能に装着されたピン28は、その後端部28cの端部に形成した凸部28dが、閉塞板40の一面側に突設された柱状部44の先端部と凹凸係合し、ピン28の回動を防止している。かかる柱状部44の先端部は、図6に示すように、コ字状の切欠部44aに形成されている。かかる切欠部44aは、図3に示すように、ピン28の凸部28dと凹凸係合するものである。この柱状部44の切欠部44aと凸部28dとは、ピン28が回動してピン装着部32に保持されたとき、図3に示すように、略水平状態となった凸部28dに切欠部44aが凹凸係合するように位置調整されていることが好ましい。
【0031】
図6に示す閉塞板40は、図7に示す閉塞板保持部42に保持される。閉塞板保持部42は、蓋体14の外側面に取付孔42d、42dに挿入されるボルト等で締結される板部42aに凹溝42bが形成されている。この凹溝42bの底面に、蓋体14に形成された開口部14a(図3)と連通される貫通孔42cが開口されている。かかる凹溝42bは、図6に示す閉塞板40が挿入され、その際に、閉塞体40に突設されている柱状部44が貫通孔42cに挿入される。
【0032】
図6に示す柱状部44が突設された閉塞板40及び図7に示す閉塞板保持部42は、ステンレス鋼、アルミニウム合金等で製作することも可能であるが、発塵防止及び蓋体14との密着性の観点から、ABS樹脂(アクリルニトリルブタジエンスチレン樹脂)、PPS樹脂(ポリフェニレンスルファイド樹脂)、POM樹脂(ポリオキシメチレン樹脂)、PA樹脂(ポリアミド樹脂)等を射出成型、トランスファー成型或いは機械加工によって製作することが好ましい。また、閉塞板保持部42は、蓋体14にボルト、ナット等のネジ締結機構、接着、或いは両者の併用で固定することが好ましい。特に、ボルト締結したうえで、閉塞板保持部42と蓋体14との間隙を溶剤での溶解、或いは接着剤の充填により完全に封止することが好ましい。
【0033】
図5に示すピン装着部32は、図3に示すように、中央部にペリクル16が載置された容器本体12の平坦面20に取り付けられている。かかるピン装着部32に、図8に示すようにピン28が抜き出し可能に装着されている(図8では、容器本体12の平坦面20の記載を省略した)。このピン28のピン装着部32への装着は、蓋体14の容器本体12への被着前に行われ、図8に示すように、その突起部30をU字溝32aから切欠部32bに挿入すると共に、後端部28cをU字溝32aに挿入する。ピン装着部32から突出した先端部28aは、図3に示すように、容器本体12に載置されたペリクルフレーム16aの凹部26に挿入される。この際に、ピン28の段差28eが、リング状の弾性体34を介してペリクルフレーム16aの側面と当接する。
【0034】
図8に示す状態のピン28は、先端部28aをペリクルフレーム16aの凹部26から引き抜くことができる。このため、図8に示す矢印の方向にピン28を回動し、突起部30を、図9に示すように、突起部30と切欠部32bの内壁面とを係止する。かかる係止によって、ピン28はピン装着部32に保持されて引き抜くことができなくなり、図3に示すように、ペリクル16はペリクル収容容器10の所定位置に固定される。
【0035】
一方、突起部30と切欠部32bとの係止を解除する際には、ピン28を図8に示す矢印と反対方向に回動することによって、突起部30と切欠部32bとの係止を解除でき、ピン28の先端部28aをペリクルフレーム16aの凹部26から抜き出すことができる。かかる突起部30と切欠部32bとの係止又はその解除のためのピン28の回動角は、操作性や係止の確実性の観点等から30〜180度、特に45〜90度の範囲とすることが好ましい。このピン28の回動は、ピン28の後端面に形成した工具用凹部36に六角レンチの先端部を挿入して行ってもよい。
【0036】
図8に示すようにピン装着部32にピン28を保持した後、容器本体12に蓋体14を被着する。この蓋体14には、図9に示すように、閉塞板保持部42を構成する板部42aが取付孔42d、42dに挿入されたボルト等で締結されている。板部42aに形成された凹溝42bの底面に開口された貫通孔42cは、蓋体14の開口部14a(図3)と連通されている。かかる貫通孔42c及び開口部14aは、図10に示すように閉塞板保持部42の凹溝42bに、図6に示す閉塞板40を挿入することによって閉塞できる。かかる貫通孔42c及び開口部14aの閉塞によって、ペリクル収容容器10内を密閉状態にできる。この閉塞板40を凹溝42bに挿入する際に、閉塞体40に突設されている柱状部44は、貫通孔42c及び蓋体14の開口部14aを通過し、図10に示すように、その先端部に形成された切欠部44aとピン28の凸部28dとを凹凸係合する。かかる凹凸係合によって、ピン装着部32に装着されたピン28は回動できなくなり、ペリクル16を収容・固定したペリクル収容容器10を輸送等に供しても、ピン28が回動してペリクル16の固定が解除されるおそれを解消できる。図10に示す凹溝42bに挿入した閉塞板40は、粘着テープ48の貼着によって凹溝42bから外れることを確実に防止している。
【0037】
図1〜図10に示すペリクル収容容器10によれば、容器本体12に取り付けられたピン装着部32に、先端部28aを容器本体12に載置したペリクルフレーム16aの凹部26に挿入しつつ、ピン28を装着した後、ピン28を回動することによって、ペリクル16を容器本体12に確実に固定できる。次いで、閉塞板保持部42が装着された蓋体14を容器本体12に被着した後、蓋体14の開口部14a及び閉塞板保持部42の貫通孔42cを閉塞板40によって閉塞し、ペリクル収容容器10内を密閉状態とすると共に、閉塞板40に突設されている柱状部44の先端部の切欠部44aとピン28の後端部28cに形成された凸部28dとが凹凸係合し、ピン28の回動を防止する。このため、ペリクル16が収容されたペリクル収容容器10を輸送に供しても、輸送中の振動等によってピン28が回動することを防止でき、輸送中にピン28が脱落等してペリクル16の固定が外れることを確実に防止できる。かかるペリクル収容容器10は、密閉状態で収容したペリクル16に破損や異物付着のおそれのない信頼性の高いものである。
【0038】
また、ペリクル収容容器10からペリクル16を取り出す際には、最初に粘着テープ48を剥離して閉塞板40を閉塞板保持部42の凹溝42bから閉塞板40を取り外す。その際に、閉塞板40に突設されている柱状部44も、閉塞板保持部42の貫通孔42c及び蓋体14の開口部14aから抜き出され、貫通孔42c及び開口部14aが解放される。次いで、解放された貫通孔42c及び開口部14aから六角レンチ46を挿入し、ピン28の後端面の工具用凹部36に先端部を挿入した六角レンチ46を所定角度回動することによって、ペリクル16の固定状態を解除できる。このため、図11に示すように、蓋体14を容器本体12に被着した状態でピン28をピン装着部32から取り外すことができる。更に、蓋体14を開くことによってペリクル16を容器本体12から取り出すことができる。このため、ペリクル収容容器10からのペリクル16の取り出しの際に、ペリクル16の破損や異物付着のおそれを解消しつつ、ペリクル16の取出し作業を簡単に行うことができる。
【0039】
図1〜図6に示すペリクル収容容器10では、その長辺の各角部近傍に配設した4個のペリクル固定部18によって、収容したペリクル16を固定しているが、4個以上のペリクル固定部18を設けてもよい。また、ペリクル固定部18の配設は、ペリクル収容容器10の短辺に沿って配設してもよく、長辺及び短辺の各辺に沿って配設してもよい。また、図6に示す閉塞板40としては、先端部に切欠部44aが形成された柱状部44が突設されているものを使用している。しかし、ペリクル16を収容したペリクル収容容器10を工場内での搬送等に供する際には、その搬送等が丁寧に行われるため、柱状部44が設けられていない閉塞板40を用いることができる。
【実施例1】
【0040】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】
(実施例1)
帯電防止ABS樹脂製のシート材を用い、真空成型法により図1に示す形状の容器本体12及び蓋体14を製作した。容器本体12と蓋体14とは、その周縁部で嵌め合って係止されて、図1に示すペリクル収容容器10を形成する。かかる蓋体14の各長手方向の角部近傍の4箇所に開口部14aが形成されている。このペリクル収容容器10容器の大きさは、外形1005×937mm、高さ70mmである。成形に使用したシート材は、蓋体14用としては透明の5mmのものであり、容器本体12用としては黒色の5mmのものである。
【0042】
更に、射出成型によって、ABS樹脂を用いて図5に示すピン装着部32と、PPS樹脂を用いて図4に示すピン28を製作した。ピン28は、先端部28a,中間部28b、後端部28cとから形成され、中間部28bと後端部28cとの間に、ピン28の保持手段を構成する突起部30が形成されている。突起部30は、先端部が先細状の傾斜面に形成されている。ピン28の後端部28cは、ピン28に回動等を施す操作部であり、先端部28a及び中間部28bよりも太く形成されている。この後端部28cの端面には、ピン28の回動用の六角レンチの先端部が挿入される工具用凹部36が形成されている。かかるピン28において、中間部28bは先端部28aよりも太く形成されており、ピン28の先端部28aと中間部28bとの境界に段差28eが形成されている。この段差28eには、厚さ0.5mmのフッ素ゴム製のリング状の弾性体34を取り付けた。
【0043】
また、ピン装着部32は、四面体であって、ピン28の突起部30及び後端部28cが挿入されるU字溝32aの一端が四面体の一面側に開口されている。このU字溝32aの他端は、四面体の中央部近傍に形成された四角形状の切欠部32bの内壁面の一面側に開口されている。かかる切欠部32bは、ピン28の突起部30と保持手段を構成し、ピン28の中間部28bと後端部28cとの間に形成された突起部30が回動可能に挿入される。更に、切欠部32bの内壁面であって、U字溝32aの他端が開口された一面側に対応する他面側には、ピン28の先端部28a及び中間部28bが挿通される孔32cが開口されている。かかるピン装着部32の下面側には、横銅製のインサートナット(図示せず)を4箇所設けた。
【0044】
図6に示す閉塞板40と、図7に示す閉塞板保持部42とを、帯電防止POM樹脂を用いて機械加工により製作した。閉塞板40には、先端部に切欠部44aが形成された柱状部44が突設されている。また、閉塞板保持部42は、板部42aに形成した取付孔42d,42dと、蓋体14に機械加工で穿設した穿設孔(図示せず)とを利用してボルト及び袋ナット(図示せす)で締結した。このナットは、蓋体14の内側に設置し、ナット外面は全てABS樹脂で被覆されたものを用いた。ナット締結後、ナット周辺はシール性向上と緩み防止を図るべく、有機溶剤(MEK)で溶解し接着した。更に、蓋体14の外面に当接する板部42aの当接面は、蓋体14との間隙に接着剤(商品名;MOS8、コニシ株式会社)を充填し、シール性を確保した。このように蓋体14に閉塞板保持部42を取り付ける際に、閉塞板保持部42の凹溝42bの底面に機械加工で形成した貫通孔42cと、蓋体14の開口部14aとが一致するように位置調整を行った。このように形成した容器本体12と蓋体14とをClass10のクリーンルームに搬入し、界面活性剤と純水で良く洗浄した後、完全に乾燥させた。
【0045】
かかるペリクル収容容器10の製造と別途に、クリーンルーム内で、外寸910×750mm、内寸902×740mm、高さ7.0mmのペリクル16を製作した。このペリクル16は、炭素鋼S45C製のペリクルフレーム16a(厚さ5.8mm、表面黒色クロームメッキ)の一面側に、厚さ3μmのフッ素樹脂から成るペリクル膜16bをシリコーン粘着剤で貼着し、且つペリクルフレーム16aの他面側にマスク粘着層24を形成した。また、ペリクルフレーム16aの各長辺に、860mmの間隔で直径2.5mm×深さ1.8mmの凹部26を2個所設けた。
【0046】
このペリクル16を暗室内での集光ランプによる異物検査した後、容器本体12の中央部に載置し、図8に示すようにピン28をピン装着部32に装着し、ピン28の先端部28aを対応するペリクルフレーム16aの凹部26内に挿入した。更に、ピン28を回動して、ピン28の突起部30とピン装着部32の切欠部32bとを係止し、ピン28をピン装着部32に固定した。次いで、図9に示すように容器本体12に蓋体14を被着した後、図10に示すように閉塞板保持部42の凹溝42bに、図6に示す閉塞板40を挿入した。その際に、閉塞体40に突設されている柱状部44は、貫通孔42c及び蓋体14の開口部14aを通過し、図10に示すように、柱状部44の先端部に形成された切欠部44aとピン28の凸部28dとを凹凸係合した。かかる閉塞板40をPVC粘着テープ48によって閉塞板保持部42に固定した。
【0047】
更に、ペリクル16を収容するペリクル収容容器10の周縁部を幅35mmのPVC製粘着テープ(図示せず)にて貼り付け固定した後、ウレタン製クリップ(図示せず)を各長辺に2箇所ずつ取り付けた。そして、最後に、内部を清浄にクリーニングした帯電防止PE製袋にて2重に梱包し、内部にクッション材を配した強化ダンボール製梱包箱(図示せず)に収納した。
【0048】
このようにペリクル収容容器10を梱包した強化ダンボール製梱包箱を、群馬から福岡まで(群馬県⇔東京はトラック、東京⇔福岡間は航空機)を往復させる輸送テストを行った。輸送後のペリクル収容容器10をクリーンルームに搬入し、容器本体12に蓋体14を被着した状態でペリクル収容容器10の内部の確認を行った。ピン28はピン装着部32に確実に保持され、その先端部28aもペリクルフレーム16aの凹部26に挿入されたままで、ペリクル16は確実に容器本体12に固定されていた。そのままの状態で、集光ランプを照射して容器本体12上の発塵状況を確認したが、ペリクル固定部18付近及び容器本体12上に異物の発生は見られなかった。
【0049】
更に、粘着テープ48を剥離し、閉塞板40を閉塞板保持部42の凹溝42bから取り外すと共に、柱状部44を閉塞板保持部42の貫通孔42c及び蓋体14の開口部14aから引き抜いた。次いで、解放された貫通孔42c及び蓋体14から六角レンチ46を挿入し、ピン28の後端面の工具用凹部36に先端部を挿入して回動し、ピン28の突起部30とピン装着部32の切欠部32bとの係止を解除した。更に、図11に示すように貫通孔42c及び蓋体14からピン28を引き抜いた後、容器本体12から蓋体14を取り外して開封し、ペリクル16を取り出した。取り出したペリクル16を暗室内に搬送して集光ランプにより表面に付着した異物の検査を行った。その結果、ペリクル16に異物の付着は全く見られず、極めて清浄な状態が維持されていた。
【0050】
(比較例1)
図12に示すペリクル固定部100を製作した。図12に示すペリクル固定部100を構成するピン102は、PPS樹脂製の円柱状部材によって形成されており、先端部102a、中間部102b及び後端部102cから成る。太さは、先端部102a<中間部102b<後端部102cの順序であり、先端部102aと中間部102bとの境界に段差が形成されており、フッ素ゴム製のリング状の弾性体106が装着されている。かかるピン102には、図5に示すピン28に形成されていた突起部30は形成されていない。このピン102が装着されるピン装着部104は、ABS樹脂を用いて射出成型によって形成した。ピン装着部104は、ピン28の先端部102a及び中間部102bの一部が通過可能であって、中間部102bの残部及び後端部102cが挿入される貫通孔108が形成されている。かかるピン装着部104には、図5に示すピン装着部32のように、U字溝32a及び切欠部32bは形成されていない。このため、ピン装着部104では、貫通孔108に挿入したピン102が、その外壁面と貫通孔108の内壁面との摩擦力でピン28が固定されるように、貫通孔108の内径がピン102の挿入方向に次第に小径に形成されている。このように図12に示すペリクル固定部100は、ピン装着部104の貫通孔108に、摩擦力でピン102が固定される。
【0051】
図12に示すペリクル固定部100を実施例1と同様にして容器本体12に取り付けた。次いで、容器本体12に載置したペリクル16のペリクルフレーム16aの凹部26に、ペリクル固定部100を構成するピン102の先端部102aを挿入し、ペリクル16を容器本体12に固定した。更に、容器本体12に蓋体14を被着してペリクル16を収容したペリクル収容容器10を形成した。その後、実施例1と同様にして、ペリクル収容容器10を梱包し輸送試験を行った。
【0052】
輸送後のペリクル収容容器10をクリーンルームに搬入し、内部の確認を行った。すると、ペリクル16は容器本体12上に留まっていたが、4箇所のペリクル固定部100のうち、1箇所でピン102がピン装着部104から抜け掛かっているのが確認された。また、その先端部102aもペリクルフレーム16aの凹部26から抜けており、先端部102aがペリクルフレーム16aの外面に擦れて直径数十μmの異物が数十個付着していた。また、そのままの状態で、集光ランプを照射して容器本体12上の発塵状況を確認したところ、抜けかかっていたペリクル固定部100と対向するペリクル固定部100の周辺でも異物の付着が見られた。更に、ピン102について、ニトリル製グローブをした手でピン装着部104より注意深く引き抜き、ペリクル16を暗室内に搬送して集光ランプにより表面に付着した異物の検査を行った。その結果、ペリクル膜16b上に直径10〜20μm程度の異物が12個付着していた。また、それらのうち約半数はペリクル固定部100の周辺に分布していた。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係るペリクル収容容器は、半導体装置用のペリクルの収容容器として用いることができ、半導体装置用のペリクルよりも大型の液晶用のペリクルの収容容器として用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
10はペリクル収容容器、12は容器本体、12aはリブ、14は蓋体、14aは開口部、16はペリクル、16aはペリクルフレーム、16bはペリクル膜、18,100はペリクル固定部、20は平坦面、22はライナー、24はマスク粘着層、26は凹部、28,102はピン、28a,102aは先端部、28b,102bは中間部、28c,102cは後端部、28dは凸部、28eは段差、30は突起部、32,104はピン装着部、32aはU字溝、32bは切欠部、32cは孔、34,106は弾性体、36は工具用凹部、40は閉塞板、42は閉塞板保持部、42aは板部、42bは凹溝、42cは貫通孔、42dは取付孔、44は柱状部、44aは切欠部、46は六角レンチ、48は粘着テープ、108は貫通孔である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペリクル膜がペリクルフレームに貼着されたペリクルが載置される容器本体と、前記ペリクルを被覆するように前記容器本体の周縁部で嵌め合い係止される蓋体とから構成されるペリクル収容容器であって、
前記ペリクル収容容器には、前記容器本体に載置された前記ペリクルフレームの外側面に形成された凹部に、先端部が挿入された状態で回動可能のピンと、前記容器本体に装着され、前記ペリクルフレームの凹部から前記先端部が抜き出し可能に前記ピンが装着されるピン装着部と、前記容器本体に被着された前記蓋体の外側から前記ピン装着部の前記ピンを回動できるように前記蓋体に形成された開口部と、前記開口部の閉塞部材とを備えたペリクル固定部が複数個設置され、
前記ピン装着部に装着され、前記先端部が前記ペリクルフレームの凹部に挿入された前記ピンを所定角度回動したとき、前記ピンの先端部が前記凹部から抜け出なくするように、前記ピンを保持するピン保持手段が設けられていることを特徴とするペリクル収容容器。
【請求項2】
前記ピン保持手段が、前記ピンに形成されている突起部と、前記ピン装着部に形成され、前記ピンが所定角度回動して前記突起部と係止する切欠部とから構成されることを特徴とする請求項1に記載のペリクル収容容器。
【請求項3】
前記容器本体に被着された前記蓋体の開口部を閉塞する前記閉塞部材には、前記容器本体に載置された前記ペリクルフレームの凹部に先端部が挿入された前記ピンの回動を防止する回動防止部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のペリクル収容容器。
【請求項4】
前記回動防止部が、前記蓋体の開口部を閉塞する閉塞板に突設された柱状部と、前記柱状部の先端部に形成された、前記ピンの後端部と係合する係合部と、前記蓋体に設けられ、前記開口部に前記柱状部が挿入された前記閉塞板を保持する閉塞板保持部とから構成されていることを特徴とする請求項3に記載のペリクル収容容器。
【請求項5】
前記ピンが30〜180度回動したとき、前記ピンの突起部と前記ピン装着部の切欠部とが係止されることを特徴とする請求項2に記載のペリクル収容容器。
【請求項6】
前記ピンの先端部に、前記ペリクルフレームとの当接の緩衝部材としての弾性体が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のペリクル収容容器。
【請求項7】
前記ピンの後端面に、前記ピンの回動用の工具が挿入される工具用凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のペリクル収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−97047(P2013−97047A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237397(P2011−237397)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】