説明

ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体の活性化剤

【課題】
PPAR活性化剤を提供すること。
【解決手段】
次の一般式、



(式中、WはO又はSを表し、XはCH又はNを表し、
は、炭素数1〜8のアルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基他を表し、
は、炭素数1〜8のアルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基他を表し、
BはC(=O)、C(=N−OH)他を表し、
、R、R、R、R及びRは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基他を表し、
は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基他を表し
mは1〜4の整数を表し、
そしてnは0、1又は2を表す。)
で表される化合物、又はその薬理学的に許容される塩をPPAR活性化剤として使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)の活性化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(peroxisome proliferator activated receptor:PPAR)はこれまで大きく分けて3つのサブタイプの存在が知られており、PPARα、PPARγ及びPPARδと称せられている。(非特許文献1)
そして、これまで種々の化合物について、PPAR各サブタイプの転写活性化作用、さらには血糖降下、脂質代謝改善作用等に関する報告がなされている。
たとえば、次式、
【0003】
【化1】

【0004】
で表されるGW−501516(GSK)については、現在、脂質代謝改善剤として開発が進行中である旨の報告がなされている。(特許文献1)
また特許文献2には次の化合物等がPPARの転写活性化作用を有する旨、記載されている。
【0005】
【化2】

【0006】
一方、本発明者らも特許文献3、4、5記載の化合物等がPPARの転写活性化作用を有することを見出し特許出願している。
後記一般式(I)記載の本発明化合物と特許文献1〜5記載の化合物とは前者がインダン骨格を有するのに対し、後者の対応部分がベンゼン環、ベンズイソキサゾール環等であることで相違する。
また特許文献6には次の化合物が記載されている。
【0007】
【化3】

【0008】
特許文献6には、上記化合物が血小板凝集抑制作用を有する旨の記載はあるが、PPARの転写活性化作用を有する旨の記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO 01/000603
【特許文献2】WO 2008/035359
【特許文献3】WO 02/076957
【特許文献4】WO 03/016291
【特許文献5】WO 03/033493
【特許文献6】スペイン特許第543324号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,p7335−7359,1994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的はペルオキシソーム増殖剤活性化受容体の活性化作用を有する下記一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
即ち、本発明は、次の一般式(I)、
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、Aは次の一般式(II)又は(III)
【0015】
【化5】

【0016】
を表し、
ここでWはO又はSを表し、XはCH又はNを表し、
そしてZがCHの時、Yは、S、O又はSOを表し、
ZがNの時、YはOを表し
及びR10は、炭素数1〜8のアルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を表し、
及びR11は、炭素数1〜8のアルキル基、3〜6員環のシクロアルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表し、
Bは
【0017】
【化6】

【0018】
を表し、
ここで、R12及びR13は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、
、R、R、R、R及びRの何れか1つが結合手であり、そして残りは同一又は異なっていても良く水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基を表し、前記結合手は(CH―C0Hと結合しており、
は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルコキシ基、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基又は1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルコキシ基を表し
mは1〜4の整数を表し
そしてnは0、1又は2を表す。
尚、A―(CH−B−はインダンのベンゼン環に結合している。)
で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩に関する。
【0019】
また、本発明は、上記一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するペルオキシソーム増殖剤活性化受容体の活性化剤に関する。
さらにまた、本発明は上記一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARに媒介される疾患の治療および/または予防剤に関する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明を詳細に説明する。
上記一般式(I)において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13の炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基又はヘキシル基等が挙げられる。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11の1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基としては、1〜3個のフッ素原子、塩素原子若しくは臭素原子等のハロゲン原子により置換されたメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基又はt−ブチル基等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基又は2−フルオロエチル基等が挙げられる。
、R及びR10のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子等が挙げられる。
、R及びR10の炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基又はヘキシルオキシ基等が挙げられる。
、R及びR10の1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルコキシ基としては1〜3個のフッ素原子、塩素原子若しくは臭素原子等のハロゲン原子により置換されたメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基又はt−ブチルオキシ基等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチルオキシ基、クロロメチルオキシ基、2−クロロエチルオキシ基、2−ブロモエチルオキシ基又は2−フルオロエチルオキシ基等が挙げられる。
及びR11の3〜6員環のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基等が上げられる。
及びR11のフェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
及びR10は同一又は異なるものが1〜3個有していても良い。
【0021】
さらに、本発明化合物としては、次に示す化合物が好ましい。
(1)WがSで、XがNである上記一般式(I)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(2)Rがトリフルオロメチル基である上記一般式(I)で表される化合物又は上記(1)記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(3)R10がトリフルオロメチル基である上記一般式(I)で表される化合物又は上記1記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(4)Rが炭素数3〜5のアルキル基である上記一般式(I)で表される化合物又は上記(1)若しくは(2)の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(5)R11が炭素数3〜5のアルキル基である上記一般式(I)で表される化合物又は上記(1)若しくは(3)の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(6)BがC(=O)である上記一般式(I)で表される化合物又は上記(1)〜(5)の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(7)R、R、R、R、R及びRのうち1つは結合手であり、残りの5個が水素原子である上記一般式(I)で表される化合物又は上記(1)〜(6)の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(8)Rが水素原子である上記一般式(I)で表される化合物又は上記(1)〜(7)の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(9)mが1又は2である上記一般式(I)で表される化合物又は上記(1)〜(8)の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
(10)nが0である上記一般式(I)で表される化合物又は上記(1)〜(9)の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。

上記一般式(I)で表される化合物の薬理学的に許容される塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩等が挙げられる。
本発明化合物には、光学活性体やシス、トランスの幾何異性体等が存在する場合もあるが、何れも本発明に含まれる。
【0022】
次に上記一般式(I)で表される本発明化合物の合成スキームを以下に示す。
(製法1)
上記一般式(I)でmが2で、BがC(=O)又はCH(OH)の場合
【0023】
【化7】

【0024】
【化8】

【0025】
(式中、Rは低級アルキル基を表し、A、R、R、R、R、R、R、R及びnは前記と同じ)
一般式(c)で表される化合物は一般式(a)で表されるアルデヒド化合物と一般式(b)で表されるケトン化合物とをナトリウムメトキシド等の塩基の存在下、反応させることにより得ることができる。
一般式(c)で表される化合物をPd−Cの存在下、還元反応に付すことで、一般式(d)で表される化合物又は一般式(e)で表される化合物を得ることができる。
一般式(f)又は(g)で表される本発明化合物はそれぞれ一般式(d)又は(e)で表される化合物を水酸化リチウム等で加水分解することで得ることができる。
(製法2)
上記一般式(I)で、mが2で、BがC=NOHの場合
【0026】
【化9】

【0027】
(式中、R、A、R、R、R、R、R、R、R及びnは前記と同じ)
一般式(h)で表される化合物は一般式(d)で表される化合物に塩化ヒドロキシルアンモニウムを反応させることにより得ることができる。
一般式(i)で表される本発明化合物は一般式(h)で表される化合物を水酸化リチウム等で加水分解することで得ることができる。
(製法3)
上記一般式(I)で、ZがCHでYがSOの場合
【0028】
【化10】

【0029】
(式中、R、B、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、m及びnは前記と同じ)
一般式(k)で表される化合物は一般式(j)で表される化合物をm−クロロ過安息香酸(m−CPBA)等の酸化剤を用いて酸化することにより得ることができる。
一般式(l)で表される本発明化合物は一般式(k)で表される化合物を水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等で加水分解することで得ることができる。
(製法4)
上記一般式(I)で、BがO−N=C(R13)の場合
【0030】
【化11】

【0031】
(式中、Qはハロゲン原子を表し、そしてR、A、R、R、R、R、R、R、R、R13m及びnは前記と同じ)
一般式(0)で表されるイミノエーテル化合物は一般式(m)で表される化合物と一般式(n)で表される化合物を反応させることにより得ることができる。
一般式(p)で表される本発明化合物は一般式(o)で表される化合物を水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等で加水分解することで得ることができる。
【0032】
上記一般式(I)で表される本発明化合物は、上記の製造方法、後記実施例1〜12記載の方法、並びに前記の特許文献1〜5記載の方法等と同様な方法を用いて製造することができる。

次に、本発明化合物例を以下に示す。
代表化合物例A
【0033】
【化12】

【0034】
(式中、R、R、R、W、X及びEは表1及び2記載のとおり)
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
代表化合物例B
【0038】
【化13】

【0039】
(式中、R、R10、R11、Y及びEは表3及び4記載のとおり)
【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

【0042】
代表化合物例C
【0043】
【化14】

【0044】
(式中、R、R、R、W、X及びEは表5記載のとおり)
【0045】
【表5】

【0046】
代表化合物例D
【0047】
【化15】

【0048】
(式中、R、R、R、W、X及びEは表6及び7記載のとおり)
【0049】
【表6】

【0050】
【表7】

【0051】
代表化合物例E
【0052】
【化16】

【0053】
(式中、R、R、R、Y及びEは表8及び9記載のとおり)
【0054】
【表8】

【0055】
【表9】

【0056】
代表化合物例F
【0057】
【化17】

【0058】
(式中、R、R11、R10、Y及びEは表10記載のとおり)
【0059】
【表10】

【0060】
代表化合物例G
【0061】
【化18】

【0062】
(式中、R、R、R、W及びXは表11記載のとおり)
【0063】
【表11】

【0064】
代表化合物例H
【0065】
【化19】

【0066】
(式中、R、R11、R10及びYは表12記載のとおり)
【0067】
【表12】

【0068】
次に本発明の薬理効果について述べる。
本発明化合物のPPAR活性化作用は、以下のように測定した。
CV−1細胞に受容体発現プラスミド(pSG5−GAL4−hPPARα or γ or δ LBD), ルシフェラーゼ発現プラスミド(pUC8−MH100×4−TK−Luc)及びβ−ガラクトシダーゼ(pCMX−β−GAL)発現プラスミドを導入した。トランスフェクション試薬 Lipofectamin 2000(Invitrogen)を用いて遺伝子導入を行った後,供試化合物存在下で40時間培養した。可溶化細胞をルシフェラーゼ活性及びβ−GAL活性測定に用いた。ルシフェラーゼ活性はβ−GAL活性で補正し,GW−590735(PPAR α 選択的agonist),Rosiglitazone(PPAR γ 選択的agonist), GW−501516(PPAR δ選択的agonist)で処理した細胞のルシフェラーゼ活性値を100%として,相対的なリガンド活性を算出した。 (実施例13)
表13から明らかなように本発明化合物は優れたPPARδ活性化作用を示した。
【0069】
従って、本発明の一般式(I)で表される化合物は、優れたPPARδ活性化作用を有することから、糖尿病、血糖降下剤、肥満、シンドロームX,高コレステロール血症、高リポ蛋白血症等の代謝異常疾患、高脂血症、動脈硬化症、心不全、心筋症、非アルコール性脂肪肝炎、循環器系疾患、過食症、虚血性疾患、肺ガン、乳がん、結腸ガン、大腸ガン、卵巣ガン等の悪性腫瘍、アルツハイマー病、炎症性疾患等の予防、あるいは治療剤として期待される。
【0070】
本発明化合物は、ヒトに対して一般的な経口投与又は非経口投与のような適当な投与方法によって投与することができる。

製剤化するためには、製剤の技術分野における通常の方法で錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、懸濁剤、注射剤、坐薬等の剤型に製造することができる。

これらの調製には、通常の賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、色素、希釈剤などが用いられる。ここで、賦形剤としては、乳糖、D−マンニトール、結晶セルロース、ブドウ糖などが、崩壊剤としては、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC−Ca)などが、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどが、結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
【0071】
投与量は通常成人においては、注射剤で有効成分である本発明化合物を1日約0.1mg〜100mg,経口投与で1日1mg〜2000mgであるが、年齢、症状等により増減することができる。

次に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0072】
5−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−2−カルボン酸

(1)5−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロペノイル]インダン−2−カルボン酸メチルエステル

インダン−2−カルボン酸メチルエステル(176mg、1mmol)を乾燥ジクロロエタン(2ml)に溶解し、塩化アルミニウム(310mg、2.3mmol)、次いで塩化アセチル(0.08ml、1.1mmol)を加え、室温で18時間攪拌した。この反応混合物に、氷片、次いで2M塩酸(2mL)を加え、10分間攪拌後、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、飽和重曹水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して5−アセチルインダン−2−カルボン酸メチルエステルの粗体(193mg)を得た。本粗体及び4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]チアゾール−5−カルボキサアルデヒド(210mg,0.7mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(7mL)に溶解した。粉砕したモレキュラーシーブス3A(350mg)を加え、氷冷攪拌下、0.5Mナトリウムメトキシド−メタノール溶液(1.4mL)を1分要して滴下し、氷冷下2時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸(1.4mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を減圧下留去して黄色結晶(420mg)を得、酢酸エチル(1mL)−ヘキサン(4mL)より再結晶して表題化合物を黄色結晶として192mg得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.39(6H,d,J=7Hz),
3.2−3.5(6H,m),
3.75(3H,s),
7.29(1H,d,J=15Hz),
7.34(1H,d,J=8Hz),
7.71(2H,d,J=8Hz),
7.85(1H,d,J=8Hz),
7.87(1H,s),
8.04(1H,d,J=15Hz),
8.11(2H,d,J=8Hz).

(2)5−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−2−カルボン酸メチルエステル

5−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロペノイル]インダン−2−カルボン酸メチルエステル(100mg,0.2mmol)を酢酸エチル(10mL)に溶解し、含水5%パラジウム−炭素(40mg)を加え、水素雰囲気下、室温で26時間攪拌した。不溶物を濾別し、濾液を減圧下濃縮して灰色油状物(97mg)を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、酢酸エチル/ヘキサン=1/4(v/v)の混合溶媒で溶出して表題化合物を白色結晶として56mg(収率55%)得た。さらに、酢酸エチル/ヘキサン=1/2(v/v)の混合溶媒で溶出して5−[1−ヒドロキシ−3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピル]インダン−2−カルボン酸メチルエステルを無色油状物として18mg得た。

5−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−2−カルボン酸メチルエステル
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.34(6H,d,J=6Hz),
3.1−3.4(10H,m),
3.73(3H,s),
7.29(1H,d,J=8Hz),
7.63(2H,d,J=8Hz),
7.79(1H,d,J=8Hz),
7.81(1H,s),
8.00(2H,d,J=8Hz).

5−[1−ヒドロキシ−3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピル]インダン−2−カルボン酸メチルエステル
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.30(3H,d,J=6Hz),
1.31(3H,d,J=7Hz),
1.9−2.2(2H,m),
2.8−3.0(2H,m),
3.0−3.1(1H,m),
3.1−3.4(5H,m),
3.73(3H,s),
4.71(1H,dd,J=8Hz,8Hz),
7.1−7.2(3H,m),
7.64(2H,d,J=8Hz),
8.00(2H,d,J=8Hz).

(3)5−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−2−カルボン酸

5−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−2−カルボン酸メチルエステル(56mg,0.11mmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解し、水(0.2mL)、及び水酸化リチウム一水和物(9.2mg,0.22mmol)を加え、室温で40時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸(0.4mL)、及び水(4mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣を酢酸エチル(0.5mL)−ヘキサン(5mL)より再結晶して表題化合物を白色結晶として50mgを得た(収率91%)。
融点 138−141℃
FAB−MS(m/z):488(M+1)
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.34(6H,d,J=7Hz),
3.15(1H,m),
3.2−3.5(9H,m),
7.31(1H,d,J=8Hz),
7.64(2H,d,J=8Hz),
7.80(1H,d,J=8Hz),
7.82(1H,s),
8.00(2H,d,J=8Hz).
【実施例2】
【0073】
5−[1−ヒドロキシ−3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピル]インダン−2−カルボン酸

実施例1の(2)で得た5−[1−ヒドロキシ−3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピル]インダン−2−カルボン酸メチルエステル(18mg,0.036mmol)を実施例1の(3)と同様に処理して表題化合物を白色結晶として12mg(収率69%)得た。
FAB−MS(m/z):490(M+1)
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.30(6H,d,J=6Hz),
1.9−2.2(2H,m),
2.8−3.0(2H,m),
3.06(1H,m),
3.2−3.4(5H,m),
3.73(3H,s),
4.71(1H,dd,J=7Hz,8Hz),
7.1−7.2(3H,m),
7.64(2H,d,J=8Hz),
8.00(2H,d,J=8Hz).

【実施例3】
【0074】
4−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−2−カルボン酸

(1)4−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロペノイル]インダン−2−カルボン酸メチルエステル

インダン−2−カルボン酸メチルエステル(176mg、1mmol)を乾燥ジクロロエタン(2ml)に溶解し、塩化アルミニウム(310mg、2.3mmol)、次いで塩化アセチル(0.08ml、1.1mmol)を加え、室温で18時間攪拌した。この反応混合物に、氷片、次いで2M塩酸(2mL)を加え、10分間攪拌後、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、飽和重曹水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して黄色油状物(193mg)を得た。
この5(4)−アセチルインダン−2−カルボン酸メチルエステルの粗体(193mg)、及び4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]チアゾール−5−カルボキサアルデヒド(210mg,0.7mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(7mL)に溶解した。粉砕したモレキュラーシーブス3A(350mg)を加え、氷冷攪拌下、0.5Mナトリウムメトキシド−メタノール溶液(1.4mL)を1分要して滴下し、氷冷下2時間攪拌した。
この反応混合物に2M塩酸(1.4mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し黄色結晶(420mg)を得た。黄色結晶を酢酸エチル(1mL)−ヘキサン(4mL)より再結晶し5−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロペノイル]インダン−2−カルボン酸メチルエステルを得た。この母液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し酢酸エチル/ヘキサン=1/4(v/v)の混合溶媒で溶出して表題化合物である4−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロペノイル]インダン−2−カルボン酸メチルエステルを黄色結晶として11mg得た。

(2)4−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−2−カルボン酸メチルエステル

4−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピオニル]−5−チアゾリル]プロペノイル]インダン−2−カルボン酸メチルエステル(11mg,0.022mmol)を実施例(2)と同様に処理して表題化合物を淡黄色油状物として10mg(収率91%)得た。
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.34(6H,d,J=7Hz),
3.1−3.4(8H,m),
3.54(1H,dd,J=7Hz,18Hz),
3.69(1H,dd,J=9Hz,18Hz),
3.72(3H,s),
7.28(1H,dd,J=7Hz,8Hz),
7.41(1H,d,J=7Hz),
7.64(2H,d,J=8Hz),
7.68(1H,d,J=8Hz),
8.00(2H,d,J=8Hz).


(3)4−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−2−カルボン酸

4−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−2−カルボン酸メチルエステル(10mg,0.02mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、水(0.1mL)、及び水酸化リチウム一水和物(4mg,0.1mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸(0.5mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をヘキサンで洗浄して表題化合物を白色結晶として7mg(収率70%)得た。
FAB−MS(m/z):488(M+1)
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.34(6H,d,J=7Hz),
3.1−3.4(8H,m),
3.61(1H,dd,J=7Hz,18Hz),
3.72(1H,dd,J=8Hz,18Hz),
7.29(1H,dd,J=7Hz,8Hz),
7.42(1H,d,J=7Hz),
7.64(2H,d,J=8Hz),
7.69(1H,d,J=8Hz),
8.00(2H,d,J=8Hz).
【実施例4】
【0075】
6−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸

(1)6−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロペノイル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル

インダン−1−カルボン酸メチルエステル(592mg、3.36mmol)を乾燥二硫化炭素(10ml)に溶解し、塩化アルミニウム(896mg、6.72mmol)、次いで塩化アセチル(0.48ml、6.8mmol)を加え、室温で19時間攪拌した。この反応混合物に、氷片を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して黄色油状物698mg(収率95%)を得た。 この6−アセチルインダン−1−カルボン酸メチルエステルの粗体(218mg,1mmol)及び4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]チアゾール−5−カルボキサアルデヒド(299mg,1mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。粉砕したモレキュラーシーブス3A(500mg)を加え、氷冷攪拌下、0.5Mナトリウムメトキシド−メタノール溶液(4mL)を滴下後、氷冷下6時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸(2mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して黄色油状物530mgを得、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、酢酸エチル/ヘキサン=1/4(v/v)の混合溶媒で溶出して黄色結晶44mgを得た。ヘキサン(4mL)より再結晶して表題化合物を黄色結晶として31mgを得た。
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.39(6H,d,J=7Hz),
2.3−2.6(2H,m),
2.9−3.1(1H,m),
3.1−3.3(1H,m),
3.44(1H,m),
3.77(3H,s),
4.1−4.2(1H,m),
7.28(1H,d,J=15Hz),
7.38(1H,d,J=8Hz),
7.71(2H,d,J=8Hz),
7.90(1H,d,J=8Hz),
8.03(1H,s),
8.05(1H,d,J=15Hz),
8.11(2H,d,J=8Hz).

(2)6−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル

6−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロペノイル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル(30mg,0.06mmol)を実施例2と同様に処理して表題化合物を無色油状物として24mg(収率80%)得た。また、6−[1−ヒドロキシ−3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピル]インダン−1−カルボン酸メチルエステルも無色油状物として5mg得た。

6−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.34(6H,d,J=7Hz),
2.3−2.6(2H,m),
2.9−3.0(1H,m),
3.1−3.2(2H,m),
3.2−3.4(4H,m),
3.75(3H,s),
4.09(1H,dd,J=7Hz,8Hz),
7.33(1H,d,J=8Hz),
7.64(2H,d,J=8Hz),
7.85(1H,d,J=8Hz),
7.97(1H,s),
8.00(2H,d,J=8Hz).

6−[1−ヒドロキシ−3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.31(6H,d,J=7Hz),
1.9−2.2(2H,m),
2.3−2.5(2H,m),
2.8−3.2(5H,m),
3.74(3H,s),
4.0−4.1(1H,m),
4.6−4.8(1H,m),
7.1−7.3(2H,m),
7.34(0.5H,s),
7.39(0.5H,s),
7.64(2H,d,J=8Hz),
8.00(2H,d,J=8Hz).

(3) 6−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸

6−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル(12mg,0.024mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、水(0.1mL)、及び水酸化リチウム一水和物(4mg,0.1mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸(0.5mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣を60℃で一晩真空乾燥して表題化合物を微黄色粉末として11mg(収率96%)得た。
FAB−MS(m/z):488(M+1)
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.33(6H,d,J=7Hz),
2.3−2.6(2H,m),
2.9−3.1(1H,m),
3.1−3.2(2H,m),
3.2−3.4(4H,m),
4.12(1H,dd,J=7Hz,7Hz),
7.34(1H,d,J=8Hz),
7.63(2H,d,J=8Hz),
7.86(1H,d,J=8Hz),
8.00(2H,d,J=8Hz),
8.02(1H,s)
【実施例5】
【0076】
6−[1−ヒドロキシ−3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピル]インダン−1−カルボン酸

実施例2の(2)で得た6−[1−ヒドロキシ−3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル(5mg,0.01mmol)をテトラヒドロフラン(0.4mL)に溶解し、水(0.04mL)、及び水酸化リチウム一水和物(1mg)を加え、室温で16時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して表題化合物を微褐色粉末として5mg(収率100%)得た。
FAB−MS(m/z):490(M+1)
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.31(6H,d,J=7Hz),
1.9−2.2(2H,m),
2.3−2.5(2H,m),
2.8−3.2(5H,m),
3.74(3H,s),
4.0−4.2(1H,m),
4.7−4.8(1H,m),
7.1−7.3(2H,m)
7.40(0.5H,s),
7.45(0.5H,s),
7.64(2H,d,J=8Hz),
8.00(2H,d,J=8Hz).
【実施例6】
【0077】
6−[1−ヒドロキシイミノ−3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピル]インダン−1−カルボン酸

(1)6−[1−ヒドロキシイミノ−3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル

6−[3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル(12mg,0.024mmol)、塩化ヒドロキシルアンモニウム(2.0mg,0.029mmol)、酢酸ナトリウム(2.6mg,0.031mmol)、水(0.2mL)、及びエタノール(0.4mL)を混合し、2時間加熱還流した。この反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して白色結晶13mgを得、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、酢酸エチル/ヘキサン=1/10(v/v)の混合溶媒で溶出して表題化合物を白色結晶として7.0mg(収率58%)得た。
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.31(6H,d,J=7Hz),
2.3−2.5(2H,m),
2.9−3.0(1H,m),
3.0−3.2(5H,m),
3.74(3H,s),
4.07(1H,dd,J=7Hz,7Hz),
7.26(1H,d,J=8Hz),
7.45(1H,d,J=8Hz),
7.63(1H,s),
7.65(2H,d,J=8Hz),
8.00(2H,d,J=8Hz).

(2)6−[1−ヒドロキシイミノ−3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピル]インダン−1−カルボン酸

6−[1−ヒドロキシイミノ−3−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−チアゾリル]プロピル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル(7.0mg,0.014mmol)をテトラヒドロフラン(0.7mL)に溶解し、水(0.07mL)、及び水酸化リチウム一水和物(1.8mg,0.042mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をヘキサンで洗浄して表題化合物を白色結晶として6.0mg(収率86%)得た。
FAB−MS(m/z):503(M+1)
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.29(3H,d,J=7Hz),
1.30(3H,d,J=6Hz),
2.3−2.4(1H,m),
2.6−2.7(1H,m),
2.9−3.0(1H,m),
3.0−3.3(5H,m),
4.19(1H,dd,J=6Hz,7Hz),
7.31(1H,d,J=8Hz),
7.34(1H,d,J=8Hz),
7.64(2H,d,J=8Hz),
7.93(1H,s),
8.00(2H,d,J=8Hz).
【実施例7】
【0078】
6−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸

(1)6−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]プロペノイル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル

実施例4(1)で得た6−アセチルインダン−1−カルボン酸メチルエステルの粗体(218mg,1mmol)、及び3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−カルボキサアルデヒド(272mg,1mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。粉砕したモレキュラーシーブス3A(500mg)を加え、氷冷攪拌下、0.5Mナトリウムメトキシド−メタノール溶液(2mL)を滴下後、氷冷下2時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸(1mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して黄色油状物526mgを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/10(v/v))で精製後、黄色結晶109mgを得た。結晶をヘキサン(11mL)で洗浄する事で表題化合物を黄色結晶として79mg得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.53(6H,d,J=7Hz),
2.3−2.6(2H,m),
2.9−3.1(1H,m),
3.1−3.3(1H,m),
3.76(1H,m),
3.78(3H,s),
4.15(1H,dd,J=7Hz,8Hz),
7.39(1H,d,J=8Hz),
7.44(1H,d,J=15Hz),
7.57(1H,d,J=8Hz),
7.93(1H,d,J=8Hz),
8.04(1H,d,J=15Hz),
8.05(1H,s),
8.07(1H,s),
8.28(1H,d,J=15Hz).

(2)6−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル

6−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]プロペノイル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル(86mg,0.18mmol)を実施例(2)と同様に処理して表題化合物を無色油状物として71mg(収率83%)得た。また、6−[1−ヒドロキシ−3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]プロピル]インダン−1−カルボン酸メチルエステルを無色油状物として11mg得た。

6−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.47(6H,d,J=7Hz),
2.3−2.6(2H,m),
2.9−3.0(1H,m),
3.1−3.2(1H,m),
3.37(4H,s),
3.48(1H,m),
3.74(3H,s),
4.08(1H,dd,J=6Hz,8Hz),
7.32(1H,d,J=8Hz),
7.52(1H,d,J=8Hz),
7.85(1H,d,J=8Hz),
7.95(1H,d,J=8Hz),
7.98(1H,s),
8.02(1H,s).

6−[1−ヒドロキシ−3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]プロピル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.43(6H,d,J=8Hz),
2.0−2.2(2H,m),
2.3−2.5(2H,m),
2.8−3.2(4H,m),
3.40(1H,m),
3.73(1.5H,s),
3.74(1.5H,s),
4.0−4.1(1H,m),
4.74(1H,dd,J=5Hz,8Hz),
7.1−7.3(2H,m),
7.35(0.5H,s),
7.39(0.5H,s),
7.52(1H,d,J=9Hz),
7.93(1H,d,J=9Hz),
8.03(1H,s).

(3)6−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸

6−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル(20mg,0.042mmmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解し、水(0.2mL)、及び水酸化リチウム一水和物(3.5mg,0.084mmol)を加え、室温で18時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸(0.5mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をヘキサンで洗浄して表題化合物を白色結晶として17mg(収率91%)得た。
FAB−MS(m/z):461(M+1)
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.46(6H,d,J=7Hz),
2.3−2.6(2H,m),
2.9−3.0(1H,m),
3.1−3.2(1H,m),
3.36(4H,s),
3.47(1H,m),
4.11(1H,dd,J=7Hz,7Hz),
7.33(1H,d,J=8Hz),
7.52(1H,d,J=9Hz),
7.86(1H,d,J=8Hz),
7.94(1H,d,J=9Hz),
8.02(2H,s).
【実施例8】
【0079】
6−[1−ヒドロキシ−3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]プロピル]インダン−1−カルボン酸

6−[1−ヒドロキシ−3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]プロピル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル19(11mg,0.023mmmol)をテトラヒドロフラン(0.23mL)及びメタノール(0.23mL)に溶解し、0.2Mの水酸化ナトリウム水溶液(0.23mL)を加え、室温で6時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸(0.5mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣を50℃で真空乾燥して表題化合物を淡黄色アモルファスとして10mg(収率96%)得た。
FAB−MS(m/z):463(M+1)
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.41(6H,d,J=7Hz),
2.0−2.2(2H,m),
2.3−2.5(2H,m),
2.8−3.2(4H,m),
3.39(1H,m),
3.73(1.5H,s),
3.74(1.5H,s),
4.0−4.1(1H,m),
4.74(1H,dd,J=5Hz,8Hz),
7.1−7.3(2H,m),
7.40(0.5H,s),
7.46(0.5H,s),
7.51(1H,d,J=8Hz),
7.92(1H,d,J=8Hz),
8.02(1H,s).
【実施例9】
【0080】
6−[3−[1,1−ジオキソ−3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸

(1)6−[3−[1,1−ジオキソ−3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル

6−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル(31mg,0.065mmol)をクロロホルム(1.5mL)に溶解し、m−クロロ過安息香酸(56mg,0.325mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、酢酸エチル/ヘキサン=1/4(v/v)の混合溶媒で溶出して白色結晶15mgを得た。これをテトラヒドロフラン(0.3mL)、及びメタノール(0.3mL)に溶解し、0.2M水酸化ナトリウム水溶液(0.3mL)を加え、室温で16時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、メタノール/クロロホルム=1/100(v/v)の混合溶媒で溶出して黄色結晶を得た。これにメタノール(2mL)及び濃硫酸(1滴)を加え、24時間加熱還流した。この反応混合物に冷水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して黄色油状物を得、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに処し、酢酸エチル/ヘキサン=1/4(v/v)の混合溶媒で溶出して表題化合物を無色油状物として8mg(収率25%)得た。
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.42(6H,d,J=7Hz),
2.3−2.6(2H,m),
2.9−3.0(1H,m),
3.1−3.2(3H,m),
3.37(1H,m),
3.4−3.6(2H,m),
3.75(3H,s),
4.09(1H,dd,J=7Hz,8Hz),
7.32(1H,d,J=8Hz),
7.72(1H,d,J=8Hz),
7.81(1H,d,J=8Hz),
7.85(1H,d,J=8Hz),
7.98(2H,s).


(2)6−[3−[1,1−ジオキソ−3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸

6−[3−[1,1−ジオキソ−3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル20(8.0mg,0.016mmol)をテトラヒドロフラン(0.8mL)に溶解し、水(0.08mL)、及び水酸化リチウム一水和物(1.3mg,0.032mmol)を加え、遮光下室温で18時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をヘキサンで洗浄して表題化合物を微黄色結晶として6.9mg(収率94%)得た。
FAB−MS(m/e):493(M+1)
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.42(6H,d,J=7Hz),
2.3−2.6(2H,m),
2.9−3.0(1H,m),
3.1−3.2(3H,m),
3.37(1H,m),
3.4−3.5(2H,m),
4.12(1H,dd,J=6Hz,8Hz),
7.33(1H,d,J=8Hz),
7.72(1H,d,J=8Hz),
7.81(1H,d,J=8Hz),
7.87(1H,d,J=8Hz),
7.96(1H,s),
8.03(1H,s).
【実施例10】
【0081】
4−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸

(1)4−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]プロペノイル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル

実施例4(1)で得た6−アセチルインダン−1−カルボン酸メチルエステルの粗体(218mg,1mmol)、及び3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−カルボキサアルデヒド(272mg,1mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。粉砕したモレキュラーシーブス3A(500mg)を加え、氷冷攪拌下、0.5Mナトリウムメトキシド−メタノール溶液(2mL)を滴下後、氷冷下2時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸(1mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して黄色油状物526mgを得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/10(v/v))およびプレパラティブTLCに(酢酸エチル/ヘキサン=1/5)に処し、表題化合物を黄色結晶として9.2mg得た。

H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.52(6H,d,J=7Hz),
2.3−2.6(2H,m),
3.2−3.4(1H,m),
3.4−3.5(1H,m),
3.6−3.8(1H,m),
3.76(3H,s),
4.11(1H,dd,J=7Hz,8Hz),
7.32(1H,d,J=15Hz),
7.37(1H,dd,J=8Hz,8Hz),
7.57(1H,d,J=9Hz),
7.60(1H,d,J=8Hz),
7.77(1H,d,J=8Hz),
8.04(1H,d,J=9Hz),
8.06(1H,s),
8.20(1H,d,J=15Hz).


(2) 4−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル

4−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]プロペノイル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル(9.0mg,0.019mmol)を実施例2と同様に処理して表題化合物を無色油状物として4.6mg(収率51%)得た。
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.46(6H,d,J=7Hz),
2.3−2.5(2H,m),
3.2−3.4(1H,m),
3.36(4H,s),
3.4−3.6(2H,m),
3.74(3H,s),
4.07(1H,dd,J=7Hz,8Hz),
7.30(1H,dd,J=7Hz,8Hz),
7.53(1H,d,J=8Hz),
7.57(1H,d,J=7Hz),
7.74(1H,d,J=8Hz),
7.94(1H,d,J=8Hz),
8.03(1H,s).


(3) 4−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸

4−[3−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イル]プロピオニル]インダン−1−カルボン酸メチルエステル(4.6mg,0.0097mmol)をテトラヒドロフラン(0.2mL)及びメタノール(0.2mL)に溶解し、0.2M水酸化ナトリウム水溶液(0.2mL)を加え、室温で4時間攪拌した。この反応混合物に2M塩酸(0.5mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣を50℃で真空乾燥して表題化合物を淡褐色アモルファスとして4.4mg(収率99%)得た。
FAB−MS(m/z):461(M+1)
H NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.46(6H,d,J=7Hz),
2.3−2.5(2H,m),
3.2−3.4(1H,m),
3.36(4H,s),
3.4−3.6(2H,m),
4.10(1H,dd,J=7Hz,8Hz),
7.32(1H,dd,J=8Hz,8Hz),
7.53(1H,d,J=9Hz),
7.63(1H,d,J=8Hz),
7.76(1H,d,J=8Hz),
7.94(1H,d,J=9Hz),
8.02(1H,s).
【実施例11】
【0082】
6−[1−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]チアゾール−5−イルメトキシイミノ]エチル]インダン−1−カルボン酸

(1)6−(1−ヒドロキシイミノエチル)インダン−1−カルボン酸メチル

6−アセチルインダン−1−カルボン酸メチル(313mg、1.44mmol)をエタノール(14ml)に溶解し、ヒドロキシルアミン塩酸塩(110mg、1.58mmol)及び酢酸ナトリウム(142mg、1.73mmol)の水溶液(11ml)を加えた。3時間加熱還流した後、室温まで冷却し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(4:1、v/v)流分より表題化合物(301mg、収率90%)を黄色油状物として得た。

H−NMR(CDCl,400MHz):δ=
2.28(3H,s),
2.3−2.4(1H,m),
2.4−2.5(1H,m),
2.9−3.0(1H,m),
3.1−3.2(1H,m),
3.75(3H,s),
4.07(1H,dd,J=7,8Hz),
7.25(1H,d,J=9Hz),
7.48(1H,d,J=8Hz),
7.63(1H,s),
8.15(1H,br).

(2)6−[1−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]チアゾール−5−イルメトキシイミノ]エチル]インダン−1−カルボン酸メチル

5−クロロメチル−4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]チアゾール(67mg、0.21mmol)、6−(1−ヒドロキシイミノエチル)インダン−1−カルボン酸メチル(46.6mg、0.2mmol)、炭酸カリウム(53mg、0.38mmol)を無水ジメチルホルムアミドに溶解した。窒素雰囲気下、60℃で24時間撹拌した後、室温まで冷却し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(20:1、v/v)流分より表題化合物(59.3mg、収率57%)を黄色油状物として得た。

1H−NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.37(6H,d,J=7Hz),
2.23(3H,s),
2.3−2.4(1H,m),
2.4−2.5(1H,m),
2.9−3.0(1H,m),
3.1−3.2(1H,m),
3.2−3.3(1H,m),
3.72(3H,s),
4.07(1H,dd,J=6,8Hz),
5.36(2H,s),
7.24(1H,d,J=8Hz),
7.52(1H,d,J=8Hz)
7.65(2H,d,J=9Hz),
7.67(1H,s)
8.05(2H,d,J=8Hz).

(3)6−[1−[4−イソプロピル−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]チアゾール−5−イルメトキシイミノ]エチル]インダン−1−カルボン酸

上記で得た6−[1−[4−イソプロピル−2−(4−トリフルオロメチル)チアゾール−5−イルメトキシイミノ]エチル]インダン−1−カルボン酸メチル(59mg、0.115mmol)をメタノール(0.5ml)及び水(0.25ml)の混合溶媒に溶解し、水酸化リチウム一水和物(14.5mg、0.35mmol)を加え、2時間加熱還流した。室温まで冷却し、氷水及び1M塩酸を加え酸性にし、酢酸エチルで抽出した。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた固体をヘキサンで洗浄し、表題化合物(36mg、収率62%)を白色結晶として得た。

白色結晶
収率62%
融点156−159℃
FAB−MS(m/z):503(M+1)
1H−NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.36(6H,d,J=7Hz),
2.22(3H,s),
2.3−2.4(1H,m),
2.4−2.5(1H,m),
2.9−3.0(1H,m),
3.0−3.2(1H,m),
3.2−3.3(1H,m),
4.0−4.1(1H,m),
5.36(2H,s),
7.25(1H,d,J=7Hz),
7.53(1H,d,J=8Hz),
7.65(2H,d,J=8Hz),
7.72(1H,s),
8.04(2H,d,J=8Hz).

IR(KBr,cm−1):
3442,2970,2931,2378,2351,2320,1867,1705,1653,1616,1558,1539,1456,1327,1232,1169,1128,1111,1103,1068,1016,978,843,669.
【実施例12】
【0083】
6−[1−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イルメトキシイミノ]エチル]インダン−1−カルボン酸

(1)6−[1−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イルメトキシイミノ]エチル]インダン−1−カルボン酸メチル

2−クロロメチル−3−プロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン(62mg、0.21mmol)、6−(1−ヒドロキシイミノエチル)インダン−1−カルボン酸メチル(46.6mg、0.2mmol)、炭酸カリウム(53mg、0.38mmol)を無水ジメチルホルムアミドに溶解した。窒素雰囲気下、60℃で24時間撹拌した後、室温まで冷却し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥して減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン:酢酸エチル(20:1、v/v)流分より表題化合物(54.3mg、収率56%)を黄色油状物として得た。

1H−NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.00(3H,t,J=7Hz),
1.70(2H,q,J=7Hz),
2.25(3H,s),
2.3−2.4(1H,m),
2.4−2.5(1H,m),
2.9−3.0(1H,m),
2.92(2H,t,J=8,7Hz),
3.1−3.2(1H,m),
3.73(3H,s),
4.07(1H,dd,J=7,8Hz),
7.24(1H,d,J=8Hz),
7.53(1H,d,J=8Hz),
7.57(1H,d,J=8Hz),
7.66(1H,s),
7.79(1H,d,J=9),
8.08(1H,s).

(2)6−[1−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イルメトキシイミノ]エチル]インダン−1−カルボン酸

上記で得た6−[1−[3−イソプロピル−6−(トリフルオロメチル)ベンゾチオフェン−2−イルメトキシイミノ]エチル]インダン−1−カルボン酸メチル(54.3mg、0.111mmol)をメタノール(0.5ml)及び水(0.25ml)の混合溶媒に溶解し、水酸化リチウム一水和物(14.0mg、0.33mmol)を加え、1.5時間加熱還流した。室温まで冷却し、氷水及び1M塩酸を加え酸性にし、酢酸エチルで抽出した。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた固体をヘキサンで洗浄し、表題化合物(34mg、収率64%)を白色結晶として得た。

白色結晶
収率64%
融点137−140℃
FAB−MS(m/z):476(M+1)
1H−NMR(CDCl,400MHz):δ=
1.00(3H,t,J=7Hz),
1.69(2H,q,J=7Hz),
2.24(3H,s),
2.3−2.4(1H,m),
2.4−2.5(1H,m),
2.91(2H,t,J=7Hz),
2.9−3.0(1H,m),
3.1−3.2(1H,m),
4.0−4.1(1H,m),
5.45(2H,s),
7.24(1H,d,J=9Hz),
7.55(2H,t,J=7,8Hz),
7.73(1H,s),
7.78(1H,d,J=8Hz),
8.08(1H,s).
IR(KBr,cm−1):
2960,2939,2871,2360,1707,1604,1566,1529,1493,1460,1425,1404,1323,1252,1165,1111,1103,1082,1012,955,908,889,841,814,719,690,669.
【実施例13】
【0084】
薬理実験(PPAR活性化作用の測定)

I.試験方法
トランスフェクション
試験化合物のPPAR活性化作用を以下のように測定した。CV−1細胞(ATCC(American type culture collection))に受容体発現プラスミド(pSG5−GAL4−hPPARα or γ or δ LBD), ルシフェラーゼ発現プラスミド(pUC8−MH100×4−TK−Luc)及びβ−ガラクトシダーゼ(pCMX−β−GAL)発現プラスミド(Kliewer, S. A. et. Al., (1992) Nature, 358: 771−774)を導入した。トランスフェクション試薬 Lipofectamin 2000(Invitrogen)を用いて遺伝子導入を行った後,供試化合物存在下で40時間培養した。可溶化細胞をルシフェラーゼ活性及びβ−GAL活性測定に用いた。ルシフェラーゼ活性はβ−GAL活性で補正し,GW−590735(PPAR α 選択的agonist),Rosiglitazone(PPAR γ 選択的agonist), GW−501516(PPAR δ選択的agonist)で処理した細胞のルシフェラーゼ活性値を100%として,相対的なリガンド活性を算出した。

実施例化合物のPPAR活性
【0085】
【表13】

【0086】
PPAR活性:対照薬を100%とした時の試験化合物10―7Mでの相対値
PPARα GW−590735:10−6
PPARγ Rosiglitazone:10−5
PPARδ GW−501516:10―7

表13から明らかなように本発明化合物は優れたPPARδ活性化作用を示した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(I)、
【化1】

(式中、Aは次の一般式(II)又は(III)
【化2】

を表し、
ここでWはO又はSを表し、XはCH又はNを表し、
そしてZがCHの時、Yは、S、O又はSOを表し、
ZがNの時、YはOを表し
及びR10は、炭素数1〜8のアルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を表し、
及びR11は、炭素数1〜8のアルキル基、3〜6員環のシクロアルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基で置換された炭素数1〜4のアルキル基を表し、
Bは
【化3】

を表し、
ここで、R12及びR13は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、
、R、R、R、R及びRの何れか1つが結合手であり、そして残りは同一又は異なっていても良く水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基を表し、前記結合手は(CH―C0Hと結合しており、
は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルコキシ基、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基又は1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルコキシ基を表し
mは1〜4の整数を表し
そしてnは0、1又は2を表す。
尚、A―(CH−B−はインダンのベンゼン環に結合している。)
で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項2】
WがSで、XがNである請求項1に記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
がトリフルオロメチル基である請求項1又は2に記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項4】
10がトリフルオロメチル基である請求項1又は2に記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項5】
が炭素数3〜5のアルキル基である請求項1〜3の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項6】
11が炭素数3〜5のアルキル基である請求項1、2、4の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項7】
BがC(=O)である請求項1〜6の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項8】
、R、R、R、R及びRのうち1つは結合手であり、残りの5個が水素原子である請求項1〜7の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項9】
が水素原子である請求項1〜8の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項10】
mが1又は2である請求項1〜9の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項11】
nが0である請求項1〜10の何れかに記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩。
【請求項12】
請求項1〜11の何れかの項に記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するペルオキシソーム増殖剤活性化受容体δの活性化剤。
【請求項13】
請求項1〜11の何れかの項に記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するPPARに媒介される疾患の治療および/または予防剤。
【請求項14】
PPARに媒介される疾患が、高脂血症、脂質異常症、高コレステロール血症、高TG血症、低HDL血症、高LDL and/or non-HDL血症、高VLDL血症、リポタンパク異常症、低アポリポタンパクA-I血症、アテローム動脈硬化症、動脈硬化性疾患、冠動脈性疾患、脳血管障害、末梢血管障害、メタボリック・シンドローム、シンドロームX、内臓脂肪型肥満を含む肥満、糖尿病、高血糖、インスリン抵抗性、耐糖能異常、高インスリン血症、糖尿病性合併症、心不全、心筋梗塞、心筋症、高血圧、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎、血栓、アルツハイマー病、神経変性疾患、脱髄性疾患、多発性硬化症、副腎白質ジストロフィー、皮膚炎、乾癬、にきび、皮膚老化、発毛異常、炎症、関節炎、喘息、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、膵炎並びに結腸癌、大腸癌、皮膚癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌及び肺がんを含む癌である請求項13記載の治療および/または予防剤。
【請求項15】
PPARに媒介される疾患が種々の脂質異常症、メタボリック・シンドローム、内臓脂肪型肥満を含む肥満、アテローム動脈硬化症およびその関連疾患又は糖尿病である請求項13に記載の治療および/または予防剤。

【公開番号】特開2012−116753(P2012−116753A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76710(P2009−76710)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000228590)日本ケミファ株式会社 (33)
【Fターム(参考)】