説明

ペルフルオロポリエーテルセグメント及び複数のアミノオキサリルアミノ基を有するコポリマー

ペルフルオロポリエーテルセグメントを少なくとも1つ、及びアミノオキサリルアミノ基を複数含有するコポリマーが記載される。コポリマーの製造方法も記載される。コポリマーは、オキサリルアミノ含有化合物を、第1級アミノ基を少なくとも2つ、第2級アミノ基を少なくとも2つ、又は第1級アミノ基を少なくとも1つに加えて第2級アミノ基を少なくとも1つ有するアミン化合物と反応させることで調製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年12月30日に出願された米国特許仮出願第61/291,083号の利益を主張し、その開示内容の全体を参照として本明細書に組み込むものである。
【0002】
(発明の分野)
ペルフルオロポリエーテルセグメントを少なくとも1つ及びアミノオキサリルアミノ基を複数含有するコポリマー並びに、これらのコポリマーの製造方法を記載する。
【背景技術】
【0003】
低表面エネルギー材料及び/又は低屈折率材料が所望される用途において、フッ素化ポリマー材料、例えばペルフルオロポリエーテルセグメントを含有する材料などが、使用されてきた。
【0004】
複数のアミノオキサリルアミノ基に加え、ポリジオルガノシロキサンセグメントを有するポリマー材料が調製されてきた。これらのポリマー材料は、例えば、接着剤組成物及び様々な種類のポリマーフィルムを調製するために使用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ペルフルオロポリエーテルセグメントを少なくとも1つ、及びアミノオキサリルアミノ基を複数含有するコポリマーが記載される。コポリマーの製造方法も記載される。コポリマーは、例えば、低表面エネルギー材料及び/又は低屈折率材料が所望される用途で、使用することができる。
【0006】
第1の態様では、コポリマーが提供される。コポリマーとしては、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物及び第1アミン化合物を含む反応混合物生成物が挙げられる。フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを1つ、及び式(I)の1価のオキサリルアミノ含有基を少なくとも2つ含む。
【化1】


式(I)中、各Rは独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CRのイミノである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールである。R基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。R基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール又は置換アリールである。第1アミン化合物は式(II)のものである。
【化2】


式(II)中、Q基は、第1基を第2基と連結する(a)アルカンラジカル、(b)フッ素化アルカンラジカル、(c)ヘテロアルカンラジカル、(d)アレーンラジカル、(e)カルボニルアミノ基、(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立して、アルカンラジカル、フッ素化アルカンラジカル、ヘテロアルキレンラジカル、アレーンラジカル、又はこれらの組み合わせである。各R基は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。変数記号nは、少なくとも2に等しい整数である。
【0007】
第2の態様では、コポリマーが提供される。コポリマーは、第2オキサリルアミノ含有化合物の生成物及びフッ素化アミンの生成物を含む。第2オキサリルアミノ含有化合物は式(III)のものである。
【化3】


式(III)中、各Rは独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CRのイミノである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部である。R基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。R基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。Q基は第1基を第2基と連結する(a)アルキレン、(b)フッ素化アルキレン、(c)ヘテロアルキレン、(d)アリーレン、又は(e)カルボニルアミノ基であるか、又は(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してアルキレン、フッ素化アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。変数記号pは、少なくとも1に等しい整数である。フッ素化アミンは、ペルフルオロポリエーテルセグメント、並びに第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つを含有する。
【0008】
第3の態様では、コポリマーが提供される。コポリマーとしては、シュウ酸塩化合物、フッ素化アミン化合物、及び第1アミン化合物を含む反応混合物生成物が挙げられる。シュウ酸塩化合物は式(IX)のものである。
【化4】


式(IX)中、各Rは独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CRのイミノである。R基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。R基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。フッ素化アミンは、ペルフルオロポリエーテルセグメント、並びに第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つを含有する。第1アミン化合物は式(II)のものである。
【化5】


式(II)中、Q基は、第1基を第2基と連結する(a)アルカンラジカル、(b)フッ素化アルカンラジカル、(c)ヘテロアルカンラジカル、(d)アレーンラジカル、(e)カルボニルアミノ基、(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立して、アルカンラジカル、フッ素化アルカンラジカル、ヘテロアルキレンラジカル、アレーンラジカル、又はこれらの組み合わせである。各R基は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。変数記号nは、少なくとも2に等しい整数である。
【0009】
第4の態様では、コポリマーが提供される。コポリマーは、式(IV)の基を少なくとも1つ含有する。
【化6】


式(IV)中、各Q基はペルフルオロポリエーテルセグメントを含有する。各Q基は第1基を第2基と連結する(a)アルキレン、(b)フッ素化アルキレン、(c)ヘテロアルキレン、(d)アリーレン、又は(e)カルボニルアミノ基であるか、又は(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してアルキレン、フッ素化アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部である。各変数記号q、p、及びmは、少なくとも1に等しい整数である。各星印は、コポリマー内の他の基に結合する部位を記述する。
【0010】
上記「課題を解決するための手段」は、本発明の開示された各実施形態、又はすべての実施を記載するものではない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。以下の説明の全体を通し、いくつか箇所において、様々に組み合わせて使用することのできる複数の実施例を列挙することでガイダンスを提供する。各例において、特に記載のない限り、引用した一覧は代表的な基のみを提供するものであり、排他的な一覧として解釈すべきでない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ペルフルオロポリエーテルセグメントを含有しているコポリマーを記載する。コポリマーは更にアミノオキサリルアミノ基を少なくとも2つ含む。コポリマーの製造方法も記載される。
【0012】
定義
「a」、「an」、及び「the」という用語は、「少なくとも1つの」と互換可能に用いられ、記載される要素のうちの1以上を意味する。
用語「及び/又は」とは、一方又は両方を意味する。例えば、表現X及び/又はYは、X、Y、又はこれらの組み合わせを意味する。
用語「アルキル」とは、飽和炭化水素であるアルカンのラジカルである1価の基をいう。アルキルは、直鎖状、分枝状、環状、又はこれらの組み合わせであってもよく、典型的には1〜20個の炭素原子を有する。一部の実施形態では、アルキル基は炭素原子を1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個含有する。アルキル基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、及びオクタデシルが挙げられる。
「アルキレン」という用語は、アルカンのラジカルである二価基を指す。アルキレンは、直鎖、分岐鎖、環状、又はこれらの組み合わせであり得る。典型的には、アルキレンは炭素原子を1〜20個有する。いくつかの実施形態において、アルキレンは、1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキレンのラジカル中心は、同一炭素原子上(すなわち、アルキリデン)、又は異なる炭素原子上に存在しうる。
用語「フッ素化アルキレン」は、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキレンを指す。ペルフルオロアルキレンは、フッ素化アルキレンの部分集合である。
用語「アルコキシ」は、式−OR(式中、Rはアルキル基である)の一価基を指す。
用語「アルコキシカルボニル」は、式−(CO)ORの1価の基を指し、ここで(CO)はカルボニル基を意味し、Rはアルキル基である。
用語「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素であるアルケンのラジカルである一価の基を意味する。アルケニルは、直鎖、分枝状、環状又はこれらの組み合わせであることができ、典型的には、2〜20個の炭素原子を含む。一部の実施形態では、アルケニルは、2〜18個、2〜12個、2〜10個、4〜10個、4〜8個、2〜8個、2〜6個又は2〜4個の炭素原子を含む。例示的なアルケニル基としては、エテニル、1−プロペニル、及び1−ブテニルが挙げられる。
用語「アレーン」は、炭素環式芳香族化合物を指す。
用語「アリール」は、芳香族及び炭素環式である一価の基を指す。アリールは、芳香環と結合又は縮合した1〜5個の環を有しうる。その他の環構造は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであることができる。アリール基の例としては、限定するものではないが、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナンスリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、及びフルオレニルが挙げられる。
用語「置換アリール」は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、又はアルコキシカルボニルから選択される1つ以上の基で置換されたアリールを指す。
用語「アラルキル」は、式−R−Arの1価の基を指し、式中、Rはアルキレンであり、Arはアリール基である。すなわち、アラルキルは、アリールで置換されたアルキルである。
用語「置換アラルキル」は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、又はアルコキシカルボニルから選択される1つ以上の基で置換されたアラルキルを指す。アラルキルのアリール部分は、典型的には置換された基である。
用語「アラルキレン」は、式−R−Ar−の二価の基を指し、式中、Rはアルキレンであり、Arはアリーレン基である。
用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを指す。
用語「ハロアルキル」は、ハロで置換された少なくとも1個の水素原子を有するアルキルを指す。いくつかのハロアルキル基は、フルオロアルキル基、クロロアルキル基、又はブロモアルキル基である。
用語「ハロカルボニル」は、式−(CO)Xの1価の基を指し、式中、(CO)はカルボニルを意味し、Xはハロである。
本明細書で使用するとき、用語「イミノ」は式−N=CRの基を指し、式中、R基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールであり、R基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。
用語「ヘテロアルキレン」は、チオ、オキシ、又は−NR−で連結された少なくとも2つのアルキレン基を含有する二価の基を指し、この場合、Rは水素、アルキル、アリール、又はアラルキルである。ヘテロアルキレンは、直鎖、分岐鎖、環状、又はこれらの組み合わせであることができ、60個以下の炭素原子及び15個以下のヘテロ原子を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキレンは、50個以下の炭素原子、40個以下の炭素原子、30個以下の炭素原子、20個以下の炭素原子、又は10個以下の炭素原子を含む。いくつかのヘテロアルキレン基はポリアルキレンオキシド基であり、この場合、ヘテロ原子は酸素である。
用語「ペルフルオロポリエーテル」は、2価の基又は式−(C2x−O)−のセグメントを指し、式中、xは1〜10の範囲の整数であり、yは少なくとも2に相当する整数である。整数xは、多くの場合、1〜8の範囲、1〜6の範囲、1〜4の範囲、又は2〜4の範囲であるか、3に等しいか、又は4に等しい。整数yは、多くの場合、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも8、少なくとも12、少なくとも16、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、又は少なくとも50である。
用語「ペルフルオロアルキレン」は、すべての水素原子がフッ素原子で置換されたアルキレンを指す。
用語「オキサリル」は、式−(CO)−(CO)−の2価の基(式中、各(CO)はカルボニル基を意味する)を指す。
用語「オキサリルアミノ」は、式−(CO)−(CO)−NR−の二価の基を指し、式中、各(CO)はカルボニル基を意味し、Rは水素、アルキル、アリール、又はアラルキルであるか、又は複素環基の一部である。
用語「アミノオキサリルアミノ」は、式−NR−(CO)−(CO)−NR−の2価の基を指し、式中、各(CO)はカルボニル基を意味し、各Rは水素、アルキル、アリール、アラルキルでありか、又は複素環基の一部である。
用語「カルボニルアミノ」は、式−(CO)−NR−の二価の基を指し、式中、各(CO)はカルボニル基を意味し、Rは水素、アルキル、アリール、又はアラルキルであるか、又は複素環基の一部である。
用語「一級アミノ」は、1価の−NH基を指す。
用語「二級アミノ」は、1価の−NHR基を指し、式中、Rはアルキル、アリール、又はアラルキルであるか、又は複素環基の一部である。
用語「ポリマー」及び「ポリマー材料」は、互換的に使用され、1つ以上の反応物から調製された材料を指す(すなわちモノマー)。同様に、用語「重合」は、1つ以上の反応物からポリマー材料を作製するプロセスを指す。用語「コポリマー」及び「コポリマー」は互換的に使用され、少なくとも2つの異なる反応物から調製されたポリマー材料を指す。
【0013】
ペルフルオロポリエーテルセグメントを少なくとも1つ、及びアミノオキサリルアミノ基少なくとも2つ含有する様々なコポリマーが提供される。これらのコポリマーとしては、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物及び第1アミン化合物を含有する第1反応混合物生成物が挙げられる。フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有する。あるいはコポリマーは、オキサリルアミノ含有第2化合物、及びペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化アミンを含有する、第2反応混合物の生成物であり得る。第1反応混合物中のフッ素化オキサリルアミノ含有化合物、及び第2反応混合物中のオキサリルアミノ含有第2化合物は、それぞれ式(I)の1価のオキサリルアミノ含有基を少なくとも2つ有する。
【化7】


式(I)中、各Rは独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CRのイミノである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部である。R基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。R基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。
【0014】
コポリマーの形成に使用される第1反応混合物において、オキサリルアミノ含有基を少なくとも2つ有する式(I)の化合物は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化化合物である。この反応混合物において、オキサリルアミノ含有基は式(Ia)のものである。
【化8】


式(Ia)中、R基は水素、アルキル、アラルキル、又はアリールである。
【0015】
一部の実施形態では、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は式(V)のものである。
【化9】


式(V)中、Rfはペルフルオロポリエーテル基である。各Yは独立して、第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、又は(c)カルボニルアミノ基であるか、又は(d)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン又はアルキレンである。変数記号nは、少なくとも2以上の整数である。例えば、nは少なくとも3又は少なくとも4であり得る。変数記号nは、多くの場合、10以下、8以下、6以下、4以下、又は3以下である。変数記号nは、2〜10、2〜6、又は2〜4の範囲であり得る。変数記号Rfはnに等しい。直鎖の反応生成物を調製するために、nは通常2に等しく、Rfは二価の基である。
【0016】
式(I)、(Ia)、及び(V)中のRに好適なアルキル及びハロアルキル基、多くの場合、炭素原子を1〜10個、1〜6個、又は1〜4個有する。3級アルキル(例えば、t−ブチル)及び3級ハロアルキル基を使用することが可能ではあるが、多くの場合、1級又は2級炭素原子が、隣接したオキシ基に直接付着(すなわち、結合)している。例示のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、及びイソ−ブチルが挙げられる。例示のハロアルキル基としては、クロロアルキル基及びフルオロアルキル基が挙げられ、この場合、対応するアルキル基上の水素原子のいくらか(すべてではない)は、ハロ原子により置き換えられている。例えば、クロロアルキル又はフルオロアルキル基は、クロロメチル、2−クロロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、3−クロロプロピル、4−クロロブチル、フルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、及び同様物であり得る。
【0017】
に好適なアルケニル基は、多くの場合、炭素原子を2〜10個、2〜8個、2〜6個、又は2〜4個有する。例示的なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、及びペンテニルが挙げられる。
【0018】
に好適なアリール基としては、6〜12個の炭素原子を有するもの、例えば、フェニルなどが挙げられる。アリールは、未置換であってもよく、あるいは、アルキル(例えば、メチル、エチル、又はn−プロピルなどの、炭素原子を1〜4個有するアルキル)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシなどの、炭素原子を1〜4個有するアルコキシ)、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチルなどの、炭素原子を1〜4個有するハロアルキル)、又はアルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、又はプロポキシカルボニルなどの、炭素原子を2〜5個有するアルコキシカルボニル)により置換されてもよい。
【0019】
に好適なアラルキル基としては、炭素原子を1〜10個有するアルキル基を持つもの、及び炭素原子を6〜12個有するアリール基を持つものが挙げられる。例えば、アラルキルはフェニルで置換された、炭素原子を1〜10個、又は炭素原子を1〜4個有するアルキルであり得る。アラルキルのアリール部分は、未置換であってもよく、あるいは、アルキル(例えば、メチル、エチル、又はn−プロピルなどの、炭素原子を1〜4個有するアルキル)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシなどの、炭素原子を1〜4個有するアルコキシ)、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチルなどの、炭素原子を1〜4個有するハロアルキル)、又はアルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、又はプロポキシカルボニルなどの、炭素原子を2〜5個有するアルコキシカルボニル)により置換されてもよい。
【0020】
に好適なイミノ基は式−N=CRの1価の基である。R又はRのいずれかに好適なアルキル基は、直鎖又は分枝鎖であってよく、典型的には炭素原子を1〜10個、炭素原子を1〜8個、炭素原子を1〜6個、又は炭素原子を1〜4個含有する。R又はRに好適なアリール、置換アリール、アラルキル、及び置換アラルキル基は、Rについて上記したものと同様のものである。
【0021】
式(Ia)及び(v)中、各R基は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであり得る。好適なアルキル基は直鎖又は分枝鎖であってよく、典型的には炭素原子を1〜10個、炭素原子を1〜8個、炭素原子を1〜6個、又は炭素原子を1〜4個含有する。好適なアリール基としては、典型的には炭素原子を6〜12個有するものが挙げられる。アリール基は、多くの場合、フェニルである。好適なアラルキル基としては、炭素原子を6〜12個有するアリール基で置換された、炭素原子を1〜10個有するアルキル基が挙げられる。例示的なアラルキル基としては多くの場合、フェニルで置換された、炭素原子を1〜10個、又は1〜4個有するアルキルが挙げられる。
【0022】
式(V)中のRf基はペルフルオロポリエーテル基である。この基としては、典型的には式−(C2x−O)−のセグメントが挙げられ、式中、xは1〜10の範囲の整数であり、yは少なくとも2に等しい整数である。整数xは、多くの場合、1〜8の範囲、1〜6の範囲、1〜4の範囲、又は2〜4の範囲であるか、3に等しいか、又は4に等しい。整数yは、多くの場合、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも8、少なくとも12、少なくとも16、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、又は少なくとも50である。一部の特定のペルフルオロポリエーテル基では、xは3に相当し、かつペルフルオロポリエーテル基はポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキシド)セグメントを含む。すなわち、Rfは多くの場合、式−(CO)−セグメントを含み、セグメント中の各−CO−基は直鎖又は分枝鎖であり得る。Rf基の価数は変数記号nに等しい。多くの実施形態では、Rfは二価の基である。
【0023】
一部の例示的なRf基は式
−R−O[CF(CF)CFO]CF(CF)−のものであり、
式中、Rは、炭素原子を1〜20個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、1〜5個、又は1〜4個有するペルフルオロアルキレン基である。変数記号wは、1〜35、1〜30、1〜20、1〜10、又は1〜5の範囲の整数である。
【0024】
他の例示的なRf基は式
−CF(CF)[OCFCF(CF)]OCF−R−CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−のものであり、
式中、Rは、炭素原子を1〜20個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、1〜5個、又は1〜4個有するペルフルオロアルキレン基である。変数記号b及びdは、いずれも合計して0〜35、1〜35、2〜35、0〜30、1〜30、2〜30、0〜20、1〜20、2〜20、0〜10、1〜20、又は2〜10の範囲内の整数である。これらのRf基の、対応するジメチルエステルの調製は、例えば米国特許第3,250,807号(Fritz et al.)の、実施例IVなどに記載される。
【0025】
更に他の例示的なRf基は式
−CFO−[CFO]−[CFCFO]−[CF(CF)CFO]−CF−のものであり、
この場合、変数記号f、g、及びhは合計して0〜35、1〜35、2〜35、3〜35、3〜30、3〜20、3〜15、又は3〜10の範囲の整数である。例示的な材料は、商品名FOMBLIN Z−DEALでSolvay Solexis(West Deptford,NJ)から市販されている。
【0026】
更に他の例示的なRf基は、下式
−CFO−(CFCFO)−CF−、
−CFCFO−(CFCFCFO)−CFCF−、又は
−CFCFCFO−(CFCFCFCFO)−CFCFCF−のうちの1つであり、
式中、kは0〜35、1〜30、1〜30、1〜20、1〜15、又は1〜10の範囲の変数記号である。これらのRf基の、対応するジメチルエステルは、有機前駆体を直接的にフッ素化し、次いでメタノールと反応させることで調製することができる。この調製方法は、米国特許第5,488,142号(Fall et al.)の実施例2、及び米国特許第5,093,432号(Bierschenk et al.)の実施例4に記載されている。
式(V)中、各Yは独立して、第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、又は(c)カルボニルアミノであるか、あるいは(d)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してアルキレン又はヘテロアルキレンである。この際、Y基は、第1基を第2基と連結するカルボニルアミノ基を含み、得られる連結基は式−Y1a−(CO)−NR−Y1a−であり得、式中、各Y1aは独立してアルキレン又はヘテロアルキレンである。このような複数の基は、例えば、−Y1a−(CO)NR−Y1a−(CO)NR−Y1a−及び
−Y1a−(CO)NR−Y1a−(CO)NR−Y1a−(CO)NR−Y1a−などのように共に連結され得る。
【0027】
任意の好適なヘテロアルキレン基をY(又はY1a)に使用することができるが、ヘテロアルキレンは、多くの場合、酸素ヘテロ原子(すなわちオキシ基)を含有するものである。ヘテロアルキレンは、多くの場合炭素原子を少なくとも2個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも4個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも6個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも10個と炭素原子を少なくとも2個、あるいは炭素原子を少なくとも20個とヘテロ原子を少なくとも3個又は少なくとも4個有する。任意の好適なアルキレン基をY(又はY1a)に使用することができる。アルキレン基は炭素原子を少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも10個、又は少なくとも20個有し得る。
【0028】
第1反応混合物の他の実施例では、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、式(VI)のものである。
【化10】


式(VI)中、各Rf、Y、R及びRは、式(V)について上記したものと同様である。変数記号qは少なくとも1に等しい整数であり、多くの場合、少なくとも2、少なくとも3、又は少なくとも5に等しい。変数記号qは、多くの場合、100以下、50以下、20以下、15以下、又は10以下である。変数記号qは、多くの場合、1〜20、2〜20、1〜15、1〜10、1〜6、1〜4、又は1〜3の範囲である。変数記号qは、式(VI)の化合物を生成するために反応させる成分の比(当量比)に影響される。
【0029】
フッ素化オキサリルアミノ含有化合物が式(VI)のものである場合、変数記号qについて異なる値を有する材料の混合物であり得る。例えば、反応生成物の少なくとも50重量パーセントは、1に等しい変数記号qを有し得、反応生成物の残りのものは、2〜20、2〜10、又は2〜5の範囲の変数記号qを有し得る。一部の実施例では、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、少なくとも90重量パーセント、又は少なくとも95重量パーセントの反応生成物は、1に等しい変数記号qを有し、反応生成物の残りのものは、2〜20、2〜10、又は2〜5の範囲の変数記号qを有する。
【0030】
式(V)又は(VI)のフッ素化オキサリルアミノ含有化合物の一部では、各Y基は−Y−(CO)−NR−Y−に相当し、化合物はそれぞれ式(Va)及び(VIa)である。
【化11】


これらの式中、各Yは独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。各Yは独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。
【0031】
又はYのいずれについても任意の好適なヘテロアルキレンを使用することができるが、ヘテロアルキレンは、多くの場合、酸素ヘテロ原子を有する。各ヘテロアルキレンは、炭素原子を少なくとも2個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも4個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも6個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも10個とヘテロ原子を少なくとも2個、あるいは炭素原子を少なくとも20個とヘテロ原子を少なくとも3個又は少なくとも4個有する。
【0032】
に好適なアルキレン基は炭素原子を少なくとも1個有するものである一方、Yに好適なアルキレン基は炭素原子を少なくとも2個有するものである。Y又はYのいずれかに関し、例示的なアルキレン基は、炭素原子を少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも10個、又は少なくとも20個有し得る。
【0033】
式(V)、(Va)、(VI)、又は(VIa)の、一部のより具体的なフッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、式
−CF(CF)[OCFCF(CF)]OCF−R−CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−のものであり、
式中、Rは、炭素原子を1〜20個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、1〜5個、又は1〜4個有するペルフルオロアルキレン基である。変数記号b及びdは、いずれも合計して0〜35、1〜35、2〜35、0〜30、1〜30、2〜30、0〜20、1〜20、2〜20、0〜10、1〜20、又は2〜10の範囲内の整数である。一部の例示的なRf基では、Rは炭素原子を2〜6個有し、b及びdの合計は4〜35の範囲内である。
【0034】
式(V)、(Va)、(VI)、及び(VIa)のフッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、シュウ酸塩化合物を用いるフッ素化アミン反応により調製することができる。フッ素化アミンは、ペルフルオロポリエーテルセグメントを少なくとも1つ、並びに第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つ有する。フッ素化アミンは、多くの場合式(VII)又は(VIII)のものである。
【化12】


式(VII)の化合物が式(VIII)の化合物に相当する場合、式(VII)中、Yは−Y−(CO)−NR−Y−に相当する。式(VII)及び(VIII)中、Rf、Y、Y、Y、及びR基は、式(V)及び(IV)について前述したものと同様である。変数記号nは前述したものと同様であるが、多くの場合、式(VIIa)及び(VIIIa)で示されるように2に等しい。
【化13】

【0035】
任意の既知の方法を用いて様々なフッ素化アミンを調製することができる。例えば、式A−Rf−Aの化合物を生成することで、フッ素化アミンを調製することができる。この式において、A基はアルコキシカルボニル又はハロカルボニルなどのカルボニル含有基を指す。このような化合物の調製は例えば、米国特許第3,250,807号(Fritz et al.)に更に記載される。該当特許中では、ペルフルオロスクシニルフッ化物などのフッ素化二塩基酸を、ビス(2−メトキシエチル)エーテル(すなわち、ジグリム)中で、触媒量のフッ化カリウムと共にヘキサフルオロプロピレンオキシドと反応させることで調製が開始される。次いでこの化合物A−Rf−Aを、式RHN−Y−NHRのジアミンと反応させることで、Yが単結合である式(VIIIa)のフッ素化アミンを調製することができる。
【0036】
式(VIIa)のフッ素化アミンの一部の例としては、限定するものではないが、式Rf−(CHOCNH又はRf−(CHOCNHのものが挙げられ、式中、Yはヘテロアルキレンである。他の例示的なフッ素化アミンとしては、限定するものではないが、式Rf−(CHCHNH又はRf−(CHNHのものが挙げられる。式中、Yはアルキレンである。
【0037】
式Rf−(CHOCNHの化合物を調製するために、式Rf−(COF)の化合物をRf−(CHOH)へと還元することができる。次いで、アクリロニトリルを式Rf−(CHOH)の化合物に加えて、式Rf−(CHOCCN)の化合物を得ることができる。次いで、アンモニア及び白金触媒の存在下で、Rf−(CHOCCN)を水素により還元して、式Rf−(CHOCNHの化合物を生成することができる。
【0038】
式Rf−(CHOCNHの化合物を調製するために、式Rf−(COF)の化合物をRf−(CHOH)へと還元することができる。次いでRf−(CHOH)の化合物をエチレンカーボネートと反応させることで、式Rf−(CHOCOH)の化合物を生成することができる。次いでこの化合物をメタンスルホニルクロリドと反応させることで式Rf−(CHOCOSOCHの化合物を生成することができる。Rf−(CHOCOSOCHの化合物を、液体アンモニアと反応させることで、Rf−(CHOCNHを生成することができる。
【0039】
式Rf−(CNHの化合物を調製するために、ヨウ化リチウムを式Rf−(COF)の化合物と反応させて、Rf−(I)を生成する。次いで、化合物Rf−(I)をエチレンと反応させることで、Rf−(CI)を生成することができる。この生成物を更に液体アンモニアと反応させることで、Rf−(CNHを生成することができる。
【0040】
式Rf−(CHNHの化合物を調製するために、式Rf−(COF)の化合物を、アンモニアと反応させることでRf−(CONHを生成し、次いでBHを用いRf−(CHNHへと還元することができる。代替的な合成方法は、米国特許第3,810,874号(Mitsch et al.)の実施例XIVに記載される。
【0041】
フッ素化アミン(例えば、式(VII)、(VIIa)、(VIII)、又は(VIIIa)の化合物)と反応させるシュウ酸塩は、多くの場合式(IX)の化合物である。
【化14】


式(IX)中、R基は、式(I)について記載されるものと同様である。式(VI)のシュウ酸塩化合物は、例えば、式R−OHのアルコールを塩化オキサリルと反応させることで生成することができる。式(I)のシュウ酸の一部は市販されており(例えば、Sigma−Aldrich(Milwaukee,WI)及びVWR International(Bristol,CT)から市販)、限定するものではないが、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、シュウ酸ジ−tert−ブチル、シュウ酸ビス(フェニル)、シュウ酸ビス(ペンタフルオロフェニル)、シュウ酸1−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)、及びシュウ酸ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)が包含される。
【0042】
フッ素化オキサリルアミノ含有化合物を調製するために使用することのできる例示的な縮合反応は、反応スキームAに示される。より具体的には、この反応スキームは、反応スキームAで示される、式(VIIa)のフッ素化アミンと、過剰量の式(IX)のシュウ酸塩化合物との例示的な縮合反応を示すものである。
【化15】

【0043】
式(VI)のフッ素化オキサリルアミノ含有化合物を生成するための、式(IX)のシュウ酸塩化合物とフッ素化アミンとの縮合反応は、溶媒の存在下又は非存在下で生じ得る。一部の合成方法では、反応混合物には、溶媒は全く含まれず、あるいは溶媒はほんの少量だけ含まれる。溶媒の除去が、続いて生成物を縮合反応に使用する際に有利なものになり得る場合、溶媒が非存在であることが所望される。その他の合成方法においては、溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、又は脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサンなどのアルカン)などを挙げてもよい。
【0044】
フッ素化オキサリルアミノ含有化合物を生成するために、典型的には、過剰量(例えば、当量に基づき過剰)の式(IX)のシュウ酸塩化合物が使用される。過剰量のシュウ酸塩化合物は、典型的には除去プロセス(stripping process)を使用することで所望の凝縮反応生成物(すなわち、式(V)、(Va)、(VI)、又は(VIa)の化合物)から除去することができる。例えば、反応させた混合物(すなわち、縮合反応による一種以上の生成物)は、過剰なシュウ酸塩を揮発させるために最高で150℃、最高で175℃、最高で200℃、最高で225℃、又は更には最高で250℃又は更にそれ以上の温度にまで加熱することができる。真空引きを行って、過剰なオキサラートの除去に必要な温度を下げることができる。式(V)、(Va)、(VI)、又は(VIa)の化合物の分解は、典型的には最高で250℃の温度でも最小限であり、あるいはほとんど見られない。シュウ酸塩を除去するにあたり任意の他の既知の方法を使用することができる。
【0045】
縮合反応の副生成物は、式R−OHの化合物である。この化合物は、典型的にはアルコール、フェノール、又はオキシムである。R基は、多くの場合、約250℃以下の温度に加熱することにより除去(例えば、蒸発)することのできる副生成物を生成するよう選択される。このような副生成物は、反応させた混合物を加熱して、任意の過剰量の式(IX)のシュウ酸塩化合物を除去する際に除去することができる。
【0046】
フッ素化オキサリルアミノ含有化合物(例えば、式(V)、(Va)、(VI)、又は(VIa)の化合物)を、第一級アミノ基を少なくとも2つ、又は第二級アミノ基を少なくとも2つ有するか、あるいは第一級アミノ基を少なくとも1つに加え第二級アミノ基を少なくとも1つ有する、第1アミン化合物と反応させることができる。第1アミン化合物は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有さない。更に、第1アミン化合物は、ポリジオルガノシロキサンセグメントを有さない。第1アミン化合物は式(II)のものである。
【化16】


式(II)中、Q基は、第1基を第2基と連結する(a)アルカンラジカル、(b)フッ素化アルカンラジカル、(c)ヘテロアルカンラジカル、(d)アレーンラジカル、(e)カルボニルアミノ基、(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立して、アルカンラジカル、フッ素化アルカンラジカル、ヘテロアルキレンラジカル、アレーンラジカル、又はこれらの組み合わせである。各R基は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。変数記号nは、少なくとも2に等しい整数である。
【0047】
一部の実施形態では、式(II)中、変数記号nは少なくとも3に等しい整数である。第1アミンが第一級アミノ基及び/又は第二級アミノ基を3つ以上有する場合、その任意のアミンは架橋剤として提供され得る。アミノ基を少なくとも3つ有する第1アミン化合物の例としては、限定するものではないが、トリス(2−アミノエチル)アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びヘキサエチレンヘプタミンが挙げられる。
【0048】
式(II)の第1化合物の多くの実施形態では、変数記号nは2に等しく、第1化合物は式(IIa)のものである。
【化17】


式(IIa)中、Q基は第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン、又は(e)カルボニルアミノ基であるか、又は(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部である。
【0049】
Q基がカルボニルアミノ基を含む場合、得られる結合基は式−Q−(CO)NR−Q−であり得、式中、各Q3aは独立してアルキレン、フッ素化アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせであり得る。このような複数の基は、例えば、−Q−(CO)NR−Q−(CO)NR−Q−及び
−Q−(CO)NR−Q−(CO)NR−Q−(CO)NR−Q−などのように結合させることができる。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRに結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。
【0050】
Q基又はQ基の組み合わせは、ヘテロアルキレン基、アルキレン基、フッ素化アルキレン基、及びアリーレン基の任意の組み合わせを指す。このような基は2つ以上連結させることができる。例えば、この組み合わせは、アルキレンをアリーレン基に結合させたものであり得る。このような組み合わせは、アラルキレン基などとも呼ばれる。他の例は、2つ以上のアルキレン基をアリーレン基に結合させたものである。一部の例示的な基は、式−C2x−C−C2x−のアルキレン−アラルキレン基(すなわち、アルキレン−アリーレン−アルキレン基)であり、式中、xは1〜10の範囲である。
【0051】
Q又はQのいずれについても任意の好適なヘテロアルキレンを使用することができるが、ヘテロアルキレンは多くの場合酸素ヘテロ原子を有する。各ヘテロアルキレンは、炭素原子を少なくとも2個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも4個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも6個とヘテロ原子を少なくとも1個、炭素原子を少なくとも10個とヘテロ原子を少なくとも2個、あるいは炭素原子を少なくとも20個とヘテロ原子を少なくとも3個又は少なくとも4個有する。
【0052】
任意の好適なアルキレン基又はフッ素化アルキレン基をQ又はQのいずれかに使用することができる。例えば、アルキレン基は炭素原子を少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも10個、又は少なくとも20個有し得る。アルキレン又はフッ素化アルキレン基は、例えば、炭素原子を1〜20個、炭素原子を2〜20個、炭素原子を1〜10個、炭素原子を2〜10個、炭素原子を2〜8個、又は炭素原子を2〜6個有し得る。フッ素化アルキレン基は、完全にフッ素化でき(すなわち、アルキレン上のすべての水素原子をフッ素原子で置換されたペルフルオロアルキレン基)、あるいは部分的にフッ素化することもできる(例えば、すべてではないが一部の水素原子をフッ素原子で置換されたフッ素化アルキレン基)。
【0053】
任意の好適なアリーレンを、Q又はQに使用することができる。例示的なアリーレン基は多くの場合炭素原子を6〜12個有するものであり、限定するものではないが、フェニレン及びビフェニレンが挙げられる。アリーレン基は未置換なものであり得、あるいは、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、又はアルコキシカルボニルから選択された1つ以上の基で置換されたものであり得る。
【0054】
式(II)又は(IIa)中の各R基は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRに結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。好適なアルキル基は直鎖又は分枝鎖であってよく、典型的には炭素原子を1〜10個、炭素原子を1〜8個、炭素原子を1〜6個、又は炭素原子を1〜4個含有する。好適なアリール基としては、典型的には炭素原子を6〜12個有するものが挙げられる。アリール基は、多くの場合、フェニルである。好適なアラルキル基としては、炭素原子を6〜12個有するアリール基で置換された、炭素原子を1〜10個有するアルキル基が挙げられる。例示的なアラルキル基としては多くの場合、フェニルで置換された、炭素原子を1〜10個、1〜6個、又は1〜4個有するアルキルが挙げられる。一部のR基はQと窒素原子を組み合わせたものであり、Rは窒素原子と結合して複素環基を形成する。多くの場合、複素環基は環原子を少なくとも4個、少なくとも5個、又は少なくとも6個有し、これらの環原子のうちの1つは窒素原子である。複素環基は不飽和であっても又は部分的に飽和されてもよい。1つの例示的な複素環基は、ピペリジンから誘導される二価の基である。
【化18】

【0055】
反応混合物に含むことができる、一部の例示的な第1アミン化合物はポリエーテルアミンである(すなわち、Q基は酸素ヘテロ原子を有するヘテロアルキレンである)。このようなジアミンはHuntsman(The Woodlands,TX)から商品名JEFFアミンで市販されている。具体的なポリエーテルアミンとしては、限定するものではないが、JEFFアミンD−230(すなわち、約230グラム/モルの重量平均分子量を有するポリオキシプロプロピレンジアミン)、JEFFアミンD−400(すなわち、約400グラム/モルの重量平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン)、JEFFアミンD−2000(すなわち、重量平均分子量約2,000グラム/モルを有するポリオキシプロピレンジアミン)、JEFFアミンHK−511(すなわち、オキシエチレン及びオキシプロピレン基の両方が重量平均分子量約220グラム/モルを有するポリエーテルジアミン)、JEFFアミンED−2003(すなわち、ポリエチレングリコールでキャップされたポリプロピレンオキシドセグメントを有し、かつ重量平均分子量約2,000グラム/モルを有するポリエーテルジアミン)、JEFFアミンEDR−148(すなわち、トリエチレングリコールジアミン)、及びJEFFアミンXTJ−559(すなわち、平均分子量約1,400グラム/モルを有する、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)及びポリプロピレンオキシドのポリエーテルジアミンコポリマー)が挙げられる。
【0056】
例示的なアルキレンジアミン(すなわち、Qがアルキレンである)としては、限定するものではないが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレン1,5−ジアミン(すなわち、DuPont(Wilmington、DE)から商品名DYTEK Aで市販)、1,3−ペンタンジアミン(DuPontから商品名DYTEK EPで市販)、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン(DuPontから商品名DHC−99で市販)、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、及び3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロン(isophorene)ジアミンとも呼ばれる)が挙げられる。
【0057】
例示的なアリーレンジアミン(すなわち、Qがフェニレンなどのアリーレンである)としては、限定するものではないが、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、及びp−フェニレンジアミンが挙げられる。例示的なアラルキレンジアミン(すなわち、Qがアルキレン−フェニルなどのアラルキレンである)としては、限定するものではないが、4−アミノメチル−フェニルアミン、3−アミノメチル−フェニルアミン、及び2−アミノメチル−フェニルアミンが挙げられる。例示的なアルキレン−アラルキレンジアミン(すなわち、Qがアルキレン−アリーレン−アルキレン基である)としては、限定するものではないが、4−アミノメチル−ベンジルアミン(すなわち、パラ−キシレンジアミン)、3−アミノメチル−ベンジルアミン(すなわち、メタ−キシレンジアミン)、及び2−アミノメチル−ベンジルアミン(すなわち、オルト−キシレンジアミン)が挙げられる。
【0058】
他のジアミンは、複素環基の一部である第二級アミノ基を1つ以上有する。例としては、限定するものではないが、ピペリジンが挙げられる。
【0059】
反応スキームBは、式(VI)のフッ素化オキサリルアミノ含有化合物及び式(IIa)の第1アミン化合物の例示的な反応を示すものである。第1アミン化合物を1種以上使用することができる。式(VI)中、Q基は−Y−Rf−Y−に相当する。
【化19】


式(Iva)のコポリマー生成物において、mは少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、又は少なくとも10に等しい整数である。変数記号mは、例えば、最大1000、最大500、最大200、最大100、最大50又は最大20であり得る。各qは少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも5に等しくなり得る。変数記号qは、例えば、最大100、最大50、最大20、又は最大10であり得る。一部の実施形態では、変数記号qは、1〜20、2〜20、1〜10、又は2〜10の範囲であり得る。各星印は、コポリマー内の任意の他の基への結合を記述する。この他の基は、例えば、式(IVa)の他の基、末端基、又はコポリマー構造内の更なる他のセグメントであり得る。
【0060】
第1反応混合物には、第1アミン化合物に加え、他の任意選択的な第2アミン化合物を含ませることもできる。例えば、第1反応混合物には、式(VII)、(VIII)、(VIIa)、又は(VIIIa)などのペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化アミンを含ませることができる。フッ素化アミンは、第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つ含有する。このようなフッ素化アミンを添加する場合、フッ素化アミンは、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物又は任意の他のフッ素化アミンを生成するのに使用されるフッ素化アミンなどと同様の組成であり得る。任意選択的な第2アミンにはポリジオルガノシロキサンセグメントを包含させることはできないが、ほとんどの他の好適な第2アミン化合物を使用することができる。架橋されたポリマー材料が所望される場合、架橋を得るため、第1アミン化合物又は任意選択的に第2アミン化合物を使用することができる。
【0061】
第1反応混合物では、第1アミン化合物に加え、いずれかの他の任意選択的な第2アミン化合物の当量に対する、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物の当量比は、多くの場合、約1:1である。例えば、当量比は、多くの場合、1:0.90以下、1:0.92以下、1:0.95以下、1:0.98以下、又は1:1以下である。当量比は、多くの場合、1:1.02以上、1:1.05以上、1:1.08以上、又は1:1.10以上である。例えば、当量比は、1:0.90〜1:1.10の範囲、1:0.92〜1:1.08の範囲、1:0.95〜1:1.05の範囲、又は1:0.98〜1:1.02の範囲であり得る。例えば、全体的な分子量を変更し、得られたコポリマーのレオロジーに影響を与えることができるように、当量比を変化させることが可能である。更に、当量比を変化させて、どの反応物質が過剰に存在するかにより、オキサリルアミノ含有末端基又はアミノ末端基を提供することができる。
【0062】
反応スキームBの縮合反応は、多くの場合、室温で実施され、あるいは最高で約250℃の温度などの高温で実施される。例えば、この反応は、多くの場合、室温又は約100℃以下の温度にて実施することができる。その他の実施例では、この反応は、少なくとも100℃、少なくとも120℃、又は少なくとも150℃の温度にて実施できる。例えば、反応温度は多くの場合、100℃〜220℃の範囲、120℃〜220℃の範囲、又は150℃〜200℃の範囲である。縮合反応は、多くの場合、1時間未満、2時間未満、4時間未満、8時間未満、又は12時間未満で完了する。
【0063】
反応スキームBは、溶媒の存在下又は不存在下で生じさせることができる。反応の終了時に、揮発性の副生成物ROHのみを除去する必要があるため、反応スキームBを溶媒の非存在下で実施することは望ましい場合がある。更に、反応物及び生成物の両方と適合性がない溶媒では、反応が完了せず、重合度が低い。しかしながら、一部の適用では、コポリマーが溶媒系コーティング組成物に使用されることになる。このような適用では、コポリマーは溶媒の存在下で調製することが望ましい場合がある。
【0064】
好適な溶媒は通常、反応に関する反応物又は生成物と反応しない。更に、好適な溶媒は通常、溶液中のすべての反応物及びすべての生成物を重合プロセス中ずっと維持することができる。例示的な溶媒としては、限定するものではないが、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、酢酸エチル、トリフルオロエタノール、トリフルオロトルエン,tert−ブチルメチルエーテル、ヘキサフルオロイソプロパノール、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサンなどのアルカン)、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0065】
存在する任意の溶媒を、得られる共重合反応生成物から、除去することができる。R−OH副生成物を除去するために使用されるのと同一条件下で除去できる溶媒が、多くの場合好ましい。この除去プロセスは、多くの場合、少なくとも100℃、少なくとも125℃、又は少なくとも150℃の温度で実施される。この除去プロセスは典型的には、300℃未満、250℃未満、又は225℃未満の温度で行われる。
【0066】
反応スキームBに従ってコポリマーを調製するために、任意の好適なリアクタ又はプロセスを使用することができる。反応は、バッチプロセス、半バッチ式プロセス、又は連続プロセスを使用して実施することができる。融解状態の反応生成物が、リアクタから排出させることができる程度に十分低い粘度を有する場合に限り、例示的なバッチプロセスを、C.W.Brabender Instrucments,Inc.(South Hackensack,NJ)から市販されるBrabenderミキサーなどの機械的撹拌機を取り付けた、リアクタで実施することができる。代表的なセミバッチプロセスは、連続撹拌しているチューブ、タンク、又は流動床内で実施することができる。代表的な連続プロセスは、1軸又は、吐出表面(wiped surface)逆回転若しくは共回転2軸押し出し機のような2軸押し出し機内にて実施することができる。
【0067】
多くのプロセスでは、成分を計量し、次いで共に混合して、反応混合物を形成する。成分は、例えばギア、ピストン又はプログレッシング・キャビティポンプ(progressing cavity pump)を使用して、体積測定的又は重力測定的に計量することができる。成分は、例えば、静的ミキサーのような、任意の既知の静的若しくは動的な方法、又は1軸若しくは多軸押し出し機のような配合ミキサーを使用して混合することができる。次に、反応混合物は、形成する、注ぐ、ポンピングする、コーティングする、射出成形する、噴霧する、スパッタリングする、霧化する、より線にする又はシート化する、及び部分的に又は完全に重合することができる。次に、部分的に又は完全に重合した材料は、固体ポリマーへの変換前に、所望により、粒子、液滴、ペレット、球体、ストランド、リボン、ロッド、チューブ、フィルム、シート、共押出フィルム、ウェブ、不織布、マイクロ複写構造体、又は他の連続的な若しくは分離性の形状に変換することができる。これらの工程はいずれも、熱を適用して又は熱を適用しないで実施することができる。1つの代表的なプロセスでは、成分は、重合材料を固化する前に、ギアポンプを使用して計量し、静的ミキサーを使用して混合し、及び型へ射出することができる。
【0068】
コポリマーを生成するために使用される第2反応混合物において、式(I)のオキサリルアミノ含有基を少なくとも2つ有する化合物は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを含有していない第2オキサリルアミノ含有化合物である。第2オキサリルアミノ含有化合物を、ペルフルオロポリエーテルセグメントを1つ、並びに第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つ有する、フッ素化アミンと反応させる。
【0069】
第1反応混合物及び第2反応混合物は相補的な反応混合物である。第1反応混合物では、式(I)のオキサリルアミノ含有基は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化化合物上に存在する。このフッ素化オキサリルアミノ含有化合物を、複数の第一級及び/又は第二級アミノ基(すなわち、第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つ)を有する第1アミン化合物と反応させる。第1アミン化合物は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有さない。この反応は、上記反応スキームBに例示する。第2反応混合物において、式(I)のオキサリルアミノ含有基は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有さない第2オキサリルアミノ含有化合物上にある。この第2オキサリルアミノ含有化合物は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化アミン並びに複数の第一級及び/又は第二級アミノ基と反応する。この反応は、下記反応スキームDに例示する。第1反応混合物又は第2反応混合物のいずれかを用い、類似の種類のコポリマーを調製することができる。
【0070】
第2オキサリルアミノ含有化合物は、式(XII)のものである。
【化20】


、R、及びR基、並びに変数記号nは、前述したものと同様である。
【0071】
多くの実施形態では、第2反応混合物が含有する第2オキサリルアミノ含有化合物は、多くの場合、式(III)のものである。
【化21】


式(III)中、各Rは独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CRのイミノである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部である。R基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。R基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール又は置換アリールである。Q基は第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン、又は(e)カルボニルアミノ基であるか、又は(f)R及びRが結合している窒素を含有している複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。R、R、及びQ基は上記のものと同様である。変数記号pは、少なくとも1に等しい整数である。
【0072】
式(III)の化合物は、式(IX)のシュウ酸塩と式(IIa)の第1アミン化合物との反応により調製することができる。この縮合反応は、反応スキームCに示される。
【化22】

【0073】
反応スキームAについての記載のように、反応スキームCに例示される縮合反応は溶媒の存在下又は非存在下で生じ得る。一部の合成方法では、反応混合物には、溶媒は全く含まれず、あるいは溶媒はほんの少量だけ含まれる。溶媒の除去が、続いて生成物を縮合反応に使用する際に有利なものになり得る場合、溶媒が非存在であることが所望される。その他の合成方法においては、溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、又は脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサンなどのアルカン)などを挙げてもよい。
【0074】
式(III)のオキサリルアミノ含有化合物を生成するために、典型的には、過剰量(例えば、当量に基づき過剰)の式(IX)のシュウ酸塩化合物が使用される。過剰量のシュウ酸塩化合物は、典型的には、反応スキームAに記載されるものと類似の除去プロセスを用い、縮合反応の所望の反応生成物から除去することができる。縮合反応の副生成物は、式R−OHのものであり、典型的にはアルコール、フェノール、又はオキシムである。R基は、多くの場合、約250℃以下の温度に加熱することにより除去(例えば、蒸発)することのできるアルコール副生成物を生成するよう選択される。このような副生成物は、反応させた混合物を加熱して、任意の過剰量の式(IX)のシュウ酸塩化合物を除去する際に除去することができる。
【0075】
生成すると、式(III)の第2オキサリルアミノ含有化合物は、フッ素化アミンとの縮合反応に耐性ができる。好適なフッ素化アミンはペルフルオロポリエーテルセグメントを有するものであり、かつ上記されるような、第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つ有するものと同様である。このようなフッ素化アミンは、例えば、式(VII)、(VIIa)、(VIII)、又は(VIIIa)のものである。反応スキームDは、式(III)の第2オキサリルアミノ含有化合物と、Qが2価の基−Y−Rf−Y−に相当する式(VIIa)のフッ素化アミンとの例示的な反応を示す。1種以上のフッ素化アミンを使用することができる。生成物は、式(IVb)基を少なくとも1つ有するコポリマーである。
【化23】


式(IVb)のコポリマー生成物において、mは少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、又は少なくとも10に等しい整数である。変数記号mは、例えば、最大1000、最大500、最大200、最大100、最大50又は最大20であり得る。各qは少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも5に等しくなり得る。変数記号pは、例えば、最大100、最大50、最大20、又は最大10であり得る。一部の実施形態では、変数記号pは、1〜20、2〜20、1〜10、又は2〜10の範囲であり得る。各星印は、コポリマー内の任意の他の基への結合を記述する。この他の基は、例えば、式(IVb)の他の基、末端基、又はコポリマー構造内の更なる他の単位であり得る。
【0076】
ペルフルオロポリエーテルセグメントを有するフッ素化アミンに加え、他の任意選択的な第2アミン化合物を第2反応混合物に含むことができる。例えば、第2反応混合物は、式(II)又は(IIa)のアミン化合物を含むことができる。任意選択的な第2アミン化合物は、第2オキサリルアミノ含有化合物を生成するために使用される化合物と同様であってよく、あるいは異なる化合物であってもよい。第2アミン化合物にはポリジオルガノシロキサンセグメントを含まないが、他のほとんどの好適な第2アミン化合物を使用することができる。ポリマー材料を架橋することが望ましい場合、任意選択的な第2アミンは、第一級アミノ基及び/又は第二級アミノ基を2つ以上含むことができる。
【0077】
第2反応混合物において、フッ素化アミンに加え、任意選択的な第2アミン化合物の当量に対する第2オキサリルアミノ含有化合物の当量の比は、多くの場合約1:1である。例えば、当量比は、多くの場合、1:0.90以下、1:0.92以下、1:0.95以下、1:0.98以下、又は1:1以下である。当量比は、多くの場合、1:1.02以上、1:1.05以上、1:1.08以上、又は1:1.10以上である。例えば、当量比は、1:0.90〜1:1.10の範囲、1:0.92〜1:1.08の範囲、1:0.95〜1:1.05の範囲、又は1:0.98〜1:1.02の範囲であり得る。例えば、全体的な分子量を変更し、得られたコポリマーのレオロジーに影響を与えることができるように、当量比を変化させることが可能である。更に、当量比を変化させて、どの反応物質が過剰に存在するかにより、オキサリルアミノ含有末端基又はアミノ末端基を提供することができる。
【0078】
反応スキームBに記載される同様のプロセス条件を反応スキームDに使用することができる。より詳細には、縮合反応は、多くの場合、室温で実施され、あるいは最高で約250℃の温度などの高温で実施される。縮合反応は、多くの場合、1時間で、2時間で、4時間で、8時間で、12時間で、24時間で、36時間で、48時間で、56時間で、又は72時間以上で完了する。任意の好適なリアクタ又はプロセスを使用することができる。
【0079】
反応スキームDの縮合反応は、溶媒の存在下又は非存在下で生じさせることができる。好適な溶媒は通常、反応に関する反応物又は生成物と反応しない。更に、好適な溶媒は通常、溶液中のすべての反応物及びすべての生成物を重合プロセス中ずっと維持することができる。例示的な溶媒としては、限定するものではないが、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサンなどのアルカン)、又はこれらの混合物が挙げられる。反応の終了時に得られるコポリマーから、存在する任意の溶媒を除去することができる。アルコール副生成物を除去するために使用されるのと同一条件下で除去できる溶媒が、多くの場合、好ましい。
【0080】
シリコーン系アミンは、典型的には第1反応混合物又は第2反応混合物のいずれにも含まれない。同様にして、得られるコポリマーは、典型的にはポリジオルガノシロキサンセグメントを含有しない。
【0081】
第3の態様では、コポリマーが提供される。コポリマーとしては、シュウ酸塩化合物、フッ素化アミン化合物、及び第1アミン化合物を含む第3反応混合物生成物が挙げられる。シュウ酸塩化合物は式(IX)のものである。
【化24】


式(IX)中、各Rは独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CRのイミノである。R基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。R基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。フッ素化アミンは、ペルフルオロポリエーテルセグメント、並びに第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を少なくとも2つ、又は第一級アミノ基を少なくとも1つに加えて第二級アミノ基を少なくとも1つを含有する。第1アミン化合物は式(II)のものである。
【化25】


式(II)中、Q基は、第1基を第2基と連結する(a)アルカンラジカル、(b)フッ素化アルカンラジカル、(c)ヘテロアルカンラジカル、(d)アレーンラジカル、(e)カルボニルアミノ基、(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立して、アルカンラジカル、フッ素化アルカンラジカル、ヘテロアルキレンラジカル、アレーンラジカル、又はこれらの組み合わせである。各R基は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。変数記号nは、少なくとも2に等しい整数である。
【0082】
式(II)の第1アミン化合物の多くの実施形態では、変数記号nは2に等しく、化合物は式(IIa)のものである。
【化26】


式(IIa)中、Q基は第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン、又は(e)カルボニルアミノ基であるか、又は(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部である。
【0083】
第3反応混合物からコポリマーを形成する方法を反応スキームEに例示する。式(IX)のシュウ酸塩化合物を複数のアミンの存在下で反応させる。アミンは、式(VIIa)のペルフルオロポリエーテルセグメント及び式(IIa)の第1アミン化合物を有するフッ素化アミンを包含する。コポリマーは、式(IV)のものである。第3反応混合物から調製したコポリマーは、第1反応混合物又は第2反応混合物から調製したコポリマーよりもランダムなものである傾向がある。
【化27】


反応混合物は、フッ素化アミンを1つ以上及び第1アミン化合物を1つ以上含むことができる。同様の条件を使用して反応スキームAで生成したフッ素化オキサリルアミノ含有化合物、又は反応スキームCで生成したシリコーン系オキサリルアミノ含有化合物を使用することができる。任意の過剰なシュウ酸塩化合物又は式R−OHの副生成物を除去するにあたり記載された任意の方法を、このコポリマーの調製法に使用することができる。
【0084】
ポリマー材料が架橋されていることが望まれる実施形態では、少なくとも1つのフッ素化アミン化合物又は第1アミン化合物は、通常、第一級アミノ基及び/又は第二級アミノ基を2つよりも多く有するものであるよう選択される。
【0085】
第3反応混合物では、アミン化合物の合計当量(フッ素化アミンに加え、第1アミン化合物)に対するシュウ酸塩化合物の当量比は、多くの場合約1:1である。例えば、当量比は、多くの場合、1:0.90以下、1:0.92以下、1:0.95以下、1:0.98以下、又は1:1以下である。当量比は、多くの場合、1:1.02以上、1:1.05以上、1:1.08以上、又は1:1.10以上である。例えば、当量比は、1:0.90〜1:1.10の範囲、1:0.92〜1:1.08の範囲、1:0.95〜1:1.05の範囲、又は1:0.98〜1:1.02の範囲であり得る。例えば、全体的な分子量を変更し、得られたコポリマーのレオロジーに影響を与えることができるように、当量比を変化させることが可能である。更に、当量比を変化させて、どの反応物質が過剰(例えば、当量に基づく過剰量)に存在するかにより、オキサリルアミノ含有末端基又はアミノ末端基を提供することができる。
【0086】
第4の態様では、コポリマーが提供される。コポリマーは、式(IV)の基を少なくとも1つ含有する。
【化28】


式(IV)中、各Q基はペルフルオロポリエーテルセグメントを含有する。各Q基は前述したものと同様である。R基は式(V)について前述したものと同様である。R基は式(IIa)について前述したものと同様である。各変数記号q、p、及びmは、少なくとも1に等しい整数である。例えば、変数記号mは少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、又は少なくとも10に等しくなり得る。変数記号mは、例えば、最大1000、最大500、最大200、最大100、最大50又は最大20であり得る。各変数記号q及びpは、少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも5に等しくなり得る。これらの変数記号q及びpは、例えば、最大100、最大50、最大20、又は最大10であり得る。一部の実施形態では、変数記号q及びpは、1〜20、2〜20、1〜10、又は2〜10の範囲であり得る。R基は、式(I)について記載されるものと同様である。各星印は、コポリマー内の他の基に結合する部位を記述する。
【0087】
式(IV)のコポリマーは、pが1に等しい場合式(IVa)のコポリマーに相当し、qが1に等しい場合式(IVb)のコポリマーに相当する。これらのコポリマーはポリジオルガノシロキサンセグメントを含有しない。
【0088】
基はペルフルオロポリエーテル基であり、典型的には式(X)の2価の基である。
【化29】


Rf及びY基は前述したものと同様である。式(X)の一部の実施形態では、Q基は式(XI)のものである。
【化30】


Rf基、Y基、Y基、Y基、及びR基は、前述したものと同様である。(X)又は(XI)のいずれかの一部のより具体的な実施形態では、Rf基は式
−CF(CF)[OCFCF(CF)]OCF−R−CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−のものであることができ、
式中、R、b、及びdは上記したものと同様である。
【0089】
式(IV)、(IVa)、及び(IVb)のコポリマーは、溶媒から、様々な形状に成形若しくは型押されたフィルムとして成型することができ、又はフィルムへと押し出すことができる。コポリマーは高温安定性であることから、フィルム形成に関する押出法に非常に適する。
【0090】
式(IV)、(IVa)、又は(IVb)のポリマーを含有する様々な物品を調製することができる。例えば、物品は、式(IV)、(IVa)、又は(IVb)のコポリマーを含有する層、及び1つ以上の任意選択的な基材を含み得る。例えば、式(IV)、(IVa)、又は(IVb)のコポリマーは、第1の基材に隣接した層にあってよく、又は第1の基材と第2の基材との間に位置させることができる。すなわち、物品は、次の順番:第1の基材、(IV)、(IVa)、又は(IVb)のコポリマーを含有する層、及び第2の基材で配置することができる。本明細書で使用するとき、用語「隣接した」とは、第一層が第二層に接触しているか、又は第二層の近傍に配置されてはいるが第二層からは1つ以上の追加の層によって分離されていることを意味する。
【0091】
コポリマーは、水素結合をすることができるアミノオキサリルアミノ基を含む。コポリマーは多くのペルフルオロポリエーテル材料と比べて水素結合が増加している。水素結合が増加することで、更なる強度及び剛性がコポリマーに与えられる。多くのペルフルオロポリエーテル材料は比較的軟らかい。
【0092】
これらのコポリマーは、摩耗耐性が所望される用途に使用することができる。それに加え、これらのコポリマーは多くの場合、分解の程度が最小限である250℃までの高さの温度に曝露することができる。これらのコポリマーは、低屈折率、低表面エネルギー、撥油性及び/又は撥水性、又はこれらの組み合わせを有する材料が所望される用途に使用することができる。これらのコポリマーは、反射防止用コーティング又はフィルムを作製するために使用することができる。これらのコポリマーを含有しているフィルム又はコーティングは、通常、洗浄が容易である。
【0093】
様々な品物にコポリマーを提供することができる。
【0094】
第1の品物として、反応混合物の生成物を含むコポリマーを提供する。反応混合物は、a)フッ素化オキサリルアミノ含有化合物及びb)第1アミン化合物を含む。フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、ペルフルオロポリエーテルセグメントを少なくとも1つ、及び式(Ia)の1価のオキサリルアミノ含有基を少なくとも2つ含む。
【化31】


式(Ia)中、各Rは独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CRのイミノである。各R基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。各R基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールである。第1アミン化合物は式(II)のものである。
【化32】


式(I)中、Qは、第1基を第2基と連結する(a)アルカンラジカル、(b)フッ素化アルカンラジカル、(c)ヘテロアルカンラジカル、(d)アレーンラジカル、(e)カルボニルアミノ基、(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立して、アルカンラジカル、フッ素化アルカンラジカル、ヘテロアルキレンラジカル、アレーンラジカル、又はこれらの組み合わせである。各R基は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。変数記号nは、少なくとも2に等しい整数である。
【0095】
第1の品物の別型であり得る第2の品物を提供する。第2の品物では、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は式(V)のものである。
【化33】


式(V)中、Rfはペルフルオロポリエーテル基である。各Yは独立して、第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン基、(b)アルキレン基、又は(c)カルボニルアミノ基であるか、あるいは(d)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン又はアルキレンである。変数記号nは、少なくとも2以上の整数である。
【0096】
第2の品物の別型であり得る第3の品物を提供する。第3の品物では、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は式(Va)のものである。
【化34】


式(Va)中、式(V)の各Yは式(Va)中の−Y−(CO)−NH−Y−に相当する。各Yは独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。各Yは独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。
【0097】
第1の品物の別型であり得る第4の品物を提供する。第4の品物では、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は式(VI)のものである。
【化35】


式(VI)中、Rfはペルフルオロポリエーテル基である。各Yは独立して、第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン基、(b)アルキレン基、又は(c)カルボニルアミノ基であるか、あるいは(d)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン又はアルキレンである。変数記号qは、少なくとも1に等しい整数である。
【0098】
第4の品物の別型であり得る第5の品物を提供する。第5の品物において、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物は、式(VIa)のものである。
【化36】


式(VI)中、各Yは式(VIa)の−Y−(CO)−NH−Y−に相当する。各Yは独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。各Yは独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。
【0099】
第2〜第5の品物のうちいずれか1つの別型であり得る第6の品物を提供する。第6の品物では、Rfは次式のものである。
−CF(CF)[OCFCF(CF)]OCF−R−CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−のものであり、
この式中、Rはペルフルオロアルキレン基である。変数記号b及びdは合計0〜35の範囲の整数である。
【0100】
第1〜第6の品物のうちのいずれか1つの別型であり得る第7の品物を提供する。第7の品物では、第1アミン化合物は式(IIa)のものである。
【化37】


式(IIa)中、Q基は第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン、又は(e)カルボニルアミノ基であるか、又は(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部である。
【0101】
第8の品物として、反応混合物の生成物を含むものを提供する。反応混合物は、a)第2オキサリルアミノ含有化合物及びb)ペルフルオロポリエーテルセグメントを有しかつ第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を2つ、又はこれらの組み合わせを有するフッ素化アミンを含む。第2オキサリルアミノ含有化合物は式(III)のものである。
【化38】


式(III)中、各Rは独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CRのイミノである。R基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。R基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール又は置換アリールである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部である。Q基は第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン、(e)カルボニルアミノ基、又は(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。変数記号pは、少なくとも1に等しい整数である。
【0102】
第8の品物の別型であり得る第9の品物を提供する。第9の品物では、フッ素化アミンは式(VII)のものである。
【化39】


式(VII)中、Rfはペルフルオロポリエーテル基である。各Yは独立して、第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン基、(b)アルキレン基、又は(c)カルボニルアミノ基であるか、あるいは(d)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基はヘテロアルキレン又はアルキレンである。変数記号nは、少なくとも1に等しい整数である。
【0103】
第9の品物の別型であり得る第10の品物を提供する。第10の品物では、フッ素化アミンは式(VII)のものである。
【化40】


式(VII)中、各Yは式(VIII)の−Y−(CO)−NH−Y−に相当する。各Yは独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。各Yは独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。
【0104】
第9又は第10の品物のうちいずれか1つの別型であり得る第11の品物を提供する。第11の品物では、Rfは次式のものである。
−CF(CF)[OCFCF(CF)]OCF−R−CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−のものであり、
この式中、Rはペルフルオロアルキレン基である。変数記号b及びdは合計0〜35の範囲の整数である。
【0105】
第12の品物はコポリマーとして提供される。コポリマーは、式(IV)の基を少なくとも1つ含有する。
【化41】


式(IV)中、各Q基はペルフルオロポリエーテルセグメントを含有する。各Qは第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン、又は(e)カルボニルアミノ基であるか、又は(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールである。各R基は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素原子を含んでいる複素環基の一部である。各変数記号q、p、及びmは、独立して少なくとも1に等しい整数である。各星印は、コポリマー内の他の基に結合する部位を記述する。
【0106】
第12の品物の別型であり得る第13の品物を提供する。第13の品物では、Qは式(X)の2価の基である。
【化42】


式(X)中、各Yは独立して、第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン基、(b)アルキレン基、又は(c)カルボニルアミノ基であるか、あるいは(d)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してアルキレン又はヘテロアルキレンである。Rf基はペルフルオロポリエーテル基である。
【0107】
第13の品物の別型であり得る第14の品物を提供する。第14の品物では、Qは式(XI)の2価の基である。
【化43】


式(XI)中、各Yは独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。各Yは独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである。
【0108】
第13又は第14の品物の別型であり得る第15の品物を提供する。第15の品物では、Rfは次式のものである。
−CF(CF)[OCFCF(CF)]OCF−R−CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−のものであり、
この式中、Rはペルフルオロアルキレン基である。変数記号b及びdは合計0〜35の範囲の整数である。
【0109】
第12〜第15の品物のいずれか1つの別型であり得る第16の品物を提供する。第16の品物では、p又はqのうち少なくとも1つが1に等しい。
【0110】
第17の品物は、反応混合物の生成物を含むものとして提供される。反応混合物は、a)シュウ酸塩化合物、b)ペルフルオロポリエーテルセグメントを有しかつ第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を2つ、又はこれらの組み合わせを有するフッ素化アミン、及びc)第1アミン化合物を含む。シュウ酸塩化合物は式(IX)のものである。
【化44】


式(IX)中、各Rは独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CRのイミノである。R基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。R基はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである。第1アミン化合物は式(II)のものである。
【化45】


式(II)中、Q基は、第1基を第2基と連結する(a)アルカンラジカル、(b)フッ素化アルカンラジカル、(c)ヘテロアルカンラジカル、(d)アレーンラジカル、(e)カルボニルアミノ基、(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立して、アルカンラジカル、フッ素化アルカンラジカル、ヘテロアルキレンラジカル、アレーンラジカル、又はこれらの組み合わせである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部である。変数記号nは、少なくとも2に等しい整数である。
【0111】
第17の品物の別型であり得る第18の品物を提供する。第18の品物では、第1アミン化合物は式(IIa)のものである。
【化46】


式(IIa)中、Q基は第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン、又は(e)カルボニルアミノ基であるか、又は(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部である。
【実施例】
【0112】
これらの実施例は、例示のためだけのものであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意味しない。特に記載のない限り、実施例に記載される部、百分率、比率などはすべて、重量による。使用される溶媒及びその他の試薬は、特に記載のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)より入手した。
【0113】
本明細書で使用するとき、用語「HFPO」は、1価又は2価のポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキシド)セグメントを指す。一部の実施形態では、HFPOセグメントは式
F(CF(CF)CFO)CF(CF)−の1価の基であり、
式中、aは約4〜約20の範囲の整数であり、あるいは式
−CF(CF)(OCFCF(CFOCFCFCFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)−の二価の基であり、
式中、和(b+d)は約4〜約15の範囲の整数である。
【0114】
予調製例1:HCO(CO)−HFPO−(CO)OCHの合成
HFPOオリゴマービス酸フッ化物を提供する米国特許第3,250,807号(Fritz,et al.)に記載の方法に従い、出発物質としてF(CO)CFCF(CO)Fを用い、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキシド)のジメチルエステルを調製した。HFPOオリゴマービス酸フッ化物をメタノリシスし、米国特許第6,923,921号(Flynn,et.al.)に記載のように低沸点材料を分留により除去することで精製した。得られた物質は、式
CO(CO)CF(CF)(OCFCF(CFOCFCFCFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)(CO)OCHのものであった。
式中、和(b+d)は約4〜約15の範囲の整数である。この式は互換的にHCO(CO)−HFPO−(CO)OCH又はHFPO−((CO)OCH又はHFPOジメチルエステル又はHFPO−DMEとしても参照される。
【0115】
より詳細には、商品名PARRでParr Instrument Company(Moline,IL)から市販されている600mLのジャケットリアクタに、KF(15.1グラム,0.26モル)及びテトラグリム(125グラム)を充填する。リアクタを撹拌し、真空ポンプを用い大気圧を0.033気圧(3.3kPa)に真空引きし、4℃に冷却した。Exfluor Research Corporation(Austin,TX)から得たペルフルオロスクシニルフッ化物(85グラム,0.44モル)をリアクタに充填した。外部冷却することでリアクタの中身を0℃に冷却した後、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(482グラム,2.9モル)を5時間かけてゆっくりと添加した。ヘキサフルオロプロピレンオキシドはDuPont(Wilmington,DE)から得た。最大圧力は2.38気圧(241.2kPa)であり、8℃の発熱が得られた。添加を完了させた後、リアクタを室温に加温し、窒素を用いて0.033気圧(3.3kPa)のリアクタの真空を破り、リアクタ内の圧力を大気圧に上昇させた。
【0116】
690グラムの粗混合物をリアクタから吸引し、メタノール(120グラム,3.8モル)と反応させて、二塩基酸フッ化物末端基をジメチルエステル末端基に転化させた。商品名FC77 FLUORINERTで3M Company(Saint Paul,MN)から市販のフッ素化溶媒(300グラム)を添加することで、フッ素化合物粗生成物を単離し、水で2回洗浄した。下部フッ化物層をフッ素化溶媒から除去し、130〜190℃で煮沸した切片を取り出すことで生成物を単離した。数平均分子量1250グラム/モルを有するHFPOジメチルエステル390グラム(71パーセント)が回収され、NMRによる末端基解析により、96パーセントの官能基が決定された。
【0117】
予調製例2:HNCHCH−NH(CO)−HFPO−(CO)NH−CHCHNHの合成
磁気撹拌棒、N導入口及び還流凝縮器を取り付けた1Lの3口丸底フラスコに、N雰囲気下でNH−CHCH−NH(420.0グラム,7モル)を充填した。充填物を75℃に加熱した。次いで75℃下で180分かけて調製例1のHFPOジメチルエステル−[COOMe](150.0グラム,8.75×10−2モル)を滴加した。反応混合物をN雰囲気下で12時間撹拌し、反応の進行をIR分光法により監視した。1792cm−1のエステルのピークが消失し、1719cm−1のNH−C=Oのピークが出現した後、反応混合物を分離漏斗に注ぎ入れ、下側の部分をフラスコに回収し、高真空下で更に8時間乾燥させた。得られた粘稠な油を使用した。
【0118】
予調製例3:HN[CHCHO]CHCHNH(CO)−HFPO−(CO)NHCHCH[OCHCHNHの合成
1Lの3口丸底フラスコに磁気撹拌棒、N導入口及び還流凝縮器を取り付けた。N雰囲気下で、フラスコにNHCHCH−O−CHCH−O−CHCHNH(トリエチレングリコールジアミン−TEGDA)(52.9グラム,0.3モル)を充填した。充填物を75℃に加熱した。この溶液に75℃下で180分かけて調製例1(5.0グラム,3.75×10−2モル)のHFPO−DMEを滴加した。反応混合物をN雰囲気下で12時間撹拌し、IRにより監視した。エステルのピークが消失した後、反応混合物を分離漏斗に注ぎ入れ、下側の部分をフラスコに回収し、高真空下で更に8時間乾燥させた。得られた粘稠な油を使用した。
【0119】
調製例4:ジ(メチルエチルケトオキシム)オキサラートの合成
【化47】


オーバーヘッドスターラー、滴加漏斗、氷浴、温度プローブ、及び窒素導入口を取り付けた1Lのフラスコに、2−ブタノンオキシム(93.23グラム,1.070モル)及びブチルメチルエーテル(500mL)を添加した。内容物を10℃に冷却し、内部温度を15℃以下に維持しながら30分かけて塩化オキサリル(67.9グラム,0.535モル)を添加した。次いで外部冷却により内部温度を30℃以下に維持しながら、30分かけてトリエチルアミン(108グラム,1.07モル)を滴加した。得られた固体を溶解するのに十分な水を添加し、次いで水層を取り除いた。有機層を0.1NのHClにより2回、2M炭酸ナトリウムで1回洗浄し、その後MgSOにより乾燥し、セライトのパッドを通してろ過した。溶媒をロータリーエバポレーターにより除去し、120グラムのジ(メチルエチルケトキシム)シュウ酸塩を無色透明の油として得た。H NMR(CDCl)は目的とされた構造と一致した。材料は立体異性体の混合物として存在した。
【0120】
予調製例5:N−{2−[(2,2,2−トリフルオロエトキシオキサリル)−アミノ]−エチル}−オキサミド酸2,2,2−トリフルオロエチルエステルの合成
【化48】


機械的撹拌機、滴加漏斗、温度プローブ、及び窒素導入口を取り付けた3Lの3口丸底フラスコに、2,2,2−トリフルオロエタノール(500グラム)、t−ブチルメチルエーテル(1300mL)、及びピリジン(593グラム)を充填した。フラスコの内容物を氷浴で冷却し、フラスコの内部温度を2℃未満に維持しつつ1時間かけて塩化オキサリル(317グラム)を滴加した。反応混合物を使用時温度に加温し、次いで2時間撹拌した。次いでろ過により固体を除去した。ろ液を、1リットルの冷1N塩化水素酸で2回、1リットルの冷水で1回、300mLの15重量%炭酸ナトリウム溶液で1回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いでロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた油を大気圧で蒸留し、フラクションを159〜163℃にて煮沸し、245グラムの2,2,2−トリフルオロエチルオキサラートを無色透明の油として得た。
【0121】
磁気撹拌子、熱電対、及びアルゴン導入口を取り付けた500mLの3口丸底フラスコに、2,2,2−トリフルオロエチルオキサラート(152.5グラム)及び2,2,2−トリフルオロエタノール(150グラム)を充填した。フラスコの内容物を氷浴で冷却し、75分かけてエチレンジアミン(3.606グラム)/2,2,2−トリフルオロエタノール(40グラム)混合物を滴加した。氷浴を取り外し、フラスコの内容物を18時間撹拌した。次いで、tert−ブチルメチルエーテル(100mL)を加え、ろ過により固体を回収した。2,2,2−トリフルオロエタノール(416グラム)を煮沸することで、得られた10.2グラムの固体を再結晶化し、9.23グラムのN−{2−[(2,2,2−トリフルオロエトキシオキサリル)−アミノ]−エチル}−オキサミド酸2,2,2−トリフルオロエチルエステルを、222〜223℃の融点を有する白色の結晶として生成した。H NMR(300 MHz,d−DMSO)δ 9.18(brs,2H),4.92(q,J=8.9Hz,4H),3.31−3.29(m,4H)。
【0122】
予調製例6:フッ素化オキサリルアミノ含有化合物の合成
250mLの3口フラスコに、乾燥ジエチルオキサラート(DEO)(64.9グラム)を量り取った。フラスコにスターラーをはめ込ませ、フラスコのアルゴン掃引を穏やかに開始した。DEOを激しく撹拌しながら、約120分かけて調製例3のフッ素化アミン(150.0グラム)を滴加漏斗から滴加した。フッ素化アミンをすべて添加した後、滴加漏斗を取り外し、フラスコの蒸留準備をした。高い真空下で、温度をゆっくりと室温から165℃に上昇させた。反応時に生じた過剰量のDEO及びエタノールはフラスコから留去した。約147.38グラム(理論収率94.2パーセント)のオキサリルアミノエステル末端化前駆体生成物を単離した。生成物をエタノールアミン及び1Nの塩酸により逆滴定したところ、1,950グラム/当量のエステル等量を示した。
【0123】
予調製例7:フッ素化オキサリルアミノ含有化合物の合成
250mLの3口フラスコに、乾燥ジエチルオキサラート(DEO)(87.7グラム,1.20当量)を量り取った。フラスコにスターラーをはめ込ませ、フラスコのアルゴン掃引を穏やかに開始した。DEOを激しく撹拌しながら、約75分かけて調製例4のフッ素化ジアミン(60.0グラム,3.27×10−2当量)を滴加漏斗から滴加した。フッ素化ジアミンをすべて添加した後、滴加漏斗を取り外し、フラスコの蒸留準備をした。0.0013気圧(3.3kPa)の高真空下で、温度は周囲温度から165℃にゆっくりと上昇した。反応時に生じた過剰量のDEO及びエタノールはフラスコから留去した。約65グラム(理論収率約94.5パーセント)のオキサリルアミノエステル末端化生成物を単離した。エタノールアミン及び1NのHClにより逆滴定したところ、1,006グラム/当量のエステル等量を示した。
【0124】
(実施例1)
ガラス製のバイアル瓶中で、調製例7のフッ素化オキサリルアミノ含有化合物(8.2375グラム,8.19×10−3当量)をヘキサフルオロイソプロピルアルコール(HFIPA)(21.6グラム)に溶解させた。次いで、当量に付き231.05グラムの溶液のアミン当量で滴定した、エチレンジアミンのtert−ブチルメチルエーテル溶液(1.8919グラム,8.19×10−3当量)を、Gastightシリンジにより添加した。反応混合物をLaunder−O−Meter(Atlas Electric Devices Co.(Chicago,IL)から入手)で55℃にて一晩混合し、次いで実験室での周囲条件下で約64時間ローラーで混合した。ポリマーをドラフト内でアルミニウム製の計量皿で乾燥させ、次いで60℃で一晩乾燥させた。透明感のある脆性の樹脂が得られた。
【0125】
(実施例2)
ガラス製のバイアル瓶に調製例4のジ(メチルエチルケトオキシム)オキサラート(711.6mg)及び2,2,2−トリフルオロエタノール(20グラム)を充填した。混合した後、アミン当量が1689.7グラム/当量(5.0740グラム)の調製例3の材料を添加した。バイアル瓶を周囲温度にて1時間ローラー上に配置した。エチレンジアミン(91.0mg)を添加し、バイアル瓶を周囲温度で15時間回転させた。45分にわたって125℃のオーブン中で溶媒を除去し、透明感のある、固いポリマーとして生成物を調製した。
【0126】
(実施例3)
調製例5のN−{2−[(2,2,2−トリフルオロエトキシオキサリル)−アミノ]−エチル}−オキサミド酸2,2,2−トリフルオロエチルエステル(500.6mg)、調製例3のフッ素化アミン(4.535グラム,アミン当量は1689.7グラム/等価)、及び2,2,2−トリフルオロエタノール(20グラム)を20mLのガラス製のバイアル瓶中で混合し、周囲温度にて2日間ローラー上に配置した。最初に周囲温度でアルゴン流を用い、次いでバイアル瓶を85℃のオーブンに24時間配置することで溶媒を除去した。生成物は、透明感のある固いポリマーであった。
【0127】
(実施例4)
120mLのガラスジャーで、調製例6のフッ素化オキサリルアミノ含有材料(10.57グラム,5.421×10−3当量)とトリフルオロエタノール(42.93グラム)を組み合わせ、均質になるまで混合した。次いで、エチレンジアミン(0.1629グラム,5.421×10−3当量)をジャーに加えた。得られる反応混合物を、周囲条件下で約1週間混合した。窒素流を用い、トリフルオロエタノール及びエタノール副生成物を除去し、次いでバイアル瓶を60℃のオーブンに4日間配置した。得られたポリマーは、透明で、無色で固いエラストマーであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コポリマーであって、
a)ペルフルオロポリエーテルセグメントを少なくとも1つ、及び式(Ia)の1価のオキサリルアミノ含有基を少なくとも2つ含む、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物であって、
【化1】


式中、
各Rは独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CRのイミノであり;
各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであり;
は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールであり;
はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールである、フッ素化オキサリルアミノ含有化合物;並びに
b)式(II)の第1アミン化合物であって、
【化2】


式中、
は、第1基を第2基と連結する(a)アルカンラジカル、(b)フッ素化アルカンラジカル、(c)ヘテロアルカンラジカル、(d)アレーンラジカル、(e)カルボニルアミノ基、(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各前記第1基及び前記第2基は独立して、アルカンラジカル、フッ素化アルカンラジカル、ヘテロアルキレンラジカル、アレーンラジカル、又はこれらの組み合わせであり;
各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している前記窒素を含んでいる複素環基の一部であり;並びに
nは、少なくとも2に等しい整数である、式(II)の第1アミン化合物、を含む反応混合物の生成物を含む、コポリマー。
【請求項2】
前記フッ素化オキサリルアミノ含有化合物が式(V)のものであり、
【化3】


式中、
Rfは、ペルフルオロポリエーテル基であり、
各Yは独立して、第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、又は(c)カルボニルアミノ基であるか、あるいは(d)これらの組み合わせであり、各第1基及び第2基は独立してアルキレン又はヘテロアルキレンであり、並びに
変数記号nは、少なくとも2以上の整数である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
前記フッ素化オキサリルアミノ含有化合物が式(Va)のものであり、
【化4】


式中、
式(V)の各Yは、式(Va)の−Y−(CO)−NH−Y−に相当し;
各Yは独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせであり;並びに
各Yは独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである、請求項2に記載のコポリマー。
【請求項4】
前記フッ素化オキサリルアミノ含有化合物が式(VI)のものであり、
【化5】


式中、
Rfは、ペルフルオロポリエーテル基であり;
各Yは独立して、第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)カルボニルアミノ基、又は(d)これらの組み合わせであり、前記第1基及び前記第2基はそれぞれ独立してアルキレン又はヘテロアルキレンであり;並びに
qは、少なくとも1に等しい整数である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項5】
前記フッ素化オキサリルアミノ含有化合物が式(VIa)のものであり、
【化6】


式中、
式(VI)の各Yは式(VIa)の−Y−(CO)−NH−Y−に相当し;
各Yは独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせであり;並びに
各Yは独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである、請求項4に記載のコポリマー。
【請求項6】
Rfが式
−CF(CF)[OCFCF(CF)]OCF−R−CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−のものであり、
式中、
がペルフルオロアルキレン基であり;並びに
b及びdは合計0〜35の範囲の整数である、請求項2〜5のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項7】
前記第1アミン化合物が式(IIa)のものであり、
【化7】


式中、
Qは第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン、(e)カルボニルアミノ基、又は(f)R及びRが結合している前記窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各前記第1基及び前記第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせであり;並びに
各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している前記窒素原子を含んでいる複素環基の一部である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項8】
コポリマーであって、
a)式(III)の第2オキサリルアミノ含有化合物であって、
【化8】


式中、
各Rは独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CRのイミノであり;
各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部であり;
は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールであり;
はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
Qは第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン、(e)カルボニルアミノ基、又は(f)R及びRが結合している前記窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各前記第1基及び前記第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせであり;並びに
pは少なくとも1に等しい整数である、式(III)の第2オキサリルアミノ含有化合物;並びに
b)ペルフルオロポリエーテルセグメントを有し、かつ第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を2つ、又はこれらの組み合わせを有するフッ素化アミン、を含む反応混合物の生成物を含む、コポリマー。
【請求項9】
前記フッ素化アミンが式(VII)のものであり、
【化9】


式中、
Rfは、ペルフルオロポリエーテル基であり;並びに
各Yは独立して、第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)カルボニルアミノ基、又は(d)これらの組み合わせであり、前記第1基及び前記第2基はそれぞれヘテロアルキレン又はアルキレンであり;並びに
nは、少なくとも1に等しい整数である、請求項8に記載のコポリマー。
【請求項10】
前記フッ素化アミンが式(VII)のものであり、
【化10】


式中、
式(VII)の各Yは式(VIII)の−Y−(CO)−NH−Y−に相当し;
各Yは独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせであり;並びに
各Yは独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである、請求項9に記載のコポリマー。
【請求項11】
Rfが式
−CF(CF)[OCFCF(CF)]OCF−R−CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−のものであり、
式中、
がペルフルオロアルキレン基であり;並びに
b及びdが合計0〜35の範囲の整数である、請求項9又は10に記載のコポリマー。
【請求項12】
式(IV)の基を少なくとも1つ含むコポリマーであって、
【化11】


式中、
はペルフルオロポリエーテルセグメントを含み;
Qは第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン、(e)カルボニルアミノ基、又は(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各前記第1基及び前記第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせであり;並びに
各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであり;
各R基は独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している前記窒素を含んでいる複素環基の一部であり;
各変数記号q、p、及びmは、独立して少なくとも1に等しい整数であり;並びに
各星印は、前記コポリマー内の他の基に結合する部位を記述する、コポリマー。
【請求項13】
が式(X)の二価の基であり、
【化12】


式中、
各Yは独立して、第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレ基、又は(c)カルボニルアミノ基であるか、あるいは(d)これらの組み合わせであり、前記第1基及び前記第2基はそれぞれヘテロアルキレン又はアルキレンであり、
Rfは、ペルフルオロポリエーテル基である、請求項12に記載のコポリマー。
【請求項14】
が式(XI)の二価の基であり、
【化13】


式中、
各Yは独立して単結合、ヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせであり;並びに
各Yは独立してヘテロアルキレン、アルキレン、又はこれらの組み合わせである、請求項13に記載のコポリマー。
【請求項15】
Rfが式
−CF(CF)[OCFCF(CF)]OCF−R−CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−のものであり、
式中、
がペルフルオロアルキレン基であり;並びに
b及びdが合計0〜35の範囲の整数である;請求項13又は14に記載のコポリマー。
【請求項16】
p又はqのうちの少なくとも1つが1に等しい、請求項12〜15のいずれか一項に記載のコポリマー。
【請求項17】
コポリマーであって、
a)式(IX)のシュウ酸塩化合物であって、
【化14】


式中、
各Rは独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、又は式−N=CRのイミノであり;
基は水素、アルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール、又は置換アリールであり;並びに
はアルキル、アラルキル、置換アラルキル、アリール又は置換アリールである、式(IX)のシュウ酸塩化合物;
b)ペルフルオロポリエーテルセグメントを有し、かつ第一級アミノ基を少なくとも2つ、第二級アミノ基を2つ、又はこれらの組み合わせを有するフッ素化アミン;並びに
c)式(II)の第1アミン化合物であって、
【化15】


式中、
は、第1基を第2基と連結する(a)アルカンラジカル、(b)フッ素化アルカンラジカル、(c)ヘテロアルカンラジカル、(d)アレーンラジカルから誘導されたもの、(e)カルボニルアミノ基、(f)R及びRが結合している窒素を含んでいる複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各前記第1基及び前記第2基は独立して、アルカンラジカル、フッ素化アルカンラジカル、ヘテロアルキレンラジカル、アレーンラジカル、又はこれらの組み合わせであり;
各R基は独立して水素、アルキル、アラルキル、アリール、又はQ及びRが結合している前記窒素を含んでいる複素環基の一部であり;並びに
nは、少なくとも2に等しい整数である、式(II)の第1アミン化合物、を含む反応混合物の生成物を含む、コポリマー。
【請求項18】
前記第1アミン化合物が式(IIa)のものであり、
【化16】


式中、
Qは第1基を第2基と連結する(a)ヘテロアルキレン、(b)アルキレン、(c)フッ素化アルキレン、(d)アリーレン、(e)カルボニルアミノ基、又は(f)R及びRが結合している窒素を含有している複素環基の一部、又は(g)これらの組み合わせであり、各前記第1基及び前記第2基は独立してヘテロアルキレン、アルキレン、フッ素化アルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせであり;並びに
各Rは独立して水素、アルキル、アラルキル、又はアリールであるか、又はQ及びRが結合している前記窒素原子を含んでいる複素環基の一部である、請求項17に記載のコポリマー。

【公表番号】特表2013−516516(P2013−516516A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547149(P2012−547149)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/061709
【国際公開番号】WO2011/082046
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】