説明

ペレット状の発泡性フィラー含有熱可塑性ポリマー材料から構成される成形用発泡成形体

ペレット状の発泡性フィラー含有熱可塑性ポリマー材料から構成される予備発泡された発泡ビーズを溶融することにより得られる成形用発泡成形体であって、密度が8〜200g/Lであることを特徴とする成形用発泡成形体、及びペレット状の発泡性ポリマー材料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレット状のフィラー含有発泡性熱可塑性ポリマー材料から構成される予備発泡された発泡ビーズ(フォームビーズ)を溶融することにより得られる、密度が8〜200g/Lの成形用発泡成形体(成形用フォーム)に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡性スチレンポリマー、例えば発泡性ポリスチレン(EPS)を、懸濁重合により製造する方法は、以前から知られている。このような方法の不利は、大量の廃水が発生し、これを廃棄しなければならない点である。得られるポリマーは、内部水を除去するために乾燥する必要がある。さらに、懸濁重合では、一般に、得られるビーズの粒度分布が広く、種々のビーズ画分を得るために複雑な篩い分けをする必要がある。
【0003】
押出方法も、発泡したスチレンポリマー及び発泡性スチレンポリマーの製造に使用することができる。ここでは、発泡剤を、例えば押出機を用いて混合することにより、溶融ポリマーに導入し、その材料をダイプレートに通過させ、分割(粉砕)して微粒子又はストランドを製造する(特許文献1:US3817669、特許文献2:GB1062307、特許文献3:EP−B0126459、特許文献4:US5000891)。
【0004】
特許文献5(EP−A668139)には、ペレット状発泡性ポリスチレン材料(EPS)のコスト効率の良い製造方法が記載されており、この方法では、スタティック混合素子を用いて発泡剤を含む溶融物を、懸濁段階、滞留段階、及び冷却段階により製造し、その後得られた材料をペレット化する。溶融物が凝固点より数度上に冷却されるため、大量の熱の損失が余儀なくされる。
【0005】
種々のペレット化の方法が、押出後の発泡の実質的防止、例えば水中ペレット化(特許文献6:EP−A305862);スプレーミスト(特許文献7:WO03/053651);又は霧化(atomization) (特許文献8:US6093750)について提案されている。
【0006】
特許文献9(DE19819058)には、わずかな初期発泡処理を受けた発泡性スチレンポリマーで、その発泡剤処理は、発泡剤を含む溶融ポリスチレンの押出、及び50〜90℃の温度、2〜20バール(bar)の圧力で水浴中にて水中ペレット化により行われることが記載されている。
【0007】
特許文献10(GB1048865)には、シート状、ストリップ状又はリボン状の、100〜1100kg/m3の範囲の密度を有し、フィラー含有量の高い押出ポリスチレンフォームが記載されている。発泡性スチレン又はフィラー含有量の高い発泡性ポリスチレンフォームの記載はない。
【0008】
特許文献11(WO03/035728)には、0.01〜100μmの平均粒径、1.6を超える屈折率及び22以下のカラーインデックスを有する無機フィラーを含む発泡性ポリスチレンの製造方法が記載されている。この実施例では、フォームの熱伝導度を下げるために、グラファイト等のIR吸収剤の代わりに1〜4質量%のTiO2を用いている。
【0009】
ハロゲン非含有難燃剤を含む発泡性スチレンポリマーが知られている。特許文献12(EP−A0834529)によれば、使用される難燃剤は、少なくとも12質量%の、リン化合物及び水を除去する金属水酸化物からなる混合物(例えば、トリフェニルホスファート及び水酸化マグネシウム)を、DIN4102B2の燃焼試験に合格するフォームを得るために、含んでいる。
【0010】
特許文献13(WO00/34342)には、難燃剤として、5〜50質量%の発泡性グラファイト、及び所望により2〜20質量%のリン化合物を含む発泡性スチレンポリマーが記載されている。
【0011】
特許文献14(WO98/51735)には、グラファイト微粒子を含み、低い熱伝導度を有し、且つ懸濁重合により、又は2軸スクリュー押出機での押出により得られる発泡性スチレンポリマーが記載されている。2軸スクリュー押出機における高い剪断力のため、使用したポリマーに顕著な分子量低下、及び/又は添加剤(例、難燃剤)の部分分解が通常見られる。
【0012】
フォームに理想的な断熱性及び良好な表面を付与するための決定的に重要なファクターは、発泡性スチレンポリマー(EPSs)の発泡中に得られる気泡(セル)の数とフォーム構造である。押出で作製されたペレット化EPS材料では、理想的な発泡構造のフォームが得られるように発泡することが屡々困難である。
【0013】
発泡工程で核生成のために、無機物質、例えばタルク、カーボンブラック、グラファイト又はガラス繊維を少量、ポリマーと予備混合する場合があることも公知である。その濃度が高い場合、一般に開放気泡構造がもたらされる。例えば特許文献15(EP−A1002829)には、シリル化ガラス繊維の存在下にスチレンを懸濁重合させて、処理することにより開放気泡型フォームを与えるEPSビーズを得る方法が記載されている。
【0014】
懸濁重合により発泡性ポリスチレンを製造する場合、その方法は、凝集を回避するために、屡々特定の添加剤を使用するように変更されなければならない。フォームの物理的性質を希望通りに変更することができるように、また材料を発泡させてプラスチック使用の倹約がもたらされるように、簡単な方法で、大量のフィラーを含有するペレット状熱可塑性ポリマー材料が得られれば理想的である。
【0015】
【特許文献1】US3817669
【特許文献2】GB1062307
【特許文献3】EP−B0126459
【特許文献4】US5000891
【特許文献5】EP−A668139
【特許文献6】EP−A305862
【特許文献7】WO03/053651
【特許文献8】US6093750
【特許文献9】DE19819058
【特許文献10】GB1048865
【特許文献11】WO03/035728
【特許文献12】EP−A0834529
【特許文献13】WO00/34342
【特許文献14】WO98/51735
【特許文献15】EP−A1002829
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、高いフィラー含有量で、予備発泡して、主に独立気泡型発泡ビーズ(フォームビーズ)を形成することができ、且つ溶融して、密度が8〜200g/Lの成形用発泡成形体(成形用フォーム)を得ることができるペレット状発泡性熱可塑性材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、ペレット状のフィラー含有発泡性熱可塑性ポリマー材料から構成される予備発泡された発泡ビーズを溶融することにより得られる成形用発泡成形体であって、密度が8〜200g/L、好ましくは10〜50g/Lであることを特徴とする成形用発泡成形体を見いだすことにより達成された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
驚くべきことに、フィラーの存在にもかかわらず、本発明の成形用発泡成形体は、高い割合の独立気泡を有し、個々のフォームビーズの、60%超過、好ましくは70%超過、特に80%超過の気泡(セル)が独立気泡(セル)タイプである。
【0019】
使用可能なフィラーは、有機及び無機の粉末又は繊維、及びこれらの混合物である。使用可能な有機フィラーの例としては、木粉、デンプン、亜麻繊維、麻繊維、ラミー繊維、ジュート繊維、サイザル繊維、綿繊維、セルロース繊維又はアラミド繊維を挙げることができる。使用可能な無機フィラーの例としては、炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸バリウム、ガラスビーズ、ゼオライト又は金属酸化物を挙げることができる。粉末の無機物質、例えばタルク、白亜、カオリン(Al2(Si25)(OH)4)、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、粉末水晶、アエロジル、アルミナ又はウォラストナイト、或いはビーズ状又は繊維状の無機物質、例えばガラスビーズ、ガラス繊維又は炭素繊維が好ましい。
【0020】
平均粒径、或いは繊維フィラーの場合の長さは、気泡サイズ以下の範囲にすべきである。平均粒径は1〜100μm、好ましくは2〜50μmの範囲が好ましい。
【0021】
無機フィラーの密度は、2.0〜4.0g/cm3、特に2.5〜3.0g/cm3の範囲が特に好ましい。白色度/輝度(DIN/ISO)は、50〜100%、特に70〜98%が好ましい。好ましいフィラーのISO787/5の給油価(oil number)は、2〜200g/100g、特に5〜150g/100gの範囲である。
【0022】
発泡性熱可塑性ポリマー及びそれから得られる成形用発泡成形体の性質は、フィラーの性質及び量により影響を受け得る。フィラーの割合は、熱可塑性ポリマーに対して一般に1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%の範囲にある。フィラー含有量が5〜15質量%である場合、成形用発泡成形体の機械的性質(例、曲げ強度又は圧縮強度)の欠陥が実質的に観察されることはない。接着促進剤、例えば無水マレイン酸変性スチレン共重合体、エポキシ基含有ポリマー、オルガノシラン、イソシアネート基又は酸性基含有スチレン共重合体が、フィラーとポリマー・マトリックスとの結合を顕著に改善し、これにより成形用発泡成形体の機械的性質を改善するので、使用することができる。
【0023】
無機フィラーは一般に可燃性を低下させる。防火性は、特に無機粉末、水酸化アルミニウムの添加により顕著に改善される。
【0024】
驚くべきことに、高いフィラー含有量であっても、本発明のペレット状熱可塑性ポリマー材料は、貯蔵中における発泡剤の損失が極めて少ない。核形成作用によっても、ポリマーに対する発泡剤の含有量を低下させることができる。
【0025】
使用可能な熱可塑性ポリマーの例としては、スチレンポリマー、ポリアミド(PAs)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、又はポリエチレン−プロピレン共重合体)、ポリアクリレート(例、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PBT))、ポリエーテルスルホン(PESs)、ポリエーテルケトン、又はポリエーテルスルフィド(PESs)、又はこれらの混合物を挙げることができる。特に、スチレンポリマーの使用が好ましい。
【0026】
分子量Mwが160000未満であるスチレンポリマーは、ペレット化中にポリマー摩耗がもたらされることが見いだされた。発泡性スチレンポリマーのモル質量は、190000〜400000g/モル、特に220000〜300000g/モルが好ましい。発泡性ポリスチレンのモル質量は、使用されるポリスチレンのモル質量より約10000g/モル低いのが一般的である。これは、分子量が、剪断力及び/又は熱曝露により減少するためである。
【0027】
得られるペレットサイズを最小にするために、ダイからの排出後、ダイ膨張を最小に抑えなければならない。ダイ膨張は、特にスチレンポリマーの分子量分布により影響を受け得ることが分かった。このため、発泡性スチレンポリマーは、その分子量分布の多分散度Mw/Mnが3.5以下、特に1.5〜2.8の範囲、とりわけ1.8〜2.6の範囲であることが好ましい。
【0028】
好ましく使用されるスチレンポリマーは、ガラス−クリヤー・ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アニオン重合ポリスチレン又は耐衝撃性ポリスチレン(AIPS)、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート(ASA)、メタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(MABS)、又はこれらの混合物、又はポリフェニレンエーテル(PPE)との混合物である。
【0029】
機械的性質又は熱安定性を改良するために、上述のスチレンポリマーを、熱可塑性ポリマー、例えばポリアミド(PAs)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE))、ポリアクリレート(例、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PBT))、ポリエーテルスルホン(PESs)、ポリエーテルケトン、又はポリエーテルスルフィド(PES)、又はこれらの混合物と、溶融ポリマーに対して、一般に最大30質量%まで、好ましくは1〜10質量%の割合でブレンドすることができる。上述の範囲内の量での混合は、例えば、疎水性に変性又は官能化されたポリマー又はオリゴマー、ゴム、例えばポリアクリレート又はポリジエン(例、スチレン−ブタジエンブロック共重合体)、或いは生分解性脂肪族又は脂肪族/芳香族共重合ポリエステルとも可能である。
【0030】
好適な相溶化剤の例としては、無水マレイン酸スチレン共重合体、エポキシ基含有ポリマー、及びオルガノシランを挙げることができる。
【0031】
上述の熱可塑性ポリマー、特にスチレンポリマーと発泡性スチレンポリマー(EPSs)を含む再生(再利用)ポリマーも、溶融スチレンポリマーと、その特性を実質的に損なわない量、一般に50質量%以下、特に1〜20質量%の量で予備混合することができる。
【0032】
発泡剤を含む溶融スチレンポリマーは、一般に、この発泡剤を含む溶融スチレンポリマーに対して2〜10質量%、好ましくは3〜7質量%の総割合で均一に分散された1種以上の発泡剤を含んでいる。好適な発泡剤は、EPSで通常使用される物理的発泡剤、例えば炭素原子数2〜7個の脂肪族炭化水素、アルコール、ケトン、エーテル又はハロゲン化炭化水素である。イソブタン、n−ブタン、イソペンタン、n−ペンタンが好ましい。
【0033】
発泡性の改良のために、微細分散された内部水滴をスチレンポリマーマトリックスに導入することができる。このための方法の例としては、溶融スチレンポリマーマトリックスに水を添加する方法である。水の添加位置は、発泡剤供給の上流、発泡剤供給と共に、或いは発泡剤供給の下流とすることができる。水の均一分散は、ダイナミック又はスタティックミキサーを用いて行うことができる。
【0034】
適当な水の量は、スチレンポリマーに対して、一般に0〜2質量%、好ましくは0.05〜1.5質量%である。
【0035】
0.5〜15μmの直径を有する内部の水滴形状の少なくとも90%の内部水を有する発泡性スチレンポリマー(EPSs)が、発泡時に、適当数の気泡(セル)及び均一な気泡(フォーム)構造を有するフォームを形成する。
【0036】
発泡剤及び水の添加量は、(発泡前の嵩密度)/(発砲後の嵩密度)として定義される、発泡性スチレンポリマー(EPSs)の発泡能αが、125以下、好ましくは25〜100となるように選択される。
【0037】
本発明のペレット状の発泡性スチレンポリマー材料(EPSs)の嵩密度は、一般に700g/L(リットル)以下、好ましくは590〜660g/Lである。フィラーを使用する場合、590〜1200g/Lの嵩密度が、フィラーの性質及び量に依存するが、好ましい。
【0038】
添加剤、核剤、可塑剤、難燃剤、溶解性又は不溶性の無機及び/又は有機の染料及び顔料、例えばIR吸収剤(例、カーボンブラック、グラファイト、又はアルミニウム粉末)を、上記フィラーに加えて、一緒に又は空間的に分離して、溶融スチレンポリマーに、例えばミキサー又は付属の押出機を用いて、さらに添加することができる。染料及び顔料の添加量は、一般に0.01〜30質量%、好ましくは1〜5質量%の範囲である。スチレンポリマー内の顔料の均一で微分散の分布のために、特に極性顔料の場合に、分散剤、例えばオルガノシラン、エポキシ基含有ポリマー、又は無水マレイン酸−グラフト化スチレンポリマーを用いることが有利であると言える。好ましい可塑剤は、鉱油、低分子量スチレンポリマー、及びフタレート(フタル酸エステル、塩)であり、これらは、スチレンポリマーに対して、0.05〜10質量%の量で使用することができる。
【0039】
粒径が0.1〜100μm、特に0.5〜10μmであるフィラーは、10質量%の含有量でポリスチレンの熱伝導度を1〜3mW低下させる。これは、比較的低い熱伝導度が、IR吸収剤、例えばカーボンブラック及びグラファイトの比較的少量の使用でさえ達成され得ることを意味している。
【0040】
熱伝導度を低減するために、0.1〜10質量%、特に2〜8質量%のIR吸収剤、例えばカーボンブラック及びグラファイトを使用することが好ましい。
【0041】
比較的少量、例えば5質量%未満のフィラーを用いる場合、カーボンブラックを、1〜25質量%、好ましくは10〜20質量%の量で使用することも可能である。このような高いカーボンブラック含有量では、カーボンブラックを溶融スチレンポリマーに少しずつ、主力押出機及び補助押出機を用いて添加して混合することが好ましい。押出機による添加により、カーボンブラック凝集物を0.3〜10μm、好ましくは0.5〜5μmの平均凝集サイズに簡易に微粒化することができ、また発泡させて5〜40kg/m3、特に10〜15kg/m3の密度を有する独立気泡型成形用フォームを与えることができる発泡可能なペレット状発泡性スチレンポリマー材料の均一着色が可能となる。10〜20質量%のカーボンブラックを用いて得られる成形用フォームは、成形及び焼結後、DIN52612に従い10℃で測定された熱伝導度λが30〜33mW/mKを達成する。
【0042】
10〜300nmの範囲、特に30〜200nmの範囲の平均一次粒径を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。BET表面積は、10〜120m2/gの範囲にあることが好ましい。
【0043】
使用が好ましいグラファイトとしては、1〜50μmの平均粒径を有するグラファイトを挙げることができる。
【0044】
低い熱伝導度を有するペレット状発泡性スチレンポリマー材料は、
a)5〜50質量%の、粉末状無機物質、例えば、タルク、白亜、カオリン、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、窒化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、粉末水晶、アエロジル、アルミナ又はウォラストナイトから選択されるフィラー;
b)0.1〜10質量%のカーボンブラック又はグラファイト;
を含んでいる。
【0045】
ペレット状EPS材料は、難燃剤として、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)を、そして難燃剤相乗剤として、ジクミル又はジクミルペルオキシドを含むことが特に好ましい。難燃剤相乗剤の有機臭素化合物に対する質量比は、一般に1〜20、好ましくは2〜5の範囲である。
【0046】
特に、フィラーとして、白亜等の炭酸塩を用いた場合、ハロゲン化難燃剤(例、HBDC)より遊離したハロゲン化水素を中和し、そして処理中のプラントの腐食をなくすか低減することができる。
【0047】
ハロゲン化難燃剤を用いることなく難燃化された本発明のペレット状発泡性スチレンポリマー材料は、
a)5〜50質量%の、粉末状無機物質、例えば、タルク、白亜、カオリン、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸カルシウム、シリカ、粉末水晶、アエロジル、アルミナ又はウォラストナイトから選択されるフィラー;
b)2〜40質量%の、平均粒径が10〜1000μmの発泡性グラファイト;
c)0〜20質量%の、赤リン、或いは有機若しくは無機のホスファート、ホスフィット又はホスホナート;
d)0〜10質量%の、カーボンブラック又はグラファイト;
を含んでいることが好ましい。
【0048】
フィラーの相乗的作用、例えば白亜と発泡性グラファイト及び赤リンと、又はリン化合物との相乗的作用により、低コスト、ハロゲン非含有で、燃焼抑制効果が達成される。
【0049】
ハロゲン化難燃剤を用いることなく難燃化された好ましいペレット状発泡性スチレンポリマー材料は、フィラー及び発泡性グラファイトに加えて、1〜10質量%の赤リン、トリフェニルホスファート又は9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン10−オキシド、及びIR吸収剤として作用する平均粒径0.1〜100μmの非発泡グラファイトを、各場合、スチレンポリマーに対して0.1〜5質量%の量で含んでいる。
【0050】
グラファイトの層状格子構造は、特定のタイプの層間化合物(インターカレーション化合物)を形成することを可能にする。このような層間化合物においては、異質の原子或いは異質の分子が、炭素原子間の空間に吸収されているが、時々化学量論比で吸収されている。これらのグラファイト化合物はまた、例えば、異質分子として硫酸を用いて、工業的規模で製造することができ、発泡性グラファイトと呼ばれる。この発泡性グラファイトの密度は、1.5〜2.1g/cm3であり、その平均粒径は、一般に且つ有利には、100〜1000μm、この場合、好ましくは20〜500μm、特に30〜300μmである。
【0051】
使用することができるリン化合物としては、無機又は有機のホスファート、ホスフィット又はホスホナート、及び赤リンを挙げることができる。好ましいリン化合物の例として、ジフェニルホスファート、トリフェニルホスファート、ジフェニルクレジルホスファート、アンモニウムポリホスファート、レゾルシノールジフェニルホスファート、メラミンホスファート、ジメチルフェニルホスファート、又はジメチルメチルホスファートを挙げることができる。
【0052】
本発明の発泡性スチレンポリマーを製造するために、発泡剤は溶融ポリマーに添加、混合される。この方法は、a)溶融物の作製の段階、b)混合の段階、c)冷却の段階、d)搬送の段階及びe)ペレット化の段階を包含する。これらの段階のそれぞれは、プラスチック加工において公知の装置又は装置の組合せを用いて実施することができる。スタチック又はダイナミック・ミキサー(例、押出機)は、この混合工程に好適である。溶融ポリマーは、重合反応器から直接取り出すか、或いはポリマーペレットの溶融により混合押出機又は分離溶融押出機で直接製造することができる。溶融物の冷却は、混合アッセンブリー又は別の冷却器で行うことができる。使用することができるペレタイザの例としては、圧縮水中ペレタイザ、ナイフを回転させ且つ温度制御液体の噴霧(sparay-mising)により冷却するペレタイザ、又は霧化(atomization)を含むペレタイザを挙げることができる。この方法を実施する装置の好適な配置の例としては:
a)重合反応器−スタチックミキサー/冷却器−ペレタイザ
b)重合反応器−押出機−ペレタイザ
c)押出機−スタチックミキサー−ペレタイザ
d)押出機−ペレタイザ
を挙げることができる。
【0053】
上記配置は、添加剤(例、固体、又は感熱添加剤)を導入するための補助押出機を有していても良い。
【0054】
ダイプレートを通過する際の、発泡剤を含む溶融スチレンポリマーの温度は、一般に140〜300℃、好ましくは160〜240℃である。ガラス転移温度の領域に冷却する必要はない。
【0055】
ダイプレートは、発泡剤含有溶融ポリスチレンの温度に少なくとも加熱する。ダイプレートの温度を、発泡剤含有溶融ポリスチレンの温度より20〜100℃上の温度に加熱することが好ましい。これにより、ダイ内でのポリマーの堆積を避けることができ、問題のないペレット化が保証される。
【0056】
市場性の高いペレットサイズを得るために、ダイの排出口におけるダイ孔の直径(D)は、0.2〜1.5mm、好ましくは0.3〜1.2mm、特に好ましくは0.3〜0.8mmとすべきである。ダイ膨張後でさえ、これにより、2mm未満、特に0.4〜1.4mmのペレットサイズへの設定制御が可能になる。
【0057】
ダイ膨張は、分子量分布のみならず、ダイの外形によっても影響を受け得る。ダイプレートは、少なくとも2のL/D比の孔を有する。この場合、上記長さ(L)は、直径が最大でもダイの排出口における直径(D)である領域を示す。L/D比は、3〜20の範囲にあることが好ましい。
【0058】
ダイプレートにおける入口での孔の直径(E)は、一般に、ダイの排出口における直径(D)の少なくとも2倍とすべきである。
【0059】
ダイプレートの一態様は、円錐状の注入口及び180°未満、好ましくは30〜120°の範囲の注入口角αを有する孔を備えている。別の態様では、ダイプレートは、円錐状の出口及び90°未満、好ましくは15〜45°の範囲の出口角βを有する孔を備えている。スチレンポリマーの制御されたペレットサイズ分布を得るために、ダイプレートには、異なる排出口直径(D)の複数の孔が取り付けられていても良い。また、ダイ外形の種々の態様は、相互に組み合わせることができる。
【0060】
発泡性スチレンポリマーを製造する特に好ましい1つの方法は、下記の工程:
a)スチレンモノマー及び適宜共重合可能なモノマーを重合する工程、
b)得られた溶融スチレンポリマーを液化する工程、
c)スタチック又はダイナミックミキサーを少なくとも150℃、好ましくは180〜260℃で用いて、発泡剤及び適宜添加剤を溶融スチレンポリマーに導入する工程、
d)発泡剤含有溶融スチレンポリマーを少なくとも120℃(120℃以上)、好ましくは150〜200℃に冷却する工程、
e)フィラーを添加する工程、
f)ダイの排出口いおける直径が最大でも1.5mmの孔を有するダイプレートを介して排出する工程、及び
g)発泡剤含有溶融物をペレット化する工程、
を含んでいる。
【0061】
工程g)のペレット化工程は、ダイプレートの直下流で、1〜25バール、好ましくは5〜15バールの圧力の水中において行うことができる。
【0062】
水中ペレタイザの可変の反対圧力により、圧縮ペレット或いは初期発泡ペレットのいずれかの製造制御が可能になる。核剤を用いた時さえ、水中ペレタイザダイにおける初期発泡は制御可能な状態にある。
【0063】
ガラス転移温度よりかなり上でのガス化溶融物又はガス化ポリマー押出物をペレット化することは、圧縮ペレットの製造への挑戦となる。なぜなら、初期発泡は屡々抑制するのが難しいためである。このことは、特に核剤(例、無機又は有機固体粒子)の存在下で、又はブレンド時の相の境界において、当てはまる。
【0064】
1〜40バール、特に4〜20バールの圧力で圧縮水中ペレタイザを用いることにより、この問題は解決される。さらに、ペレットの初期発泡が、核剤の存在下でさえ完全に抑制されるだけでなく(圧縮ペレット)、また正確に制御もされ得る(少し初期発泡したペレット、40〜550g/Lの嵩密度)。
【0065】
圧縮ペレット(compact pellet)の場合、予備発泡が、蒸気流中で行われ(被覆後適宜に)、通常10〜50kg/m3の密度のフォームビーズが得られ、そしてその材料は24時間中間貯蔵所に保管され、その後蒸気を用いて気密金型で溶融させ、フォームを得る。
【0066】
特に低い嵩密度を達成するため、この発泡手順は、少なくとも1回繰り返され、ここで得られたペレットは通常中間貯蔵所に保管され、そして発泡工程の間において時々乾燥される。乾燥した初期発泡ペレットは、さらに蒸気中、或いは少なくとも50容量%の水を含むガス混合物中で、好ましくは100〜130℃の温度で発泡され、より低い密度さえ得られる。所望の嵩密度は、25g/L未満、特に8〜16g/Lである。
【0067】
工程a)の重合及び工程b)の液化が行われるため、溶融ポリマーは、工程c)の発泡剤の含浸に直接利用され、スチレンポリマーを溶融する必要はない。これにより、一層費用効率が良くなるだけでなく、低いスチレンモノマー含有量の発泡性スチレンポリマー(EPSs)も得られる。なぜなら、これにより、押出機の均一化部分での機械剪断力に曝されることが回避できるからである。このような機械剪断力に曝されると、一般にポリマーは分解してモノマーを生成する。スチレンモノマー含有量を低く(特に500ppm未満)抑えるために、この方法の続く工程の全てに導入される機械的及び熱的エネルギーの量を最小にすることも有利である。このため、工程c)〜e)において、50/秒未満、好ましくは5〜30/秒の剪断速度、そして260℃未満の温度が特に好ましく、また1〜20分、好ましくは2〜10分の短い滞留時間にすることが好ましい。特に、全工程に亘って、専らスタチックミキサー及びスタチック冷却器を使用することが好ましい。溶融ポリマーは圧力ポンプ(例、ギアポンプ)により搬送、排出することが可能である。
【0068】
スチレンモノマー含有量及び/又は残留溶剤(例、エチルベンゼン)の量を低減させる別の方法は、工程b)で、液化を、共留剤(例、水、窒素、又は二酸化炭素)を用いて高いレベルで行うか、或いは重合工程a)をアニオン法で実施することである。スチレンのアニオン重合は、スチレン含有量の低いスチレンポリマーを形成するのみならず、極めて低いスチレンオリゴマー含有量をもたらす。
【0069】
加工性を改良するために、最終のペレット状発泡性スチレンポリマー材料は、グリセロールエステル、帯電防止剤又はケーキング防止剤が被覆されても良い。
【0070】
本発明のペレット状発泡性スチレンポリマー材料(EPSs)は、比較的高い嵩密度を有し、一般に590〜1200g/Lである。但し、この嵩密度はフィラーの種類及びフィラー含有量に依存して変化する。
【0071】
本発明のペレット状発泡性スチレンポリマー材料は、発泡剤の量が極めて低い場合でさえ、良好な発泡能を有する。被覆がない場合でさえ、ケーキングの受けやすさは従来のEPSビーズより顕著に低い。
【0072】
本発明のペレット状発泡性スチレンポリマー材料は、熱空気又は蒸気により予備発泡され、8〜200kg/m3、好ましくは10〜50kg/m3の範囲の密度、を有する発泡性フォームが得られ、その後密閉金型で融解され、フォームが得られる。
【実施例】
【0073】
[発明実施例1〜17]
発明実施例では、75ml/gの粘度数VN(Mw=185000g/モル、多分散度Mw/Mn=2.6)を有するPS VPT(BASFアクチェンゲゼルシャフト社製)から構成される溶融ポリスチレンを用いた。これには、既に全溶融ポリマーに対して6質量%のn−ペンタンが混合により導入されていた。実施例1〜3においては、4質量%のn−ペンタンが予備混合された。
【0074】
使用したフィラーは:
白亜: Ulmer Weiss XM、Omya GmbH社製;平均粒径4.8μm
カオリン: B22 kaolin、Blancs Mineraux社製
タルク: Finntalc、Finnminerals社製;20μm未満の粒子が99%
水酸化アルミニウム: Apral 15、Nabaltec GmbH社製
ガラスマイクロビーズ: PAガラスマイクロビーズ、Potters−Ballotini GmbH社製
である。
【0075】
発泡剤含有溶融混合物を、冷却器において、初期の260℃から190℃に冷却した。冷却器の出口で、フィラー含有溶融ポリスチレンを、補助−供給押出機により計量導入し、このため特定のフィラーについて、そのペレット状材料に対する質量割合を表1のように設定した。フィラー含有溶融ポリスチレンを、32個の孔(ダイ直径0.75mm)を有するダイプレートを60kg/hの処理量で通過させた。狭い粒度分布のペレット状圧縮材料を、水中圧縮ペレタイザにより作製した。ペレット化後及び14日間保管後のペレット状材料において測定されたペンテン含有量を表1に示した。
【0076】
これらのペレット状材料を、蒸気流中で予備発泡させ、密度が20g/Lのフォームビーズを得、12時間中間貯蔵所に保管し、その後蒸気を用いて気密金型で溶融し、フォームを得た。
[比較実験]
フィラーの添加をしなかった以外は、発明実施例1〜17と同様にして比較実験を行った。
【0077】
防火性を評価するために、ブンゼンバーナーの炎を、フォーム成形体に2秒間当てた。比較実験で製造したフォーム成形体は、燃焼により消失し、一方実施例17で得たフォーム成形体は自己消化性であった。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
ケーキングの受けやすさを測定するため、予備発泡ビーズを、粗いメッシュの篩いに載置し、篩い上に残った割合を測定した。
【0081】
【表3】

【0082】
フォームビーズの形状を評価するために、厚さ4cmのテストピース・フォームをバラバラに破壊し、壊れたフォームビーズと破壊表面が無傷のビーズとの割合を測定した。破砕融合ファクターはビーズの凝集を特徴付けるので、屈曲性等の機械特性の尺度である。表面品質(空洞、割れ目)を、表4に示すように評価した。独立気泡の割合を、フォームを走査型電子顕微鏡写真(SEMs)から決定した。
【0083】
【表4】

【0084】
[発明実施例1a、5a、7a、及び14a]
発明実施例1a、5a、7a、及び14aを、1質量%のスチレン−無水マレイン酸共重合体を接着促進剤としての12質量%の無水マレイン酸(Dylark(登録商標))と共に添加した以外は、実施例1、5、7、及び14と同様に行った。成形フォームの圧縮強度を表5に示す。
【0085】
【表5】

【0086】
圧縮強度の評価
+/−: フィラー非含有VPTに匹敵
−: ほんのわずか劣った圧縮強度
−−: 顕著に損なわれた圧縮強度
+: 向上した圧縮強度
++: 顕著に向上した圧縮強度
【0087】
[発明実施例18〜20及び比較実験C2、Cs]
押出機において、ポリスチレンに対して7質量%のペンタンを、98ml/gの粘度数VN(Mw=280000g/モル、多分散度Mw/Mn=2.8)を有するPS 158 K(BASFアクチェンゲゼルシャフト社製)から構成される溶融ポリスチレンに添加、混合した。発泡剤含有溶融物を、初期の260℃から190℃に冷却すると直ぐに、フィラー(白亜、Ulmer Weiβ (Omya))、IR吸収剤(カーボンブラック又はグラファイト、UF298 Kropfmuehl)及び難燃剤(HBCD)を、補助押出機を用いて表1のように添加し、主流に混合した。さらに、ペンテンに溶解した難燃剤相乗剤ジクミル(DC)、即ちジクミルペルオキシドを、補助押出機の軸位置に対応する軸位置で、計量ヤスリ(lance)及びピストンポンプを用いて冷却された主流に計量導入した。
【0088】
溶融ポリスチレン、発泡剤、難燃剤及び相乗剤から構成される混合物を搬送して、32個の穿孔(直径0.75mm)を有するダイプレートに60kg/hで通過させた。水中加圧ペレット化により、狭い粒度分布の圧縮ペレットを製造した。
【0089】
これらのペレットは、蒸気流で予備発泡させ、フォームビーズ(20g/L)を得、中間貯蔵所で24時間保管し、その後蒸気を用いて気密金型で溶融し、フォームを得た。
【0090】
6秒未満の残炎時間がDIN 4102 B2試験に合格し、適当である。
【0091】
【表6】

【0092】
[発明実施例21〜23]
発明実施例21:
実施例に使用した溶融ポリスチレンは、83ml/gの粘度数VN(Mw=220000g/モル、多分散度Mw/Mn=2.8)を有するPS 148G(BASFアクチェンゲゼルシャフト社製)で、これに7質量%のn−ペンタン及び0.3質量%の水を添加混合した。発泡剤含有溶融物を、初期の260℃から190℃に冷却すると直ぐに、溶融ポリスチレン及び発泡剤から構成される混合物を搬送して、32個の穿孔(直径0.75mm)を有するダイプレートに60kg/hで通過させた。水中加圧ペレット化(4バール)により、狭い粒度分布の初期発泡ペレット(嵩密度550kg/m3)を製造した。
【0093】
発明実施例22:
実施例に使用した溶融ポリスチレンは、83ml/gの粘度数VN(Mw=220000g/モル、多分散度Mw/Mn=2.8)を有するPS 148G(BASFアクチェンゲゼルシャフト社製)で、これに7質量%のn−ペンタン及び10質量%の白亜を添加混合した。発泡剤含有溶融物を、初期の260℃から190℃に冷却すると直ぐに、溶融ポリスチレン及びフィラーから構成される混合物を補助流(押出機)で搬送し、そして主流に混合し、こうして得られた最終生成物は10質量%のフィラー含有していた。溶融ポリスチレン、発泡剤、及びフィラーから構成される混合物を搬送し、32個の穿孔(直径0.75mm)を有するダイプレートに60kg/hで通過させた。水中加圧ペレット化(12バール)により、狭い粒度分布の圧縮ペレットを製造した。
【0094】
発明実施例23:
実施例に使用した溶融ポリスチレンは、83ml/gの粘度数VN(Mw=220000g/モル、多分散度Mw/Mn=2.8)を有するPS 148G(BASFアクチェンゲゼルシャフト社製)で、これに7質量%のn−ペンタン、0.3質量%の水及び10質量%の白亜を添加混合した。発泡剤含有溶融物を、初期の260℃から190℃に冷却すると直ぐに、フィラーを予備押出機により溶融ポリスチレン混合物の形で添加し、そして主流に混合し、こうして得られた最終生成物は10質量%のフィラー含有していた。溶融ポリスチレン、発泡剤、及びフィラーから構成される混合物を搬送し、32個の穿孔(直径0.75mm)を有するダイプレートに60kg/hで通過させた。水中加圧ペレット化(4バール)により、狭い粒度分布の初期発泡ペレット(嵩密度380kg/m3)を製造した。
【0095】
[発明実施例24〜27]
7質量%のn−ペンタンを、83ml/gの粘度数VN(Mw=220000g/モル、多分散度Mw/Mn=2.9)を有するPS 148G(BASFアクチェンゲゼルシャフト社製)に添加混合した。発泡剤含有溶融物を、初期の260℃から190℃に冷却すると直ぐに、溶融ポリスチレンを予備押出機により添加し、表1に示したフィラー(白亜)及び適当な難燃剤混合物(発泡性グラファイト:ES 350F5、Kropfmuehl社製;赤リン、トリフェニルホスファート(TPP)又は9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(DOP)を添加し、主流に混合した。上述の質量%の量はポリスチレン全体量に対するものである。
【0096】
溶融ポリスチレン、発泡剤、フィラー及び難燃剤から構成される混合物を搬送し、32個の穿孔(直径0.75mm)を有するダイプレートに60kg/hで通過させた。水中加圧ペレット化により、狭い粒度分布の初期発泡ペレットを製造した。
【0097】
これらのペレットは、蒸気流で予備発泡させ、フォームビーズ(10〜15g/L)を得、中間貯蔵所で24時間保管し、その後蒸気を用いて気密金型で溶融し、フォームを得た。
【0098】
防火性及び熱伝導性を試験する前に、テストピースを少なくとも72時間保管した。発明実施例24〜27は自己消火性を有し、DIN 4102 B2燃焼試験(防火試験)に合格した。
【0099】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット状のフィラー含有発泡性熱可塑性ポリマー材料から構成される予備発泡された発泡ビーズを溶融することにより得られる成形用発泡成形体であって、密度が8〜200g/Lであることを特徴とする成形用発泡成形体。
【請求項2】
個々の発泡ビーズの80%を超える気泡が、独立気泡タイプである請求項1に記載の成形用発泡成形体。
【請求項3】
熱可塑性ポリマーとして、スチレンポリマーを含む請求項1又は2に記載の成形用発泡成形体。
【請求項4】
フィラーの割合が、熱可塑性ポリマーに対して1〜50質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形用発泡成形体。
【請求項5】
フィラーとして、粉末状無機物質、例えば、タルク、白亜、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、粉末水晶、アエロジル、アルミナ又はウォラストナイトを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形用発泡成形体。
【請求項6】
フィラーとして、ビーズ状又は繊維状の無機物質、例えば、ガラスビーズ、ガラス繊維又は炭素繊維を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形用発泡成形体。
【請求項7】
a)粉末状無機物質、例えば、タルク、白亜、カオリン、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、粉末水晶、アエロジル、アルミナ又はウォラストナイト;或いは
b)ビーズ状又は繊維状の無機物質、例えば、ガラスビーズ、ガラス繊維又は炭素繊維、から選択されるフィラーを5〜50質量%含むペレット状の発泡性熱可塑性ポリマー材料。
【請求項8】
a)5〜50質量%の、粉末状無機物質、例えば、タルク、白亜、カオリン、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸カルシウム、シリカ、粉末水晶、アエロジル、アルミナ又はウォラストナイトから選択されるフィラー;
b)2〜40質量%の、平均粒径が10〜1000μmの発泡性グラファイト;
c)0〜20質量%の、赤リン、或いは有機若しくは無機のホスファート、ホスフィット又はホスホナート;
d)0〜10質量%の、カーボンブラック又はグラファイト;
を含む請求項7に記載のペレット状の発泡性熱可塑性ポリマー材料。
【請求項9】
3〜7質量%の有機発泡剤を含む請求項7又は8に記載のペレット状の発泡性熱可塑性ポリマー材料。
【請求項10】
下記の工程:
a)スタチック又はダイナミック・ミキサーを用いて、少なくとも150℃の温度にて、有機発泡剤及び5〜50質量%のフィラーを溶融ポリマーに導入する工程;
b)発泡剤を含むフィラー含有溶融ポリマーを少なくとも120℃の温度に冷却する工程;
c)ダイの排出口における直径が最大1.5mmの孔を有するダイプレートを介して排出する工程;及び
d)発泡剤を含む溶融物を、ダイプレートの直下流側で1〜20バールの圧力で水中にてペレット化する工程;
を包含するペレット状の発泡性熱可塑性ポリマー材料の製造方法。
【請求項11】
熱空気又は蒸気を用いて、請求項7に記載のペレット状の発泡性熱可塑性ポリマー材料を予備発泡させて、密度が8〜200g/Lの発泡ビーズを得る第1工程、そしてその材料を密閉金型で溶融する第2工程を含むペレット状の発泡性熱可塑性ポリマー材料の製造方法。

【公表番号】特表2007−514027(P2007−514027A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543441(P2006−543441)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013748
【国際公開番号】WO2005/056653
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】