説明

ペレット状固形燃料燃焼装置

【課題】燃焼部にペレット状固形燃料を偏り無く供給して、ペレット状固形燃料を均等燃焼させることができるペレット状固形燃料燃焼装置を提供する。
【解決手段】ペレット状固形燃料を燃焼部3に連続または適時間間隔で供給して燃焼するペレット状固形燃料燃焼装置であって燃焼部3にはその一側上方からペレット状固形燃料を流下させる供給樋13を備えている。燃焼部3には供給樋13から流下するペレット状固形燃料の流下経路に、流下するペレット状固形燃料を拡散させる棒状体14を配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大鋸屑その他の木質材または籾殻等のバイオマス燃料をペレット状に成形したペレット状固形燃料を均等燃焼させるペレット状固形燃料燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バイオマス燃料をペレット状に成形したペレット固形燃料燃焼装置は、従来から種々のものがあり、その中で燃焼部の一側上方から傾斜状の供給樋によりペレット状固形燃料を流下させて燃焼部に供給するようにしたものは、特開2005−172383公報および特開2004−191016公報に掲載されている。
【特許文献1】特開2005−172383公報
【特許文献2】特開2004−191016公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
燃焼部の一側上方から傾斜状の供給樋によりペレット状固形燃料を流下させて燃焼部に供給するようにした燃焼装置にあっては、供給樋からペレット状固形燃料を燃焼部に供給するので、供給樋から流下するペレット状固形燃料はその流れの勢いによって燃焼部に供給樋から離れた側に偏って供給される(図7参照)。このため、燃焼部において燃焼状態が不均等になって不完全燃焼を起こしたり、また燃焼部の一側から点火ヒータによって着火する燃焼装置では着火エラーを起こす原因となっている。図7においてaは燃焼部、bは供給樋、cは点火ヒータである。
【0004】
そこで本発明は、燃焼部には前記供給樋から流下するペレット状固形燃料の流下経路に、流下するペレット状固形燃料を拡散させる棒状体を配置することにより、燃焼部に供給樋から流下するペレット状固形燃料を、その流れの勢いにより拡散させて燃焼部にペレット状固形燃料を偏り無く供給して、ペレット状固形燃料を均等燃焼させることができるペレット状固形燃料燃焼装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明の請求項1に係るペレット状固形燃料燃焼装置は、ペレット状固形燃料を燃焼部に連続または適時間間隔で供給して燃焼するペレット状固形燃料燃焼装置において、燃焼部にはその一側上方からペレット状固形燃料を流下させる供給樋を備えており、燃焼部には前記供給樋から流下するペレット状固形燃料の流下経路に、流下するペレット状固形燃料を拡散させる棒状体を配置してあることを特徴とするものである。
【0006】
前記ペレット状固形燃料を拡散させる棒状体は、丸棒状であること、または細帯板状であることが好適である(請求項2または3)。そして、これらペレット状固形燃料を拡散させる棒状体を2本の近接平行状に設けてあることが好適である(請求項4)。
【0007】
本発明に係るペレット状固形燃料燃焼装置において、燃焼部は装置本体に対して上方から着脱可能な燃焼器であり、ペレット状固形燃料を拡散させる棒状体は前記燃焼器に取り付けられていて着脱の際の把手を兼ねることとすることができる(請求項5)。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るペレット状固形燃料燃焼装置によれば、燃焼部には前記供給樋から流下するペレット状固形燃料の流下経路に、流下するペレット状固形燃料を拡散させる棒状体を配置することにより、燃焼部に供給樋から流下するペレット状固形燃料を、その流れの勢いにより拡散させて燃焼部にペレット状固形燃料を偏り無く供給して、ペレット状固形燃料を均等燃焼させることができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明の一実施の形態に係るペレット状固形燃料燃焼装置の断面図、図2は燃焼部の斜視図、図3は本発明の他の実施の形態に係る燃焼部の断面図である。
【0010】
図1および図2に示すように、本発明に係るペレット状固形燃料燃焼装置1は、ペレット状固形燃料を燃料タンク2と、ペレット状固形燃料を燃焼する燃焼部3と、燃料タンク2からペレット状固形燃料を燃焼部3に供給する燃料供給装置4を備えており、燃焼部3は、燃料タンク2から燃料供給装置4によって供給されるペレット状固形燃料を燃焼させる燃焼器5を設けた燃焼室6と、ペレット状固形燃料の燃焼にともなって燃焼器5上に生じる灰を収集する集灰部7からなっている。8は給気口、9は吸引ファンであり、燃焼室6には吸引ファン9により給気口8から外気が取り入れられるようになっている。また、10は温風発生部であっって燃焼室6の上部に位置しており、送風ファン11により外気取入口12から取り入れられて送風される外気との熱交換により温風を発生させ、温風吹出し口19より温風が外部に送風されるようになっている。
【0011】
前記燃焼部3には、その一側上方に燃料供給装置4のペレット状固形燃料を流下させる供給樋13が位置しており、燃焼部3には前記供給樋13から流下するペレット状固形燃料の流下経路中に、流下するペレット状固形燃料を拡散させる棒状体14が配置されている。このペレット状固形燃料を拡散させる棒状体14は丸棒状であって、その両端が燃焼器5の供給樋13からみて左右壁15、16に固定状に取り付けられている。尚、ペレット状固形燃料を拡散させる棒状体14は、細帯板状や角棒状などのものであってもよい。また、左右のどちらか一方は固定せずに壁面の穴との隙間を設けておくとよい(図示せず)。供給樋13はペレット状固形燃料が滞りなく燃焼部3に向けて流下する角度をもって燃焼部3へ向けて傾斜している。
【0012】
燃料供給装置4のペレット状固形燃料を流下させる供給樋13から燃焼部3へ向けて流下するペレット状固形燃料は、ペレット状固形燃料を拡散させる棒状体14にその一部が衝突して拡散されるので、燃焼部3の燃焼器5には偏り無くペレット状固形燃料が供給される。このため、燃焼器5の一側から点火ヒータ17によりペレット状固形燃料に着火する際の着火が確実に行われて着火エラーが生じない。また、燃焼部3における燃焼状態が均等に保たれるので、図示のペレット状固形燃料燃焼装置1のように前面に透明な窓18を備えた暖房装置にあっては、形の整った見栄えの良い炎が見られるので、感覚的な暖房効果をも大いに期待することができる。
【0013】
図3に示す実施の形態では、燃焼器5にペレット状固形燃料を拡散させる棒状体14を2本近接平行状に設けてあるが、この構成にすると少量供給時及び大量供給時のどちらの場合においても燃料供給装置4の供給樋13から燃焼部3に向けて流下するペレット状固形燃料の拡散効果が向上し、燃焼器5の強度が一段と向上する。
【0014】
図1に示すように、燃焼部3の燃焼器5は装置本体に対して上方から着脱可能な構成となっており、ペレット状固形燃料を拡散させる棒状体14は燃焼器5の左右壁15、16間にわたって取り付けられているので、棒状体14は燃焼器5の着脱の際の把手にもなる。このため、燃焼部3において燃焼器5の着脱作業が容易である。
【0015】
本発明に係るペレット状固形燃料燃焼装置は、次のような実施の形態を採ることができる。すなわち、ペレット状固形燃料を拡散させる棒状体を、供給樋の開口面に対応する部位を立ち上がり屈曲させた形状とすること(図4)、またペレット状固形燃料を拡散させる棒状体を、供給樋の開口面に対向する屈折状平面を有する形状とすること(図5)、さらにペレット状固形燃料を拡散させる棒状体を、丸棒状その他の棒状として供給樋の開口面に対応する部位に隙間を設けて配置すること(図6)である。そして、これらの実施の形態にあっても図1および図2に示した実施の形態と同等ないしはそれを超える効果を期待することができる。なお、図6に示すように構成することにより、ペレット状固形燃料を拡散させる棒状体が温度上昇による膨張分を隙間において吸収されるので、加熱膨張に起因する変形を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係るペレット状固形燃料燃焼装置の断面図である。
【図2】燃焼部の斜視図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る燃焼部の断面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る燃焼部の斜視図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る燃焼部の斜視図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る燃焼部の斜視図である。
【図7】従来例の問題点を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 ペレット状固形燃料燃焼装置
2 燃料タンク
3 燃焼部
4 燃料供給装置
5 燃焼器
6 燃焼室
7 集灰部
8 給気口
9 吸引ファン
10 温風発生部
11 送風ファン
12 外気取入口
13 供給樋
14 棒状体
15、16 左右壁
17 点火ヒータ
18 窓
19 温風吹出し口
a 燃焼部
b 供給樋
c 点火ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット状固形燃料を燃焼部に連続または適時間間隔で供給して燃焼するペレット状固形燃料燃焼装置において、
燃焼部にはその一側上方からペレット状固形燃料を流下させる供給樋を備えており、
燃焼部には前記供給樋から流下するペレット状固形燃料の流下経路に、流下するペレット状固形燃料を拡散させる棒状体を配置してある
ことを特徴とするペレット状固形燃料燃焼装置。
【請求項2】
ペレット状固形燃料を拡散させる棒状体は、丸棒状であることを特徴とする請求項1記載のペレット状固形燃料燃焼装置。
【請求項3】
ペレット状固形燃料を拡散させる棒状体は、細帯板状であることを特徴とする請求項1記載のペレット状固形燃料燃焼装置。
【請求項4】
ペレット状固形燃料を拡散させる棒状体を2本の近接平行状に設けてあることを特徴とする請求項1、2または3記載のペレット状固形燃料燃焼装置。
【請求項5】
燃焼部は装置本体に対して上方から着脱可能な燃焼器であり、ペレット状固形燃料を拡散させる棒状体は前記燃焼器に取り付けられていて着脱の際の把手を兼ねることを特徴とする請求項1、2、3または4記載のペレット状固形燃料燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−275262(P2008−275262A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120372(P2007−120372)
【出願日】平成19年4月28日(2007.4.28)
【出願人】(000001465)金子農機株式会社 (53)
【Fターム(参考)】