説明

ペンタシル構造型のゼオライト材料、その製造及びその使用

本発明は、アルカリ−及びアルカリ土類含量最高100ppm及び250〜1500の範囲のSi対Alのモル比を有するペンタシル型のゼオライト材料に関するが、その際、ゼオライト材料の少なくとも90%が球形であり、球形一次粒子の少なくとも95質量%が1μm以下の範囲の直径を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ−及びアルカリ土類含量最高150ppm及び250〜1500の範囲のSi対Alのモル比を有するペンタシル構造型、特にZSM−5構造型のゼオライト材料に関するが、その際、ゼオライト材料の球形一次粒子の少なくとも95質量%が1μm以下の範囲の直径を有し、全一次粒子の少なくとも90%、有利には少なくとも95%が球形である。同じく本発明は、このゼオライト材料を含有する成形体並びにゼオライト材料自体又は成形体の触媒としての使用に関する。更に本発明はゼオライト材料又はこの材料を含有する成形体を触媒として使用する特別な方法に関する。
【0002】
触媒を使用する全ての大規模工業的化学工程で、触媒の持続時間、即ち触媒交換なしに、従って工程に介入することなしに操作することができる時間を高める努力がなされている。その際その手段の一つは、触媒の粒度を小さくすることである。結晶性触媒材料、例えばゼオライト触媒の場合には、これは結晶、特にゼオライト結晶の大きさをできる限り小さく保つべきであることを意味する。
【0003】
ゼオライトは、有利には約0.9nmより小さい微細孔を有する配列した管路−及びかご形構造を有する公知結晶性アルミノ珪酸塩である。このようなゼオライトの網状構造は、共通の酸素橋を介して結合しているSiO−及びAlO−四面体から構成されている。公知構造の概観は、例えば、W.M.Meier、D.H.Olson及びCh.Baerlocher“Atlas of Zeolithe Structure Types”、Elsevier、第5版、Amsterdam 2001に記載されている。その際、特に詳細に、レントゲン検査による配置を有する型が、ABW−、ACO−、AEI−、AEL−、AEN−、AET−、AFG−、AFI−、AFN−、AFO−、AFR−、AFS−、AFT−、AFX−、AFY−、AHT−、ANA−、APC−、APD−、AST−、ATN−、ATO−、ATS−、ATT−、ATV−、AWO−、AWW−、BEA−、BIK−、BOG−、BPH−、BRE−、CAN−、CAS−、CFI−、CGF−、CGS−、CHA−、CHI−、CLO−、CON−、CZP−、DAC−、DDR−、DFO−、DFT−、DOH−、DON−、EAB−、EDI−、EMT−、EPI−、ERI−、ESV−、EUO−、FAU−、FER−、GIS−、GME−、GOO−、HEU−、IFR−、ISV−、ITE−、JBW−、KFI−、LAU−、LEV−、LIO−、LOS−、LOV−、LTA−、LTL−。LTN−、MAZ−、MEI−、MEL−、MEP−、MER−、MFI−、MFS−、MON−、MOR−、MSO−、MTF−、MTN−、MTT−、MTW−、MWW−、NAT−、NES−、NON−、OFF−、OSI−、PAR−、PAU−、PHI−、RHO−、RON−、RSN−、RTE−、RTH−、RUT−、SAO−、SAT−、SBE−、SBS−、SBT−、SFF−、SGT−、SOD−、STF−、STI−、STT−、TER−、THO−、TON−、TSC−、VET−、VFI−、VSV−、WIE、VNI−、WEN−、YUG−、ZON−構造並びに2種以上の前記構造からなる混合構造に関して記載されている。
【0004】
触媒の使用分野に応じて、これは結晶の大きさの他に特定の孔の大きさ又は孔分布を有さねばならない。例えばトリエチレンジアミンの製造では、ZSM−5構造型のゼオライト触媒の使用が有利であると実証された。前記特性の他に触媒は、特定の化学的組成を有すべきでもある。ZMS−5触媒の場合には例えばゼオライト材料中のSi対Alの特定のモル比が有利である。
【0005】
トリエチレンジアミンの製造におけるZSM−5構造型のゼオライト触媒の使用は、例えばWO01/02404に記載されており、その際、Si対Alのモル比は100〜700の範囲、特に有利には150〜250の範囲である。その際ゼオライト活性物質の正確な製造に関しては記載されてない。
【0006】
WO03/004499には、100より大きい、有利には200より大きい、更に有利には300より大きく40000までの、特に有利には400〜5000の範囲のSi対金属Mのモル比を有する、特にZSM−5型の、ゼオライト触媒を使用するトリエチレンジアミンの選択的合成法が記載されている。その際、酸化段階III又はIVであってよい金属Mは、Al、B、Fe、Co、Ni、V、Mo、Mn、As、Sb、Bi、La、Ga、In、Y、Sc、Cr及びその混合物又はTi、Zr、Ge、Hf、Sn及びその混合物の群から選択する。その際アルミノ珪酸塩が特に有利である。本発明による実施例では1000のSi対Al比を有するNa−アルミノ珪酸塩を使用する。粒度に関してはこの文書では何も記載されてない。
【0007】
EP1215211A1には、触媒として、1種以上の金属Mを酸化物として酸化段階II、III又はIVで含有するゼオライト触媒を使用するトリエチレンジアミン製法が記載されているが、その際、MがAlである場合にはSiO対Alのモル比は1400より大きい。ZSM−5の他に、更にZSM−11、ZSM−23、ZSM−53、NU−87、ZSM−35の構造型並びに混合構造のその他の触媒が公開されている。ゼオライト材料の結晶の大きさに関してはこの文書には何も記載されておらず、唯一の実施例がSi及びTiを含有するが、Alは全く含有しないゼオライト材料に関するものである。
【0008】
ZSM−5型のゼオライト材料の製造は、R.Mostowicz及びJ.M.Berak、Zeolites(1985)65〜72に記載されている。そこに公開された結晶は1μmより明らかに大きい大きさを有する。更に、この文書には、Si対Alの比が結晶の大きさに何も影響を与えないと記載されている。30〜90のSi対Alの比が明記されている。
【0009】
G.Reding、T.Maeurer及びB.Kraushaar−Czametzki、Microporous and Mesoporous Materials57(2003)83〜92には、100nm以下の直径の結晶を有するナノ結晶性ZSM−5材料の製造が記載されている。その際、当然Si対Alのモル比は60である。前記文書とは反対に、Redingその他では、製造方法によりアルミニウムの存在は粒度分布に対して著しい影響を及ぼすと記載している。
【0010】
A.E.Persson、B.J.Schoemann、J.Sterte及びJ.−E.Otterstedt、Zeolites15(1995)611〜619には、130〜230nmの範囲の粒度を有するZSM−5材料の製造が記載されている。その際、当然Si対Alのモル比は約50〜約230の範囲である。小さな粒子を得るために、この文書ではSiO対Alの低い比を有するZSM−5材料を合成することをはっきりと推奨している。この文書に引用された文献箇所(C.S.Cundy、B.M.Lowe、D.M.Sinclair、Faraday Discuss.95(1993)235〜252)とは反対に、それによればアルミニウム濃度の増加に伴って粒度は増加するのであるが、これとは反対にPerssonは反対の作用を見出した。Perssonその他によればゼオライト材料をNaOH及びNaClの使用下で製造した。Na化合物の添加なしの試みにより結晶生成率の減少が生じた。
【0011】
P.A.Jacobs、J.A.Martens、Synthesis of High−Silica Aluminosilicate Zeolites、Sudies in Surface Science and Catalysis、33巻、Elsevier、Amsterdam1987には、この文献箇所の74頁で特に、ZSM−5の製造で2個のパラメーター(例えばSi対Alのモル比、塩添加、SiO源、合成系のアルカリ性度)の同時変化が予期し難しい意外な結果を生じると記載している。その際、例えば750のSi対Alの大きなモル比で、癒着した円板の外見を有する結晶構造が示される。従って、P.A.Jacobsその他では14〜45の大きさである明らかにより小さいSi対Al比を記載している。
【0012】
この公知技術に鑑みて本発明の根底をなす課題は特に、同時に非常に小さな結晶及び更に極めて低いアルカリ−及びアルカリ土類金属含量を有する、Si対Alの大きなモル比を有するゼオライト材料を提供することであった。
【0013】
従って、本発明は、アルカリ−及びアルカリ土類含量最高150ppm及び250〜1500の範囲のSi対Alのモル比を有するペンタシル構造型のゼオライト材料に関し、その際、ゼオライト材料の一次粒子の少なくとも90質量%が球形であり、球形一次粒子の少なくとも95質量%が1μm以下の範囲の直径を有する。
【0014】
本発明の出願で使用されるような、概念“ペンタシル構造型”に関しては、前記文献“W.M.Meier、D.H.Olson及びCh.Baerlocher“Atlas of Zeolithe Structure Types”、Elsevier、第5版、Amsterdam 2001”を参照にされたい。ペンタシル構造型のゼオライトの例は、MFI−構造、MEL−構造を有するゼオライト又はMFI−MEL混合構造を有するゼオライトである。ゼオライトのペンタシル構造に関するその他の記載は、例えばInternational Zeolite Associationのインターネットホームページ“http://topaz.ethz.ch/IZA−SC/DisordStructures.htm”並びにそこの項目“Pentasils”に記載の文献:G.T.Kokotailoその他、Nature 272(1978)437;G.T.Kokotailoその他、Nature 275(1978)119;G.Perego47、M.Cesari、J.Appl.Cryst17(1984)403に記載されている。
【0015】
本発明で使用されるような概念“構造型ZSM−5”とは、W.M.Meier、D.H.Olson及びCh.Baerlocher“Atlas of Zeolithe Structure Types”、Elsevier、第5版、Amsterdam 2001、184〜185頁で構造型ZSM−5のゼオライトとして記載されているような、ゼオライト材料である。
【0016】
本発明の有利な態様によれば、 ゼオライト材料の球形一次粒子の少なくとも96質量%、更に有利には少なくとも97質量%、更に有利には少なくとも98質量%及び特には少なくとも99質量%が1μm以下の範囲の直径を有する。
【0017】
本発明で使用されるような概念“球形”は、走査型電子顕微鏡(SEM)で0.5・10〜2.0・10の範囲の拡大で実質的に鋭い角を有さない一次粒子を称す。従って概念“球形”は例えば純粋な球形又は変形した球形、例えば楕円形又は直方体形の一次粒子であり、その際直方体形一次粒子の場合には、前記分析範囲の前記試験法で角は丸くなっており、尖っていない。
【0018】
本発明のもう一つの有利な態様によれば、ゼオライト材料の一次粒子の少なくとも91%、更に有利には少なくとも92%、更に有利には少なくとも93%、更に有利には少なくとも94%、更に有利には少なくとも95%、更に有利には少なくとも96%及び特には少なくとも97%が球形である。
【0019】
本発明で使用されるような概念“アルカリ−及びアルカリ土類含量”は、ゼオライト材料の、アルカリ金属酸化物として計算したアルカリ金属及びアルカリ土類金属酸化物として計算したアルカリ土類金属の含量を表し、その際、各々相応する酸化物として計算して、概念“アルカリ”は全てのアルカリ金属の合計であり、概念“アルカリ土類”は全アルカリ土類金属の合計のことである。
【0020】
本発明の特に有利な態様によれば、ゼオライト材料のアルカリ−及びアルカリ土類含量は最高でも125ppm、更に有利には最高100ppm、更に有利には最高75ppm及び特に有利には最高50ppmである。本発明で最高25ppm及び又は最高10ppmのゼオライト材料のアルカリ−及びアルカリ土類含量も可能である。
【0021】
従って本発明は、アルカリ−及びアルカリ土類金属含量が最高100ppmである、前記したようなゼオライト材料に関する。
【0022】
ゼオライト材料のアルカリ−及びアルカリ土類含量の測定は、本発明では下記の方法により行った:ゼオライト材料の試料0.1〜0.4gを白金皿に量り入れ、硫酸及び弗化水素酸各10mlを加えた。引き続き、加熱プレート上で加熱し、乾燥するまで蒸発させた。冷却後、残分に濃塩酸及びほぼ同じ容量の水を加え、加熱下で溶解させた。得られた溶液を定量的に50mlのメスフラスコ中に流し入れ、水を印まで満たした。通常盲検バッチを相応して製造した。こうして得た溶液を測定すべき元素に関して炎色法を用いる原子吸収により分析した。原子吸収分光計で燃料ガスとしてC/空気を使用した。
【0023】
ゼオライト材料の一次粒子に関しては、1μmより小さい直径が有利である。更に、最高900nm、更に有利には最高800nm、更に有利には最高700nm、更に有利には最高600nm及び特に有利には最高500nmの直径が有利である。更に有利にはゼオライト材料の一次粒子は少なくとも10nm、更に有利には少なくとも20nm、更に有利には少なくとも30nm、更に有利には少なくとも40nm及び特に有利には少なくとも50nmの範囲の直径を有する。直径は特に有利には50〜500nm、更に特に有利には50〜400nm、更に特に有利には50〜300nm、更に特に有利には50〜250nm及び極めて特に有利には50〜200nmの範囲である。
【0024】
従って本発明は、ゼオライト材料の一次粒子の直径が50〜250nmの範囲である前記したようなゼオライト材料に関する。
【0025】
本発明のもう一つの態様によれば、直径は50〜100nmの範囲又は100〜150nmの範囲又は150〜200nmの範囲又は200〜250nmの範囲であってもよい。
【0026】
本発明に記載されているような一次粒子の直径は、例えば電子顕微鏡による方法SEM(Scanning Electron Microscopy)及びTEM(Transmission Electron Microscopy)により測定することができる。本発明に記載の直径はSEMにより測定した。
【0027】
ゼオライト材料のSi対Alのモル比に関しては、これは有利には300〜1000の範囲、更に有利には300〜900の範囲、更に有利には300〜800の範囲、更に有利には300〜700の範囲及び特に有利には350〜600の範囲である。
【0028】
従って本発明は、Si対Alのモル比が350〜600の範囲である、前記したようなゼオライト材料にも関する。
【0029】
本発明のもう一つの態様によれば、Si対Alのモル比は400〜600の範囲又は450〜500の範囲であってもよい。
【0030】
本発明によるペンタシル構造型、特に構造型ZSM−5の結晶性ゼオライト材料は、単分散形粒子分布を有し、その際変動係数は50%より少なく、有利には25%より少なく、特に有利には10%より少ない。その際、変動係数は、標準偏差が算術平均の何%であるかを示す。従って変動係数は100*(デルタ(X)/X)と同じであり、その際デルタ(X)は標準偏差を表し、Xは粒度の算術平均を表す。その際、粒度分布はDIN13320によりレーザー偏光分光法を用いて行う。
【0031】
本発明による結晶性ゼオライト材料の比表面積はDIN66131(BET)により測定し、通常少なくとも350m/g、有利には少なくとも400m/g、特に有利には少なくとも425m/gである。例えば有利には比表面積は、350〜500m/gの範囲、更に有利には400〜500m/gの範囲、特に有利には425〜500m/gの範囲である。
【0032】
本発明による結晶性ゼオライト材料の細孔容量はDIN66134(Langmuir)により測定して、通常少なくとも0.6ml/g、有利には少なくとも0.7ml/g及び特に有利には少なくとも0.8ml/gである。例えば有利には細孔容量は0.6〜1.5ml/gの範囲、更に有利には0.7〜1.4ml/gの範囲、特に有利には0.8〜1.3ml/gの範囲である。
【0033】
本発明によるゼオライト材料は、通常前記で詳説したペンタシル構造型のゼオライト材料及び特に有利にはZSM−5構造型を生じる全ての好適な方法により製造することができる。可能なペンタシル構造型に関しては前記一覧表を参照にされたい。例えば構造型MFI、MEL及びMFI及びMELからなる混合構造が挙げられる。
【0034】
通常、前記ペンタシル構造型のゼオライト、特に構造型ZSM−5のゼオライトは、SiO−源並びにAl−源及びテンプレート(ステンシル化合物)として窒素含有塩基から成る混合物を場合によりなお少なくとも1種の塩基性化合物の添加下で固有圧又は高めた圧力下で圧力容器中で高めた温度で数時間から数日間反応させることによって製造するが、その際結晶性生成物が生成する。これを分離し、洗浄し、乾燥させ、有機窒素塩基を除去するために高めた温度でか焼する。こうして得た粉末中にAlは少なくとも部分的にゼオライト格子の内部に4−、5−又は6−倍の配位を有する変化する含分で存在する。
【0035】
本発明による方法は特に、公知技術が記載している多くの方法に対して、ナトリウム化合物及びその他のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物をスターターとして全く使用しないことによって優れている。それによって、前記したような非常に少量のアルカリ金属しか含有してないゼオライト材料から又はその先駆物質からアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を少なくとも一つの付加的な反応工程で除去しなければならないことが回避される。
【0036】
従って本発明は、出発材料及び/又は出発物質として少なくとも1種のゼオライト材料合成でアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を全く使用しないことを特徴とする、前記したような方法にも関する。
【0037】
従って本発明は有利な態様によれば、(i)少なくとも1種のSiO源、少なくとも1種のアルミニウム源及び少なくとも1種のテンプレート化合物を含有する混合物を製造するが、その際、混合物は最高150ppmのアルカリ−及びアルカリ土類金属を含有し、少なくとも1種のSiO源及び少なくとも1種のアルミニウム源を250〜1500の範囲のSi対Alのモル比を有する結晶性材料の生成を可能にする量比で使用する;(ii)混合物中に含有される化合物を反応させて結晶性の、少なくとも一部の少なくとも1種のテンプレート化合物を含有する材料を含有する母液を得る;(iii)母液からの結晶性材料の分離;(iv)結晶性材料からの少なくとも1種のテンプレート化合物の除去の工程を含む前記したようなゼオライト材料の製法に関する。
【0038】
本発明で使用されるような概念“一次粒子”は、専ら共有交互作用によって生成されたものであり、個々の粒子の構成でファン・デル・ワールス交互作用が全く関与していない粒子を表す。本発明で概念“一次粒子”は、前記した工程(iii)により母液からの分離から生じる結晶に関する。
【0039】
SiO源として本発明によるゼオライト材料の製造を可能にする、全ての化合物を使用することができる。有利には例えば珪酸又は珪酸ゾル又は2種以上の珪酸ゾルから成る混合物又はテトラアルコキシシラン又は2種以上の異なるテトラアルコキシシランから成る混合物又は少なくとも1種の珪酸ゾル及び少なくとも1種のテトラアルコキシシランから成る混合物又は珪酸及び少なくとも1種の珪酸ゾルから成る混合物又は珪酸及び少なくとも1種の珪酸ゾル及び少なくとも1種のテトラアルコキシシランから成る混合物を使用する。
【0040】
極めて一般的には本発明で、SiO源として一般組成
Si(OR)4−x(OR’)
[式中、x=0、1、2、3又は4であり、その際、R及びR’は相互に異なるものであってよくかつ各々水素、C〜C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル又はオクチル、C〜C−シクロアルキル、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルであってよいか又はその際R及びR’は同じものであってよくかつ各々酸素、C〜C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル又はオクチル、C〜C−シクロアルキル、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルであってよい]の化合物又は化合物から成る混合物又を使用することができる。
【0041】
本発明の方法の有利な態様によれば、SiO源として一般組成
Si(OR)
の化合物又は一般組成
Si(OR)(OR’)
の化合物を使用するが、その際、R’は水素であり、RはC〜C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル又はオクチルである。
【0042】
極めて特に有利には、SiO源として一般組成
Si(OR)
の化合物を使用するが、その際、RはC〜C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル又はオクチル、更に有利にはメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル又はt−ブチル、更に有利には、メチル、エチル、n−プロピル又はイソ−プロピル、更に有利にはメチル又はエチル及び特に有利にはエチルである。
【0043】
アルミニウム源としては、本発明によるゼオライト材料の製造を可能にする全ての化合物を使用することができる。特に有利には、本発明の方法でアルミニウム源として、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム又は組成Al(OR)のトリアルコキシアルミネート又は2種以上のこれら化合物から成る混合物を使用する。組成Al(OR)のトリアルコキシアルミネートに関しては、基Rは同一又は相互に異なるものであってよく、C〜C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル又はオクチル、C〜C−シクロアルキル、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルを表してよい。
【0044】
本発明の方法の極めて特に有利な態様によれば、アルミニウム源としてアルミニウムスルフェートオクタデカヒドレートを使用する。
【0045】
テンプレート化合物として、本発明によるゼオライト材料の製造を可能にする全ての化合物を使用することができる。特に有利には本発明の方法でテンプレート化合物として一般組成
[NRR’R’’R’’’]OH
のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを使用するが、その際、R、R’、R’’及びR’’’は同一又は相互に異なるものであってよく、各々水素、C〜C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル又はオクチル、C〜C−シクロアルキル、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルであってよい。本発明の方法のもう一つの有利な態様によれば、R、R’、R’’及びR’’’は、更に有利にはC〜C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル又はオクチル、更に有利にはn−プロピル又はイソ−プロピル及び特に有利にはn−プロピルである。
【0046】
従って本発明は、SiO源としてテトラアルコキシシラン、アルミニウム源として硫酸アルミニウム及びテンプレート化合物としてテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドを使用する、前記したような方法にも関する。
【0047】
特に有利な態様によれば、(i)による混合物は付加的に水を含有する。
【0048】
特に有利な態様によれば、本発明の方法で、SiO源としてテトラエトキシシラン、アルミニウム源としてアルミニウムスルフェートオクタデカヒドレート及びテンプレート化合物としてテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドを使用する。
【0049】
従って本発明は、前記したような方法も記載するが、これは(i)によりテトラエトキシシラン、アンモニウムスルフェートオクタデカヒドレート、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド及び水を含有する混合物を製造することを特徴とする。
【0050】
前記の(i)による混合物中に含有される化合物を、特に250〜1500の範囲のSi対Alの前記モル比を有する本発明によるゼオライト材料の製造を可能にするモル比で使用する。有利には(i)による混合物として下記モル組成
xTMP・SiO・yAl・zH
を有する合成ゲルを使用するが、その際Siは少なくとも1種のSiO源中のSiをSiOとして計算し、少なくとも1種のアルミニウム源中のAlをAlとして計算し、略語TMPはテンプレート化合物を表し、かつx=0.2〜1.0、y=2.5・10−4〜25・10−4及びz=15〜100である。
【0051】
通常合成ゲル、(i)による混合物は、最高100ppm、有利には最高50ppm、更に有利には最高25ppm及び特に有利には最高10ppmのアルカリ−及びアルカリ土類含量を有する。
【0052】
合成ゲルの成分の添加順序は通常重要でない。本発明の方法の有利な態様によれば、少なくとも1種のテンプレート化合物の溶液又は懸濁液、有利には溶液を前装入し、この溶液に少なくとも1種のSiO源を添加する。この添加は有利には5〜40℃の範囲、更に有利には15〜35℃の範囲及び特に有利には20〜30℃の範囲の温度で行う。
【0053】
SiO源及び/又はAl源により、(i)による混合物中に例えば加水分解により1種以上のアルコールを生成することが可能である。特に有利な態様によれば、この少なくとも1種のアルコールをゼオライト材料の結晶化前に分離する。その際好適な分離法全てを使用することができ、その際蒸留が特に有利である。その際、この蒸留は例えば有利には常圧又は常圧に比して低くした圧力下で行うことができる。更に有利には少なくとも1種のアルコールの蒸留を85〜95℃の範囲、特に有利には90〜95℃の範囲のカン部温度で行う。
【0054】
従って本発明は、(ii)による反応の前に(i)による混合物中に生成したアルコールを留去する前記したような方法にも関する。
【0055】
本発明による方法で、少なくとも1種のアルミニウム源を少なくとも1種のアルコールの分離の前又はその後に反応混合物に添加することができる。特に有利な態様によれば、少なくとも1種のアルミニウム源の添加を少なくとも1種のアルコールの分離後に行う。
【0056】
本発明の方法のもう一つの有利な態様によれば、加水分解から得られる少なくとも1種のアルコールの分離後に得られる混合物、更に有利には蒸留から得られるたまり液に、特に有利には水、更に有利にはVE−水を加える。その際蒸留損失をほぼ補う量の水を添加するのが有利である。
【0057】
結晶性ゼオライト材料がその母液中に得られる(ii)による反応は、有利には150〜180℃の範囲、特に有利には160〜180℃の範囲及び特には170〜180℃の範囲の温度で行う。
【0058】
本発明の方法の特に有利な態様によれば、(ii)による反応をオートクレーブ中で、例えば鋼製オートクレーブ中で行う。更に有利には少なくとも反応時間の一部の間反応混合物を攪拌する。
【0059】
(i)による反応時間は有利には1〜48時間の範囲、更に有利には4〜36時間の範囲、特に有利には12〜24時間の範囲である。
【0060】
(i)によるこの反応における圧力は、有利には常圧から50バールまでの範囲、更に有利には5〜25バールの範囲、特に有利には10〜15バールの範囲である。
【0061】
従って本発明は、(ii)による反応を150〜180℃の範囲の温度でオートクレーブ中で反応時間1〜48時間で反応させる、前記したような方法にも関する。
【0062】
有利な態様によれば、結晶性ゼオライト材料を含有する母液のpH値は有利にはほぼ室温に冷却後かつ(iii)による分離前に少なくとも1種の好適な化合物の添加によって5.5〜7.5の範囲、有利には6〜7の範囲の値にする。
【0063】
その際、好適な化合物として、ブレーンステッド酸、例えば塩酸、硫酸、燐酸、硝酸又はカルボン酸、ジカルボン酸又はオリゴ−又はポリカルボン酸が特に有利であるが、これらを単独又はこれらの2種以上の混合物として使用することができる。更に前記酸は濃縮して又は希釈溶液で使用することができる。酸を溶液で使用する場合には、溶剤として例えば水が特に有利である。その際、次のか焼工程で除去することができる酸、例えばカルボン酸又は硝酸が特に有利である。
【0064】
本発明の方法の特に有利な態様によれば、ペンタシル構造型、有利には構造型ZSM−5の結晶性ゼオライト材料を(iii)による好適な方法によりその母液から分離し、更に有利には1種以上の好適な方法により乾燥させ、再び有利には引き続きか焼する。か焼は、例えば有利には好適な気体雰囲気中で行うことができ、その際特に有利には空気及び/又は希薄空気を気体雰囲気として使用する。
【0065】
結晶性ゼオライト材料を母液から分離するための全ての方法が考えられる。特に例えば濾過−、限外濾過−、透過濾過−、遠心分離法又は噴霧乾燥−及び噴霧造粒法が挙げられる。有利には結晶性ゼオライト材料を限外濾過により母液から分離する。本発明の方法のもう一つの有利な態様によれば、結晶性ゼオライト材料を濾過により母液から分離する。
【0066】
従って本発明は、ゼオライト材料を(iii)により限外濾過を用いて母液から分離する前記したような方法にも関する。
【0067】
従って本発明は更に、ゼオライト材料を濾過を(iii)により濾過を用いて母液から分離する前記したような方法にも関するが、その際特に前記したようにpH値を5.5〜7.5の範囲及び有利には6〜7の範囲に調整する。
【0068】
結晶性ゼオライト材料を母液から分離する前に、母液のゼオライト材料含量を濃縮により高めることができる。母液からの結晶性ゼオライト材料の分離に関する詳細は、DE−A10232406.9に記載されており、これは全て参照までに本発明に含む。例えば本発明の方法の態様による限外濾過用に使用される膜は、孔直径10〜500nmを有する分離層を含み、その際少なくとも1枚の膜の形状は、平面−、管−、複数路−、毛細管及びリール形状から成る群から選択する。膜透過圧は限外濾過で例えば0.5〜20バールである。限外濾過を実施する温度は例えば有利には室温から80℃の範囲、更に有利には30〜80℃の範囲である。
【0069】
母液から分離されたゼオライト材料は有利には、通常80〜160℃、有利には90〜145℃及び特に有利には100〜130℃の範囲の温度で乾燥させるが、その際乾燥時間は通常6時間以上、例えば6〜24時間の範囲である。しかし乾燥すべき材料の湿気の含量によってはこれより短い乾燥時間、例えば約1、2、3、4又は5時間であってもよい。
【0070】
(iv)により少なくとも1種のテンプレート化合物及び場合により少なくとも1種の前記酸を結晶性材料から除去する、引き続いて少なくとも1回行うか焼は、通常400〜750℃の範囲、有利には450〜600℃の範囲及び特に有利には490〜530℃の範囲で行う。
【0071】
か焼は、各々好適な気体雰囲気下で行うことができるが、その際空気及び/又は希薄空気が有利である。更にか焼は有利には、マッフル炉、回転管炉及び/又はバンドか焼炉中で行うが、その際か焼時間は通常1時間以上、例えば1〜24時間の範囲又は4〜12時間の範囲である。従って、本発明の方法で例えば、ゼオライト材料を1回、2回又は数回各々少なくとも1時間、例えば各々4〜12時間の範囲、有利には4〜8時間の範囲でか焼することができるが、その際温度はか焼工程の間同じであるか又は連続的にか又は不連続的に変えることができる。2回以上か焼する場合には、か焼温度は個々の工程で異なっていてもよいし同じであってもよい。
【0072】
従って本発明は前記したような方法にも関するが、その際(iii)により分離した結晶性材料を先ず80〜160℃の範囲の温度で乾燥させ、次いで(iv)により400〜750℃の範囲の温度でか焼する。
【0073】
本発明の方法のもう一つの態様によれば、ゼオライトに分離後及び/又は乾燥後及び/又はか焼後に、少なくとも1回の洗浄工程を施すことができ、その際分離した結晶性材料を少なくとも1種の好適な洗浄物質と接触させる。極めて特に有利には結晶性ゼオライト材料を乾燥の前に水で洗浄する。洗浄工程は本発明では水を用いて液体状態で行ってもよいし、水蒸気を用いて行ってもよく、その際洗浄工程を液体状の水及び水蒸気を用いて同時にか又は任意の順序で行う、態様も可能である。
【0074】
水蒸気を用いる処理を選択する場合には、分離したゼオライト材料を特に有利には水蒸気と100〜750℃、有利には100〜250℃及び特に有利には120〜175℃の範囲の温度で接触させ、その際この接触状態は有利には12〜48時間続ける。
【0075】
極めて特に有利にはこの接触はオートクレーブ中で行う。
【0076】
従って本発明は、ゼオライト材料を工程(iv)後前記したような方法にも関するにオートクレーブ中で水と接触させる前記したような方法にも関する。
【0077】
付加的にか又は少なくとも1回の洗浄工程の代わりに、分離したゼオライト材料を濃縮したか又は希釈したブレーンステッド酸又は2種以上のブレーンステッド酸から成る混合物で処理することができる。好適な酸は例えば塩酸、硫酸、燐酸、硝酸又はカルボン酸、ジカルボン酸又はオリゴ−又はポリカルボン酸、例えばニトリロトリ酢酸、スルホサリチル酸又はエチレンジアミンテトラ酢酸である。本発明の方法の有利な態様によれば、分離したゼオライト材料の濃縮したか又は希釈したブレーンステッド酸又は2種以上のブレーンステッド酸から成る混合物を用いるこの工程は省略する。
【0078】
ゼオライトを母液から分離後、前記したように乾燥させ及び/又はか焼し、乾燥後及び/又はか焼後洗浄工程及び/又は少なくとも1種のブレーンステッド酸を用いる処理を施す場合には、本発明の特に有利な態様によれば、引き続いてもう一度乾燥及び/又はか焼を行う。
【0079】
その際、この乾燥は通常80〜160℃、有利には90〜145℃及び特に有利には100〜130℃の範囲で行う。引き続いて有利に行われるか焼は、通常400〜750℃、有利には450〜600℃及び特に有利には490〜530℃の範囲の温度で行う。
【0080】
従って本発明は、ゼオライト材料を工程(iv)後にオートクレーブ中で水と接触させ、引き続いて80〜160℃の範囲の温度で乾燥させ、引き続いて400〜750℃の範囲の温度でか焼する、前記したような方法にも関する。
【0081】
同じく本発明は、最高150ppmのアルカリ−及びアルカリ土類含量及び250〜1500の範囲のSi対Alのモル比を有するペンタシル型のゼオライト材料にも関するが、その際ゼオライト材料の一次粒子の少なくとも90%が球形であり、球形一次粒子の少なくとも95質量%が1μm以下の範囲の直径を有し、これは前記態様の一つによる方法によって得られる。
【0082】
本発明によるゼオライト材料又は/及びこのような本発明により製造したゼオライト材料は通常、ゼオライト材料の特性が所望される全ての方法又は加工工程で使用することができる。極めて特に有利には本発明による又は本発明により製造したゼオライト材料は化学反応で触媒として使用される。
【0083】
従って本発明は、前記したようなゼオライト材料又は前記したような方法により得られるゼオライト材料の触媒としての使用に関する。
【0084】
触媒の分野では使用者側から、結晶性の触媒活性材料自体を使用するのではなく、成形体中に存在する材料が所望されることが多い。この成形体は、多くの大規模工業法で例えば化学反応を例えば管形反応器又は管束形反応器中で特に固定床法で有意義に行うことができるために必要である。
【0085】
従って本発明は前記したようなゼオライト材料を含有する成形体にも関する。
【0086】
通常成形体は本発明によるゼオライト材料の他に、生成する成形体が所望の使用に好適であることが保証される限り、考え得るその他の全ての化合物を含むことができる。
【0087】
本発明で、成形体の製造に際して少なくとも1種の好適な結合剤を使用することが有利である。この有利な態様では更に有利にはゼオライト材料及び少なくとも1種の結合剤から成る混合物を製造する。
【0088】
従って本発明は、前記したようなゼオライト材料を含有する成形体の製法にも関するが、これは(I)前記したようなゼオライト材料又は前記したような本発明による方法により得られるゼオライト材料及び少なくとも1種の結合剤を含有する混合物の製造工程を含む。
【0089】
結合剤として、ゼオライト材料の結合すべき粒子間に結合剤なしに場合により存在する物理吸着を超えた付着及び/又は凝集を付与する、全ての化合物が好適である。このような結合剤の例は、例えば金属酸化物、例えばSiO、Al、TiO、ZrO又はMgO又は粘土又は2種以上のこれら化合物から成る混合物である。
【0090】
Al−結合剤としては、特に粘土鉱物及び天然起源又は人工的に製造した酸化アルミニウム、例えばα−、β−、γ−、δ−、η−、κ−、χ−又はΘ−酸化アルミニウム並びにその無機又は有機金属先駆物質化合物、例えばギブス石、バイエライト、ベーマイト、擬ベーマイト又はトリアルコキシアルミネート、例えばアルミニウムトリイソプロピレートが好適である。その他の好適な結合剤は、極性及び非極性分を有する両親媒性化合物、例えば黒鉛である。その他の結合剤は粘土、例えばモンモリロナイト、カオリン、ベントナイト、ハロイサイト、ジッカイト、ネークライト又はアナウキシットのようなものである。
【0091】
これらの結合剤はそのまま使用することができる。本発明では、それから少なくとも一つのその他の工程で成形体の製造で結合剤が生成される化合物を使用することもできる。このような結合剤先駆物質の例は、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシチタネート、テトラアルコキシジルコネート又は2種以上の異なるテトラアルコキシシランから成る混合物又は2種以上の異なるテトラアルコキシチタネートから成る混合物又は2種以上の異なるテトラアルコキシジルコネートから成る混合物又は少なくとも1種のテトラアルコキシシラン及び少なくとも1種のテトラアルコキシチタネートから成る混合物又は少なくとも1種のテトラアルコキシシラン及び少なくとも1種のテトラアルコキシジルコネートから成るか又は少なくとも1種のテトラアルコキシチタネート及び少なくとも1種のテトラアルコキシジルコネートから成る混合物又は少なくとも1種のテトラアルコキシシラン及び少なくとも1種のテトラアルコキシチタネート及び少なくとも1種のテトラアルコキシジルコネートから成る混合物である。
【0092】
本発明で、全部又は部分的にSiOから成るか又は成形体の製造で少なくとも一つの更なる工程でSiOを生成するSiOの先駆物質である、結合剤が極めて特に有利である。これに関してはコロイド状二酸化珪素並びにいわゆる“湿式法”二酸化珪素並びにいわゆる“乾式法”二酸化珪素を使用することができる。この場合に極めて特に有利には非晶質二酸化珪素であり、その際二酸化珪素粒子の大きさは5〜100nmの範囲であり、二酸化珪素粒子の表面積は50〜500m/gの範囲である。
【0093】
有利にはアルカリ及び/又はアンモニアアルカリ溶液としての、更に有利にはアンモニアアルカリ溶液としてのコロイド状二酸化珪素は、特にLudox(R)、Syton(R)、Nalco(R)又はSnowtex(R)として市販されている。
【0094】
“湿式”二酸化珪素は、特にHi−Sil(R)、Ultrasil(R)、Vulcasil(R)、Santocel(R)、Valron−Estersil(R)、Tokusil(R)又はNipsil(R)として市販されている。
【0095】
“乾式”二酸化珪素は、特にAerosil(R)、Reolosil(R)、Cab−O−Sil(R)、Fransil(R)又はArcSilica(R)として市販されている。
【0096】
本発明でコロイド状二酸化珪素のアンモニアアルカリ性溶液が特に有利である。
【0097】
従って本発明は、結合剤として付加的にSiOを含有する前記したような成形体にも関する。
【0098】
同じく本発明は、(I)により使用される結合剤がSiOを含有するか又は生成する結合剤である前記したような方法にも関する。
【0099】
従って本発明は、結合剤がコロイド状二酸化珪素である前記したような方法にも関する。
【0100】
有利には結合剤は、その結合剤含量が各々最後に得られる成形体の全質量に対して、80質量%までの範囲、更に有利には5〜80質量%の範囲、更に有利には10〜70質量%の範囲、更に有利には10〜60質量%の範囲、更に有利には15〜50質量%の範囲、更に有利には15〜45質量%の範囲及び特に有利には15〜40質量%の範囲である最後に得られる成形体を生じる量で使用する。
【0101】
結合剤又は結合剤の先駆物質及びゼオライト材料から成る混合物を更に加工し、プラスチック材料を生成するために、少なくとも1種のその他の化合物を加えることができる。その際、特に有利には孔形成剤が挙げられる。
【0102】
孔形成剤としては、本発明で完成した成形体に関して特定の孔の大きさ、特定の孔の大きさ分布及び/又は特定の細孔容量を準備する全ての化合物を使用することができる。
【0103】
有利には孔形成剤として本発明の方法では、水又は水性溶剤混合物中に分散、懸濁又は乳化可能であるポリマーを使用する。その際、有利なポリマーは、高分子量ビニル化合物、例えばポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド及びポリエステル、炭化水素、例えばセルロース又はセルロース誘導体、例えばメチルセルロース又は糖又は天然繊維である。その他の好適な孔形成剤は例えばパルプ又は黒鉛である。
【0104】
(i)による混合物の製造で孔形成剤を使用する場合には、(i)による混合物のポリマー含量は、各々(i)による混合物中のゼオライト材料の量に対して、有利には5〜90質量%の範囲、更に有利には15〜75質量%の範囲及び特に有利には25〜55質量%の範囲である。
【0105】
目的とされる孔の大きさ分布で必要である場合には、2種以上の孔形成剤から成る混合物を使用することもできる。
【0106】
孔形成剤は、下記に記載するような本発明の方法の特に有利な態様では、工程(V)でか焼により除去して多孔性成形体を生成する。その際、本発明の方法の有利な態様によれば、DIN66134により測定して少なくとも0.6ml/gの範囲、有利には0.6〜0.8ml/gの範囲、特に有利には0.6ml/g〜0.8ml/gの範囲の孔を有する成形体が得られる。
【0107】
本発明による成形体の比表面積は、DIN66131により測定して、通常少なくとも350m/g、有利には少なくとも400m/g及び特に有利には少なくとも425m/gである。例えば比表面積は350〜500m/g又は400〜500m/g又は425〜500m/gの範囲であってよい。
【0108】
従って本発明は、細孔容量少なくとも0.6ml/gを有する孔を含有する比表面積少なくとも350m/gを有する前記したような成形体にも関する。
【0109】
(i)による混合物の製造で本発明の方法の同じく有利な態様では、少なくとも1種の練和剤を添加する。
【0110】
練和剤としてはこのために好適な全ての化合物を使用することができる。有利には有機、特に親水性ポリマー、例えばセルロース、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、澱粉、例えば馬鈴薯澱粉、壁紙プラスター(Tapetenpflaster)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリイソブテン又はポリテトラヒドロフランである。
【0111】
従って練和剤として特に孔形成剤としても作用する化合物を使用することができる。
【0112】
本発明の方法の特に有利な態様では下記に記載したように、この練和剤を工程(V)でか焼により除去して多孔性成形体が得られる。
【0113】
本発明によるもう一つの態様では、(i)による混合物の製造で少なくとも1種の酸性添加物を添加する。有利な工程(V)で、下記に記載したように、か焼により除去することができる有機酸性化合物が極めて特に有利である。カルボン酸、例えば蟻酸、蓚酸及び/又はクエン酸が特に有利である。同様に2種以上のこれらの酸性化合物を使用することができる。
【0114】
ゼオライト材料を含有する(I)による混合物の成分の添加順序は重要ではない。先ず少なくとも1種の結合剤を添加し、次いで少なくとも1種の孔形成剤、少なくとも1種の酸性化合物及び最後に少なくとも1種の練和剤を添加することもできるし、順序を少なくとも1種の結合剤、少なくとも1種の孔形成剤、少なくとも1種の酸性化合物及び少なくとも1種の練和剤に関して変えることもできる。
【0115】
場合により少なくとも1種の前記化合物を既に添加しておいたゼオライト含有固体に結合剤を添加後、(I)による混合物を通常10〜180分間均質化する。特に有利には均質化するために特に混練機、転輪器又は押出機を使用する。有利には混合物を混練する。工業的規模では均質化するために有利には転輪粉砕する。
【0116】
従って本発明は、(I)前記したようなゼオライト材料又は前記方法により得られるゼオライト材料及び少なくとも1種の結合剤を含有する混合物の製造;(II)混合物の混練の工程を含む前記したような方法にも関する。
【0117】
均質化では通常約10℃から練和剤の沸点までの範囲の温度及び常圧又は軽度の超大気圧で操作する。その後、場合により少なくとも1種の前記化合物を添加することができる。こうして得た混合物を押出可能な可塑性材料が生成するまで均質化、有利には混練する。
【0118】
均質化された混合物を本発明のもう一つの有利な態様により成形する。
【0119】
本発明で成形の方法用に、成形を通常の押出機で、例えば有利には1〜10mm及び特に有利には2〜5mmの直径を有する押出物に押し出すことによって行う方法が有利である。このような押出装置は例えば、Ullmann’s Enzyklopaedie der Technischen Chemie、第4版、2巻、295頁以降、1972に記載されている。押出機の使用の他に成形するために同様に有利には押出しプレスを使用する。
【0120】
しかし原則として成形するために全ての公知の及び/又は好適な混練−及び成形装置又は方法を使用することができる。その際特に下記が挙げられる:(i)ブリケット化、即ち付加的な結合剤を添加してか又は添加なしの機械的圧縮;(ii)ペレット化、即ち環状及び/又は回転運動による圧縮;(iii)焼結、即ち成形すべき材料に熱処理を加える。
【0121】
例えば成形は下記の群から選択することができるが、その際これらの方法の少なくとも2種の組合せが含まれることは明らかである:打抜プレス、ローラプレス、リングローラプレスによるブリステル化、結合剤なしのブリステル化;ペレット化、溶融、スピニング法、沈殿、発泡、噴霧乾燥;シャフト炉、熱対流炉、移動ロストル、回転管炉中での燃焼、粉砕。
【0122】
圧縮は、周囲圧力又は周囲圧力に比して高めた圧力で、例えば1〜数百バールの圧力範囲で行うことができる。更に圧縮は周囲温度又は周囲温度に比して高めた温度で、例えば20〜300℃の温度範囲で行う。乾燥及び/又は燃焼が成形工程の一つである場合には、1500℃までの温度が考えられる。最後に圧縮は周囲の雰囲気中で行ってもよいし、制御雰囲気中で行ってもよい。制御雰囲気は例えば保護気体−雰囲気、還元性及び/又は酸化性雰囲気である。
【0123】
従って本発明は、(I)前記したようなゼオライト材料又は前記方法により得られるゼオライト材料及び少なくとも1種の結合剤を含有する混合物の製造;(II)混合物の混練;(III)混練した混合物を成形して少なくとも1種の成形体を得る工程を含む前記したような成形体の製法にも関する。
【0124】
本発明により製造した成形体の形は任意に選択することができる。特に球形、楕円形、円筒形又はタブレットであってよい。
【0125】
特に有利には本発明で成形は(II)により得た混練した混合物の押出しにより行うが、その際、押出物として更に有利には主として円筒形の1〜20mmの範囲、更に有利には1〜10mmの範囲、更に有利には2〜10mmの範囲及び特に有利には2〜5mmの範囲の直径を有する押出物が得られる。
【0126】
工程(III)の次ぎに本発明では有利には少なくとも1回の乾燥工程を行う。その際、この少なくとも1回の乾燥工程は、通常80〜160℃、有利には90〜145℃及び特に有利には100〜130℃の範囲の温度で行うが、その際、乾燥時間は通常6時間以上、例えば6〜24時間の範囲である。しかし乾燥すべき材料の湿気含量によってはこれより短い乾燥時間、例えば約1、2、3、4又は5時間であってもよい。
【0127】
乾燥工程の前及び/又は後に、有利には得られた押出物を例えば粉砕することができる。その際、有利には、粒子直径0.1〜5mm、特に0.5〜2mmを有する顆粒又は砕片が得られる。
【0128】
従って本発明は、(I)前記したようなゼオライト材料又は前記方法により得られるゼオライト材料及び少なくとも1種の結合剤を含有する混合物の製造;(II)混合物の混練;(III)混練した混合物を成形して少なくとも1種の成形体を得る工程;(IV)少なくとも1種の成形体の乾燥の工程を含む前記したような成形体の製法にも関する。
【0129】
工程(IV)に引き続いて本発明で有利には少なくとも1回のか焼工程を行う。か焼は通常350〜750℃及び有利には450〜600℃の範囲の温度で行う。
【0130】
か焼は各々好適な気体雰囲気下で行うことができるが、その際空気及び/又は希薄空気が有利である。更にか焼は有利には、マッフル炉、回転管炉及び/又はバンドか焼炉(Bandkalzinierofen)中で行うが、その際か焼時間は通常1時間以上、例えば1〜24時間の範囲又は3〜12の範囲である。従って、本発明による方法で例えば、成形体を1回、2回又はそれより多い回数で各々少なくとも1時間、例えば各々3〜12時間の範囲でか焼することが可能であるが、その際温度をか焼工程の間同じに保つか又は連続的にか又は不連続的に変えることもできる。2回以上か焼する場合には、個々の工程のか焼温度は異なってもよいし、同じであってもよい。
【0131】
従って本発明は、(I)前記したようなゼオライト材料又は前記方法により得られるゼオライト材料及び少なくとも1種の結合剤を含有する混合物の製造;(II)混合物の混練;(III)混練した混合物を成形して少なくとも1種の成形体を得る工程;(IV)少なくとも1種の成形体の乾燥;(V)少なくとも1種の乾燥した成形体のか焼の工程を含む前記したような成形体の製法にも関する。
【0132】
か焼工程後にか焼した材料を例えば粉砕することができる。その際、有利には、粒子直径0.1〜5mm、特に0.5〜2mmを有する顆粒又は砕片が得られる。
【0133】
乾燥の前及び/又は後及び/又はか焼の前及び/又は後に少なくとも1種の成形体を濃縮したか又は希釈したレーンステッド酸又は2種以上のブレーンステッド酸から成る混合物で処理することができる。好適な酸は、例えば塩酸、硫酸、燐酸、硝酸又はカルボン酸、ジカルボン酸又はオリゴ−又はポリカルボン酸、例えばニトリロトリ酢酸、スルホサリチル酸又はエチレンジアミンテトラ酢酸である。
【0134】
有利には少なくとも1種のブレーンステッド酸を用いるこの少なくとも1回の処理に引き続いて、各々前記した条件下で行う少なくとも1回の乾燥工程及び/又は少なくとも1回のか焼工程を行う。
【0135】
本発明の方法のもう一つの有利な態様によれば、触媒押出物に更に硬化をよくするために水蒸気処理を施し、その後有利にはもう一度少なくとも1回乾燥させ及び/又は少なくとも1回か焼する。例えば少なくとも1回の乾燥工程及びその次ぎの少なくとも1回のか焼工程後に、か焼した成形体に水蒸気処理を施し、引き続きもう一度少なくとも1回乾燥させ及び/又は少なくとも1回か焼する。
【0136】
本発明により得られる成形体は、通常2〜15Nの範囲、有利には5〜15Nの範囲及び特に有利には10〜15Nの範囲の硬度を有する。
【0137】
従って本発明は、2〜15Nの範囲の切断硬度を有する、前記したような成形体にも関する。
【0138】
前記硬度は本発明で予備力0.5N、予備力剪断速度10mm/分及び次の試験速度1.6mm/分でZwick社の装置、BZ2.5/TS1Sで測定した。この装置は固定された回転皿及び厚さ0.3mmの刃を取り付けた自由に可動するスタンプを有する。刃を有する可動性スタンプは力吸収用の力測定容器と結合しており、測定の間試験すべき触媒成形体が載っている固定回転皿に向かって作動するものであった。試験装置はコンピューターにより制御し、測定結果を記録し、評価した。得られた値は各々10個の触媒成形体の測定の平均値である。触媒成形体は円筒形の形状を有し、その際その平均長さは直径の約2〜3倍に相応し、その際厚さ0.3mmの刃は増強する力を成形体が切断されるまで負荷した。その際、刃は成形体の縦軸に垂直に成形体上に載せた。このために要する力が切断硬度(単位N)である。
【0139】
従って本発明は前記態様の一つによる方法により得られる成形体にも関する。
【0140】
本発明による少なくとも1種の成形体又は/及び本発明により製造した成形体は通常、成形体の特性及び特に成形体中に含有される本発明によるか又は本発明により製造したゼオライト材料の特性が所望される全ての方法又は加工工程で使用することができる。極めて特に有利には本発明による少なくとも1種の成形体又は本発明により製造した成形体は、化学反応で触媒として使用される。
【0141】
従って、本発明は前記した成形体又は前記した様な方法により得られる成形体の触媒としての使用に関する。
【0142】
本発明によるゼオライト材料及び/又は本発明による成形体は、例えば有利にはシクロヘキサノンオキシムからのε−カプロラクタムの製造及びN−ヒドロキシエチルピロリドンからのN−ビニルピロリドンの製造で使用される。
【0143】
ゼオライト材料及び/又は成形体をトリエチレンジアミン(TEDA)の選択的合成に使用するのが極めて特に有利である。
【0144】
従って本発明は前記したような触媒としての使用にも関するが、その際触媒をトリエチレンジアミンの選択的合成用に使用する。
【0145】
TEDA(IUPAC名称:1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)−オクタン)は、主としてそれ自体ポリウレタン製造で触媒として使用される化学工業で重要な中間−及び最終生成物である。TEDAの製造用に、主として出発物質及び使用される触媒の選択において異なる、多数の種々の合成が存在している。
【0146】
TEDA製造用に、C2−構成要素及び/又は窒素構成要素を含有し、環状又は非環状であってよい、多種多様な出発物質を使用することができる。好適な出発物質の例は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン及びヒドロキシエチルピペラジンを含む。唯一の出発物質を使用する場合が多いが、しかしその際2種以上の好適な出発物質の混合物を有利に使用することもできる。通常反応混合物に更に水を添加する。出発物質の選択によって生成物混合物の組成は決定的な影響を受けるが、その際、出発生成物の入手性の他に特に副生成物の生成の回避が、後処理で達成すべき詳細に関して重要な観点である。大抵の場合に所望の生成物TEDAに関する選択性を高めるために、合成を使用した出発物質のタリウム塩だけが生じるように実施する。収量が僅かであるという欠点は、不所望な副生成物の低い量が達成可能であることによって相殺される。
【0147】
従って本発明は極めて一般的に、構造単位(I)
【0148】
【化1】

[式中、R、R、R及びRは相互に無関係に水素原子又は炭素原子1〜4個を有するアルキル基を表し、Xは酸素−又は窒素原子を表す]を有する、少なくとも1種の出発物質の反応によるトリエチレンジアミンの選択的製法に関する。
【0149】
このような化合物の例は特に、エチレンジアミン(EDA)、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピペラジン(PIP)、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリ(2−アミノエチル)アミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、モルホリン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン及びN,N’−ビス(2−アミノエチル)ピペラジンである。
【0150】
本発明で例えば有利には、出発物質としてピペラジン(PIP)を使用することによってTEDAを製造することができる。同じく出発物質としてエチレンジアミン(EDA)を使用することができる。出発物質としてEDA及びPIPから成る混合物を使用することもできる。
【0151】
従って本発明は、(A)ピペラジンx質量%及び(B)エチレンジアミンy質量%から成る出発生成物(その際x+y=100かつ0≦x≦100及び0≦y≦100)をゼオライト触媒で反応させることによるトリエチレンジアミンの選択的製法に関するが、その際ゼオライト触媒は特許請求1から4までのいずれか1項に記載のゼオライト材料又は特許請求項10から14のいずれか1項より得られるゼオライト材料を含有する。
【0152】
本発明による方法は不連続的に行うことができるが、有利には連続的に行う。
【0153】
本発明による反応は液相中で行うことができるが、有利には気相中で行う。
【0154】
反応は少なくとも1種の溶剤又は希釈剤の存在で行うのが有利である。
【0155】
溶剤として又は希釈剤として例えば、炭素原子2〜12個を有する非環状又は環状エーテル、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル又はその異性体、MTBE、THF、ピラン又はラクトン、例えばγ−ブチロラクトン、ポリエーテル、例えばモノグリム、ジグリム等、芳香族又は脂肪族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン及び石油エーテル又はその混合物及び特にN−メチルピロリドン(NMP)又は水又は前記したような水性有機溶剤又は希釈剤が好適である。更に溶剤又は希釈剤としてアンモニアも好適である。
【0156】
溶剤又は希釈剤として特に溶剤として水を使用するのが特に有利である。
【0157】
気相中での反応を実施する際の希釈剤としては、不活性気体、例えば窒素(例えば反応器供給の飽和以上に)又はアルゴンも好適である。有利には気相中での反応をアンモニアの存在で行う。
【0158】
出発物質成分又は反応器供給は有利には前以て適温にする。
【0159】
本発明の方法を実施する反応器としては、攪拌容器、特に管形反応器及び管束形反応器が好適である。
【0160】
有利には成形体としての、ゼオライト触媒は反応器中で有利には固定床として配置される。
【0161】
液相中での反応は例えば懸濁−、流動−又はたまり液法で行うことができる。
【0162】
気相中での有利な反応は触媒−渦動床又は有利には−固定床中で行うことができる。
【0163】
出発物質としてピペラジンだけを使用する場合には、反応温度が300〜450℃の範囲、特に有利には330〜400℃の範囲である方法実施が有利である。その際、反応が行われる圧力は、触媒床上を通過する際に生じる圧力損失も加えて、0.01〜50バールの範囲、有利には0.5〜20バールの範囲、特に有利には大気圧である。
【0164】
ピペラジンは更に特に有利には水との混合物で使用するが、その際、更に有利には、各々ピペラジン及び水を含有する出発物質流の全質量に対して、少なくとも10質量%の水、有利には10〜60質量%の水及び特に20〜60質量%の水を含有する出発物質流を使用する。
【0165】
ピペラジンを唯一の出発物質として使用する場合には、WHSV(重量空間速度)は、反応に使用したピペラジンに関して0.01〜5h−1の範囲、有利には0.02〜1h−1の範囲及び特に有利には0.05〜0.8h−1の範囲である。
【0166】
出発物質としてEDAのみを使用する場合には、反応温度が300〜400℃の範囲及び特に有利には320〜350℃の範囲である方法実施が有利である。その際、反応が行われる圧力は、触媒床上を通過する際に生じる圧力損失も加えて、0.01〜50バールの範囲、有利には0.5〜20バールの範囲及び特に有利には大気圧の範囲である。
【0167】
EDAを更に特に有利には水との混合物で使用するが、その際、更に有利には、各々EDA及び水を含有する出発物質流の全質量に対して、最高50質量%の水、有利には最高30質量%の水及び特に最高10質量%の水を含有する出発物質流を使用する。
【0168】
EDAを唯一の出発物質として使用する場合には、WHSV(重量空間速度)は、反応に使用したEDAに関して0.01〜5h−1の範囲、有利には0.02〜1h−1の範囲及び特に有利には0.05〜0.8h−1の範囲である。
【0169】
PIP及びEDAから成る混合物を出発物質として使用する場合には、反応は有利には、連続的操業で定常状態で水10〜50質量%及びPIP及びEDA(両方の化合物PIP及びEDAの合計質量%割合)90〜50質量%、更に有利には水30〜50質量%及びPIP及びEDA70〜50質量%及び特に有利には水40〜50質量%及びPIP及びEDA60〜50質量%を供給するが、その際PIP又はEDAの割合は場合によりEDA又はPIPのためか又はその犠牲において低くしてもよいし又は高くしてもよい。
【0170】
この場合に有利には反応を、出発物質流が連続操業でEDA及びPIPを、各々EDAの質量対PIPの質量として計算して、1:1〜10:1の範囲、更に有利には2:1〜6:1の範囲及び特に有利には3:1〜5:1の範囲の質量比で含有するように行う。
【0171】
35〜60質量%、例えば約40質量%のEDAを添加する前記したような態様では、反応は定常状態で、EDAが実質的に完全に反応してTEDA及びPIPになり、その際、PIPを生成物流に場合により付加的に存在する中間−及び/又は副生成物と一緒に有利には蒸留により抽出し、場合により少なくとも1種のこの中間−及び/又は副生成物の分離後ほぼ同じ量のEDAを加え、EDA及びPIPを含有する生じた混合物を再び反応に供給するようにして行うことができる。
【0172】
この方法は有利には、PIPの消費量が最終量でゼロに近くなり、連続操業中にその結果実質的に付加的なPIPを全く添加しないように行う。
【0173】
この方法実施では、意外にも搬出されたEDAの量がゼロに近いことが実証された。従って反応搬出物の分離は特に簡単である。
【0174】
この方法の特別な利点は、TEDA並びにPIPを含有する中間フラクションを再び反応に供給することができることにある。
【0175】
EDA及びPIPを出発物質として使用する場合には、反応温度が290〜400℃の範囲、有利には310〜370℃の範囲及び特に有利には310〜350℃の範囲である方法実施が有利である。その際、反応が行われる圧力は、触媒床上を通過する際に生じる圧力損失も加えて、0.01〜10バールの範囲、有利には0.8〜2バールの範囲及び特に有利には大気圧の範囲である。
【0176】
EDA及びPIPから成る混合物を出発物質として使用する場合には、WHSV(重量空間速度)は、反応に使用したアミンに関して、0.05〜6h−1の範囲、有利には0.2〜2h−1の範囲及び特に有利には0.3〜1h−1の範囲である。
【0177】
有利には成形体の形の、本発明による触媒の使用は特に、触媒の非常に高い持続時間が得られることによって優れている。これは通常1000時間以上、有利には少なくとも1200時間、更に有利には少なくとも1400時間、更に有利には少なくとも1600時間、更に有利には少なくとも1800時間及び特に有利には少なくとも2000時間である。一定の反応パラメーターで前記持続時間中に反応変換率の悪化は認められなかった。
【0178】
従って本発明は、触媒が少なくとも1200時間の持続時間を有する、前記したような方法にも関する。
【0179】
極めて特に有利には触媒は少なくとも部分的にH形で使用する。H形でない触媒の部分を使用する場合には、この部分は極めて有利にはNH形で使用する。全触媒をH形で使用するのが特に有利である。
【0180】
従って本発明は、触媒の少なくとも一部をH形で使用する、前記したような方法にも関する。
【0181】
本発明の方法のもう一つの有利な態様では、触媒を使用後にその形に無関係に例えば活性及び/又は選択性の減少後に、再生を不活性化の原因である付着物の合目的な除去によって行う方法により再生する。その際、有利には正確に定義された量の酸素を供給する物質を含有する不活性気体雰囲気中で操作する。このような再生法は特にWO98/55228及びDE19723949A1に記載されており、これに関する開示は参照までに全て本発明に含む。
【0182】
再生後、触媒の活性及び/又は選択性は、再生直前の状態と比較して、高められている。
【0183】
再生すべき本発明により使用されたゼオライト触媒を、反応装置(反応器)中又は外部の炉中で酸素0.1〜約20容量部を供給する物質、特に有利には酸素0.1〜20容量部を含有する雰囲気中で250〜800℃、有利には400〜550℃及び特に450〜500℃範囲の温度に加熱する。その際加熱は有利には加熱速度0.1〜20℃/分、有利には0.3〜15℃/分及び特に有利には0.5〜10℃/分で行う。
【0184】
この加熱段階の間触媒は、自体そこに存在する、大抵は有機付着物が分解し始める温度まで加熱され、一方同時に温度は酸素含量により制御され、従って触媒構造が損なわれる程は上昇しない。相応する酸素含量及び相応する熱効率の調整による温度の緩慢な上昇又は低い温度での滞留は、再生すべき触媒の高い有機負荷に際して、触媒の局所過加熱を抑制する実質的な工程である。
【0185】
反応器出口の廃ガス流の温度がガス流中の酸素を供給する物質の量の増加にも拘わらす下がる場合に、有機付着物の燃焼は終了済みである。処理時間は通常1〜30時間、有利には約2〜約20時間及び特には約3〜約10時間である。
【0186】
こうして再生した触媒の引き続いての冷却は有利には、冷却が過度に急激に行われないのように行う。それはそうでないと触媒の機械的強度が不利な影響を受ける恐れがあるからである。
【0187】
出発物質の汚染によって場合により残留する触媒の無機付着物(痕跡のアルカリ等)を除去するために、触媒を再生実施後に前記したようにか焼し、水及び/又は希釈した酸、例えば塩酸で洗浄する必要がある。引き続き再び触媒の乾燥及び/又は再び焼を行うことができる。
【0188】
本発明による方法のもう一つの態様では、少なくとも部分的に不活性化された触媒を再生処置により加熱する前に、なお付着している貴重な生成物を除去するために反応器中又は外部の反応器中で溶剤で洗浄する。その際、洗浄は各々触媒に付着している貴重な生成物を除去することができるが、しかし温度及び圧力を大抵の有機付着物が同様に除去されるほどは高くは選択しないようにして行う。その際、有利には触媒を好適な溶剤で単に洗い流す。従ってこの洗浄工程には、各々の反応生成物が良好に溶解する全ての溶剤が好適である。溶剤の必要量並びに洗浄工程の時間は重要ではない。洗浄工程は数回繰り返すことができ、高めた温度で実施することができる。COを溶剤として使用する際には、超臨界圧が有利であるが、そうでなければ洗浄工程を常圧又は高めた又は超臨界の圧力で行うことができる。洗浄工程終了後に触媒を通常乾燥させる。乾燥工程は一般に重要ではないが、孔、特に微小孔中で溶剤の急激な蒸発を回避するために、乾燥温度は洗浄用に使用される溶剤の沸騰温度を著しく超えてはならない。それはこれによってまた触媒の損傷が生じる恐れがあるからである。
【0189】
製法の有利な態様の本質は、方法通過量を高めるために、TEDAの合成用の本発明による連続的な方法は本発明による触媒の再生で中断する必要がないことに存する。これは少なくとも2個の並列に接続した、交互に稼動させることができる反応器を使用することによって達成することができる。
【0190】
触媒再生は、並列に接続した反応器の少なくとも1個が各々反応工程から切り離され、この反応器に含有される触媒が再生され、その際連続的方法の進行中に各段階で常に少なくとも1個の反応器が出発物質の反応用に使用されるようにして実施することができる。
【0191】
本発明により得られるTEDAはその純度を改善するために好適な溶剤、例えばペンタン又はヘキサンから再結晶させることができる。しかしこれは大抵の場合必要ない。それはTEDAは本発明による方法により少なくとも95質量%、有利には少なくとも96質量%及び特に有利には少なくとも97質量%の純度で製造することができるからである。
【0192】
特別な態様では、特許請求によるTEDA製法をDE19933850A1による引き続いてのTEDA法と組み合わせる。
【0193】
この組合せによれば先ずTEDAを前記したようにして製造する。引き続いての多段階であってよいTEDAの後処理(例えば蒸留による)で、TEDAを有利には最後の後処置工程(特別な蒸留−又は精留工程)で蒸発させ、例えば塔頂部又は蒸留塔の側部排出口で得られる、有利には95質量%より多い、特に97質量%より多い純度を有する、蒸気状TEDAを液体溶剤中に導入する。この蒸気状TEDAの直接液体溶剤中への導入は、下記で“TEDA−クエンチ”と称する。
【0194】
蒸気状TEDAの液体溶剤中への導入は急冷装置、例えば有利には流下液膜凝縮器(薄層−、流動膜−又は流下流凝縮器)又はノズル装置中で行う。その際、蒸気状TEDAを液体溶剤と順流又は向流で供給する。急冷装置中へ上からの蒸気圧状TEDA導入が有利である。更に液体溶剤の流下液膜凝集器の塔頂部での接線供給又は液体溶剤の1個以上ノズルによる供給が、急冷装置の内壁の完全な湿潤を達成するために、更に有利である。
【0195】
通常TEDAクエンチ中の温度を、使用される溶剤及び/又は急冷装置を20〜100℃、有利には30〜60℃に温度調整することによって調整する。TEDAクエンチ中の絶対圧は通常0.5〜1.5バールである。
【0196】
通常、溶剤の種類に応じてTEDAクエンチの場合には先ず約1〜50質量%、有利には20〜40質量%のTEDA含量を有する溶液を得るように行う。
【0197】
引き続いてのこうして得た溶液からのTEDAの結晶化によって、高い品質の純粋なTEDAが得られる。
【0198】
液体溶剤は通常、環状又は非環状炭化水素、塩素化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、ケトン、脂肪族カルボン酸エステル、脂肪族ニトリル及びエーテルから選択する。
【0199】
例えば触媒としてポリウレタンフォーム製造で使用することができる上記方法により純粋なTEDAの溶液を製造するために、TEDAクエンチ用の溶剤として有利にはアルコール(例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、有利にはジプロピレングリコール)を使用する。こうして得たジプロピレングリコール中の33質量%TEDA溶液の色数は150APHAより小さく、特に100APHAより小さく、極めて特には50APHAより小さい。
【0200】
こうして得た溶液は色数に関して通常6ヶ月より長く、有利には12ヶ月より長く、特に有利には24ヶ月より長く貯蔵安定性である。
【0201】
前記方法により純粋な(結晶性)TEDAを製造するために、TEDAクエンチ用の溶剤として有利には脂肪族炭化水素、特にC原子5〜8個を有する飽和脂肪族炭化水素(例えばヘキサン、ヘプタン、有利にはペンタン)を使用する。本発明により製造されるTEDA溶液からの純粋なTEDAの結晶化は当業者に公知の方法により行うことができる。下記の多段又は有利には一段階の結晶化により得られるTEDA結晶は高純度(通常少なくとも99.5質量%、特に少なくとも99.8質量%の純度。PIP含量は0.1質量%より少なく、特に0.05質量%より少なく、N−エチルピペラジンの含量は0.02質量%より少なく、特に0.01質量%より少ない)であり、ジプロピレングリコール中の33質量%溶液の色数は50APHAより小さく、特に30APHAより小さい。
【0202】
APHA数は全てDIN ISO6271により測定した。
【0203】
次ぎに本発明は実施例及び図につき詳説する。
図の説明
図1は、例1により製造したゼオライト材料の粒度分布を表す。その際、粒度分布は、DIN13320によりMalvern Instruments Ltd.社の装置“Mastersizer2000”(Modul Hydro 2000G)でレーザー回折を用いて測定した。その際、試験すべき溶液として脱イオン水中のZSM−5−結晶の0.14質量%溶液を室温で測定した。この溶液は、結晶化工程からHNOで処理する前に生じた例1により得られた溶液を希釈することによって製造した。このように希釈した溶液の屈折率は1.503であった。図1により示した粒子は、変動係数21%で平均大きさ0.15μmである。図1のグラフの右値軸には粒度を単位[μm]で記載し、縦値軸には粒子の各百分率割合を[%]で記載してある。
【0204】
図2は、解像度20000:1の例1により得られたZSM−5粉末のSEM写真を表す。
【0205】
図3は、解像度20000:1の例4により得られたZSM−5粉末のSEM写真を表す。
【0206】
図4は、解像度20000:1の例7により得られたZSM−5粉末のSEM写真を表す。
【0207】
図5は、解像度20000:1の例10により得られたZSM−5粉末のSEM写真を表す。
【0208】
図6は、解像度5000:1の比較例4で使用した、市販のゼオライト粉末PZ−2/1000H(Zeochem社、H−ZSM−5、Si:Alモル比500、a、b及びcの最高エッジ長さ5、4及び2μm及び100mg/kgより少ないNaO含量を有する丸くした直方体形一次粒子)のSEM写真を表す。
【0209】
実施例
例1:ZSM−5−粉末の製造
四首フラスコ中にTEOS(テトラヒドロキシシラン)920g及びAl(SO・18HO2.94gを前装入し、攪拌下で20%TPAOH(テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド)溶液1620gを注ぎ入れた。溶液を10分間室温で攪拌した。その後、常圧で加水分解から生じたエタノールをカン部温度95℃に達するまで蒸留除去した。合成ゲル1485gが得られた。
【0210】
2.5lの鋼製オートクレーブ中に合成ゲル742gを脱イオン水742gと一緒に注ぎ入れ、混合物を攪拌下で24時間175℃で固有圧下で攪拌した。室温に冷却後、生成した懸濁液を濃HNOで滴定してpH値7にし、懸濁液をブフナー漏斗で紙濾過器を用いて濾過した。残分を2回水各500mlで洗浄し、その後乾燥箱中で常圧で16時間120℃で乾燥させ、引き続き、空気添加を有するマッフル炉中で500℃で5時間か焼した。ZSM−5粉末137gが得られた。
【0211】
2×10倍の拡大のZSM−5粉末の電気顕微鏡写真により、各々0.10〜0.15μmの間の直径を有する球形一次粒子が示された。球形一次粒子の割合は97%以上であった。NaOの含量は50mg/kgよい少なかった。Si:Alのモル比は460:1であった。BET表面積は、DIN66131により測定して461m/gであり、細孔容量は、DIN66134により測定して1.10cm/gであった。
【0212】
例2:ZSM−5−ゼオライトを含有する成形体の製造
例1からのZSM−5粉末134gをメチルセルロース8.3g及びLudox AS40(DuPont社)84gと一緒に混練機中で機械により混合した。その後、脱イオン水110mlを添加し、材料を60分間凝縮し、引き続き押出しプレスで圧力45バールで2mmの押出物に成形した。この押出物を乾燥箱中で常圧で16時間120℃で乾燥させ、引き続き、空気添加を有するマッフル炉中で500℃で5時間か焼した。剪断硬度2.1Nを有するZSM−5触媒押出物138gが得られた。BET表面積は、DIN66131により測定して353m/gであり、細孔容量は、DIN66134により測定して0.62cm/gであった。
【0213】
例3:ピペラジン(PIP)及びエチレンジアミン(EDA)からのテトラエチレンジアミン(TEDA)の製造
例2からの触媒20ml(=11.4g)を充填した油で加熱した第2管形反応器(長さ:100cm、内径:6mm)中で、25/25/50質量%比でエチレンジアミン(EDA)、ピペラジン(PIP)及び水から成る混合物を温度350℃及び両方の有機成分EDA及びPIPに関して0.50g(有機成分)/g(触媒)/時間の負荷で装入した。75時間の操業時間後、反応搬出物を1時間かけて集め、次いでガスクロマトグラフィーにより調べた。反応搬出物の分析からEDAの変換率は97%、PIPの変換率は48%及びTEDAの選択性は95%と判明した。
【0214】
例4:ZSM−5−粉末の製造
製造は、TEOS920g、Al(SO・18HO2.94g及び20%TPAOH溶液810gから出発して例1と同様に行った。収量は133gであった。
【0215】
2×10倍の拡大の電気顕微鏡写真は、球形ZSM−5−一次粒子を示した。球形一次粒子の割合は97%以上であった。球形一次粒子の直径は、0.20〜0.25μmの間であった。丸くしたエッジを有する直方体である球形一次粒子に関して、a、b及びcの最高エッジ長さは0.2、0.2及び0.15μmであった。NaOの含量は50mg/kgより少なかった。Si:Alのモル比は470:1であった。BET表面積は、DIN66131により測定して440m/gであり、細孔容量は、DIN66134により測定して0.98cm/gであった。
【0216】
例5:ZSM−5−ゼオライトを含有する成形体の製造
成形は、例4からのZSM−5粉末126gから出発して、例2と同様にして行った。剪断硬度2.9Nを有する触媒押出物147gが得られた。BET表面積は、DIN66131により測定して382m/gであり、細孔容量は、DIN66134により測定して0.64cm/gであった。
【0217】
例6:ピペラジン(PIP)及びエチレンジアミン(EDA)からのテトラエチレンジアミン(TEDA)の製造
例5からの触媒を例3と同様に試験した。43時間の操業期間後の反応搬出物の分析から、EDAの変換率は95%、PIPの変換率は43%及びTEDAの選択性は95%と判明した。
【0218】
例7:ZSM−5−粉末の製造
四首フラスコ中にTEOS460gを前装入し、攪拌下で20%TPAOH溶液810gを注ぎ入れた。溶液を10分間室温で攪拌した。その後、常圧で加水分解から生じたエタノールをカン部温度95℃に達するまで蒸留除去した。アルミニウム不含の合成ゲル698gが得られた。
【0219】
2.5lの鋼製オートクレーブ中に合成ゲルを脱イオン水698ml及び及びAl(SO・18HO1.84gと一緒に装入した。反応条件及び反応混合物の後処理は例1に相応した。ZSM−5粉末132gが得られた。
【0220】
2×10倍の拡大の電気顕微鏡写真により、0.10〜0.15μmの間の直径を有する球形ZSM−5−一次粒子が示された。球形一次粒子の割合は97%以上であった。球形一次粒子の割合は97質量%以上であった。NaOの含量は<50mg/kgであった。Si:Alのモル比は385:1であった。BET表面積は、DIN66131により測定して458m/gであり、細孔容量は、DIN66134により測定して1.24cm/gであった。
【0221】
例8:ZSM−5−ゼオライトを含有する成形体の製造
成形は、例7からのZSM−5粉末128gから出発して、例2と同様にして行った。剪断硬度3.2Nを有するZSM−5触媒押出物148gが得られた。BET表面積は、DIN66131により測定して364m/gであり、細孔容量は、DIN66134により測定して0.68cm/gであった。
【0222】
例9:ピペラジン(PIP)及びエチレンジアミン(EDA)からのテトラエチレンジアミン(TEDA)の製造
例8からの触媒を例3と同様に試験した。48時間の操業時間後の反応搬出物の分析から、EDAの変換率は98%、PIPの変換率は46%及びTEDAの選択性は94%と判明した。
【0223】
例10:ZSM−5−粉末の処理
例1からのZSM−5粉末132gを脱イオン水1300gと一緒に2.5lの鋼製オートクレーブ中で24時間175℃で固有圧で攪拌した。室温に冷却後、懸濁液をブフナー漏斗で紙濾過器を用いて濾過した。残分を水500mlで1回洗浄し、その後乾燥箱中で常圧で16時間120℃で乾燥させ、引き続き、空気添加を有するマッフル炉中で500℃で5時間か焼した。ZSM−5粉末121gが得られた。
【0224】
2×10倍の拡大のZSM−5粉末の電気顕微鏡写真により、0.10〜0.15μmの間の直径を有する球形ZSM−5−一次粒子が示された。NaOの含量は150mg/kgより少なかった。Si:Alのモル比は459:1であった。BET表面積は、DIN66131により測定して456m/gであり、細孔容量は、DIN66134により測定して1.12cm/gであった。
【0225】
例11:処理したZSM−5ゼオライトを含有する成形体の製造
成形は、例10からのZSM−5粉末121gから出発して、例2と同様にして行った。剪断硬度3.4Nを有するZSM−5触媒押出物137gが得られた。BET表面積は、DIN66131により測定して327m/gであり、細孔容量は、DIN66134により測定して0.69cm/gであった。
【0226】
例12:ピペラジン(PIP)及びエチレンジアミン(EDA)からのテトラエチレンジアミン(TEDA)の製造
例11からの触媒を例3と同様に試験した。47時間の操業時間後の反応搬出物の分析から、EDAの変換率は99%、PIPの変換率は49%及びTEDAの選択性は96%と判明した。
【0227】
例13:ピペラジン(PIP)及びエチレンジアミン(EDA)からのテトラエチレンジアミン(TEDA)の製造
方法実施は、例11からの触媒を用いて例3と同様にして、40/10/50質量%の比でエチレンジアミン(EDA)、ピペラジン(PIP)及び水から成る混合物から出発して、温度350℃及び両方の有機成分EDA及びPIPに関して0.30g(有機成分)/g(触媒)/時間の負荷で行った。162、716及び1147時間の操業時間後の反応搬出物の分析を第1表にまとめた。
【0228】
【表1】

【0229】
従って熱水条件下でのZSM−5−粉末の熱処理により、触媒の活性並びに選択性が改良された。PIP中性操作法下で同じTEDA−選択性及び95%より多いEDA−変換率で少なくとも1147時間の操業時間を達成することができた。
比較例1:NaOHの添加下でのZSM−5−粉末の製造
ZSM−5−粉末の製造は付加的なNaOH0.80gを用いて例4と同様に行った。収量は135gであった。
【0230】
2×10倍の拡大の電気顕微鏡写真により、0.10〜0.15μmの間の直径を有する球形ZSM−5−一次粒子が示された。NaOの含量は853mg/kgであった。Si:Alのモル比は475:1であった。BET表面積は、DIN66131により測定して464m/gであり、細孔容量は、DIN66134により測定して0.95cm/gであった。
【0231】
比較例2:処理したZSM−5ゼオライトを含有する成形体の製造
成形は、比較例1からのZSM−5粉末120gから出発して、例2と同様に行った。剪断硬度6.1Nを有するZSM−5触媒押出物131gが得られた。BET表面積は、DIN66131により測定して332m/gであり、細孔容量は、DIN66134により測定して0.63cm/gであった。
【0232】
比較例3:ピペラジン(PIP)及びエチレンジアミン(EDA)からのテトラエチレンジアミン(TEDA)の製造
比較例2からの触媒を例3と同様に試験した。30時間の操業時間後の反応搬出物の分析から、EDAの変換率は92%、PIPの変換率は45%及びTEDAの選択性は94%と判明した。従って高められたNa−濃度によりEDA−変換率の低下が起きた。
【0233】
比較例4:市販のZSM−5−ゼオライトを含有する成形体の製造
市販のゼオライト粉末PZ−2/1000H(Zeochem社、H−ZSM−5、Si:Alモル比500、a、b及びcの最高エッジ長さ5、4及び2μm及び100mg/kgより少ないNaO含量を有する丸くした直方体形一次粒子)120gを例2と同様にLudox AS40を用いて成形した。剪断硬度3.9Nを有するZSM−5触媒押出物133gが得られた。BET表面積は、DIN66131により測定して337m/gであり、細孔容量は、DIN66134により測定して0.23cm/gであった。
【0234】
比較例5:ピペラジン(PIP)及びエチレンジアミン(EDA)からのテトラエチレンジアミン(TEDA)の製造
比較例4からの触媒を例3と同様に試験した。46時間の操業時間後の反応搬出物の分析から、EDAの変換率は98%、PIPの変換率は42%及びTEDAの選択性は88%と判明した。
【0235】
1μmより大きい粒度を有するZSM−5の使用によりTEDA選択性の著しい低下が起きた。
【図面の簡単な説明】
【0236】
【図1】例1により製造したゼオライト材料の粒度分布を表すグラフ。
【図2】解像度20000:1で例1により得られたZSM−5粉末のSEM写真を表す図。
【図3】解像度20000:1で例4により得られたZSM−5粉末のSEM写真を表す図。
【図4】解像度20000:1で例7により得られたZSM−5粉末のSEM写真を表す図。
【図5】解像度20000:1で例10により得られたZSM−5粉末のSEM写真を表す図。
【図6】解像度5000:1で比較例4で使用した、市販のゼオライト粉末PZ−2/1000HのSEM写真を表す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ−及びアルカリ土類含量最高150ppm及び250〜1500の範囲のSi対Alのモル比を有するペンタシル型のゼオライト材料において、ゼオライト材料の少なくとも90%が球形であり、球形一次粒子の少なくとも95質量%が1μm以下の範囲の直径を有する、ペンタシル構造型のゼオライト材料。
【請求項2】
少なくとも部分的に構造型ZSM−5を有することを特徴とする、前記請求項1に記載のゼオライト材料。
【請求項3】
ゼオライト材料のアルカリ−及びアルカリ土類含量が最高100ppmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のゼオライト材料。
【請求項4】
球形一次粒子の直径が50〜250nmの範囲にあることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のゼオライト材料。
【請求項5】
Si対Alのモル比が250〜750の範囲にあることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のゼオライト材料。
【請求項6】
Si対Alのモル比が350〜600の範囲にあることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のゼオライト材料。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の少なくとも1種のゼオライト材料を含有する成形体。
【請求項8】
付加的に結合剤としてSiOを含有する、請求項7記載の成形体。
【請求項9】
乾燥させ及び場合によりか焼した成形体の全質量に対して5〜80質量%の範囲の結合剤を含有する、請求項7又は8に記載の成形体。
【請求項10】
細孔容量少なくとも0.6ml/gを有する孔を含有する比表面積少なくとも350m/gを有する、請求項7から9までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項11】
2〜15Nの範囲の切断硬度を有する、請求項7から10までのいずれか1項に記載の成形体。
【請求項12】
(i)少なくとも1種のSiO源、少なくとも1種のアルミニウム源及び少なくとも1種のテンプレート化合物を含有する混合物を製造するが、その際、混合物は最高150ppmのアルカリ−及びアルカリ土類金属を含有し、少なくとも1種のSiO源及び少なくとも1種のアルミニウム源を250〜1500の範囲のSi対Alのモル比を有する結晶性材料の生成を可能にする量比で使用する工程;(ii)混合物中に含有される化合物を反応させて結晶性の、少なくとも一部の少なくとも1種のテンプレート化合物を含有する材料を含有する母液を得る工程;(iii)母液からの結晶性材料の分離工程;(iv)結晶性材料からの少なくとも1種のテンプレート化合物の除去工程を含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載のゼオライト材料の製法。
【請求項13】
SiO源としてテトラアルコキシシラン及びテンプレート化合物として少なくとも1種のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドを使用し、(i)による混合物が付加的に水を含有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(ii)による反応の前に(i)による混合物中に生成するアルコールを蒸留除去する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(ii)による反応を150〜180℃の範囲の温度でオートクレーブ中で反応時間1〜48時間反応させる、請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
(iii)により分離した結晶性材料を(iv)により先ず100〜160℃の範囲の温度で乾燥させ、次いで450〜700℃の範囲の温度でか焼する、請求項12から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
工程(iv)後にゼオライト材料をオートクレーブ中で水と接触させ、次いで80〜160℃の範囲の温度で乾燥させ、次いで400〜750の範囲の温度でか焼する、請求項12から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項12から17までのいずれか1項に記載の方法により得られる、アルカリ−及びアルカリ土類含量最高150ppm及び250〜1500の範囲のSi対Alのモル比を有するペンタシル型のゼオライト材料において、ゼオライト材料の少なくとも90%が球形であり、球形一次粒子の少なくとも95質量%が1μm以下の範囲の直径を有する、ペンタシル型のゼオライト材料。
【請求項19】
(I)請求項1から6までのいずれか1項に記載のゼオライト材料又は請求項12から17までのいずれか1項に記載の方法により得られるゼオライト材料及び少なくとも1種の結合剤を含有する混合物の製造;(II)混合物の混練;(III)混練した混合物を成形して少なくとも1種の成形体を得る工程;(IV)少なくとも1種の成形体の乾燥;(V)乾燥した成形体のか焼の工程を含む、請求項7から11までのいずれか1項に記載の成形体の製法。
【請求項20】
(I)により使用される結合剤がSiOを含有する結合剤である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(I)による混合物が付加的に少なくとも1種の孔形成剤を含有する、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
請求項19から21までのいずれか1項に記載の方法により得られる成形体。
【請求項23】
請求項1から6までのいずれか1項に記載のゼオライト材料又は請求項12から17までのいずれか1項に記載の方法により得られるゼオライト材料又は請求項7から11までのいずれか1項に記載成形体又は請求項19から21までのいずれか1項に記載の方法により得られる成形体の触媒としての使用。
【請求項24】
触媒をトリエチレンジアミンの合成用に使用することを特徴とする、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
式(I)
【化1】

[式中、R、R、R及びRは相互に無関係に水素原子又は炭素原子1〜4個を有するアルキル基を表し、Xは酸素−又は窒素原子を表す]による構造単位を有する、少なくとも1種の出発物質の反応によるトリエチレンジアミン又はアルキル置換されたその誘導体の製造に際して、反応を請求項1から6までのいずれか1項に記載のゼオライト材料又は請求項12から17までのいずれか1項に記載の方法により得られるゼオライト材料を用いて行うことを特徴とするトリエチレンジアミン又はアルキル置換されたその誘導体の製法。
【請求項26】
(A)ピペラジン(PIP)x質量%及び(B)エチレンジアミン(EDA)y質量%から成る(その際x+y=100かつ0≦x≦100及び0≦y≦100)出発物質の反応による請求項25に記載の方法。
【請求項27】
出発物質を少なくとも1種の溶剤又は希釈剤中で反応させることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
触媒のゼオライト材料の少なくとも1部をH形で使用する、請求項25から27までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
xが0であり、反応を300〜400℃の範囲の温度及び0.01〜50バールの範囲の圧力で行う、請求項26から28までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
yが0であり、反応を300〜450℃の範囲の温度及び0.01〜50バールの範囲の圧力で行う、請求項26から28までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
x及びyが0でなく、水、EDA及びPIPが水に関して10〜50質量%及びPIP及びEDAの質量の合計に関して90〜50質量%存在する、請求項26から28までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
反応を290〜400℃の範囲の温度及び0.01〜10バールの範囲の圧力で行う、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
EDA及びPIPがEDA質量対PIP質量の比として計算して、1:1から10:1の範囲の質量比で存在する、請求項31又は32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−533580(P2007−533580A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541903(P2006−541903)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013733
【国際公開番号】WO2005/053842
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】