ペン先、ペン先カセット、導電性入力ペン
【課題】長期にわたって入力性能の低下を防止するとともに、使用感の低下を抑制するようにしたペン先カセット等を提供する。
【解決手段】複数の金属糸を織る若しくは編むことで布状に形成された、又は複数の金属性繊維をフェルト状にすることで形成された金属製の布状部材22を、その中央部22bを凸状に湾曲させて湾曲部を構成し、前記湾曲部の外側部分を前記液晶パネルに接離させる接触部Sとした。また、この布状部材22の周縁部22aを筒状部材23の内側23dで保持することにより、ペン先カセット20を構成する。
【解決手段】複数の金属糸を織る若しくは編むことで布状に形成された、又は複数の金属性繊維をフェルト状にすることで形成された金属製の布状部材22を、その中央部22bを凸状に湾曲させて湾曲部を構成し、前記湾曲部の外側部分を前記液晶パネルに接離させる接触部Sとした。また、この布状部材22の周縁部22aを筒状部材23の内側23dで保持することにより、ペン先カセット20を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルの入力に使用される、導電性入力ペンに使用されるペン先、ペン先カセット、導電性入力ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルを使用したコンピュータ等の入力装置として、例えば、液晶パネルとの間の静電容量の変化を利用して入力を行う、導電性入力ペンが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の入力ペンのうち、液晶パネルの表面と接触する先端部(接触部)にスポンジや合成ゴム(合成樹脂)を使用したものが知られている。
【0004】
しかしながら、これらは、例えば、液晶パネル表面で入力ペンを滑らせて文字を入力する等の場合、入力ペンが円滑に移動しないために作業性が悪いという欠点がある。
【0005】
このような欠点を解消した入力ペンとして、導電性ブラシを使用したものが知られている。このものは、入力ペンの先端に多数の導電性の金属糸をブラシ状に束ねたものである。これによると、入力ペンの円滑な移動が可能となり、作業性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−221177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ブラシ状の入力ペンは、ブラシの先端が湾曲して液晶パネル先端に接触するため、長期使用に際して、ブラシの先端が広がって、入力性能が低下するととともに、使用感が劣ってくるという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、長期にわたって入力性能の低下を防止するとともに、使用感の低下を抑制するようにしたペン先、ペン先カセット、導電性入力ペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、導電性入力ペンの一部を構成し、液晶パネルに接離されることで入力を行うペン先において、複数の金属糸を織る若しくは編むことで布状に形成された、又は複数の金属性繊維をフェルト状にすることで形成された金属製の布状部材を、その中央部を凸状に湾曲させて湾曲部を構成し、前記湾曲部の外側部分を前記液晶パネルに接離させる接触部とした、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係るペン先において、前記金属糸及び前記金属繊維が、ステンレス鋼によって形成されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、導電性入力ペンのペン本体に着脱されるペン先カセットにおいて、請求項1又は2に記載のペン先と、前記ペン先の周縁部を保持するとともに前記ペン本体に対して着脱自在なホルダとを有する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のペン先カセットにおいて、前記ホルダは、前記ペン先の周縁部を内側に保持するとともに前記ペン先の中央部を一方の端部から突出させる筒状部を有する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項4に係るペン先カセットにおいて、前記ペン先の内側に挿入されて前記ペン先の中央部の形状を保持する芯材を有する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項4又は5に係るペン先カセットにおいて、前記ホルダは、前記ペン本体に螺合可能なねじ部を有する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、ペン先を液晶パネルに接離されることで入力を行う導電性入力ペンにおいて、請求項3ないし6のいずれか1項に係るペン先カセットと、前記ペン先カセットを保持する導電性のペン本体と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、ペン先が、金属製の布状部材によって構成されているので、ブラシ状のペン先や、編んだり織ったりすることなく単に複数の金属糸を束ねただけの糸束によって湾曲部を構成したペン先等と比較して、ペン先を液晶パネルの表面に接触させた際に、接触部(の面積)を確実に確保するとともに、不要な変形を抑制して、接触部の形状を安定させることができる。したがって、長期にわたって、入力性能の低下を防止するとともに、使用感の低下を抑制することができる。また、耐摩耗性に優れている。
【0017】
請求項2の発明によれば、布状部材を構成する金属糸又は金属繊維が、ステンレス鋼によって構成されているので、例えば、合成繊維に金属メッキを施した糸等、ステンレス鋼以外の金属糸と比較して、耐久性、耐食性に優れ、長期にわたって所期の性能を確保することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、ペン先をホルダを介してペン本体に着脱することができるので、ペン本体に対するペン先の着脱が容易である。
【0019】
請求項4の発明によれば、ペン先の周縁部を筒状部材の内側で保持し、ペン先の中央部を筒状部材の一方の端部から突出させることで、容易にペン先カセットを構成することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、ペン先の内側に芯材を挿入することにより、ペン先の中央部の形状を保持して不要な変形を防止するとともに、変形した際に容易に復元させることができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、ホルダのねじ部をペン本体に螺合させることで、ペン先カセットをペン本体に確実に取り付けることができ、また、ペン本体に対するねじ部の螺合量を調整することにより、ペン先の突出量を微調整することができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、導電性入力ペンにおいて、ペン先カセットの交換が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は導電性入力ペン1の正面図である。
【図2】図1中のA−A線矢視図である。
【図3】実施形態1のペン先カセット20の拡大正面図である。
【図4】図3中のB−B線矢視図である。
【図5】実施形態2のペン先カセット20の拡大正面図である。
【図6】図5中のC−C線矢視図である。
【図7】実施形態4のペン先カセット20の拡大正面図である。
【図8】図5中のD−D線矢視図である。
【図9】実施形態5の接触部S3を説明する図である。
【図10】(A)は、実施形態6のペン先カセットの分解斜視図であり、(B)はペン先カセットの、軸心Cを通る平面で切った断面図である。
【図11】実施形態6の他の布状部材を説明する断面図である。
【図12】実施形態7の芯材61を説明する断面図である。
【図13】実施形態7の芯材62を説明する断面図である。
【図14】実施形態7の芯材63を説明する断面図である。
【図15】実施形態7の芯材64を説明する断面図である。
【図16】実施形態7の芯材65を説明する断面図である。
【図17】実施形態7の芯材66を説明する断面図である。
【図18】スマートフォン70に、導電性入力ペン2を取り付けた状態を示す正面図である。
【図19】導電性入力ペン2の使用例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を適用した実施形態を、図面に基づいて詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同一又は類似の構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
【0025】
図1〜図4を参照して、本発明を適用した実施形態1に係る導電性入力ペン1について説明する。
【0026】
ここで、図1は、導電性入力ペン1の正面図である。図2は、図1中のA−A線矢視図である。図3は、入力部としてのペン先カセット20の拡大正面図である。図4は、図3中のB−B線矢視図である。なお、以下の説明では、図1〜図4における上側を「導電性入力ペン1」の上側、また、図1〜図4における下側を「導電性入力ペン1の下側」として説明する。
【0027】
図1,図2に示すように、導電性入力ペン1は、導電性のペン本体10と、入力部としての導電性のペン先カセット20とを備え、さらに、筆記部30を備えて構成されている。
【0028】
ペン本体10は、軸心Cに沿って延びる、略筒状(図示例では、円筒状)に形成されている。ペン本体10は、長手方向(軸心Cに沿った方向)の上端部(一方の端部)10a側の上パーツ11と、下端部(他方の端部)10b側の下パーツ12とを有していて、これらが軸心Cを基準として相対回転可能に係合されている。
【0029】
上パーツ11には、軸心Cに沿って延びる透孔11aが形成されていて、この透孔11aには、円筒部材11bが収納されている。円筒部材11bの端部(図2では上端部)の内面には、雌ねじ部11cが形成されている。この雌ねじ部11cには、後述するホルダ21の雄ねじ(ねじ部)21aが螺合される。上パーツ11の下部の外周には、導電性入力ペン1をポケット等(不図示)にかけるためのクリップ11dが設けてある。
【0030】
下パーツ12には、軸心Cに沿って円筒部材12aが収納されていて、この円筒部材12aに沿って、後述する筆記部30の芯31が昇降される。
【0031】
ペン先カセット20は、図3,図4に示すように、導電性のホルダ21と、このホルダ21によって保持された金属製の布状部材22とを有している。なお、布状部材22を所定の形状(ホルダ21によって保持した形状、製品としての形状)に形成したものについて、これを「ペン先」という。
【0032】
ホルダ21は、筒状(図示例では円筒状)に形成されていて、下部の外周面に、上述の雌ねじ部11cに螺合し得る雄ねじ(ねじ部)21aを有し、上部に、布状部材22の周縁部22aを保持する筒状部21bを有している。
【0033】
布状部材22は、金属製の糸からなる織物、編み物、又はフェルト状のものである。なお、布状部材22については後に詳述する。布状部材22は、周縁部22aがホルダ21の内側によって保持されるとともに、中央部22bがホルダ21の上端(一方の端部)21cから突出されて、外側に向かって凸状に湾曲されて湾曲部を構成している。湾曲部の外側部分が接触部Sとなって、液晶パネル72(図19参照)の表面に接離されることになる。なお、「接触部」ということばは、これの外に、接触部のうちの「実際に接触する部分(接触部分)」についても適宜使用する。接触部S全体の表面は、上方に向かって凸状の緩やかな曲面状に形成されている。さらに詳しくは、接触部S全体は、半球と全球(球体)との略中間のような形状に形成されている。
【0034】
ペン先カセット20は、ホルダ21の雄ねじ21aを、図2に示すペン本体10側の円筒部材11bの雌ねじ部11cに螺合させることにより、ペン本体10に対して着脱可能に取り付けられる。この際、ホルダ21の上端21cが、ペン本体10の上端縁10cと略一致して、接触部Sがペン本体10の上端縁10cから突出するようになっている。ホルダ21と布状部材22とによって構成されたペン先カセット20は、ペン本体10に対して交換が容易となっている。
【0035】
筆記部30は、上述のペン本体10の下パーツ12の円筒部材12aの内側を昇降可能な芯31と、この芯31を出し入れする芯出し機構32とを有している。芯出し機構32は、周知の機構であり、ペン本体10の上パーツ11と下パーツ12とを適宜に相対回転させることで、ペン本体10の下端部10bから芯31の先端31aを出し入れできるようになっている。なお、芯出し機構としては、周知のノック式のものを採用することも可能である。
【0036】
上述構成の導電性入力ペン1は、その使用に際し、ペン先を構成する布状部材22が液晶パネル表面に接触するため、適度な弾力性を持って液晶パネル表面に当接し、長期にわたって安定した入力性能を確保することができるとともに、優れた使用感を発揮することができる。
【0037】
また、ホルダ21によって布状部材22の周縁部22aを保持することにより、接触部Sの形状を適宜に維持することができる。
【0038】
また、接触部Sは、半球状と球状との略中間の形状に形成されているので、例えば、導電性入力ペン1を直立させた状態で使用したり、傾斜させて使用したりした場合に、接触部Sは、略同じ状態で液晶パネル表面に接触するため、常に同様の入力性能、使用感を長期にわたって、確保することができる。
【0039】
また、導電性入力ペン1は、筆記部30を有しているので、筆記具としても使用することができる。
【0040】
なお、上述の説明では、ペン本体10側に雌ねじ部11cを設け、ペン先カセット20側に雄ねじ(ねじ部)21aを設けた場合を例に説明したが、この逆に、ペン本体10側に雄ねじを設け、ペン先カセット20側に雌ねじを設けるようにしてもよい。
【0041】
以上では、導電性入力ペン1に筆記部30を設けた例を説明したが、これに代えて、例えば、長手方向におけるペン先カセット20とは反対側に、液晶パネル72(図19参照)を清掃するための清掃部材(例えば、フェルト)、後に詳述するが、スマートフォンのイヤホンジャック71に取り付けるためのプラグ82等を設けてもよい。
【0042】
また、上述では、ペン本体10が導電性を有する場合を説明したが、これに代えて、ペン本体10の一部、例えば、表面を導電性部材で覆うことで、ペン先カセット20とペン本体10を握った人の手との導通(通電)を図るようにしてもよい。
<実施形態2>
【0043】
図5,図6を参照して、本発明を適用した実施形態2に係るペン先カセット20について説明する。ここで、図5は、本実施形態のペン先カセット20の拡大図である。また、図6は、図5中のC−C線矢視図である。
【0044】
本実施形態においては、布状部材22の、ホルダ21の上端(一方の端部)21cからの突出量を少なくして、接触部Sを略半球状に構成したものである。
【0045】
上述の実施形態1のものと比較して、接触部Sを液晶パネル表面に接触させた際に、変形量が少なく、硬質な使用感を実現するとともに、耐久性を向上させることができる。
<実施形態3>
【0046】
図1〜図4を参照して、本発明を適用した実施形態3に係る導電性入力ペンについて説明する。
【0047】
本実施形態は、接触部Sの形状を変更可能(調整可能)にしたものである。
図2に示すペン本体10の円筒部材11bの雌ねじ部11cを、軸心Cに沿って実施形態1よりも長く延長して設け、この雌ねじ部11cに対するホルダ21の雄ねじ21aのねじ込み量を調整可能としたものである。
【0048】
ペン先カセット20としては、図3,図4に示すものを使用し、そのホルダ21のねじ込み量を変更することにより、接触部Sをペン本体10の上端縁10c近傍で規制して、形状を変更する。例えば、接触部Sは、ねじ込み量が多い場合には、図5に示す形状となり、逆にねじ込み量が少ない場合には、図3に示す形状となる。また、両者の中間のねじ込み量の場合には、図3と図5との中間の形状の接触部Sとなる。
【0049】
本実施形態によると、使用状況に応じて、接触部Sの形状を変更することができる。すなわち、使用感や耐久性を適宜に調整することができる。
<実施形態4>
【0050】
図7,図8を参照して、本発明を適用した実施形態4に係るペン先カセット20について説明する。ここで、図7は、本実施形態のペン先カセット20の拡大図である。また、図8は、図7中のD−D線矢視図である。
【0051】
本実施形態においては、ペン先カセット20は、ホルダ21と金属製の布状部材22とを備えて構成されており、さらに、ホルダ21は、スナップリング等の筒状部材(筒状部)23と、この筒状部材23が装着されるねじ部材(ホルダ本体)24とを備えている。
【0052】
筒状部材23は、天部及び底部を有しない、略円筒状に形成されていて、軸方向に沿って凸凹のスリット23aが形成されていて、これにより、弾性を発揮することができる。なお、筒状部材23としては、スリット23aを有しない、単純な円筒状のものであってもよい。筒状部材23は、その内側23aに布状部材22の周縁部22aを保持する。
【0053】
ねじ部材24は、上端側には、上述の筒状部材23の下端部を保持する円筒状の保持部24aを有し、下端側には、ペン本体10(図2参照)の雌ねじ部11cに螺合可能な雄ねじ(ねじ部)24bを有している。保持部24aの内側24cの下端は段部24dとなっている。
【0054】
本実施形態のホルダ21は、筒状部材23によって、布状部材22の周縁部22aを保持し、中央部22bを筒状部材23の上端(一方の端部)23bから突出させて接触部Sを構成し、その後、筒状部材23をねじ部材24の保持部24aの内側24cに圧入、あるいは挿入後接着されることで、ペン先カセット20を構成することができる。
【0055】
本実施形態によれば、筒状部材23によって布状部材22を保持する際に、布状部材22を、その中央部22b側(接触部S側)を先頭にして筒状部材23の下端(他方の端部)側から挿入して、上端(他方の端部)23b側に突出させることができるので、その保持作業が容易となる。さらに、保持後、筒状部材23の弾性を利用して、ねじ部材24の保持部24aの内側に圧入することができるため、その圧入作業が容易となる。つまり、本実施形態によれば、ペン先カセット20の製造が容易となる。
【0056】
なお、本実施形態のホルダ21は、図3〜図6に示すホルダ21では一体であった雄ねじ21aと筒状部21bを分割して、それぞれねじ部材24、筒状部材23としたものである。
<実施形態5>
【0057】
図9を参照して、本発明を適用した実施形態5に係るペン先カセット20について説明する。図9(A)はペン先カセット20の分解斜視図であり、(B)はペン先カセットの斜視図である。
【0058】
ここで、上述の実施形態では、ペン先カセット20は、図3〜図8に示すように雄ねじ21a,24dを、ペン本体10の雌ねじ部11c(図2参照)に螺合させることで、ペン本体10に取り付ける(装着する)ことができるようになっていた。
【0059】
これに対し、ペン本体10の、ペン先カセット20の装着先となる受部分(不図示)が、雌ねじ部11cに代えて、円筒状に形成されている場合には、筒状部材23を直接、受部分の内側に装着することができる。この場合には、筒状部材23が単独でホルダ21を構成することになり、布状部材22と筒状部材23とによってペン先カセット20を構成することができる。
【0060】
すなわち、図9に示す筒状部材23は、図7,図8に示すねじ部材24とともにホルダ21を構成することも可能であり、また、単独でホルダ21を構成することも可能である。この点については、図10〜図17に示す筒状部材23についても同様である。
【0061】
ここで、布状部材22について詳述する。
図9に示す布状部材22は、金属繊維からなる複数の金属糸を、平織り、綾織りして形成したもの(織物)や、金属糸を編んで形成したもの(編物)を使用することができ、さらに、金属繊維をフェルト状にしたもの(フェルト)も使用可能である。
【0062】
金属繊維としては、断面が円形で、直径が5〜15μmのステンレス鋼繊維を好適に使用することができる。ステンレス鋼繊維からなる布状部材22は、他の一般的な金属繊維で作った金属糸や金属メッキを施した金属糸で作ったものと比較して、耐熱性、耐食性、耐候性、耐摩耗性に優れている。
【0063】
また、ステンレス鋼繊維の直径が例えば、12μm以下の場合には、布状部材22を、液晶パネル72(図19参照)の表面に接触させて入力を行った場合でも、液晶パネル72表面に傷が付きにくい。
【0064】
また、例えば、ステンレス鋼繊維の直径が8μm以下の場合には、布状部材22の抵抗値を、カーボンやメッキ金属繊維で作った布状部材と比較して、電気抵抗値を低く抑制することができる。
【0065】
布状部材22の厚さについては、一般に、平織りよりも綾織りの方が厚くなり、さらに綾織りよりも編み物の方が厚くなる。ここで、例えば、厚さt=0.36mmの布状部材22を2枚使用した場合(図11参照)や厚さt=0.6mmの布状部材を1枚使用した場合(図10参照)は、良好な入力性能を確保することができた。これに対し、例えば、厚さt=0.65mmの布状部材22を3枚使用した場合には、ホルダへの装着ができなくなった。
【0066】
ここで、布状部材22として、編物を使用した場合には、上述のように、平織りや綾織りと比較して厚さが厚くなりがちであるが、伸縮性が高いので、接触部Sにおける弾力性を高めることができる。
【0067】
図9に示すペン先カセット20においては、布状部材22は、正方形状(又は長方形状)に形成されている。
【0068】
ペン先カセット20は、周縁部22aに相当する4つの端縁部(4つの辺部)を筒状部材23の内側に挿入して保持することにより、中央部22bが、筒状部材23の上端23bから突出されて接触部Sを構成する。この接触部S3は、半球状と全球状との中間の形状に形成されている。
【0069】
本実施形態によれば、布状部材22によって、上述形状の接触部Sが形成されるため、使用時に、液晶パネル72(図19参照)に対する導電性入力ペンの傾斜角度が異なった場合でも、液晶パネル72表面に対する接触部Sの接触状態が、平面に対する球面の接触となって略一定となり、安定した入力性能を確保することができる。つまり、使用者にとっては、導電性入力ペンの傾斜角度にかかわらず略同じ書き味となる。
<実施形態6>
【0070】
図10を参照して、実施形態6に係るペン先カセット20について説明する。ここで、図10(A)は、ペン先カセット20の分解斜視図であり、(B)はペン先カセット20を、その軸心Cを通る平面で切った断面図である。
【0071】
ペン先カセット20は、金属製の布状部材22とこれを保持する筒状部材23とを有している。筒状部材23は、底部及び天部が開口された円筒状に形成されていて、図9に示すものとは異なり、スリット23aは有していない。なお、筒状部材としては、スリットの有無は、いずれを採用することもでき、また形状についても、円筒状に限定されず、例えば、正六角筒状、正八角筒状等であってもよい。
【0072】
本実施形態では、布状部材22としては、円形に切りだされたものを使用している。これによると、図10(B)に示すように、布状部材22を所定の形状にした際の端部(同図では下端部)の処理が前述の正方形のものと比較して容易となる。
【0073】
布状部材22は、中央部22bが筒状部材23の上端部23bから突出されてほぼ半球状に形成されるとともに、周縁部22aが筒状部材23の内側23dに、例えば、接着材等を使用して接着(保持)される。
【0074】
ここで、布状部材22の中央部22の形状は、半球状に限らず、半球状よりも小さめ、半球状よりも全球に近い形状、ラグビー球状、放物線の回転形状、双曲線の回転形状等であってもよい。つまり、外側に向かって湾曲する形状であればよい。
【0075】
本実施形態では、布状部材22の内側には、中央部22bの形状を保つための芯材を挿入していない。このため、布状部材22としては、比較的厚手のものが好適である。例えば、平織りのもよりも綾織りのもの、また編んだもの、厚手のフェルト状のものを好適に使用することができる。
【0076】
図11に、本実施形態の変形例を示す。複数枚の布状部材22,22を重ねて、中央部22b,22bの形状を整えるようにしてもよい。なお、2枚に限定されず、3枚以上であってもよい。この場合、例えば、綾織りや編み物等と比較して厚さが薄い平織りの布状部材22を複数枚重ねて使用する場合に適している。
<実施形態7>
【0077】
図12〜図17を使用して、布状部材22の中央部22bの形状を整えるために、芯材61〜64を、布状部材22の内側に挿入する例を説明する。なお、芯材61の材質としては、適度な弾性を有するもの、芯材61〜64は、例えば、合成樹脂、ゴム、発泡スチロール、スポンジ等を使用することが可能である。これらの材質と、さらに、後述するような適宜な形状とを組み合わせることにより、長期にわたって入力性能の低下を防止するとともに、優れた使用感を確保することができる。
【0078】
図12に示す例では、芯材61は、球状に形成されていて、布状部材22の中央部22bに対応する部分にのみ挿入されている。これにより、布状部材22の中央部22bの形状をほぼ球状に維持することができる。図12に示す芯材61、すなわち、筒状部材23に対応する部分にはかからない芯材61を使用した場合には、芯材61の大きさを小さくすることができる。なお、芯材61の形状としては、球状に限定されず、例えば、ラグビー球状、立方体状、高さと直径とが同じな円柱状等とすることもできる。
【0079】
図13に示す例では、布状部材22の内側に挿入する芯材ペン先カセット20の形状を、円柱部分62aと半球部分62bとが合成された形状としている。これにより、筒状部材23の内面と芯材62の円柱部分の外面との間で、布状部材22の周縁部22aを挟持し、また、芯材62の半球部分62bによって、布状部材22の中央部22bの形状をほぼ半球状に保持することができる。さらに、図13に示す例では、芯材62として、適宜な弾性力を有するものと使用して、布状部材22の周縁部22aに対する挟持力を向上させるようにすれば、布状部材22を筒状部材23に取り付ける〈接着する)ための接着剤を割愛することも可能である。
【0080】
図14に示す例では、布状部材22の内側に挿入する芯材63の形状を、円柱状として、円柱の端面(同図では上端面)の円形の周端縁63aが布状部材22の中央部22bの内面に当接するようにしている。同図に示す芯材63を使用した場合、芯材63の上端面と布状部材22の中央部22bの内面との間に、空間Gが形成されるおそれがあるが、布状部材22として、比較的厚手で、比較的剛性の高いものを使用した場合には、同図に示す芯材63であっても、芯材63及び布状部材22の弾性により、中央部22bの形状を所定の形状に維持することが可能である。同図に示す芯材63は、上下が対称であるため、ペン先カセット20の組立時に、布状部材22に対して、上下逆さまに挿入する不具合が発生しない。同図に示すペン先カセット20は、布状部材22として、弾性が大きい編みものが好適である。
【0081】
図15に示す例では、芯材64として、円柱部分64aと、半球と全球との中間の形状の部分64bとの合成形状としている。同図に示す例では、布状部材22の中央部22bの形状を半球状よりも全球状に近づけることができるので、液晶パネル72の表面に対して、導電性入力ペンを大きく傾斜させて使用する場合、極端な例では、導電性入力ペンを真横に倒して使用する場合でも、通常に使用する場合と同様の接触部分の操作性を確保することができる。
【0082】
なお、図13〜図15に示す例のように、芯材62,63,64の長さ(図中の上下方向の寸法)を筒状部材23の長さよりも長く設定する場合には、ペン先カセット20の組立時に、布状部材22の中央部22bに、下方から芯材62,63,64の先端(上端)を当てて、筒状部材23の下端から中央部22bを押し上げて、筒状部材23の上端23bから突出させて接触部Sを形成する際に、他の工具等を使用することなく接触部Sを形成することができるので、便宜である。
【0083】
図16に示す例では、芯材65が棒状部65aとその先端(上端)に設けた板状部65b(例えば円板状)によって構成されている。棒状部65aは、比較的容易に湾曲可能な太さとする。この例は、弾性の高い、編み物でかつ厚さが厚い布状部材22に好適である。この例では、芯材65自体が湾曲することができるので、軟らかな書き味を実現することがある。
【0084】
図17に示す例は、芯材66は、棒状部66aと先端(上端)の球状部66bと基端(下端)の蓋状部66cとによって形成されている。この例では、図16の例の効果に加えて、さらに、中央部22b(接触部S)の形状を所定の形状に維持しやすく、さらに、蓋状部66cにより、組立時の芯材66の挿入長さを確認できるとともに、筒状部材23内への異物の浸入を防止することができる。
【0085】
ここで、図9〜図17に示すペン先カセット20において、接触部Sの直径は、4〜6mmが好適である。例えば、スマートフォン70の液晶パネル72に表示されるキーボードの大きさが6×4mm程度であるため、これに合わせて、設定するとよい。
【0086】
図9〜図17に示す芯材61〜66のうちでは、図13に示す芯材62が好適である。この芯材62の半球部分62bの直径は、接触部Sの直径が4〜6mmが好適であるため、4.5〜5.5mmが好適である。
【0087】
ここで、図13〜図15に示す芯材61〜64の材質としては、具体的には、EVA(エチレン・酢酸ビニルゴム)発泡スポンジやEPDM(エチレン・プロピレンゴム)発泡スポンジを好適に使用することができる。前者のEVAは、対候性、耐熱性、耐水性、耐オゾン性に優れていて、しかも安価である。一方、後者のEPDMは、EVAの性能と比較して同等で、さらに耐薬品性に優れているが、EVAよりも高価である。
<実施形態8>
【0088】
図18,図19に、導電性入力ペン2の他の実施態様を示す。図18は、スマートフォン70に、導電性入力ペン2を取り付けた状態を示す正面図である。また図19は、導電性入力ペン2の使用例を示す斜視図である。
【0089】
スマートフォン70は、表面に入力部となる液晶パネル72を有し、また、上部の側面に、イヤホンジャック71を備えている。
【0090】
導電性入力ペン2は、ペン本体80と、一方の端部から布状部材22の接触部Sが突出されている。他方の端部には、ペン本体80と直角に配置されたプラグ82を有するキャップ81が着脱自在に装着されている。導電性入力ペン2は、このプラグ82を、イヤホンジャック71に挿入することにより、スマートフォン70の上端に沿って左右方向にコンパクトに取り付けることができる。また、使用に際しては、プラグ82をイヤホンジャック71から引き抜くことで、簡単に使用可能な状態となる。なお、導電性入力ペン2の使用時に、プラグ82が邪魔になる場合には、ペン本体80からキャップ81を外すようにすればよい。なお、導電性入力ペン2として、プラグ82をキャップ81を介してペン本体80に取り付けるものに代えて、プラグ82を直接、ペン本体80に取り付けるようにしてもよい。この場合、プラグ82が、ペン本体80の長手方向に向く第1位置と、倒伏してペン本体80に対して90度の第2位置との間を揺動可能に構成するとよい。
【0091】
導電性入力ペン2は、スマートフォンに限らず、タブレット型のPCに対しても同様に便宜に使用することができる。
【0092】
なお、導電性入力ペンの他の例として、ペン本体の長手方向の一方の端部には、図5〜図8に示す、雄ねじ(ねじ部)21a,24dを有するホルダ21を着脱することができ、他方の端部には、ホルダ21としての筒状部材23を直接、着脱することができるようなものであってもよい。
【0093】
さらに、導電性入力ペンのさらに別の例として、ペン本体の一方の端部には、上述の実施形態で説明したペン先カセットが着脱可能であり、他方の端部には、一般的な合成樹脂製のペン先が取り付けられているものであってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1,2 導電性入力ペン
10,80 ペン本体
20 ペン先カセット(入力部)
21 ホルダ
21a,24b 雄ねじ(ねじ部)
21b 筒状部
22 布状部材
22a 周縁部
22b 中央部
23 筒状部材(ホルダ)
24 ねじ部材(ホルダ本体)
61〜66 芯材
72 液晶パネル
C 軸心
S 接触部
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルの入力に使用される、導電性入力ペンに使用されるペン先、ペン先カセット、導電性入力ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルを使用したコンピュータ等の入力装置として、例えば、液晶パネルとの間の静電容量の変化を利用して入力を行う、導電性入力ペンが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の入力ペンのうち、液晶パネルの表面と接触する先端部(接触部)にスポンジや合成ゴム(合成樹脂)を使用したものが知られている。
【0004】
しかしながら、これらは、例えば、液晶パネル表面で入力ペンを滑らせて文字を入力する等の場合、入力ペンが円滑に移動しないために作業性が悪いという欠点がある。
【0005】
このような欠点を解消した入力ペンとして、導電性ブラシを使用したものが知られている。このものは、入力ペンの先端に多数の導電性の金属糸をブラシ状に束ねたものである。これによると、入力ペンの円滑な移動が可能となり、作業性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−221177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ブラシ状の入力ペンは、ブラシの先端が湾曲して液晶パネル先端に接触するため、長期使用に際して、ブラシの先端が広がって、入力性能が低下するととともに、使用感が劣ってくるという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、長期にわたって入力性能の低下を防止するとともに、使用感の低下を抑制するようにしたペン先、ペン先カセット、導電性入力ペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、導電性入力ペンの一部を構成し、液晶パネルに接離されることで入力を行うペン先において、複数の金属糸を織る若しくは編むことで布状に形成された、又は複数の金属性繊維をフェルト状にすることで形成された金属製の布状部材を、その中央部を凸状に湾曲させて湾曲部を構成し、前記湾曲部の外側部分を前記液晶パネルに接離させる接触部とした、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係るペン先において、前記金属糸及び前記金属繊維が、ステンレス鋼によって形成されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、導電性入力ペンのペン本体に着脱されるペン先カセットにおいて、請求項1又は2に記載のペン先と、前記ペン先の周縁部を保持するとともに前記ペン本体に対して着脱自在なホルダとを有する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のペン先カセットにおいて、前記ホルダは、前記ペン先の周縁部を内側に保持するとともに前記ペン先の中央部を一方の端部から突出させる筒状部を有する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項4に係るペン先カセットにおいて、前記ペン先の内側に挿入されて前記ペン先の中央部の形状を保持する芯材を有する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項4又は5に係るペン先カセットにおいて、前記ホルダは、前記ペン本体に螺合可能なねじ部を有する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、ペン先を液晶パネルに接離されることで入力を行う導電性入力ペンにおいて、請求項3ないし6のいずれか1項に係るペン先カセットと、前記ペン先カセットを保持する導電性のペン本体と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、ペン先が、金属製の布状部材によって構成されているので、ブラシ状のペン先や、編んだり織ったりすることなく単に複数の金属糸を束ねただけの糸束によって湾曲部を構成したペン先等と比較して、ペン先を液晶パネルの表面に接触させた際に、接触部(の面積)を確実に確保するとともに、不要な変形を抑制して、接触部の形状を安定させることができる。したがって、長期にわたって、入力性能の低下を防止するとともに、使用感の低下を抑制することができる。また、耐摩耗性に優れている。
【0017】
請求項2の発明によれば、布状部材を構成する金属糸又は金属繊維が、ステンレス鋼によって構成されているので、例えば、合成繊維に金属メッキを施した糸等、ステンレス鋼以外の金属糸と比較して、耐久性、耐食性に優れ、長期にわたって所期の性能を確保することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、ペン先をホルダを介してペン本体に着脱することができるので、ペン本体に対するペン先の着脱が容易である。
【0019】
請求項4の発明によれば、ペン先の周縁部を筒状部材の内側で保持し、ペン先の中央部を筒状部材の一方の端部から突出させることで、容易にペン先カセットを構成することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、ペン先の内側に芯材を挿入することにより、ペン先の中央部の形状を保持して不要な変形を防止するとともに、変形した際に容易に復元させることができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、ホルダのねじ部をペン本体に螺合させることで、ペン先カセットをペン本体に確実に取り付けることができ、また、ペン本体に対するねじ部の螺合量を調整することにより、ペン先の突出量を微調整することができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、導電性入力ペンにおいて、ペン先カセットの交換が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は導電性入力ペン1の正面図である。
【図2】図1中のA−A線矢視図である。
【図3】実施形態1のペン先カセット20の拡大正面図である。
【図4】図3中のB−B線矢視図である。
【図5】実施形態2のペン先カセット20の拡大正面図である。
【図6】図5中のC−C線矢視図である。
【図7】実施形態4のペン先カセット20の拡大正面図である。
【図8】図5中のD−D線矢視図である。
【図9】実施形態5の接触部S3を説明する図である。
【図10】(A)は、実施形態6のペン先カセットの分解斜視図であり、(B)はペン先カセットの、軸心Cを通る平面で切った断面図である。
【図11】実施形態6の他の布状部材を説明する断面図である。
【図12】実施形態7の芯材61を説明する断面図である。
【図13】実施形態7の芯材62を説明する断面図である。
【図14】実施形態7の芯材63を説明する断面図である。
【図15】実施形態7の芯材64を説明する断面図である。
【図16】実施形態7の芯材65を説明する断面図である。
【図17】実施形態7の芯材66を説明する断面図である。
【図18】スマートフォン70に、導電性入力ペン2を取り付けた状態を示す正面図である。
【図19】導電性入力ペン2の使用例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を適用した実施形態を、図面に基づいて詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同一又は類似の構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
【0025】
図1〜図4を参照して、本発明を適用した実施形態1に係る導電性入力ペン1について説明する。
【0026】
ここで、図1は、導電性入力ペン1の正面図である。図2は、図1中のA−A線矢視図である。図3は、入力部としてのペン先カセット20の拡大正面図である。図4は、図3中のB−B線矢視図である。なお、以下の説明では、図1〜図4における上側を「導電性入力ペン1」の上側、また、図1〜図4における下側を「導電性入力ペン1の下側」として説明する。
【0027】
図1,図2に示すように、導電性入力ペン1は、導電性のペン本体10と、入力部としての導電性のペン先カセット20とを備え、さらに、筆記部30を備えて構成されている。
【0028】
ペン本体10は、軸心Cに沿って延びる、略筒状(図示例では、円筒状)に形成されている。ペン本体10は、長手方向(軸心Cに沿った方向)の上端部(一方の端部)10a側の上パーツ11と、下端部(他方の端部)10b側の下パーツ12とを有していて、これらが軸心Cを基準として相対回転可能に係合されている。
【0029】
上パーツ11には、軸心Cに沿って延びる透孔11aが形成されていて、この透孔11aには、円筒部材11bが収納されている。円筒部材11bの端部(図2では上端部)の内面には、雌ねじ部11cが形成されている。この雌ねじ部11cには、後述するホルダ21の雄ねじ(ねじ部)21aが螺合される。上パーツ11の下部の外周には、導電性入力ペン1をポケット等(不図示)にかけるためのクリップ11dが設けてある。
【0030】
下パーツ12には、軸心Cに沿って円筒部材12aが収納されていて、この円筒部材12aに沿って、後述する筆記部30の芯31が昇降される。
【0031】
ペン先カセット20は、図3,図4に示すように、導電性のホルダ21と、このホルダ21によって保持された金属製の布状部材22とを有している。なお、布状部材22を所定の形状(ホルダ21によって保持した形状、製品としての形状)に形成したものについて、これを「ペン先」という。
【0032】
ホルダ21は、筒状(図示例では円筒状)に形成されていて、下部の外周面に、上述の雌ねじ部11cに螺合し得る雄ねじ(ねじ部)21aを有し、上部に、布状部材22の周縁部22aを保持する筒状部21bを有している。
【0033】
布状部材22は、金属製の糸からなる織物、編み物、又はフェルト状のものである。なお、布状部材22については後に詳述する。布状部材22は、周縁部22aがホルダ21の内側によって保持されるとともに、中央部22bがホルダ21の上端(一方の端部)21cから突出されて、外側に向かって凸状に湾曲されて湾曲部を構成している。湾曲部の外側部分が接触部Sとなって、液晶パネル72(図19参照)の表面に接離されることになる。なお、「接触部」ということばは、これの外に、接触部のうちの「実際に接触する部分(接触部分)」についても適宜使用する。接触部S全体の表面は、上方に向かって凸状の緩やかな曲面状に形成されている。さらに詳しくは、接触部S全体は、半球と全球(球体)との略中間のような形状に形成されている。
【0034】
ペン先カセット20は、ホルダ21の雄ねじ21aを、図2に示すペン本体10側の円筒部材11bの雌ねじ部11cに螺合させることにより、ペン本体10に対して着脱可能に取り付けられる。この際、ホルダ21の上端21cが、ペン本体10の上端縁10cと略一致して、接触部Sがペン本体10の上端縁10cから突出するようになっている。ホルダ21と布状部材22とによって構成されたペン先カセット20は、ペン本体10に対して交換が容易となっている。
【0035】
筆記部30は、上述のペン本体10の下パーツ12の円筒部材12aの内側を昇降可能な芯31と、この芯31を出し入れする芯出し機構32とを有している。芯出し機構32は、周知の機構であり、ペン本体10の上パーツ11と下パーツ12とを適宜に相対回転させることで、ペン本体10の下端部10bから芯31の先端31aを出し入れできるようになっている。なお、芯出し機構としては、周知のノック式のものを採用することも可能である。
【0036】
上述構成の導電性入力ペン1は、その使用に際し、ペン先を構成する布状部材22が液晶パネル表面に接触するため、適度な弾力性を持って液晶パネル表面に当接し、長期にわたって安定した入力性能を確保することができるとともに、優れた使用感を発揮することができる。
【0037】
また、ホルダ21によって布状部材22の周縁部22aを保持することにより、接触部Sの形状を適宜に維持することができる。
【0038】
また、接触部Sは、半球状と球状との略中間の形状に形成されているので、例えば、導電性入力ペン1を直立させた状態で使用したり、傾斜させて使用したりした場合に、接触部Sは、略同じ状態で液晶パネル表面に接触するため、常に同様の入力性能、使用感を長期にわたって、確保することができる。
【0039】
また、導電性入力ペン1は、筆記部30を有しているので、筆記具としても使用することができる。
【0040】
なお、上述の説明では、ペン本体10側に雌ねじ部11cを設け、ペン先カセット20側に雄ねじ(ねじ部)21aを設けた場合を例に説明したが、この逆に、ペン本体10側に雄ねじを設け、ペン先カセット20側に雌ねじを設けるようにしてもよい。
【0041】
以上では、導電性入力ペン1に筆記部30を設けた例を説明したが、これに代えて、例えば、長手方向におけるペン先カセット20とは反対側に、液晶パネル72(図19参照)を清掃するための清掃部材(例えば、フェルト)、後に詳述するが、スマートフォンのイヤホンジャック71に取り付けるためのプラグ82等を設けてもよい。
【0042】
また、上述では、ペン本体10が導電性を有する場合を説明したが、これに代えて、ペン本体10の一部、例えば、表面を導電性部材で覆うことで、ペン先カセット20とペン本体10を握った人の手との導通(通電)を図るようにしてもよい。
<実施形態2>
【0043】
図5,図6を参照して、本発明を適用した実施形態2に係るペン先カセット20について説明する。ここで、図5は、本実施形態のペン先カセット20の拡大図である。また、図6は、図5中のC−C線矢視図である。
【0044】
本実施形態においては、布状部材22の、ホルダ21の上端(一方の端部)21cからの突出量を少なくして、接触部Sを略半球状に構成したものである。
【0045】
上述の実施形態1のものと比較して、接触部Sを液晶パネル表面に接触させた際に、変形量が少なく、硬質な使用感を実現するとともに、耐久性を向上させることができる。
<実施形態3>
【0046】
図1〜図4を参照して、本発明を適用した実施形態3に係る導電性入力ペンについて説明する。
【0047】
本実施形態は、接触部Sの形状を変更可能(調整可能)にしたものである。
図2に示すペン本体10の円筒部材11bの雌ねじ部11cを、軸心Cに沿って実施形態1よりも長く延長して設け、この雌ねじ部11cに対するホルダ21の雄ねじ21aのねじ込み量を調整可能としたものである。
【0048】
ペン先カセット20としては、図3,図4に示すものを使用し、そのホルダ21のねじ込み量を変更することにより、接触部Sをペン本体10の上端縁10c近傍で規制して、形状を変更する。例えば、接触部Sは、ねじ込み量が多い場合には、図5に示す形状となり、逆にねじ込み量が少ない場合には、図3に示す形状となる。また、両者の中間のねじ込み量の場合には、図3と図5との中間の形状の接触部Sとなる。
【0049】
本実施形態によると、使用状況に応じて、接触部Sの形状を変更することができる。すなわち、使用感や耐久性を適宜に調整することができる。
<実施形態4>
【0050】
図7,図8を参照して、本発明を適用した実施形態4に係るペン先カセット20について説明する。ここで、図7は、本実施形態のペン先カセット20の拡大図である。また、図8は、図7中のD−D線矢視図である。
【0051】
本実施形態においては、ペン先カセット20は、ホルダ21と金属製の布状部材22とを備えて構成されており、さらに、ホルダ21は、スナップリング等の筒状部材(筒状部)23と、この筒状部材23が装着されるねじ部材(ホルダ本体)24とを備えている。
【0052】
筒状部材23は、天部及び底部を有しない、略円筒状に形成されていて、軸方向に沿って凸凹のスリット23aが形成されていて、これにより、弾性を発揮することができる。なお、筒状部材23としては、スリット23aを有しない、単純な円筒状のものであってもよい。筒状部材23は、その内側23aに布状部材22の周縁部22aを保持する。
【0053】
ねじ部材24は、上端側には、上述の筒状部材23の下端部を保持する円筒状の保持部24aを有し、下端側には、ペン本体10(図2参照)の雌ねじ部11cに螺合可能な雄ねじ(ねじ部)24bを有している。保持部24aの内側24cの下端は段部24dとなっている。
【0054】
本実施形態のホルダ21は、筒状部材23によって、布状部材22の周縁部22aを保持し、中央部22bを筒状部材23の上端(一方の端部)23bから突出させて接触部Sを構成し、その後、筒状部材23をねじ部材24の保持部24aの内側24cに圧入、あるいは挿入後接着されることで、ペン先カセット20を構成することができる。
【0055】
本実施形態によれば、筒状部材23によって布状部材22を保持する際に、布状部材22を、その中央部22b側(接触部S側)を先頭にして筒状部材23の下端(他方の端部)側から挿入して、上端(他方の端部)23b側に突出させることができるので、その保持作業が容易となる。さらに、保持後、筒状部材23の弾性を利用して、ねじ部材24の保持部24aの内側に圧入することができるため、その圧入作業が容易となる。つまり、本実施形態によれば、ペン先カセット20の製造が容易となる。
【0056】
なお、本実施形態のホルダ21は、図3〜図6に示すホルダ21では一体であった雄ねじ21aと筒状部21bを分割して、それぞれねじ部材24、筒状部材23としたものである。
<実施形態5>
【0057】
図9を参照して、本発明を適用した実施形態5に係るペン先カセット20について説明する。図9(A)はペン先カセット20の分解斜視図であり、(B)はペン先カセットの斜視図である。
【0058】
ここで、上述の実施形態では、ペン先カセット20は、図3〜図8に示すように雄ねじ21a,24dを、ペン本体10の雌ねじ部11c(図2参照)に螺合させることで、ペン本体10に取り付ける(装着する)ことができるようになっていた。
【0059】
これに対し、ペン本体10の、ペン先カセット20の装着先となる受部分(不図示)が、雌ねじ部11cに代えて、円筒状に形成されている場合には、筒状部材23を直接、受部分の内側に装着することができる。この場合には、筒状部材23が単独でホルダ21を構成することになり、布状部材22と筒状部材23とによってペン先カセット20を構成することができる。
【0060】
すなわち、図9に示す筒状部材23は、図7,図8に示すねじ部材24とともにホルダ21を構成することも可能であり、また、単独でホルダ21を構成することも可能である。この点については、図10〜図17に示す筒状部材23についても同様である。
【0061】
ここで、布状部材22について詳述する。
図9に示す布状部材22は、金属繊維からなる複数の金属糸を、平織り、綾織りして形成したもの(織物)や、金属糸を編んで形成したもの(編物)を使用することができ、さらに、金属繊維をフェルト状にしたもの(フェルト)も使用可能である。
【0062】
金属繊維としては、断面が円形で、直径が5〜15μmのステンレス鋼繊維を好適に使用することができる。ステンレス鋼繊維からなる布状部材22は、他の一般的な金属繊維で作った金属糸や金属メッキを施した金属糸で作ったものと比較して、耐熱性、耐食性、耐候性、耐摩耗性に優れている。
【0063】
また、ステンレス鋼繊維の直径が例えば、12μm以下の場合には、布状部材22を、液晶パネル72(図19参照)の表面に接触させて入力を行った場合でも、液晶パネル72表面に傷が付きにくい。
【0064】
また、例えば、ステンレス鋼繊維の直径が8μm以下の場合には、布状部材22の抵抗値を、カーボンやメッキ金属繊維で作った布状部材と比較して、電気抵抗値を低く抑制することができる。
【0065】
布状部材22の厚さについては、一般に、平織りよりも綾織りの方が厚くなり、さらに綾織りよりも編み物の方が厚くなる。ここで、例えば、厚さt=0.36mmの布状部材22を2枚使用した場合(図11参照)や厚さt=0.6mmの布状部材を1枚使用した場合(図10参照)は、良好な入力性能を確保することができた。これに対し、例えば、厚さt=0.65mmの布状部材22を3枚使用した場合には、ホルダへの装着ができなくなった。
【0066】
ここで、布状部材22として、編物を使用した場合には、上述のように、平織りや綾織りと比較して厚さが厚くなりがちであるが、伸縮性が高いので、接触部Sにおける弾力性を高めることができる。
【0067】
図9に示すペン先カセット20においては、布状部材22は、正方形状(又は長方形状)に形成されている。
【0068】
ペン先カセット20は、周縁部22aに相当する4つの端縁部(4つの辺部)を筒状部材23の内側に挿入して保持することにより、中央部22bが、筒状部材23の上端23bから突出されて接触部Sを構成する。この接触部S3は、半球状と全球状との中間の形状に形成されている。
【0069】
本実施形態によれば、布状部材22によって、上述形状の接触部Sが形成されるため、使用時に、液晶パネル72(図19参照)に対する導電性入力ペンの傾斜角度が異なった場合でも、液晶パネル72表面に対する接触部Sの接触状態が、平面に対する球面の接触となって略一定となり、安定した入力性能を確保することができる。つまり、使用者にとっては、導電性入力ペンの傾斜角度にかかわらず略同じ書き味となる。
<実施形態6>
【0070】
図10を参照して、実施形態6に係るペン先カセット20について説明する。ここで、図10(A)は、ペン先カセット20の分解斜視図であり、(B)はペン先カセット20を、その軸心Cを通る平面で切った断面図である。
【0071】
ペン先カセット20は、金属製の布状部材22とこれを保持する筒状部材23とを有している。筒状部材23は、底部及び天部が開口された円筒状に形成されていて、図9に示すものとは異なり、スリット23aは有していない。なお、筒状部材としては、スリットの有無は、いずれを採用することもでき、また形状についても、円筒状に限定されず、例えば、正六角筒状、正八角筒状等であってもよい。
【0072】
本実施形態では、布状部材22としては、円形に切りだされたものを使用している。これによると、図10(B)に示すように、布状部材22を所定の形状にした際の端部(同図では下端部)の処理が前述の正方形のものと比較して容易となる。
【0073】
布状部材22は、中央部22bが筒状部材23の上端部23bから突出されてほぼ半球状に形成されるとともに、周縁部22aが筒状部材23の内側23dに、例えば、接着材等を使用して接着(保持)される。
【0074】
ここで、布状部材22の中央部22の形状は、半球状に限らず、半球状よりも小さめ、半球状よりも全球に近い形状、ラグビー球状、放物線の回転形状、双曲線の回転形状等であってもよい。つまり、外側に向かって湾曲する形状であればよい。
【0075】
本実施形態では、布状部材22の内側には、中央部22bの形状を保つための芯材を挿入していない。このため、布状部材22としては、比較的厚手のものが好適である。例えば、平織りのもよりも綾織りのもの、また編んだもの、厚手のフェルト状のものを好適に使用することができる。
【0076】
図11に、本実施形態の変形例を示す。複数枚の布状部材22,22を重ねて、中央部22b,22bの形状を整えるようにしてもよい。なお、2枚に限定されず、3枚以上であってもよい。この場合、例えば、綾織りや編み物等と比較して厚さが薄い平織りの布状部材22を複数枚重ねて使用する場合に適している。
<実施形態7>
【0077】
図12〜図17を使用して、布状部材22の中央部22bの形状を整えるために、芯材61〜64を、布状部材22の内側に挿入する例を説明する。なお、芯材61の材質としては、適度な弾性を有するもの、芯材61〜64は、例えば、合成樹脂、ゴム、発泡スチロール、スポンジ等を使用することが可能である。これらの材質と、さらに、後述するような適宜な形状とを組み合わせることにより、長期にわたって入力性能の低下を防止するとともに、優れた使用感を確保することができる。
【0078】
図12に示す例では、芯材61は、球状に形成されていて、布状部材22の中央部22bに対応する部分にのみ挿入されている。これにより、布状部材22の中央部22bの形状をほぼ球状に維持することができる。図12に示す芯材61、すなわち、筒状部材23に対応する部分にはかからない芯材61を使用した場合には、芯材61の大きさを小さくすることができる。なお、芯材61の形状としては、球状に限定されず、例えば、ラグビー球状、立方体状、高さと直径とが同じな円柱状等とすることもできる。
【0079】
図13に示す例では、布状部材22の内側に挿入する芯材ペン先カセット20の形状を、円柱部分62aと半球部分62bとが合成された形状としている。これにより、筒状部材23の内面と芯材62の円柱部分の外面との間で、布状部材22の周縁部22aを挟持し、また、芯材62の半球部分62bによって、布状部材22の中央部22bの形状をほぼ半球状に保持することができる。さらに、図13に示す例では、芯材62として、適宜な弾性力を有するものと使用して、布状部材22の周縁部22aに対する挟持力を向上させるようにすれば、布状部材22を筒状部材23に取り付ける〈接着する)ための接着剤を割愛することも可能である。
【0080】
図14に示す例では、布状部材22の内側に挿入する芯材63の形状を、円柱状として、円柱の端面(同図では上端面)の円形の周端縁63aが布状部材22の中央部22bの内面に当接するようにしている。同図に示す芯材63を使用した場合、芯材63の上端面と布状部材22の中央部22bの内面との間に、空間Gが形成されるおそれがあるが、布状部材22として、比較的厚手で、比較的剛性の高いものを使用した場合には、同図に示す芯材63であっても、芯材63及び布状部材22の弾性により、中央部22bの形状を所定の形状に維持することが可能である。同図に示す芯材63は、上下が対称であるため、ペン先カセット20の組立時に、布状部材22に対して、上下逆さまに挿入する不具合が発生しない。同図に示すペン先カセット20は、布状部材22として、弾性が大きい編みものが好適である。
【0081】
図15に示す例では、芯材64として、円柱部分64aと、半球と全球との中間の形状の部分64bとの合成形状としている。同図に示す例では、布状部材22の中央部22bの形状を半球状よりも全球状に近づけることができるので、液晶パネル72の表面に対して、導電性入力ペンを大きく傾斜させて使用する場合、極端な例では、導電性入力ペンを真横に倒して使用する場合でも、通常に使用する場合と同様の接触部分の操作性を確保することができる。
【0082】
なお、図13〜図15に示す例のように、芯材62,63,64の長さ(図中の上下方向の寸法)を筒状部材23の長さよりも長く設定する場合には、ペン先カセット20の組立時に、布状部材22の中央部22bに、下方から芯材62,63,64の先端(上端)を当てて、筒状部材23の下端から中央部22bを押し上げて、筒状部材23の上端23bから突出させて接触部Sを形成する際に、他の工具等を使用することなく接触部Sを形成することができるので、便宜である。
【0083】
図16に示す例では、芯材65が棒状部65aとその先端(上端)に設けた板状部65b(例えば円板状)によって構成されている。棒状部65aは、比較的容易に湾曲可能な太さとする。この例は、弾性の高い、編み物でかつ厚さが厚い布状部材22に好適である。この例では、芯材65自体が湾曲することができるので、軟らかな書き味を実現することがある。
【0084】
図17に示す例は、芯材66は、棒状部66aと先端(上端)の球状部66bと基端(下端)の蓋状部66cとによって形成されている。この例では、図16の例の効果に加えて、さらに、中央部22b(接触部S)の形状を所定の形状に維持しやすく、さらに、蓋状部66cにより、組立時の芯材66の挿入長さを確認できるとともに、筒状部材23内への異物の浸入を防止することができる。
【0085】
ここで、図9〜図17に示すペン先カセット20において、接触部Sの直径は、4〜6mmが好適である。例えば、スマートフォン70の液晶パネル72に表示されるキーボードの大きさが6×4mm程度であるため、これに合わせて、設定するとよい。
【0086】
図9〜図17に示す芯材61〜66のうちでは、図13に示す芯材62が好適である。この芯材62の半球部分62bの直径は、接触部Sの直径が4〜6mmが好適であるため、4.5〜5.5mmが好適である。
【0087】
ここで、図13〜図15に示す芯材61〜64の材質としては、具体的には、EVA(エチレン・酢酸ビニルゴム)発泡スポンジやEPDM(エチレン・プロピレンゴム)発泡スポンジを好適に使用することができる。前者のEVAは、対候性、耐熱性、耐水性、耐オゾン性に優れていて、しかも安価である。一方、後者のEPDMは、EVAの性能と比較して同等で、さらに耐薬品性に優れているが、EVAよりも高価である。
<実施形態8>
【0088】
図18,図19に、導電性入力ペン2の他の実施態様を示す。図18は、スマートフォン70に、導電性入力ペン2を取り付けた状態を示す正面図である。また図19は、導電性入力ペン2の使用例を示す斜視図である。
【0089】
スマートフォン70は、表面に入力部となる液晶パネル72を有し、また、上部の側面に、イヤホンジャック71を備えている。
【0090】
導電性入力ペン2は、ペン本体80と、一方の端部から布状部材22の接触部Sが突出されている。他方の端部には、ペン本体80と直角に配置されたプラグ82を有するキャップ81が着脱自在に装着されている。導電性入力ペン2は、このプラグ82を、イヤホンジャック71に挿入することにより、スマートフォン70の上端に沿って左右方向にコンパクトに取り付けることができる。また、使用に際しては、プラグ82をイヤホンジャック71から引き抜くことで、簡単に使用可能な状態となる。なお、導電性入力ペン2の使用時に、プラグ82が邪魔になる場合には、ペン本体80からキャップ81を外すようにすればよい。なお、導電性入力ペン2として、プラグ82をキャップ81を介してペン本体80に取り付けるものに代えて、プラグ82を直接、ペン本体80に取り付けるようにしてもよい。この場合、プラグ82が、ペン本体80の長手方向に向く第1位置と、倒伏してペン本体80に対して90度の第2位置との間を揺動可能に構成するとよい。
【0091】
導電性入力ペン2は、スマートフォンに限らず、タブレット型のPCに対しても同様に便宜に使用することができる。
【0092】
なお、導電性入力ペンの他の例として、ペン本体の長手方向の一方の端部には、図5〜図8に示す、雄ねじ(ねじ部)21a,24dを有するホルダ21を着脱することができ、他方の端部には、ホルダ21としての筒状部材23を直接、着脱することができるようなものであってもよい。
【0093】
さらに、導電性入力ペンのさらに別の例として、ペン本体の一方の端部には、上述の実施形態で説明したペン先カセットが着脱可能であり、他方の端部には、一般的な合成樹脂製のペン先が取り付けられているものであってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1,2 導電性入力ペン
10,80 ペン本体
20 ペン先カセット(入力部)
21 ホルダ
21a,24b 雄ねじ(ねじ部)
21b 筒状部
22 布状部材
22a 周縁部
22b 中央部
23 筒状部材(ホルダ)
24 ねじ部材(ホルダ本体)
61〜66 芯材
72 液晶パネル
C 軸心
S 接触部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性入力ペンの一部を構成し、液晶パネルに接離されることで入力を行うペン先において、
複数の金属糸を織る若しくは編むことで布状に形成された、又は複数の金属性繊維をフェルト状にすることで形成された金属製の布状部材を、その中央部を凸状に湾曲させて湾曲部を構成し、前記湾曲部の外側部分を前記液晶パネルに接離させる接触部とした、
ことを特徴とするペン先。
【請求項2】
前記金属糸及び前記金属繊維が、ステンレス鋼によって形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のペン先。
【請求項3】
導電性入力ペンのペン本体に着脱されるペン先カセットにおいて、
請求項1又は2に記載のペン先と、前記ペン先の周縁部を保持するとともに前記ペン本体に対して着脱自在なホルダとを有する、
ことを特徴とするペン先カセット。
【請求項4】
前記ホルダは、前記ペン先の周縁部を内側に保持するとともに前記ペン先の中央部を一方の端部から突出させる筒状部を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のペン先カセット。
【請求項5】
前記ペン先の内側に挿入されて前記ペン先の中央部の形状を保持する芯材を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のペン先カセット。
【請求項6】
前記ホルダは、前記ペン本体に螺合可能なねじ部を有する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のペン先カセット。
【請求項7】
ペン先を液晶パネルに接離されることで入力を行う導電性入力ペンにおいて、
請求項3ないし6のいずれか1項に記載のペン先カセットと、
前記ペン先カセットを保持する導電性のペン本体と、を備える、
ことを特徴とする導電性入力ペン。
【請求項1】
導電性入力ペンの一部を構成し、液晶パネルに接離されることで入力を行うペン先において、
複数の金属糸を織る若しくは編むことで布状に形成された、又は複数の金属性繊維をフェルト状にすることで形成された金属製の布状部材を、その中央部を凸状に湾曲させて湾曲部を構成し、前記湾曲部の外側部分を前記液晶パネルに接離させる接触部とした、
ことを特徴とするペン先。
【請求項2】
前記金属糸及び前記金属繊維が、ステンレス鋼によって形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のペン先。
【請求項3】
導電性入力ペンのペン本体に着脱されるペン先カセットにおいて、
請求項1又は2に記載のペン先と、前記ペン先の周縁部を保持するとともに前記ペン本体に対して着脱自在なホルダとを有する、
ことを特徴とするペン先カセット。
【請求項4】
前記ホルダは、前記ペン先の周縁部を内側に保持するとともに前記ペン先の中央部を一方の端部から突出させる筒状部を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載のペン先カセット。
【請求項5】
前記ペン先の内側に挿入されて前記ペン先の中央部の形状を保持する芯材を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載のペン先カセット。
【請求項6】
前記ホルダは、前記ペン本体に螺合可能なねじ部を有する、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のペン先カセット。
【請求項7】
ペン先を液晶パネルに接離されることで入力を行う導電性入力ペンにおいて、
請求項3ないし6のいずれか1項に記載のペン先カセットと、
前記ペン先カセットを保持する導電性のペン本体と、を備える、
ことを特徴とする導電性入力ペン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−77277(P2013−77277A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−12479(P2012−12479)
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【出願人】(591049527)株式会社サカモト (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【出願人】(591049527)株式会社サカモト (29)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]