説明

ペン収納構造

【課題】 ペン収納部に対するペンの収納作業が簡単で容易にできるペン収納構造を提供する。
【解決手段】 機器ケース1のペン収納部10にタッチペン5を収納する際に、タッチペン5の外端部5bにその外周面から突出して設けられた突起部13を、ペン収納部10に設けられた切欠き溝部12に係合させた状態で、タッチペン5をペン収納部10に収納するペン収納構造において、タッチペン5をペン収納部10に挿入する際に、タッチペン5を予め定められた回転位置に回転させる回転位置規制部17を備えている。従って、タッチペン5をペン収納部10に挿入すると、回転位置規制部17によってタッチペン5を予め定められた回転位置に回転移動させることができる。このため、タッチペン5の突起部13をペン収納部10の切欠き溝部12に対応させなくても、タッチペン5を自動的に回転させて、突起部13を切欠き溝部12に対応させて係合させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子辞書、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)、パーソナルコンピュータなどの電子機器に用いられるペン収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯情報端末機においては、特許文献1に記載されているように、機器ケースに設けられたペン収納部にタッチ入力用のタッチペンを挿脱可能に収納するペン収納構造を備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−85515号公報
【0004】
この種のペン収納構造は、機器ケースに設けられたペン収納部内にタッチペンを挿入して収納する際に、ペン収納部のペン挿入口側に位置するタッチペンの外端部にその外周面から突出して設けられた突起部を、ペン収納部のペン挿入口側に位置する箇所に設けられたスリット溝に係合させた状態で、タッチペンをペン収納部に収納するように構成されている。
【0005】
このようなペン収納構造では、タッチペンをペン収納部に収納する際に、タッチペンの突起部をペン収納部のスリット溝に挿入させて係合させることにより、タッチペンがペン収納内で勝手に回転しないようになっている。また、このペン収納構造では、タッチペンをペン収納部から取り出す際に、タッチペンの突起部をペン収納部のスリット溝に沿って移動させてスリット溝から離脱させることにより、タッチペンをペン収納部内から取り出させるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなペン収納構造では、タッチペンをペン収納部に収納する際に、タッチペンの突起部がペン収納部のスリット溝に対応するようにタッチペンを回転させて位置決めし、この状態でタッチペンをペン収納部に挿入させて突起部をスリット溝に挿入させなければ、タッチペンをペン収納部内に確実に収納することができないため、ペン収納部に対するタッチペンの収納作業が面倒であるという問題がある。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、ペン収納部に対するペンの収納作業が簡単で容易にできるペン収納構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、機器ケースに設けられたペン収納部にペンを挿脱可能に挿入して収納する際に、前記ペン収納部のペン挿入口側に位置する前記ペンの外端部にその外周面から突出して設けられた突起部を、前記ペン収納部の前記ペン挿入口側に位置する箇所に設けられた突起規制部で規制した状態で、前記ペンを前記ペン収納部に収納するペン収納構造において、前記ペンを前記ペン収納部に挿入して収納する際に、前記ペンを予め定められた回転位置に回転させるための回転位置規制部を備えていることを特徴とするペン収納構造である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ペンをペン収納部に挿入すると、回転位置規制部によってペンを予め定められた回転位置に回転移動させることができる。このため、ペンをペン収納部に収納する際に、ペンの突起部をペン収納部の突起規制部に対応させなくても、ペンを自動的に回転させて、ペンの突起部をペン収納部の突起規制部に対応させて係合させることができる。これにより、ペン収納部に対するペンの収納作業が簡単で容易にでき、使い勝手の良いものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明を電子辞書に適用した一実施形態を示した斜視図である。
【図2】図1に示された電子辞書を裏面側から見た斜視図である。
【図3】図1に示された電子辞書の下部ケースにおける内部構造を示した拡大斜視図である。
【図4】図3に示された下部ケースのペン収納部における奥側に位置する箇所に設けられた取付部材を上下反転させて示した拡大斜視図である。
【図5】図3に示された下部ケースのペン収納部に収納されるタッチペンを示し、(a)はタッチペンのガイド傾斜部における山形部の先端部がペン収納部のガイド規制部の先端部に対応して当接した状態を示した図、(b)はタッチペンのガイド傾斜部における第1傾斜部がペン収納部のガイド規制部の第1規制部に沿って回転移動する状態を示した図、(c)はタッチペンのガイド傾斜部における谷形部がペン収納部のガイド規制部の先端部に移動した状態を示した図である。
【図6】図1に示された電子辞書においてペン収納部にタッチペンを挿入する状態を示した要部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1〜図6を参照して、この発明を電子辞書に適用した一実施形態について説明する。
この電子辞書は、図1および図2に示すように、機器ケース1を備えている。この機器ケース1は、上部ケース2と下部ケース3とを一対のヒンジ部4によって開閉可能に連結した構成になっている。
【0012】
上部ケース2は、図1および図2に示すように、ほぼ平板状に形成されており、下部ケース3も、上部ケース2と同じ大きさの平板状に形成されている。一対のヒンジ部4は、上部ケース2と下部ケース3との一端部(図1では上辺部)における両側部に設けられ、上部ケース2と下部ケース3とを回転可能に連結するように構成されている。
【0013】
これにより、上部ケース2と下部ケース3とは、一対のヒンジ部4を中心に回転して閉じた際に、互いに重なり合うように構成されている。また、上部ケース2と下部ケース3とは、一対のヒンジ部4を中心に回転して開いた際に、上部ケース3が下部ケース2に対して所定角度、例えば120度の角度に開いて展開するように構成されている。
【0014】
この場合、上部ケース2と下部ケース3とが互いに対向する対向面のうち、上部ケース2の対向面には、電子辞書に係わる情報を表示する表示部(図示せず)が設けられている。この表示部は、表面にタッチ入力パネルを有し、このタッチパネルをタッチペン5でタッチ操作することにより、情報が入力されるように構成されている。また、下部ケース3の対向面には、電子辞書に必要な各種の情報を入力するためのキーボードなどの入力部(図示せず)が設けられている。
【0015】
また、一対のヒンジ部4の間に位置する下部ケース3には、図2に示すように、電池蓋6が着脱可能に取り付けられている。この電池蓋6は、図2および図3に示すように、一対のヒンジ部4の間に位置する機器ケース1内の箇所に設けられた電池収納部7を開閉可能に塞ぐように構成されている。この電池蓋6の両側部には、図2に示すように、ゴム足8がそれぞれ設けられている。また、この電池蓋6と反対側に位置する下部ケース3の端部における両側部にも、ゴム足8がそれぞれ設けられている。
【0016】
ところで、機器ケース1には、図1および図2に示すように、タッチペン5を収納するペン収納部10が設けられている。このペン収納部10は、図3に示すように、電池収納部7の長手方向に沿う細長い枠状に形成されている。すなわち、このペン収納部10は、その長手方向の長さがタッチペン5の長さとほぼ同じ長さで、長手方向と直交する幅方向の長さがタッチペン5の直径よりも少し大きい幅で、下部ケース3の内面(図3では上面)に形成されている。
【0017】
この場合、ペン収納部10は、図3に示すように、その上部が上部ケース2側(図3では上方)に向けて開放されており、このペン収納部10における下部ケース3の一側部(図3では右側部)には、ペン挿入口11が設けられている。このペン挿入口11における下部ケース3の下面には、図2に示すように、タッチペン5の後述する突起部13が係脱可能に係合する切欠き溝部12が設けられている。
【0018】
一方、タッチペン5は、図5(a)〜図5(c)に示すように、全体がほぼ丸棒状に形成され、ペン収納部10の奥側(図5(a)では左側)に位置する先端部5aが先細形状に形成されている。また、ペン収納部10のペン挿入口11側(図5(a)では右側)に位置するタッチペンの外端部5bには、ペン収納部10に収納されたタッチペン5を抜き出す際に、指先を引っ掛けるための鍔状の円板部14がリング状の溝部15を介して外周に突出して設けられている。
【0019】
さらに、このタッチペン5の外端部5bには、図5(a)〜図5(c)に示すように、タッチペン5がペン収納部10に収納された際に、ペン収納部10の切欠き溝部12に係脱可能に係合する突起部13が外周側に突出して設けられている。この突起部13は、タッチペン5がペン収納部10に収納された際に、下部ケース3から下側に露出し、この露出した部分によって鍔状の円板部14に指先が引っ掛かり易くして、タッチペン5をペン収納部10から取り出し易くするように構成されている。
【0020】
また、このタッチペン5をペン収納部10に収納するためのペン収納構造は、図3〜図5に示すように、ペン収納部10にタッチペン5が挿入された際に、タッチペン5の挿入位置を規制するための挿入位置規制部16と、タッチペン5をペン収納部10に挿入する際に、タッチペン5を予め定められた回転位置に回転させて位置規制するための回転位置規制部17とを備えている。
【0021】
挿入位置規制部16は、タッチペン5の先端部5a側における外周面に設けられたリング状の係合溝18と、この係合溝16に両側から挿脱可能に係合してタッチペン5を係止する一対の係止部19とを備えている。この場合、一対の係止部19は、図4に示すように、ペン収納部10の奥側に取り付けられる取付部材20に一体に形成されている。この取付部材20は、図3に示すように、ペン収納部10における奥側に位置し、且つペン収納部10の上部に取り付けられている。
【0022】
一対の係止部19は、図4に示すように、それぞれフック形状に垂下(図4では上方に向けて起立)して形成され、ペン収納部10に収納されるタッチペン5を挟む状態で、取付部材20の両側に設けられている。すなわち、一対の係止部19は、その各下部(図4では各上部)に設けられた半円弧状の係止突起部19aが互いに対向して形成されている。
【0023】
これにより、一対の係止部19は、図3および図4に示すように、タッチペン5がペン収納部10に挿入されて収納された際に、互いに対向する係止突起部19aがタッチペン5に設けられたリング状の係合溝18にそれぞれ両側から係合することにより、タッチペン5の長手方向における位置を規制するように構成されている。
【0024】
また、回転位置規制部17は、図3〜図5に示すように、ペン収納部10の奥側(図3では左側)に設けられた取付部材20の下面(図4では上面)に設けられたガイド規制部21と、ペン収納部10の奥側に位置するタッチペン5の先端部5a側における外周面にその軸方向に沿って傾斜して設けられたガイド傾斜部22とを備えている。
【0025】
この回転位置規制部17のガイド規制部21は、図4に示すように、ペン収納部10の奥側からペン挿入口11側(図4では左側から右側)に向けて先細形状に形成され、この先細形状の先端を境にして一方側(図4では右側)に位置する第1規制部21aと他方側(図4では左側)に位置する第2規制部21bとを備えている。すなわち、このガイド規制部21は、図4に示すように、ペン収納部10のペン挿入口11側に向けて先細となる三角形状に形成されている。
【0026】
また、回転位置規制部17のガイド傾斜部22は、図5(a)〜図5(c)に示すように、タッチペン5の先端部5a(図5(a)では左側)側の外周面において、タッチペン5の先端部5a側に向けて凸となる山形部23aと、この山形部23aよりもタッチペン5の外端部5b側(図5(c)では右側)に位置した状態で、タッチペン5の先端部5a側に向けて凹となる谷形部23bとを有し、この山形部23aと谷形部23bとの各斜面がそれぞれ連続する第1、第2の各傾斜部22a、22bを備えている。
【0027】
すなわち、ガイド傾斜部22は、図5(a)〜図5(c)に示すように、タッチペン5の先端部5a側に向けて凸となる山形部23aと、この山形部23aよりもタッチペン5の外端部5b側に位置してタッチペン5の先端部5a側に向けて凹となる谷形部23bとが、タッチペン5の外周面において、180度ずれた位置に設けられている。これにより、第1傾斜部22aは、山形部23aの片側の斜面と谷形部23bの片側の斜面とが連続する部分であり、第2傾斜部22bは、第1傾斜部22aと反対側に位置する山形部23aの斜面と谷形部23bの斜面とが連続する部分である。
【0028】
このため、回転位置規制部17は、図4および図5に示すように、タッチペン5をペン収納部10に挿入して収納する際に、タッチペン5のガイド傾斜部22が、ペン収納部10のガイド規制部21に沿って、予め定められた回転位置に回転移動するように構成されている。
【0029】
すなわち、この回転位置規制部17は、タッチペン5をペン収納部10に挿入する際に、タッチペン5の山形部23aの先端部がガイド規制部21の先端部に対応して当接すると、タッチペン5が上下のいずれかの方向に回転して、タッチペン5の山形部23aの先端部とガイド規制部21の先端部とが上下のいずれかの方向にずれるように構成されている。
【0030】
この場合、回転位置規制部17は、図5(a)においてガイド規制部21の先端部がガイド傾斜部22の山形部23aの下側に位置する第1傾斜部22aにずれると、図5(b)に示すように、第1傾斜部22aがガイド規制部21の第1規制部21aに沿って移動することにより、タッチペン5が徐々に一方向(例えば時計回り方向)に回転しながら移動し、図5(c)に示すように、ガイド規制部21の先端部がガイド傾斜部22の谷形部23bに移動すると、タッチペン5の回転位置が規制されるように構成されている。
【0031】
また、回転位置規制部17は、図5(a)においてガイド規制部21の先端部がガイド傾斜部22の山形部23aの上側に位置する第2傾斜部22bにずれると、第2傾斜部22bがガイド規制部21の第2規制部21bに沿って移動することにより、タッチペン5が徐々に反対方向(例えば反時計回り方向)に回転しながら移動し、図5(c)に示すように、ガイド規制部21の先端部がガイド傾斜部22の谷形部23bに移動すると、タッチペン5の回転位置が規制されるように構成されている。
【0032】
このように、この回転位置規制部17は、図4および図5に示すように、タッチペン5の山形部23aの先端部がガイド規制部21の先端部に当接してタッチペン5が上下のいずれかの方向に回転した上、ガイド規制部21の先端部がガイド傾斜部22の第1、第2の各傾斜部22a、22bのうち、いずれか一方に沿って移動することにより、タッチペン5がいずれかの方向に回転しながら移動し、ガイド規制部21の先端部がガイド傾斜部22の谷形部23bに移動し、タッチペン5を予め定められた回転位置に回転移動させるように構成されている。
【0033】
これにより、タッチペン5は、ペン収納部10に挿入されて収納される際に、予め定められた回転位置に回転移動することにより、タッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13が、ペン収納部10のペン挿入口11に設けられた切欠き溝部12に挿入して係合し、この状態でペン収納部10内に収納されるように構成されている。
【0034】
次に、このペン収納構造の作用について説明する。
タッチペン5をペン収納部10に収納する場合には、タッチペン5の先端部5aをペン収納部10のペン挿入口11から挿入する。このときには、タッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13は、図6に示すように、タッチペン5の回転方向における任意の回転位置で良い。
【0035】
この状態で、タッチペン5がペン収納部10内に挿入されて、タッチペン5の先端部5aがペン収納部10の奥側部に設けられた取付部材20に位置し、更にタッチペン5が押し込まれると、図5(a)〜図5(c)に示すように、タッチペン5のガイド傾斜部22がペン収納部10のガイド規制部21に当接し、このガイド規制部21に沿ってガイド傾斜部22が移動しながら回転し、これによりタッチペン5が予め定められた回転位置に回転する。
【0036】
例えば、図5(a)に示すように、タッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13が上側に位置していると、タッチペン5のガイド傾斜部22における山形部23aの先端部がペン収納部10のガイド規制部21の先端部に対応して当接する。そして、タッチペン5の山形部23aの先端部がガイド規制部21の先端部から下側にずれると、図5(b)に示すように、ガイド傾斜部22の山形部23aの下側に位置する第1傾斜部22aがガイド規制部21の第1規制部21aに沿って移動する。
【0037】
このときには、タッチペン5が徐々に一方向(例えば時計回り方向)に回転しながら移動し、図5(c)に示すように、ガイド規制部21の先端部がガイド傾斜部22の谷形部23bに移動する。すると、タッチペン5が予め定められた回転位置に規制される。これにより、タッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13が、ペン収納部10のペン挿入口11に設けられた切欠き溝部12に挿入して係合する。
【0038】
また、このときには、取付部材20に設けられた一対の係止部19の各係止突起部19aがタッチペン5の先端部5a側に設けられたリング状の係合溝部18に係合し、タッチペン5の長手方向における位置が規制され、タッチペン5の押し込み動作が停止する。これにより、タッチペン5が予め定められた回転位置に位置した状態で、ペン収納部10内に収納される。この状態では、一対の係止部19の各係止突起部19aがタッチペン5の係合溝部18に係合していることにより、タッチペン5がペン収納部10内から勝手に抜け出すことがない。
【0039】
また、例えば図5(a)に示すように、タッチペン5のガイド傾斜部22における山形部23aの先端部がペン収納部10のガイド規制部21の先端部に当接し、この状態でタッチペン5の山形部23aの先端部がガイド規制部21の先端部から上側にずれると、ガイド傾斜部22の山形部23aの上側に位置する第2傾斜部22bがガイド規制部21の第2規制部21bに沿って移動する。
【0040】
このときには、タッチペン5が徐々に他方向(例えば反時計回り方向)に回転しながら移動し、図5(c)に示すように、ガイド規制部21の先端部がガイド傾斜部22の谷形部23bに移動する。すると、タッチペン5が予め定められた回転位置に規制される。このときにも、タッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13が、ペン収納部10のペン挿入口11に設けられた切欠き溝部12に挿入して係合する。
【0041】
また、タッチペン5をペン収納部10に挿入する際に、例えば図5(b)に示すように、タッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13が側方(図5(b)では下部側)に向いていると、タッチペン5のガイド傾斜部22における山形部23aの先端部がペン収納部10のガイド規制部21の先端部に対応して当接することがなく、ガイド傾斜部22の山形部23aの下側に位置する第1傾斜部22aが、ガイド規制部21の第1規制部21aに沿って移動する。
【0042】
このため、このときにも、タッチペン5が徐々に回転しながら移動し、図5(c)に示すように、ガイド規制部21の先端部がガイド傾斜部22の谷形部23bに移動する。これにより、タッチペン5が予め定められた回転位置に規制され、タッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13が、ペン収納部10のペン挿入口11に設けられた切欠き溝部12に挿入して係合する。
【0043】
また、例えばタッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13が上述した場合と反対に位置する側方(図5(b)では上部側)に向いていると、タッチペン5のガイド傾斜部22における山形部23aの先端部がペン収納部10のガイド規制部21の先端部に対応して当接することがなく、ガイド傾斜部22の山形部23aの上側に位置する第2傾斜部22bが、ガイド規制部21の第2規制部21bに沿って移動する。
【0044】
このため、このときにも、タッチペン5が徐々に回転しながら移動し、図5(c)に示すように、ガイド規制部21の先端部がガイド傾斜部22の谷形部23bに移動する。これにより、タッチペン5が予め定められた回転位置に規制され、タッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13が、ペン収納部10のペン挿入口11に設けられた切欠き溝部12に挿入して係合する。
【0045】
さらに、タッチペン5をペン収納部10に挿入する際に、例えば図5(c)に示すように、タッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13が下側に位置していると、タッチペン5のガイド傾斜部22における山形部23aの先端部がペン収納部10のガイド規制部21の先端部に当接することがなく、ガイド規制部21の先端部がガイド傾斜部22の谷形部23bに移動する。
【0046】
このため、タッチペン5はほとんど回転することがなく、ガイド規制部21の先端部がガイド傾斜部22の谷形部23bに移動し、これによりタッチペン5が予め定められた回転位置に規制されて、タッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13が、ペン収納部10のペン挿入口11に設けられた切欠き溝部12に挿入して係合する。
【0047】
ところで、ペン収納部10内に収納されているタッチペン5を取り出す場合には、ペン収納部10のペン挿入口11に設けられた切欠き溝部12に係合しているタッチペン5の突起部13に指先を当て、この指先をタッチペン5の突起部13と鍔状の円板部14との間に位置するリング状の溝部15に挿入させて円板部14に引っ掛ける。この状態で、タッチペン5の係合溝部18に対する一対の係止部19の各係止突起部19aによる係合力に抗して、円板部14を引き出せば良い。
【0048】
このように、このペン収納構造によれば、機器ケース1に設けられたペン収納部10にタッチペン5を収納する際に、ペン収納部10のペン挿入口11側に位置するタッチペン5の外端部5bにその外周面から突出して設けられた突起部13を、ペン収納部10のペン挿入口11側に位置する箇所に設けられた切欠き溝部12に係合させた状態で、タッチペン5をペン収納部10に収納するペン収納構造において、タッチペン5をペン収納部10に挿入して収納する際に、タッチペン5を予め定められた回転位置に回転させるための回転位置規制部17を備えていることにより、ペン収納部10に対するタッチペン5の収納作業が簡単で容易にでき、使い勝手を向上させることができる。
【0049】
すなわち、このペン収納構造では、タッチペン5をペン収納部10に挿入すると、回転位置規制部17によってタッチペン5を予め定められた回転位置に回転移動させることができる。このため、タッチペン5をペン収納部10に収納する際に、タッチペン5の突起部13をペン収納部10の切欠き溝部12に対応させなくても、タッチペン5を自動的に回転させて、タッチペン5の突起部13をペン収納部10の切欠き溝部12に対応させて係合させることができるので、ペン収納部10に対するタッチペン5の収納作業が簡単で容易にでき、これにより使い勝手の向上を図ることができる。
【0050】
この場合、回転位置規制部17は、ペン収納部10の奥側に位置する箇所に設けられたガイド規制部21と、ペン収納部10の奥側に位置するタッチペン5の先端部5a側における外周面にその軸方向に沿って傾斜して設けられたガイド傾斜部22とを備え、タッチペン5をペン収納部10に挿入して収納する際に、タッチペン5のガイド傾斜部22がペン収納部10のガイド規制部21に沿って予め定められた回転位置に回転移動するので、タッチペン5をペン収納部10に挿入させるだけで、タッチペン5を円滑に且つ確実に回転させて、予め定められた回転位置に自動的に回転移動させることができる。
【0051】
すなわち、この回転位置規制部17は、タッチペン5をペン収納部10に挿入すると、タッチペン5のガイド傾斜部22がペン収納部10のガイド規制部21に沿って移動し、この移動に伴ってタッチペン5のガイド傾斜部22が回転移動することにより、タッチペン5をペン収納部10に挿入させるだけで、タッチペン5を円滑に且つ確実に回転させることができると共に、ペン収納部10のガイド規制部21に対するタッチペン5のガイド傾斜部22の移動に応じてタッチペン5を予め定められた回転位置に自動的に回転移動させることができる。
【0052】
この場合、ペン収納部10のガイド規制部21は、ペン収納部10の奥側からペン挿入口11側に向けて先細形状に形成され、この先細形状の先端を境にして一方側に位置する第1規制部21aと他方側に位置する第2規制部21bとを備えており、タッチペン5のガイド傾斜部22は、タッチペン5の先端部5a側の外周面において、タッチペン5の先端部5a側に向けて凸となる山形部23aと、この山形部23aよりもタッチペン5の外端部5b側に位置してタッチペン5の先端部5a側に向けて凹となる谷形部23bとを有し、山形部23aと谷形部23bとの各斜面がそれぞれ連続する第1、第2の各傾斜部22a、22bを備えているので、タッチペン5を円滑に且つ確実に回転させて、予め定められた回転位置に正確に回転移動させることができる。
【0053】
すなわち、このペン収納構造では、タッチペン5をペン収納部10に挿入させて、タッチペン5のガイド傾斜部22における山形部23aの先端部がペン収納部10のガイド規制部21の先端部に対応して当接すると、タッチペン5の山形部23aの先端部がガイド規制部21の先端部から上下のいずれかの方向にずれることにより、ガイド傾斜部22の山形部23aの上下に位置する第1、第2の傾斜部22a、22bのいずれか一方を、ガイド規制部21の第1、第2の規制部21a、21bのいずれか一方に沿って移動させることができる。
【0054】
これにより、タッチペン5を時計回り方向と反時計回り方向のいずれかの方向に回転させることができると共に、ガイド規制部21の先端部をガイド傾斜部22の谷形部23bに移動させることができ、これによりタッチペン5を予め定められた回転位置に規制することができるので、タッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13を、ペン収納部10のペン挿入口11に設けられた切欠き溝部12に確実に且つ良好に対応させて係合させることができる。
【0055】
また、このペン収納構造では、タッチペン5をペン収納部10に挿入した際に、例えばタッチペン5のガイド傾斜部22における山形部23aの先端部がペン収納部10のガイド規制部21の先端部に当接しない場合、ガイド傾斜部22の山形部23aの上下に位置する第1、第2の傾斜部22a、22bのいずれか一方を、ガイド規制部21の第1、第2の規制部21a、21bのいずれか一方に沿って移動させることができる。
【0056】
このため、タッチペン5を回転させながら移動させて、ガイド規制部21の先端部をガイド傾斜部22の谷形部23bに向けて相対的に移動させることができ、これによりタッチペン5を予め定められた回転位置に規制することができ、タッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13を、ペン収納部10のペン挿入口11に設けられた切欠き溝部12に確実に且つ良好に挿入させて係合させることができる。
【0057】
さらに、このペン収納構造では、タッチペン5をペン収納部10に挿入した際に、例えばタッチペン5のガイド傾斜部22における山形部23aの先端部がペン収納部10のガイド規制部21の先端部に当接せずに、ガイド規制部21の先端部がガイド傾斜部22の谷形部23bに挿入すると、タッチペン5がほとんど回転せずに、タッチペン5を予め定められた回転位置に規制することができ、これによりタッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13を、ペン収納部10のペン挿入口11に設けられた切欠き溝部12に確実に且つ良好に挿入させて係合させることができる。
【0058】
このように、このペン収納構造では、タッチペン5をペン収納部10に収納する際に、タッチペン5の回転位置を気にせずに、タッチペン5をペン収納部10内に挿入するだけで、タッチペン5を円滑に且つ良好に回転させて、予め定められた回転位置に自動的に回転移動させることができ、これによりタッチペン5の外端部5bに設けられた突起部13を、ペン収納部10のペン挿入口11に設けられた切欠き溝部12に確実に且つ良好に挿入させて係合させることができる。
【0059】
また、このペン収納構造によれば、ペン収納部10にタッチペン5が挿入された際に、タッチペン5の挿入位置を規制するための挿入位置規制部16を備えているので、この挿入位置規制部16によってペン収納部10に収納されたタッチペン5が、ペン収納部10内から勝手に抜け出さないように係止することができる。
【0060】
この場合、挿入位置規制部16は、タッチペン5の先端部5a側における外周面に設けられたリング状の係合溝18と、この係合溝16に両側から挿脱可能に挿入してタッチペン5を係止する一対の係止部19とを備えており、この一対の係止部19は、タッチペン5がペン収納部10に挿入されて収納された際に、互いに対向する係止突起部19aがタッチペン5に設けられたリング状の係合溝18に係合する構成であることにより、タッチペン5の長手方向における位置を規制することができ、これによりタッチペン5がペン収納部10内から勝手に抜け出さないように係止することができる。
【0061】
すなわち、この挿入位置規制部16は、一対の係止部19の各係止突起部19aがタッチペン5の先端部5a側に設けられたリング状の係合溝部18に係合することにより、タッチペン5の長手方向における位置を規制することができ、これによりタッチペン5がペン収納部10内から勝手に抜け出さないように、確実に且つ良好にタッチペン5をペン収納部10内に収納することができる。
【0062】
この場合、挿入位置規制部16の一対の係止部19と回転位置規制部17のガイド規制部21とは、取付部材20に一体に形成されていることにより、挿入位置規制部16の一対の係止部19と回転位置規制部17のガイド規制部21とをペン収納部10に対して取り付ける際に、個別に取り付ける必要がなく、取付部材20をペン収納部10の所定位置に取り付けるだけで、挿入位置規制部16の一対の係止部19と回転位置規制部17のガイド規制部21とを簡単に且つ正確に取り付けることができ、これにより組立作業性の向上をも図ることができる。
【0063】
なお、上述した実施形態では、回転位置規制部17のガイド規制部21がペン収納部10の外部側に向けて先細となる三角形状に形成されている場合について述べたが、必ずしもペン収納部10の外部側に向けて先細となる三角形状に形成されている必要はなく、例えば円形または楕円形などの凸形状に形成しても良い。
【0064】
また、上述した実施形態では、回転位置規制部17と挿入位置規制部16とをペン収納部10の奥側およびタッチペン5の先端部5a側に設けた場合について述べたが、必ずしもペン収納部10の奥側およびタッチペン5の先端部5a側に設ける必要はなく、タッチペン5をペン収納部10に挿入して収納する際に、タッチペン5を予め定められた回転位置に回転させることができれば、どの位置に設けても良い。
【0065】
さらに、上述した実施形態では、電子辞書に適用した場合について述べたが、必ずしも電子辞書に適用する必要はなく、例えば電子辞書、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)などの携帯型の電子機器に適用することができるほか、このような携帯型の電子機器に限らず、パーソナルコンピュータなどの各種の電子機器に広く適用することができる。
【0066】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0067】
(付記)
請求項1に記載の発明は、機器ケースに設けられたペン収納部にペンを挿脱可能に挿入して収納する際に、前記ペン収納部のペン挿入口側に位置する前記ペンの外端部にその外周面から突出して設けられた突起部を、前記ペン収納部の前記ペン挿入口側に位置する箇所に設けられた突起規制部で規制した状態で、前記ペンを前記ペン収納部に収納するペン収納構造において、前記ペンを前記ペン収納部に挿入して収納する際に、前記ペンを予め定められた回転位置に回転させるための回転位置規制部を備えていることを特徴とするペン収納構造である。
【0068】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のペン収納構造において、前記回転位置規制部は、前記ペン収納部に設けられたガイド規制部と、前記ペンの外周面にその軸方向に沿って傾斜して設けられたガイド傾斜部とを備え、前記ペンを前記ペン収納部に挿入して収納する際に、前記ペンの前記ガイド傾斜部が前記ペン収納部の前記ガイド規制部に沿って前記予め定められた回転位置に回転移動することを特徴とするペン収納構造である。
【0069】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のペン収納構造において、前記ペン収納部の前記ガイド規制部は、前記ペン収納部の奥側から前記ペン挿入口側に向けて先細形状に形成され、この先細形状の先端を境にして一方側に位置する第1規制部と他方側に位置する第2規制部とを備えており、前記ペンの前記ガイド傾斜部は、前記ペンの外周面において、前記ペンの先端部側に向けて凸となる山形部と、この山形部よりも前記ペンの前記外端部側に位置して前記ペンの先端部側に向けて凹となる谷形部とを有し、前記山形部と前記谷形部との各斜面がそれぞれ連続する第1、第2の各傾斜部を備えていることを特徴とするペン収納構造である。
【0070】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のペン収納構造において、前記ペンを前記ペン収納部に収納した際に、前記ペンを前記ペン収納部内に係脱可能に係止する挿入位置規制部を備えていることを特徴とするペン収納構造である。
【符号の説明】
【0071】
1 機器ケース
2 上部ケース
3 下部ケース
4 ヒンジ部
5 タッチペン
5a 先端部
5b 外端部
10 ペン収納部
11 ペン挿入口
12 切欠き溝部
13 突起部
16 挿入位置規制部
17 回転位置規制部
18 係合溝
19 一対の係止部
20 取付部材
21 ガイド規制部
21a 第1規制部
21b 第2規制部
22 ガイド傾斜部
22a 第1傾斜部
22b 第2傾斜部
23a 山形部
23b 谷形部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器ケースに設けられたペン収納部にペンを挿脱可能に挿入して収納する際に、前記ペン収納部のペン挿入口側に位置する前記ペンの外端部にその外周面から突出して設けられた突起部を、前記ペン収納部の前記ペン挿入口側に位置する箇所に設けられた突起規制部で規制した状態で、前記ペンを前記ペン収納部に収納するペン収納構造において、
前記ペンを前記ペン収納部に挿入して収納する際に、前記ペンを予め定められた回転位置に回転させるための回転位置規制部を備えていることを特徴とするペン収納構造。
【請求項2】
請求項1に記載のペン収納構造において、前記回転位置規制部は、前記ペン収納部に設けられたガイド規制部と、前記ペンの外周面にその軸方向に沿って傾斜して設けられたガイド傾斜部とを備え、前記ペンを前記ペン収納部に挿入して収納する際に、前記ペンの前記ガイド傾斜部が前記ペン収納部の前記ガイド規制部に沿って前記予め定められた回転位置に回転移動することを特徴とするペン収納構造。
【請求項3】
請求項2に記載のペン収納構造において、前記ペン収納部の前記ガイド規制部は、前記ペン収納部の奥側から前記ペン挿入口側に向けて先細形状に形成され、この先細形状の先端を境にして一方側に位置する第1規制部と他方側に位置する第2規制部とを備えており、
前記ペンの前記ガイド傾斜部は、前記ペンの外周面において、前記ペンの先端部側に向けて凸となる山形部と、この山形部よりも前記ペンの前記外端部側に位置して前記ペンの先端部側に向けて凹となる谷形部とを有し、前記山形部と前記谷形部との各斜面がそれぞれ連続する第1、第2の各傾斜部を備えていることを特徴とするペン収納構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のペン収納構造において、前記ペンを前記ペン収納部に収納した際に、前記ペンを前記ペン収納部内に係脱可能に係止する挿入位置規制部を備えていることを特徴とするペン収納構造。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−77112(P2013−77112A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215992(P2011−215992)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】