説明

ペースト状加熱発泡充填材

【課題】低い温度でも高い発泡性能を有するペースト状加熱発泡充填材を提供する。
【解決手段】未架橋合成ゴム2〜20重量部、部分架橋ゴム5〜30重量部、キノン系加硫剤0.1〜5重量部、熱膨張性バルーン0.2〜1.5重量部、熱可塑性樹脂1〜10重量部、可塑剤20〜50重量部、無機充填材15〜50重量部及び化学発泡剤2〜15重量部を含有するペースト状加熱発泡充填材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペースト状加熱発泡充填材に関するものであり、特に、自動車のピラー等の車体部材の閉断面に充填され、電着塗膜の焼付け工程の熱により発泡することで、走行中の風切り音を遮蔽するための遮断壁を形成するために好適なペースト状加熱発泡充填材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の静粛性向上のため、フロントピラー(Aピラー)、センターピラー(Bピラー)、リヤピラー(Cピラー)、ホイルアーチ(タイヤハウス)またはサイドシル等の閉断面に、遮断壁として、予め所定形状に発泡したポリウレタンフォームを取り付けて風切り音を防止することが行われていた。しかし、この方法は、自動化が困難であり、また車種や部位毎に異なる仕様が必要であるという問題があった。そこで、自動化に適する方法として、自動塗布型のペースト状加熱発泡充填材が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、機械による自動塗布が可能で、油面鋼板に対する付着性に優れ、チクソトロピックな性質も有し、塗布後の垂れが防止可能なペースト型加熱発泡充填材として、液状ゴム、未加硫ゴム、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤、発泡剤及び発泡助剤、鱗片状無機充填材、揺変剤からなるペースト型加熱発泡充填材が開示されている。また、特許文献2には、部分架橋ゴム、未加硫ゴム、架橋剤、可塑剤、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂とその潜在性硬化剤、および発泡剤を含有する自動塗布型のペースト状加熱発泡充填材組成物が開示されている。これらの自動塗布型のペースト状加熱発泡充填材によれば、自動化が可能であり、また車種や部位毎に異なる仕様が必要とされることもなく、ロボット塗布により車両の閉断面空間に塗布後、電着塗膜の焼付け工程の熱により発泡することで、走行中の風切り音を遮蔽するための遮断壁を形成することが可能である。
【0004】
ところが、近年、地球環境問題、特に温室効果ガスの削減の観点から、自動車産業界でも省エネルギー化が要求されており、電着塗膜の焼付け工程における加熱温度を低温化する傾向にある。しかしながら、加熱温度を低くすると、特に自動車のセンタービラー等の断面積が大きな閉断面空間の場合には、空間の中心部では、加熱不足による充填材の発泡不良により遮断壁に隙間が生じ、風切り音を十分に遮断出来ない恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−59345号公報
【特許文献2】国際公開第2004/108807号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような加熱温度の低温化に対応し、自動化が可能であり、かつ、より低い温度でも高い発泡性能を有するペースト状加熱発泡充填材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ね、ペースト状加熱発泡材に用いる加硫剤(架橋剤)に着目した。例えば、前記特許文献1では、加硫剤として硫黄、ジスルフィド化合物等、加硫促進剤としてチアゾール系のもの等が用いられている。また、特許文献2では、架橋剤として、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ファシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物が用いられている。これに対し、本発明では、加硫剤として、キノン系のものを用いることにより、従来よりも低温度で高い発泡性能が得られる加熱発泡充填材を得られるとの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、未架橋ゴム、キノン系加硫剤及び発泡剤を含有することを特徴とするペースト状加熱発泡充填材である。
【0009】
好ましい実施態様は、
(1)上記ペースト状加熱発泡充填材が、更に部分架橋ゴムを含有する、
(2)上記ペースト状加熱発泡充填材が、更に熱膨張性バルーンを含有する、
(3)前記熱膨張性バルーンの発泡温度が100℃以下である、
(4)上記ペースト状加熱発泡充填材が、更に熱可塑性樹脂を含有する、
(5)上記ペースト状加熱発泡充填材が、更に可塑剤を含有する、
(6)上記ペースト状加熱発泡充填材が、更に無機充填材を含有する、
というものである。より好ましい実施態様は、
(7)未架橋ゴム2〜20重量部、部分架橋ゴム5〜30重量部、キノン系加硫剤0.1〜5重量部、熱膨張性バルーン0.2〜1.5重量部、熱可塑性樹脂1〜10重量部、可塑剤20〜50重量部、無機充填材15〜50重量部及び化学発泡剤2〜15重量部を含有するペースト状加熱発泡充填材である。
(8)未架橋ゴムおよび/または部分架橋ゴムの含有量が、全組成物重量に対し8重量部以上のペースト状加熱発泡充填材である。
【発明の効果】
【0010】
以上にしてなる本願発明に係るペースト状加熱発泡充填材は、自動車製造ラインの車体工程においてプレス成形した閉断面構造を有する車体部材における、例えば、フロントピラー(Aピラー)、センターピラー(Bピラー)、リヤピラー(Cピラー)、ホイルアーチ(タイヤハウス)、サイドシル等の閉断面に対し、該車体部材を組立てる前に、ロボット等により自動塗布し、該車体部材をそのままの状態で前処理および電着塗装に付し、該電着塗装工程の電着炉での焼付条件下で加熱発泡させ、前記閉断面に遮断壁を充填形成することにより、走行中の風切り音を遮断することができる。更に、本発明によれば、架橋剤としてキノン系の化合物を用いることにより、従来のペースト状加熱発泡充填材に比べてより低温度で高い発泡性能を発揮することから、電着塗装工程の電着炉での焼付条件を低温化して、自動車製造工程における省エネルギー化を可能とし、また、センターピラー等の大型の閉断面空間における充填不良といった不具合を解消することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ペースト状加熱発泡充填材の評価に用いるハット部材の説明図。
【図2】耐シャワー性評価の試験片形状を示す説明図。
【図3】耐シャワー性評価装置の説明図。
【図4】耐シャワー性評価の結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るペースト状加熱発泡充填材は、未架橋ゴム、キノン系加硫剤及び発泡剤を必須成分として含有する。より好ましくは、本発明のペースト状加熱発泡充填材は、部分架橋ゴム、熱膨張性バルーンを含有する。その他、本発明のペースト状加熱発泡充填材には、従来のペースト状加熱発泡充填材に使用されている、発泡助剤、加硫助剤、熱可塑性樹脂、可塑剤、無機充填材等を適宜配合させることができる。
【0013】
本発明で用いる未架橋ゴムとしては、例えば、ジエン系ゴム、例えばアクリロニトリル−イソプレン共重合ゴム(NIR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)等が挙げられる。これらの未架橋ゴムは、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0014】
本発明で用いるキノン系加硫剤としては、p−ベンゾキノンジオキシム(p-Benzoquinone dioxime、例えば、大内新興化学工業(株)の「バルノックGM(商品名)」川口化学工業(株)の「Actor Q(商品名)」)、1,4‐ベンゾキノンビス(O‐ベンゾイルオキシム)(p-p'-Dibenzoylbenzoquinone dioxime、例えば、大内新興化学工業(株)の「バルノックDGM(商品名)」川口化学工業(株)の「Actor DQ(商品名)」)等が挙げられる。なお、前記キノン系加硫剤と、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ファシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物、硫黄、ジスルフィド化合物、加硫促進剤としてはチアゾール系のものなどを併用してもよい。
【0015】
本発明で用いる発泡剤としては、加熱により分解してガスを発生するものであればよく、例えば、アゾ化合物(アゾジカルボンアミド等)、ニトロソ化合物(N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等)、ヒドラジン誘導体(ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒドラジド等)が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。更に、これらの発泡剤は、好ましくは発泡助剤(例えば尿素)と組合せて使用される。
【0016】
本発明で用いる部分架橋ゴムとしては、前記ジエン系ゴム、例えばアクリロニトリル−イソプレン共重合ゴム(NIR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)等の未架橋ゴムを、予めジビニルベンゼンやイオウ等の架橋剤を用いて部分的に架橋したゴムである。これらの部分架橋ゴムは、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。部分架橋ゴムの使用によって、自動塗布時のノズルにおける加熱発泡充填材とノズルとの分離性(糸切れ性)を改善することができる。
【0017】
本発明で用いる熱膨張性バルーンとしては、熱可塑性樹脂のカプセル内に、発泡ガスを充填したものが挙げられる。前記カプセルを構成する熱可塑性樹脂としては、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の共重合体等が使用されている。また、前記カプセル内に充填される発泡ガスとしては、イソブタン、イソペンタン、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシラン等が使用されている。これらの熱膨張性バルーンは、例えば、日本フィライト株式会社から販売されているエクスパンセル(EXPANCEL、商品名)等を使用することができる。更に、この熱膨張性バルーンとしては、発泡温度(前記マイクロカプセルを構成する熱可塑性樹脂の軟化点)が100℃以下のものを使用することが、本発明のペースト状加熱発泡充填材が低温で良好に発泡し、油面鋼板に対する接着性を向上させることから好ましい。
【0018】
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル酸アルキルエステル(アルキルとしてメチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシルなど)又はメタクリル酸アルキルエステル(アルキルとしてメチル、エチル、ブチル、ラウリル、ステアリル等)の重合体又は他のアクリル系モノマーとの共重合体を含むアクリル樹脂;MBS樹脂(メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン);アイオノマー樹脂;AAS樹脂(アクリロニトリル/スチレン/特殊ゴム);AES樹脂(アクリロニトリル/EPDM/スチレン);AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン);ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン);その他ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0019】
本発明で用いる可塑剤としては、上記のような部分架橋ゴム、未架橋ゴム、熱可塑性樹脂を膨潤溶解できるものであればいずれであってもよい。可塑剤としては、例えば、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル;ジオクチルアジペート、ジデシルアジペート、ジオクチルセバケートなどの脂肪族二塩基酸エステル;ポリオキシエチレングリコールジベンゾエート、ポリオキシプロピレングリコールジベンゾエート等のポリグリコール安息香酸エステル;トリブチルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル;アルキル置換ジフェニル、アルキル置換ターフェニル、部分水添アルキルターフェニル、芳香族系プロセスオイル、パインオイル等の炭化水素類が挙げられる。これらの可塑剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。本発明のペースト状加熱発泡充填材において、これらの可塑剤は、前記部分架橋ゴム、未架橋ゴム及び熱可塑性樹脂を膨潤溶解し、ペースト状加熱発泡充填材を適宜粘度に調整することができる。
【0020】
また、本発明で使用する無機充填材としては、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、フライアッシュ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの無機充填材は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0021】
更に、本発明のペースト状加熱発泡充填材には、必要に応じて他の添加成分、たとえばチクソトロピー付与剤(有機ベントナイト、フュームドシリカ、ステアリン酸アルミニウム、金属石ケン類、ヒマシ油誘導体等)、顔料(カーボンブラック、酸化チタン、その他無機顔料等)、脱水剤(酸化カルシウム、粉末シリカゲル等)等を適量含んでいてもよい。
【0022】
上記のような本発明のペースト状加熱発泡充填材における各種成分の好適な配合例としては、以下の通りである(但し、全量100重量部中)。
未架橋ゴム: 2〜20重量部、より好ましくは2〜15重量部。
部分架橋ゴム: 5〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部。
キノン系加硫剤: 0.1〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部。
熱膨張性バルーン: 0.2〜1.5重量部、より好ましくは0.5〜1.5重量部。
熱可塑性樹脂: 1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部。
可塑剤: 20〜50重量部、より好ましくは30〜50重量部。
無機充填材: 15〜50重量部、より好ましくは30〜50重量部。
化学発泡剤: 2〜15重量、より好ましくは2〜10重量部。
発泡助剤 1〜15重量部、より好ましくは1〜10重量部。
更に、未架橋ゴム及び/または部分架橋ゴムの配合量が8重量部以上であると、耐シャワー性が向上するのでより好ましい。
【0023】
本発明のペースト状加熱発泡充填材は、上記のような各種成分をミキサーで混合することによって作製することができる。使用するミキサーの種類には特に限定はなく、例えば、プラネタリーミキサー、ニーダー等の各種ミキサーを使用することができる。
【0024】
上記のようにして得られる本発明のペースト状加熱発泡充填材の粘度は、通常、50〜150Pa・s(20℃、せん断速度430s−1)に設定される。また、化学発泡剤による発泡開始温度は好ましくは100℃以上、より好ましくは110〜140℃となるように設定される。前記粘度は、可塑剤量などによって調整されるが、50Pa・s未満では、垂れが発生し、十分な形状保持が得られず、150Pa・sを超えると作業性が困難となり、十分な吐出性が得られない傾向となる。
【0025】
本発明のペースト状加熱発泡充填材は、例えば、自動車の閉断面構造を有する車体部材における、フロントピラー(Aピラー)、センターピラー(Bピラー)、リヤピラー(Cピラー)、ホイルアーチ(タイヤハウス)、サイドシル等の、走行中に風切り音などの騒音が生じる閉断面における遮音壁の形成に好適に用いられ、自動車製造ラインの車体工程においてプレス成形した閉断面構造を有する車体部材の閉断面に対し、該車体部品を組立てる前に、ロボット等により自動塗布し、該車体部材をそのままの状態で前処理および電着塗装に付し、該電着塗装工程の電着炉での焼付条件下で加熱発泡させることで、上記閉断面に遮断壁を充填形成することができる。
【実施例】
【0026】
(実施例1〜15、比較例1〜3)
表1に示した配合量に従い各成分を配合し、プラネタリーミキサーで30分間攪拌混合し、次いで30分間減圧脱泡し、ペースト状加熱発泡充填材を作製した。得られたペースト状型加熱発泡充填剤について、以下の要領にて接着性、体積変化、粘度、耐シャワー性及びハット充填性を評価した。結果を表1に併せて示す。また、実施例に使用した原材料を表2に示す。
【0027】
(接着性)
板厚1.2mmの油面鋼板に、試験材料を約20mmφの半円ビード状に100mmの長さに塗布後、130℃20分保持で焼付けた。室温になるまで2時間以上放置後、加熱発泡後の試験材料を垂直方向に剥離した後、油面鋼板面の破壊状態を確認し、接着性を判断する。
評価基準
◎:100%以下、80%以上の凝集破壊
○:80%未満、60%以上の凝集破壊
△:60%未満、40%以上の凝集破壊
【0028】
(体積変化率;%)
ガラス板の中央部にエアー噛みのないように試験材料約2gをカートリッジより半球状に塗布し、重量を測定する。試験材料比重および試験材料重量を用いて、塗布体積を算出する。次に、試験材料を塗布したガラス板を、140℃20分保持で焼付け、室温になるまで2時間以上放置する。その後、試験体を水中置換法にて発泡後の体積を算出し、塗布体積と比較し体積変化率を算出する。測定は20℃65%RHの条件下にて行う。
【0029】
(初期粘度)
圧力式粘度計を用いて、20℃65%RH、せん断速度430sec-1における粘度を測定する。
【0030】
(耐シャワー性)
試験材料を、図2に示すように約20mmφで塗布した試験片について、図3に示す試験装置により、以下の条件で耐シャワー性評価を行った。
・シャワー条件:水温50℃
・シャワー角度:45℃
・シャワー圧力:3kgf/cm2(約0.3MPa)
・シャワー時間:1分
・ノズル:有限会社香取組製作所 K9S型 PT1/4×5.0
評価基準
○:材料定着率95%以上
×:材料定着率95%未満
【0031】
(ハット充填性)
深さ(H)50mm×幅(W)130mm×長さ(L)300mm、×板厚1.2mm、フランジ幅15mmに加工した油面鋼板のハット状部材内断面にそって、約25mmφの半円ビードを230mm断面長に塗布後、幅(W)160mm×縦(L)300mmの油面鋼板で蓋をし、固定する。その試験体を垂直に保持した状態で、130℃20分保持で焼付けた。室温になるまで2時間以上放置後、蓋材をはずしハット部材断面積6500mm2に対する充填状態を確認する。
評価基準
◎:100%の部材充填
○:100%未満〜95%以上の部材充填
×:95%未満の部材充填
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
表1に示すとおり、未架橋ゴム、キノン系加硫剤及び発泡剤を含有する本発明のペースト状加熱発泡充填材は、低い温度でも高い発泡性能を有し、車体のセンターピラーなどの大断面積の閉断面部材においても充填不良のない遮音壁を形成することができる。更に、未架橋ゴムおよび/または部分架橋ゴムの含有量を8重量部以上とすると、耐シャワー性に優れた加熱発泡充填材とするこができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未架橋ゴム、キノン系加硫剤及び発泡剤を含有することを特徴とするペースト状加熱発泡充填材。
【請求項2】
部分架橋ゴムを含有する請求項1記載のペースト状加熱発泡充填材。
【請求項3】
熱膨張性バルーンを含有する請求項1又は2に記載のペースト状加熱発泡充填材。
【請求項4】
熱膨張性バルーンの発泡温度が100℃以下である請求項3記載のペースト状加熱発泡充填材。
【請求項5】
熱可塑性樹脂を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のペースト状加熱発泡充填材。
【請求項6】
可塑剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のペースト状加熱発泡充填材。
【請求項7】
無機充填材を含有する請求項1〜6のいずれかに記載のペースト状加熱発泡充填材。
【請求項8】
未架橋ゴム2〜20重量部、部分架橋ゴム5〜30重量部、キノン系加硫剤0.1〜5重量部、熱膨張性バルーン0.2〜1.5重量部、熱可塑性樹脂1〜10重量部、可塑剤20〜50重量部、無機充填材15〜50重量部及び化学発泡剤2〜15重量部を含有するペースト状加熱発泡充填材。
【請求項9】
未架橋ゴムおよび/または部分架橋ゴムの含有量が、全組成物重量に対し8重量部以上である請求項1〜8のいずれかに記載のペースト状加熱発泡充填材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−136135(P2012−136135A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289329(P2010−289329)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(305032254)サンスター技研株式会社 (97)
【Fターム(参考)】