説明

ペーパークラフト

【課題】触って楽しむことができるとともに視覚による変化も楽しめ、更にはお風呂などに浮かべて遊ぶことができるなど、従来のものに比べて他用途に楽しめるペーパークラフトを提供する。
【解決手段】ペーパークラフト紙1に印刷した展開図2,31,32を切り取って立体的に組み立てるペーパークラフトであって、ペーパークラフト紙1が耐水性を有するとともに前記展開図2,31,32が少なくとも一部に可逆性の示温インクを用いて印刷されており、且つ展開図2,31,32の外郭に沿って切断具で切断することなく切り取れる切取加工22,312,322が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーパークラフト紙に印刷した展開図を切り取って立体的に組み立てるペーパークラフトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペーパークラフト紙に印刷した展開図を切り取って立体的に組み立てるペーパークラフトが従来から知られているが、それらの多くは前記印刷された展開図を鋏やナイフで切り取り、それらを折ったり丸めたりして糊などの接着剤や接着テープを用いて立体的に組み立てるものである。
【0003】
従って、組み立てる際に、鋏やカッターのような切断具や糊などの接着剤、接着テープが必要であり、組み立てが面倒であるという問題があった。
【0004】
そこで、差し込み片を切り込み溝に差し込んで係止することにより接着剤を用いることなく立体的に組み立てることが可能なものがたとえば特開2008−30767号公報に提示されており、また、展開図の外郭に沿ってミシン目のような切り取り線を加工して鋏やカッターなどの切断具を使わずに切断可能なものがたとえば実開平2−76968号公報に提示されている。
【0005】
ところが、前記公報に提示されているものを含めて従来のペーパークラフトは、ペーパークラフト紙に印刷した展開図を切り取って立体的に組み立てるものであって、組み立てられたペーパークラフトは所詮は飾っておくか軽量であることから飛行機の場合のように飛ばす程度の使用目的であった。
【0006】
そこで、特開2005−296575号公報に提示されているように、水に強い素材を用いて屋外の展示にしようするものが提示されているが、素材として高密度繊維ボードを用いるものであり、従来のペーパークラフトとは構造や用途が全く異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−30767号公報
【特許文献2】実開平2−76968号公報
【特許文献3】特開2005−296575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、特に、触って楽しむことができるとともに視覚による変化も楽しめ、更にはお風呂などに浮かべて遊ぶことができるなど、従来のものに比べて他用途に楽しめるペーパークラフトを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するためになされた本発明は、ペーパークラフト紙に印刷した展開図を切り取って立体的に組み立てるペーパークラフトであって、前記ペーパークラフトが耐水性を有するとともに前記展開図が可逆性の示温インクを用いて印刷されており、且つ前記展開図の外郭に沿って切断具で切断することなく切り取れる切取加工が施されていることを特徴とする。
【0010】
本発明であるペーパークラフトは、素材となるペーパークラフト紙が耐水性を有することから触って遊んでも破れたり崩れたりする心配がなく、水を使うお風呂場でも遊ぶことができ、素材が紙であることからお風呂に浮かべて遊ぶこともできる。殊に、ペーパークラフト紙が両面に耐水樹脂を塗工して耐水加工されている場合には耐水効果が確実であるとともに紙としての性質も備え、各種の印刷も確実に行うことができる。
【0011】
また、少なくとも一部が可逆性の示温インクで印刷されていることから例えば手で触り、或いは擦ったりお風呂に浮かべるなど温度の変化により色彩が変化するので更に興味のあるものとすることができる。
【0012】
加えて、展開図の外郭に沿って切断具で切断することなく切り取れる切り取り線加工が施されているので鋏やカッターなどの切断具を必要とせず便利であるばかりか幼児でも安心して組み立てることができる。
【0013】
また、本発明において、展開図の所定位置に互いに係止することにより切り取った展開図を立体的に組み立てるための係止片と前記係止片を係止する係止切れ目が形成されていることにより、糊や接着テープなどの接着剤が不要であるばかりか糊などの接着剤により接合した場合と異なり水やお湯などに濡れても剥がれる心配もなく、複数の展開図を切り取って互いに連結する場合にも確実に且つ容易に接合することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、鋏や糊などの道具を必要とせずきわめて便利であるとともに完成したペーパークラフトを触ったりお風呂に浮かべたりして遊ぶことができ、更に温度の変化により色彩が変化するのでより興味を持って遊ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明である実施の形態におけるペーパークラフトを組み立てる前の状態を示す平面図である。
【図2】図1に示した実施の形態において展開図を切り取った状態を示す平面図。
【図3】図1に示した実施の形態における切り取った展開図の組み立て状態を示す説明図。
【図4】図1に示した実施の形態における切り取った展開図を組み立てた状態を示す斜視図。
【図5】図1に示した実施の形態における切り取った展開図の組み立て状態を示す拡大説明図。
【図6】図1に示した実施の形態における異なる展開図を組み立てた状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の好ましい実施の形態についての組み立てる前の状態を示すものであり、両面に耐水樹脂を塗工して耐水加工されているペーパークラフト紙1に切り取って組み立てる形態が異なる例えばタコとクラゲの二種類ののペーパークラフトの展開図2および31,32が通常の耐水インクと示温インクを組み合わせて印刷されている。
【0018】
殊に、ペーパークラフト紙1は、樹脂表面に耐水化剤として耐水性、耐油性に非常に優れているアクリル樹脂系ディスパージョンを薄く塗工することによって水を弾かない程度の親水性を与えることにより、ほぼ完全な耐水性が得られ、平滑化処理によってコート・アート紙なみの印刷適性が得ることができる。
【0019】
また、本実施の形態において使用されるペーパークラフト紙1に印刷するための印刷インクとして通常の耐水インクと示温インクを用いており、示温インクは、展開図2,31,32のデザインにおいて色彩変化が発揮されやすい箇所に施されると効果的である。また、示温インクとしては市場において使用されているマイクロカプセルに可逆性の示温材が封入された耐水性の塗料が用いられ。本実施の形態では手で擦ったりお風呂に浮かしたときに変色すると効果的であることから例えば40℃程度に変化点を有するものを採用することが好ましい。
【0020】
さらにまた、本実施の形態では、展開図2および31,32の外郭線21,311,321に沿って例えばミシン目加工や切り取り線加工による切取加工22,312,322が形成されている。加えて、展開図2および31,32にはそれらを切り取って立体的に組み立てる際に互いに係止するために用いらる係止片4とこの係止片4を係止する係止切れ目5がそれぞれ形成されている。
【0021】
尚、図面中、符号6は、ペーパークラフト紙1の適所に印刷された表示部であり、例えば「色が変わるよ」、「おふろにうくよ」などの本実施の形態の特徴などを表示することができるものであり、他にも宣伝広告や各種の情報を表記することができる。
【0022】
以上の構成を有する本実施の形態は、図1に示したように従来のペーパークラフトと同様にペーパークラフト紙1に展開図2および31,32が印刷された状態で販売或いは配布される。このとき、本実施の形態では表裏面に耐水性を付与するための樹脂加工が施されているが、その塗工面は薄くまた素材である質感が損なわれないような樹脂加工を施してあることから通常のものと同様な厚さで質感的にも違和感がないとともに丸めたり所定の折ったりすることも可能であり、携行性についても従来品と何ら変わりがない。
【0023】
そして、本実施の形態を用いてペーパークラフトを組み立てるには、図2に示すように、例えばペーパークラフト紙1から展開図2を切り離す。このとき、本実施の形態では図1に示したように、展開図2の外郭線21に沿って切取加工22が形成されているので、この切取加工22に沿って手で簡単に切り取れる。そのため、鋏やカッターなどが不要であり、刃物の使用が危険な幼児やお年寄りでも安心して任せることができる。
【0024】
次に、切り取った展開図2を本実施の形態では図3に示すように所定の箇所を丸めたり折ったりして予め形成してある係止片4を係止切れ目5に差し込み係止して図4に示すように立体的なペーパークラフト7に組み立てる。
【0025】
尚、図5は本実施の形態における係止片4を係止切れ目5の係止手順の一例を示すものであり、図5(a)に示すように、係止片4の一部を折りたたんで図5(b)に示すように、係止切れ目5に差し込み、再び図5(c)に示すように係止片4の折りたたんであった部分を広げて係止行程を終了する。
【0026】
このように本実施の形態においては、立体的に組み立てる際に糊などの接着剤や接着テープなどの接着具を必要としないので組み立てが容易であるばかりか、係止片4を係止切れ目5を用いて接合部を固着するので耐水、耐油性を有することと相俟って耐性に優れており、殊に、比較的乱暴に扱ったり、お風呂場などで遊んでも壊れる心配が少なく、さらに、水に浮くので湯船に浮かせて遊ぶことも可能である。
【0027】
加えて、例えば擦ったり湯船に浮かしたりしたときや取り出したときに外温変化により示温インクが可逆的に変化するので視覚的な楽しみも味わうことができる。
【0028】
図6は本実施の形態について図1に示した展開図31および32を前記展開図2と同様にしてペーパークラフト8に組み立てた状態を示すものであり、このように複数の展開図31,32を組み合わせて一つのペーパークラフト8を組み立てることも可能であり、さらに複雑なものを形成することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 ペーパークラフト紙、2 展開図、4 係止片、5 係止切れ目、7 ペーパークラフト、8 ペーパークラフト、22 切取加工、31 展開図、32 展開図 312,322 切取加工

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペーパークラフト紙に印刷した展開図を切り取って立体的に組み立てるペーパークラフトであって、前記ペーパークラフトが耐水性を有するとともに前記展開図が少なくとも一部に可逆性の示温インクを用いて印刷されており、且つ前記展開図の外郭に沿って切断具で切断することなく切り取れる切取加工が施されていることを特徴とするペーパークラフト。
【請求項2】
前記展開図の所定位置に互いに係止することにより切り取った展開図を立体的に組み立てるための係止片と前記係止片を係止する係止切れ目が形成されていることを特徴とする請求項1記載のペーパークラフト。
【請求項3】
前記展開図が複数印刷されているとともにそれらの展開図を切り取って互いに連結することを特徴とする請求項1または2記載のペーパークラフト。
【請求項4】
前記ペーパークラフト紙が両面に耐水樹脂を塗工して耐水加工されていることを特徴とする請求項1,2または3記載のペーパークラフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−245339(P2012−245339A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133690(P2011−133690)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(392004819)株式会社ビーエフ (13)
【Fターム(参考)】