ホイールキャップ
【課題】車両用ホイールに取り付けられるホイールキャップの実用性を向上させる。
【解決手段】(a)キャップ本体40と、(b)エンブレムを形成してキャップ本体40の表面に取り付けられたエンブレム部材42と、(c)それらキャップ本体40とエンブレム部材42との間に介装されてエンブレムの背景を形成する背景形成部材44とを備え、背景形成部材44の表面からキャップ本体40の裏面に貫通するように形成された貫通穴90,92を、エンブレム部材42の裏面に立設する立設部82が挿通し、その立設部82の先端84がキャップ本体40の裏面側の部分に係止されることで、キャップ本体40に取り付けられる。エンブレムおよびそのエンブレムの背景を容易に変更することが可能である。
【解決手段】(a)キャップ本体40と、(b)エンブレムを形成してキャップ本体40の表面に取り付けられたエンブレム部材42と、(c)それらキャップ本体40とエンブレム部材42との間に介装されてエンブレムの背景を形成する背景形成部材44とを備え、背景形成部材44の表面からキャップ本体40の裏面に貫通するように形成された貫通穴90,92を、エンブレム部材42の裏面に立設する立設部82が挿通し、その立設部82の先端84がキャップ本体40の裏面側の部分に係止されることで、キャップ本体40に取り付けられる。エンブレムおよびそのエンブレムの背景を容易に変更することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ホイールに取り付けられるホイールキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ホイールには、例えば、ホイール本体の車両への取付部の保護や、ホイール本体の正面の装飾を目的としてホイールキャップが取り付けられる場合がある。それらホイールキャップには、下記特許文献に記載のように、メーカーや車種等に応じたエンブレムが設けられる場合が多い。そのエンブレムは、キャップ本体と一体的に形成される、あるいは、下記特許文献のようにキャップ本体に接着剤や両面テープだけで貼着される。詳しく言えば、下記特許文献1に記載されているホイールキャップは、キャップ本体の表面の外縁に沿ってリブが形成され、その内側にデザインをあしらったプレートが接着剤により貼着されるとともに、その上から、透明プラスチック製の保護プレートが透明な接着剤により貼着されている。また、下記特許文献2に記載されているホイールキャップは、金属板,プライマー層,模様層,紫外線吸収剤を含むクリア被膜層から構成されたエンブレム部材(オーナメント)が、キャップ本体に貼着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−245604号公報
【特許文献2】特開2002−46404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンブレム部材が接着剤あるいは両面テープだけで、キャップ本体に貼着されている上記特許文献に記載のホイールキャップは、ブレーキ装置により発生する熱や、雨,紫外線等にさらされる状況下においても、貼着されたエンブレムが剥がれない必要がある。そのことを考慮して、上記特許文献2に記載されているホイールキャップのエンブレム部材は、金属板,プライマー層,模様層,クリア被膜層から構成され、それら3つの層の膜厚を限定したものとなっている。つまり、その特許文献2に記載のホイールキャップにおいて、模様層のみの交換は困難であると考えられる。そして、特許文献2に記載のエンブレム部材は、特許文献1に記載のホイールキャップと同様に、接着剤によりキャップ本体に貼着されている。したがって、そのエンブレムのキャップ本体への貼着も、上記の理由により、強固であることが望ましい。つまり、上記特許文献1に記載されているホイールキャップは、製作時におけるエンブレムの自由度はあるものの、上記特許文献1,2に記載のホイールキャップは、いずれも、製作後にエンブレムを交換するのが困難であるという問題がある。そのような問題に対処することにより、ホイールキャップの実用性を向上させ得ると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高いホイールキャップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のホイールキャップは、(a)キャップ本体と、(b)エンブレムを形成してキャップ本体の表面に取り付けられたエンブレム部材と、(c)それらキャップ本体とエンブレム部材との間に介装されてエンブレムの背景を形成する背景形成部材とを備え、背景形成部材の表面からキャップ本体の裏面に貫通するように形成された貫通穴を、エンブレム部材の裏面に立設する立設部が挿通し、その立設部の先端がキャップ本体の裏面側の部分に係止されることで、キャップ本体に取り付けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のホイールキャップは、キャップ本体,エンブレム部材,背景形成部材の3つの部材からなり、エンブレム部材が、キャップ本体との間に背景形成部材を挟んだ状態で、それの裏面に設けられた立設部において、キャップ本体に係合するように構成されている。つまり、本ホイールキャップは、エンブレムおよびそのエンブレムの背景を容易に変更することが可能である。つまり、本ホイールキャップは、キャップ本体はそのままで、種々のバリエーションのものを安価に用意することが可能である。また、本ホイールキャップは、上記のような構成からエンブレムあるいはエンブレムの背景を容易に交換することが可能である。そのような種々の利点を有することで、本ホイールキャップは実用性の高いものとなる。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0008】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、請求項1に(4)項の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項2に(5)項の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに(7)項および(8)項の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに(7)項および(8)項の技術的特徴を付加したものが請求項5に、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに(7)項および(9)項の技術的特徴を付加したものが請求項6に、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに(6)項の技術的特徴を付加したものが請求項7に、
請求項1ないし請求項7のいずれか1つに(11)項の技術的特徴を付加したものが請求項8に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに(12)項の技術的特徴を付加したものが請求項9に、請求項9に(13)項の技術的特徴を付加したものが請求項10に、それぞれ相当する。
【0009】
(1)車両用ホイールに取り付けられるホイールキャップであって、
キャップ本体と、
エンブレムを形成し、前記キャップ本体の表面に取り付けられたエンブレム部材と、
前記キャップ本体と前記エンブレム部材との間に介装され、前記エンブレムの背景を形成する背景形成部材と
を備え、
当該ホイールキャップが、
前記キャップ本体に設けられた穴と、その穴と重なるように前記背景形成部材に設けられた穴とによって、前記背景形成部材の表面から前記キャップ本体の裏面に貫通するように形成された貫通穴を備え、
前記エンブレム部材が、
裏面に立設する立設部を有し、その立設部が前記貫通穴を挿通して、その立設部の先端が前記キャップ本体の裏面側の部分に係止されることで、そのキャップ本体に取り付けられたホイールキャップ。
【0010】
本項に記載のホイールキャップは、上記のように、キャップ本体、エンブレム部材、および背景形成部材の3つの部材から構成されている。そして、本項のホイールキャップは、エンブレム部材の裏面に立設部が設けられ、その立設部が背面形成部材およびキャップ本体を貫通して、それの先端部においてキャップ本体の裏面に係止されるように構成される。本項に記載のホイールキャップによれば、エンブレム部材や背景形成部材を、容易に相違させること、交換することが可能であり、エンブレムやそのエンブレムの背景色等を容易に異ならせることが可能である。つまり、ホイールキャップは、種々のバリエーションのものを安価に用意することができ、車両の所有者に自分の好みのものを選択させることが可能である。
【0011】
さらに、本項に記載のホイールキャップは、エンブレムに設けた立設部、背景形成部材の貫通穴、およびキャップ本体の貫通穴によって、それらの取付位置が定まるため、エンブレムを貼着させる場合に比較して、製作時間の短縮や交換時間の短縮を図ることができる。ちなみに、立設部および貫通穴は、1つずつである必要はなく、複数ずつ設けられていてもよい。なお、エンブレム部材がキャップ本体に係止される構成は、特に限定されないが、具体的には、例えば、後に詳しく説明するように、立設部の先端部に爪が設けられ、その爪がキャップ本体の裏面に掛かり止まるような構成とすることができる。また例えば、立設部を貫通穴に挿通させた後に、その立設部の先端部をかしめることによってキャップ本体の裏面に係り止まるような構成とすることもできる。なお、エンブレム部材の取り外しを容易にするという観点からすれば、爪がキャップ本体の裏面に掛かり止まるような構成のものが望ましい。
【0012】
例えば、エンブレムを車両所有者の好みのものに交換したい場合や、エンブレムが傷付いた場合には、ホイールキャップごと交換するのが一般的である。しかしながら、ホイールキャップが、ホイールに設けられた取付穴を塞ぐように、その取付穴に嵌り込んでしまうようなもの(主に、後に説明するセンタキャップ)である場合には、ホイールキャップをホイールから取り外すことは困難である。本項に記載のホイールキャップによれば、エンブレム部材を取り外すことによって、立設部を挿通させていた貫通穴が露出するため、その貫通穴を利用して、キャップ本体をホイールから容易に取り外すこと、例えば、貫通穴に道具等を引っ掛け、キャップ本体を引き抜くようにして取り外すことが可能である。
【0013】
なお、本項に記載のホイールキャップは、ホイール全体の保護や装飾を目的としたフルキャップ(いわゆるホイールカバーである)、車両のハブに取り付けるためのホイール本体の取付部を保護,装飾するハーフキャップ、車軸が嵌められるホイール本体のハブ穴を塞ぐようにしてその車軸のハブの保護やホイールの装飾を目的としたセンタキャップ(いわゆるハブオーナメントである)のいずれにも採用することができる。また、本項に記載の「背景形成部材」は、キャップ本体の全体を覆うようなものであってもよく、キャップ本体の一部のみに重なるようなものであってもよい。
【0014】
(2)当該ホイールキャップが、
前記エンブレム部材を前記キャップ本体の裏面側の部分に係止させることによって、それらエンブレム部材とキャップ本体との各々に互いに接近させる方向の力である締結力を生じさせる締結力発生機構を備え、その締結力により、前記背景形成部材が前記エンブレム部材と前記キャップ本体とによって挟持されるように構成された(1)項に記載のホイールキャップ。
【0015】
本項に記載の態様は、エンブレム部材とキャップ本体とが、背景形成部材を挟み込んで、その背景形成部材を保持する力を生じさせるように構成される。したがって、本項の態様によれば、背景形成部材をキャップ本体に貼着させることが必須ではない。つまり、本項の態様において、背景形成部材がめくれるのを防止する等の目的で、背景形成部材をキャップ本体に貼着させる場合であっても、背景形成部材がエンブレム部材とキャップ本体とによって挟持されているため、背景形成部材のキャップ本体への貼着を強固なものとする必要がなく、比較的容易に背景形成部材をキャップ本体から剥がすことが可能である。
【0016】
本項に記載の「締結力発生機構」は、例えば、エンブレム部材の立設部の先端にそれが立設する方向と交差する方向に突出する爪を設け、立設部が傾倒することによって生じる弾性力を利用して、エンブレム部材の裏面と爪との間にキャップ本体および背景形成部材を挟み込むようにすることで、上記締結力を発生させるような構成とすることができる。
【0017】
(3)前記エンブレム部材が、
前記立設部の先端にそれが立設する方向と交差する方向に突出する爪が設けられ、その爪が前記キャップ本体部の裏面に掛かり止まることで、前記キャップ本体に係止された(1)項または(2)項に記載のホイールキャップ。
【0018】
本項に記載の態様は、エンブレム部材がキャップ本体に係止される構成を具体化した態様である。先にも述べたように、本項に記載の態様によれば、立設部の先端部をかしめるような構成のものと比較して、エンブレム部材をキャップ本体から外すのが容易である。本項に記載の態様は、立設部が傾倒することによって生じる弾性力を利用するように構成することで、先に述べた背景形成部材が締結力よって挟持される態様となる。
【0019】
(4)前記背景形成部材が、
薄板状の部材からなり、表面の前記エンブレムからはみ出した箇所において隆起する凸所を有するものである(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【0020】
(5)前記背景形成部材が、表面の外縁全周に沿って前記凸所が形成されたものである(4)項に記載のホイールキャップ。
【0021】
上記2つの項に記載の態様は、背景形成部材が表面側に盛り上がったような凸所を有することにより、薄板状のものであっても、その剛性が高められている。そのため、上記2つ項の態様によれば、背景形成部材のはみ出した部分が折れ曲がって、キャップ本体からめくれ上がってしまうことを防止することができる。前者の態様においては、凸所の形状,大きさ、および数は、特に限定されず、種々のものを採用可能である。一方、後者の態様は、その凸所の形状を限定した態様であり、背景形成部材の外縁に凸所が形成されている。例えば、センタキャップのように、ホイールの取付穴に嵌め込むようなものである場合、背景形成部材の端が引っ掛かり、折れ曲がりやすい。そのため、後者の態様は、そのようなホイールキャップに特に有効である。
【0022】
(6)前記キャップ本体が、前記背景形成部材によって覆われた箇所の一部に欠肉部が形成されたものである(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【0023】
本項に記載の態様は、キャップ本体の一部が刳り貫かれているため、ホイールキャップの軽量化,キャップ本体の材料低減によるコストダウンを図ることができる。また、本項に記載のホイールキャップは、例えば、キャップ本体の中央部に欠肉部が形成されたものである場合、ホイールキャップの裏面とハブとの間隔を大きくすることができる。換言すれば、ホイールキャップ全体をアクスルハブに近づけることが可能であるため、エンブレム部材としてエンブレムに厚みをもたせることが可能なものをも採用でき、エンブレムの自由度を向上させることができる。
【0024】
(7)当該ホイールキャップが、
前記車両用ホイールに設けられた車幅方向外側に開口する取付穴に、その取付穴を塞ぐようにして取り付けられるものである(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【0025】
本項に記載の態様は、ホイールキャップを、センタキャップのように、ホイールの取付穴に嵌め込むようなものに限定した態様である。なお、以下に説明する3つの項の態様は、本項の態様において、より実用的となる態様である。
【0026】
(8)前記背景形成部材が、外縁から裏面側に向かって突出するように設けられた円環状のリブ部を有し、
前記キャップ本体が、前記背景形成部材の前記リブ部の内側に嵌り込むように構成され、
当該ホイールキャップが、
前記車両用ホイールの前記取付穴の内周面と前記リブ部が向かい合うようにして、前記背景形成部材が前記キャップ本体とともに前記取付穴に嵌り込むように構成された(7)項に記載のホイールキャップ。
【0027】
本項に記載の態様は、背景形成部材が、リブ部を有することにより、その剛性が高められており、背景形成部材が折れ曲がって、キャップ本体からめくれ上がってしまうことを防止することができる。本項に記載のホイールキャップは、ホイールの取付穴に嵌め込まれるものであるが、そのリブ部が、取付穴の外周面とキャップ本体との間に入り込むため、取付穴とキャップ本体との隙間を小さくすることができる。
【0028】
(9)前記背景形成部材が、前記取付穴より大きなものとされ、
当該ホイールキャップが、
前記車両用ホイールに取り付けられた状態において、前記背景形成部材が前記取付穴を覆い隠すように構成された(7)項に記載のホイールキャップ。
【0029】
本項に記載の態様によれば、背景形成部材によって、取付穴とキャップ本体との隙間を隠すことが可能である。ちなみに、本項に記載のホイールキャップは、背面形成部材がキャップ本体の回りに延び出した状態となるため、その背面形成部材の剛
性を高めることが望ましく、背景形成部材が、先に述べた凸所を有するものであることが望ましい。
【0030】
(10)前記キャップ本体が、中央の部分が表面側に突出して段付状に形成されるとともに、
前記背景形成部材が、そのキャップ本体の表面全体を覆って、そのキャップ本体に嵌り合うように段付状に形成された(7)項ないし(9)項のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【0031】
本項に記載のホイールキャップは、換言すれば、キャップ本体および背景形成部材が、裏面側が凹んだような形状とされている。本項に記載のホイールキャップは、ホイールキャップの裏面とアクスルハブやアクスルシャフトとの間隔を大きくすることができる。
【0032】
(11)前記エンブレム部材が、単一の前記立設部により前記キャップ本体に係止されており、その単一の立設部を中心として回転可能とされ、
当該ホイールキャップが、
前記キャップ本体に前記貫通穴を構成する穴とは別に設けられた穴と、その穴と重なるように前記背景形成部材に設けられた穴とを含んで構成され、前記エンブレム部材が通常の位置にある場合にそのエンブレム部材によって塞がれるとともに、そのエンブレム部材が回転させられた場合に露出して当該ホイールキャップを前記車両用ホイールから取り外すための穴である作業穴を備えた(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【0033】
(12)前記エンブレム部材が、単一の前記立設部により前記キャップ本体に係止されており、
当該ホイールキャップが、
前記キャップ本体に前記貫通穴を構成する穴とは別に設けられ、前記背景形成部材が通常の位置にある場合にその背景形成部材によって塞がれるとともに、その背景形成部材が回転させられた場合に露出して当該ホイールキャップを前記車両用ホイールから取り外すための穴である作業穴を備えた(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【0034】
上記2つの項に記載の態様は、ホイールキャップを取り外すための専用の穴を設けた態様である。上記2つの項の態様によれば、通常は、エンブレム部材あるいは背景形成部材によって作業穴を隠しておけるため、見栄えを悪化させることはなく、ホイールキャップの交換等の場合には、作業穴を利用して、ホイールキャップを容易に取り外すことができる。なお、上記2つの項に記載の「通常の位置にある場合」とは、キャップ本体あるいは背景形成部材に対する回転位置が、定められた正規の位置にあることを意味する。
【0035】
(13)前記背景形成部材が、
裏面側に突出する突起を有し、その突起が、前記キャップ本体に対して通常の位置にある場合に前記作業穴に嵌るように構成された(12)項に記載のホイールキャップ。
【0036】
本項に記載の態様は、作業穴を利用して、キャップ本体に対する背景形成部材の位置決めを行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】請求可能発明の第1実施例であるホイールキャップが取り付けられた車両用ホイールを示す断面図である。
【図2】図1に示すホイールキャップの平面図である。
【図3】図1に示すホイールキャップの側面断面図(図2におけるA−A断面)である。
【図4】図1に示すホイールキャップの分解した側面断面図である。
【図5】エンブレム部材を回転させて、作業穴を露出させた状態を示す平面図である。
【図6】第1実施例の変形例であるホイールキャップの平面図である。
【図7】請求可能発明の第2実施例であるホイールキャップを示す平面図である。
【図8】図7に示すホイールキャップの側面断面図(図7におけるB−B断面)である。
【図9】請求可能発明の第3実施例であるホイールキャップを示す側面断面図である。
【図10】請求可能発明の第4実施例であるホイールキャップを示す平面図である。
【図11】図10に示すホイールキャップの側面断面(図10におけるC−C断面)図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、請求可能発明を実施するための形態として、いくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。また、〔発明の態様〕の各項の説明に記載されている技術的事項を利用して、下記の実施例の変形例を構成することも可能である。
【実施例1】
【0039】
請求可能発明の第1実施例であるホイールキャップ10が取り付けられた車両用ホイール12を図1に示す。その図1は、車両用ホイール12とタイヤ14とによって構成される車輪が、車体側のアクスルシャフト16に取り付けられた状態の断面図である。具体的に言えば、車輪は、車両用ホイール12において、アクスルシャフト16の先端部に相対回転不能に嵌合されたアクスルハブ18に複数のハブボルト・ナット20によって固定されている。
【0040】
上記の車両用ホイール12は、本実施例のホイールキャップ10と、ホイール本体30とを備えている。ホイール本体30は、径方向の中心の位置にハブ穴34が設けられており、そのハブ穴34内に、アクスルシャフト16の先端が、挿入された状態となっている。そして、そのホイール本体30に設けられたハブ穴34に、本ホイールキャップ10が取り付けられている。つまり、本ホイールキャップ10は、ハブ穴34からの塵埃,泥等の侵入を防止することでアクスルハブ18を保護するとともに、ホイール本体30を装飾する樹脂製のセンタキャップ(いわゆるハブオーナメント)である。なお、ホイール本体30に設けられたハブ穴34は、車幅方向外側に開口する開口を有し、本ホイールキャップ10を取り付けるための取付穴として機能する。
【0041】
本ホイールキャップ10について、図2ないし図4をも参照しつつ詳しく説明する。図2は、本ホイールキャップ10の平面図であり、図3は、本ホイールキャップ10の側面断面図(図2におけるA−A断面)であり、図4は、本ホイールキャップ10を分解した側面断面図である。本ホイールキャップ10は、大きく分けて、キャップ本体40と、エンブレムをなしてキャップ本体40に取り付けられるエンブレム部材42と、それらキャップ本体40とエンブレム部材42との間に介装されてエンブレムの背景を形成する背景形成部材としてのカラープレート44との3つの部材から構成されている。
【0042】
キャップ本体40は、ハブ穴34の開口を塞ぐ蓋部50と、その蓋部50の裏面に立設されてハブ穴34の内側に掛かり止まるための4つの掛止片部52とを有している。それら4つの掛止片部52の各々は、先端部に、径方向外側に向かって突出する爪54を有しており、ハブ穴34の内周面に周方向に延びるように形成された1本の溝60に掛かり止まるようになっている。また、それら4つの掛止片部52の先端部の内側には、金属製の補強リング62が配設されている。その補強リング62によって、4つの掛止片部52の各々が、キャップ本体40の径方向の中心に向かって塑性変形してしまうことが防止されるようになっており、本ホイールキャップ10がホイール本体30にしっかりと嵌められるようになっている。
【0043】
カラープレート44は、薄板状の部材から形成されたものであり、キャップ本体40の蓋部50の全体を覆うようになっている。具体的には、カラープレート44は、円形状に形成されて蓋部50の表面を覆う本体部70と、その本体部70の表面の外縁に沿って隆起する円環状の凸所72と、その凸所から連続してカラープレート44の外縁から裏面側に向かって突出するように設けられた円環状のリブ部74とを有している。そして、そのリブ部74の内側に、キャップ本体40の蓋部50が嵌るようになっている。換言すれば、キャップ本体40の蓋部50に、カラープレート44が外嵌するようになっている。
【0044】
エンブレム部材42は、エンブレムが形成されたエンブレム部80と、そのエンブレム部80の裏面の中央に立設する立設部82とを有する。その立設部82は、円筒状のものであり、先端部に軸線に沿って切れ込みが入れられて先端部が二等分されたものとなっている。その先端部には、径方向外側に向かって突出する爪84が形成されている。
【0045】
一方、キャップ本体40の蓋部50の中央に穴90が設けられるとともに、カラープレート44の中央にキャップ本体40の穴90と重なる穴92が設けられている。それらキャップ本体40の穴90とカラープレート44の穴92とによって形成される貫通穴を、エンブレム部材42の立設部82が挿通し、立設部82の爪84がキャップ本体40の蓋部50の裏面に掛かり止まることで、エンブレム部材42は、キャップ本体40に取り付けられている。なお、エンブレム部材42は、そのエンブレム部80の裏面から爪84までの寸法が、キャップ本体40の蓋部50とカラープレート44とを合わせた厚みより僅かに小さくされており、立設部82が傾倒することによる弾性力によって、エンブレム部80の裏面と爪84との間で蓋部50とカラープレート44とを挟み込むようにして、取り付けられている。つまり、本ホイールキャップ10は、エンブレム部材42(詳しくは、エンブレム部80)とキャップ本体40との各々に互いに接近させる方向の力である締結力を生じさせる締結力発生機構を備えたものとなっており、背景形成部材であるカラープレート44は、その締結力により、エンブレム部材44とキャップ本体40とによって挟持されるように構成されている。ちなみに、エンブレム部材42は、その締結力によって、がたつきが防止されるとともに、キャップ本体40に対してある程度の力を加えない限り回転しないようになっている。
【0046】
また、キャップ本体40には、上記の貫通穴を構成する穴90とは別に、もう1つの穴100が設けられている。カラープレート44には、その穴100に重なる穴102が設けられている。それらキャップ本体40の穴100とカラープレート44の穴102とによって形成される穴は、通常は、エンブレム部材42によって塞がれるとともに、図5に示すように、エンブレム部材42を立設部82を中心として回転させることで、露出するように構成されており、本ホイールキャップ10をホイール本体30から取り外すための作業穴として機能するものとなっている。つまり、その作業穴に何らかの道具を引っ掛けて引っ張ることで、本ホイールキャップ10をホイール本体30から容易に取り外すことが可能とされている。
【0047】
以上のように構成された本ホイールキャップ10は、エンブレム部材42やカラープレート44を、容易に相違させること、交換することが可能であり、エンブレムやそのエンブレムの背景色等を容易に異ならせることが可能である。つまり、種々のバリエーションのホイールキャップを用意することができ、車両の所有者に自分の好みのものを選択させることが可能である。また、例えば、エンブレムやそれの背景色を車両のグレードごとに異ならせることで、外見では判別し難いグレードの異なる車両を、ナンバプレートがついていない状態であっても、容易に判断することができ、工場等での管理を容易にすることが可能である。なお、本ホイールキャップ10は、通常は隠される位置に作業穴が設けられているため、ホイール12の見栄えを悪化させることなく、ホイール本体30からの取り外しを容易に行うことが可能とされている。さらに、本ホイールキャップ10によれば、カラープレート44をホイール本体30と同じ素材を用いたものとすることで、比較的安価に、ホイール本体30とホイールキャップ10との一体感を出すことができる。
【0048】
本ホイールキャップ10のカラープレート44は、薄板状のものであるが、外縁に形成された凸所72とリブ部74とによって剛性が高いものとされており、ホイール本体30への取付時などに変形してしまうことが防止されるようになっている。また、キャップ本体40とホイール本体30のハブ穴34の内周面との間に、カラープレート44のリブ部74が入り込むため、ホイール12の見栄えを向上させることが可能である。
【0049】
上記実施例のホイールキャップ10は、背景形成部材としてのカラープレート44には、表面の外縁に沿って円環状の凸所74が形成されていたが、その凸所は、カラープレート44の表面において、エンブレムからはみ出している箇所であればどの位置に設けられてもよく、その形状も限定されない。例えば、図6に示す変形例のホイールキャップ120において、カラープレート122は、エンブレム部材42のエンブレムの上側と下側との各々の中間位置に、2つの凸所124が設けられたものとなっている。
【実施例2】
【0050】
第2実施例のホイールキャップ150を、図7および図8に示す。図7は、本ホイールキャップ150の平面図であり、図8は、本ホイールキャップ150の側面断面図(図7におけるB−B断面)である。本実施例のホイールキャップ150は、第1実施例のホイールキャップ10と同様に、センタキャップであり、第1実施例のホイールキャップ10と同じ構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するあるいは簡略に行うものとする。
【0051】
本実施例のホイールキャップ150は、第1実施例のホイールキャップ10と同様に、キャップ本体160,エンブレム部材162,背景形成部材としてのカラープレート164との3つの部材から構成されている。まず、本実施例のホイールキャップ10は、カラープレート164の形状が、第1実施例のものと大きく異なる。詳しくは、カラープレート164は、ホイール本体30に設けられたハブ穴34の内径より大きな外径のものとされている。そのカラープレート164は、表面の外縁に沿って隆起する円環状の凸所166を有している。つまり、本ホイールキャップ150は、カラープレート164の剛性が高いものとされており、そのカラープレート164がホイール本体30への取付時などに変形してしまうことが防止されるようになっている。
【0052】
エンブレム部材162は、エンブレムが形成されたエンブレム部170と、そのエンブレム部170の裏面に立設するように設けられた立設部としてのリベット部172とを有する。一方、キャップ本体160の蓋部180には、4つの穴182が設けられるとともに、カラープレート164には、キャップ本体160の4つの穴182の各々と重なる4つの穴184が設けられている。それらキャップ本体160の穴182とカラープレート164の穴184とによって形成される4つの貫通穴の各々を、エンブレム部材162の4つのリベット部172の各々が挿通した状態で、リベット部172の先端が、かしめられている。それにより、4つのリベット部172の各々は、キャップ本体160の裏面に掛かり止まり、締結力が生じるように構成されている。そして、エンブレム部材162は、その締結力によって、キャップ本体160との間でカラープレート164を挟持しつつ、キャップ本体160に取り付けられている。
【0053】
また、キャップ本体160は、貫通穴を形成する4つの穴182の内側が刳り貫かれたような欠肉部190を有している。つまり、本ホイールキャップ150は、ホイールキャップの軽量化,キャップ本体の材料低減によるコストダウンが図られたものとなっている。
【0054】
本ホイールキャップ150は、ホイール本体30に取り付けた場合、カラープレート164によって、キャップ本体160とハブ穴34との隙間が隠されるため、車両用ホイール12の見栄えを向上させることが可能である。また、キャップ本体160に欠肉部190が設けられているため、本ホイールキャップ150は、自身の裏面とアクスルシャフト16との間隔が大きくされている。
【実施例3】
【0055】
第3実施例のホイールキャップ200を、図9に示す。図9は、本ホイールキャップ200の側面断面図である。本実施例のホイールキャップ200は、上記実施例のホイールキャップ10,150と同様に、センタキャップであり、それら実施例のホイールキャップ10,150と同じ構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するあるいは簡略に行うものとする。
【0056】
本実施例のホイールキャップ200は、第1実施例のホイールキャップ10と同様に、キャップ本体210,エンブレム部材212,背景形成部材としてのカラープレート214との3つの部材から構成されている。本ホイールキャップ200は、キャップ本体210が、それの中央の部分が表面側に突出して段付形状に形成されるとともに、カラープレート214が、そのキャップ本体210の表面全体を覆ってそのキャップ本体210に嵌り合うように段付形状に形成されている。
【0057】
また、エンブレム部材212が、4つの立設部220を有しており、一方で、キャップ本体210の蓋部230には、4つの穴232が設けられるとともに、カラープレート214には、キャップ本体230の4つの穴232の各々と重なる4つの穴234が設けられている。それらキャップ本体210の穴232とカラープレート214の穴234とによって形成される4つの貫通穴の各々を、エンブレム部材212の4つの立設部220の各々が挿通した状態で、その立設部220の先端に金属製のリング236が嵌められている。そのリング236が、キャップ本体210の裏面に掛かり止まるようになっている。
【0058】
さらに、キャップ本体210は、第2実施例におけるキャップ本体160と同様に、欠肉部240を有している。以上のような構成から、本実施例のホイールキャップ200は、自身の裏面とアクスルシャフト16との間隔が、第2実施例のホイールキャップ150にも増して大きくされている。
【実施例4】
【0059】
第4実施例のホイールキャップ250を、図10および図11に示す。図10は、本ホイールキャップ250の平面図であり、図11は、本ホイールキャップ150の側面断面図(図10におけるC−C断面)である。本実施例のホイールキャップ250は、上記実施例のホイールキャップ10,150,200と同様に、センタキャップであり、それら実施例のホイールキャップ10,150,200と同じ構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するあるいは簡略に行うものとする。
【0060】
本実施例のホイールキャップ250は、第1実施例のホイールキャップ10と同様に、キャップ本体260,エンブレム部材262,背景形成部材としてのカラープレート264との3つの部材から構成されている。本ホイールキャップ250におけるカラープレート264は、キャップ本体260の表面全体を覆うものではなく、そのキャップ本体260の表面より小さく、概して星形に形成されたものである。なお、エンブレム部材262のキャップ本体260への取付は、第1実施例のホイールキャップ10と同様に、エンブレム部材262が単一の立設部270を有し、その立設部270の先端部に設けられた爪272がキャップ本体260の裏面に掛かり止まることで、締結力を発生させる構成とされている。
【0061】
また、キャップ本体260には、エンブレム部材262の立設部270を挿通させるための貫通穴を構成する穴280とは別に、もう1つの穴282が設けられている。その穴282は、通常、カラープレート264によって塞がれるとともに、そのカラープレート264をエンブレム部材262の立設部270を中心として回転させることで、露出するように構成されている。つまり、その穴282は、本ホイールキャップ250をホイール本体30から取り外すための作業穴として機能するものとなっている。したがって、本ホイールキャップ250は、通常は隠される位置に作業穴が設けられているため、車両用ホイール12の見栄えを悪化させることなく、ホイール本体30からの取り外しを容易に行うことが可能とされている。なお、カラープレート264には、裏面に突起284を有しており、その突起284は、通常の位置にある場合に、作業穴として機能する穴282に嵌り込むようになっている。つまり、本ホイールキャップ250は、カラープレート264のキャップ本体260への位置決めを行うことができ、例えば、工場等での組み付け作業の効率化を図ることが可能である。ちなみに、カラープレート264を回転させる場合には、カラープレート264の突起284が形成された部分を表面側に反らせるようにしてその突起284をキャップ本体260の表面上にのり上げさせつつ、カラープレート264を回転させることができるようになっている。
【符号の説明】
【0062】
10:ホイールキャップ(実施例1) 12:車両用ホイール 14:タイヤ 16:アクスルシャフト 30:ホイール本体 34:ハブ穴〔取付穴〕 40:キャップ本体 42:エンブレム部材 44:カラープレート〔背面形成部材〕 70:本体部 72:円環状の凸所 74:円環状のリブ部 80:エンブレム部 82:立設部 84:爪 90:穴(キャップ本体)〔貫通穴〕 92:穴(カラープレート)〔貫通穴〕 100:穴(キャップ本体)〔作業穴〕 102:穴(カラープレート)〔作業穴〕 120:ホイールキャップ(変形例) 122:カラープレート 124:凸所 150:ホイールキャップ(実施例2) 160:キャップ本体 162:エンブレム部材 164:カラープレート〔背面形成部材〕 166:円環状の凸所 170:エンブレム部 172:リベット部〔立設部〕 174:爪 182:穴(キャップ本体)〔貫通穴〕 184:穴(カラープレート)〔貫通穴〕 190:欠肉部 200:ホイールキャップ(実施例3) 210:キャップ本体 212:エンブレム部材 214:カラープレート〔背面形成部材〕 220:立設部 232:穴(キャップ本体)〔貫通穴〕 234:穴(カラープレート)〔貫通穴〕 236:リング 240:欠肉部 250:ホイールキャップ(実施例4) 260:キャップ本体 262:エンブレム部材 264:カラープレート〔背面形成部材〕 270:単一の立設部 272:爪 280:穴(キャップ本体)〔貫通穴〕 282:穴(キャップ本体)〔作業穴〕 284:突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ホイールに取り付けられるホイールキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ホイールには、例えば、ホイール本体の車両への取付部の保護や、ホイール本体の正面の装飾を目的としてホイールキャップが取り付けられる場合がある。それらホイールキャップには、下記特許文献に記載のように、メーカーや車種等に応じたエンブレムが設けられる場合が多い。そのエンブレムは、キャップ本体と一体的に形成される、あるいは、下記特許文献のようにキャップ本体に接着剤や両面テープだけで貼着される。詳しく言えば、下記特許文献1に記載されているホイールキャップは、キャップ本体の表面の外縁に沿ってリブが形成され、その内側にデザインをあしらったプレートが接着剤により貼着されるとともに、その上から、透明プラスチック製の保護プレートが透明な接着剤により貼着されている。また、下記特許文献2に記載されているホイールキャップは、金属板,プライマー層,模様層,紫外線吸収剤を含むクリア被膜層から構成されたエンブレム部材(オーナメント)が、キャップ本体に貼着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−245604号公報
【特許文献2】特開2002−46404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンブレム部材が接着剤あるいは両面テープだけで、キャップ本体に貼着されている上記特許文献に記載のホイールキャップは、ブレーキ装置により発生する熱や、雨,紫外線等にさらされる状況下においても、貼着されたエンブレムが剥がれない必要がある。そのことを考慮して、上記特許文献2に記載されているホイールキャップのエンブレム部材は、金属板,プライマー層,模様層,クリア被膜層から構成され、それら3つの層の膜厚を限定したものとなっている。つまり、その特許文献2に記載のホイールキャップにおいて、模様層のみの交換は困難であると考えられる。そして、特許文献2に記載のエンブレム部材は、特許文献1に記載のホイールキャップと同様に、接着剤によりキャップ本体に貼着されている。したがって、そのエンブレムのキャップ本体への貼着も、上記の理由により、強固であることが望ましい。つまり、上記特許文献1に記載されているホイールキャップは、製作時におけるエンブレムの自由度はあるものの、上記特許文献1,2に記載のホイールキャップは、いずれも、製作後にエンブレムを交換するのが困難であるという問題がある。そのような問題に対処することにより、ホイールキャップの実用性を向上させ得ると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高いホイールキャップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のホイールキャップは、(a)キャップ本体と、(b)エンブレムを形成してキャップ本体の表面に取り付けられたエンブレム部材と、(c)それらキャップ本体とエンブレム部材との間に介装されてエンブレムの背景を形成する背景形成部材とを備え、背景形成部材の表面からキャップ本体の裏面に貫通するように形成された貫通穴を、エンブレム部材の裏面に立設する立設部が挿通し、その立設部の先端がキャップ本体の裏面側の部分に係止されることで、キャップ本体に取り付けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のホイールキャップは、キャップ本体,エンブレム部材,背景形成部材の3つの部材からなり、エンブレム部材が、キャップ本体との間に背景形成部材を挟んだ状態で、それの裏面に設けられた立設部において、キャップ本体に係合するように構成されている。つまり、本ホイールキャップは、エンブレムおよびそのエンブレムの背景を容易に変更することが可能である。つまり、本ホイールキャップは、キャップ本体はそのままで、種々のバリエーションのものを安価に用意することが可能である。また、本ホイールキャップは、上記のような構成からエンブレムあるいはエンブレムの背景を容易に交換することが可能である。そのような種々の利点を有することで、本ホイールキャップは実用性の高いものとなる。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0008】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、請求項1に(4)項の技術的特徴を付加したものが請求項2に、請求項2に(5)項の技術的特徴を付加したものが請求項3に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに(7)項および(8)項の技術的特徴を付加したものが請求項4に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに(7)項および(8)項の技術的特徴を付加したものが請求項5に、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに(7)項および(9)項の技術的特徴を付加したものが請求項6に、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに(6)項の技術的特徴を付加したものが請求項7に、
請求項1ないし請求項7のいずれか1つに(11)項の技術的特徴を付加したものが請求項8に、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに(12)項の技術的特徴を付加したものが請求項9に、請求項9に(13)項の技術的特徴を付加したものが請求項10に、それぞれ相当する。
【0009】
(1)車両用ホイールに取り付けられるホイールキャップであって、
キャップ本体と、
エンブレムを形成し、前記キャップ本体の表面に取り付けられたエンブレム部材と、
前記キャップ本体と前記エンブレム部材との間に介装され、前記エンブレムの背景を形成する背景形成部材と
を備え、
当該ホイールキャップが、
前記キャップ本体に設けられた穴と、その穴と重なるように前記背景形成部材に設けられた穴とによって、前記背景形成部材の表面から前記キャップ本体の裏面に貫通するように形成された貫通穴を備え、
前記エンブレム部材が、
裏面に立設する立設部を有し、その立設部が前記貫通穴を挿通して、その立設部の先端が前記キャップ本体の裏面側の部分に係止されることで、そのキャップ本体に取り付けられたホイールキャップ。
【0010】
本項に記載のホイールキャップは、上記のように、キャップ本体、エンブレム部材、および背景形成部材の3つの部材から構成されている。そして、本項のホイールキャップは、エンブレム部材の裏面に立設部が設けられ、その立設部が背面形成部材およびキャップ本体を貫通して、それの先端部においてキャップ本体の裏面に係止されるように構成される。本項に記載のホイールキャップによれば、エンブレム部材や背景形成部材を、容易に相違させること、交換することが可能であり、エンブレムやそのエンブレムの背景色等を容易に異ならせることが可能である。つまり、ホイールキャップは、種々のバリエーションのものを安価に用意することができ、車両の所有者に自分の好みのものを選択させることが可能である。
【0011】
さらに、本項に記載のホイールキャップは、エンブレムに設けた立設部、背景形成部材の貫通穴、およびキャップ本体の貫通穴によって、それらの取付位置が定まるため、エンブレムを貼着させる場合に比較して、製作時間の短縮や交換時間の短縮を図ることができる。ちなみに、立設部および貫通穴は、1つずつである必要はなく、複数ずつ設けられていてもよい。なお、エンブレム部材がキャップ本体に係止される構成は、特に限定されないが、具体的には、例えば、後に詳しく説明するように、立設部の先端部に爪が設けられ、その爪がキャップ本体の裏面に掛かり止まるような構成とすることができる。また例えば、立設部を貫通穴に挿通させた後に、その立設部の先端部をかしめることによってキャップ本体の裏面に係り止まるような構成とすることもできる。なお、エンブレム部材の取り外しを容易にするという観点からすれば、爪がキャップ本体の裏面に掛かり止まるような構成のものが望ましい。
【0012】
例えば、エンブレムを車両所有者の好みのものに交換したい場合や、エンブレムが傷付いた場合には、ホイールキャップごと交換するのが一般的である。しかしながら、ホイールキャップが、ホイールに設けられた取付穴を塞ぐように、その取付穴に嵌り込んでしまうようなもの(主に、後に説明するセンタキャップ)である場合には、ホイールキャップをホイールから取り外すことは困難である。本項に記載のホイールキャップによれば、エンブレム部材を取り外すことによって、立設部を挿通させていた貫通穴が露出するため、その貫通穴を利用して、キャップ本体をホイールから容易に取り外すこと、例えば、貫通穴に道具等を引っ掛け、キャップ本体を引き抜くようにして取り外すことが可能である。
【0013】
なお、本項に記載のホイールキャップは、ホイール全体の保護や装飾を目的としたフルキャップ(いわゆるホイールカバーである)、車両のハブに取り付けるためのホイール本体の取付部を保護,装飾するハーフキャップ、車軸が嵌められるホイール本体のハブ穴を塞ぐようにしてその車軸のハブの保護やホイールの装飾を目的としたセンタキャップ(いわゆるハブオーナメントである)のいずれにも採用することができる。また、本項に記載の「背景形成部材」は、キャップ本体の全体を覆うようなものであってもよく、キャップ本体の一部のみに重なるようなものであってもよい。
【0014】
(2)当該ホイールキャップが、
前記エンブレム部材を前記キャップ本体の裏面側の部分に係止させることによって、それらエンブレム部材とキャップ本体との各々に互いに接近させる方向の力である締結力を生じさせる締結力発生機構を備え、その締結力により、前記背景形成部材が前記エンブレム部材と前記キャップ本体とによって挟持されるように構成された(1)項に記載のホイールキャップ。
【0015】
本項に記載の態様は、エンブレム部材とキャップ本体とが、背景形成部材を挟み込んで、その背景形成部材を保持する力を生じさせるように構成される。したがって、本項の態様によれば、背景形成部材をキャップ本体に貼着させることが必須ではない。つまり、本項の態様において、背景形成部材がめくれるのを防止する等の目的で、背景形成部材をキャップ本体に貼着させる場合であっても、背景形成部材がエンブレム部材とキャップ本体とによって挟持されているため、背景形成部材のキャップ本体への貼着を強固なものとする必要がなく、比較的容易に背景形成部材をキャップ本体から剥がすことが可能である。
【0016】
本項に記載の「締結力発生機構」は、例えば、エンブレム部材の立設部の先端にそれが立設する方向と交差する方向に突出する爪を設け、立設部が傾倒することによって生じる弾性力を利用して、エンブレム部材の裏面と爪との間にキャップ本体および背景形成部材を挟み込むようにすることで、上記締結力を発生させるような構成とすることができる。
【0017】
(3)前記エンブレム部材が、
前記立設部の先端にそれが立設する方向と交差する方向に突出する爪が設けられ、その爪が前記キャップ本体部の裏面に掛かり止まることで、前記キャップ本体に係止された(1)項または(2)項に記載のホイールキャップ。
【0018】
本項に記載の態様は、エンブレム部材がキャップ本体に係止される構成を具体化した態様である。先にも述べたように、本項に記載の態様によれば、立設部の先端部をかしめるような構成のものと比較して、エンブレム部材をキャップ本体から外すのが容易である。本項に記載の態様は、立設部が傾倒することによって生じる弾性力を利用するように構成することで、先に述べた背景形成部材が締結力よって挟持される態様となる。
【0019】
(4)前記背景形成部材が、
薄板状の部材からなり、表面の前記エンブレムからはみ出した箇所において隆起する凸所を有するものである(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【0020】
(5)前記背景形成部材が、表面の外縁全周に沿って前記凸所が形成されたものである(4)項に記載のホイールキャップ。
【0021】
上記2つの項に記載の態様は、背景形成部材が表面側に盛り上がったような凸所を有することにより、薄板状のものであっても、その剛性が高められている。そのため、上記2つ項の態様によれば、背景形成部材のはみ出した部分が折れ曲がって、キャップ本体からめくれ上がってしまうことを防止することができる。前者の態様においては、凸所の形状,大きさ、および数は、特に限定されず、種々のものを採用可能である。一方、後者の態様は、その凸所の形状を限定した態様であり、背景形成部材の外縁に凸所が形成されている。例えば、センタキャップのように、ホイールの取付穴に嵌め込むようなものである場合、背景形成部材の端が引っ掛かり、折れ曲がりやすい。そのため、後者の態様は、そのようなホイールキャップに特に有効である。
【0022】
(6)前記キャップ本体が、前記背景形成部材によって覆われた箇所の一部に欠肉部が形成されたものである(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【0023】
本項に記載の態様は、キャップ本体の一部が刳り貫かれているため、ホイールキャップの軽量化,キャップ本体の材料低減によるコストダウンを図ることができる。また、本項に記載のホイールキャップは、例えば、キャップ本体の中央部に欠肉部が形成されたものである場合、ホイールキャップの裏面とハブとの間隔を大きくすることができる。換言すれば、ホイールキャップ全体をアクスルハブに近づけることが可能であるため、エンブレム部材としてエンブレムに厚みをもたせることが可能なものをも採用でき、エンブレムの自由度を向上させることができる。
【0024】
(7)当該ホイールキャップが、
前記車両用ホイールに設けられた車幅方向外側に開口する取付穴に、その取付穴を塞ぐようにして取り付けられるものである(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【0025】
本項に記載の態様は、ホイールキャップを、センタキャップのように、ホイールの取付穴に嵌め込むようなものに限定した態様である。なお、以下に説明する3つの項の態様は、本項の態様において、より実用的となる態様である。
【0026】
(8)前記背景形成部材が、外縁から裏面側に向かって突出するように設けられた円環状のリブ部を有し、
前記キャップ本体が、前記背景形成部材の前記リブ部の内側に嵌り込むように構成され、
当該ホイールキャップが、
前記車両用ホイールの前記取付穴の内周面と前記リブ部が向かい合うようにして、前記背景形成部材が前記キャップ本体とともに前記取付穴に嵌り込むように構成された(7)項に記載のホイールキャップ。
【0027】
本項に記載の態様は、背景形成部材が、リブ部を有することにより、その剛性が高められており、背景形成部材が折れ曲がって、キャップ本体からめくれ上がってしまうことを防止することができる。本項に記載のホイールキャップは、ホイールの取付穴に嵌め込まれるものであるが、そのリブ部が、取付穴の外周面とキャップ本体との間に入り込むため、取付穴とキャップ本体との隙間を小さくすることができる。
【0028】
(9)前記背景形成部材が、前記取付穴より大きなものとされ、
当該ホイールキャップが、
前記車両用ホイールに取り付けられた状態において、前記背景形成部材が前記取付穴を覆い隠すように構成された(7)項に記載のホイールキャップ。
【0029】
本項に記載の態様によれば、背景形成部材によって、取付穴とキャップ本体との隙間を隠すことが可能である。ちなみに、本項に記載のホイールキャップは、背面形成部材がキャップ本体の回りに延び出した状態となるため、その背面形成部材の剛
性を高めることが望ましく、背景形成部材が、先に述べた凸所を有するものであることが望ましい。
【0030】
(10)前記キャップ本体が、中央の部分が表面側に突出して段付状に形成されるとともに、
前記背景形成部材が、そのキャップ本体の表面全体を覆って、そのキャップ本体に嵌り合うように段付状に形成された(7)項ないし(9)項のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【0031】
本項に記載のホイールキャップは、換言すれば、キャップ本体および背景形成部材が、裏面側が凹んだような形状とされている。本項に記載のホイールキャップは、ホイールキャップの裏面とアクスルハブやアクスルシャフトとの間隔を大きくすることができる。
【0032】
(11)前記エンブレム部材が、単一の前記立設部により前記キャップ本体に係止されており、その単一の立設部を中心として回転可能とされ、
当該ホイールキャップが、
前記キャップ本体に前記貫通穴を構成する穴とは別に設けられた穴と、その穴と重なるように前記背景形成部材に設けられた穴とを含んで構成され、前記エンブレム部材が通常の位置にある場合にそのエンブレム部材によって塞がれるとともに、そのエンブレム部材が回転させられた場合に露出して当該ホイールキャップを前記車両用ホイールから取り外すための穴である作業穴を備えた(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【0033】
(12)前記エンブレム部材が、単一の前記立設部により前記キャップ本体に係止されており、
当該ホイールキャップが、
前記キャップ本体に前記貫通穴を構成する穴とは別に設けられ、前記背景形成部材が通常の位置にある場合にその背景形成部材によって塞がれるとともに、その背景形成部材が回転させられた場合に露出して当該ホイールキャップを前記車両用ホイールから取り外すための穴である作業穴を備えた(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【0034】
上記2つの項に記載の態様は、ホイールキャップを取り外すための専用の穴を設けた態様である。上記2つの項の態様によれば、通常は、エンブレム部材あるいは背景形成部材によって作業穴を隠しておけるため、見栄えを悪化させることはなく、ホイールキャップの交換等の場合には、作業穴を利用して、ホイールキャップを容易に取り外すことができる。なお、上記2つの項に記載の「通常の位置にある場合」とは、キャップ本体あるいは背景形成部材に対する回転位置が、定められた正規の位置にあることを意味する。
【0035】
(13)前記背景形成部材が、
裏面側に突出する突起を有し、その突起が、前記キャップ本体に対して通常の位置にある場合に前記作業穴に嵌るように構成された(12)項に記載のホイールキャップ。
【0036】
本項に記載の態様は、作業穴を利用して、キャップ本体に対する背景形成部材の位置決めを行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】請求可能発明の第1実施例であるホイールキャップが取り付けられた車両用ホイールを示す断面図である。
【図2】図1に示すホイールキャップの平面図である。
【図3】図1に示すホイールキャップの側面断面図(図2におけるA−A断面)である。
【図4】図1に示すホイールキャップの分解した側面断面図である。
【図5】エンブレム部材を回転させて、作業穴を露出させた状態を示す平面図である。
【図6】第1実施例の変形例であるホイールキャップの平面図である。
【図7】請求可能発明の第2実施例であるホイールキャップを示す平面図である。
【図8】図7に示すホイールキャップの側面断面図(図7におけるB−B断面)である。
【図9】請求可能発明の第3実施例であるホイールキャップを示す側面断面図である。
【図10】請求可能発明の第4実施例であるホイールキャップを示す平面図である。
【図11】図10に示すホイールキャップの側面断面(図10におけるC−C断面)図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、請求可能発明を実施するための形態として、いくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。また、〔発明の態様〕の各項の説明に記載されている技術的事項を利用して、下記の実施例の変形例を構成することも可能である。
【実施例1】
【0039】
請求可能発明の第1実施例であるホイールキャップ10が取り付けられた車両用ホイール12を図1に示す。その図1は、車両用ホイール12とタイヤ14とによって構成される車輪が、車体側のアクスルシャフト16に取り付けられた状態の断面図である。具体的に言えば、車輪は、車両用ホイール12において、アクスルシャフト16の先端部に相対回転不能に嵌合されたアクスルハブ18に複数のハブボルト・ナット20によって固定されている。
【0040】
上記の車両用ホイール12は、本実施例のホイールキャップ10と、ホイール本体30とを備えている。ホイール本体30は、径方向の中心の位置にハブ穴34が設けられており、そのハブ穴34内に、アクスルシャフト16の先端が、挿入された状態となっている。そして、そのホイール本体30に設けられたハブ穴34に、本ホイールキャップ10が取り付けられている。つまり、本ホイールキャップ10は、ハブ穴34からの塵埃,泥等の侵入を防止することでアクスルハブ18を保護するとともに、ホイール本体30を装飾する樹脂製のセンタキャップ(いわゆるハブオーナメント)である。なお、ホイール本体30に設けられたハブ穴34は、車幅方向外側に開口する開口を有し、本ホイールキャップ10を取り付けるための取付穴として機能する。
【0041】
本ホイールキャップ10について、図2ないし図4をも参照しつつ詳しく説明する。図2は、本ホイールキャップ10の平面図であり、図3は、本ホイールキャップ10の側面断面図(図2におけるA−A断面)であり、図4は、本ホイールキャップ10を分解した側面断面図である。本ホイールキャップ10は、大きく分けて、キャップ本体40と、エンブレムをなしてキャップ本体40に取り付けられるエンブレム部材42と、それらキャップ本体40とエンブレム部材42との間に介装されてエンブレムの背景を形成する背景形成部材としてのカラープレート44との3つの部材から構成されている。
【0042】
キャップ本体40は、ハブ穴34の開口を塞ぐ蓋部50と、その蓋部50の裏面に立設されてハブ穴34の内側に掛かり止まるための4つの掛止片部52とを有している。それら4つの掛止片部52の各々は、先端部に、径方向外側に向かって突出する爪54を有しており、ハブ穴34の内周面に周方向に延びるように形成された1本の溝60に掛かり止まるようになっている。また、それら4つの掛止片部52の先端部の内側には、金属製の補強リング62が配設されている。その補強リング62によって、4つの掛止片部52の各々が、キャップ本体40の径方向の中心に向かって塑性変形してしまうことが防止されるようになっており、本ホイールキャップ10がホイール本体30にしっかりと嵌められるようになっている。
【0043】
カラープレート44は、薄板状の部材から形成されたものであり、キャップ本体40の蓋部50の全体を覆うようになっている。具体的には、カラープレート44は、円形状に形成されて蓋部50の表面を覆う本体部70と、その本体部70の表面の外縁に沿って隆起する円環状の凸所72と、その凸所から連続してカラープレート44の外縁から裏面側に向かって突出するように設けられた円環状のリブ部74とを有している。そして、そのリブ部74の内側に、キャップ本体40の蓋部50が嵌るようになっている。換言すれば、キャップ本体40の蓋部50に、カラープレート44が外嵌するようになっている。
【0044】
エンブレム部材42は、エンブレムが形成されたエンブレム部80と、そのエンブレム部80の裏面の中央に立設する立設部82とを有する。その立設部82は、円筒状のものであり、先端部に軸線に沿って切れ込みが入れられて先端部が二等分されたものとなっている。その先端部には、径方向外側に向かって突出する爪84が形成されている。
【0045】
一方、キャップ本体40の蓋部50の中央に穴90が設けられるとともに、カラープレート44の中央にキャップ本体40の穴90と重なる穴92が設けられている。それらキャップ本体40の穴90とカラープレート44の穴92とによって形成される貫通穴を、エンブレム部材42の立設部82が挿通し、立設部82の爪84がキャップ本体40の蓋部50の裏面に掛かり止まることで、エンブレム部材42は、キャップ本体40に取り付けられている。なお、エンブレム部材42は、そのエンブレム部80の裏面から爪84までの寸法が、キャップ本体40の蓋部50とカラープレート44とを合わせた厚みより僅かに小さくされており、立設部82が傾倒することによる弾性力によって、エンブレム部80の裏面と爪84との間で蓋部50とカラープレート44とを挟み込むようにして、取り付けられている。つまり、本ホイールキャップ10は、エンブレム部材42(詳しくは、エンブレム部80)とキャップ本体40との各々に互いに接近させる方向の力である締結力を生じさせる締結力発生機構を備えたものとなっており、背景形成部材であるカラープレート44は、その締結力により、エンブレム部材44とキャップ本体40とによって挟持されるように構成されている。ちなみに、エンブレム部材42は、その締結力によって、がたつきが防止されるとともに、キャップ本体40に対してある程度の力を加えない限り回転しないようになっている。
【0046】
また、キャップ本体40には、上記の貫通穴を構成する穴90とは別に、もう1つの穴100が設けられている。カラープレート44には、その穴100に重なる穴102が設けられている。それらキャップ本体40の穴100とカラープレート44の穴102とによって形成される穴は、通常は、エンブレム部材42によって塞がれるとともに、図5に示すように、エンブレム部材42を立設部82を中心として回転させることで、露出するように構成されており、本ホイールキャップ10をホイール本体30から取り外すための作業穴として機能するものとなっている。つまり、その作業穴に何らかの道具を引っ掛けて引っ張ることで、本ホイールキャップ10をホイール本体30から容易に取り外すことが可能とされている。
【0047】
以上のように構成された本ホイールキャップ10は、エンブレム部材42やカラープレート44を、容易に相違させること、交換することが可能であり、エンブレムやそのエンブレムの背景色等を容易に異ならせることが可能である。つまり、種々のバリエーションのホイールキャップを用意することができ、車両の所有者に自分の好みのものを選択させることが可能である。また、例えば、エンブレムやそれの背景色を車両のグレードごとに異ならせることで、外見では判別し難いグレードの異なる車両を、ナンバプレートがついていない状態であっても、容易に判断することができ、工場等での管理を容易にすることが可能である。なお、本ホイールキャップ10は、通常は隠される位置に作業穴が設けられているため、ホイール12の見栄えを悪化させることなく、ホイール本体30からの取り外しを容易に行うことが可能とされている。さらに、本ホイールキャップ10によれば、カラープレート44をホイール本体30と同じ素材を用いたものとすることで、比較的安価に、ホイール本体30とホイールキャップ10との一体感を出すことができる。
【0048】
本ホイールキャップ10のカラープレート44は、薄板状のものであるが、外縁に形成された凸所72とリブ部74とによって剛性が高いものとされており、ホイール本体30への取付時などに変形してしまうことが防止されるようになっている。また、キャップ本体40とホイール本体30のハブ穴34の内周面との間に、カラープレート44のリブ部74が入り込むため、ホイール12の見栄えを向上させることが可能である。
【0049】
上記実施例のホイールキャップ10は、背景形成部材としてのカラープレート44には、表面の外縁に沿って円環状の凸所74が形成されていたが、その凸所は、カラープレート44の表面において、エンブレムからはみ出している箇所であればどの位置に設けられてもよく、その形状も限定されない。例えば、図6に示す変形例のホイールキャップ120において、カラープレート122は、エンブレム部材42のエンブレムの上側と下側との各々の中間位置に、2つの凸所124が設けられたものとなっている。
【実施例2】
【0050】
第2実施例のホイールキャップ150を、図7および図8に示す。図7は、本ホイールキャップ150の平面図であり、図8は、本ホイールキャップ150の側面断面図(図7におけるB−B断面)である。本実施例のホイールキャップ150は、第1実施例のホイールキャップ10と同様に、センタキャップであり、第1実施例のホイールキャップ10と同じ構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するあるいは簡略に行うものとする。
【0051】
本実施例のホイールキャップ150は、第1実施例のホイールキャップ10と同様に、キャップ本体160,エンブレム部材162,背景形成部材としてのカラープレート164との3つの部材から構成されている。まず、本実施例のホイールキャップ10は、カラープレート164の形状が、第1実施例のものと大きく異なる。詳しくは、カラープレート164は、ホイール本体30に設けられたハブ穴34の内径より大きな外径のものとされている。そのカラープレート164は、表面の外縁に沿って隆起する円環状の凸所166を有している。つまり、本ホイールキャップ150は、カラープレート164の剛性が高いものとされており、そのカラープレート164がホイール本体30への取付時などに変形してしまうことが防止されるようになっている。
【0052】
エンブレム部材162は、エンブレムが形成されたエンブレム部170と、そのエンブレム部170の裏面に立設するように設けられた立設部としてのリベット部172とを有する。一方、キャップ本体160の蓋部180には、4つの穴182が設けられるとともに、カラープレート164には、キャップ本体160の4つの穴182の各々と重なる4つの穴184が設けられている。それらキャップ本体160の穴182とカラープレート164の穴184とによって形成される4つの貫通穴の各々を、エンブレム部材162の4つのリベット部172の各々が挿通した状態で、リベット部172の先端が、かしめられている。それにより、4つのリベット部172の各々は、キャップ本体160の裏面に掛かり止まり、締結力が生じるように構成されている。そして、エンブレム部材162は、その締結力によって、キャップ本体160との間でカラープレート164を挟持しつつ、キャップ本体160に取り付けられている。
【0053】
また、キャップ本体160は、貫通穴を形成する4つの穴182の内側が刳り貫かれたような欠肉部190を有している。つまり、本ホイールキャップ150は、ホイールキャップの軽量化,キャップ本体の材料低減によるコストダウンが図られたものとなっている。
【0054】
本ホイールキャップ150は、ホイール本体30に取り付けた場合、カラープレート164によって、キャップ本体160とハブ穴34との隙間が隠されるため、車両用ホイール12の見栄えを向上させることが可能である。また、キャップ本体160に欠肉部190が設けられているため、本ホイールキャップ150は、自身の裏面とアクスルシャフト16との間隔が大きくされている。
【実施例3】
【0055】
第3実施例のホイールキャップ200を、図9に示す。図9は、本ホイールキャップ200の側面断面図である。本実施例のホイールキャップ200は、上記実施例のホイールキャップ10,150と同様に、センタキャップであり、それら実施例のホイールキャップ10,150と同じ構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するあるいは簡略に行うものとする。
【0056】
本実施例のホイールキャップ200は、第1実施例のホイールキャップ10と同様に、キャップ本体210,エンブレム部材212,背景形成部材としてのカラープレート214との3つの部材から構成されている。本ホイールキャップ200は、キャップ本体210が、それの中央の部分が表面側に突出して段付形状に形成されるとともに、カラープレート214が、そのキャップ本体210の表面全体を覆ってそのキャップ本体210に嵌り合うように段付形状に形成されている。
【0057】
また、エンブレム部材212が、4つの立設部220を有しており、一方で、キャップ本体210の蓋部230には、4つの穴232が設けられるとともに、カラープレート214には、キャップ本体230の4つの穴232の各々と重なる4つの穴234が設けられている。それらキャップ本体210の穴232とカラープレート214の穴234とによって形成される4つの貫通穴の各々を、エンブレム部材212の4つの立設部220の各々が挿通した状態で、その立設部220の先端に金属製のリング236が嵌められている。そのリング236が、キャップ本体210の裏面に掛かり止まるようになっている。
【0058】
さらに、キャップ本体210は、第2実施例におけるキャップ本体160と同様に、欠肉部240を有している。以上のような構成から、本実施例のホイールキャップ200は、自身の裏面とアクスルシャフト16との間隔が、第2実施例のホイールキャップ150にも増して大きくされている。
【実施例4】
【0059】
第4実施例のホイールキャップ250を、図10および図11に示す。図10は、本ホイールキャップ250の平面図であり、図11は、本ホイールキャップ150の側面断面図(図10におけるC−C断面)である。本実施例のホイールキャップ250は、上記実施例のホイールキャップ10,150,200と同様に、センタキャップであり、それら実施例のホイールキャップ10,150,200と同じ構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するあるいは簡略に行うものとする。
【0060】
本実施例のホイールキャップ250は、第1実施例のホイールキャップ10と同様に、キャップ本体260,エンブレム部材262,背景形成部材としてのカラープレート264との3つの部材から構成されている。本ホイールキャップ250におけるカラープレート264は、キャップ本体260の表面全体を覆うものではなく、そのキャップ本体260の表面より小さく、概して星形に形成されたものである。なお、エンブレム部材262のキャップ本体260への取付は、第1実施例のホイールキャップ10と同様に、エンブレム部材262が単一の立設部270を有し、その立設部270の先端部に設けられた爪272がキャップ本体260の裏面に掛かり止まることで、締結力を発生させる構成とされている。
【0061】
また、キャップ本体260には、エンブレム部材262の立設部270を挿通させるための貫通穴を構成する穴280とは別に、もう1つの穴282が設けられている。その穴282は、通常、カラープレート264によって塞がれるとともに、そのカラープレート264をエンブレム部材262の立設部270を中心として回転させることで、露出するように構成されている。つまり、その穴282は、本ホイールキャップ250をホイール本体30から取り外すための作業穴として機能するものとなっている。したがって、本ホイールキャップ250は、通常は隠される位置に作業穴が設けられているため、車両用ホイール12の見栄えを悪化させることなく、ホイール本体30からの取り外しを容易に行うことが可能とされている。なお、カラープレート264には、裏面に突起284を有しており、その突起284は、通常の位置にある場合に、作業穴として機能する穴282に嵌り込むようになっている。つまり、本ホイールキャップ250は、カラープレート264のキャップ本体260への位置決めを行うことができ、例えば、工場等での組み付け作業の効率化を図ることが可能である。ちなみに、カラープレート264を回転させる場合には、カラープレート264の突起284が形成された部分を表面側に反らせるようにしてその突起284をキャップ本体260の表面上にのり上げさせつつ、カラープレート264を回転させることができるようになっている。
【符号の説明】
【0062】
10:ホイールキャップ(実施例1) 12:車両用ホイール 14:タイヤ 16:アクスルシャフト 30:ホイール本体 34:ハブ穴〔取付穴〕 40:キャップ本体 42:エンブレム部材 44:カラープレート〔背面形成部材〕 70:本体部 72:円環状の凸所 74:円環状のリブ部 80:エンブレム部 82:立設部 84:爪 90:穴(キャップ本体)〔貫通穴〕 92:穴(カラープレート)〔貫通穴〕 100:穴(キャップ本体)〔作業穴〕 102:穴(カラープレート)〔作業穴〕 120:ホイールキャップ(変形例) 122:カラープレート 124:凸所 150:ホイールキャップ(実施例2) 160:キャップ本体 162:エンブレム部材 164:カラープレート〔背面形成部材〕 166:円環状の凸所 170:エンブレム部 172:リベット部〔立設部〕 174:爪 182:穴(キャップ本体)〔貫通穴〕 184:穴(カラープレート)〔貫通穴〕 190:欠肉部 200:ホイールキャップ(実施例3) 210:キャップ本体 212:エンブレム部材 214:カラープレート〔背面形成部材〕 220:立設部 232:穴(キャップ本体)〔貫通穴〕 234:穴(カラープレート)〔貫通穴〕 236:リング 240:欠肉部 250:ホイールキャップ(実施例4) 260:キャップ本体 262:エンブレム部材 264:カラープレート〔背面形成部材〕 270:単一の立設部 272:爪 280:穴(キャップ本体)〔貫通穴〕 282:穴(キャップ本体)〔作業穴〕 284:突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ホイールに取り付けられるホイールキャップであって、
キャップ本体と、
エンブレムを形成し、前記キャップ本体の表面に取り付けられたエンブレム部材と、
前記キャップ本体と前記エンブレム部材との間に介装され、前記エンブレムの背景を形成する背景形成部材と
を備え、
当該ホイールキャップが、
前記キャップ本体に設けられた穴と、その穴と重なるように前記背景形成部材に設けられた穴とによって、前記背景形成部材の表面から前記キャップ本体の裏面に貫通するように形成された貫通穴を備え、
前記エンブレム部材が、
裏面に立設する立設部を有し、その立設部が前記貫通穴を挿通して、その立設部の先端が前記キャップ本体の裏面側の部分に係止されることで、そのキャップ本体に取り付けられたホイールキャップ。
【請求項2】
前記背景形成部材が、
薄板状の部材からなり、表面の前記エンブレムからはみ出した箇所において隆起する凸所を有するものである請求項1に記載のホイールキャップ。
【請求項3】
前記背景形成部材が、表面の外縁全周に沿って前記凸所が形成されたものである請求項2に記載のホイールキャップ。
【請求項4】
当該ホイールキャップが、前記車両用ホイールに設けられた車幅方向外側に開口する取付穴に、その取付穴を塞ぐようにして取り付けられるものであり、
前記背景形成部材が、外縁から裏面側に向かって突出するように設けられた円環状のリブ部を有し、
前記キャップ本体が、前記背景形成部材の前記リブ部の内側に嵌り込むように構成され、
当該ホイールキャップが、
前記車両用ホイールの前記取付穴の内周面と前記リブ部が向かい合うようにして、前記背景形成部材が前記キャップ本体とともに前記取付穴に嵌り込むように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【請求項5】
当該ホイールキャップが、前記車両用ホイールに設けられた車幅方向外側に開口する取付穴に、その取付穴を塞ぐようにして取り付けられるものであり、
前記背景形成部材が、前記取付穴より大きなものとされ、
当該ホイールキャップが、
前記車両用ホイールに取り付けられた状態において、前記背景形成部材が前記取付穴を覆い隠すように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【請求項6】
当該ホイールキャップが、前記車両用ホイールに設けられた車幅方向外側に開口する取付穴に、その取付穴を塞ぐようにして取り付けられるものであり、
前記キャップ本体が、中央の部分が表面側に突出して段付状に形成されるとともに、
前記背景形成部材が、そのキャップ本体の表面全体を覆って、そのキャップ本体に嵌り合うように段付状に形成された請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【請求項7】
前記キャップ本体が、前記背景形成部材によって覆われた箇所の一部に欠肉部が形成されたものである請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【請求項8】
前記エンブレム部材が、単一の前記立設部により前記キャップ本体に係止されており、その単一の立設部を中心として回転可能とされ、
当該ホイールキャップが、
前記キャップ本体に前記貫通穴を構成する穴とは別に設けられた穴と、その穴と重なるように前記背景形成部材に設けられた穴とを含んで構成され、前記エンブレム部材が通常の位置にある場合にそのエンブレム部材によって塞がれるとともに、そのエンブレム部材が回転させられた場合に露出して当該ホイールキャップを前記車両用ホイールから取り外すための穴である作業穴を備えた請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【請求項9】
前記エンブレム部材が、単一の前記立設部により前記キャップ本体に係止されており、
当該ホイールキャップが、
前記キャップ本体に前記貫通穴を構成する穴とは別に設けられ、前記背景形成部材が通常の位置にある場合にその背景形成部材によって塞がれるとともに、その背景形成部材が回転させられた場合に露出して当該ホイールキャップを前記車両用ホイールから取り外すための穴である作業穴を備えた請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【請求項10】
前記背景形成部材が、
裏面側に突出する突起を有し、その突起が、前記キャップ本体に対して通常の位置にある場合に前記作業穴に嵌るように構成された請求項9に記載のホイールキャップ。
【請求項1】
車両用ホイールに取り付けられるホイールキャップであって、
キャップ本体と、
エンブレムを形成し、前記キャップ本体の表面に取り付けられたエンブレム部材と、
前記キャップ本体と前記エンブレム部材との間に介装され、前記エンブレムの背景を形成する背景形成部材と
を備え、
当該ホイールキャップが、
前記キャップ本体に設けられた穴と、その穴と重なるように前記背景形成部材に設けられた穴とによって、前記背景形成部材の表面から前記キャップ本体の裏面に貫通するように形成された貫通穴を備え、
前記エンブレム部材が、
裏面に立設する立設部を有し、その立設部が前記貫通穴を挿通して、その立設部の先端が前記キャップ本体の裏面側の部分に係止されることで、そのキャップ本体に取り付けられたホイールキャップ。
【請求項2】
前記背景形成部材が、
薄板状の部材からなり、表面の前記エンブレムからはみ出した箇所において隆起する凸所を有するものである請求項1に記載のホイールキャップ。
【請求項3】
前記背景形成部材が、表面の外縁全周に沿って前記凸所が形成されたものである請求項2に記載のホイールキャップ。
【請求項4】
当該ホイールキャップが、前記車両用ホイールに設けられた車幅方向外側に開口する取付穴に、その取付穴を塞ぐようにして取り付けられるものであり、
前記背景形成部材が、外縁から裏面側に向かって突出するように設けられた円環状のリブ部を有し、
前記キャップ本体が、前記背景形成部材の前記リブ部の内側に嵌り込むように構成され、
当該ホイールキャップが、
前記車両用ホイールの前記取付穴の内周面と前記リブ部が向かい合うようにして、前記背景形成部材が前記キャップ本体とともに前記取付穴に嵌り込むように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【請求項5】
当該ホイールキャップが、前記車両用ホイールに設けられた車幅方向外側に開口する取付穴に、その取付穴を塞ぐようにして取り付けられるものであり、
前記背景形成部材が、前記取付穴より大きなものとされ、
当該ホイールキャップが、
前記車両用ホイールに取り付けられた状態において、前記背景形成部材が前記取付穴を覆い隠すように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【請求項6】
当該ホイールキャップが、前記車両用ホイールに設けられた車幅方向外側に開口する取付穴に、その取付穴を塞ぐようにして取り付けられるものであり、
前記キャップ本体が、中央の部分が表面側に突出して段付状に形成されるとともに、
前記背景形成部材が、そのキャップ本体の表面全体を覆って、そのキャップ本体に嵌り合うように段付状に形成された請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【請求項7】
前記キャップ本体が、前記背景形成部材によって覆われた箇所の一部に欠肉部が形成されたものである請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【請求項8】
前記エンブレム部材が、単一の前記立設部により前記キャップ本体に係止されており、その単一の立設部を中心として回転可能とされ、
当該ホイールキャップが、
前記キャップ本体に前記貫通穴を構成する穴とは別に設けられた穴と、その穴と重なるように前記背景形成部材に設けられた穴とを含んで構成され、前記エンブレム部材が通常の位置にある場合にそのエンブレム部材によって塞がれるとともに、そのエンブレム部材が回転させられた場合に露出して当該ホイールキャップを前記車両用ホイールから取り外すための穴である作業穴を備えた請求項1ないし請求項7のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【請求項9】
前記エンブレム部材が、単一の前記立設部により前記キャップ本体に係止されており、
当該ホイールキャップが、
前記キャップ本体に前記貫通穴を構成する穴とは別に設けられ、前記背景形成部材が通常の位置にある場合にその背景形成部材によって塞がれるとともに、その背景形成部材が回転させられた場合に露出して当該ホイールキャップを前記車両用ホイールから取り外すための穴である作業穴を備えた請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のホイールキャップ。
【請求項10】
前記背景形成部材が、
裏面側に突出する突起を有し、その突起が、前記キャップ本体に対して通常の位置にある場合に前記作業穴に嵌るように構成された請求項9に記載のホイールキャップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−112260(P2013−112260A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261897(P2011−261897)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)
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