説明

ホイール式作業機

【課題】 左右幅を狭くして左右方向のコンパクト化を図ったホイール式作業機を提供する。
【解決手段】 前後輪4,5によって支持された機体フレーム6にエンジン7を搭載すると共に該エンジン7からの動力を後輪5に伝達する走行系動力伝達機構8を備えてなる走行体2を備え、この走行体2上に旋回台201を上下方向の旋回軸心X回りに旋回自在に支持し、この旋回台201の前部に対地作業装置203を、後部に運転席205を設けると共に、該旋回台201に走行系の操縦装置202と対地作業装置用の操作装置206とを備えてなるホイール式作業機において、機体フレーム6は、上壁18と該上壁18の左右両端から下方に延設された左右側壁19とを有し且つ前記エンジン7,動力伝達機構8及び後車軸39を支持するメインフレーム9と、このメインフレーム9の前部に固定されていて前輪4を懸架する前車軸ケース96を支持するフロントフレーム10とで主構成され、前記メインフレーム9の左右側壁19の後部間にエンジン7を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイール式作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ホイール式作業機として、前後輪によって支持された機体フレームにエンジンを搭載すると共に該エンジンからの動力を後輪に伝達する走行系動力伝達機構を備えてなる走行体を備え、この走行体上に旋回台を上下方向の旋回軸心回りに旋回自在に支持し、この旋回台の前部に対地作業装置を、後部に運転席を設けると共に、該旋回台に走行系の操縦装置と対地作業装置用の操作装置とを備えてなるホイール式作業機がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−171608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来のホイール式作業機にあっては、機体フレームは、左右一対の角パイプ製の側部フレームを相互に連結して平面視ラダー形状に形成されており、エンジンは機体フレームの後部の左右側部フレーム間に配置されて設けられているので、作業機の左右幅が広くなるという問題がある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、左右幅を狭くして左右方向のコンパクト化を図ったホイール式作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、前後輪によって支持された機体フレームにエンジンを搭載すると共に該エンジンからの動力を後輪に伝達する走行系動力伝達機構を備えてなる走行体を備え、この走行体上に旋回台を上下方向の旋回軸心回りに旋回自在に支持し、この旋回台の前部に対地作業装置を、後部に運転席を設けると共に、該旋回台に走行系の操縦装置と対地作業装置用の操作装置とを備えてなるホイール式作業機において、
前記機体フレームは、上壁と該上壁の左右両端から下方に延設された左右側壁とを有し且つ前記エンジン,動力伝達機構及び後車軸を支持するメインフレームと、このメインフレームの前部に固定されていて前輪を懸架する前車軸ケースを支持するフロントフレームとで主構成され、前記メインフレームの左右側壁の後部間にエンジンを配置していることを特徴とする。
【0005】
また、前記メインフレームの左右側壁間のエンジン前方側に、該エンジンからの動力が伝達される静油圧トランスミッションと、この静油圧トランスミッションの後方側に配置された後輪デフ装置と、この後輪デフ装置の前側に配置されていて静油圧トランスミッションからの動力を後輪デフ装置へ伝達する機械式伝動装置とを配置する走行動力伝達系配置部を備え、メインフレームの上壁上面側で且つ前後輪間の略中央位置に旋回台を支持する旋回軸受を配置する軸受配置部を備え、メインフレームの左右側壁の後部に、後輪デフ装置から後車軸に動力を伝達する終伝動装置を収容した終伝動ケースに対して上方から嵌合するケース嵌合部を形成しているのがよい。
【0006】
また、メインフレームの上壁上に設けた旋回軸受上に、上面側にステップを有する旋回台を支持し、前記旋回軸受とステップとの内の少なくとも旋回軸受の上面をエンジンの頭部より下方に配置しているのがよい。
また、前車軸ケースに対して前輪を操向可能に懸架し、フロントフレームの左右幅をメインフレームより狭く形成してメインフレームの前方で且つフロントフレームの左右側方に前輪配置空間を形成しているのがよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エンジンを搭載するメインフレームを上壁とこの上壁の左右両端から下方に延設された左右側壁とを備えて構成し、このメインフレームの左右側壁の後部間にエンジンを配置することにより、左右幅を狭くして作業機の左右方向のコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図5において、1は、例えば園芸等に使用される都市型の小型のホイール式の旋回作業機であり、該旋回作業機1は大別して下部の走行体2と、上部の旋回体3とから構成されている。
走行体2は、左右一対の前後の車輪4,5によって走行可能とされたホイール式の走行体2であって、前記左右一対の前後輪4,5と、この前後輪4,5によって支持された機体フレーム6と、この機体フレーム6に搭載されたエンジン7と、このエンジン7からの動力を後輪5に伝達する走行系動力伝達機構8と、この走行系動力伝達機構8から分岐して前輪4に動力を伝達する前輪駆動系統33を備えている。
【0009】
図1〜図13に示すように、機体フレーム6は、メインフレーム9と、このメインフレーム9の前側に設けられたフロントフレーム10とから主構成されており、メインフレーム9にはエンジン7,ラジエータ12,バッテリー13,スイベルジョイント14,旋回モータ15及び旋回軸受16等が装備され、フロントフレーム10にはエンジン7用の燃料を貯留する燃料タンク17が装備され、メインフレーム9の後部が左右の後輪5によって支持され、フロントフレーム10の前部が左右の前輪4によって支持されて走行可能とされている。
【0010】
メインフレーム9は、板材から構成され、上壁18と、この上壁18の左右両側縁から下方に延設された左右の側壁19と、上壁18及び左右側壁19の前端に固定された前壁20と、左右の側壁19の後端下部同士を連結する後壁21とから主構成されていて、下方開放状に形成されている。
エンジン7は、メインフレーム9の左右側壁19間の後部の左右方向中央側に、クランク軸の軸心が前後方向となるように且つ出力軸23が前方に突出するように縦置き配置されており、このエンジン7の上端側がメインフレーム9の上壁18から上方に突出するように、該上壁18に切欠開口部24が形成されており、エンジン7の後部には冷却ファン25が設けられている。
【0011】
このメインフレーム9の左右側壁19間の後部が、エンジン7を配置するエンジン配置部11とされており、該エンジン7の左側方にはラジエータ12が配置されてメインフレーム9に取付固定され、エンジン7の右側方にはバッテリー13が配置されてメインフレーム9に取付固定されている。
メインフレーム9の前部の左右両側はサイドカバー26によって覆われ、メインフレーム9の後部は、左右の後輪5を覆う後輪フェンダ27を備え且つ左右後輪フェンダ27の前部同士を連結した固定カバー28と、左右後輪フェンダ27の後部間に配置されてエンジン7後部の上方側を覆い且つ開閉自在な開閉カバー29と、メインフレーム9の背面側を覆う後バンパーカバー30とによって覆われている。
【0012】
また、開閉カバー29の後端と後バンパーカバー30の上端との間は開口状とされていて、該開口部分を介して冷却ファン25により、エンジンルーム内の空気が排出されるか又はエンジンルーム内に外気が取り入れられる。
なお、フロントフレーム10は、左右の前輪4を覆う前輪フェンダを有するカバー部材31及びフロントフレーム10の前面を覆う前バンパーカバー41によって覆われている。
走行系動力伝達機構8は、エンジン7からの動力が伝達される走行推進軸34と、この走行推進軸34から動力が伝達される静油圧トランスミッション(以下、HSTという)35と、このHST35からの動力をベベルピニオン軸36に伝達する機械式伝動装置37と、ベベルピニオン軸36から動力が伝達される後輪デフ装置38と、この後輪デフ装置38に伝達された動力を左右の後車軸39に伝達する左右の終伝動装置40とを備え、走行推進軸34,HST35,機械式伝動装置37,ベベルピニオン軸36及び後輪デフ装置38はエンジン7の前方側に配置され、終伝動装置40は後輪デフ装置38の側方からエンジン7の前部側方に亘るように配置されている。
【0013】
走行推進軸34はエンジン7の前方側に前後方向に配置されていて、エンジン7の出力軸23に連結されたフライホイール42に後端側が連結されている。
図7,図8及び図30に示すように、HST35は、ケーシング43内に、エンジン7からの動力を入力する入力軸44と、後輪デフ装置38へと動力を出力する出力軸45とを左右に平行状に備えると共に、入力軸44に設けられた油圧ポンプ46と、出力軸45に設けられた油圧モータ47とを収容してなり、入力軸44によって駆動される油圧ポンプ46から送られる圧油によって油圧モータ47を駆動して、該油圧モータ47によって駆動される出力軸45から動力を出力するミッションである。
【0014】
ケーシング43は、後面側が開口状の本体48と、該本体48の後面側開口を塞ぐ蓋体49とから構成されており、入力軸44及び出力軸45は蓋体49から後方に突出している。
HST35の入力軸44は、走行推進軸34の前方側に該推進軸34と同心状に配置されてカップリングによって走行推進軸34と連動連結されている。
油圧ポンプ46は可変容量型ポンプからなり、斜板制御アクチュエータ50によって斜板の角度が変更可能とされ、斜板の角度を変えることにより、油圧モータ47へと吐出される圧油の流量を変えて出力軸45の回転速度(車速)を変えることができると共に、油圧モータ47へと吐出される圧油の流れの方向を変えて出力軸45の回転方向を正転(前進回転)又は逆転(後進回転)に切り換えることができる。
【0015】
前記斜板制御アクチュエータ50は、パイロット圧によって操作されるパイロット操作切換サーボ弁からなる前後進切換手段51によって制御され、この前後進切換手段51の前進側ポート52にパイロット圧が立つと出力軸45が正転するように油圧ポンプ46の斜板が制御され、後進側ポート53にパイロット圧が立つと出力軸45が逆転するように油圧ポンプ46の斜板が制御され、前進側ポート52又は後進側ポート53に立つ圧力の程度によって油圧ポンプ46から吐出される圧油の流量が制御されて出力軸45の回転速度が制御される。
【0016】
油圧モータ47は可変容量型ポンプからなり、高低切換アクチュエータ54によって斜板の角度が2段に変更可能とされ、斜板の角度を変えることにより、出力軸45から出力される回転動力を高速状態と低速状態とに切換可能とされている。
ベベルピニオン軸36は、HST35の出力軸45の蓋体49から後方に突出した部分の左側方で且つ下方側に平行状に配置され、HST35の出力軸45後端よりも後方に延出されていて、後端側にベベルギヤ部が形成されている。
前記機械式伝動装置37は、本実施の形態にあっては、HST35の出力軸45の蓋体49から後方に突出した部分に一体回転自在に外嵌された駆動側ギヤ56と、ベベルピニオン軸36の前端側に一体回転自在に外嵌されていて前記駆動側ギヤ56に噛合する被駆動側ギヤ57とから構成されたギヤ伝動機構によって構成されていると共に、減速機構とされている。
【0017】
なお、この機械式伝動装置37は、増速機構(変速機構)又は同速機構であってもよく、また、カップリング等の動力伝動を行うものであればよい。
後輪デフ装置38は、ベベルピニオン軸36の後方で且つエンジン7左側方の前方側に配置され、左右両側にデフ出力軸58を突出している。
後車軸39は、後輪デフ装置38のデフ出力軸58の後方位置で且つ側面視でエンジン7とオーバーラップするように設けられており、左右各後車軸39の外端側に後輪5が取付固定されている。
【0018】
終伝動装置40は、デフ出力軸58の左右方向外端部に一体回動自在に外嵌された駆動側ギヤ59と、後車軸39に一体回動自在に外嵌された被駆動側ギヤ60とからなるギヤ伝動機構によって構成されていると共に減速機構とされている。
なお、この終伝動装置40にあっても、増速機構(変速機構)又は同速機構であってもよい。
前記構成の走行系動力伝達機構8にあっては、エンジン7から前方に出力された動力は、HST35で折り返されて後方に伝達され、エンジン7の前側の後輪デフ装置38で左右両側方に伝達され、終伝動装置40によって後方に伝達されて後車軸39に至るように構成され、前後方向のコンパクト化が図られている。
【0019】
エンジン7の前面側には、フライホイール42及び後輪デフ装置38等を収容したハウジング61が連結固定され、このハウジング61の前面側には、機械式伝動装置37等を収容した伝動ケース62が連結固定され、この伝動ケース62の前面側には、HST35のケーシング43(の蓋体49)が連結固定されていて、エンジン7に、後輪デフ装置38、機械式伝動装置37及びHST35等が取り付けられて一体化されていると共に、これらハウジング61,伝動ケース62及びケーシング43はメインフレーム9の左右側壁19間に配置されており、メインフレーム9の左右側壁19間のエンジン配置部11前方側が走行動力伝達系配置部63とされている。
【0020】
また、ハウジング61の左右両側には、終伝動装置40を収容した終伝動ケース67が固定されており、この左右各終伝動ケース67に後車軸39が支持されていると共に、終伝動ケース67がメインフレーム9に取付固定されている。
この左右の各終伝動ケース67は、その前部の左右方向内端側が前記ハウジング61の側面にボルト固定され、左右の各終伝動ケース67の後部側がメインフレーム9の側壁19上部側にボルト固定されている。
メインフレーム9の左右側壁19の後部の下部側には、終伝動ケース67の上部側に上方から嵌合すべく、下方に開放状の切欠部からなるケース嵌合部64が形成され、このケース嵌合部64の周囲のメインフレーム側壁19に終伝動ケース67がボルト固定されている。
【0021】
エンジン7の前部側がハウジング61及び終伝動ケース67を介してメインフレーム9に支持されており、エンジン7の後部側は、メインフレーム9の後壁21に形成された切起し部65とエンジン7の下部側面とを連結する連結板66によって支持されている。
前記構成のものにあっては、エンジン7に、ハウジング61,伝動ケース62,HST35のケーシング43,終伝動ケース67を取り付けて一体化(ユニット化)しているので(エンジン7に、後輪デフ装置38、機械式伝動装置37,HST35,終伝動装置40,後車軸39を取り付けて一体化しているので)、これらを組んだ後に、該組付体に機体フレーム6をエンジン7等の上方から組み付けることができ、機体フレーム6に対する組み付けが容易となる。
【0022】
なお、ハウジング61と伝動ケース62とHST35と終変速ケースとを組んだ後に、これら組付体に機体フレーム6を上方から組み付け、その後、エンジン7をメインフレーム9の上壁18上面側から左右側壁19に挿入して配置し、その後、該エンジン7をハウジング61及びメインフレーム9の後壁21に取付固定するようにしてもよい。
この場合、メインフレーム9の上壁18に形成される切欠開口部24はエンジン7を上方から左右側壁19間に挿通することができる大きさに形成される。
また、エンジン7の前側に後輪デフ装置38を設けると共に、この後輪デフ装置38からの動力が伝達されて後輪5を回転させる後車軸39を、デフ出力軸58の後方位置で且つ側面視でエンジン7とオーバーラップするように設けることにより、旋回作業機1の前後方向のコンパクト化が図られている。
【0023】
また、換言すれば、エンジン7の前側に後輪デフ装置38を設けることにより、エンジン7を旋回体3の旋回軸心X(旋回軸受16の中心)から後方に離すことができ、後述するステップ215のスペースを広く採ることができる。
また、後車軸39が後輪デフ装置38のデフ出力軸58と同心状に設けられていると、エンジン7が後車軸39の後方に位置することとなり、旋回体3を後向きにして作業をする場合、本実施の形態の場合に比べ、後車軸39からエンジン7後方の作業位置までの距離が長くなり、作業性がわるいという問題があるが、本実施の形態では、後車軸39を、デフ出力軸58の後方位置で且つ側面視でエンジン7とオーバーラップするように設けられているので、旋回体3を後向きにして作業する場合の作業性がよい。
【0024】
また、後輪デフ装置38をエンジン7の前方側に配置するにあたって、フライホイール42から左右方向外方に外れる位置に配置しているので、該後輪デフ装置38を極力エンジン7側に寄せることができ、これによってデフ出力軸58と後車軸39との軸間距離を短くし、終伝動装置40及び終伝動ケース67をコンパクト化することができる。
機体フレームの左右の側枠部分を角パイプから構成し、この角パイプの左右方向外側面に終伝動ケース67を取付固定すると旋回作業機の左右幅が広くなり、また、前記角パイプの下面側に終伝動ケース67を取付固定すると旋回作業機の左右幅は広くならないが、今度は、走行体2の高さが高くなる。
【0025】
これに対し、本実施の形態にあっては、機体フレーム6のメインフレーム9は板材によって形成された上壁18と左右側壁19とを備え、この左右側壁19間にエンジン7を配置すると共に、左右側壁19に終伝動ケース67を取付固定しているので、旋回作業機1の左右方向のコンパクト化を図ることができ、又は上下方向の寸法を低くして、上部の旋回体3を低く配置することができる。
前記HST35の前面側には、該HST35の入力軸44の前端側に連動連結されて駆動される2連式のギヤポンプからなるメインポンプ68が取り付けられ、このメインポンプ68から当該旋回作業機1に装備された各種のアクチュエータに作動油が供給される。
【0026】
なお、本実施の形態では、エンジン7の下端側に備えられたオイルパン69が油圧機器用の作動油を貯留する作動油タンクとして利用されている。
また、前記走行系動力伝達機構8には、HST35から後輪デフ装置38に伝達される走行動力を制動するフートブレーキ手段70(走行ブレーキ)と、HST35と後輪デフ装置38との間の動力伝達系統を停止状態に保持する油圧式の駐車ブレーキ手段71とが設けられ、これらブレーキ手段70,71は、機械式伝動装置37の駆動側ギヤ56の後方に配置されている。
【0027】
フートブレーキ手段70は、伝動ケース62に収容されており、該伝動ケース62に固定されたブレーキケース72と、HST35の出力軸45の後端側に一体回動自在に外嵌されたブレーキディスク73と、ブレーキケース72側に設けられたプレート74と、ブレーキディスク73とプレート74とを圧接させるピストン75とを有し、旋回体3側に設けたブレーキペダル364の踏み込み操作によりマスタシリンダ372内の圧油がピストン75を押圧することによって該ピストン75が移動してブレーキディスク73とプレート74とが圧接されることにより、HST35の出力軸45を制動する。
【0028】
駐車ブレーキ手段71は、フートブレーキ手段70の後方側に配置され、ハウジング61内に収容されて該ハウジング61に固定された駐車ブレーキケース76と、この駐車ブレーキケース76内に収容されたピストン77とを有する。
前記ブレーキケース72は後方に開放していると共に、駐車ブレーキケース76は前方に開放状とされていて、ブレーキケース72と駐車ブレーキケース76とは連通状とされている。
また、駐車ブレーキケース76内には、エンジン7停止時において、ピストン77を押圧してブレーキディスク73とプレート74とを圧接させるバネ78が収容され、エンジン7を始動させることにより該エンジン7によって駆動されるチャージポンプ79(図30参照)からの油圧がピストン77に作用して前記バネ78の付勢力に抗してピストン77を移動させ、ブレーキディスク73とプレート74との圧接を解除する。
【0029】
また、後輪デフ装置38の左側方にはデフロック装置80が設けられている。
このデフロック装置80は、図8に示すように、左側のデフ出力軸58と一体回動するデフロックシフタ81を圧油によって戻しバネに抗して後輪デフ装置38側に移動させ、該デフロックシフタ81に形成された係合歯を、後輪デフ装置38側に設けた係合歯に噛合させることで後輪デフ装置38の差動作用を禁止してデフロックする油圧式のデフロック装置80である。
メインフレーム9の前部の上壁18上面側には、開口部83が形成されていると共に、該開口部83を塞ぐように厚板材からなる軸受取付板84が前記上壁18上面に固定されている。
【0030】
この軸受取付板84上に旋回軸受16が配置され、該旋回軸受16のアウターレース85が軸受取付板84にボルト固定されて取り付けられている。
前記旋回軸受16は前後輪4,5間の略中央位置に配置され、この旋回軸受16の中心が旋回軸心Xとされ、メインフレーム9の前部の上壁18上面側の軸受取付板84上面側が軸受配置部86とされている。
また、旋回軸受16のインナーレース87の内周側には内ば歯車89が形成され、この内ば歯車89には、ピニオン88が噛合しており、このピニオン88はメインフレーム9に固定された油圧モータからなる旋回モータ15の出力軸に固定されていて、旋回モータ15によって旋回軸受16のインナーレース87が旋回軸心X回りに回転駆動可能とされている。
【0031】
メインフレーム9の左右側壁19間の前部には、旋回軸心Xと同心状にスイベルジョイント14が配置され、このスイベルジョイント14を介して走行体2側と旋回体3側との間の圧油の流通が行われる。
図9〜図15に示すように、前記機体フレーム6のフロントフレーム10は、板材から構成され、上壁91と、この上壁91の左右両側縁から下方に延設された左右の側壁92と、この左右側壁92の前部同士を連結する連結板93とを備えて主構成され、後部側が下方に開放状に形成されている。
【0032】
前記メインフレーム9の上壁18とフロントフレーム10の上壁91とで機体フレーム6の上壁が構成され、メインフレーム9の左右側壁19とフロントフレーム10の左右側壁92とで機体フレーム6の上壁が構成されている。
このフロントフレーム10の左右幅はメインフレーム9より狭く形成されており、メインフレーム9の前方で且つフロントフレーム10の左右側方に前輪4を配置する前輪配置空間94が形成されている。
左右の側壁92の上壁91から下方への延出寸法は、その前部側が後部側よりも短く形成されていて、左右の側壁92は後部側よりも前部側の上下幅が狭く形成されており、フロントフレーム10の前部下方に前車軸ケース96及び油圧シリンダからなる操向シリンダ97等の配置空間が形成されている。
【0033】
連結板93は、左右側壁92の前部の下端側同士を連結する水平状の水平壁部98と、この水平壁部98の後端から後方に行くに従って下方に移行する傾斜方向に延設されていて左右側壁92の前後方向中間部同士を連結する傾斜壁部99とを備えている。
フロントフレーム10の左右側壁92間の後部には、エンジン7用の燃料を貯留する燃料タンク17が配置されている。
この燃料タンク17は、左右の側壁92間に下方側から挿入され、フロントフレーム10に取付固定されており、燃料タンク17の前面側は前記連結板93の傾斜壁部99に接当して位置決めされ、下部後端側は、メインフレーム9の前壁下端側に形成された切欠部を介してメインフレーム9側に突出している。
【0034】
なお、フロントフレーム10の上壁91には燃料タンク17の給油口100を挿通する挿通孔が形成され、また、燃料タンク17の下面側は、該燃料タンク17を装着した後にフロントフレーム10の下面側に装着される図示省略のカバーによってカバーされる。
フロントフレーム10の連結板93の水平壁部98下面側には、左右の前輪4を操向可能に懸架する前車軸ケース96が左右方向沿って配置され、この前車軸ケース96の左右方向中央部の前後両側には、連結板93の水平壁部98下面に取付固定された前車軸受101が配置され、この前後の前車軸受101にセンタピン102を介して前車軸ケース96が前後方向の軸心回りに揺動自在に支持されている。
【0035】
前車軸ケース96の左右両側にはギヤケース103が設けられ、左右各ギヤケース103に前輪4が操向自在に支持されている。
前車軸ケース96の前方側には、前輪4を操向操作する操向シリンダ97が左右方向に配置されていて前車軸ケース96に取付固定されており、この操向シリンダ97はシリンダチューブの左右両側から突出するピストンロッドが設けられ、左右各ピストンロッドは左右方向で同じ側にある前輪4に連動連結されており、この操向シリンダ97は旋回体3側に設けられたパワステコントローラ367によって制御される。
【0036】
前輪4は操向輪とされていることから、その配置空間は広い空間が必要であり、フロントフレーム10をメインフレーム9と左右方向同幅に形成していると、旋回作業機1の左右幅は広いものとなるが、本実施の形態では、フロントフレーム10の左右幅をメインフレーム9より狭く形成し、メインフレーム9の前方で且つフロントフレーム10の左右側方に前輪4を配置する前輪配置空間94としているので、旋回作業機1の左右幅が幅広となるのを防止している。
前輪4に動力を伝達する前輪駆動系統33は、前記機械式伝動装置37の被駆動側ギヤ57に連結されていて伝動ケース62から前方に突出する前輪動力取出軸104と、前車軸ケース96内に設けられた前輪デフ装置105と、この前輪デフ装置105に動力を入力するベベルピニオン軸106と、このベベルピニオン軸106と前輪動力取出軸104とを連動連結する伝動シャフト107と、前輪デフ装置105のデフ出力軸108から前輪4を駆動する前輪駆動軸109に動力伝達する図示省略の終減速機構(伝動機構)とを備えてなる。
【0037】
前記前車軸ケース96には、前車軸ケース96と一体揺動する作動体111が設けられ、機体フレーム6(フロントフレーム10)には、この作動体111の揺動を規制することにより前車軸ケース96の揺動を規制する揺動ロック機構112が設けられている。
作動体111は、前車軸ケース96の左右方向中央に前後一対配置され、それぞれ前車軸ケース96に設けた取付部113にボルト固定されている。
前後の各作動体111は連結板93の水平壁部98を貫通して上方に突出していると共に、各作動体111の上部には、上方及び前後に開放状とされた嵌合部114が形成されている。
【0038】
揺動ロック機構112は、前後の作動体111の上部間に配置されたロックシリンダ115と、このロックシリンダ115のシリンダチューブ116内のピストン117で区画される2室124A,124Bを連通状態と閉鎖状態(非連通状態)とに切り換える切換弁118とを備えている。
ロックシリンダ115は、フロントフレーム10の上壁91に形成された配置開口部119内に軸心が左右方向と一致するように水平状に配置されており、流体(本実施の形態では油)が充填されたシリンダチューブ116と、このシリンダチューブ116内に左右方向移動自在に収容されたピストン117と、該ピストン117の左右両側に固定され且つシリンダチューブ116から左右方向外方に突出する左右一対のピストンロッド120とから主構成されている。
【0039】
左右各ピストンロッド120は、左右方向で同じ側にある支持板121に取り付けられて支持されている。
左右の各支持板121は、フロントフレーム10の連結板93の水平壁部98上に立設されていると共に、上部の前後方向中央部に上方及び左右両側に開放状の取付溝122が形成されている。
一方、左右各ピストンロッド120の外端側には頭付きボルトからなる取付ボルト123が左右方向に螺合されており、この取付ボルト123の軸部分を前記支持板121の取付溝122に上方側から挿入して嵌合し、その後、取付ボルト123を締め付けることにより、左右のピストンロッド120がフロントフレーム10(機体フレーム6)側に左右方向に沿う方向に水平状に取付固定される。
【0040】
シリンダチューブ116の左右方向中央部の前後両側には、作動体111の嵌合部114に上方から嵌め込めれることによりシリンダチューブ116を作動体111に連動連結する被嵌合部126が設けられている。
この被嵌合部126は前後方向の軸心を有するピンからなり、ピストンロッド120の取付時に同時に作動体111の嵌合部114に嵌合する。
切換弁118は2ポート2位置切換弁118からなり、一方のポートがシリンダチューブ116内の一方の室124Aにホース等を介して連通し、他方のポートがシリンダチューブ116内の他方の室124Bにホース等を介して連通しており、シリンダチューブ116の一方の室124Aから他方の室124Bに至る経路に流体(油)が充填されている。
【0041】
また、シリンダチューブ116の2室124A,124Bへ流体を出入りさせるための一対の出入りポート125A,125Bは、シリンダチューブ116の上面側に形成されている。
前記構成の揺動ロック機構112にあっては、シリンダチューブ116の一方の室124Aから他方の室124Bに流体が流通する連通状態に切換弁118が切り換えられている状態では、シリンダチューブ116の左右移動が許容されて前車軸ケース96の揺動が許容され、シリンダチューブ116の一方の室124Aから他方の室124Bに流体が流通しない非連通状態に切換弁118が切り換えられている状態では、シリンダチューブ116の左右移動が規制されて前車軸ケース96の揺動が規制(ロック)される。
【0042】
前記構成の揺動ロック機構112のロックシリンダ115は、シリンダチューブ116の被嵌合部126を作動体111の嵌合部114に上方から嵌合すると同時に、ピストンロッド120の取付ボルト123を支持板121の取付溝122に嵌合し、その後、取付ボルト123を締め付けることにより取り付けられ、ロックシリンダ115の取り付けが容易に行える。
なお、組み付け方法としては、作動体111が取り付けられた前車軸ケース96をフロントフレーム10に組み付け、その後、ロックシリンダ115を組み付けてもよいし、先にフロントフレーム10にロックシリンダ115を組み付け、その後、作動体111が取り付けられた前車軸ケース96をフロントフレーム10に組み付けるようにしてもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、シリンダチューブ116は水平状に配置されていると共に該シリンダチューブ116に設けられた流体の出入りポート125A,125Bはシリンダチューブ116の上面側に形成されているので、シリンダチューブ116内に空気が溜まった場合に、空気抜きを前記出入りポート125A,125Bを介して行うことができる。
旋回体3は、機体フレーム6上に上下方向の旋回軸心回りに旋回自在に支持された旋回台201と、この旋回台201の前部に設けられた走行系の操縦装置202及び対地作業装置としての掘削作業装置203と、旋回台201の後部に設けられた運転席配置枠体204と、この運転席配置枠体204に設けられた運転席205と、この運転席205の左右両側に配置された掘削作業装置用の操作装置206と、運転席配置枠体204に設けられた掘削作業装置用のコントロールバルブ(操作装置206の切換弁)207及びカウンタウエイト208と、ロプス209とを備えている。また、前記旋回軸心Xは、前後輪の軸間中心と直交する軸線に一致している。
【0044】
また、図22及び図23に示す如く、旋回台201は、前部を平坦とし、左右両側方を機体フレーム6よりも膨出させて後方に伸び、後部及び左右側部を略矩形状に形成されている。
また、旋回台201は、前枠材211と、この前枠材211の後方に間隔をおいて配置された後枠材212と、これら前枠材211と後枠材212とを左右両側部で連結する左右一対の側枠材213と、旋回台201下面側の前後枠材212間に設けられた下部壁214と、この下部壁214の上面側に設けられたステップ215(足置き部)とを備えている。
【0045】
また、前枠材211の上面には、左右両側部(前枠部の左右両側)にマスト(作業装置支持体)216が立設され、この左右一対のマスト216に掘削作業装置203が取り付けられている。
掘削作業装置203は、図1及び図16〜図21に示すように、左右の各マスト216の上部に左右軸回りに回動自在に枢支連結された左右一対のブーム241と、基部側が左右各ブーム241の先端側に左右軸回りに回動自在に枢支連結された左右一対のアーム242と、左右アーム242の先端側に設けられた対地作業をする作業具としてのバケット243と、左右の各ブーム241を枢支部回りに上下揺動させる左右一対のブームシリンダ244と、左右の各アーム242を枢支部回りに前後揺動させる左右一対のアームシリンダ245と、バケット243を揺動させる1本のバケットシリンダ246とを有する。
【0046】
前記バケットシリンダ246,アームシリンダ245及びバケットシリンダ246は油圧シリンダによって構成されている。
左右アーム242の基部側は左右方向に沿って配置されたパイプ材からなる連結部材247によって連結され、この連結部材247の左右方向中央部に設けられたブラケット248にバケットシリンダ246の一端側(シリンダ本体のピストン頂部側)が左右軸回り回動自在に枢支連結されている。
左右のアーム242の先端側には、バケット243を支持する支持体249が設けられている。
【0047】
この支持体249は、左右方向に沿った板面を有する板材によって構成され、該支持体249の正面側にバケット243が支持され、該支持体249の背面側の左右両側には取付ブラケット250が設けられ、左右の各取付ブラケット250の下部側に左右方向で同じ側にあるアーム242の先端側が横軸251を介して左右軸回りに回動自在に枢支連結されている。
アーム242の先端側の横軸251より基部寄りには、左右アーム242を連結するように左右方向の軸心を有する支軸252が軸心回り回動自在に設けられ、この支軸252の左右方向中央側には第1リンク253の一端側が連結され、この第1リンク253の他端側には第2リンク254が左右軸回り回動自在に枢支連結され、この第2リンク254の他端側は支持体249背面の左右方向中央側に設けられたブラケット255に左右軸回り回動自在に枢支連結されている。
【0048】
また、前記第1リンク253の中途部にはバケットシリンダ246の他端側(ピストンロッド先端側)が左右軸回り回動自在に枢支連結されており、バケットシリンダ246を伸縮させることにより、バケット243が前記横軸251回りに(左右軸回りに)揺動され、該バケット243が掬い・ダンプ動作又は掻き込み・ダンプ動作可能とされている。
バケット243は前記支持体249に、該支持体249のバケット243(作業具支持面)256に対して垂直な軸心Yを有する回動軸257回りに回動自在に支持されており、このバケット243は、該バケット243と支持体249との間に設けられた回動手段258によって、図18(a)に示す掬い作業可能な第1作業姿勢から、図18(b)に示す掻き込み作業可能な第2作業姿勢に前記回動軸257の軸心Y回りに180°回動可能とされている。
【0049】
この回動手段258は、支持体249に固定されたシリンダチューブ259と、このシリンダチューブ259内に収容されたピストン260と、バケット243側に固定されていて前記ピストン260内に挿通された前記回動軸257とを有する。
シリンダチューブ259は、バケット243の回動軸257の軸心Yを軸心とし、支持体249の前後に突出状として支持体249に挿通されていると共に支持体249にボルト固定されており、正面側が開口状とされており、前後に圧油の出入りポート261A,261Bが形成されている。
【0050】
回動軸257は、シリンダチューブ259に正面側から挿入されており、シリンダチューブ259の正面側開口を塞ぐ前部の取付部262と、この取付部262よりも小径に形成された中途部から後部の軸部263とから主構成され、取付部262と軸部263後端側とがシリンダチューブ259に軸心回りに回動自在に支持されていると共に、軸部263後端側がボルトによってシリンダチューブ259に軸心方向移動不能に取り付けられている。
回動軸257の取付部262には取付板264がボルト固定され、この取付板264をバケット243の背面壁265にボルト固定することにより、回動軸257がバケット243に一体回動可能に取付固定されている。
【0051】
ピストン260は筒状に形成されており、シリンダチューブ259に軸心方向移動可能で且つ軸心回りに回動不能に内嵌されていると共に、回動軸257の軸部263に軸心方向移動可能で且つ軸心回りに相対回動可能に外嵌されている。
また、前記回動軸257の軸部263外周側と、前記ピストン260の内周側とには、相互に歯合していてピストン260の直線移動を回動軸257の回動に変換するスクリュウ266,267が形成されており、シリンダチューブ259の出入りポート261A,261Bの一方又は他方から該シリンダチューブ259内に圧油を供給することによりピストン260が軸心方向に直線状に移動し、ピストン260内周側のスクリュウ267と、回動軸257の軸部263外周側のスクリュウ266とが歯合することにより回動軸257が軸心回りに回動する。
【0052】
そして、ピストン260が一端側から他端側に移動することにより、バケット243が180°回動するように構成されている。
図例のものでは、ピストン260が前端側(一端側)のストロークエンドから若干(3mm程度)離れた位置でバケット243が第1作業姿勢となり、後端側(他端側)のストロークエンドから若干(3mm程度)離れた位置でバケット243が第2作業姿勢となるように設定されている。
また、掘削作業装置203には、第1作業姿勢において第2作業姿勢から第1作業姿勢へと回動する方向(図21の矢示A方向)のバケット243の回動(バケット243の一方向の回動という)を規制し且つ該一方向の回動Aと逆方向のバケット243の回動は許容すると共に、第2作業姿勢において第1作業姿勢から第2作業姿勢へと回動する方向(図21の矢示B方向)のバケット243の回動(バケット243の他方向の回動という)を規制し且つ該他方向の回動Bと逆方向のバケット243の回動は許容する回動規制手段268が設けられている。
【0053】
この回動規制手段268は、バケット243と一体回動する係止部269と、支持体249側に設けられていて前記係止部269を係止する第1被係止部270及び第2被係止部271とを備えている。
前記係止部269は、左右方向の軸心を有するピンによって構成され、バケット243の背面壁265に固定されたブラケット272に固定されている。
第1被係止部270及び第2被係止部271は、フック状に形成されていて支持体249の正面側に固定されており、第1被係止部270はバケット243の他方向の回動方向Bに開放状とされていて、第1作業姿勢においてバケット243の一方向の回動Aを規制し且つバケット243の他方向の回動Bは許容するように係止部269を係止し、第2被係止部271はバケット243の一方向の回動方向Aに開放状とされていて、第2作業姿勢においてバケット243の他方向の回動Bを規制し且つバケット243の一方向の回動Aは許容するように係止部269を係止する。
【0054】
また、これら係止部269,第1被係止部270及び第2被係止部271は、掘削作業時においてバケット243に作用する荷重を受けるように形成され、回動手段258の周囲に複数(本実施の形態ではそれぞれ4つずつ)設けられており、これにより、掘削作業時においてバケット243から回動軸257に作用する荷重負担を軽減することができる。
また、掘削作業装置203には、バケット243を第1作業姿勢と第2作業姿勢とにおいて保持する姿勢保持手段273が設けられている。
【0055】
この姿勢保持手段273は、支持体249の背面側に配置されると共に該支持体249のバケット支持面256に沿って移動自在に支持されていて先端が支持体249外周縁から出退自在な係合部材276と、作業具側に回動軸257回りに180°変位した2箇所に設けられていて支持体249外周から突出する係合部材276と係合して第1,2作業姿勢におけるバケット243の回動を規制する被係合部277とを有する。
係合部材276は、先端側がテーパ状に形成されたピンによって構成され、この係合部材276を出退方向に移動自在に案内するガイド筒278が支持体249の背面に固定されたブラケット279に固定されており、係合部材276はこのブラケット279を貫通してガイド筒278に挿通されている。
【0056】
被係合部277は、係合部材276の先端側が挿入されることで係合する筒状に形成され、内周側が係合部材276先端側のテーパ形状に一致するテーパ状に形成されている。
この被係合部277は、バケット243の背面壁265に取付固定された取付部材280に固定されている。
係合部材276の基部側の側方には、係合部材276を被係合部277から抜脱してこれらの係合を解除する解除レバー281が設けられている。
この解除レバー281はV字状に屈曲形成されており、その屈曲部分が支持体249に固定された段付き状の取付軸282に回動軸257の軸心と平行な軸心回りに回動自在に取り付けられている。
【0057】
この解除レバー281の一端側には、該解除レバー281の回動軸心と平行な軸心回りに回動自在に取り付けられた係合ブロック283が設けられている。
また、この解除レバー281は、該解除レバー281と取付軸282の端部側に外嵌されたバネ受け284との間に介装された圧縮コイルバネからなるバネ部材285の付勢力によって回動抵抗が付与されている。
この解除レバー281の一端側と前記係合部材276の基端側とは、連動部材286によって連動連結されている。
【0058】
この連動部材286の一端側は係合部材276の基端側に枢支連結され、この連動部材286の他端側はロッド状に形成され、このロッド部287が前記解除レバー281の一端側の係合ブロック283を貫通状に挿通しており、該ロッド部287の端部側には雄ねじ288が形成されていると共にナット289が螺合されている。
また、連動部材286の一端側に設けたバネ受け段部290と係合ブロック283との間には、圧縮コイルバネからなるバネ部材291がロッド部287に套嵌状として介装されている。
【0059】
また、支持体249には、係合部材276が被係合部277に係合した状態において、ロッド部287に套嵌された前記バネ部材291の付勢力の作用による解除レバー281の回動(図20(b)における解除レバー281の反時計回りの回動)を規制するように解除レバー281の一端側が接当する接当壁292が設けられており、係合部材276が被係合部277に係合した状態において、ロッド部287に套嵌された前記バネ部材291が係合部材276を被係合部277に係合する方向に付勢している。
また、係合部材276が被係合部277に係合した状態において、解除レバー281の他端側を、図20(b)において、時計回りに回動させることにより、係合ブロック283がナット289に接当して連動部材286を引動し、これによって係合部材276が抜脱方向に引動されて、係合部材276と被係合部277との係合状態が解除され、バケット243の回動が可能となる。
【0060】
また、支持体249には、係合部材276を被係合部277から抜脱する方向の解除レバー281の回動を規制するストッパ293が設けられている。
前記解除レバー281は、プッシュプルケーブル等の連動部材294を介して運転席205の近傍に設けられる遠隔操作レバーに連動連結され、この遠隔操作レバー及び前記連動部材294等によって構成される遠隔操作手段によって運転席205側から遠隔操作されるか、または、支持体249に設けられる手動レバーによって操作される。
なお、解除レバー281を操作する手動レバーを支持体249に設ける場合において、ブーム241を上昇させると共に、アーム242を後方に揺動させて掘削作業装置203を折りたたむことにより旋回台201上から前記手動レバーが操作可能である。
【0061】
前記構成の本実施の形態の掘削作業装置203にあっては、回動軸257に掘削時の荷重があまりかからないので、回動軸257を細くしてシリンダチューブ259(回動手段258)を小型化することができる。
また、回動手段258をモータによって構成するとコスト高となるが、バケット243の回動とバケット243の回動規制及び姿勢保持とを別の手段によって構成することにより、また、本実施の形態のバケット243にあっては、第1作業姿勢と第2作業姿勢との2位置に位置変更できればよく、回動手段258を、シリンダチューブ259とピストン260と回動軸257とによって構成することにより構造の簡素化が図れ、回動手段258を安価に構成することができる。
【0062】
また、回動軸257をFC等の材料からなる鋳造品にすることにより、スクリュウ266,267のリードを製作する制約をなくすことができる。
上記旋回体3は、旋回台201の下部壁214が前記走行体2の旋回軸受16のインナーレース87上に載置されてボルト固定されていて、該旋回軸受16によって旋回台201が走行体2上に旋回軸心X回りに旋回自在に支持されており、本実施の形態では、旋回体3は左右両方向に全周旋回可能とされている。
ここで、図1に示す如く、走行体2は、エンジン7を搭載していても旋回台201をより低位置に配置するために、エンジン7を後部に配置し、また、走行系動力伝達機構8をエンジン7より前側に配置している。これにより、走行体2の旋回台201に対向する部分の上下寸法を小さくしている。
【0063】
また、図1に示す如く、旋回体3は、旋回台201のステップ215の上面を走行体2側のエンジン7の上面よりも低位とした状態で走行体2上に配備されている。これにより、旋回体3の運転空間の高さを確保しつつ車高が抑えられることとなり、旋回作業機1全体が上下方向においてコンパクトに構成されることとなる。また、旋回作業機1の重心が低位に維持され、これによって安定性が向上すると共に、旋回体3に乗降する作業者の乗降時の負担が軽減されることとなる。
なお、ステップ215の上面をエンジン7の上面よりもやや高位とした状態で旋回体3を走行体2上に配備した場合にも旋回作業機1の上下方向のコンパクト化が図られ、少なくとも旋回台201に配備された旋回軸受16の上面をエンジン7の上面よりも低位とした状態で旋回体3を走行体2上に配備することにより、旋回作業機1全体の上下方向のコンパクト化や安定性の向上が図られることとなる。
【0064】
また、旋回体3を前向き姿勢とした場合、運転席配置枠体204の後部及びカウンタウエイト208は、走行体2に配備されたエンジン7の上方に位置することとなる。
これにより、旋回軸心Xから旋回体3の後端までの距離L1は、旋回軸心Xから後輪の後端までの距離L2以内に略納めている。これによって、旋回体3を旋回させた場合にも、後方の障害物と衝突が回避されることとなる。
図24及び図25に示す如く、運転席配置枠体204は、旋回台201に固定された支持枠321と、この支持枠321に取り付けられていて運転席205を前側枢支で前倒し可能に載置する載置台322と、カウンタウエイト208を取り付けるウエイト取付枠323とを備えている。
【0065】
支持枠321は、旋回台201の後枠材212に側枠材213を連結した左右一対の連結部分に亘って架設されており、該連結部分から旋回台201の後上方に向けて伸びる左右一対の斜行部324と、該左右一対の斜行部324の後端部を連結する連結部225とを有してコ字状に形成されており、該左右一対の斜行部324の間であって且つ連結部225の前部に載置台322が配備されている。
載置台322は、支持枠321の左右一対の斜行部324に沿って配備された左右一対の側壁326と、該左右一対の側壁326の前側縁部を連結した状態で旋回台201から立設された前壁327と、該左右一対の側壁326及び前壁327の上端縁部を連結して支持枠321の連結部325の下方まで延設された上壁328と、該上壁328の上面に配備されて運転席205を支持するシート台329とを備えている。
【0066】
シート台329は、左右一対の側壁326の上端縁に沿って伸びる左右一対の脚部330と、該左右一対の脚部330の上端部を連結し且つ旋回台201の前方に向けて延設された平板部331とから構成されている。図22に示す如く、該平板部331は、前記上壁328との対向位置に開口332を備えている。また、図25に示す如く、該開口332よりも旋回台201前方となる位置には、運転席205を支持する左右一対の支持具333が配備されており、該支持枠の間には小窓333aが開設されている。
ウエイト取付枠323は、前記支持枠321の連結部325に支持されており、該連結部325を上方より覆う上枠部334と、該上枠部334の下面側から下方に伸びる左右一対の側枠部335と、該側枠部335の下端部を連結して左右に伸びる下枠部336とを備えており、上枠部334が支持枠321の連結部325に溶接接合された取付具325aにボルト等の締結具を介して締結されることにより、支持枠321に取り付けられている。
【0067】
なお、図1や図22に示す如く、カウンタウエイト208は、ウエイト取付枠323の下枠部336に締結具を介して連結されて前記支持枠321の斜行部324の後部及び載置台322の後部を下方より覆う下ウエイト208aと、ウエイト取付枠323の下枠部336及び左右一対の側枠部335に締結具を介して連結されて支持枠321の斜行部324の後部、連結部325及び載置台322の後部を後方より覆う上ウエイト208bとを備えている。これら上下ウエイト208a、208bは、作業状況や掘削作業装置203の重量に応じて適宜着脱自在とされており、例えば樹脂からなるカバー(図示省略)等と付け替え可能である。
【0068】
また、図2及び図3に示す如く、運転席配置枠体204は、運転席205の下方から後方に亘って配備されたカバー体341によって覆われている。該カバー体341は、図22及び図23に示す如く、左右一対の操作装置206の下方から運転席205の後方に亘って配備されたメインカバー342と、運転席205の下方を覆うサブカバー343とを備えている。
サブカバー343は、所定の間隔を有して載置台322の前壁327と対向しており、下端縁がステップ215に当接すると共に両側縁がメインカバー342の側縁と対向しており、さらに、上端縁がシート台329の前端縁を覆った状態で配備されている。また、該サブカバー343は、ボルト等の締結具を介してステップ215や載置台322等に取り付けられており、メインカバー342を取り外すことなく取付位置から着脱自在とされている。
【0069】
また、ウエイト取付枠323の上枠部334の上面は、前記取付具325aの上端部に配備された厚板部材345によって覆われており、該厚板部材345の上面の左右両端部にアングル材346がそれぞれ配備されている。該アングル材346の立上り部の上端には、ロプス209を支持する溝状の後ロプス支持部347が形成されている。
また、図23に示す如く、前記左右一対のマスト216にはそれぞれ、上端部に前ロプス支持部348が平坦状に形成されており、これら旋回台201の前後に位置する左右一対の前ロプス支持部348及び後ロプス支持部347にロプス209が支持されている。
【0070】
図1及び図2に示す如く、ロプス209は、円筒状の鋼管をU字状に屈曲して形成されており、前記前ロプス支持部348から上方に伸びる前支柱部351と、ウエイト取付枠323から上方に伸びる後支柱部352と、これら前支柱部351の上端及び後支柱部352の上端を連結する梁部353と左右一対ずつ有し、左右一対の後支柱部352の基端部が互いに連結されている。また、ロプス209には、左右一対の梁部353を連結する複数の連結杆354が配備され、且つ、上部に天蓋(図示省略)を取付けて日除け可能に構成されている。
【0071】
また、図23に示す如く、ロプス209の左右一対の前支柱部351の下端には板状の連結片351aが固着されている。該連結片351aを締結具を介して前ロプス支持部348に締結し、左右一対の後支柱部352の基端を後ロプス支持部347によって支持することにより、ロプス209は旋回台201に装着されることとなる。
運転席205は、作業者が着座可能なシート355と、該シート355を前後位置調整可能に支持するシート支持部356とを備え、該シート支持部356の前部には、前記シート台329の支持具333に連結される連結具357が配備されている。
【0072】
該連結具357は、左右方向に軸心を有する枢支ピン(図示省略)を介して支持具333に枢支連結されており、これによって運転席205は、載置台322のシート台329に前側枢支で前倒し可能に載置されることとなる。
また、前記シート支持部356は、運転席205をシート台329上に載置した状態で該シート台329の開口332を閉塞する蓋部材358を備えている。これによって、図23中に二点鎖線で示す如く、運転席205をシート台329上に載置した状態から前倒し状態に揺動させることにより、前記開口332は蓋部材358によって閉塞した状態から開放した状態となり、運転席205を前倒し状態からシート台329上に載置した状態に揺動させることにより、前記開口332は開放した状態から蓋部材358によって閉塞した状態に設定されることとなる。
【0073】
また、前記シート台329の左右一対の脚部330は、支持部材(図示省略)を介して運転席205の側方に配備される操作レバー361をそれぞれ支持している。これら操作レバー361L、361Rは、掘削作業装置用の操作装置206であって、左操作レバー361Lは旋回台201及び掘削作業装置のアーム242を操作するものであって、右操作レバー361Rはブーム241及びバケット243を操作するものである。
また、右操作レバー361Rの後方には、バケット243の回動を操作可能とするバケット回動レバー361Cが配備されている。
【0074】
走行系の操縦装置202は、旋回台前部の左右方向中央部で且つ左右一対のマスト216の間に配置された操縦台362と、この操縦台362に支持されたステアリングハンドル363及びブレーキペダル364と、旋回台201に支持された前後進切換ペダル(アクセルペダル)365とを備えている。
図23に示す如く、操縦台362は、ステアリングハンドル363を支持するハンドルポスト366と、パワステコントローラ367と、ステアリングハンドル363の前後位置を調整可能とするチルト装置(図示省略)とを備え、これらは1組のアセンブリとして組み立てた後に旋回台201上にコンパクトに装備できるようになっている。
【0075】
また、図23及び図26に示す如く、ブレーキペダル364は、操縦台362の左右長さと略同一若しくは僅かに大きい左右長さを有する踏込み部364aを操縦台362の基部の後方に備えており、操縦台362に配備された左右方向の支軸に回動自在に枢支されている。また、該ブレーキペダル364は、踏込みを解除すると踏込み前位置に復帰可能に付勢されている。
図23及び図27に示す如く、前後進切換ペダル365は、中途部が左右方向の支軸に揺動自在に枢支された長尺状の揺動体365aと、該揺動体365aの前端部に配備された前踏込み部365bと、後端部に配備された後踏込み部365cとを備えると共に、前踏み込み又は後踏込みを解除すると中立位置に復帰可能に付勢されている。
【0076】
図22及び図23に示す如く、シート台上に載置された運転席205の下方であって、且つ、サブカバー343及び載置台322の前壁327、上壁328、シート台329によって形成される空間Sに操縦装置202の操作力中継部371と前記コントロールバルブ207とが配備されている。
操作力中継部371は、前記フートブレーキ手段70を操作するためのマスタシリンダ372及びこの操作具と、HST用のリモコン弁(切換弁)373及びこの操作具とを備えている。
【0077】
図26に示す如く、マスタシリンダ372は、前記前壁327とサブカバー343との間に長尺方向を上下方向とした状態で旋回台201に突設された取付部材374に支持されており、前記ブレーキペダル364は、操作具を構成する複数のリンク機構やロッド等を介してマスタシリンダ372に連結されている。これにより、ブレーキペダル364を踏み込むことにより、マスタシリンダ372のピストンが押し込まれてマスタシリンダ372内の油圧が高められ、該油圧が走行体2のフートブレーキ手段70に伝達されて後輪が制動されるのである。
【0078】
また、マスタシリンダ372の側方には、ブレーキオイルタンク375が配備されており、該ブレーキオイルタンク375のオイル注入口375aは前記シート台329の小窓333aから上方に僅かに突出している。
また、前記取付部材374には、走行体2に配備されたデフロック装置80を作動させるデフロック作動手段377が配備されている。該デフロック作動手段377は、デフロック装置80のオン/オフを切換可能な切換弁378と、該切換弁378を操作可能なデフロックレバー379とを備えている。該デフロックレバー379は、一端が切換弁378の回転スプールに連結されると共に他端がサブカバー343に形成された案内孔(図示省略)を介して該サブカバー343の前方まで延設されている。そして、運転席205に着座した作業者が該デフロックレバー379の他端を踏み込むことにより、デフロック装置80がオン状態となって作動する。また、デフロックレバー379は、踏込みを解除すると踏込み前位置に復帰可能に付勢されており、踏み込みを解除することによりデフロック装置80は自動的にオン状態からオフ状態に移行する。
【0079】
図27に示す如く、HST用のリモコン弁373は、走行体2に配備された前記前後進切換手段51の前進側ポート52又は後進側ポート53にパイロット圧を立たせてHST35の斜板を前進状態と後進状態とに切り換えると共に、走行体2の走行スピードを調整可能に形成されている。また、該リモコン弁373は、パイロット圧を制御する揺動スプール381を旋回台201の前後方向に揺動自在として上面側をシート台329の開口332に対向させた位置に配備されており、載置台322の上壁328に立設されたブラケット382に支持されている。
【0080】
前後進切換ペダル365は、操作具を構成する複数のリンク機構やロッド等を介してリモコン弁373の揺動スプール381に連結されている。該操作具は、前後進切換ペダル365とリモコン弁373との間に、該前後進切換ペダル365の揺動によって回転する円筒部材383を備え、該円筒部材383には、前後進切換ペダル365とリモコン弁373の揺動スプール381とを連動連結する第1プレート384と、前後進切換ペダル365とダンパ装置386とを連動連結する第2プレート385とが径外方向に突出して配備されている。
【0081】
ダンパ装置386は、前踏み込み用の第1ダンパ386aと後踏み込み用の第2ダンパ386bとを備えてリモコン弁373の後方且つ前記上壁328の上方に配備されており、第2プレート385は、2股に分かれた先端にこれら第1ダンパ386a及び第2ダンパ386bにそれぞれ連結している。
これによって、該前後進切換ペダル365の前踏込み部365bを踏み込むことにより、操作具を介してリモコン弁373の揺動スプール381が一方向に揺動し、リモコン弁373が前踏み込み状態として操作される。そして、前踏込み部365bの踏み込みを解除することにより前後進切換ペダル365は中立位置に復帰することとなるが、この戻り動作は第1ダンパ386aによって緩やかに行われる。
【0082】
また、該前後進切換ペダル365の後踏込み部365cを踏み込むことにより、操作具を介してリモコン弁373の揺動スプール381が他方向に揺動し、リモコン弁373が後踏み込み状態として操作される。そして、後踏込み部365cの踏み込みを解除することにより前後進切換ペダル365は中立位置に復帰することとなるが、この戻り動作は第2ダンパ386bによって緩やかに行われる。
また、図23及び図27に示す如く、HSTのリモコン弁373の後方且つダンパ装置386の側となる位置にコントロールバルブ207が配備されており、該コントロールバルブ207の上面は前記開口332と対向している。
【0083】
該コントロールバルブ207は、作業機に装備された各油圧アクチュエータ(旋回モータ15、ブームシリンダ244、アームシリンダ245、バケットシリンダ246、回動手段258)を制御するものであって、直動スプール形の切換弁からなる複数の制御弁をスプールの摺動方向に直交する方向に連結して構成されている。
本実施の形態の旋回作業機1においては、上述の如く運転席205の下方の空間Sに操作力中継部371となるHSTのリモコン弁373、該リモコン弁373の操作具、ダンパ装置386、フートブレーキ手段70を動作させるマスタシリンダ372、該マスタシリンダ372の操作具、ブレーキオイルタンク375、デフロック作動手段377及びコントロールバルブ207が集中的に配備されることとなる。
【0084】
したがって、これらの装置及びこれらの装置の操作具による運転空間の侵食が可及的小さなものなる。また、HSTのリモコン弁373、ダンパ装置386及びコントロールバルブ207は、シート台329の開口332と対向する位置に配備されているので、運転席205を前倒し状態に設定して開口332を開放することにより、これらの装置の点検・整備作業を容易且つまとめてに行うことができる。
また、運転席205を前倒し状態に設定することにより、シート台329の小窓333aから突出しているブレーキオイルタンク375のオイル注入口375aも露出することとなり、該ブレーキオイルタンク375へのオイルの注入も行うことができる。
【0085】
さらに、サブカバー343の後方となる位置にマスタシリンダ372、ブレーキオイルタンク375及びデフロック作動手段377が配備されているので、該サブカバー343を取り外すことにより、これらの装置の点検・整備作業も容易且つまとめて行うことができるのである。
図30及び図31は、本実施の形態の旋回作業機1の油圧回路を示しており、該油圧回路はスイベルジョイント14を境にして走行体側(図30)と旋回台側(図31)とに分かれている。
【0086】
エンジン7の動力は、HST35の油圧ポンプ46を駆動すると同時にチャージポンプ79及びメインポンプ68を駆動可能にしている。
エンジン7の動力によって駆動されるメインポンプ68からの作動油は、スイベルジョイント14を介してコントロールバルブ207にも供給され、該コントロールバルブ207の各制御弁V1〜V5からそれぞれのアクチュエータへ送られる。
該コントロールバルブ207において、V1は旋回モータ15を制御する旋回用制御弁、V2はアームシリンダ245を制御するアーム用制御弁、V3はバケット243の回動手段258を制御するバケット回動用制御弁、V4はブームシリンダ244を制御するブーム用制御弁、V5はバケットシリンダ246を制御するバケット用制御弁である。
【0087】
そして、操作装置206の左操作レバー361Lにはアーム用と旋回用のリモコン弁393Lが設けられおり、該左操作レバー361を前後に揺動させることにより、アーム用制御弁V1を介してアームシリンダ245が掻く・ダンプ動作し、左操作レバー361を左右に揺動させることにより、旋回用制御弁V2を介して旋回モータ15が左右回転動作することとなる。
また、右操作レバー361Rにはバケット用とブーム用のリモコン弁393Rが設けられており、該右操作レバー361を前後に揺動させることにより、作業具用制御弁V5を介してバケット243がチルト・ダンプ動作し、右操作レバー361を左右に揺動させることにより、ブーム用制御弁V4を介してブームシリンダ244が上げ・下げ動作することとなる。
【0088】
また、右操作レバー361Lの後方に配備されたバケット回動レバー394により、バケット回動用制御弁V3を介してバケット243の回動手段258に圧油が供給され、これによってバケット243が回動する。
なお、本実施の形態では、旋回用制御弁V1、アーム用制御弁V2、ブーム用制御弁V4、バケット用制御弁V5、上記リモコン弁393L、393Rの如きパイロット圧で操作されるパイロット操作切換弁によって構成され、バケット回動用制御弁V3は人為的操作によって操作される人為操作切換弁378で構成されているが、すべての制御弁V1〜V5をパイロット操作切換弁で構成してもよい。
【0089】
また、メインポンプ68の作動油はパワステコントローラ367を経て、操向シリンダ97へ供給される。
また、図30に示す如く、HST用のリモコン弁373と前後進切換手段51とを連結するパイロット油路395a、395bに、旋回台201を前向き姿勢から後向き姿勢に旋回させたときにそれを検出して、前後進切換ペダル365による前後進切換手段51の切換操作を反転する前後進変換手段401が配備されている。
図28及び図30に示す如く、前後進変換手段401は、HST用のリモコン弁373と前後進切換手段51の間のパイロット油路395a、395bを切り換えて該リモコン弁373からの圧油を前後進切換手段51に供給可能な4ポート3位置の切換弁402と、旋回台201の旋回状態を検知して前記切換弁402の回転スプール402aを3位置間で切り換える検知機構403とを備えている。
【0090】
図28及び図29に示す如く、切換弁402は、回転スプール402aを有するロータリバルブによって形成されており、走行体2のメインフレーム9の上壁18下方に配備されている。また、該回転スプール402aの上端には、回転軸から径外方向に向けて突出する作動片404が前記上壁18よりも上方に突出して配備されており、該作動片404の先端にはピン405が突設されている。
また、切換弁402は、図30に示す如く、回転スプール402aをA位置(順接状態)とすることにより、リモコン弁373と前後進切換手段51とが順接状態で接続されることとなり、リモコン弁373の前進側ポート343aからの圧油が前後進切換手段51の前進側ポート52に供給されると共に、リモコン弁373の後進側ポート373bからの圧油が前後進切換手段51の後進側ポート53に供給されることとなる。したがって、前後進切換ペダル365の前踏込み部365bを踏み込むことにより、走行体2は前進し、前後進切換ペダル365の後踏込み部365cを踏み込むことにより、走行体2は後進することとなる。
【0091】
また、切換弁402の回転スプール402aをB位置(中立状態)とすることにより、リモコン弁373からの前後進切換手段51への圧油の供給が断たれることとなり、これによって、前後進切換ペダル365の操作による走行体2の走行は不能となる。
また、切換弁402の回転スプール402aをC位置(逆接状態)とすることにより、リモコン弁373と前後進切換手段51とが逆接状態で接続されることとなり、リモコン弁373の前進側ポート373aからの圧油が前後進切換手段51の後進側ポート53に供給されると共に、リモコン弁373の後進側ポート373bからの圧油が前後進切換手段51の前進側ポート52に供給されることとなる。したがって、前後進切換ペダル365の前踏込み部365bを踏み込むことにより、走行体2は後進し、前後進切換ペダル365の後踏込み部365cを踏み込むことにより、走行体2は前進することとなる。
【0092】
また、図28に示す如く、検知機構403は、走行体2側に配備された検知アーム406と、旋回台201側に配備されて該検知アーム406を動作させる検知カム407とを備えている。
検知アーム406は、長尺の揺動片408を備え、該揺動片408は、一方の端部が走行体2のメインフレーム9の上壁18に枢支されると共に他方の端部に長孔408aが形成されており、該長孔408aには、前記作動片404のピン405が挿通されている。
これにより、検知アーム406を揺動させることにより作動片404が揺動し、該作動片404の揺動に伴って回転スプール402aが回転することとなる。また、検知アーム406の長尺方向中途部には、旋回台201に向けてローラ408bが突設されている。
【0093】
旋回台201の下部壁214に配備された旋回軸受16のインナーレース87の内側には、カム形成部材410がその回転中心を旋回台201の旋回軸心Xに一致させた状態で配備されており、前記検知カム407は、該カム形成部材410にカム溝として形成されている。該カム溝は、直径が異なる3つの円弧を滑らかに連結した形状を呈しており、該カム溝の内面に検知アーム406のローラ408bが当接している。
また、走行体2の機体フレーム6と旋回台201との間には、前記揺動ロック機構112を作動させる作動手段411が設けられている。
【0094】
図28及び図29に示す如く、前記揺動ロック機構112の切換弁118は、回転スプール412aを有するロータリバルブによって形成されており、走行体2のメインフレーム9の上壁18下方に配備されている。また、該回転スプール412aの上端には、回転軸から径外方向に向けて突出する作動片414が上壁18よりも上方に突出して配備されており、該作動片414の先端にはピン415が突設されている。
該切換弁118は、回転スプール412aをA位置とすることにより、揺動ロック機構112のシリンダチューブ116に形成された2室124A、124Bを連通する連通油路が接続状態となって該2室124A、124Bが連通状態となる。これによって、当該回路内の流体は2室内を自在に出入り可能となる。したがって、揺動ロック機構112は解除されることとなり、路面の状況に応じて前車軸ケース96は揺動することとなる。
【0095】
また、切換弁402の回転スプール402aをB位置とすることにより、連通油路が不通状態となってシリンダチューブ116の2室124A、124Bが閉鎖状態となる。これによって、当該油圧回路内の圧油は一方の室124Aから他方の室124Bに向けて移動不能となる。これにより、揺動ロック機構112は作動し、前車軸ケース96は揺動不能に支持されることとなる。
作動手段411は、走行体側に配備された作動アーム416と、旋回台側に配備されて該作動アーム416を動作させる作動カム417とを備えている。
【0096】
作動アーム416は、前記検知アーム406と略同様の構成であり、長尺の揺動片418を備え、該揺動片418の一端が走行体2のメインフレーム9の上壁18に枢支されると共に他方の端部に形成された長孔418aに前記作動片414のピン415が挿通されている。また、作動アーム416の長尺方向中途部には、旋回台201に向けてローラ418bが突設されている。
また、作動カム417は、前記カム形成部材410に外周面に形成されたカム面によって形成されており、該カム面は、直径が異なる2つの円弧を滑らかに連結した形状を呈しており、該カム面に作動アーム416のローラ418bを当接している。
【0097】
また、作動アーム416は、ローラ418bをカム面に当接させた状態を維持すべく、引きばね419によって旋回軸心Xに向けて付勢されている。
また、作動アーム416は、そのローラ418bを旋回軸心Xを介して検知アーム406のローラ408bに正対させた位置に配備されており、作動アーム416のローラ418bの中心軸、旋回軸心X及び検知アーム416のローラ408bの中心軸を結ぶ直線は走行体2の前後方向に伸びる中心軸と一致している。
ここで、図29を用いて、前後進変換手段401及び作動手段411の動作を説明する。
【0098】
先ず、図29(a)に示すように、走行体2と旋回体3の方向が一致して走行体2に対する旋回体3の旋回角度が0°(前向き姿勢)の場合、前後進変換手段401の検知アーム406のローラ408bが検知カム407の大径溝部421aに当接すると共に、作動手段411の作動アーム416のローラ418bが作動カム417の一方の大径面部422aに当接する。
このとき、検知アーム406は一方向に揺動しており、これによって切換弁402の回転スプール402aがA位置に設定されることとなり、リモコン弁373と前後進切換手段51とは順接状態で接続される。したがって、この状態で前後進切換ペダル365の前踏込み部365bを踏み込むことにより、走行体2は前進操作されることとなり、走行体2が前進走行することはもちろん、運転席205に着座した作業者からみて旋回作業機1は前進する。
【0099】
また、このとき、作動アーム416は一方向に揺動しており、これによって切換弁118の回転スプール412aがA位置に設定されることとなり、シリンダチューブ116の2室124A、124Bは連通状態とされて揺動ロック機構112は解除されることとなる。これにより、前車軸ケース96が揺動自在となり、路面の状況に追従して左右一対の前輪4が上下動することとなり、走行時の旋回作業機1の姿勢が安定したものとなる。
ここで、検知カム407による検知カム407の大径溝部421aへの当接状態及び作動カム417による作動カム417の一方の大径面部422aへの当接状態は、旋回体3の旋回角度を前向き姿勢から左右方向に所定の旋回角度で与えられる前旋回範囲内とした場合に維持されることとなる。
【0100】
そして、旋回角度が前旋回範囲を越えるまで旋回体3を旋回させ、例えば図29(b)に示す如く、走行体2と旋回体3の方向をそれぞれ直交させて走行体2に対する旋回体3の旋回角度を90°とした場合、検知アーム406のローラ408bが検知カム407の中径溝部421bに当接すると共に、作動アーム416のローラ418bが作動カム417の小径面部422bに当接することとなる。
このとき、検知アーム406は一方向に揺動している状態から揺動して中立状態となり、これによって切換弁402の回転スプール402aがB位置に設定されることとなり、リモコン弁373と前後進切換手段51との接続状態が絶たれることとなる。したがって、この状態で前後進切換ペダル365の前踏込み部365b又は後踏込み部365cのいずれを踏み込んだ場合にも、走行体2は走行することはない。
【0101】
また、このとき、作動アーム416は他方向に揺動しており、これによって切換弁118の回転スプール412aがB位置に設定されることとなり、シリンダチューブ116の2室124A、124Bは不通状態とされて揺動ロック機構112が作動し、これによって前車軸ケース96が揺動不能となる。このとき、走行体2は走行不能状態となっているので、前車軸ケース96は、左右一対の前輪を略同じ大きさの接地圧を受けて路面に接地させた状態で固定されることとなり、これによって、走行不能状態とされた旋回作業機1の姿勢が安定したものとなる。
【0102】
ここで、検知アーム406による検知カム407の中径溝部421bへの当接状態及び作動アーム416による作動アーム417の小径面部422bへの当接状態は、旋回体3の旋回角度を前旋回範囲を越えて所定の旋回角度範囲で与えられる中間旋回範囲内とした場合に維持される。
そして、旋回角度が中間旋回範囲を越えるまで旋回体3を旋回させ、例えば図29(c)に示す如く、走行体2と旋回体3の方向をそれぞれ相反させて走行体2に対する旋回体3の旋回角度を180°(後向き姿勢)とした場合、検知アーム406のローラ408bが検知カム407の小径溝部421cに当接すると共に、作動アーム416のローラ408bが作動カム417の前記大径面部422aに相対する他方の大径面部422aに当接することとなる。
【0103】
このとき、検知アーム406は中立状態から他方向に揺動することとなり、これによって切換弁402の回転スプール402aがC位置に設定され、リモコン弁373と前後進切換手段51とは逆接状態で接続される。したがって、この状態で前後進切換ペダル365の前踏込み部365bを踏み込むことにより、走行体2は後進操作されることとなり、走行体2は後進することとなるが、運転席205に着座した作業者からみて旋回作業機1は前進することとなる。
一方、作動アーム416は一方向に揺動しており、これによって切換弁118の回転スプール412aがA位置に設定されることとなり、シリンダチューブ116の2室124A、124Bは連通状態とされて揺動ロック機構112は解除されることとなる。
【0104】
ここで、検知アーム406による検知カム407の小径溝部421cへの当接状態及び作動アーム416による作動カム417の他方の大径面部422aへの当接状態は、旋回体3の旋回角度を中間旋回範囲を越えて所定の旋回角度範囲で与えられる後旋回範囲内に設定した場合に維持される。
即ち、旋回体3の旋回角度に応じて、該旋回体3は前旋回範囲、後旋回範囲及びこれらの旋回範囲間に設けられた一対の中間旋回範囲の何れかの旋回範囲に位置することとなり、位置している旋回範囲に応じて前後進切換ペダル65の前後進操作が切り換えられ(反転し)、また、揺動ロック機構112が切り換えられることとなる。
【0105】
これにより、旋回体3を前向き姿勢とした場合と後向き姿勢とした場合に応じて前後進切換ペダル365を踏み換える必要がなく、該前後進切換ペダル365の前踏込み部365bを踏み込むことにより、運転席205に着座した作業者から見て旋回作業機1は前進し、後踏込み部365cを踏み込むことにより、前記作業者から見て旋回作業機1は後進することとなる。
また、前後進変換手段401の順接状態及び揺動ロック機構112の作動手段411の非作動状態は、旋回体3の旋回角度を前旋回範囲内としている間維持される。このため、前向き姿勢から所定の角度範囲内で旋回体3を旋回させた場合にも、前後進変換手401段及び作動手段401が切り換えられることはない。旋回体3を後旋回範囲とした場合も同様である。
【0106】
また、前後進変換手段401の切換弁402を順接状態とする前旋回角度範囲と逆接状態とする後旋回角度範囲との間に中立状態とする中間旋回範囲が存在しており、これによって、旋回台201を前向き姿勢側と後向き姿勢側との間で往復させた場合にも、ある境界を境として前後進切換ペダル365による前後進操作が反転する虞はなく、前後進切換ペダル365の前後進の切換は走行体2の走行を不能とする中立状態を介して切り換えられることとなり、作業中の前後進切換ペダル365の前後進操作に起因する誤動作が防止されることとなる。
【0107】
また、旋回体3の旋回角度が中間旋回範囲内にある場合には、揺動ロック機構112が作動して前車軸ケース96の揺動は規制される。したがって、旋回体3を旋回させて作業を行う場合、該旋回体3の旋回に伴って重心移動が生ずるものの、該重心移動に伴って前車軸ケース96が揺動することはないため、旋回台201が車軸ケースに対して相対的に揺動することはなく、作業時の作業姿勢の安定性が確保されることとなる。また、揺動ロック機構112を作動させることにより、前後輪4、5は、接地圧を略均等とした状態で路面に接することとなる。このため、作業時に旋回台201の旋回に伴って大きな横力やモーメントが走行体2に作用する場合にも、該走行体2を支持する前後輪4、5全てでこれらの力に抵抗することができ、作業時の作業姿勢の安定性が確保されるのである。
【0108】
また、図30及び図31に示す如く、パワステコントローラ367と操向シリンダ97との間には、前記前後進変換手段401と略同様の構造を有するステアリング変換手段425を配備されており、これにより、旋回体3の旋回角度に応じてパワステコントローラ367と操向シリンダ97の接続状態が切り換えられる。したがって、旋回体3の旋回角度を前旋回範囲内とした場合、ステアリング変換手段425は順接状態となり、ステアリングハンドル363の右切り操作によって走行体2は右方向に旋回する。
また、旋回体3の旋回角度を中間旋回範囲内とした場合、ステアリング変換手段425は中立状態となり、ステアリングハンドル363の操作に拘わらず走行体2は旋回不能となる。
【0109】
そして、旋回体3の旋回角度を後旋回範囲内とした場合に、ステアリング変換手段425は逆接状態となり、ステアリングハンドル363の右切り操作によって走行体2は左方向に旋回するものの、運転席205に着座した運転者から見るとステアリングハンドル363を切る方向と走行体2の旋回方向が一致することとなり、作業中のハンドル操作に起因する誤動作が防止されることとなる。
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、左右一対の後輪5を左右一対前輪7の如く車軸ケースを介して走行体2に揺動自在に支持し、該車軸ケースに揺動ロック機構112を配備する場合にも、本実施の形態と同様の効果を奏する。即ち、本実施の形態の車軸ケース及び揺動ロック機構112は、左右一対の前輪4と後輪5の一方若しくは両方に配備することが可能である。
【0110】
また、検知機構403の検知アーム406を旋回体3側に配備すると共に検知カム407を走行体2側に配備する構成とした場合にも、本実施の形態と同様の効果を奏する。また、作動機構の作動アーム416を旋回体3側に配備すると共に作動カム417を走行体2側に配備する構成とした場合も同様である。
また、操縦装置202にハンドアクセルレバーを配備し、該ハンドアクセルレバーによって対地作業装置による作業形態に応じてエンジン7の回転数を調整する構成とすることも可能である。
【0111】
また、チャージポンプとリモコン弁373との間に、チャージポンプからリモコン弁373へのパイロット圧の供給を断つ走行ロック弁を設けた構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】ホイール式の旋回作業機の左側面図である。
【図2】旋回作業機の正面図である。
【図3】走行体及び旋回台の斜視図である。
【図4】走行体の平面図である。
【図5】走行体の左側面図である。
【図6】走行体後上部及び旋回体後下部の左側面図である。
【図7】走行系動力伝達機構及び後輪の平面図である。
【図8】走行系動力伝達機構及びその周辺の平面拡大図である。
【図9】機体フレームの平面図である。
【図10】機体フレームの左側面図である。
【図11】(a)は機体フレームの正面図、(b)は機体フレームの背面図である。
【図12】前車軸ケース及び揺動ロック機構の左側面図である。
【図13】前車軸ケースの正面図及び揺動ロック機構の正断面図である。
【図14】前車軸ケース及び揺動ロック機構の正面図である。
【図15】前車軸ケース及び揺動ロック機構を分解して示す正面図である。
【図16】掘削作業装置の平面図である。
【図17】バケットの背面図である。
【図18】バケット及びアームの左側面図である。
【図19】回動手段の断面図である。
【図20】(a)は姿勢保持手段の平面図、(b)は姿勢保持手段の背面図である。
【図21】(a)は回動規制手段の平面図、(b)は回動規制手段の背面図、(c)は(b)のD−D線矢示断面、(d)は(b)のE−E線矢示断面である。
【図22】運転席及びその周辺の平面図である。
【図23】運転席及びその周辺の左側面図である
【図24】旋回台の平面図である。
【図25】旋回台の左側面図である。
【図26】運転席下方の左側面図である。
【図27】運転席下方の他の左側面図である。
【図28】旋回軸心及びその周辺の正面図である。
【図29】検知機構及び作動手段の動作を示す平面図である。
【図30】走行体側の油圧回路である。
【図31】旋回体側の油圧回路である。
【符号の説明】
【0113】
2 走行体
4 前輪
5 後輪
6 機体フレーム
7 エンジン
8 走行系動力伝達機構
9 メインフレーム
10 フロントフレーム
16 旋回軸受
18 上壁
19 側壁
35 静油圧トランスミッション
37 機械式伝動装置
38 後輪デフ装置
39 後車軸
40 終伝動装置
58 デフ出力軸
62 終伝動ケース
63 走行動力伝達系配置部
64 ケース嵌合部
70 フートブレーキ手段
71 駐車ブレーキ手段
86 軸受配置部
94 前輪配置空間
96 前車軸フレーム
201 旋回台旋回台
202 操縦装置
203 掘削作業装置(対地作業装置)
204 運転席配置枠体
205 運転席
206 操作装置
215 ステップ
X 旋回軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後輪(4,5)によって支持された機体フレーム(6)にエンジン(7)を搭載すると共に該エンジン(7)からの動力を後輪(5)に伝達する走行系動力伝達機構(8)を備えてなる走行体(2)を備え、この走行体(2)上に旋回台(201)を上下方向の旋回軸心(X)回りに旋回自在に支持し、この旋回台(201)の前部に対地作業装置(203)を、後部に運転席(205)を設けると共に、該旋回台(201)に走行系の操縦装置(202)と対地作業装置用の操作装置(206)とを備えてなるホイール式作業機において、
前記機体フレーム(6)は、上壁(18)と該上壁(18)の左右両端から下方に延設された左右側壁(19)とを有し且つ前記エンジン(7),動力伝達機構(8)及び後車軸(39)を支持するメインフレーム(9)と、このメインフレーム(9)の前部に固定されていて前輪(4)を懸架する前車軸ケース(96)を支持するフロントフレーム(10)とで主構成され、前記メインフレーム(9)の左右側壁(19)の後部間にエンジン(7)を配置していることを特徴とするホイール式作業機。
【請求項2】
前記メインフレーム(9)の左右側壁(19)間のエンジン(7)前方側に、該エンジン(7)からの動力が伝達される静油圧トランスミッション(35)と、この静油圧トランスミッション(35)の後方側に配置された後輪デフ装置(38)と、この後輪デフ装置(38)の前側に配置されていて静油圧トランスミッション(35)からの動力を後輪デフ装置(38)へ伝達する機械式伝動装置(37)とを配置する走行動力伝達系配置部(63)を備え、メインフレーム(9)の上壁(18)上面側で且つ前後輪(5)間の略中央位置に旋回台(201)を支持する旋回軸受(16)を配置する軸受配置部(86)を備え、メインフレーム(9)の左右側壁(19)の後部に、後輪デフ装置(38)から後車軸(39)に動力を伝達する終伝動装置(40)を収容した終伝動ケース(62)に対して上方から嵌合するケース嵌合部(64)を形成していることを特徴とする請求項1に記載のホイール式作業機。
【請求項3】
メインフレーム(9)の上壁(18)上に設けた旋回軸受(16)上に、上面側にステップ(215)を有する旋回台(201)を支持し、前記旋回軸受(16)とステップ(215)との内の少なくとも旋回軸受(16)の上面をエンジン(7)の頭部より下方に配置していることを特徴とする請求項1又は2に記載のホイール式作業機。
【請求項4】
前車軸ケース(96)に対して前輪(4)を操向可能に懸架し、フロントフレーム(10)の左右幅をメインフレーム(9)より狭く形成してメインフレーム(9)の前方で且つフロントフレーム(10)の左右側方に前輪配置空間(94)を形成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のホイール式作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2007−91043(P2007−91043A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283379(P2005−283379)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】