説明

ホイール用保護フィルムおよびホイール用保護フィルム積層体

【課題】廃棄物を減らしつつ、多数の保護フィルムを取り扱う際にハンドリング性を向上させる。
【解決手段】保護フィルム10は、基材層12、粘着剤層14および剥離ライナー16を備える。基材層12の形態は円形状のシートであり、典型的には、ポリエチレン系樹脂層である。粘着剤層14は、基材層12と同等な平面形状の薄膜層であり、基材層12の一方の面に設けられている。基材層12と粘着剤層14とにより積層構造が形成されている。剥離ライナー16は、粘着剤層14の粘着面の一部が露出するように、当該粘着面に設けられている。具体的には、剥離ライナー16の貼付部分は粘着剤層14の粘着面を半分に分割した領域の一方に相当する。粘着剤層14の粘着面が露出する部分は、複数の保護フィルム10を積層したときに、隣接する保護フィルム10の基材層12との接着に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両のホイールに貼り付けられる保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミホイールなどの自動車ホイールは、自動車の輸送段階、たとえば、船舶による輸送段階において、船内の湿度の変化などによりホイールの内側に結露が生じる場合があった。その結果、自動車ホイールの内側に配置されているディスクブレーキに錆が発生するなどの問題が生じていた。そこで、このような錆の発生を防止するために、自動車ホイールの表面に保護フィルムを貼り付けることが行われている。
【0003】
このような保護フィルムとして、タイヤのホイールに貼着して用いられるホイール保護用フィルムであって、基材フィルムと、基材フィルム上に設けられた粘着剤層とを有する保護フィルムが考案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−227746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車の製造ラインでは数多くの保護フィルムをホイールに順次貼付する必要がある。このため、多数の保護フィルムを保管または持ち運ぶ必要が生じる。従来は、保護フィルムの束をまとめるために紐などの結束部材を用いていた。保護フィルムをホイールに貼り付ける際に、保護フィルムの束をまとめていた結束部材を取り外すと、保護フィルムがばらばらになるため、ハンドリング性が低下するという課題が生じていた。
【0006】
また、近年、環境問題に対する意識の高まりから、廃棄物の低減が求められており、保護フィルムについても廃棄物をできるだけ減らす必要に迫られている。
【0007】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、廃棄物を減らしつつ、多数の保護フィルムを取り扱う際にハンドリング性の向上を図ることができる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、ホイール用保護フィルムである。当該ホイール用保護フィルムは、基材層と、基材層の一方の面に設けられている粘着剤層と、粘着剤層の粘着面の一部が露出するように、粘着面に設けられている剥離ライナーと、を備えることを特徴とする。
【0009】
上述した態様のホイール用保護フィルムによれば、粘着剤層の粘着面のうち、剥離ライナーで被覆されずに露出している部分を隣接する保護フィルムの基材層と剥離可能に接着させることができる。これにより、多数の保護フィルムを積層体として一纏めにして持ち運ぶことができ、多数の保護フィルムを取り扱う際のハンドリング性を向上させることができる。さらに、剥離ライナーは、粘着剤層の粘着面の一部に貼付されているため、剥離ライナーの使用量を大幅に低減し、ひいては剥離ライナーの廃棄量を低減することができる。
【0010】
上記態様のホイール用保護フィルムにおいて、粘着面の全体に対する剥離ライナーの貼付面積が25〜75%であってもよい。剥離ライナーの貼付部分が、粘着面を半分に分割した領域の一方であってもよい。粘着面の周縁部分が露出するように、剥離ライナーが粘着面の中央部分に設けられていてもよい。粘着面の中央部分が露出するように、剥離ライナーが粘着面の周縁部分に設けられていてもよい。ホイール用保護フィルムが円形であってもよい。
【0011】
本発明の他の態様は、ホイール用保護フィルム積層体である。当該ホイール用保護フィルム積層体は、上述したいずれかの態様のホイール用保護フィルムが複数積層され、ホイール用保護フィルムの粘着面の露出部分と隣接するホイール用保護フィルムの基材層とが剥離可能に接着していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、廃棄物を減らしつつ、多数の保護フィルムを取り扱う際にハンドリング性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(A)は、実施の形態1に係る保護フィルムの平面図である。図1(B)は、図1(A)に示す保護フィルムのA−A断面図である。
【図2】実施の形態1に係る保護フィルムと自動車用ホイールとの関係を示す斜視図である。
【図3】複数の実施の形態1に係る保護フィルムを積層した保護フィルムの積層体を示す側面図である。
【図4】図4(A)は、実施の形態1に係る保護フィルムの平面図である。図4(B)は、図4(A)に示す保護フィルムのA−A断面図である。
【図5】複数の実施の形態2に係る保護フィルムを積層した保護フィルムの積層体を示す側面図である。
【図6】図6(A)は、実施の形態1に係る保護フィルムの平面図である。図6(B)は、図6(A)に示す保護フィルムのA−A断面図である。
【図7】複数の実施の形態3に係る保護フィルムを積層した保護フィルムの積層体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
本実施の形態に係るホイール用保護フィルム(以下「保護フィルム」という。)は、納車までの期間にホイール表面に傷が付くこと、汚れが付着すること、さらには、自動車の輸出時等に長時間海上を輸送する際にホイールの内面側のディスクブレーキに錆が発生することを防止することができる。また、ホイールに保護フィルムを貼り付けてから長期間保管した後に納車する場合であって、保護フィルムを素早くホイールから剥離する際に、本実施の形態に係る保護フィルムは、容易に剥離され、剥離後の糊残りの発生を防止できる。
【0016】
(実施の形態1)
図1(A)は、実施の形態1に係る保護フィルム10の平面図である。図1(B)は、図1(A)に示す保護フィルム10のA−A断面図である。図1(B)において、保護フィルム10の厚み方向が拡大されて表示されており、保護フィルム10の厚み方向と保護フィルム10の面方向との比率は実際とは異なる。図1(A)に示すように、本実施の形態に係る保護フィルム10は、円盤状の形態である。また、図1(B)に示すように、保護フィルム10は、基材層12、粘着剤層14および剥離ライナー16を備える。
【0017】
(基材層)
本実施の形態に係る基材層12の形態は円形状のシートである。本実施の形態に係る基材層12としては、耐候性(耐水性、耐湿性、耐熱性など)、耐衝撃性(引裂強度など)および、透明性の観点から、ポリエチレン系樹脂からなるポリエチレン系樹脂層を用いることが好ましい。ポリエチレン系樹脂層としては、たとえば、エチレン系ポリマー(低密度、高密度、リニア低密度ポリエチレン樹脂等)、エチレン・αオレフィン共重合体などのオレフィン系ポリマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・αオレフィン共重合体などのエチレンと他モノマーとのオレフィン系ポリマーなどからなる樹脂層があげられ、特に、低密度ポリエチレン樹脂からなることがより好ましい。これらのポリエチレン層を用いることにより、耐候性、耐衝撃性、および、透明性の観点において好ましいものとなる。
【0018】
また、基材層12としては、特に、低密度ポリエチレン樹脂のみからなり、単一層であることがより好ましい態様である。ポリエチレンとポリプロピレンなどの異種複数種のポリオレフィン樹脂を配合して形成された基材層12は、脆くなり、フィルム(表面保護フィルム)を剥離する際に、裂けるという問題が生じるおそれがある。また、高速での剥離の際に、特に基材層12の裂けが発生するため、好ましくない。
【0019】
また、基材層12は樹脂を延伸したものであっても、無延伸のものでもよい。また、上記ポリエチレン系樹脂層は単独で使用してもよく、また2種以上を貼り合わせて使用してもよい。
【0020】
基材層12の厚さは、特に限定されないが、たとえば、10〜200μmが好ましく、30〜150μmであることがより好ましい。10μm未満では貼り付け作業性に劣り、200μmを超えると曲面への追従性に劣る傾向にある。
【0021】
また、粘着剤層14との密着性を向上させるため、基材層12の表面には、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの表面処理を行ってもよい。また、基材層12には背面処理を行ってもよい。
【0022】
また、耐候性の観点より、本発明の透明性等を損なわない範囲内で、基材層12にも、耐候安定剤を用いた処理を適宜行うことができる。
【0023】
上記耐候安定剤(紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤)を用いた処理は、上記樹脂層表面に塗布処理、または転写処理、上記樹脂層への練り込み等によって行うことができる。
【0024】
また、本実施の形態の効果を損なわない範囲内で、基材層12に難燃剤、不活性無機粒子、有機粒子、滑剤、帯電防止剤、顔料など任意の添加剤も配合することができる。
【0025】
また、本実施の形態は、自動車ホイール用の表面保護フィルムに用いるため、基材層12として耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。基材層12が可撓性を有することにより、ロールコーターなどによって粘着剤組成物を塗布することができ、ロール状に巻き取ることができる。
【0026】
また、基材層12には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系若しくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型および防汚処理や酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、塗布型、練り込み型、蒸着型などの静電防止処理をすることもできる。
【0027】
また、基材層12には、必要に応じて、表面コート層、たとえば、ハードコート層やソフトコート層を適宜設けることもできる。そのような例としては、シリコーン系、メラミン系、ウレタン系、シラン系、アクリレート系などの熱硬化型若しくは化学反応硬化型の表面コート層を挙げることができる。これにより、耐擦傷性、耐薬品性、耐候性、防曇性などにおいて、より優れた自動車ホイール用の表面保護フィルムとすることができる。
【0028】
また、本実施の形態の保護フィルム10は、粘着剤層14や基材層12を使用することにより、耐候性、接着信頼性、透明性、および耐衝撃性に優れた機能を有するため、屋外等での長期保管、流通過程を経る保護フィルム10に適したものとなる。
【0029】
(粘着剤層)
粘着剤層14は、基材層12と同等な平面形状の薄膜層であり、基材層12の一方の面に設けられている。言い換えると、基材層12と粘着剤層14とが積層構造を成している。
【0030】
本実施の形態に係る保護フィルム10に用いられる粘着剤層14は、特に限定するものではないが、たとえば、(メタ)アクリル系ポリマーおよび架橋剤を含有する粘着剤組成物からなることが好ましく、前述の(メタ)アクリル系ポリマーが、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを主成分とすることがより好ましい。前述の(メタ)アクリル系ポリマーを構成する主成分の(メタ)アクリル系モノマーは、前述の炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーであれば、特に制限はないが、好ましくは、炭素数が1〜12であり、より好ましくは、炭素数が2〜10である。炭素数が前述の範囲内にあるものを使用することにより、初期の接着性、冬場など低温雰囲気下での接着性を確保できることとなり、自動車ホイール保護用途に適している。また、炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを主成分とすることが、特に好ましい態様である。なお、前述の炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー全量中において、前述の炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを40〜80質量%含有することが好ましく、より好ましくは50〜75質量%である。前述の炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを上記範囲で用いることにより、粘着剤の凝集力が向上し、使用後に剥離する際に糊残りを防止することができ、有効である。
【0031】
前述の炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとして、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、secーブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどが好適に用いられる。
【0032】
本実施の形態において、前述の炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、モノマー全体に対する前述の炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーの含有量は、40〜90質量%が好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。90質量%を超えると、粘着剤の凝集力が著しく低下する場合があり、40質量%未満であると、初期接着性が低下する原因となり好ましくない。
【0033】
また、前述の(メタ)アクリル系ポリマーが、前述の炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外に、保護フィルム10の性能を損なわない範囲で、他のモノマー成分を含有してもよく、たとえば、ヒドロキシル基含有モノマーが用いることができる。前述のヒドロキシル基含有モノマーを使用することにより、架橋剤との架橋性が高くなり、糊残りを防止することができ、有効である。前述のヒドロキシル基含有モノマーとして、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどが挙げられる。中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどが好適に用いられる。
【0034】
本実施の形態において、前述のヒドロキシル基含有モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、モノマー全体に対する前述のヒドロキシル基含有モノマーの含有量は、1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。30質量%を超えると、初期接着性が低下する場合があり、1質量%未満であると、粘着剤の凝集力が著しく低下する原因となり、好ましくない。
【0035】
さらに、上記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートや、ヒドロキシル基含有モノマーと共重合可能なビニル系モノマーを含有することもできる。たとえば、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどの凝集力・耐熱性向上成分や、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、ビニルエーテルモノマーなどの接着力向上や架橋化基点としてはたらく官能基を有する成分、並びに、その他のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーなどを適宜用いることができる。これらのモノマー化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0036】
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、たとえば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
【0037】
上記リン酸基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートが挙げられる。
【0038】
上記シアノ基含有モノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
【0039】
上記ビニルエステルモノマーとしては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0040】
上記芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0041】
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。中でも、特にアクリル酸、およびメタクリル酸が好ましく用いられる。
【0042】
上記酸無水物基含有モノマーとしては、たとえば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
【0043】
上記アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0044】
上記アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルなどが挙げられる。
【0045】
上記イミド基含有モノマーとしては、たとえば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミドなどが挙げられる。
【0046】
上記エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0047】
上記ビニルエーテルモノマーとしては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
【0048】
本実施の形態において、共重合可能なビニル系モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマーのモノマー成分全体において、10〜50質量%が好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。50質量%を超えると、初期接着性が低下する場合があり、10質量%未満であると、粘着剤の凝集力が著しく低下する場合があり好ましくない。
【0049】
また、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、上記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以下(通常−100℃以上)、好ましくは−10℃以下であり、より好ましくは−20℃以下である。ガラス転移温度が0℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく被着体への濡れが不十分となり、自動車ホイールと保護フィルムの粘着剤層14との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより上記範囲内に調整することができる。なお、ガラス転移温度(Tg)(℃)は、一般的な値を採用してよく、たとえば、Polymer Handbook Fourth Edition(J.Brandupら編、1999 John Wiley & Sons,Inc)VI章198項から253項に記載されている数値等を用いることができる。また、新規ポリマーの場合には、粘弾性測定法(剪断法、測定周波数:1Hz)における損失正接(tanδ)のピーク温度をガラス転移温度(Tg)として採用すればよい。
【0050】
このような上記(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合などの公知のラジカル重合法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
【0051】
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロへキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、水、各種水溶液などが用いられる。反応は窒素などの不活性ガス気流下で、通常、60〜80℃程度で、4〜10時間程度行われる。
【0052】
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。
【0053】
本実施の形態に用いられる重合開始剤としては、たとえば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
上記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100質量部に対して、0.005〜1質量部であることが好ましく、0.02〜0.5質量部であることがより好ましい。
【0055】
また、本実施の形態においては、重合において連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、アクリル系ポリマーの分子量を適宜調整することができる。
【0056】
連鎖移動剤としては、たとえば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどが挙げられる。
【0057】
これらの連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100質量部に対して、0.01〜0.1質量部程度である。
【0058】
本実施の形態において用いられる粘着剤組成物は、上記の(メタ)アクリル系ポリマーを、架橋剤を用いて架橋することにより、より耐候性・耐熱性などに優れたものを得ることができ、有効である。本発明に用いられる架橋剤としては、上記の官能基含有(メタ)アクリル系モノマーの官能基と反応(結合形成)可能な官能基を少なくとも2つ以上分子内に有する化合物が用いられ、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、および金属キレート化合物などが用いることができる。
【0059】
このうち、イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート、乳化型イソシアネートなどが挙げられる。
【0060】
より具体的なイソシアネート化合物としては、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業製、商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業製、商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業製、商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物、自己乳化型ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業製、商品名アクアネート200)などが挙げられる。これらのイソシアネート化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0061】
オキサゾリン化合物としては、たとえば、2−オキサゾリン、3−オキサゾリン、4−オキサゾリン、5−ケト−3−オキサゾリン、エポクロス(日本触媒製)などが挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0062】
エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名TETRAD−C、三菱瓦斯化学製)、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジル−o−トルイジンなどのポリグリシジルアミン化合物などが挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0063】
メラミン系樹脂としてはヘキサメチロールメラミン、水溶性メラミン系樹脂などが挙げられる。
【0064】
アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU(相互薬工製)、商品名TAZM(相互薬工製)、商品名TAZO(相互薬工製)などが挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0065】
金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0066】
これらの架橋剤の含有量は、架橋すべき(メタ)アクリル系ポリマーとのバランスにより、さらには、保護フィルム10として適宜選択される。(メタ)アクリル系ポリマーの凝集力により十分な耐候性、耐熱性を得るためには、上記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.1〜6質量部含有することが好ましく、0.2〜4質量部含有されていることがより好ましく、0.4〜2質量部含有されていることが特に好ましい。架橋剤の含有量が0.1質量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、溶剤不溶分率が低下する傾向があり、また、粘着剤層14の凝集力が小さくなり、糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が6質量部を超える場合、粘着剤層14の初期接着力が不足し、また、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、被着体への濡れが不十分となって、剥がれの原因となる傾向がある。
【0067】
本実施の形態の保護フィルム10に耐候性を付与するため、粘着剤層14に耐候安定剤を含有することができる。前述の耐候安定剤とは、紫外線吸収剤、光安定剤、または酸化防止剤をいい、これらの化合物は耐候安定剤として、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。前述の耐侯安定剤を使用することにより、本実施の形態の保護フィルム10をホイールに貼り付けた状態での長期間保管後において、フィルムの剥がれ、糊残りを防止することができる。
【0068】
上記紫外線吸収剤としては、たとえば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等を挙げることができる。
【0069】
上記紫外線吸収剤の具体例としては、たとえば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール)]、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリチレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等を挙げることができる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0070】
上記紫外線吸収剤の中でもでも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を使用することが好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いる場合には、耐侯性をより向上させることができるため、紫外線吸収剤のブリードによって、粘着力が低下してしまうことをより防止することができる。そして、その結果、保護フィルムをホイールに貼り付けた後、長期間保管した場合であっても、粘着力を十分に保持することができるため、粘着力の低下によって走行中にホイールからフィルムが剥がれることを十分に防止することができる。また、長期間保管後の糊残りを十分に防止することができる。
【0071】
上記粘着剤層14において、紫外線吸収剤の含有量は、上記粘着剤層14中に含まれるアクリル系粘着剤の樹脂固形分100質量部に対して、0.05〜2質量部であることが好ましく、0.1〜1.5質量部であることがより好ましい。0.05質量部未満であると、耐侯性を向上させる効果を得ることができないおそれがある。2質量部を超えると、紫外線吸収剤がブリードするおそれがある。
【0072】
上記光安定剤としては、従来公知のものを使用することができるが、たとえば、ヒンダードアミン系光安定剤やベンゾエート系光安定剤など公知の光安定剤を適宜使用することができる。中でも特に、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS:HinderdAmine Light Stabilizer)を使用する場合には、耐侯性をより向上させることができるため、光安定剤のブリードによって、粘着力が低下してしまうことをより防止することができる。そして、その結果、保護フィルムをホイールに貼り付けた後、長期間保管した場合であっても、粘着力を十分に保持することができるため、粘着力の低下によって走行中にホイールからフィルムが剥がれることを十分に防止することができる。また、長期間保管後の糊残りを十分に防止することができる。
【0073】
前述のヒンダードアミン系光安定剤としては、たとえば、たとえば、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、[コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン]縮合物、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−トリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカンとブタンテトラカルボン酸とのエステル等を挙げることができる。これらの光安定剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0074】
また、前述のヒンダードアミン系光安定剤としては、たとえば、旭電化社製のアデカスタブLA−82、LA−87などの反応型、ヘキスト・ジャパン社製のホスタビンN−20、吉富ファインケミカル社製のトミソープ77や、三共ライフテック社製のサノールLS−770などのモノマータイプ、ビーエーエスエフ・ジャパン社製のUvinal5050Hなどのオリゴマータイプのものが挙げられる。
【0075】
上記粘着剤層14において、上記光安定剤の含有量は、粘着剤層14中に含まれるアクリル系粘着剤の樹脂固形分100質量部に対して、0.05〜2質量部であることが好ましく、0.05〜1.5質量部であることがより好ましい。0.05質量部未満であると、耐侯性を向上させる効果を得ることができないおそれがある。2質量部を超えると、光安定剤がブリードするおそれがある。
【0076】
酸化防止剤としては、たとえば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系加工熱安定剤、ラクトン系加工熱安定剤、イオウ系耐熱安定剤など公知の酸化防止剤を適宜使用することができる。これらの酸化防止剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0077】
上記酸化防止剤の添加量は、各樹脂層のベースポリマー100質量部に対して、3質量部以下が好ましく、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.01〜0.5質量部程度である。
【0078】
また、更に上記粘着剤組成物には、粘着付与剤を添加してもかまわない。前述の粘着付与剤としては特に限定されず、従来粘着剤に用いられているものを使用することができ、たとえば、キシレン樹脂、ロジンや重合ロジン、水添ロジン、ロジンエステル等の変性ロジン系樹脂;テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂等のテルペン系樹脂;脂肪族系、芳香族系および脂環式系石油樹脂;クマロン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂等を挙げることができる。中でも、アルミホイール等の自動車ホイールとの接着性に優れる点から、ロジン系樹脂、芳香族石油樹脂、テルペンフェノール樹脂が好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0079】
上記粘着剤層14において、上記粘着付与剤の含有量は、上記粘着剤層14中に含まれるアクリル系粘着剤の樹脂固形分100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜50質量部である。1質量部未満であると、粘着剤層14の接着力が不十分となるおそれがある。100質量部を超えると、自動車ホイールから保護フィルムを剥がす際に、ホイールからフィルムをきれいに剥離させることができず、ホイール上に糊が残ってしまうおそれがある。
【0080】
更に上記粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、界面活性剤、軟化剤、帯電防止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、これらの任意成分の配合量は、表面保護材の分野で通常用いられている使用量を用いることができる。
【0081】
本実施の形態の保護フィルム10の製造方法としては、基材層12上に粘着剤層14を形成する方法が使用できる。たとえば、上記粘着剤組成物を剥離処理したセパレーターなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層14を基材層12に形成する方法、または基材層12上に上記粘着剤組成物を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層14を基材層12に形成する方法などにより作製される。その後、粘着剤層14の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生(エージング処理)を行ってもよい。また、粘着剤組成物を基材層12上に塗布して保護フィルム10を作製する際には、基材層12上に均一に塗布できるよう、粘着剤組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶媒(溶剤)を新たに加えてもよい。
【0082】
本実施の形態において用いられる溶媒としては、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロへキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、水、各種水溶液などが挙げられる。これらの溶剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0083】
また、本実施の形態の粘着剤層14の形成方法としては、表面保護フィルムの製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、ダイコーター等による押し出しコート法などの方法が挙げられる。
【0084】
前述の粘着剤層14の厚さは、特に制限されず、適宜選択されるが、たとえば、3〜50μmであることが好ましく、より好ましくは、5〜40μmである。これにより、粘着剤層14と自動車用ホイールとの密着性および接着力を向上させることができる。3μm未満であると、十分な密着性および接着力を得ることができないおそれがある。50μmを超えても、効果の向上は望めず、経済的に不利となるおそれがある。
【0085】
また、上記粘着剤層14の表面にはコロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの表面処理を行ってもよい。
【0086】
本実施の形態においては、粘着剤層14のゲル分率が、60〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは70〜93質量%であり、特に好ましくは75〜90質量%である。ゲル分率が60質量%より小さくなると、凝集力が低下するため耐衝撃性(耐久性)等に劣る場合があり、95質量%を超えると、接着性に劣る場合がある。
【0087】
粘着剤層14のゲル分率は、架橋剤の添加量や、架橋処理条件(加熱処理温度、加熱時間など)等で調整することができる。なお、架橋処理は、粘着剤層14の乾燥工程時の温度で行ってもよいし、乾燥工程後に別途架橋処理工程を設けて行ってもよい。
【0088】
本実施の形態においては、後述の測定方法に基づき測定される粘着剤層14のゾル分の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、5000〜30万であり、より好ましくは1万〜20万の範囲である。前述の範囲内にある場合には、粘着剤組成物の接着性と凝集性のバランスの他、低分子量物による被着体(自動車ホイール)に対して、汚染防止などを図ることができ、好ましい。
【0089】
本実施の形態における後述の測定方法に基づき測定される粘着剤層14の膨潤度としては、5〜40倍が好ましく、より好ましくは、10〜30倍である。膨潤度が上記範囲外となると、被着体(自動車ホイール)に対する密着性の向上効果が乏しくなる傾向となる。
【0090】
(剥離ライナー)
剥離ライナー16は、粘着剤層14の粘着面の一部が露出するように、当該粘着面に設けられている。本実施の形態では、剥離ライナー16の貼付部分は粘着剤層14の粘着面を半分に分割した領域の一方に相当する。剥離ライナー16が貼付されていない部分は、粘着剤層14の粘着面が露出する部分である。粘着剤層14の粘着面の全体に対する剥離ライナー16の貼付面積は25〜75%であることが好ましい。
【0091】
剥離ライナー16は、剥離処理されたシートであり、剥離シート、セパレーターともいう。剥離ライナー16が貼付された部分の粘着剤層14の粘着面は実用に供されるまで保護される。
【0092】
剥離ライナー16の構成材料としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などを挙げることができるが、表面平滑性に優れる点から紙が好適に用いられる。
【0093】
剥離ライナー16用のフィルムは、上記粘着剤層14を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。
【0094】
剥離ライナー16の厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。
【0095】
剥離ライナー16には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系若しくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、上記セパレーターの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜行うことにより、粘着剤層14からの剥離性をより高めることができる。
【0096】
なお、上記の製造方法において、剥離処理した剥離ライナー16は、そのまま保護フィルム10のセパレーターとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
【0097】
図2は、実施の形態1に係る保護フィルムと自動車用ホイールとの関係を示す斜視図である。自動車用ホイール(以下「ホイール」という)100は、アルミニウム合金等からなる鋳造(または鍛造)の成型品であり、円盤状のディスク部112と、ディスク部112の軸方向内側に連なる環状のリム部114とから主に構成されている。ディスク部112とリム部114とで囲まれた空間に、自動車のハブおよびディスクブレーキが配設される。リム部114の外周にはタイヤ(不図示)が装着され、タイヤおよびホイール100により自動車の車輪が構成される。
【0098】
ホイール100のディスク部112は、その中央部を構成するハブ部116と、外周縁部を構成する環状のリムフランジ部118と、ハブ部116とリムフランジ部118との間を連結する複数のスポーク部120とを有する。各スポーク部120は、ハブ部116の外周から径方向外側に向けて直線状(放射状)に延び、その径方向外側端がリムフランジ部118のリム内周面118aに突き当たり一体に接続されている。隣接するスポーク部120の間には、ホイール100の内外を連通する開口部122が形成されている。
【0099】
ハブ部116には、その中心にハブのハブ軸端部を挿通するハブ孔124が形成されている。ハブ孔124の周囲には、ハブから軸方向外側に延びるハブボルト(不図示)およびハブボルトに締結されるハブナット(不図示)を挿通する複数(本実施の形態では四つ)の挿通孔126が形成されている。
【0100】
実施の形態1に係る保護フィルム10は、前述の如く自動車の輸出時等に長時間海上を輸送するような場合に、その車輪のホイール100の表側(外側)に貼り付けられる。これにより、ディスク部112に形成された複数の開口部122を一時的に閉塞してホイール100の内側に配設されたディスクブレーキのロータ(不図示)の錆を抑制することができる。
【0101】
図2に示すように、本実施の形態に係る保護フィルム10の直径は、保護対象となるホイール100の直径以下、かつ、保護対象となるホイール100のディスク部112に形成されている開口部122の最外径以上である。したがって、タイヤ面にはみ出すことなくホイール100に保護フィルム10を貼り付けることができるため、たとえば、タイヤに含まれている可塑剤等に起因する粘着剤の性能低下を抑制することができる。
【0102】
図3は、複数の実施の形態1に係る保護フィルム10を積層した保護フィルムの積層体20を示す側面図である。剥離ライナー16が設けられている面を同じ側に向けて複数の保護フィルム10が積層されている。粘着剤層14の粘着面のうち、剥離ライナー16で被覆されずに露出している部分が隣接する保護フィルム10の基材層12と剥離可能に接着している。これにより、複数の保護フィルム10が一体化されて積層体20を形成している。よって、多数の保護フィルムを積層体20として一纏めにして持ち運ぶことができ、多数の保護フィルム10を取り扱う際のハンドリング性を向上させることができる。なお、積層体20の端部となる保護フィルム10のうち、剥離ライナー16が最表層となる保護フィルム10aについては、剥離ライナー16が粘着剤層14全体を被覆している。これにより、保護フィルム10aの粘着剤層14が露出しない状態で積層体20を保管することができるため、保護フィルム10aの粘着剤層14の粘着力低下を抑制することができる。
【0103】
本実施の形態では、積層体20の積層方向Xから見たときに、剥離ライナー16が重畳するように、保護フィルム10が配置されている。言い換えると、積層体20から1つの保護フィルム10を剥がす際のきっかけとなる剥離ライナー16の端部が積層体20において同じ向きになっている。このため、保護フィルム10を剥がすきっかけとなる部分を探す手間を省くことができ、ひいては、積層体20から1つの保護フィルム10を剥がす作業をよりスムースに行うことが可能となる。
【0104】
一方、積層体20の積層方向から見たときに、隣接する保護フィルム10において、剥離ライナー16の位置が互い違いになるように、保護フィルム10が配置されていてもよい。これによれば、隣接する保護フィルム10の層厚の合計に偏りが生じることが抑制される。このため、保護フィルム10に段差を生じさせることなく、保護フィルム10を多数積み重ねることができ、一度に運べる保護フィルム10の枚数を増やすことができる。この結果、保護フィルム10をホイールに貼り付ける作業の効率を高めることができる。
【0105】
また、各保護フィルム10において、粘着剤層14の粘着面の一部に剥離ライナー16が貼付されているため、剥離ライナー16の使用量を大幅に低減し、ひいては剥離ライナー16の廃棄量を低減することができる。なお、粘着剤層14の粘着面の全体に対する剥離ライナー16の貼付面積が25%より小さくなると、隣接する保護フィルム10の基材層12と接着する粘着剤層14の面積が増えすぎるため、保護フィルム10を積層体20から剥がしにくくなる。一方、粘着剤層14の粘着面の全体に対する剥離ライナー16の貼付面積が75%より大きくなると、隣接する保護フィルム10の基材層12と接着する粘着剤層14の面積が不十分となり、積層体20としてまとまりにくくなる。また、剥離ライナー16の廃棄量低減効果を十分に得ることができなくなる。
【0106】
また、剥離ライナー16が貼付されていない領域では、粘着剤層14と基材層12を通して、反対側を透かしてみることが容易となる。このため、保護フィルム10をホイール100に貼り付ける際に、保護フィルム10の位置決めを容易に行うことができる。
【実施例】
【0107】
以下、本実施の形態の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0108】
(実施例1)
((メタ)アクリル系ポリマーの調整)
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート30質量部、エチルアクリレート70質量部、メチルメタクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート4質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、および酢酸エチル200質量部を仕込み、緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って約6時間重合反応を行い、(メタ)アクリル系ポリマー溶液(35質量%)を調整した。前述の(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は−29℃であった。
【0109】
(粘着剤溶液の調整)
前述の(メタ)アクリル系ポリマー溶液(35質量%)を酢酸エチルで20質量%に希釈し、この溶液中の(メタ)アクリル系ポリマー固形分100質量部あたり、イソシアネート系化合物(コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)0.6質量部、および架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1質量%酢酸エチル溶液)0.05質量部、耐候安定剤として、光安定剤(サノールLS−770、三共ライフテック社製)1質量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌を行い、(メタ)アクリル系粘着剤溶液(A)を調整した。
【0110】
(ホイール用保護フィルムの作製)
低密度ポリエチレン樹脂(ペトロセン180、密度:0.922g/cm、東ソー株式会社製)を用い、インフレーション法で160℃に加熱したダイスから押し出し、75μmのポリエチレンフィルムを成膜し、更に前述のポリエチレンフィルムの片面にコロナ処理を施した。前述のコロナ処理面に、前述の(メタ)アクリル系粘着剤溶液(A)を塗布し、90℃で1分間加熱して、厚さ10μmの粘着剤層を形成し、ホイール用保護フィルムを作製した。
【0111】
前記保護フィルムの粘着剤層に剥離ライナー(上質紙の表面にシリコーン系離型剤を塗布した剥離ライナー)を貼り合わせ、直径430mmの円形状に打ち抜き加工した。その後、剥離ライナーの貼付面積が75%となるように剥離ライナーの一部を切断(ハーフカット)した。このようにして得られた剥離ライナー付きのホイール用保護フィルム10枚を図3の如く積層し、実施例1のホイール用保護フィルム積層体を作製した。
【0112】
(実施例2)
実施例1のホイール用保護フィルム積層体における剥離ライナーの貼付面積を50%としたこと以外は実施例1と同様にしてホイール用保護フィルム積層体を作製した。
【0113】
(実施例3)
実施例1のホイール用保護フィルム積層体における剥離ライナーの貼付面積を25%としたこと以外は実施例1と同様にしてホイール用保護フィルム積層体を作製した。
【0114】
(参考例1)
実施例1のホイール用保護フィルム積層体における剥離ライナーの貼付面積を90%としたこと以外は実施例1と同様にしてホイール用保護フィルム積層体を作製した。
【0115】
(参考例2)
実施例1のホイール用保護フィルム積層体における剥離ライナーの貼付面積を10%としたこと以外は実施例1と同様にしてホイール用保護フィルム積層体を作製した。
【0116】
(比較例)
実施例1において、剥離ライナーを使用することなく、ホイール用保護フィルム同士を直接積層(剥離ライナーの貼付面積としては0%)したこと以外は実施例1と同様にしてホイール用保護フィルム積層体を作製した。
【0117】
(貼付作業性の評価法)
自動車ホイールに保護フィルムを貼付するのに要する時間(作業者が積層体を手にとってから、保護フィルムをホイールに貼り終えるまでかかった時間)を測定した。尚、測定結果を表1に記載しているが、各実施例について3回作業を行い、作業にかかった時間の平均値を算出し、40秒未満を○、40秒以上を×とした。
【0118】
(貼付作業性の評価結果)
各実施例で得られた保護フィルムは、剥離ライナーが全面に使用されている場合と比べ、剥離ライナー面積率が低くなるほど、廃棄物削減効果は高くなることは明らかである。また、剥離ライナーの面積率によって、積層体の形態でのまとまりやすさや作業性へも影響をもたらす。
【0119】
【表1】

【0120】
参考例1は剥離ライナーの面積率が高すぎるため、積層体としての十分なまとまりが得られない。この結果、ホイール用保護フィルム積層体を持ち運ぶ際に、保護フィルム間にズレや剥がれが発生しやすくなる。また剥離ライナーの廃棄物削減効果が低い傾向にある。
【0121】
参考例2や比較例は貼付作業性が悪い傾向にある。その原因として、剥離ライナー貼付面積が低いために、積層体から保護フィルムを剥がしにくく、剥離ライナーがない部分は剥離ライナーがある部分に比べてこしが弱く薄いので、手で持った時によれやすいことから、ホイールへの貼付時の位置合わせに手間がかかるためである。
【0122】
(実施の形態2)
図4(A)は、実施の形態2に係る保護フィルムの平面図である。図4(B)は、図4(A)に示す保護フィルムのA−A断面図である。図5は、複数の実施の形態2に係る保護フィルム10を積層した保護フィルムの積層体20を示す側面図である。実施の形態2に係る保護フィルム10は、基材層12、粘着剤層14および剥離ライナー16が積層されている点で実施の形態1と共通する。
【0123】
本実施の形態では、剥離ライナー16は粘着剤層14の粘着面の中央部分に設けられており、剥離ライナー16の周囲の領域において、粘着剤層14の粘着面がドーナツ状に露出している。図5に示すように、ドーナツ状に露出した粘着剤層14の粘着面が隣接する保護フィルム10の基材層12との接着に用いられる。
【0124】
本実施の形態の保護フィルム10によれば、実施の形態1と同様に、各保護フィルム10に用いられる剥離ライナー16の使用量が減るため、剥離ライナー16の廃棄量を減らすことができる。
【0125】
また、剥離ライナー16が貼付されていない領域がドーナツ状に形成されているため、保護フィルム10をホイール100に貼り付ける際に、保護フィルム10とホイール100との位置関係をより把握しやすくなるため、位置決めをさらに容易にすることができる。
【0126】
(実施の形態3)
図6(A)は、実施の形態3に係る保護フィルムの平面図である。図6(B)は、図6(A)に示す保護フィルムのA−A断面図である。図7は、複数の実施の形態3に係る保護フィルム10を積層した保護フィルムの積層体20を示す側面図である。実施の形態3に係る保護フィルム10は、実施の形態2とは逆に、剥離ライナー16がドーナツ状の形態を有し、粘着剤層14の粘着面に剥離ライナー16を貼付したときに、粘着剤層14の中央部分の粘着面が露出する。図7に示すように、粘着剤層14の中央部分の粘着面が隣接する保護フィルム10の基材層12との接着に用いられる。
【0127】
本実施の形態の保護フィルム10によれば、実施の形態1と同様に、各保護フィルム10に用いられる剥離ライナー16の使用量が減るため、剥離ライナー16の廃棄量を減らすことができる。また、保護フィルム10の中央部分において、粘着剤層14と基材層12を通して、反対側を透かしてみることが容易となる。このため、保護フィルム10をホイール100に貼り付ける際に、保護フィルム10の位置決めを容易に行うことができる。
【0128】
また、保護フィルム10の周縁部分に剥離ライナー16が設けられているため、積層体20の状態において、使用する保護フィルム10をどの向きからも剥がすことが可能となる。このため、積層体20から保護フィルム10を剥がす作業をよりスムースに行うこと可能となる。
【0129】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
【0130】
たとえば、実施の形態1では、剥離ライナー16と粘着剤層14の露出部分との境界がホイール100の中心を通っているが、剥離ライナー16と粘着剤層14の露出部分との境界は中心からずれていてもよい。
【符号の説明】
【0131】
10 保護フィルム、12 基材層、14 粘着剤層、16 剥離ライナー、20 積層体、100 ホイール、112 ディスク部、114 リム部、116 ハブ部、118 リムフランジ部、118a リム内周面、120 スポーク部、122 開口部、124 ハブ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
前記基材層の一方の面に設けられている粘着剤層と、
前記粘着剤層の粘着面の一部が露出するように、前記粘着面に設けられている剥離ライナーと、
を備えることを特徴とするホイール用保護フィルム。
【請求項2】
前記粘着面の全体に対する前記剥離ライナーの貼付面積が25〜75%である請求項1に記載のホイール用保護フィルム。
【請求項3】
前記剥離ライナーの貼付部分が、前記粘着面を半分に分割した領域の一方である請求項1または2に記載のホイール用保護フィルム。
【請求項4】
前記粘着面の周縁部分が露出するように、前記剥離ライナーが前記粘着面の中央部分に設けられている請求項1または2に記載のホイール用保護フィルム。
【請求項5】
前記粘着面の中央部分が露出するように、前記剥離ライナーが前記粘着面の周縁部分に設けられている請求項1または2に記載のホイール用保護フィルム。
【請求項6】
前記ホイール用保護フィルムが円形である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のホイール用保護フィルム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のホイール用保護フィルムが複数積層され、
前記ホイール用保護フィルムの前記粘着面の露出部分と隣接するホイール用保護フィルムの前記基材層とが剥離可能に接着しているホイール用保護フィルム積層体。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−111800(P2012−111800A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259448(P2010−259448)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】