説明

ホウ素−窒素ヘテロ環を含む配位子をもつ金属錯体

ホウ素−窒素ヘテロ環を含む配位子を含む新規な有機化合物を提供する。本化合物は式Iの構造を有する配位子Lを含み、式中A及びBは5員又は6員の炭素環又は複素環を表し;Xは炭素及び窒素からなる群から選択され;X及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択され;Bはホウ素−窒素複素環であり;R及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表し;R及びRは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され;且つ、配位子Lは40より大きな原子番号をもつ金属Mに配位している。特に、本化合物は、アザボリンを含む配位子を含む金属錯体である。本化合物は、向上した光物理特性及び電気特性を有するデバイスを提供するために有機発光デバイスに用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2009年5月20日に出願した米国仮出願No.61/179,933号に基づく優先権を主張し、その開示を、その全体を参照により本明細書に明示して援用する。
【0002】
特許請求の範囲に記載した発明は、共同の大学・企業研究契約に関わる1つ以上の以下の団体:ミシガン大学評議員会、プリンストン大学、サザン・カリフォルニア大学、及びユニバーサルディスプレイコーポレーションにより、1つ以上の団体によって、1つ以上の団体のために、及び/又は1つ以上の団体と関係して行われた。上記契約は、特許請求の範囲に記載された発明がなされた日及びそれ以前に発効しており、特許請求の範囲に記載された発明は、前記契約の範囲内で行われた活動の結果としてなされた。
【0003】
[発明の分野]
本発明は、有機発光デバイス(OLED)に有利に用いることができる新規な有機物質に関する。より詳細には、本発明は、ホウ素−窒素ヘテロ環を含む新規な化合物とそのような化合物を含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
有機材料を用いるオプトエレクトロニクスデバイスは、多くの理由によりますます望ましいものとなってきている。そのようなデバイスを作るために用いられる多くの材料はかなり安価であり、そのため有機オプトエレクトロニクスデバイスは、無機デバイスに対して、コスト上の優位性について潜在力をもっている。加えて、有機材料固有の特性、例えばそれらの柔軟性は、それらを柔軟な基材上への製作などの特定用途に非常に適したものにしうる。有機オプトエレクトロニクスデバイスの例には、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池、及び有機光検出器が含まれる。OLEDについては、有機材料は、従来の材料に対して性能上優位性をもちうる。例えば、有機発光層が発光する波長は、一般に、適切なドーパントで容易に調節することができる。
【0005】
OLEDは、そのデバイスを横切って電圧を印加した場合に光を発する薄い有機膜(有機フィルム)を用いる。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明、及びバックライトなどの用途で用いるためのますます興味ある技術となってきている。いくつかのOLEDの材料と構成が、米国特許第5,844,363号明細書、同6,303,238号明細書、及び同5,707,745号明細書に記載されており、これらの明細書はその全体を参照により本願に援用する。
【0006】
リン光発光分子の一つの用途はフルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイのための工業規格は、「飽和」色といわれる特定の色を発光するように適合された画素(ピクセル)を要求している。特に、これらの規格は、飽和の赤、緑、及び青の画素を必要としている。色はCIE座標を用いて測定でき、CIE座標は当分野で周知である。
【0007】
緑色発光分子の一例は、Ir(ppy)と表されるトリス(2-フェニルピリジン)イリジウムであり、これは以下の式を有する。
【化1】

【0008】
この式及び本明細書の後の図で、窒素から金属(ここではIr)への供与結合は直線で表す。
【0009】
本明細書で用いるように、「有機」の用語は、有機オプトエレクトロニクスデバイスを製作するために用いることができるポリマー物質並びに小分子有機物質を包含する。「小分子(small molecule)」とは、ポリマーではない任意の有機物質をいい、「小分子」は、実際は非常に大きくてもよい。小分子はいくつかの状況では繰り返し単位を含んでもよい。例えば、置換基として長鎖アルキル基を用いることは、分子を「小分子」の群から排除しない。小分子は、例えばポリマー主鎖上のペンダント基として、あるいは主鎖の一部として、ポリマー中に組み込まれてもよい。小分子は、コア残基上に作り上げられた一連の化学的殻からなるデンドリマーのコア残基として働くこともできる。デンドリマーのコア残基は、蛍光性又はリン光性小分子発光体であることができる。デンドリマーは「小分子」であることができ、OLEDの分野で現在用いられている全てのデンドリマーは小分子であると考えられる。
【0010】
本明細書で用いるように「トップ」は、基材から最も遠くを意味する一方で、「ボトム」は基材に最も近いことを意味する。第一の層が第二の層の「上に配置される」と記載した場合は、第一の層は基材から、より遠くに配置される。第一の層が第二の層と「接触している」と特定されていない限り、第一の層と第二の層との間に別な層があってよい。例えば、カソードとアノードとの間に様々な有機層があったとしても、カソードはアノードの「上に配置される」と記載できる。
【0011】
本明細書で用いるように、「溶液処理(加工)可能」とは、溶液もしくは懸濁液の形態で、液体媒体中に溶解され、分散され、又は液体媒体中で輸送され、及び/又は液体媒体から堆積されうることを意味する。
【0012】
配位子が発光物質の光活性特定に直接寄与していると考えられる場合は、その配位子は「光活性」ということができる。配位子が発光物質の光活性に寄与しない場合には「補助」ということができるが、補助配位子は光活性配位子の性質を変えうる。
【0013】
本明細書で用いるように、かつ当業者によって一般に理解されているように、第一の「最高被占軌道」(HOMO)又は「最低空軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第一のエネルギー準位が真空のエネルギー準位により近い場合は、第二のHOMO又はLUMOのエネルギー準位よりも大きいか又は高い。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位に対して負のエネルギーとして測定されるので、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さな絶対値をもつIP(より少ない負のIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さな絶対値をもつ電子親和力(EA)(より少ない負のEA)に相当する。従来のエネルギー準位ダイヤグラム上では、上端(トップ)を真空準位とし、物質のLUMOエネルギー準位は、同じ物質のHOMOエネルギー準位よりも上である。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりも、そのようなダイヤグラムの上端(トップ)近くに現れる。
【0014】
本明細書で用いるように、かつ当業者によって一般に理解されているように、第一の「仕事関数」は、その仕事関数がより大きな絶対値を有する場合には第二の仕事関数「より大きい」あるいは「より高い」。仕事関数は通常、真空準位に対して負の値として測定されるので、このことは「より大きな」仕事関数は、より負である(よりマイナスである)ことを意味する。上端(トップ)に真空準位をもつ従来のエネルギー準位ダイヤグラム上では、「より高い」仕事関数は真空準位から下の方向へ、より離れたものとして図示される。したがって、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣習に従う。
【0015】
OLEDについてのさらに詳細、及び上に記載した定義は米国特許第7,279,704号明細書に見ることができ、その全体を本明細書に参照して援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,844,363号明細書
【特許文献2】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献3】米国特許第5,707,745号明細書
【特許文献4】米国特許第7,279,704号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Baldoら,「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」, Nature, vol.395, 151〜154頁, 1998
【非特許文献2】Baldoら, 「Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence」, Appl. Phys. Lett., vol.75, No.3, 4〜6頁(1999)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
[本発明のまとめ]
新規な群の有機物質を提供する。この物質は、ホウ素−窒素ヘテロ環を含む配位子をもつ化合物である。この物質はOLEDに有利に用いることができる。特に、この物質はそのようなデバイスにおいて発光ドーパントとして用いることができる。
【0019】
ホウ素−窒素ヘテロ環を含む化合物を提供し、その化合物は下記構造:
【化2】

を有する配位子を含む。
【0020】
A及びBは、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環を表すことができる。Bはホウ素−窒素ヘテロ環である。Xは炭素及び窒素からなる群から選択される。Xは窒素であることが好ましい。好ましくはAは、
【化3】

である。
特に、Rは水素であってよい。
【0021】
一つの側面では、Aは以下のものからなる群から選択される。
【化4】

Xは、S、NZ、O、Se、BZ、CZZ′、及びC=Oからなる群から選択される。Z及びZ′は独立に、水素、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。
【0022】
別の側面では、Aは以下のものからなる群から選択される。
【化5】

Xは、S、NZ、O、Se、BZ、CZZ′、及びC=Oからなる群から選択される。Z及びZ′は独立に、水素、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。
【0023】
及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択される。
【0024】
及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表す。R及びRは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。
【0025】
配位子Lは、40より大きな原子番号をもつ金属Mに配位される。好ましくは、金属MはIrである。
【0026】
一つの側面では、提供する化合物は、下記構造:
【化6】

を有する配位子Lを含む。
、X、X、及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択される。
【0027】
別の側面では、提供する化合物は下記構造:
【化7】

を有する配位子Lを含む。
、X、及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択される。
【0028】
なお別の側面では、配位子Lを含む具体的な化合物を提供し、配位子Lは化合物1〜化合物67からなる群から選択される。R、R、R、及びRは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。
【0029】
この化合物は、化合物1、化合物6、化合物7、化合物12、化合物25、及び化合物28からなる群から選択される配位子Lを有することが好ましい。より好ましくは、配位子は化合物25である。
【0030】
は水素であってもよい。Rは、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択してもよい。
【0031】
一つの側面では、配位子Lがホモレプティック化合物中に含まれる化合物を提供する。別の側面では、配位子がヘテロレプティック化合物中に含まれる化合物を提供する。
【0032】
特に、式M(L)(L′)(L″)を有する化合物を提供する。nは金属Mの酸化状態である。aは、1、2、又は3である。bは、0、1、又は2である。cは、0、1、又は2である。a+b+cはnである。L′及びL″は独立に以下のものからなる群から選択される。
【化8】

【0033】
R’、R’’、R’’’は独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。Xは、S、NZ、O、Se、BZ、CZZ′、及びC=Oからなる群から選択される。Z及びZ′は独立に、水素、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。
【0034】
好ましくは、L′及びL″は式IVを有し、且つ独立に化合物68〜化合物83からなる群から選択される。
【0035】
具体的なホウ素−窒素ヘテロ環含有化合物を提供し、この化合物は化合物84G〜化合物167Gからなる群から選択される。ホウ素−窒素ヘテロ環含有化合物の具体例を提供し、それには化合物84〜化合物167からなる群から選択される化合物が含まれる。この化合物は、化合物88又は化合物89であることが好ましい。
【0036】
有機発光デバイスも提供する。このデバイスは、アノード、カソード、及びそのアノードとカソードの間に配置された有機層を含むことができる。有機層は、上述した式Iの構造を有する配位子Lを含む化合物を含む。
【0037】
デバイスを含む消費者製品も提供する。さらに、このデバイスは、アノード、カソード、及びそのアノードとカソードの間に配置された有機層を含む。この有機層は、上述した式Iを有する配位子を含む化合物を含む。
【0038】
一つの側面では、上記有機層は発光層であり、式Iを有する配位子Lを含む化合物が発光ドーパントである。有機層は、ベンゼン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾセレノフェン、ナフタレン、トリフェニレン、又はビフェニルの構造部分を含むホストをさらに含んでいてもよい。
【0039】
式Iを有する配位子Lを含む化合物について好ましいとして記載した環、金属、及び置換基についての選択は、式Iを有する配位子Lを含む化合物を含むデバイス、又は式Iを有する配位子Lを含む化合物を含むデバイスを含む消費者製品に対しても好ましい。これらの選択には、環A及びB、金属M、置換基X〜X、及び置換基R〜R、R’、R’’、R’’’、 有機金属錯体における配位子L′及びL″の組み合わせ及び/又は組込みについての選択が含まれる。
【0040】
ホウ素−窒素ヘテロ環を含むさらなる化合物を提供し、そのような化合物は下記式:
【化9】

を有する。
A及びBは、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環を表すことができる。XはN又はNRである。X及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択される。Bはホウ素−窒素ヘテロ環である。R、R、Rは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表す。R、R、Rは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、有機発光デバイスを示す。
【図2】図2は、別個の電子輸送層をもたない倒置型有機発光デバイスを示す。
【図3】図3は、ホウ素−窒素を含む配位子の一般構造を示す。
【図4】図3は、ホウ素−窒素ヘテロ環を含む配位子の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[詳細な説明]
一般にOLEDは、アノードとカソードの間に配置され且つこれらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が流された場合、その有機層(単数又は複数)中にアノードは正孔を注入し、カソードは電子を注入する。注入された正孔と電子は、それぞれ反対に帯電した電極に向かって移動する。同じ分子上に電子と正孔が局在した場合、励起エネルギー状態を有する、局在化した電子-正孔対である「励起子」が形成される。この励起子が発光機構によって緩和する時に光が発せられる。ある場合には、励起子はエキシマー又はエキシプレックス上に局在することもできる。非放射機構、例えば熱緩和も起こることがあるが、通常は好ましくないと考えられている。
【0043】
初期のOLEDでは、例えば、米国特許第4,769,292号明細書(その全体を参照により援用する)に開示されているように、一重項状態から発光する(「蛍光」)発光分子を用いた。蛍光発光は一般に、10ナノ秒未満の時間フレームで起こる。
【0044】
より最近、三重項状態から光を発する(「リン光」)発光物質を有するOLEDが実証されている。Baldoら,“Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices”, Nature, vol. 395, 151-154, 1998 (“Baldo-I”);
及び、Baldoら,“Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence”, Appl. Phys. Lett., vol. 75, No. 3, 4-6 (1999)(“Baldo-II”)、これらを参照により全体を援用する。リン光は、米国特許第7,279, 704号明細書の第5〜6欄により詳細に記載されており、これを参照により援用する。
【0045】
図1は有機発光デバイス100を示している。この図は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子阻止層130、発光層135、正孔阻止層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、およびカソード160を含み得る。カソード160は、第一導電層162および第二導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記載した層を順次、堆積させることによって作製できる。これらの様々な層の特性及び機能、並びに例示物質は、米国特許第7,279,704号明細書の第6〜10欄により詳細に記載されており、これを参照により援用する。
【0046】
これらの層のそれぞれについてのより多くの例が得られる。例えば、可撓性且つ透明な基材及びアノードの組み合わせが米国特許第5,844,363号明細書に開示されており、参照により全体を援用する。p型ドープ正孔輸送層の例は、50:1のモル比で、F4-TCNQでドープしたm-MTDATAであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。発光物質及びホスト物質の例は、Thompsonらの米国特許第6,303,238号明細書に開示されており、その全体を参照により援用する。n型ドープ電子輸送層の例は、1:1のモル比でLiでドープされたBPhenであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。米国特許第5,703,436号明細書及び同5,707,745号明細書(これらはその全体を参照により援用する)は、上に重ねられた透明な電気導電性のスパッタリングによって堆積されたITO層を有するMg:Agなどの金属の薄層を有する複合カソードを含めたカソードの例を開示している。阻止層の理論と使用は、米国特許第6,097,147号明細書及び米国特許出願公開第2003/0230980号公報により詳細に記載されており、その全体を参照により援用する。注入層の例は、米国特許出願公開第2004/0174116号公報に提供されており、その全体を参照により援用する。保護層の記載は米国特許出願公開第2004/0174116号公報にみられ、その全体を参照により援用する。
【0047】
図2は倒置型(inverted)OLED200を示している。このデバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、およびアノード230を含む。デバイス200は記載した層を順に堆積させることによって製造できる。最も一般的なOLEDの構成はアノードの上方に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下方に配置されたカソード215を有するので、デバイス200を「倒置型」OLEDとよぶことができる。デバイス100に関して記載したものと同様の物質を、デバイス200の対応する層に使用できる。図2は、デバイス100の構造からどのようにいくつかの層を省けるかの1つの例を提供している。
【0048】
図1および2に例示されている簡単な層状構造は非限定的な例として与えられており、本発明の実施形態は多様なその他の構造と関連して使用できることが理解される。記載されている具体的な物質および構造は事実上例示であり、その他の物質および構造も使用できる。設計、性能、およびコスト要因に基づいて、実用的なOLEDは様々なやり方で上記の記載された様々な層を組み合わせることによって実現でき、あるいは、いくつかの層は完全に省かれうる。具体的に記載されていない他の層を含むこともできる。具体的に記載したもの以外の物質を用いてもよい。本明細書に記載されている例の多くは単一の物質を含むものとして様々な層を記載しているが、物質の組合せ(例えばホストおよびドーパントの混合物、またはより一般的には混合物)を用いてもよいことが理解される。また、層は様々な副層(sublayer)を有してもよい。本明細書において様々な層に与えられている名称は、厳格に限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し且つ発光層220に正孔を注入するので、正孔輸送層として、あるいは正孔注入層として説明されうる。一実施形態において、OLEDは、カソードとアノードとの間に配置された「有機層」を有するものとして説明できる。この有機層は単一の層を含むか、または、例えば図1および2に関連して記載したように様々な有機物質の複数の層をさらに含むことができる。
【0049】
具体的に記載されていない構造および物質、例えばFriendらの米国特許第5,247,190号(これはその全体を参照により援用する)に開示されているようなポリマー物質で構成されるOLED(PLED)、も使用することができる。さらなる例として、単一の有機層を有するOLEDを使用できる。OLEDは、例えば、Forrestらの米国特許第5,707,745号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているように、積み重ねられてもよい。OLEDの構造は、図1および2に示されている簡単な層状構造から逸脱していてもよい。例えば、基板は、光取出し(out-coupling)を向上させるために、Forrestらの米国特許第6,091,195号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているメサ構造、および/またはBulovicらの米国特許第5,834,893号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているピット構造などの、角度の付いた反射表面を含みうる。
【0050】
特に断らないかぎり、様々な実施形態の層のいずれも、何らかの適切な方法によって堆積されうる。有機層については、好ましい方法には、熱蒸着(thermal evaporation)、インクジェット(例えば、米国特許第6,013,982号および米国特許第6,087,196号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、有機気相成長(organic vapor phase deposition、OVPD)(例えば、Forrestらの米国特許第6,337,102号(その全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびに有機気相ジェットプリンティング(organic vapor jet printing、OVJP)による堆積(例えば、米国特許出願第10/233,470号(これはその全体を参照により援用する)に記載されている)が含まれる。他の適切な堆積方法には、スピンコーティングおよびその他の溶液に基づく方法が含まれる。溶液に基づく方法は、好ましくは、窒素または不活性雰囲気中で実施される。その他の層については、好ましい方法には熱蒸着が含まれる。好ましいパターニング方法には、マスクを通しての堆積、圧接(cold welding)(例えば、米国特許第6,294,398号および米国特許第6,468,819号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびにインクジェットおよびOVJDなどの堆積方法のいくつかに関連するパターニングが含まれる。その他の方法も用いることができる。堆積される物質は、それらを特定の堆積方法に適合させるために改変されてもよい。例えば、分枝した又は分枝していない、好ましくは少なくとも3個の炭素を含むアルキルおよびアリール基などの置換基が、溶液加工性を高めるために、小分子に用いることができる。20個又はそれより多い炭素を有する置換基を用いてもよく、3〜20炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する物質は対称構造を有するものよりも良好な溶液加工性を有しうるが、これは、非対称物質はより小さな再結晶化傾向を有しうるからである。デンドリマー置換基は、小分子が溶液加工を受ける能力を高めるために用いることができる。
【0051】
本発明の実施形態により製造されたデバイスは多様な消費者製品に組み込むことができ、これらの製品には、フラットパネルディスプレイ、コンピュータのモニタ、テレビ、広告板、室内もしくは屋外の照明灯および/または信号灯、ヘッドアップディスプレイ、完全に透明な(fully transparent)ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンタ、電話機、携帯電話、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダ、ビューファインダー、マイクロディスプレイ、乗り物、大面積壁面(large area wall)、映画館またはスタジアムのスクリーン、あるいは標識が含まれる。パッシブマトリクスおよびアクティブマトリクスを含めて、様々な制御機構を用いて、本発明にしたがって製造されたデバイスを制御できる。デバイスの多くは、18℃から30℃、より好ましくは室温(20〜25℃)などの、人にとって快適な温度範囲において使用することが意図されている。
【0052】
本明細書に記載した物質及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有しうる。例えば、その他のオプトエレクトロニクスデバイス、例えば、有機太陽電池及び有機光検出器は、これらの物質及び構造を用いることができる。より一般には、有機デバイス、例えば、有機トランジスタは、これらの物質及び構造を用いることができる。
【0053】
ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロ環基、アリール、芳香族基、及びヘテロアリールの用語は、当分野で公知であり、米国特許第7,279,704号明細書の第31〜32欄で定義されており、これを参照により援用する。
【0054】
文献にアゾボリン化合物の報告がある(例えば、Kranz et al., Chem. Commun. 1247 (1992); Agou et al., Chem. Commun. 3204 (2007); Marwitz et al., Angew. Chem. Ind. Ed. 48, 973 (2009); Pan et al., Organometallics 23, 5626 (2004); Pan et al., Organometallics 25, 197 (2006); Ashe at al., Organometallics 20, 5413 (2001); Ashe and Fang., Org. Lett. 2, 2089 (2000); Davies et al., J. Am. Chem. Soc. 89, 6294 (1967); Fiedler et al., Inorg. Chem. 35, 3039 (1996); Whire D. G., J. Am. Chem. Soc. 85, 3634 (1963); 米国特許出願公開第2003/0157366号公報;Blomberg et al., Tetrahedron 62, 10937 (2006); Fang et al., Organometallics 25, 513 (2006); Fang et al., Organometallics 27, 2892 (2008); Chen et al., Organometallics 23, 5088 (2004); Ashe et al., Organometallics 21, 4578 (2002); Abbey et al., Amer. Chem. Soc. 130, 7250 (2008)を参照されたい)。しかし、本明細書で提供したホウ素−窒素ヘテロ環を含む化合物は、新規な構造を有している。これらの有機金属化合物は、ホウ素-窒素ヘテロ環を含む配位子を含んでいる。そのような化合物には、ホウ素−窒素ヘテロ環及び炭素環(例えば、フェニル)を含む配位子が含まれることができ、この配位子は金属に配位している。化合物はまた、ホウ素−窒素ヘテロ環とN−含有環(例えば、ピリジン)を含む配位子を含むこともできる。さらに、これらの化合物は、OLEDに有利に用いることができる。
【0055】
ベンゼンの無機/有機複合体には、1,2−アザボリン、1,3−アザボリン、及び1,4−アザボリンが含まれる。下の表1には、幾つかの例示のホウ素−窒素ヘテロ環の構造を示している。
【0056】
【表1】

【0057】
提供した各ホウ素−窒素ヘテロ環は様々な共鳴構造で描くことができることに注意がされるべきである。1,2−アザボリン及び1,4−アザボリンに対して表1に示した共鳴構造は、例示の共鳴構造である。理論に縛られないが、1,2−アザボリン及び1,4−アザボリンを含む化合物は、特に有利でありうると考えられる。これらの化合物の共鳴構造は、共役が環のヘテロ原子(窒素及び/又はホウ素)の存在によって中断されうることを示している。この分断された共役は、この化合物に高い三重項エネルギーをもたらすことができ、これは有利な特性になりうる。
【0058】
1,2−アザボリン、1,3−アザボリン、1,4−アザボリン、ボラジン、又はこれらの有機/無機ベンゼンの修飾体を用いて、金属錯体(例えばIr(2−フェニルピリジン))に用いられる配位子中の通常の芳香族部分を置き換えることは、半芳香族の半共役化合物のための新規な使用を提案するものである。本明細書で提供した有機/無機ベンゼン化合物には、環内の複数の位置にホウ素及び窒素原子をもつホウ素−窒素含有ヘテロ環が含まれ、それには、複数のホウ素原子と複数の窒素原子を有する環(すなわち、2N,2Bヘテロ環)が含まれる。特に、環内に2つの窒素と2つのホウ素原子を含むヘテロ環(すなわち、2N,2B)は、新規なアゾボリン構造であると考えられ、特に有用でありうる。さらに、このホウ素−窒素ヘテロ環は、様々な置換基でさらに置換されていてもよい。
【0059】
さらに、1,2−アザボリン、1,3−アザボリン、1,4−アザボリンを含む化合物は、有機エレクトロニクスに有利に用いることができる。1,2−アザボリン、1,3−アザボリン、1,4−アザボリン、ボラジン、又はこれらの有機/無機ベンゼン化合物の修飾体は、多くの有機化合物に存在するベンゼン環を置き換えるために用いることができる。特に、アザボリンの半芳香族性は、フェニルピリジン系化合物、例えば、Ir(2−フェニルピリジン)の電子及び光物理特性を調節するために有用でありうる。表2には、イリジウム(III)との2−アザボリンピリジン錯体の例が含まれる。表2に示した化合物のそれぞれに対して、計算したエネルギー準位と一重項及び三重項エネルギー(DFT、ガウシアン/B31yp/cep−31g)も示している。
【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
【表4】

【0063】
表2の計算から、アザボリン中のホウ素原子と窒素原子の位置に応じて、広い範囲の三重項エネルギー(燐光色)が達成できることがわかる。最も顕著には、化合物D及びEは、非常に低いLUMO準位(<1.8eV)とともに濃青色領域(≦460nm)に燐光を有する。そのような特性は、化合物を還元に対してより安定にすることができ、これは長いOLEDデバイス作動寿命にために望ましいと考えられる。
【0064】
別の望ましい特性は、配位子とそれに対応する金属錯体との間の三重項エネルギー差である。大きな三重項エネルギー差は、強いMLCT励起状態特性をもつ金属錯体であることを示していると考えられる。それは、強い金属−有機結合、この場合は、上側の環におけるIr−N結合と下側の環におけるIr−C/N/B結合の結果と見ることもできる。強い金属−有機の結合は、デバイス作動に対して安定な錯体を得るために望ましいと考えられる。最も基本的なIrトリスC−Nシクロメタル化錯体であるIr(ppy)においては、この錯体と配位子(ppy)の三重項エネルギーはそれぞれ505nm(2.48eV)と454nm(2.75eV)である。差は0.27eVである。Ir(ppy)は強いMLCT励起状態特性をもっている。化合物Dにおいては、錯体Dと配位子(D−配位子)の三重項エネルギーはそれぞれ460nm(2.72eV)と393nm(3.18eV)である。差は0.46eVであり、これはIr(ppy)における差よりも大きく、化合物Dが非常に強いMLCT励起状態特性をもっていることを示唆している。米国特許出願公開第2008/0297033号公報に記載されている青色発光Ir錯体である化合物Iにおいては、この錯体と配位子(I−配位子)の三重項エネルギーはそれぞれ475nm(2.63eV)と470nm(2.66eV)である。その差はわずか0.03eVであり、非常に弱いMLCT励起状態特性を示唆している。事実、化合物Iの発光特性は、優勢な配位子πからπへの遷移又はLLCT遷移を示唆している。
【0065】
上で論じたように、上記化合物はさらに置換されており、それによってその化合物の特性のさらなる調節、例えば色及びエネルギー準位の調節を可能にしている。特に、化合物B及び化合物Fは両方とも1,2−アザボリンを有するホウ素−窒素ヘテロ環を含んでおり、さらにこの2つの化合物は異なる特性をもっており、これは化合物Fの配位子中の1,2−アザボリン部分のメチル置換によるものでありうる。
【0066】
さらに、金属に対するホウ素−窒素配位子の方向も、その化合物の特性に影響を与えうる。特に、化合物A及び化合物Bは同じ配位子構造を有するが、Irに対する配位子の配位が異なり、それによって異なる特性を示している。
【0067】
さらに、ホウ素−窒素含有ヘテロ環と金属との間の結合も、その化合物の特性に影響を与えうる。特に、化合物B及び化合物Cは両方とも配位子中のホウ素−窒素ヘテロ環部分として1,2−アザボリンを含んでいる。しかし、化合物Bはホウ素原子を介してIrに配位子しているのに対し、化合物Cは窒素原子を介してIrに配位している。化合物の金属に対するこの異なるヘテロ原子結合は、異なる電子及び光物理特性をもたらしうる。
【0068】
新規な化合物を提供し、この化合物はホウ素−窒素ヘテロ環を含む配位子を含む。これらの化合物はOLED中の燐光発光体として特に有用でありうる。この化合物は、配位子中に一般的に存在する芳香族部分(例えばフェニル)又はヘテロ環部分に代えてホウ素−窒素ヘテロ環を含む。フェニルピリジンは金属錯体に一般的に用いられる配位子である。特に、Ir(ppy)型の錯体は、ピリジン環とフェニル環を含むフェニルピリジン配位子を含む。本明細書で提供する化合物は、配位子中に存在する環によって、従来の化合物と構造上相違する。ここでの化合物は、例えば、ピリジン環とホウ素−窒素ヘテロ環とを含む配位子を含みうる。
【0069】
B−N(あるいはB=N)結合及びC=C結合は、等電子及び等構造である。金属に配位した場合、ホウ素−窒素ヘテロ環は、上側の環(即ち、A環)は中性ドナーであり、下側の環(即ち、B環)はモノアニオンドナーとなるように電荷を有している。ホウ素−窒素ヘテロ環含有配位子を含む化合物は、B−N結合とC=C結合の間の類似性によって、それに対応するIr(ppy)型錯体と類似し且つ等電子である。好ましくは、本明細書で提供した新規な配位子構造を含む化合物(即ち、アザボリン部分と炭素環あるいはN−含有環とを含む配位子)は、対応するIr(ppy)型錯体と等電子(isoelectric)且つ等構造(isostructural)でありうる。特に、B−N結合を有する化合物は、Ir(ppy)型化合物と比較して、等価な原子価電子及び等価な構造(即ち、原子の連結)を有する。
【0070】
加えて、ホウ素−窒素ヘテロ環含有配位子を含む金属錯体は、Ir(ppy)型錯体よりも強い結合を有しうる。
【0071】
ホウ素−窒素ヘテロ環を含む配位子は、金属化合物の光物理特性(例えば、色)及び電気化学特性(例えば、エネルギー準位)を調節するために有用な新規な環システムを提供する。そのように、ホウ素−窒素ヘテロ環含有配位子を含む化合物は、赤、緑、及び青色のデバイスに特に有用でありうる。特に、ホウ素−窒素ヘテロ環は青色デバイスに特に有用でありうる。特に、1,2−アザボリン又は1,4−アザボリンからなる配位子は、青色デバイスに用いるのに特に望ましいだろう。配位子の2つの環(すなわちA環及びB環)の間の共役の分断は、高い三重項エネルギーをもたらしうる。1,2−アザボリン含有配位子は、配位子の2つの環(すなわち、AとB)の間にいくらかの共役を有しうるが、その共役は一般的な配位子、例えばフェニルピリジンの共役よりも小さい。1,4−アザボリン配位子は、その2つの環の間にさらに小さな共役しかもたないと考えられる。特に、化合物D(表2)は1,4−アザボリン含有化合物であり、そのピリジンとアザボリンとの間にほとんど共役をもたない。したがって、1,4−アザボリン配位子は、青色デバイスに用いるために本明細書において提供した最も好ましい有機/無機ベンゼン複合体でありうるが、なぜならそれが最も高い三重項エネルギーを備えうるからである。
【0072】
さらに、配位子のホウ素−窒素含有環(すなわちB環)とその他の環(すなわちA環)との間の原子結合は、三重項エネルギーに寄与しうる。特に、配位子の2つの環の間のヘテロ原子結合は特に有利でありうる。B環の1位のホウ素の存在は、配位子の2つの環の間のヘテロ原子結合をもたらす。ホウ素を含む環の1位の窒素の存在も、ヘテロ原子結合をもたらしうる。ヘテロ原子結合を有する化合物は、燐光青色デバイスのための特に良好な化合物でありうる。
【0073】
ホウ素−窒素ヘテロ環を含む化合物の青色発光体としての使用が好ましい使用である一方で、そのような化合物は同様にその他の目的のために用いることができ、それには別の色の発光並びに非発光使用が含まれる。
【0074】
本明細書で提供する化合物は下記構造:
【化10】

を有する配位子Lを含む。
【0075】
A及びBは、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環を表わすことができる。Xは、炭素及び窒素からなる群から選択される。好ましくは、Xは窒素である。
【0076】
さらに好ましくは、Aは:
【化11】

である。
ある側面では、Rは水素であることが好ましい。X及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択される。Bは、ホウ素−窒素ヘテロ環である。一つの側面では、Aは以下のものからなる群から選択されうる。
【化12】

Xは、S、NZ、O、Se、BZ、CZZ′、及びC=Oからなる群から選択される。Z及びZ′は独立に、水素、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。
【0077】
さらに、Aは以下のものからなる群から選択されうる。
【化13】

Xは、S、NZ、O、Se、BZ、CZZ′、及びC=Oからなる群から選択される。Z及びZ′は独立に、水素、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。
【0078】
及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表す。R及びRは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。
【0079】
配位子Lは、40よりも大きな原子番号を有する金属Mに配位される。好ましくはこの金属はIrである。
【0080】
一つの側面では、以下の構造を有する配位子Lを含む化合物を提供する。
【化14】

、X、X、及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択される。
【0081】
別の側面では、以下の構造を有する配位子Lを含む化合物を提供する。
【化15】

、X、及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択される。
【0082】
配位子Lの具体例を提供し、それには以下のものが含まれる:
【化16】

【0083】
【化17】

【0084】
【化18】

【0085】
【化19】

【0086】
【化20】

【0087】
【化21】

【0088】
【化22】

【0089】
、R、R、及びRは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。
【0090】
好ましくは、配位子Lは以下のものからなる群から選択される。
【化23】

【0091】
最も好ましくは、配位子Lは、
【化24】

である。
【0092】
一つの側面では、Rは水素である。好ましくはRは、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。特に、環上に最少限のNH及びBH基しか含まない化合物が好ましいだろう。理論に束縛されないが、NH及びBH基は非常に反応性であると考えられる。したがって、環上にこれらの基をもたないか、最少限の数のこれらの基しか含まない化合物がより安定でありえ、そのため好ましい。
【0093】
一つの側面では、配位子Lはホモレプティック化合物中に含まれる。別の側面では、配位子Lはヘテロレプティック化合物中に含まれる。
【0094】
具体的態様では、式M(L)(L′)(L″)を有する化合物を提供する。nは金属Mの酸化状態である。配位子は様々なやり方で組み合わせることができる。一つの側面では、配位子は全てが同じ構造であることができる。別の側面では、配位子は全てが異なる構造を有することができる。なお別の側面では、配位子のうちの2つが同じであり、1つが異なることができる。特に、配位子L′及びL″はフェニルピリジン又はフェニルピリジン誘導体(すなわち式IV)、ホウ素−窒素含有ヘテロ環(すなわち式I)、あるいはその他の配位子であることができる。
【0095】
一つの側面では、nは3である。aは、1、2、又は3である。bは、0、1、又は2である。cは、0、1、又は2である。a+b+cはnである。一つの側面では、好ましくはaは1である。別の側面では、好ましくはaは2である。式M(L)(L′)(L″)を有し、aが1又は2である化合物においては、この化合物はヘテロレプティック化合物である。なお別の側面では、好ましくはaは3である。式M(L)(L′)(L″)を有し、aが3である化合物においては、この化合物はホモレプティック化合物である。
【0096】
L′及びL″は独立に以下のものからなる群から選択される。
【化25】

【0097】
R’、R’’、R’’’は独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。Xは、S、NZ、O、Se、BZ、CZZ′、及びC=Oからなる群から選択される。Z及びZ′は独立に、水素、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。
【0098】
任意選択により様々な種類の置換基及び/又はヘテロ原子で置換されていてもよいフェニルピリジン配位子を含むヘテロレプティック化合物は、特に有用でありうる。したがって、式IVを有する配位子構造を含むL′及び/又はL″を有するヘテロレプティック化合物が有利でありうる。L′及びL″は独立に、以下のものからなる群から選択される。
【化26】

【化27】

化合物68〜化合物83の構造を有する配位子は上述したようにさらに置換されていてもよい。いくつかの用途には、置換基R’、R’’、R’’’が水素である化合物が好ましいであろう。
【0099】
本明細書で提供したヘテロレプティック化合物及びホモレプティック化合物は、赤、緑、及び青色デバイスに用いることができる。特に、ヘテロレプティック化合物の配位子L′及びL″はその化合物の発光特性に影響しうるので、その化合物に含まれる配位子L′及びL″はその化合物が用いられるデバイス(すなわち、赤、緑、又は青)に応じて異なることができる。特に、配位子L′及び/又はL″としてフェニルイミダゾールを有するヘテロレプティック化合物は、青色デバイスに特に有用でありうる。配位子L′及び/又はL″としてフェニルピリジンを有するヘテロレプティック化合物は、緑色デバイスに特に有用でありうる。配位子L′及び/又はL″としてフェニルキノリンを有するヘテロレプティック化合物は赤色デバイスに特に有用でありうる。
【0100】
一つの側面では、上記化合物は以下のものからなる群から選択される。
【0101】
【化28】

【0102】
【化29】

【0103】
【化30】

【0104】
【化31】

【0105】
【化32】

【0106】
【化33】

【0107】
さらに特に、この化合物は以下のものからなる群から選択してもよい。
【0108】
【化34】

【0109】
【化35】

【0110】
【化36】

【0111】
【化37】

【0112】
【化38】

【0113】
【化39】

【0114】
【化40】

【0115】
一つの側面では、上記化合物は、
【化41】

である。
【0116】
別の側面では、上記化合物は、
【化42】

である。
【0117】
ホウ素−窒素ヘテロ環を含むさらなる化合物を提供し、そのような化合物は下記式を有する。
【化43】

A及びBは5員又は6員の炭素環又はヘテロ環を表すことができる。XはN又はNRである。X及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択される。Bはホウ素−窒素ヘテロ環である。R、R、及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表す。R、R、及びRは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。
【0118】
さらに、有機発光デバイスを提供する。このデバイスは、アノード、カソード、及びそのアノードとカソードの間に配置された有機層を含む。さらに、その有機層は、上述した構造式Iを有する配位子Lを含む化合物を含む。
【0119】
式Iを有する配位子を含む化合物について好ましいと記載した環、金属、置換基、及び配位子についての選択は、式Iを有する配位子Lを含む化合物を含むデバイスにおける使用についてもまた好ましい。これらの選択には、環A及びB、金属M、置換基X〜X、置換基R〜R、R’、R’’、R’’’、並びに有機金属錯体での配位子L′及びL″の組み合わせ及び有機金属錯体への配位子L′及びL″の組込みについての選択が含まれる。
【0120】
式Iを有する配位子の具体例を提供し、それには化合物1〜化合物67からなる群から選択される配位子Lが含まれる。好ましくは、配位子Lは、化合物1、化合物6、化合物7、化合物12、化合物25、及び化合物28からなる群から選択される。さらに好ましくは、配位子Lは化合物25である。特に、化合物25の置換基Rは水素であってよい。
【0121】
特定の側面では、式M(L)(L′)(L″)を有する化合物を含むデバイスを提供する。nは金属Mの酸化状態である。aは、1、2、又は3である。bは、0、1、又は2である。cは、0、1、又は2である。a+b+cはnである。一つの側面では、好ましくはaは1である。別の側面では、好ましくはaは2である。なお別の側面では、好ましくはaは3である。L′及びL″は、上で論じたように、独立に、式I、式IV、式V、式VI、式VII、式VIII、式IX、及び式Xからなる群から選択される。特に、配位子L′及びL″は独立に、化合物68〜化合物83からなる群から選択される。
【0122】
特定のホウ素−窒素ヘテロ環化合物を含むデバイスも提供する。この特定の化合物の例には、化合物84G〜化合物167Gからなる群から選択される化合物が含まれる。さらに、特定のホウ素−窒素含有ヘテロ環を含む化合物を含むデバイスを提供し、この化合物は化合物84〜化合物167からなる群から選択される。
【0123】
特定の構造を有するデバイスも提供する。特に、有機層が発光層であり、式Iを有する配位子Lを含む化合物が発光ドーパントであるデバイスを提供する。好ましくは、この有機層は、ベンゼン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾセレノフェン、ナフタレン、トリフェニレン、又はビフェニル部分を含むホストをさらに含む。
【0124】
デバイスを含む消費者製品も提供する。このデバイスは、アノード、カソード、及びそのアノードとカソードの間に配置された有機層を含む。この有機層は、式Iを有する配位子Lを含む化合物を含む。
【0125】
式Iを有する配位子Lを含む化合物について好ましいと記載した環、金属、置換基、及び配位子についての選択は、式Iを有する配位子Lを含む化合物を含むデバイスを含む消費者製品に用いるためにも好ましい。これらの選択には、環A及びB、金属M、置換基X〜X、置換基R〜R、R’、R’’、R’’’、並びに有機金属錯体における配位子L′及びL″の組み合わせ及び/又は有機金属錯体への配位子L′及びL″の組込みについての選択が含まれる。
【0126】
有機発光デバイスの特定の層に有用であるとして本明細書に記載した物質は、そのデバイス中に存在する様々な種類のその他の物質と組み合わせて用いることができる。例えば、本明細書に開示した発光ドーパントは、存在してもよい様々な種類のホスト、輸送層、阻止層、注入層、電極、及びその他の層と組み合わせて用いることができる。以下に記載又は言及する物質は、本明細書に開示した化合物と組み合わせて有用でありうる物質の非限定的な例であり、当業者は組み合わせて有用でありうるその他の物質を特定するために文献を参考にすることが容易にできる。
【0127】
本明細書に開示した物質に加えて及び/又はその物質と組み合わせて、多くの正孔注入物質、正孔輸送物質、ホスト物質、ドーパント物質、励起子/正孔阻止層物質、電子輸送及び電子注入物質をOLEDに用いることができる。本明細書に開示した物質と組み合わせてOLEDにおいて用いることができる物質の非限定的な例を下の表3に挙げてある。表3には、非限定的な物質の群、それぞれの群に対する化合物の非限定的な例、及びそれらの物質を開示している参考文献が挙げてある。
【0128】
〔HIL/HTL〕
【0129】
本発明に用いられる正孔注入/輸送物質は特に限定されず、その化合物が通常、正孔注入/輸送物質として用いられる限り任意の化合物を用いることができる。この物質の例には以下のものが含まれるがそれらに限定されない:
フタロシアニン又はポルフィリン誘導体、芳香族アミン誘導体、インドロカルバゾール誘導体、フルオロ炭化水素を含むポリマー、導電性ドーパントを伴うポリマー、導電性ポリマー(例えば、PEDOT/PSS)、ホスホン酸及びシラン誘導体などの化合物から誘導される自己組織化モノマー、金属酸化物誘導体(例えば、MoO)、p型半導体有機化合物(例えば、1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレンヘキサンカルボニトリル)、金属錯体、及び架橋性化合物。
【0130】
HIL又はHTLに用いられる芳香族アミン誘導体の例には以下の構造のものが含まれるがそれらに限定されない。
【化44】

【0131】
Ar〜Arのそれぞれは、芳香族炭化水素環式化合物からなる群、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;及び、前記の芳香族炭化水素環式基及び前記の芳香族ヘテロ環式基から選択された同じ種類又は異なる種類の基である2〜10の環状構造単位からなり、互いに直接又は少なくとも1つの酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環式基を介して結合された基、から選択される。式中、各Arは、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される置換基でさらに置換されている。
【0132】
一つの側面では、Ar〜Arは以下のものからなる群から独立に選択される。
【化45】

【0133】
kは1〜20の整数であり;X〜XはCH又はNであり;Arは上で定義したものと同じ基を有する。
【0134】
HIL又はHTLに用いる金属錯体の例には以下の一般式のものが含まれるがそれに限定されない。
【化46】

【0135】
Mは40より大きな原子量を有する金属であり;(Y−Y)は二座配位子であり、Y及びYは独立に、C、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数であり;m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0136】
一つの側面では、(Y−Y)は2−フェニルピリジン誘導体である。
【0137】
別の側面では、(Y−Y)はカルベン配位子である。
【0138】
別の側面では、Mは、Ir、Pt、Os、及びZnから選択される。
【0139】
さらなる側面では、この金属錯体は、溶液中でFc/Fcカップルに対して約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
【0140】
〔ホスト〕
【0141】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光物質として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、その金属錯体をドーパント物質として用いるホスト物質を含んでいてもよい。ホスト材料の例は特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントの三重項エネルギーよりも大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を用いることができる。
【0142】
ホストとして用いられる金属錯体の例は、以下の一般式を有することが好ましい。
【化47】

【0143】
Mは金属であり;(Y−Y)は二座配位子であって、Y及びYは独立にC、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数値であり;且つ、m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0144】
一つの側面では、金属錯体は、
【化48】

である。
【0145】
(O−N)は二座配位子であり、金属をO及びN原子に配位させる。
【0146】
別の側面では、MはIr及びPtから選択される。
【0147】
さらなる側面では、(Y−Y)はカルベン配位子である。
【0148】
ホストとして用いられる有機化合物の例は、以下のものからなる群から選択される:芳香族炭化水素環状化合物、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環状化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;並びに、前記の芳香族炭化水素環状基及び前記の芳香族ヘテロ環状基から選択される同じか又は異なる種類の基であり、且つ酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環状基のうちの少なくとも1つを介して又は直接、互いに結合されている2〜10の環状構造単位からなる群。ここで各基は、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される置換基によってさらに置換されている。
【0149】
一つの側面では、ホスト化合物はその分子内に以下の基のうちの少なくとも1つを含む:
【化49】

【0150】
〜Rは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、それがアリール又はヘテローアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0151】
kは0〜20の整数である。
【0152】
〜XはCH又はNから選択される。
【0153】
〔HBL〕
【0154】
正孔阻止層(HBL)は、発光層を離れる正孔及び/又は励起子の数を減らすために用いることができる。デバイスにおけるそのような阻止層の存在は、阻止層をもたない類似のデバイスと比較して実質的に高い効率をもたらしうる。また、阻止層は、OLEDの所望の領域に発光を閉じ込めるために用いることもできる。
【0155】
一つの側面では、HBLに用いられる化合物は、上述したホストと同じ分子を含む。
【0156】
別の側面では、HBLに用いられる化合物は、その分子中に以下の基のうち少なくとも1つを含む:
【化50】

【0157】
kは0〜20の整数であり;Lは補助配位子であり、mは1〜3の整数である。
【0158】
〔ETL〕
【0159】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送できる物質を含むことができる。電子輸送層はその本来的性質(非ドープ)かあるいはドープされていてもよい。ドーピングは導電性を高めるために用いることができる。ETL材料の例は特に限定されず、それらが電子を輸送するために通常用いられる限り使用することができる。
【0160】
一つの側面では、ETLに用いる化合物は、その分子内に以下の基のうち少なくとも1つを含む。
【化51】

【0161】
は、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0162】
Ar〜Arは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0163】
kは0〜20の整数である。
【0164】
〜XはCH又はNから選択される。
【0165】
別の側面では、ETLに用いられる金属錯体には以下の一般式のものが含まれるがこれらに限定されない。
【化52】

【0166】
(O−N)又は(N−N)は二座配位子であり、金属をO,N、又はN,N原子に配位させ;Lは補助配位子であり;mは、1からその金属に結合できる配位子の最大数までの整数値である。
【実施例】
【0167】
〔化合物例〕
【0168】
例1.化合物88の配位子の合成
【化53】

【0169】
N-(ピリジン-2-イル)ホルムアミドの合成
500 mLのメタノール中のナトリウムメトキシド(176 mL、25質量%、0.81 mmol)の溶液に2-アミノピリジン(30.0 g, 0.32 mmol)を添加し、得られた溶液を40℃で30分間撹拌した。ギ酸エチル(220 mL, 2.76 mol)を次に滴下して添加し、反応混合物を夜通し40℃で撹拌した。室温に冷やした後、250mLのHOと250mLのCHClを添加し、濃HCl(〜40 mL)をpH約5になるまで滴下して添加した。メタノールのほとんどを蒸発させ、得られた混合物を3×150mLのCHClで抽出した。一緒にした有機部分を250mLのHOと150mLの食塩水で洗い、NaSO上で乾燥させた。溶媒の蒸発後、20.2gの粗製固体を得て、これを140℃のオーブン温度でクーゲルロールで蒸留し、生成物として18.98gの白色固体を得た。
【0170】
【化54】

【0171】
酢酸ギ酸無水物の合成
氷/塩浴中で、50mLのエーテル中のギ酸ナトリウム(59 g, 0.86 mol)の混合物に、アセチルクロライド(41 mL, 0.577 mol)を滴下ロートから迅速に添加した。反応混合物を夜通し撹拌し、得られた酢酸ギ酸無水物のエーテル溶液をさらに精製することなく用いた。
【0172】
【化55】

【0173】
N-ホルミル-N-(ピリジン-2-イル)ホルムアミドの合成
50mLのTHF中の水素化ナトリウム(10.8 g, 60質量%, 0.27 mol)の懸濁液に、250mLのTHF中のN-(ピリジン-2-イル)ホルムアミド(22.4 g, 0.18 mol)の溶液を滴下して添加した。添加が終了したら、反応物を室温で30分間撹拌し、次に氷/塩浴中で冷やした。先の工程からの酢酸ギ酸無水物のエーテル溶液を一度に添加した。得られた混合物を氷浴中で30分間、次に夜通し室温で撹拌した。この混合物を1Lの氷水中に注ぎ、3×250mLのCHClで抽出した。一緒にした有機抽出物を2×250mLのHOで洗い、乾燥させ、溶媒留去して33.2gの固体を得た。この粗生成物を100%のCHCl、次に90:10のCHCl:EtOAcで溶出させるカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製して14.2gの生成物を白色固体として単離した。
【0174】
【化56】

【0175】
N,N-ビス(2,2-ジブロモビニル)ピリジン-2-アミンの合成
磁気攪拌機、熱電対、冷却管、窒素導入口、及び滴下ロートを備えた2Lの三ツ口フラスコ中で、トリフェニルホスフィン(82.5 g, 0.31 mol)及びテトラブロモメタン(103.5 g, 0.31 mol)を750mLのCHClに溶かした。亜鉛(20.27 g, 0.31 mol)を添加し、オレンジ色の混合物になった。この反応混合物を氷浴中で約10℃に冷やし、10分間撹拌した。100mLのCHCl中のN-ホルミル-N-(ピリジン-2-イル)ホルムアミド(5.9 g, 0.04 mol)の溶液を、滴下ロートからゆっくり流しながら添加した。ピリジン(32.7 mL, 0.41 mol)を次に滴下ロートから添加した。反応温度は10℃から24℃に上がり、濃茶色に変わった。この反応混合物を夜通し撹拌し、室温にゆっくり温め、セライトを通して濾過した。ろ液を2×250mLの水と250mLの食塩水で洗い、乾燥させ、溶媒を蒸発させたところ約200gの黒色のガム状固体が残った。この粗製物質を75:25のヘキサン:CHCl、次に50:50のヘキサン:CHCl、最後に25:75のヘキサン:CHClで溶離させるフラッシュシリカカラム上でクロマトグラフィーを行い、14.9gの生成物を得た。
【0176】
【化57】

【0177】
N,N-ビス((Z)-2-ブロモビニル)ピリジン-2-アミンの合成
磁気攪拌機、滴下ロート、熱電対、及び窒素導入口を備え、オーブンで乾燥させた500mLの三ツ口フラスコに、無水塩化亜鉛(15.0 g, 0.11 mol)を仕込み、氷/塩浴中で冷やした。100mLのTHFを次に滴下して添加した。温度が0℃より低く保たれるようにしてブチルリチウム(134 mL, ヘキサン中2.5 M, 0.34 mol)を次に滴下して添加し、乳白色溶液が得られ、これを0℃で30分間撹拌した。氷/塩浴をドライアイス/アセトン浴に置き換えて、反応物を−75℃に冷やした。50mLのTHF中のN,N-ビス(2,2-ジブロモビニル)ピリジン-2-アミン(0.5 g, 0.011 mol)を滴下して添加し、反応物を−75℃で20時間撹拌した。なお−75℃において、THF中10%酢酸100mLを滴下して添加し、その冷たい溶液を150mLの1N HClに注いだ。反応混合物を3×100mLのエーテルで抽出し、一緒にした有機物を2×100mLの飽和NaHCOで洗い、乾燥させ、溶媒留去して、生成物として3.0gの無色液体が残った。
【0178】
【化58】

【0179】
化合物88の合成
BuLi(4.9 mL, ペンタン中1.7 M、8.3 mmol)を、50mLのEtO中のN,N-ビス((Z)-2-ブロモビニル)ピリジン-2-アミン(500 mg, 1.650 mmol)の溶液に−70℃で滴下して添加した。沈殿物が形成され、溶液は淡い橙色の混合物へとわずかに濃くなった。反応混合物を3時間−70℃において撹拌し、その間の時間に沈殿物が溶けた。10mLのエーテル中のジメチル(2,6-ジメチルフェニル)ボロネート(322 mg, 2.14 mmol)をその反応溶液中に滴下して添加し、これを次に室温までゆっくり温まるままにしておいた。反応物を、セライト栓を通して濾過し、濃縮して200mgの固体を得た。GC/MSによって生成物の形成を確認した。
【0180】
例2.化合物87の配位子の合成
【0181】
【化59】

【0182】
2-ビニルアニリンの合成
2-(2-アミノフェニル)エタノール(5 g, 36.4 mmol)とKOH(2.0 g, 36.4 mmol)との混合物を200℃に4時間加熱した。冷却後、この混合物を減圧下で蒸留し、2.1gの生成物を得た。
【0183】
【化60】

【0184】
2-クロロ-1,2-ジヒドロベンゾ[e][1,2]アザボリンの合成
BCl(67.8 mL, ヘキサン中1.0 M)を40mLの無水トルエン中の2-ビニルアニリン(5.3 g, 44.3 mmol)の溶液に0℃で添加した。この混合物を0℃で1時間撹拌し、次に2時間還流させた。混合物を次に乾燥するまで溶媒留去し、直ちに次のステップに用いた。
【0185】
【化61】

【0186】
化合物87の合成
イソプロピルマグネシウムブロマイド(9.2 mL, THF中2.0 M, 18.4 mmol)を2-ブロモピリジン(2.9 g, 18.4 mmol)と室温で2時間反応させることによって2-ピリジルマグネシウムブロマイドを形成させた。この2-ピリジルマグネシウムブロマイド溶液をつぎに無水THF(30 mL)中の2-クロロ-1,2-ジヒドロベンゾ[e][1,2]アザボリン(1.0 g, 6.12 mmol)に−78℃で添加した。この混合物を−78℃で2時間撹拌し、室温まで温めた。この混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。橙色の抽出液を乾燥させ、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにかけて(ヘキサン中30%のEtOAc)0.5gの生成物を得た。
【0187】
例3.化合物86の配位子の合成
【0188】
【化62】

【0189】
THF(5 mL)中の2-クロロ-1-エチル-1,2-アザボリン(0.14 g, 1.0 mmol)をTHF(20 mL)中の2-(トリブチル錫)ピリジン(0.45 g, 1.1 mmol)の混合物に添加した。この混合物を室温にて72時間撹拌した。反応混合物を次に酢酸エチル(50 mL)で希釈し、食塩水(50 mL)で洗った。橙色の層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で溶媒留去した。GCMS及びNMRで生成物の形成を確認した。
【0190】
本明細書に記載した様々な態様は例示のみを目的とし、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書に記載した物質及び構造の多くは、本発明の思想から離れることなく別の物質及び構造で置き換えることができる。特許請求の範囲に記載した本発明は、したがって、本明細書に記載した具体例及び好ましい態様からの変形を含むことができ、これは当業者に明らかなとおりである。本発明がなぜ機能するかについての様々な理論は、限定することを意図していないことが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造:
【化1】

(式中、A及びBは、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環を表すことができ;
は炭素及び窒素からなる群から選択され;
及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択され;
Bはホウ素−窒素ヘテロ環であり;
及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表し;
及びRは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。)
を有する配位子Lを含み、且つ前記配位子Lが40よりも大きな原子番号を有する金属Mに配位している化合物。
【請求項2】
が窒素である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、
【化2】

である請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が水素である請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Aが以下のものからなる群から選択される請求項3に記載の化合物。
【化3】

(式中、Xは、S、NZ、O、Se、BZ、CZZ’、及びC=Oからなる群から選択され;
Z及びZ’は独立に、水素、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)
【請求項6】
Aが以下のものからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【化4】

(式中、Xは、S、NZ、O、Se、BZ、CZZ’、及びC=Oからなる群から選択され;
Z及びZ’は独立に、水素、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)
【請求項7】
金属MがIrである請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記配位子Lが下記構造:
【化5】

(式中、X、X、X、及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択される。)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記配位子Lが下記構造:
【化6】

(式中、X、X、及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択される。)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記配位子Lが以下のものからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

(式中、R、R、R、及びRは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。)
【請求項11】
前記配位子Lが以下のものからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【化13】

【請求項12】
前記配位子Lが、
【化14】

である請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
が水素である請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
が、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項15】
前記化合物が式M(L)(L′)(L″)を有し、
nは金属Mの酸化状態であり;
aは1、2、又は3であり;
bは0、1、又は2であり;
cは0、1、又は2であり;
a+b+cがnであり;且つ
L′及びL″は独立に以下のものからなる群:
【化15】

(式中、R’、R’’、R’’’は独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され;
Xは、S、NZ、O、Se、BZ、CZZ’、及びC=Oからなる群から選択され;
Z及びZ’は独立に、水素、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
L′及びL″が独立に以下のものからなる群から選択される、請求項15に記載の化合物。
【化16】

【請求項17】
aが1である、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
aが2である、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
aが3である、請求項15に記載の化合物。
【請求項20】
以下のものからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【請求項21】
以下のものからなる群から選択される請求項20に記載の化合物。
【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【請求項22】
【化30】

である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
【化31】

である、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
アノード、カソード、及び前記アノードとカソードの間に配置された有機層を含み、前記有機層が、下記構造を有する配位子Lを含み且つ前記配位子Lが40よりも大きな原子番号を有する金属Mに配位している化合物を含む、有機発光デバイス。
【化32】

(式中、A及びBは、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環を表すことができ;
は炭素及び窒素からなる群から選択され;
及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択され;
Bはホウ素−窒素ヘテロ環であり;
及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表し;
及びRは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。)
【請求項25】
が窒素である請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
Aが、
【化33】

である請求項24に記載のデバイス。
【請求項27】
が水素である請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
Aが以下のものからなる群から選択される請求項26に記載のデバイス。
【化34】

(式中、Xは、S、NZ、O、Se、BZ、CZZ’、及びC=Oからなる群から選択され;
Z及びZ’は独立に、水素、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)
【請求項29】
Aが以下のものからなる群から選択される、請求項26に記載のデバイス。
【化35】

(式中、Xは、S、NZ、O、Se、BZ、CZZ’、及びC=Oからなる群から選択され;
Z及びZ’は独立に、水素、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)
【請求項30】
前記金属MがIrである、請求項24に記載のデバイス。
【請求項31】
前記配位子Lが下記の構造:
【化36】

(式中、X、X、X、及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択される。)
を有する、請求項24に記載のデバイス。
【請求項32】
前記配位子Lが下記の構造:
【化37】

(式中、X、X、及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択される。)
を有する、請求項24に記載のデバイス。
【請求項33】
前記配位子Lが以下のものからなる群から選択される、請求項24に記載のデバイス。
【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

(式中、R、R、R、及びRは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。)
【請求項34】
前記配位子Lが以下のものからなる群から選択される、請求項24に記載のデバイス。
【化44】

【請求項35】
前記配位子Lが、
【化45】

である、請求項33に記載のデバイス。
【請求項36】
が水素である、請求項35に記載のデバイス。
【請求項37】
が、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される、請求項35に記載のデバイス。
【請求項38】
前記化合物が式M(L)(L′)(L″)を有し、
nは金属Mの酸化状態であり;
aは1、2、又は3であり;
bは0、1、又は2であり;
cは0、1、又は2であり;
a+b+cがnであり;且つ
L′及びL″は独立に以下のものからなる群:
【化46】

【化47】

(式中、R’、R’’、R’’’は独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され;
Xは、S、NZ、O、Se、BZ、CZZ’、及びC=Oからなる群から選択され;
Z及びZ’は独立に、水素、アルキル、及びアリールからなる群から選択される。)
から選択される、請求項24に記載のデバイス。
【請求項39】
aが1である、請求項38に記載のデバイス。
【請求項40】
aが2である、請求項38に記載のデバイス。
【請求項41】
aが3である、請求項38に記載のデバイス。
【請求項42】
前記化合物が以下のものからなる群から選択される、請求項24に記載のデバイス。
【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【請求項43】
前記有機層が発光層であり、式Iを有する前記配位子Lを含む前記化合物が発光ドーパントである、請求項24に記載のデバイス。
【請求項44】
さらに前記有機層が、ベンゼン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾセレノフェン、ナフタレン、トリフェニレン、又はビフェニルの構造部分を含むホストをさらに含んでいる、請求項24に記載のデバイス。
【請求項45】
アノード;カソード;及び前記アノードとカソードの間に配置された有機層を含むデバイスであって、前記有機層が下記式:
【化55】

(式中、A及びBは、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環を表すことができ;
は炭素及び窒素からなる群から選択され;
及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択され;
Bはホウ素−窒素ヘテロ環であり;
及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表し;
及びRは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。)
を有する配位子Lを含み、前記配位子Lは40より大きな原子番号を有する金属Mに配位しているデバイスを含む消費者製品。
【請求項46】
下記式を有する化合物。
【化56】

(式中、A及びBは、5員又は6員の炭素環又はヘテロ環を表すことができ;
はN又はNRであり;
及びXは独立に、炭素、窒素、及びホウ素からなる群から選択され;
Bはホウ素−窒素ヘテロ環であり;
R、R及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表し;
R、R及びRは独立に、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−527472(P2012−527472A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512026(P2012−512026)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/035555
【国際公開番号】WO2010/135519
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(503055897)ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション (61)
【Fターム(参考)】