説明

ホウ素含有スターターからの二重金属シアン化物触媒による低不飽和度ポリエーテル

【課題】任意のアルコール源から低不飽和度を有するポリエーテルポリオールを製造することができるポリオール製造方法を提供すること。
【解決手段】ホウ素含有スターター化合物にホウ素1当量当たり約0.75当量〜約7当量の酸を添加し、および二重金属シアン化物(DMC)触媒の存在下、該ホウ素含有スターター化合物をアルキレンオキシドでポリオキシアルキル化することを含む、ポリエーテルポリオールの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ポリウレタン発泡性材料、より詳細にはホウ素含有スターター分子からの二重金属シアン化物(「DMC」)触媒によるポリエーテルポリオールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塩基触媒によるオキシアルキル化は、長年、ポリオキシアルキレンポリオールの製造に使用されてきた。このような方法において、適当な水素スターター分子は、1以上のアルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド(「EO」)またはプロピレンオキシド(「PO」)によってオキシアルキル化されて、ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオール生成物を形成する。強塩基触媒、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムは、このようなオキシアルキル化に典型的に使用されている。
【0003】
したがって、ポリウレタンポリマーの合成に有用な大部分のポリオキシアルキレンポリオール、ならびに他の用途に適当なポリオキシアルキレンポリオールは、実質的な量のオキシプロピレン部分を含有する。当業者が気付いているように、塩基触媒によるオキシプロピル化の間、アリルアルコールへのプロピレンオキシドの競合的転位は、単官能性種を発生させ、これはまたオキシアルキル化されて、アリルアルコール自身またはその低分子量オキシアルキル化オリゴマーの分子量から非常に高分子量のポリエーテルモノオールまでの範囲の分子量を有する広範囲のポリオキシアルキレンモノオールを製造する。生成物の分子量分布が広がることに加えて、モノオールの連続的な発生は、生成物官能価を低下させる。
【0004】
ポリオキシアルキレンポリオールのモノオール含量は、各モノオール分子はアリル末端を含有することから、通常、例えば、ASTM D-2849-69「Testing of Urethane Foam Polyol Raw Materials」による不飽和度を測定することによって決定される。例えば、上記塩基触媒によるポリオールについて、約0.025meq/gから0.10meq/gを超えるレベルの不飽和度が通常得られる。不飽和度(したがって、モノオール含量)を低下させるために、数多くの試みがなされてきたが、ほとんど成功しなかった。
【0005】
1960年代の初期において、二重金属シアン化物(「DMC」)錯体、例えば、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛の非化学量論的グリム錯体が見出された。これらは、0.012〜0.020meq/gの範囲の不飽和度によって反映されるような低モノオール含量を有するポリオキシプロピレンポリオールを製造することができた。これは、塩基触媒反応によって得られるモノオール含量に比べてかなりの改善であった。
【0006】
1970年代において、General Tire & Rubber Companyは、米国特許3,829,505(特許文献1)中に、二重金属シアン化物触媒を使用する高分子量ジオール、トリオールなどの製造を記載した。しかしながら、該触媒活性は、触媒コストおよびポリオール生成物からの触媒残渣の除去の困難性と一体となって、生成物の商業化を妨げていた。
【0007】
1980年代において、このような触媒への興味が再び浮上し、より高い活性を有する改善された触媒は、改善された触媒除去方法と一体となって、短時間で商業化された。また、ポリオールは、0.012〜0.018meq/gの範囲の不飽和度によって反映されるような幾分より低いモノオール含量を示した。しかしながら、該方法の経済面は不十分であり、および多くの場合、より高い官能価およびより高いポリオール分子量に起因するポリマー生成物における期待された改善は、実現しなかった。
【0008】
1990年代において、それ以前に可能であった活性よりも、はるかに高い活性を有するDMC触媒が開発された。例えば、米国特許5,470,813(特許文献2)および米国特許5,482,908(特許文献3)に記載されるこれらの触媒は、DMC触媒によるポリエーテルポリオールの商業化を可能にした。先のDMC触媒によって製造された低(0.012〜0.018meq/g)不飽和度ポリオールとは異なり、これらの超低不飽和度ポリオールは、処方物は従来のポリオールで有用な処方物とはしばしば異なるけれども、しばしばポリマー特性における劇的な改善を示した。これらのポリオールは、典型的に、0.002〜0.008meq/gの範囲の不飽和度を有する。
【0009】
米国特許出願公開2005-0159628 A1(特許文献4)において、Stosserらは、C13アルコールとブチレンオキシド(「BO」)またはプロピレンオキシドのいずれかとのDMC触媒による反応は、驚くべき高いレベルの不飽和度を含有するモノオールを製造することを開示する。以下の表は、Stosserらの第4頁、表1から引用したデータ(不飽和度モル%)および充填因子に基づく算出不飽和度を示す。
【0010】
【表1】

【0011】
これらの算出不飽和度は驚くべきことである。なぜなら、上記のように、DMC触媒反応の鍵となる属性の1つは、低レベルの不飽和度を有するポリエーテルポリオールの製造であるからである。DMC系プロピレンオキシドポリオールについての典型的な不飽和度レベルは、0.003〜0.012meq不飽和度/gの範囲であり、および対応するブチレンオキシド系生成物は、0.02〜0.04meq不飽和度/gの範囲である。Stosserらの開示は、如何なる特別な条件がこれらの高レベルの不飽和度を製造する原因となったかについて言及していない。さらに、Stosserらは、不飽和副産物の製造を制御する方法を教示していない。上記のように、高レベルの不飽和度は望ましくない。なぜなら、アリルまたはメタリル副産物は、得られたポリエーテルの特徴を変え得るからである。
【0012】
本発明者らは、微量のホウ素化合物を含有する特定のC13アルコールを使用する場合、高レベルの不飽和度が得られることを気付いていたけれども、他のアルコール、例えば、ShellのNEODOLシリーズからのものは、これらのホウ素残渣を含有せず、および上記範囲の不飽和度を有するポリエーテルポリオールを製造する。この問題のアルコールは、水素化ホウ素ナトリウムまたはカリウムのいずれかで処理されて、製造の間および製造後の色形成を防止し、およびこれらの残渣は、DMC触媒と相互作用して高レベルのアリルアルコール形成をもたらすように見える。高レベルの不飽和度を含有するポリエーテルモノオールは、より望ましくない。なぜなら、該モノオールの大きい画分は、C13アルコールの代わりにアリルアルコールによって開始されるからである。C13アルコール系生成物は、特定の用途、例えば、沈着制御添加剤において望ましい。なぜなら、より大きなアルキル基は、ポリエーテルの溶解度特性に主に貢献するからである。
【0013】
米国特許6,821,308(特許文献5)において、CombsおよびMcDanielは、燃料添加剤用途における使用について、低不飽和度モノオールの価値を教示する。該‘308特許の背景部分において、C〜C30(より好適には)アルキル基で末端化されたポリエーテルは、より良好な溶解性および燃料との適合性を有すると記載されている。Stosserら(上記表項目2〜7)からの生成物は、4〜28.8%の範囲のCもしくはCアリルまたはメタリル基で末端化されたモノオールを有する。したがって、最悪の場合、28.8%のポリエーテルが、より望ましいC13の代わりにCメタリル基で末端化され、および該C基は、C13末端ポリエーテルと比べて炭化水素燃料との適合性を低下させるだろう。
【0014】
DMC触媒による方法の他の局面を容易にするための酸の添加は、当業者に既知である(米国特許6,077,978(特許文献6)および欧州特許EP 1 577 334(特許文献7)参照)。これらの方法における酸の添加は、方法の安定性を高めるため、および特定の低分子量スターターを、スターター連続添加(continuous addition of starter;「CAOS」)方法またはアルコキシル化工程の一部の間にスターターを反応器に連続的に添加する方法のいずれかで使用可能にするため、であることが示されている。ポリエーテル不飽和度に対する効果は、これらの文献に示されていない。Browneは、米国特許出願公開2005-0209438 A1(特許文献8)において、DMC触媒によるCAOS方法における低分子量スターター供給流への酸の添加を開示している。
【特許文献1】米国特許3,829,505
【特許文献2】米国特許5,470,813
【特許文献3】米国特許5,482,908
【特許文献4】米国特許出願公開2005-0159628 A1
【特許文献5】米国特許6,821,308
【特許文献6】米国特許6,077,978
【特許文献7】欧州特許EP 1 577 334
【特許文献8】米国特許出願公開2005-0209438 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
今のところ、高不飽和度生成物は、燃料添加剤用途において許容されているけれども、現在の新形エンジンの厳しい排出および性能要件は、より低い量の不飽和副産物を含有する高性能ポリエーテルによって、より容易に満足することができる。さらに、将来のエンジンの排出および性能要件は、より厳しくなると考えられ、したがって、現在利用可能な高不飽和度生成物では満足することがより困難になるであろう。任意のアルコール源から低不飽和度を有するこのようなポリエーテルポリオールを製造するために使用することができるポリオールの製造方法を取得することが望まれるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明は、ホウ素含有スターター化合物にホウ素1当量当たり約0.75当量〜約7当量の酸を添加し、および二重金属シアン化物(DMC)触媒の存在下、該ホウ素含有スターター化合物をアルキレンオキシドでポリオキシアルキル化することを含む、ポリエーテルの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の方法は、1以上のイソシアネートと反応してポリウレタン生成物(被覆剤、接着剤、シーラント、エラストマー、発泡体などを含む)を提供し得るポリエーテルポリオールを製造するために使用することができる。本発明の方法は、好適にはC〜C30ホウ素含有ポリエーテル(特にC13ホウ素含有アルコール)から燃料添加剤を製造するために使用することができる。
本発明のこれらのおよび他の利点および利益は、以下の本発明の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を、限定する目的ではなく、例示の目的で記載する。実施例を除いて、または他に示さない限り、本明細書中で表示した量、百分率、OH価、官能価などの全ての数値は、いずれの場合も用語「約」で修飾されていると理解されるべきである。
【0019】
本発明者らは、アルコキシル化工程前に、ホウ素含有アルコールに酸(例えばリン酸)を添加することによって、アルコキシル化の間に形成される不飽和の量が低減することを発見した。
【0020】
したがって、本発明は、ホウ素含有スターター化合物にホウ素1当量当たり0.75当量〜7当量の酸を添加し、および二重金属シアン化物(DMC)触媒の存在下、該ホウ素含有スターター化合物をアルキレンオキシドでポリオキシアルキル化することを含む、ポリエーテルポリオールの製造方法を提供する。
【0021】
さらに、本発明は、ホウ素含有スターター化合物にホウ素1当量当たり0.75当量〜7当量の酸を添加し、および二重金属シアン化物(DMC)触媒の存在下、該ホウ素含有スターター化合物をアルキレンオキシドでポリオキシアルキル化することを含む、燃料添加剤の製造方法を提供する。
【0022】
本発明の方法に有用なホウ素含有アルコールは、好適にはC〜C40アルコール、より好適にはC〜C30アルコール、最も好適にはC13アルコールである。該ホウ素含有スターターをアルコキシル化工程の開始前に反応器に添加する、半バッチ方法を好適には使用することができる。該ホウ素含有スターター化合物は、好適には0.01〜20meq/kg、より好適には0.4〜10meq/g、最も好適には1〜8meq/kgのホウ素化合物を有する。
【0023】
実質的に任意の有機酸または無機酸を本発明の方法に使用することができるが、有用な酸としては、限定されないが、鉱酸および有機カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、および他の酸が挙げられる。リン酸が鉱酸として特に好適である。一方、有機酸としては、クエン酸および1,3,5-ベンゼントリカルボン酸が有用であり得る。また、塩基と反応性の酸誘導体、例えば、酸塩化物および酸無水物なども有用である。有機酸、例えば、ホスホン酸、スルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸)なども使用することができる。適当な鉱酸の例としては、とりわけ、塩酸、臭化水素酸、および硫酸が挙げられ、さらに、有用なカルボン酸またはそれらの酸性誘導体としては、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、塩化アジポイル、無水アジピン酸などが挙げられる。無機酸前駆体、例えば、塩化チオニル、三塩化リン、塩化カルボニル、三酸化硫黄、塩化チオニル五酸化リン、オキシ三塩化リンなどは、本明細書において鉱酸とみなす。
【0024】
本発明の方法における酸の添加量は、スターター分子中に含有されるホウ素化合物の中和に必要な量であり、すなわち、ホウ素1当量当たり0.75〜7当量、より好適には0.8〜5当量、最も好適には0.95〜4当量の酸である。リン酸について、酸添加の好適な範囲は、ホウ素1当量当たり1〜7当量の酸、より好適には2〜5当量の酸、最も好適には2.5〜4.5当量の酸である。本明細書中の実施例に使用されるC13アルコールは、約6meq/kgのホウ素化合物を含有したので、リン酸の好適な量は、700〜900ppmの範囲であった。酸は、本発明の方法において、上記値の任意の組合せの間(上記値を含む)の量で添加することができる。
【0025】
本発明の方法に有用なアルキレンオキシドとしては、限定されないが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-および2,3-ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、およびより高級なアルキレンオキシド(例えばC〜C30α-アルキレンオキシド)が挙げられる。アルキレンオキシドの混合物を使用することができるが、プロピレンオキシド単独またはブチレンオキシド単独が特に好適である。同様に、他の重合可能なモノマー、例えば、米国特許3,404,109、3,538,043および5,145,883(これらの内容は、参照することによりそれらの全体が本明細書中に組み込まれる)に開示されたような、無水物および他のモノマーも使用することができる。
【0026】
本発明の方法は、任意の二重金属シアン化物(DMC)触媒を用いることができる。二重金属シアン化物錯体触媒は、低分子量の有機錯化剤および必要に応じて他の錯化剤と、二重金属シアン化物塩(例えば、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛)との非化学量論的錯体である。適当なDMC触媒は、当業者に既知である。DMC触媒の例としては、例えば、米国特許3,427,256、3,427,334、3,427,335、3,829,505、4,472,560、4,477,589および5,158,922(これらの内容は、参照することによりそれらの全体が本明細書中に組み込まれる)に開示された、低不飽和度のポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールの製造に適当なものが挙げられる。本発明の方法により好適なDMC触媒は、「超低」不飽和度ポリエーテルポリオールを製造可能なものである。このような触媒は、米国特許5,470,813および5,482,908、5,545,601、6,689,710および米国特許出願公開2004-0044240-A1(これらの内容は、参照することによりそれらの全体が本明細書中に組み込まれる)に開示されている。本発明の方法に特に好適なものは、米国特許5,482,908に記載された方法で製造されたようなヘキサシアノコバルト酸亜鉛触媒である。本発明の方法にしたがって製造されるポリオールおよび燃料添加剤は、好適には0.05meq/g未満、より好適には0.04meq/g未満の不飽和度レベルを有する。
【0027】
DMC触媒濃度は、所定の反応条件下、ポリオキシアルキル化反応の良好な制御を確実にするように選択される。触媒濃度は、製造されるポリエーテル量に基づいて、好適には0.0005重量%〜1重量%の範囲、より好適には0.001重量%〜0.1重量%の範囲、最も好適には0.001〜0.01重量%の範囲である。DMC触媒は、本発明の方法において、これらの値の任意の組合せの間(上記値を含む)の範囲の量で存在することができる。
【実施例】
【0028】
以下の実施例によって、限定することなく、本発明をさらに説明する。
〔実施例1〜13〕
ブチレンオキシドとの反応は、1LのPAARオートクレーブ(厚肉ステンレス鋼容器)中で行った。スターター分子は、C13アルコール(ExxonからのEXXAL-13)であった。このスターター分子を、334ppmのリン酸と10分間混合し、その後、適切量のDMC触媒(米国特許5,482,908にしたがって製造)を添加した。得られた混合物をPARR反応器に充填し、90℃に加熱し、および4.9psiaにて窒素スイープを用いて1時間半ストリッピングした。温度を130℃まで上昇させ、および十分なブチレンオキシドを添加して分子量800を有するポリオールを製造した。
【0029】
以下の表Iは、スターターに334ppmの酸を添加することで製造されたヒドロキシル価70のポリオールについての不飽和度をまとめたものである。
【0030】
【表2】

【0031】
〔実施例14〜20〕
500ppm、600ppm、650ppm、700ppm、800ppmおよび900ppmのリン酸を添加した以外は、実施例1の手順を繰り返して、一連のヒドロキシル価70のポリオールを製造した。これらの結果を以下の表IIにまとめる。
【0032】
【表3】

【0033】
以下の表IIIは、リン酸の種々の添加量についての不飽和度(meq/gおよびモル%)をまとめたものである。
【0034】
【表4】

【0035】
これらの不飽和度を酸の量(ppm)に対してプロットした場合(図1)、不飽和度の値は、特定の点まで減少し、その後ほぼ一定に維持されたことが明らかとなった。
【0036】
〔実施例21および22〕
ヒドロキシル価35のポリオールを、334ppmの酸を添加して実施例1の方法で製造した。不飽和度は0.249meq/gまたは39モル%であった。700ppmのリン酸を添加することで製造した同じヒドロキシル価35のポリオールは、0.0385meq/gまたは6モル%の不飽和度であった。
【0037】
〔実施例23〜26〕
ポリオール(ヒドロキシル価70および35)を、アルキレンオキシドとしてブチレンオキシドの代わりにプロピレンオキシドを使用した以外は実施例1の手順にしたがって、スターターとして同じC13アルコール(ExxonからのEXXAL-13)から製造した。該ポリオールを、2つの異なるリン酸の添加量、すなわち、334ppmおよび800ppmのリン酸で製造した。該生成物を分析した。その結果を以下の表IVにまとめる。
【0038】
【表5】

【0039】
本発明の方法により製造されたポリエーテルポリオールは、1以上のイソシアネートと反応してポリウレタン生成物(例えば、被覆剤、接着剤、シーラント、エラストマー、発泡体など)を与えることができる。本発明の方法は、好適にはC〜C30ホウ素含有ポリエーテル(より好適にはC13ホウ素含有アルコール)から燃料添加剤を製造するために使用することができる。
【0040】
以上、本発明の実施例を、限定でなく、例示の目的で挙げてきた。本発明の思想および範囲から逸脱することなく、記載した実施態様に変更または訂正を加えることができることは当業者には明らかである。本発明の範囲は、添付した請求の範囲で示される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、C13ブチレンオキシド付加生成物のDMC触媒による製造について、添加したリン酸に対する不飽和度のプロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウ素含有スターター化合物にホウ素1当量当たり約0.75当量〜約7当量の酸を添加し、および
二重金属シアン化物(DMC)触媒の存在下、該ホウ素含有スターター化合物をアルキレンオキシドでポリオキシアルキル化することを含む、ポリエーテルポリオールの製造方法。
【請求項2】
ホウ素含有スターター化合物はC〜C40アルコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ホウ素含有スターター化合物はC〜C30アルコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ホウ素含有スターター化合物はC13アルコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ホウ素含有スターター化合物は、約0.01〜約20meq/kgのホウ素化合物を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ホウ素含有スターター化合物は、約0.4〜約10meq/kgのホウ素化合物を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ホウ素含有スターター化合物は、約1〜約8meq/kgのホウ素化合物を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ホウ素1当量当たり約0.8当量〜約5当量の酸を添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ホウ素1当量当たり約0.95当量〜約4当量の酸を添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
酸は、鉱酸、有機カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸およびそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
酸は、クエン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、ホスホン酸、p-トルエンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、塩化アジポイル、無水アジピン酸、塩化チオニル、三塩化リン、塩化カルボニル、三酸化硫黄、塩化チオニル五酸化リン、オキシ三塩化リンおよびそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
酸はリン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ホウ素1当量当たり約1〜約7当量のリン酸を添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ホウ素1当量当たり約2〜約5当量のリン酸を添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ホウ素1当量当たり約2.5〜約4.5当量のリン酸を添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-および2,3-ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシドおよびC〜C30α-アルキレンオキシドから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
アルキレンオキシドは、プロピレンオキシド、1,2-および2,3-ブチレンオキシドおよびイソブチレンオキシドから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
DMC触媒はヘキサシアノコバルト酸亜鉛である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ポリエーテルの不飽和度は約0.05meq/g未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
ポリエーテルの不飽和度は約0.04meq/g未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
改善が請求項1に記載の方法によるポリエーテルポリオールを含めることを含む、ポリウレタン被覆剤、接着剤、シーラント、エラストマーおよび発泡体の1つを製造する方法。
【請求項22】
ホウ素含有スターター化合物にホウ素1当量当たり約0.75当量〜約7当量の酸を添加し、および
二重金属シアン化物(DMC)触媒の存在下、該ホウ素含有スターター化合物をアルキレンオキシドでポリオキシアルキル化することを含む、燃料添加剤の製造方法。
【請求項23】
ホウ素含有スターター化合物はC〜C30アルコールである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ホウ素含有スターター化合物はC13アルコールである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
ホウ素含有スターター化合物は、約0.01〜約20meq/kgのホウ素化合物を含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
ホウ素含有スターター化合物は、約0.4〜約10meq/kgのホウ素化合物を含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
ホウ素含有スターター化合物は、約1〜約8meq/kgのホウ素化合物を含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
ホウ素1当量当たり約0.8当量〜約5当量の酸を添加する、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
ホウ素1当量当たり約0.95当量〜約4当量の酸を添加する、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
酸は、鉱酸、有機カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸およびそれらの組合せから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
酸は、クエン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、ホスホン酸、p-トルエンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、クエン酸、酢酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、塩化アジポイル、無水アジピン酸、塩化チオニル、三塩化リン、塩化カルボニル、三酸化硫黄、塩化チオニル五酸化リン、オキシ三塩化リンおよびそれらの組合せから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
酸はリン酸である、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
ホウ素1当量当たり約1〜約7当量のリン酸を添加する、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
ホウ素1当量当たり約2〜約5当量のリン酸を添加する、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
ホウ素1当量当たり約2.5〜約4.5当量のリン酸を添加する、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
アルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-および2,3-ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、エピクロロヒドリン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシドおよびC〜C30α-アルキレンオキシドから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
アルキレンオキシドは、プロピレンオキシド、1,2-および2,3-ブチレンオキシドおよびイソブチレンオキシドから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
DMC触媒はヘキサシアノコバルト酸亜鉛である、請求項22に記載の方法。
【請求項39】
燃料添加剤の不飽和度は約0.05meq/g未満である、請求項22に記載の方法。
【請求項40】
燃料添加剤の不飽和度は約0.04meq/g未満である、請求項22に記載の方法。
【請求項41】
請求項22に記載の方法により製造された燃料添加剤。

【図1】
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【公開番号】特開2007−131845(P2007−131845A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301618(P2006−301618)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】