説明

ホスファターゼのインヒビター

本発明は、ホスファターゼを阻害する化合物、その組成物、ならびに、疾患を処置するためにこれらの化合物および組成物を使用する方法に関する。一つの実施形態において、本発明は、患者における疾患の重篤度を処置するか、または低減させる方法であって、ここで、この疾患は、自己免疫疾患、増殖性疾患、血管形成障害、または癌から選択され、この方法は、上記組成物をこれらの疾患を罹患する患者に投与する工程を包含する、方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、ホスファターゼを阻害する化合物、その組成物、ならびに疾患を処置するためにこれらの化合物および組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
多くの生物学的に重要な機能は、リン酸基の転移によって調節される。しばしば、化合物の活性形態または不活性形態は、この化合物に結合したリン酸基の存在または非存在によって決定される。従って、多くの生物学的酵素が、このリン酸基転移を調節することに関与する。例えば、キナーゼ酵素は、ヌクレオシド三リン酸からタンパク質レセプターへのリン酸基の転移を触媒する。対照的に、ホスファターゼ酵素は、加水分解によって基質からリン酸基を除去する。
【0003】
SHP−2(srcホモロジー2含有チロシンホスファターゼ(src homology 2−containing protein tyrosine phosphatase))は、68kDaのホスファターゼタンパク質である。SHP−2はまた、SHPTP2、Syp、PTP1DおよびPTP2Cとして公知である。Luら,Molecular Cell(2001)8,759。この酵素は、全ての組織の細胞質において発現される。SHP−2は、重要なシグナル伝達酵素であり、そしてSHP−2の生物学的機能は、広く概説されている。Feng,Exp.Cell Res.(1999)253,45;NeelおよびTonks,Curr.Opin.Cell Biol.(1997)9,193;Tonks,Adv.Pharmacol.(1996)36,91。この酵素は、種々のリガンド(増殖因子を含む)、サイトカインレセプターチロシンキナーゼ、および接着分子との相互作用を介して活性化される。そしてこの酵素は、とりわけ細胞増殖の正の調節因子として認識される。SHP−2はまた、免疫シグナル伝達において重要な機能を果たす。HuyerおよびAlexander,Curr.Biol.(1999)9,R129;Cohenら,Cell(1995)80,237。このSHP−2酵素は、Ras−MAPキナーゼカスケードの活性化に必要とされるが、この経路におけるSHP−2酵素の詳細な役割は、明らかでない。Van Vactorら,Curr.Opin.Genet.Dev.(1998)8,112。SHP−2は最近、Helicobacter pyloriの細胞内標的として同定されている。Higashiら,Science(2002)295,683。この重要な役割に起因して、SHP−2は、種々の生物学的経路において機能する。この酵素に対するインヒビターの開発は、癌および他の自己免疫疾患に対して有用な処置を提供する。
【0004】
SHP−2のようなホスファターゼ酵素を調節する新たな化学実体の開発は、重要な進展であり、ホスファターゼ酵素が重要な役割を果たす疾患に対する新規の処置の開発をもたらし得る。ホスファターゼ調節因子の開発は、研究の盛んな分野であり、そして広く概説されている。Ripka,Annual Rev.Med.Chem.2000,35,第21章およびこの文献中で引用される参考文献。
【0005】
より最近の研究は、リン酸部分を模倣し得る新規複素環式基の開発(すなわち、リン酸塩アイソスターの開発)に集中している。首尾よいリン酸塩アイソスターは、理想的には、加水分解が可能でなく、かつ、生物が利用可能である。首尾よいリン酸模倣物はまた、模倣物の形態およびイオン化状態に依存する。リン酸部分を模倣するように設計された新規複素環式群の例としては、Cdc25bに対して研究されたテトロン酸誘導体(Sodeokaら,J.Med.Chem.(2001)44(20),3216)、およびタンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTB1B)に対して研究されたアゾレジンジオンクラスのインヒビターが挙げられる。Malamasら,J.Med.Chem.(2000)43,995。しかし、これらの模倣物の効力は、なお研究中である。
【0006】
ホスファターゼ酵素およびリン酸基の転移を調節することに関与する他の酵素の強力な調節因子を開発することが、さらに大きく必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式(I)の化合物:
【0008】
【化3】

に関し、
ここで:
A環は、必要に応じて置換される、アリール環またはヘテロアリール環であり;
は、−COOH、その塩もしくはエステル、またはその生物学的アイソスターであり;
nは、1〜3であり;
は、H、脂肪族ヒドロキシ、脂肪族アミノ、脂肪族−COOH、脂肪族−CONH、もしくは脂肪族アリールであり;
は、脂肪族、脂肪族アリール、脂環式脂肪族、脂肪族ヘテロアリール、または脂肪族複素環であり;
およびRは、独立して、R11、R12、R14、またはR15から選択され;
ここで:
各R11は、独立して、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、Rまたは(CH−Yから選択され;
ここでmは、0、1、または2であり;そして
Yは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORから選択され;
各R12は、独立して、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状の、アルケニルもしくはアルキニルから選択され;そして各R12は、2つまでの置換基を必要に応じて含み、ここで:
第1の上記置換基は、存在する場合、R11、R14、およびR15から選択され、そして
第2の上記置換基は、存在する場合、R11であり;
各R14は、独立して、OR15、OC(O)R、OC(O)R15、OC(O)OR、OC(O)OR15、OC(O)N(R、OP(O)(OR、SR、SR15、S(O)R、S(O)R15、SO、SO15、SON(R、SONR15、SO、C(O)R15、C(O)OR15、C(O)R、C(O)OR、NC(O)C(O)R、NC(O)C(O)R15、NC(O)C(O)OR、NC(O)C(O)N(R、C(O)N(R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R15、C(NOR)R、C(NOR)R15、N(R、NRC(O)R11、NRC(O)R、NRC(O)R15、NRC(O)OR、NRC(O)OR15、NRC(O)N(R、NRC(O)NR15、NRSO、NRSO15、NRSON(R、NRSONR15、N(OR)R、N(OR)R15、P(O)(OR)N(R、およびP(O)(ORから選択され;
各R15は、脂環式、アリール、複素環、または複素芳香族であり;そして各R15は、3つまでの置換基を必要に応じて含み、この置換基のうちの各々は、存在する場合、R11であり;
各Rは、独立して、H、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、または(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルケニルから選択され;そして各Rは、Rである置換基を必要に応じて含み;
は、脂環式、アリール、複素環、または複素芳香族であり;そして各Rは、H、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルケニル、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、または(CH−Zから独立して選択される2つまでの置換基を必要に応じて含み;
ここでpは、0、1または2であり;そして
Zは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、S(C〜C)−アルキル、SO(C〜C)−アルキル、SO(C〜C)−アルキル、NH、NH(C〜C)−アルキル、N((C〜C)−アルキル)、N((C〜C)−アルキル)R、COOH、C(O)O(C〜C)−アルキル、またはO(C〜C)−アルキルから選択され;そして
は、アミノ保護基であり;
ただし:
およびRは、同時に水素ではなく;
がHである場合、Rは、クロロでなく;そして
がHである場合、Rは、−SCHでも−NH−C(O)CHでもない。
【0009】
本発明はまた、その組成物、およびこのような化合物および組成物を用いて疾患を処置する方法に関する。
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式(I)の化合物:
【0011】
【化4】

に関し、
ここで:
A環は、必要に応じて置換される、アリール環またはヘテロアリール環であり;
は、−COOHであり;
nは、0〜4であり;
は、H、または必要に応じて置換される、脂肪族ヒドロキシ、脂肪族アミノ、脂肪族−COOH、脂肪族−CONH、もしくは脂肪族アリールであり;
は、必要に応じて置換される、脂肪族、脂肪族アリール、脂環式脂肪族、脂肪族ヘテロアリール、または脂肪族複素環であり;
およびRは、独立して、R11、R12、R14、またはR15から選択され;
ここで:
各R11は、独立して、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、Rまたは(CH−Yから選択され;
ここでmは、0、1、または2であり;そして
Yは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORから選択され;
各R12は、独立して、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状の、アルケニルまたはアルキニルから選択され;そして各R12は、2つまでの置換基を必要に応じて含み、ここで:
第1の上記置換基は、存在する場合、R11、R14、およびR15から選択され、そして
第2の上記置換基は、存在する場合、R11であり;
各R14は、独立して、OR15、OC(O)R、OC(O)R15、OC(O)OR、OC(O)OR15、OC(O)N(R、OP(O)(OR、SR、SR15、S(O)R、S(O)R15、SO、SO15、SON(R、SONR15、SO、C(O)R15、C(O)OR15、C(O)R、C(O)OR、NC(O)C(O)R、NC(O)C(O)R15、NC(O)C(O)OR、NC(O)C(O)N(R、C(O)N(R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R15、C(NOR)R、C(NOR)R15、N(R、NRC(O)R11、NRC(O)R、NRC(O)R15、NRC(O)OR、NRC(O)OR15、NRC(O)N(R、NRC(O)NR15、NRSO、NRSO15、NRSON(R、NRSONR15、N(OR)R、N(OR)R15、P(O)(OR)N(R、およびP(O)(ORから選択され;
各R15は、脂環式、アリール、複素環、または複素芳香族であり;そして各R15は、3つまでの置換基を必要に応じて含み、この置換基のうちの各々は、存在する場合、R11であり;
各Rは、独立して、H、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、または(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルケニルから選択され;そして各Rは、Rである置換基を必要に応じて含み;
は、脂環式、アリール、複素環、または複素芳香族であり;そして各Rは、H、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルケニル、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、または(CH−Zから独立して選択される2つまでの置換基を必要に応じて含み;
ここでpは、0、1または2であり;そして
Zは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、S(C〜C)−アルキル、SO(C〜C)−アルキル、SO(C〜C)−アルキル、NH、NH(C〜C)−アルキル、N((C〜C)−アルキル)、N((C〜C)−アルキル)R、COOH、C(O)O(C〜C)−アルキル、またはO(C〜C)−アルキルから選択され;そして
は、アミノ保護基であり;
ただし:
およびRは、同時に水素ではなく;
がHである場合、Rは、クロロでなく;そして
がHである場合、Rは、−SCHでも−NH−C(O)CHでもない。
【0012】
本明細書中で使用される場合、他で特に示されない限り、以下の定義が適用される。
【0013】
成句「必要に応じて置換される」とは、成句「置換もしくは非置換の」と交換可能に使用される。他で特に示されない限り、必要に応じて置換される基は、基の各々置換可能な位置で置換され得、そして各置換は、他の置換から独立している。
【0014】
本明細書中で使用される場合、用語「脂肪族」または「脂肪族基」とは、完全に飽和である(アルキル)か、または不飽和である(アルケニルもしくはアルキニル)、直鎖状または分枝鎖状の、置換または非置換の炭化水素鎖を意味する。他で特に示されない限り、脂肪族基は、1〜12個の炭素原子を有する。好ましくは、脂肪族基は、1〜6個の炭素原子を有する。この脂肪族における2つまでの−CH−は、O、S、または−NR−で置換され得る。
【0015】
用語「脂環式」とは、完全に飽和である(例えば、シクロアルキル)か、または1つ以上の不飽和単位(しかし、この単位は芳香族でない)を含み(例えば、シクロアルケニル)、そして分子の残りの部分への単一の結合ポイントを有する、3〜8員の単環式炭化水素環もしくは8〜12員の二環式炭化水素環を意味する。
【0016】
他で特に示されない限り、用語「ヘテロ原子」とは、窒素、酸素、または硫黄を意味し、そして、窒素および硫黄の任意の酸化形態、ならびに任意の塩基性窒素の四置換形態を含む。また、用語「窒素」とは、複素環式環の置換可能な窒素を含む。一例として、酸素、硫黄または窒素から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、飽和または部分的に不飽和な環において、この窒素は、(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにあるような)N、(ピロリジニルにあるような)NH、または(N−置換ピロリジニルにあるような)NRであり得る。
【0017】
本明細書中で使用される場合、用語「不飽和」とは、二重結合または三重結合を意味する。このような結合の各々は、1つの不飽和単位を構成する。
【0018】
単独で、または(「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」にあるような)より大きい部分の一部として使用される、用語「アリール」とは、合計で5〜14個の環員を有する、単環式、二環式、および三環式の環系を言い、ここで、この系における少なくとも1つの環は、芳香族であり、この系における各環は、3〜7個の環員を含む。用語「アリール」は、用語「アリール環」と交換可能に使用され得る。フェニルは、アリールの一例である。
【0019】
本明細書中で使用される場合、用語「複素環(heterocycle)」、「複素環(heterocyclyl)」、「脂肪族複素環」、または「複素環式」とは、合計で5〜14個の環員(ここで、1つ以上の環員はヘテロ原子である)を有する、非芳香族の、単環式、二環式、または三環式の環系を意味し、ここで、この系における各環は、3〜7個の環員を含む。
【0020】
単独で、または(「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアリールアルコキシ」にあるような)より大きな部分の一部として使用される、用語「ヘテロアリール」とは、単環式、二環式および三環式の環系を言い、ここで、この系における少なくとも1つの環は、芳香族であり、この系における少なくとも1つの環は、1つ以上のヘテロ原子を含む。他で特に示されない限り、このような環系は、合計で5〜15個の環員を有し、ここで、この系における各環は、3〜7個の環員を含む。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」または用語「複素芳香族」と交換可能に使用され得る。
【0021】
アリール基(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)またはヘテロアリール基(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含む)は、1つ以上の置換基を含み得る。アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、またはヘテロアラルキル基の不飽和炭素原子上の適切な置換基としては、以下が挙げられる:ハロゲン、−R、−OR、−SR、1,2−メチレン−ジオキシ、1,2−エチレン−ジオキシ、必要に応じてRで置換されるフェニル(Ph)、必要に応じてRで置換される−O(Ph)、必要に応じてRで置換される−CH(Ph)、必要に応じてRで置換される−CHCH(Ph)、−NO、−CN、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(O)(R、−NRCO、−NRNRC(O)R、−NRNRC(O)N(R、−NRNRCO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−CO、−C(O)R、−C(O)N(R、−OC(O)N(R、−S(O)、−SON(R、−S(O)R、−NRSON(R、−NRSO、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R、または−(CHNHC(O)R。ここで、qは0〜2であり、各Rは、独立して、水素、必要に応じて置換されるC1〜C6脂肪族、非置換の5〜6員ヘテロアリールもしくは複素環式環、フェニル、−O(Ph)、または−CH(Ph)から選択されるか、あるいは、同じ置換基もしくは異なる置換基上の2つのRの存在が、一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、5〜8員の複素環式環もしくはヘテロアリール環を形成する。脂肪族基のRの上の必要に応じた置換基は、以下から選択される:NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)、またはハロC1〜4脂肪族。
【0022】
脂肪族基または非芳香族複素環式環は、1つ以上の置換基を含み得る。脂肪族基または非芳香族複素環式環の飽和炭素上の適切な置換基としては、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素について上で列挙された置換基、および以下の置換基が挙げられる:=O、=S、=NNHR、=NH(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)、または=NR(ここで、各Rは、水素または必要に応じて置換されるC1〜6脂肪族から独立して選択される)。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、以下から選択される:NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)、またはハロ(C1〜4脂肪族)。
【0023】
非芳香族複素環式環の窒素上の任意の置換基としては、以下が挙げられる:−R、−N(R、−C(O)R、−OR、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R、または−NRSO;ここで、Rは、水素、必要に応じて置換されるC1〜6脂肪族、必要に応じて置換されるフェニル、必要に応じて置換される−O(Ph)、必要に応じて置換される−CH(Ph)、必要に応じて置換される−CHCH(Ph)、または非置換の5〜6員ヘテロアリールもしくは複素環式環であるか、あるいは、同じ置換基もしくは異なる置換基上の2つのRの存在は、一緒になって、窒素、酸素、もしくは硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する、5〜8員の複素環もしくはヘテロアリール環を形成する。Rの脂肪族基またはRのフェニル環上の任意の置換基は、以下から選択される:NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)、またはハロ(C1〜4脂肪族)。
【0024】
用語「アルキリデン鎖」とは、完全に飽和され得るかまたは1つ以上の不飽和単位を有し得、かつ、分子の残りの部分への2つの結合ポイントを有する、直鎖状または分枝鎖状の炭素鎖をいう。
【0025】
置換基または変数の組み合わせは、このような組み合わせが、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物をもたらす場合にのみ、許容される。安定な化合物または化学的に実現可能な化合物とは、40℃以下の温度において、湿度がないかまたは他の化学的に反応性条件下で、少なくとも1週間保たれる場合、実質的に改変されない化合物である。
【0026】
本発明の特定の化合物は、互変異性型で存在し得ることが当業者に明らかである。化合物のこのような互変異性型の全ては、本発明の範囲内である。他で特に述べられない限り、本明細書中で表される構造はまた、その構造の全ての立体異性型(すなわち、各不斉中心についてのR立体配置およびS立体配置)を含むことが意図される。従って、本願化合物の単一の立体化学的異性体、ならびに本発明の化合物の鏡像異性混合物およびジアステレオマー混合物は、本発明の範囲内である。他で特に述べられない限り、本明細書中で表される構造はまた、1つ以上の同位体的に富んだ原子の存在下でのみ異なる化合物を含むことが意図される。例えば、重水素もしくは三重水素での水素の置換、または13Cが富んだ炭素もしくは14Cが富んだ炭素での炭素の置換を除いた本願構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして、有用である。
【0027】
好ましい実施形態に従って、A環は、必要に応じて置換される5員もしくは6員のアリール環またはヘテロアリール環であり、ここで、このヘテロアリール環は、O、S、もしくはNRから独立して選択される2つまでの環へテロ原子を含む。
【0028】
別の好ましい実施形態に従って、環Aは、フェニルである。
【0029】
別の好ましい実施形態に従って、Rは、水素、−(CH−Xであり、ここで、qは1〜4であり、Xは、OH、NH、COOHもしくはCONH、(C〜C)−アルキル、またはベンジルである。
【0030】
別の好ましい実施形態に従って、Rは、水素、ヒドロキシメチル、メチル、−CHCOOH、−CHCONH、アミノブチル、メチル、またはイソペンチルである。
【0031】
別の好ましい実施形態に従って、Rは、ブチル、イソブチル、メトキシプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルメチル、フェニル、トリフルオロフェニル、ベンジル、フルオロベンジル、メチレンジオキシベンジル、ピリジルメチル、フラニルメチル、テトラヒドロフラニルメチル、N−モルホリニルメチル、チエニルメチル、2−オキソ−ピロロジニルプロピル、フェニルエチル、クロロフェニルエチル、メトキシフェニルエチル、またはジメトキシフェニルエチルから選択される。
【0032】
別の好ましい実施形態に従って、Rは、2−フラニルメチルまたはメチルから選択される。
【0033】
別の好ましい実施形態に従って、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、アセトアミド、アリルオキシ、チオフェニル、スルホキシアルキル、またはスルホキシフェニルから選択される。
【0034】
用語「アミノ保護基」とは、窒素原子に結合され得る適切な化学基をいう。用語「保護される」とは、指定された官能基が、適切な化学基(保護基)に結合される場合をいう。適切なアミノ保護基および保護基の例は、以下に記載される:T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第2版,John Wiley and Sons(1991);L.FieserおよびM.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);L.Paquette編,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)。適切なアミノ保護基および保護基の例は、本発明で使用される特定の特異的な化合物にて例示される。
【0035】
代替の実施形態に従って、本発明は、式(II):
【0036】
【化5】

の化合物を提供し、
ここで:
Xは、−(CH−、または−C(O)−であり;
nは、1〜3であり;
Yは、O、S、NH、またはN(C〜C脂肪族)であり;
Zは、HまたはC〜C脂肪族であり;
Qは、0または1であり;
A、R、R、およびRは、独立して、R11、R12、R14、またはR15から選択され;
ここで:
各R11は、独立して、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、Rまたは(CH−Yから選択され;
ここでmは、0、1、または2であり;そして
Yは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORから選択され;
各R12は、独立して、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状の、アルケニルまたはアルキニルから選択され;そして各R12は、2つまでの置換基を必要に応じて含み、ここで:
第1のこの置換基は、存在する場合、R11、R14、およびR15から選択され、そして
第2のこの置換基は、存在する場合、R11であり;
各R14は、独立して、OR15、OC(O)R、OC(O)R15、OC(O)OR、OC(O)OR15、OC(O)N(R、OP(O)(OR、SR、SR15、S(O)R、S(O)R15、SO、SO15、SON(R、SONR15、SO、C(O)R15、C(O)OR15、C(O)R、C(O)OR、NC(O)C(O)R、NC(O)C(O)R15、NC(O)C(O)OR、NC(O)C(O)N(R、C(O)N(R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R15、C(NOR)R、C(NOR)R15、N(R、NRC(O)R11、NRC(O)R、NRC(O)R15、NRC(O)OR、NRC(O)OR15、NRC(O)N(R、NRC(O)NR15、NRSO、NRSO15、NRSON(R、NRSONR15、N(OR)R、N(OR)R15、P(O)(OR)N(R、およびP(O)(ORから選択され;
各R15は、脂環式、アリール、複素環、または複素芳香族であり;そして各R15は、3つまでの置換基を必要に応じて含み、この置換基のうちの各々は、存在する場合、R11であり;
各Rは、独立して、H、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、または(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルケニルから選択され;そして各Rは、Rである置換基を必要に応じて含み;
は、脂環式、アリール、複素環、または複素芳香族であり;そして各Rは、H、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルケニル、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、または(CH−Zから独立して選択される2つまでの置換基を必要に応じて含み;
ここでpは、0、1または2であり;そして
Zは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、S(C〜C)−アルキル、SO(C〜C)−アルキル、SO(C〜C)−アルキル、NH、NH(C〜C)−アルキル、N((C〜C)−アルキル)、N((C〜C)−アルキル)R、COOH、C(O)O(C〜C)−アルキル、またはO(C〜C)−アルキルから選択され;そして
は、アミノ保護基であるか;
またはRおよびRは、一緒になって、3つまでの置換基を有する、必要に応じて置換される複素環式環を形成する。
【0037】
本発明の範囲は、その範囲内で、本発明の化合物の薬学的に受容可能なプロドラッグを含む。「薬学的に受容可能なプロドラッグ」とは、本発明の化合物の任意の薬学的に受容可能な塩、エステル、エステルの塩、または本発明の化合物の他の誘導体を意味し、これは、レシピエントへの投与の際に、本発明の化合物または活性代謝産物もしくはその残基を(直接的または間接的に)提供することが可能である。好ましいプロドラッグは、このような化合物が哺乳動物に投与される場合に本発明の化合物のバイオアベイラビリティを増大させるものであるか、または、親種と比較して、親化合物の生物学的コンパートメント(例えば、脳またはリンパ系)への送達を高めるものである。
【0038】
本発明の化合物は、当該分野で公知の方法を使用して容易に調製され得る。このような合成経路の1つが、以下のスキーム1に例示される。当業者は、この合成経路が、式(I)の他の実施形態について容易に活用され得ることを認識する。
【0039】
(スキーム1)
【0040】
【化6】

式(I)の化合物の調製は、スキーム1に概略される一般化手順に従って実行される。キナゾリンジオンの調製は、以下の4つの基本的な工程を包含する:i)還元的アルキル化、ii)樹脂への充填、iii)ペプチド結合、ならびにiv)環化および上記樹脂からの放出。
【0041】
(工程1:アントラニル酸の還元的アルキル化)
アントラニル酸およびアルデヒド(4当量)を、室温で、酢酸の存在下、DCE中に溶解した。15分後、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(4当量)を添加し、この溶液を室温で撹拌した(使用したアルデヒドに依存して4〜12時間)。この反応を過剰の1N NaOHでクエンチし、そして20分間撹拌した。この反応を、酢酸エチルで何回か抽出し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させた。精製を、酢酸エチル/ヘキサンを使用して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを通して行った。
【0042】
アントラニル酸エステルのけん化を、このエステルをTHF/MeOH中に溶解させることによって行い、そして室温で12時間、1N水酸化リチウムで処理した。この反応を、元の体積の1/3まで濃縮させ、そして10%NaOH中に注いだ。この溶液をエーテルで抽出し、未反応物質を除去した。この水相を集め、1N HClで慎重に酸性化した。大部分の場合において、アントラニル酸を溶液から沈殿させ、濾過によって集めた。沈殿が起こらなかった場合、この水溶液をブライン溶液で希釈し、酢酸エチルで何回か抽出した。この有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮し、所望のアントラニル酸を生じた。
【0043】
(工程2:樹脂への置換アントラニル酸の充填)
注意:以下の手順は、ホスゲンの使用を包含し、しっかりと通気されたドラフト中で当業者によって行われるべきである。
【0044】
【化7】

(クロロホルメート樹脂の調製)
10グラムのヒドロキシメチルポリスチレン(1.2mmol/g充填)を、自重250mlペプチドフラスコに入れて秤量した。この樹脂を100mlの乾燥THFで洗浄し、最終的に、さらなる100mlの乾燥THF中に懸濁させた。この樹脂懸濁液に、トルエン中25ml(5.0当量、2.54M)のホスゲン溶液を添加した。このフラスコをきつく密封し、オービタルシェーカーで2〜3時間回旋させた。このペプチドフラスコを陽圧下で排液させ、この母液を、濃縮(20%)水酸化ナトリウム水溶液/メタノール溶液を含むフラスコ中に集めた。
【0045】
【化8】

このクロロホルメート樹脂を、2×100ml乾燥THF、2×100ml乾燥DCMで連続して洗浄し、陽圧を用いて容器を排液させた。アントラリン酸(3当量)およびDIEA(10当量)を含有する100ml DCM溶液を、新しく調製したクロロホルメート樹脂に素早く添加し、このフラスコを再密封し、オービタルシェーカーでさらに3.5時間回旋させた。この樹脂を排出させ、何度も洗浄を繰り返した。この樹脂を高真空下で一晩乾燥させた。適切な充填を、重量増加によって決定した。0.7〜0.9mmol/gという代表的な充填は、この方法を使用して慣用的に得ることが可能であった。
【0046】
(工程3:アントラリン酸官能基化樹脂へのアミノ酸の結合)
HOBT(1M)の1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)溶液、HBTU(0.5M)、アミノ酸エステル(1M)およびヒューニッヒ(Hunigs)塩基(2M)を、結合反応を行う前に新しく作製した。この樹脂をNMP中に懸濁させ、HOBT(5当量)の溶液を添加し、続いて、HBTU(5.0当量)を添加した。この反応を密封し、15分間振とうさせた。この容器の封を切り、この反応ブロックをPackardに配置させ、残りの試薬を添加した。15分後、アミノエステル(4当量)の溶液を添加し、続いて、ジイソプロピルエチルアミン(5当量)を添加した。この反応容器を再密封し、室温で18時間振とうさせ、その後、この樹脂を何度も連続して洗浄した。
【0047】
(工程4:生成物形成および単離)
【0048】
【化9】

樹脂からの生成物の分割およびキナゾリン−2,4−ジオンの単離を以下のように行った。メタノール中10%トリエチルアミンの溶液をこの樹脂に添加し、この反応容器を、20時間60℃〜65℃で加熱した。所望の時間後、この反応をわずかに冷却し、この母液を集めた。この樹脂をメタノールで2回洗浄し、この洗浄物を母液と合わせた。ロータリーエバポレーター(rotovaporator)を使用してこの溶液を濃縮させ、所望のキナゾリンジオンを得た。
【0049】
ブチル保護基の引き続いての除去を、粗キナゾリンジオンに1.5mLの95:3:2のTFA:水:トリイソプロピルシランを、室温で3時間、添加することによって行った。このTFA溶液を減圧下で除去し、この化合物をC18クロマトグラフィーによって精製した。
【0050】
式(II)の化合物の調製を、以下のスキーム2:
【0051】
【化10】

に概略される一般化手順に従って行う。
【0052】
用語「薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクル」とは、これらと一緒に処方される化合物の薬理学的活性を破壊しない、無毒性のキャリア、アジュバント、またはビヒクルをいう。本発明の組成物に使用され得る薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カルシウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム)、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂。
【0053】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩としては、薬学的に受容可能な無機酸および有機酸ならびに塩基から誘導されるものが挙げられる。適切な酸性塩の例としては、以下が挙げられる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、亜硫酸水素塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩(hemisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パルモエート(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩。シュウ酸のようなそれ自体では薬学的に受容可能でない他の酸が、本発明の化合物を得るのに中間体として有用である塩の調製、および他の薬学的に受容可能な酸付加塩の調製に使用され得る。
【0054】
適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中に開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を企図する。水または油溶性生成物または分散可能な生成物が、このような四級化によって得られ得る。
【0055】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、経直腸的に、経鼻的に、経口腔粘膜的に、経膣的に、または移植されたレザバーを介して投与され得る。本明細書中で使用される場合、用語「非経口的」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、包膜内、肝臓内、病巣内、および頭蓋内の、注射技術または注入技術を含む。好ましくは、この組成物は、経口的に、腹腔内に、または静脈内に投与される。本発明の無菌性注射可能物形態は、水性懸濁液または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、当該分野で公知の技術に従って、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、処方され得る。この無菌性注射可能物の調製はまた、無毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の無菌性注射溶液または無菌性注射懸濁液であり得、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液である。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液、ならびに等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌性の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として従来的に使用される。
【0056】
この目的のために、任意の無刺激性の不揮発性油が使用され得、この不揮発性油としては、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドが挙げられる。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリセリド誘導体は、注射可能物の調製に有用である。同様に、天然の薬学的に受容可能な油(例えば、オリーブ油またはヒマシ油)が、特にこれらのポリオキシエチル化バージョンにおいて、注射可能物の調製に有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコールの希釈剤もしくは分散剤(dispersant)(例えば、カルボキシメチルセルロース)、または類似の分散剤(dispersing agent)を含み得る。これらの希釈剤または分散剤は、乳濁液および懸濁液を含む薬学的に受容可能な投薬形態の処方において一般的に使用される。他の一般的に使用される界面活性剤(例えば、Tween、Span)、および、薬学的に受容可能な固体、液体、または他の投薬形態の製造に一般的に使用される、他の乳化剤またはバイオアベイラビリティエンハンサーもまた、処方の目的で使用され得る。
【0057】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、任意の経口的に受容可能な投薬形態で経口的に投与され得る。この経口的に受容可能な投与形態としては、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液または水溶液が挙げられるが、これらに限定されない。経口的使用のための錠剤の場合、一般的に使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、代表的に添加される。カプセル剤形態での経口的投与について、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液が経口的使用に必要とされる場合、活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望の場合、特定の甘味剤、矯味矯臭剤または着色剤もまた、添加され得る。
【0058】
あるいは、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、経直腸的投与のために坐剤の形態で投与され得る。この坐剤は、薬剤と適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって調製され得る。この賦形剤は、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、従って、直腸で融解し、薬物を放出する。このような物質としては、カカオ脂、蜜蝋およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0059】
本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、特に、処置の標的として、局所的適用によって容易に受容可能である領域または器官が挙げられる場合、局所的に投与され得る。これらの領域または器官としては、眼の疾患、皮膚の疾患、または下部の腸管の疾患が挙げられる。適切な局所的処方物は、これらの領域または器官のそれぞれために容易に調製される。
【0060】
下部の腸管についての局所的適用は、直腸の坐剤処方物で(上記を参照のこと)、または適切な浣腸剤処方物で実施され得る。局所経皮的なパッチもまた、使用され得る。
【0061】
局所的適用について、薬学的に受容可能な組成物は、1つ以上のキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含む適切な軟膏剤で処方され得る。本発明の化合物の局所的投与のためのキャリアとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:鉱物油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン化合物、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水。あるいは、薬学的に受容可能な組成物は、1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアに懸濁または溶解された活性成分を含む、適切なローション剤またはクリームに処方され得る。適切なキャリアとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水。
【0062】
眼使用について、薬学的に受容可能な組成物は、塩化ベンジルアルコニウムのような保存剤を有して、または有さないかのいずれかで、等張性の、pH調整された無菌生理食塩水中への微粒子化(micronized)懸濁液として、または、好ましくは、等張性の、pH調整された無菌生理食塩水中の溶液として、処方され得る。あるいは、眼使用について、この薬学的に受容可能な組成物は、ワセリンのような軟膏剤中に処方され得る。
【0063】
本発明の薬学的に受容可能な組成物はまた、経鼻的エアロゾルまたは経鼻的吸入によって投与され得る。このような組成物は、薬学的処方の分野で周知の技術に従って調製され、そして以下を使用する生理食塩水中の溶液として調製され得る:、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進因子、フッ化炭素、および/または他の従来的な可溶化剤もしくは分散剤。
【0064】
最も好ましくは、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、経口的投与のために処方される。
【0065】
キャリア物質と組み合わせられて単一投薬形態を作製し得る本発明の化合物の量は、処置される宿主および投与の特定の形態に依存して変化する。好ましくは、この組成物は、0.01mg/kg体重/日〜100mg/kg体重/日の間にあるインヒビターの投与量が、これらの組成物を受容する患者に投与され得るように、処方されるべきである。
【0066】
任意の特定患者についての特定の投薬および処置レジメンは、種々の因子に依存することも理解されるべきであり、この因子としては、以下が挙げられる:使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、排泄の速度、薬物の組み合わせ、担当医の判断、および処置される特定の疾患の重篤度。組成物中の本発明の化合物の量はまた、組成物中の特定の化合物に依存する。
【0067】
処置もしくは予防されるべき特定の状態または疾患に依存して、さらなる治療剤(これらは、この状態を処置もしくは予防するために通常投与される)がまた、本発明の組成物中に存在し得る。本明細書中で使用される場合、特定の疾患または状態を処置もしくは予防するために通常投与されるさらなる治療剤は、「処置される疾患または状態に適切な」ものとして公知である。
【0068】
例えば、化学療法剤または他の抗増殖剤が本発明の化合物と組み合わされ、癌および増殖性疾患を処置し得る。公知の化学療法剤の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:GleevecTM、アドリアマイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、タキソール、インターフェロン、および白金誘導体。
【0069】
本発明の化合物と組み合わされ得る薬剤の他の例は、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド、TNFブロッカー、IL−1 RA、アザチオプリン、シクロホスファミド、およびスルファサラジン);免疫調節剤および免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホファミド(cyclophophamide)、アザチオプリン、ならびにスルファサラジン);神経栄養因子(例えば、アセチルコリンステラーゼインヒビター、MAOインヒビター、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャネルブロッカー、リルゾール、および抗パーキンソン症候群の薬剤);心臓血管疾患を処置するための薬剤(例えば、β−ブロッカー、ACEインヒビター、利尿薬、硝酸塩、カルシウムチャネルブロッカー、およびスタチン);肝疾患を処置するための薬剤(例えば、コルチコステロイド、コレスチラミン、インターフェロン、および抗ウイルス剤);血液障害を処置するための薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗白血病剤、および成長因子);糖尿病を処置するための薬剤(例えば、インスリン、インスリンアナログ、αグルコシダーゼインヒビター、ビグアナイド、およびインスリン感作物質);ならびに免疫不全障害を処置するための薬剤(例えば、γグロブリン)。
【0070】
本発明の組成物中に存在するさらなる治療剤の量は、活性剤としてのみこの治療剤を含有する組成物で通常投与される量にすぎない。好ましくは、ここで開示される組成物中のさらなる薬剤の量は、治療活性剤としてのみこの薬剤を含有する組成物中に通常存在する量の、約50%〜100%の範囲にある。
【0071】
別の実施形態に従って、本発明は、生物学的サンプルにおけるSHP−2ホスファターゼ活性を阻害する方法に関し、この方法は、この生物学的サンプルと本発明の化合物またはこの化合物を含有する組成物とを接触させる工程を包含する。
【0072】
本明細書中で使用される場合、用語「生物学的サンプル」としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:細胞培養物もしくはその抽出物;哺乳動物から得られた生検材料もしくはその抽出物;および血液、唾液、尿、便、精液、涙液、または他の体液もしくはその抽出物。
【0073】
生物学的サンプルにおけるSHP−2ホスファターゼ活性の阻害は、当業者に公知の種々の目的のために有用である。このような目的の例としては、輸血、臓器移植、生物学的検体保存、および生物学的アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
別の実施形態に従って、本発明は、自己免疫疾患、増殖性疾患、血管形成障害、および癌から選択される疾患の重篤度を処置するか、または低減させるための方法を提供する。
【0075】
好ましい実施形態に従って、本発明は、患者におけるSHP−2−媒介性疾患もしくは状態の重篤度を処置するか、または低減させるための方法を提供し、この方法は、この患者に本発明に従う組成物を投与する工程を包含する。
【0076】
本明細書中で使用される場合、用語「SHP−2−媒介性疾患」とは、SHP−2が役割を果たすと公知である、任意の疾患または他の有害な状態を意味する。このような状態としては、自己免疫疾患、増殖性疾患、血管形成障害、および癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本発明の化合物によって処置または予防され得る自己免疫疾患としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴズ病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、または対宿主性移植片病。
【0078】
本発明の化合物によって処置または予防され得る増殖性疾患としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポージ肉腫、多発性骨髄腫、およびHTLV−1媒介性腫瘍形成。
【0079】
本発明の化合物によって処置または予防され得る血管形成障害としては、充実性腫瘍、眼の新生血管形成、乳児血管腫が挙げられる。
【0080】
本発明の化合物によって処置または予防され得る癌としては、結腸癌、乳癌、胃癌、および卵巣癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
別の実施形態において、さらなる治療剤を含まない組成物を利用する本発明の方法は、さらなる治療剤をこの患者に別々に投与するさらなる工程を包含する。これらのさらなる治療剤が別々に投与される場合、この治療剤は、本発明の組成物の投与の前、同時、または後に患者に投与され得る。
【0082】
本発明の化合物またはその薬学的組成物はまた、移植可能な医療デバイス(例えば、プロテーゼ、人工弁、血管グラフト、ステントおよびカテーテル)をコーティングするために、組成物中に組み入れられ得る。例えば、血管性ステントは、再狭窄(傷害後の血管壁の再狭窄化)を克服するために使用されていた。しかし、ステントまたは他の移植可能なデバイスを使用する患者は、血栓形成または血小板活性化の危険性がある。これらの所望しない効果は、このデバイスをキナーゼインヒビターを含有する薬学的に受容可能な組成物で事前コーティングすることによって、予防または緩和され得る。適切なコーティングおよびコーティングされた移植可能なデバイスの一般的調製は、米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;ならびに同第5,304,121号に記載される。このコーティングは、代表的には、生体適合性ポリマー物質(例えば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレンビニルアセテート、およびこれらの混合物)である。このコーティングは、適切なトップコート(フルオロシリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質またはこれらの組み合わせ)によってさらに被覆され得、組成物に制御放出特徴を与え得る。本発明の化合物でコーティングされた移植可能なデバイスは、本発明の別の実施形態である。
【0083】
本明細書中に記載される本発明がより完全に理解され得るために、以下の実施例が示される。これらの実施例は、例示的目的のためのみであり、いかなる様式においても本発明を限定するようには解釈されないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0084】
(実施例1:2−(7−アセチルアミノ−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸(化合物1)の調製)
【0085】
【化11】

(4−アセチルアミノ−2−[(フラン−2−イルメチル)−アミノ]−安息香酸)
4−アミノ−2−ニトロ安息香酸(3g)を、20mlの4:1 THF/MeOH中に懸濁し、0℃に冷却した。TMS−ジアゾメタン(5.6g、49mmol、3当量、ヘキサン中2M)を液滴で添加し、この溶液を室温で2時間撹拌した。この反応を1N酢酸でクエンチし、この有機物を減圧下で除去した。この水相を酢酸エチル中に注ぎ、炭酸水素ナトリウムで中和し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮し、黄色の油を得た。このエステルを30%アセトン/ヘキサンを使用して、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。ニトロエステルを明るい黄色の固体として単離した(収率92%)。
【0086】
このエステル(1.0g、5.1mmol)を、室温で20mlのDCM中に溶解した。DIEA(0.98g、7.6mmol、1.5当量)を添加し、続いて塩化アセチル(0.48g、6.1mmol、1.2当量)を添加した。反応を、室温で4時間撹拌した。反応を、1M HCl中に注ぎ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮させ、黄色の油/固体を得た。この粗反応を、約20mlのMeOH中に取り、飽和NH4Clを添加し、続いて過剰のZn粉末を添加した。反応を、室温で45分間撹拌し、この時、TLCは完全な還元を示した。この反応を、濾過してZn微粒子を除去し、酢酸エチルで抽出した。この水相を酢酸エチルで2回抽出し、そしてこの有機相を合わせた。硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して黄色のフィルムを得た。この生成物を少量のアセトン中に取り、勾配として10%〜30%アセトン/2%MeOH/ヘキサンを使用して精製した。所望のアニリン化合物を、薄い黄色の固体として単離した(ポジティブAPCI、M+1=208.9)。
【0087】
還元的アミノ化を、アントラニレート(2.3g、11mmol、1当量)、2−フリルアルデヒド(3.2g、33mmol、3当量)および1ml酢酸を、50ml DCE中に室温で溶解することによって行った。15分後、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(9.4g、44mmol、4当量)添加し、この溶液を室温で4時間撹拌した。この反応を、過剰の1N NaOHの添加によってクエンチした。20分間の撹拌後、この懸濁液を酢酸エチルで3回抽出した。この有機物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して濃縮し、茶色の油を得た。この生成物を、10%〜30%酢酸/ヘキサンを使用して、フラッシュカラムによって単離した。所望のアニリドを明るい黄色の固体として得た。
【0088】
このエステルをTHF中に取り、1N LiOH(1.5当量)を添加し、60℃で12時間撹拌した。反応を冷却し、濃縮して有機物を除去し、そして水で希釈した。この溶液をエーテルで洗浄し、この水相を1M HClで酸性化した。粘性の白色の沈殿物が形成され、これを濾過によって収集し、所望の化合物を得た。
【0089】
【数1】

MS m/e=273.1(m−1)は、C14H14N2O4、Mw=274.27に対応する。
【0090】
【化12】

4gのヒドロキシメチルPS樹脂(1.2mmol/g)を、自重100mlペプチドフラスコ中に配置した。この樹脂を乾燥THFで2回洗浄し、そしてこの樹脂を、必要最低量の乾燥THF中に懸濁した。トルエン(20ml)中2.5Mのホスゲン溶液を、このフラスコに添加し、数時間撹拌させた。この反応を、陽窒素圧を使用して濾過し、そしてこの樹脂を、DCMで数回洗浄した。DCM中4−アセチルアミノ−2−[(フラン−2−イルメチル)−アミノ]−安息香酸(化合物1、3当量)およびDIEA(4当量)の溶液を、この樹脂に添加し、3時間撹拌させた。この樹脂を濾過し、DMF、MeOHおよびDCMで数回洗浄し、減圧下で乾燥させた。この樹脂の充填を、重量増加に基づいて0.9mmol/gと算出した。
【0091】
【化13】

(2−(7−アセチルアミノ−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸(化合物1))
この樹脂(400mg)をNMP中に懸濁し、HBTU(4当量)で処理した。HOBT(4当量)を15分間添加し、続いて、アスパラギン酸ジt−ブチルエステル塩化水素(3当量)を添加し、最後にDIEA(4当量)を添加した。この反応を12時間撹拌し、続いてろ過し、NMP、DMF、MeOHで何度も洗浄した。この樹脂を、8mlの10%TEA/MeOH中に再懸濁させ、60℃に18時間加熱した。この母液を収集し、溶液を濃縮させ、乾燥させた。この粗キナゾリンジオンを、2時間、50%TFA/DCMを使用して脱保護した。この反応を減圧下で濃縮させ、この残留物を少量のMeCN中に取り、MeCN/水を使用してC18によって精製した。アセトニロリルとの共沸混合物(azetrope)から、薄色の泡状の物質を単離した。
【0092】
【数2】

MS m/e=414(m−1)は、C19H17N3O8、Mw=415.35に対応する。
【0093】
(実施例2:2−[6−クロロ−1−(5−メチル−フラン−2−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル]−コハク酸(化合物2)の調製)
【0094】
【化14】

(5−クロロ−2−(5−メチル−フラン−2−イルメチル)−アミノ]−安息香酸、911−71)
5−クロロ−2−アミノ−メチルアントラニレートの還元的アミノ化を、4時間、DCE中5−メチルフルアルデヒドを使用して、化合物1について記載したように行った。この反応後、この生成物を、10%〜30%アセトン/ヘキサンを使用して、FCによって単離し、薄い黄色の固体を得た。引き続いて、このエステルをTHF中に取り、60℃で12時間、1Nを使用して鹸化させた。この溶液を冷却し、酸性化し、そしてこの生成物を、灰色がかった白色の固体として収集した。
【0095】
【化15】

4.51gのヒドロキシメチルPS樹脂(1.2mmol/g)を、自重100mlペプチドフラスコ中(自重=112.8426g)に配置した。この樹脂をTHFで2回洗浄し、そしてこの樹脂を、必要最低量のTHF中に懸濁した。トルエン(20ml)中2.5Mのホスゲン溶液を、このフラスコに添加し、数時間撹拌させた。反応を、陽圧を使用して濾過し、DCMで数回洗浄した。DCM中アントラニル酸およびDIEAの溶液を、この反応に添加し、2時間撹拌させた。反応を濾過し、DMF、MeOHおよびDCMで数回洗浄した。減圧下で乾燥させた。充填を、0.96mmol/gと算出した。
【0096】
【化16】

(2−[6−クロロ−1−(5−メチル−フラン−2−イルメチル)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル]−コハク酸(化合物2))
500mgの樹脂を、Quest210チューブ中に分配した。HOBT(2ml、NMP中1.0M、4当量)の溶液を添加し、続いて、NMP中HBTU(4ml、0.5M、4当量)を添加した。この樹脂を15分間撹拌し、続いて、アミン(4ml、5当量)とDIEA(5当量)とのNMP溶液を添加した。この反応を18時間撹拌させた。この樹脂を濾過し、DMF、MeOHおよびDCMで何度も洗浄し、最後にメタノールで3回洗浄した。この樹脂を8mlの10%TEA/MeOH中に取り、60℃まで20時間加熱した。この母液を収集し、濃縮して乾燥させた。保護基を有する化合物を、標準化条件を使用して脱保護し、C18および水/アセトニトリル勾配を使用してFCによって精製し、灰色がかった白色の泡状の物質を得た。
【0097】
【数3】

MS:m/e=405(M−1)は、C18H15ClN2O7、Mw=406.77に対応する。
【0098】
(実施例3:2−(1−フラン−2−イルメチル−6−メタンスルホニル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸(化合物3)の調製)
【0099】
【化17】

(2−[(フラン−2−イルメチル)−アミノ]−5−メチルスルファニル−安息香酸)
2−クロロ−5−(メチルチオ)安息香酸(15.5g,76.5mmol)を、DMF(20mL)中に溶解した。炭酸カリウム(10.6g、76.7mmol)を添加し、そしてこの溶液を5分間(沸騰が弱まるまで)撹拌させた。次いで、フルフリルアミン(8.8mL、99mmol)を添加し、続いて臭化銅(I)(1g、7mmol)を添加した。この反応を、密封チューブ中で一晩150℃に加熱し、次いで、(温かいままであるが)10% NHOH(300mL)中に注いだ。この混合物を氷AcOHでpH4〜5(pH紙による)に酸性化し、この粗生成物を、濾過によって収集した。次いで、この収集した個体を1N NaOH中に溶解し、不溶な黒色微粒子を、濾過して取り除いた。次いで、この濾液を6N AcOHで酸性化し、この生成物(薄緑色の固体、11.64g、58%)を濾過によって収集し、高減圧下で2日間乾燥させ、残留する水の大部分を除去した。
【0100】
【数4】

MS(LR−APCI)C1314NOS(M+H)についての計算値264.07;検出値263.9。
【0101】
【化18】

ヒドロキシメチルポリスチレン(HM−PS)樹脂(5.988g、1.29mmol/g)を、THF中に取り、ホスゲン(トルエン中15mL約2.5Mの溶液)を添加した。この反応を3時間振とうさせ、次いで、このホスゲン溶液を(注意しながら)排出させ、DCMで連続的に(4回)洗浄した。次いで、DCM中2−[(フラン−2−イルメチル)−アミノ]−5−メチルスルファニル−安息香酸(3.07g、1.5当量)の溶液を、DIEA(6.6mL、5当量)と一緒に樹脂に添加し、この反応をさらに3時間振とうさせた。次いで、この樹脂を、DCM(3回)、MeOH(3回)、DCM(3回)、MeOH(3回)、およびEtO(2回)で連続的にすすぎ、高減圧下で乾燥させた。樹脂の収率=8.811g(重量増加置換=1.10mmol/gによって推定された充填)。
【0102】
【化19】

(2−フラン−2−イルメチル−6−メタンスルホニル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸(化合物3))
このPS樹脂を、NMP中に取り、HOBT・HO(NMP中4当量)およびHBTU(NMP中4当量)を添加した。約5分間振とうさせた後、L−アスパラギン酸□,□−ジ−t−ブチルエステル塩酸塩(NMP中4当量)およびDIEA(5当量)を、この混合物に添加した。一晩振とうさせた後、この溶液を排液させ、この樹脂をNMP(2回)、DCM(3回)、およびMeOH(3回)で連続して洗浄し、高減圧下で乾燥させた。この樹脂を、10%EtN/MeOH溶液中で一晩60℃に加熱し、樹脂からの化合物の環化的切断に作用した。次いで、この粗生成物をクロマトグラフィーによって精製した(SiO、20%EtOAc/ヘキサンでのR=0.29)。次いで、6−メチルスルファニル−キナゾリン−2,4−ジオンをCHCl中に取り、氷浴中で冷却させた。次いで、MCPBA(約77%、約2当量)を添加し、この反応を、スルホンへの変換についてTLCによってモニタリングした。一旦十分な変換が達成されると、1N NaOHを添加し、この相を分離した。この有機相を乾燥させ(MgSO)、そしてこのスルホンをクロマトグラフィー(SiO、60%EtOAc/ヘキサンでのR=0.39)によって精製した。6−メタンスルホニル−キナゾリン−2,4−ジオンをTFA/DCM(1:1)で一晩処理し、粗最終生成物を与えた。この粗最終生成物を、逆相C18クロマトグラフィーによって精製した。
【0103】
【数5】

MS(LR−APCI)C1815S(M−H)についての計算値435.05;検出値435.0。
【0104】
以下のさらなる誘導体を、上記したものと類似の化学的変換を使用して調製した。
【0105】
【化20】

(実施例4:2−(6−ベンゼンスルホニル−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸)
【0106】
【数6】

MS(LR−APCI)C2317S(M−H)についての計算値497.07;検出値496.9。
【0107】
【化21】

(実施例5:2−(7−ベンゾイルアミノ−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸)
【0108】
【数7】

MS(LR−APCI)C2418(M−H)についての計算値476.11;検出値476.0。
【0109】
【化22】

(実施例6:2−(7−ベンゼンスルホニルアミノ−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸)
【0110】
【数8】

MS(LR−APCI)C2318S(M−H)についての計算値512.08;検出値512.1。
【0111】
【化23】

(実施例7:2−(6−アリルオキシ−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸)
【0112】
【数9】

MS(LR−APCI)C2017(M−H)についての計算値413.10;検出値413.0。
【0113】
【化24】

(実施例8:2−[6−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル]−コハク酸)
【0114】
【数10】

MS(LR−APCI)C2316ClNS(M−H)についての計算値531.03;検出値530.8。
【0115】
【化25】

(実施例9:2−(1−フラン−2−イルメチル−6−メチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸)
【0116】
【数11】

MS(LR−APCI)C1815(M−H)についての計算値371.09;検出値371.0。
【0117】
【化26】

(実施例10:2−(1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−6−フェニルスルファニル−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸)
【0118】
【数12】

MS(LR−APCI)C2317S(M−H)についての計算値465.08;検出値465.0。
【0119】
【化27】

(実施例11:2−[6−(4−クロロ−ベンゼンスルフィニル)−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル]−コハク酸)
【0120】
【数13】

MS(LR−APCI)C2316ClNS(M−H)についての計算値515.03;検出値515.3。
【0121】
【化28】

(実施例12:2−(6−クロロ−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸)
【0122】
【数14】

MS(ネガティブAPCI)m/e=391(m−1)は、C17H13ClN2O7(モル重量:392.75)に対応する。
【0123】
【化29】

(実施例13:2−[1−フラン−2−イルメチル−6−(ナフタレン−2−イルオキシ)−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル]−3−フェニルプロピオン酸)
【0124】
【数15】

MS(LR−APCI)C3223(M−H)についての計算値531.16;検出値531.0。
【0125】
【化30】

(実施例14:2−[6−(ビフェニル−4−イルオキシ)−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル]−コハク酸)
【0126】
【数16】

MS(LR−APCI)C2921(M−H)についての計算値525.13;検出値525.8。
【0127】
【化31】

(実施例15:2−(1−フラン−2−イルメチル−6−メタンスルフィニル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸)
【0128】
【数17】

MS(LR−APCI)C1815S(M−H)についての計算値419.05;検出値418.9。
【0129】
【化32】

(実施例16:(6−アリルオキシ−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−酢酸)
【0130】
【数18】

MS(LR−APCI)C1815(M−H)についての計算値355.09;検出値355.1。
【0131】
【化33】

(実施例17:2−[6−(ビフェニル−4−イルオキシ)−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸)
【0132】
【数19】

MS(LR−APCI)C3425(M−H)についての計算値557.17;検出値557.0。
【0133】
【化34】

(実施例18:2−(6−クロロ−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−3−(1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸)
【0134】
【数20】

MS(ネガティブAPCI)m/e=461.9(m−1)は、C24H18ClN3O5(モル重量:463.87)に対応する。
【0135】
【化35】

(実施例19:2−[6−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル]−3−フェニル−プロピオン酸)
【0136】
【数21】

MS(LR−APCI)C2820ClNS(M−H)についての計算値531.08;検出値531.0。
【0137】
【化36】

(実施例20:[6−(ビフェニル−4−イルオキシ)−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル]−酢酸)
【0138】
【数22】

MS(LR−APCI)C2719(M−H)についての計算値467.12;検出値466.9。
【0139】
【化37】

(実施例21:2−[6−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−1−フラン−2−イルメチル−2−,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル]−3−(1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸)
【0140】
【数23】

MS(LR−APCI)C3021ClNS(M−H)についての計算値570.09;検出値569.9。
【0141】
【化38】

(実施例21:2−(6−ベンゼンスルホニルアミノ−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸)
【0142】
【数24】

MS(LR−APCI)C2318S(M−H)についての計算値512.08;検出値512.0。
【0143】
【化39】

(実施例22:2−(1−フラン−2−イルメチル−6−メチルスルファニル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−3−(1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸)
【0144】
【数25】

MS(LR−APCI)C2520S(M−H)についての計算値474.11;検出値473.9。
【0145】
(実施例23)
【0146】
【化40】

(2−(7−ベンゾイルアミノ−1−フラン−2−イルメチル−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−コハク酸)
【0147】
【数26】

MS(LR−APCI)C2418(M−H)についての計算値476.11;検出値476.0。
【0148】
(実施例24:2−[2−(ベンゼンスルホニルアミノ−メチル)−1H−インドール−6−イルオキシ]−マロン酸)
【0149】
【化41】

(工程A:6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール−2−カルボン酸)
6−ヒドロキシ−1H−インドール−2−カルボン酸(5.40g、30.48mmol)を、THF(100ml)中に溶解し、そしてイミダゾール(10.38、152.4mmol)を添加する。この混合物を5分間撹拌し、TBDMS−Cl(13.78g、91.44mmol)を添加する。この反応を、室温で1時間撹拌する。この混合物を、水(200ml)中に濾過する。この固体を、THF(50ml)で洗浄する。この濾液を濃縮し、THFを除去する。この生成物を、酢酸エチル(100ml)で3回抽出する。この有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして濃縮して6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール−2−カルボン酸(8.0g、収率90%)を与える。
【0150】
【数27】

(工程B:[6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール−2−イル]−メタノール)
THF(103ml)中1M LAHを、0℃に冷却する。THF(30ml)中6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール−2−カルボン酸(6.0g、20.60mmol)の溶液を、ゆっくりと添加する。この反応を、室温で2日間撹拌し、水(10ml)、1N NaOH(10ml)および水(20ml)でクエンチする。この混合物に、MgSOを添加する。この混合物を濾過し、酢酸エチル(200ml)中10%メタノールで洗浄する。この濾液を、油にまで濃縮する。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中20%酢酸エチル)によって精製し、[6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール−2−イル]−メタノール(2.30g、収率40%)を与える。
【0151】
【数28】

(工程C:2−アジドメチル−6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール)
[6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール−2−イル]−メタノール(2.0g、7.21mmol)を、DMF(950ml)中に溶解し、0℃に冷却する。TEA(2.01ml、14.42mmol)およびMsCl(0.83g、7.21mmol)を添加する。この混合物を、室温で1時間撹拌する。NaN(2.34g、34mmol)を添加する。この反応を、室温で1時間撹拌し、次いで80℃で一晩撹拌する。この混合物を、室温まで冷却し、濃縮する。この残留物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10%酢酸エチル)によって精製し、2−アジドメチル6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール(1.40g、64%)を与える。
【0152】
【数29】

(工程D:[6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール−2−イル]−メチルアミン)
2−アジドメチル−6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール(0.70g、2.31mmol)を、エタノール(10ml)中に溶解する。100mgの10%Pd/Cを添加する。この混合物を、40psiの水素で一晩水素化し、[6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール−2−イル]−メチルアミンを与える。
【0153】
(工程E:[6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール−2イルメチル]−カルバミン酸ベンジルエステル)
[6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール−2−イル]−メチルアミン(0.70g、1.01mmol)をDCM(10ml)中に溶解し、0℃に冷却する。DIEA(0.35ml、2.02mmol)およびCbz−Cl(0.17g、1.01mmol)を添加する。この混合物を、1時間室温で撹拌する。この反応混合物を濃縮し、そしてこの残留物を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10%酢酸エチル)によって精製し、[6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール−2−イルメチル]−カルバミン酸ベンジルエステルを与える。
【0154】
(工程F:(6−ヒドロキシ−1H−インドール−2−イルメチル)−カルバミン酸ベンジルエステル)
[6−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1H−インドール−2−イルメチル]−カルバミン酸ベンジルエステル(0.80g、1.95mmol)を、THF(2ml)に溶解する。−78℃に冷却する。THF(3.90ml)中1M TBAF溶液を添加する。この反応混合物を濃縮し、そしてこの残留物を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中30%酢酸エチル)によって精製し、(6−ヒドロキシ−1H−インドール−2−イルメチル)−カルバミン酸ベンジルエステルを得る。
【0155】
(工程G:2−(2−アミノメチル−1H−インドール−6−イルオキシ)−マロン酸ジエチルエステル)
(6−ヒドロキシ−1H−インドール−2−イルメチル)−カルバミン酸ベンジルエステルを、10mlアセトン中に溶解し、CsCOおよびクロロマロン酸ジエチルを添加した。この反応を、一晩撹拌する。HPLCおよびTLCは、この反応が完了したことを示した。この混合物を、酢酸エチルで希釈し、シリカゲルプラグを通して濾過する。この濾液を濃縮し、エタノール中に再溶解し、40psiの水素にて3時間、水素化する。この混合物を濾過し、酢酸エチルで洗浄する。この濾液を濃縮し、2−(2−アミノメチル−1H−インドール−6−イルオキシ)−マロン酸ジエチルエステルを与える。
【0156】
(工程H:2−[2−(ベンゼンスルホニルアミノ−メチル)−1H−インドール−6−イルオキシ]−マロン酸ジエチルエステル)
2−(2−アミノメチル−1H−インドール−6−イルオキシ)−マロン酸ジエチルエステル(80mg、0.25mmol)を、DCM(2ml)中に溶解する。DIEA(87ml、0.50mmol)を添加する。この溶液に、塩化ベンゼンスルホニル(44mg、0.25mmol)を添加する。この反応を、室温で2時間撹拌する。この反応混合物を濃縮し、そしてこの残留物を、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中30%酢酸エチル)によって精製し、表題の化合物を与える。
【0157】
(工程I:2−[2−(ベンゼンスルホニルアミノ−メチル)−1H−インドール−6−イルオキシ]マロン酸)
2−[2−(ベンゼンスルホニルアミノ−メチル)−1H−インドール−6−イルオキシ]−マロン酸ジエチルを、エタノール(3ml)中に溶解する。1M NaOH(2ml)を添加する。この混合物を、1時間撹拌する。この混合物を、1M HClでpH=2まで酸性化し、C18カラムクロマトグラフィー(水中15%アセトニトリル)によって精製した。
【0158】
【数30】

以下の化合物は、上記されるものと類似の化学を使用して調製され得る:
(実施例24:2−[2−(フェニルメタンスルホニルアミノ−メチル)−1H−インドール−6−イルオキシ]−マロン酸)
【0159】
【化42】

【0160】
【数31】

(実施例25:2−{2−[(4−アセチルアミノ−ベンゼンスルホニルアミノ)−メチル]−1H−インドール−6−イルオキシ}−マロン酸)
【0161】
【化43】

【0162】
【数32】

(実施例26:2−{2−[(ビフェニル−4−スルホニルアミノ)−メチル]−1H−インドール−6−イルオキシ}−マロン酸)
【0163】
【化44】

【0164】
【数33】

(実施例27:2−(2−{[(1−アセチル−ピペリジン−4−カルボニル)−アミノ]−メチル}−1H−インドール−6−イルオキシ)−マロン酸)
【0165】
【化45】

【0166】
【数34】

(実施例28:2−[2−(メタンスルホニルアミノ−メチル)−1H−インドール−6−イルオキシ]−マロン酸)
【0167】
【化46】

【0168】
【数35】

(実施例29:2−{2−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニルメタンスルホニルアミノ)−メチル]−1H−インドール−6−イルオキシ}−マロン酸)
【0169】
【化47】

【0170】
【数36】

(実施例30:2−{2−[(3,5−ジクロロ−フェニルメタンスルホニルアミノ)−メチル]−1H−インドール−6−イルオキシ}−マロン酸)
【0171】
【化48】

【0172】
【数37】

(実施例31:2−{2−[(2,2−ジフェニル−エタンスルホニルアミノ)−メチル]−1H−インドール−6−イルオキシ}−マロン酸)
【0173】
【化49】

【0174】
【数38】

(実施例32:2−{2−[(4’−メチル−ビフェニル−4−スルホニルアミノ)−メチル]−1H−インドール−6−イルオキシ}−マロン酸)
【0175】
【化50】

【0176】
【数39】

(実施例33:2−{2−[(4’−クロロ−ビフェニル−4−スルホニルアミノ)−メチル]−1H−インドール−6−イルオキシ}−マロン酸)
【0177】
【化51】

【0178】
【数40】

(実施例34:2−(2−ベンジルカルバモイル−1H−インドール−6−イルオキシ)−マロン酸)
【0179】
【化52】

【0180】
【数41】

(実施例35:2−(2−フェネチルカルバモイル−1H−インドール−6−イルオキシ)−マロン酸)
【0181】
【化53】

【0182】
【数42】

(実施例36:2−[2−(4−フェニル−ブチルカルバモイル)−1H−インドール−5−イルオキシ]−マロン酸)
【0183】
【化54】

【0184】
【数43】

(実施例37:2−({2−[(ベンジル−フェニルメタンスルホニル−アミノ)−メチル]−1H−インドール−6−イルオキシ}−マロン酸)
【0185】
【化55】

【0186】
【数44】

(実施例38:2−(2−{[(4−フェニル−ブチル)−フェニルメタンスルホニル−アミノ]−メチル}−1H−インドール−6−イルオキシ)−マロン酸)
【0187】
【化56】

2−[2−(フェニルメタンスルホニルアミノ−メチル)−1H−インドール−6−イルオキシ]−マロン酸ジエチルエステル(20mg、0.042mmol)を、THF(1ml)中に溶解する。PhP(17mg、0.063mmol)およびDIAD(128mg、0.063mmol)を添加する。この混合物を2分間撹拌し、そしてフェンブタノールを添加する。この反応を、一晩撹拌する。この反応混合物を濃縮し、そしてこの残留物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中15%酢酸エチル)によって精製し、14mgのエステルを得る。このエステルをメタノール(2ml)中に溶解する。1N NaOH水溶液(0.40ml)を添加する。この反応を、1時間撹拌し、そして1N HClで酸性化する。この生成物を、C18カラム(水中40%アセトニトリル)によって精製した。
【0188】
【数45】

(実施例39:2−[3−アセチル−2−(フェニルメタンスルホニルアミノ−メチル)−1H−インドール−6−イルオキシ]−マロン酸)
【0189】
【化57】

【0190】
【数46】

(実施例40:2−[3−ベンゾイル−2−(フェニルメタンスルホニルアミノ−メチル)−1H−インドール−6−イルオキシ]−マロン酸)
【0191】
【化58】

【0192】
【数47】

(実施例41:SHP−2アッセイ条件)
SHP−2のN−末端6His−タグ化触媒的ドメイン(250〜527)を、E.coliに発現させ、そしてタンパク質を従来の方法によって精製する。SHP−2の活性を、蛍光性二リン酸塩(FDP)の脱リン酸化によって生じる蛍光性シグナルを測定することにより、評価した。このアッセイを、96ウェルポリプロピレンブラックプレートにおいて行う。この最終的なアッセイ容積は、100μLであり、そして25mM NaOAc、pH6、0.02%Triton X−100、10mM DTTおよび2nM SHP−2から成る。インヒビターをDMSO中に懸濁させ、そして全ての反応(コントロールを含む)を、最終濃度の3%DMSOにて行う。反応を、3μM FDPの添加によって開始し、そして周囲温度で25分間インキュベートする。プレートを、Molecular Devices Geminiプレートリーダー、Ex 485、Em 538、Cutoff 530を使用して読み取った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

を有する化合物であって、
ここで:
A環は、必要に応じて置換される、アリール環またはヘテロアリール環であり;
は、−COOHであり;
nは、0〜4であり;
は、H、または必要に応じて置換される、脂肪族ヒドロキシ、脂肪族アミノ、脂肪族−COOH、脂肪族−CONH、または脂肪族アリールであり;
は、必要に応じて置換される、脂肪族、脂肪族アリール、脂環式脂肪族、脂肪族ヘテロアリール、または脂肪族複素環であり;
およびRは、独立して、R11、R12、R14、またはR15から選択され;
ここで:
各R11は、独立して、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、Rまたは(CH−Yから選択され;
ここでmは、0、1、または2であり;そして
Yは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORから選択され;
各R12は、独立して、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、または(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状の、アルケニルもしくはアルキニルから選択され;そして各R12は、2つまでの置換基を必要に応じて含み、ここで:
第1の該置換基は、存在する場合、R11、R14、およびR15から選択され、そして
第2の該置換基は、存在する場合、R11であり;
各R14は、独立して、OR15、OC(O)R、OC(O)R15、OC(O)OR、OC(O)OR15、OC(O)N(R、OP(O)(OR、SR、SR15、S(O)R、S(O)R15、SO、SO15、SON(R、SONR15、SO、C(O)R15、C(O)OR15、C(O)R、C(O)OR、NC(O)C(O)R、NC(O)C(O)R15、NC(O)C(O)OR、NC(O)C(O)N(R、C(O)N(R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R15、C(NOR)R、C(NOR)R15、N(R、NRC(O)R11、NRC(O)R、NRC(O)R15、NRC(O)OR、NRC(O)OR15、NRC(O)N(R、NRC(O)NR15、NRSO、NRSO15、NRSON(R、NRSONR15、N(OR)R、N(OR)R15、P(O)(OR)N(R、およびP(O)(ORから選択され;
各R15は、脂環式、アリール、複素環、または複素芳香族であり;そして各R15は、3つまでの置換基を必要に応じて含み、該置換基のうちの各々は、存在する場合、R11であり;
各Rは、独立して、H、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、または(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルケニルから選択され;そして各Rは、Rである置換基を必要に応じて含み;
は、脂環式、アリール、複素環、または複素芳香族であり;そして各Rは、H、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルケニル、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、または(CH−Zから独立して選択される2つまでの置換基を必要に応じて含み;
ここでpは、0、1または2であり;そして
Zは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、S(C〜C)−アルキル、SO(C〜C)−アルキル、SO(C〜C)−アルキル、NH、NH(C〜C)−アルキル、N((C〜C)−アルキル)、N((C〜C)−アルキル)R、COOH、C(O)O(C〜C)−アルキル、またはO(C〜C)−アルキルから選択され;そして
は、アミノ保護基であり;
ただし:
およびRは、同時に水素ではなく;
がHである場合、Rは、クロロでなく;そして
がHである場合、Rは、−SCHでも−NH−C(O)CHでもない、
化合物。
【請求項2】
A環が、必要に応じて置換される、5員もしくは6員のアリール環またはヘテロアリール環であり、ここで該ヘテロアリール環が、O、S、またはNHから独立して選択される2つまでの環ヘテロ原子を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
A環が、フェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、水素、−(CH−Xであり、ここでqが、1〜4であり、そしてXが、OH、NH、COOHもしくはCONH、(C〜C)−アルキル、またはベンジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、水素、ヒドロキシメチル、メチル、−CHCOOH、−CHCONH、アミノブチル、メチル、またはイソペンチルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、ブチル、イソブチル、メトキシプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルメチル、フェニル、トリフルオロフェニル、ベンジル、フルオロベンジル、メチレンジオキシベンジル、ピリジルメチル、フラニルメチル、テトラヒドロフラニルメチル、N−モルホリニルメチル、チエニルメチル、2−オキソ−ピロロジニルプロピル、フェニルエチル、クロロフェニルエチル、メトキシフェニルエチル、またはジメトキシフェニルエチルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、2−フラニルメチルまたはメチルから選択され、別の好ましい実施形態に従って、RおよびRが、独立して、水素、ハロ、アセトアミド、アリルオキシ、チオフェニル、スルホキシアルキル、またはスルホキシフェニルから選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
式(II):
【化2】

の化合物であって、
ここで:
Xは、−(CH−、または−C(O)−であり;
nは、1〜3であり;
Yは、O、S、NH、またはN(C〜C脂肪族)であり;
Zは、HまたはC〜C脂肪族であり;
Qは、0または1であり;
A、R、R、およびRは、独立して、R11、R12、R14、またはR15から選択され;
ここで:
各R11は、独立して、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、Rまたは(CH−Yから選択され;
ここでmは、0、1、または2であり;そして
Yは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORから選択され;
各R12は、独立して、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状の、アルケニルまたはアルキニルから選択され;そして各R12は、2つまでの置換基を必要に応じて含み、ここで:
第1の該置換基は、存在する場合、R11、R14、およびR15から選択され、そして
第2の該置換基は、存在する場合、R11であり;
各R14は、独立して、OR15、OC(O)R、OC(O)R15、OC(O)OR、OC(O)OR15、OC(O)N(R、OP(O)(OR、SR、SR15、S(O)R、S(O)R15、SO、SO15、SON(R、SONR15、SO、C(O)R15、C(O)OR15、C(O)R、C(O)OR、NC(O)C(O)R、NC(O)C(O)R15、NC(O)C(O)OR、NC(O)C(O)N(R、C(O)N(R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R15、C(NOR)R、C(NOR)R15、N(R、NRC(O)R11、NRC(O)R、NRC(O)R15、NRC(O)OR、NRC(O)OR15、NRC(O)N(R、NRC(O)NR15、NRSO、NRSO15、NRSON(R、NRSONR15、N(OR)R、N(OR)R15、P(O)(OR)N(R、およびP(O)(ORから選択され;
各R15は、脂環式、アリール、複素環、または複素芳香族であり;そして各R15は、3つまでの置換基を必要に応じて含み、該置換基のうちの各々は、存在する場合、R11であり;
各Rは、独立して、H、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、または(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルケニルから選択され;そして各Rは、Rである置換基を必要に応じて含み;
は、脂環式、アリール、複素環、または複素芳香族であり;そして各Rは、H、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、(C〜C)の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルケニル、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、または(CH−Zから独立して選択される2つまでの置換基を必要に応じて含み;
ここでpは、0、1または2であり;そして
Zは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、S(C〜C)−アルキル、SO(C〜C)−アルキル、SO(C〜C)−アルキル、NH、NH(C〜C)−アルキル、N((C〜C)−アルキル)、N((C〜C)−アルキル)R、COOH、C(O)O(C〜C)−アルキル、またはO(C〜C)−アルキルから選択され;そして
は、アミノ保護基であるか;
またはRおよびRは、一緒になって、3つまでの置換基を有する、必要に応じて置換される複素環式環を形成する、
化合物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物、および薬学的に受容可能なアジュバントまたはキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項10】
患者における疾患の重篤度を処置するか、または低減させる方法であって、ここで、該疾患が、自己免疫疾患、増殖性疾患、血管形成障害、または癌から選択され、該方法が、請求項9に記載の組成物を該患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項11】
患者におけるSHP−2−媒介性疾患もしくは状態の重篤度を処置するか、または低減させる方法であって、該方法が、請求項9に記載の組成物を該患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項12】
前記自己免疫疾患が、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーヴズ病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、または対宿主性移植片病から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記増殖性疾患が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポージ肉腫、多発性骨髄腫、またはHTLV−1媒介性腫瘍形成から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記血管形成障害が、充実性腫瘍、眼の新生血管形成、または乳児血管腫から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記癌が、結腸癌、乳癌、胃癌、または卵巣癌から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物でコーティングされる、移植可能な医療デバイスであって、該デバイスが、プロテーゼ、人工弁、血管性グラフト、ステントまたはカテーテルから選択される、デバイス。

【公表番号】特表2006−514658(P2006−514658A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565845(P2004−565845)
【出願日】平成15年12月31日(2003.12.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/041661
【国際公開番号】WO2004/060878
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】