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ホスファターゼの測定方法
説明

ホスファターゼの測定方法

【課題】本発明の課題は、測定感度の高いホスファターゼの測定方法を提供することに在る。
【解決手段】試料中のホスファターゼに基質として有機モノリン酸エステルを作用させ、生成するリン酸とヒドロキシ化合物とを同一の波長で吸光度測定できる測定系において、両者を併せて同時に測定することにより、ホスファターゼを従来にはなかった高い感度で測定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床生化学等に有用なホスファターゼの測定方法に関する。更に詳細には、試料中のホスファターゼに基質として有機モノリン酸エステルを作用させ、生成するリン酸とヒドロキシ化合物とを同一の波長で吸光度測定できる測定系において、両者を併せて同時に測定することにより、ホスファターゼを従来にはなかった高い感度で測定できる、ホスファターゼの測定方法およびそれに用いるキットに関する。
【背景技術】
【0002】
ホスファターゼは、身体組織中に存在し、主に有機モノリン酸エステルを水解し、リン酸とヒドロキシ化合物とを生成する酵素の総称である。臨床的にはアルカリ側に至適pHをもつアルカリホスファターゼ(ALP)と、酸性側に至適pHをもつ酸性ホスファターゼ(ACP)が主に測定されている。
血中におけるアルカリホスファターゼの酵素活性は、肝、胆道あるいは骨疾患などにより上昇することが知られており、血中の酸性ホスファターゼの酵素活性は、前立腺癌、骨疾患などにより上昇する。そのため、ホスファターゼは、各種疾患の診断のために測定されている。
ホスファターゼの測定は、基質として各種の有機モノリン酸エステルを使用する方法が知られている。ホスファターゼの測定法としては、β−グリセロリン酸を用いるBodansky法、フェニルリン酸を用いるKind−King法、4−ニトロフェニルリン酸を用いるBessey−Lowry法、チモールフタレンリン酸を用いるチモールフタレンリン酸法等が知られている。
【0003】
Bodansky法は、基質としてβ−グリセロリン酸を用い、ホスファターゼと基質とを反応させ、グリセリンとリン酸を生成させ、次いで、そのリン酸と試薬としてのモリブデン酸とを反応させ6価のリンモリブデン酸塩(モリブデンブルー)を形成させ、さらに還元剤を加え3価のリンモリブデン酸塩(モリブデン酸ブルー)にし、適当な波長で比色することにより、ホスファターゼを測定する方法である(非特許文献1)。King−Kind法は、基質としてフェニルリン酸を用い、ホスファターゼと基質とを反応させ、試薬遊離したフェノールをフェリシアン化カリウムの存在下で4−アミノアンチピリンと酸化的に縮合させ、生じる赤色キノンを比色定量する方法である(非特許文献2)。Bessey−Lowry法は、基質として4−ニトロフェニルリン酸を用い、ホスファターゼと基質とを反応させ、遊離した4−ニトロフェニノールがアルカリ性で黄色であることを利用し、その4−ニトロフェノールを405nmで測定しホスファターゼを測定する方法である。チモールフタレンリン酸法は、基質としてチモールフタレンリン酸を用い、ホスファターゼと基質とを反応させ、遊離したチモールフタレンをpH11以上とし青色に呈色させ、これを660nmで測定する方法である(非特許文献3)。
【0004】
しかし、アルカリホスファターゼを酵素免疫法の標識酵素として使用したり、生体成分に微量に存在する特定のホスファターゼ(例えば、前立腺由来酸性ホスファターゼ、破骨細胞由来酸性ホスファターゼ、骨由来アルカリホスファターゼ)を測定する必要とする場合、さらなる感度の良いホスファターゼの測定方法が求められてきている。
【非特許文献1】Bodansky,A.:J.Biol.Chem.,101,93(1933)
【非特許文献2】吉田光孝,他:臨床化学分析IV,酵素,88,東京化学同仁(1970)
【非特許文献3】Roy.A.V.et al:Clin.Chem.17,1093(1971)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、微量のホスファターゼを感度良く測定する方法およびそれに用いるキットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の(1)から(40)に関する。
(1) 試料中のホスファターゼに基質として有機モノリン酸エステルを作用させリン酸とヒドロキシ化合物とを生成させて試料中のホスファターゼを測定する方法において、試料に、i)基質として、生成するヒドロキシ化合物が特定の波長の吸光度により測定可能な有機モノリン酸エステル、及びii)リン酸測定試薬成分として、生成するリン酸をその特定の波長と同じ波長で吸光度を測定可能とするための試薬成分を加え、そのリン酸とヒドロキシ化合物の2つの測定系で同一の特定波長の吸光度変化を同時に併せて測定してホスファターゼを測定することを特徴とするホスファターゼの測定方法;
(2) 上記ii)のリン酸測定試薬成分が、リン酸を酵素法で測定するための試薬成分である、上記(1)に記載の測定方法;
(3) 上記ii)のリン酸測定試薬成分が、その試薬成分中に存在する試薬遊離リン酸を予め除去しておく、上記(2)に記載の測定方法;
(4) 試薬遊離リン酸を予め除去する方法として、カラムクロマトグラフィーまたは透析による物理的手段で試薬遊離リン酸を除去する方法あるいは酵素的にリン酸を除去する方法を行う、上記(3)に記載の測定方法;
(5) リン酸測定試薬成分が、生成するリン酸に対して、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、生成するリン酸を測定するための試薬成分であって、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応として、下記反応式(I)
【化1】


(式中、A1はチオNADP類またはチオNAD類を示し、A2はA1の還元型生成物を示し、B1は還元型NADP類または還元型NAD類を示し、B2はB1の酸化型生成物を示す)で表わされる酵素サイクリング反応を行って生成物Zを生じさせ、該反応によって変化するA2の量を波長405nm付近の吸光度で測定してリン酸を測定するための試薬成分であり、かつ、生成するヒドロキシ化合物が波長405nm付近の吸光度で測定可能である、上記(2)から(4)のいずれかに記載の測定方法;
(6) 基質がp−ニトロフェニルリン酸類またはナフチルリン酸類であり、基質から生成するヒドロキシ化合物が、それぞれ、p−ニトロフェノール類、ナフトール類である、上記(5)に記載の方法;
(7) 酵素的に試薬遊離リン酸を除去する方法として、上記(5)における単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって、上記(5)の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分を用い、更に、それらの補酵素とは別に補酵素C1として、最終酵素反応であるデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応として、下記反応式(II)
【化2】


(式中、C1は、A1、B1とは独立にチオNADP類、チオNAD類、NADP類またはNAD類を示し、C2はC1の還元型生成物を示す)で表される酵素反応を行うための補酵素を用いて、上記(5)の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分中の試薬遊離リン酸に対して、上記反応式(II)で表されるデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、生成物Zを生じさせて、上記(5)における単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって上記(5)の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分中の試薬遊離リン酸を除去する方法を行う、上記(5)または(6)に記載の測定方法;
(8) 上記(5)における単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって、上記(5)の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分と補酵素C1とを混合して、それら試薬成分中の試薬遊離リン酸を一緒にし、一緒にした試薬遊離リン酸を含む、該試薬成分の混合物を加温して、反応式(II)で表されるデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、試薬遊離リン酸を除去する、上記(7)に記載の測定方法;
(9) 反応式(II)で表されるデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応をpH4.0〜7.5で行ない、生成するチオNADP類、チオNAD類、NADP類およびNAD類のいずれかの還元生成物C2が分解されていく、上記(7)または(8)に記載の測定方法;
(10) 反応式(II)で表されるデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応の際、さらに生成物Zが減少していく酵素系を存在させておく、上記(7)から(9)のいずれかに記載の測定方法;
(11) デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数の酵素反応が下記式(III)
【化3】


(ただし、デヒドロゲナーゼはD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを示し、A1,A2,B1,B2は、それぞれ前記の通りである)で表される、上記(5)から(10)のいずれかに記載の測定方法;
(12) 試薬成分中に存在する試薬遊離リン酸を除去するために、試薬成分であるD−グリセルアルデヒド−3−リン酸およびD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、更に、チオNADP類、チオNAD類、NADP類またはNAD類を用いて、それら試薬成分中の試薬遊離リン酸に対して、下記式(IV)
【化4】


(ただし、デヒドロゲナーゼはD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを示し、C1、C2は、それぞれ前記の通りである)で表される酵素反応を行って、試薬成分中に存在する試薬遊離リン酸を除去する、上記(11)に記載の測定方法;
(13) 試薬遊離リン酸消去の際、生成物1,3−ジホスホグリセリン酸を減少させる酵素として、ビホスホグリセレートムターゼを試薬成分中に存在させておくことにより、下記反応式(V)
【化5】


で表される酵素反応を行う、上記(12)に記載の測定方法;
(14) デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする複数の酵素反応が下記式(VI)
【化6】


(式中、A1,A2,B1,B2は前記のとおり)で表される、上記(5)から(10)のいずれかの記載の測定方法;
(15) 試薬成分中に存在する試薬遊離リン酸を除去するために、試薬成分であるマルトース、マルトースホスホリラーゼ、β−ホスホグルコムターゼおよびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、更に、チオNADP類、チオNAD類、NADP類またはNAD類を用いて、それら試薬成分中の試薬遊離リン酸に対して、下記式(VII)
【化7】


(式中、C1、C2は前記のとおり)で表される酵素反応を行って、試薬成分中に存在する試薬遊離リン酸を除去する、上記(14)に記載の測定方法;
(16) 試薬遊離リン酸消去の際、生成物グルコノラクトン−6−リン酸を減少させる酵素として、6−ホスホグルコノラクトナーゼを試薬成分中に存在させておくことにより、下記反応式(VIII)
【化8】


で表される酵素反応を行う、上記(15)に記載の測定方法;
(17) NADP類が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)、アセチルピリジンアデニンジヌクレオチドホスフェート(アセチルNADP)およびアセチルピリジンヒポキサンチンジヌクレオチドホスフェートおよびニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチドホスフェート(デアミノNADP)からなる群より選ばれるものである、上記(5)から(16)のいずれかに記載の測定方法;
(18) NAD類が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アセルピリジンアデニンジヌクレオチド(アセチルNAD)、アセチルピリジンヒポキサンチンジヌクレオチドおよびニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド(デアミノNAD)からなる群より選ばれるものである、上記(5)から(16)のいずれかに記載の測定方法;
(19) チオNADP類が、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(チオNADP)およびチオニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチドホスフェートからなる群より選ばれるものである、上記(5)から(16)のいずれかに記載の測定方法;
(20) チオNAD類が、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)およびチオニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチドからなる群より選ばれるものである、上記(5)から(16)のいずれかに記載の測定方法;
【0007】
(21) リン酸測定試薬成分が、生成するリン酸に対して、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、生成するリン酸を測定するための試薬成分であって、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応として、下記反応式(IX)
【化9】


で表わされるNAD(P)H類生成反応を行って生成物Zを生じさせ、該反応によって変化するNAD(P)H類の量を波長340nm付近の吸光度で測定してリン酸を測定するための試薬成分であり、かつ、ホスファターゼの基質分解物であるヒドロキシ化合物が波長340nm付近の吸光度で測定可能である、上記(2)から(4)のいずれかに記載の測定方法;
(22) 基質がp−アシルフェニルリン酸類であり、基質から生成されるヒドロキシ化合物がp−アシルフェノール類である、上記(21)の測定方法;
【0008】
(23) リン酸測定試薬成分が、ホスファターゼ反応により生成したリン酸に対して、オキシダーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行なって、そのリン酸を測定するための試薬成分であって、オキシダーゼを用いた酵素反応として、下記反応式(X)
【化10】


で表される、酵素反応を行なって過酸化水素を発生させ、次いでその過酸化水素を色原体とパーオキシダーゼの存在下で酵素反応させ、該反応によって生成する発色物質の変化量を波長480〜750nmの吸光度で測定してリン酸を測定するための試薬成分であり、かつ、生成するヒドロキシ化合物が波長480nm〜750nmの吸光度で測定可能である、上記(2)から(4)のいずれかに記載の測定方法;
(24) 基質が、生成するヒドロキシ化合物が480〜750nmの範囲内の波長で吸光度を測定することにより測定可能な色素系フェノール化合物である、上記(23)に記載の測定方法;
(25) オキシダーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする複数の酵素反応が、下記反応式(XI)
【化11】


で表される、上記(23)または(24)に記載の測定方法;
(26) オキシダーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数の酵素反応が、下記反応式(XII)
【化12】


で表される、上記(23)または(24)に記載の測定方法;
(27) 酵素的に試薬遊離リン酸を除去する方法として、単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって、酵素反応を行うためのパーオキシダーゼおよび色原体(ただし色原体が2つの化合物の組み合わせの場合は少なくともそのどちらか一方)以外の試薬成分を用いて、下記反応式(XIII)
【化13】


で表される、単数または複数の酵素反応を行い過酸化水素を発生させ、次いでカタラーゼを用いた酵素反応を行なって過酸化水素をカタラーゼの存在下で消去させ、パーオキシダーゼおよび色原体(ただし色原体が2つの化合物の組み合わせの場合は少なくともそのどちらか一方)以外の試薬成分中の試薬遊離リン酸を除去する方法を行う、上記(23)から(26)のいずれかに記載の測定方法;
(28) 試薬遊離リン酸を除去した後、試薬にアジ化ナトリウムを加えて試薬中のカタラーゼを阻害させ、過酸化水素消去反応の能力を阻害する、上記(27)に記載の測定方法;
(29) 反応式(X)において用いる色原体が、カップラー・アニリン系トリンダー試薬である、上記(23)から(28)のいずれかに記載の測定方法;
(30) 色原体として、N−エチル−N−スルホプロピル−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3−メチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、及びN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリンから選ばれるアニリン系トリンダー試薬と、カップラーとの組合せを用いる、上記(29)に記載の測定方法;
(31) 反応式(X)において用いる色原体が高感度単独色原体である、上記(23)から(28)のいずれかに記載の測定方法;
(32) 高感度単独色原体が、ジフェニルアミン系色原体、フェノチアジン系色原体またはジフェニルメタン系色原体である、上記(31)に記載の測定方法;
【0009】
(33) 試料中のホスファターゼに基質として有機モノリン酸エステルを作用させリン酸とヒドロキシ化合物とを生成させて試料中のホスファターゼを測定するためのキットであって、そのリン酸とヒドロキシ化合物の2つの測定系で同一の特定波長の吸光度変化を同時に併せて測定してホスファターゼを測定するためのキットであり、試薬成分として、i)基質として、生成するヒドロキシ化合物が特定の波長の吸光度により測定可能な有機モノリン酸エステル、及びii)リン酸測定試薬成分として、生成するリン酸をその特定の波長と同じ波長で吸光度を測定可能とするための試薬成分を含む、キット;
(34) リン酸測定試薬成分が、上記(5)に記載の酵素サイクリング反応を行うための試薬成分であり、かつ、基質が、基質から生成するヒドロキシ化合物が波長405nm付近の吸光度で測定可能な基質である、上記(33)に記載のキット;
(35) リン酸測定試薬成分が、上記(5)における単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって上記(5)の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分と、上記(7)の反応式(II)中の最終酵素反応を行うための補酵素C1とを含む遊離リン酸消去用試薬、あるいは該遊離リン酸消去用試薬を酵素反応させて得られる遊離リン酸消去試薬;および上記(5)の反応式(I)中の酵素サイクリング反応を行うための補酵素を含む、上記(34)に記載のキット;
(36) リン酸測定試薬成分が、上記(21)に記載の酵素反応を行うための試薬成分であり、かつ、基質が、基質から生成するヒドロキシ化合物が波長340nm付近の吸光度で測定可能な基質である、上記(33)に記載のキット;
(37) リン酸測定試薬成分が、上記(23)に記載の酵素反応を行うための試薬成分であり、かつ、基質が、基質から生成するヒドロキシ化合物が波長480nm〜750nmの吸光度で測定可能な基質である、上記(33)記載のキット;
(38) リン酸測定試薬成分が、上記(23)における単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって上記(23)の酵素反応を行うためのパーオキシダーゼおよび色原体(ただし色原体が2つの化合物の組み合わせの場合は少なくともそのどちらか一方)以外の試薬成分と、請求項27の反応式(XIII)中のカタラーゼを用いた酵素反応を行うためのカタラーゼとを含む遊離リン酸消去用試薬、あるいは該遊離リン酸消去用試薬を酵素反応させて得られる遊離リン酸消去試薬;および上記(23)の反応式(X)の酵素反応を行うためのパーオキシダーゼおよび色原体(ただし色原体が2つの化合物の組み合わせの場合は少なくともそのどちらか一方)を含む、上記(37)のキット;
(39) 基質が、リン酸測定試薬成分と一緒になって含まれている、あるいは、遊離リン酸消去用試薬または遊離リン酸消去試薬と一緒になって含まれている、上記(33)から(38)のいずれかに記載のキット;および
(40) リン酸測定試薬成分が、遊離リン酸消去試薬または遊離リン酸消去用試薬と、遊離リン酸非消去試薬からなるリン酸濃度測定試薬とから構成され;遊離リン酸消去試薬または遊離リン酸消去用試薬が、リン酸を測定するための試薬の一部の成分を含み、かつ、遊離リン酸消去試薬は試薬遊離リン酸を酵素反応により除去された試薬であり、遊離リン酸消去用試薬は試薬遊離リン酸を酵素反応により除去する前の試薬であり;リン酸濃度測定試薬がリン酸測定試薬の必須成分のうち、遊離リン酸消去測定試薬または遊離リン酸消去用試薬に含まれていない成分を含む、上記(33)に記載のキット。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、試料中のホスファターゼに基質として有機モノリン酸エステルを作用させ、生成するリン酸を、ヒドロキシ化合物の吸光度を測定する波長と同一の波長で測定できる系に誘導し、リン酸由来の測定系とヒドロキシ化合物の測定系とを併せて同じ波長での吸光度変化を測定することにより、ホスファターゼを従来にはなかった感度で測定できる。また、汎用の自動分析装置でホスファターゼを用いて感度良く測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において、試料とはホスファターゼを含む可能性のあるものであれば特に限定されずいずれの試料であってもよい。試料としては、例えば、生体試料、血漿、血清、それらの希釈液、それらのモデルサンプルを例示できる。
本明細書において、試料含有リン酸とは、測定対象の試料に最初から存在しているリン酸をいう。
本明細書において、中間生成リン酸とは、ホスファターゼにその基質の有機モノリン酸エステルを作用させて加水分解することにより生成するリン酸をいう。
本明細書において、試薬遊離リン酸とは、ホスファターゼまたは中間生成リン酸を測定するための試薬に不純物として含まれているリン酸をいう。
本明細書において、チオNAD(P)類とは、チオNAD類またはチオNADP類をいう。また、チオNAD(P)とは、チオNADまたはチオNADPをいう。
本明細書において、NAD(P)類とは、NAD類またはNADP類をいう。また、NAD(P)とは、NADまたはNADPをいう。
本発明において、リン酸測定試薬成分とは、リン酸を測定するために必要な成分をいう。
本発明において、リン酸測定試薬成分が、リン酸を酵素法で測定するための試薬成分であり、かつ、その試薬成分中に存在する試薬遊離リン酸を予め除去しておく場合、リン酸測定試薬成分は、通常、遊離リン酸消去試薬または遊離リン酸消去用試薬と、リン酸濃度測定試薬とから構成される。
本明細書において、遊離リン酸消去試薬とは、リン酸測定試薬成分の一部を構成し、かつ、試薬中の遊離リン酸を消去する操作を加えた試薬をいう。また、遊離リン酸消去用試薬とは、同様にリン酸測定試薬成分の一部を構成し、かつ、試薬中の遊離リン酸を消去する操作を加える前の試薬をいう。
本明細書において、遊離リン酸非消去試薬とは、リン酸測定試薬成分の一部を構成し、かつ、主に試薬遊離リン酸を含まない理由から、試薬中の遊離リン酸を消去する操作を加える必要がない試薬をいう。
本明細書において、遊離リン酸消去試薬等とは、遊離リン酸消去試薬または遊離リン酸消去用試薬をいう。
本明細書において、リン酸濃度測定試薬とは、本来、リン酸濃度を測定するための全部の必須成分を含む試薬であるが、その必須成分のうち、遊離リン酸消去試薬または遊離リン酸消去用試薬に含まれている成分の全部または一部を含まなくてもよい試薬をいう。本発明において、リン酸濃度測定試薬は、通常、遊離リン酸非消去試薬からなる。
本発明において、ホスファターゼを測定するときは、例えば、有機モノリン酸エステル(ホスファターゼの基質)は、そのリン酸濃度測定用試薬または遊離リン酸消去試薬もしくは遊離リン酸消去用試薬に含ませることが好ましい。また、本発明において、遊離リン酸消去用試薬を用いる場合は、これを第一試薬として用いて試料と混合して試薬遊離リン酸を除去し、次いでリン酸濃度測定試薬を添加することが好ましい。
一般的には、遊離リン酸消去用試薬を加熱し酵素反応させ遊離リン酸を除去させることにより、試薬遊離リン酸消去試薬を製造し、それをホスファターゼの測定に用いることが好ましい。
本発明に置いては、日立7180型自動分析装置等の自動分析装置に適用できる特徴がある。
【0012】
本発明の測定方法においては、まず、試料中のホスファターゼに基質として有機モノリン酸エステルを作用させリン酸とヒドロキシ化合物とを生成させる。
本発明の測定対象のホスファターゼとしては、基質として有機モノリン酸エステルを作用させたとき、リン酸とヒドロキシ化合物とを生成させる酵素であればいずれの酵素であってもよく特に限定されない。本発明の測定対象のホスファターゼとしては、例えば、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、前立腺由来酸性ホスファターゼ、破骨細胞由来酸性ホスファターゼ(酒石酸耐性酸性ホスファターゼ、TRACP5b)、骨由来アルカリホスファターゼ等の臨床検査法で測定することが有益なホスファターゼを例示できる。
本明細書におけるホスファターゼの基質とは、有機モノリン酸エステルであり、ホスファターゼの存在下でリン酸とヒドロキシ化合物を酵素的に生成させるものであれば、限定しないが、そのヒドロキシ化合物は、そのリン酸を最終的に測定するときの波長と同じ波長の吸光度を測定できるように基質を選択する必要がある。なお、基質としての有機モノリン酸エステルは、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の塩であってもよい。
【0013】
本明細書において、「生成するリン酸を特定の波長で吸光度を測定可能とするための試薬成分」とは、例えば、リン酸を最終的に特定の波長、例えば波長320〜800nmの吸光度で測定できるリン酸測定試薬であれば特に限定しない。そのリン酸測定試薬を用いてリン酸を測定する方法としては、化学的呈色法、酵素法を例示できる。化学的呈色法は、リン酸に化学試薬を添加して呈色させてリン酸を測定する方法であれば、特に限定されず、例えば、モリブデンブルー法を例示できる。
モリブデンブルー法は、試料中のリン酸イオンにモリブデン酸を加え、6価のリンモリブデン酸塩(黄色)を形成させ、これにアスコルビン酸等の還元剤を加えて3価のリンモリブデン酸塩(モリブデン酸ブルー)にし、その発色した塩を特定の波長で測定することにより、リン酸を測定する方法である。本発明において、リン酸を測定する場合、緩和な条件で測定する点から酵素法が好ましい。そのような酵素法としては、単独または複数の酵素反応の組み合わせを用いて最終的な酵素反応として、A)チオNAD(P)類およびNAD(P)H類の存在下のデヒドロゲナーゼ酵素サイクリング反応で生成するチオNAD(P)H類を測定する系、B)NAD(P)類存在下のデヒドロゲナーゼ反応で生成するNAD(P)H類を測定する系、C)オキシダーゼにより発生した過酸化水素をパーオキシダーゼ(POD)存在下で色原体を酸化発色させ発色物質を測定する系等を例示できる。
以下のこれらA)〜C)を例に本発明を詳述する。
【0014】
A)チオNAD(P)類およびNAD(P)H類の存在下のデヒドロゲナーゼ酵
素サイクリング反応で生成するチオNAD(P)H類を測定する系
この場合、ホスファターゼの測定試薬は、ホスファターゼの基質と中間生成リン酸を測定するためのリン酸測定試薬成分を含み;かつ、ホスファターゼの基質が、基質分解物であるヒドロキシ化合物が波長405nm付近の吸光度で測定可能である基質であり;中間生成リン酸を測定するためのリン酸測定試薬成分が、ホスファターゼ反応で生成したリン酸、すなわち、中間生成リン酸に対して、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、中間生成リン酸を測定するためのリン酸測定試薬成分であって、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応として、下記反応式(I)
【化14】


(式中、A1はチオNADP類またはチオNAD類を示し、A2はA1の還元型生成物を示し、B1は還元型NADP類または還元型NAD類、B2はB1の酸化型生成物を示す)で表わされる酵素サイクリング反応を行って生成物Zを生じさせ、該反応によって変化するA2の量を波長405nm付近、例えば370〜440nm、好ましくは390〜420nmの吸光度で測定して中間生成リン酸を測定するための試薬成分であることを特徴とする。
【0015】
このA)の測定系は、チオNAD(P)H類が、波長405nm付近の吸光度をもつことを応用し、中間生成リン酸を単数または複数の酵素反応に導き最終的に生成するチオNAD(P)H類を発生させ、一方、ホスファターゼの基質として基質分解産物のヒドロキシ化合物が405nm付近で測定可能な基質を使用し、405nm付近で吸光度変化量が増大し感度よくホスファターゼを測定できるものである。
【0016】
この場合に用いられる基質としては、p−ニトロフェニルリン酸類、ナフチルリン酸類を例示できる。ホスファターゼの基質であるp−ニトロフェニルリン酸類としては、p−ニトロフェニルリン酸骨格を有し、ホスファターゼにより基質から生成されるp−ニトロフェノール類が波長405nm付近で吸光度を有するものであればいずれでもよく特に限定されない。p−ニトロフェニルリン酸類としては、例えば、置換基として炭素数1〜2のアルキル基またはハロゲンを有してもよいp−ニトロフェニルリン酸を例示できる。具体的には、p−ニトロフェニルリン酸、2−クロロ−4−ニトロフェニルリン酸、2,6−ジクロロ−4−ニトロフェニルリン酸、3−クロロ−4−ニトロフェニルリン酸、2−メチル−4−ニトロフェニルリン酸、3−メチル−4−ニトロフェニルリン酸を例示できる。そのうち、p−ニトロフェニルリン酸、2−クロロ−4−ニトロフェニルリン酸、2,6−ジクロロ−4−ニトロフェニルリン酸が好ましい。
【0017】
ナフチルリン酸類としては、ナフチルリン酸骨格を有し、ホスファターゼにより基質から生成されるナフトール類が波長405nm付近で吸光度を有するものであればいずれでもよく特に限定されない。また、ナフチルリン酸類としては、α−ナフチルリン酸類、β−ナフチルリン酸類のいずれでもよく、特に、α−ナフチルリン酸類がカップラーなしで測定できる点から好ましい。α−ナフチルリン酸類としては、例えば、置換基として炭素数1〜2のアルキル基またはハロゲンを有してもよいα−ナフチルリン酸を例示できる。具体的には、α−ナフチルリン酸、2−(3−クロロ−ナフチル)リン酸、2−(3−メチル−ナフチル)リン酸を例示できる。
【0018】
中間生成リン酸の測定方法においては、デヒドロゲナーゼを用いた酵素サイクリング反応を最終酵素反応する単数または複数の酵素反応を行って中間生成リン酸を測定できる。この場合、最終酵素反応であるデヒドロゲナーゼを用いた酵素サイクリング反応を行うために、補酵素として、チオNAD(P)類とNAD(P)H類との組み合わせを選択することが必要である。
さらに、本発明に用いるデヒドロゲナーゼが、チオNADP類でなくチオNAD類のみを補酵素とする場合は、上述の酵素反応(I)における補酵素A1とB1は、チオNAD類と還元型NAD類より、また、用いるデヒドロゲナーゼがチオNADP類のみを補酵素とする場合は、上述の上述の酵素反応(I)における補酵素A1とB1は、チオNADP類および還元型NADP類より、さらに用いるデヒドロゲナーゼがチオNAD類およびチオNADP類を共に補酵素にする場合は、上述の酵素反応(I)における補酵素A1とB1は、チオNAD類およびチオNADP類のいずれかと還元型NAD類および還元型NADP類のいずれかとの組み合せにより選択される。
このA)の測定系においては、リン酸測定試薬成分として使用するA1およびB1の補酵素中のリン酸量は無視できる量であるが、リン酸測定試薬成分中のリン酸が特にないことが好ましいので、A1およびB1の組み合わせは、A1としてチオNAD類とB1として還元型NAD類の組み合わせが特に好ましい。
【0019】
本明細書において、チオNADP類またはチオNAD類としては、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(チオNADP)、チオニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチドホスフェート;およびチオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、チオニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチドを例示できる。
また、本明細書において、NADP類またはNAD類としては、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)、アセチルピリジンアデニンジヌクレオチドホスフェート(アセチルNADP)、アセチルピリジンヒポキサンチンジヌクレオチドホスフェート、ニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチドホスフェート(デアミノNADP);およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アセチルピリジンアデニンジヌクレオチド(アセチルNAD)、アセチルピリジンヒポキサンチンジヌクレオチド、ニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド(デアミノNAD)を例示できる。なお、本明細書においては、これら補酵素の還元型は、おのおの、チオNADPH類(還元型チオNADP類)、チオNADH類(還元型チオNAD類)、NADPH類(還元型NADP類)、NADH類(還元型NAD類)として記載することもある。
【0020】
本発明においては、被検試料を測定に付す前に、測定に用いるリン酸測定試薬成分中に存在している試薬遊離リン酸を予め除去することが好ましい。
それらの試薬成分中に存在する遊離リン酸の除去方法としては、各々の試薬成分単独または複数の成分を合わせたものを、カラム、透析等の物理的手段でリン酸を除去する方法、酵素的に遊離リン酸を除去する方法等を例示できる。そのうち、簡便な意味から酵素的に遊離リン酸を除去する方法が好ましい。
【0021】
酵素的に試薬遊離リン酸を除去する方法として、上記した反応式(I)のデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって、上記した反応式(I)の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分を用い、更に、それらの補酵素とは別に補酵素C1として、最終酵素反応であるデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応として、下記反応式(II)
【化15】


(式中、C1は、A1、B1とは独立にチオNADP類、チオNAD類、NADP類またはNAD類を示し、C2はC1の還元型生成物を示す)で表される酵素反応を行うための補酵素を用いて、上記した反応式(I)の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分中の試薬遊離リン酸に対して、上記反応式(II)で表されるデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、生成物Zを生じさせて、上記した反応式(I)における単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって、上記した反応式(I)の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分中の試薬遊離リン酸を除去する方法を行い、その後に、被検試料中のホスファターゼの測定方法を実施することが好ましい。
【0022】
この試薬遊離リン酸を除去する方法を実施するには、例えば、上記した反応式(I)の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外のリン酸測定試薬成分と補酵素C1とを混合して一緒にして、溶液に溶解し、得られる溶液中の遊離リン酸、すなわち、それら各試薬成分中に存在する遊離リン酸を一緒にした試薬遊離リン酸を含む溶液を、加温して、上記反応式(II)で表される、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、生成物Zを生じさせて、それらの試薬成分中の遊離リン酸を除去する方法が好ましい。遊離リン酸消去反応は、例えば、溶液の吸光度が時間的に変化しなくなるのを目安として終了させることが好ましい。
【0023】
遊離リン酸消去反応のpHは、4.0〜7.5で行うことが好ましい。上記反応式(II)における、補酵素C1から生成する還元生成物C2がこの条件で分解しやすいからである。遊離リン酸消去反応の際、デヒドロゲナーゼ反応での遊離リン酸消去反応の効率を高め、また用いる補酵素C1の量を少なくするため、生成物Zを減少させる酵素系がその反応系の中にあることが好ましい。
補酵素C1は、上記反応式(I)におけるA1、B1とは独立にチオNADP類、チオNAD類、NADP類またはNAD類を示すが、A1、B1と同じであってもよい。補酵素C1は、入手のしやすさからNAD類、NADP類が好ましく、NAD類がさらに好ましい。
【0024】
このようにして試薬成分中の遊離リン酸を一括除去した液は、遊離リン酸消去試薬として、被検試料中のホスファターゼと基質である有機モノリンエステルとを反応させて発生したリン酸を測定するときに使用できる。試薬成分中に存在するリン酸を、酵素反応により一括除去するための試薬成分は、上記した反応式(I)の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外は、リン酸濃度測定試薬と重複する。そのため、リン酸濃度測定試薬として、試薬遊離リン酸を一括除去した試薬成分を省略し、補酵素A1と補酵素B1を成分として溶解したものを用い、遊離リン酸消去試薬と組み合わせて、被検試料中のホスファターゼと基質とを反応させて生成したリン酸を測定することができる。
ホスファターゼを測定するときは、例えば、有機モノリン酸エステル(ホスファターゼの基質)は、そのリン酸濃度測定試薬または遊離リン酸消去試薬もしくは遊離リン酸消去用試薬に含ませることが好ましい。
例えば、基質をリン酸濃度測定試薬に含ませる場合、この試薬を第二試薬に用いると良い。そうすることにより、試料中に最初から含まれているリン酸、すなわち試料含有リン酸を、試料と遊離リン酸消去試薬等とを混合することにより消去でき、次いで得られる混合液に第二試薬を添加した後、ホスファターゼが基質を加水分解し、その結果として生成する中間生成リン酸とヒドロキシ化合物に由来する吸光度変化を好ましくはエンドポイント法により測定することによりホスファターゼを試料含有リン酸の影響なく正確に測定できる。
また、例えば、基質を遊離リン酸消去試薬に含ませるときは、その試薬を、第一試薬または第二試薬のいずれかに使用してよい。この場合、基質由来の試薬遊離リン酸をあらかじめ除去可能であるため、測定時の試薬ブランクが低くなりホスファターゼ測定の測定の範囲が広くなる。加えて、基質を含む遊離リン酸消去試薬等を第一試薬として使用する場合、試料と第一試薬の混合により、試料含有リン酸が消去されるが、基質から生成する中間生成リン酸とヒドロキシ化合物は、リン酸濃度測定試薬(第二試薬)の添加後も一定時間一定の速度で発生させるようにし、その中間生成リン酸とヒドロキシ化合物の一定時間当たりの変化量を併せて測定することにより、すなわち、レート法により試料含有リン酸の影響もなく試料中のホスファターゼを正確に測定できる。
【0025】
本発明においては、中間生成リン酸を、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行うための試薬を用いて測定できる。このとき、その酵素反応を行うための試薬として、単数の酵素反応(すなわちデヒドロゲナーゼ単独)しうる試薬、またはデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする複数の酵素反応を行うための試薬を用いて中間生成リン酸を測定する2つの場合があるが、以下にそれらを別々に説明する。
【0026】
A1.デヒドロゲナーゼ単独である場合
まず、デヒドロゲナーゼが単独である場合、単独の酵素としてD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを用いたときを例に詳述する。
この場合、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼの存在下に反応しうる基質は、リン酸以外にはD−グリセルアルデヒド−3−リン酸であり、生成物Zは1,3−ジホスホグリセリン酸である。
中間生成リン酸を測定する原理は、中間生成リン酸にD−グリセルアルデヒド−3−リン酸とD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(デヒドロゲナーゼを最終とする単独の酵素反応をしうる試薬)を加え、更に、チオNAD(P)類とNAD(P)H類との組み合わせを補酵素として用いて、下記反応式(III)
【化16】


(ただし、デヒドロゲナーゼはD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを示し、A1,A2,B1,B2は、それぞれ前記の通りである)
で表わされる酵素サイクリング反応を行って、1,3−ジホスホグリセリン酸(生成物Z)を生じさせ、該反応によって変化するA2の量を測定することにより中間生成リン酸を測定できる。
【0027】
この場合、中間生成リン酸を、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応させる前に、試薬成分中の試薬遊離リン酸をあらかじめ除去しておくことが好ましい。試薬成分中の試薬遊離リン酸の除去方法としては、前記したとおり、各々の成分をカラム、透析等の物理的手段で除去する方法、酵素的に除去する方法等を例示できるが、簡便な意味から酵素的に除去する方法が好ましく、試薬中の上記反応式(III)で用いる補酵素A1およびB1以外の試薬成分の遊離リン酸をあらかじめ酵素的に一括除去しておくことがより好ましい。
酵素的に一括除去する方法としては、例えば、試薬成分中の遊離リン酸をD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ反応により除去する方法が例示でき、これにより、遊離リン酸消去試薬を調製することができる。その原理は、以下の反応式(IV)に示すとおりである。
【化17】


(ただし、デヒドロゲナーゼはD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを示し、C1、C2は、それぞれ前記の通りである)。
【0028】
この場合、必須成分としてD−グリセルアルデヒド−3−リン酸、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ等および補酵素C1(チオNADP類、チオNAD類、NADP類またはNAD類から選ばれる)を含む液を、酵素反応、例えば、37℃で酵素反応させることにより試薬成分中の各成分中の試薬遊離リン酸を除去することができ、その結果、遊離リン酸消去試薬を製造することができる。リン酸消去反応のpHは、4.0〜7.5で行うことが好ましい。生成する還元生成物C2がこの条件で分解しやすいからである。
【0029】
リン酸消去反応の際、デヒドロゲナーゼ(D−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)反応でのリン酸消去反応の効率を高めるため、生成物1,3−ジホスホグリセリン酸を減少させる酵素系がその反応系の中にあることが好ましい。そのような酵素系として、例えば、ビホスホグリセレートムターゼを反応液に存在させておくことにより、下記反応式(V)の酵素反応を行って、試薬成分中のリン酸の消去を効率的にすることができる。
【化18】

【0030】
中間生成リン酸を測定するには、このようにして調製した遊離リン酸消去試薬を用いるが、これとは別に、遊離リン酸非消去試薬からなるリン酸濃度測定試薬を製造すると良い。リン酸濃度測定試薬は、本来、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ等、補酵素A1、および補酵素B1を含む液である。
しかし、遊離リン酸消去試薬とリン酸濃度測定試薬を二試薬系として使用して中間生成リン酸または試料中のホスファターゼを測定する場合、遊離リン酸消去試薬に含まれている成分(すなわち、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸またはD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)は、リン酸濃度測定試薬に含まれていなくとも構わない。その場合、リン酸濃度測定試薬は、補酵素A1、および補酵素B1を含む液であってよく、この液を遊離リン酸非消去試薬として調製して使用しても良い。さらに、試料中のホスファターゼを測定する場合、ホスファターゼの基質として405nm付近の波長で測定できる基質を用いる。
ホスファターゼを測定するときは、例えば、有機モノリン酸エステル(ホスファターゼの基質)は、そのリン酸濃度測定試薬または遊離リン酸消去試薬もしくは遊離リン酸消去用試薬に含ませることが好ましい。
例えば、基質をリン酸濃度測定試薬に含ませる場合、この試薬を第二試薬に用いると良い。そうすることにより、試料中に最初から含まれているリン酸、すなわち試料含有リン酸を、試料と遊離リン酸消去試薬等(第一試薬)とを混合することにより消去でき、次いで得られる混合液に第二試薬を添加した後、ホスファターゼが基質を加水分解し、その結果として生成する中間生成リン酸とヒドロキシ化合物に由来する吸光度変化を好ましくはエンドポイント法により測定することによりホスファターゼを試料含有リン酸の影響なく正確に測定できる。
また、例えば、基質を遊離リン酸消去試薬に含ませるときは、その試薬を、第一試薬または第二試薬のいずれかに使用してよい。この場合、基質由来の試薬遊離リン酸をあらかじめ除去可能であるため、測定時の試薬ブランクが低くなりホスファターゼ測定の測定の範囲が広くなる。加えて、基質を含む遊離リン酸消去用試薬等を第一試薬として使用する場合、試料と第一試薬の混合により、試料含有リン酸が消去されるが、基質から生成する中間生成リン酸とヒドロキシ化合物は、リン酸濃度測定試薬(第二試薬)の添加後も一定時間一定の速度で発生させるようにし、その中間生成リン酸とヒドロキシ化合物の一定時間当たりの変化量を併せて測定することにより、すなわち、レート法により試料含有リン酸の影響もなく試料中のホスファターゼを正確に測定できる。
【0031】
この方法によるホスファターゼ測定の典型例を以下に示す。まず、基質を含む遊離リン酸消去試薬(第一試薬)として緩衝液、例えばMES緩衝液(好ましくはpH6.0〜7.0、好ましくは5〜200mM)中に、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸(好ましくは0.2〜5mM)、NAD(好ましくは0.002〜0.2mM)、EDTA(好ましくは2〜50mM)、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(好ましくは1.6〜40U/ml)、ビホスホグリセレートムターゼ(好ましくは0.001〜10U/ml)及びp−ニトロフェニルリン酸(好ましくは2〜50mM)を溶解させて遊離リン酸消去試薬原液、すなわち遊離リン酸消去用試薬を調製する。この原液を37℃で試薬中のリン酸を消去する反応を行い遊離リン酸消去試薬(第一試薬)を調製する。次にリン酸濃度測定試薬(第二試薬)として緩衝液、例えば、Tris緩衝液(好ましくはpH7.5〜9.0、好ましくは20〜200mM)にチオNAD(好ましくは0.2〜10mM)とNADH(好ましくは0.05〜1mM)とを溶解させる。試料中のホスファターゼの測定としては、例えば、日立7180型等の自動分析装置を用い、ホスファターゼを含む可能性のある測定試料(好ましくは1.5〜10μl)に対し第一試薬(好ましくは120〜200μl)を加え、次いで、その5分後に得られる混合液に第二試薬(好ましくは20〜60μl)を加え反応させる。波長405nm付近において、第二試薬添加前後の吸光度変化量の度合いからリン酸濃度を測定できる。また、試薬の安定性を考慮して、自動分析装置が三試薬系として使用できる場合は、第一試薬に遊離リン酸消去試薬を用い、一方、補酵素A1(例えばチオNAD)溶液と補酵素B1(例えばNADH)溶液とを別々に分けて、それぞれ第二試薬、第三試薬とし三試薬系として試料に順に試薬を加えていくことにより試料中のリン酸を測定することもできる。この場合、ホスファターゼの基質は、第一試薬〜第三試薬のいずれかに含ませることが好ましい。
【0032】
A2.デヒドロゲナーゼを最終とする複数の酵素反応しうる試薬を用いる場合
この場合、中間生成リン酸を測定する方法としては、少なくともデヒドロゲナーゼを最終とする複数の酵素反応しうる試薬を用いるが、例えば、(1)マルトースホスホリラーゼにより、中間生成リン酸+マルトース→β−グルコース−1−リン酸+D−グルコースなる反応をさせ、生じたβ−グルコース−1−リン酸をβ−ホスホグルコムターゼによりβ−グルコース−6−リン酸に転換した後、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(デヒドロゲナーゼ)とA1およびB1を用いて変化するA2を測定する方法、(2)ホスホリラーゼにより、中間生成リン酸+グリコーゲン→β−グルコース−1−リン酸+グリコーゲンなる反応をさせ、生じたβ−グルコース−1−リン酸を上記(1)と同様に測定する方法、(3)シュークロースホスホリラーゼを用い、中間生成リン酸+シュークロース→β−グルコース−1−リン酸+フルクトースなる反応系によりβ−グルコース−1−リン酸を生成せしめ、生じたβ−グルコース−1−リン酸を上記(1)と同様に測定する方法、(4)6−ホスホフルクトキナーゼ、ホスホグルコイソメラーゼを用い、中間生成リン酸+D−フルクトース−1,6−ジリン酸→ピロリン酸+フルクトース−6−リン酸→グルコース−6−リン酸なる酵素反応により生じたグルコース−6−リン酸を上記(1)と同様に測定する方法等を例示できる。
【0033】
このうち、上記(1)を例に本発明を詳述する。
この場合、中間生成リン酸の測定方法は、中間生成リン酸に、少なくともデヒドロゲナーゼを最終とする複数の酵素反応しうる試薬としてマルトースホスホリラーゼ、β−ホスホグルコムターゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ等の酵素反応をしうる試薬を加え、更に、i)チオNAD(P)類とNAD(P)H類との組み合わせとの組み合せを補酵素として用いて、下記反応式(VI)
【化19】


(式中、A1、A2、B1、B2は前記のとおり)で表される、最終酵素反応として、酵素サイクリング反応を形成せしめて生成物グルコノラクトン−6−リン酸を生じさせ、該反応によって変化するA2の量を測定するリン酸の測定方法である。この場合、マルトースホスホリラーゼ、β−ホスホグルコムターゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ等の複数の酵素反応を構成するための測定試薬は、安定な液状試薬とすることができ試料中のリン酸を測定することができる。
【0034】
この場合、中間生成リン酸に酵素反応しうる試薬を作用させる前に、その試薬成分中の存在する試薬遊離リン酸を除去しておくことが好ましい。試薬遊離リン酸の除去方法としては、各々の成分をカラム、透析等の物理的手段で除去する方法、酵素的に除去する方法等を例示できるが、簡便な意味から酵素的に除去することが好ましく、試薬中の上記反応式(VI)で用いる補酵素A1およびB1以外のリン酸測定試薬成分の試薬遊離リン酸を一括的に酵素的に除去する方法が好ましい。
一括的に試薬成分中の試薬遊離リン酸を除去しておく場合、少なくともデヒドロゲナーゼを最終とする複数の酵素反応しうる試薬としてマルトースホスホリラーゼ、β−ホスホグルコムターゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ等の酵素反応をしうる試薬を加え、更に、チオNADP類、チオNAD類、NADP類またはNAD類を用いて、それら試薬成分中の試薬遊離リン酸に対して、下記式(VII)
【化20】


(式中、C1、C2は前記のとおり)で表される酵素反応を行って、生成物グルコノラクトン−6−リン酸を生じさせることにより、試薬遊離リン酸を一括して除去できる。
【0035】
この場合、必須成分としてマルトース、マルトースホスホリラーゼ、グルコース−1,6−二リン酸、Mg2+、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)および補酵素C1(チオNADP類、チオNAD類、NADP類またはNAD類)を含む液を、酵素反応、例えば、37℃で酵素反応させることにより各試薬成分中の遊離リン酸を一括除去することができ、その結果、遊離リン酸消去試薬を製造することができる。リン酸消去反応はpH4.0〜7.5で行なうことが好ましい。生成するチオNADP類、チオNAD類、NADP類およびNAD類のいずれかの還元生成物が分解されやすいからである。
遊離リン酸消去反応の際、さらに、デヒドロゲナーゼ(グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)反応でのリン酸消去反応の効率を高めるため、生成物(グルコノラクトン−6−リン酸)を減少させる酵素系がその反応系の中にあることが好ましい。そのような酵素として6−ホスホグルコノラクトナーゼを反応液に存在させておくことにより、下記反応式(VIII)で表される酵素反応を行って、試薬成分中のリン酸の消去を効率的にすることができる。
【化21】

【0036】
中間生成リン酸を測定するには、このようにして調製した遊離リン酸消去試薬とは別に、リン酸濃度測定試薬を製造するとよい。リン酸濃度測定試薬としては、マルトース、マルトースホスホリラーゼ、グルコース−1,6−二リン酸、Mg2+、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)、補酵素A1および補酵素B1を含む液である。しかし、遊離リン酸消去試薬に含まれている成分、すなわち、マルトース、マルトースホスホリラーゼ、グルコース−1,6−二リン酸、Mg2+、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)は遊離リン酸消去試薬に含まれているので、リン酸濃度測定試薬に含まれていなくとも構わない。その結果、リン酸濃度測定試薬は、補酵素A1および補酵素B1を含む液であってよい。
遊離リン酸消去試薬はpH4.0〜7.5の範囲で、かつ、リン酸濃度測定試薬はpH7.5を超えて10.0以下が好ましい。このようなpHにしておくことにより遊離リン酸消去試薬、リン酸濃度測定試薬とも水溶液として安定であり、液状試薬としても供給できる。
ホスファターゼを測定するときは、例えば、有機モノリン酸エステル(ホスファターゼの基質)は、そのリン酸濃度測定試薬または遊離リン酸消去試薬もしくは遊離リン酸消去用試薬に含ませることが好ましい。
例えば、基質をリン酸濃度測定試薬に含ませる場合、この試薬を第二試薬に用いると良い。そうすることにより、試料中に最初から含まれているリン酸、すなわち試料含有リン酸を、試料と遊離リン酸消去試薬等(第一試薬)とを混合することにより消去でき、次いで得られる混合液に第二試薬を添加した後、ホスファターゼが基質を加水分解し、その結果として生成する中間生成リン酸とヒドロキシ化合物に由来する吸光度変化を好ましくはエンドポイント法により測定することによりホスファターゼを試料含有リン酸の影響なく正確に測定できる。
また、例えば、基質を遊離リン酸消去試薬に含ませるときは、その試薬を、第一試薬または第二試薬のいずれかに使用してよい。この場合、基質由来の試薬遊離リン酸をあらかじめ除去可能であるため、測定時の試薬ブランクが低くなりホスファターゼ測定の測定の範囲が広くなる。加えて、基質を含む遊離リン酸消去試薬等を第一試薬として使用する場合、試料と第一試薬の混合により、試料含有リン酸が消去されるが、基質から生成する中間生成リン酸とヒドロキシ化合物は、リン酸濃度測定試薬(第二試薬)の添加後も一定時間一定の速度で発生させるようにし、その中間生成リン酸とヒドロキシ化合物の一定時間当たりの変化量を併せて測定することにより、すなわち、レート法により試料含有リン酸の影響もなく試料中のホスファターゼを正確に測定できる。
【0037】
典型的なホスファターゼの測定例を以下に示す。まず、遊離リン酸消去試薬(第一試薬)として、緩衝液、好ましくはMES緩衝液(好ましくはpH5.0〜7.0、好ましくは20〜500mM)中に、マルトース一水和物(好ましくは4〜100mM)、酢酸マグネシウム四水和物(好ましくは0.4〜10mM)、グルコース−1,6−二リン酸(好ましくは0.01〜0.3mM)、NAD(好ましくは0.02〜0.5mM)、マルトースホスホリラーゼ(好ましくは0.5〜20U/mL)、β−ホスホグルコムターゼ(好ましくは0.5〜20U/mL)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(好ましくは4〜100U/mL)、6−ホスホグルコノラクトナーゼ(好ましくは0.1〜5U/mL)およびp−ニトロフェニルリン酸(好ましくは2〜50mM)を溶解させて遊離リン酸消去試薬原液、すなわち遊離リン酸消去用試薬を調製する。この原液を37℃で試薬中のリン酸を消去する反応を行い遊離リン酸消去試薬(第一試薬)を調製する。次にリン酸濃度測定試薬(第二試薬)として緩衝液、好ましくはTris緩衝液(好ましくはpHが7.5を超えて10.0以下、好ましくは濃度が20〜200mM)にチオNAD(好ましくは0.2〜10mM)、およびNADH(好ましくは0.2〜40mM)を溶解させる。ホスファターゼの測定としては、例えば、日立7180型等の自動分析装置を用い、ホスファターゼを含む可能性のある試料(好ましくは1.5〜10μl)に対し第一試薬(好ましくは120〜200μl)を加え、次いで、その5分後に得られる混合液に第二試薬(好ましくは20〜60μl)を加え反応させる。波長405nm付近において、第二試薬添加前後の吸光度変化量の度合いからリン酸濃度を測定できる。
【0038】
また、試薬の安定性を考慮して、自動分析装置が三試薬系として使用できる場合は、第一試薬に遊離リン酸消去試薬を用い、一方、補酵素A1(例えばチオNAD)溶液と補酵素B1(例えばNADH)溶液とを別々に分けて、それぞれ第二試薬、第三試薬とし三試薬系として試料に順に試薬を加えていくことにより試料中のホスファターゼを測定することもできる。
【0039】
B)NAD(P)類存在下のデヒドロゲナーゼ反応で生成するNAD(P)H類を測定する系
この場合、ホスファターゼの測定試薬として、ホスファターゼの基質と中間生成リン酸を測定するためのリン酸測定試薬成分を含み;かつ、ホスファターゼの基質として基質分解物であるヒドロキシ化合物が波長340nm付近の吸光度で測定可能であり;中間生成リン酸を測定するためのリン酸測定試薬成分が、中間生成リン酸に対して、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、被検試料中のリン酸を測定するためのリン酸測定試薬成分であって、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応として、下記反応式(IX)
【化22】


で表されるNAD(P)H類生成反応を行って生成物Zを生じさせ、該反応によって変化するNAD(P)H類の量を波長340nm付近の吸光度で測定して中間生成リン酸を測定するためのリン酸測定試薬成分であることを特徴とする。
【0040】
このB)の測定系は、NAD(P)H類が、波長340nm付近の吸光度をもつことを応用し、中間生成リン酸を単数または複数の酵素反応に導き最終的に生成するNAD(P)H類を発生させ、一方、基質分解物であるヒドロキシ化合物が340nm付近(例えば330〜350nm)で測定可能なホスファターゼの基質を使用し、340nm付近で吸光度変化量が増大し感度よくホスファターゼを測定できるものである。
この場合に用いられる基質としては、p−アシルフェニルリン酸類を例示でき、p−アシルフェニルリン酸類としては、p−アシルフェニルリン酸骨格を有し、ホスファターゼにより基質から生成されるp−アシルフェノール類が波長330〜350nmで吸光度を有するものであればいずれでもよく特に限定されない。p−アシルフェニルリン酸類としては、例えば、置換基として炭素数1〜2のアルキル基またはハロゲンを有してもよいp−アシルフエニルリン酸を例示できる。具体的には、p−アセチルフェニルリン酸、2−クロロ−4−アセチルフェニルリン酸、2,6−ジクロロ−4−アセチルフェニルリン酸、3−クロロ−4−アセチルフェニルリン酸、2−メチル−4−アセチルフェニルリン酸、3−メチル−4−アセチルフェニルリン酸、p−プロピオニルフェニルリン酸等を例示できる。そのうち、p−アセチルフェニルリン酸、2−クロロ−4−アセチルフェニルリン酸、2,6−ジクロロ−4−アセチルフェニルリン酸が好ましい。
【0041】
中間生成リン酸の測定方法においては、デヒドロゲナーゼを用いたNAD(P)H類生成反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って中間生成リン酸を測定できる。デヒドロゲナーゼを用いたNAD(P)H類生成反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行なって生成するリン酸を測定するための試薬成分は、補酵素としてNAD(P)H類単独を用いること以外は、前記A)の測定系に記載した酵素サイクリング法で記載した単数または複数の酵素反応を行なって生成するリン酸を測定するための試薬成分と基本的に同じである。
このB)の測定系の場合、最終酵素反応であるデヒドロゲナーゼ反応を行うために、補酵素として、チオNAD(P)類とNAD(P)H類との組合せの代わりにNAD(P)類単独を用いることが前記A)の測定系と異なる。
このB)の測定系においては、リン酸測定試薬成分に使用する補酵素中のリン酸量は無視できる量であるが、リン酸測定試薬成分中のリン酸が特にないことが好ましいので、使用する補酵素としては、NAD類が特に好ましい。
【0042】
被検試料を測定に付す前に、測定に用いるリン酸測定試薬成分中に存在している遊離リン酸を予め除去することが好ましい。
それらの試薬成分中に存在する試薬遊離リン酸の除去方法としては、各々の試薬成分単独または複数の成分を合わせたものを、カラム、透析等の物理的手段でリン酸を除去する方法、酵素的に試薬遊離リン酸を除去する方法等を例示できる。そのうち、簡便な意味から酵素的に試薬遊離リン酸を除去する方法が好ましい。さらには、上記反応式(IX)で表される、中間生成リン酸を測定するための単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって、上記反応式(IX)中のデヒドロゲナーゼ反応を行うための補酵素、またはその補酵素とは別な補酵素、例えば、前記A)の測定系における反応式(II)で用いた補酵素C1のチオNAD(P)類を用い、それらの試薬成分中の遊離リン酸に対して、上記反応式(IX)で表される、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、生成物Zを生じさせて、それらの試薬成分中の遊離リン酸を除去する方法が好ましい。この方法を実施するには、例えば、それらの試薬成分と上記の別な補酵素を用いる場合には別の補酵素とを混合して一緒にして、溶液に溶解し、得られる溶液中の試薬遊離リン酸、すなわち、それら各試薬成分中に存在する遊離リン酸を一緒にした遊離リン酸を含む溶液を、加温して、前記A)の測定系における反応式(II)と同様の、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、生成物Zを生じさせて、それらの試薬成分中の遊離リン酸を除去する方法が好ましい。遊離リン酸消去反応は、例えば、溶液の吸光度が時間的に変化しなくなるのを目安として終了させることが好ましい。
遊離リン酸消去反応のpHは、4.0〜7.5で行うことが好ましい。上記反応式(II)における、補酵素から生成する還元生成物がこの条件で分解しやすいからである。試薬遊離リン酸消去反応の際、デヒドロゲナーゼ反応での遊離リン酸消去反応の効率を高め、また除去反応に用いる補酵素の量を少なくするため、生成物Zを減少させる酵素系がその反応系の中にあることが好ましい。
【0043】
このようにして試薬成分中の遊離リン酸を一括除去した液は、遊離リン酸消去試薬として被検試料中で発生したリン酸を測定するときに使用できる。試薬成分中に存在するリン酸を、酵素反応により一括除去するための試薬成分は、遊離リン酸消去試薬と重複する。そのため、リン酸濃度測定試薬としてそれらの成分を省略し、また、遊離リン酸消去反応で上記反応式(IX)中のデヒドロゲナーゼ反応を行うための補酵素とは別な補酵素を用いた場合には、その別な補酵素を成分として溶解したものを用い、遊離リン酸消去試薬(第一試薬)と組み合わせて、生成したリン酸を測定することができる。その場合、リン酸濃度測定試薬は、補酵素NAD(P)類を含む液であってよい。リン酸濃度測定試薬に含まれる補酵素の量は、中間生成リン酸を迅速に測定する必要があるので、遊離リン酸消去試薬の補酵素の量に比べ好ましくは2倍以上、より好ましくは3〜200倍、さらに好ましくは10〜100倍であるように設定しておくことが好ましい。
さらに、試料中のホスファターゼを測定する場合、ホスファターゼの基質として340nm付近の波長で測定できる基質は、その遊離リン酸消去試薬等またはリン酸濃度測定試薬に含ませるのが好ましい。
ホスファターゼを測定するには、基質を遊離リン酸消去試薬等またはリン酸濃度測定試薬に含ませておき、試料と遊離リン酸消去試薬等とを混合し、その後、得られる混合液にリン酸濃度測定試薬を加えることにより、試料中のホスファターゼが有機リン酸モノエステルを加水分解してリン酸(中間生成リン酸)とヒドロキシ化合物を発生させ、中間生成リン酸の発色系に由来する吸光度変化とヒドロキシ化合物由来の吸光度変化を340nm付近で併せて測定することにより、ホスファターゼを感度良く測定することができる。
【0044】
ホスファターゼ測定の具体例として、酵素反応としてデヒドロゲナーゼが単独であり、単独の酵素としてD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを用いたときを例に詳述する。この場合、中間生成リン酸を測定する原理は、デヒドロゲナーゼ反応の補酵素として、チオNAD(P)類とNAD(P)H類を用いて生成するチオNAD(P)H類の吸光度を波長405nm付近で測定する代わりに、NAD(P)類単独を用いて生成するNAD(P)H類の吸光度を波長340nm付近で測定する以外は、前記A1の測定系と同じである。
中間生成リン酸を測定する原理は、中間生成リン酸にD−グリセルアルデヒド−3−リン酸(基質)とD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(デヒドロゲナーゼを最終とする単独の酵素反応をしうる試薬)を加え、更に、補酵素としてNAD(P)を用いて、下記反応式(XIV)
【化23】


(ただし、デヒドロゲナーゼはD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを示す)
で表わされるデヒドロゲナーゼ反応を行って、1,3−ジホスホグリセリン酸(生成物Z)を生じさせ、該反応によって変化するNAD(P)H類の量を測定することにより中間生成リン酸を測定できる。
【0045】
この場合、中間生成リン酸を、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応させる前に、試薬成分中の試薬遊離リン酸をあらかじめ除去しておくことが好ましい。試薬成分中の試薬遊離リン酸の除去方法としては、前記したとおり、各々の成分をカラム、透析等の物理的手段で除去する方法、酵素的に除去する方法等を例示できるが、簡便な意味から酵素的に除去する方法が好ましく、試薬中の上記反応式(IX)で用いる試薬成分の遊離リン酸をあらかじめ酵素的に一括除去しておくことがより好ましい。
酵素的に一括除去する方法としては、例えば、試薬成分中の遊離リン酸をD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ反応により除去する方法が例示でき、これにより、遊離リン酸消去試薬を調製することができる。その原理は、以下の反応式(IV)とおりである。
【化24】


(ただし、デヒドロゲナーゼはD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを示し、C1、C2は、それぞれ前記の通りである)
この場合、必須成分としてD−グリセルアルデヒド−3−リン酸、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ等および補酵素C1(チオNADP類、チオNAD類、NADP類またはNAD類から選ばれる)を含む液を、酵素反応、例えば、37℃で酵素反応させることにより試薬成分中の各成分中の試薬遊離リン酸を除去することができ、その結果、遊離リン酸消去試薬を製造することができる。リン酸消去反応のpHは、4.0〜7.5で行うことが好ましい。生成する還元生成物C2がこの条件で分解しやすいからである。
【0046】
リン酸消去反応の際、デヒドロゲナーゼ(D−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)反応でのリン酸消去反応の効率を高めるため、生成物1,3−ジホスホグリセリン酸を減少させる酵素系がその反応系の中にあることが好ましい。そのような酵素系として、例えば、ビホスホグリセレートムターゼを反応液に存在させておくことにより、前記した反応式(V)の酵素反応と同様の酵素反応を行って、試薬成分中のリン酸の消去を効率的にすることができる。
【0047】
中間生成リン酸を測定するには、このようにして調製した遊離リン酸消去試薬を用いるが、これとは別に、リン酸濃度測定試薬を調製すると良い。リン酸濃度測定試薬は、本来、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ等、補酵素NAD(P)類を含む液である。
しかし、遊離リン酸消去試薬とリン酸濃度測定試薬を二試薬系として使用して中間生成リン酸または試料中のホスファターゼを測定する場合、遊離リン酸消去試薬に含まれている成分(すなわち、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸またはD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)は、リン酸濃度測定試薬に含まれていなくとも構わない。その場合、リン酸濃度測定試薬は、補酵素NAD(P)類を含む液であってよい。リン酸濃度測定試薬に含まれる補酵素の濃度は、中間生成リン酸を迅速に測定する必要があるので、遊離リン酸消去試薬の補酵素の濃度に比べ好ましくは2倍以上、より好ましくは3〜200倍、さらに好ましくは10〜100倍であることが好ましい。
試料中のホスファターゼを測定するときは、例えば、有機モノリン酸エステル(ホスファターゼの基質)は、そのリン酸濃度測定試薬または遊離リン酸消去試薬に含ませることが好ましい。
【0048】
例えば、基質をリン酸濃度測定試薬に含ませる場合、この試薬を第二試薬に用いると良い。そうすることにより、試料中に最初から含まれているリン酸、すなわち試料含有リン酸を、試料と遊離リン酸消去試薬等(第一試薬)とを混合することにより消去でき、次いで得られる混合液に第二試薬を添加した後、ホスファターゼが基質を加水分解し、その結果として生成する中間生成リン酸とヒドロキシ化合物に由来する吸光度変化を好ましくはエンドポイント法により測定することによりホスファターゼを試料含有リン酸の影響なく正確に測定できる。
また、例えば、基質を遊離リン酸消去試薬に含ませるときは、その試薬を、第一試薬または第二試薬のいずれかに使用してよい。この場合、基質由来の試薬遊離リン酸をあらかじめ除去可能であるため、測定時の試薬ブランクが低くなりホスファターゼ測定の測定の範囲が広くなる。加えて、基質を含む遊離リン酸消去試薬等を第一試薬として使用する場合、試料と第一試薬の混合により、試料含有リン酸が消去されるが、基質から生成する中間生成リン酸とヒドロキシ化合物は、リン酸濃度測定試薬(第二試薬)の添加後も一定時間一定の速度で発生させるようにし、その中間生成リン酸とヒドロキシ化合物の一定時間当たりの変化量を併せて測定することにより、すなわち、レート法により試料含有リン酸の影響もなく試料中のホスファターゼを正確に測定できる。
【0049】
ホスファターゼ測定の他の具体例として、酵素反応としてデヒドロゲナーゼを最終酵素反応とする複数の酵素反応を行って、測定する方法が挙げられる。この場合、中間生成リン酸を測定する原理は、デヒドロゲナーゼ反応の補酵素として、チオNAD(P)類とNAD(P)H類を用いて生成するチオNAD(P)H類の吸光度を波長405nm付近で測定する代わりに、NAD(P)類単独を用いて生成するNAD(P)H類の吸光度を波長340nm付近で測定する以外は、前記A2の測定系と同じである。
この場合、中間生成リン酸の測定方法は、中間生成リン酸に、例えば、少なくともデヒドロゲナーゼを最終とする複数の酵素反応しうる試薬としてマルトースホスホリラーゼ、β−ホスホグルコムターゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ等の酵素反応をしうる試薬を加え、更に、デヒドロゲナーゼ反応の補酵素として、NAD(P)類単独を用いて、下記反応式(XV)
【化25】


で表される、NAD(P)H類生成反応を形成せしめて生成物グルコノラクトン−6−リン酸を生じさせ、該反応によって変化するNAD(P)H類の量を測定することにより中間生成リン酸を測定できる。
【0050】
この場合にも、中間生成リン酸を測定する複数の酵素反応させる前に、試薬成分中の試薬遊離リン酸をあらかじめ酵素的に一括除去しておくことが好ましい。 酵素的に一括除去する方法としては、前記A2の測定系で用いた反応式(VII)と同様の酵素反応を行う方法が挙げられる。このような方法により、試薬成分中の試薬遊離リン酸を除去して、遊離リン酸消去試薬を調製するには、上記した単独の酵素反応による測定法と同様にして実施できる。また、遊離リン酸消去試薬、リン酸濃度測定試薬などを用いて、被検試料中のホスファターゼを実際に測定する方法も、上記した単独の酵素反応による測定法と同様にして実施できる。
【0051】
C)オキシダーゼにより発生した過酸化水素を、パーオキシダーゼ存在下で色原体を酸化発色させ測定する系
この系のリン酸測定方法は、試料中のホスファターゼに基質として有機モノリン酸エステルを作用させリン酸とヒドロキシ化合物とを生成させて試料中のホスファターゼを測定する方法において、リン酸測定試薬成分が、ホスファターゼにより生成したリン酸に対して、オキシダーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行なって、そのリン酸を測定するリン酸測定試薬成分であって、オキシダーゼを用いた酵素反応として、下記反応式(X)
【化26】


で表される酵素反応を行なって過酸化水素を発生させその過酸化水素を色原体とパーオキシダーゼの存在下で反応させ、該反応によって生成する発色物質の変化量を波長480〜750nmの吸光度で測定してリン酸を測定するための試薬成分であり、かつ、ホスファターゼの基質分解物であるヒドロキシ化合物が波長480nm〜750nmの吸光度で測定可能であること特徴とする。
【0052】
この場合、オキシダーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を用いた過酸化水素発生系としては、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ・キサンチンオキシダーゼ系、ピルビン酸オキシダーゼ系を例示できる。本発明において、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ・キサンチンオキシダーゼ系とは、下記式(XI)に示すように、中間生成リン酸をイノシン基質存在下でプリンヌクレオシドホスホリラーゼと反応させてヒポキサンチンとリボース−1−リン酸とを発生させ、次いで、そのヒポキサンチンに水と酸素の存在下でキサンチンオキシダーゼと反応させて尿酸と過酸化水素を発生させる系である。
【化27】


本発明において、ピルビン酸オキシダーゼ系とは、下記式(XII)に示すように、中間生成リン酸を基質としてピルビン酸と酸素の存在下でアセチルリン酸と二酸化炭素と過酸化水素とを発生させる系である。
【化28】

【0053】
上記C)の測定系に用いるホスファターゼの基質としての有機モノリン酸エステルは、ホスファターゼの作用によりリン酸とヒドロキシ化合物とを生成させるが、このとき、生成するヒドロキシ化合物は、色素系フェノール化合物であればいずれでもよく特に限定しない。なお、本明細書において、フェノール化合物とは、フェノール性OH基を有する化合物をいうものとする。そのような色素系フェノール化合物としては、480〜750nmの範囲内の波長で吸光度を測定することにより測定できる色素系フェノール化合物が好ましく、500〜750nmの範囲内の波長で吸光度を測定して測定できるフェノール化合物がさらに好ましい。例えば、チモールフタレイン(pH10以上,500〜700nmが好適)、フェノールフタレイン(pH9.0以上,500〜580nmが好適)等のラクトン系指示薬、ブロモチモールブルー(pH7.6以上,500〜680nmが好適)、ブロモクレゾールパープル(pH6.8以上,500〜620nmが好適)、ブロモクレゾールグリーン(pH5.9以上,520〜680nmが好適)、ブロムフェノールブルー(pH4.6以上,500〜620nmが好適)等のサルトン系指示薬等を例示できる。
これらの場合、基質の有機モノリン酸エステルは、それぞれ、チモールフタレインリン酸、フェノールフタレインリン酸、ブロモチモールブルーリン酸、ブロモクレゾールパープルリン酸、ブロモクレゾールグリーンリン酸、ブロムフェノールブルーリン酸を用いることになる。
【0054】
本発明において、色原体とは、過酸化水素を、パーオキシダーゼ存在下の酵素反応により発色させうる色原体であればいずれでもよく特に限定されない。色原体としては、基質由来のヒドロキシ化合物と測定波長を合わせるため、480〜750nmの範囲内の特定の波長で吸光度を測定可能となる色原体が好ましい。具体的には、カップラー・アニリン系トリンダー試薬、高感度単独色原体、例えば、ジフェニルアミン系色原体、フェノチアジン系色原体、ジフェニルメタン系色原体を例示できる。本発明において、高感度単独色原体とは、過酸化水素・パーオキシダーゼの存在下で酸化呈色するときに、二分子間の縮合を起こすことなく、色原体単独分子内の酸化反応により呈色する色原体をいう。
【0055】
本発明においてカップラー・アニリン系トリンダー試薬とは、過酸化水素とパーオキシダーゼとの存在下でカップラーとアニリン系トリンダー試薬とが酸化縮合して発色するものであれば特に限定しない。
カップラーとしては、アニリン系トリンダー試薬と組み合わせてパーオキシダーゼの共存下で酸化縮合して480〜750nmの範囲内の特定の波長で吸光度を測定可能となるカップラーであれば特に限定しないが、通常、4−アミノアンチピリンが用いられる。
アニリン系トリンダー試薬(以下、括弧内は4−アミノアンチピリンと酸化縮合により発色した色素のλmaxを表す)としては、N−エチル−N−スルホプロピル−3−メトキシアニリン(540nm)、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン(561nm)、N−エチル−N−スルホプロピル−3−メチルアニリン(550nm)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン(542nm)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(593nm)、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(583nm)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(630nm)及びN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン(550nm)を例示できる。実際に呈色反応として使用するときには、一般的にはそのλmax±60nm、好ましくはそのλmax±40nm、さらに好ましくはそのλmax±20nmの特定の波長で測定すると良い。また、発色のためのpHは、色原体から生成する発色物質のモル吸光係数εの最も高いpHが最適であるが、ヒドロキシ化合物の発色の最適pHも考慮して決めることが好ましい。
【0056】
色原体として使用可能なジフェニルアミン系色原体としては、ジフェニルアミン骨格を有する公知の色原体を例示でき、例えば、このような色原体としてN−置換−4,4’−置換−ジフェニルアミン系色原体を例示できる。このような色原体のN−置換の置換基としてアシル、カルボキシメチルアミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、メチルアミノチオカルボニルを例示でき、4,4’−置換としては、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)、4−(ジメチルアミノ)を例示できる。そのような色原体として、例えば、特公昭60−33479に記載されているものを使用しても良い。具体的な色原体としては、N−カルボキシメチルアミノカルボニル−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンとそのナトリウム塩(λmaxは727nm)が和光純薬からDA−64として市販されている点から好ましい。
【0057】
色原体として使用可能なフェノチアジン系色原体としては、フェノチアジン骨格を有する公知の色原体を例示でき、例えば、このような色原体としてN−置換−3,7−置換−フェノチアジン系色原体を例示できる。この場合、N−置換としては、アシル、カルボキシメチルアミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、メチルアミノチオカルボニルを例示でき、3,7−置換としては、3,7−ビス(ジメチルアミノ)、3,7−ビス(ジエチルアミノ)、3−ヒドロキシ−7−(ジメチルアミノ)、3,7−ビス(エチルアミノ)、3,7−ジヒドロキシを例示できる。また、これらのフェノチアジン系色原体の骨格にメチル、クロロ、カルボキシ、スルホ等の置換基が導入されていても良い。そのような色原体として、例えば、特公昭60−33479に記載されているフェノチアジン系色原体を使用しても良い。具体的な色原体としては、10−カルボキシメチルアミノカルボニル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンとそのナトリウム塩(λmaxは666nm)が和光純薬からDA−67として市販されている点から好ましい。
【0058】
色原体として使用可能なジフェニルナフチルメタン系色原体としては、ビス−(置換フェニル)置換ナフチルメタン骨格を有する公知の色原体を例示でき、この場合、置換フェニルとしては、4−(ジメチルアミノ)フェニル、4−(ジエチルアミノ)フェニル、4−アミノフェニルを例示でき、置換ナフチルとしては、2−ヒドロキシナフチル、2,7−ジヒドロキシナフチル、2−ヒドロキシ−7−スルホナフチル、2−ヒドロキシ−8−スルホナフチルを例示できる。そのような色原体として、例えば、特開昭62−296に記載されている色原体を使用してもよい。これらは、550〜640nmに極大吸収波長を有する。
【0059】
C)の測定系の場合、リン酸を測定するための試薬は、酵素的に試薬遊離リン酸を除去しておくことが好ましい。酵素的に試薬遊離リン酸を除去する方法としては、単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって、酵素反応を行うためのパーオキシダーゼおよび色原体(ただし色原体が2つの化合物の組み合わせの場合は少なくともそのどちらか一方)以外の試薬成分を用いて、下記反応式(XIII)
【化29】


で表される、単数または複数の酵素反応を行い過酸化水素を発生させ、次いでカタラーゼを加えた酵素反応を行なって過酸化水素をカタラーゼの存在下で消去させ、パーオキシダーゼおよび色原体(ただし色原体が2つの化合物の組み合わせの場合は少なくともそのどちらか一方)以外の試薬成分中の試薬遊離リン酸を除去する方法を行うのが好ましい。ここで、色原体が2つの化合物の組み合わせの場合は少なくともそのどちらか一方とは、例えば、色原体がカップラー・トリンダー試薬の場合は、カップラーとトリンダー試薬の少なくともいずれか一方を意味する。
試薬遊離リン酸を除去した後、試薬にアジ化ナトリウムを加えて試薬中のカタラーゼを阻害させ、過酸化水素消去反応の能力を阻害させる試薬を用いることにより、中間生成リン酸を測定するときに発生する過酸化水素は消去をすることなく測定できるようにしてもよい。
【0060】
以下に上記C)の測定系の場合について、C1)カップラー・アニリン系トリンダー試薬を用いた場合と、C2)高感度単独色原体を用いた場合とに二つに分けて具体的に説明する。
上記C1)のカップラー・アニリン系トリンダー試薬を用いてプリンヌクレオシドホスホリラーゼ・キサンチンオキシゲナーゼ系でアルカリホスファターゼを測定する場合を詳述する。
遊離リン酸消去試薬として一括的に試薬成分中の試薬遊離リン酸を除去しておく場合、オキシダーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行なって中間生成リン酸を測定するリン酸測定試薬成分中の試薬遊離リン酸を除去する。
遊離リン酸消去試薬の原試薬、すなわち遊離リン酸消去用試薬として、例えばイノシン(好ましくは4〜100mM)、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(好ましくは2〜50U/ml)、キサンチンオキシナーゼ(好ましくは2〜50U/ml)、パーオキシダーゼ(好ましくは2〜50U/ml)を用い、その他として所望によりアニリン系トリンダー試薬(好ましくは4〜100mM)とカップラー(好ましくは4〜100mM)のいずれかと、ホスファターゼの基質、例えばチモールフタレインリン酸(好ましくは0.2〜5mM)とマグネシウムイオン(好ましくは1〜25mM)を加え、好ましくはカタラーゼ(10〜250U/ml)を緩衝液(好ましくはpH9.0〜12)中に混合する。原試薬を加温することにより試薬遊離リン酸を除去する。除去した後、カタラーゼを含む場合は、さらに、カタラーゼ阻害剤(例えばアジ化ナトリウム)を加えてカタラーゼの活性をなくすことにより、ホスファターゼの基質を含む試薬遊離リン酸消去試薬を調製する。このように、ホスファターゼの基質にも試薬遊離リン酸が含まれているのでそれを除去しておく点からホスファターゼの基質は遊離リン酸消去試薬等に加えることが好ましい。
【0061】
一方、リン酸濃度測定試薬として、それとは別にアニリン系トリンダー試薬とカップラーのいずれか(ただし、遊離リン酸消去試薬等に、カップラーを含ませた場合はアニリン系トリンダー試薬を用い、また、その消去試薬にアニリン系トリンダー試薬を含ませた場合はカップラーを用い、好ましくは4〜100mM)、及び場合によりパーオキシダーゼ(好ましくは2〜50U/ml)等の遊離リン酸消去試薬(第一試薬)に含まれる成分の一部も含めて緩衝液(好ましくはpH9.0〜12)に溶解させる。
なお、リン酸測定試薬成分として必要な成分でも遊離リン酸消去試薬等に含まれている成分は、リン酸濃度測定試薬には含まれていなくてもよい。
試料に試料含有リン酸を含む場合、その試料含有リン酸は、アニリン系トリンダー試薬とパーオキシダーゼの作用により発色せずに消去される。そのため、アニリン系トリンダー試薬を第一試薬として遊離リン酸消去試薬等に、およびカップラーを第二試薬としてリン酸濃度測定試薬に含ませることが、中間生成リン酸を正確に測定するできるので好ましい。
ホスファターゼの測定としては、基質を遊離リン酸消去試薬またはリン酸濃度測定試薬に含ませておき、例えば、日立7180型等の自動分析装置を用い、ホスファターゼを含む可能性のある試料(好ましくは1.5〜10μl)に対し第一試薬の遊離リン酸消去試薬(好ましくは120〜200μl)を加え、次いで、その5分後に得られる混合液に第二試薬のリン酸濃度測定試薬(好ましくは20〜60μl)を加え反応させる。500〜700nmの特定の波長において、第二試薬添加前後の吸光度変化量の度合いからリン酸濃度を測定できる。
【0062】
カップラー・アニリン系トリンダー試薬の代わりに、高感度単独色原体(C2)を用いるときには、試薬組成として第二試薬に高感度単独色原体を入れることが測定時のブランクを減少させる意味から好ましい。高感度単独色原体を用いた場合、試料含有リン酸の影響を除くためレート法で測定することが好ましい。すなわち、試料と遊離リン酸消去試薬等(第一試薬)及びリン酸濃度測定試薬(第二試薬)を加えて試料中に最初から存在している試料含有リン酸を一気に反応させ、次いで、徐々に発生してくる中間生成リン酸の生成速度(単位時間当たりの吸光度変化量)とヒドロキシ化合物の生成速度を合わせて求めることにより、試料中のホスファターゼを正確に測定できる。
【0063】
一般的にC)の測定系の場合、ホスファターゼを測定するときは、例えば、有機モノリン酸エステル(ホスファターゼの基質)は、そのリン酸濃度測定試薬または遊離リン酸消去試薬もしくは遊離リン酸消去用試薬等に含ませることによりカタラーゼの有無によらずホスファターゼを正確に測定できる。
ホスファターゼを測定するときは、例えば、有機モノリン酸エステル(ホスファターゼの基質)は、そのリン酸濃度測定試薬または遊離リン酸消去試薬に含ませることが好ましい。
例えば、基質をリン酸濃度測定試薬に含ませる場合、この試薬を第二試薬に用いると良い。そうすることにより、試料中に最初から含まれているリン酸、すなわち試料含有リン酸を、試料と遊離リン酸消去試薬等(第一試薬)とを混合することにより消去でき、次いで得られる混合液に第二試薬を添加した後、ホスファターゼが基質を加水分解し、その結果として生成する中間生成リン酸とヒドロキシ化合物に由来する吸光度変化を好ましくはエンドポイント法により測定することによりホスファターゼを試料含有リン酸の影響なく正確に測定できる。
また、例えば、基質を遊離リン酸消去試薬に含ませるときは、その試薬を、第一試薬または第二試薬のいずれかに使用してよい。この場合、基質由来の試薬遊離リン酸をあらかじめ除去可能であるため、測定時の試薬ブランクが低くなりホスファターゼ測定の測定の範囲が広くなる。加えて、基質を含む遊離リン酸消去試薬等を第一試薬として使用する場合、試料と第一試薬の混合により、試料含有リン酸が消去されるが、基質から生成する中間生成リン酸とヒドロキシ化合物は、リン酸濃度測定試薬(第二試薬)の添加後も一定時間一定の速度で発生させるようにし、その中間生成リン酸とヒドロキシ化合物の一定時間当たりの変化量を併せて測定することにより、すなわち、レート法により試料含有リン酸の影響もなく試料中のホスファターゼを正確に測定できる。
【0064】
本発明においては、これまでに記載した測定方法を行うためのキットとして、試料中のホスファターゼに基質として有機モノリン酸エステルを作用させリン酸とヒドロキシ化合物とを生成させて試料中のホスファターゼを測定するためのキットであって、そのリン酸とヒドロキシ化合物の2つの測定系で同一の特定波長の吸光度変化を同時に併せて測定してホスファターゼを測定するためのキットであり、試薬成分として、i)基質として、生成するヒドロキシ化合物が特定の波長の吸光度により測定可能な有機モノリン酸エステル、及びii)リン酸測定試薬成分として、生成するリン酸をその特定の波長と同じ波長で吸光度を測定可能とするための試薬成分とを含む、キットが提供される。
具体的なキットとしては、前記A)の測定系に用いるキットとして、リン酸測定試薬成分が、A)の測定系における酵素サイクリング反応を行うための試薬成分であり、かつ、基質が、基質から生成するヒドロキシ化合物が波長405nm付近の吸光度で測定可能な基質である、キットが挙げられる。
また、前記A)の測定系において、試薬遊離リン酸を除去する測定方法を行うためのキットとして、リン酸測定試薬成分が、前記A)の測定系における単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって前記A)の測定系の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分と、前記A)の測定系における反応式(II)中の最終酵素反応を行うための補酵素C1とを含む遊離リン酸消去用試薬、あるいは該遊離リン酸消去用試薬を酵素反応させて得られる遊離リン酸消去試薬;および前記A)における反応式(I)中の酵素サイクリング反応を行うための補酵素を含む、キットが挙げられる。
【0065】
前記B)の測定系に用いるキットとして、リン酸測定試薬成分が、前記B)の測定系における反応式(IX)の酵素反応を行うための試薬成分であり、かつ、基質が、基質から生成するヒドロキシ化合物が波長340nm付近の吸光度で測定可能な基質である、キットが挙げられる。
前記C)の測定系に用いるキットとして、リン酸測定試薬成分が、前記C)の測定系における反応式(XII)の酵素反応を行うための試薬成分であり、かつ、基質が、基質から生成するヒドロキシ化合物が波長480〜750nm付近の吸光度で測定可能である基質である、キットが挙げられる。
【0066】
また、前記C)の測定系において、試薬遊離リン酸を除去する測定方法を行うためのキットとして、リン酸測定試薬成分が、前記C)の測定系における単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって前記C)の測定系における反応式(XII)の酵素反応を行うためのパーオキシダーゼおよび色原体(ただし色原体が2つの化合物の組み合わせの場合は少なくともそのどちらか一方)以外の試薬成分と、前記C)の測定系における反応式(XV)中のカタラーゼを用いた酵素反応を行うためのカタラーゼとを含む遊離リン酸消去用試薬、あるいは該遊離リン酸消去用試薬を酵素反応させて得られる遊離リン酸消去試薬;および前記C)の測定系における反応式(XII)の酵素反応を行うためのパーオキシダーゼおよび色原体(ただし色原体が2つの化合物の組み合わせの場合は少なくともそのどちらか一方)を含む、キットが挙げられる。
本発明のキットにおいては、前記したように、基質が、リン酸濃度測定試薬成分と一緒になって含まれている、あるいは、遊離リン酸消去用試薬または遊離リン酸消去試薬と一緒になって含まれているのが好ましい。これらのキットにおける各成分の詳細については、これまでに説明した測定方法から明らかである。
また、本発明においては、リン酸測定試薬成分が、遊離リン酸消去試薬または遊離リン酸消去用試薬と、遊離リン酸非消去試薬からなるリン酸濃度測定試薬とから構成され;遊離リン酸消去試薬または遊離リン酸消去用試薬が、リン酸を測定するための試薬の一部の成分を含み、かつ、遊離リン酸消去試薬は試薬遊離リン酸を酵素反応により除去された試薬であり、遊離リン酸消去用試薬は試薬遊離リン酸を酵素反応により除去する前の試薬であり;リン酸濃度測定試薬がリン酸測定試薬の必須成分のうち、遊離リン酸消去測定試薬または遊離リン酸消去用試薬に含まれていない成分を含む、キットが好ましい。
【0067】
以下の実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、濃度U/mlは図面などではKU/Lと記載することもある。
実施例1
酵素サイクリング法を併用した酒石酸耐性酸性ホスファターゼ5b(TRACP5b,酸性ホスファターゼの1種)の測定
1)測定原理
本実施例は、検体中のTRACP5bを、試薬の酵素基質p−ニトロフェニルリン酸に作用させ、p−ニトロフェノールとリン酸を発生させ、p−ニトロフェノールの発色と酵素サイクリング系リン酸発色系とを併せて波長405nmで測定することにより、TRACP5bを高感度で測定できることを示すものである。その測定原理を以下の反応式(XVI)に示す通りである。
【化30】

【0068】
2)第一試薬(基質を含む遊離リン酸消去試薬)の調製
本実施例では、測定試薬中のリン酸を前もって消去することによって、試薬ブランクを低減し、試料中のリン酸測定に影響を与えないよう試薬調製を工夫した。試薬組成は以下の通りである。
試薬組成
MES 100mM pH6.0
マルトース一水和物 20mM
酢酸マグネシウム四水和物 2mM
グルコース−1,6−二リン酸 0.1mM
NAD 1mM
p−ニトロフェニルリン酸 10mM
Triton−X100 0.05 %
マルトースホスホリラーゼ(MP) 10 U/ml
β−ホスホグルコムターゼ (β−PGluM) 10 U/ml
グルコース−6−リン酸脱水素酵素(G6PDH) 100 U/ml
6−ホスホグルコノラクトナーゼ(6−PGL) 0.1 U/ml
【0069】
試薬組成にそって成分を混合することにより原試薬を調製し、さらに、原試薬を37℃にて1時間加温し酵素反応によって、試薬中の微量リン酸を除去することにより、遊離リン酸消去試薬を調製した。このリン酸消去の酵素反応によって最終的に生成するNADHは緩衝液が酸性(pHが6.0)であるため加水分解される。なお、6−ホスホグルコノラクターゼはリン酸消去を促進させるため成分として試薬に含ませた。
【0070】
3)リン酸濃度測定試薬(第二試薬)の調製
以下の成分を混合することによりTRACP5b濃度測定試薬(第二試薬)を調製した。なお、TRACP5bを測定するのに必要な成分で第一試薬に存在するものは、第二試薬には原則として入れなかった。
第二試薬の組成
MES 100mM pH6.0
チオNAD 2mM
NADH 20mM
Triton−X100 0.05%
【0071】
4)対照試薬(比較例1)
対照試薬として酵素サイクリング法を併用しない一般的な基質法試薬を調製した。
対照試薬の第一試薬
MES 100mM pH6.0
Triton−X100 0.05%
対照試薬の第二試薬
MES 100mM pH6.0
p−ニトロフェニルリン酸 10mM
Triton−X100 0.05%
【0072】
5)TRACP5bの測定
試料として、TRACP5b標準液を用い、その標準液を0〜7.75 U/Lまで生理食塩水で適宜希釈して使用した。TRACP5bの測定は日立7180型自動分析装置を用い、試料20μLに対し第一試薬140μL、第二試薬140μLを反応させ、主波長405nm、副波長700nmにて、16〜34測光ポイント間(第二試薬添加直前から添加5分後に相当)において、2ポイントエンド法による吸光度変化量を測定した。
【0073】
6)測定結果
上記試薬を用いて、TRACP5bを測定した際の吸光度変化量を表1に示した。また、表2には0 U/Lの吸光度を差し引き後の吸光度変化量を示した。さらに、表2で求めた吸光度変化量を図1に示した。
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
表1、表2および図1から分かるように、リン酸測定を併用した実施例1の測定により、対照試薬(比較例1)と比較して10倍以上の測定感度が得られた。これは、反応過程で生成するp−ニトロフェノールおよびチオNADHの最大吸収波長が405nm付近にあるため、両者を併せて測定できるためである。このことは、本発明の測定方法によれば、これまでよりも濃度が低い試料中のTRACP5b等の酸性ホスファターゼを感度良く測定することでき、非常に有用であることを示唆している。
【0076】
実施例2
N−エチル−N−(2−ハイドロキシ−3−スルフォプロピル)−3−メチルアラニン(TOOS)酸化発色法を併用したアルカリホスファターゼ(ALP)の測定
1)測定原理
本実施例は、検体中のALPを、試薬の酵素基質チモールフタレインリン酸に作用させ、チモールフタレインとリン酸を発生させ、チモールフタレインの発色とリン酸・TOOS酸化発色系とを併せて波長600nmで測定することにより、ALPを高感度で測定するものである。その測定原理を以下の反応式(XVII)に示す。
【化31】

【0077】
2)第一試薬(基質を含む遊離リン酸消去試薬)の調製
実施例1と同様に、測定試薬中のリン酸を前もって消去することによって、試薬ブランクを低減し、試料中のリン酸測定に影響を与えない試薬を調製した。試薬中のリン酸消去の原理を以下の反応式(XVIII)に示す。
【化32】

【0078】
試薬組成は以下の通りである。
試薬組成
CAPS 100mM pH11.0
イノシン 20mM
塩化マグネシウム六水和物 5mM
チモールフタレインリン酸 1mM
TOOS 10mM
界面活性剤 0.01%
プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP) 10U/ml
キサンチンオキシダーゼ(XTO) 10U/ml
パーオキシダーゼ(POD) 10U/ml
カタラーゼ(CAO) 50U/ml
【0079】
試薬組成にそって成分を混合することにより原試薬を調製し、さらに、原試薬を37℃にて1時間加温し酵素反応によって試薬中の遊離リン酸を除去した。また反応後アジ化ナトリウム(0.1%)を添加することによって、試薬中のカタラーゼを阻害し反応を停止させることにより第一試薬を調製した。
【0080】
3)リン酸濃度測定試薬(第二試薬)の調製
以下の成分を混合することによりリン酸濃度測定試薬(第二試薬)を調製した。ALPを測定するに必要な成分で第一試薬に存在しているものは第二試薬に原則として入れていない。
第二試薬の組成
CAPS 100mM pH11.0
4−アミノアンチピリン(4−AAP) 10mM
パーオキシダーゼ(POD) 10U/ml
界面活性剤 0.01%
【0081】
4)対照試薬(比較例2)
対照試薬としてリン酸測定を併用しない一般的な基質法試薬を調製した。
第一試薬
CAPS 100mM pH11.0
界面活性剤 0.01%
第二試薬
CAPS 100mM pH11.0
チモールフタレインリン酸 1mM
界面活性剤 0.01%
【0082】
5)ALPの測定
試料としてオリエンタル酵母社製アルカリホスファターゼ(子ウシ腸由来)を160 U/mlとなるように、ウシアルブミン含有生理食塩水にて溶解し、0、40、80、160 U/mlになるように適宜希釈して使用した。ALPの測定は日立7180型自動分析装置を用い、試料10μLに対し第一試薬100μL、第二試薬100μLを反応させ、波長600nmにて20〜34測光ポイント間(第二試薬添加1分後から添加5分後に相当)において、2ポイントエンド法による吸光度変化量を測定した。
【0083】
6)測定結果
上記試薬を用いて、ALPを測定した際の吸光度変化量を表3に示した。また、表4には0 U/mlの吸光度を差し引き後の吸光度変化量を示した。さらに、表4で求めた吸光度変化量を図2に示した。
【表3】

【0084】
【表4】

【0085】
表3、表4および図2に示したように、実施例1と同様にリン酸測定を併用した実施例2の測定方法では、対照試薬と比較して感度が高くなり効果が確認された。これは、反応過程で生成するチモールフタレインおよびキノン色素の最大吸収波長が近傍しているため、両者を併せて測定できるためである。
【0086】
実施例3
DA−67酸化発色系を併用したアルカリホスファターゼ(ALP)の測定
1)測定原理
本実施例は、実施例2と同様に、試薬の酵素基質チモールフタレインリン酸を用いており、過酸化水素発色系としてDA−67を用いる以外は実施例2とほぼ同じである。その測定原理を以下の反応式(XIX)に示す。
【化33】

【0087】
2)第一試薬(基質を含む遊離リン酸消去試薬)の調製
実施例1および2と同様に、測定試薬中のリン酸を前もって消去することによって、試薬ブランクを低減し、試料中のリン酸測定に影響を与えない試薬を調製した。リン酸消去の原理は実施例2と同様である。
試薬組成は以下の通りである。
試薬組成
CAPS 100mM pH11.0
イノシン 20mM
塩化マグネシウム六水和物 5mM
チモールフタレインリン酸 1mM
界面活性剤 0.01%
プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP) 20U/ml
キサンチンオキシダーゼ(XTO) 20U/ml
パーオキシダーゼ(POD) 20U/ml
カタラーゼ(CAO) 50U/ml
【0088】
試薬組成にそって成分を混合することにより原試薬を調製し、さらに、原試薬を37℃にて1時間加温し酵素反応によって遊離リン酸を除去した。また反応後アジ化ナトリウム(0.1%)を添加することによって、カタラーゼを阻害し反応を停止させることにより第一試薬を調製した。
【0089】
3)リン酸濃度測定試薬(第二試薬)の調製
以下の成分を混合することによりリン酸濃度測定試薬(第二試薬)を調製した。ALPを測定するに必要な成分で第一試薬に存在しているものは原則として第二試薬に入れなかった。
試薬組成
CAPS 100mM pH11.0
DA−67 0.5mM
界面活性剤 0.01%
【0090】
4)対照試薬(比較例3)
対照試薬としてリン酸測定を併用しない一般的な基質法試薬を調製した。
第一試薬の組成
CAPS 100mM pH11.0
界面活性剤 0.01%
第二試薬の組成
CAPS 100mM pH11.0
チモールフタレインリン酸 1mM
【0091】
5)ALPの測定
試料として実施例2に用いた試料を用い、試薬組成を上記2)および3)の試薬に変更した以外は、実施例2の5)のALPの測定と同様に行なった。
【0092】
5)測定結果
上記試薬を用いて、ALPを測定した際の吸光度変化量を表5に示した。また、表6には0 U/mlの吸光度を差し引き後の吸光度変化量を示した。さらに、表6で求めた吸光度変化量を図3に示した。
【表5】

【0093】
【表6】

【0094】
表5、表6および図3に示したように、実施例1および2と同様に、実施例3の測定方法では、対照試薬と用いた比較例3の測定方法と比較して感度が高くなり効果が確認された。これは、反応過程で生成するチモールフタレインおよびメチレンブルーの最大吸収波長が近傍しているため、両者を併せて測定できるためである。したがって、これまで自動分析装置では測定できないほどの低濃度の試料の測定が可能となり、さらには、酵素免疫法(EIA法)に応用することによって、反応時間を短縮することが可能となり臨床検査分野での有用性が示唆される。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明によれば、試料中のホスファターゼに基質として有機モノリン酸エステルを作用させ、生成するリン酸を、ヒドロキシ化合物の吸光度を測定する波長と同一の波長で測定できる系に誘導し、リン酸由来の測定系とヒドロキシ化合物の測定系とを併せて同じ波長での吸光度変化を測定することにより、ホスファターゼを従来にはなかった感度で測定できる。また、汎用の自動分析装置でホスファターゼを用いて感度良く測定できる。従って、本発明の測定方法は、臨床生化学等の分野において極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】実施例1および比較例1の測定方法で得られた検量線を示す。
【図2】実施例2および比較例2の測定方法で得られた検量線を示す。
【図3】実施例3および比較例3の測定方法で得られた検量線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のホスファターゼに基質として有機モノリン酸エステルを作用させリン酸とヒドロキシ化合物とを生成させて試料中のホスファターゼを測定する方法において、試料に、i)基質として、生成するヒドロキシ化合物が特定の波長の吸光度により測定可能な有機モノリン酸エステル、及びii)リン酸測定試薬成分として、生成するリン酸をその特定の波長と同じ波長で吸光度を測定可能とするための試薬成分を加え、そのリン酸とヒドロキシ化合物の2つの測定系で同一の特定波長の吸光度変化を同時に併せて測定してホスファターゼを測定することを特徴とするホスファターゼの測定方法。
【請求項2】
上記ii)のリン酸測定試薬成分が、リン酸を酵素法で測定するための試薬成分である、請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
上記ii)のリン酸測定試薬成分が、その試薬成分中に存在する試薬遊離リン酸を予め除去しておく、請求項2に記載の測定方法。
【請求項4】
試薬遊離リン酸を予め除去する方法として、カラムクロマトグラフィーまたは透析による物理的手段で試薬遊離リン酸を除去する方法あるいは酵素的にリン酸を除去する方法を行う、請求項3に記載の測定方法。
【請求項5】
リン酸測定試薬成分が、生成するリン酸に対して、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、生成するリン酸を測定するための試薬成分であって、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応として、下記反応式(I)
【化1】


(式中、A1はチオNADP類またはチオNAD類を示し、A2はA1の還元型生成物を示し、B1は還元型NADP類または還元型NAD類を示し、B2はB1の酸化型生成物を示す)で表わされる酵素サイクリング反応を行って生成物Zを生じさせ、該反応によって変化するA2の量を波長405nm付近の吸光度で測定してリン酸を測定するための試薬成分であり、かつ、生成するヒドロキシ化合物が波長405nm付近の吸光度で測定可能である、請求項2から4のいずれかに記載の測定方法。
【請求項6】
基質がp−ニトロフェニルリン酸類またはナフチルリン酸類であり、基質から生成するヒドロキシ化合物が、それぞれ、p−ニトロフェノール類、ナフトール類である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
酵素的に試薬遊離リン酸を除去する方法として、請求項5における単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって、請求項5の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分を用い、更に、それらの補酵素とは別に補酵素C1として、最終酵素反応であるデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応として、下記反応式(II)
【化2】


(式中、C1は、A1、B1とは独立にチオNADP類、チオNAD類、NADP類またはNAD類を示し、C2はC1の還元型生成物を示す)で表される酵素反応を行うための補酵素を用いて、請求項5の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分中の試薬遊離リン酸に対して、上記反応式(II)で表されるデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、生成物Zを生じさせて、請求項5における単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって請求項5の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分中の試薬遊離リン酸を除去する方法を行う、請求項5または6に記載の測定方法。
【請求項8】
請求項5における単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって、請求項5の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分と補酵素C1とを混合して、それら試薬成分中の試薬遊離リン酸を一緒にし、一緒にした試薬遊離リン酸を含む、該試薬成分の混合物を加温して、反応式(II)で表されるデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、試薬遊離リン酸を除去する、請求項7に記載の測定方法。
【請求項9】
反応式(II)で表されるデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応をpH4.0〜7.5で行ない、生成するチオNADP類、チオNAD類、NADP類およびNAD類のいずれかの還元生成物C2が分解されていく、請求項7または8に記載の測定方法。
【請求項10】
反応式(II)で表されるデヒドロゲナーゼを用いた酵素反応の際、さらに生成物Zが減少していく酵素系を存在させておく、請求項7から9のいずれかに記載の測定方法。
【請求項11】
デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数の酵素反応が下記式(III)
【化3】


(ただし、デヒドロゲナーゼはD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを示し、A1,A2,B1,B2は、それぞれ前記の通りである)で表される、請求項5から10のいずれかに記載の測定方法。
【請求項12】
試薬成分中に存在する試薬遊離リン酸を除去するために、試薬成分であるD−グリセルアルデヒド−3−リン酸およびD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、更に、チオNADP類、チオNAD類、NADP類またはNAD類を用いて、それら試薬成分中の試薬遊離リン酸に対して、下記式(IV)
【化4】


(ただし、デヒドロゲナーゼはD−グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを示し、C1、C2は、それぞれ前記の通りである)で表される酵素反応を行って、試薬成分中に存在する試薬遊離リン酸を除去する、請求項11に記載の測定方法。
【請求項13】
試薬遊離リン酸消去の際、生成物1,3−ジホスホグリセリン酸を減少させる酵素として、ビホスホグリセレートムターゼを試薬成分中に存在させておくことにより、下記反応式(V)
【化5】


で表される酵素反応を行う、請求項12に記載の測定方法。
【請求項14】
デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする複数の酵素反応が下記式(VI)
【化6】


(式中、A1、A2、B1、B2は前記のとおり)で表される、請求項5から10のいずれかの記載の測定方法。
【請求項15】
試薬成分中に存在する試薬遊離リン酸を除去するために、試薬成分であるマルトース、マルトースホスホリラーゼ、β−ホスホグルコムターゼおよびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、更に、チオNADP類、チオNAD類、NADP類またはNAD類を用いて、それら試薬成分中の試薬遊離リン酸に対して、下記式(VII)
【化7】


(式中、C1、C2は前記のとおり)で表される酵素反応を行って、試薬成分中に存在する試薬遊離リン酸を除去する、請求項14に記載の測定方法。
【請求項16】
試薬遊離リン酸消去の際、生成物グルコノラクトン−6−リン酸を減少させる酵素として、6−ホスホグルコノラクトナーゼを試薬成分中に存在させておくことにより、下記反応式(VIII)
【化8】


で表される酵素反応を行う、請求項15に記載の測定方法。
【請求項17】
NADP類が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADP)、アセチルピリジンアデニンジヌクレオチドホスフェート(アセチルNADP)およびアセチルピリジンヒポキサンチンジヌクレオチドホスフェートおよびニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチドホスフェート(デアミノNADP)からなる群より選ばれるものである、請求項5から16のいずれかに記載の測定方法。
【請求項18】
NAD類が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アセチルピリジンアデニンジヌクレオチド(アセチルNAD)、アセチルピリジンヒポキサンチンジヌクレオチドおよびニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド(デアミノNAD)からなる群より選ばれるものである、請求項5から16のいずれかに記載の測定方法。
【請求項19】
チオNADP類が、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(チオNADP)およびチオニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチドホスフェートからなる群より選ばれるものである、請求項5から16のいずれかに記載の測定方法。
【請求項20】
チオNAD類が、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)およびチオニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチドからなる群より選ばれるものである、請求項5から16のいずれかに記載の測定方法。
【請求項21】
リン酸測定試薬成分が、生成するリン酸に対して、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行って、生成するリン酸を測定するための試薬成分であって、デヒドロゲナーゼを用いた酵素反応として、下記反応式(IX)
【化9】


で表わされるNAD(P)H類生成反応を行って生成物Zを生じさせ、該反応によって変化するNAD(P)H類の量を波長340nm付近の吸光度で測定してリン酸を測定するための試薬成分であり、かつ、ホスファターゼの基質分解物であるヒドロキシ化合物が波長340nm付近の吸光度で測定可能である、請求項2から4のいずれかに記載の測定方法。
【請求項22】
基質がp−アシルフェニルリン酸類であり、基質から生成されるヒドロキシ化合物がp−アシルフェノール類である、請求項21の測定方法。
【請求項23】
リン酸測定試薬成分が、ホスファターゼ反応により生成したリン酸に対して、オキシダーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数または複数の酵素反応を行なって、そのリン酸を測定するための試薬成分であって、オキシダーゼを用いた酵素反応として、下記反応式(X)
【化10】


で表される、酵素反応を行なって過酸化水素を発生させ、次いでその過酸化水素を色原体とパーオキシダーゼの存在下で酵素反応させ、該反応によって生成する発色物質の変化量を波長480〜750nmの吸光度で測定してリン酸を測定するための試薬成分であり、かつ、生成するヒドロキシ化合物が波長480nm〜750nmの吸光度で測定可能である、請求項2から4のいずれかに記載の測定方法。
【請求項24】
基質が、生成するヒドロキシ化合物が480〜750nmの範囲内の波長で吸光度を測定することにより測定可能な色素系フェノール化合物である、請求項23に記載の測定方法。
【請求項25】
オキシダーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする複数の酵素反応が、下記反応式(XI)
【化11】


で表される、請求項23または24に記載の測定方法。
【請求項26】
オキシダーゼを用いた酵素反応を最終酵素反応とする単数の酵素反応が、下記反応式(XII)
【化12】


で表される、請求項23または24に記載の測定方法。
【請求項27】
酵素的に試薬遊離リン酸を除去する方法として、単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって、酵素反応を行うためのパーオキシダーゼおよび色原体(ただし色原体が2つの化合物の組み合わせの場合は少なくともそのどちらか一方)以外の試薬成分を用いて、下記反応式(XIII)
【化13】


で表される、単数または複数の酵素反応を行い過酸化水素を発生させ、次いでカタラーゼを用いた酵素反応を行なって過酸化水素をカタラーゼの存在下で消去させ、パーオキシダーゼおよび色原体(ただし色原体が2つの化合物の組み合わせの場合は少なくともそのどちらか一方)以外の試薬成分中の試薬遊離リン酸を除去する方法を行う、請求項23から26のいずれかに記載の測定方法。
【請求項28】
試薬遊離リン酸を除去した後、試薬にアジ化ナトリウムを加えて試薬中のカタラーゼを阻害させ、過酸化水素消去反応の能力を阻害する、請求項27に記載の測定方法。
【請求項29】
反応式(X)において用いる色原体が、カップラー・アニリン系トリンダー試薬である、請求項23から28のいずれかに記載の測定方法。
【請求項30】
色原体として、N−エチル−N−スルホプロピル−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3−メチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、及びN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリンから選ばれるアニリン系トリンダー試薬と、カップラーとの組合せを用いる、請求項29に記載の測定方法。
【請求項31】
反応式(X)において用いる色原体が高感度単独色原体である、請求項23から28のいずれかに記載の測定方法。
【請求項32】
高感度単独色原体が、ジフェニルアミン系色原体、フェノチアジン系色原体またはジフェニルメタン系色原体である、請求項31に記載の測定方法。
【請求項33】
試料中のホスファターゼに基質として有機モノリン酸エステルを作用させリン酸とヒドロキシ化合物とを生成させて試料中のホスファターゼを測定するためのキットであって、そのリン酸とヒドロキシ化合物の2つの測定系で同一の特定波長の吸光度変化を同時に併せて測定してホスファターゼを測定するためのキットであり、試薬成分として、i)基質として、生成するヒドロキシ化合物が特定の波長の吸光度により測定可能な有機モノリン酸エステル、及びii)リン酸測定試薬成分として、生成するリン酸をその特定の波長と同じ波長で吸光度を測定可能とするための試薬成分を含む、キット。
【請求項34】
リン酸測定試薬成分が、請求項5に記載の酵素サイクリング反応を行うための試薬成分であり、かつ、基質が、基質から生成するヒドロキシ化合物が波長405nm付近の吸光度で測定可能な基質である、請求項33に記載のキット。
【請求項35】
リン酸測定試薬成分が、請求項5における単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって請求項5の酵素サイクリング反応を行うための補酵素以外の試薬成分と、請求項7の反応式(II)中の最終酵素反応を行うための補酵素C1とを含む遊離リン酸消去用試薬、あるいは該遊離リン酸消去用試薬を酵素反応させて得られる遊離リン酸消去試薬;および請求項5の反応式(I)中の酵素サイクリング反応を行うための補酵素を含む、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
リン酸測定試薬成分が、請求項21に記載の酵素反応を行うための試薬成分であり、かつ、基質が、基質から生成するヒドロキシ化合物が波長340nm付近の吸光度で測定可能な基質である、請求項33に記載のキット。
【請求項37】
リン酸測定試薬成分が、請求項23に記載の酵素反応を行うための試薬成分であり、かつ、基質が、基質から生成するヒドロキシ化合物が波長480nm〜750nmの吸光度で測定可能な基質である、請求項33記載のキット。
【請求項38】
リン酸測定試薬成分が、請求項23における単数または複数の酵素反応を行うための試薬成分であって請求項23の酵素反応を行うためのパーオキシダーゼおよび色原体(ただし色原体が2つの化合物の組み合わせの場合は少なくともそのどちらか一方)以外の試薬成分と、請求項27の反応式(XIII)中のカタラーゼを用いた酵素反応を行うためのカタラーゼとを含む遊離リン酸消去用試薬、あるいは該遊離リン酸消去用試薬を酵素反応させて得られる遊離リン酸消去試薬;および請求項23の反応式(X)の酵素反応を行うためのパーオキシダーゼおよび色原体(ただし色原体が2つの化合物の組み合わせの場合は少なくともそのどちらか一方)を含む、請求項37のキット。
【請求項39】
基質が、リン酸測定試薬成分と一緒になって含まれている、あるいは、遊離リン酸消去用試薬または遊離リン酸消去試薬と一緒になって含まれている、請求項33から38のいずれかに記載のキット。
【請求項40】
リン酸測定試薬成分が、遊離リン酸消去試薬または遊離リン酸消去用試薬と、遊離リン酸非消去試薬からなるリン酸濃度測定試薬とから構成され;遊離リン酸消去試薬または遊離リン酸消去用試薬が、リン酸を測定するための試薬の一部の成分を含み、かつ、遊離リン酸消去試薬は試薬遊離リン酸を酵素反応により除去された試薬であり、遊離リン酸消去用試薬は試薬遊離リン酸を酵素反応により除去する前の試薬であり;リン酸濃度測定試薬がリン酸測定試薬の必須成分のうち、遊離リン酸消去測定試薬または遊離リン酸消去用試薬に含まれていない成分を含む、請求項33に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−183203(P2009−183203A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26276(P2008−26276)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000003975)日東紡績株式会社 (251)
【Fターム(参考)】