説明

ホスフェート結合性マグネシウム塩およびその使用

本発明は、とりわけ、ホスフェート結合性マグネシウム塩に基づく、高リン酸塩血症の処置に好適な組成物および方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、ホスフェート結合性マグネシウム塩およびカルシウム塩の組み合わせに基づく、高リン酸塩血症の処置に好適な組成物および方法を提供する。一態様において、本発明は、少なくとも1種のカルシウム塩および少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量を含む、高リン酸塩血症を処置するのに好適な組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
慢性腎疾患は、治療法がない他の疾患と同様に、これを有する患者への負担が増え続けている。疾患が進行するに従って、腎臓は血液から種々のイオンを除去する際に効率が低下する。これらのイオンの中にはリン酸イオンがあり、リン酸イオンは、カルシウムと組み合わされると不溶性の粒子を形成する可能性がある。末期腎臓疾患である、慢性腎疾患の最終期では、腎機能にかなり支障をきたすため、血液(血清)中のホスフェートレベルが著しく高くなる。この状態は、高リン酸塩血症として公知であり、これにより多くの重大な健康上のリスクをもたらす。例えば、血清中のホスフェートおよびカルシウムのレベルが、ある一定の閾値を超えると、硬い沈着物が体全体にわたって形成されることがあり、循環を危うくする。したがって、末期腎臓疾患患者において血清ホスフェートレベルを制御することが非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
末期腎臓疾患患者は、ホスフェートの低い規定食を食べるように忠告されている場合がある。しかし、ホスフェートは、我々が食べるほとんど全ての食物において、いくらかのレベルで存在する。このため、ホスフェート結合剤が開発された。ホスフェート結合剤は、経口で摂取される化合物であり、胃腸管で作用してホスフェートと結合し、ホスフェートが吸収されないようにする。ホスフェート結合剤は一般に、各食事と共に摂取される。当該分野において公知であるホスフェート結合剤として、例えば、アルミニウムおよびカルシウムの種々の塩、ならびにいくつかの化学的に合成された架橋ポリマーが挙げられる。アルミニウム塩またはカルシウム塩の投与が賢明でない臨床状況が存在する。動物モデルにおいては、ある一定の架橋ポリマーがより高い発癌リスクをもたらす。したがって、より安全かつより有効なホスフェート結合剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、ある一定のマグネシウム塩が、ホスフェート結合に驚くほどに有効であるという発見を包含する。したがって、本発明は、哺乳類被験体からホスフェートを除去するための、1種または複数種のホスフェート結合性マグネシウム塩に基づく治療用組成物および方法を提供する。とりわけ、本発明のホスフェート結合性マグネシウム塩は、高リン酸塩血症を処置する際に、他のホスフェート結合剤(例えば、カルシウム塩)と組み合わせて用いられるとき、特に有用である。例えば、マグネシウム塩とカルシウム塩との組み合わせは、カルシウムの総用量を低減すると同時により良好な栄養バランスを提供しながら、有効なホスフェート結合を提供することができる。したがって、本発明は、より安全かつより有効なホスフェート結合組成物および方法を提供する。
【0004】
一態様において、本発明は、少なくとも1種のカルシウム塩および少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量を含む、高リン酸塩血症を処置するのに好適な組成物を提供する。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩は、マグネシウム塩1グラムあたり少なくとも約50mgのホスフェートと結合する。
【0005】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のカルシウム塩の治療有効用量は、約20mg〜1200mgのカルシウムを含有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のカルシウム塩の治療有効用量は、約2000mg未満(例えば、約1800mg未満、約1600mg未満、約1400mg未満、約1200mg未満、約1000mg未満、約800mg未満、約600mg未満、約400mg未満、約200未満)のカルシウムを含有する。
【0006】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量は、約20mg〜1200mgのマグネシウムを含有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量は、約1200mg未満のマグネシウムを含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のカルシウム塩は、酢酸カルシウム、アセツル酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、アラニン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、アミノ酪酸カルシウム、アルギニン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、ベシル酸カルシウム、ベタイン酸カルシウム(calcium betainate)、臭化カルシウム、カルシウムブテプレート(buteprate)、酪酸カルシウム、カプロン酸カルシウム、カルシウムカルベシレート(carbesilate)、炭酸カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、カルニチン酸カルシウム(calcium carnitinate)、塩化カルシウム、カルシウムシクロテート(ciclotate)、クエン酸カルシウム、シピオン酸カルシウム、エナント酸カルシウム、カルシウムエシレート(calcium esylate)、エタンジスルホン酸カルシウム(calcium ethandisulfonate)、ギ酸カルシウム、フマル酸カルシウム、グルカル酸カルシウム、グルセプチン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルクロン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、グリシン酸カルシウム、ヒプル酸カルシウム、カルシウム塩酸塩(calcium hyclate)、水酸化カルシウム、ヨウ化カルシウム、イセチオン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ラクトビオン酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、リジン酸カルシウム(calcium lysinate)、リンゴ酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、メシル酸カルシウム、メチル硫酸カルシウム(calcium metilsulfate)、メチル硫酸カルシウム(calcium methylsulfate)、ナフトエ酸カルシウム、ナプシル酸カルシウム、ニコチン酸カルシウム、硝酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、オロチン酸カルシウム(calcium orotate)、酸化カルシウム、オキソグルタル酸(oxoglurate)カルシウム、パモ酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、ピコリン酸カルシウム、ピバル酸カルシウム、ポリガラクツロン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、カルシウムステアグレート(calcium steaglate)、ステアリン酸カルシウム、ステアリル−2−乳酸カルシウム、コハク酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、酒石酸カルシウム、テブト酸カルシウム、トシル酸カルシウム、カルシウムトリフルテート(calcium triflutate)、キシナホ酸カルシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0008】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩は、アミノ酪酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、ベタイン酸マグネシウム、カルニチン酸マグネシウム(magnesium carnitinate)、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リジン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0009】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のカルシウム塩対少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約100:1〜約1:100の間である。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のカルシウム塩対少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約10:1〜約1:10の間である。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のカルシウム塩対少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約3:1〜約1:3の間である。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のカルシウム塩対少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約2:1〜約1:2の間である。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のカルシウム塩対少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約3:2〜約2:3の間である。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のカルシウム塩対少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約5:4〜約4:5の間である。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のカルシウム塩対少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約1:1である。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のカルシウム塩対少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約10:9である。
【0010】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のカルシウム塩は酢酸カルシウムを含み、少なくとも1種のマグネシウム塩はグリシン酸マグネシウムを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、酢酸カルシウムの治療有効用量は、約340mgであり、グリシン酸マグネシウムの治療有効用量は、約300mgである。
【0012】
別の態様において、本発明は、少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量を含有する、高リン酸塩血症を処置するのに好適な組成物であって、少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、1グラムあたり少なくとも約50mg(例えば、少なくとも約75mg、100mg、125mg、150mg、175mg)のホスフェートと結合する、組成物を提供する。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩は、1グラムあたり少なくとも約100mgのホスフェートと結合する。
【0013】
なお別の態様において、本発明は、少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量を含有する、高リン酸塩血症を処置するのに好適な組成物であって、少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が炭酸マグネシウムではない、組成物を提供する。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩は、1グラムあたり少なくとも約50mg(例えば、少なくとも約75mg、100mg、125mg、150mg、175mg)のホスフェートと結合する。
【0014】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩は、アミノ酪酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、ベタイン酸マグネシウム、カルニチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リジン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0015】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量は、約20mg〜1200mgのマグネシウムを含有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量は、約1200mg未満のマグネシウムを含有する。
【0016】
いくつかの実施形態において、組成物は、カルシウム塩をさらに含有する。いくつかの実施形態において、カルシウム塩は、約20mg〜1200mgのカルシウムを提供する量で存在する。いくつかの実施形態において、カルシウム塩は、2000mg未満のカルシウムを提供する量で存在する。いくつかの実施形態において、カルシウム塩は、600mg未満のカルシウムを提供する量で存在する。
【0017】
さらに別の態様において、本発明は、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩から本質的になる、高リン酸塩血症を処置するのに好適な組成物を提供する。いくつかの実施形態において、カルシウム塩は、酢酸カルシウム、アセツル酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、アラニン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、アミノ酪酸カルシウム、アルギニン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、ベシル酸カルシウム、ベタイン酸カルシウム、臭化カルシウム、カルシウムブテプレート、酪酸カルシウム、カプロン酸カルシウム、カルシウムカルベシレート、炭酸カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、カルニチン酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムシクロテート、クエン酸カルシウム、シピオン酸カルシウム、エナント酸カルシウム、カルシウムエシレート、エタンジスルホン酸カルシウム、ギ酸カルシウム、フマル酸カルシウム、グルカル酸カルシウム、グルセプチン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルクロン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、グリシン酸カルシウム、ヒプル酸カルシウム、カルシウム塩酸塩、水酸化カルシウム、ヨウ化カルシウム、イセチオン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ラクトビオン酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、リジン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、メシル酸カルシウム、メチル硫酸カルシウム(calcium metilsulfate)、メチル硫酸カルシウム(calcium methylsulfate)、ナフトエ酸カルシウム、ナプシル酸カルシウム、ニコチン酸カルシウム、硝酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、オロチン酸カルシウム、酸化カルシウム、オキソグルタル酸カルシウム、パモ酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、ピコリン酸カルシウム、ピバル酸カルシウム、ポリガラクツロン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、カルシウムステアグレート、ステアリン酸カルシウム、ステアリル−2−乳酸カルシウム、コハク酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、酒石酸カルシウム、テブト酸カルシウム、トシル酸カルシウム、カルシウムトリフルテート、キシナホ酸カルシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、アミノ酪酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、ベタイン酸マグネシウム、カルニチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リジン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩は酢酸カルシウムであり、ホスフェート結合性マグネシウム塩はグリシン酸マグネシウムである。
【0018】
いくつかの実施形態において、カルシウム塩対ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約100:1〜約1:100の間である。いくつかの実施形態において、カルシウム塩対ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約10:1〜約1:10の間である。いくつかの実施形態において、カルシウム塩対ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約3:1〜約1:3の間である。いくつかの実施形態において、カルシウム塩対ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約2:1〜約1:2の間である。いくつかの実施形態において、カルシウム塩対ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約3:2〜約2:3の間である。いくつかの実施形態において、カルシウム塩対ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約5:4〜約4:5の間である。いくつかの実施形態において、カルシウム塩対ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約1:1である。いくつかの実施形態において、カルシウム塩対ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比は、約10:9である。
【0019】
いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、約20mg〜1200mgのマグネシウムを提供する量で存在する。いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、1200mg未満のマグネシウムを提供する量で存在する。いくつかの実施形態において、カルシウム塩は、約20mg〜1200mgのカルシウムを提供する量で存在する。いくつかの実施形態において、カルシウム塩は、2000mg未満(例えば、約1800mg未満、約1600mg未満、約1400mg未満、約1200mg未満、約1000mg未満、約800mg未満、約600mg未満、約400mg未満、約200mg未満)のカルシウムを提供する量で存在する。
【0020】
本発明による発明組成物は、経口投与用に配合され得る。いくつかの実施形態において、発明組成物は、栄養補給剤として配合される。いくつかの実施形態において、本発明の発明組成物は、錠剤、カシェ剤、硬ゼラチンカプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、舐剤、懸濁物、またはビーズの形態であり得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、発明組成物は、腸溶性コーティングをさらに含有する。いくつかの実施形態において、腸溶性コーティングは、クエン酸アセチルトリブチル、カルボマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、エチルセルロース、グアーガム、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、白蝋および/またはゼインを含有する。
【0022】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、本発明に好適な薬学的に許容される賦形剤として、デンプン、ゴム(gum)、アルギネート、シリケート、デキストロース、ゼラチン、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トラガカント、セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、ポリビニルピロリドンおよび/またはタルクが挙げられる。
【0023】
本発明は、処置を必要とする被験体に本明細書に記載されている組成物のいずれか1種を投与することによって、高リン酸塩血症を処置する方法をさらに含む。
【0024】
一態様において、本発明は、処置を必要とする被験体にカルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩を投与することを含む、高リン酸塩血症を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、1グラムあたり少なくとも約50mgのホスフェートと結合する。いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、炭酸マグネシウムではない。
【0025】
いくつかの実施形態において、カルシウム塩は、1用量あたり約20mg〜1200mgのカルシウムを提供する量で投与される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩は、1用量あたり約600mg未満のカルシウムを提供する量で投与される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩は、1日あたり約2000mg未満(例えば、約1800mg未満、約1600mg未満、約1400mg未満、約1200mg未満、約1000mg未満、約800mg未満、約600mg未満、約400mg未満、約200mg未満)のカルシウムを提供する量で投与される。
【0026】
いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、1用量あたり約20mg〜1200mgのマグネシウムを提供する量で投与される。いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、1用量あたり約1200mg未満のマグネシウムを提供する量で投与される。いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、1日あたり約4000mg未満(例えば、約3500mg未満、約3000mg未満、約2500mg未満、約2000mg未満、約1500mg未満、または約1000mg未満)のマグネシウムを提供する量で投与される。
【0027】
いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、1日4回投与される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、1日3回投与される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、1日2回投与される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、1日1回投与される。
【0028】
いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、経口投与される。
【0029】
いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、腸溶性コーティングと共に投与される。いくつかの実施形態において、腸溶性コーティングは、クエン酸アセチルトリブチル、カルボマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、エチルセルロース、グアーガム、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、白蝋および/またはゼインを含有する。
【0030】
いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、同時に投与される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、順次投与される。
【0031】
いくつかの実施形態において、カルシウム塩は、酢酸カルシウム、アセツル酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、アラニン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、アミノ酪酸カルシウム、アルギニン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、ベシル酸カルシウム、ベタイン酸カルシウム、臭化カルシウム、カルシウムブテプレート、酪酸カルシウム、カプロン酸カルシウム、カルシウムカルベシレート、炭酸カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、カルニチン酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムシクロテート、クエン酸カルシウム、シピオン酸カルシウム、エナント酸カルシウム、カルシウムエシレート、エタンジスルホン酸カルシウム、ギ酸カルシウム、フマル酸カルシウム、グルカル酸カルシウム、グルセプチン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルクロン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、グリシン酸カルシウム、ヒプル酸カルシウム、カルシウム塩酸塩、水酸化カルシウム、ヨウ化カルシウム、イセチオン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ラクトビオン酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、リジン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、メシル酸カルシウム、メチル硫酸カルシウム(calcium metilsulfate)、メチル硫酸カルシウム(calcium methylsulfate)、ナフトエ酸カルシウム、ナプシル酸カルシウム、ニコチン酸カルシウム、硝酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、オロチン酸カルシウム、酸化カルシウム、オキソグルタル酸カルシウム、パモ酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、ピコリン酸カルシウム、ピバル酸カルシウム、ポリガラクツロン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、カルシウムステアグレート、ステアリン酸カルシウム、ステアリル−2−乳酸カルシウム、コハク酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、酒石酸カルシウム、テブト酸カルシウム、トシル酸カルシウム、カルシウムトリフルテート、キシナホ酸カルシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0032】
いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、アミノ酪酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、ベタイン酸マグネシウム、カルニチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リジン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、約100:1〜約1:100の間の質量比で投与される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、約10:1〜約1:10の間の質量比で投与される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、約3:1〜約1:3の間の質量比で投与される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、約2:1〜約1:2の間の質量比で投与される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、約3:2〜約2:3の間の質量比で投与される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、約5:4〜約4:5の間の質量比で投与される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、約1:1の質量比で投与される。いくつかの実施形態において、カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩は、約10:9の質量比で投与される。
【0034】
いくつかの実施形態において、カルシウム塩は酢酸カルシウムであり、ホスフェート結合性マグネシウム塩はグリシン酸マグネシウムである。いくつかの実施形態において、酢酸カルシウムは、約340mgの用量で投与され、グリシン酸マグネシウムは、約300mgの用量で投与される。
【0035】
なお別の態様において、本発明は、処置を必要とする被験体にホスフェート結合性マグネシウム塩を投与することによって高リン酸塩血症を処置する方法であって、ホスフェート結合性マグネシウム塩が1グラムあたり少なくとも約50mgのホスフェートと結合する方法を提供する。
【0036】
さらに別の態様において、本発明は、処置を必要とする被験体にホスフェート結合性マグネシウム塩を投与することによって、高リン酸塩血症を処置する方法であって、ホスフェート結合性マグネシウム塩が、炭酸マグネシウムではない方法を提供する。
【0037】
いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、1用量あたり約20mg〜1200mgのマグネシウムを提供する量で投与される。いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、1用量あたり約1200mg未満のマグネシウムを提供する量で投与される。いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、1日あたり約4000mg未満(例えば、約3500mg未満、約3000mg未満、約2500mg未満、約2000mg未満、約1500mg未満、または約1000mg未満)のマグネシウムを提供する量で投与される。
【0038】
いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、1日4回投与される。いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、1日3回投与される。いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、1日2回投与される。いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、1日1回投与される。
【0039】
いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、経口投与される。いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、錠剤、カシェ剤、硬ゼラチンカプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、舐剤、懸濁物、またはビーズの形態で投与される。
【0040】
いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、腸溶性コーティングと共に投与される。いくつかの実施形態において、好適な腸溶性コーティングは、クエン酸アセチルトリブチル、カルボマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、エチルセルロース、グアーガム、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、白蝋および/またはゼインを含有する。
【0041】
いくつかの実施形態において、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、別のホスフェート結合剤(例えば、カルシウム塩)と組み合わせて投与される。
【0042】
いくつかの実施形態において、本発明は、慢性腎疾患および/または末期腎臓疾患のための処置を必要とする被験体を処置するのに用いられ得る。いくつかの実施形態において、本発明は、1種または複数種のホスフェート代謝障害および/またはホスフェート輸送機能障害のための処置を必要とする被験体を処置するのに用いられ得る。
【0043】
本出願において、「または」の使用は、別途記述しない限り、「および/または」を意味する。用語「含む(comprise)」および該用語の変形、例えば「含む(comprising)」および「含む(comprises)」は、本出願において用いられるとき、他の添加物、構成要素、整数またはステップを排除することを意図していない。用語「約」および「およそ」は、本出願において用いられるとき、均等物として用いられる。「約/およそ」を有するまたは有さない、本出願において用いられるあらゆる数字は、当業者によって認識されるあらゆる通常の変動を包含することが意味される。ある一定の実施形態において、用語「およそ」または「約」は、別途記述しない限り、記述した基準値のいずれかの方向(超または未満)において25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以下にある値、あるいは(かかる数が起こり得る値の100%を超え得る場合を除いて)文脈から明確である値の範囲を称する。
【0044】
本発明の他の特徴、目的および利点は、以下に続く詳細な説明、図面および特許請求の範囲において明らかである。しかし、詳細な説明、図面および特許請求の範囲が、本発明の実施形態を示しつつも、限定されず、説明目的のみで与えられていることが理解されるべきである。本発明の範囲内の種々の変更および改変が当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、ホスフェートを被験体から除去するための、ホスフェート結合性マグネシウム塩に基づく組成物および方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、ホスフェート結合性マグネシウム塩、またはホスフェート結合性マグネシウム塩およびカルシウム塩の組み合わせを用いて、高リン酸塩血症を処置するための組成物および方法を提供する。
【0046】
本発明の種々の態様を以下のセクションに詳細に記載する。セクションの使用は、本発明を限定することを意味していない。各セクションは、本発明のあらゆる態様に適用することができる。本出願において、「または」の使用は、別途記述しない限り、「および/または」を意味する。
【0047】
ホスフェート結合性マグネシウム塩
本発明は、部分的には、マグネシウム塩のホスフェート結合能力の予想外の固有の特徴の発見に基づいている。多くの金属(例えば、カルシウム)と同様に、マグネシウムの二価の陽イオンは、水溶液中のリン酸陰イオンと一緒になって高度に不溶性の塩を形成することができるということが一般的な化学的知識であった。しかし、カルシウムとは異なって、マグネシウム塩に基づく治療用ホスフェート結合剤を開発する努力は、本発明の前には成功しなかった。以下に記載するように、本発明者らは、小腸液(SIF)をシミュレートした条件下で種々のマグネシウム塩がホスフェートと結合する能力は、カルシウム塩とは驚くほどに異なることを発見した。より水溶性である、金属陽イオンの塩が、対応するリン酸塩であるとき、不溶性のリン酸塩が、ホスフェートを含有する溶液内に混合されるときに形成されることが化学的定説および理論であった。例えば、20℃の水への塩化カルシウムの溶解度は745g/Lであり、リン酸カルシウムの溶解度は20mg/Lである。したがって、塩化カルシウムは、水溶性が37250倍高い。塩化カルシウムを水中でホスフェートと混合すると、不溶性のリン酸カルシウム沈殿物が予想通り形成される。塩化マグネシウムの水への溶解度は、546g/Lであり、リン酸マグネシウムの溶解度は0.26mg/Lである。したがって、塩化マグネシウムは、水溶性がリン酸マグネシウムの2,100,000倍高い。しかし、全く予想外なことに、カルシウムとは異なって、塩化マグネシウムの溶液を小腸液(SIF)をシミュレートしたホスフェート溶液と混合すると、不溶性のリン酸マグネシウム沈殿物は形成されない。実施例セクションにおいて記載されているように、本出願の発明者らは、多数のマグネシウム塩を、SIFと類似する溶液中で不溶性のリン酸マグネシウムを形成する能力について試験すると、ほんの少しのマグネシウム塩が、SIFからホスフェートを効果的に沈澱させるであろうことを発見した。各マグネシウム塩からの結果は予想外であった。
【0048】
また、本発明者らは、マグネシウム塩およびカルシウム塩が、圧倒的な量のHClを含有する胃酸と異なる相互作用し得ることをさらに発見した。実施例セクションに記載されているように、ある一定の活性マグネシウム塩(例えば、マグネシウムの酸化物または水酸化物)は、胃酸(HCl)と反応して、(先に記載されているように、SIF中でホスフェートを沈澱させることができないであろう)塩化マグネシウムを形成することにより、SIF中でホスフェートを沈澱させる能力を失う場合がある(実施例3を参照のこと)。したがって、マグネシウム塩、特に、胃酸(HCl)と反応することが可能であるマグネシウム塩(本出願において「活性マグネシウム塩」と称される)は、マグネシウム塩が胃酸から保護されるように、腸溶性コーティングすることが望ましい。カルシウム塩は典型的には、マグネシウムとは異なり、胃酸(HCl)と反応した後にSIF中でホスフェートを沈澱させる能力を失うことはなく、これは、変換された塩化カルシウムは、先に記載されているように、SIFからホスフェートを容易に沈澱させるからである。したがって、いずれの腸溶性コーティングも存在しないあらゆるカルシウム塩(酢酸塩、炭酸塩など)は、依然として、ヒトにおける有効なホスフェート結合剤であるはずである。
【0049】
用語「ホスフェート結合性マグネシウム塩」は、本明細書において用いられるとき、生理的条件下で(例えば、小腸液において)ホスフェートと結合する、これを沈澱させる、および/またはこれを哺乳類被験体から除去することが可能である、腸溶性コーティングを有するまたは有さない、あらゆるマグネシウム含有塩を称する。用語「腸溶性コーティング」または「腸溶性フィルム」は、本明細書において用いられるとき、例えば、マグネシウム塩を含有する経口薬剤に適用されるバリアであって、該薬剤が吸収される消化系での位置を制御するバリアを称する。典型的には、腸溶性コーティングは、薬剤が小腸に到達する前の該薬剤の放出を防止する。いくつかの実施形態において、本発明に好適な腸溶性コーティングとして、胃において見られる高度に酸性のpH(例えば、pH約3)において安定であるが、あまり酸性でない(比較的、より塩基性である)pH(例えば、(pH5.5超)において迅速に溶解する表面コーティングが挙げられる。いくつかの実施形態において、本発明に好適なホスフェート結合性マグネシウム塩として、マグネシウム塩1グラムあたり少なくとも約25mg(例えば、少なくとも約30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、または200mg)のホスフェートと結合するマグネシウム含有塩が挙げられる。いくつかの実施形態において、マグネシウム塩のホスフェート結合能は、当該分野において公知の種々のホスフェート結合アッセイを用いて特徴付けられ得る。いくつかの実施形態において、マグネシウム塩のホスフェート結合能は、SIFをシミュレートする溶液において特徴付けられる。SIFをシミュレートする溶液での例示的なホスフェート結合アッセイは、以下の実施例セクションに記載されている。さらなるホスフェート結合アッセイは、Rosenbaumら、Nephrol. Dial. Transplant.12巻:961〜964頁(1997年);ならびにLowryおよびLopez、 J. Biol. Chem.162巻:421〜428頁(1946年)において記載されており、これらの教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
例示的なマグネシウム塩の具体的なホスフェート結合能は、実施例2に記載されている(表2〜5を参照のこと)。
【0051】
いくつかの実施形態において、本発明に好適なホスフェート結合性マグネシウム塩として、1グラムあたり25mg超のホスフェートと結合するこれらのマグネシウム塩が挙げられる。かかる例示的なホスフェート結合性マグネシウム塩として、限定されないが、アミノ酪酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、ベタイン酸マグネシウム、カルニチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リジン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、および酒石酸マグネシウムが挙げられる。
【0052】
いくつかの実施形態において、本発明に好適なホスフェート結合性マグネシウム塩として、1グラムあたり50mg超のホスフェートと結合するこれらのマグネシウム塩が挙げられる。かかる例示的なホスフェート結合性マグネシウム塩として、限定されないが、アミノ酪酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、ベタイン酸マグネシウム、カルニチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リジン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、およびプロピオン酸マグネシウムが挙げられる。
【0053】
いくつかの実施形態において、本発明に好適なホスフェート結合性マグネシウム塩として、1グラムあたり100mg超のホスフェートと結合するこれらのマグネシウム塩が挙げられる。かかる例示的なホスフェート結合性マグネシウム塩として、限定されないが、アルギン酸マグネシウム、ベタイン酸マグネシウム、カルニチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リジン酸マグネシウム、および酸化マグネシウムが挙げられる。
【0054】
実施例セクションに記載されているように、本発明者らによって特定されたある一定のホスフェート結合性マグネシウム塩は、既存の商業用のホスフェート結合剤、例えば、PhosLo(登録商標)(酢酸カルシウム)およびRenagel(登録商標)(セベラマー塩酸塩)よりもはるかに高いホスフェート結合能を有する(実施例2を参照のこと)。したがって、本発明は、高リン酸塩血症のための改善された、より有効な治療に用いられ得るホスフェート結合性マグネシウム塩を提供する。
【0055】
ホスフェート結合カルシウム塩
いくつかの実施形態において、マグネシウム塩は、ホスフェート結合カルシウム塩と組み合わせて用いられ得る。本発明に好適な例示的なカルシウム塩として、限定されないが、酢酸カルシウム(Phosex(登録商標)、PhosLo(登録商標))、アセツル酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、アラニン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、アミノ酪酸カルシウム、アルギニン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム(Calcichew(登録商標)、Titralac(登録商標))、アスパラギン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、ベシル酸カルシウム、ベタイン酸カルシウム、臭化カルシウム、カルシウムブテプレート、酪酸カルシウム、カプロン酸カルシウム、カルシウムカルベシレート、炭酸カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、カルニチン酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムシクロテート、クエン酸カルシウム、シピオン酸カルシウム、エナント酸カルシウム、カルシウムエシレート、エタンジスルホン酸カルシウム、ギ酸カルシウム、フマル酸カルシウム、グルカル酸カルシウム、グルセプチン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルクロン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、グリシン酸カルシウム、ヒプル酸カルシウム、カルシウム塩酸塩、水酸化カルシウム、ヨウ化カルシウム、イセチオン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ラクトビオン酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、リジン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、メシル酸カルシウム、メチル硫酸カルシウム(calcium metilsulfate)、メチル硫酸カルシウム(calcium methylsulfate)、ナフトエ酸カルシウム、ナプシル酸カルシウム、ニコチン酸カルシウム、硝酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、オロチン酸カルシウム、酸化カルシウム、オキソグルタル酸カルシウム、パモ酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、ピコリン酸カルシウム、ピバル酸カルシウム、ポリガラクツロン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、カルシウムステアグレート、ステアリン酸カルシウム、ステアリル−2−乳酸カルシウム、コハク酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、酒石酸カルシウム、テブト酸カルシウム、トシル酸カルシウム、カルシウムトリフルテート、キシナホ酸カルシウム、およびこれらの混合物または組み合わせが挙げられる。
【0056】
本発明に好適なある一定の例示的なカルシウム塩の分子量および百分率を表1に示す。
【0057】
【表1】

ホスフェート結合性マグネシウム塩は、限定されないが、ホスフェート結合アルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウム(Alucaps(登録商標))、ランタン塩(例えば、炭酸ランタン(Fosrenol(登録商標))、ポリマー(例えば、セベラマー(Renagel(登録商標)、Renvela(登録商標))、およびキトサンを含めた、種々の他のホスフェート結合剤と組み合わせて用いられてもよい。
【0058】
高リン酸塩血症の処置
本明細書に記載されているホスフェート結合性マグネシウム塩は、ホスフェートと結合するおよび/またはこれを哺乳類被験体から除去するのに用いられ得る。特に、本明細書に記載されているホスフェート結合性マグネシウム塩は、高リン酸塩血症を処置するのに用いられ得る。用語「高リン酸塩血症(高リン酸血症、高リン血症)」は、本明細書において用いられるとき、正常な血中リンレベルよりも高いことを称する。ヒトの成人において、血中リンの正常範囲は、およそ2.5〜4.5mg/dL(すなわち、2.5〜4.5mg/100mL)である。典型的には、高リン酸塩血症の状態を有する個体は、5.0mg/dLより高い(例えば、5.5mg/dL、6.0mg/dL、6.5mg/dL、または7.0mg/dLより高い)空腹時血清リン濃度を有する。ホスフェート濃度を測定するための方法は、当該分野において周知である。例えば、ホスフェート濃度は、LowryおよびLopez、J. Biol. Chem.162巻:421〜428頁の方法によって測定され得る。高リン酸塩血症の状態は、特に長期間にわたって存在するとき、カルシウムおよびリン代謝における重度の異常をもたらし、関節、肺、および眼における異常性の石灰化によって顕在化され得る。
【0059】
高リン酸塩血症は、限定されないが、不十分な腎臓機能に関連する疾患、例えば、慢性腎疾患および/または末期腎臓疾患、副甲状腺機能低下、ならびに他のホスフェート代謝障害および/またはホスフェート輸送機能障害などを含めた種々の疾患または医学的状態に関連する。
【0060】
典型的には、高リン酸塩血症を処置する方法は、処置を必要とする被験体にホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効量を投与することを含む。いくつかの実施形態において、高リン酸塩血症を処置する方法は、処置を必要とする被験体に少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効量および少なくとも1種のホスフェート結合カルシウム塩を投与することを含む。用語「治療有効量」は、本明細書において用いられるとき、単回用量、または適切な時間間隔、例えば、時間もしくは日によって分離される連続用量で、高リン酸塩血症に関連する疾患、障害、および/または状態にかかっているまたはかかり易い被験体に投与されるときに血清ホスフェートレベルを低減もしくは制御する、または高リン酸塩血症によって引き起こされる症状(複数可)を処置する、防止する、および/もしくはその発現を遅らせるのに有効な量を称する。治療有効量は、複数の単位用量を含んでいてよい投薬レジメンにおいて一般的に投与される。有効な投薬レジメン内での適切な単位用量は、「治療有効用量」と称される。
【0061】
処置される「個体」、「患者」または「被験体」は、本明細書において用いられるとき、ヒトまたは非ヒト、例えば、限定されないが、ウシ、ネコ、イヌ、フェレット、アレチネズミ、ヤギ、モルモット、ハムスター、ウマ、マウス、非ヒト霊長類、ブタ、ウサギ、ラットまたはヒツジを含めた非ヒト哺乳類被験体が挙げられる。高リン酸塩血症に関連する疾患、障害および/または状態「にかかり易い被験体」は、本明細書において用いられるとき、高リン酸塩血症の診断がなされていない場合であっても、高リン酸塩血症を発症するリスクのある個体または高リン酸塩血症の1種もしくは複数種の生理的症状を報告する患者を称する。
【0062】
用語「低減する」、「減少する」または文法的な均等物は、本明細書において用いられるとき、基準の測定値、例えば、本明細書に記載されている処置の開始の前の同じ個体での測定値、または本明細書に記載されている処置の非存在下での対照個体(または複数の対照個体)における測定値に対する値を示す。「対照個体」は、処置される個体と同じ高リン酸塩血症状態に悩まされる個体である。
【0063】
用語「処置する(treat)」、「処置(treatment)」、または「処置する(treating)」は、本明細書において用いられるとき、高リン酸塩血症または高リン酸塩血症の根拠となる特定の疾患、障害、および/もしくは状態の1種または複数種の症状または特徴の発現を部分的または完全に緩和する、改良する、軽減する、抑制する、防止する、遅らせる、あるいはこれらの重症度を低減するおよび/またはこれらの発生を低減するために用いられるあらゆる方法を称する。処置は、疾患の兆候を示さないおよび/または疾患の初期兆候のみを示す被験体に、疾患に関連する病状を発症するリスクを減少する目的で投与されてよい。予防的利益のために、本発明の組成物は、高リン酸塩血症の診断がなされていない場合であっても、高リン酸塩血症を発症するリスクのある患者または高リン酸塩血症の1種もしくは複数種の生理的症状を報告する患者に投与されてよい。
【0064】
特定の適用に有効な実際の量は、処置される状態(例えば、疾患または障害およびその重症度、ならびに処置される患者の年齢および体重)ならびに投与経路に依存するであろう。有効な量の決定は、特に、本明細書における開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。例えば、ヒトでの使用のために有効な量は、動物モデルから決定され得る。例えば、ヒトのための用量は、動物において有効であることが見出されている循環血中および/または胃腸濃度を達成するように定められ得る。
【0065】
医薬組成物
ホスフェート結合性マグネシウム塩は、本明細書に記載されている医薬組成物に配合されてよい。マグネシウム塩が、1種または複数種の他のホスフェート結合剤と組み合わされて用いられるとき、マグネシウム塩および1種または複数種の他のホスフェート結合剤は、1種の組成物または別個の組成物に配合され得る。いくつかの実施形態において、本発明による医薬組成物は、本明細書に記載されている少なくとも1種のマグネシウム塩および本明細書に記載されている少なくとも1種のカルシウム塩を含有する。マグネシウム塩およびカルシウム塩は、種々の質量またはモル比で組み合わされてよい。例えば、カルシウム塩対マグネシウム塩の質量またはモル比は、約100:1〜約1:100の間(例えば、約50:1〜約1:50の間、約20:1〜約1:20の間、約10:1〜約1:10の間、約5:1〜約1:5の間、約3:1〜約1:3の間、約2:1〜約1:2の間、約3:2〜約2:3の間、約5:4〜約4:5の間)であり得る。いくつかの実施形態において、カルシウム塩対マグネシウム塩の質量またはモル比は、約1:1である。いくつかの実施形態において、カルシウム塩対マグネシウム塩の質量またはモル比は、約10:9である。いくつかの実施形態において、カルシウム塩対マグネシウム塩の質量またはモル比は、約9:10である。
【0066】
典型的には、本発明による組成物は、マグネシウム塩またはカルシウム塩の治療有効量または用量を含有するように配合される。特定の適用に有効な実際の量または用量は、処置される状態(例えば、疾患または障害およびその重症度、ならびに処置される患者の年齢および体重)ならびに投与経路に依存するであろう。有効な量または用量の決定は、特に、本明細書における開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。例えば、ヒトでの使用のために有効な量または用量は、動物モデルから決定され得る。いくつかの実施形態において、ヒトのための用量は、動物において有効であることが見出されている循環血中および/または胃腸濃度を達成するように定められ得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、本発明によるカルシウム塩の治療有効用量は、約20mg〜1200mgのカルシウム(例えば、約20mg〜約1000mgのカルシウム、約20mg〜約800mgのカルシウム、約20mg〜約600mgのカルシウム、約20mg〜約400mgのカルシウム、約20mg〜約200mgのカルシウム、約100mg〜約300mgのカルシウム、約100mg〜約500mgのカルシウム、約100mg〜約700mgのカルシウム、約100mg〜約900mgのカルシウム)を含有していてよい。いくつかの実施形態において、本発明によるカルシウム塩の治療有効用量は、約2000mg未満(例えば、約1800mg未満、約1600mg未満、約1400mg未満、約1200mg未満、約1000mg未満、約800mg未満、約600mg未満、約500mg未満、約400mg未満、約300mg未満、約200未満)のカルシウムを含有する。いくつかの実施形態において、本発明によるマグネシウム塩の治療有効用量は、約20mg〜1200mgのマグネシウム(例えば、約20mg〜約1000mgのマグネシウム、約20mg〜約800mgのマグネシウム、約20mg〜約600mgのマグネシウム、約20mg〜約400mgのマグネシウム、約20mg〜約200mgのマグネシウム、約100mg〜約300mgのマグネシウム、約100mg〜約500mgのマグネシウム、約100mg〜約700mgのマグネシウム、約100mg〜約900mgのマグネシウム)を含有していてよい。いくつかの実施形態において、マグネシウム塩の治療有効用量は、約1200mg未満のマグネシウム(例えば、約1000mg未満のマグネシウム、約800mg未満のマグネシウム、約600mg未満のマグネシウム、約400mg未満のマグネシウム、または約200mg未満のマグネシウム)を含有する。
【0068】
いくつかの実施形態において、本発明による組成物は、好適な投薬レジメンによって投与されるとき、1日あたり約60mg〜約4000mg(例えば、約80mg〜約3000、約1000mg〜約2000mg、約500mg〜約1200mg、約500mg〜約1100mg、約500mg〜約1000mg)の範囲のカルシウムの治療有効量を提供する。いくつかの実施形態において、本発明による組成物は、好適な投薬レジメンによって投与されるとき、1日あたり約2000mg未満(例えば、約1800mg未満、約1600mg未満、約1400mg未満、約1200mg未満、約1000mg未満、約800mg未満、約600mg未満、約400mg未満、または約200mg未満)のカルシウムを提供する。いくつかの実施形態において、本発明による組成物は、好適な投薬レジメンによって投与されるとき、1日あたり約60mg〜約4000mg(例えば、約80mg〜約3000、約1000mg〜約2000mg、約500mg〜約1200mg、約500mg〜約1100mg、約500mg〜約1000mg)の範囲のマグネシウムの治療有効量を提供する。いくつかの実施形態において、本発明による組成物は、好適な投薬レジメンによって投与されるとき、1日あたり約500mg超(例えば、約750mg超、約1000mg超、約1250mg超、約1500mg超、約1750mg超、または約2000mg超)のマグネシウムを提供する。いくつかの実施形態において、本発明による組成物は、好適な投薬レジメンによって投与されるとき、1日あたり約4000mg未満(例えば、約3500mg未満、約3000mg未満、約2500mg未満、約2000mg未満、約1500mg未満、または約1000mg未満)のマグネシウムを提供する。
【0069】
本発明による組成物は、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、1週間に2回、または1週間に1回投与されてよい。いくつかの実施形態において、本発明による組成物は、食事と一緒に投与されてよい。
【0070】
典型的には、本発明の組成物は、担体をさらに含む。本発明に好適な担体はまた、薬学的に許容される担体、担体−希釈剤、または賦形剤とも称される。担体は、キトサンのための賦形剤、媒体、および/またはビヒクルとして作用する固体、半固体または液体材料であってよい。例えば、本発明の組成物は、固体または液体媒体中にあってよい。例えば、ホスフェート結合塩は、担体、例えば、カプセル、紙、サシェットまたは他の容器内に封入されていてよい。特に、好適な担体、賦形剤、または希釈剤は、デンプン、ゴム、アルギネート、シリケート、デキストロース、ゼラチン、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トラガカント、セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、ポリビニルピロリドンまたはタルクであってよい。
【0071】
本発明の組成物は、注射による、局所的、経口、経皮、または直腸内投与用に配合され得る。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、経口投与用に配合される。例えば、本発明による組成物は、ほんの数例を挙げると、カシェ剤、硬ゼラチンカプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、エリキシル剤、舐剤、丸薬、粉末、サシェット、無菌包装粉末、懸濁物、シロップ、錠剤、カプセル剤、液剤、または乳剤の形態であってよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、本発明による組成物は、腸溶性コーティングまたはフィルムを含有していてよい。かかる配合物または組成物は、「腸溶性コーティングされた」配合物または組成物とも称される。用語「腸溶性コーティング」または「腸溶性フィルム」は、本明細書において用いられるとき、例えば、経口薬剤に適用されるバリアであって、該薬剤が吸収される消化系での位置を制御するバリアを称する。典型的には、腸溶性コーティングは、薬剤が小腸に到達する前の該薬剤の放出を防止する。いくつかの実施形態において、本発明に好適な腸溶性コーティングとして、胃において見られる高度に酸性のpH(例えば、pH約3)において安定であるが、あまり酸性でない(比較的、より塩基性である)pH(例えば、(pH5.5超)において迅速に溶解する表面コーティングが挙げられる。本発明によると、腸溶性フィルムまたはコーティングは、胃の内腔の酸性環境におけるマグネシウム塩および/またはカルシウム塩の分散を防止する。腸溶性コーティングに好適な材料として、限定されないが、クエン酸アセチルトリブチル、カルボマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、エチルセルロース、脂肪酸、グアーガム、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアセテートフタレート、プラスチック、シェラック、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、蝋(例えば、白蝋)、ゼインおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0073】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、食物、飲料、または栄養食もしくは栄養補助食品であり得る。一実施形態において、組成物は栄養補給剤である。本明細書において用いられるとき、「栄養補給剤」は、不足している、またはヒトもしくは動物の規定食において十分な量で消費されない栄養物(限定されないが、ビタミン、ミネラル、脂肪酸またはアミノ酸を含む)を供給するように配合された調製物である。この明細書において用いられるとき、栄養補給剤は、「食物補給剤」または「栄養補助食品」とも称される。
【0074】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、ヒトの規定食のための栄養補給剤である。栄養補給剤は、食事によって投与されても食事によらずに投与されてもよく、1日1回、1日2回、1日3回、1日おき、1週間に2回、1週間に1回、または可変間隔で投与され得る。いくつかの実施形態において、栄養補給剤は、食事によって1日3回投与され得る。補給剤は、例えば、粉末、液体、シロップ、丸薬、カプセル化組成物などを含めた種々の形態であってよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、全体の栄養バランスまたは性能を改善するために別の餌またはペットフードと共に用いられる餌またはペットフードなどの動物の規定食のための栄養補給剤である。考慮される補給剤は、他の餌またはペットフードに補給剤として希釈されずに与えられる組成物、別個で利用可能である、動物の糧食の他の部分と共に自由裁量で付与される組成物、または動物の規則的な餌もしくはペットフードによって希釈され、これと混合されて完全な餌もしくはペットフードを生成する組成物を含む。
【0076】
別の実施形態において、本発明の組成物は、動物用のおやつであり得る。おやつとして、例えば、動物が食事時間ではない間に食べるようにするために与えられる組成物が挙げられる。イヌ科動物用の考慮されるおやつとして、例えば、イヌ用の骨が挙げられる。おやつは、組成物が1種または複数種の栄養物を含む、栄養性のものであってよく、例えば、食物について先に記載した組成物を有していてよい。非栄養性のおやつは、非毒性であるあらゆる他のおやつを包含する。
【0077】
典型的には、ホスフェート結合性マグネシウム塩は、意図される動物に消費に許容されない組成物に気付かせる臭気またはフレーバを付与しない濃度で組成物中に存在する。多くの場合において、望ましい臭気およびフレーバは、香気またはフレーバ強化剤を用いて達成され得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物中のマグネシウム塩(複数可)またはマグネシウム塩およびカルシウム塩(slats)の合計質量の百分率は、組成物の少なくとも約0.005重量%(例えば、少なくとも約0.1%、0.5%、1.0%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、10%、15%、20%、25%、30%またはこれより高い)である。いくつかの実施形態において、本発明の組成物中のマグネシウム塩および/またはカルシウム塩の百分率は、組成物の重量に対して約0.1%〜約30%の範囲である。いくつかの実施形態において、本発明の組成物中のマグネシウム塩および/またはカルシウム塩の百分率は、組成物の重量に対して約0.1%〜約10%の範囲である。いくつかの実施形態において、本発明の組成物中のマグネシウム塩および/またはカルシウム塩の百分率は、組成物の重量に対して約0.2%〜約5%の範囲である。いくつかの実施形態において、本発明の組成物中のマグネシウム塩および/またはカルシウム塩の百分率は、組成物の重量に対して約0.35%〜約1.0%の範囲である。
【0079】
このように一般的に記載されている本発明は、説明目的で提供する本発明を限定することが意図されていない以下の実施例を参照することによってより容易に理解されるであろう。
【実施例】
【0080】
(実施例1)
ホスフェート結合アッセイ
ホスフェート結合アッセイに好適な例示的な原液として以下が挙げられる:Rosenbaumら、Nephrol. Dial. Transplant.12巻:961〜964頁(1997年)に記載されている、10mMのKH2PO4、30mMのNa2CO3、80mMのNaClを含有するホスフェート結合溶液(「PBS」);LowryおよびLopez、 J. Biol. Chem.162巻:421〜428頁(1946年)に記載されている、0.1Nの酢酸、0.025Nの酢酸ナトリウムを含有する酢酸緩衝剤(「AB」)溶液;LowryおよびLopezに記載されている、0.05NのH2SO4中1%のモリブデン酸アンモニウムを含有するモリブデン酸アンモニウム(「AM」)溶液;LowryおよびLopezに記載されている、H2O中1%のアスコルビン酸を含有するアスコルビン酸(「AA」)溶液。
【0081】
一般に、ホスフェート結合アッセイは12×75mmのガラス管で行った。4.0mLのPBS(SIFをシミュレートした溶液である)および20mgの推定ホスフェート結合剤をガラス管に添加し、次いで室温で1時間混合した。0.1mLの上澄みをこの管から新たな試験管にピペットで取った。3.0mLのAB、0.3mLのAAおよび0.3mLのAM溶液を添加し、10分後に光学密度を700nmで測定した。アッセイは、この実施例において用いた範囲にわたって線形であることが示された。
【0082】
ホスフェート結合能は以下のように算出した(mcgはマイクログラムを表す):
((サンプルの光学密度×95)/基準の光学密度)×40=溶液に残存したPO4(mcg)
((3800−残存PO4(mcg))×50)/1000=ホスフェート結合剤1グラムに結合したPO4(mg)。
【0083】
(実施例2)
例示的なホスフェート結合性マグネシウム塩
種々のマグネシウム塩およびカルシウム塩のホスフェート結合能を実施例1に記載されているホスフェート結合アッセイを用いて測定した。例示的な結果を表2〜5に示した。
【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

表3のある一定のホスフェート結合結果を、以下のようにホスフェート結合能を反映させて算出した。
【0086】
【表4】

ある一定のマグネシウム塩が高いホスフェート結合能を有することが分かる。例えば、いくつかのマグネシウム塩(例えば、リジン酸Mg)中の1gのMgは、PhosLo(登録商標)(酢酸Ca)中の1gのカルシウムが結合する量のほぼ3倍のホスフェートと結合する。
【0087】
さらなる結果を表5に示す。
【0088】
【表5】

(実施例3)
ある一定のマグネシウム塩のホスフェート結合能力への胃酸の影響
この実験は、胃酸が通常活性のマグネシウム塩のホスフェート結合活性を破壊できることを実証するために行った。具体的には、20mgのMgOを、圧倒的に酸性の胃環境をシミュレートする100μLの10MのHClと初めに反応させた。次いで、反応した混合物を、先に記載されているホスフェート結合アッセイにおいてホスフェートと結合する能力について試験した。表6に示すように、通常は約188.5mg/gのホスフェート結合能を有するMgOは、100μLの10MのHClとの反応後、ホスフェートと結合する能力を失った。同様の結果がMg(OH)2によって観察された。
【0089】
【表6】

(実施例4)
酢酸カルシウムおよびグリシン酸マグネシウムを含有する組成物
この実験を、カルシウム塩およびマグネシウム塩の両方を含有する本発明の組成物によって提供される治療的および栄養的利益を示すように設計した。具体的には、酢酸カルシウムおよびグリシン酸マグネシウムの両方を含有する組成物を、PhosLo(登録商標)(酢酸カルシウム)およびグリシン酸マグネシウムと、およそ1:1の質量比(例えば、300mgのグリシン酸Mgおよび340mgの酢酸Ca)で混合することによって作製した。組成物のホスフェート結合能力を、実施例1に記載されているホスフェート結合アッセイによって決定し、例示的な結果を表7に示した。
【0090】
【表7】

表7に示すように、PhosLo(登録商標)(酢酸カルシウム)およびグリシン酸マグネシウムの両方を含有する組成物は、1グラムあたりおよそ185mgのホスフェートと結合し、PhosLo(登録商標)のみ(1グラムあたりおよそ152mgのホスフェートと結合する)よりも有効であり、グリシン酸Mgのみ(1グラムあたりおよそ182mgのホスフェートと結合する)に匹敵する。
【0091】
1用量あたり300mgのグリシン酸Mgおよび340mgの酢酸Caを含有する治療用組成物を作製する。既存の慣行下で、ヒト患者は、1日3回の各食事と共に、典型的には、4用量のPhosLo(登録商標)を摂取する。したがって、患者は、1日におよそ2025mgのCaを摂取し、結果として、およそ1328mgのホスフェートの結合を生じることとなる。患者が、1日3回の各食事と共に、代わりに、1用量あたり300mgのグリシン酸Mgおよび340mgの酢酸Caを含有する4用量の治療用組成物を摂取すると、患者は、約1032mgのCa(約677mgのホスフェートと結合する)、および約508mgのMg(約635mgのホスフェートと結合する)を摂取することとなる。したがって、1用量あたり300mgのグリシン酸Mgおよび340mgの酢酸Caを含有する組成物は、既存の処置方法を用いてPhosLo(登録商標)によって除去されるホスフェートの量と同様に、1日あたり約1312mgのホスフェートを除去することとなる。しかし、300mgのグリシン酸Mgおよび340mgの酢酸Caを含有する組成物によって処置される患者は、1日あたり1032mgのCaしか摂取しないであろう。この量は、PhosLo(登録商標)によって処置される患者によって摂取される1日あたりのCa量のほぼ2分の1に過ぎない。さらに、1用量あたり300mgのグリシン酸Mgおよび340mgの酢酸Caを含有する組成物は、多くの個体において欠失している栄養物であるMgを1日あたり508mg提供するが、PhosLo(登録商標)は0mgのMgを提供する。したがって、マグネシウム塩およびカルシウム塩の組み合わせに基づく治療用組成物は、患者におけるカルシウム負担を大幅に低減すると同時に栄養的利益を与えながら、有効なホスフェート結合を提供する。
【0092】
(実施例5)
腸溶性コーティングによる経口配合物の調製
酢酸カルシウムおよびグリシン酸マグネシウムを含有する経口配合物を以下のように調製する。酢酸カルシウム、グリシン酸マグネシウム、腸溶性コーティングに好適な1種の賦形剤、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤および他の適切な成分(例えば、潤滑剤)を、医薬配合物に好適な均一度に到達するまで混合する。混合物を錠剤またはカプレットに成形する。次いで、錠剤またはカプレットを、標準的な方法を用いて、腸溶性コーティングに好適な少なくとも1種の賦形剤によってコーティングする。
【0093】
(実施例6)
高リン酸塩血症の処置
実施例5に記載されているように調製した、酢酸カルシウムおよびグリシン酸マグネシウムを含有する経口配合物を用いて、高リン酸塩血症にかかっているヒト患者を処置する。第1の患者は、約5.5〜約7.5mg/dLの間の血清リンレベルを有し、ホスフェート結合剤を摂取していなかった。2単位の該配合物を、1日に3回、食事と共に第1患者に経口投与する。第2の患者は、約7.5〜約9.0mg/dLの間の血清リンレベルを有し、ホスフェート結合剤を摂取していなかった。3単位の同じ配合物を、1日に3回、食事と共に第2の患者に経口投与する。第3の患者は、約9.0mg/dLよりも高い血清リンレベルを有し、ホスフェート結合剤を摂取していなかった。4単位の該配合物を、1日に3回、食事と共に第3の患者に経口投与する。第4の患者は、食事ごとに1個の667mgの酢酸カルシウム錠剤を摂取していた。1単位の該配合物を、食事ごとに1個の667mgの酢酸カルシウム錠剤の代わりに、1日に3回、食事と共に第4患者に経口投与する。第5の患者は、食事ごとに2個の667mgの酢酸カルシウム錠剤を摂取していた。2単位の該配合物を、食事ごとに2個の667mgの酢酸カルシウム錠剤の代わりに、1日に3回、食事と共に第5患者に経口投与する。第6の患者は、食事ごとに3個の667mgの酢酸カルシウム錠剤を摂取していた。3単位の該配合物を、食事ごとに3個の667mgの酢酸カルシウム錠剤の代わりに、1日に3回、食事と共に第6の患者に経口投与する。
【0094】
上記の各場合において、先に記載されている投薬レジメンによる処置の後に、患者の血清リンレベルは3.5〜5.5mg/dLの範囲まで低減され、維持される。血清リンレベルが3.5〜5.5mg/dLの範囲内にあるとき、投薬レジメンはあまり変化させずに維持し得る。
【0095】
均等物
上記は、本発明のある一定の非限定的な実施形態の記載であった。当業者は、本明細書に記載されている本発明の具体的な実施形態についての多くの均等物を、ただの常套的な実験を用いて認識するまたは確認できるであろう。当業者は、以下の特許請求の範囲に定義されている、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、この記載について種々の変更および改変がなされ得ることを認識するであろう。
【0096】
特許請求の範囲において、冠詞、例えば「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、そうでないことが示されていない限り、または文脈から別途明らかでない限り、1または1を超えることを意味してよい。群のうちの1種または複数種のメンバー間に「または(or)」を含む特許請求の範囲または記載は、そうでないことが示されていない限り、または文脈から別途明らかでない限り、群のメンバーの1種、複数種、または全ての種が、所与の生成物またはプロセスに存在し、使用され、またはさもなければ関係するときに満たされると考えられる。本発明は、群のメンバーの正確には1種が、所与の生成物またはプロセスに存在し、使用され、またはさもなければ関係する実施形態を含む。本発明はまた、群のメンバーの複数種または全ての種が、所与の生成物またはプロセスに存在し、使用され、またはさもなければ関係する実施形態も含む。さらに、本発明は、特許請求の範囲の一項または複数項からまたは記載の関係する部分からの1種または複数種の限定、要素、節、記載用語などが別の請求項に導入されている全ての変形、組み合わせ、および順列を包含することを理解されたい。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項は、改変されて、同じ基本請求項に従属する他のいずれかの請求項において見出される1種または複数種の限定を含んでいてもよい。さらに、特許請求の範囲が組成物を列挙している場合、別途示さない限り、または矛盾もしくは不一致が生じるであろうことが当業者に明確でない限り、本明細書に開示されている目的のいずれかのための組成物を用いる方法が含まれること、および本明細書に開示されている作製方法のいずれかまたは当該分野において公知の他の方法にしたがって組成物を作製する方法が含まれることを理解されたい。さらに、本発明は、本明細書に開示されている組成物を調製するためのいずれかの方法にしたがって作製される組成物を包含する。
【0097】
要素が、例えば、マーカッシュ形式においてリストとして提示されている場合、要素の各部分群も開示されていること、および任意の要素(複数可)が群から除去され得ることを理解されたい。また、用語「含む(comprising)」は、排他的でないことが意図されること、およびさらなる要素またはステップの包含を許可することにも注意されたい。一般に、発明または発明の態様が、特定の要素、特徴、ステップなどを含むと称されている場合、発明のある一定の実施形態または発明の態様が、かかる要素、特徴、ステップなどからなるまたはこれらから本質的になることが理解されるべきである。簡素化の目的で、これらの実施形態は、本明細書において言い換えられて具体的に記載されてはいない。したがって、1種または複数種の要素、特徴、ステップなどを含む本発明の各実施形態について、本発明はまた、これらの要素、特徴、ステップなどからなるまたはこれらから本質的になる実施形態も提供する。
【0098】
範囲が与えられる場合、端点が含まれる。さらに、範囲として表現される値は、別途示されていない限り、または文脈および/もしくは当業者の理解から別途明らかでない限り、本発明の種々の実施形態において記述されている範囲内のあらゆる具体的な値を、文脈が別の場合を明らかに表していない限り、該範囲の下限の単位の10分の1まで想定することができることを理解されたい。また、範囲として表現される値は、別途示されていない限り、または文脈および/もしくは当業者の理解から別途明らかでない限り、所与の範囲内のあらゆる部分範囲を想定することができ、ここで、部分範囲の端点は、該範囲の下限の単位の10分の1と同じ程度の正確さで表現されていることも理解されたい。
【0099】
さらに、本発明のいずれかの具体的な実施形態が、特許請求の範囲のいずれか一項または複数項から明確に除外されてよいことを理解されたい。本発明の組成物および/または方法のいずれかの実施形態、要素、特徴、適用または態様は、いずれか1つまたは複数の請求項から除外されてよい。簡潔化の目的で、1種または複数種の要素、特徴、目的または態様が除外されている実施形態の全てを本明細書において明確に記載してはいない。
【0100】
参照文献の組み込み
本出願において引用された全ての公開および特許文献は、あたかも、それぞれ個々の公開または特許文献の内容が本明細書に組み込まれているのと同程度に、その全体が参照により組み込まれる。
【0101】
(項目1)
少なくとも1種のカルシウム塩および少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量を含む、高リン酸塩血症を処置するのに好適な組成物。
(項目2)
前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、マグネシウム塩1グラムあたり少なくとも約50mgのホスフェートと結合する、項目1に記載の組成物。
(項目3)
少なくとも1種のカルシウム塩の前記治療有効用量が、約20mg〜1200mgのカルシウムを含む、項目1または2に記載の組成物。
(項目4)
少なくとも1種のカルシウム塩の前記治療有効用量が、約600mg未満のカルシウムを含む、項目1または2に記載の組成物。
(項目5)
少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の前記治療有効用量が、約20mg〜1200mgのマグネシウムを含む、項目1または2に記載の組成物。
(項目6)
少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の前記治療有効用量が、約1200mg未満のマグネシウムを含む、項目1または2に記載の組成物。
(項目7)
前記少なくとも1種のカルシウム塩が、酢酸カルシウム、アセツル酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、アラニン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、アミノ酪酸カルシウム、アルギニン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、ベシル酸カルシウム、ベタイン酸カルシウム、臭化カルシウム、カルシウムブテプレート、酪酸カルシウム、カプロン酸カルシウム、カルシウムカルベシレート、炭酸カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、カルニチン酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムシクロテート、クエン酸カルシウム、シピオン酸カルシウム、エナント酸カルシウム、カルシウムエシレート、エタンジスルホン酸カルシウム、ギ酸カルシウム、フマル酸カルシウム、グルカル酸カルシウム、グルセプチン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルクロン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、グリシン酸カルシウム、ヒプル酸カルシウム、カルシウム塩酸塩、水酸化カルシウム、ヨウ化カルシウム、イセチオン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ラクトビオン酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、リジン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、メシル酸カルシウム、メチル硫酸カルシウム(calcium metilsulfate)、メチル硫酸カルシウム(calcium methylsulfate)、ナフトエ酸カルシウム、ナプシル酸カルシウム、ニコチン酸カルシウム、硝酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、オロチン酸カルシウム、酸化カルシウム、オキソグルタル酸カルシウム、パモ酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、ピコリン酸カルシウム、ピバル酸カルシウム、ポリガラクツロン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、カルシウムステアグレート、ステアリン酸カルシウム、ステアリル−2−乳酸カルシウム、コハク酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、酒石酸カルシウム、テブト酸カルシウム、トシル酸カルシウム、カルシウムトリフルテート、キシナホ酸カルシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目8)
前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、アミノ酪酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、ベタイン酸マグネシウム、カルニチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リジン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目9)
前記少なくとも1種のカルシウム塩対前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約100:1〜約1:100の間である、前記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目10)
前記少なくとも1種のカルシウム塩対前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約10:1〜約1:10の間である、項目9に記載の組成物。
(項目11)
前記少なくとも1種のカルシウム塩対前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約3:1〜約1:3の間である、項目10に記載の組成物。
(項目12)
前記少なくとも1種のカルシウム塩対前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約2:1〜約1:2の間である、項目11に記載の組成物。
(項目13)
前記少なくとも1種のカルシウム塩対前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約3:2〜約2:3の間である、項目12に記載の組成物。
(項目14)
前記少なくとも1種のカルシウム塩対前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約5:4〜約4:5の間である、項目13に記載の組成物。
(項目15)
前記少なくとも1種のカルシウム塩対前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約1:1である、項目14に記載の組成物。
(項目16)
前記少なくとも1種のカルシウム塩対前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約10:9である、項目14に記載の組成物。
(項目17)
前記少なくとも1種のカルシウム塩が、酢酸カルシウムを含み、前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、グリシン酸マグネシウムを含む、前記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目18)
酢酸カルシウムの治療有効用量が、約340mgであり、グリシン酸マグネシウムの治療有効用量が、約300mgである、項目17に記載の組成物。
(項目19)
経口投与用に配合される、前記項目のいずれか一項に記載の組成物。
(項目20)
錠剤、カシェ剤、硬ゼラチンカプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、舐剤、懸濁物、またはビーズの形態である、項目19に記載の組成物。
(項目21)
腸溶性コーティングをさらに含む、項目20に記載の組成物。
(項目22)
前記腸溶性コーティングが、クエン酸アセチルトリブチル、カルボマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、エチルセルロース、グアーガム、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、白蝋および/またはゼインを含む、項目21に記載の組成物。
(項目23)
1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
(項目24)
前記1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤が、デンプン、ゴム、アルギネート、シリケート、デキストロース、ゼラチン、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トラガカント、セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、ポリビニルピロリドンおよび/またはタルクを含む、項目23に記載の組成物。
(項目25)
栄養補給剤として配合される、項目19に記載の組成物。
(項目26)
少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量を含む高リン酸塩血症を処置するのに好適な組成物であって、前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、1グラムあたり少なくとも約50mgのホスフェートと結合する、組成物。
(項目27)
前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、1グラムあたり少なくとも約100mgのホスフェートと結合する、項目26に記載の組成物。
(項目28)
少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量を含む高リン酸塩血症を処置するのに好適な組成物であって、前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、炭酸マグネシウムではない、組成物。
(項目29)
前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、1グラムあたり少なくとも約50mgのホスフェートと結合する、項目28に記載の組成物。
(項目30)
前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、アミノ酪酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、ベタイン酸マグネシウム、カルニチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リジン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目26から29のいずれか一項に記載の組成物。
(項目31)
少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の前記治療有効用量が、約20mg〜1200mgのマグネシウムを含む、項目26から30のいずれか一項に記載の組成物。
(項目32)
少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の前記治療有効用量が、約1200mg未満のマグネシウムを含む、項目26から30のいずれか一項に記載の組成物。
(項目33)
カルシウム塩をさらに含む、項目26から32のいずれか一項に記載の組成物。
(項目34)
前記カルシウム塩が、約20mg〜1200mgのカルシウムを提供する量で存在する、項目33に記載の組成物。
(項目35)
前記カルシウム塩が、600mg未満のカルシウムを提供する量で存在する、項目28に記載の組成物。
(項目36)
経口投与用に配合される、項目26から35のいずれか一項に記載の組成物。
(項目37)
錠剤、カシェ剤、硬ゼラチンカプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、舐剤、懸濁物、またはビーズの形態である、項目36に記載の組成物。
(項目38)
腸溶性コーティングをさらに含む、項目37に記載の組成物。
(項目39)
前記腸溶性コーティングが、クエン酸アセチルトリブチル、カルボマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、エチルセルロース、グアーガム、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、白蝋および/またはゼインを含む、項目38に記載の組成物。
(項目40)
栄養補給剤として配合される、項目36に記載の組成物。
(項目41)
カルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩から本質的になる、高リン酸塩血症を処置するのに好適な組成物。
(項目42)
前記カルシウム塩が、酢酸カルシウム、アセツル酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、アラニン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、アミノ酪酸カルシウム、アルギニン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、ベシル酸カルシウム、ベタイン酸カルシウム、臭化カルシウム、カルシウムブテプレート、酪酸カルシウム、カプロン酸カルシウム、カルシウムカルベシレート、炭酸カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、カルニチン酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムシクロテート、クエン酸カルシウム、シピオン酸カルシウム、エナント酸カルシウム、カルシウムエシレート、エタンジスルホン酸カルシウム、ギ酸カルシウム、フマル酸カルシウム、グルカル酸カルシウム、グルセプチン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルクロン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、グリシン酸カルシウム、ヒプル酸カルシウム、カルシウム塩酸塩、水酸化カルシウム、ヨウ化カルシウム、イセチオン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ラクトビオン酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、リジン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、メシル酸カルシウム、メチル硫酸カルシウム(calcium metilsulfate)、メチル硫酸カルシウム(calcium methylsulfate)、ナフトエ酸カルシウム、ナプシル酸カルシウム、ニコチン酸カルシウム、硝酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、オロチン酸カルシウム、酸化カルシウム、オキソグルタル酸カルシウム、パモ酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、ピコリン酸カルシウム、ピバル酸カルシウム、ポリガラクツロン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、カルシウムステアグレート、ステアリン酸カルシウム、ステアリル−2−乳酸カルシウム、コハク酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、酒石酸カルシウム、テブト酸カルシウム、トシル酸カルシウム、カルシウムトリフルテート、キシナホ酸カルシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目36に記載の組成物。
(項目43)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、アミノ酪酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、ベタイン酸マグネシウム、カルニチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リジン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目41または42に記載の組成物。
(項目44)
前記カルシウム塩対前記ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約100:1〜約1:100の間である、項目41から43のいずれか一項に記載の組成物。
(項目45)
前記カルシウム塩対前記ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約10:1〜約1:10の間である、項目44に記載の組成物。
(項目46)
前記カルシウム塩対前記ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約3:1〜約1:3の間である、項目45に記載の組成物。
(項目47)
前記カルシウム塩対前記ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約2:1〜約1:2の間である、項目46に記載の組成物。
(項目48)
前記カルシウム塩対前記ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約3:2〜約2:3の間である、項目47に記載の組成物。
(項目49)
前記カルシウム塩対前記ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約5:4〜約4:5の間である、項目48に記載の組成物。
(項目50)
前記カルシウム塩対前記ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約1:1である、項目49に記載の組成物。
(項目51)
前記カルシウム塩対前記ホスフェート結合性マグネシウム塩の質量比が、約10:9である、項目49に記載の組成物。
(項目52)
前記カルシウム塩が酢酸カルシウムであり、前記ホスフェート結合性マグネシウム塩がグリシン酸マグネシウムである、項目41から51のいずれか一項に記載の組成物。
(項目53)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、約20mg〜1200mgのマグネシウムを提供する量で存在する、項目41から51のいずれか一項に記載の組成物。
(項目54)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1200mg未満のマグネシウムを提供する量で存在する、項目41から51のいずれか一項に記載の組成物。
(項目55)
前記カルシウム塩が、約20mg〜1200mgのカルシウムを提供する量で存在する、項目41から51のいずれか一項に記載の組成物。
(項目56)
前記カルシウム塩が、600mg未満のカルシウムを提供する量で存在する、項目41から51のいずれか一項に記載の組成物。
(項目57)
経口投与用に配合される、項目41から56のいずれか一項に記載の組成物。
(項目58)
錠剤、カシェ剤、硬ゼラチンカプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、舐剤、懸濁物、またはビーズの形態である、項目57に記載の組成物。
(項目59)
腸溶性コーティングをさらに含む、項目41から58のいずれか一項に記載の組成物。
(項目60)
前記腸溶性コーティングが、クエン酸アセチルトリブチル、カルボマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、エチルセルロース、グアーガム、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、白蝋および/またはゼインを含む、項目59に記載の組成物。
(項目61)
栄養補給剤として配合される、項目41から60のいずれか一項に記載の組成物。
(項目62)
少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、項目41から61のいずれか一項に記載の組成物。
(項目63)
前記少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、デンプン、ゴム、アルギネート、シリケート、デキストロース、ゼラチン、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トラガカント、セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、ポリビニルピロリドンおよび/またはタルクである、項目62に記載の組成物。
(項目64)
処置を必要とする被験体に項目1から63のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、高リン酸塩血症を処置する方法。
(項目65)
処置を必要とする被験体にカルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩を投与することを含む、高リン酸塩血症を処置する方法。
(項目66)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1グラムあたり少なくとも約50mgのホスフェートと結合する、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、炭酸マグネシウムではない、項目65に記載の方法。
(項目68)
前記カルシウム塩が、1用量あたり約20mg〜1200mgのカルシウムを提供する量で投与される、項目65から67のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
前記カルシウム塩が、1用量あたり約600mg未満のカルシウムを提供する量で投与される、項目65から67のいずれか一項に記載の方法。
(項目70)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1用量あたり約20mg〜1200mgのマグネシウムを提供する量で投与される、項目65から68のいずれか一項に記載の方法。
(項目71)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1用量あたり約1200mg未満のマグネシウムを提供する量で投与される、項目65から68のいずれか一項に記載の方法。
(項目72)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1日4回投与される、項目65から71のいずれか一項に記載の方法。
(項目73)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1日3回投与される、項目65から71のいずれか一項に記載の方法。
(項目74)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1日2回投与される、項目65から71のいずれか一項に記載の方法。
(項目75)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1日1回投与される、項目65から71のいずれか一項に記載の方法。
(項目76)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、経口投与される、項目65から75のいずれか一項に記載の方法。
(項目77)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、腸溶性コーティングと共に投与される、項目65から76のいずれか一項に記載の方法。
(項目78)
前記腸溶性コーティングが、クエン酸アセチルトリブチル、カルボマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、エチルセルロース、グアーガム、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、白蝋および/またはゼインを含む、項目77に記載の方法。
(項目79)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、同時に投与される、項目65から78のいずれか一項に記載の方法。
(項目80)
前記カルシウム塩が、酢酸カルシウム、アセツル酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、アラニン酸カルシウム、アルギン酸カルシウム、アミノ酪酸カルシウム、アルギニン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、ベシル酸カルシウム、ベタイン酸カルシウム、臭化カルシウム、カルシウムブテプレート、酪酸カルシウム、カプロン酸カルシウム、カルシウムカルベシレート、炭酸カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、カルニチン酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムシクロテート、クエン酸カルシウム、シピオン酸カルシウム、エナント酸カルシウム、カルシウムエシレート、エタンジスルホン酸カルシウム、ギ酸カルシウム、フマル酸カルシウム、グルカル酸カルシウム、グルセプチン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルクロン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、グリシン酸カルシウム、ヒプル酸カルシウム、カルシウム塩酸塩、水酸化カルシウム、ヨウ化カルシウム、イセチオン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ラクトビオン酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、リジン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、メシル酸カルシウム、メチル硫酸カルシウム(calcium metilsulfate)、メチル硫酸カルシウム(calcium methylsulfate)、ナフトエ酸カルシウム、ナプシル酸カルシウム、ニコチン酸カルシウム、硝酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、オロチン酸カルシウム、酸化カルシウム、オキソグルタル酸カルシウム、パモ酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、ピコリン酸カルシウム、ピバル酸カルシウム、ポリガラクツロン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、カルシウムステアグレート、ステアリン酸カルシウム、ステアリル−2−乳酸カルシウム、コハク酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、酒石酸カルシウム、テブト酸カルシウム、トシル酸カルシウム、カルシウムトリフルテート、キシナホ酸カルシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目65から79のいずれか一項に記載の方法。
(項目81)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、アミノ酪酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、ベタイン酸マグネシウム、カルニチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リジン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目65から80のいずれか一項に記載の方法。
(項目82)
前記カルシウム塩が酢酸カルシウムであり、前記ホスフェート結合性マグネシウム塩がグリシン酸マグネシウムである、項目65から81のいずれか一項に記載の方法。
(項目83)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、約100:1〜約1:100の間の質量比で投与される、項目65から82のいずれか一項に記載の方法。
(項目84)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、約10:1〜約1:10の間の質量比で投与される、項目83に記載の方法。
(項目85)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、約3:1〜約1:3の間の質量比で投与される、項目84に記載の方法。
(項目86)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、約2:1〜約1:2の間の質量比で投与される、項目85に記載の方法。
(項目87)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、約3:2〜約2:3の間の質量比で投与される、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、約5:4〜約4:5の間の質量比で投与される、項目87に記載の方法。
(項目89)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、約1:1の質量比で投与される、項目88に記載の方法。
(項目90)
前記カルシウム塩および前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、約10:9の質量比で投与される、項目88に記載の方法。
(項目91)
前記酢酸カルシウムが、約340mgの用量で投与され、前記グリシン酸マグネシウムが、約300mgの用量で投与される、項目82に記載の方法。
(項目92)
処置を必要とする被験体にホスフェート結合性マグネシウム塩を投与することを含む、高リン酸塩血症を処置する方法であって、前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1グラムあたり少なくとも約50mgのホスフェートと結合する、方法。
(項目93)
処置を必要とする被験体にホスフェート結合性マグネシウム塩を投与することを含む、高リン酸塩血症を処置する方法であって、前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、炭酸マグネシウムではない、方法。
(項目94)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1用量あたり約20mg〜1200mgのマグネシウムを提供する量で投与される、項目92または93に記載の方法。
(項目95)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1用量あたり約1200mg未満のマグネシウムを提供する量で投与される、項目92または93に記載の方法。
(項目96)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1日4回投与される、項目92から94のいずれか一項に記載の方法。
(項目97)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1日3回投与される、項目92から94のいずれか一項に記載の方法。
(項目98)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1日2回投与される、項目92から94のいずれか一項に記載の方法。
(項目99)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1日1回投与される、項目92から94のいずれか一項に記載の方法。
(項目100)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、経口投与される、項目92から99のいずれか一項に記載の方法。
(項目101)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、錠剤、カシェ剤、硬ゼラチンカプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、舐剤、懸濁物、またはビーズの形態で投与される、項目100に記載の方法。
(項目102)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、腸溶性コーティングと共に投与される、項目92から101のいずれか一項に記載の方法。
(項目103)
前記腸溶性コーティングが、クエン酸アセチルトリブチル、カルボマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、エチルセルロース、グアーガム、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、白蝋および/またはゼインを含む、項目102に記載の方法。
(項目104)
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、別のホスフェート結合剤と組み合わせて投与される、項目92から103のいずれか一項に記載の方法。
(項目105)
前記被験体が、慢性腎疾患および/または末期腎臓疾患のための処置を必要とする、項目64から104のいずれか一項に記載の方法。
(項目106)
前記被験体が、1種または複数種のホスフェート代謝障害および/またはホスフェート輸送機能障害のための処置を必要とする、項目64から104のいずれか一項に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量を含む、高リン酸塩血症を処置するのに好適な組成物であって、前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、1グラムあたり少なくとも約50mgのホスフェートと結合する、組成物。
【請求項2】
少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量を含む、高リン酸塩血症を処置するのに好適な組成物であって、前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、炭酸マグネシウムではない、組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、1グラムあたり少なくとも約50mgのホスフェートと結合する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、アミノ酪酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、ベタイン酸マグネシウム、カルニチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リジン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、グリシン酸マグネシウムである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の前記治療有効用量が、約20mg〜1200mgのマグネシウムを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の前記治療有効用量が、約200mg未満のマグネシウムを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記治療有効用量が、約300mgのホスフェート結合性マグネシウム塩を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
経口投与用に配合される、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
錠剤、カシェ剤、硬ゼラチンカプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、舐剤、懸濁物、またはビーズの形態である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
腸溶性コーティングをさらに含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記腸溶性コーティングは、前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が胃酸と反応して塩化マグネシウムを形成することを防止する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記腸溶性コーティングが、クエン酸アセチルトリブチル、カルボマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、エチルセルロース、グアーガム、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、白蝋および/またはゼインを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
栄養物をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記栄養物が、ビタミン、ミネラル、脂肪酸、および/またはアミノ酸から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
処置を必要とする被験体にホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効量を投与することを含む、高リン酸塩血症を処置する方法であって、前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1グラムあたり少なくとも約50mgのホスフェートと結合する、方法。
【請求項17】
処置を必要とする被験体にホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効量を投与することを含む、高リン酸塩血症を処置する方法であって、前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、炭酸マグネシウムではない、方法。
【請求項18】
前記治療有効量が、1用量あたり約20mg〜1200mgのマグネシウムを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記治療有効量が、1用量あたり200mg未満のマグネシウムを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項20】
前記治療有効量が、1用量あたり約300mgのマグネシウム塩を含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項21】
前記治療有効量が、1日あたり約60mg〜4000mgのマグネシウムを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項22】
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、1日3回投与される、請求項16から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、経口投与される、請求項16から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ホスフェート結合性マグネシウム塩が、異なるホスフェート結合剤と組み合わせて投与される、請求項16から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量と、前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の塩化マグネシウムへの変換を防止するバリアとを含む、高リン酸塩血症を処置するのに好適な組成物。
【請求項26】
経口投与用に配合される、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記バリアが、前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が小腸に到達する前の前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の放出を防止する、請求項25または26に記載の組成物。
【請求項28】
前記バリアが、3未満のpHで安定であるが、5.5超のpHで溶解する表面コーティングである、請求項25から27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記表面コーティングが、腸溶性コーティングである、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、アミノ酪酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム、ベタイン酸マグネシウム、カルニチン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リジン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25から29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩が、グリシン酸マグネシウムである、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の前記治療有効用量が、約20mg〜1200mgのマグネシウムを含む、請求項25から31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
栄養物をさらに含む、請求項25から32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記栄養物が、ビタミン、ミネラル、脂肪酸、および/またはアミノ酸から選択される、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
処置を必要とする被験体に請求項25から34のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、高リン酸塩血症を処置するのに好適な方法。
【請求項36】
少なくとも1種のカルシウム塩および少なくとも1種のホスフェート結合性マグネシウム塩の治療有効用量を含む、高リン酸塩血症を処置するのに好適な組成物。
【請求項37】
処置を必要とする被験体に請求項36に記載の組成物を投与することを含む、高リン酸塩血症を処置する方法。
【請求項38】
処置を必要とする被験体にカルシウム塩およびホスフェート結合性マグネシウム塩を投与することを含む、高リン酸塩血症を処置する方法。

【公表番号】特表2012−523413(P2012−523413A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504662(P2012−504662)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/040213
【国際公開番号】WO2010/117370
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511242258)サイプレス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】