説明

ホスホジエステラーゼに関する無標識方法

バイオセンサ上の細胞を培養する方法と、PDE4モジュレータを識別する培養技術を使用する方法とが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先に出願した米国出願の利点を請求する。
2009年7月22日に出願された米国特許出願第61/227,611号の利点を本出願では請求する。本願明細書に言及される刊行物、特許及び特許文献の全ての開示を引用し、本願明細書に含まれたものとする。
【背景技術】
【0002】
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)は、cAMP(環状アデノシンヌクレオチドモノホスファート)及びcGMP(環状グアノシンヌクレオチドモノホスファート)を含んでいる3′,5′−環状ヌクレオチド類を、それらの対応する5′−ヌクレオチドモノホスファートAMP及びGMPに加水分解する。cAMP及びcGMPは、G蛋白質結合受容体(GPCR)に結合する重要な二次メッセンジャであって、様々なホルモン及び神経伝達物質の応答を調停、媒介する。PDEはホルモン及び神経伝達物質に細胞の応答の終了に応答する、それは適当な細胞内のシグナル伝達事象を維持するための臨界である。PDEの阻害剤は、非常に追求されている。PDEと相互に作用しかつ調整することができる分子を識別するための無標識方法が開示される。
【発明の概要】
【0003】
本願明細書において記載されている方法は、直接及び間接的にPDE活性を検出する無標識バイオセンサ細胞分析を使用することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、A431メッセンジャーRNAサンプルのPCR生成物のゲル電気泳動解析で示すように、ヒト肌癌細胞株A431がPDE3A及びPDE3Bの低レベルを表すこと示す図である。
【図2】図2は、低いCO2環境での2時間の培養である、HBSS緩衝液(HBSS)、LeibovitzL−15媒体のCO2非依存媒体(L−15)、又は、1マイクロモル濃度のアセタゾラミド(アセタゾラミド)を含むHBSS緩衝液を使用して維持にされた、飢餓A431細胞の3つの細胞被同期条件下でのA431細胞の明瞭な基礎cAMPレベルを示すグラフである。
【図3】図3は、全部の細胞溶解物cAMP計測(cAMP)及び無標識バイオセンサ細胞分析(DMR応答)を使用して得られたA431の内因性2ARに作用しているエピネフリンの異なる作用強度を示すグラフである。
【図4】図4は、4つの異なる同期条件下での飢餓A431細胞のIBMX−起因性光学バイオセンサの時間応答グラフである。(A)がHBSS緩衝液での2時間の培養を、(B)が1マイクロモル濃度のアセタゾラミドを含んでいるHBSS緩衝液の2時間の培養を、(C)がCO2非依存媒体Leibovitz’sL−15での2時間の培養及を、(D)が、1マイクロモル濃度のアセタゾラミドを含むCO2非依存媒体Leibovitz’sL−15での2時間の培養の2時間の培養を、それぞれ示し、全ての培養は、低い(約1%)CO2環境下にあったものである。
【図5】図5は、R−ロリプラムのPDE4阻害剤の作用強度が細胞同期条件に依存することを示すグラフである。(A)は、384ウェルバイオセンサマイクロプレートのウェル毎に18Kの細胞の撒布の後に続いて、細胞が10%の血清媒体での一日培養と無血清媒体での20時間の飢餓によって得られた飢餓A431細胞の用量依存している応答を示す時間応答グラフである。なお、明細書で数字後のKは×100を意味する。(B)は、384ウェルバイオセンサマイクロプレートのウェル毎に25Kの細胞の撒布の後に続いて、細胞が10%の血清媒体での一日培養と無血清媒体での20時間の飢餓によって得られた飢餓A431細胞の用量依存している応答を示す時間応答グラフである。ただし、両分析の前に、全細胞は洗浄されて、低いCO2環境の2時間のHBSS緩衝液において維持された。(C)は、刺激の50分後のピコメートルの共鳴波長のシフトとして測定された振幅のR−ロリプラム濃度の関数としてのR−ロリプラム誘導応答を示すグラフである。
【図6】図6は、被同期A431細胞のPDE4特異的な阻害剤−起因性DMRシグナルの例を示す時間応答グラフである。細胞が溶媒(すなわちHBSS緩衝液)だけによって処理された場合で(A)ICI63197、(B)Ro−20−1724、(C)R−ロリプラム及び(D)YM−976mのDMRシグナルで比較した。全ての阻害剤の濃度がマイクロモル濃度の12.5であった。A431細胞が基準プロトコールを使用して同期した。細胞が384ウェルバイオセンサマイクロプレートのウェル毎に22Kの細胞が撒布されて得られ、10%の血清媒体の一日培養及び無血清媒体の20時間の飢餓によって得られた。分析の前に、全ての細胞が洗浄されて、低いCO2環境の2時間のHBSS緩衝液において維持された。
【図7】図7は、被同期A431細胞の非選択的PDE阻害剤−起因性DMRシグナルの例を示す時間応答グラフである。細胞が溶媒(すなわちHBSS緩衝液)だけによって処理された場合で、(A)IBMX及び(B)チルホスチン25のDMRシグナルで比較した。全ての阻害剤の濃度は12.5マイクロモル濃度であった。A431細胞は図6のものと同じように基準プロトコールを使用して同期した。
【図8】図8は、被同期A431細胞のPDE3阻害剤−起因性DMRシグナルの例を示す時間応答グラフである。細胞が溶媒(すなわちHBSS緩衝液)だけによって処理された場合で、(A)シグアゾダン、(B)シロスタゾール及び(C)シロスタミドのDMRシグナルで比較した。全ての阻害剤の濃度は12.5マイクロモル濃度であった。A431細胞は図6のものと同じように基準プロトコールを使用して同期した。
【図9】図9は、被同期A431細胞のPDE3特異的な阻害剤−起因性DMRシグナルの例を示す時間応答グラフである。細胞が溶媒(すなわちHBSS緩衝液)だけによって処理された場合で、(A)ミルリノン及び(B)アナグレリド)のDMRシグナルで比較した。全ての阻害剤の濃度は12.5マイクロモル濃度であった。A431細胞は図6のものと同じように基準プロトコールを使用して同期した。
【図10】図10は、被同期A431細胞のPDE5特異的な阻害剤−起因性DMRシグナルの例を示す時間応答グラフである。細胞が溶媒(すなわちHBSS緩衝液)だけによって処理された場合で、(A)MY−5445、(B)ザプリナスト、及び(C)イブジラストのDMRシグナルで比較した。全ての阻害剤の濃度は12.5マイクロモル濃度であった。A431細胞は図6のものと同じように基準プロトコールを使用して同期した。
【図11】図11は被同期A431細胞の起因性DMRシグナルを示す時間応答グラフである。細胞が溶媒(すなわちHBSS緩衝液)だけによって処理された場合で、、(A)PDE7特性阻害剤BRL50481及び(B)PDE1特性阻害剤MMPXのDMRシグナルで比較した。全ての阻害剤の濃度は12.5マイクロモル濃度であった。A431細胞は図6のものと同じように基準プロトコールを使用して同期した。
【図12】図12は、静止状態A431細胞(A)及びA549細胞(B)のチルホスチン51のプライマリDMRプロファイルを含むチルホスチン51のための分子バイオセンサ指数の例を示す時間応答グラフであり、そして、2つの明瞭な細胞株(C)に亘るマーカのパネルに対するチルホスチン51の変調指数を示す時間応答グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の様々な実施形態が、添付の図面を参照して詳細に説明されるであろう。様々な実施形態に対する言及は、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明は、添付した請求の範囲によってのみ限定される。さらに、本明細書に述べられたいかなる実施例も、限定することを目的とはしていないし、特許請求の範囲に記載された発明の多くの実施形態の内、いくつかについて説明しているにすぎない。
【0006】
A.定義:
1.A:
明細書及び添付された特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数の目的物を包含する。したがって、例えば、「製薬キャリヤ」への言及は、かかるキャリヤ等の2つ以上の混合物を含む。
【0007】
2.簡略名:
当業者にはよく知られた簡略名が使用され得る(例えば、時間又は数時間に対しては「h」又は「hr」、グラムに対しては「g」又は「gm」、ミリリットルに対しては「mL」、室温に対しては「rt」、ナノメートルに対しては「nm」、モルに対しては「M」等の簡略名)。
【0008】
3.約(About):
例えば、構成要素の中の成分の数、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流速、圧力などの値及びそれらの範囲を修飾している本開示の実施例の記述において使用されている「約」は、起こることがあり得る数の量における変化に言及している。(例えば、合成物、組成、濃度物又は使用製剤を作るために使用される典型的な測定及び処理手順;これらの手順における不注意によるエラー; 方法を実行するのに用いられる製品、ソース、出発材料又は成分の純度における違い;などの考慮点を通して)。用語「約」は、特定の初期濃度又は混合物を含む組成又は製剤の老化によって異なっている量、特定の初期濃度又は混合物を含む組成又は製剤を混合する又は処理することによって異なっている量を包含する。「約」という用語によって修飾されたかどうかにかかわらず、ここに添付された請求の範囲は、これらの量と等価なものを含む。
【0009】
4.「他の期間」:
「他の期間」又は「その拡張期間」等の用語は、しばらくして順番に起こっている時間の又は処理の後の期間である。10分から1時間、2時間、4時間、8時間又は24時間まで、時間は非常に変化することができる。
【0010】
5.分析:
「分析する(assaying)」、「分析(assay)」等の用語は、例えば、リガンド若しくはマーカ等の一つ以上の外因性刺激を用いた刺激に対する細胞の光学的応答又はバイオインピーダンス応答の存在の有無、量、程度、応答速度、動特性、及びタイプ等、分子若しくは細胞等の物質の特徴を決定する分析を意味する。刺激に対する細胞の応答に関するバイオセンサ信号を生成することが分析であり得る。
【0011】
6.応答を分析する:
「応答を分析する」等の用語は、応答を特性化する手段を使用することを意味する。例えば、分子が細胞と接触するように移動せしめられるとき、バイオセンサは、分子の暴露に対する細胞の応答を分析するのに使用され得る。
【0012】
7.付着する:
「付着する(Attach)」、「付着(attachment)」、「接着(adhere)」、「付着され(adhered)」、「固定された(immobilized)」等の用語は、例えば、本開示の表面修飾物質、相溶剤、細胞、リガンド候補分子等のエンティティを、物理吸着、化学結合等のプロセス若しくはそれらの組み合わせのプロセスによって、表面に固定若しくは固着せしめることを通常意味する。特に、「細胞の付着(cell attachment)」、「細胞の付着(cell adhesion)」等の用語は、表面との細胞の相互作用若しくは表面への結合を意味する。当該相互作用又は結合は、細胞固定材料、相溶剤(例えば、フィブロネクチン、コラーゲン、ラミン、ゼラチン、ポリリジン等)若しくはそれら双方を用いて培養し又は相互作用せしめること等によって行われる。
「付着性細胞」、「固定された細胞」等の用語は、基板の外部表面に関連付けられ、基板の外部表面上に固定され、又は特定の接触を維持する原核細胞若しくは真核細胞等の細胞、細胞株又は細胞システムを意味する。培養後のかかるタイプの細胞は、洗浄媒質交換処理、すなわち、多くの細胞ベースの分析に必須である処理に対して抵抗力を有し、耐性を有し得る。
【0013】
8.バイオセンサ:
「バイオセンサ」等の用語は、生物学的要素を物理化学的検出構成要素に結合せしめ得る分析物を検出するデバイスを意味する。バイオセンサは、通常3つの部分から構成される。当該3つの部分は、(生体組織、微生物、病原体、細胞、又はこれらの組合せ等の)生物学的構成部又は要素、(例えば、光学的、圧電的、電気化学的、熱測定、若しくは磁気的な物理化学的手法で動作する)検出要素及び双方の構成部に関連付けられたトランスデューサである。生物学的構成部若しくは生物学的要素は、例えば生体細胞、病原体又はそれらの組合せであり得る。実施形態において、光学バイオセンサは、生体細胞、病原体若しくはそれらの組合せにおける分子認識事象又は分子刺激事象を定量化可能な信号に変換する光学変換装置を含み得る。
【0014】
9.バイオセンサ指数:
「バイオセンサ指数」等の用語は、一まとまりのバイオセンサデータから成り立つ指数である。バイオセンサ指数は、例えばプライマリプロファイル又は二次プロファイルなどの一まとまりのバイオセンサプロファイルであり得る。指数は、データのあらゆるタイプからも成ることができる。例えば、プロファイルの指数はちょうどN−DMRデータポイントから成ってもよく、それはP−DMRデータポイントから成ってもよく、又は、両方のデータポイントから成ってもよく、又は、それはオンピーダンスデータポイントから成ってもよい。それは、プロファイル曲線と関連するデータポイントの全部であってもよい。
【0015】
10.バイオセンサ応答:
「バイオセンサ応答」、「バイオセンサ出力信号」、「バイオセンサ信号」等の用語は、細胞を有するセンサシステムの細胞応答に対するあらゆる反応である。バイオセンサは、細胞の応答を定量化可能なセンサ応答に変換する。バイオセンサ応答は、RWG又はSPR等の光学バイオセンサによって測定されるように、刺激に対する光学的応答であり、又は、バイオセンサの応答は、刺激のときにそれは電気バイオセンサによって測定されるように、刺激に対する細胞の生物インピーダンス応答である。バイオセンサの応答は、刺激に対する細胞の応答に直接的に関連しているので、バイオセンサの応答及び細胞の応答は、実施形態において交互に使用され得る。
【0016】
11.バイオセンサ信号:
「バイオセンサ信号」等の用語は、刺激に対する細胞の応答により生成されかつバイオセンサを用いて測定された細胞に関する信号を意味する。
【0017】
12.バイオセンサ表面:
バイオセンサ表面等は、それに培養される細胞を有することができるバイオセンサのあらゆる表層でもある。バイオセンサ表面は、組織培養処理され、又は細胞間マトリックス物質(例えばフィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、等)で被覆され、又は合成的材料(例えば、ポリリジン)で被覆され得る。
13.炭酸脱水酵素阻害剤:
炭酸脱水酵素阻害剤は、炭酸脱水酵素の活性を抑制するいかなる分子、化合物又は組成物でもあり得る。炭酸脱水酵素(又は炭酸デヒドラターゼ)は、重炭酸塩及びプロトンへの二酸化炭素の速い転化の触媒作用を及ぼす酵素のファミリである。大部分の炭酸脱水酵素の活性部位は、亜鉛イオンを含み、それらは、したがって、金属酵素として分類される。炭酸脱水酵素阻害剤は限定されるものではないが、アセタゾラミド、メタゾラミド、ドルゾラミド及びトピラマートを包含する。
【0018】
14.細胞:
細胞等の用語は、1つ以上の細胞核と他の多種の細胞小器官を任意で含み、生命の基本的な機能を単独で実行し又は生命の基本的な機能を実行する他の同等の集団と相互作用することができ、独立的に機能することができる生物の最小構造ユニットを形成する半透明の膜によって外部的に結合された通常小なる微小質量の原形質を意味し、合成細胞構造体、細胞モデルシステム、人工の細胞システムを含む。
【0019】
細胞は異なる細胞タイプを含み得る。当該異なる細胞タイプとは、例えば、特定の疾患に関連づけられた細胞、特定の起源からの一つのタイプの細胞、特定の標的に関連づけられた一つのタイプの細胞、又は、特定の生理機能に関連づけられた一つのタイプの細胞である。細胞は、天然の細胞、操作された細胞、形質転換された細胞、不死化肝細胞、一次細胞、胚幹細胞、成体幹細胞、癌腫幹細胞、又は、幹細胞由来の細胞でもあり得る。
【0020】
ヒトは約210個の公知の異なる細胞タイプから成る。細胞がどのように準備されるか(例えば、人体からどのように操作されるか、形質転換されるか、不死化されるか、又は新たに分離されるか)及び細胞がどこで取得されるか(例えば、異なる年齢又は異なる疾病段階にある人体)について考慮すると、細胞のタイプの数はほぼ限定されていない。
【0021】
15.細胞培養:
「細胞培養」又は「細胞培養している」は原核か真核細胞が管理された条件下で培養されるプロセスを意味する。「細胞培養」は多細胞真核生物、特に動物細胞に由来する細胞を培養するだけでなく、複合組織及び器官を培養することも意味する。
【0022】
16.細胞パネル:
「細胞パネル」等の用語は、少なくとも2種類の細胞から成るパネルである。細胞は、本願明細書において開示されるいかなるタイプ又は組み合わせであることができる。
17.細胞背景:
「細胞背景」等の用語は、特異的な状態を有する一種の細胞である。例えば、細胞の異なるタイプは、異なる細胞背景(例えば細胞受容体の差動発現又は組織化)を有する。
また、異なる状態を有するが同じタイプの細胞は、異なる細胞背景を有する。細胞の同じタイプで異なる状態は、培養(例えば止められ又は増殖中又は静止性状態の細胞周期)又は処理(例えば異なる薬理学的剤で処理された細胞)で達成されることができる。
【0023】
18.細胞プロセス:
細胞プロセス等の用語は、細胞内において又は細胞の近傍において生じるプロセスである。細胞プロセスの例は、増殖、アポトーシス、壊死、分化、細胞シグナル形質導入、極性変化、移行又は変形を含むものの、これらに限定されない。
【0024】
19.細胞応答
「細胞応答」等の用語は、刺激に対する細胞のあらゆる反応である。
【0025】
20.細胞標的:
「細胞標的」等の用語は、タンパク質又は核酸等の生物ポリマである。その活性は、外的刺激により修飾され得る。細胞標的は、酵素、キナーゼ、イオンチャネル、受容体等の多くの通常のタンパク質である。
【0026】
21.構成要素(Components):
開示された組成を準備するのに使用される構成要素及びここに開示された方法の中で使用される構成要素自体が開示されている。これら及び他の材料がここに開示され、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが開示されているとき、様々な個々の及び全体的な組合せの各々の特定の言及と、これらの分子の順列とがはっきりと開示されない場合であっても、各々はここにおいて熟慮され、記載されていることが理解される。従って、もし、分子A、B及びCのクラスと、分子D、E及びFのクラスと、組み合わせ分子の例A−Dとが開示され、各々が個々に列挙されていない場合でさえ、各々が個々に及び全体的に考慮された意味のある組み合わせ、A−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E及びC−Fが開示されているものと考えられる。従って、例えばA−E、B−F及びC−Eのサブグループは開示されているものと考えられる。この概念は、開示された組成の作製及び使用する方法におけるステップを含む本出願のすべてのアスペクトに適用されるが、これに限定されるものではない。従って、もし、実施され得る追加のステップの多様性がある場合、これらの追加のステップの各々は、あらゆる特定の実施例又は開示された方法の実施例の組み合わせで実施され得ることが理解される。
【0027】
22.合成物及び組成物:
合成物及び組成物は、この技術において標準的な意味を有する。特定の指定物(分子、物質、マーカ、細胞又は試薬組成物など)からなる、またこれらの指定物により構成される、また本質的にこれらの指定物からなる組成物が開示されることが理解される。従って、特定の指定マーカが使用されている場合、そのマーカからなり、そのマーカにより構成され、又は本質的にそのマーカからなる組成物が開示されることが理解される。適正な特定の指定がなされた場合は常に、その指定物の合成物も開示されるものと理解される。例えば、もし、PDE4阻害剤などの特定の生物学的材料が開示された場合、その合成物形式におけるPDE4阻害剤も開示される。
【0028】
23.からなる(Comprise):
記述及び本明細書の請求の範囲を通して、語「からなる」及びその語の変形は、「含むがこれに限定されるものではない」を意味し、例えば、他の追加的な、構成要素、整数又はステップを排除することを意図していない。
【0029】
24.本質的に〜からなる:
実施例における「本質的に〜からなる(Consisting essentially of)」とは、例えば、表面組成物、表面組成物を形成もしくは使用する方法、構築、又はバイオセンサの表面組成物、及び本開示の製品、デバイス又は装置をいい、特許請求の範囲に記載された構成要素又はステップを含み得る。さらに、特定の反応物、特定の添加物もしくは成分、特定の薬剤、特定の細胞もしくは株化細胞、特定の表面変更因子又は表面状態、特定のリガンド候補等、の変更可能な構造、材料又はプロセスなどのように、組成物、物品、装置及び本開示の作製及び使用の方法の基本的かつ新規な性質に物質的に作用しない他の構成又はステップを含み得る。本開示の構成又はステップの基本的な性質に物質的に作用し得るか又は本開示に望ましくない特徴を与え得る要素は、例えば、バイオセンサ表面に対する細胞の親和性の減少、細胞表面受容体又は細胞内受容体に対する刺激の異常親和性、リガンド候補等の刺激物に応答する異常又は反対の細胞活動、及びこれらと同様の特徴を含む。
【0030】
25.特性化する:
特性化するという用語は、リガンド、分子、マーカ又は細胞等の物質のあらゆる特性について情報を集めることを意味し、例えば、リガンド、分子、マーカ又は細胞のプロファイルを取得等することを意味する。
【0031】
26.接触:
接触等の用語は、分子の相互作用が少なくとも2つのもの(例えば、分子、細胞、マーカ、少なくとも化合物又は組成物又は少なくとも2つの組成物又は製品又は機械を有するこれらのすべて)の間で生じ得る場合、分子の相互作用は生じ得るように近傍に移動せしめることを意味する。例えば、接触は、少なくとも2つの組成物を、分子、物品又は物を接触するよう移動させることを意味する。すなわち。少なくとも2つの組成物は混合若しくは接触するよう近接する。例えば、組成物Aと培養細胞Bの溶液を有すること及び組成物Aの溶液を培養細胞Bに注入し又は添加することは、組成物Aの溶液を細胞培養Bと接触するように移動せしめることであろう。生細胞をリガンドに接触せしめることは、リガンドを細胞に移動させて、細胞がリガンドに対するアクセスを確実に有するようにせしめることであろう。
【0032】
本明細書に開示されているあらゆるものが他のあらゆるものと接触するように移動せしめられるであろうと理解される。例えば、細胞は、マーカ分子、バイオセンサ等と接触するように移動せしめられ得る。
【0033】
27.制御:
制御若しくは「制御レベル」「制御細胞」等の用語は、変化が測定される基準として定義されている。例えば、制御は実験に影響されにくく、代わりに定義されたセットのパラメータに影響され、又は、制御は、前処理レベル又は後処理レベルに基づいている。それらは、テスト駆動と伴に又はテスト駆動の前若しくは後において並列して駆動され得るし、又は、それらは所定の基準であり得る。例えば、制御は、実験から得られた結果を意味し得る。当該実験において、テスト下の処理手順又は物質若しくは変数等の省略を除いて、被検体、物又は試薬等が並列実験において処理され、実験的効果を判断する際の比較のための基準として、使用される。したがって、制御は、処理手順、物質又は変数等に関連する効果を決定するのに使用され得る。例えば、テスト分子の細胞への効果が問題となっている場合、a)分子が存在する場合、細胞の特徴を単に記録し、b)aを実行して、公知の活性を有し若しくは活性に欠如した制御分子又は制御組成物(例えば、分析緩衝水溶液(溶媒))を添加する効果をも記録し、そして、テスト分子の効果をコントロール分子と比較する。特定の状況において、一旦、制御が実行されると、制御は、基準として使用され得る。当該基準において、制御実験は、再度実行される必要はない。他の状況において、制御実験は、平行に実行されるべきであり、各実験の都度、比較がなされるであろう。
【0034】
28.定義済み経路:
「経路を定義された」等の用語は、例えばGq経路、Gs経路、Gi経路、EGFR(上皮細胞増殖因子受容体)経路又はPKC(プロテインキナーゼC)経路などの特定経路である。
【0035】
29.検出:
「検出」等の用語は、刺激によって誘起された細胞応答を発見し又は検出して、異なる刺激に対して検出された応答を区別する本開示の装置及び方法の能力を意味する。
【0036】
30.直接作用(ドラッグ候補物質分子の):
「直接作用」等の用語は、細胞に作用している結果(ドラッグ候補物質分子の」)である。
【0037】
31.DMR指数:
「DMR指数」等の用語は、一まとまりのDMRデータから成り立つバイオセンサ指数である。
【0038】
32.DMR応答:
「DMR応答」等の用語は、光学バイオセンサを使用するバイオセンサの応答である。DMRは、動的な質量再分布又は動的な細胞体の再分布をいう。P−DMRは、正のDMR応答であり、N−DMRは、負のDMR応答であり、RP−DMRは、リカバリP−DMR応答である。
【0039】
33.DMRシグナル:
「DMRシグナル」等の用語は、刺激に対する細胞の応答により生成されかつ光学バイオセンサを用いて測定された細胞の信号を意味する。
【0040】
34.薬物候補分子:
薬物候補分子等の用語は、薬物又はファルマコホアとして機能する性能がないかどうかテストされるテスト分子である。この分子は、リード分子として考慮され得る。
【0041】
35.早期培養:
早期培養等の用語は、しばしばその集密度又は細胞周期状態に関する培養の期間の細胞の相対的な状態である。早期培養は90%以上の高集密度の方の細胞培養である。細胞倍加時間以下の時間。
【0042】
36.効力:
効力等の用語は、理想的又は最適の条件下で効果の所望のサイズを生産する能力である。それは、現実の条件下で変化に関するに効性の関連した概念と効力とを区別するこれらの条件である。効力は、分子、細胞、組織又は系レベルで応答を始める受容体占有と能力能力との間の関係である。
【0043】
37.高集密度:
細胞集密度等の用語は、細胞が培地の上又は全体にわたって許される被覆率又は増殖を意味する。多くの種類の細胞が細胞接触阻害を経験し得るので、高い集密度は、培養された細胞が組織培養表面又はバイオセンサ表面上の高い被覆率(>90%)に到達し、媒体での細胞の培養に重大制限をきたすことを意味する。逆に、低い集密度(例えば40%〜60%の集密度)は、媒体上又は中の細胞成長の制限がほとんど又は全く無く、そしてそれらが増殖相においてあると仮定されることを意味する。
【0044】
38.より高い、抑制等の用語:
より高い、増加する、上昇する、上昇等の用語又はこれら用語の変形語は、例えば、制御値と比較された場合の基礎レベルを超えた増加を意味する。より低い、低減する、減少する、低減等の用語又はこれら用語の変形語は、例えば、制御値と比較された場合の基礎レベルより下の減少を意味する。例えば、基礎レベルは、細胞に対する作動体又は拮抗体等の物質の添加する前の又は添加しない場合の通常の生体内のレベルである。抑制若しくは抑制の形態等の用語は、低減すること又は抑制することを意味する。
【0045】
39.分子が存在する場合には:
「分子が存在する場合には」は分子との培養細胞の接触又は暴露を意味する。
接触又は暴露は、刺激が持ってこられ細胞との接触する前又はその時点に起こることができる。
【0046】
40.指数:
指数等の用語は、一まとまりのデータである。例えば、指数はリスト、表、ファイル又は一つ以上の変調プロファイルを含むカタログであり得る。指数はデータのいかなる組み合わせからも作り出されることができると理解される。例えば、DMRプロファイルは、P−DMR、N−DMR及びRP−DMRを有することができる。指数は、プロファイル、P−DMRデータ、N−DMRデータ、RP−DMRデータ若しくはこれらの範囲内のいかなる点、又はこれら若しくは他データの組み合わせの完了された日付を使用して生じることができる。指数は、いずれの種類の情報の収集である。一般的に、指数を比較するときに、指数は同類データすなわちP−DMRデータに対するP−DMRなどである。
【0047】
41.分子の作用様式のための化学指示薬:
「化学指示薬」等の用語は、指示するものである。具体的には、「分子の作用様式のための化学指示薬」は、分子及び公知のモジュレータは類似の作用様式を共有すると解釈されることができるもの、例えば公知のモジュレータのバイオセンサ指数と比較すると分子のバイオセンサ指数の類似するものを意味する。
【0048】
42.公知のモジュレータ:
公知のモジュレータ等の用語は、標的のうちの少なくとも1つが公知の親和性をもつ公知であるモジュレータである。例えば、公知のモジュレータは、PDE4阻害剤でありえる。
【0049】
43.公知のモジュレータDMR指数:
「公知のモジュレータDMR指数」等の用語は、公知のモジュレータのために集められるデータによって生産されるモジュレータDMR指数である。例えば、公知のモジュレータDMR指数は、マーカのパネル(細胞のパネルの細胞のためのマーカの各々のパネル)に対して細胞のパネル及び公知のモジュレータの変調プロファイルに作用している公知のモジュレータのプロファイルから成り得る。
【0050】
44.公知のモジュレータバイオセンサ指数:
「公知のモジュレータバイオセンサ指数」等の用語は、公知のモジュレータのために集められるデータによって生産されるモジュレータバイオセンサ指数である。例えば、公知のモジュレータバイオセンサ指数は、マーカのパネルに対して細胞のパネル及び公知のモジュレータの変調プロファイルに作用している公知のモジュレータのプロファイルから成り立つことができる、細胞のパネルの細胞のためのマーカの各々のパネル。
【0051】
45.公知の分子:
公知の分子等の用語は、作用の正確な作用様式が公知であることができる公知の薬理学的/生物学的な/生理学的な/病態生理学的な活性又は未知数を有する分子である。
【0052】
46.ライブラリ:
ライブラリ等の用語は、収集である。ライブラリは、本願明細書において開示される何でもの収集であり得る。例えば、それは、指数(指数ライブラリ)の中で、収集であり得る。それは、一まとまりのプロファイル(プロファイル・ライブラリ)であり得る。又は、それは一まとまりのDMR指数(DMR指数ライブラリ)であり得る。また、それは一まとまりの分子(分子ライブラリ)であり得る。それは、一まとまりの細胞(細胞ライブラリ)であり得る。それは、一まとまりのマーカ(マーカライブラリ)であり得る。ライブラリは、例えばランダムであり得るか非ランダムであり得るか、決定されていることがあり得るか未定であり得る。例えば、公知のモジュレータのDMR指数又はバイオセンサ指数のライブラリは、開示される。
【0053】
47.リガンド:
リガンド等の用語は、生物学的目的について有益となるように生物分子と結合しかつ生物分子と錯体を形成する物質若しくは成分又は分子である。リガンドとその標的分子との間における実際の不可逆性共有結合は生物系においてまれである。受容体に対するリガンド結合は化学的な立体構造、すなわち、受容体タンパク質の3次元形状を変更せしめる。受容体タンパク質の立体構造の状態は受容体の機能的状態を決定づける。結合の傾向又は強さは、親近性と称されている。リガンドは、基板、抑制物質、活性剤及び神経伝達物質を含む。放射性リガンドは放射性同位元素標識リガンドである。一方、蛍光リガンドは蛍光するようにタグ付けをされたリガンドである。双方が受容体生物学及び生化学研究の追跡子として使用される。リガンド及び修飾物質は互いに相互作用するように使用される。
【0054】
48.低いCO2環境:
低いCO2環境は、4.5%未満のCO2を有する環境である。
【0055】
49.材料:
材料は、身体的な対象のメイキャップに入る何(化学であるか、生化学であるか、生物学的であるか混合した)かの現実の一部である。
【0056】
50. 媒体:
媒体は、細胞が培養されることができるいかなる混合物でもある。細胞増殖培養液は、微生物又は細胞が培養を経験する対象である。
【0057】
51.変調Modulate:
変調する等の用語は、細胞標的を介して調節された細胞活性を増大せしめ、低減せしめ又は維持せしめることを意味する。これらの用語の1つが使用される限り、それは例えば制御値から1%、5%、10%、20%、50%、100%、500%又は1000%増加され得るし又はそれは例えば制御値から1%、5%、10%、20%、50%又は100%低減され得るとも開示されていると理解される。
【0058】
52.DMRシグナルを調整する:
「DMRシグナルを調整する、さもなければ、同類項によって分子を有する刺激に応答して細胞のDMRシグナル又はプロファイルの変化が生じることになっている。
【0059】
53.モジュレータ:
モジュレータ等の用語は、細胞標的の活性を制御する分子(例えばリガンド)である。
それは、細胞標的(例えば標的タンパク質)に結合している分子を調整しているシグナルである。
【0060】
54.モジュレータバイオセンサ指数:
「モジュレータバイオセンサ指数」等の用語は、モジュレータ(例えばDMRデータ)のために集められるデータによって生産されるバイオセンサ指数である。例えば、モジュレータバイオセンサ指数は、細胞のパネルに作用しているモジュレータのプロファイルから成り立つことができる。
【0061】
55.分子:
本明細書に使用されるように、「分子」等の用語は、明確な分子量を有する化学的分子又は分子の形態で存在する生物学的又は生化学的若しくは化学的エンティティを意味する。分子等の用語は、そのサイズに関係なく、化学的、生化学的又は生物学的分子である。
【0062】
いくつかの分子が炭素を含んでいないものの(分子性酸素等の単純な分子性気体と、いくつかの硫黄ベースの高分子等のより複雑な分子を含む)、多くの分子は、(共有結合によって結合された炭素原子を特に含む)有機分子を意味するタイプのものである。「分子」という一般的な用語は、タンパク質、核酸、炭水化物、ステロイド、有機薬剤、小分子、受容体、抗体、脂質等、多数の記述的なクラス又はグループの分子を含む。適切である場合には、これらのより記述的な用語の1つ以上(その多くが「タンパク質」等、自身が重複した分子グループの分子を記述する)は、本明細書において使用されるだろう。これは、タンパク質等の一般的なクラスの「分子」と指定されたサブクラスの双方を代表するかかる分子を有する意図を損なうことなく、分子のサブグループに対する方法の適用のためである。特に示さない限り、分子という単語は、特定の分子を含み、薬学的に許容し得る塩等の分子の塩を含むであろう。
【0063】
56.分子指数:
「分子指数」等の用語は、分子に関する指数である。
【0064】
57.分子混合物:
分子混合物等の用語は、少なくとも2つの分子を含む混合物である。2つの分子は、構造的に異なり得るし(すなわち、エナンチオマ)若しくは組成的に異なり得る(例えば、タンパク質イソ型、糖型、又は異なるポリ(エチレングリコール)(PEG:poly(ethylene glycol))修飾)、又は、構造的に又は組成的に異なり得る(例えば、精製されていない天然の抽出物又は精製されていない合成化合物。)ものの、これらに限定されない。本開示の特定の実施形態によれば、分子の混合体は、分子として取り扱われ得る。
【0065】
58.分子−処理された細胞:
分子−処理された細胞等の用語は、分子にさらされた細胞である。
【0066】
59.生来細胞:
天然の細胞は、遺伝子工学によらなかったいかなる細胞でもある。天然の細胞は一次電池、不滅にされた細胞、形質転換細胞株、幹細胞、又は、幹細胞を誘導した細胞であり得る。
【0067】
60.規格化Normalizing:
データ又はプロファイルを調整して、規格化等の用語は、例えば、少なくとも一つの一般の変数を除去する応答。
【0068】
61.任意の:
「任意の」、「任意で」等の用語は、次に説明された事象又は状況が、生じ得るし又は生じ得ないこと及び説明が事象又は状況が生じる例及び事象又は状況が生じない例を含むことを意味する。例えば、「任意で、構成が組み合わせを含み得る」という語句は、説明が組み合わせ(すなわち、組み合わせの個々の一部)と組み合わせがないことの双方を含むよう、構成が異なる分子の組み合わせを含み得るし又は含み得ないことを意味している。
【0069】
62.又は(Or):
語「又は」などはここで使用されているように、特定のリストのあらゆる1のメンバーを意味し、そのリストのメンバーのあらゆる組み合わせをも含む。
【0070】
63.パネル:
パネル等の用語は、試験片(細胞又は経路)の予め定められたセットである。パネルが、試験片をライブラリから拾い上げることから生じることができる。
【0071】
64.pH緩衝分析溶液:
pH緩衝分析溶液は、生理学的なpH(特にpH7.1)を有する緩衝されたいかなる溶液である。
【0072】
65.パニング:
パニング等の用語は、一つ以上の受容体又は細胞標的の存在のための一つ細胞又は細胞群をスクリーニングすることを意味する。
【0073】
66.PDE阻害剤:
PDE阻害剤等の用語は、PDEの活性を阻害又は抑制するいかなる分子、化合物又は組成物である。
【0074】
67.PDEモジュレータ:
PDEモジュレータ等の用語は、PDEの活性を調整するいかなる分子、化合物又は組成物である。
【0075】
68.PDE活性化剤:
阻害剤等の用語は、PDEの活性を活性化するいかなる分子、化合物又は組成物である。
【0076】
69.「期間」:
「期間」は、時間の経過を表しているいかなる期間にも関連する。例えば、1秒、1分、1時間、1日及び1週は、全ての期間である。
【0077】
70.正の制御:
「正の制御」等の用語は、データ収集の条件がデータ収集を生じせしめることを示す制御である。
【0078】
71.作用強度:
作用強度等の用語は、ある程度の与えられた強さの効果を生産することを必要とする総計に関して表される分子活性である。作用強度は、親和性及び効力に対する比例的である。親和性は、受容体に結合する薬物分子の機能である。
【0079】
72.初期プロファイル:
「初期プロファイル」等の用語は、分子が細胞に接触するときに生成されるバイオセンサの出力信号又はプロファイルを意味する。通常、初期プロファイルは、正味ゼロのバイオセンサ信号(すなわち、ベースライン)に対する初期の細胞応答の規格化後に取得される。
【0080】
73.プロファイル:
プロファイル等の用語は、細胞等の組成物に対して収集されたデータを意味する。プロファイルは、本明細書において説明されているように、無標識バイオセンサから収集され得る。
【0081】
74.刊行物(Publications):
本出願を通して、様々な刊行物が参照されている。これらの刊行物の開示の全体は、これが関係する到達技術水準について、より完全に説明するために参照によってこの出願に組み入れられる。開示された引用例は、その引用例に含まれる信頼されている文章中で論じられている材料に関し、個々に及び具体的に参照によってここに組み入れられる。
【0082】
75.パルス刺激分析:
「パルス刺激分析」等の用語は、使用した、細胞は分子にさらされるだけである非常に短い時間(例えば数秒又は数分)に用いれる。このパルス刺激分析は、細胞/標的(マーカ−起因性バイオセンサ信号に対するその衝撃と同様に)に作用している分子の動態学的を研究するために用いることがあり得る。パルス刺激分析は、単に分子添加の直後に与えられた時間で器具を取り扱っているによって、分子溶液を細胞分析緩衝液と取り替えることによって実行され得る。
【0083】
76.休止:
休止等の用語は、まだ、休息して静かで、休止中で、非活動性の状態を意味する。休止は、細胞周期の細胞のG0期に関連することができ、又は、それが分かれないときに、休止は細胞の状態である。細胞の休止は、多様な反分裂促進のシグナル(例えば分裂促進因子(例えば増殖因子)禁断、接触阻害及び凝着の減量)によって、可逆培養/増殖阻止起因性として定義される。
【0084】
77.範囲:
範囲は、「およそ」1つの特定の値から及び/又は「およそ」他の特定の値までとしてここに示される。そのような範囲が示されたとき、他の実施例は、当該1つの特定の値から及び/又は当該他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として示されたとき、前例の「およそ」の使用により、特定の値は、他の実施例を形成すると理解されるであろう。範囲の各々の終点が、他の終点との関係において及び他の終点と独立して、重大であるとさらに理解されるであろう。また、ここに明らかにされた多くの値があり、そして、各値がその値自体に加えて特定の値である「およそ」としてここに開示されていることも理解されるであろう。例えば、もし値10が開示されているとき、約10もまた同時に開示されている。熟練した職人によって適切に理解されるように、ある値が「その値よりも小さい又は等しい」と開示されているとき、その値は、「その値より大きい又は等しい」及び値の間のとりえる範囲も開示されていると理解される。例えばもし、値「10」が開示されている場合、「10未満又は10に等しい」及び「10より大きい又は10に等しい」も開示される。この出願のいたるところに、データはいくつかの異なるフォーマットで提供されており、このデータは、終点及び始点及びデータポイントのあらゆる組み合わせに関する範囲を示していることも理解される。例えば、もし、特定のデータポイント「10」及び特定のデータポイント「15」が開示されている場合、より大きい、より大きい又は等しい、より少ない、より少ない又は等しい、10及び15に等しい値が10と15の間の値と同様に開示されているものと考えられると理解される。2つの特定のユニット間の各ユニットも開示されていると理解される。例えば、もし、10及び15が開示されているとき、11、12、13及び14も開示される。
【0085】
78.受容体:
受容体等の用語は、移動性の信号を送っている(又は「シグナル」)分子が付属することができる細胞の形質膜か細胞質において包埋されるタンパク質分子である。受容体に結合する分子は「リガンド」と呼ばれていて、ペプチド(例えば神経伝達物質)、ホルモン、製薬の医薬又は毒であってもよい、そして、この種の結合が起こるときに、受容体は通常細胞の応答を始める配座変化に入る。しかし、若干のリガンドは、単にいかなる応答(例えば拮抗体)も誘発することのない受容体を遮断するだけである。受容体のリガンド−起因性変化は、リガンドの生物学的活性度を構成する生理学的な変化に結果としてなる。
【0086】
79.応答:
応答等の用語は、あらゆる刺激に対するあらゆる反応である。
【0087】
80.「強いバイオセンサ信号」:
「強いバイオセンサ信号」は、振幅がかなり水平にノイズか負のコントロール制御値応答より上にある(3x、10x、20x、100x又は1000xのような)バイオセンサ信号である。負のコントロール応答は、しばしば分析緩衝液(すなわち溶媒)の添加の後の細胞のバイオセンサ応答である。ノイズレベルは、いかなる溶液もの更なる添加のない細胞のバイオセンサ信号である。それは、細胞が常にいかなる溶液もの添加の前に溶液でおおわれている点に注意する価値がある。
【0088】
81.「強いDMRシグナル」:
「強いDMRシグナル」等の用語は、「強いバイオセンサ信号のDMR種類である。」
【0089】
82.サンプル(Sample):
サンプルなどの用語は、動物、植物、菌類などを意味する。すなわち、天産物、天産物抽出物など;動物からの組織又は器官;細胞(対象内、対象から直接とられる、又は培養内に維持された又は培養された細胞株からの細胞のどちらでも);細胞可溶化物(又は溶解物フラクション)又は細胞抽出物;又は細胞又は細胞材料(例えばポリペプチド又は核酸)に由来する一つ以上の分子を含んでいる溶液。サンプルは、ここに記載されるように分析される。また、サンプルは、細胞又は細胞成分を含むどんな体液や排出物(例えば、限定されないが、血液、尿、便、唾液、涙、胆汁)であってもよい。
【0090】
83.媒体を含んでいる血清:
媒体を含んでいる血清などの用語は、血清(例えばウシ胎児血清)を含むあらゆる細胞培地である。Fetalウシ血清(又はウシ胎仔血清)は、血漿タンパクフィブリノーゲンがフィブリンに変わって、クロットに残るプロセスである血液の凝析の後に残るプラズマの一部であること。ウシ胎児血清はウシの胎児の血液から調製された血清であり、ウシの胚から引き出される血液から由来する。ウシ胎児血清(FBS)は抗体において低くて、より多くの増殖因子を含むことのために最も広く使われている血清であり、そして、多くの異なる応用の可転性を考慮に入れる。FBSが、真核細胞を培養する際に使われる。
【0091】
84.血清枯渇媒体:
血清枯渇媒体は、血清を含まない細胞培地である。
【0092】
85.「短い期間」:
「短い期間」等の用語は、基準培養の下の細胞の重複より概して短い時間である。
【0093】
86.シグナル伝達経路:
「定義された経路を」等の用語は、シグナル(例えば外因のリガンド)を受信することから細胞の応答(例えば細胞標的の発現増加)までの細胞の経路である。場合によっては、受容体にリガンド結合によって生じる受容体活性化は、リガンドに直接細胞の応答に連結する。例えば、神経伝達物質GABAは、イオンチャネルの部分である細胞表面受容体を活性化することができる。ノイロン上のGABA A受容体に結合しているGABAは、受容体の部であるクロライド−選択的イオンチャネルを開ける。ノイロンの機能を抑制するノイロンに、GABA A受容体活性化によって、転送に否定的に充電される塩化物イオンが活動電位を産生することができる。しかし、多くの細胞表面受容体のために、リガンド−受容体相互作用は、直接細胞の応答に連結されない。細胞の挙動上のリガンドの最後の生理作用が生じる前に、活性受容体は細胞内部で最初に他のタンパク質と相互に作用しなければならない。しばしば、相互に作用しているいくつかの細胞タンパク質の鎖の挙動は、変えられた以下の受容体活性化である。受容体活性化による細胞変化起因性の全てのセットは、シグナル形質導入メカニズム又は経路と呼ばれている。シグナル伝達経路は、比較的単純であり得るか全く合併していることがあり得る。
【0094】
87.類似及び指数の類似:
「指数の類似」等の用語は、指数のパターン及び/又はスコアのマトリックスに基づく分子のための1つの中で、2つの指数間あるいは少なくとも3つの指数、の類似を示す語である。スコアのマトリックスは、マーカに対して強くそれらの対応物(例えば対応する細胞の異なる分子のプライマリプロファイルのシグニチャ)に関連があって天性で異なる分子の変調プロファイルでのパーセンテージである。

例えば、より高いスコアはより類似する特性に与えられ、低い負のスコアは同じでない特性に与えられる。分子変調指数においてわかる変調には、正、負及び中性の三タイプだけがあるので、類似マトリックスは、比較的単純である。例えば、単純マトリックスは、正の変調に+1のスコアを割り当て、負の変調に−1のスコアを割り当て、そして、中性の変調0にはのスコアを割り当てる。
【0095】
あるいは、異なるスコアは、異なるスケールで、一種の変調のために与えられることができる。例えば、対応して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、100%、200%などの正の変調は、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+10、+20のスコアを与えることができる。逆に、負の変調のためには、正反対スコアを与えることができる。このアプローチに続いて、図10Cで示すように、マーカのパネルに対するチルホスチン51の変調指数が示され、公知のEGFR阻害剤チルホスチン51は異なるマーカによって異なってバイオセンサ応答起因性を調整、変調し、例えば、異なるマーカはピナシジル(0%)、(poly(I:C)(+5%)、PMA(−6%)、(SLIGKV−アミド(0%))、フォルスコリン(−23%)、ヒスタミン(+6%ヒスタミン早い応答、0%ヒスタミン遅い応答)、A549細胞の全部、そして、エピネフリン(−68%)、ニコチン酸(+4%)、EGF(P−DMR、−36%)、EGF(N−DMR、−5%)、そして、ヒスタミン(−16%)、静止性A431細胞の全部である。このように、協調のHA1077変調指数のスコアは、(0、0.5、−0.6.、0、−2.3、0.6、0、−6.8、0.4、−3.6、−0.5、−1.6)として割り当てられることができる。
一旦分子指標が発生すると、分子指標は関心のある分子の作用様式を決定するために公知のモジュレータのライブラリと比較されることがあり得る。トリホスチン51のバイオセンサ指数から、人間はチルホスチン51が多重薬効性を表示すると結論することができる。これは、次の故である。それはEGFR阻害剤(A431のEGF起因性DMRシグナルを抑制すること)、更にはPDE4阻害剤(A431(A549のフォルスコリン応答と同様に)のエピネフリン及びヒスタミン応答を抑制すること)として作用するからである。
【0096】
88.細胞を飢餓させる:
細胞を飢餓させる等の用語は、細胞培養の間に細胞を休止に追い込むプロセスを意味する。細胞培養の間に細胞培地から分裂促進因子(例えば血清又は増殖因子)を引き抜く又は枯渇させることは、細胞を飢餓させるための最も一般の手段である。分裂促進因子枯渇は他の手段(例えば接触阻害)と連動して使われることができる。
【0097】
89.物質:
物質等の用語は、いかなる物理的対象でもある。材料は、物質である。分子、リガンド、マーカ、細胞、タンパク及びデオキシリボ核酸は、物質と考えられることができる。器械又は条項は、物質をそれ自身と考えたよりはむしろ、物質でできていると考えられる。
【0098】
90.被同期細胞:
同期された細胞、被同期細胞等の用語は、マイクロタイタープレートの単一のウェルの大多数の細胞が同じ状態(例えば同じ細胞周期(例えばG0又はG2))においてある細胞の個体群を意味する。同期された細胞等の用語はまた、細胞が培養され大部分の細胞が細胞周期の同じステージにおいてある細胞の個体群に結果としてなる細胞を囲んでいる環境又は状況の操作を意味する。
【0099】
91.安定な(Stable):
医薬品組成物に関して使われるとき、「安定な」などの用語は、定まった期間の特定の貯蔵条件下における有効成分の特定の損失量(通常10%)未満の意味として技術的に理解される。組成が安定であると思われることを要求される時間は各々の製品の使用に関連し、製品を生産することの商業的実用性によって決定される。品質管理と点検のためにそれを保持し、最終的な使用の前に再びそれが貯蔵庫に保持されたところで、卸売業者に、又は、直接顧客に出荷される。2、3ヵ月の時間の安全係数を含んで、医薬のための最小限の製品寿命は、通常1年、望ましくは18ヵ月以上である。ここに使われる場合、「安定な」という語は、これらの市場現実性及び、すぐに達成できる環境状況(例えば2℃〜8℃の冷蔵状態)で製品を保存及び輸送する能力に及ぶ。
【0100】
92.被検体:
本明細書に使用されるように、被検体問等の用語は個体を意味する。したがって、「被検体」は、例えば、猫、犬等の家畜、家畜(例えば、牛、馬、ブタ、羊、ヤギ等)、実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット等)及び哺乳動物、非ヒト哺乳動物、霊長類、非ヒト霊長類、齧歯動物、鳥、爬虫類の動物、両生類、魚並びに他のあらゆる動物を含み得る。1つの態様において、被検体は、霊長類又は哺乳動物等のヒトである。被検体は、非ヒトであり得る。
【0101】
93.懸濁細胞:
「懸濁細胞」は、好ましくは細胞が付属しないか又は培養の間、基質の表層に付着しない媒体で培養される細胞又は細胞株を意味する。しかし、懸濁細胞は、一般に、化学的(例えば、共有結合不略又は抗体−細胞表面受容体相互作用)、又は物理的手段(例えば、重力の力によるバイオセンサが包埋されるウェルの底へ沈降によって、バイオセンサ表面に接触させることができる。このように、懸濁細胞がまた、バイオセンサ細胞の分析のために使われることができる。
【0102】
94.テスト分子:
テスト分子等の用語は、テスト分子に関するいくつかの情報を獲得するために使用される分子である。テスト分子は、未知の分子であり又は公知の分子であり得る。
【0103】
95.処理:
処置又は処理等の用語は、少なくとも2通りに使用され得る。第1に、処置又は処理等の用語は、被検体に対して取られた処理又は操作を意味し得る。第2に、処置又は処理等の用語は、分子及び細胞等2つ以上のあらゆる物質等、2つのあらゆる物を一緒に混合することを意味し得る。この混合は、少なくとも2つの物質の間において接触が生じ得るように少なくとも2つの物質を一緒にするであろう。
【0104】
処置又は処理等の用語が、疾病の被検体の内容で使用されるとき、それは治療を意味していないし、例えば兆候の低減さえも意味していない。治療という用語等が処置又は処理等の用語と伴に使用されるとき、それは、原疾患の徴候が低減されること及び/又は潜在的な細胞性、生理的若しくは生化学的原因又兆候を引き起こす機構の一つ以上が低減されることを意味する。低減されるとは、この内容において用いられるように、疾病の生理的状態だけではなく疾病の分子状態を含む疾病の状態に対するものを意味すると理解される。
【0105】
96.トリガ:
引き金を引く、トリガ等の用語は、応答等のイベントを引き起こし又は開始する動作を意味する。
【0106】
97.極端な高い集密度:
極端な高い集密度等の用語は、細胞培養の端の少なくとも99%の集密度を有する細胞の個体群を意味する。
【0107】
98.未知分子:
未知の分子等の用語は、未知の生物学的、薬理学的、生理学的、病態生理学的な活性を有する分子である。
【0108】
99.値:
組成、要素、添加物、細胞タイプ、マーカなどの態様及びそれらの範囲のために開示された特定かつ好ましい値は、説明のためにのみ用いられる。それらは、定義された他の値又は定義された範囲中の他の値を除外しない。組成、装置及び開示の方法は、それらが有するどんな値又は値のどんな組み合わせ、特定の値、さらなる特定の値及びここに開示された好ましい値も含む。
【0109】
このように、開示された方法、組成、条項及び器械は、本願明細書において述べた様々な成分、工程、分子及び組成物など、を含む、から成る又は本質的に成るように、結合され得る。それらは、例えば、本願明細書において定義したようにリガンドを含んでいる分子を特徴づける方法、本願明細書において定義したように指数を産生する方法、又は、本願明細書において定義したように新薬創製方法において使われることができる。
【0110】
100.弱付着性細胞:
「弱付着性細胞」とは、細胞培養中に、基板の外部表面と弱く相互作用し、基板の外部表面と弱く関連し、基板の外部表面と弱く接触する原核生物の細胞又は真核性細胞等の細胞、細胞株又は細胞システムを意味する。しかしながら、これらのタイプの細胞、例えば、ヒト胎児性腎臓(HEK)細胞は、洗浄液若しくは媒質の交換等の物理的に妨害的な手法により、基板の表面から解離する。
【0111】
B.PDE(ホスホジエステラーゼ):
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)は、二次メッセンジャ分子cAMP及びcGMPのホスホジエステル結合を弱める一群の酵素から成る。それらは、細胞小器官ドメインの範囲内で局在、持続時間及び環状ヌクレオチドのシグナル伝達の振幅を管理する。したがって、PDEは、これらの二次メッセンジャ分子によって調停されるシグナル形質導入の重要な調整器である。PDEの11個のファミリが、21個の異なる遺伝子からなる。各々のPDEファミリは、機能的に明瞭な組織分配及び細胞の発現パターンと同様に唯一酵素学的性質及び薬理学的プロファイルによって特徴づけ、特性化される。PDEが様々な細胞の機能を管理するので、それらは性的機能不全、喘息、慢性閉塞性肺疾患、神経変性疾患(パーキンソン病及びアルツハイマー病)、糖尿、血管疾患、オステオポローシス、癌及びリウマチ様関節炎を含むいくつかの疾患の治療のための重要な医薬品の標的になっている。
【0112】
PDE4イソ酵素は、具体的には、cAMPを加水分解して、炎症性のいくつかの疾患の処置のための治療標的である。多くの生化学分析は、基質として精製されたリコンビナントPDE酵素及びcAMP又はcGMPを使用するPDEのスクリーニングに利用できる。しかし、無細胞分析環境は、忠実に細胞の生理学的な環境を再生することができない(すなわち緩衝液成分、pH及び補助因子その他の差異による)。加えて、酵素分析において活性分子は、低細胞膜透過性、細胞内物質代謝又は高極性群を有する活性部位のために疾患モデルにおいてしばしば非活動性である。したがって、酵素分析から識別される阻害剤は、動物モデル研究へ進む前に細胞に基づく分析において最適化されることが通常必要とされる。
【0113】
細胞に基づくPDE分析も示されている。典型的放射免疫測定において、過渡的に又は安定してPDEを発現した細胞が溶解された後、PDE活性は、しばしば放射性同位元素識別を使用して測定される。これらの細胞に基づくPDE4分析は複雑な分析手順を含み、それらは、侵襲的で破壊的であることに加えて、それらが比較的限られたスクリーニング流量を有する。あるいは、シーケンスを結合しているcAMP応答エレメント(CRE)を使用している細胞に基づくルシフェラーゼリポータ遺伝子分析は、PDE4、PDE7及びPDE10活性の計測のために報告されている(Bora, R.S., et al., A reporter gene assay for screening of PDE4 subtype selective inhibitors. Biochemical and Biophysical Research Communications, 2007, 356, 153-158; Bora, R.S., et al., Development of a cell-based assay for screening of phosphodiesterase 10A (PDE10A) inhibitors using a stable recombinant HEK-293 cell line expressing high levels of PDE10A. Biotechnology and Applied Biochemistry, 2008, 49, 129-134.)。しかし、リポータ遺伝子分析によって、しばしば測定された化合物活性のシフトが生じて、シグナル形質導入並びにリポータ遺伝子転写及び翻訳の長いカスケードのために化合物ライブラリスクリーニングにおける偽陽性の増加を生む。最後に、バイオセンサとしてサイクリックヌクレオチド感受性(CNG)カチオンチャネルを使用している細胞に基づくPDE4分析は、報告されている(Titus, S.A., et al., A cell-based PDE4 assay in 1536-well plate format for high-throughput screening. Journal of Biomolecular Screening 2008, 13, 609-618)。ここで、PDE活性はカルシウム色素Fura−2又は電圧クランピング又は膜電位感応けい光測定を使用して検出される。しかし、これらの方法は、cAMPセンサとしてのCNG(サイクリックヌクレオチド感受性)イオンチャネルと共にcAMP産生のための推進力としての構成的活性Gs−被結合受容体を共発現する操作された細胞を必要とする。PDE4細胞株のトランスフェクションする受容体の構成する活性は、cAMP産生の適度なレベルを維持する。継続的cAMP産生は、基剤をPDE活性の計測のために用意する。この細胞に基づくPDE4分析は、その信号が膜電位の変化によって検出されるバイオセンサとして、安定してトランスフェクションするCNGカチオンチャネルを使用する。PDE阻害剤の非存在下で、過剰発現された構成的活性Gs−被結合受容体を有する細胞株内のcAMPの適度なレベルは、内因性PDE(主にHEK293のような宿主細胞のPDE4)によって、速く加水分解されて、ベースラインとして計数される。PDE4阻害剤が存在する場合には、cAMPが蓄積し、そして、結果としてNa+及びCa2+を含むカチオンの流入になって、cAMPの増加レベルは結合して、CNGカチオンチャネルを開ける。カチオン流入は、例えば、定量かできる細胞膜脱分極の引き金を引き、そして、蛍光性の膜電位色素を使用する。この細胞に基づく分析は、高い偽陽性を導く人工の細胞システムを使用して、細胞操作及び色素ローディングを含んでいる細胞の重大操作を必要として、PDE活性のための間接的な読み出しに依存することになる。
【0114】
開示された方法は、検出するための無標識バイオセンサ細胞の分析及び例えばPDE4などのホスホジエステラーゼ(PDE)のためのスクリーン阻害剤を使用することに向いている。
【0115】
また、細胞操作のない内因性PDEのためのスクリーニング阻害剤のための方法が開示される。
開示された方法は、無標識バイオセンサを使用してリアルタイムでPDE阻害−起因性細胞の応答の強い検出が得られる細胞同期に関する。
【0116】
無標識バイオセンサを有する非侵襲的な検出は、生来細胞のPDE活性の直接測定を可能にするだけでなく、経路を送っている他細胞及びプロセス(例えばGPCRシグナル伝達)上の化合物によって、PDE阻害の衝撃を研究することを可能にする。
【0117】
PDE活性を読み出し(すなわち細胞膜電位変化)に変えるために、センサとしてCNGイオンチャネルと連続cAMP産生のための原節としての構成的活性Gs−被結合受容体との共発現を必要とする他の細胞に基づく分析と異なって、現在の開示された方法はいかなる細胞操作も必要としない。
【0118】
開示された方法も操作された細胞にも機能し、細胞操作は生細胞の活性を押し上げることができる。これは、しばしば単一の読み出し(すなわち遺伝リポータ、膜電位の変化又は細胞内のCa2+レベルの変化)に基づく従来の細胞のPDE4分析と異なっている。本発明の分析はまた、実質的に単純化され、特定の実施例は洗浄なしで実行されることができる。PDEによって操作される細胞の使用は、操作されるPDEの活性を検出するために無標識細胞の分析の感応性を押し上げるために導入してもよい。
【0119】
さらに、開示された方法は例えばアデニル酸シクラーゼ活性化剤フォルスコリン又はGPCR作動体などの外因性cAMP刺激の添加を必要としない。なぜならば、推進力を基礎cAMP産生のために用意できる幾つかの内因性Gs−被結合受容体があるからである。その代わりに、本方法は例えば細胞の基礎cAMPレベルなどの細胞の状態の交替が生じるために細胞同期に依存する。そうすると、PDE(内因性であるか又は操作された)の阻害は無標識バイオセンサを使用して検出可能な細胞の応答を導くことができる。
【0120】
C.無標識細胞ベースの分析:
一般に、無標識細胞ベースの分析は、バイオセンサを利用して、生体細胞における化合物によって誘起された応答を観測する。化合物は、天然に生ずるもの又は合成物であり得るし、精製された混合物又は未精製の混合物であり得る。バイオセンサは、光学的、電気的、熱的、音響的、磁気的トランスデューサ等のトランスデューサを通常利用して、分子認識事象又はバイオセンサに接触せしめられた細胞における化合物誘起の変化を定量化可能な信号に変換する。これら無標識バイオセンサは、分子の相互作用の分析に使用され得る。当該分子の相互作用の分析とは、分子複合体が時間とともに或いは細胞応答に対してどのように形成しかつ分離するのかを特性化することを含み、細胞が刺激に対してどのように応答するのかを特性化することを含む。本願発明に利用可能なバイオセンサは、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサ及び共鳴導波グレーティング(RWG)バイオセンサ、共鳴ミラー、エリプソメータ、又は、バイオインピーダンスシステム等の電気バイオセンサシステム等の光学バイオセンサシステムを含み得る。
【0121】
D.バイオセンサ:
1)SPRバイオセンサ及びシステム:
SPRは、電気的に伝導する金属膜(例えば、金)を有する平面ガラス基板に偏光のウェッジを指向させて、表面プラズモンを励起するプリズムに依存している。得られたエバネセント波は、金の層内の自由電子雲と相互作用し、かつかかる自由電子雲によって吸収され、電子電荷密度波(すなわち、表面プラズモン)を生成しかつ反射光の強度の低減を生じせしめる。この強度が最小となる共鳴角度は、センサ表面の反対表面における金層近傍にある溶液の屈折率の関数となる。
【0122】
2)RWGバイオセンサ及びシステム:
RWGバイオセンサは、例えば、基板(例えば、ガラス)、埋め込まれたグレーティング構造を有する導波薄膜、及び、細胞層を含み得る。RWGバイオセンサは回折格子によって導波部に対する光の共鳴結合を利用し、溶液表面の界面において全内反射が生ずる。全内反射は、界面において次々に電磁場を形成する。この電磁場は、事実上エバネッセントであり、電磁場はセンサの表面から指数関数的に減衰することを意味している。電磁場が初期値に関して1/eに減衰する距離は、侵入深さとして知られており、特定のRWGバイオセンサに関する操作の関数であるものの、通常約200nmのオーダーである。このタイプのバイオセンサは、かかるエバネセント波を利用して、センサの表面の近傍の若しくはセンサの表面における細胞層のリガンドによって誘起された変化を特性化している。
【0123】
RWG装置は角度シフト測定若しくは波長シフト測定に基づいて複数のシステムに細分化され得る。波長シフト測定において、一定の角度で入射波長の範囲に及ぶ偏光が、導波路を照明するのに使用される。特定波長の光は導光路内に結合され、導波導光路に沿って伝達する。あるいは、角度シフト装置において、センサは単色光を用いて照明され、光が共鳴結合される角度が測定される。共鳴条件は、バイオセンサの表面と直接的に接触している細胞層(例えば、細胞の密集度、細胞の付着性、及び細胞状態)によって影響される。リガンド又は分析物が生体細胞内の細胞標的(例えば、GPCR、キナーゼ)と相互作用するときに、細胞層の局所的な屈折率変化が、共鳴角度のシフト(又は共鳴波長のシフト)として検知され得る。
【0124】
Corning社登録商標Epic登録商標システムは、無標識生化学的又は細胞ベースの分析にRWGバイオセンサを使用している(コーニング株式会社、コーニング、NY)。Epic登録商標システムは、RWGプレートリーダーと、SBS(Society for Biomolecular Screening)規格サイズのマイクロタイタープレートと、から成る。プレートリーダーにおける検出システムは、細胞内におけるリガンド誘起の変化の結果として入射光の波長シフトを測定するために、統合ファイバ光学装置を利用している。一連の照明‐検出ヘッドが直線的に配置されているので、反射スペクトルが、384ウェルのマイクロプレートのカラム内の各ウェルから同時に収集される。プレート全体が走査されるので、各センサが複数回扱われ、各カラムが順番に扱われる。入射光の波長は、収集されて、分析に使用される。温度変動に帰属する入射波長の不要なシフトを最小にするために、温度制御装置が装置に含まれ得る。測定された応答は、多数の細胞の平均化された応答を表している。化合物添加はオンボードピペッタ又はオンボード液体処理器により導入される。
【0125】
3)電気バイオセンサ及びシステム:
電気バイオセンサは、基板(例えば、プラスチック)、電極、及び細胞層から成る。この電気的な検知手法において、細胞は基板上に並べられた小さな金の電極上に培養され、システムの電気インピーダンスが経時的に調べられる。インピーダンスは細胞層の電気伝導率の変化の指標である。通常、固定周波数若しくは変動周波数におけるわずかに一定の電圧が、電極又は一連の電極に印加され、回路を介した電流が時間が時間とともに観測される。リガンド誘起の電流変化によって、細胞の応答に関する指標が与えられる。細胞全体について検出するためのインピーダンス測定は1984年に最初に実現された。それ以来、インピーダンスベースの測定は、細胞の付着及び拡散、細胞の微小運動、細胞の構造変化、及び細胞の死を含む広い範囲における細胞の事象を研究するために利用されてきた。古典的なインピーダンスシステムは、小さな検出電極及び大きな基準電極の使用に帰属して、分析に関する変動性が高いという欠点を有する。この変動性を克服するために、CellKey system(MDS Sciex、南サンフランシスコ、カリフォルニア州))やRT‐CES(ACEA Biosciences株式会社、サンディエゴ、カリフォルニア州)等のシステムの最新世代は、マイクロ電極アレイを有する集積回路を利用している。化合物添加はオンボードピペッタにより導入される。
【0126】
4)高空間分解能バイオセンサ画像システム:
SPR画像システム、エリプソメトリ画像システム及びRWG画像システムを含む光学バイオセンサ画像システムにより、高空間分解能が得られ、本発明において用いられえる。例えば、SPRイメージャ登録商標II(GWC Technologies Inc)は、プリズム結合SPRを使用して、固定入射角でSPR測定を行い、CCDカメラを用いて反射光を収光している。表面の変化は反射率の変化として記録される。したがって、SPR撮像は同時に、アレイのすべての要素に対して測定値を同時に収集する。
【0127】
最近、コーニングも社もRWGバイオセンサに基づく可変波長光学送受観察システムを開示し、これも撮像ベースのアプリケーションに使用され得る。このシステムにおいて、高速可変波長レーザ源は、センサ又はマイクロプレートの形態のRWGバイオセンサアレイを照明するのに使用され得る。レーザ波長がスキャンされると、時間の関数としてセンサから反射された光の強度を検出することによって、センサのスペクトルが得られ得る。コンピュータ化された共振波長送受モデリング用いて測定されたデータに関する分析によって、固定された受容体又は細胞層を有するバイオセンサの空間分解画像が形成される。画像センサの使用によって、撮像ベースの送受観測スキームが必然的に得られる。2次元の無標識画像が部品を移動させることなく取得され得る。
【0128】
あるいは、垂直偏波モード又はp‐偏光TM0モードを用いた角度型送受観測システムが使用され得る。このシステムは一連の光ビームを生成するための発光システムから成るので、各々が、約200μm×3000μm又は200μm×2000μmの寸法のRWGセンサ及びこれらセンサから反射された光ビームの角度変化を記録するCCDカメラベースの受信システムを照明する。一連の光ビームが回折光学レンズと組み合わせたビーム分割器によって得られる。このシステムによって、最大49のセンサ(7×7のウェルセンサアレイ)が3秒毎に同時にサンプリングされ得るし、又は、センサマイクロプレートのすべてが10秒毎に同時にサンプリングされ得る。
【0129】
あるいは、走査型波長送受システムが使用され得る。このシステムにおいて、一定の角度で入射波長の範囲に及ぶ偏光が、導波グレイティングバイオセンサを照明しかつ走査するのに使用され、各位置における反射光が同時に記録され得る。走査を通して、バイオセンサの全域において高分解能画像が得られる。
以下の実施例は、上述した開示を使用する手法をより完全に説明し、かつ、本開示の種々の態様を実施するよう意図された最良の態様を説明することに用いる。これら実施例は、本開示の真の範囲を何等限定するものではなく、むしろ例示の目的で与えられるものと理解すべきである。
【0130】
E.生細胞における無標識バイオセンサ細胞分析顕性リガンド−起因性動的質量再分布(DMR)信号:
細胞標的を介した刺激に対する細胞の応答は、ダウンストリームシグナル形質導入ネットワークの空間的かつ時間的動態によってコード化される。シグナル伝達活性の空間的勾配との時間動態の結合は、刺激中の細胞応答を導く。このため、一体的な細胞シグナル形質導入をリアルタイムで観測することが実現すれば、細胞生物学及び細胞生理学を理解する際に有用であり生理学的に関連した情報を提供し得る。共鳴導波グレーティング(RWG)バイオセンサを含む光学バイオセンサは、細胞体の動的な再分配に関連する積分された細胞応答は検出して、その結果、細胞情報伝達を研究する非侵襲的な手段を提供し得る。
【0131】
すべての光学バイオセンサが、センサ表面における局所的な屈折率又はセンサ表面に極近傍の局所的な屈折率の変化を測定する点で共通する。細胞検出には、ほとんどすべての光学バイオセンサが、細胞におけるリガンド誘起の変化を特性化するのにエバネッセント波を用いることができるので、原理的に適切である。エバネセント波は、溶液‐表面界面における光の全反射によって形成された電磁場である。当該電磁場は、侵入深さ若しくは検出ボリュームと称される特性距離における溶液中の短い距離(数百ナノメートル)まで、通常、延在する。
【0132】
最近、リガンドによる刺激に応答した生細胞内で測定された光学信号のパラメータと特性を記述する理論モデル及び数学的モデルが開発された。細胞生物物理学を組み合わせた3層導波システムに基づくこれらモデルは、リガンド誘起の光信号を、受容体を介して調節された特定の細胞プロセスにリンクする。
【0133】
バイオセンサが入射光によって照射される領域に位置する細胞の平均的な応答を測定するので、高密集層からなる細胞が、最適の分析結果を獲得するのに使用され得る。細胞のバイオセンサの短い侵入深さと比べて大なる寸法に帰属して、センサ構成は、従来にはない3層システムであるとみなされる。3層とは、基板、グレーティング構造を有する導波薄膜、及び、細胞層である。したがって、リガンドによって誘起された有効屈折率の変化(すなわち、検出信号)は、細胞層の底部の屈折率の変化に一次的に正比例し得る。
【数1】

S(C)は細胞層に対するシステムの感度である。ncはバイオセンサによって検知された細胞層の局所的な屈折率における配位子誘起の変化である。細胞内の所定の容積の屈折率は、タンパク質等の生物分子の濃度によって主に決定されるので、ncは、検出ボリューム内の細胞標的又は分子集合のリガンド誘起の局所的な濃度変化に正比例すると想定され得る。センサ表面から離間するに従って指数関数的に減衰するエバネッセント波の特性を考慮すると、リガンドによって誘起された光信号は数式2によって支配される。
【数2】

ここで、ΔZcは細胞層への侵入深さであり、αは特定の屈折率の増大(タンパク質に対しては約0.18/mL/g)であり、ziは、質量の再分配が生ずる距離であり、dは細胞層内の薄片の架空の厚さである。ここで、細胞層は垂直方向において均等に離間された部分に分割される。上記の数式は、リガンドによって誘起された光学信号は、センサの表面から異なる距離で生じる質量再分布の和であり、各々が全ての応答に対して不均一に貢献することを示している。その上、波長若しくは角度シフトに関して検出された信号は、主としてセンサ表面に対して垂直の質量再分布に対して敏感である。その動的特性の故に、それは、動的質量再分布(DMR:dynamic mass redistribution)と称される。
【0134】
細胞は、自身が受けた情報を処理し、コード化し、集積する複数の細胞経路又は機構に依存している。特に分析物のタンパク質標的への結合を測定する光学バイオセンサを有する親和性分析と異なり、生細胞は、はるかに複雑であって、動的である。
【0135】
細胞情報伝達を研究するために、細胞は、細胞培養を介して達成され得るバイオセンサ表面と接触するように移動され得る。これら培養された細胞は、3つのタイプの接触を介してバイオセンサ表面に付着され得る。当該3つのタイプの接触とは、焦点接触、近接接触、及び細胞外接触、であり、各々が、表面からの特徴的離間距離を有する。その結果、基底細胞膜は、通常、表面から約10nm〜100nmに位置している。このため、バイオセンサは、細胞の底部を検知することができる。
【0136】
細胞は、多くの場合、表面に依存した接着性及び増殖性を呈する。強健な細胞分析を達成するために、バイオセンサ表面は、細胞接着と増殖を高めるためのコーティングを必要とし得る。しかしながら、表面特性は、細胞生物学に直接的な影響を有し得る。例えば、細胞によって印加された力の下で細胞がどのように変形するかを決定付ける基板材料の機械的整合性が細胞の応答に影響を及ぼすように、表面結合されたリガンドは、細胞の応答に影響を及ぼし得る。異なる培養条件(時間、血清中濃度、密集度等)に起因して、得られた細胞の状態は、表面によって異なり得るし、条件によっても異なり得る。したがって、細胞の状態を制御する特別な作用が、バイオセンサベースの細胞分析を開発するのに必要であり得る。
【0137】
細胞は、通常数十ミクロンの比較的大きい寸法の動的な物体である。刺激がない場合でさえ、細胞は、絶えず、微小運動、すなわち、動的運動及び細胞構造のリモデリングを受ける。これは、例えは、サブ細胞解像にて経時的顕微鏡検査法によって並びにナノメートルレベルのバイオインピーダンス測定によってて、生体組織の培養において観察される。
【0138】
未刺激条件下において、細胞は、RWGバイオセンサを用いて調べられるように、正味ゼロのDMR応答を通常生成する。これは、部分的には、光学バイオセンサの低空間分解能が原因である。これは、レーザスポットの大なるサイズと結合光の長距離伝搬長によって決定されるからである。レーザスポットのサイズは、調べられた領域のサイズを決定し、通常、一つのみの分析ポイントが、一度に、追跡され得る。したがって、バイオセンサは、入射光領域に位置付けられた大なる細胞集団の平均された応答を通常測定する。細胞は単一細胞レベルで微小運動を受けるが、細胞の大集団は平均した正味ゼロDMR応答を生じせしめる。その上、細胞内の巨大分子は、非常に組織化されており、ほ乳動物細胞においては適切なサイトに空間的に限定されている。細胞上及び細胞内のタンパク質の制御化された局在性は、特定の細胞機能と応答を決定する。なぜならば、局在性によって、細胞は、自身の適切なパートナーと相互作用するタンパク質の特異性と効率性を調節することが可能となり、タンパク質の活性化及び脱活性化機構を空間的に分離することが可能となるからである。この制御の故に、未刺激条件下において、検出ボリューム内の細胞の局所的な質量密度は、平衡状態に達して、正味ゼロの光学応答を生じせしめる。一定の光学応答を達成するために、調べられた細胞は、一定の期間、従来の培養条件下で培養され得るので、細胞の大部分は、一つのサイクルの分離を完了している。
【0139】
生細胞は、外因性信号を検出しかつ応答する良好な能力を有する。細胞情報伝達が直線的なルートを介して機能すると以前は考えられた。当該直線的なルートにおいて、周囲のキューは単一の明確な応答を生ずる直鎖の反応を引き起こすであろう。しかしながら、研究は、外部刺激に対する細胞応答がはるかに複雑であることを示した。細胞が受信する情報は、処理され、シグナル形質導入タンパク質のリン酸化及びトポロジカルな再配置に関する複雑な時間的及び空間的パターンに暗号化され得ることが明らかになった。適切なサイトに対する空間的及び時間的タンパク質の標的化は、タンパク質−タンパク質相互作用の特異性及び効率を調節するのに重要であり得る。その結果、細胞情報伝達と応答のタイミング及び強度が決定される。細胞の再組織化、細胞サイクルチェックポイント及びアポプトーシス等、重要な細胞の決定は、活性化された信号トランスデューサの正確な時間的制御及び相対的な空間分布に依存する。したがって、Gタンパク質共役受容体(GPCR)等の細胞標的を介して調節された細胞情報伝達は、秩序化されかつ調節されように通常進行し、一連の空間的及び時間的な事象からなる。その多くが、局所的な質量密度における変化を生じせしめ又は細胞の局所的な細胞性物質の再分配を生じせしめる。これらの変化又は再分布は、検出ボリューム内で生ずる時、光学バイオセンサを使用してリアルタイムで直接的に進行され得る。結果として、結果のDMRシグナルは生細胞の新しい生理応答であり、生細胞のリガンド−受容体対の系細胞生物学情報を含み、そして、DMRシグナルは生細胞に作用しているリガンドに基づく細胞薬品作用学情報を含む。
【0140】
F.無標識バイオセンサPDE細胞の分析:
現在の開示された方法によれば、同期条件下の生来細胞のPDE活性の強い検出は、PDE4を含んでいるシグナル伝達複合体のユニークなプレ区画化による。同期細胞のPDE4活性の阻害は、下流のシグナル伝達事象を活性化することを必要とする閾値レベルを通過してもよい細胞内cAMPの局所の増加を導く。
【0141】
具体的には、本願明細書において開示される細胞の状態を同期させる方法は、分子によるいかなるPDE特にPDE4の阻害力が、無標識バイオセンサ細胞の分析を使用して細胞操作の必要なしで、強く検出され得る方法である。また、細胞の同期なしで、阻害剤起因性PDE4活性はバイオセンサ細胞の分析による生細胞の検出可能であってもよく、それはたぶんPDE阻害剤及び/又はより少ない強い/再生可能な分析結果の作用強度の右シフトを導く。
【0142】
開示された方法は、例えばフォルスコリン(AC活性化剤)又はGPCR作動体等の外因性cAMP刺激の添加を必要としない。開示された方法は、また、非侵襲的で無標識である。これは、特定の標識(例えば膜電位色素又はCa2+感応Fura−2色素)又は操作(例えば細胞操作又は電圧クランピング)が必要である従来のPDE細胞の分析と異なっている。加えて、開示された方法のために、分析プロトコールは実質的に単純化され、この分析は高流量スクリーニングに適している。
【0143】
本方法は、生来細胞のPDE活性を検知する無標識バイオセンサ細胞分析を使用すること及び同期される天然細胞を使用してPDE阻害剤をスクリーニングすることに関する。また、開示された方法は、PDE阻害−誘導細胞シグナル伝達及びGPCRシグナル伝達等の受容体生態上のPDE阻害の衝撃を研究することに使用できる。開示された方法は、生来細胞に限られていない。開示された方法は、また、例えば安定又は過渡的なトランスフェクション細胞などの操作された細胞に適用され得る。
【0144】
1.細胞同期:
強く測定されるためのPDE活性を与える細胞同期は、それぞれ独立に又は組み合わせて使われる少なくとも3つの方法で達成され得る。
a)極めて高い集密度培養:
【0145】
1つの方法において、細胞は培養することによって同期する。ここで、細胞が早く高集密度(すなわち細胞複製の単一のサイクルに近い時間)に到達して、いかなる血清富栄養培地での連続培養による又はその拡張期間(概して一晩)の間の無血清培地の休止を経るように、高い初期の細胞撒布数が使われる。この種の培養条件の間、細胞は極端な高い集密度(>99%)に到達して、接触阻害及び血清枯渇の組み合わせを経た充分に静止性状態にある。
b)低いCO2環境下の培養:
【0146】
他の方法において、細胞は特異的な緩衝された溶液の培養で同期する。ここで、センサ表面上の細胞が高集密度(>90%)に達するまでの培養に、規則的な細胞撒布数が使われることができる。その後、細胞は、生理学的なpH(例えばpH7.1)の分析緩衝溶液中で洗浄され維持される。その拡張期間(2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間などのような90分より長い期間)の間の低いCO2(<4.5%)環境下の培養の後、細胞は分析される。
c)炭酸アンヒドラーゼ阻害剤を有する前処理:
【0147】
1つの方法において、細胞は分析の前に炭酸脱水酵素阻害剤を有する前処理で同期される。培養及び洗浄の後、細胞は、炭酸脱水酵素阻害剤を含んでいるけれどpH制御剤を有するか又は有さない分析溶液において培養されをしている。検出器システムの更なる培養の後、細胞は分析される。
【0148】
開示されるPDE4阻害剤のスクリーニング方法は、
バイオセンサがマイクロタイタープレートのウェルの範囲内で好ましくは位置するバイオセンサを用意すること;撒布細胞数が培養の早期の間に高い集密度に達するのに十分高い数である細胞をバイオセンサ表面上に撒布すること;拡張期間に血清含有媒体にて細胞を培養すること;
任意に、細胞が高い集密度及び静止状態に達成するまで他の期間の間の細胞を飢餓させること;
pH緩衝分析溶液で静止性細胞を洗浄すこと;
バイオセンサ検出器システム内で上述のpH緩衝分析溶液で静止性細胞を維持すること;
並びに、化合物によって引き金を引かれた細胞の応答を分析すること、を含み、そこにおいて、同一細胞背景にてそれらのGs被結合受容体に類似する化合物−起因性バイオセンサ信号はPDE4阻害の化学指示薬である方法である。
【0149】
また、開示されるPDE4阻害剤をスクリーニングする方法は、
バイオセンサがマイクロタイタープレートのウェルの範囲内で好ましくは位置するバイオセンサを用意すること;
撒布細胞数が培養後に高い集密度に達するのに十分高い数である細胞をバイオセンサ表面上に撒布すること;
血清富栄養培地下で細胞を捕らえること;
任意に、血清枯渇媒体で他の期間の間の細胞を飢餓させること;
pH緩衝分析溶液で細胞を洗浄すこと;
少なくとも2時間の低いCO2環境下でバイオセンサ検出器システム内の前記分析溶液で細胞を維持すること;
並びに、化合物によって引き金を引かれた細胞の応答を分析すること、を含み、そこにおいて、同一細胞背景にてそれらのGs被結合受容体に類似する化合物−起因性バイオセンサ信号はPDE4阻害の化学指示薬である方法である。
【0150】
また、開示されるPDE4阻害剤をスクリーニングする方法は、
バイオセンサがマイクロタイタープレートのウェルの範囲内で好ましくは位置するバイオセンサを用意すること;
撒布細胞数が培養後に高い集密度に達するのに十分高い数である細胞をバイオセンサ表面上に撒布すること;
血清富栄養培地下で細胞を培養すること;
任意に、血清枯渇媒体で他の期間の間の細胞を飢餓させること;
pH緩衝分析溶液で細胞を洗浄すこと;
少なくとも2時間のバイオセンサ検出器システム内の炭酸脱水酵素阻害剤が存在する場合には、前記分析溶液で細胞を維持して培養すること;
並びに、化合物によって引き金を引かれた細胞の応答を分析すること、を含み、そこにおいて、同一細胞背景にてそれらのGs被結合受容体に類似する化合物−起因性バイオセンサ信号はPDE4阻害の化学指示薬である方法である。
【0151】
また、バイオセンサ上の細胞を培養する方法であって、a.バイオセンサを用意し、b.前記バイオセンサの表面上に細胞を撒き、c.媒体を含んでいる血清の下で細胞を培養し、d.前記細胞を同期させる、諸ステップを含む細胞を培養する方法も開示される。
【0152】
また、前記細胞を同期させるステップは、細胞を高い集密度及び静止状態に達成せしめる処理ステップと、pH緩衝分析溶液で前記細胞を洗浄するステップと、バイオセンサ検出器システムにおける前記pH緩衝分析溶液で前記細胞を維持するステップと、を更に含む細胞を培養する方法も開示され、そこにおいて、前記細胞を同期させるステップは、血清枯渇媒体で他の期間の間に細胞を飢餓させてpH緩衝分析溶液で前記細胞を洗浄するステップと、他の期間の間に低いCO2環境下で、バイオセンサ検出器システムにおける前記pH緩衝分析溶液で前記細胞を維持するステップと、を更に含み、かつ、又は、そこにおいて、前記細胞を同期させるステップは、血清枯渇媒体で他の期間の間に細胞を飢餓させてpH緩衝分析溶液で前記細胞を洗浄するステップと、バイオセンサ検出器システムにおける炭酸脱水酵素阻害剤を有する分析溶液で前記細胞を他の期間の間、維持し培養するステップと、を更に含む。
【0153】
テスト化合物を細胞に接触させて、該接触がバイオセンサ応答を細胞から産生させるステップと、前記バイオセンサ応答を使用して前記テスト化合物がPDEモジュレータであるかどうか決定するステップと、を更に含む細胞を培養する方法も開示される。
【0154】
また、前記バイオセンサがマイクロタイタープレートのウェルの範囲内に配置される細胞を培養する方法も開示され、そこにおいて、撒かれた細胞の個数が早期培養の間に高集密度に達成し、そこにおいて、撒かれた細胞の個数が培養の後に高集密度に達成し、そこにおいて、前記細胞は拡張期間の間の培養され、そこにおいて、前記細胞が飢餓にされることによって高集密度及び静止状態に達成せしめられ、そこにおいて、前記テスト化合物に起因するバイオセンサ信号が同じ細胞背景の受容体のシグナルに類似する場合、PDE阻害が示され、そこにおいて、前記PDEがPDE4であり、そこにおいて、同じ細胞背景の受容体のシグナルに類似する前記テスト化合物に起因するバイオセンサ信号は、前記化合物がPDE4を抑制することを示し、そこにおいて、前記細胞の90%を超える個体が1つの細胞分割だけから生じ、そこにおいて、前記細胞は少なくとも90%が天然の細胞からなり、そこにおいて、前記細胞が極端な高い集密度で培養され、そこにおいて、前記バイオセンサがマイクロタイタープレートのウェルの範囲内に配置され、そこにおいて、前記細胞が30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、15時間、20時間、30時間、40時間、50時間又は100時間の間の低いCO2環境下で、バイオセンサ検出器システムの分析溶液によって維持され、そこにおいて、前記細胞が少なくとも2時間の低いCO2環境下で、バイオセンサ検出器システムの分析溶液によって維持され、そこにおいて、前記バイオセンサ検出器システムのCO2環境の濃度が3.5%未満にあり、そこにおいて、前記細胞は、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、15時間、20時間、30時間、40時間、50時間又は100時間の間、バイオセンサ検出器システムにおける炭酸脱水酵素阻害剤を有する分析溶液で、維持され培養され、そこにおいて、前記細胞は、少なくとも2時間の間、バイオセンサ検出器システムにおける炭酸脱水酵素阻害剤を有する分析溶液で、維持され培養され、そこにおいて、ステップdが省略され、そこにおいて、前記細胞は拡張期間の間、培養され、前記細胞が培養を介して同期され、かつ、又は、そこにおいて、前記細胞が飢餓にされることによって高集密度及び静止状態に達成せしめられる。
【0155】
上記の同期方法のいかなる組み合わせも、PDE阻害剤スクリーニングのために使われることができる。
【実施例】
【0156】
a) 材料及び手段:
(1)材料:
IBMX、IC63197、Ro−20−1724、R−ロリプラム、YM−976、シグアゾダン、シロスタゾール、シロスタミド、ミルリノン、アナグレリド、MY05445、ザプリナスト、BRL50481、イブジラスト及びMMPXは、Tocris Chemical社(セントルイス(MO))から購入された。アセタゾラミド、ヒスタミン、エピネフリン、ニコチン酸、ピナシジル、ポリ(I:C)、フォルスコリン及び上皮細胞増殖因子(EGF)は、Sigma Chemical社(セントルイス(MO))から得られた。チルホスチン25、トリホスチン(tryphostin)51及びホルボール12−ミリスチン酸エステル13−アセテート(PMA)は、BioMolインターナショナル社(プリマスMeeting(PA))から得られた。SLIGKV−アミドは、BaChem米州会社(Torrance(CA))から得られた。Epic登録商標384のバイオセンサマイクロプレートは、コーニング社(コーニング(NY))から得られた。
(2)細胞培養:
【0157】
全ての細胞株は、米国菌培養収集所組織(Manassas(VA))から得られた。使用した細胞培地は、10%のウシ胎児血清(FBS)、4.5g/リットルのグルコース、2mMのグルタミン及びヒト表皮癌A431及びヒト肺癌A549のための抗生物質で補充されたダルベッコ改質イーグル培地(DMEM)であった。
【0158】
バイオセンサマイクロプレートにおける対応培地50μl中に懸濁された通路3〜15でのウェル毎に約1〜2×104の細胞を用いて育てられ、細胞は空気/5%のCO2の下で37℃で培養された。無血清DMEM内の連続培養による約20時間飢餓にさらされたA431を除いて、他の細胞類は飢餓なしで直接分析された。分析時点での全ての細胞の集密度は約95%から100%であった。
(3)RNA単離:
【0159】
RNAは、A431及びA549細胞培養から分離された。合計RNAは、RNeasy登録商標ミニキット(Qiagen)を用いて抽出された。残渣デオキシリボ核酸は、無リボヌクレアーゼのデオキシリボヌクレアーゼ(DNA分解酵素)I処理(Qiagenからの無RNアーゼのDNA分解酵素セット)によって除去された。
(4)RT−PCR:
【0160】
RNAは、Platinum登録商標Taq High Fidelity(Invitrogen)を有するSuperScript III One-step RT-PCR systemの存在の下で、合計RNAの1μgを使用して、逆に転記された。
サイクリング条件は、以下のとおりであった。
【0161】
相補DNA合成:
50℃にて30分、続いて95℃で5分の変性。
【0162】
PCR増幅:
30秒間95℃、30秒間50℃及び2分間72℃の35サイクル。これは、10分間65℃での最終延長まで続いた。
【0163】
PDE3A及びPDE3Bのためのプライマは、(F. Murray et al, British Journal of Pharmacology (2002) 137, 1187 -1194)に記載されたように使われた。PDE3AセンスプライマはCTG GCC AAC CTT CAG GAA TCであった。そして、アンチセンスプライマはGCC TCT TGG TTT CCC TTT CTCであった。PDE3BセンスプライマはAAT CTT GGT CTG CCC ATC AGT CCであった。そして、アンチセンスプライマはTTC AGT GAG GTG GTGクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼTAG CTGであった。各々のPCR反応において、100ngのGAPDHのプライマが内部コントロールとして加えられた。GAPDHプライマシーケンスは、GACCCCTTCATTGACCTCAACTACATG39(センス)及びGTCCACCACCCTGTTGCTGTAGCC39(アンチセンス)であった。
【0164】
PCR生成物は、3%のアガロースゲル上の泳動によって分析された。PCR生成物の同一性は、遺伝子配列から予想されるサイズを有する生成物のサイズを比較することによって確かめられた。
【0165】
(5) cAMPのケミルミネセンス数量化:
A431細胞は、80000細胞/ウェルでの96ウェルTCTマイクロプレートに撒かれて、20時間培養されて、さらに20時間、飢餓にされた。細胞は、HBSSで2回洗浄され、Epic機器で2時間の間、100μlのHBSS、Leibovitz’s
L−15媒体(ギブコ)で、又はHBSSでの1μMのAcetozamine(シグマ)で培養された。化合物(エピネフリン、IBMX又はHBSS)はそれからプレートに添加され、そして、細胞は室温で15分間さらされた。媒体又は緩衝液は除去され、そして、細胞は、1mMのIBMXを含んでいる溶解緩衝液(cAMP HTS免疫測定キット(ミリポア)から)の100μlにおいて溶解された。それからcAMP基準と同様に50μlの細胞抽出エキスは、ベンダーによって記載されている同じ手順を使用して分析された。
(6)光学バイオセンサシステム及び細胞分析:
【0166】
Epic登録商標波長質問システム(可変波長光学送受観察システム)(コーニング社、コーニング、NY)が、全細胞の検知のために使われた。このシステムは、温度調節ユニット、光検出ユニット及びロボット工学によるオンボード液体処理ユニットから成る。
光検出ユニットは、統合したファイバ光学システムに集約され、約15秒の時間間隔で細胞の応答の動態の測定を可能にする。化合物溶液は、オンボード液体処理ユニット(すなわち、ピペッティング)を使用して導かれた。
【0167】
RWGバイオセンサは、センサ表面の近くで局在部屈折率に僅かな変化を検知することができる。細胞の範囲内の局所屈折率がバイオマス(例えばタンパク質、分子の複合体)の密度及びその分配の関数であるので、バイオセンサは非侵襲的に生来細胞内にリガンド−起因性動的な質量再分布を検知するためにそのエバネッセント波を利用する。エバネッセント波は細胞内に達し、その距離に亘って指数的に減衰し、約150nmの特性検知体積を導き、そして、このことは、受容体活性化で調停されるいかなる光学応答もエバネッセント波がサンプリングする細胞部分上の平均値だけを表すのことを意味する。受容体活性化の下流の多くの細胞事象の凝集はリガンド−起因性DMRの動態学的及び振幅を決定する。
【0168】
バイオセンサ細胞の分析のために、化合物溶液は、保存された濃度溶液をHBSS(1xハンクス均衡塩類溶液、プラス20mMのHEPES、pH7.1)で希釈することによって製造し、複ソース・プレートを調合するために384ウェルポリプロピレン化合物貯蔵プレートに移された。二段階分析が実行されるときに、2枚の化合物ソースプレートは別に作られた。並行に、細胞はHBSSによって二回洗浄されて、細胞分析プレートを調合するためにHBSSの30μlにおいて維持された。細胞分析プレート及び化合物ソースプレートは、それから読取機システムの室内において培養された。培養の後、細胞分析マイクロプレートの全てのバイオセンサのベースライン波長は、記録されて、ゼロに規格化された。その後、2分から10分の連続記録が実行されベースラインを決めて、細胞が定常状態となったことを確認した。細胞の応答は、それからオンボード液体処理ユニットを使用して化合物溶液の10μlを細胞分析プレートに移すことによって引き起こされた。
【0169】
全ての研究は、管理された温度(28℃)で実行された。各々が少なくとも3つの複製を有する実験の少なくとも2つの独立セットが実行された。
分析変化係数が、<10%であるとわかった。
b)例1:A431細胞の内因性ホスホジエステラーゼの発現パターン:
【0170】
PDE4は炎症細胞において主に発現して、好酸球、好中球、Tリンパ球、マクロファージ及びマスト細胞を含む。PDE4イソ酵素の異常なレベルは、アトピー性疾患のいくつかの免疫性で炎症性の異常状態の基礎をなすために考慮される。以前に、RT−PCR及び免疫ブロット法は、A431細胞のPDE4アイソフォームの発現を研究するために用いた。結果は、A431が内因的に全てのPDE4アイソフォームを表し、PDE4DがA431細胞の最も多量のPDE4アイソフォームであることを示した(Chujor, C.S.N., Hammerschmid, F., and Lam, C。環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼの4つのサブタイプはプライマリケラチノサイト、そして、ヒト表皮の細胞株により差別的に表される。J. Investigative Dermatology, 1998, 110, 287-291)。
【0171】
ここで、我々はA431のPDE3アイソフォームの発現解析に注目した。図1に示すように、結果はA431だけが低レベルのPDE3Aを発現したが、ほとんどがPDE3Bアイソフォームでないことを明らかにした。
c)例2:異なる被同期条件下のA431細胞の基礎の細胞内のcAMPレベル:
【0172】
サイクリックAMP(cAMP)は、ホルモン作用に応答して生じる拡散自在の細胞内の二次メッセンジャである。細胞質へのcAMPの放出はいくつかの異なるリガンドによって形質膜でGPCRの占有によって始められ、副腎皮質刺激、グルカゴン及びアドレナリンを含む。リガンド−境界GPCRは関連するヘテロ三量体G蛋白質のα−サブユニット上のGTPのためのGDPの交換に触媒作用を及ぼして、βγ−ダイマーからα−サブユニット及びその解離の活性化に結果としてなる。そして、α−及びβγ−サブユニットは、明瞭な細胞内のシグナル伝達・カスケードを始め又は抑制することができる。Gsサブタイプのα−サブユニットはアデニリルシクラーゼを活性化し、それはATPをcAMPに変換する。GPCR媒介下流シグナル伝達は、α−サブユニットの内因性GTPアーゼ活性によって終了され、GTPをGDPに加水分解する。正味効果は、形質膜から発する点でのcAMPの細胞内産生である。cAMPは、まず最初に220μmの理論的作用範囲を有する細胞の全体にわたって自由に散った二次メッセンジャであると考慮された。しかし、生細胞画像化の進行は、一様な細胞内の分配よりむしろ、cAMPの勾配を視覚化した。そして、それはこの二次メッセンジャが細胞の範囲内で特性サイトで蓄積することを示した。環式ヌクレオチドゲートチャネル、ホスホジエステラーゼ及びヌクレオチド交換タンパク質等のいくつかのタンパク質は、cAMP(EPAC)によって活性化され、cAMPに結合され、cAMPによって活性化される。したがって、この種のcAMP−結合タンパク質の局所の活性化は、この遍在する二次メッセンジャに多様な応答を伝達するために用いるのを可能にする。
【0173】
生来細胞においてPDE4アイソフォームを含む内因性PDEの活性を重大細胞操作なしで分析することはほとんど不可能であると広く考えられる。ここで我々は、特定の状況下の細胞の同期が、細胞内cAMPの適当な基礎レベルに結果としてなるだけでなくて、これらのシグナル伝達分子の適当なプレ組織化を導き、結果として、PDE阻害剤によるPDE活性の禁止効果は非侵襲性の無標識バイオセンサを使用している検出可能シグナルを導くことになると推測した。この仮説を試験するために、我々は異なる被同期条件下で細胞内cAMPの基礎レベルを最初に検討した。
【0174】
図2に示すように、A431細胞がモデルとして使われた。A431細胞は、高い集密度(約95%)を導くまで、コーニング組織培養処理96ウェルマイクロプレート上の血清富栄養培地で培養された。洗浄の後、終夜、細胞は連続的に無血清媒体で培養された。この点で、細胞は約100%の集密度であった。対応する溶液での洗浄後、細胞は2時間の同じ低いCO2環境(約2%のCO2)で培養された。それから細胞は、供給元によって推薦されたプロトコールを用いて、100マイクロモル濃度のIBMXを含んでいる溶菌緩衝液によって溶解され、PDE活性を遮断して、cAMP計測が続いえ行われた。結果はHBSS(pH7.1)の静止性A431細胞の2時間の同期が適度なcAMPレベル(約1.0±0.1pmole/160K細胞)に結果としてなることを示した。その一方で、最高基礎cAMPレベル(1.16±0.1pmole/160K細胞)及び静止性細胞に導かれる独立L−15媒体が1つのマイクロモル濃度の炭酸脱水酵素阻害剤アセタゾラミドを含んでいるL−15媒体において、同期させたCO2の静止性細胞の2時間の同期は最低基礎cAMPレベル(0.74±0.1pmole/160K細胞)に結果としてなった。それは、我々の推測と整合し、細胞の基礎cAMPレベルは、同期で管理され得ることが分かった。データ(データを示されないが)もこの種の全細胞溶解物レベルで測定されたように、10ナノモルから100マイクロモルの間の濃度範囲でのIBMXが、全ての条件下の細胞内のcAMPレベル上の衝撃をほとんど有さないことを示した。
d)例3:特定の被同期条件下での静止性A431細胞の強いGs−DMRシグナルに導かれた非選択的PDE阻害剤IBMX:
【0175】
図2の結果は、所望の細胞内のcAMPレベルを達成するために細胞同期が使用できるという我々の仮説を確かめたものであった。cAMP計測で示したように、全部の細胞レベルで内因性PDE活性を測定することはむずかしいことは明らかである。しかし、我々は、刺激中の増加細胞内cAMPレベルのトリガー細胞シグナル伝達への許容限界が、cAMP蛍光バイオセンサ方法又は細胞溶解物全細胞計測を使用している文献において報告したものより、非常に低く、したがって、特定の同期条件下で得られる細胞内の内因性PDEの阻害は細胞シグナル伝達の引き金を引くのに十分高い局所細胞内cAMPレベルを上げることを可能とすることができ、無標識バイオセンサでPDE活性を計測可能であると仮定した。この仮説を試験するために、我々は、DMRシグナル及び全細胞cAMP蓄積の引き金を引くための内因性Gs−被結合β2−アドレナリン受容体作動体エピネフリンの相対的な作用強度を最初に検討した。結果は、エピネフリンが、全細胞cAMPキットを使用して測ったcAMP蓄積が生じるものより、無標識Epic登録商標システムを使用して得られたDMRシグナルを活性化する非常により高い作用強度を呈することを示した。この結果は、エピネフリンによるGs−被結合β2−アドレナリン受容体の相対的な低い占有がDMRシグナル及び許容限界の引き金を引くのに十分なことを示し、おそらく初めに局所化されて増加して、cAMPは、充分にDMRシグナルを含んでいる細胞シグナル伝達を活性化すると思われるより非常に低いことを示した。
【0176】
我々は、PDE阻害剤を有する処理に静止性A431細胞のDMRシグナルを更に検討した。我々の仮説と一致して、我々は無標識細胞のPDE分析が実行可能であり、細胞同期条件に影響されることがわかった。主な結果は、図4において要約された。同じ培養条件下で得られる静止性A431細胞が使われた。ここで、細胞の初期撒布添加数は、比較的低かった(384ウェルEpicバイオセンサマイクロプレートのウェルにつき約20K細胞が組織培養処理された)。後に約24時間、血清富栄養培地で培養されて、細胞はちょうど約95%の集密度に達した。無血清媒体で洗浄の後、連続的にもう24時間の無血清媒体で培養され、細胞は静止性状態に達成せしめられた。ここで、静止性状態は主に血清の取りやめで達成された。静止性A431細胞はCO2独立媒体において更に同期され、検討された非選択的PDE阻害剤IBMXの最も高い用量でさえ、ほとんどDMRシグナルを導かれなかった(図4c)。この被同期条件下で、基礎cAMPレベルは、高い(図2)。しかし、静止性A431細胞は、同じ培養条件下で得られ、ただし、炭酸脱水酵素阻害剤アセタゾラミドを1マイクロモルで含んでいるCO2非依存L−15媒体において同期したが、古典的用量依存(図4D)を示した強いDMRシグナルを導いた。同様に、静止性A431細胞は、アセタゾラミドを有する場合と有さない場合とのpH制御分析緩衝液(すなわち20mMのHepesを含んでいる1xHBSS、pH7.1)において、2時間の低いCO2環境で、用量依存かつ強DMRシグナル(図4A及び、それぞれ、図4B)でIBMXに応じ同期した。また我々は、それに同じ静止性細胞を見せるが、より短い時間(<90min)で同じHBSS緩衝液において同期したところ、IBMX又はPDE4選択的阻害剤ロリプラム(データは示されない)での刺激で、一致しないDMRシグナルが導かれた。これらの結果は、細胞内cAMPの比較的より低い基礎レベルを有する状態への細胞の同期が内因性PDE活性の強力な検出や、PDE阻害剤のスクリーニングに好ましくは役立つことを示した。これは、おそらく同期ステップの間、これらの静止性細胞が環境性変化(例えば検出器システムの低いCO2濃度)に応答してそれらの細胞内のcAMP濃度を再度平衡とする傾向があるということである。細胞膜境界の炭酸脱水酵素は、CO2レベルのための公知のセンサである。面白いことに、3つの被同期条件下で検査したところ、IBMXは検出可能なDMRシグナルを導き、IBMXの作用強度が類似(10マイクロモルの約EC50)であるとわかった。また、興味を起こさせることはIBMX起因性DMRシグナルが同じA431細胞の古典的Gs−タイプDMRシグナルに、密接に類似しているということである(Fang, Y., and Ferrie, A.M. (2008) "label-free optical biosensor for ligand-directed functional selectivity acting on β2 adrenoceptor in living cells". FEBS Lett.582, 558-564.)。
【0177】
図4において、静止性細胞は、血清枯渇で主に達成された。我々は、接触阻害及び血清枯渇で達成される静止性細胞に興味があった。そうするために、非常により高い初期の細胞撒布数が使われた(384ウェルEpicバイオセンサマイクロプレートののウェルにつき>=25K細胞)。血清富栄養培地での一日培養の後、細胞はすでに緻密単層に達して、接触阻害起因性休止を経た。無血清媒体にてもう一日間連続培養した後、細胞は異なる静止性状態に至った。血清枯渇だけで達成される静止状態細胞のそれらと比較して、PDE4阻害剤R−ロリプラムは、接触阻害及び血清枯渇(図5)で達成される静止性細胞の250nMのEC50を有する非常により高い作用強度を呈した。ここで、両方の静止性細胞は、同じ同期条件(低いCO2環境のHBSS分析溶液の2時間の培養)にさらされた。また、同様の傾向は、非選択的PDE阻害剤IBMX(データは示されない)で得られた。
【0178】
A431細胞が主にPDE4アイソフォームを表し、更に比較的低レベルでPDE3アイソフォームを発現したので、我々はDMRシグナルの引き金となり得るPDE阻害剤の選択性に関心を持った。ここで、静止性A431細胞は、384ウェルEpicバイオセンサマイクロプレートのウェルにつき、22K細胞を使用して使われ、続いて、血清媒体中の1日(約24時間)培養と、無血清媒体中の1日(約24時間)培養と、2時間の比較的低いCO2環境下のHBSS緩衝液中の一連の同期が行われた。その後、静止性細胞は、各々12.5マイクロモル濃度でのPDE阻害剤のパネルで個々に刺激に晒された。主な結果は、図6から図11において要約された。比較するために、緩衝液(溶媒)だけによって刺激された細胞中でDMRシグナルが含まれてた。予想したように、静止性A431細胞は安定した正味ゼロDMRシグナルで緩衝液に応答した。対照的に、ICI63197、Ro−20−1724、R−ロリプラム及びYM−976を含む全てのPDE4選択的阻害剤は、Gs様DMRシグナル(図6)に導いた。検討される用量での効力の差異は、アイソフォーム選択性のそれらの差異のためにそれらの相対的な作用強度及び/又は真理効力の差異を反映し得る。同様に、また、静止性A431細胞の類似したGs−DMRシグナルに至ったPDE阻害剤は、2つの非選択的PDE阻害剤のIBMX及びチルホスチン25(図7)と、3つのより少ない選択的なPDE3阻害剤のシグアゾダン、シロスタゾール及びシロスタミド(図8)が含まれた。逆に、2つの非常に選択的PDE3阻害剤のミルリノン及びアナグレリドはいかなる検出可能なDMRシグナル(図9)にもならなかったが、同じものは3つのPDE5選択的阻害剤MY−5445、ザプリナスト及びイブジラスト(図10)のために、PDE7選択的阻害剤BRL−50481及びPDE1選択的阻害剤MMPX(図11))が見つかった。一緒に考慮すると、これらの結果は、様々なPDE阻害剤によって誘発されるGs−DMRシグナルが内因性PDE4アイソフォーム上のそれらの禁止効果によることを示す。これは、A431細胞の内因性PDEアイソフォームのユニークな発現パターンを反映する。
【0179】
我々はモデルとしてA431細胞を使用したにもかかわらず、開示された方法はまた、他のタイプに適用できる。類似したGs−タイプDMRシグナルは、ヒト大腸癌HT−29細胞(データは示されない)と同様にヒト肺癌A549細胞の非選択的PDE阻害剤IBMX及びチルホスチン25に対して得られた。面白いことに、それが有益であるにもかかわらず、血清枯渇−起因性休止は生来A549又はHT−29の細胞のPDE4活性を測定するため必要ではない。加えて、いくつかのPDE阻害剤により誘導されたGs様DMRシグナル起因性が主にA431のPDE4アイソフォーム−誘導細胞シグナル伝達に帰されたにもかかわらず、細胞内のそれらの発現が細胞シグナル伝達の引き金を引くのに十分高いならば、現在の方法はまた、cAMPに関連したPDEアイソフォームの他タイプに適用できなければならない。
E)例4:チルホスチン51の多重薬効性を呈したDMR指数:
【0180】
化合物のPDE4阻害力を含んでいる多重薬効性を特徴づけるために、我々は一例として公知のEGFR阻害剤チルホスチン51を使用した。静止状態A431及び増殖しているA549細胞は10マイクロモル濃度で個別に約1時間チルホスチン51にさらされ、そのプライマリプロファイルを生成し、続いてもう1時間ほどのための固定された濃度で各々のマーカにより刺激され、細胞の両方のタイプのマーカのパネルに対して、チルホスチン51の二次プロファイルを生成した。次に、一つ以上の特異的なDMRパラメータは、分子のDMR指数をプロットするための読み出しに選ばれた。
【0181】
マーカの第1のパネルは、各々のマーカのEC80又はEC100の近くの濃度で静止性A431細胞に接触され、DMR計測がEPIC登録商標システムで得られた。マーカのパネルは、Epic登録商標細胞分析を使用してA431細胞において識別されたマーカのライブラリから選ばれた。このパネルは、上皮細胞増殖因子(EGF)、エピネフリン、ニコチン酸及びヒスタミンを含んだ。各々のこれらのマーカは細胞シグナル伝達の広いアレーを導いた。上述のEGFR DMRに同様な化学生物学及び細胞生物学アプローチと共にEpic登録商標細胞分析を使用して、我々は、A431細胞内の各マーカ起因性DMRシグナルのために思われる経路及びネットワーク相互作用を決定した。主な観察は、以下に要約される。上皮細胞増殖因子は活性化が細胞シグナル伝達の多岐アレーを導くA431の内因性EGF受容体のための自然の作動体であり、PLC−PI3K経路、MAPK経路、STAT経路及びPKC経路を含む。エピネフリンは、活性化がcAMP−PKA経路を導くA431細胞の内因性のβ2−アドレナリン作動受容器のための自然の作動体である。ニコチン酸は、活性化がGi媒介シグナル伝達及びMAPK経路を導くA431の内因性のGPR109A受容体のための自然の作動体である。ヒスタミンは、活性化がGq媒介シグナル伝達及びPKC経路を導くA431の内因性のヒスタミンタイプ1つの受容体(H1R)のための自然の作動体である。図7は、Epic登録商標細胞分析によって定まるマーカの第1のパネルでの刺激に応答して、充分に静止性A431細胞のDMRシグナルを示す。各々のDMRシグナルは、4つの複製の平均値になる応答を表す。
【0182】
マーカの第2のパネルは、各々のマーカのEC80又はEC100の近くの濃度でA549細胞に接触され、DMR計測がEpic登録商標システムで得られた。このパネルは、poly(I:C)、SLIGKV−アミド、ピナシジル、PMA、ヒスタミン及びフォルスコリンを含んだ。これらのマーカの各々も、細胞シグナル伝達の広いアレーを導いた。上述のEGFR DMRに同様な化学生物学及び細胞生物学アプローチと共にEpic登録商標細胞分析を使用して、我々は、A549細胞内の各マーカ起因性DMRシグナルのために思われる経路及びネットワーク相互作用を決定した。主な観察は、以下に要約される。Poly(I:C)は、活性化がIKK経路及びAKT経路を導くA549の内因性のToll様受容体のための作動体である。SLIGKV−アミドは、活性化がGq−、Gi−及びG12/13媒介シグナル伝達を導くA549の内因性のプロテアーゼ活性受容体・サブタイプ2(PAR2)のための作動体である。ピナシジルは、活性化がRho−及びJAK媒介シグナル伝達を導くA549の内因性のATP感受性カリウム(KATP)イオンチャネルのためのオープナである。PMAは、活性化がPKC経路及び脱顆粒を導くプロテインキナーゼC(PKC)のための活性化剤である。ヒスタミンは活性化が二相シグナル伝達おそらくA549のGi及びGq媒介シグナル伝達でを導く内因性ヒスタミン受容器(優位にH1R及びおそらくH3R)のための自然の作動体である。フォルスコリンは、活性化がA549のcAMP−PKA経路を導くアデニリルシクラーゼのための活性化剤である。図8は、Epic登録商標細胞分析によって定まるマーカの第2のパネルでの刺激に応答したA549細胞のDMRシグナルを示す。各々のDMRシグナルは、4つの複製の平均値になる応答を表す。
【0183】
A549のピナシジルDMR応答のために、N−DMRの振幅(すなわち刺激後30分の振幅)が選ばれた。A549のpoly(I:C)DMR応答のために、後期DMRの振幅(すなわち刺激後50分の振幅)が選ばれた。A549のPMA応答のために、後期DMRの振幅(すなわち刺激後50分の振幅)が選ばれた。A549のSLIGKV−アミドDMR応答のために、P−DMRの振幅(すなわち刺激後20分の振幅)が選ばれた。A549細胞のフォルスコリン応答のために、P−DMRの振幅(すなわち刺激後50分の振幅)が選ばれた。A549のヒスタミン応答のために、早期DMRの振幅(すなわち刺激後10分の振幅)及び後期応答(すなわち刺激後30分の振幅)が選ばれた。A431のエピネフリン応答のために、P−DMRの振幅(すなわち刺激後50分の振幅)が選ばれた。A431のニコチン酸DMRのために、P−DMRの振幅(すなわち刺激後3分の振幅)が選ばれた。A431のEGF DMRのために、P−DMRの振幅(すなわち刺激後4分の振幅)及びN−DMRの振幅(すなわち刺激後4分から40分間の減衰する振幅)が選ばれた。A431のヒスタミン応答のために、P−DMRの振幅(すなわち刺激後3分の振幅)が選ばれた。各々のマーカに対するマーカの変調のパーセンテージは、同じ細胞に作用している同じマーカのプライマリプロファイルにおける細胞のマーカに対して分子の二次プロファイルを規格化することによって算出された。
【0184】
図12に示すように、チルホスチン51のDMR指数は、2種類の応答を含むことができ、両方の細胞株における一次応答プロファイル(すなわちチルホスチン51で引き起こされるプライマリプロファイル)と、拮抗体モードDMR指数(すなわち、各々1つの細胞株のためマーカの2つのパネルに対するリガンドの二次プロファイル)を含む。
【0185】
それぞれ、図12A及びBはA431及びA549細胞のチルホスチン51のプライマリプロファイルを示す。両方の細胞株のチルホスチン51のDMRシグナルは、密接に古典的なGs−DMRシグナル(Gs経路の活性化を表す)に似ていた。ここで、両方の細胞株のチルホスチン51プライマリプロファイルの4つの複製は、分析の再現性を強調するために与えられた。ここで、極めて高い集密的な(約100%)細胞は、低いCO2(約2%)環境の2時間の培養を使用して同期した。図12Cに示すように、チルホスチン51の変調指数は、チルホスチン51を有する細胞の前処理がA431細胞のヒスタミンDMR及びエピネフリンDMRシグナルを部分的に減らし、同様にA549細胞のフォルスコリンDMRシグナル、Gs経路の活性化のための化学指示薬、を呈した。
同時に、チルホスチン51での細胞の前処理も、A431のEGF起因性DMRシグナルの減衰が生ぜしめた(EGFR経路の阻害のための化学指示薬)。
一緒に考慮すると、これらの結果は、チルホスチン51がEGFR及びPDE4阻害力を含む多重薬効性を引き起こしたことを示す。
【参照】
【0186】
1. Fang, Y., Ferrie, A.M., Fontaine, N.H., and Yuen, P.K. (2005) "Characteristics of dynamic mass redistribution of EGF receptor signaling in living cells measured with label free optical biosensors". Anal. Chem., 77, 5720-5725.
2. Fang, Y., Ferrie, A.M., Fontaine, N.H., Mauro, J. and Balakrishnan, J. (2006) "Resonant waveguide grating biosensor for living cell sensing". Biophys. J., 91, 1925-1940.
3. Fang, Y., and Ferrie, A.M. (2008) "label-free optical biosensor for ligand-directed functional selectivity acting on β2 adrenoceptor in living cells". FEBS Lett. 582, 558-564.
4. Fang, Y., Frutos, A.G., Verklereen, R. (2008) Label-free cell assays for GPCR screening. Comb. Chem.& HTS 11, 357-369.
5. Chujor, C.S.N., Hammerschmid, F., and Lam, C. Cyclic nucleotide phosphodiesterase 4 subtypes are differentially expressed by primary keratinocytes and human epidermoid cell lines. J. Investigative Dermatology, 1998, 110, 287-291
6. Bora, R.S., et al., A reporter gene assay for screening of PDE4 subtype selective inhibitors. Biochemical and Biophysical Research Communications, 2007, 356, 153-158;
7. Bora, R.S., et al., Development of a cell-based assay for screening of phosphodiesterase 10A (PDE10A) inhibitors using a stable recombinant HEK-293 cell line expressing high levels of PDE10A. Biotechnology and Applied Biochemistry, 2008, 49, 129-134.
8. Titus, S.A., et al., A cell-based PDE4 assay in 1536-well plate format for high-throughput screening. Journal of Biomolecular Screening 2008, 13, 609-618.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオセンサ上の細胞を培養する方法であって、
a.バイオセンサを用意し、
b.前記バイオセンサの表面上に細胞を撒き、
c.媒体を含んでいる血清の下で細胞を培養し、
d.前記細胞を同期させる、ステップを含む細胞を培養する方法。
【請求項2】
前記細胞を同期させるステップは、細胞を高い集密度及び静止状態に達成せしめる処理ステップと、pH緩衝分析溶液で前記細胞を洗浄するステップと、バイオセンサ検出器システムにおける前記pH緩衝分析溶液で前記細胞を維持するステップと、を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記細胞を同期させるステップは、血清枯渇媒体で他の期間の間に細胞を飢餓させてpH緩衝分析溶液で前記細胞を洗浄するステップと、他の期間の間に低いCO2環境下で、バイオセンサ検出器システムにおける前記pH緩衝分析溶液で前記細胞を維持するステップと、を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記細胞を同期させるステップは、血清枯渇媒体で他の期間の間に細胞を飢餓させてpH緩衝分析溶液で前記細胞を洗浄するステップと、バイオセンサ検出器システムにおける炭酸脱水酵素阻害剤を有する分析溶液で前記細胞を他の期間の間、維持し培養するステップと、を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
テスト化合物を細胞に接触させて、該接触がバイオセンサ応答を細胞から産生させるステップと、前記バイオセンサ応答を使用して前記テスト化合物がPDEモジュレータであるかどうか決定するステップと、を更に含む請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記バイオセンサがマイクロタイタープレートのウェルの範囲内に配置される請求項5記載の方法。
【請求項7】
撒かれた細胞の個数が早期培養の間に高集密度に達成する請求項6記載の方法。
【請求項8】
撒かれた細胞の個数が培養の後に高集密度に達成する請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記細胞は拡張期間の間の培養される請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記細胞が飢餓にされることによって高集密度及び静止状態に達成せしめられる請求項6記載の方法。
【請求項11】
前記テスト化合物に起因するバイオセンサ信号が同じ細胞背景の受容体のシグナルに類似する場合、PDE阻害が示される請求項6記載の方法。
【請求項12】
前記PDEがPDE4である請求項11記載の方法。
【請求項13】
同じ細胞背景の受容体のシグナルに類似する前記テスト化合物に起因するバイオセンサ信号は、前記化合物がPDE4を抑制することを示す請求項6記載の方法。
【請求項14】
前記細胞の90%を超える個体が1つの細胞分割だけから生じている請求項6記載の方法。
【請求項15】
前記細胞は少なくとも90%が天然の細胞からなる請求項6記載の方法。
【請求項16】
前記細胞が極端な高い集密度で培養される請求項6記載の方法。
【請求項17】
前記バイオセンサがマイクロタイタープレートのウェルの範囲内に配置される請求項6記載の方法。
【請求項18】
前記細胞が30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、15時間、20時間、30時間、40時間、50時間又は100時間の間の低いCO2環境下で、バイオセンサ検出器システムの分析溶液によって維持される請求項6記載の方法。
【請求項19】
前記細胞が少なくとも2時間の低いCO2環境下で、バイオセンサ検出器システムの分析溶液によって維持される請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記バイオセンサ検出器システムのCO2環境の濃度が3.5%未満にある請求項6記載の方法。
【請求項21】
前記細胞は、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、15時間、20時間、30時間、40時間、50時間又は100時間の間、バイオセンサ検出器システムにおける炭酸脱水酵素阻害剤を有する分析溶液で、維持され培養される請求項6記載の方法。
【請求項22】
前記細胞は、少なくとも2時間の間、バイオセンサ検出器システムにおける炭酸脱水酵素阻害剤を有する分析溶液で、維持され培養される請求項21記載の方法。
【請求項23】
バイオセンサ上の細胞を培養する方法であって、
a.バイオセンサを用意し、
b.前記バイオセンサの表面上に細胞を撒き、
c.媒体を含んでいる血清の下で細胞を培養し、
d.テスト化合物を細胞に接触させて、該接触がバイオセンサ応答を細胞から産生させ、前記バイオセンサ応答を使用して前記テスト化合物がPDEモジュレータであるかどうか決定する、ステップを含む細胞を培養する方法。
【請求項24】
前記細胞は拡張期間の間、培養され、前記細胞が培養を介して同期される請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記細胞が飢餓にされることによって高集密度及び静止状態に達成せしめられる請求項21記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【公表番号】特表2013−500016(P2013−500016A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521781(P2012−521781)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/042893
【国際公開番号】WO2011/011595
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】