説明

ホスホチジルイノシトール(PI)3−キナーゼインヒビターとしての2,4,6−三置換ピリミジン、および癌の処置におけるその使用

【課題】ホスホチジルイノシトール(PI)3−キナーゼの低分子インヒビター、このようなインヒビターを含有する薬学的処方物、このような薬学的処方物を用いて患者を処置する方法、ならびにこのような薬学的処方物およびインヒビターを調製する方法の提供。
【解決手段】式(I)で表される化合物。


式中Xは、直接的連結、−N−、−O−、−S−、など、またはピペラジンから選択され、Yは、置換または非置換のC1〜C6−アルキル、C2〜C6−アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールから選択され、Wは、置換または非置換のC1〜C6−アルキル、


などから選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般的に、成長因子、タンパク質セリン/スレオニンキナーゼおよびリン脂質キナーゼの異常な活性によって特徴付けられる疾患(例えば、癌)の処置に関する。他の局面において、本発明は、ホスホチジルイノシトール(PI)3−キナーゼの低分子インヒビター、このようなインヒビターを含有する薬学的処方物、このような薬学的処方物を用いて患者を処置する方法、ならびにこのような薬学的処方物およびインヒビターを調製する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ホスホチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)は、リン脂質キナーゼおよび(Carpenterら、Mol.Cell.Biol.13:1657−1665(1993)(非特許文献1)に記載されるように)タンパク質セリン/スレオニンキナーゼの両方である。PI3Kは、成長因子によって刺激される酵素であり、Whitmanら、Nature 332:644−646(1988)(非特許文献2)に記載されるように、イノシトール環のD−3’位でホスホチジルイノシトール(PI)をリン酸化することに関与する。Src−様チロシンキナーゼまたはレセプターチロシンキナーゼとのPI3Kの関連はまた、Cantleyら、Cell 64:281−302(1991)(非特許文献3)、EscobedoおよびWilliams,Nature 335:85−87(1988)(非特許文献4)、ならびにFantlら、Cell 69:413−423(1992)(非特許文献5)に記載されるように、PI3Kが、これらのタンパク質キナーゼによって誘導される発癌性反応または有糸分裂誘発反応と関係していると見なす。
【0003】
これまでに、PI3キナーゼ活性の下流での効果を解明するための研究が、PI3Kのシグナル伝達を変化させるように構築されたレセプター突然変異体を用いるか、または発癌反応を誘導し得るPI3Kを研究するための突然変異体癌遺伝子を構築することによって行われてきた。PI3Kを活性化する血小板由来成長因子(PDGF)レセプターのレセプター突然変異体の不足は、有糸分裂誘発反応を引き起こすレセプター突然変異体の欠乏に相関した。同様に、特定の癌遺伝子の突然変異体は、親癌遺伝子によって誘導され得る癌遺伝子形質転換を引き起こさなかった。その後、一つの方法が実施されて、成長因子の活性化なしでPI3Kの下流での効果を直接的に促進し、PI3Kが癌遺伝子および有糸分裂誘発に別々に関与したか否かを決定した。この結果は、PI3Kが、多くの細胞プロセス(例えば、有糸分裂誘発および発癌、ならびにヒスタミン分泌、好中球活性化、血小板活性化、細胞移動、グルコース輸送、抗脂肪分解および小胞の選別)に直接的または間接的に関与し得ることを明らかにした。
【0004】
PI3−キナーゼに関連する多くの調節反応(レセプターチロシンキナーゼ(例えば、VEGF−RTK)のような他の周知の発癌性タンパク質を含むシグナルカスケードに関与することが公知である)とともに、PI3−キナーゼの活性を調節(例えば、阻害)し得る低分子を生成することは、非常に望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Carpenterら、Mol.Cell.Biol.13:1657−1665(1993)
【非特許文献2】Whitmanら、Nature 332:644−646(1988)
【非特許文献3】Cantleyら、Cell 64:281−302(1991)
【非特許文献4】EscobedoおよびWilliams,Nature 335:85−87(1988)
【非特許文献5】Fantlら、Cell 69:413−423(1992)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一つの目的は、PI3Kの強力なインヒビターを提供することである。単独または他の公知の薬剤と組み合わせた化合物を提供し、それらを必要とする患者において細胞増殖を調節することは、本発明のさらなる目的である。加えて、癌の処置に使用するための医薬を提供することは、本発明の一つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、新規のピリミジンベースの化合物、この化合物を含む薬学的処方物、ホスホチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)を阻害する方法、および癌を処置する方法を提供する。
【0008】
1つの局面において、本発明は、式(I):
【0009】
【化69】

の化合物、その立体異性体、互変異性体、薬学的に受容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグを提供し、ここで、
Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(3)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(4)置換または非置換のアリール、
(5)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(6)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)−O−、
(5)−S−、
(6)−SO−、
(7)−SO−、
(8)−C(R2x,R3x)−、および
(9)
【0010】
【化70】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、およびR3xは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(d)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(e)置換または非置換のアリール、
(f)置換または非置換のヘテロシクリル、
(g)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、そして
mは、0、1、2、3、または4であり;
は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOH、
(4)ハロ、
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され、
ここで、R1tは、HまたはC〜C−アルキルであり;
は、以下
(1)置換または非置換のアリール、
(2)置換または非置換のヘテロアリール、および
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、
からなる群より選択され;そして
Wは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)−N(R1w,R2w)、および
(3)
【0011】
【化71】

からなる群より選択され、
ここで、R1wおよびR2wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のアリール、
(d)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(e)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、R1wおよびR2wは、両方ともHであることはなく;
Zは、以下
(a)−O−、
(b)−NR−、
(c)−S−、
(d)−SO−、
(e)−SO−、および
(f)−CH−、
からなる群より選択され、
ここで、Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基であり;そして
4wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)−COOR5w
(d)−CONH
(e)−OR5w、および
(f)−NHR5w
からなる群より選択され、
ここで、R5wは、HまたはC〜C−アルキルであり;そして
rは、0、1、または2であり;
但し、XがOである場合、Yは、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、または置換もしくは非置換のヘテロアリールであり;
但し、Wがモルホリノ、チオモルホリノ、1−オキシド−チオモルホリノ、1,1−ジオキシドモルホリノ、ピペラジノ、またはN置換ピペラジノであり、Rがモルホリノ、チオモルホリノ、1−オキシド−チオモルホリノ、1,1−ジオキシド−チオモルホリノ、ピペラジノ、またはN’−[アセチル(1〜3個の炭素原子のアルカノイル)]ピペラジノであり、そしてXがNHである場合、Yは、水素でも、1〜3個の炭素原子のアルキルでも、シクロヘキシルでも、フェニルでも、クロロ−フェニルでも、カルボキシ−フェニルでも、カルボメトキシ−フェニルでも、ピリジルでもなく;
但し、Wがモルホリノ、チオモルホリノ、1−オキシド−チオモルホリノ、1,1−ジオキシドモルホリノ、ピペラジノ、またはN置換ピペラジノであり、Rがモルホリノ、チオモルホリノ、1−オキシド−チオモルホリノ、1,1−ジオキシド−チオモルホリノ、ピペラジノ、またはN’−[アセチル(1〜3個の炭素原子のアルカノイル)]ピペラジノであり、そしてXが直接的連結である場合、Yは、フェニルでも、置換または非置換のC〜Cアルキルでも、1−オキシドチオモルホリノでもなく;そして
但し、Rが、水素、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ハロ、ニトロ、アミノ、スルホンアミド、またはアルキルスルホニルアミノから選択される1〜5個の置換基で独立して置換されたフェニルであり、Rは、水素、ハロアルキル、アルキル、またはハロであり、そしてXがNR1xである場合、Yは、置換もしくは非置換のヘテロアリール、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルである。
【0012】
1つの実施形態において、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここで、
Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のアリール、
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(4)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【0013】
【化72】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、R3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;そして
Wは、以下
【0014】
【化73】

からなる群より選択され、
ここで、Zは、−O−または−NR−であり、ここで、R4wは、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルである。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここで
Yは、以下
(1)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(2)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【0016】
【化74】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、R3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;そして
Wは、以下
【0017】
【化75】

からなる群より選択され、
ここで、Zは、−O−または−NR−であり、ここで、R4wは、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルである。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここで
Yは、置換または非置換のアリールであり;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【0019】
【化76】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、R3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;そして
Wは、以下
【0020】
【化77】

からなる群より選択され、
ここで、Zは、−O−または−NR−であり、ここで、R4wは、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルである。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここで
Yは、置換または非置換のアルキルであり;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【0022】
【化78】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、R3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;そして
Wは、以下
【0023】
【化79】

からなる群より選択され、
ここで、Zは、−O−または−NR−であり、ここで、R4wは、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルである。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここで
Yは、以下
(1)置換または非置換のヘテロシクリル、
(2)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【0025】
【化80】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、R3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;
は、置換または非置換のアリールであり;そして
Wは、
【0026】
【化81】

であり、
ここで、Zは、−O−または−NH−である。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここで
Yは、置換または非置換のアリールであり;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【0028】
【化82】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、およびR3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;
は、置換または非置換のアリールであり;そして
Wは、
【0029】
【化83】

であり、
ここで、Zは、−O−または−NH−である。
【0030】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物を提供し、ここで
Yは、置換または非置換のアルキルであり;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【0031】
【化84】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、R3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;
は、置換または非置換のアリールであり;そして
Wは、
【0032】
【化85】

であり、
ここで、Zは、−O−または−NH−である。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、構造(II):
【0034】
【化86】

を有する式(I)の化合物を提供し、ここで、Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のアリール、
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(4)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;そして
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)
【0035】
【化87】

からなる群より選択される。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、構造(II)を有する式(I)の化合物を提供し、
ここで、YおよびXは、一緒になって、以下
【0037】
【化88】

からなる群より選択される。
【0038】
別の実施形態において、本発明は、構造(II)を有する式(I)の化合物を提供し、
ここで、YおよびXは、一緒になって、以下
【0039】
【化89】

からなる群より選択される。
【0040】
別の実施形態において、本発明は、構造(II)を有する式(I)の化合物を提供し、
ここで、YおよびXは、一緒になって、以下
【0041】
【化90】

からなる群より選択される。
【0042】
別の実施形態において、本発明は、構造(III):
【0043】
【化91】

を有する式(I)の化合物を提供し、
ここで、R、R、R、Rは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COORt
(4)−COONH
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択される。
【0044】
別の実施形態において、本発明は、構造(IV):
【0045】
【化92】

を有する式(I)の化合物を提供し、
ここで、R、R、R、Rは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOR1t
(4)−COONH
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択される。
【0046】
別の実施形態において、本発明は、構造(V):
【0047】
【化93】

を有する式(I)の化合物を提供し、
ここで、R、R、R、Rは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOR1t
(4)−COONH
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され;そして
2aおよびR2bは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のアルキル、
(3)ハロ、
(4)−(CH−N(R2c,R2d)、
(5)−(CH−N(R2c,R2d)COR2e
(6)−(CHOR2e
(7)−(CHOCOR2e
(8)−(CHOCOOR2e
(9)−(CH−COOR2e
(10)−(CH−CONR2c
(11)−CN、
(12)−NO
(13)−SONH
(14)−NHSOCH、および
(15)−SO2f
からなる群より選択され、
ここで、R2c、R2d、R2e、およびR2fは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のアルキル、および
(c)置換または非置換のフェニル、
からなる群より選択され;そして
qは、0、1、2、3、または4である。
【0048】
別の実施形態において、本発明は、構造(VI):
【0049】
【化94】

を有する式(I)の化合物を提供し、ここで、Rは、以下
【0050】
【化95】

からなる群より選択される。
【0051】
別の実施形態において、本発明は、構造(VII):
【0052】
【化96】

を有する式(I)の化合物を提供し、ここで、R、R、R、およびR10は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOR1t
(4)−COONH
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択される。
【0053】
別の実施形態において、本発明は、構造(VIII):
【0054】
【化97】

を有する式(I)の化合物を提供し、ここで、R、R、R、およびR10は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOR1t
(4)−CONH
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択される。
【0055】
別の実施形態において、本発明は、構造(IX):
【0056】
【化98】

を有する式(I)の化合物を提供し、ここで、R1aおよびR1bは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のアルキル、
(3)ハロ、
(4)−(CH−N(R2c,R2d)、
(5)−(CH−N(R2c,R2d)COR2e
(6)−(CHOR2e
(7)−(CHOCOR2e
(8)−(CHOCOOR2e
(9)−(CH−COOR2e
(10)−(CH−CONR2c
(11)−CN、
(12)−NO
(13)−SONH
(14)−NHSOCH、および
(15)−SO2f
からなる群より選択され、
ここで、R2c、R2d、R2e、およびR2fは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のアルキル、および
(c)置換または非置換のフェニル、
からなる群より選択され;そして
ここで、Rは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOR1t
(4)−COONH
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択される。
【0057】
別の実施形態において、本発明は、構造(X):
【0058】
【化99】

を有する式(I)の化合物を提供し、ここで、Rは、以下
【0059】
【化100】

からなる群より選択される。
【0060】
別の実施形態において、本発明は、構造(XI):
【0061】
【化101】

を有する式(I)の化合物を提供し、ここで、R2gは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のアルキル、
(3)−CONHR2h
(4)−CON(R2h)−(CH2−3−N(R2h,R2i)、
(5)−COR2j
(6)−CO2j
(7)−COC〜C−アルキル−COH、
(8)−CH−OC(=O)R2i
(9)−CH−OC(=O)NHCHR2iCO2j
(10)−P(=O)(OR2k,OR2p)、
(11)
【0062】
【化102】

、および
(12)
【0063】
【化103】

からなる群より選択され、ここで、R2h、R2i、R2j、R2k、およびR2pは、
以下
(a)H、
(b)置換または非置換のアルキル、および
(c)置換または非置換のアリール、
からなる群より選択される。
【0064】
別の実施形態において、本発明は、構造(XII):
【0065】
【化104】

を有する式(I)の化合物を提供し、ここで、R2gは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のアルキル、
(3)−CONHR2h
(4)−CON(R2h)−(CH2−3−N(R2h,R2i)、
(5)−COR2j
(6)−CO2j
(7)−COC〜C−アルキル−COH、
(8)−CH−OC(=O)R2i
(9)−CH−OC(=O)NHCHR2iCO2j
(10)−P(=O)(OR2k,OR2p)、
(11)
【0066】
【化105】

、および
(12)
【0067】
【化106】

からなる群より選択され、ここで、R2h、R2i、R2j、R2k、およびR2pは、
以下
(a)H、
(b)置換または非置換のアルキル、および
(c)置換または非置換のアリール、
からなる群より選択される。
【0068】
別の実施形態において、本発明は、以下の式(I)
【0069】
【化107】

の化合物;
それらの互変異性体;
およびそれらの薬学的に受容可能な塩、エステル、またはプロドラッグを提供し:
ここで、Wは、
【0070】
【化108】

であり:
ここでZは、−CH−、−NH−、−O−、−S−および−NR−からなる群より選択され、ここでRは、アルキル基または置換アルキル基であり;
は、存在しないか、またはアルキル、置換アルキル、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシ、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、カルボニルアミノ、およびアルコキシカルボニルからなる群より選択され;そして
mおよびnは、0〜2の整数であり;
Xは、共有結合であるか、または−CH−、−CHF−、−CF−、−NH−、−O−、−S−、および−NR−からなる群より選択され、ここでRは、アルキルまたは置換アルキル基であり;
Yは、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
は、水素、ハロゲン、カルボン酸、およびアルキルからなる群より選択され;そして
は、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択される。
【0071】
式(I)の化合物の別の局面において、Wは、以下
【0072】
【化109】

に示されるようなモルホリニル基であって:
ここで、R、mおよびnは、上記の通りである。
【0073】
化合物(I)の、別のより特定の実施形態において、Wは、非置換モルホリニル基である。
【0074】
化合物(I)の、別のより特定の実施形態において、Xは、−NH−である。
【0075】
化合物(I)の、別のより特定の実施形態において、Yは、ピリジルおよびアルコキシピリジルから選択される、ヘテロアリール基または置換ヘテロアリール基である。
【0076】
化合物(I)の、別のより特定の実施形態において、Rは、水素である。
【0077】
化合物(I)の、別のより特定の実施形態において、Rは、アリール基または置換アリール基である。
【0078】
化合物(I)の、別のより特定の実施形態において、Rは、フェニル、フェノール、アニリン、ヒドロキシベンジル、フェニルアルコキシカルボニル、フェニルカルボニルアルコキシ、フェニルアミノカルボニル、およびフェニルカルボニルアミノからなる群より選択される。
【0079】
化合物(I)の、別のより特定の実施形態において、Rは存在しない。
【0080】
別の実施形態において、式(II)
【0081】
【化110】

の化合物;
それらの互変異性体;
およびそれらの薬学的に受容可能な塩、エステル、またはプロドラッグが提供され:
ここで、Xは、−NH−、−O−、および−S−からなる群より選択され;
Yは、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
は、水素、ハロゲン、またはカルボン酸基であり;
は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択される。
【0082】
式(II)の化合物の別の局面において、Xは、−NH−である。
【0083】
式(II)の化合物の別の局面において、Yは、ピリジルおよびアルコキシピリジルから選択される、ヘテロアリール基または置換ヘテロアリール基である。
【0084】
式(II)の化合物の別の局面において、Rは存在しない。
【0085】
式(II)の化合物の別の局面において、Rは、アリール基または置換アリール基である。
【0086】
式(II)の化合物の別の局面において、Rは、フェニル、フェノール、アニリン、ヒドロキシベンジル、フェニルアルコキシカルボニル、フェニルカルボニルアルコキシ、フェニルアミノカルボニル、およびフェニルカルボニルアミノからなる群より選択される。
【0087】
式(II)の化合物の別の局面において、Rは存在しない。
【0088】
別の実施形態において、式(XIII)
【0089】
【化111】

の化合物;
その互変異性体;
およびそれらの薬学的に受容可能な塩、エステル、またはプロドラッグが提供される:
ここで、Xは、−NH−、−O−、および−S−からなる群より選択され;
Yは、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
は、水素、ハロゲンまたはカルボン酸であり;
は、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボニルアミノ、およびアルコキシカルボニルからなる群より独立に選択され;そして
qは、1〜5の整数である。
【0090】
式(XIII)の化合物の別の局面において、Xは、−NH−であり、そしてRは、水素である。
【0091】
式(XIII)の化合物の別の局面において、Rは、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、カルボニルアミノ、およびアルコキシカルボニルからなる群より選択される。
【0092】
記述された但し書きを含む上記の化合物に加えて、本発明はまた、上記のように規定され、しかしその但し書きを含まない化合物を包含する。本発明のこの第二の分類の化合物は、以下の但し書きを含む:
XがOである場合、Yは、置換アリールもしくは非置換アリール、置換ヘテロシクリルもしくは非置換ヘテロシクリル、または置換ヘテロアリールもしくは非置換ヘテロアリールであり;
Wが、モルホリノ、チオモルホリノ、1−オキシド−チオモルホリノ、1,1−ジオキシドモルホリノ、ピペラジノ、またはN−置換ピペラジノである場合、Rは、モルホリノ、チオモルホリノ、1−オキシド−チオモルホリノ、1,1−ジオキシド−チオモルホリノ、ピペラジノ、またはN’−[アセチル(1〜3個の炭素原子のアルカノイル)]ピペラジノであって、かつXは、NHであり、そしてYは、水素、1〜3個の炭素原子のアルキル、シクロヘキシル、フェニル、クロロ−フェニル、カルボキシ−フェニル、カルボメトキシ−フェニル、またはピリジルではなく;
Wが、モルホリノ、チオモルホリノ、1−オキシド−チオモルホリノ、1,1−ジオキシドモルホリノ、ピペラジノ、またはN−置換ピペラジノである場合、Rは、モルホリノ、チオモルホリノ、1−オキシド−チオモルホリノ、1,1−ジオキシド−チオモルホリノ、ピペラジノ、またはN’−[アセチル(1〜3個の炭素原子のアルカノイル)]ピペラジノであって、かつXは、直接的結合であり、そしてYは、置換C1〜C6−アルキルもしくは非置換C1〜C6−アルキル、または1−オキシドチオモルホリノではなく;そして
が、水素、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ハロ、ニトロ、アミノ、スルホンアミド、またはアルキルスルホニルアミノより選択される1〜5個の置換基で独立に置換されたフェニルである場合、Rは、水素、ハロアルキル、アルキル、またはハロであって、かつXは、NR1Xであり、そしてYは、置換ヘテロアリールもしくは非置換ヘテロアリール、または置換ヘテロシクリルもしくは非置換ヘテロシクリルである。
【0093】
したがって、一局面において、本発明は、各々但し書きを含む、二つの分類の化合物を提供する。この二つの分類の化合物間での違いは、但し書きの違いである。
【0094】
他の局面において、本発明は、ホスホチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)のインヒビターである化合物を使用するための方法を提供する。
【0095】
本発明の別の局面において、本明細書に記載された一種以上の化合物を含有する薬学的処方物が、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて提供される。
【0096】
本発明のさらなる目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明より明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0097】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、セリン/スレオニンキナーゼ、リン脂質キナーゼのインヒビターとして作用し、より特別には、ホスホチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)機能のインヒビターとして作用する、新規の化合物を提供する。本明細書で提供されるこの化合物は、特に、特定の実施形態において、細胞の増殖を減少させるためならびに癌の処置における組成物および方法を提供するため、PI3Kのインヒビターを必要とする患者を処置するのに有用である薬学的処方物へと処方され得る。
【0098】
以下の略語および定義は、本出願を通して使用される。
【0099】
【化112−1】

【0100】
【化112−2】

語句「アルキル」とは、ヘテロ原子を含有しないアルキル基を指す。したがって、この語句は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなど)を包含する。この語句はまた、直鎖アルキル基の分枝鎖異性体を包含する。これらの異性体としては、例として提供される以下:
【0101】
【化112−3】

などが挙げられるが、これらに限定されない。この語句はまた、環状アルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチル)、ならびに上記で定義された直鎖アルキル基および分枝鎖アルキル基で置換されたこのような環を包含する。したがって、語句アルキル基は、一級アルキル基、二級アルキル基、および三級アルキル基を包含する。好ましいアルキル基としては、1〜12個の炭素原子を有する直鎖アルキル基および分枝鎖アルキル基、ならびに環状アルキル基が挙げられる。
【0102】
語句「置換アルキル」とは、上記のアルキル基中の炭素または水素への一以上の結合が、非水素および非炭素原子への結合によって置き換えられた基を指す。この非水素および非炭素原子は、例えば、F、Cl、BrおよびIのようなハロゲン原子;ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、およびエステル基のような基の酸素原子;チオール基、アルキルスルフィド基およびアリールスルフィド基、スルホン基、スルホニル基、ならびにスルホキシド基のような基の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N−オキシド、イミド、およびエナミンのような基の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、およびトリアリールシリル基のような基のケイ素原子;および種々の他の基における他のヘテロ原子であるが、これらに限定されない。置換アルキル基としてはまた、基の中の炭素原子または水素原子への一以上の結合が、ヘテロ原子(例えば、オキソ基、カルボニル基、カルボキシル基、およびエステル基の酸素;イミン、オキシム、ヒドラゾン、およびニトリルのような基の窒素)へのより高次の結合(例えば、二重結合または三重結合)によって置き換えられた基が挙げられる。置換アルキル基としては、基の中の炭素原子または水素原子への一以上の結合が、アリール、ヘテロシクリル基、またはシクロアルキル基への結合によって置換されたアルキル基がさらに挙げられる。好ましい置換アルキル基としては、とりわけ、基の中の炭素原子または水素原子への一以上の結合が、一以上のフッ素原子への結合によって置換されたアルキル基が挙げられる。別の好ましい置換アルキル基は、トリフルオロメチル基およびトリフルオロメチル基を含む他のアルキル基である。他の好ましい置換アルキル基としては、基の中の炭素原子または水素原子への一以上の結合が酸素原子への結合によって置換されて、その結果、置換アルキル基がヒドロキシル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を含むような基が挙げられる。さらに他の好ましい置換アルキル基としては、アミン基、または置換アルキルアミン基もしくは非置換のアルキルアミン基、ジアルキルアミン基、アリールアミン基、(アルキル)(アリール)アミン基、ジアリールアミン基、ヘテロシクリルアミン基、ジヘテロシクリルアミン基、(アルキル)(ヘテロシクリル)アミン基、あるいは(アリール)(ヘテロシクリル)アミン基を有するアルキル基が挙げられる。
【0103】
ハロによって、クロロ、ブロモ、ヨード、またはフルオロが意味され、またはハロゲンによって塩素、臭素、ヨウ素、またはフッ素が意味される。
【0104】
語句「アルケニル」とは、少なくとも一つの二重結合が二つの炭素原子の間に存在することを除いて、上記で定義されたアルキル基に関して記載された基のような、直鎖および分枝鎖ならびに環状の基を指す。例としては、とりわけ、ビニル、−CH=C(H)(CH)、−CH=C(CH、−C(CH)=C(H)、−C(CH)=C(H)(CH)、−C(CHCH)=CH、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、およびヘキサジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。語句「置換アルケニル」は、置換アルキル基が非置換アルキル基に関して有するのと同じ意味をアルケニル基に対して有する。置換アルケニル基としては、基の中の非炭素原子または非水素原子が、別の炭素に二重結合された炭素に結合されたアルケニル基、基の中のおよび非炭素原子または非水素原子の一つが、別の炭素への二重結合に関与しない炭素に結合されたアルケニル基が挙げられる。
【0105】
語句「アルキニル」とは、二つの炭素原子の間に、少なくとも一つの三重結合が存在することを除いては、上で定義したアルキル基に関して記載される基のような直鎖基および分枝鎖基をいう。例としては、−C≡C(H)、−C≡C(CH)、−C≡C(CHCH)、−C(H)C≡C(H)、−C(H)C≡C(CH)、および−C(H)C≡C(CHCH)が挙げられるが、これらに限定されない。語句「置換アルキニル」は、アルキニル基に関して、置換されたアルキル基が置換されていないアルキル基に関して有する意味と同じ意味を有する。置換されたアルキニル基としては、炭素以外の原子または水素以外の原子が別の炭素に三重結合した炭素に結合し、炭素以外の原子または水素以外の原子が、別の炭素との三重結合に関与していない炭素原子に結合したアルキニル基が挙げられる。
【0106】
語句「ヘテロシクリル」とは、芳香族環化合物および非芳香族環化合物をいい、単環化合物、二環化合物および多環化合物が挙げられ、例えば、そのメンバーの一つ以上が、例えば、これらに限定されないが、N、OおよびSのようなヘテロ原子である、3以上の環メンバーを含むキヌクリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。語句「非置換ヘテロシクリル」は、縮合へテロ環(例えば、ベンズイミダゾリル)を含むが、環メンバーの一つに結合した他の基(例えば、アルキル基またはハロ基)を有するヘテロシクリル基(例えば、2−メチルベンズイミダゾリルが置換されたヘテロシクリル基)を含まない。ヘテロシクリル基の例としては、これらに限定されないが、1〜4個の窒素原子を含む非置換の3〜8員環(例えば、これらに限定されないが、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ジヒドロピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例えば、4H−1,2,4−トリアゾリル、1H−1,2,3−トリアゾリル、2H−1,2,3−トリアゾリルなど)、テトラゾリル(例えば、1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリルなど)が挙げられる);1〜4個の窒素原子を含む3〜8員環(例えば、これらに限定されないが、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルが挙げられる);1〜4個の窒素原子を含む縮重不飽和へテロ環基(例えば、これらに限定されないが、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリルが挙げられる);1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和の3〜8員環(例えば、これらに限定されないが、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジジアゾリル、1,2,5−オキサ−ジアゾリルなど)が挙げられる);1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む飽和の3〜8員環(例えば、これらに限定されないが、モルホリニルが挙げられる);1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮重ヘテロ環基(例えば、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズオキサジニル(例えば、2H−1,4−ベンズオキサジニルなど);1〜3個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和の3〜8員環(例えば、これらに限定されないが、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリルなど));1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む飽和3〜8員環(例えば、これに限定されないが、チアゾロジニル);1〜2個の硫黄原子を含む飽和および不飽和の3〜8員環(例えば、これらに限定されないが、チエニル、ジヒドロジチエニル、ジヒドロジチオニル、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン);1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮重ヘテロ環(例えば、これらに限定されないが、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアジニル(例えば、2H−1,4−ベンゾチアジニルなど)、ジヒドロベンゾチアジニル(例えば、2H−3,4−ジヒドロベンゾチアジニルなど);酸素原子を含む不飽和3〜8員環(例えば、これに限定されないが、フリル);1〜2個の酸素原子を含む不飽和縮合へテロ環(例えば、ベンゾジオキソリル(例えば、1,3−ベンゾジオキソリルなど);酸素原子および1〜2個の硫黄原子を含む不飽和3〜8員環(例えば、これに限定されないが、ジヒドロオキサチエニル);1〜2個の酸素原子および1〜2個の硫黄原子を含む飽和3〜8員環(例えば、1,4−オキサチアン);1〜2個の硫黄原子を含む不飽和縮合環(例えば、ベンゾチエニル、ベンゾジチエニル);ならびに酸素原子および1〜2個の酸素原子を含む不飽和縮合へテロ環(例えば、ベンズオキサチエニル)が挙げられる。ヘテロ環基としてはまた、環の一つ以上のS原子が一または二個の酸素原子に二重結合する上記の基(スルホキシドおよびスルホン)が挙げられる。例えば、ヘテロシクリル基としては、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェンオキシドおよびテトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシドが挙げられる。好ましいヘテロシクリル基は、5または6員環を含む。より好ましいヘテロシクリル基としては、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、チオモルフォリンが挙げられ、チオモルフォリンのS原子は、一つ以上の酸素原子、ピロール、ホモピペラジン、オキサゾリジン−2−オン、ピロリジン−2−オン、オキサゾール、キヌクリジン、チアゾール、イソオキサゾール、フランおよびテトラヒドロフランに結合している。
【0107】
語句「置換ヘテロシクリル」とは、一つの環メンバーが水素以外の原子(例えば、置換アルキル基および置換アリール基に関して上に記載される)に結合する、上に定義するヘテロシクリル基をいう。例としては、これらに限定されないが、2−メチルベンズイミダゾリル、5−メチルベンズイミダゾリル、5−クロロベンズチアゾリル、1−メチルピペラジニル、および2−クロロピリジルなどが挙げられる。
【0108】
用語「アリール」とは、ヘテロ原子を含まないアリール基をいう。従って、その語句は、これらに限定されないが、例えば、一例として、フェニル、ビフェニル、アントラセニル、ナフテニルを含む。語句「非置換アリール」は、縮合環(例えばナフタレン)を含む基を含むが、他の基(例えば、環メンバーの一つに結合したアルキル基またはハロ基)を有するアリール基は含まないので、アリール基(例えば、トリル基)は、本明細書中では、以下に記載する置換アリール基であると考えられる。好ましい非置換アリール基は、フェニルである。しかし、非置換アリール基は、親化合物中の一つ以上の炭素原子、酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子に結合され得る。
【0109】
語句「置換アリール基」は、非置換アリール基に関して、置換アルキル基が、非置換アリール基に関して有する意味と同じ意味を有する。しかし、置換アリール基はまた、一つの芳香族炭素が上記の炭素以外の原子または水素以外の原子の一つに結合するアリール基を含み、またアリール基の一つ以上の芳香族炭素が、本明細書中に定義される置換および/または非置換のアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基に結合するアリール基を含む。これは、アリール基の二つの炭素原子が、融合環系(例えば、ジヒドロナフチルまたはテトラヒドロナフチル)を規定するアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基の二つの原子に結合する結合配置を含む。従って、語句「置換アリール」は、トリルに限定されず、例えば、ヒドロキシフェニルを含む。
【0110】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書中で使用される場合、5〜10個の環原子を有する環状、または二環状の芳香族ラジカルをいい、それぞれの環の環状または二環の一つの原子は、S、OおよびNから選択され、0、1または2個の環原子は、S、OおよびNから独立に選択されるさらなるヘテロ原子であり;そして残りの環原子は、炭素であり、ラジカルは、いくつかの環原子によって、他の分子(例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルおよびナフチリジニルなど)に結合している。
【0111】
用語「置換へテロアリール」とは、本明細書中で使用される場合、その水素原子の1、2または3個が、Cl、Br、F、I、−OH、−CN、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ならびに、アリール、ハロアルキル、チオアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、メルカプト、ニトロ、カルボキシアルデヒド、カルボキシ、アルコキシカルボニルおよびカルボキサミドで置換されたC−Cアルコキシで独立に置換されることにより置換された本明細書中に定義されるヘテロアリール基をいう。さらに、任意の一つの置換基は、アリール基、ヘテロアリール基、またはヘテロシクロアルキル基であり得る。
【0112】
用語「ビアリール」とは、二つのアリール基(それらは、互いに縮合していない)が結合している基または置換基をいう。例示的なビアリール化合物としては、例えば、フェニルベンゼン、ジフェニルジアゼン、4−メチルチオ−1−フェニルベンゼン、フェノキシベンゼン、(2−フェニルエチニル)ベンゼン、ジフェニルケトン、(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)ベンゼン、フェニル−ベンジルアミン、(フェニルメトキシ)ベンゼンなどが挙げられる。必要に応じて置換された好ましいビアリール基としては、以下が挙げられる:2−(フェニルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、1,4−ジフェニルベンゼン、N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]−2−[ベンジルアミノ]アセトアミド、2−アミノ−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]プロパンアミド、2−アミノ−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、2−(シクロプロピルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、2−(エチルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、2−[(2−メチルプロピル)アミノ]−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]−アセトアミド、5−フェニル−2H−ベンゾ[d]1,3−ジオキソレン、2−クロロ−1−メトキシ−4−フェニルベンゼン、2−[(イミダゾリルメチル)アミノ]−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、4−フェニル−1−フェノキシベンゼン、N−(2−アミノエチル)[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]カルボキサミド、2−{[(4−フルオロフェニル)メチル]アミノ}−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、2−{[(4−メチル−フェニル)メチル]アミノ}−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、4−フェニル−1−(トリフルオロ−メチル)ベンゼン、1−ブチル−4−フェニルベンゼン、2−(シクロヘキシルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)−フェニル]アセトアミド、2−(エチルメチルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、2−(ブチルアミノ)−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド、N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]−2−(4−ピリジルアミノ)アセトアミド、N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]−2−(キヌクリジン−3−イルアミノ)アセトアミド、N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]ピロリジン−2−イルカルボキサミド、2−アミノ−3−メチル−N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]ブタンアミド、4−(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)フェニルアミン、2−(ジメチルアミノ)−N−[4−(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)フェニル]アセトアミド、2−(エチルアミノ)−N−[4−(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)フェニル]アセトアミド、4−エチル−1−フェニルベンゼン、1[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]エタン−1−オン、N−(1−カルバモイル−2−ヒドロキシプロピル)[4−(4−フェニルブタ−1,3−ジイニル)フェニル]−カルボキサミド、N−[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]プロパンアミド、4−メトキシフェニルフェニルケトン、フェニル−N−ベンズアミド、(tert−ブトキシ)−N−[(4−フェニルフェニル)メチル]カルボキサミド、2−(3−フェニルフェノキシ)エタンヒドロキサム酸、3−フェニルフェニルプロパノエート、1−(4−エトキシフェニル)−4−メトキシベンゼン、および[4−(2−フェニルエチニル)フェニル]ピロール。
【0113】
用語「ヘテロアリールアリール」とは、アリール基の一つがヘテロアリール基であるビアリール基をいう。例示的なヘテロアリールアリール基としては、例えば、2−フェニルピリジン、フェニルピロール、3−(2−フェニルエチニル)ピリジン、フェニルピラゾール、5−(2−フェニルエチニル)−1,3−ジヒドロピリミジン−2,4−ジオン、4−フェニル−1,2,3−チアジアゾール、2−(2−フェニルエチニル)ピラジン、2−フェニルチオフェン、フェニルイミダゾール、3−(2−ピペラジニルフェニル)フラン、3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチルピロールなどが挙げられる。必要に応じて置換された好ましいヘテロアリールアリールとしては、以下が挙げられる:5−(2−フェニルエチニル)ピリミジン−2−イルアミン、1−メトキシ−4−(2−チエニル)ベンゼン、1−メトキシ−3−(2−チエニル)ベンゼン、5−メチル−2−フェニルピリジン、5−メチル−3−フェニルイソキサゾール、2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]フラン、3−フルオロ−5−(2−フリル)−2−メトキシ−1−prop−2−エニルベンゼン、(ヒドロキシイミノ)(5−フェニル(2−チエニル))メタン、5−[(4−メチルピペラジニル)メチル]−2−フェニルチオフェン、2−(4−エチルフェニル)チオフェン、4−メチルチオ−1−(2−チエニル)ベンゼン、2−(3−ニトロフェニル)チオフェン、(tert−ブトキシ)−N−[(5−フェニル(3−ピリジル))メチル]カルボキサミド、ヒドロキシ−N−[(5−フェニル(3−ピリジル))メチル]アミド、2−(フェニルメチルチオ)ピリジン、およびベンジルイミダゾール。
【0114】
用語「ヘテロアリールヘテロアリール」とは、両方のアリール基がヘテロアリール基であるビアリール基をいう。例示的なヘテロアリールヘテロアリール基としては、例えば、3−ピリジルイミダゾール、2−イミダゾリルピラジンなどが挙げられる。必要に応じて置換された好ましいヘテロアリールアリール基としては、以下が挙げられる:2−(4−ピペラジニル−3−ピリジル)フラン、ジエチル(3−ピラジン−2−イル(4−ピリジル))アミン、およびジメチル{2−[2−(5−メチルピラジン−2−イル)エチニル](4−ピリジル)}アミン。
【0115】
「必要に応じて置換された」とは、一つ以上の一価ラジカルまたは二価ラジカルによる水素の任意の置換をいう。必要に応じて置換された基としては、本明細書中に記載された基が挙げられ、各基については、置換基に対する明確な定義が提供される。さらに、適した置換基としては、例えば、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、イミノ、シアノ、ハロ、チオ、チオアミノ、アミジノ、イミジノ、オキソ、オキサジイミノ(oxamidino)、メトキサミジノ(methoxamidino)、イミジノ、グアニジノ、スルホンアミド、カルボキシル、ホルミル、アルキル、置換アルキル、ハロ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、アルキルチオ、アミノアルキル、シアノアルキル、ベンジル、ピリジル、ピラゾリル、ピロール、チオフェン、イミダゾリルなどが挙げられる。
【0116】
代表的な置換アミノカルボニル基としては、例えば、以下に示されるものが挙げられる。これらは、本明細書中の開示と組み合わせて、有機化学および医薬品化学の分野における当業者に明らかであるように、ヘテロシクリル基およびヘテロアリール基によってさらに置換され得る。好ましいアミノカルボニル基としては、N−(2−シアノエチル)カルボキサミド、N−(3−メトキシプロピル)カルボキサミド、N−シクロプロピルカルボキサミド、N−(2−ヒドロキシ−イソプロピル)カルボキサミド、メチル2−カルボニルアミノ−3−ヒドロキシプロパノエート、N−(2−ヒドロキシプロピル)カルボキサミド、N−(2−ヒドロキシ−イソプロピル)カルボキサミド、N−[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル]カルボキサミド、N−(2−カルボニルアミノエチル)アセトアミド、N−(2−(2−ピリジル)エチル)カルボキサミド、N−(2−ピリジルメチル)カルボキサミド、N−(オキソラン−2−イルメチル)−カルボキサミド、N−(4−ヒドロキシピロリジン−2−イル)カルボキサミド、N−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]−カルボキサミド、N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)カルボキサミド、N−[2−(2−オキソ−4−イミダゾリニル)エチル]−カルボキサミド、N−(カルボニルアミノメチル)アセトアミド、N−(3−ピロリジニルプロピル)カルボキサミド、N−[1−(カルボニルアミノメチル)ピロリジン−3−イル]アセトアミド、N−(2−モルホリン−4−イルエチル)カルボキサミド、N−[3−(2−オキソピロリジニル)プロピル]カルボキサミド、4−メチル−2−オキソピペラジンカルバルデヒド、N−(2−ヒドロキ−3−ピロリジニルプロピル)カルボキサミド、N−(2−ヒドロキシ−3−モルホリン−4−イルプロピル)カルボキサミド、N−{2−[(5−シアノ−2−ピリジル)アミノ]エチル}カルボキサミド、3−(ジメチルアミノ)ピロリジンカルバルデヒド、N−[(5−メチルピラジン−2−イル)メチル]カルボキサミド、2,2,2−トリフルオロ−N−(1−ホルミルピロリジン−3−イル)アセトアミド、
【0117】
【化113】

が挙げられる。
【0118】
代表的な置換アルコキシカルボニル基としては、例えば、以下に示されるものが挙げられる。これらのアルコキシカルボニル基は、本明細書中の開示と組み合わせて、有機化学および医薬品化学の分野における当業者に明らかであるように、さらに置換され得る。
【0119】
代表的な置換アルコキシカルボニル基としては、例えば、以下に示されるものが挙げられる。これらのアルコキシカルボニル基は、本明細書中の開示と組み合わせて、有機化学および医薬品化学の分野における当業者に明らかであるように、さらに置換され得る。
【0120】
【化114】

ヒドロキシル基、アミン基、およびスルフヒドリル基に関する用語「保護(された)」は、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,Greene,T.W.;Wuts,P.G.M.,John Wiley & Sons,NY,(第三版、1999)に示される手順を使用して付加され得るかまたは除去され得る当業者に公知である保護基との望ましくない反応から保護されているこれらの官能基の形態をいう。保護ヒドロキシル基の例としては、ヒドロキシル基と試薬(例えば、t−ブチルジメチル−クロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリエチルクロロシランであるがこれらに限定されない)との反応によって得られるようなシリルエーテル、置換メチルエーテルおよび置換エチルエーテル(例えば、メトキシメチルエーテル、メチオメチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、t−ブトキシメチルエーテル、2−メトキシエトキシメチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、1−エトキシエチルエーテル、アリルエーテル、ベンジルエーテルが挙げられるがこれらに限定されない);エステル(例えば、ベンゾイルホルメート、ホルメート、アセテート、トリクロロアセテート、およびトリフルオロアセテートが挙げられるがこれらに限定されない)が挙げられるがこれらに限定されない。保護アミン基の例としては、アミド(例えば、ホルムアミド、アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、およびベンズアミド);イミド(例えば、フタルイミドおよびジチオサクシンイミド)等が挙げられるが、これらに限定されない。保護スルフィドリル基の例としては、チオエーテル(例えば、S−ベンジルチオエーテル、およびS−4−ピコリルチオエーテル);置換S−メチル誘導体(例えばヘミチオアセタール、ジチオアセタールおよびアミノチオアセタール)等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0121】
「薬学的に受容可能な塩」は、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、または塩基性アミノ酸との塩もしくは酸性アミノ酸との塩を含む。無機塩基の塩として、本発明は、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム);アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウムまたはアルミニウム);ならびにアンモニアを含む。有機塩基の塩として、本発明は、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンを含む。無機酸として、本発明は、例えば、塩化水素酸、臭化水素、硝酸、硫酸、およびリン酸を含む。有機酸の塩として、本発明は、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸を含む。塩基アミノ酸の塩として、本発明は、例えば、アルギニン、リシンおよびオルニチンを含む。酸性アミノ酸は、例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。
【0122】
本明細書中に使用される場合、用語「薬学的に受容可能なエステル」は、インビボで加水分解するエステルを指し、これは人体内で容易に分解し親化合物またはその塩を残すエステルを包含する。適切なエステル基としては、例えば、薬学的に受容可能な脂肪族カルボン酸(特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸、およびアルカンジオン酸)に由来するエステル基が挙げられ、、これらにおいて各アルキル部分またはアルケニル部分は有利には、6個以下の炭素原子を有する。特定のエステルの代表的な例としては、彫る位メート、アセテート、プロピオンネート、ブチレート、アクリレートおよびエチルスクシネートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なプロドラッグ」は、本発明の化合物ならびに可能な場合は双イオン形態のプロドラッグをいい、これらは、信頼できる医学的な判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴ってヒトおよび下等動物の組織と接触させる使用に適しており、妥当な利点/危険性の割合に相応しており、企図される使用のために有効である。用語「プロドラッグ」は、インビボですばやく変換されて(例えば、血中における加水分解によって)、上の式の親化合物を生ずる化合物をいう。徹底的な議論が、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems,the A.C.S.Symposium Seriesの第14巻、ならびにEdward B.Roche(編)Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に提供され、この両方は、本明細書中参考として援用される。
【0124】
本明細書中に使用される場合、「制限する(limit)」、「処置する(treat)」および「処置」は、「制限する(limiting)」と「処置する(treating)」とが互換可能な用語であるように互換可能であり、そして本明細書中に使用される場合、予防する処置(例えば、予防処置)および待期療法、または予防する処置もしくは待期療法を提供する作用を含む。
【0125】
本発明の文脈内において「処置する」は、障害もしくは疾患に関連する症状の緩和、またはこれらの症状のさらなる進行もしくは悪化の停止、またはこれらの疾患もしくは障害の防止もしくは予防を意味する。例えば、PI3Kのインヒビターを必要とする患者を処置する文脈内において、成功する処置は、腫瘍に供給する毛細血管の増殖の減少、癌性増殖もしくは癌性腫瘍、毛細血管もしくは疾患組織の増殖に関連する症状の緩和、毛細血管の増殖における停止、または疾患(例えば、癌)の進行もしくは癌性細胞の増殖の停止を含み得る。処置はまた、他の治療法と組み合わせた本発明の薬学的処方物の投与も含み得る。例えば、本発明の化合物および薬学的処方物は、外科手術および/もしくは放射線療法の前、途中または後に投与され得る。本発明の化合物はまた、アンチセンス療法および遺伝子療法に使用されるものを含む他の抗癌剤と組み合わせても投与され得る。
【0126】
本明細書中に記載されるような、本発明のPI3Kインヒビターは、酸付加塩の形態で投与され得る。この塩は、化合物(塩基性である場合)を上に記載されるような適切な酸と反応させることによって都合よく形成される。この塩は、中程度の温度で高収率で、すぐに形成され、そしてしばしば合成の最終工程時における適切な酸による洗浄からその化合物を単に単離することによって調製される。この塩形成酸は、適切な有機溶媒または水溶性有機溶媒(例えば、アルカノール、ケトン、またはエステル)中に溶解される。一方、本発明の化合物が、遊離塩基形態の状態で所望される場合、普通の方法に従って、塩基性の最終の洗浄工程から単離される。塩酸塩を調製するための好ましい技術は、分子ふるいを完了した場合、適切な溶媒中に遊離塩基を溶解させ、そして完全にこの溶液を乾燥させ、その後塩化水素ガスを溶媒に通気させる前に、PI3Kインヒビターの無定形な形態を投与することが可能であることもまた認識される。
【0127】
本発明はまた、同位体標識されたPI3Kインヒビターも含み、これは、一以上の原子が、天然に普通に見出される原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子によって置換されている事実以外は、上に開示したものと構造的に同一である。本発明の化合物へ組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、および塩素の同位体が挙げられ、例えば、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、l8Fおよび36Clである。前述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含む、本発明の化合物、そのプロドラッグ、ならびに本発明の化合物およびプロドラッグの薬学的に受容可能な塩は、本発明の範囲内である。例えば、Hおよび14Cのような放射性同位体が組み込まれるような、同位体標識された特定の本発明の化合物は、薬物および/または基質の組織分配アッセイに有用である。トリチウム化(すなわちH)同位体、および炭素−14(すなわち14C)同位体、は特に、その調製および検出の容易性のために好ましい。さらに、より重い同位体、例えば重水素(すなわちH)は、例えば、増加したインビボ半減期または減少した投薬必要量のような、より高い代謝の安定性から生じる特定の治療的利点を提供し得、従って、いくつか状況で好ましくあり得る。同位体標識された本発明の化合物およびそのプロドラッグは、公知の方法または参照される方法を実施することによっておよび容易に入手可能な同位体標識試薬で非同位体標識試薬を置換することによって、一般に調製され得る。
【0128】
一般に、本発明は、式Iを有する化合物を提供する。本発明はまた、この化合物の互変異性体、この化合物の薬学的に受容可能な塩、エステルおよびプロドラッグ、ならびにこの互変異生体の薬学的に受容可能な塩、エステルおよびプロドラッグも提供する。式Iは、以下の構造
【0129】
【化115】

を有する。
【0130】
一つの実施形態において、Wは、
【0131】
【化116】

を有し、
ここでZは、−CH−、−NH−、−O−、−S−および−NR−からなる群より選択され、ここでRは、アルキル基または置換アルキル基であり;
は、存在しないか、またはアルキル、置換アルキル、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシ、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、カルボニルアミノ、およびアルコキシカルボニルからなる群より選択され;そして
mおよびnは、0〜2の整数であり;
Xは、共有結合であるか、または−CH−、−CHF−、−CF−、−NH−、−O−、−S−、および−NR−からなる群より選択され、ここでRは、アルキル基または置換アルキル基であり;
Yは、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
は、水素、ハロゲン、カルボン酸、およびアルキルからなる群より選択され;そして
は、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリール;からなる群より選択される。
【0132】
式(I)の化合物の別の局面において、Xは、共有結合であり、そしてYは、以下に示されるようなモルホリニル基:
【0133】
【化117】

であり、
ここでR、m、およびnは上に記載される通りである。
【0134】
化合物(I)の別のより特定の実施形態において、Xは、共有結合であり、そしてYは、非置換モルホリニル基である。
【0135】
化合物(I)の別のより特定の実施形態において、Xは、−NH−である。
【0136】
化合物(I)の別のより特定の実施形態において、Yは、ピリジルおよびアルコキシピリジルから選択される、ヘテロアリール基または置換ヘテロアリール基である。
【0137】
化合物(I)の別のより特定の実施形態において、Rは、水素である。
【0138】
化合物(I)の別のより特定の形態において、Rは、アリール基または置換アリール基である。
【0139】
化合物(I)の別のより具体的な実施形態において、Rは、フェニル、フェノール、アニリン、ヒドロキシベンジル、フェニルアルコキシカルボニル、フェニルカルボニルアルコキシ、フェニルアミノカルボニル、およびフェニルカルボニルアミノからなる群より選択される。
【0140】
化合物(I)の別のより具体的な実施形態において、Rは、存在しない。
【0141】
本発明の1つの局面において、式(II)
【0142】
【化118】

の化合物、その互変異性体、ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステル、またはプロドラッグが、提供され、
Xは、−NH−、−O−、および−S−からなる群より選択され;
Yは、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
は、水素、ハロゲン、またはカルボン酸基であり;
は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択される。
【0143】
式(II)の化合物の別の局面において、Xは、−NH−である。
【0144】
式(II)の化合物の別の局面において、Yは、ピリジルおよびアルコキシピリジルから選択される、ヘテロアリール基または置換ヘテロアリール基である。
【0145】
式(II)の化合物の別の局面において、Rは、水素である。
【0146】
式(II)の化合物の別の局面において、Rは、アリールまたは置換アリール基である。
【0147】
式(II)の化合物の別の局面において、Rは、フェニル、フェノール、アニリン、ヒドロキシベンジル、フェニルアルコキシカルボニル、フェニルカルボニルアルコキシ、フェニルアミノカルボニル、およびフェニルカルボニルアミノからなる群より選択される。
【0148】
式(II)の化合物の別の局面において、Rは、存在しない。
【0149】
本発明の別の局面において、式(XIII)
【0150】
【化119】

の化合物、その互変異性体、ならびにその薬学的に受容可能な塩、エステル、またはプロドラッグが、提供され、
Xは、−NH−、−O−、および−S−からなる群より選択され;
Yは、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
は、水素、ハロゲン、またはカルボン酸であり;
は、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボニルアミノ、およびアルコキシカルボニルからなる群より独立して選択され;
qは、1〜5の整数である。
【0151】
式(XIII)の化合物の別の局面において、Xは、−NH−であり、Rは、水素である。
【0152】
式(XIII)の化合物の別の局面において、Rは、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、ジアルキルアミノアルキル、カルボニルアミノ、およびアルコキシカルボニルからなる群より選択される。
【0153】
本発明の他の化合物は、上記本発明の要旨において記載される。
【0154】
他の局面において、本発明は、本明細書中に記載されるホスファチジルイノシトール3−キナーゼインヒビター化合物を含む組成物を提供する。本発明は、本明細書中に記載されるホスファチジルイノシトール3−キナーゼインヒビター化合物を使用する方法を提供する。上記の化合物に加えて、本発明の組成物および方法はまた、以下の式
【0155】
【化120】

を有する化合物、その立体異性体、互変異性体、薬学的に受容可能な塩、エステル、およびプロドラッグを含み得、そしてそれを使用し得る。
【0156】
上記式において、Yは、
(1)置換または非置換のC〜Cアルキル、
(2)置換または非置換のC〜Cアルケニル、
(3)置換または非置換のC〜Cアルキニル、
(4)置換または非置換のアリール、
(5)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(6)置換または非置換のヘテロアリールからなる群より選択され;
Xは、
(1)直接結合、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)−O−、
(5)−S−、
(6)−SO−、
(7)−SO−、
(8)−C(R2x,R3x)−、および
(9)
【0157】
【化121】

からなる群より選択され、R1x、R2xおよびR3xは、
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜Cアルキル、
(c)置換または非置換のC〜Cアルケニル、
(d)置換または非置換のC〜Cアルキニル、
(e)置換または非置換のアリール、
(f)置換または非置換のヘテロアリール、および
(g)置換または非置換のヘテロシクリル、
からなる群より選択され;
mは、0、1、2、3、または4であり;
は、
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜Cアルキル、
(3)−COOH、
(4)ハロ、
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され、R1tは、HまたはC〜Cアルキルであり;
は、
(1)置換または非置換のアリール、
(2)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(3)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Wは、
(1)置換または非置換のC〜Cアルキル、
(2)−N(R1w,R2w)および
(3)
【0158】
【化122】

からなる群より選択され、
1wおよびR2wは、
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜Cアルキル、
(c)置換または非置換のアリール、
(d)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(e)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、
1wおよびR2wは、両方ともがHではなく;
Zは、
(a)−O−、
(b)−NR−、
(c)−S−、
(d)−SO−、
(e)−SO−、および
(f)−CH−、
からなる群より選択され、
は、Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基であり;そして
4wは、
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜Cアルキル、
(c)−COOR5w
(d)−CONH
(e)−OR5w、および
(f)−NHR5w
からなる群より選択され、
5wは、HまたはC〜Cアルキルであり;そして
rは、0、1、または2である。
【0159】
一局面において、本発明は、本明細書中に記載される1種以上の化合物を、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む、薬学的処方物を提供する。本発明の薬学的処方物は、さらなる治療剤(例えば、従来の他の細胞傷害性因子が挙げられる)を含み得る。代表的な従来の他の細胞傷害性因子としては、例えば、イリノテカン、トポテカン、ゲンシタビン、グリーベック(gleevec)、ハーセプチン、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、カルボプラチン、シスプラチン、タキサン、テザシタビン、シクロホスファミド、ビンカアルカロイド、イマチニブ、アントラサイクリン、リツキシマブ、タモキシフェン、CPT 11、およびトラスツズマブなどが挙げられ、これらは、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0160】
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される化合物を使用するための方法を提供する。例えば、本明細書中に記載される化合物は、癌の処置において使用され得る。本明細書中に記載される化合物はまた、癌の処置のための医薬の製造において使用され得る。
【0161】
上記方法は、本明細書中に記載される1種以上の化合物を、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む、薬学的処方物を使用し得る。上記方法はまた、さらなる治療剤を含む本発明の薬学的処方物を使用し得る。
【0162】
一実施形態において、本発明は、ヒト被験体または動物被験体においてホスファチジルイノシトール(PI)3−キナーゼ活性を阻害するための方法を提供する。この方法において、上記ヒト被験体または動物被験体においてホスファチジルイノシトール(PI)3−キナーゼ活性を阻害するために有効な量の本明細書中に記載される化合物が、上記ヒト被験体または動物被験体に投与される。
【0163】
別の実施形態において、本発明は、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)のインヒビターを必要とする患者を処置する方法を提供する。この方法において、有効量の本明細書中に記載される化合物を含む薬学的処方物が、それを必要とする患者に投与される。
【0164】
別の実施形態において、本発明は、ホスファチジルイノシトール(PI)3−キナーゼ活性の調節によって状態(例えば、癌)を処置するための方法を提供する。この方法において、有効量の本明細書中に記載される化合物が、そのような処置を必要とするヒト被験体または動物被験体に投与される。
【0165】
別の実施形態において、本発明は、ヒト被験体または動物被験体において癌障害を処置するための方法を提供する。この方法において、癌を処置するために有効な量の本明細書中に記載される化合物を含む組成物が、それを必要とするヒト被験体または動物被験体に投与される。上記のように、投与される組成物は、さらなる治療剤(例えば、従来の細胞傷害性因子)をさらに含み得る。
【0166】
別の実施形態において、本発明は、患者において腫瘍増殖を阻害するための方法を提供する。この方法において、有効量の本明細書中に記載される化合物が、腫瘍を有する患者に投与される。
【0167】
別の実施形態において、本発明は、患者において毛細血管の増殖を阻害するための方法を提供する。この方法において、本明細書中に記載される有効量の化合物が、それを必要とする患者に投与される。
【0168】
本発明はまた、薬学的処方物を調製する方法を提供し、この方法は、上記の化合物のうちのいずれかを、薬学的に受容可能なキャリア、水、または水溶液と混合する工程を包含する。
【0169】
(薬学的組成物)
本発明の薬学的組成物は、1種以上の薬学的に受容可能なキャリアとともに処方された、治療上有効な量の本明細書中に記載されるホスファチジルイノシトール3−キナーゼインヒビター化合物を含む。本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア」とは、任意の型の、非毒性の、不活性な、固体、半固体、もしくは液体の、充填剤、希釈剤、カプセル化物質もしくは処方助剤を意味する。薬学的に受容可能なキャリアとして役立ち得る物質のいくつかの例は、糖(例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース);デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、およびジャガイモデンプン);セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース);粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;滑石;賦形剤(例えば、ココアバターおよび坐剤ワックス);油(例えば、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油);グリコール(例えば、プロピレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);寒天;緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張性生理食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;およびリン酸緩衝化溶液である。非毒性の適合性潤滑剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム);ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤、および香料、保存剤および抗酸化剤もまた、処方者の判断に従って、本組成物中に存在し得る。本発明の薬学的組成物は、ヒトおよび他の動物に、経口投与、直腸投与、非経口投与、槽内投与、膣内投与、腹腔内投与、局所投与(粉末、軟膏、または液滴として)、口腔粘膜内投与され得るか、あるいは口腔スプレーもしくは経鼻スプレー、または液体エアロゾルもしくは吸入用乾燥粉末処方物として投与され得る。
【0170】
経口投与のための液体投薬形態としては、薬学的に受容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、液体投薬形態は、例えば、水または他の溶剤のような、当該分野で通常用いられている不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿花油、落花生油、コーン油、胚芽(germ)油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルおよびこれらの混合物のような可溶化剤および乳化剤を含み得る。不活性な希釈剤の他には、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、矯味矯臭剤および香料などのアジュバントを含み得る。
【0171】
注射用調製物(例えば、滅菌注射用水性もしくは油性懸濁剤)は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて公知の技術に従って処方され得る。滅菌注射用調製物はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液としての、非毒性の非経口に受容可能な希釈剤または溶剤中の滅菌注射用の溶液、懸濁剤またはエマルジョンであり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶剤のうちでもとりわけ、水、リンガー溶液,U.S.Pおよび等張の塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌不揮発性油が、溶剤または懸濁媒体として簡便に使用される。この目的で、任意のブランドの不揮発性油が使用され得、これらとしては、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが挙げられる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸が、注射用の調製物において使用される。
【0172】
注射可能な処方物は、例えば、微生物保持フィルターを通す濾過によってか、または、使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体に溶解もしくは分散され得る、滅菌固体組成物の形態の滅菌薬剤を組み込むことによって、滅菌され得る。
【0173】
薬物の作用を延長するために、皮下注射もしくは筋肉内注射からの薬物の吸収を遅延することがしばしば望ましい。このことは、水溶性に乏しい結晶性もしくは非結晶性の物質の液体懸濁物の使用により達成され得る。次いで、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、溶解速度は、今度は、結晶サイズおよび結晶の形状に依存し得る。あるいは、非経口投与された薬物の吸収の遅延は、油性ビヒクル中に薬物を溶解もしくは懸濁することによって達成され得る。注射用蓄積形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中で薬物形態のマイクロ被覆マトリクスを形成することによって作製される。薬物のポリマーに対する比率および、使用される特定のポリマーの性質に依存して、薬物の放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。蓄積注射処方物はまた、身体の組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬物を埋め込むことによって調製され得る。
【0174】
直腸投与または膣投与のための組成物は、好ましくは、本発明の化合物を、適切な非刺激性の賦形剤もしくはキャリア(例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコールまたは挫剤蝋)と混合することによって調製され得る挫剤であり、これは、周囲温度では固体であるが、体温では液体であり、従って、直腸もしくは膣腔において溶解し、活性化合物を放出する。
【0175】
経口投与のための固体投薬形態としては、カプセル剤、錠剤、ピル、散剤および顆粒剤が挙げられる。このような固体投薬形態において、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な薬学的に受容可能な賦形剤もしくはキャリア(例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム)および/またはa)充填剤もしくは増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシア)、c)湿潤剤(humectant)(例えば、グリセロール)、d)崩壊剤(例えば、寒天−寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム)、e)溶液遅延剤(solution retarding agent)(例えば、パラフィン)、f)吸収促進剤(例えば、第4級アンモニウム化合物)、g)湿潤剤(wetting agent)(例えば、アセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、h)吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト粘土)、ならびにi)潤滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)ならびにこれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤およびピルの場合、投薬形態はまた、緩衝剤を含み得る。
【0176】
類似の型の固体組成物がまた、ラクトースもしくは乳糖、ならびに、高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて、軟充填ゼラチンカプセルおよび硬充填ゼラチンカプセル中のフィラーとして採用され得る。
【0177】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、ピルおよび顆粒剤の固体投薬形態は、腸溶性コーティングおよび薬学的処方の分野で周知の他のコーティングのようなコーティングおよびシェルを用いて調製され得る。これらはまた、必要に応じて、隠蔽剤(opacifying agent)を含み得、そしてまた、これらが腸管の特定の部位において、必要に応じて遅延型の様式で、活性成分のみ、もしくは活性成分を優先して放出する組成物であり得る。使用され得る包埋剤の例としては、ポリマー性物質および蝋が挙げられる。
【0178】
類似の型の固体組成物がまた、ラクトースもしくは乳糖、ならびに、高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて、軟充填ゼラチンカプセルおよび硬充填ゼラチンカプセル中のフィラーとして採用され得る。
【0179】
活性化合物はまた、1種以上の上記の賦形剤で、マイクロカプセル化された形態であり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、ピルおよび顆粒剤の固体投薬形態は、腸溶性コーティング、放出制御コーティングおよび薬学的処方の分野で周知の他のコーティングのようなコーティングおよびシェルを用いて調製され得る。このような固体投薬形態において、活性化合物はまた、スクロース、ラクトースもしくはデンプンのような少なくとも1種の不活性な希釈剤と混合され得る。このような投薬形態はまた、通常の実施として、不活性な希釈剤以外のさらなる物質(例えば、打錠潤滑剤、ならびにステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースのような他の打錠助剤)を含み得る。カプセル剤、錠剤およびピルの場合、投薬形態はまた、緩衝剤を含み得る。これらは、必要に応じて、隠蔽剤を含み得、そしてまた、これらが腸管の特定の部位において、必要に応じて、遅延型の様式で、活性成分のみ、もしくは活性成分を優先的に放出する組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー性物質および蝋が挙げられる。
【0180】
本発明の化合物の局所投与もしくは経皮投与のための投薬形態としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤もしくはパッチが挙げられる。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に受容可能なキャリアおよび、必要に応じて、任意の必要とされる保存剤もしくは緩衝液と混合される。眼用処方物、点耳ドロップなどがまた、本発明の範囲内であることが意図される。
【0181】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物脂肪および植物脂肪、油、蝋、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれらの混合物のような賦形剤を含み得る。
【0182】
本発明の組成物はまた、液体エアロゾルもしくは吸入可能な乾燥粉末として送達するために処方され得る。液体エアロゾル処方物は、主に末梢および呼吸器の細気管支に送達され得る粒子サイズで、噴霧され得る。
【0183】
本発明のエアロゾル化処方物は、好ましくは、主に1〜5μの間の中間平均直径の塊を有するエアロゾル粒子の形成を可能にするように選択されたエアロゾル形成デバイス(例えば、ジェット、振動多孔性プレートもしくは超音波噴霧器)を用いて送達され得る。さらに、この処方物は、好ましくは、平衡化された浸透圧イオン強度および塩化物濃度を有し、本発明の化合物の有効量を感染部位に送達し得る最小限のエアロゾル可能な容量を有する。さらに、エアロゾル化処方物は、好ましくは、気道の機能を負に損なわず、所望されない副作用を生じない。
【0184】
本発明のエアロゾル処方物の投与に適切なエアロゾル化デバイスとしては、例えば、本発明の処方物を主に1〜5μのサイズ範囲のエアロゾル粒子サイズに噴霧し得るジェット、振動多孔性プレート、超音波噴霧器、および加圧式乾燥粉末吸入器が挙げられる。主にとは、本出願においては、全ての生成されるエアロゾル粒子の少なくとも70%であるが、好ましくは、90%以上が、1〜5μの範囲内にあることを意味する。ジェット噴霧器は、空気圧によって作動し、液体溶液をエアロゾル飛沫にする。振動多孔性プレート型噴霧器は、迅速に振動する多孔性プレートによって生じる音波真空(sonic vacuum)を用いて作動し、多孔性プレートを通して溶媒飛沫を押し出す。超音波噴霧器は、液体を小さなエアロゾル飛沫へとせん断する圧電性結晶によって作動する。種々の適切なデバイスが利用可能であり、例えば、AeroNebTMおよびAeroDoseTM振動多孔性プレート型噴霧器 (AeroGen,Inc.,Sunnyvale,California)、Sidestream(登録商標)噴霧器(Medic−Aid Ltd.,West Sussex,England)、Pari LC(登録商標)およびPari LC Star(登録商標)ジェット噴霧器(Pari Respiratory Equipment,Inc.,Richmond,Virginia)ならびにAerosonicTM(DeVilbiss Medizinische Produkte(Deutschland)GmbH,Heiden,Germany)ならびにUltraAire(登録商標)(Omron Healthcare,Inc.,Vernon Hills,Illinois)超音波噴霧器が挙げられる。
【0185】
本発明の化合物はまた、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤を含み得る、局所用粉末およびスプレーとして使用するために処方され得る。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素のような慣用的な噴霧剤をさらに含み得る。
【0186】
経皮パッチは、身体への化合物の制御送達を提供する追加の利点を有する。このような投薬形態は、化合物を適切な媒体中に溶解または懸濁することによって作製され得る。吸収促進剤もまた、皮膚を横切る化合物の流入を増加するために使用され得る。その速度は、速度制御膜を提供するか、または、ポリマーマトリクスもしくはゲル中に化合物を分散させるかのいずれかによって制御され得る。
【0187】
本発明の処置方法に従って、腫瘍の増殖は、ヒトもしくは下等動物のような患者において、本発明の化合物の治療有効量を、所望の結果を達成するために必要な量および時間で、患者に投与することによって減少または予防される。本発明の化合物の「治療有効量」とは、任意の医療処置に適用可能な、合理的な利益/危険度の割合で、腫瘍の増殖を処置するための、化合物の十分な量を意味する。しかし、本発明の化合物および組成物の全日用量は、妥当な医療診断の範囲(scope of sound medical judgment)内で、主治医により決定されることが理解される。任意の特定の患者についての特定の治療有効用量レベルは、処置される障害および障害の重篤度;用いる特定の化合物の活性;用いる特定の組成物;患者の年齢、体重、健康状態、性別および食事;使用する特定の化合物の投与時間、投与経路および排泄速度;処置の期間;使用する特定の化合物と組み合わせてか、または、同時に使用する薬物;ならびに医薬分野で周知の同様の因子を含む種々の因子に依存する。
【0188】
単一用量または分割用量でヒトもしくは他の動物に投与される、本発明の化合物の合計日用量は、例えば、0.01〜50mg/体重kgの量、またはより通常は、0.1〜25mg/体重kgの量であり得る。単一用量組成物は、このような量もしくはその約数を含み、日用量を構成し得る。一般に、本発明に従う処置レジメンは、このような処置を必要とする患者への、単一用量もしくは複数用量での、1日あたり約10mg〜約2000mgの本発明の化合物の投与を包含する。
【0189】
処方の方法は、当該分野で周知であり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,第19版(1995)に開示されている。本発明において使用するための薬学的組成物は、滅菌の、非発熱性の液体溶液もしくは懸濁液、被覆カプセル剤、挫剤、凍結乾燥粉末、経皮パッチの形態または当該分野で公知の他の形態であり得る。
【0190】
本出願において使用する場合、「キット」は、薬学的組成物を含むための容器を含み得、そしてまた、分割ボトルまたは分割ホイール包装のような分割容器を含み得る。容器は、薬学的に受容可能な材料から作製される当該分野で公知の任意の従来の形状もしくは形態であり得る(例えば、紙製もしくは厚紙製の箱、ガラスもしくはプラスチックのボトルもしくはジャー、再封可能なバッグ(例えば、異なる容器への配置のための錠剤の「レフィル」を保持するため)、または、治療計画に従ってパックを押し出す(press out)ための個々の用量を含むブリスターバッグ)。採用される容器は、含まれる正確な投薬形態に依存し得、例えば、従来の厚紙製の箱は一般に、液体懸濁液を保持するためには使用されない。1つ以上の容器を、単一のパッケージ内で一緒に使用して、単一の投薬形態を市販し得ることが可能である。例えば、錠剤は、ボトル内に含まれ得、次いで、このボトルが、箱の中に含まれる。
【0191】
このようなキットの例は、いわゆるブリスター包装である。ブリスター包装は、包装工業の分野において周知であり、薬学的単位投薬形態(錠剤、カプセル剤など)を包装するために広く用いられている。ブリスター包装は一般に、好ましくは透明なプラスチック物質の箔で覆われた比較的固い物質のシートから構成される。包装プロセスの間に、凹部が、プラスチック箔中に形成される。凹部は、包装される個々の錠剤もしくはカプセル剤のサイズおよび形状を有するか、または、包装される複数の錠剤および/もしくはカプセル剤を収容するためのサイズおよび形状を有し得る。次に、錠剤またはカプセル剤が適宜凹部に配置され、比較的固い物質のシートが、箔の表面でプラスチック箔に対してシールされ、この箔は、凹部が形成される方向と対向する。結果として、錠剤またはカプセル剤は、所望されるように、プラスチック箔とシートとの間の凹部内に、個々にシールされるか、または、まとめてシールされる。好ましくは、シートの強度は、錠剤またはカプセル剤が、凹部に手で力を加え、それによって、シートの凹部の位置に開口部が形成されることによってブリスター包装から取り出され得るようなものである。次いで、錠剤またはカプセル剤が、上記開口部を介して取り出され得る。
【0192】
文書による記憶補助を提供することが望ましくあり得、ここで、この文書による記憶補助は、医師、薬剤師もしくは他のヘルスケア提供者、または被験体に対する情報および/もしくは指示を含む型のものであり、例えば、錠剤もしくはカプセル剤の横の数字の形態であり、それによって、その数字が、その特定された錠剤もしくはカプセル剤が摂取されるべきレジメンの日数と対応する形態、または、同じ型の情報を含むカードである。このような記憶補助の別の例は、例えば、「第1週、月曜日、火曜日、...」など、「第2週、月曜日、火曜日、...」などのように、カード上に印刷されたカレンダーである。記憶補助の他のバリエーションは、容易に明らかである。「日用量」は、所定の日に摂取されるべき、単一の錠剤もしくはカプセル剤、または、いくつかの錠剤もしくはカプセル剤であり得る。キットが、別個の組成物を含む場合、キットの1種以上の組成物の日用量は、1種の錠剤もしくはカプセル剤から構成され得るが、キットの別の1種以上の組成物の日用量は、いくつかの錠剤もしくはカプセル剤から構成され得る。
【0193】
キットの別の特定の実施形態は、その意図される使用順序で、一回に一度の日用量を分配するように設計されたディスペンサーである。好ましくは、ディスペンサーは、記憶補助を備え、従って、レジメンのコンプライアンスをさらに容易にする。このような記憶補助の例は、機械式カウンターであり、これは、分配された日用量の数を示す。このような記憶補助の別の例は、液体結晶読み出しと組み合せた、電池式のマイクロチップメモリー、または、例えば、最後に日用量が摂取された日付を読み出し、そして/または次の用量が摂取されるべき日付を思い出させる、可聴式の注意喚起シグナルである。
【0194】
本発明のキットはまた、PI3Kインヒビターに加え、1種以上の追加の薬学的に活性な化合物を含み得る。好ましくは、追加の化合物は、別のPIK3インヒビター、または癌、血管新生、もしくは腫瘍増殖の処置に有用な別の化合物である。追加の化合物は、PI3Kインヒビターとしての同じ投薬形態においてか、または、異なる投薬形態において投与され得る。同様に、追加の化合物は、PI3Kインヒビターと同時にか、または、異なる時点で投与され得る。
【0195】
本明細書中で引用される全ての参考文献および特許は、参考として援用される。
【0196】
こうして一般的に記載された本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、これらの実施例は、例示の目的により提供され、本発明を制限することは意図されない。
【実施例】
【0197】
(実験)
本発明の化合物は、一般に、例えば、以下の代表的な方法(例えば、以下の方法1および2)および反応スキームに従って、当業者に周知の手順を用いて調製され得る。
【0198】
(方法1)
(樹脂結合2−(ピラゾロ)トリヒドロピリミジン−4−オン(3)(工程1))
【0199】
【化123】

Wang樹脂(1.0g,0.55mmol,1当量)を、トルエン(10mL)中に懸濁し、DIEA(0.377mL,2.2mmol,4.0当量)を添加し、その後、塩化メチルマロニル(0.236mL,2.2mmol,4.0当量)を添加した。混合物を、室温にて、一晩撹拌した。樹脂を濾過し、CHCl、MeOH、水、DMF、CHClで洗浄し、次いで、乾燥させて、樹脂結合マロン酸メチル1を得た。樹脂1(300mg,0.165mmol,1.0当量)をDMF(3mL)中のピペリジン(16.3μL,0.165mmol,1.0当量)および酢酸(9.4μL,0.165mmol,1.0当量)の溶液中に懸濁させ、アルデヒド(10.0当量)を添加した。この混合物を室温にて一晩振盪した。樹脂を濾過し、DMFおよびCHClで洗浄し、次いで、乾燥させて、樹脂結合α,β不飽和ジエステル2を得、これを分析することなく次の工程において使用した。なぜならば、この樹脂からの切断は、広範な分解(extensive decomposition)を生じるからである。樹脂2(300mg,0.165mmol,1.0当量)を、NMP(3mL)中に懸濁し、そして1−H−ピラゾールカルボキサミジ塩酸塩(121mg,0.825mmol,5.0当量)を添加し、その後、NaHCO(35mg,0.412mmol,2.5当量)を添加した。この反応混合物を50℃にて一晩振盪し、この樹脂を濾過し、DMF、水、MeOH、CHClで洗浄し、乾燥させて、所望の樹脂結合6−R−4−オキソ−2−ピラゾリル−3,5,6−トリヒドロピリミジン−5−カルボン酸3を得た。切断生成物の分析用サンプルを得、この樹脂を室温にて1.5時間、95% TFA/HOで処理し、濾過し、そして減圧下でエバポレートした。
【0200】
(樹脂結合2−ピラゾロピリミジノン(4)(工程2))
【0201】
【化124】

樹脂3(200mg,0.11mmol,1当量)を、トルエン(2.5mL,253mmol,2.3当量)中のDDQの0.1M溶液中に懸濁し、この反応混合物を50℃にて一晩振盪した。この樹脂を濾過し、DMF、20%AcOH水溶液、水、MeOH、CHClで洗浄し、乾燥させて、所望の樹脂結合R−4−ヒドロキシ−2−ピラゾリルピリミジン−5−カルボン酸4を得た。切断生成物の分析用サンプルを得、この樹脂を室温にて1.5時間、95% TFA/HOで処理し、濾過し、そして減圧下でエバポレートした。
【0202】
(4位におけるアミンによるPyBop媒介性置換,(工程3))
【0203】
【化125】

NMP中の樹脂4(150mg,0.082mmol,1当量)、最適なアミン(10当量)およびPyBop(85mg,0.164mmol,2当量)の混合物を、室温にて一晩振盪した。この樹脂を濾過し、DMF、MeOHおよびCHClで洗浄し、そして乾燥させて、所望の樹脂結合6−R−4−アミノアルキル(もしくはアリール)−2−ピラゾリルピリミジン−5−カルボン酸5を得た。切断生成物の分析用サンプルを得、この樹脂を室温にて1.5時間、95% TFA/HOで処理し、濾過し、そして減圧下でエバポレートした。
【0204】
(2位にモルホリンを有するSnAr(工程4))
【0205】
【化126】

樹脂5(100mg,0.055mmol,1当量)をNMP中に懸濁させ、そしてモルホリン(144μL,144mg,1.65mmol,30当量)を添加し、その後、酢酸(31μL,33mg,0.55mmol,10当量)を添加した。この反応混合物を90℃にて一晩振盪した。この樹脂を濾過し、DMF、水、MeOH、CHClで洗浄し、次いで、乾燥させた。この樹脂を、95% TFA/HOを用いて、室温にて1.5時間処理した。濾過し、減圧下でエバポレートして、6−R−4−アルキル(もしくはアリール)アミノ−2−モルホリノピリミジン−5−カルボン酸6を得た。
【0206】
(脱炭酸(工程5))
【0207】
【化127】

カルボン酸6を、アセトニトリルと水(1:1,2mL)の混合物中に溶解し、そして、この溶液を60℃にて一晩加熱した。この溶液を室温まで冷却し、次いで、凍結乾燥させた。逆相液体クロマトグラフィーにより精製した後、所望のトリ置換ピリミジン7を固体として得た。
【0208】
(実施例1)
(3−[6−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−2−モルホリン−4−イルピリミジン−4−イル]フェノールの合成)
(6−(3−ヒドロキシフェニル)−4−オキソ−2−ピラゾリル−3,5,6−トリヒドロピリミジン−5−カルボン酸)
Wang樹脂(1.0g,0.55mmol,1当量)を、トルエン(10mL)中に懸濁し、そして、DIEA(0.377mL,2.2mmol,4.0当量)を添加し、その後、塩化メチルマロニル(0.236mL,2.2mmol,4.0当量)を添加した。この混合物を室温にて一晩振盪した。この樹脂を濾過し、CHCl、MeOH、水、DMF、CHClで洗浄し、次いで、乾燥させて、樹脂結合マロン酸メチル(1)を得た。樹脂1(300mg,0.165mmol,1.0当量)をピペリジン(16.3μL,0.165mmol,1.0当量)の溶液に懸濁させ、そして、酢酸(9.4μL,0.165mmol,1.0当量)および3−ヒドロキシベンズアルデヒド(201mg,1.65mmol,10.0当量)を添加した。この混合物を、室温にて一晩振盪した。この樹脂を濾過し、DMFおよびCHClで洗浄し、乾燥させ、NMP中に懸濁させ、そして、1−H−ピラゾールカルボキサミジン塩酸塩(121mg,0.825mmol,5.0当量)を添加し、その後、NaHCO(35mg,0.412mmol,2.5当量)を添加した。この反応混合物を50℃にて一晩振盪し、次いで、この樹脂を濾過し、DMF、水、MeOH、CHClで洗浄し、そして乾燥させた。分析用サンプルを得るために、20mgの樹脂を、95% TFA/HOを用いて室温にて1.5時間処理した。濾過し、そして減圧下でエバポレートして、6−(3−ヒドロキシフェニル)−4−オキソ−2−ピラゾリル−3,5,6−トリヒドロピリミジン−5−カルボン酸を得た。HPLC(緩衝液A:0.1% TFA/HO;緩衝液B:0.1%
TFA/CHCN;カラム:C18,4.6×250mm;流速:1mL/分;勾配:36分で2.1%,5%〜80%のB):R=14.70。
LC/MS(イオンスプレー,50eV,m/z):275(M+HO+H)。
【0209】
(4−ヒドロキシ−6−(3−ヒドロキシフェニル)−2−ピラゾリルピリミジン−5−カルボン酸)
樹脂結合6−(3−ヒドロキシフェニル)−4−オキソ−2−ピラゾリル−3,5,6−トリヒドロピリミジン−5−カルボン酸(200mg,0.11mmol,1当量)を、トルエン(2.5mL,253mmol,2.3当量)中のDDQの0.1M溶液中に懸濁させ、そして、この反応混合物を50℃にて一晩振盪した。この樹脂を濾過し、DMF、20% AcOH水溶液、水、MeOH、CHClで洗浄し、そして乾燥させた。分析用サンプルを得るために、20mgの樹脂を、95% TFA/HOを用いて、室温にて1.5時間処理した。濾過し、そして、減圧下でエバポレートして、4−ヒドロキシ−6−(3−ヒドロキシフェニル)−2−ピラゾリルピリミジン−5−カルボン酸を得た。HPLC(緩衝液A:0.1% TFA/HO;緩衝液B:0.1% TFA/CHCN;カラム:C18,4.6×250mm;流速:1mL/分;勾配:36分で2.1%,5%〜80%のB):R=15.78。
LC−MS(イオンスプレー,50eV,m/z):299(M+H)。
【0210】
(6−(3−ヒドロキシフェニル)−4−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−2−ピラゾリルピリミジン−5−カルボン酸結合樹脂)
NMP中の4−ヒドロキシ−6−(3−ヒドロキシフェニル)−2−ピラゾリルピリミジン−5−カルボン酸結合樹脂(150mg、0.082mmol、1当量)、5−アミノインダゾール(110mg、0.82mmol、10当量)、およびPyBop(85mg、0.164mmol、2当量)の混合物を、室温で一晩振盪した。その樹脂を濾過し、DMF、MeOHおよびCHClで洗浄し、乾燥した。分析サンプルを得るために、樹脂のうち20mgを95% TFA/HOで1.5時間、室温で処理した。減圧下での濾過およびエバポレーションにより、6−(3−ヒドロキシフェニル)−4−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−2−ピラゾリルピリミジン−5−カルボン酸を得た。
HPLC(緩衝液A:0.1% TFA/HO;緩衝液B:0.1% TFA/CHCN;カラム:C18、4.6×250mm;流速:1mL/分;勾配:2.1%、36分で5%〜80%のB):R=20.72。
LC−MS(イオンスプレー、50eV、m/z):414(M+H)。
【0211】
(6−(3−ヒドロキシフェニル)−4−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−2−モルホリン−4−イルピリミジン−5−カルボン酸結合樹脂)
6−(3−ヒドロキシフェニル)−4−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−2−ピラゾリルピリミジン−5−カルボン酸結合樹脂(100mg、0.055mmol、1当量)をNMP中に懸濁させ、そしてモルホリン(144μL、144mg、1.65mmol、30当量)を加え、その後、酢酸(31μL、33mg、0.55mmol、10当量)を加えた。その反応混合物を、90℃で一晩振盪した。その樹脂を濾過し、そしてDMF、水、MeOH、CHClで洗浄し、次いで、乾燥した。その樹脂を、95% TFA/HOで1.5時間、室温で処理した。減圧下での濾過およびエバポレーションにより、6−(3−ヒドロキシフェニル)−4−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−2−モルホリン−4−イルピリミジン−5−カルボン酸を得た。
HPLC(緩衝液A:0.1% TFA/HO;緩衝液B:0.1% TFA/CHCN;カラム:C18、4.6×250mm;流速:1mL/分;勾配:2.1%、36分で5%〜80%のB):R=16.97。
LC−MS(イオンスプレー、50eV、m/z):433(M+H)。
【0212】
(3−[6−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−2−モルホリン−4−イルピリミジン−4−イル]フェノール)
6−(3−ヒドロキシフェニル)−4−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−2−モルホリン−4−イルピリミジン−5−カルボン酸を、アセトニトリルと水との混合物(1:1、2mL)に溶解させ、その溶液を、60℃で一晩加熱した。その溶液を、室温まで冷却し、次いで、凍結乾燥した。逆相液体クロマトグラフィー(緩衝液A:0.1%
TFA/HO;緩衝液B:0.1% TFA/CHCN、カラム:C18、5μ、10×50mm、勾配:9分で5%のB〜95%のB)による精製後、3−[6−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−2−モルホリン−4−イルピリミジン−4−イル]フェノールのビスTFA塩を、淡黄色固体として得た。
H−NMR(HCl塩、60% CDCN/DO、300MHz):8.09(s、1H)、8.03(bs、1H)、7.61(1H、d、J=8.7)、7.55(bm、1H)、7.38(app.t、1H、J=7.8)、7.17(bd、1H、J=7.8)、7.10(bs、1H)、7.06(d、1H、J=8.7)、6.42(bs、1H)、3.75(app.s、8H)。
HPLC(緩衝液A:0.1% TFA/HO;緩衝液B:0.1% TFA/CHCN;カラム:C18、4.6×250mm;流速:1mL/分;勾配:2.1%、36分で5%〜80%のB):R=18.17。
LC−MS(イオンスプレー、50eV、m/z):389(M+H)。
【0213】
(方法2)
(3−[2−モルホリン−4−イル−6−(3−ピリジルアミノ)ピリミジン−4−イル]フェノールの液相合成)
【0214】
【化128】

(工程1)
【0215】
【化128A】

下、乾燥DMF中の3’−ヒドロキシアセトフェノン(1当量)と臭化ベンジル(1.5当量)との攪拌溶液に、固体のKCO(2当量)を一度に加えた。その反応混合物を、60℃で3日間攪拌し、次いで、室温まで冷却した。ほとんどのDMFを、減圧下で蒸留して除去した。残渣を、EtOAc中に溶解させ、1N HCl、HO、ブラインで洗浄し、乾燥した(NaSO)。減圧下での溶媒のエバポレーションにより、出発物質と所望の生成物との約1:1混合物である褐色油を得た。後者を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:1)により単離して、所望の3’−ベンジルオキシアセトフェノンを得た(51%)。例えば:Schmidhammer,H.;Brossi,A.J.Org.Chem.1983,48,1469を参照のこと。
【0216】
TLC(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン 1:2、バニリン染色):R=0.58、橙褐色(R出発物質=0.28)。
【0217】
H−NMR(CDCl、300MHz):7.6−7.1(9H、m)、5.11(2H、s、CHPh);2.59(3H、s、CH)。
【0218】
(工程2)
【0219】
【化129】

オーブン乾燥し、N雰囲気に保った丸底フラスコに、tert−ブトキシドカリウム(2.2当量)を充填し、乾燥トルエンを加えた。その懸濁液を、0℃まで冷却し、そしてトルエン中の3’−ベンジルオキシアセトフェノン(1当量)とジエチルカルボネート(2当量)との溶液を、滴下漏斗を通して激しく攪拌しながら滴下した。添加中、温度は10℃より高くするべきではない。添加終了後、その反応混合物を、室温で1時間攪拌し、次いで、60℃で一晩攪拌した。その反応混合物を、再度、室温まで冷却し、そして酢酸と水との1:10混合物でクエンチした。この添加は、ゆっくりでなければならず、温度を20℃未満に保つために一時的な冷却が必要であり得る。その2相を分離し、そして水相をEtOAcで抽出した(×3)。有機抽出物を回収し、乾燥した(NaSO)。粗製物の減圧下での溶媒のエバポレーション後、エチル3−オキソ−3−[3−(フェニルメトキシ)フェニル]プロパノエートを得た。その化合物をさらに精製せずに、次の工程に進んだ。
【0220】
TLC(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン 1:5、バニリン染色):R=0.26、暗橙褐色。
【0221】
LC−MS(イオンスプレー、50eV、m/z):299(M+H)。
【0222】
H−NMR(CDCl、300MHz):7.6−7.1(9H、m)、5.10(2H、bs、CHPh);4.21(2H、q、J=7.2Hz OCH);3.96(2H、s、COCH);1.25(3H、t、J=7.2Hz、CH)。
【0223】
(工程3)
【0224】
【化130】

オーブン乾燥し、N雰囲気に保った丸底フラスコに、CsCO(1.5当量)を乾燥DMF中に懸濁させた。モルホリノホルムアミジンヒドロブロミド(1.2当量)を加え、その後、エチル3−オキソ−3−[3−(フェニルメトキシ)フェニル]プロパノエート(1当量)を加えた。その反応混合物を、115℃で一晩攪拌し、次いで、室温まで冷却した。DMFを、減圧下で蒸留して除去し、そして残渣を水中に溶解させ、5% HCl溶液で中和した。次いで、水相をCHClで抽出した(×5)。有機抽出物を回収し、乾燥した(NaSO)。減圧下での溶媒のエバポレーション後、所望の2−モルホリン−4−イル−6−[3−(フェニルメトキシ)フェニル]−3−ヒドロピリミジン−4−オンを灰白色固体として得た(60%)。その粗製物はすでに、次の工程のために十分に純粋であるが、アセトニトリルでの粉砕によりさらに精製し得る。
【0225】
TLC(シリカゲル、CHCl/MeOH 1:10):R=0.32(出発物質のR=0.9)。
【0226】
LC−MS(イオンスプレー、50eV、m/z):364(M+H)。
【0227】
H−NMR(CDCl、300MHz):7.65−7.3(8H、m)、7.06(1H、ddd、J=8.4、2.7、0.9Hz);6.25(1H、s);5.13(2H、s、CHPh);3.83(8H、bs、モルホリン)。
【0228】
(工程4)
【0229】
【化131】

2−モルホリン−4−イル−6−[3−(フェニルメトキシ)フェニル]−3−ヒドロピリミジン−4−オン(1当量)を、オーブン乾燥してN雰囲気に保った丸底フラスコ中のCHClに溶解させた。この化合物は、完全に可溶性ではない。トリエチルアミン(1.4当量)を加え、その後、N−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド(1.2当量)およびDMAP(10mol%)を加えた。その反応混合物を、室温で一晩攪拌して、明橙色溶液を得た。溶媒を、減圧下でエバポレートし、そして残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン 1:5)により精製して、所望の2−モルホリン−4−イル−6−[3−(フェニルメトキシ)フェニル]ピリミジン−4−イル(トリフルオロメチル)スルホネートを得た(99%)。
【0230】
TLC(シリカゲル、EtOAc/ヘキサン 1:5):R=0.31。
【0231】
H−NMR(CDCl、300MHz):7.64(1H、dd、J=2.4、1.5Hz);7.55(1H、app.dt、J=7.8、1.2Hz);7.2−7.3(6H、m);7.12(1H、ddd、J=8.4、2.4、0.9Hz);6.66(1H、s、ピリミジン CH)、5.14(2H、s、CHPh)、3.86(4H、bm、モルホリン);3.79(4H、m、ホルホリン)。
【0232】
(工程5)
【0233】
【化132】

オーブン乾燥し、N雰囲気に保った丸底フラスコに、CsCO(1.4当量)、Pd(OAc)(5mol%)、およびS−(−)−BINAP(Pd触媒の1.5×mol)を充填した。そのフラスコをNで5〜10分間パージし、そして乾燥THF(20mL)中の2−モルホリン−4−イル−6−[3−(フェニルメトキシ)フェニル]ピリミジン−4−イル(トリフルオロメチル)スルホネート(1当量)の溶液を、シリンジを通して加え、その後、3−アミノピリジン(2当量)を一度に加えた。そのフラスコに、還流凝縮器を備え付け、再度Nで5分間パージし、そして反応混合物を一晩還流した。効率的な攪拌が非常に重要である。その反応混合物を、室温まで冷却し、そして溶媒を減圧下でエバポレートした。残渣を水で洗浄し(×2)、メタノールで粉砕して、所望の{2−モルホリン−4−イル−6−[3−(フェニルメトキシ)フェニル]ピリミジン−4−イル}−3−ピリジルアミンを得た。
【0234】
(工程6)
【0235】
【化133】

{2−モルホリン−4−イル−6−[3−(フェニルメトキシ)フェニル]ピリミジン−4−イル}−3−ピリジルアミン(1当量)を、丸底フラスコ中のエタノールに懸濁させ、Nでパージした。10% Pd/C(20%wt)を加えた。そのフラスコを真空にし、H(風船内に含まれる)を5回充填し、次いで、その反応混合物をH下で20時間攪拌した。触媒を、セライトのパッドを通して濾過して除去し、EtOH、MeOH、CHCl、およびアセトニトリルで徹底的に洗浄した(生成物の完全な可溶化を確認するために、約1リットルの溶媒の混合物を使用した)。その溶媒を、減圧下でエバポレートし、そして残渣を逆相クロマトグラフィー(緩衝液A:HO中の0.1% TFA、緩衝液B:CHCN中の0.1% TFA;カラム:Waters、C18、47×300mm;勾配:1.1%、45分で10%〜60%のB)により精製した。このようにして得られた遊離塩基を、アセトニトリルと1N HClとの1:1混合物から凍結乾燥して、所望の3−[2−モルホリン−4−イル−6−(3−ピリジルアミノ)ピリミジン−4−イル]フェノールをビスHCl塩として得た。スペクトルデータは以下である:
HPLC(緩衝液A:HO中の0.1% TFA;緩衝液B:CHCN中の0.1% TFA;カラム:Waters、C18、4.6×250mm;勾配:4.2%、18分で5%〜80%のB)R=4.47。
LC−MS(イオンスプレー、50eV、m/z):350(M+H)。
H−NMR(DMSO+DO、300MHz):9.22(1H、bs)、8.37(2H、app d、J=5.7)、7.79(1H、dd、J=7.2、5.4)、7.43(2H、m)、7.30(1H、app t、J=7.5)、6.89(1H、dd、J=7.0、2.1)、6.59(1H、s)、3.6−3.8(8H、m)。
【0236】
以下の実施例の化合物を、上記の方法1および2で記載した合成方法に従って合成した。前駆体は、当業者に容易に理解し得、Aldrich(Milwaukee,WI)、Acros Organics(Pittsburgh,PA)、Biosynth International(Naperville,IL)、Asymchem International,Inc.(Durham,NC)、Maybridge Chemical Company Ltd.(Cornwall)、および/またはUK Peakdale Molecular(High Peak,UK)から市販されている。
【0237】
化合物を、ChemInovation Software,Inc製のACD/Name v.5.04、2001およびNomenclator(v.6.0)を使用して命名した。
【0238】
【化134】

【0239】
【化135】

【0240】
【化136】

【0241】
【化137】

【0242】
【化138】

【0243】
【化139】

【0244】
【化140】

【0245】
【化141】

【0246】
【化142】

【0247】
【化143】

【0248】
【化144】

【0249】
【化145】

【0250】
【化146】

【0251】
【化147】

【0252】
【化148】

【0253】
【化149】

【0254】
【化150】

【0255】
【化151】

【0256】
【化152】

【0257】
【化153】

【0258】
【化154】

【0259】
【化155】

【0260】
【化156】

【0261】
【化157】

(実施例162)
(4−置換ピリミジニル化合物)
ピリミジニル核の4位における修飾は、以下のスキーム1に示されるように4−エステル部分から開始して達成され得る。エステル1は、アルコール2に還元され得、次いで、対応するアルデヒド3に再酸化され得る。そのアルデヒドは、一級アミンまたは二級アミンとの還元的アミノ化のための基質として使用されて、4−アルキル(またはジアルキル)アミノメチル置換ピリミジン4が得られ得る(以下に与えられる例示的手順)。代替的経路として、アルコール2は、望ましい脱離基(例えば、メシレート、トシレート(5)トリフレートなど)に変換され得、適切な求核試薬(例えば、一級アミンもしくは二級アミン、アルコール、チオール)と反応され得る。さらなる代替的経路として、エステルは、カルボン酸に加水分解され得、そのカルボン酸は、種々の一級アミンおよび二級アミンと容易にカップリングされて、4−アミド6を得る。そのアミドの還元により、所望の4−アルキル(またはジアルキル)アミノメチル置換ピリミジン4を得る(スキーム1を参照のこと)。化合物1およびそのアナログは、このクラスの化合物の固相合成で使用される手順と本質的に同一の手順を用いて、適切なアルデヒドとエチルアセトアセテートとのKnoevenagel縮合、その後、DDQを用いるジヒドロピリミジン核の酸化によって得られ得る(他の公知の試薬(例えば、CAN)もまた、芳香族化工程で使用され得る)。
【0262】
【化158】

{[6−(3−メトキシフェニル)−2−モルホリン−4−イル−4−(3−ピリジルアミノ)ピリミジン−5−イル]メチル}ジアルキルアミンの合成のための一般的手順
[6−(3−メトキシフェニル)−2−モルホリン−4−イル−4−(3−ピリジルアミノ)ピリミジン−5−イル]ホルムアルデヒド(3)
エステル1をTHF中に懸濁し、DIBALH(THF中の1.6N溶液、3当量)をシリンジを介して滴下する。その反応混合物を、50℃で一晩攪拌し、次いで、室温に冷却し、水でクエンチする。生成物2は沈澱し、それを濾過し、乾燥させ、以下の工程においてそのまま使用する。アルコール2をDMA中に溶解し、MnO(xs)を添加する。その反応混合物を室温で一晩攪拌し、その固体を濾過する。得られた透明な溶液を、減圧下で溶媒を蒸留して濃縮し、水を添加する。このようにして得られた沈殿物を濾過し、より多くの水で粉砕し、乾燥させ、アルデヒド3を得る。このアルデヒド3を、さらに精製しない。
【0263】
{[6−(3−メトキシフェニル)−2−モルホリン−4−イル−4−(3−ピリジルアミノ)ピリミジン−5−イル]メチル}ジアルキルアミン(4)
アルデヒド3(1当量)と、所望のアミン(2.5〜3当量)とMeOH中のNaCNBHとの混合物を、一晩還流する。その反応混合物を室温に冷却し、2N NaCO水溶液を添加する。その混合物を1時間攪拌し、クロロホルムで数回抽出する。その有機抽出物を収集し、乾燥させる(NaSO)。溶媒をエバポレートし、分取用逆相HPLCによりその残渣を精製して、所望の化合物4を得る。
【0264】
(実施例163:2位に炭素−炭素結合を有するピリミジニル化合物)
適切に置換したベンゾイルアセテートとの環化反応において多様なアミジンを使用することにより、2位に炭素−炭素結合を有するピリミジンを得ることができる。いくつかの例を、以下のスキーム2および3に示す。その望ましいアミジンは、市販されているか、または当業者に公知の手順を介して利用可能な前駆物質から得られ得るかのいずれかである。
【0265】
【化159】

6−(3−メトキシフェニル)−2−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエチル)−3−ヒドロピリミジン−4−オン(8)
オーブンで乾燥させ、N下で維持した丸底フラスコ中で、CsCO(1.5当量)を乾燥DMF中に懸濁する。3−モルホリン−4−イル−3−オキソプロパンアミジンヒドロクロリド(1.2当量)を添加し、続いて、エチルエチル3−(3−メトキシフェニル)−3−オキソプロパノエート7(1当量)を添加する。その反応混合物を115℃で一晩攪拌し、次いで室温に冷却する。そのDMFを減圧下で蒸留し、その残渣を水中に溶解し、5% HCl溶液で中和する。その水相を次いで、CHCl(×5)で抽出する。その有機抽出物を収集し、乾燥させる(NaSO)。減圧下でその溶媒をエバポレートした後、所望の6−(3−メトキシフェニル)−2−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエチル)−3−ヒドロピリミジン−4−オン 8を得る。
【0266】
6−(3−メトキシフェニル)−2−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエチル)ピリミジン−4−イル(トリフルオロメチル)スルホネート(9)
6−(3−メトキシフェニル)−2−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエチル)−3−ヒドロピリミジン−4−オン 8(1当量)を、オーブンで乾燥させ、N下で維持した丸底フラスコにおいて、CHCl中に溶解する。トリエチルアミンを添加し(1.4当量)、続いてN−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド(1.2当量)およびDMAP(10mol%)を添加する。その反応混合物を、室温で一晩攪拌する。その溶媒を減圧下でエバポレートし、その残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン 1:5)により精製し、所望の6−(3−メトキシフェニル)−2−(2−モルホリン−4−イル−2−オキソエチル)ピリミジン−4−イル(トリフルオロメチル)スルホネート 9を得る。
【0267】
2−[6−(3−メトキシフェニル)−4−(3−ピリジルアミノ)ピリミジン−2−イル]−1−モルホリン−4−イルエタン−1−オン(10)
オーブンで乾燥させ、N雰囲気下で維持した丸底フラスコに、CsCO(1.4当量)、Pd(OAc)(5mol%)およびS−(−)−BINAP(7.5mol%)を充填する。そのフラスコを、Nで約5〜10分間パージし、化合物9(1当量)の乾燥THF溶液を、シリンジで添加し、続いて、3−アミノピリジン(2当量)を一度に添加する。そのフラスコに還流凝縮器を備え付け、Nで5分間再びパージし、その反応混合物を一晩還流する。その反応混合物を室温に冷却し、その溶媒を減圧下でエバポレートする。その残渣を水で洗浄し(×2)、メタノールで粉砕して、所望の2−[6−(3−メトキシフェニル)−4−(3−ピリジルアミノ)ピリミジン−2−イル]−1−モルホリン−4−イルエタン−1−オン 10を得る。
【0268】
[6−(3−メトキシフェニル)−2−(2−モルホリン−4−イルエチル)ピリミジン−4−イル]−3−ピリジルアミン(11)
乾燥丸底フラスコにLiAlH(4当量)を充填し、乾燥THFを添加する。その懸濁液を0℃に冷却し、化合物10のTHF溶液を滴下する。その反応混合物を4時間室温で攪拌し、次いで0℃に冷却し、水、続いて10% NaOH、その後再び水でクエンチする。その混合物を一晩攪拌し、その固体を濾過する。その水相をCHClで抽出し、その有機抽出物を収集し、乾燥させる(NaSO)。その溶媒を減圧下でエバポレートした後、分取用逆相HPLCにより精製して、[6−(3−メトキシフェニル)−2−(2−モルホリン−4−イルエチル)ピリミジン−4−イル]−3−ピリジルアミン 11を得る。
【0269】
【化160】

[2−(ブロモエチル)−6−(3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−イル]−3−ピリジルアミン(15)
[2−エチル−6−(3−メトキシフェニル)ピリミジン−4−イル]−3−ピリジルアミン14(上記の手順に類似の手順で合成した)(1当量)を、酢酸中に溶解し、次いで酢酸ナトリウム(2当量)を添加する。この混合物に、臭素(1当量)の酢酸溶液を滴下する。その反応系を室温で3時間攪拌する。その反応混合物を減圧下で濃縮し、水を添加し、その溶液を飽和NaCO水溶液で塩基性(pH約10〜11)にする。粉砕したその生成物15を濾過し、乾燥させ、以下の工程でそのまま使用する。
【0270】
[6−(3−メトキシフェニル)−2−(モルホリン−4−イルエチル)ピリミジン−4−イル]−3−ピリジルアミン(16)
化合物15(1当量)を、3mlのジメチルアセトアミド中に溶解し、モルホリン(5当量)を添加する。その反応混合物を60℃で4時間攪拌し、次いで、室温に冷却する。水をその混合物に添加し、その粉砕されたものを濾過し、水で洗浄し、分取用逆相HPLCにより精製し、[6−(3−メトキシフェニル)−2−(モルホリン−4−イルエチル)ピリミジン−4−イル]−3−ピリジルアミン 16を得る。
【0271】
(実施例164:4−C置換および4−O置換のピリミジニル化合物)
4位での置換は、実施例163に記載されるように、アミノ基に限定されない。4位はまた、酸素リンカーまたは炭素リンカーを有し得る。エーテルおよび4−アリール、アルキルもしくは4−置換アルキルピリミジンを、当業者に公知であり、以下のスキーム4および5により例示されるように、標準的な手順(すなわち、SNAr、Mitsunobu、Suzuki、Stille、HeckおよびSonogashiraのカップリング)を介して入手し得る。
【0272】
【化161】

(4−アルコキシ−6−(3−メトキシフェニル)−2−モルホリン−4−イルピリミジン(18)の合成のための一般的手順)
NaH(鉱油中60%、約1.2当量)を、乾燥NMP中に懸濁し、その所望のアルコール(1当量)を添加する。その反応混合物を室温で1時間攪拌し、次いで、トリフレート17を一度に添加し、その混合物を100℃で2時間加熱する。その反応系を室温に冷却し、水でクエンチし、60℃に加熱する。その水をCHClで抽出し、その有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、エバポレートし、分取用逆相HPLCにより精製し、化合物18を得る。
【0273】
(6−(3−メトキシフェニル)−2−モルホリン−4−イル−4−アリール(またはヘテロアリール)オキシピリミジン(20)の合成のための一般的手順)
その所望のヒドロキシ置換芳香族化合物もしくはヒドロキシ置換ヘテロ芳香族化合物(1当量)およびトリフレート17(1当量)を、DMF中で溶解し、固体KCO(2当量)を一度に添加する。その反応混合物を115℃で一晩攪拌する。その反応混合物を室温に冷却し、DMFの大部分を蒸留して除去し、水をその残渣に添加して、沈殿物を得る。その固体を濾過し、乾燥させ、分取用逆相HPLCによって精製し、化合物19を得る。エステル19を、EtOHと30% NaOH(1:1)との混合液中に溶解し、その溶液を60℃で一晩加熱する。その溶液を室温に冷却し、濃縮する。分取用逆相HPLCにより精製して、化合物20を得る。
【0274】
(Suzukiカップリングのための一般的手順:3−メトキシ−1−(2−モルホリン−4−イル−6−アリール(またはヘテロアリール)ピリミジン−4−イル)ベンゼン(22)の合成)
丸底フラスコに、2N NaCO溶液(4当量)およびTHFを充填し、その混合物を、分散チューブを介してNとともに散布する。トリフレート21(1当量)および所望のボロン酸もしくはボロネート(1.2当量)をその後添加し、続いて、Pd(dppf)Cl(2.5mol%)を添加する。その反応混合物を一晩還流し、室温に冷却し、EtoAcで希釈する。その2相を分離させ、その有機相を、2N NaCO水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥させる(NaSO)。減圧下でその溶媒をエバポレートし、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の化合物22を得る。
【0275】
(Sonogashiraカップリングのための一般的手順:3−メトキシ−1−(2−モルホリン−4−イル−6−アルキニルピリミジン−4−イル)ベンゼン(23)の合成)
丸底フラスコにTHFを充填し、その溶媒を、分散チューブを使用して、窒素と共に10分間散布する。そのアルキン(1当量)、ピロリジン(2当量)およびトリフレート21(1当量)を添加し、同時に窒素をその溶液に通気する。Pd[P(Ph)(2.5mol%)を最後に添加し、その散布を停止する。そのフラスコに還流凝集器を備え付け、その反応混合物を一晩窒素下で還流し、次いで、室温に冷却する。そのTHFをエバポレートし、その残渣を水およびエーテルで粉砕し、分取用逆相HPLCにより精製して、生成物23を得る。
【0276】
【化162】

6−(3−メトキシフェニル)−2−モルホリン−4−イルピリミジン−4−カルボニトリル(24)
乾燥した丸底フラスコにトリフレート21(1当量)およびシアン化亜鉛(2当量)を充填し、DMFを添加する。窒素をその溶液に5分間通気させ、Pd[P(Ph)を一度に添加する。その反応混合物を90℃で一晩攪拌する。室温に冷却した後、飽和NaHCOを添加し、その混合物をEtOAcで抽出する。その有機抽出物を収集し、乾燥させる(NaSO)。減圧下で溶媒をエバポレートし、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン中の10% メタノール)により精製して、所望の生成物24を得る。
【0277】
6−(3−メトキシフェニル)−2−モルホリン−4−イルピリミジン−4−カルボン酸(29)
化合物24を、EtOHと30% NaOH水溶液の1:1混合物中に溶解する。その溶液を100℃に2時間加熱する。その混合物を室温に冷却し、濃縮し、1N HClで中和する。このようにして形成された沈殿物を水で2回洗浄し、乾燥させ、所望の生成物25を得る。
【0278】
(N,N−二置換[6−(3−メトキシフェニル)−2−モルホリン−4−イルピリミジン−4−イル]カルボキサミド(30)の合成)
カルボン酸29(1当量)をDMF中に懸濁する。EtN(2当量)および所望のアミン(1.3当量)を添加し、続いてEDC(1.2当量)およびHOAT(1.2当量)を添加する。反応混合物を室温で2日間攪拌する。水を添加し、そして混合物をEtOAcで抽出する。残渣を、分取HPLCによって精製して、所望の生成物30を得る。
【0279】
上記化合物を、当業者に公知の合成方法論によってさらに改変し得る。化合物23では、三重結合が、触媒(例えば、Ni、10% Pd/C、5% Pd/C、またはLindlar触媒)の適切な選択により、水素添加条件下で完全または部分的に還元され得る。ニトリル24は、異なる条件下で還元されて、4−アミノメチルピリミジン25またはアルデヒド27となり得、これらは、カルボン酸(25について)または還元的アミノ化(25および27の両方について)でキャップされてさらに二官能基化されて、種々の4−アミノメチル置換ピリミジンが得られ得る。
【0280】
(実施例165)
(6−置換ピリミジニル化合物)
6位の基は、芳香族1,2−ジアルデヒド、1,3−ジアルデヒドおよび1,4−ジアルデヒドが、Knoevenagel縮合工程における基質として用いられる場合、スキーム6によって例示されるように、高度中間体の形成後に、合成改変に供され得る。次いで、ホルミル基は、直接的に還元されて、ヒドロキシメチルとなり得るか、または還元的アミノ化のためのハンドルとして用いられ得る。
【0281】
【化163】

(2−[(3−ホルミルフェニル)メチレン]プロパン−1,3−二酸ジエチル(32))
ベンゼン1,3ジカルバルデヒド(1当量)を、トルエン中に溶解し、そしてジエチルマロネート(1当量)を添加し、続いてピペリジン(0.1当量)およびAcOH(0.1当量)を添加する。フラスコは、Dean Starkトラップを備え、そして反応混合物を一晩還流する。反応混合物を室温まで冷却し、水、2%HCl水溶液、飽和NaHCO水溶液、ブラインで洗浄し、そして乾燥する。溶媒を減圧下でエバポレートして、生成物32をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって単離する。
【0282】
(2−[(3−(1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニル)メチレン]プロパン−1,3−二酸ジエチル(33))
トルエン中の、先の反応からの生成物32の溶液を濾過し、丸底フラスコに移し、そしてエチレングリコール(2.4当量)を添加し、続いてp−トルエンスルホン酸(0.5当量)を添加する。この反応混合物をDean−Starkトラップを用いて一晩還流し、次いで室温まで冷却し、飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、そして乾燥(NaSO)した。生成物33を、さらに精製せずに、そのまま次の工程において用いる。
【0283】
(4−(3−(1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニル)−6−モルホリン−4−イル−2−オキソ−1,3,4−トリヒドロピリジン−3−カルボキン酸エチル(34))
乾燥した丸底フラスコに、乾燥EtOHを充填し、そしてNa(3当量)を添加する。反応混合物を、Naが完全に溶解するまで攪拌し、次いでモルホリノカルボキサミジン塩酸塩(1.2当量)を添加し、続いて化合物33(1当量)を添加する。反応混合物を室温で一晩攪拌する。溶媒を減圧下で除去し、そして水を残渣に添加する。このようにして得られた固体を濾過し、水で洗浄し、そして乾燥して、粗製物34を得て、この粗製物34を、さらなる精製を行わずに次の工程において用いる。
【0284】
(4−(3−(1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニル)−6−モルホリン−4−イルヒドロピリジン−2−オン(36))
基質34(1当量)をCHCN中に溶解する。DDQ(1.2当量)を添加する。反応混合物を室温で一晩攪拌する。溶媒をエバポレートし、そして残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(CHCl中10% MeOH)によって精製して、所望のエステル35を得て、このエステル35は、化合物20について以前に記載した条件と同様の条件下で加水分解および脱カルボン酸化を受けて、36が得られる。
【0285】
(4−(3−(1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニル)−6−モルホリン−4−イル−2−ピリジル(トリフルオロメチル)スルホネート(37))
表題化合物を、上記の化合物9について用いた手順同じ手順に従って調製する。
【0286】
([4−(3−(1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニル)−6−モルホリン−4−イル(2−ピリジル)]−3−ピリジルアミン(38))
オーブンで乾燥してN雰囲気下で保った丸底フラスコにCsCO(1.4当量)、Pd(OAc)(5mol%)、およびS−(−)−BINAP(7.5mol%)を充填する。このフラスコをNで約5〜10分間パージし、そして乾燥THF中の化合物37(1当量)の溶液をシリンジによって添加し、続いて3−アミノピリジン(2当量)を少しずつ添加する。このフラスコに還流凝縮器を備え、Nで5分間、再度パージし、そして反応混合物を一晩還流する。反応混合物を室温まで冷却し、そして溶媒を減圧下でエバポレートする。残渣を水(×2)で洗浄し、そしてメタノールで粉砕して、化合物38を得る。
【0287】
(3−[2−モルホリン−4−イル−6−(3−ピリジルアミノ)−4−ピリジル]ベンズアルデヒド(39))
化合物38を、湿ったアセトン中に懸濁し、そしてp−トルエンスルホン酸(0.2当量)を添加した。反応混合物を一晩還流し、次いで減圧下で濃縮した。残渣をジエチルエーテル、水、およびMeOHで粉砕して、所望のアルデヒド39を得た。
【0288】
({3−[2−モルホリン−4−イル−6−(3−ピリジルアミノ)−4−ピリジル]フェニル}メタン−1−オール(40))
アルデヒド39をTHF中に懸濁し、そしてDIBALH(THF中の1.6N溶液、3当量)をシリンジで滴下する。反応混合物を室温で一晩攪拌し、次いで水でクエンチする。水相をEtOAcで繰り返し抽出する。有機抽出物を収集し、そして乾燥する(NaSO)。減圧下での溶媒のエバポレーションおよび逆相分取HPLCによる精製によって、化合物40を得る。
【0289】
6位の置換基は、上記に記載のように、Knoevenagel工程において適切なアルデヒドを用いて変更され得る。これらの基質は、芳香族アルデヒドに限定される必要はない。合成経路は、ヘテロ芳香族アルデヒド、複素環アルデヒドおよび脂肪族アルデヒドにまで広げられ得る。特に、置換されたフェニルアセトアルデヒド(41、n=l)および3−フェニルプロピオンアルデヒド(41、n=2)は、化合物(例えば、42)への接近を可能にし、ここでは、置換された芳香族基は、スキーム7に示すように、単一の炭素によって、または2炭素スペーサーによって、ピリミジンコアへと連結される
【0290】
【化164】

(実施例166)
(PI3Kアッセイ手順)
(方法1:均質液相アッセイ)
試験されるべき化合物をDMSO中に溶解し、そして1ウェルあたり1.25μLにおいて384ウェルフラッシュプレートに直接分配する。反応を開始するために、20μLの6nM PI3キナーゼを各ウェルに添加し、続いて痕跡量の放射標識ATPおよび900nM 1−α−ホスファチジルイノシトール(PI)を含む20μLの400nM ATPを添加する。これらのプレートを短時間遠心分離して、あらゆる空気ギャップを除去する。反応を15分間行い、次いで、20μLの100mM EDTAの添加によって停止させる。停止した反応物をRTで一晩インキュベートして、脂質基質を、疎水性相互作用によりフラッシュプレートの表面に結合させる。次いで、このウェル中の液体を洗浄し、そして標識基質をシンチレーション計数で検出する。
【0291】
(方法2:一工程固相アッセイ)
この方法は、脂質基質(1−α−ホスファチジルイノシトール)が、コーティング緩衝液中に最初に溶解されて、室温で一晩、フラッシュプレート上でインキュベートされて、脂質基質が疎水性相互作用によってフラッシュプレートの表面に結合されること以外は、方法1と類似する。次いで、未結合の基質が洗浄除去される。アッセイの当日に、20μLの6nM PI3キナーゼが各ウェルに添加され、続いて痕跡量の放射標識ATPを含む20μLの400nM ATPが添加される。化合物を酵素およびATPと一緒に、脂質でコーティングされたプレートに添加する。これらのプレートを短時間遠心分離して、空気のギャップを除去する。反応を2〜3時間行う。反応を、20μLの100mM EDTAの添加、または迅速なプレート洗浄によって停止する。リン酸化脂質基質を、シンチレーション計数によって検出する。
【0292】
実施例11a、13、19、34〜49、51〜53、55、57〜59、61〜64、68、71〜76、79、81、82、85〜87、89〜91、118、119、121、122、124および133〜156の化合物は、上記のように、均質溶液アッセイ(方法1)によって試験したところ、PI3Kに関して20μM未満のIC50値を示した。実施例20、21、23、47、55〜60、62、63、65、70、71〜75、77〜95、97〜120、122〜125、127、129、130、133、137および143〜155の化合物は、上記のように、一工程固相アッセイ(方法2)によって試験したところ、PI3Kに関して20μM未満のIC50値を示した。
【0293】
本発明による有機化合物が、互変異性の現象を示し得ることが理解されるべきである。本明細書中の化学構造は、可能な互変異性形態のうちの1つを単に例示し得るので、本発明が、示した構造の任意の互変異性形態を包含することが理解されるべきである。
【0294】
本発明が、例示のために本明細書中に示された実施形態に限定されず、上記の開示の範囲内に入る、その全てのこのような形態を包含することが理解される。
【0295】
本発明の好ましい実施形態が例示および記載されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、この中で種々の変更が行われ得ることが認識される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

を有する化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に受容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグであって、ここで、
Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(3)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(4)置換または非置換のアリール、
(5)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(6)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)−O−、
(5)−S−、
(6)−SO−、
(7)−SO−、
(8)−C(R2x,R3x)−、および
(9)
【化2】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、およびR3xは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(d)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(e)置換または非置換のアリール、
(f)置換または非置換のヘテロシクリル、
(g)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、そして
mは、0、1、2、3、または4であり;
は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOH、
(4)ハロ、
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され、
ここで、R1tは、HまたはC〜C−アルキルであり;
は、以下
(1)置換または非置換のアリール、
(2)置換または非置換のヘテロアリール、および
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、
からなる群より選択され;そして
Wは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)−N(R1w,R2w)、および
(3)
【化3】

からなる群より選択され、
ここで、R1wおよびR2wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のアリール、
(d)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(e)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、R1wおよびR2wは、両方ともHであることはなく;
Zは、以下
(a)−O−、
(b)−NR−、
(c)−S−、
(d)−SO−、
(e)−SO−、および
(f)−CH−、
からなる群より選択され、
ここで、Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基であり;そして
4wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)−COOR5w
(d)−CONH
(e)−OR5w、および
(f)−NHR5w
からなる群より選択され、
ここで、R5wは、HまたはC〜C−アルキルであり;そしてrは、0、1、または2であり;
但し、XがOである場合、Yは、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリル、または置換もしくは非置換のヘテロアリールであり;
但し、Wがモルホリノ、チオモルホリノ、1−オキシド−チオモルホリノ、1,1−ジオキシドモルホリノ、ピペラジノ、またはN置換ピペラジノであり、Rがモルホリノ、チオモルホリノ、1−オキシド−チオモルホリノ、1,1−ジオキシド−チオモルホリノ、ピペラジノ、またはN’−[アセチル(1〜3個の炭素原子のアルカノイル)]ピペラジノであり、そしてXがNHである場合、Yは、水素でも、1〜3個の炭素原子のアルキルでも、シクロヘキシルでも、フェニルでも、クロロ−フェニルでも、カルボキシ−フェニルでも、カルボメトキシ−フェニルでも、ピリジルでもなく;
但し、Wがモルホリノ、チオモルホリノ、1−オキシド−チオモルホリノ、1,1−ジオキシドモルホリノ、ピペラジノ、またはN置換ピペラジノであり、Rがモルホリノ、チオモルホリノ、1−オキシド−チオモルホリノ、1,1−ジオキシド−チオモルホリノ、ピペラジノ、またはN’−[アセチル(1〜3個の炭素原子のアルカノイル)]ピペラジノであり、そしてXが直接的連結である場合、Yは、フェニルでも、置換または非置換のC〜Cアルキルでも、1−オキシドチオモルホリノでもなく;そして
但し、Rが、水素、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ハロ、ニトロ、アミノ、スルホンアミド、またはアルキルスルホニルアミノから選択される1〜5個の置換基で独立して置換されたフェニルであり、Rが、水素、ハロアルキル、アルキル、またはハロであり、そしてXがNR1xである場合、Yは、置換もしくは非置換のヘテロアリール、または置換もしくは非置換のヘテロシクリルである、
化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、ここで
Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のアリール、
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(4)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【化4】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、R3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;そして
Wは、以下
【化5】

からなる群より選択され、
ここで、Zは、−O−または−NR−であり、ここで、R4は、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルである、
化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、ここで
Yは、以下
(1)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(2)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【化6】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、R3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;そして
Wは、以下
【化7】

からなる群より選択され、
ここで、Zは、−O−または−NR−であり、ここで、R4wは、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルである、
化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物であって、ここで
Yは、置換または非置換のアリールであり;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【化8】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、R3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;そして
Wは、以下
【化9】

からなる群より選択され、
ここで、Zは、−O−または−NR−であり、ここで、R4wは、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルである、
化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物であって、ここで
Yは、置換または非置換のアルキルであり;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【化10】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、R3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;そして
Wは、以下
【化11】

からなる群より選択され、
ここで、Zは、−O−または−NR−であり、ここで、R4wは、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルである、
化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物であって、ここで
Yは、以下
(1)置換または非置換のヘテロシクリル、
(2)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【化12】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、およびR3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;
は、置換または非置換のアリールであり;そして
Wは、
【化13】

であり、
ここで、Zは、−O−または−NH−である、
化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物であって、ここで
Yは、置換または非置換のアリールであり;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【化14】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、R3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;
は、置換または非置換のアリールであり;そして
Wは、
【化15】

であり、
ここで、Zは、−O−または−NH−である、
化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物であって、ここで
Yは、置換または非置換のアルキルであり;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、および
(4)
【化16】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、R3xは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換のC〜C−アルキルであり;
は、置換または非置換のアリールであり;そして
Wは、
【化17】

であり、
ここで、Zは、−O−または−NH−である、
化合物。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式II:
【化18】

を有し、ここで、Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のアリール、
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(4)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;そして
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)
【化19】

からなる群より選択される、
化合物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式II:
【化20】

を有し、ここで、YおよびXは、一緒になって、以下
【化21】

からなる群より選択される、化合物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式II:
【化22】

を有し、ここで、YおよびXは、一緒になって、以下
【化23】

からなる群より選択される、化合物。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式II:
【化24】

を有し、ここで、YおよびXは、一緒になって、以下
【化25】

からなる群より選択される、化合物。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式III:
【化26】

を有し、
ここで、R、R、R、Rは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COORt
(4)−COONH
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択される、化合物。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式IV:
【化27】

を有し、
ここで、R、R、R、Rは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOR1t
(4)−COONH
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択される、化合物。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式V:
【化28】

を有し、
ここで、R、R、R、Rは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOR1t
(4)−COONH
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され;そして
2aおよびR2bは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のアルキル、
(3)ハロ、
(4)−(CH−N(R2c,R2d)、
(5)−(CH−N(R2c,R2d)COR2e
(6)−(CHOR2e
(7)−(CHOCOR2e
(8)−(CHOCOOR2e
(9)−(CH−COOR2e
(10)−(CH−CONR2c
(11)−CN、
(12)−NO
(13)−SONH
(14)−NHSOCH、および
(15)−SO2f
からなる群より選択され、
ここで、R2c、R2d、R2e、およびR2fは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のアルキル、および
(c)置換または非置換のフェニル、
からなる群より選択され;そして
qは、0、1、2、3、または4である、
化合物。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式VI:
【化29】

を有し、ここで、Rは、以下
【化30】

からなる群より選択される、化合物。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式VII:
【化31】

を有し、ここで、R、R、R、およびR10は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOR1t
(4)−COONH
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択される、化合物。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式VIII:
【化32】

を有し、ここで、R、R、R、R10は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のアルキル、
(3)−COOR1t
(4)−CONH
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択される、化合物。
【請求項19】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式IX:
【化33】

を有し、ここで、R1aおよびR1bは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のアルキル、
(3)ハロ、
(4)−(CH−N(R2c,R2d)、
(5)−(CH−N(R2c,R2d)COR2e
(6)−(CHOR2e
(7)−(CHOCOR2e
(8)−(CHOCOOR2e
(9)−(CH−COOR2e
(10)−(CH−CONR2c
(11)−CN、
(12)−NO
(13)−SONH
(14)−NHSOCH、および
(15)−SO2f
からなる群より選択され、
ここで、R2c、R2d、R2e、およびR2fは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のアルキル、および
(c)置換または非置換のフェニル、
からなる群より選択され;そして
ここで、Rは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOR1t
(4)−CONH
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択される、化合物。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式X:
【化34】

を有し、ここで、Rは、以下
【化35】

からなる群より選択される、化合物。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式XI:
【化36】

を有し、ここで、R2gは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のアルキル、
(3)−CONHR2h
(4)−CON(R2h)−(CH2−3−N(R2h,R2i)、
(5)−COR2j
(6)−CO2j
(7)−COC〜C−アルキル−COH、
(8)−CH−OC(=O)R2i
(9)−CH−OC(=O)NHCHR2iCO2j
(10)−P(=O)(OR2k,OR2p)、
(11)
【化37】

、および
(12)
【化38】

からなる群より選択され、
ここで、R2h、R2i、R2j、R2k、およびR2pは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のアルキル、および
(c)置換または非置換のアリール、
からなる群より選択される、化合物。
【請求項22】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、式XII:
【化39】

を有し、ここで、R2gは、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のアルキル、
(3)−CONHR2h
(4)−CON(R2h)−(CH2−3−N(R2h,R2i)、
(5)−COR2j
(6)−CO2j
(7)−COC〜C−アルキル−COH、
(8)−CH−OC(=O)R2i
(9)−CH−OC(=O)NHCHR2iCO2j
(10)−P(=O)(OR2k,OR2p)、
(11)
【化40】

、および
(12)
【化41】

からなる群より選択され、ここで、R2h、R2i、R2j、R2k、およびR2pは、
以下
(a)H、
(b)置換または非置換のアルキル、および
(c)置換または非置換のアリール、
からなる群より選択される、化合物。
【請求項23】
組成物であって、該組成物が、薬学的に受容可能なキャリア、およびヒト被験体または動物被験体に投与した場合に該ヒト被験体または該動物被験体においてホスホチジルイノシトール(PI)3−キナーゼ活性を阻害するのに有効な量の化合物を含有し、ここで、該化合物が、式I:
【化42】

を有するか、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に受容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグであって、ここで、
Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(3)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(4)置換または非置換のアリール、
(5)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(6)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)−O−、
(5)−S−、
(6)−SO−、
(7)−SO−、
(8)−C(R2x,R3x)−、および
(9)
【化43】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、およびR3xは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(d)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(e)置換または非置換のアリール、
(f)置換または非置換のヘテロシクリル、
(g)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、そして
mは、0、1、2、3、または4であり;
は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOH、
(4)ハロ、
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され、
ここで、R1tは、HまたはC〜C−アルキルであり;
は、以下
(1)置換または非置換のアリール、
(2)置換または非置換のヘテロアリール、および
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、
からなる群より選択され;そして
Wは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)−N(R1w,R2w)、および
(3)
【化44】

からなる群より選択され、
ここで、R1wおよびR2wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のアリール、
(d)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(e)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、R1wおよびR2wは、両方ともHであることはなく;
Zは、以下
(a)−O−、
(b)−NR−、
(c)−S−、
(d)−SO−、
(e)−SO−、および
(f)−CH−、
からなる群より選択され、
ここで、Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基であり;そして
4wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)−COOR5w
(d)−CONH
(e)−OR5w、および
(f)−NHR5w
からなる群より選択され、
ここで、R5wは、HまたはC〜C−アルキルであり;そして
rは、0、1、または2である、
組成物。
【請求項24】
請求項23に記載の組成物であって、癌の処置のための少なくとも1つの追加薬剤をさらに含有する、組成物。
【請求項25】
請求項24に記載の組成物であって、ここで、前記癌の処置のための少なくとも1つの追加薬剤が、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、グリーベック、ハーセプチン、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、カルボプラチン、シスプラチン、タキサン、テザシタビン、シクロホスファミド、ビンカアルカロイド、イマチニブ、アントラサイクリン、リツキシマブ、タモキシフェン、CPT11、およびトラスツズマブから選択される、組成物。
【請求項26】
ホスホチジルイノシトール(PI)3−キナーゼ活性の調節によって状態を処置するための方法であって、このような処置の必要なヒト被験体または動物被験体に、有効量の式I:
【化45】

を有する化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に受容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグを投与する工程を包含し、ここで、
Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(3)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(4)置換または非置換のアリール、
(5)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(6)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)−O−、
(5)−S−、
(6)−SO−、
(7)−SO−、
(8)−C(R2x,R3x)−、および
(9)
【化46】

からなる群より選択され、そしてここで、R1x、R2x、およびR3xは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(d)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(e)置換または非置換のアリール、
(f)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(g)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、そして
mは、0、1、2、3、または4であり;
は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOH、
(4)ハロ、
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され、
ここで、R1tは、HまたはC〜C−アルキルであり;
は、以下
(1)置換または非置換のアリール、
(2)置換または非置換のヘテロアリール、および
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、
からなる群より選択され;そして
Wは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)−N(R1w,R2w)、および
(3)
【化47】

からなる群より選択され、
ここで、R1wおよびR2wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のアリール、
(d)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(e)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、R1wおよびR2wは、両方ともHであることはなく;
Zは、以下
(a)−O−、
(b)−NR−、
(c)−S−、
(d)−SO−、
(e)−SO−、および
(f)−CH−、
からなる群より選択され、
ここで、Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであり;そして
4wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)−COOR5w
(d)−CONH
(e)−OR5w、および
(f)−NHR5w
からなる群より選択され、
ここで、R5wは、HまたはC〜C−アルキルであり;そして
rは、0、1、または2である、
方法。
【請求項27】
前記化合物が、細胞増殖アッセイにおいて、約20μM未満のIC50値を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記状態が癌である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
ヒト被験体または動物被験体においてホスホチジルイノシトール(PI)3−キナーゼ活性を阻害するための方法であって、該ヒト被験体または該動物被験体に、該ヒト被験体または該動物被験体においてホスホチジルイノシトール(PI)3−キナーゼ活性を阻害するのに有効な量の化合物を含有する組成物を投与する工程を包含し、ここで、該化合物が、式I:
【化48】

を有するか、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に受容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグであり、ここで、
Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(3)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(4)置換または非置換のアリール、
(5)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(6)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)−O−、
(5)−S−、
(6)−SO−、
(7)−SO−、
(8)−C(R2x,R3x)−、および
(9)
【化49】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、およびR3xは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(d)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(e)置換または非置換のアリール、
(f)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(g)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、そして
mは、0、1、2、3、または4であり;
は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOH、
(4)ハロ、
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され、
ここで、R1tは、HまたはC〜C−アルキルであり;
は、以下
(1)置換または非置換のアリール、
(2)置換または非置換のヘテロアリール、
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、
からなる群より選択され;そして
Wは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)−N(R1w,R2w)、および
(3)
【化50】

からなる群より選択され、
ここで、R1wおよびR2wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のアリール、
(d)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(e)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、R1wおよびR2wは、両方ともHであることはなく;
Zは、以下
(a)−O−、
(b)−NR−、
(c)−S−、
(d)−SO−、
(e)−SO−、および
(f)−CH−、
からなる群より選択され、
ここで、Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基であり;そして
4wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)−COOR5w
(d)−CONH
(e)−OR5w、および
(f)−NHR5w
からなる群より選択され、
ここで、R5wは、HまたはC〜C−アルキルであり;そして
rは、0、1、または2である、
方法。
【請求項30】
ヒト被験体または動物被験体において癌の障害を処置するための方法であって、該ヒト被験体または該動物被験体に、該ヒト被験体または該動物被験体においてホスホチジルイノシトール(PI)3−キナーゼ活性を阻害するのに有効な量の化合物を含有する組成物を投与する工程を包含し、ここで、該化合物が、式I:
【化51】

を有するか、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に受容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグであり、ここで、
Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(3)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(4)置換または非置換のアリール、
(5)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(6)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)−O−、
(5)−S−、
(6)−SO−、
(7)−SO−、
(8)−C(R2x,R3x)−、および
(9)
【化52】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、およびR3xは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(d)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(e)置換または非置換のアリール、
(f)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(g)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、そして
mは、0、1、2、3、または4であり;
は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOH、
(4)ハロ、
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され、
ここで、R1tは、HまたはC〜C−アルキルであり;
は、以下
(1)置換または非置換のアリール、
(2)置換または非置換のヘテロアリール、および
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、
からなる群より選択され;そして
Wは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)−N(R1w,R2w)、および
(3)
【化53】

からなる群より選択され、
ここで、R1wおよびR2wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のアリール、
(d)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(e)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、R1wおよびR2wは、両方ともHであることはなく;
Zは、以下
(a)−O−、
(b)−NR−、
(c)−S−、
(d)−SO−、
(e)−SO−、および
(f)−CH−、
からなる群より選択され、
ここで、Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基であり;そして
4wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)−COOR5w
(d)−CONH
(e)−OR5w、および
(f)−NHR5w
からなる群より選択され、
ここで、R5wは、HまたはC〜C−アルキルであり;そして
rは、0、1、または2である、
方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、癌の処置のための少なくとも1つの追加薬剤を、前記ヒト被験体または前記動物被験体に投与する工程をさらに包含する、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、ここで、前記癌の処置のための少なくとも1つの追加薬剤が、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、グリーベック、ハーセプチン、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、カルボプラチン、シスプラチン、タキサン、テザシタビン、シクロホスファミド、ビンカアルカロイド、イマチニブ、アントラサイクリン、リツキシマブ、タモキシフェン、CPT11、およびトラスツズマブから選択される、方法。
【請求項33】
ヒト被験体または動物被験体において腫瘍増殖を阻害するための方法であって、それを必要とする該ヒト被験体または該動物被験体に、有効な量の式I:
【化54】

を有する化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に受容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグを投与する工程を包含し、ここで、
Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(3)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(4)置換または非置換のアリール、
(5)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(6)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)−O−、
(5)−S−、
(6)−SO−、
(7)−SO−、
(8)−C(R2x,R3x)−、および
(9)
【化55】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、およびR3xは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(d)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(e)置換または非置換のアリール、
(f)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(g)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、そして
mは、0、1、2、3、または4であり;
は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOH、
(4)ハロ、
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され、
ここで、R1tは、HまたはC〜C−アルキルであり;
は、以下
(1)置換または非置換のアリール、
(2)置換または非置換のヘテロアリール、および
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、
からなる群より選択され;そして
Wは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)−N(R1w,R2w)、および
(3)
【化56】

からなる群より選択され、
ここで、R1wおよびR2wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のアリール、
(d)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(e)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、R1wおよびR2wは、両方ともHであることはなく;
Zは、以下
(a)−O−、
(b)−NR−、
(c)−S−、
(d)−SO−、
(e)−SO−、および
(f)−CH−、
からなる群より選択され、
ここで、Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基であり;そして
4wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)−COOR5w
(d)−CONH
(e)−OR5w、および
(f)−NHR5w
からなる群より選択され、
ここで、R5wは、HまたはC〜C−アルキルであり;そして
rは、0、1、または2である、
方法。
【請求項34】
ヒト被験体または動物被験体において毛細血管の増殖を阻害するための方法であって、それを必要とする該ヒト被験体または該動物被験体に、有効な量の式I:
【化57】

を有する化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に受容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグを投与する工程を包含し、ここで、
Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(3)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(4)置換または非置換のアリール、
(5)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(6)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)−O−、
(5)−S−、
(6)−SO−、
(7)−SO−、
(8)−C(R2x,R3x)−、および
(9)
【化58】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、およびR3xは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(d)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(e)置換または非置換のアリール、
(f)置換または非置換のヘテロシクリル、
(g)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、そして
mは、0、1、2、3、または4であり;
は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOH、
(4)ハロ、
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され、
ここで、R1tは、HまたはC〜C−アルキルであり;
は、以下
(1)置換または非置換のアリール、
(2)置換または非置換のヘテロアリール、および
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、
からなる群より選択され;そして
Wは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)−N(R1w,R2w)、および
(3)
【化59】

からなる群より選択され、
ここで、R1wおよびR2wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のアリール、
(d)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(e)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、R1wおよびR2wは、両方ともHであることはなく;
Zは、以下
(a)−O−、
(b)−NR−、
(c)−S−、
(d)−SO−、
(e)−SO−、および
(f)−CH−、
からなる群より選択され、
ここで、Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基であり;そして
4wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)−COOR5w
(d)−CONH
(e)−OR5w、および
(f)−NHR5w
からなる群より選択され、
ここで、R5wは、HまたはC〜C−アルキルであり;そして
rは、0、1、または2である、
方法。
【請求項35】
癌の処置において使用するための化合物であって、該化合物が、式I:
【化60】

を有するか、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に受容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグであり、ここで、
Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(3)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(4)置換または非置換のアリール、
(5)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(6)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)−O−、
(5)−S−、
(6)−SO−、
(7)−SO−、
(8)−C(R2x,R3x)−、および
(9)
【化61】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、およびR3xは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(d)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(e)置換または非置換のアリール、
(f)置換または非置換のヘテロシクリル、
(g)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、そして
mは、0、1、2、3、または4であり;
は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOH、
(4)ハロ、
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され、
ここで、R1tは、HまたはC〜C−アルキルであり;
は、以下
(1)置換または非置換のアリール、
(2)置換または非置換のヘテロアリール、および
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、
からなる群より選択され;そして
Wは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)−N(R1w,R2w)、および
(3)
【化62】

からなる群より選択され、
ここで、R1wおよびR2wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のアリール、
(d)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(e)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、R1wおよびR2wは、両方ともHであることはなく;
Zは、以下
(a)−O−、
(b)−NR−、
(c)−S−、
(d)−SO−、
(e)−SO−、および
(f)−CH−、
からなる群より選択され、
ここで、Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基であり;そして
4wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)−COOR5w
(d)−CONH
(e)−OR5w、および
(f)−NHR5w
からなる群より選択され、
ここで、R5wは、HまたはC〜C−アルキルであり;そして
rは、0、1、または2である、
化合物。
【請求項34】
ヒト被験体または動物被験体において毛細血管の増殖を阻害するための方法であって、それを必要とする該ヒト被験体または該動物被験体に、有効な量の式I:
【化63】

を有する化合物、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に受容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグを投与する工程を包含し、ここで、
Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(3)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(4)置換または非置換のアリール、
(5)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(6)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)−O−、
(5)−S−、
(6)−SO−、
(7)−SO−、
(8)−C(R2x,R3x)−、および
(9)
【化64】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、およびR3xは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(d)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(e)置換または非置換のアリール、
(f)置換または非置換のヘテロシクリル、
(g)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、そして
mは、0、1、2、3、または4であり;
は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOH、
(4)ハロ、
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され、
ここで、R1tは、HまたはC〜C−アルキルであり;
は、以下
(1)置換または非置換のアリール、
(2)置換または非置換のヘテロアリール、および
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、
からなる群より選択され;そして
Wは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)−N(R1w,R2w)、および
(3)
【化65】

からなる群より選択され、
ここで、R1wおよびR2wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のアリール、
(d)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(e)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、R1wおよびR2wは、両方ともHであることはなく;
Zは、以下
(a)−O−、
(b)−NR−、
(c)−S−、
(d)−SO−、
(e)−SO−、および
(f)−CH−、
からなる群より選択され、
ここで、Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基であり;そして
4wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)−COOR5w
(d)−CONH
(e)−OR5w、および
(f)−NHR5w
からなる群より選択され、
ここで、R5wは、HまたはC〜C−アルキルであり;そして
rは、0、1、または2である、
方法。
【請求項36】
癌の処置のための医薬の製造における化合物の使用であって、該化合物が、式I:
【化66】

を有するか、またはその立体異性体、互変異性体、薬学的に受容可能な塩、エステル、もしくはプロドラッグであり、ここで、
Yは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(3)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(4)置換または非置換のアリール、
(5)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(6)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され;
Xは、以下
(1)直接的連結、
(2)−N(R1x)−、
(3)−(CH−C(R2x,R3x)−N(R1x)−、
(4)−O−、
(5)−S−、
(6)−SO−、
(7)−SO−、
(8)−C(R2x,R3x)−、および
(9)
【化67】

からなる群より選択され、
ここで、R1x、R2x、およびR3xは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のC〜C−アルケニル、
(d)置換または非置換のC〜C−アルキニル、
(e)置換または非置換のアリール、
(f)置換または非置換のヘテロシクリル、
(g)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、そして
mは、0、1、2、3、または4であり;
は、以下
(1)H、
(2)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(3)−COOH、
(4)ハロ、
(5)−OR1t、および
(6)−NHR1t
からなる群より選択され、
ここで、R1tは、HまたはC〜C−アルキルであり;
は、以下
(1)置換または非置換のアリール、
(2)置換または非置換のヘテロアリール、および
(3)置換または非置換のヘテロシクリル、
からなる群より選択され;そして
Wは、以下
(1)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(2)−N(R1w,R2w)、および
(3)
【化68】

からなる群より選択され、
ここで、R1wおよびR2wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)置換または非置換のアリール、
(d)置換または非置換のヘテロシクリル、および
(e)置換または非置換のヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、R1wおよびR2wは、両方ともHであることはなく;
Zは、以下
(a)−O−、
(b)−NR−、
(c)−S−、
(d)−SO−、
(e)−SO−、および
(f)−CH−、
からなる群より選択され、
ここで、Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキル基であり;そして
4wは、以下
(a)H、
(b)置換または非置換のC〜C−アルキル、
(c)−COOR5w
(d)−CONH
(e)−OR5w、および
(f)−NHR5w
からなる群より選択され、
ここで、R5wは、HまたはC〜C−アルキルであり;そして
rは、0、1、または2である、
使用。

【公開番号】特開2011−79846(P2011−79846A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262154(P2010−262154)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【分割の表示】特願2005−510381(P2005−510381)の分割
【原出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【出願人】(591076811)ノバルティス バクシンズ アンド ダイアグノスティックス,インコーポレーテッド (265)
【Fターム(参考)】