説明

ホスホリパーゼA2の酵素活性を阻害するのに有効である可能性がある物質の活性の試験方法

【課題】ホスホリパーゼA2の酵素活性を阻害するのに有効である可能性がある物質の活性の試験方法を提供すること。
【解決手段】a)有効である可能性のある物質を
−ホスホリパーゼA2、および
−エステルの形の少なくとも1種の脂肪酸、好ましくは15〜22個の炭素原子を有する長鎖である脂肪酸、さらに好ましくは不飽和または多不飽和である脂肪酸を含むリン脂質である基質であって、その加水分解の際に少なくとも1種の脂肪酸を放出することが可能である基質
との存在下に置くこと、および
b)特に、上記脂肪酸の存在を検知すること、および場合によってその量を決定することを含む、前記ホスホリパーゼA2の酵素活性を測定すること
を含む方法。この試験方法は特にホスホリパーゼA2の酵素活性を阻害することが可能な有効成分の同定および選別を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本質的に、皮膚炎症を低減することが可能な有効成分、および主に化粧品または医薬の分野におけるその用途に関する。
【0002】
本発明は本質的に、炎症の分野において有効である可能性のある物質を試験する方法に関する。
【0003】
本発明は本質的に、酵素ホスホリパーゼA2(PLA2)を阻害する能力に基づく、炎症の分野において有効である可能性のある物質の探求および同定のための新規試験方法およびその用途に関する。
【0004】
本発明は本質的に、このようにして検出された炎症の分野において有効である新規物質および化粧品または皮膚薬もしくは医薬分野における、特に皮膚刺激の徴候を低減することができるケアを実施するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0005】
技術水準
今日まで研究所で開発された抗炎症製品は皮膚炎症に対抗することを意図したものであるが、これらは皮膚の炎症(発疹、ふけ、乾燥症、しみ)に結びつけられた活性を実証することが可能な条件に適合されていない研究モデルで選択される。
【0006】
使用されるモデルは実際、せいぜい動物について開発されたものであり、これらのモデルでは発生したストレスが非常に激しい状態で存続するが、その理由は、ストレスとしては
−特定点のUV照射であり、発疹を発生させ、有効であると考えられる製品を塗布した後、この発疹の消失を検査することを目的としたもの、
−リポポリサッカライド(LPS)および/またはグアニジンおよび/またはカラゲーンさえもの皮下注射であり、モルモットに浮腫を創出し、次いで有効であると考えられる活性生成物を適用した後、この浮腫の消失を検査するようにしたもの
であり得るからである。
【0007】
炎症のメディエーターの合成に関与する酵素、ホスホリパーゼA2の阻害を扱うインビトロ試験も開発されたが、これらの試験はインビボで遭遇する条件からは非常にかけ離れているため、それほど意義があるものではない。
【0008】
公知のインビトロ試験の詳細
上記の試験は感度に問題があり、使用しているモデルの構成成分の性質によりインビボで遭遇する状況から非常にかけ離れている。したがって、例えば仏国特許出願公開第2,757,395号明細書(特許文献1)は炎症反応において遭遇するこの酵素の天然の基質から非常にかけ離れた基質と反応させたホスホリパーゼA2の阻害について記載している。この基質、ジミリストイルL−ホスファチジルコリン、は実際、2つのC14脂肪酸(炭素数14の飽和炭化水素脂肪酸鎖)を含むリン脂質である。現在、この基質およびこれらの脂肪酸は炎症のメディエーターを形成する連鎖に関与していないが、その理由は、この場合ホスホリパーゼA2により加水分解される不飽和C20脂肪酸(アラキドン酸)を保有しているのはリン脂質であるからである。
【0009】
さらに、この文献においては、SN2位置の脂肪酸は酵素により加水分解され、この脂肪酸が放出され、360nmにおける分光測光で測定される媒質にこの脂肪酸が不溶性であることにより、溶液が曇って見える。この技法はそれほど敏感ではなく、一方では阻害剤の信頼性のある分類を得ることができず、他方ではこの技術は、溶液を曇らせることでホスホリパーゼA2の阻害の正確な測定を不可能にする親油性または乳化性分子を検査することができない。
【0010】
A2ホスホリパーゼ(PLA2)類
ホスホリパーゼA2は細胞により膜レベルで生成される酵素である。この酵素はマスト細胞のような炎症現象に結びついた細胞中に多い。この酵素は2型求核置換(SN2)位置の膜リン脂質を加水分解して脂肪酸を放出する。
【0011】
概略的にいうと、ホスホリパーゼは3つのタイプの機能をその属性として考えることができる。すなわち、消化機能、細胞の構造を維持する役割を果たし、脱アシル化/再アシル化サイクルを含む膜リン脂質の再構築機能、および最後に膜リン脂質から生物活性生成物の産生によるシグナルの導入機能である。したがって、ホスホリパーゼの活性化の調節がシグナル・カスケードの、したがって炎症反応時のシグナル増幅の支配的な要素になるであろう。
【0012】
PLA2類は最初に種々の種、すなわち哺乳動物(膵臓PLA2)、ヘビ、昆虫(毒PLA2)の細胞外媒質中で同定された。後に5つの群のPLA2類が定義され、酵素学的および構造機能的の両方により特徴付けられた(表1)。
【0013】
【表1】

【0014】
これらの酵素は同じ基質、すなわちSN2位置でそれらが加水分解するリン脂質が共通して有しており、それらは2−アシルヒドロラーゼであり、この位置に存在する脂肪酸とリソリン脂質とを放出する。
【0015】
しかしながら、これらの酵素群は機能、存在位置、調節、作用機作、シーケンス、構造、および二価イオン依存性が異なっている。
【0016】
最初の3つの群は細胞外酵素すなわち分泌されたPLA2類(sPLA2類)として単離され、多数のジスルフィド架橋、約15kDaの分子質量を有し、それらの活性のために高濃度のカルシウムを必要とする。
【0017】
PLA2類は、本質的に構造の相同性に基づいてこれら3つの群の一つに分類される。大多数のPLA2類は非ヒト酵素であるが、ヒト分泌PLA2類も滑液(II群)またはヒト膵臓(I群)中に存在する。
【0018】
もっともよく特徴付けられているPLA2は、ヒト滑液に由来するII群の分泌PLA2である。PLA2類のIV群は細胞質PLA2(cPLA2)と呼ばれる高分子量(85kDa)の細胞内酵素一種類のみを含み、これはアラキドン酸の担体であるリン脂質に特異的である。このcPLA2は細胞質内活性化に適合した濃度のカルシウムを必要とする。
【0019】
この酵素は細胞質ゾル性であり、細胞活性化の際に膜に転位する。
【0020】
この酵素はジスルフィド架橋を持たず、PKC類のファミリーおよびMAP類のファミリーのキナーゼにより活性化される。
【0021】
最後に、第5の群のPLA2、細胞質内PLA2について説明する。分子量40kDaのこの酵素もアラキドン酸を保有するリン脂質に特異的であり、その活性化のためにカルシウムを必要としない。
【0022】
非常に概略的にいうと、IV群のPLA2は生理学的条件下で優先的に使用される酵素であると考えられ、またsPLA2は炎症刺激に応答して合成かつ分泌されて炎症のメディエーターを生成するものと考えられる。
【0023】
それにもかかわらず、この区別は余りにも概略的である。実際、炎症反応中に起きる細胞活性化の際に、2種類のPLA2類、すなわちsPLA2とcPLA2とが誘導され、活性化される。
【0024】
種々の研究で乾癬において分泌されるPLA2類の活性の修飾が取り扱われている(フォースター(Forster)他、「ブラジリアン・ジャーナル・オブ・ダーマトロジー(Brazilian Journal of Dermatology)」、(ブラジル国)、1985年,第II2巻、p.135−147)(非特許文献1)。これらの研究はPLA2の特定の形態を同定していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2,757,395号明細書
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】フォースター(Forster)他、「ブラジリアン・ジャーナル・オブ・ダーマトロジー(Brazilian Journal of Dermatology)」、(ブラジル国)、1985年,第II2巻、p.135−147
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的
本発明の目的は、炎症分野における有効成分であって特に皮膚炎症を低減することが可能な有効成分に関する。
【0028】
本発明の目的は、ホスホリパーゼA2の酵素活性を阻害することが可能な炎症分野の有効成分を提供することからなる技術的課題を解決することである。
【0029】
本発明の目的は、皮膚薬または医薬分野、特に化粧用組成物または皮膚薬用組成物もしくは医薬用組成物を調製するための、これらの有効成分の使用を提供することからなる技術的課題を解決することである。
【0030】
本発明の目的はホスホリパーゼA2の酵素活性を有意に阻害することが可能な、有効である可能性のある物質の活性を試験する方法を提供することからなる技術的課題を解決することである。
【0031】
本発明は、本質的にI型および/またはII型ホスホリパーゼA2に関する。
【0032】
本発明の目的は、炎症の分野で有効である可能性がある物質を酵素ホスホリパーゼA2の阻害の能力に基づいて探求かつ同定するためのこの試験方法の使用からなる新規な技術的課題を解決することである。
【0033】
本発明の目的は、上記試験方法により同定された有効成分、この有効成分を含む化粧用組成物、または皮膚薬用組成物もしくは医薬用組成物を、特に、多かれ少なかれ外部の物理的作用因子または炎症症候群に結びついた外皮の発疹または発赤、乾燥症または皮膚乾燥、皮膚のはりの弛緩もしくは色調の消失、および非常に乾燥した皮膚に見られるしみ、または小さな破裂した血管の外観、のような皮膚刺激の徴候を低減することができるケアを実施するために提供することからなる技術的課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は上記の技術的課題のすべてを、特に予期しない仕方で解決することを可能にする。
【0035】
したがって、本発明は、有意にホスホリパーゼA2の酵素活性を阻害することが可能な、有効である可能性がある物質の活性を試験する新規な方法を提供する。
【0036】
本発明はまた、酵素ホスホリパーゼA2を阻害する能力に基づく、炎症の分野において有効である可能性がある物質の探求および同定のための、この試験方法の使用を提供する。
【0037】
第1の態様に従えば、本発明は、ホスホリパーゼA2、好ましくはI型またはII型ホスホリパーゼA2の酵素活性を有意に阻害するのに有効である可能性がある物質の活性を試験する方法であって、
a)上記有効である可能性がある物質を
−ホスホリパーゼA2、および
−エステルの形の少なくとも1種の脂肪酸、好ましくは15〜22個の炭素原子を含む長鎖である脂肪酸、さらに好ましくは不飽和または多不飽和である脂肪酸を含むリン脂質である基質であって、その加水分解の際に少なくとも1種の脂肪酸を放出することが可能である基質
との存在下に置くこと、および
b)特に上記放出された脂肪酸の存在を検知すること、および場合によってその量を決定することを含む、上記ホスホリパーゼA2の酵素活性を測定することを含む方法を提供する。
【0038】
上記酵素活性の測定は、好ましくは非エステル化脂肪酸を測定することにより行われる。
【0039】
本発明者は、本明細書のこの項において「ホスホリパーゼA2」という用語をI型および/またはII型ホスホリパーゼA2に関連して使用する。
【0040】
「阻害する」とは、本発明者によれば、上記有効成分がホスホリパーゼA2を、温度、接触時間、および操作条件のすべての条件が同等であるかまたは他の点で匹敵するが、有効である可能性のある物質とホスホリパーゼA2を接触させずに誘発させた酵素活性よりも少ない酵素活性を誘発させるように阻害することを意味する。
【0041】
本発明者が本発明の文脈内で好適であると考えるのは、スクリーニングの際の有効である可能性のある分子の選択が、非常に強いとみなされているPLA2活性の阻害について行うことができることであり、それは、これらの阻害が、温度、接触時間、操作条件のすべての条件が同等であるかまたは他の点で匹敵するが、PLA2を有効である可能性のある物質と接触させずに測定した参照活性の50%以上であるときである。
【0042】
他の好適な実施形態では、上記試験方法はI型ホスホリパーゼA2を用いて、特に、ホスホリパーゼA2の酵素活性の阻害に関して少なくとも有意に有効である可能性のある物質を予備選択するために行われる。この方法は、再び、II型ホスホリパーゼA2を用いて、特にI型および/またはII型ホスホリパーゼA2の酵素活性を有意に阻害することが可能な、有効である可能性のある物質を確認するために行われる。これは広く入手可能ではなく高価なII型ホスホリパーゼA2の使用を最低限にすることを可能にする。
【0043】
好適な実施形態によると、酵素I型および/またはII型ホスホリパーゼA2はセイヨウミツバチ毒に由来し、またはウシの膵臓に由来し、またはストレプトマイセス・ビオラセオルベル酵母に由来し、またはヘビ(トウブダイヤガラガラヘビ、またはニシダイヤガラガラヘビ、またはミナミガラガラヘビ、またはナジャ・モッサンビカ・モッサンビカ)毒に由来し、または人もしくは動物の細胞溶解産物、または人または動物の体液(滑液)に由来し、あるいはこのようにして得られた酵素の任意の可能な混合物の一種に由来する。
【0044】
本発明の好適な実施形態によると、上記酵素I型ホスホリパーゼA2はブタの膵臓に由来する。
【0045】
本発明の好適な実施形態によると、上記酵素II型ホスホリパーゼA2はヒトの滑液に由来するか、またはトウブダイヤガラガラヘビのヘビ毒に由来する。
【0046】
本発明の好適な実施形態によると、基質は、2型求核置換(SN2)位に長鎖、好ましくはC15〜C22炭素原子の長鎖を有する少なくとも1種の脂肪酸、さらに好ましくは、この脂肪酸は不飽和もしくは多不飽和である脂肪酸を含むリン脂質の性質を有する。
【0047】
好適な実施形態によると、基質はアラキドン酸の少なくとも1種のエステル誘導体から選ばれ、基質はβ−アラキドノイル−γ−パルミトイル・L−α−ホスファチジルコリンであるのが好ましい。
【0048】
好適な実施形態によると、上記方法はホスホリパーゼA2の補因子と接触させることを含む。
【0049】
補因子の濃度は、好ましくは0.0001%〜10%である。補因子は二価イオンであるのが好適である。さらに好適には、補因子は特定の補因子、すなわちカルシウムである。
【0050】
好適な実施形態によると、上記方法は溶解剤と接触させることを含む。溶解剤の濃度は、好ましくは0.001%〜10%である。好適には、溶解剤はデオキシコール酸ナトリウムである。
【0051】
第2の態様によると、本発明は、ホスホリパーゼA2、特にI型および/またはII型ホスホリパーゼA2の、酵素活性を有意に阻害することが可能な少なくとも1種の有効成分を同定するための、上記または下記の試験方法の使用に関する。
【0052】
好適には、有効成分の存在下で測定されたホスホリパーゼA2活性が、温度、接触時間、および操作条件のすべての条件が同等であるかまたは他の点で匹敵するようにしてホスホリパーゼA2を上記有効である可能性のある物質と接触させることなく測定した活性よりも低くなった瞬間からホスホリパーゼA2の酵素活性が阻害される。
【0053】
第3の態様によると、本発明は、ホスホリパーゼA2、特にI型および/またはII型ホスホリパーゼA2の、酵素活性を有意に阻害することが可能な有効成分に関し、上記ホスホリパーゼA2の酵素活性は、ホスホリパーゼA2を
−上記有効成分、
−エステルの形の少なくとも1種の脂肪酸、好ましくは15〜22個の炭素原子を有する長鎖である脂肪酸、さらに好ましくは不飽和または多飽和である脂肪酸を含むリン脂質である基質であって、その加水分解の際に少なくとも1種の脂肪酸を放出することが可能である基質
と接触させることを行うことで測定される。
【0054】
上記試験方法の上述の種々の実施形態は、上述のように有効成分を同定および/または選別するために実施することができる。すなわち、特に、下記の通りである。
【0055】
好適な実施形態によると、酵素I型および/またはII型ホスホリパーゼA2はセイヨウミツバチ毒に由来し、またはウシの膵臓に由来し、またはストレプトマイセス・ビオラセオルベル酵母に由来し、またはヘビ(トウブダイヤガラガラヘビ、またはニシダイヤガラガラヘビ、またはミナミガラガラ、またはナジャ・モッサンビカ・モッサンビカ)毒に由来し、またはヒトもしくは動物の細胞溶解産物、またはヒトまたは動物の体液(滑液)に由来し、あるいはこのようにして得られた酵素の任意の可能な混合物の1種に由来する。
【0056】
本発明の好適な実施形態によると、上記酵素I型ホスホリパーゼA2はブタの膵臓に由来する。
【0057】
本発明の好適な実施形態によると、上記酵素II型ホスホリパーゼA2はヒトの滑液に由来するか、またはトウブダイヤガラガラヘビのヘビ毒に由来する。
【0058】
本発明の好適な実施形態によると、基質は、2型求核置換(SN2)位置に長鎖、好ましくはC15〜C22(炭素数15〜22)の長鎖を有する少なくとも1種の脂肪酸、さらに好ましくは、この脂肪酸は不飽和もしくは多不飽和である脂肪酸を含むリン脂質の性質を有する。
【0059】
好適な実施形態によると、基質はアラキドン酸の少なくとも1種のエステル誘導体から選ばれ、基質はβ−アラキドノイル−γ−パルミトイル・L−α−ホスファチジルコリンであるのが好ましい。
【0060】
好適な実施形態によると、上記方法はホスホリパーゼA2の補因子と接触させることを含む。
【0061】
補因子の濃度は、好ましくは0.0001%〜10%である。補因子は二価イオンであるのが好適である。さらに好適には、補因子は特定の補因子、すなわちカルシウムである。
【0062】
好適な実施形態によると、上記方法は溶解剤と接触させることを含む。溶解剤の濃度は、好ましくは0.001%〜10%である。好適には、溶解剤はデオキシコール酸ナトリウムである。
【0063】
第4の態様によると、本発明は、ホスホリパーゼA2、特にI型および/またはII型ホスホリパーゼA2の、酵素活性を阻害することが可能な、上述の試験方法によって同定される有効成分に関する。
【0064】
第5の態様によると、本発明は、抗炎症および/または抗痛みおよび/または抗刺激および/または抗チクチク痛および/または抗ヒリヒリ痛および/または抗痒みおよび/または抗発疹および/または抗乾燥症および/または抗しみおよび/または抗皮膚組織弛緩効果を有する有効成分であって、ブドウ種子、クズ抽出物、プネウム・ボルドゥス(ボルド)抽出物、ウサギギク抽出物、レモン抽出物、ヒマワリ抽出物、カモミール抽出物、グルコン酸亜鉛、ガラナ抽出物、および蔓植物(ウンカリア・トメントーサ)抽出物、または上記有効成分の少なくとも2種の組み合わせから得られる配合剤の1種から選ばれ、上記植物抽出物は、好ましくは最終製品の0.1〜30%(w/w)の濃度で使用されることを特徴とする有効成分に関する。
【0065】
第6の態様によると、本発明は、ホスホリパーゼA2、特にI型および/またはII型ホスホリパーゼA2の、酵素活性を有意に阻害することが可能な有効成分であって、ブドウ種子、クズ抽出物、プネウム・ボルドゥス(ボルド)抽出物、ウサギギク抽出物、レモン抽出物、ヒマワリ抽出物、カモミール抽出物、グルコン酸亜鉛、ガラナ抽出物、および蔓植物(ウンカリア・トメントーサ)抽出物、または上記有効成分の少なくとも2種の組み合わせから得られる配合剤の1種から選ばれ、上記植物抽出物は、好ましくは最終製品の0.1〜30%(w/w)の濃度で使用されることを特徴とする有効成分に関する。
【0066】
第7の態様によると、本発明は、クズ根の植物抽出物、好ましくは0.1重量%〜20重量%、さらに好ましくは約5重量%(例えば、100gにする充分量の溶媒中に約5g)の濃度で、例えばブチレングリコールおよび/またはエタノールのようなアルコール/グリコールを例えば0%〜80%の濃度で、好ましくは約25%のブチレングリコール、および場合によってメチルパラベンのような防腐剤を0.01%〜0.5%、好ましくは約0.1%(w/w)の濃度で含有する水溶液中で抽出される植物抽出物に関する。「抽出物1」と呼ばれるこの抽出物は水性抽出物のみから調製される。
【0067】
第8の態様によると、本発明は、ブドウ種子からなるブドウ種子の植物抽出物、好ましくは0.1重量%〜20重量%、さらに好ましくは約2重量%(例えば、100gにする充分量の溶媒中に約2g)の濃度で、例えばブチレングリコールおよび/またはエタノールのようなアルコール/グリコールを例えば0%〜80%の濃度で、好ましくは約25%のブチレングリコール、および場合によってメチルパラベンのような防腐剤を0.01%〜0.5%、好ましくは約0.1%(w/w)の濃度で含有する水溶液中で抽出される植物抽出物に関する。「抽出物2」と呼ばれるこの抽出物は水性抽出物のみから調製される。
【0068】
第9の態様によると、本発明は、ボルド葉から調製されるボルドの植物抽出物、好ましくは、0.1重量%〜20重量%、さらに好ましくは約2重量%(例えば、100gにする充分量の溶媒中に約2g)の濃度で、例えばブチレングリコールおよび/またはエタノールのようなアルコール/グリコールを例えば0%〜80%の濃度で、好ましくは約25%のブチレングリコール、および場合によってメチルパラベンのような防腐剤を0.01%〜0.5%、好ましくは約0.1%(w/w)の濃度で含有する水溶液中で抽出される植物抽出物に関する。
【0069】
第10の態様によると、本発明は、ウサギギク植物から調製されるウサギギクの植物抽出物、好ましくは0.1重量%〜20重量%、さらに好ましくは約2重量%(例えば、100gにする充分量の溶媒中に約2g)の濃度で、例えばブチレングリコールおよび/またはエタノールのようなアルコール/グリコールを例えば0%〜80%の濃度で、好ましくは約25%のブチレングリコール、および場合によってメチルパラベンのような防腐剤を0.01%〜0.5%、好ましくは約0.1%(w/w)の濃度で含有する水溶液中で抽出される植物抽出物に関する。
【0070】
第11の態様によると、本発明は、刺激および/またはチクチク感および/または痒みを低減する目的、および/またはしみが表面に見られることおよび/または小さな破裂した脈管が現れることおよび/または皮膚組織の弛緩および/または皮膚色調の消失および/または皮膚乾燥を制限する目的で使用される組成物、特に化粧用組成物を調製するための、少なくとも一種の上記もしくは下記の有効成分および/または上記もしくは下記の抽出物の使用に関する。
【0071】
第12の態様によると、本発明は、炎症および/または痛みおよび/またはヒリヒリ感および/または外部の物理的作用因子または炎症症候群に多かれ少なかれ結びついている外皮の発疹および/または発赤および/または乾燥症を軽減する目的で使用される組成物、特に医薬組成物を調製するための、少なくとも一種の上記もしくは下記の有効成分および/または上記もしくは下記の抽出物の使用に関する。
【0072】
第13の態様によると、本発明は、ホスホリパーゼA2、特にI型および/またはII型ホスホリパーゼA2の酵素活性を阻害する目的で使用される化粧用組成物を調製するための、少なくとも一種の上記もしくは下記の有効成分および/または上記もしくは下記の抽出物の使用に関する。
【0073】
第14の態様によると、本発明は、ホスホリパーゼA2、特にI型および/またはII型ホスホリパーゼA2の酵素活性を阻害する目的で使用される医薬用組成物を調製するための、少なくとも一種の上記もしくは下記の有効成分および/または上記もしくは下記の抽出物の使用に関する。
【0074】
第15の態様によると、本発明は、少なくとも一種の上記もしくは下記の有効成分および/または上記もしくは下記の抽出物を含む化粧用組成物に関する。
【0075】
第16の態様によると、本発明は、少なくとも一種の上記もしくは下記の有効成分および/または上記もしくは下記の抽出物を含む医薬用組成物に関する。
【0076】
本発明の有効成分の濃度は全組成物の0.01重量%〜30重量%であるのが好ましい。
【0077】
有効成分は、いくつかの症状を処置するために、または同じ症状をより効果的に処置するために、それら同士の間で有益に組み合わせることができる。
【0078】
第17の態様によると、本発明は、上記の化粧用組成物を、それを必要とする人の皮膚の領域に局所塗布することを含む化粧的ケア方法に関する。
【0079】
好適には、この化粧的ケア方法は、刺激および/またはチクチク感および/または痒みのケア、および/またはしみが表面に見られることおよび/または小さな破裂した脈管が現れることおよび/または皮膚組織の弛緩および/または皮膚色調の消失および/または皮膚乾燥を制限または阻止するためのケアに関する。
【0080】
好適には、これらの皮膚組織は皮膚を含む。
【0081】
発明の詳細な説明
ホスホリパーゼA2(PLA2)の阻害の検討を、インビボで遭遇する状況にできるだけ近似させた反映であることを目標とした無細胞インビトロ・モデルで行う。
【0082】
I型およびII型のPLA2を、インビトロで、下記を含むモデルにおいて用いた。
1)アラキドン酸のエステル誘導体(例えば、ホスホリパーゼA2により加水分解される部位、SN2位にアラキドン酸を含有するリン脂質である、β−アラキドノイル・γ−パルミトイル・L−α−ホスファチジルコリン)、具体的には、炎症のメディエーターの合成に関与している脂肪酸、
2)二価イオン、触媒の役割を果たす(例えば、カルシウム)、および
3)アクチベーター、酵素の活性に不可欠であり、反応媒質中で基質の溶解剤の役割を果たし、酵素−基質相互作用を促進することができる(好ましくは、デオキシコール酸ナトリウム)。
【0083】
この反応混合物を、そのPLA2阻害活性を試験しようとしている有効である可能性のある種々の物質の存在下に置き、試験後の遊離脂肪酸の含有量を種々の方法(気相クロマトグラフィー、HPLC、比色測定法等)で評価することができ、これにより最良の阻害剤を選別することができる。
【0084】
本検討モデルにおいて好適に使用されるPLA2は、入手可能性とコストの理由からブタ膵臓(I型酵素)に由来し、
−I型PLA2とヒトII型PLA2均等物との間の相同性(Tatina他、「Blast2シーケンス−タンパク質とヌクレオチドの配列を比較する新しいツール(Blast 2 sequences−a new tool for comparing protein and nucleotide sequences)」、エフイーエムエス・マイクロバイオロジー・レターズ(FEMS Microbiology Letters)、第174巻、247−250(1999年))が54%を超えること、
−並行して行った検討により、本発明者はこれら2種の酵素が、与えられた阻害剤に従って比較的類似する活性スペクトルをもつことを示すことができたこと
が理解される。
【0085】
PLA2を基質、例えば、ホスホリパーゼA2により加水分解される部位、SN2位にアラキドン酸を含有するリン脂質である、β−アラキドノイル・γ−パルミトイル・L−α−ホスファチジルコリン、具体的には、炎症のメディエーターの合成に関与している脂肪酸、の存在下に置く。
【0086】
並行して、ホスホリパーゼA2の阻害のためのコントロールを取ることができるが、これは、例えば、下記のものであることができる。
−アリストロキン酸(8−メトキシ−6−ニトロフェナントロ(3,4−d)−1,3−ジオキソール−5−カルボン酸)、これは種々のウマノスズクサ属(Aristolochia)植物種から単離される主要な構成成分であり、ヘビ毒、特にタイワンコブラ(Naja naja atra)およびタイワンアマガサヘビ(Bungarus multicinctus)由来のヘビ毒を中和するための伝統的医薬中に使用されている。
【0087】
アリストロキン酸はインビトロでヘビ毒由来のPLA2の酵素活性および浮腫誘導活性を特異的に阻害することが証明されている(ビシュワナス・ビー.エス.(Vishwanath B. S.)「ヒト滑液から精製されたホスホリパーゼA2の浮腫誘導活性およびアリストロキン酸による阻害(Edema−Inducing activity of phospholipase A2 purified from human synovial fluid and inhibition by aristolochic acid) ,Inflammation)、第12巻、第6号、549−561、1988年;サンナナイク ビシュワナス ビー(Sannanaik Vishwanath B)、「アリストロキン酸とラッセルクサリヘビ・ホスホリパーゼA2との相互作用:酵素および病理学的活性に対する効果(Interaction of aristolochic acid with vipera Russelli phosphoripase A2: its effect on enzymatic and patholigical activities)」、「トクシコム(Toxicom)」、第25巻、929−937、1987年);モレノ ジェイジェイ(Moreno JJ)、「アラキドン酸カスケードに対するアリストロキン酸の効果および炎症のインビボ・モデル(Effect of aristolochic acid on arachidonic acid cascade and in vivo models of inflammation)」、 インミュノファーマコロジー(Immunopharmacology)、第26巻、1−9、1993年)」。
【0088】
− 臭化p−ブロモフェナシル、これは分泌されたPLA2類の特異的阻害剤である(マオ−ジアン エム(Mao−Qiang M)他、「分泌性ホスホリパーゼA2活性が透過性バリアのホメオスタシスに必要である」(Secretory phospholipase A2activity is required for permeability barrier homeostasis、 ザ・ジャーナル・オブ・インベスチゲイティブ・ダーマトロジー(J.Invest.Derm.)、第106巻、1996年,57−63)。
【0089】
反応媒質には下記のものも添加される。
− 触媒、好ましくはカルシウム。
− アクチベーター、これは酵素の活性に不可欠であり、例えばデオキシコール酸ナトリウムである。このアクチベーターは反応媒質中の基質の溶解度を増加することが可能であり、そのため酵素−基質相互作用を促進する。
【0090】
PLA2の阻害の検討は2段階で行うのが好ましい。
酵素をその補因子の存在下で所定の時間(例えば、約15分間)阻害剤とともにインキュベートし、次いで基質、好ましくはβ−アラキドノイル・γ−パルミトイル・L−α−ホスファチジルコリン、およびアクチベーター、好ましくはデオキシコール酸ナトリウム、の存在下に第2のインキュベーションを行う(例えば、約20分間)。
【0091】
このインキュベーションの終わりにおいて、例えば所定の波長における比色測定を引き続き行うことができる酵素的技法により反応媒質の非エステル化脂肪酸を測定する。
【0092】
並行して、阻害剤の存在下におけるホスホリパーゼA2の活性に対応するコントロール試験を行った。酵素活性を有意に阻害することが可能な有効物質を使用していることは所定波長の光学濃度の低下により、すなわちコントロールに対して反応媒質中に放出された脂肪酸が減少することによりはっきりと示される。
【0093】
このようにして、酵素PLA2を阻害することが可能な、有効である可能性がある物質のスクリーニングを行うことが可能となった。
【0094】
この技法により、約100個の分子についてスクリーニングを行って、種々のファミリーの有効である可能性がある成分、すなわち、植物抽出物、藻類、多糖類およびタンパク質からPLA2の強力な阻害活性を有するものを選別した。
【0095】
このスクリーニングにより出現し、それゆえI型PLA2の阻害活性を有する生成物は、炎症過程中の皮膚に見出される精選された酵素である、トウブダイヤガラガラヘビ(ヘビ毒)由来のII型PLA2と有効である可能性がある物質を接触させることを使用する同様の試験方法により評価する。
【0096】
このII型PLA2を用いる試験は、上述のように入手可能性とコストの理由で、一般にI型PLA2を使用する試験の後に行われる。したがって、I型PLA2を使用する試験方法により有効である可能性のある物質を予備選択し、次いでこの予備選択した物質の活性をII型PLA2を使用する試験方法で確認または反証すればよい。
【0097】
このように、特定の抽出物、すなわちブドウ種子抽出物、クズ抽出物、プネウムス・ボルドゥス(ボルド)抽出物、レモン抽出物、ヒマワリ抽出物、カモミール抽出物、グルコン酸亜鉛、ガラナ抽出物、蔓植物(ウンカリア・トメントーサ)抽出物、ウサギギク抽出物をそれらの有効性に基づいて選択した。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】抽出物1の種々の濃度に対する抗PLA2活性の結果を示すグラフである。抽出物1の濃度は横軸にパーセンテージ(%)で表した。PLA2阻害のレベルは縦軸にパーセンテージ(%)で表した。本図はクズ抽出物、すなわち抽出物1に関する実施例2用である。
【図2】図1と同様に、クズの抽出物1由来のI型PLA2と表IVの対象であるトウブダイヤガラガラヘビ由来のII型PLA2との間で抗PLA2活性を比較したグラフである。
【図3】実施例3による種々の濃度の抽出物2、ブドウ種子抽出物の抗PLA2活性の得られた結果を示すグラフである。抽出物2の濃度は横軸にパーセンテージ(%)で、PLA2阻害は縦軸にパーセンテージ(%)で表した。
【図4】抽出物2用の図2と同様のグラフであり、I型PLA2をII型PLA2と比較している。
【図5】実施例6のインビボ検討により、プラセボ配合剤、またはクズの抽出物1を3%含有する配合剤を28日間使用した後に皮膚刺激の徴候が増した、変化しなかった、または減少したボランティアの人数の分布を示すグラフである。
【図6】実施例6のインビボ検討により、プラセボ配合剤、またはクズの抽出物1を3%含有する配合剤を28日間使用した後の皮膚刺激の徴候の改善を示すグラフである。
【図7】皮膚刺激の徴候の強さの減少の結果をパーセンテージで表すグラフであり、実施例6のインビボ検討により、プラセボ配合剤と抽出物1を3%含有する配合剤とを比較している。
【図8】実施例6のヒトボランティアに関するインビボ検討の状況における、プラセボ配合剤と抽出物1を3%含有する配合剤との間で、軟化した皮膚またはしなやかになった皮膚を有するボランティアの数の比較をパーセンテージ(%)で示すグラフである。
【図9】図8と同様に、プラセボ配合剤と抽出物1を3%含有する配合剤との間で、処置を行うことを希望するか、または購買に対する強い要求を持つボランティアの数をパーセンテージ(%)で比較するグラフである。
【実施例】
【0099】
実施例においていかなる技術水準に関しても新規であると考えられるいかなる特徴も本発明の重要な部分を成し、その機能および一般性についての保護が求められる。
【0100】
さらに、説明および請求項において、特に指示しない限り%はすべて重量により、温度はすべて℃であり、圧力は気圧である。
【0101】
(活性のスクリーニングを用いる本発明の実施例1)
水溶液中のPLA2(35単位/ml)を、ホスホリパーゼA2により加水分解されるSN2位に、とりわけ炎症のメディエーターの合成に関与する重要な脂肪酸であるアラキドン酸を含有するリン脂質であるβ−アラキドノイル−γ−パルミトイル・L−α−ホスファチジルコリン3mMの存在下に置く。
【0102】
この反応媒質には、
−カルシウム(補因子):0.9mM
−デオキシコール酸ナトリウム(アクチベーター):1.6mM
も添加する。
【0103】
PLA2の阻害の検討を2段階で行う、すなわち、
a)酵素を阻害剤とともに補因子(カルシウム)の存在下で15分間外気温度(20℃)においてインキュベートする;
b)次いで、第2のインキュベーションを20分間、β−アラキドノイル−γ−パルミトイル・L−α−ホスファチジルコリン(3mM)およびデオキシコール酸ナトリウム(1.6mM)の存在下で行う。
【0104】
このインキュベーションの終点で、反応媒質の遊離脂肪酸、従って非エステル化遊離脂肪酸の測定を当業者に周知の伝統的酵素技法により行い、次いで比色測定を、例えばここでは550nmにおいて行うことが可能である。
【0105】
本発明に従って使用するコントロールは:
−アリストロキン酸(8−メトキシ−6−ニトロフェナントロ(3,4−d)−1,3−ジオキソール−5−カルボン酸)、
−臭化p−ブロモフェナシル、これは分泌されたPLA2の特異的阻害剤である。
【0106】
これらの分子により下記の結果が得られるようになった。
【0107】
【表2】

【0108】
有効である可能性がある被験物質および得られた結果を下表IIに示す:
【0109】
【表3】

【0110】
カボチャ、アルファルファ、カラシナ、レモン、クワの実、ヒマワリ、オトギリソウ、カンゾウ、カモミール、バニラ、ガラナ、ユキノシタ、レチヌス・エドデス、およびボルドの抽出物は下記の方法により調製する。すなわち、葉を水中に5%(w/w)、全植物体を水中に5%(w/w)、または果実を水中5%(w/w)になるように1晩4℃で浸漬を行う。次いで、得られた懸濁液の0.45μm超部分を濾過する。PLA2の阻害活性の測定は得られた濾液について直接行う。
【0111】
蔓植物、コケモモ、クズおよびブドウ種子の抽出物は根、全植物体または果実の粉砕後、70%エタノール中5%(w/w)でアルコール抽出することにより調製される。この混合物を60℃で1時間加熱することにより煎出物を調製する。次いで、上澄みを濾過した。第2の煎出物を70%エタノール中で同じ5%(w/w)の割合で得られた充填物から調製する。得られた2種の上澄みのアルコールをロータリー・エバポレータを用いて蒸発させ、次いで充填物を凍結乾燥により乾燥させる。
【0112】
得られた乾燥製品を水69.6%(w/w)、ブチレングリコール(25%)およびメチルパラベン(0.1%)からなる混合物中に5%に再溶解させる。
【0113】
「ウチワマメ粉」の溶液はウチワマメ・タンパク質と多糖類の混合物の水中5%(w/w)溶解物から得られる。
【0114】
有効物質の探索を可能にする本検討の終了時点において、特定の抽出物、すなわちブドウ種子抽出物、クズ抽出物、ボルド抽出物、レモン抽出物、アカシア抽出物、ヒマワリ抽出物、カモミール抽出物、グルコン酸亜鉛、ガラナ抽出物、および蔓植物(ウンカリア・トメントーサ)抽出物がそれらの有効性に基づいて選別される。
【0115】
(本発明の実施例2)
(1−クズ(Pueraria lobata)の抽出物すなわち抽出物1)
(A−一般性)
プエラリア・ロバータ(Pueraria lobata)(クズ、中国名Ge−gen)は風変わりな植物であり、蔓植物の蔓シュートのような巻きつく茎を有し、網や樹木に取り付くことができる。
【0116】
中国および日本原産であり、これらの国々ではその根が澱粉として調理に用いられているこの植物は、紀元前6世紀以降中国医学において多くの性質が知られており、その性質のうちの1つ、すなわち、薬剤中毒の克服を促進する性質はアメリカ人による最近の研究の主題であった。クズの根(葛根)は3種類のフラボノイド:プエラリン(puerarin)、ダイゼイン(daidzein)およびダイジン(daidzine)を含有している。この根は治療薬として定期的に消費されているが、その理由はアルコールの消費を減少させ、たばこ依存症を顕著に減少させるからである(シェーベック、ジェイ(Shebek, J)他、ジャーナル・オブ・オールタナティブ・アンド・コンプリメンタリ・メディスン(Journal of alternative and complementary medicine),45−48,2000)。
【0117】
(B−抽出物1の組成)
(根を粉砕し、次いで70%エタノール中で5%(w/w)アルコール抽出して抽出物1を調製)
混合物を60℃で1時間加熱することにより煎出物を調製し、次いで上澄みを濾過する。第2の煎出物を70%エタノール中で同じ5%(w/w)の割合で得られた充填物から調製する。得られた2種の上澄みのアルコールをロータリー・エバポレータを用いて蒸発させ、次いで充填物を凍結乾燥により乾燥させる。
【0118】
得られた乾燥製品を水69.6%(w/w)、ブチレングリコール(25%)およびメチルパラベン(0.1%)からなる混合物中に5%に再溶解させる。
【0119】
(C−抗PLA2活性)
(C1−遊離脂肪酸(非エステル化)の測定)
植物の水性抽出物(「抽出物1」と呼ぶ)の効果の用量依存性の検討を行って、選別された製品の、ブタ膵臓に由来するI型PLA2に対する作用の特異性を評価した。
【0120】
選別された製品の濃度を増加した際の抗PLA2活性を出発材料の3つの異なるバッチについて測定した。各測定は3回行った。
【0121】
得られた結果を下表IIIにまとめた。
【0122】
【表4】

【0123】
結果をコントロールに対する阻害(%)で表し、図1の対象とした。
【0124】
図1において、これらの結果から、選別された製品のPLA2に対する阻害効果は用量に関連していることが示されている。この結果はこの化合物の作用が検討したパラメータについて特異的であることを支持している。
【0125】
(C2−II型PLA2について測定した活性)
トウブダイヤガラガラヘビ(Crotalus adamanteus)由来のII型PLA2について用量効果曲線を作成して本発明者のスクリーニングモデルに使用したI型PLA2について得られた結果を確認した。
【0126】
【表5】

【0127】
結果をコントロールに対する阻害(%)で表し、図2の対象とした。
【0128】
図2において、ここに示されている結果から、選別された製品のI型PLA2またはII型PLA2に対する阻害活性は均等であることが示されている。このように、選別された製品は実際に炎症中に皮膚組織において遭遇するPLA2の形態を阻害することができ、このことから敏感肌を助けるための精選された道具となる。
【0129】
(本発明の実施例3)
(ブドウ種子からの抽出物(抽出物2))
種子を収穫し、70%アルコール中5%(w/w)でアルコール抽出して抽出物2を調製した。
【0130】
混合物を60℃で1時間加熱することにより煎出物を調製し、次いで上澄みを濾過する。第2の煎出物を70%エタノール中で同じ5%(w/w)の割合で得られた充填物から調製する。得られた2種の上澄みのアルコールをロータリー・エバポレータを用いて蒸発させ、次いで充填物を凍結乾燥により乾燥させる。
【0131】
得られた乾燥製品を水72.6%(w/w)、ブチレングリコール(25%)およびメチルパラベン(0.1%)からなる混合物中に2%に再溶解させる。
【0132】
(抗PLA2活性)
この物質の効果の用量依存性の検討を行い、選別された製品のPLA2に対する作用の特異性を評価した。
【0133】
選別された製品の濃度を増加した際の抗PLA2活性を出発材料の3つの異なるバッチについて測定した。各測定は3回行った。
【0134】
得られた結果を下表Vにまとめた。
【0135】
【表6】

【0136】
結果をコントロールに対する阻害(%)で表し、図3の対象とした。
【0137】
図3において、これらの結果から、選別された製品のPLA2に対する阻害効果は用量に関連していることが示されている。この結果はこの化合物の作用が検討したパラメータについて特異的であることを支持している。
【0138】
(II型PLA2について測定した活性)
II型PLA2について用量効果曲線を作成して、本発明者のスクリーニングモデルに使用したI型PLA2について得られた結果を確認した。
【0139】
【表7】

【0140】
結果をコントロールに対する阻害(%)で表し、図4の対象とした。
【0141】
図4において、ここに示されている結果から、選別された製品のI型PLA2またはII型PLA2に対する阻害活性は均等であることが示されている。このように、選別された製品は実際に炎症中に皮膚において遭遇するPLA2の形態を阻害することができ、このことから敏感肌を助けるための精選された道具となる。
【0142】
(本発明の実施例4)
(−抗炎症剤の活性)
調剤において古典的に使用されているステロイド系および非ステロイド系抗炎症剤を本発明者の検討モデルで試験して上記選別された製品で実証された有効性に関する活性を比較した。
【0143】
結果をコントロールに対する阻害(%)で表した。
【0144】
【表8】

【0145】
本発明者の検討モデルにおいて得られた結果により、古典的に検討されている抗炎症剤は、配合剤中に3%で使用すると、選別された上記有効物質よりも抗PLA2活性が低いことが示された。
【0146】
(本発明の実施例5)
(−クズの抽出物中に存在するフラボン類の同定)
クズはプエラリン(puerarin)、ダイゼイン(daidzein)、ダイジン(daidzine)およびゲニステイン(genistein)のようなイソフラボン類の含有量について知られている植物である。これらの分子は上記選別された製品中でHPLC技法により測定される。
【0147】
プエラリン、ダイジンおよびダイゼインの含有量が下表VIIIに記載されている。
【0148】
【表9】

【0149】
上記選別された製品中でゲニステインは非常に低濃度(計算値にして0.005%未満)であるため測定不能であった(カウフマン・ピー、他、1997)。
【0150】
しかしながら、市販の1%ゲニステイン溶液を本発明者のPLA2阻害モデルで評価して、結果(28.79%)を得た。これにより、この製品のゲニステイン含有量が0.005%未満である限り、このイソフラボンは選別された抽出物の活性には関与していないことが示されている。
【0151】
抽出物中に見出される濃度における3種類のイソフラボンの混合物の抗PLA2活性を開発された阻害モデルで評価する。
【0152】
これらの結果により、クズの抽出物中で同定されたイソフラボン類はPLA2の阻害活性には関与していないことが示された。
【0153】
(本発明の実施例6)
(−ヒトのボランティアについてのインビボ検討)
ヒトのボランティアについての検討を行って、抽出物1を3%含有する配合剤の、皮膚の炎症の間に観察される皮膚刺激の徴候に対する有効性を検査する。
【0154】
(1−検討のプロトコル)
50名のボランティアが28日間プラセボ配合剤を使用した。他の50名のボランティアが同じ期間、抽出物1を3%含有する配合剤を使用した。
【0155】
50名からなるグループをそれぞれ25名のボランティアからなる2つのサブグループに分割した。1つのサブグループは反応性皮膚を有するボランティア(「敏感肌」サブグループ、SS)からなり、もう1つのサブグループは反応性皮膚を持つと推定されるボランティア(「推定敏感肌」サブグループ、ESS)からなっていた。各サブグループへのボランティアの編入は本検討を行った研究室が2年間にわたって実証した臨床質問表を用いて行った。
【0156】
注:2つのサブグループ(SS+ESS)は皮膚刺激の徴候を示してもよい。
【0157】
配合剤(プラセボ配合剤または抽出物1を含有する配合剤)の一方または他方により28日間処置する前および後:
1):ボランティアの示す皮膚刺激の徴候を医師が「等級付け」した。
【0158】
観察された種々の徴候は下記の通りであった。
発疹:外部物理的作用因子または炎症症候群に結びついている外皮の多少とも局在したしみ
乾燥症:皮膚の乾燥を定義する医学用語であるが、強度を内包している。「乾燥症」という用語は中等度を超える乾燥を定義することが望まれるときに使用される。
弛緩:圧迫された皮膚の回復能力により臨床的に分析された皮膚の色調
しみ:顔面の乾燥皮膚上に現れる銅色〜バラ色の星状の小さな破裂した脈管(末梢血管拡張症)。
【0159】
本検討の終了時にボランティアは製品評価の質問表に回答した。
【0160】
(結果)
(全体的分析)
SSサブグループおよびESSサブグループ間で差異がなく、そして検討中に皮膚刺激の徴候が増大した、変化しない、または減少したボランティアの分布を検査すれば、次のことを観察することができる。
プラセボ配合剤を用いたボランティアについて:
4名は皮膚刺激の徴候の増大が見られた。
23名は皮膚刺激の徴候の変化が見られなかった。
23名は皮膚刺激の徴候の減少が見られた。
抽出物1を3%含有する配合剤を用いたボランティアについて:
0名は皮膚刺激の徴候の増大が見られた。
19名は皮膚刺激の徴候の変化が見られなかった。
31名は皮膚刺激の徴候の減少が見られた。
【0161】
図5に示すこれらの結果により、抽出物1を含有する配合剤は、プラセボ配合剤により提供されるよりも大きな皮膚刺激の臨床的徴候の改善を提供することが明らかに示されている(p<0.07、χ−2検定)。
【0162】
図5において、注意すべきことは、皮膚刺激の徴候が増大した、変化しない、または減少したボランティアの人数の分布はプラセボ配合剤またはクズの抽出物を3%含有する配合剤を28日間使用した後に検査したことである。
【0163】
(項目別分析)
SSサブグループおよびESSサブグループ間に差異がなければ、これら2種の配合剤(プラセボ配合剤および抽出物1を含有する配合剤)はパネリストが遭遇する皮膚刺激の臨床的徴候の大部分を有意に改善することができる(下図)。
【0164】
図6において、プラセボ配合剤または抽出物1を3%含有する配合剤を28日間使用した後の皮膚刺激徴候の改善が観察される:SSサブグループとESSサブグループを区別しない全体的分析
【0165】
図6に関して下記のコメントをすることができる。
ns:D0およびD28の間で有意の差がない。
*:D0およびD28の間で有意の差がある(p<0.05;ウィルコクソン一対符号付き順位検定)。
**:D0およびD28の間で有意の差がある(p<0.01;ウィルコクソン一対符号付き順位検定)。
***:D0およびD28の間で有意の差がある(p<0.001;ウィルコクソン一対符号付き順位検定)。
【0166】
皮膚刺激の臨床徴候の強度の減少パーセンテージ(%)
プラセボ配合剤:
発疹: −21.28±48.06%
乾燥症: −27.03±72.23%
弛緩: −27.12±43.45%
しみ: −26.32±79.75%
抽出物1を3%含有する配合剤:
発疹: −15.69±45.86%
乾燥症: −38.64±63.33%
弛緩: −31.01±51.94%
しみ: −41.94±85.04%
【0167】
これらの結果から示されることは、化粧用配合剤は、それがどのようなものであれ、単に塗布するだけで皮膚組織の一般的状態を改善することができるということである。この改善は多分クリームの塗布後に得られる水和によるものであると考えられる。しかしながら、この全体的結果はここで検討した「反応性皮膚」パラメータを考慮に入れておらず、結果の詳しい分析にはSSパネルとESSパネルとを分離するのが好適である。
【0168】
敏感肌のみを考慮するときは、抽出物1を3%含有する配合剤のみが検討した皮膚刺激の臨床徴候4例のうち3例を有意に改善することが可能である(図6)。プラセボ配合剤に関しては、この配合剤は「弛緩」項目のみを改善し(図6)、この項目はクリームの塗布後に得られる水和効果と関連している蓋然性が非常に高い。
【0169】
図7において、プラセボ配合剤または抽出物1を3%含有する配合剤を28日間使用した後の皮膚刺激徴候の改善が観察される:「敏感肌」サブグループの分析
【0170】
図7に関して下記のコメントをすることができる。
ns:D0およびD28の間で有意の差がない。
*:D0およびD28の間で有意の差がある(p<0.05;ウィルコクソン一対符号付き順位検定)。
**:D0およびD28の間で有意の差がある(p<0.01;ウィルコクソン一対符号付き順位検定)。
【0171】
皮膚刺激の臨床徴候の強度の減少パーセンテージ(%)
プラセボ配合剤:
発疹: −13.54±48.58%
乾燥症: −25.48±97.40%
弛緩: −32.11±54.40%
しみ: −9.02±60.61%
インヒパーゼ(INHIPASE(登録商標))を3%含有する配合剤:
発疹: −13.00±47.64%
乾燥症: −55.05±74.91%
弛緩: −34.68±54.78%
しみ: −60.61±117.23%
【0172】
結論として、抽出物1は皮膚が特に反応性である集団において皮膚刺激の臨床的徴候を特異的に低減することができる。この作用はこのタイプの人々に特に集中しているので、抽出物1は敏感肌に対抗する精選されたツールとなると考えられる。
【0173】
(製品評価の質問表)
28日間プラセボ配合剤または抽出物1を3%含有する配合剤を用いたボランティアに配られた質問表によっても、試験した製品間の有意の差を実証することができた(図8および図9)。
【0174】
抽出物1を3%含有する配合剤は皮膚の軟化を可能にし(p<0.05)、プラセボ配合剤を用いて得たものよりも有意に強く皮膚をしなやかにした(p<0.06)(図8)。
【0175】
図8において、皮膚の軟化および皮膚をよりしなやかにすることがプラセボ配合剤または抽出物1を3%含有する配合剤の28日間の塗布に応答して観察された。
【0176】
図8に関して下記のコメントをすることができる。
*:プラセボグループに対して有意に異なる(p<0.05;χ−2検定)
+:プラセボグループに対して有意に異なる(p<0.06;χ−2検定)
【0177】
さらに、ボランティアは抽出物1を3%含有する配合剤の方を明らかに好んだ(図9)。
→ボランティアの60%がその使用を継続することを希望した(対29%プラセボ配合剤希望、p<0.05)、および
→ボランティアの52%が明確に購入の意思を表明した(対26%プラセボ配合剤希望、p<0.06)
【0178】
図9に、購入の意思および処置継続の結果を示した。
【0179】
図9に関して下記のコメントをすることができる。
*:プラセボグループに対して有意に異なる(p<0.05;χ−2検定)
+:プラセボグループに対して有意に異なる(p<0.06;χ−2検定)
注:χ−2検定は集団の分布を比較している。
このグラフのデータはボランティアの人数で表されており、この場合は標準偏差を求める必要がない。
【0180】
抽出物1は、敏感肌を有する被験者が遭遇する皮膚刺激の徴候の低減に特異的に集中された作用を提供する。このことから、この有効物質は反応性皮膚の軽快および消費者が感じる化粧的塗布による不快な発赤およびチクチク感を直すための特に適したツールである。
【0181】
(本発明の実施例7)
(化粧用組成物または製薬用組成物の配合)
水中油エマルション型の化粧用組成物または製薬用組成物の配合における本発明の製品の使用
(配合剤7a)
【0182】
【表10】

【0183】
A相およびB相を別々に75℃に加熱し、次いで激しく撹拌しながらBをAに添加し、このようにして形成されたクリームが冷却する間に、C次いでDを添加する。
【0184】
(配合剤7b)
【0185】
【表11】

【0186】
A相を75℃に加熱し、このようにして調製された配合剤が冷却する間、撹拌しながらB次いでCを添加する。
【0187】
(配合剤7c)
【0188】
【表12】

【0189】
A相とB相を別々に75℃に加熱し、次いで激しく撹拌しながらBをAに添加し、このようにして形成されたクリームが冷却する間に、C次いでD、次いでE、次いでFを添加する。
【0190】
(本発明の実施例8)
油中水型配合剤における「抗炎症性」製品の使用
【0191】
【表13】

【0192】
A相とB相を別々に75℃に加熱し、次いで激しく撹拌しながらBをAに添加し、このようにして形成されたクリームが冷却する間に、C次いでD、次いでEを添加する。
【0193】
(本発明の実施例9)
洗顔ジェル型配合剤における「抗炎症性」製品の使用
【0194】
【表14】

【0195】
A相およびB相を外気温度で別々に調製し、次いで、撹拌しながらBをAに添加し、適度に撹拌しながら、C次いでD次いでEを添加する。
【0196】
(本発明の実施例10)
無水型配合剤における本発明の製品の使用
【0197】
【表15】

【0198】
A相およびB相を別々に80℃に加熱し、次いで、撹拌しながらBをAに添加する。
【0199】
(本発明の実施例11)
水性ジェル(顔用ジェル、ボディジェルなど)の配合剤における本発明の製品の使用
【0200】
【表16】

【0201】
すべての成分を添加し、均質な混合物が得られるまで全体を80℃に加熱することによりA相が調製される。次いで、このようにして形成されたジェルが冷却する間、激しく撹拌しながらBをAに添加する。
【0202】
(実施例12)
(無害性試験)
(本発明の製品を含有する標品の化粧用合格判定)
純粋状態で使用した保持化合物、すなわち抽出物1についてウサギにおける眼球評価、ラットにおける単独経口投与による異常な毒性の不在の検討、およびモルモットにおける感作能力の検討により毒性試験を行った。
【0203】
(1.ウサギの皮膚における一次刺激の評価)
「皮膚に対する急性刺激/腐食効果」の検討に関するOECD推奨の方法により、上記の標品を希釈せずに3匹のウサギの皮膚に0.5mlの薬用量で塗布した。
【0204】
製品は21/02/82付けのフランス共和国官報に公表された1/2/1982付けの指令に定義されている基準に従って分類する。これらの試験の結果、保有されている標品は皮膚に対して非刺激性であると分類されることを結論することができた。
【0205】
(2.ウサギにおける眼球刺激の評価)
「皮膚に対する急性刺激/腐食効果」の検討に関する1987年2月24日付けOECD第405号指令の推奨する方法に従って、3匹のウサギの眼に0.1mlの割合で1回上記の標品を純粋状態で点眼した。
【0206】
この試験の結果から、純粋状態で使用した場合、上記標品は91/326EEC指令の意味で眼に対して非刺激性であると考えることができると結論することができる。
【0207】
(3.ラットにおける単独経口投与による異常毒性の不在試験)
1987年2月24日付けOECD第401号指令により啓発され化粧品に適合されたプロトコルにより上記の標品を雄ラット5匹と雌ラット5匹とに5g/体重Kgの薬用量で1回経口投与した。
【0208】
LDおよびLD50は5,000mg/Kgよりも大きいことが見出された。試験した標品は従って摂取すると危険である標品には分類されない。
【0209】
(4.モルモットにおける皮膚感作能力の評価)
上記の標品をOECDの第406号指令に従ったプロトコルであるマグヌッソン(Magnusson)およびクリーグマン(Kligmann)により記載された最大化試験にかけた。
【0210】
上記標品は皮膚と接触しても非感作性であると分類された。
【0211】
(5.モルモットにおける局所塗布による光毒性および光アレルギーの可能性の評価)
10匹のモルモットに上記製品をそのまま1回局所塗布し、次いでUV光に曝露してその光毒性の可能性を評価した。
【0212】
次いで、試験すべき製品をそのまま繰り返し局所塗布することによって投与した後、UV光に曝露した(誘導曝露)。10日間の安息期間経過後、モルモットに試験すべき製品をそのまま一回未露光皮膚上に塗布し、次いでUV光に曝露した(開始曝露)。
【0213】
並行して、5匹のモルモットに同じ条件下で試験すべき製品を投与し、UV光には曝露せず、照射コントロールとした。
【0214】
試験すべき製品で処置し、次いでUV光に曝露した領域、並びにコントロールモルモットの未処置かつ曝露領域および処置かつ未曝露領域における発疹および浮腫の強度を比較することにより光毒性および光アレルギーの可能性の評価を行う。
【0215】
採用した実験条件下で、そのまま試験した製品は光毒性および光アレルギーの可能性がないと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブドウ種子抽出物、クズ抽出物、レモン抽出物、ヒマワリ抽出物、ガラナ抽出物、および上記有効成分の少なくとも2種の組み合わせから得られる配合剤の1種からなる群から選択される少なくとも1種の有効成分を含む、I型および/またはII型ホスホリパーゼA2の酵素活性を有意に阻害する組成物。
【請求項2】
前記組成物が、化粧用組成物または医薬組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記植物抽出物が、クズ根抽出物およびブドウ種子抽出物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
前記植物クズ根抽出物が、アルコール、グリコールまたはアルコール/グリコール混合物を含む水溶液中で抽出されることを特徴する請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記植物クズ根抽出物が、エタノール、ブチレングリコールまたはエタノール/ブチレングリコール混合物を含む水溶液中で抽出されることを特徴する請求項3に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−108104(P2009−108104A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32657(P2009−32657)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【分割の表示】特願2003−48891(P2003−48891)の分割
【原出願日】平成15年2月26日(2003.2.26)
【出願人】(500226948)ビーエーエスエフ ビューティ ケア ソリューションズ フランス エスエーエス (21)
【住所又は居所原語表記】32 rue Saint Jean−de−Dieu 69007 LYON, FRANCE
【Fターム(参考)】