説明

ホスホリルコリン類似構造を有する化合物および化粧料

【課題】良好な水溶性と安全性を併せ持ち、且つ優れた界面活性能を発揮することが期待される、ホスホリルコリン類似基を分子内に持つ新規な化合物および当該化合物を含有する使用感に優れた化粧料の提供。
【解決手段】下式で表される化合物。


(R1、R2:C8〜24の炭化水素基、OC24基、OC36基、OC48基又は、これら2種が混在した基、Aが1種の場合、mは1〜10、Aが2種の場合、mは平均値で4〜10。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホリルコリン類似構造を有する化合物、および該化合物を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ジェミニ型界面活性剤は、一分子内に複数の疎水性鎖と親水基を持つ多鎖多親水基型の両親媒性物質であり、近年、多数の大学や企業で活発に研究されている注目の化合物である。これまでに多種多様な構造のジェミニ型界面活性剤が合成され、それらの基本特性評価から、一般的な傾向として、(i)優れた界面特性(低い臨界ミセル濃度、高い表面および界面張力)、(ii)水溶液中での特異的な会合挙動、(iii)低いクラフト点、等のユニークな特性を示すことが明らかになっており、化粧品業界を含め様々な産業分野への応用が期待されている。
一方、ホスホリルコリン基は安全性が高い両性の親水基として広く知られており、同基を持つ代表的な化粧品原料としてリン脂質やレシチンがある。近年、これらの天然物に類似した構造を持つジェミニ型界面活性剤に関する研究開発が盛んに行われている。
例えば、非特許文献1には、親水基としてホスホリルコリン類似基を有するジェミニ型界面活性剤の合成およびその溶液物性に関する報告が為されており、該活性剤が優れた界面特性を有することが開示されている。
特許文献1には、ホスホリルコリン類似基を有する界面活性剤が、特許文献2には、ホスホリルコリン類似基を持つ界面活性剤を含有する洗浄用化粧料が開示されている。
しかしながら、これらに開示された界面活性剤はいずれも、疎水性鎖がアルキル基若しくはオキシアルキレン基であり、その鎖長が長い場合、分子としての疎水性が高くなるため水への溶解性に乏しく、化粧料、特に化粧水やローション等の水系の化粧料に配合し難いという課題があった。また水に難溶であるため、十分な界面活性能を示さないという問題もあった。一方、疎水性鎖の鎖長が短い場合、水への溶解性は改善するものの尚不十分である上に、分子量が小さくなるため、皮膚に浸透し易くなり、刺激性等の安全性の面での懸念が増大する。
特許文献3および4には、ホスホリルコリン類似基を持つ界面活性剤を含有する洗浄用化粧料が開示されている。該活性剤は、疎水性鎖である炭化水素鎖の一部に水酸基が導入されていることから、水への溶解性が改善されるが、依然として不十分な水準であり、また水溶性を高めるために鎖長を短くした場合、上述した安全性の面での課題が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−262184号公報
【特許文献2】特開2002−293732号公報
【特許文献3】特開2002−226360号公報
【特許文献4】特開2002−308719号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Org. Lett., Vol.1, No.9, 1347-1350頁(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、良好な水溶性と安全性を併せ持ち、且つ優れた界面活性能を発揮することが期待される、ホスホリルコリン類似基を分子内に持つ新規な化合物および当該化合物を含有する使用感に優れた化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ホスホリルコリン類似構造を有する化合物の疎水性鎖の一部に親水性の高いアミド結合を導入することにより、水への溶解性が飛躍的に向上し、水系化粧料への配合が容易になること、また該化合物は、安全性も高く、優れた界面特性も具備していること、加えて化粧料に配合した場合に良好な使用感を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明によれば、式(1)で表されるホスホリルコリン類似構造を有する化合物(以下、PC化合物と略す場合がある)が提供される。
【化1】

(式中、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数8〜24の炭化水素基を示す。AはОC24基(以下、オキシエチレン基と略す)、ОC36基(以下、オキシプロピレン基と略す)、ОC48基(以下、オキシブチレン基と略す)又は、そのうち2種が混在した基であり、混在系の場合、結合順はランダムでもブロックでもよい。Aが前記1種の基から成る場合、mは1〜10の整数を示し、Aが前記2種の基から成る場合、mは平均値であって、4〜10までの数を示す。)
また本発明によれば、化粧料材料と、上記PC化合物0.001〜20質量%とを含む化粧料が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明のPC化合物は、疎水性側鎖である炭化水素鎖の一部にアミド結合を有していることから、水溶性に優れる。また卓越した界面活性作用を有していながらも高い安全性も兼備している。更に本発明のPC化合物を配合した化粧料は、優れた官能特性を示すので、皮膚用および毛髪用化粧品として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明のPC化合物は、上記式(1)で表される。
式(1)において、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数8〜24、好ましくは10〜18の炭化水素基、例えば、直鎖の飽和炭化水素基、分岐鎖の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、環状炭化水素基を示す。界面特性や化学的安定性の点からは、直鎖のアルキル基等の直鎖の飽和炭化水素基が好ましい。
1及び/又はR2の炭素数が8未満の場合には、PC化合物を化粧料等に用いる際に刺激性等が強くなるおそれがあり、一方、24を超える場合には、水への溶解性が低下するおそれがある。
【0010】
式(1)において、Aはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基又は、そのうち2種が混在した基であり、混在系の場合、結合順はランダムでもブロックでもよい。Aが前記1種の基から成る場合、mは1〜10の整数を示し、PC化合物の界面特性の点からは1〜5がより好ましい。またAが2種の混在した基から成る場合、mは平均値で4〜10であるが、この場合も上記の理由からは4〜5がより好ましい。
【0011】
本発明のPC化合物は、公知の方法を適宜組合せることにより製造することができる。例えば、脂肪酸モノアルカノールアミドを出発原料とし、これを2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン(以下、COPと略す)等と有機塩基との存在下に反応させ、次いで、N,N−(ジメチル)アルキルアミン(以下、DMAAと略す)等にて開環反応させる方法により得ることができるが、これに限定されない。
【0012】
上記の脂肪酸モノアルカノールアミドは、例えば、炭素数8〜24の脂肪酸メチルエステルとモノアルカノールアミンをアルカリ触媒の存在下で反応させる方法で製造できるが、市販品を用いても良い。市販品としては、例えば、ラウリン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド ポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
【0013】
上記有機塩基は、脱ハロゲン化水素剤として作用するものであれば良く、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ルチジン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
有機塩基の仕込み割合は、COPと等モル以上が望ましい。また、この有機塩基を反応溶媒として用いることもできる。
上記COPの仕込み割合は、脂肪酸モノアルカノールアミド1モルに対して、通常1〜10モルであり、1〜5モルがより望ましい。1モル未満の場合、未反応の脂肪酸モノアルカノールアミドが残存し、10モルを超えると逆にCOPが残留し、次に行う開環反応に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0014】
上記脂肪酸モノアルカノールアミドを出発原料とし、これをCOP等と有機塩基との存在下に反応させる際の反応は、溶媒の存在下行なうことができる。
該溶媒は、非プロトン性溶媒であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、塩化メチレン、アセトニトリル等が挙げられる。
溶媒の使用濃度は特に限定されないが、通常、脂肪酸モノアルカノールアミドに対して0.002〜3g/mlとなる濃度が好ましい。
上記反応は、例えば、COPと溶媒を冷却しながら撹拌し、その中に、脂肪酸モノアルカノールアミド、有機塩基及び溶媒を混合した溶液を滴下して反応させる方法、あるいは脂肪酸モノアルカノールアミドと有機塩基と溶媒とを冷却しながら撹拌し、その中に、COPを滴下して反応させる方法が挙げられる。反応温度は、通常、−50℃〜80℃、好ましくは−20℃〜40℃である。
上記滴下反応が進むにつれて、副生成物である有機塩基のハロゲン化水素塩が沈澱するが、この沈澱は濾過や抽出操作により容易に除去できる。ハロゲン化水素塩を除去した後、反応溶媒の留去や中間体の精製を行ってもよい。以上の操作により式(2)に示す中間体が得られる。ここで、式(2)中のA、m及びR2は、上記式(1)と同じである。
【0015】
【化2】

【0016】
この中間体にDMAAを反応させて開環反応させることにより、目的のPC化合物を得ることができる。
DMAAは、例えば、炭素数8〜24の高級アルコールとジメチルアミンとをアミノ化触媒の存在下で直接アミノ化する方法等により製造できるが、市販品を用いても良い。市販品としては、例えば、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルミリスチルアミン、N,N−ジメチルパルミチルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルベヘニルアミン等が挙げられる。DMAAの仕込み割合は、脂肪酸モノアルカノールアミド1モルに対して、通常1〜30モルであり、仕込んだCOPの2倍モル以上とするのが好ましい。
【0017】
上記DMAAを反応させる際に用いる溶媒は、非プロトン性溶媒であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド等挙げられる。
溶媒の使用濃度は特に限定されないが、通常、脂肪酸モノアルカノールアミドに対して0.001〜2g/mlとなる濃度である。上記DMAAを反応させるには、例えば、上記有機塩基のハロゲン化水素塩を除去した後、DMAAと溶媒とを混合し、通常30〜200℃、好ましくは40〜90℃の温度で、数時間、あるいは数十時間撹拌しながら反応させることができる。必要であれば、再結晶、再沈、カラムクロマトグラフィー、活性炭処理、吸着剤処理、活性白土処理の操作で精製を行ってもよい。
【0018】
本発明の化粧料は、化粧料材料と上記PC化合物とを含む。PC化合物の配合割合は、化粧料全体に対して0.001〜20質量%の範囲である。0.001質量%未満の場合、PC化合物の量が不十分であるために所望の効果が得られ難い恐れがある。また20質量%を超える場合、化粧料を作製する際のハンドリング性が低下するとともに、得られる化粧料が、好ましい使用感を示さない恐れがある。
【0019】
本発明の化粧料に用いる化粧料材料は、化粧料の種類に応じて常用されている各種化粧料材料を挙げることができる。
化粧料材料としては、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、色材、アルコール類、紫外線防御剤、アミノ酸類、ビタミン類、美白剤、有機酸、無機塩類、酵素、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、殺菌剤、消炎剤、皮膚賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤等の薬剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、収斂剤、清涼剤、香料、色素、水が挙げられる。
【0020】
本発明の化粧料の種類は特に限定されず、例えば、シャンプー、リンス、ヘアミスト、ヘアクリーム、ヘアフォーム等の毛髪用化粧料、また化粧水、乳液、クリーム、美容液、ファンデーション等のスキンケア化粧料やメーキャップ化粧料、マッサージ化粧料、パック化粧料が挙げられ更に浴用剤、ボディシャンプー、ハンドソープ等のボディケア化粧料を挙げることができる。
本発明の化粧料は、ペット用化粧料、例えば、犬や猫のような愛玩動物用のケア用化粧料として用いることもできる。
【実施例】
【0021】
以下、実施例および比較例により本発明の内容を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、例中の各種分析および合成したPC化合物の評価は、以下の方法に従って実施した。
1.NMR分析
PC化合物を、内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を含む重クロロホルムに溶解させた後、JNM−AL400(日本電子社製)を用いて化合物の同定・分析を行った。
2.質量分析
PC化合物をマトリックス(m−ニトロベンジルアルコール)に混ぜ、JMS−700(日本電子社製)を用いてFAB(高速原子衝突)(Pos)法にて化合物の同定・分析を行った。
3.水への溶解性
PC化合物1gをビーカーに採り、これに水99gを加え、70℃の温浴中で10分間攪拌した。次いで、卓上型ホモミキサー(機種:LR−1(みづほ工業株式会社製))を用いて、70℃の温浴中にて6,000rpmで30分間攪拌した。所定時間後、ビーカーを取り出し、室温まで冷却した後、目視により外観観察を行い、溶解性を下記の基準により3段階評価した。
〔評価基準内容〕
○:透明〜微濁、△:白濁、×:二層分離。
【0022】
4.安全性
PC化合物の安全性は、細胞毒性試験から評価した。具体的には、ウサギ角膜上皮様細胞の懸濁液100μlを96ウェルプレートに播種し(1万個/ウェル)、24時間CO2インキュベーターにて培養した。次いで、各PC化合物の2質量%水溶液を各ウェルに100μl添加し、CO2インキュベーターにて24時間培養した。所定時間後、培養液を除去し、5mg/100mlのニュートラルレッド溶液を各ウェルに加え、更にCO2インキュベーターにて3時間培養した。各ウェルより培養液を除去し、pH7.4のリン酸緩衝液100μlで各ウェルを2回洗浄した。1%酢酸を含む50%エタノール水溶液を各ウェルに100μl添加し、5分間振とうさせた後、540nmの吸光度を測定した。得られた吸光度を下記式に導入することで細胞生存率(%)を算出した。
細胞生存率(%)=吸光度(PC化合物添加系)÷吸光度(PC化合物無添加系)×100
5.界面特性
上記3にて作製したPC化合物の水溶液若しくは水分散液を水で適宜希釈し、各種濃度の測定用サンプルを調製した。作製したサンプルの表面張力は、ウィルヘルミー平板法により、表面張力測定装置(CBVP−A3、協和界面科学社製)を用いて25℃にて測定した。得られた結果から、各PC化合物の臨界会合濃度(CAC)と臨界会合濃度における表面張力(γCAC)を算出した。
6.脂溶性成分のカプセル化能
PC化合物1gをサンプル瓶に採り、1,3−ブチレングリコール9gを加え、70℃の温浴中で1時間攪拌し、溶液を得た。この溶液全量に酢酸トコフェロール1gを加え、70℃の温浴中で30分間攪拌することにより溶解させた。次いで、溶液全量を70℃に加温した90gの温水中に攪拌しながら徐々に加えた後、70℃に温度を保ちながらホモミキサー(3,000rpm、15分間)を用いて分散処理することで乳化物を調製した。得られた乳化物の状態を目視により観察し、カプセル化能を下記の基準により3段階評価した。
〔評価基準内容〕
○:均一・油膜なし、△:油膜あり、×:二層分離。
【0023】
実施例1−1:(PC1の合成)
温度計、滴下漏斗及び撹拌機を備えた1L丸底フラスコに、ラウリン酸モノエタノールアミド48.7g(0.2mol)、トリエチルアミン20.2g(0.2mol)及びテトラヒドロフラン250gを加え、4℃で攪拌・混合した。次いで、2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン28.5g(0.2mol)とテトラヒドロフラン50gの混合溶液を、滴下漏斗を用いて上記の冷却した混合溶液に滴下した。滴下は、冷却した混合溶液を撹拌しながら、反応温度が10℃を超えないように冷却し、2時間かけて徐々に行った。滴下終了後、さらに1時間撹拌しつづけた。続いて、副生成物として析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別した。得られた濾液の全量を、撹拌機を備えた2L丸底フラスコに投入し、更にN,N−ジメチルステアリルアミン119.0g(0.4mol)とアセトニトリル300gを加え、75℃で30時間攪拌した。その後、反応液を冷却することにより得られた析出物を濾別し、70℃で減圧乾燥することで粗結晶60.3gを得た。得られた粗結晶を酢酸エチルとエタノールの混合溶媒にて再結晶し、白色結晶(以下、PC1と略す)13.7gを得た。得られた白色結晶の1H-NMRおよび質量分析結果を以下に示す。
【0024】
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3、内部標準TMS):0.96(6H、m、−CH23)、1.29(42H、m、−CH2(C2)7CH2CH3、−CH2(C2)14CH2CH3)、1.33(4H、m、−C2CH3)、1.57(2H、m、−HNCOCH22−)、1.73(2H、t、N+(CH32CH22CH2)、2.18(2H、m、−HNCOC2CH2−)、3.24(2H、t、N+(CH322CH2CH2)3.30(6H、m、N+(C32CH2CH2CH2)、3.39(2H、t、−POCH22NHCO−)、3.43(2H、t、POCH22+(CH32)、3.79(2H、m、−POC2CH2NHCO−)、3.97(2H、t、POC2CH2+(CH32)、8.00(1H、s、−NCOCH2CH2−)。
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=647が観測された。
【0025】
以上の結果から、得られた化合物は式(3)で表される化合物であることを確認した。また合成したPC1の水への溶解性、安全性、界面特性、脂溶性成分のカプセル化能について評価した。結果を表1に示す。
【化3】

【0026】
実施例1−2:(PC2の合成)
原料アルコールとしてラウリン酸モノエタノールアミドの代わりにステアリン酸モノエタノールアミド65.5gを用いた以外は実施例1−1と同様な操作を行い、白色結晶(以下、PC2と略す)18.7gを得た。得られた白色結晶の1H-NMRおよび質量分析結果を以下に示す。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3、内部標準TMS):0.96(6H、m、−CH23)、1.29(54H、m、−CH2(C2)13CH2CH3、−CH2(C2)14CH2CH3)、1.33(4H、m、−C2CH3)、1.57(2H、m、−HNCOCH22−)、1.73(2H、t、N+(CH32CH22CH2)、2.18(2H、m、−HNCOC2CH2−)、3.24(2H、t、N+(CH322CH2CH2)3.30(6H、m、N+(C32CH2CH2CH2)、3.39(2H、t、−POCH22NHCO−)、3.43(2H、t、POCH22+(CH32)、3.79(2H、m、−POC2CH2NHCO−)、3.97(2H、t、POC2CH2+(CH32)、8.00(1H、s、−NCOCH2CH2−)。
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=731が観測された。
【0027】
以上の結果から、得られた化合物は式(4)で表される化合物であることを確認した。また合成したPC2について実施例1−1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【化4】

【0028】
実施例1−3:(PC3の合成)
原料アルコールとしてラウリン酸モノエタノールアミドの代わりにエチレンオキサイドの付加モル数が3であるポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド66.3gを用いた以外は実施例1−1と同様な操作を行い、白色結晶(以下、PC3と略す)22.5gを得た。得られた白色結晶の1H-NMRおよび質量分析結果を以下に示す。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3、内部標準TMS): 0.96(6H、m、−CH23)、1.29(42H、m、−CH2(C27CH2CH3、−CH2(C214CH2CH3)、1.33(4H、m、−CH2(CH272CH3、−CH2(CH2132CH3)、1.57(2H、m、−NHCOCH22−)、1.73(2H、t、−N+(CH32CH22CH2−)、2.18(2H、m、−NHCOC2CH2−)、3.24(2H、m、−N+(CH322CH2CH2−)、3.30(6H、s、−N+(C32CH2CH2CH2−)、3.37(2H、t、−OCH22NHCO−)、3.43(2H、m、−POCH22+(CH32)、3.54(4H、m、−POCH2CH2OC22OCH2CH2)、3.56(2H、m、−POCH22OCH2CH2OCH2CH2)、3.63(2H、t、−OC2CH2NHCO−)、3.70(2H、m、−POC2CH2OCH2CH2OCH2CH2)、3.97(2H、t、POC2CH2+(CH32)、8.00(1H、s、−NCOCH2CH2−)。
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=735が観測された。
【0029】
以上の結果から、得られた化合物は式(5)で表される化合物であることを確認した。また合成したPC3について実施例1−1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【化5】

【0030】
実施例1−4:(PC4の合成)
原料アルコールとしてラウリン酸モノエタノールアミドの代わりにエチレンオキサイドの付加モル数が3であるポリオキシエチレンステアリン酸モノエタノールアミド83.1gを用いた以外は実施例1−1と同様な操作を行い、白色結晶(以下、PC4と略す)19.9gを得た。得られた白色結晶の1H-NMRおよび質量分析結果を以下に示す。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3、内部標準TMS): 0.96(6H、m、−CH23)、1.29(54H、m、−CH2(C213CH2CH3、−CH2(C214CH2CH3)、1.33(4H、m、−CH2(CH2132CH3、−CH2(CH2132CH3)、1.57(2H、m、−NHCOCH22−)、1.73(2H、t、−N+(CH32CH22CH2−)、2.18(2H、m、−NHCOC2CH2−)、3.24(2H、m、−N+(CH322CH2CH2−)、3.30(6H、s、−N+(C32CH2CH2CH2−)、3.37(2H、t、−OCH22NHCO−)、3.43(2H、m、−POCH22+(CH32)、3.54(4H、m、−POCH2CH2OC22OCH2CH2)、3.56(2H、m、−POCH22OCH2CH2OCH2CH2)、3.63(2H、t、−OC2CH2NHCO−)、3.70(2H、m、−POC2CH2OCH2CH2OCH2CH2)、3.97(2H、t、POC2CH2+(CH32)、8.00(1H、s、−NCOCH2CH2−)。
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=819が観測された。
【0031】
以上の結果から、得られた化合物は式(6)で表される化合物であることを確認した。また合成したPC4について実施例1−1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【化6】

【0032】
実施例1−5:(PC5の合成)
原料アミンとしてN,N−ジメチルステアリルアミンの代わりにN,N−ジメチルラウリルアミン85.4gを用いた以外は実施例1−1と同様な操作を行い、白色結晶(以下、PC5と略す)23.9gを得た。得られた白色結晶の1H-NMRおよび質量分析結果を以下に示す。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3、内部標準TMS):0.96(6H、m、−CH23)、1.29(30H、m、−CH2(C2)7CH2CH3、−CH2(C2)8CH2CH3)、1.33(4H、m、−C2CH3)、1.57(2H、m、−HNCOCH22−)、1.73(2H、t、N+(CH32CH22CH2)、2.18(2H、m、−HNCOC2CH2−)、3.24(2H、t、N+(CH322CH2CH2)3.30(6H、m、N+(C32CH2CH2CH2)、3.39(2H、t、−POCH22NHCO−)、3.43(2H、t、POCH22+(CH32)、3.79(2H、m、−POC2CH2NHCO−)、3.97(2H、t、POC2CH2+(CH32)、8.00(1H、s、−NCOCH2CH2−)。
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=563が観測された。
【0033】
以上の結果から、得られた化合物は式(7)で表される化合物であることを確認した。また合成したPC5について実施例1−1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【化7】

【0034】
実施例1−6:(PC6の合成)
原料アルコールとしてラウリン酸モノエタノールアミドの代わりにステアリン酸モノエタノールアミド65.5gを、また原料アミンとしてN,N−ジメチルステアリルアミンの代わりにN,N−ジメチルラウリルアミン85.4gを用いた以外は実施例1−1と同様な操作を行い、白色結晶(以下、PC6と略す)25.5gを得た。得られた白色結晶の1H-NMRおよび質量分析結果を以下に示す。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3、内部標準TMS):0.96(6H、m、−CH23)、1.29(42H、m、−CH2(C2)13CH2CH3、−CH2(C2)8CH2CH3)、1.33(4H、m、−C2CH3)、1.57(2H、m、−HNCOCH22−)、1.73(2H、t、N+(CH32CH22CH2)、2.18(2H、m、−HNCOC2CH2−)、3.24(2H、t、N+(CH322CH2CH2)3.30(6H、m、N+(C32CH2CH2CH2)、3.39(2H、t、−POCH22NHCO−)、3.43(2H、t、POCH22+(CH32)、3.79(2H、m、−POC2CH2NHCO−)、3.97(2H、t、POC2CH2+(CH32)、8.00(1H、s、−NCOCH2CH2−)。
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=647が観測された。
【0035】
以上の結果から、得られた化合物は式(8)で表される化合物であることを確認した。また合成したPC6について実施例1−1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【化8】

【0036】
実施例1−7:(PC7の合成)
原料アルコールとしてラウリン酸モノエタノールアミドの代わりにエチレンオキサイドの付加モル数が3であるポリオキシエチレンラウリン酸モノエタノールアミド66.3gを、また原料アミンとしてN,N−ジメチルステアリルアミンの代わりにN,N−ジメチルラウリルアミン85.4gを用いた以外は実施例1−1と同様な操作を行い、白色結晶(以下、PC7と略す)20.7gを得た。得られた白色結晶の1H-NMRおよび質量分析結果を以下に示す。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3、内部標準TMS):0.96(6H、m、−CH23)、1.29(30H、m、−CH2(C27CH2CH3、−CH2(C28CH2CH3)、1.33(4H、m、−CH2(CH272CH3、−CH2(CH282CH3)、1.57(2H、m、−NHCOCH22−)、1.73(2H、t、−N+(CH32CH22CH2−)、2.18(2H、m、−NHCOC2CH2−)、3.24(2H、m、−N+(CH322CH2CH2−)、3.30(6H、s、−N+(C32CH2CH2CH2−)、3.37(2H、t、−OCH22NHCO−)、3.43(2H、m、−POCH22+(CH32)、3.54(4H、m、−POCH2CH2OC22OCH2CH2)、3.56(2H、m、−POCH22OCH2CH2OCH2CH2)、3.63(2H、t、−OC2CH2NHCO−)、3.70(2H、m、−POC2CH2OCH2CH2OCH2CH2)、3.97(2H、t、POC2CH2+(CH32)、8.00(1H、s、−NCOCH2CH2−)。
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=651が観測された。
【0037】
以上の結果から、得られた化合物は式(9)で表される化合物であることを確認した。また合成したPC7について実施例1−1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【化9】

【0038】
実施例1−8:(PC8の合成)
原料アルコールとしてラウリン酸モノエタノールアミドの代わりにエチレンオキサイドの付加モル数が3であるポリオキシエチレンステアリン酸モノエタノールアミド83.1gを、また原料アミンとしてN,N−ジメチルステアリルアミンの代わりにN,N−ジメチルラウリルアミン85.4gを用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、白色結晶(以下、PC8と略す)23.4gを得た。得られた白色結晶の1H-NMRおよび質量分析結果を以下に示す。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3、内部標準TMS):0.96(6H、m、−CH23)、1.29(42H、m、−CH2(C213CH2CH3、−CH2(C28CH2CH3)、1.33(4H、m、−CH2(CH2132CH3、−CH2(CH282CH3)、1.57(2H、m、−NHCOCH22−)、1.73(2H、t、−N+(CH32CH22CH2−)、2.18(2H、m、−NHCOC2CH2−)、3.24(2H、m、−N+(CH322CH2CH2−)、3.30(6H、s、−N+(C32CH2CH2CH2−)、3.37(2H、t、−OCH22NHCO−)、3.43(2H、m、−POCH22+(CH32)、3.54(4H、m、−POCH2CH2OC22OCH2CH2)、3.56(2H、m、−POCH22OCH2CH2OCH2CH2)、3.63(2H、t、−OC2CH2NHCO−)、3.70(2H、m、−POC2CH2OCH2CH2OCH2CH2)、3.97(2H、t、POC2CH2+(CH32)、8.00(1H、s、−NCOCH2CH2−)。
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=735が観測された。
【0039】
以上の結果から、得られた化合物は式(10)で表される化合物であることを確認した。また合成したPC8について実施例1−1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【化10】

【0040】
比較例1−1
原料アルコールとしてラウリン酸モノエタノールアミドの代わりにラウリルアルコール37.3gを、また原料アミンとしてN,N−ジメチルステアリルアミンの代わりにN,N-ジメチルラウリルアミン85.4gを用いた以外は実施例1−1と同様な操作を行い、白色結晶(以下、CE1と略す)18.4gを得た。得られた白色結晶の1H-NMRおよび質量分析結果を以下に示す。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3、内部標準TMS): 0.96(6H、m、−CH23)、1.29(32H、m、−CH2(C28CH2CH3、−CH2(C28CH2CH3)、1.33(4H、m、−CH2(CH282CH3、−CH2(CH282CH3)、1.48(2H、m、−POCH22CH2−)、1.73(2H、m、−N+(CH32CH22−)、3.24(2H、m、−N+(CH322CH2−)、3.30(6H、s、−N+(C32CH2CH2CH2−)、3.43(2H、m、−POCH22+(CH32)、3.53(2H、m、−POC2CH2CH2−)、3.97(2H、m、−POC2CH2+(CH32)。
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=506が観測された。
【0041】
以上の結果から、得られた化合物は式(11)で表される化合物であることを確認した。また合成したCE1について実施例1−1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【化11】

【0042】
比較例1−2
原料アルコールとしてラウリン酸モノエタノールアミドの代わりにステアリルアルコール54.1gを用いた以外は実施例1−1と同様な操作を行い、白色結晶(以下、CE2と略す)27.6gを得た。得られた白色結晶の1H-NMRおよび質量分析結果を以下に示す。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3、内部標準TMS):0.96(6H、m、−CH23)、1.29(56H、m、−CH2(C214CH2CH3、−CH2(C214CH2CH3)、1.33(4H、m、−CH2(CH2142CH3、−CH2(CH2142CH3)、1.48(2H、m、−POCH22CH2−)、1.73(2H、m、−N+(CH32CH22−)、3.24(2H、m、−N+(CH322CH2−)、3.30(6H、s、−N+(C32CH2CH2CH2−)、3.43(2H、m、−POCH22+(CH32)、3.53(2H、m、−POC2CH2CH2−)、3.97(2H、m、−POC2CH2+(CH32)。
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=675が観測された。
【0043】
以上の結果から、得られた化合物は式(12)で表される化合物であることを確認した。また合成したCE2について実施例1−1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【化12】

【0044】
比較例1−3
原料アルコールとしてラウリン酸モノエタノールアミドの代わりに1,2−ドデカンジオール40.5gを、また原料アミンとしてN,N−ジメチルステアリルアミンの代わりにN,N-ジメチルラウリルアミン85.4gを用いた以外は実施例1−1と同様な操作を行い、白色結晶(以下、CE3と略す)15.7gを得た。得られた白色結晶の1H-NMRおよび質量分析結果を以下に示す。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3、内部標準TMS):0.96(6H、m、−CH23)、1.29(30H、m、−CH2(C27CH2CH3、−CH2(C28CH2CH3)、1.33(4H、m、−CH2(CH272CH3、−CH2(CH282CH3)、1.44(2H、m、−POCH2CH(OH)C2−)、1.73(2H、m、−N+(CH32CH22−)、2.00(1H、s、−POCH2CH(O)CH2−)、3.24(2H、m、−N+(CH322CH2−)、3.30(7H、m、−N+(C32CH2CH2CH2−、−POCH2(OH)CH2−)、3.43(2H、m、−POCH22+(CH32)、3.68(2H、m、−POC2CH(OH)CH2−)、3.97(2H、m、−POC2CH2+(CH32)。
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=522が観測された。
【0045】
以上の結果から、得られた化合物は式(13)で表される化合物であることを確認した。また合成したCE3について実施例1−1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【化13】

【0046】
比較例1−4
原料アルコールとしてラウリン酸モノエタノールアミドの代わりに1,2−オクタデカンジオール57.3gを用いた以外は実施例1−1と同様な操作を行い、白色結晶(以下、CE4と略す)18.7gを得た。得られた白色結晶の1H-NMRおよび質量分析結果を以下に示す。
1H−NMR(δ(ppm)、CDCl3、内部標準TMS):0.96(6H、m、−CH23)、1.29(54H、m、−CH2(C213CH2CH3、−CH2(C214CH2CH3)、1.33(4H、m、−CH2(CH2132CH3、−CH2(CH2142CH3)、1.44(2H、m、−POCH2CH(OH)C2−)、1.73(2H、m、−N+(CH32CH22−)、2.00(1H、s、−POCH2CH(O)CH2−)、3.24(2H、m、−N+(CH322CH2−)、3.30(7H、m、−N+(C32CH2CH2CH2−、−POCH2(OH)CH2−)、3.43(2H、m、−POCH22+(CH32)、3.68(2H、m、−POC2CH(OH)CH2−)、3.97(2H、m、−POC2CH2+(CH32)。
質量分析:メインピークとしてM+1に相当するMw=691が観測された。
【0047】
以上の結果から、得られた化合物は式(14)で表される化合物であることを確認した。また合成したCE4について実施例1−1と同様な評価を行った。結果を表1に示す。
【化14】

【0048】
【表1】

【0049】
実施例2−1〜2−8
<化粧水の使用感評価>
表2の処方に従い、イの各成分を室温下にて溶解した。一方、表2に示すロの各成分を60℃にて均一に溶解し、これにかき混ぜながらイの成分を加え、ローション状化粧水を調製した。得られた化粧水に関して、下記官能試験を実施した。結果を表2に示す。
(官能試験)
20代〜50代の女性10人を対象として、化粧水を前腕内側部に適量塗布し、のび、滑り、肌への馴染みについて、下記基準により5段階評価した。更にそれを平均して判定した。
(官能評価試験基準)
評価点;5点:非常に良好、4点:良好、3点:普通、2:やや不良、1:不良
判定基準;平均点4.0点以上を合格、平均点4.0点未満を不合格とした。
【0050】
比較例2−1及び2−2
<化粧水の使用感評価>
表2の処方に従い、実施例1−1〜1−8のPC化合物(PC1〜PC8)の代わりに、比較例1−1において得られた化合物(CE1)若しくは比較例1−3において得られた化合物(CE3)を用いた以外は、実施例2−1〜2−8に記載の方法に準じて化粧水を調製した。得られた化粧水に関して、実施例2−1〜2−8と同様にして官能試験にて評価した。結果を表2に示す。
【0051】
【表2】

【0052】
実施例2−9〜2−16
<乳液の使用感評価>
表3の処方に従い、イの各成分を75℃にて均一に溶解した。またロの各成分を同様に75℃にて均一に溶解し、イを徐々に加えて予備乳化した。次に、75℃に温度を保ちながらホモミキサーにて均一に乳化した。これをかき混ぜながら冷却し、乳液を調製した。得られた乳液に関して、実施例2−1〜2−8と同様に官能試験を実施した。結果を表3に示す。
【0053】
比較例2−3及び2−4
<乳液の使用感評価>
表3の処方に従い、実施例1−1〜1−8のPC化合物(PC1〜PC8)の代わりに、比較例1−1において得られた化合物(CE1)若しくは比較例1−3において得られた化合物(CE3)を用いた以外は、実施例2−9〜2−16に記載の方法に準じて乳液を調製した。得られた乳液に関して、実施例2−9〜2−16と同様にして官能試験にて評価した。結果を表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
実施例2−17〜2−24
<O/W型クリームの使用感評価>
表4の処方に従い、イの各成分を75℃にて均一に溶解した。またロの各成分を同様に75℃にて均一に溶解し、イを徐々に加えて予備乳化した。次に、75℃に温度を保ちながらホモミキサーにて均一に乳化した。これをかき混ぜながら冷却し、O/W型クリームを調製した。得られたクリームに関して、実施例2−1〜2−8と同様に官能試験を実施した。結果を表4に示す。
【0056】
比較例2−5及び2−6
<O/W型クリームの使用感評価>
表4の処方に従い、実施例1−1〜1−8のPC化合物(PC1〜PC8)の代わりに、比較例1−1において得られた化合物(CE1)若しくは比較例1−3において得られた化合物(CE3)を用いた以外は、実施例2−17〜2−24に記載の方法に準じてO/W型クリームを調製した。得られたクリームに関して、実施例2−17〜2−24と同様にして官能試験にて評価した。結果を表4に示す。
【0057】
【表4】

【0058】
実施例2−25〜2−32
<ファンデーションの使用感評価>
表5の処方に従い、イ及びハの各成分を別に混合し、それぞれを80℃で加熱溶解した。続いて、ロの各成分をヘンシェルミキサーに秤り込み、高速で2分間混合した後、イに加えてホモミキサーを用いて、75℃の温浴中で混合した。次いで、ハを徐々に加えて乳化し、攪拌しながら冷却してファンデーションを調製した。得られたファンデーションに関して、20代〜50代の女性10人を対象として、顔に塗布して、しっとり感、化粧映え、密着性及び化粧持ちの4項目について評価した。評価基準及び判定は、実施例2−1〜2−8に準じて行った。結果を表5に示す。
【0059】
比較例2−7及び2−8
<ファンデーションの使用感評価>
表5の処方に従い、実施例1−1〜1−8のPC化合物(PC1〜PC8)の代わりに、比較例1−1において得られた化合物(CE1)若しくは比較例1−3において得られた化合物(CE3)を用いた以外は、実施例2−25〜2−32に記載の方法に準じてファンデーションを調製した。得られたファンデーションに関して、実施例2−25〜2−32と同様にして官能試験にて評価した。結果を表5に示す。
【0060】
【表5】

【0061】
実施例2−33〜2−40
<ヘアトニックの使用感評価>
表6の処方に従い、イの各成分を室温下にて溶解した。次いで、ロの各成分を40℃にて溶解し、これを攪拌しながらイを加え、ローション状のヘアトニックを調製した。得られたヘアトニックに関して、20代〜50代の女性10人を対象として、使用時の指通り性、乾燥した後の髪の滑らかさ、髪のまとまりの3項目について評価した。評価基準及び判定は、実施例2−1〜2−8に準じて行った。結果を表6に示す。
【0062】
比較例2−9及び2−10
<ヘアトニックの使用感評価>
表6の処方に従い、実施例1−1〜1−8のPC化合物(PC1〜PC8)の代わりに、比較例1−1において得られた化合物(CE1)若しくは比較例1−3において得られた化合物(CE3)を用いた以外は、実施例2−33〜2−40に記載の方法に準じてヘアトニックを調製した。得られたヘアトニックに関して、実施例2−33〜2−40と同様にして官能試験にて評価した。結果を表6に示す。
【0063】
【表6】

【0064】
実施例2−41〜2−48
<シャンプーの使用感評価>
表7の処方に従い、シャンプーを調製した。得られたシャンプーに関して、実施例2−33〜2−40と同様な項目について頭髪官能評価試験を実施した。結果を表7に示す。
【0065】
比較例2−11及び2−12
<シャンプーの使用感評価>
表7の処方に従い、実施例1−1〜1−8のPC化合物(PC1〜PC8)の代わりに、比較例1−1において得られた化合物(CE1)若しくは比較例1−3において得られた化合物(CE3)を用いた以外は、実施例2−41〜2−48と同様にシャンプーを調製した。得られたシャンプーに関して、実施例2−41〜2−48と同様にして官能試験にて評価した。結果を表7に示す。
【0066】
【表7】

【0067】
実施例2−49〜2−56
<リンスの使用感評価>
表8の処方に従い、リンスを調製した。得られたリンスに関して、実施例2−33〜2−40と同様な項目について頭髪官能評価試験を実施した。結果を表8に示す。
【0068】
比較例2−13及び2−14
<リンスの使用感評価>
表8の処方に従い、実施例1−1〜1−8のPC化合物(PC1〜PC8)の代わりに、比較例1−1において得られた化合物(CE1)若しくは比較例1−3において得られた化合物(CE3)を用いた以外は、実施例2−49〜2−56と同様にリンスを調製した。得られたリンスに関して、実施例2−49〜2−56と同様にして官能試験にて評価した。結果を表8に示す。
【0069】
【表8】

【0070】
表1より、本発明のホスホリルコリン類似構造を有する化合物は、水に対して良好な溶解性を示し、安全性も高いこと、また卓越した界面特性や脂溶性成分に対する優れたカプセル化能を有することが明らかになった。また表2〜表8より、本発明のホスホリルコリン類似構造を有する化合物を配合した皮膚用及び毛髪用化粧料は、いずれも使用感に優れ、感触を改良する素材としても極めて有効であることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるホスホリルコリン類似構造を有する化合物。
【化1】

(式中、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数8〜24の炭化水素基を示す。AはOC24基、OC36基、OC48基又は、これら2種が混在した基であり、混在系の場合、結合順はランダムでもブロックでもよい。Aが前記1種の基から成る場合、mは1〜10の整数、Aが前記2種の基から成る場合、mは平均値であって、4〜10までの数を示す。)
【請求項2】
式(1)において、R1およびR2がともに直鎖の飽和炭化水素基である請求項1記載のホスホリルコリン類似構造を有する化合物。
【請求項3】
化粧料材料と、請求項1又は2記載のホスホリルコリン類似構造を有する化合物0.001〜20質量%とを含む化粧料。

【公開番号】特開2013−1645(P2013−1645A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131203(P2011−131203)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】