説明

ホスホルアミダイト配位子およびそれを用いたアリルアミンの製造方法

【課題】アリルアルコールの活性化剤の使用や活性体への転換を必要とせずに、アリルアルコールから直接1級アリルアミンを製造できる方法を提供する。
【解決手段】一般式(I):


で表されるホスホルアミダイト配位子およびイリジウム錯体の存在下、一般式(II):


で表されるアリルアルコールとスルファミン酸を反応させる、一般式(III):


で表されるアリルアミンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なホスホルアミダイト配位子、それを含む触媒、およびそれを用いたアリルアルコールからアリルアミンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アリルアミンの製造方法としては、ホスホルアミダイト配位子とイリジウム錯体の存在下、1級または2級アミンを求核剤として、アリルカーボネートから2級または3級アリルアミンを製造することが知られている(非特許文献1〜12)。
また、ホスホルアミダイト配位子とイリジウム錯体の存在下、アミドを求核剤として、アリルカーボネートからアリルアミドを得、次いで1級アリルアミンに導く方法も知られている(非特許文献13)。さらに、ホスホルアミダイト配位子とイリジウム錯体の存在下、1級または2級アミンを求核剤として、アリルアルコールから2級または3級アリルアミンを製造することが知られている(非特許文献14)。
【0003】
【特許文献1】WO03/099745
【非特許文献1】Angew.Chem.Int.Ed.2004.43,4797−4800
【非特許文献2】Org.Lett.2005,7,1093−1096
【非特許文献3】J.Am.Chem.Soc.2005,127,15506−15514
【非特許文献4】J.Am.Chem.Soc.2006,128,11770−11771
【非特許文献5】Chem.Commun.2004,116−117
【非特許文献6】Chem.Commun.2004,896−897
【非特許文献7】Org.Lett.2005,7,1239−1242
【非特許文献8】Chem.Commun.2005,3541−3543
【非特許文献9】Org.Biomol.Chem.Commun.2005,3,3266−3268
【非特許文献10】Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,2426−2428
【非特許文献11】Org.Lett.2005,7,1621−1624
【非特許文献12】Chem.Eur.J.2006,12,3596−3609
【非特許文献13】Angew.Chem.Int.Ed.2006,45,5546−5549
【非特許文献14】J.Am.Chem.Soc.2007,129,7508−7509
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記方法は、いずれも1級または2級アミンを求核剤としているので、得られるのは2級または3級アリルアミンであり、1級アリルアミンの製造には不適当である。また、非特許文献1〜13の方法は、アリルアルコールの活性体であるアリルカーボネートから製造しているので、アリルアルコールからアリルカーボネートを製造する工程が必要となる。非特許文献14の方法は、アリルアルコールを反応系中で活性化させるために、活性化剤としてルイス酸とモレキュラーシーブ(登録商標)を必要とする。
【0005】
本発明は、アリルアルコールの活性化剤の使用や活性体への転換を必要とせずに、アリルアルコールから直接1級アリルアミンを製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題に対して鋭意検討した結果、下記一般式(I)で表されるホスホルアミダイト配位子とイリジウム錯体(触媒前駆体)から調製される触媒の存在下、アリルアルコールとスルファミン酸を反応させることにより、活性化剤の使用や活性体への転換を必要とせずに、直接1級アリルアミンを製造できることを見出し、発明を完成するに至った。なお、下記一般式(I)で表されるホスホルアミダイト配位子のうち、下記一般式(Ia)で表されるホスホルアミダイト配位子は新規である。
即ち、本発明は、以下の通りである。
[1]一般式(Ia):
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、環Aおよび環Aは、同一または異なって、それぞれ置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を示し、R1aおよびR2aは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換基を有していてもよいベンゼン環と縮合した環を形成する。)
で表されるホスホルアミダイト配位子(以下、ホスホルアミダイト配位子(Ia)ともいう)。
[2]R1aおよびR2aが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、
【0011】
【化3】

【0012】
は、単結合または二重結合を示す。)
を形成する、上記[1]記載のホスホルアミダイト配位子。
[3]R1aおよびR2aが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい
【0013】
【化4】

【0014】
を形成する、上記[1]記載のホスホルアミダイト配位子。
[4]環Aおよび環Aが、同一または異なって、それぞれ置換基を有していてもよいベンゼン環または置換基を有していてもよいナフタレン環である、上記[1]記載のホスホルアミダイト配位子。
[5]環Aおよび環Aが、共に置換基を有していてもよいベンゼン環であるか、あるいは共に置換基を有していてもよいナフタレン環である、上記[1]記載のホスホルアミダイト配位子。
[6]
【0015】
【化5】

【0016】
または
【0017】
【化6】

【0018】
である、上記[1]記載のホスホルアミダイト配位子。
[7]キラルである、上記[1]記載のホスホルアミダイト配位子。
[8]
【0019】
【化7】

【0020】
または
【0021】
【化8】

【0022】
である、上記[1]記載のホスホルアミダイト配位子。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載のホスホルアミダイト配位子とイリジウム錯体から調製される触媒。
[10]イリジウム錯体が、{Ir(1,5−cyclooctadiene)Cl}または{IrCl(cyclooctene)である、上記[9]記載の触媒。
[11]一般式(I):
【0023】
【化9】

【0024】
(式中、環Aおよび環Aは、同一または異なって、それぞれ置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を示し、RおよびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基を示すか、あるいは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成する。)
で表されるホスホルアミダイト配位子(以下、ホスホルアミダイト配位子(I)ともいう)およびイリジウム錯体の存在下、一般式(II):
【0025】
【化10】

【0026】
(式中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基を示す。)で表されるアリルアルコール(以下、アリルアルコール(II)ともいう)とスルファミン酸を反応させる、一般式(III):
【0027】
【化11】

【0028】
(式中、Rは前記と同様である。)
で表されるアリルアミン(以下、アリルアミン(III)ともいう)の製造方法。
[12]反応が、N,N−ジメチルホルムアミドを含む溶媒中で行われる、上記[11]記載の製造方法。
[13]式(I)におけるRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成する、上記[11]記載の製造方法。
[14]式(I)で表されるホスホルアミダイト配位子が、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のホスホルアミダイト配位子である、上記[11]記載の製造方法。
[15]イリジウム錯体が、{Ir(1,5−cyclooctadiene)Cl}または{IrCl(cyclooctene)である、上記[11]記載の製造方法。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、従来のようにアリルアルコールを活性化させることなく、そのままアミノ化反応に供することができる。また、1級または2級アミンではなくスルファミン酸を反応させるので、1級アリルアミンを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明について詳細に説明する。
環Aおよび環Aは、同一または異なって、それぞれ置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を示す。
【0031】
環Aまたは環Aで示される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環」の「芳香族炭化水素環」としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等のC6−14芳香族炭化水素環が挙げられ、中でも、C6−12芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環およびナフタレン環が特に好ましい。当該芳香族炭化水素環は、C3−6シクロアルカン(例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン)、C3−6シクロアルケン(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン)等の脂環族炭化水素と縮合していてもよい。当該芳香族炭化水素環は置換可能な位置に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子、C1−6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等)、C2−6アルケニル基(例えば、ビニル、アリル等)、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等)、C1−6ハロアルキル基(例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル等)、C1−6ハロアルコキシ基(例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2−フルオロエトキシ等)、トリC1−6アルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル等)、C6−10アリール基(例えば、フェニル、ナフチル)、C7−10アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)、C6−10アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ)、C7−10アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ)、ニトロ基、シアノ基、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロパノイル等)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)等が挙げられる。なお、置換基として例示した上記C1−6アルキル基およびC2−6アルケニル基は、C1−6アルキル−カルボニル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基等で置換されていてもよい。また、置換基として例示した上記C6−10アリール基、C7−10アラルキル基、C6−10アリールオキシ基およびC7−10アラルキルオキシ基は、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C1−6アルコキシ基、C1−6ハロアルキル基、C1−6ハロアルコキシ基等で置換されていてもよい。当該置換基の数は特に限定はなく、0〜3個が好ましく、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0032】
環Aおよび環Aは、好ましくは、同一または異なって、それぞれ置換基を有していてもよいC6−12芳香族炭化水素環であり、より好ましくは、同一または異なって、それぞれ置換基を有していてもよいベンゼン環または置換基を有していてもよいナフタレン環(好ましくは、環Aおよび環Aが共に置換基を有していてもよいベンゼン環であるか、あるいは共に置換基を有していてもよいナフタレン環である。)であり、特に好ましくは、同一または異なって、それぞれベンゼン環またはナフタレン環(好ましくは、環Aおよび環Aが共にベンゼン環であるか、あるいは共にナフタレン環である。)である。
【0033】
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基を示すか、あるいは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成する。
【0034】
またはRで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等の直鎖状または分岐状のC1−10アルキル基が挙げられ、中でもC1−6アルキル基が好ましい。当該アルキル基は置換可能な位置に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、ハロゲン原子、C1−6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等)、C2−6アルケニル基(例えば、ビニル、アリル等)、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等)、C1−6ハロアルキル基(例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル等)、C1−6ハロアルコキシ基(例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2−フルオロエトキシ等)、トリC1−6アルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル等)、C6−10アリール基(例えば、フェニル、ナフチル)、C7−10アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)、C6−10アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ)、C7−10アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ)、ニトロ基、シアノ基、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロパノイル等)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)等が挙げられる。なお、置換基として例示した上記C6−10アリール基、C7−10アラルキル基、C6−10アリールオキシ基およびC7−10アラルキルオキシ基は、ハロゲン原子、C1−6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等)、C2−6アルケニル基(例えば、ビニル、アリル等)、C1−6アルコキシ基、C1−6ハロアルキル基、C1−6ハロアルコキシ基等で置換されていてもよい。当該置換基の数は特に限定はなく、0〜5個が好ましく、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
好適な「置換基を有していてもよいアルキル基」は、C1−10アルキル基であり、より好適にはC1−6アルキル基であり、特に好適にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルである。
【0035】
またはRで示される「置換基を有していてもよいアリール基」の「アリール基」としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル、ビフェニリル等のC6−14アリール基が挙げられ、中でも、C6−10アリール基、特にフェニルが好ましい。当該アリール基は置換可能な位置に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、環Aまたは環Aで示される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環」の置換基と同様の基が挙げられる。当該置換基の数は特に限定はなく、0〜3個が好ましく、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
好適な「置換基を有していてもよいアリール基」は、C6−14アリール基であり、より好適にはC6−10アリール基であり、特に好適にはフェニルである。
【0036】
またはRで示される「置換基を有していてもよいアラルキル基」の「アラルキル基」について、そのアルキル部としては、例えば、上記「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」と同様の基が挙げられ、またそのアリール部としては、例えば、上記「置換基を有していてもよいアリール基」の「アリール基」と同様の基が挙げられる。具体的には、ベンジル、フェネチル、1−フェニルエチル、1−、2−または3−フェニルプロピル、1−または2−ナフチルメチル、1−または2−(1−ナフチル)エチル、1−または2−(2−ナフチル)エチル等のC7−13アラルキル基が挙げられ、好適にはC7−10アラルキル基である。当該アラルキル基は置換可能な位置に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、環Aまたは環Aで示される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環」の置換基と同様の基が挙げられる。当該置換基の数は特に限定はなく、0〜5個が好ましく、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
好適な「置換基を有していてもよいアラルキル基」は、C7−13アラルキル基であり、より好適にはC7−10アラルキル基であり、特に好適にはベンジルおよび1−フェニルエチルである。
【0037】
およびRがそれらが結合する窒素原子と一緒になって形成する「置換基を有していてもよい環」の「環」としては、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼピン、アゼパン等の3〜10員の環状アミンが挙げられ、中でも、3〜8員の環状アミンが好ましい。当該環状アミンはベンゼン環と縮合していてもよい。当該環状アミンは置換可能な位置に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、環Aまたは環Aで示される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環」の置換基と同様の基が挙げられる。当該置換基の数は特に限定はなく、0〜5個が好ましく、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
好適な「置換基を有していてもよい環」としては、ベンゼン環と縮合していてもよい、置換基を有していてもよい3〜8員の環状アミンであり、より好適にはベンゼン環と縮合した、置換基を有していてもよい3〜8員の環状アミンであり、さらに好適には、置換基を有していてもよい(好ましくは無置換の)
【0038】
【化12】

【0039】
(式中、
【0040】
【化13】

【0041】
は、単結合または二重結合を示す。)であり、特に好適には、置換基を有していてもよい(好ましくは無置換の)
【0042】
【化14】

【0043】
である。
【0044】
およびRは、好ましくは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成する。より好ましくは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ベンゼン環と縮合していてもよい、置換基を有していてもよい3〜10員の環状アミン(好ましくは3〜8員の環状アミン)を形成する。さらに好ましくは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ベンゼン環と縮合した、置換基を有していてもよい3〜10員の環状アミン(好ましくは3〜8員の環状アミン)を形成する。さらにより好ましくは、置換基を有していてもよい(好ましくは無置換の)
【0045】
【化15】

【0046】
(式中、
【0047】
【化16】

【0048】
は、単結合または二重結合を示す。)を形成し、特に好ましくは、置換基を有していてもよい(好ましくは無置換の)
【0049】
【化17】

【0050】
を形成する。
【0051】
1aおよびR2aがそれらが結合する窒素原子と一緒になって形成する「置換基を有していてもよい環」としては、RおよびRがそれらが結合する窒素原子と一緒になって形成する「置換基を有していてもよい環」と同様のものが挙げられる。
1aおよびR2aは、好ましくは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ベンゼン環と縮合していてもよい、置換基を有していてもよい3〜10員の環状アミン(好ましくは3〜8員の環状アミン)を形成する。より好ましくは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ベンゼン環と縮合した、置換基を有していてもよい3〜10員の環状アミン(好ましくは3〜8員の環状アミン)を形成する。さらに好ましくは、置換基を有していてもよい(好ましくは無置換の)
【0052】
【化18】

【0053】
(式中、
【0054】
【化19】

【0055】
は、単結合または二重結合を示す。)を形成し、特に好ましくは、置換基を有していてもよい(好ましくは無置換の)
【0056】
【化20】

【0057】
を形成する。
【0058】
は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基を示す。
【0059】
で示される「置換基を有していてもよいアルキル基」としては、RまたはRで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」と同様のものが挙げられる。
好適な「置換基を有していてもよいアルキル基」は、C7−10アラルキルオキシ基を有していてもよいC1−10アルキル基であり、より好適にはC7−10アラルキルオキシ基を有していてもよいC1−6アルキル基であり、特に好適にはベンジルオキシメチルである。
【0060】
で示される「置換基を有していてもよいアルケニル基」の「アルケニル基」としては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−ヘプテニル、1−オクテニル等の直鎖状または分岐状のC2−10アルケニル基が挙げられ、中でも、C2−6アルケニル基が好ましい。当該アルケニル基は置換可能な位置に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、RまたはRで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」の置換基と同様の基が挙げられる。当該置換基の数は特に限定はなく、0〜5個が好ましく、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
好適な「置換基を有していてもよいアルケニル基」は、C2−10アルケニル基であり、より好適にはC2−6アルケニル基であり、特に好適にはアリルである。
【0061】
で示される「置換基を有していてもよいシクロアルキル基」の「シクロアルキル基」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等のC3−10シクロアルキル基が挙げられ、中でも、C3−6シクロアルキル基が好ましい。当該シクロアルキル基は置換可能な位置に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、環Aまたは環Aで示される「置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環」の置換基と同様の基が挙げられる。当該置換基の数は特に限定はなく、0〜3個が好ましく、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
好適な「置換基を有していてもよいシクロアルキル基」は、C3−10シクロアルキル基であり、より好適にはC3−6シクロアルキル基であり、特に好適にはシクロヘキシルである。
【0062】
で示される「置換基を有していてもよいアリール基」としては、RまたはRで示される「置換基を有していてもよいアリール基」と同様のものが挙げられる。
好適な「置換基を有していてもよいアリール基」は、C6−14アリール基であり、より好適にはC6−10アリール基であり、特に好適にはフェニルである。
【0063】
で示される「置換基を有していてもよいアラルキル基」としては、RまたはRで示される「置換基を有していてもよいアラルキル基」と同様のものが挙げられる。
好適な「置換基を有していてもよいアラルキル基」は、C7−13アラルキル基であり、より好適にはC7−10アラルキル基であり、特に好適にはフェネチルである。
【0064】
本発明では、ホスホルアミダイト配位子(I)とイリジウム錯体(触媒前駆体)の存在下、アリルアルコール(II)とスルファミン酸を反応させることにより、アリルアミン(III)を製造する。ホスホルアミダイト配位子(I)とイリジウム錯体(触媒前駆体)から調製される錯体が上記反応の触媒となる。
【0065】
本発明で使用されるホスホルアミダイト配位子(I)としては、例えば、以下の配位子が挙げられる。ホスホルアミダイト配位子(I)はキラルであってもよく、その場合、キラルなアリルアミン(III)を製造することができる。
【0066】
【化21】

【0067】
【化22】

【0068】
【化23】

【0069】
【化24】

【0070】
【化25】

【0071】
中でも、反応性の点から、以下のホスホルアミダイト配位子が好適である。
【0072】
【化26】

【0073】
イリジウム錯体としては、入手可能なものが使用でき、{Ir(1,5−cyclooctadiene)Cl}(以下、1,5−cyclooctadieneを「cod」と略称する)、{IrCl(cyclooctene)(以下、cycloocteneを「coe」と略称する)、Ir(acetylacetonate)(CO)(以下、acetylacetonateを「acac」と略称する)、{Ir(cod)}BF、{Ir(cod)}PF、{Ir(cod)}ClO、{Ir(cod)}SbF、{Ir(cod)}CFSO、{Ir(cod)}B(C等が挙げられる。中でも、反応性の点から、{Ir(cod)Cl}、{IrCl(coe)等が好ましく、特に、{Ir(cod)Cl}および{IrCl(coe)が好ましい。
【0074】
ホスホルアミダイト配位子(I)とイリジウム錯体の好適な組み合わせとしては、
【0075】
【化27】

【0076】
から選択されるホスホルアミダイト配位子(I)と、{Ir(cod)Cl}および{IrCl(coe)から選択されるイリジウム錯体との組み合わせである。
【0077】
ホスホルアミダイト配位子(I)とイリジウム錯体(触媒前駆体)との錯体は、反応系内で容易に調製される。例えば、溶媒中でホスホルアミダイト配位子(I)とイリジウム錯体を混合することにより調製できる。ホスホルアミダイト配位子(I)の使用量は、使用するイリジウム錯体により異なるが、例えば、イリジウム錯体が{Ir(cod)Cl}の場合、当該イリジウム錯体1モルに対して、通常1〜3モル、好ましくは1.5〜2.5モルであり、イリジウム錯体が{IrCl(coe)の場合、当該イリジウム錯体1モルに対して、通常1〜3モル、好ましくは1.5〜2.5モルである。
また、アリルアルコール(II)1モルに対するホスホルアミダイト配位子(I)の使用量は、通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.02〜0.1モルである。
【0078】
上記溶媒としては、アリルアルコール(II)とスルファミン酸との反応で使用する溶媒と同様のものが好ましく、反応性の点から、N,N−ジメチルホルムアミドを含む溶媒が好ましく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド単独;N,N−ジメチルホルムアミドと、N,N−ジメチルホルムアミド以外の双極性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)を含む混合溶媒が挙げられる。本発明では、双極性非プロトン性溶媒のみ、即ち、N,N−ジメチルホルムアミド単独、またはN,N−ジメチルホルムアミドと、N,N−ジメチルホルムアミド以外の双極性非プロトン性溶媒(例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)の混合溶媒中で行うことが好ましい。
【0079】
スルファミン酸の使用量は、アリルアルコール(II)1モルに対して、反応性の点から、通常1〜4モル、好ましくは1〜2モルである。
【0080】
反応は、まず、溶媒中でホスホルアミダイト配位子(I)とイリジウム錯体を混合して錯体を調製する。
【0081】
次いで、アリルアルコール(II)およびスルファミン酸を添加する。これらの添加順序は特に限定されないが、アリルアルコール(II)を添加した後にスルファミン酸を添加することが好ましい。これらは、予め溶媒に溶解また懸濁した後に添加してもよく、また、添加は滴下により行ってもよい。
【0082】
反応温度は、通常0〜80℃、好ましくは20〜60℃であり、反応時間は、ホスホルアミダイト配位子(I)やアリルアルコール(II)の種類にもよるが、通常1〜24時間、好ましくは2〜10時間である。
【0083】
反応終了後、分液操作、濃縮等の通常の処理を行うことにより、アリルアミン(III)が得られる。なお、必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の操作により精製してもよい。あるいは、反応終了後または通常の処理後に、塩酸等の酸による処理、アミノ保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル基(Boc基)、ベンゾイル基(Bz基)、トリフルオロアセチル基等)の導入等の操作を引き続いて行い、アリルアミン(III)の塩またはその誘導体に変換することにより、単離が容易となったり、また、アリルアミン(III)の安定性が向上することがある。
【0084】
本発明においては、キラルなホスホルアミダイト配位子(I)を使用することにより、以下に示すように、ラセミのアリルアルコール(II)から、キラルなアリルアミン(IIIa)(アミノ基が結合する炭素原子がキラル中心となる)を得ることができる。キラルなホスホルアミダイト配位子(I)の選択は、キラルなアリルアミン(III)の立体配置により選択され、例えば、キラルなホスホルアミダイト配位子(I)が
【0085】
【化28】

【0086】
である場合、
【0087】
【化29】

【0088】
が得られ、キラルなホスホルアミダイト配位子(I)が
【0089】
【化30】

【0090】
である場合、
【0091】
【化31】

【0092】
が得られる。
【0093】
ホスホルアミダイト配位子(I)のうち、ホスホルアミダイト配位子(Ia)は新規であり、例えば、以下のように製造される。即ち、ジオール(IVa)を三塩化リンと反応させて、ホスホルクロリダイト(Va)を得(工程1)、次いで、アミン(VIa)と反応させる(工程2)ことにより、ホスホルアミダイト配位子(Ia)が得られる。
【0094】
【化32】

【0095】
(式中の各記号は前記と同義である。)
【0096】
工程1の反応においては、三塩化リンの使用量は、ジオール(IVa)1モルに対して、通常5〜30モル、好ましくは10〜20モルである。
また、反応は、触媒量のN−メチルピロリドン、N、N−ジメチルホルムアミド等の存在下で行うことが好ましい。
反応は、無溶媒あるいは反応に不活性な溶媒下で行われるが、反応性の点から、無溶媒で行われる。なお、使用可能な溶媒としては、例えば、ジクロルベンゼン等のハロゲン化溶媒が挙げられる。
反応は、ジオール(IVa)、三塩化リンの使用量および触媒量の塩基を攪拌することにより行われる。
反応温度は、通常20〜80℃、好ましくは30〜70℃である。反応時間は、使用するジオール(IVa)の種類にもよるが、通常5分間〜6時間、好ましくは15分間〜3時間である。
反応終了後、過剰の三塩化リンは、トルエン、クロルベンゼン等と共沸させることにより、除去することができる。得られたホスホルクロリダイト(Va)は、精製することなく次の工程に供してもよい。
【0097】
工程2の反応においては、アミン(VIa)の使用量は、ジオール(IVa)1モルに対して、通常1〜2モル、好ましくは1.1〜1.5モルである。
反応は、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等の塩基の存在下で行うことが好ましく、塩基の使用量は、アミン(VIa)1モルに対して、通常1〜2モル、好ましくは1〜1.5モルである。
反応に不活性な溶媒下で行われることが好ましく、そのような溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、メチルtert-ブチルエーテル等のエーテル溶媒等が挙げられる。
反応は、溶媒下、アミン(VIa)に塩基を添加した後、ホスホルクロリダイト(Va)を添加することにより行われる。
反応は−80〜30℃で行われる。反応時間は、使用するホスホルクロリダイト(Va)やアミン(VIa)の種類にもよるが、通常1〜12時間である。
反応終了後、分液操作、濃縮等の通常の処理を行うことにより、ホスホルアミダイト配位子(Ia)が得られる。なお、必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の操作により精製してもよい。
【実施例】
【0098】
以下、本発明を参考例および実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0099】
実施例1 (3,5−ジオキサ−4−ホスファ−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジフェニル−4−エン)−ジベンゾ[b,f]アゼピンの合成
【0100】
【化33】

【0101】
アルゴン下、シュレンクフラスコに2,2’−ビフェノール(2.23g,12.0mmol,1当量)を入れ、三塩化リン(24.7g,180mmol,15当量)及び触媒量のN−メチルピロリドン(35.7mg,0.36mmol,0.03当量)を添加し、反応混合物を50℃で30分間加熱した。開始時の不均一な混合物は、茶色の均一な溶液に変化した。23℃に冷却した後、過剰の三塩化リンを真空下で留去し、1mLのトルエンを添加して残留PClを共沸留去した。生じたホスホルクロリダイトを25mLのTHF中に再溶解した。
アルゴン下、上記とは別のシュレンクフラスコ中で、25mLのTHFに溶解したジベンゾ[b,f]アゼピン(2.78g,14.4mmol,1.2当量)を、n−ブチルリチウム(1.1当量、1.6Mヘキサン溶液)をゆっくり添加することにより、−78℃で脱プロトン化した。生じた濃青色の溶液を−78℃で1時間撹拌し続けた後、上記で得られたホスホルクロリダイト溶液をカニューレでゆっくり添加した。生じた混合物を−78℃で撹拌し、次いで23℃に温め、8時間撹拌し続けた。TLCで反応終了を確認した後、溶媒を真空下で留去した。溶離液としてヘキサン/トルエンを用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで残渣を精製して、白色の泡状物として所望の生成物を得た(収量1.35g,3.31mmol,28%,オフホワイト色の粉末)。
mp 159℃
IR (neat) ν 3062, 3025, 1486, 1434, 1196, 1095, 984, 890, 848, 759, 746
1H-NMR (300MHz, CDCl3)δ: 7.35-7.38 (m, 2H), 7.22-7.27 (m, 4H), 7.10-7.20 (m, 8H), 6.98-7.08 (m, 2H), 6.96 (s, 2H)
13C-NMR (75MHz, CDCl3)δ: 150.6, 142.4, 135.8, 131.3, 130.4, 130.3, 129.4, 128.9, 128.8, 128.7, 126.4, 124.2, 121.9
31P-NMR (121MHz, CDCl3) 137.9
HR-MALDI-MS m/z calcd for C26H18NO2P [M+H]+ 408.1148, found 408.1149
【0102】
実施例2 (3,5−ジオキサ−4−ホスファ−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジフェニル−4−エン)−10,11−ジヒドロ−ジベンゾ−[b,f]アゼピンの合成
【0103】
【化34】

【0104】
834mg(4.48mmol)の2,2’−ビフェノールを用い、ジベンゾ[b,f]アゼピンの代わりに、ジヒドロジベンゾ[b,f]アゼピン(1.05g,5.37mmol,1.2当量)を用いて、実施例1と同様の方法により合成した(収量568mg,1.39mmol,31%,オフホワイト色の粉末)。
mp 145℃
IR (neat) ν3061, 3029, 1486, 1436, 1184, 1094, 990, 880, 842, 699
1H-NMR (300MHz, CDCl3)δ:7.43-7.6.94 (m, 16H), 3.77-3.61 (m, 2H), 3.01-2.93 (m, 2H)
13C-NMR (75MHz, CDCl3)δ: 150.5, 142.3, 136.8, 130.2, 130.0, 129.9, 128.8, 127.9, 126.5, 126.2, 124.2, 121.2, 31.6
31P-NMR (121MHz, CDCl3) 136.4
HR-MALDI-MS m/z calcd for C26H20NO2P [M+H]+ 410.1304, found 410.1303
【0105】
実施例3 (S)−(+)−(3,5−ジオキサ−4−ホスファ−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジナフタレン−4−イル)−ジベンゾ−[b,f]−アゼピンの合成
【0106】
【化35】

【0107】
2,2’−ビフェノールの代わりに300mg(1.05mmol)の(S)−BINOLを用いて、実施例1と同様の方法により合成した(収量239mg,0.47mmol,45%,オフホワイト色の粉末)。
mp 246℃
[α]D25+313.6(c 1.07, CHCl3)
IR (neat) ν 3057, 3023, 1590, 1484, 1236, 1201, 1070, 979, 938, 800, 767
1H-NMR (500MHz, CDCl3)δ: 7.96 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.87 (d, J=8.2Hz, 1H), 7.73 (d, J=8.1Hz, 1H), 7.60 (dd, J=8.8, 0.7Hz, 1H), 7.41 (d, J=8.7Hz, 1H), 7.38-7.31 (m, 2H), 7.23-7.13 (m, 2H), 7.19-7.13 (m, 6H), 7.11-7.07 (m, 1H), 6.96 (d, J=11.6Hz, 1H), 6.92-6.87 (m, 2H), 6.84 (dd, J=8.8, 0.5Hz, 1H), 6.53-6.49 (m, 2H)
13C-NMR (125MHz, CDCl3)δ: 149.9, 149.9, 148.7, 143.0, 142.8, 142.5, 135.4, 135.2, 132.8, 132.1, 131.5, 131.4, 131.3, 130.2, 130.1, 129.1, 129.0, 128.9, 128.8, 128.5, 128.4, 128.3, 128.3, 127.8, 126.8, 126.7, 126.1, 126.0, 125.6, 124.8, 124.2, 122.1, 121.5, 121.1
31P-NMR (121MHz, CDCl3) 138.0
HR-MALDI-MS m/z calcd for C34H22NO2P [M+H]+ 508.1461, found 508.1463
【0108】
実施例4 5−フェニルペンタ−1−エン−3−アミン 塩酸塩の合成
アルゴン下、シュレンクフラスコに{Ir(cod)Cl}(10mg,15μmol,1.5mol%)及び配位子(3,5−ジオキサ−4−ホスファ−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジフェニル−4−エン)−ジベンゾ[b,f]アゼピン(12mg,30μmol,3mol%)を入れた。2mLのN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、反応混合物を23℃で15分間撹拌した。5−フェニルペンタ−1−エン−3−オール(1.00mmol,1当量)をシリンジで添加した後、固体のスルファミン酸(97mg,1.00mmol,1当量)を添加した。生じた反応混合物を50℃に加熱した。TLCで反応終了を確認した後(通常6〜7時間)、溶媒を高真空下で留去した。生じた茶色残渣を10mLの塩化メチレン及び10mlの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に溶解し、10分間撹拌した。水層を塩化メチレン(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、減圧下で濃縮した。位置異性体の比率は、未精製試料のH−NMR分析により決定した。溶離液として塩化メチレン/メタノールを用いる塩基性若しくは中性のアルミナフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製し、ジエチルエーテル中の2M塩酸を添加して、表題化合物を得た(収量162mg,0.82mmol,82%)。
mp 168℃;
IR (neat) ν 2882(br), 2045, 1601, 1511, 1453, 988, 936, 765, 745
1H-NMR (300MHz, CDCl3)δ: 8.67 (br.s, 3H), 7.31-7.19 (m, 5H), 5.93 (ddd, J=17.3, 10.5, 7.7Hz, 1H), 5.47 (d, J=17.3Hz, 1H), 5.36 (d, J=10.5Hz), 3.74 (br.s, 1H), 2.82-2.64 (m, 2H), 2.32-2.04 (m, 2H)
13C-NMR (75MHz, CDCl3)δ: 139.8, 132.9, 128.4, 128.3, 126.2, 121.2, 54.1, 34.7, 31.4
HR-ESI-MS m/z calcd for C11H13[M-NH3]+ 145.1012, found 145.1012
燃焼分析: calcd for C11H16NCl :C,66.83;H,8.16;N,7.08, found C,66.54;H,8.09;N,6.81
【0109】
実施例5 N−(5−フェニルペンタ−1−エン−3−イル)−ベンズアミドの合成
アルゴン下、シュレンクフラスコに{Ir(cod)Cl}(10mg,15μmol,3mol%)及び配位子(3,5−ジオキサ−4−ホスファ−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジフェニル−4−エン)−ジベンゾ[b,f]アゼピン(12mg,30μmol,6mol%)を入れた。2mLのN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、反応混合物を23℃で15分間撹拌した。5−フェニルペンタ−1−エン−3−オール(81mg,0.50mmol,1当量)をシリンジで添加した後、固体のスルファミン酸(49mg,0.50mmol,1当量)を添加した。生じた反応混合物を50℃に加熱した。TLC上の出発物質の消失、及び/又は反応混合物から採取したアリコートのH−NMRの測定により、変換を確認した。反応終了後(通常3〜4時間)、トリエチルアミン(202mg,2.00mmol,4当量)及び新たに蒸留したベンゾイルクロリド(141mg,1.00mmol,2当量)を反応混合物に添加し、23℃で4時間撹拌を続けた。続いて、反応混合物を10mLの塩化メチレンと10mLの水で分液した。水層を塩化メチレン(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、減圧下で濃縮した。溶離液としてヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製して、オフホワイト色の固体として表題化合物を得た(97mg,0.37mmol,73%)。
mp 131℃;
IR (neat) ν3326, 2946, 2979, 2862, 1633, 1526, 1487, 1334, 1292, 920, 748, 698
1H-NMR (300MHz, CDCl3)δ: 7.71-7.68 (m, 2H), 7.52-7.37 (m, 3H), 7.31-7.17 (m, 5H), 6.11 (d, J=8.2Hz, 1H), 5.90 (ddd, J=17.2, 10.4, 5.6Hz, 1H), 5.24 (dd, J=17.2, 1.2Hz, 1H), 5.18 (dd, J=10.4, 1.2Hz, 1H), 4.76 (br. quintet, 1H), 2.75 (t, J=2.9Hz, 2H), 2.10-1.90 (m, 2H)
13C-NMR(75MHz,CDCl3)δ: 166.7, 141.5, 138.0, 134.5, 131.4, 128.5, 128.4, 128.4, 126.8, 126.0, 115.4, 51.6, 36.3, 32.1
HR-MALDI-MS m/z calcd for C18H19NO [M+H]+ 266.1539, found 266.1538
【0110】
実施例6 tert−ブチル 5−フェニルペンタ−1−エン−3−イルカーバメートの合成
アルゴン下、シュレンクフラスコに{Ir(cod)Cl}(10mg,15μmol,3mol%)及び配位子(3,5−ジオキサ−4−ホスファ−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジフェニル−4−エン)−ジベンゾ[b,f]アゼピン(12mg,30μmol,6mol%)を入れた。2mLのN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、反応混合物を23℃で15分間撹拌した。5−フェニルペンタ−1−エン−3−オール(81mg,0.50mmol,1当量)をシリンジで添加した後、固体のスルファミン酸(49mg,0.50mmol,1当量)を添加した。生じた反応混合物を50℃に加熱した。TLC上の出発物質の消失、及び/又は反応混合物から採取したアリコートのH−NMRの測定により、変換を確認した。反応終了後(通常3〜4時間)、反応混合物を入念に濃縮し、23℃に冷却した。生じた茶色の油状物を3mLの塩化メチレンに再溶解し、0℃で、202mg(1.00mmol,2当量)のBocO及び触媒量(約10mg)の相間移動試薬n−BuNHSOを添加した。0℃で、反応混合物を3mLの0.5M水酸化ナトリウム水溶液で処理し、23℃で6時間温めた。続いて、反応混合物を10mLの塩化メチレンと10mLの水で分液した。水層を塩化メチレン(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、減圧下で濃縮した。溶離液としてヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製して、オフホワイト色の固体として表題化合物を得た(93mg,0.36mmol,71%)。
mp 53℃
IR (neat) ν 3364, 3028, 2979, 2945, 1681, 1517, 1330, 1243, 1172, 1045, 1030, 926, 752, 701
1H-NMR (300MHz, CDCl3)δ: 7.17-7.31 (m, 5H), 5.79 (ddd, J=16.5, 10.3, 5.6Hz, 1H), 5.10-5.21 (m, 2H), 4.49 (br.s, 1H), 4.16 (br.s, 1H), 2.62-2.96 (m, 2H), 1.78-1.89 (m, 2H), 1.46 (s, 9H)
13C-NMR (75MHz, CDCl3)δ: 155.2, 141.5, 138.6, 128.3, 128.2, 125.8, 114.6, 79.3, 52.6, 37.0, 32.2, 28.6
HR-ESI-MS m/z calcd for C16H23NO2Na [MNa]+284.1621, found 284.1623
【0111】
実施例7 2,2,2−トリフルオロ−N−(5−フェニルペンタ−1−エン−3−イル)−アセトアミドの合成
アルゴン下、シュレンクフラスコに{Ir(cod)Cl}(10mg,15μmol,3mol%)及び配位子(3,5−ジオキサ−4−ホスファ−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジフェニル−4−エン)−ジベンゾ[b,f]アゼピン(12mg,30μmol,6mol%)を入れた。2mLのN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、反応混合物を23℃で15分間撹拌した。5−フェニルペンタ−1−エン−3−オール(81mg,0.50mmol,1当量)をシリンジで添加した後、固体のスルファミン酸(49mg,0.50mmol,1当量)を添加した。生じた反応混合物を50℃に加熱した。TLC上の出発物質の消失、及び/又は反応混合物から採取したアリコートのH−NMRの測定により、変換を確認した。反応終了後(通常3〜4時間)、反応混合物を入念に濃縮し、23℃に冷却した。生じた茶色の油状物を2mLの塩化メチレンに再溶解し、0℃で、315mgの無水トリフルオロ酢酸(1.50mmol,3当量)及び276mgの固体の無水炭酸カリウム(2.00mmol,4当量)を添加した。反応混合物を23℃で8時間撹拌し続けた。続いて、それを10mLの塩化メチレンと10mLの水で分液した。水層を塩化メチレン(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、減圧下で濃縮した。溶離液としてヘキサン/酢酸エチルを用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製して、黄色の油状物として表題化合物を得た(91mg,0.36mmol,71%)。
IR (neat) ν 3293, 3088, 2928, 1698, 1554, 1206, 1181, 1154, 747, 724, 698
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 7.13-7.99 (m, 5H), 6.14 (br.s, 1H), 5.79 (ddd, J=17.0, 10.7, 6.0Hz, 1H), 5.19-5.25 (m, 2H), 4.46-4.55 (br.quintet, 1H), 2.67 (t, J=7.8Hz, 2H), 1.89-2.01 (m, 2H)
13C-NMR (75MHz, CDCl3) δ: 156.5 (q, J=36.9Hz), 140.6, 135.9, 128.6, 128.3, 126.3, 117.0, 115.8 (q, J=288.3Hz), 52.1, 35.7, 31.9
19F-NMR (282MHz, CDCl3) -75.7
HR-ESI-MS m/z calcd for C13H14NOF3Na [MNa]+ 280.0919, found 280.0919
【0112】
実施例8 1−フェニルプロパ−2−エン−1−アミン 塩酸塩の合成
実施例4と同様の方法により、オフホワイト色の固体として表題化合物を得た(収量132mg,0.78mmol,78%)。
1H-NMR (300MHz, CD3OD)δ: 7.43-7.57 (m, 5H), 6.19 (ddd, J=17.3, 10.6, 6.5Hz, 1H), 5.51 (dd, J=10.6, 1.0Hz, 1H), 5.44 (dd, J=17.3, 1.3Hz, 1H), 5.04 (d, J=6.5, 1H), 4.55(br.s, 3H)
【0113】
実施例9 1−シクロヘキシルプロパ−2−エン−1−アミン 塩酸塩の合成
実施例4と同様の方法により、白色のフレーク状物として表題化合物を得た(収量132mg,0.75mmol,75%)。
mp 231℃
IR (neat) ν 3274, 2921, 2851, 1629, 1600, 1510, 1447, 993, 933, 918, 687
1H-NMR (300MHz, CDCl3)δ: 8.54 (br.s, 3H), 5.91-5.79 (ddd, J=17.3, 9.6, 6.9Hz, 1H), 5.42 (d, J=17.3Hz, 1H), 5.37 (d, J=9.6Hz, 1H) 3.51-3.46 (m, 1H), 1.89-1.61 (m, 6H), 1.45-1.03 (m, 5H)
13C-NMR (75MHz, CDCl3)δ: 131.9, 121.0, 59.5, 40.3, 29.1, 28.1, 25.6
HR-ESI-MS m/z calcd for C11H13[MH-NH3]+ 145.1012, found 145.1012
【0114】
実施例10 1−(ベンジルオキシ)ブタ−3−エン−2−アミン 塩酸塩の合成
実施例4と同様の方法により、白色の粉末として表題化合物を得た(収量152mg,0.71mmol,71%)。
1H-NMR (300MHz, CD3OD)δ: 7.39-7.26 (m, 5H), 5.88 (m, 1H), 5.41 (d, J=17.4Hz, 1H), 5.37 (d, J=11.2Hz, 1H), 4.59 (s, 2H), 3.87 (m, 1H), 3.64 (dd, J=10.1, 3.9Hz, 1H), 3.49 (dd, J=10.1, 7.8Hz, 1H).
【0115】
実施例11 ヘキサ−1,5−ジエン−3−アミン 塩酸塩の合成
実施例4と同様の方法により、オフホワイト色の固体として表題化合物を得た(収量101mg,0.75mmol,75%)。二重結合の異性化は見られなかった。
1H-NMR (300MHz,D2O)δ: 5.64-5.86 (m, 2H), 5.14-5.34 (m, 4H), 3.81 (q, J=6.7Hz, 1H), 2.31-2.46 (m, 2H).
【0116】
実施例12 (S)−1−シクロヘキシルプロパ−2−エン−1−アミン 塩酸塩の合成
アルゴン下、シュレンクフラスコに{IrCl(coe)(13.1mg,15μmol,3mol%)及び配位子(S)−(+)−(3,5−ジオキサ−4−ホスファ−シクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジナフタレン−4−イル)−ジベンゾ[b,f]−アゼピン(16.2mg,30μmol,6mol%)を入れた。2mLのN,N−ジメチルホルムアミドを添加し、反応混合物を23℃で15分間撹拌した。ラセミの1−シクロヘキシルプロパ−2−エン−1−オール(70mg,0.50mmol,1当量)をシリンジで添加した後、固体のスルファミン酸(49mg,0.50mmol,1当量)を添加した。生じた反応混合物を23℃で24時間撹拌した。TLCで反応終了を確認した後、溶媒を高真空下で入念に留去した。生じた茶色残渣を10mLの塩化メチレン及び10mlの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に溶解し、10分間撹拌した。水層を塩化メチレン(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、減圧下で濃縮した。位置異性体の比率は、未精製試料のH−NMR分析により決定した。溶離液として塩化メチレン/メタノールを用いる中性アルミナフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製し、ジエチルエーテル中の2M塩酸で直ちに処理した。対応する塩酸塩は白色固体として70%の収率で沈殿した(61mg,0.35mmol)。
絶対配置を決定するために、50mg(0.28mmol,1当量)の上記で得られたアミン塩酸塩を1mLのジエチルエーテルに懸濁し、0.5mL(10当量)の6M水酸化カリウムで処理した。23℃で30分間撹拌した後、混合物をジエチルエーテルと水で分液した。水層をジエチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。混合物を減圧下で入念に濃縮し、茶色の油状物を得、それを2mLの塩化メチレンに直ちに溶解し、115mg(1.14mmol,4当量)のトリエチルアミン及び103mg(0.57mmol,2当量)の新たに蒸留したトリクロロアセチルクロリドで処理した。23℃で3時間撹拌した後、反応混合物を塩化メチレンとHOで分液した。水層を塩化メチレンで3回抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で混合物を濃縮して、茶色の残渣を得た。それをシリカゲルクロマトグラフィー(30:1 ヘキサン/酢酸エチル)に供して36mg(0.13mmol,45%)の2,2,2−トリクロロ−N−(1−シクロヘキシルアリル)−アセトアミドを無色の固体として得た。旋光度を測定した:[α]25−26.5(c 0.45,CHCl);
文献[α]25+30.7(c 0.42,CHCl)(C.E.Anderson,L.E.Overman J.Am.Chem.Soc.2003,125,12412−12413)との比較により、生成物の絶対配置を(S)−2,2,2−トリクロロ−N−(1−シクロヘキシルアリル)アセトアミドとして確定できた。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ 6.58 (brs, 1H), 5.79 (ddd, J=17.1, 10.5, 6.0Hz, 1H), 5.19-5.25 (m, 2H), 4.27 (dd, J=14.8, 6.2Hz, 1H), 1.65-1.81 (m, 5H), 1.51-1.60 (m, 1H), 0.95-1.30 (m, 5H)
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明によれば、従来のようにアリルアルコールの活性化剤の使用や活性体への転換を必要とせずに、アリルアルコールから直接1級アリルアミンを製造できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(Ia):
【化1】


(式中、環Aおよび環Aは、同一または異なって、それぞれ置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を示し、R1aおよびR2aは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換基を有していてもよいベンゼン環と縮合した環を形成する。)
で表されるホスホルアミダイト配位子。
【請求項2】
1aおよびR2aが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい
【化2】


(式中、
【化3】


は、単結合または二重結合を示す。)
を形成する、請求項1記載のホスホルアミダイト配位子。
【請求項3】
1aおよびR2aが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有していてもよい
【化4】


を形成する、請求項1記載のホスホルアミダイト配位子。
【請求項4】
環Aおよび環Aが、同一または異なって、それぞれ置換基を有していてもよいベンゼン環または置換基を有していてもよいナフタレン環である、請求項1記載のホスホルアミダイト配位子。
【請求項5】
環Aおよび環Aが、共に置換基を有していてもよいベンゼン環であるか、あるいは共に置換基を有していてもよいナフタレン環である、請求項1記載のホスホルアミダイト配位子。
【請求項6】
【化5】


または
【化6】


である、請求項1記載のホスホルアミダイト配位子。
【請求項7】
キラルである、請求項1記載のホスホルアミダイト配位子。
【請求項8】
【化7】


または
【化8】


である、請求項1記載のホスホルアミダイト配位子。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のホスホルアミダイト配位子とイリジウム錯体から調製される触媒。
【請求項10】
イリジウム錯体が、{Ir(1,5−cyclooctadiene)Cl}または{IrCl(cyclooctene)である、請求項9記載の触媒。
【請求項11】
一般式(I):
【化9】


(式中、環Aおよび環Aは、同一または異なって、それぞれ置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を示し、RおよびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基を示すか、あるいは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成する。)
で表されるホスホルアミダイト配位子およびイリジウム錯体の存在下、一般式(II):
【化10】


(式中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよいアラルキル基を示す。)で表されるアリルアルコールとスルファミン酸を反応させる、一般式(III):
【化11】


(式中、Rは前記と同様である。)
で表されるアリルアミンの製造方法。
【請求項12】
反応が、N,N−ジメチルホルムアミドを含む溶媒中で行われる、請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
式(I)におけるRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換基を有していてもよい環を形成する、請求項11記載の製造方法。
【請求項14】
式(I)で表されるホスホルアミダイト配位子が、請求項1〜8のいずれかに記載のホスホルアミダイト配位子である、請求項11記載の製造方法。
【請求項15】
イリジウム錯体が、{Ir(1,5−cyclooctadiene)Cl}または{IrCl(cyclooctene)である、請求項11記載の製造方法。

【公開番号】特開2009−46452(P2009−46452A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216396(P2007−216396)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年(平成19年)3月12日インターネット(URL:http://www3.interscience.wiley.com/cgi−bin/fulltext/114179538/PDFSTART等)を通じて初めて発表、2007年(平成19年)4月20日ワイリー−ファウツェーハー フェルラーク ゲーエムベーハー ウント カーゲーアーアー発行の「アンゲバント ヘミー インターナショナル エディション、2007年、第46巻、第17号」に発表
【出願人】(502079801)
【氏名又は名称原語表記】ERICK M. CARREIRA
【住所又は居所原語表記】LABORATORY OF ORGANIC CHEMISTRY ETH HOENGGERBERG, ZUERICH, SWITZERLAND
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】