説明

ホットチャンバーダイカストマシン

【課題】プランジャをシリンダ内部で直線往復運動するときに、シリンダ内部に空気が入り込むのを防止してシリンダ内部の溶湯を金型に向けて押圧する。
【解決手段】このマシンでは、プランジャ6の下端縁部から周面に沿ってシリンダ2内部のプランジャ6の下死点の地点と溶湯導入口21との間を連通し、溶湯をシリンダ2内部に誘導するための溶湯誘導溝61が形成され、プランジャの駆動機構5にプランジャ6を回転運動する回転機構を併せて備え、溶湯をシリンダ2内部から導出する場合、プランジャ6を下降する前に溶湯誘導溝61を溶湯導入口21、溶湯導出口22のいずれにも一致しない方向に向けてシリンダ2内の溶湯を押圧し、溶湯をシリンダ2内部に導入する場合、プランジャ6を駆動する前に溶湯誘導溝61を溶湯導入口21に一致する方向に向け、この溶湯誘導溝61を通して溶湯槽1内の溶湯をシリンダ2内部に誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛合金、及びこれらの合金などの金属の鋳造に使用するホットチャンバーダイカストマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に知られているホットチャンバーダイカストマシンが特許文献1に記載されている。この文献1に記載されているように、この種のホットチャンバーダイカストマシンは、溶湯槽と、シリンダ及びプランジャからなるポンプと、ポンプに連結されるノズルと、ポンプを駆動する駆動機構とにより構成される。溶湯槽は溶融金属材料の溶湯を入れるための容器で、炉体により保持され、炉体の下部に加熱ヒータが設置される。シリンダは周面の上部側に溶湯を導入するための溶湯導入口を有し、周面の下部側に溶湯を導出するための溶湯導出口を有し、炉体上に組み立てられた支持構造体から炉体上部に突出される支持部により吊り下げ支持されて、溶湯槽内に配置される。このシリンダの溶湯導出口にノズルが連接され、溶湯槽の外部に突出される。そして、このノズルに鋳造用金型が接続される。駆動機構は油圧シリンダなどからなり、炉体上の支持構造体により溶湯槽の上方に設置され、この駆動機構にプランジャが作動連結されて、プランジャを溶湯槽内のシリンダの内部で溶湯導入口を開放する所定の上限位置と溶湯導出口を遮蔽する所定の下限位置との間で直線往復運動する。このようにして溶湯槽内に入れられた、例えばアルミニウム、マグネシウム、亜鉛合金やこれらの合金などの金属溶融材料の溶湯を、プランジャの直線往復運動により、シリンダの溶湯導入口からシリンダ内部に導入し、シリンダ内部に導入された溶湯を押圧して、溶湯導出口から導出し、溶湯をノズルを通じて鋳造用金型に射出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−28740公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のホットチャンバーダイカストマシンでは、プランジャをシリンダ内部で所定の下限位置から所定の上限位置に上昇させたときに、シリンダ内部が負圧になるため、ノズル側から空気がシリンダの溶湯導出口を通じてシリンダ内部に入り込む可能性があり、このシリンダ内部に空気が入り込んだ状態で、プランジャを所定の上限位置から所定の下限位置まで下降させて、シリンダ内部の溶湯を鋳造用金型に向けて押圧すると、シリンダ内部の空気が金型に圧入され、溶融金属材料に混入して、ダイカスト成形品の品質を低下させる恐れがある、という問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種のホットチャンバーダイカストマシンにおいて、プランジャをシリンダ内部で直線往復運動するときに、シリンダ内部に空気が入り込むのを確実に防止し、シリンダ内部の溶湯を空気が混入することなく鋳造用金型に向けて押圧するようにして、ダイカスト成形品の品質の維持、向上を図ること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、溶融金属材料の溶湯を入れるための溶湯槽と、前記溶湯槽内に配置され、周面の上部側に前記溶湯を導入するための溶湯導入口を有し、周面の下部側に前記溶湯を導出するための溶湯導出口を有するシリンダと、前記シリンダの前記溶湯導出口に連接され、前記溶湯槽の外部に突出されて、前記溶湯を前記溶湯槽の外部に導出するためのノズルと、前記溶湯槽の上方に駆動機構を有し、前記溶湯槽内で前記シリンダ内部を前記溶湯導入口を開放する所定の上限位置と前記溶湯導出口を遮蔽する所定の下限位置との間で往復運動し、前記溶湯を前記溶湯導入口を通じて前記シリンダ内部に導入し、前記シリンダ内部に導入された前記溶湯を押圧して、前記溶湯導出口を通じて導出するプランジャとを備え、前記ノズルに鋳造用金型を接続され、前記溶湯を前記鋳造用金型に射出するホットチャンバーダイカストマシンにおいて、前記プランジャの下端縁部から前記プランジャの周面に沿って、前記シリンダ内部の前記プランジャの所定の下限位置の地点と前記溶湯導入口との間を前記溶湯導出口に連通しない経路で連通し、前記溶湯を前記シリンダ内部に誘導するための溶湯誘導溝を形成され、前記プランジャの駆動機構に、前記プランジャを軸芯回りに回転運動する回転機構を併せて備え、前記プランジャを前記所定の上限位置から前記所定の下限位置まで駆動して、前記溶湯を前記シリンダ内から導出する場合、前記プランジャを駆動する前に、前記溶湯誘導溝を前記溶湯導入口及び前記溶湯導出口のいずれにも一致しない方向に向け、前記プランジャを前記所定の下限位置から前記所定の上限位置まで駆動して、前記溶湯を前記シリンダ内に導入する場合、前記プランジャを駆動する前に、前記溶湯誘導溝を前記溶湯導入口に一致する方向に向ける、ことを要旨とする。
【0007】
本発明のホットチャンバーダイカストマシンはまた、各部に次のような構成を備えることが好ましい。
(1)溶湯誘導溝はプランジャの周面に当該プランジャの下端縁部から当該プランジャの軸方向に向けて形成される。
(2)溶湯誘導溝はプランジャの周面に当該プランジャの下端縁部から当該プランジャの軸方向に対して斜めの方向に向けて形成される。
(3)プランジャの駆動機構は、中空軸からなるアウターシャフト及び前記アウターシャフトに回転可能に嵌挿される充実軸からなるインナーシャフトの2重構造に形成されるピストンロッドと、前記ピストンロッドが上下方向に貫通して配置され、前記ピストンロッドを油圧により直線往復運動する油圧シリンダと、前記油圧シリンダの上部に、前記ピストンロッドの直線往復運動を案内するガイド、及び前記ピストンロッドのインナーシャフトに回転方向の動力を伝達する動力伝達部材を介して配設され、前記動力伝達部材を駆動して前記インナーシャフトを回転運動する駆動モータとを有し、前記インナーシャフトの下部にプランジャがカップリングを介して連結される。
(4)ガイド及び動力伝達部材は1ユニットにより構成され、インナーシャフトの上部に当該インナーシャフトと一体に回転可能に形成され、円周方向に複数の軸挿通部を有するフランジと、アウターシャフトの上部側の周囲に当該アウターシャフトに対して回転可能に配設され、円周方向に前記フランジの各軸挿通部に対応する複数の軸受を有するピストンロッド側の回転部材と、駆動モータの回転軸に回転可能に取り付けられ、円周方向に前記フランジの各軸挿通部に対応する複数の軸受を有する駆動モータ側の回転部材と、前記ピストンロッド側の回転部材の各軸受と前記駆動モータ側の回転部材の各軸受との間に前記インナーシャフトのフランジの各軸挿通部を挿通して連結される複数のガイドシャフトとを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のホットチャンバーダイカストマシンでは、プランジャの下端縁部からプランジャの周面に沿って、シリンダ内部のプランジャの所定の下限位置の地点と溶湯導入口との間を溶湯導出口に連通しない経路で連通し、溶湯をシリンダ内部に誘導するための溶湯誘導溝が形成され、プランジャの駆動機構に、プランジャを軸芯回りに回転運動する回転機構を併せて備え、プランジャを所定の上限位置から所定の下限位置まで駆動して、溶湯をシリンダ内から導出する場合、プランジャを駆動する前に、溶湯誘導溝を溶湯導入口及び溶湯導出口のいずれにも一致しない方向に向けて、シリンダ内の溶湯を押圧し、プランジャを所定の下限位置から所定の上限位置まで駆動して、溶湯をシリンダ内に導入する場合、プランジャを駆動する前に、溶湯誘導溝を溶湯導入口に一致する方向に向けて、この溶湯誘導溝を通して溶湯槽内の溶湯をシリンダ内に誘導し、プランジャの上昇とともに、この溶湯誘導溝を通じてシリンダ内に溶湯を誘導し充填するので、プランジャをシリンダ内で直線往復運動するときに、シリンダ内に空気が入り込むのを確実に防止して、シリンダ内の溶湯を空気が混入することなく鋳造用金型に向けて押圧することができ、これにより、ダイカスト成形品の品質の維持、向上を図ることができる、という本願固有の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るホットチャンバーダイカストマシンを示す正面断面図
【図2】同ホットチャンバーダイカストマシンの駆動機構の要部を示す部分拡大断面図
【図3】同ホットチャンバーダイカストマシンの動作を示し、特に、プランジャをシリンダの内部で溶湯誘導溝を溶湯導入口の方向に向けた状態で上死点まで上昇させて、シリンダと溶湯槽とをシリンダの溶湯導入口及びシリンダ保持部材の溶湯の導入口を通じて連通させ、シリンダ内部に溶湯を完全に充填した状態を示す図
【図4】同ホットチャンバーダイカストマシンの動作を示し、特に、プランジャをシリンダの内部で上死点から下死点まで下降する前に、プランジャを一方向に所定の角度回転して、溶湯誘導溝を溶湯導入口及び溶湯導出口のいずれにも一致しない方向に向けた状態を示す図
【図5】同ホットチャンバーダイカストマシンの動作を示し、特に、プランジャをシリンダの内部で上死点から下死点まで下降し、プランジャの下降とともに、シリンダ内の溶湯を押圧して、溶湯をシリンダの溶湯導出口を通じてノズルに導出し、このノズルから金型に射出した状態を示す図
【図6】同ホットチャンバーダイカストマシンの動作を示し、特に、プランジャをシリンダの内部で下死点から上死点まで上昇する前に、プランジャを一方向に所定角度回転して、溶湯誘導溝を溶湯導入口に一致する方向に向けた状態を示す図
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るホットチャンバーダイカストマシンを示す正面断面図
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るホットチャンバーダイカストマシンの主要部を示す正面断面図
【図9】本発明の第3の実施の形態で用いられる自在継手の一部破断正面図
【図10】本発明の第3の実施の形態で用いられる自在継手の一部破断側面面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。図1にホットチャンバーダイカストマシンを示している。図1に示すように、ホットチャンバーダイカストマシンMは、溶融金属材料の溶湯を入れるための溶湯槽1と、溶湯槽1内に配置され、溶湯を導入及び導出するための溶湯導入口21及び溶湯導出口22を有するシリンダ2と、シリンダ2の溶湯導出口22に連接され、溶湯を溶湯槽1の外部に導出するためのノズル4と、溶湯槽1の上方に駆動機構5を有し、溶湯槽1内でシリンダ2内部を溶湯導入口21を開放する所定の上限位置(以下、上死点という。)と溶湯導出口22を遮蔽する所定の下限位置(以下、下死点という。)との間で往復運動し、溶湯を溶湯導入口21を通じてシリンダ2内部に導入し、シリンダ2内部に導入された溶湯を押圧して、溶湯導出口22を通じて導出するプランジャ6とを備えて構成される。
【0011】
このホットチャンバーダイカストマシンMでは、溶湯槽1は図示されない炉体に保持される。なお、炉体の下部には加熱ヒータが設置される。シリンダ2は、全体が有底の略円筒形状に形成され、周面の上部側所定の位置に溶湯を導入するための溶湯導入口21が形成され、周面の下部側で溶湯導入口21とは異なる方向、この場合、シリンダ2の軸芯を対称中心として溶湯導入口21とは対称的な位置に溶湯導出口22が形成される。なお、溶湯導入口21は、シリンダ2の周壁の上部側所定の位置にこの周壁の外面と内面との間を略水平に貫通してなる溶湯の通路で、この溶湯導入口21によりシリンダ2と溶湯槽1が連通可能となり、シリンダ2内部に溶湯層1内の溶湯が導入されるようになっている。溶湯導出口22は、シリンダ2の周壁内面の下部側所定の位置に下部開口が形成され、この開口からシリンダ2の周壁内部を上方に向けてクランク状に延び、シリンダ2の周壁外面の上部側所定の位置に上部開口が形成されてなる溶湯の通路で、この溶湯導出口22によりシリンダ2内部の溶湯がプランジャ6により押圧されて(ノズル4に向けて)押し出されるようになっている。この溶湯導出口22はこの通路の形状から一般にグースネックと称される。このシリンダ2は炉体上の支持構造体7にシリンダ保持部材3を介して支持され、溶湯槽1内に配置される。この場合、支持構造体7はシリンダ2及びプランジャの駆動機構5を支持するために炉体上に組み立てられ、溶湯槽1の上面の上方所定の高さに溶湯槽1の外周から(溶湯槽1の)中心に向けて突出される支持部71と、この支持部71上に固定され、溶湯槽1の上面の上方に架設される架台72とを備える。シリンダ保持部材3はシリンダ2を包囲して保持可能に有底の略(円)筒形に形成され、その周壁にシリンダ2の溶湯導入口21に対応して溶湯の導入口31が形成され、シリンダ2の溶湯導出口22に対応してノズルの挿通口32が形成される。このシリンダ保持部材3内にシリンダ2が相互の溶湯導入口21と溶湯の導入口31、溶湯導出口22とノズルの挿通口32をそれぞれ連通させて保持され、このシリンダ保持部材3は支持構造体7の支持部71の下面に固定されて支持部71から溶湯槽1内に吊り下げられる。このようにしてシリンダ2はシリンダ保持部材3に保持されて溶湯槽1内に溶湯の湯面の位置よりも下方に配置される。ノズル4はシリンダ2の溶湯導出口22に連接され、溶湯槽1の外部に突出される。この場合、ノズル4は一端がシリンダ保持部材3のノズルの挿通口32を通してシリンダ2の溶湯導出口22にシール材を介して水密に接続され、他端は溶湯槽1の周面上部で溶湯槽1内の溶湯の湯面の位置よりも上側の所定の位置を貫通して溶湯槽1の外部に突出される。このノズル4の他端側、すなわち、溶湯層1の外部に突出される部分はノズルヒータ(図示省略)が取り付けられ、このノズルヒータにより加熱されるようになっている。このノズル4に鋳造用金型(図示省略)が接続される。
【0012】
プランジャの駆動機構5は炉体上の支持構造体7により溶湯槽1の上面の上方に設置され、プランジャ6を溶湯槽1内のシリンダ2の内部で上死点と下死点との間で直線往復運動する進退駆動機構、及びプランジャ6を軸芯回りに回転運動する回転機構を併せて備える。この場合、この駆動機構5は、中空軸からなるアウターシャフト51及びアウターシャフト51に回転可能に嵌挿される充実軸からなるインナーシャフト52の2重構造に形成されるピストンロッド50と、このピストンロッド50を上下方向に貫通させて配置され、ピストンロッド50を油圧により直線往復運動する油圧シリンダ53と、油圧シリンダ53の上部にピストンロッド50の直線往復運動を案内するガイド及びピストンロッド50のインナーシャフト52に回転方向の動力を伝達する動力伝達部材54を介して配設され、このガイド及び動力伝達部材54を駆動してインナーシャフト52を回転運動する駆動モータとしてのサーボモータ55とを備えて構成される。ここで、アウターシャフト51は円筒状の中空軸からなり、インナーシャフト52はアウターシャフト51内で回転可能にアウターシャフト51の径よりも少し小さい所定の径を有し、アウターシャフト51の上下端から突出可能にアウターシャフト51の全長よりも少し長い所定の長さを有する円柱状の充実軸からなり、インナーシャフト52はアウターシャフト51内にアウターシャフト51の上下端にベアリング56、57を介して回転可能に嵌挿される。ガイド及び動力伝達部材54は油圧シリンダ53の上部延長上に形成されるマシンハウジング58内に組み立てられ、サーボモータ55はマシンハウジング58の上部に設置されて、サーボモータ55の回転軸551がマシンハウジング58内に挿通され、ガイド及び動力伝達部材54に作動連結される。このガイド及び動力伝達部材54は1ユニットで構成され、図2に示すように、インナーシャフト52の上部に当該インナーシャフト52と一体に回転可能に形成され、円周方向に複数の、ここでは3つの軸挿通部540を有するフランジ541と、油圧シリンダ53の上部の直上にアウターシャフト51の上部側の周囲にベアリング59を介して当該アウターシャフト51に対して回転可能に配設され、円周方向にフランジ541の各軸挿通部540に対応する複数、ここでは3つの軸受543を有するピストンロッド側の回転部材542と、図1に示すように、サーボモータ55の回転軸551に回転可能に取り付けられ、円周方向にフランジ541の各軸挿通部540に対応する複数の、ここでは3つの軸受545を有する駆動モータ側の回転部材544と、ピストンロッド側の回転部材542の各軸受543と駆動モータ側の回転部材544の各軸受545との間にインナーシャフト52のフランジ541の各軸挿通部540を挿通して連結される複数の、ここでは3本のガイドシャフト546とにより構成される。このようにしてプランジャの駆動機構5は炉体上の支持構造体7により溶湯槽1の上面上方に設置され、ピストンロッド50が溶湯槽1内のシリンダ2に同芯的に配置され、このピストンロッド50のインナーシャフト52の下部にプランジャ6がカップリング501を介して連結される。なお、この駆動機構5は図示されない制御盤を備え、この制御盤のコントロールにより、油圧シリンダ53を作動して、ピストンロッド50を上下方向に進退駆動し、また、サーボモータ55を作動して、ピストンロッド50のインナーシャフト52を軸芯回りに回転駆動する。油圧シリンダ53の作動によりピストンロッド50が上下方向に進退運動するとき、ガイド及び動力伝達部材54では、フランジ541がピストンロッド側の回転部材542と駆動モータ側の回転部材544との間でガイドシャフト546に沿って上下方向に進退運動する。また、サーボモータ55の回転駆動力は、駆動モータ側の回転部材544を介してピストンロッド50のインナーシャフト52に伝達される。
【0013】
プランジャ6はシリンダ2内部を上下方向に摺動可能に略円柱形状に形成され、また、このプランジャ6の場合、下端縁部(下端面の任意の縁部)からプランジャ6の周面に沿って、シリンダ2内部のプランジャ6の所定の下限位置(すなわち、下死点)の地点と溶湯導入口21との間を溶湯導出口22に連通しない経路で連通し、溶湯をシリンダ2内部に誘導するための溶湯誘導溝61を形成される。この場合、シリンダ2は既述のとおり、周面の溶湯導入口21と溶湯導出口22が相互に異なる方向に形成されているので、溶湯誘導溝61はプランジャ6の周面に当該プランジャ6の下端縁部から当該プランジャ6の軸方向に向けて所定の長さ、幅及び深さに形成される。
【0014】
このようにしてこのホットチャンバーダイカストマシンMでは、ノズル4に鋳造用金型が接続された状態から、溶湯槽1内に入れられた溶湯を、プランジャ6の直線往復運動により、シリンダ2の溶湯導入口21からシリンダ2内部に導入し、シリンダ2内部に導入された溶湯を押圧して、溶湯導出口22を通じて導出し、溶湯をノズル4を通して鋳造用金型に射出する構造を採る。そして、このプランジャ6の直線往復運動において、プランジャ6をシリンダ2の内部で上死点から下死点まで駆動(前進運動)して、溶湯をシリンダ2内部から導出する場合、プランジャ6を下降駆動する前に、プランジャ6を回転して溶湯誘導溝61を溶湯導入口21及び溶湯導出口22のいずれにも一致しない方向に向け、プランジャ6を下死点から上死点まで駆動(後退運動)して、溶湯をシリンダ2内部に導入する場合、プランジャ6を上昇駆動する前に、プランジャ6を回転して溶湯誘導溝61を溶湯導入口21に一致する方向に向けるようになっている。
【0015】
図3乃至図6にこのホットチャンバーダイカストマシンMによる鋳造動作を示している。図3において、まず、溶湯槽1から突出されるノズル4の端部に鋳造用金型(図示省略)が接続され、また、溶湯槽1内は溶融金属材料の溶湯8が満たされる。また、この場合、プランジャ6はシリンダ2の内部で溶湯誘導溝61が溶湯導入口21の方向に向けられた状態で上死点に上昇されており、シリンダ2と溶湯槽1がシリンダ2の溶湯導入口21及びシリンダ保持部材3の溶湯の導入口31を通じて連通され、シリンダ2内部に溶湯が完全に充填された状態になっている。
【0016】
この状態から、プランジャ6をシリンダ2の内部で上死点から下死点まで駆動して、溶湯8をシリンダ2内部から導出する場合、図4に示すように、駆動機構5の進退駆動機構の駆動によりプランジャ6が下降される前に、駆動機構5の回転機構の駆動によりプランジャ6が一方向に所定の角度回転されて、溶湯誘導溝61が溶湯導入口21及び溶湯導出口22のいずれにも一致しない方向に向けられる。そして、図5に示すように、駆動機構5の進退駆動機構の駆動によりプランジャ6がシリンダ2の内部で上死点から下死点まで下降され、プランジャ6の下降とともに、シリンダ2内の溶湯8が押圧されて、溶湯8がシリンダ2の溶湯導出口22を通じてノズル4に導出され、このノズル4から金型に射出される。
【0017】
続いて、プランジャ6を下死点から上死点まで駆動して、溶湯をシリンダ2内に導入する場合、図6に示すように、駆動機構5の進退駆動機構の駆動によりプランジャ6が上昇駆動される前に、プランジャ6が一方向に所定角度回転されて溶湯誘導溝61が溶湯導入口21に一致する方向に向けられる。これにより、シリンダ2内部のプランジャ6の下死点の地点と溶湯導入口21との間がプランジャ6の溶湯誘導溝61により(溶湯導出口22に連通することなく)連通し、溶湯槽1内の溶湯8がシリンダ保持部材3の溶湯の導入口31、シリンダ2の溶湯導入口21からプランジャ6の溶湯誘導溝61を通じてシリンダ2内部に誘導され、この溶湯誘導溝61内に充填される。そして、駆動機構5の進退駆動機構の駆動によりプランジャ6がシリンダ2内部で下死点から上死点まで上昇され、このプランジャ6の上昇とともに、溶湯槽1内の溶湯がシリンダ保持部材3の溶湯の導入口31、シリンダ2の溶湯導入口21からプランジャ6の溶湯誘導溝61を通じてシリンダ2内部に誘導され、溶湯がシリンダ2内に常態として充填される。これにより、ノズル4、シリンダ2の溶湯導出口22に滞留する溶湯がシリンダ2内部に逆流することがなく、また、ノズル4側から空気がシリンダ2の溶湯導出口22を通じてシリンダ2内部に入り込むことがない。このようにしてプランジャ6が上死点まで上昇されると、図3を参照すると、シリンダ2と溶湯槽1がシリンダ2の溶湯導入口21及びシリンダ保持部材3の溶湯の導入口31を通じて連通され、シリンダ2内に溶湯8が完全に充填された状態となる。
そして、プランジャ6は同様に直線往復運動が回転運動とともに繰り返し行われ、溶湯槽1内の溶湯8がシリンダ2の溶湯導入口21からシリンダ2内に導入され、シリンダ2内に導入された溶湯が押圧されて、溶湯導出口22から導出され、ノズル4を通じて金型に射出される。
【0018】
以上説明したように、このホットチャンバーダイカストマシンMでは、プランジャ6の下端縁部からプランジャ6の周面にプランジャ6の軸方向に向けて、シリンダ2内部のプランジャ6の下死点の地点と溶湯導入口21との間を溶湯導出口22に連通しない経路で連通し、溶湯をシリンダ2内部に誘導するための溶湯誘導溝61が形成され、プランジャの進退駆動機構5に、プランジャ6を軸芯回りに回転運動する回転機構を併せて備え、プランジャ6を上死点から下死点まで駆動して、溶湯をシリンダ2内部から導出する場合、プランジャ6を駆動する前に、プランジャ6を一方向に回転して溶湯誘導溝61をシリンダ2の溶湯導入口21及び溶湯導出口22のいずれにも一致しない方向に向けて、シリンダ2内の溶湯を押圧し、プランジャ6を下死点から上死点まで駆動して、溶湯をシリンダ2内部に導入する場合、プランジャ6を駆動する前に、プランジャ6を一方向に回転して溶湯誘導溝61をシリンダ2の溶湯導入口21に一致する方向に向けて、この溶湯誘導溝61を通して溶湯槽1内の溶湯をシリンダ2内に誘導し、プランジャ6の上昇とともに、この溶湯誘導溝61を通じてシリンダ2内に溶湯を誘導し充填するので、プランジャ6をシリンダ2内で直線往復運動するときに、シリンダ2内部に空気が入り込むのを確実に防止することができ、シリンダ2内部の溶湯を空気が混入することなく鋳造用金型に向けて押圧することができる。これにより、ダイカスト成形品の品質の維持、向上を図ることができる。
【0019】
また、このホットチャンバーダイカストマシンMでは、プランジャの駆動機構5は、中空軸からなるアウターシャフト51及びアウターシャフト51に回転可能に嵌挿される充実軸からなるインナーシャフト52の2重構造のピストンロッド50と、このピストンロッド50が上下方向に貫通して配置され、ピストンロッド50を油圧により直線往復運動する油圧シリンダ53と、油圧シリンダ53の上部にピストンロッド50の直線往復運動を案内するガイド及びピストンロッド50のインナーシャフト52に回転方向の動力を伝達する動力伝達部材54を介して配設され、このガイド及び動力伝達部材54を駆動してインナーシャフト52を回転運動するサーボモータ55とを備えて構成されるので、プランジャの駆動機構(進退駆動機構)5に、少ない部品点数の簡易な装置構成で、回転機構を併設することができる。また、この場合、ガイド及び動力伝達部材54は、インナーシャフト52の上部に当該インナーシャフト52と一体に回転可能に形成され、円周方向に3つの軸挿通部540を有するフランジ541と、アウターシャフト51の上部側の周囲に当該アウターシャフト51に対して回転可能に配設され、円周方向にフランジ541の各軸挿通部540に対応する3つの軸受543を有するピストンロッド側の回転部材542と、サーボモータ55の回転軸551に回転可能に取り付けられ、円周方向にフランジ541の各軸挿通部540に対応する3つの軸受545を有する駆動モータ側の回転部材544と、ピストンロッド側の回転部材542の各軸受543と駆動モータ側の回転部材544の各軸受545との間にインナーシャフト52のフランジ541の各軸挿通部540を挿通して連結される3本のガイドシャフト546とにより、1ユニットにより構成されるので、駆動機構5全体を少ない部品点数の簡易な装置構成で構成することができる。
【0020】
なお、この実施の形態では、シリンダ2は、周面の上部側所定の位置に溶湯を導入するための溶湯導入口21が形成され、周面の下部側で溶湯導入口21とは異なる方向に溶湯導出口22が形成されるため、プランジャ6の溶湯誘導溝61がプランジャ6の周面にプランジャ6の下端縁部からプランジャの軸方向に向けて形成されて、シリンダ2内部のプランジャ6の下死点の地点と溶湯導入口21との間が溶湯導出口22に連通しない経路で連通されているが、シリンダ2の周面上部側の溶湯導入口21と周面下部側の溶湯導出口22が共に同じ方向に形成される場合は、プランジャ6の溶湯誘導溝61はプランジャ6の周面にプランジャ6の下端縁部からプランジャ6の軸方向に対して斜めの方向に向けて形成されればよく、このようにすることで、シリンダ2内部のプランジャ6の下死点の地点と溶湯導入口21との間を溶湯導出口22に連通しない経路で連通することができ、上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0021】
(実施の形態2)
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るホットチャンバーダイカストマシンを示している。この実施の形態では、第1の実施の形態の駆動機構5において、ピストンロッド50がアウターシャフト51とインナーシャフト52により構成されているのに対して、図7に示すように1体物から成るピストンロッド90を有する駆動機構9を備えている点を特徴としている。この実施の形態においては、図7に示すように、プランジャの駆動機構9は炉体上の支持構造体7により溶湯槽1の上面の上方に設置され、プランジャ6を溶湯槽1内のシリンダ2の内部で上死点と下死点との間で直線往復運動する進退駆動機構、及びプランジャ6を軸芯回りに回転運動する回転機構を併せて備える。この場合、この駆動機構9は、中実軸からなるピストンロッド90と、このピストンロッド90を上下方向に貫通させて配置され、ピストンロッド90を油圧により直線往復運動する油圧シリンダ91と、油圧シリンダ91の上部にピストンロッド90の直線往復運動を案内するガイド及びピストンロッド90に回転方向の動力を伝達する動力伝達部材92を介して配設され、このガイド及び動力伝達部材92を駆動してピストンロッド90を回転運動する駆動モータとしてのサーボモータ55とを備えて構成される。この実施の形態において、ピストンロッド90は中実の軸体からなり、その下部においてベアリング93を介して油圧シリンダ91に対して回転可能に配設され、また上部においてベアリング94を介してマシンハウジング58に対して回転可能に配設される。ガイド及び動力伝達部材92は油圧シリンダ91の上部延長上に形成されるマシンハウジング58内に組み立てられ、サーボモータ55はマシンハウジング58の上部に設置されて、サーボモータ55の回転軸551がマシンハウジング58内に挿通され、ガイド及び動力伝達部材92に作動連結される。このガイド及び動力伝達部材92は1ユニットで構成され、ピストンロッド90の上部に当該ピストンロッド90と一体に回転可能に結合された円板状のフランジ921と、油圧シリンダ53の上方においてベアリング59を介してマシンハウジング58に対して回転可能に配設された円板状のピストンロッド側の回転部材922と、サーボモータ55の回転軸551に結合された円板状の駆動モータ側の回転部材924と、ピストンロッド側の回転部材922と駆動モータ側の回転部材924との間に連結されたガイドシャフト926とにより構成される。フランジ921は、円周方向に複数の(ここでは、例えば3つの)軸挿通部920を有する。ピストンロッド側の回転部材922は、ベアリング95を介してマシンハウジング58に対して回転可能に配設され、また円周方向にフランジ921の軸挿通部920に対応する複数の軸受923を有する。駆動モータ側の回転部材924は、円周方向にフランジ921の各軸挿通部920に対応する複数の軸受925を有する。ガイドシャフト926は、ピストンロッド側の回転部材922の各軸受923と駆動モータ側の回転部材924の各軸受925との間に、フランジ921の各軸挿通部920を挿通して連結される。
【0022】
このようにしてプランジャの駆動機構9は炉体上の支持構造体7により溶湯槽1の上面上方に設置され、ピストンロッド90が溶湯槽1内のシリンダ2に同芯的に配置され、このピストンロッド90の下部にプランジャ6がカップリング501を介して連結される。なお、この駆動機構9は図示されない制御盤を備え、この制御盤のコントロールにより、油圧シリンダ91を作動して、ピストンロッド90を上下方向に進退駆動し、また、油圧シリンダ91の作動とは独立してサーボモータ55を作動して、ピストンロッド90を軸芯回りに回転駆動する。油圧シリンダ53の作動によりピストンロッド90が上下方向に進退運動するとき、ガイド及び動力伝達部材92では、フランジ921がピストンロッド側の回転部材922と駆動モータ側の回転部材924との間でガイドシャフト926に沿って上下方向に進退運動する。また、サーボモータ55の回転駆動力は、駆動モータ側の回転部材924を介してピストンロッド90に直接伝達される。
【0023】
なお、第1及び第2の実施の形態に共通して、上記制御盤のコントロールによりサーボモータ55を作動するとき、サーボモータ55を一方向(例えば時計回り方向)へ回転して溶湯誘導溝61を溶湯導入口21及び溶湯導出口22のいずれにも一致しない方向に向ける動作の次に、サーボモータ55を先とは逆の方向(反時計回り方向)へ回転して溶湯誘導溝61を溶湯導入口21に一致する方向に向ける動作を行うようにコントロールしてもよい。或いは、サーボモータ55を一方向(例えば時計回り方向)へ回転して溶湯誘導溝61を溶湯導入口21及び溶湯導出口22のいずれにも一致しない方向に向ける動作の次に、サーボモータ55を先と同じ方向(時計回り方向)へ所定の角度回転して溶湯誘導溝61を溶湯導入口21に一致する方向に向ける動作を行い、その次に、サーボモータ55をさらに同じ方向(時計回り方向)へ所定の角度回転して溶湯誘導溝61を溶湯導入口21及び溶湯導出口22のいずれにも一致しない方向に向ける、というようにコントロールしてもよい。後者の場合においては、サーボモータ55とピストンロッド90は常に一方の方向へ回転することになるから、ピストンロッド90にとっては、油圧シリンダ53,91或いはマシンハウジング58との間で同じ部位同士が繰り返し接触して擦れあうことがなくなるため、摩耗の進行を抑制することができるという利点がある。
【0024】
(実施の形態3)
図8乃至図10は、本発明の第3の実施の形態に係るホットチャンバーダイカストマシンを示しており、図8はホットチャンバーダイカストマシンのプランジャ連結部を示す部分断面図である。この実施の形態では、第1及び第2の実施の形態の駆動機構5において、ピストンロッド50及び90(ここではピストンロッド50を代表させる)とプランジャ6とがカップリング501を介して直結されているのに対して、図8に示すようにピストンロッド50とプランジャ6とが自在継手505を介して連結されている点を特徴としている。自在継手505は、図8に示すように、ピストンロッド50プランジャ6の間に設置されている。
【0025】
図9及び図10は上記自在継手505の構造を示す図で、図9は一部内部構造を表す一部破断正面図、図10は一部内部構造を表す一部破断側面図である。図9において、506は自在継手505の入力軸となるクロスピン、507、508はクロスピン506を左右から支持する支持アーム、509,510は支持アーム507、508をそれぞれ外側から保持するアームホルダである。クロスピン506の上部には当該自在継手505をピストンロッド50に取り付けるための取付部材511が設けられ、クロスピン506の下部にはベース部512が設けられている。ベース部512にはカップリング501が結合される。また、クロスピン506には図9中513で示される第1の回転軸と、図10中514で示される第2の回転軸とが設けられている。ピストンロッド50が延びる方向(図8乃至図10中上下方向)を鉛直方向とすると、第1及び第2の回転軸513及び514はいずれも水平方向に延び、且つ水平面内において互いに直交する方向に延びている。そして、クロスピン506の入力側アセンブリ515(取付部材511が設けられている側)と出力側アセンブリ516(ベース部512が設けられている側)とは分割構造となっており、一方は第1の回転軸513に固定で第2の回転軸の周りに回転可能であり、また、他方は第1の回転軸513の周りに回転可能で、第2の回転軸に固定となっている。これにより、ピストンロッド50とプランジャ6との間に角度ずれが生じても、このずれを吸収しつつピストンロッド50からプランジャ6へ回転及び進退運動(スラスト運動)のための動力を円滑に伝達することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のマシンでは、プランジャを所定の下限位置から所定の上限位置まで駆動して、溶湯をシリンダ内に導入する場合、プランジャを駆動する前に、溶湯誘導溝を溶湯導入口に一致する方向に向けて、この溶湯誘導溝を通して溶湯槽内の溶湯をシリンダ内に誘導し、プランジャの上昇とともに、この溶湯誘導溝を通じてシリンダ内に溶湯を誘導し充填するので、プランジャをシリンダ内で直線往復運動するときに、シリンダ内に空気が入り込むのを確実に防止し、ダイカスト成形品の品質の維持、向上を図ることができるという利点がある。
【符号の説明】
【0027】
M ホットチャンバーダイカストマシン
1 溶湯槽
2 シリンダ
21 溶湯導入口
22 溶湯導出口
3 シリンダ保持部材
31 溶湯の導入口
32 ノズルの挿通口
4 ノズル
5 駆動機構
50、90 ピストンロッド
51 アウターシャフト
52 インナーシャフト
53、91 油圧シリンダ
54、92 ガイド及び動力伝達部材
55 駆動モータ(サーボモータ)
56、57、59 ベアリング
58 マシンハウジング
501 カップリング
505 自在継手
540 軸挿通部
541 フランジ
542 ピストンロッド側の回転部材
543、545 軸受
544 駆動モータ側の回転部材
546 シャフト部材
551 回転軸
6 プランジャ
61 溶湯誘導溝
7 支持構造体
71 支持部
72 架台
8 溶湯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属材料の溶湯を入れるための溶湯槽と、前記溶湯槽内に配置され、周面の上部側に前記溶湯を導入するための溶湯導入口を有し、周面の下部側に前記溶湯を導出するための溶湯導出口を有するシリンダと、前記シリンダの前記溶湯導出口に連接され、前記溶湯槽の外部に突出されて、前記溶湯を前記溶湯槽の外部に導出するためのノズルと、前記溶湯槽の上方に駆動機構を有し、前記溶湯槽内で前記シリンダ内部を前記溶湯導入口を開放する所定の上限位置と前記溶湯導出口を遮蔽する所定の下限位置との間で往復運動し、前記溶湯を前記溶湯導入口を通じて前記シリンダ内部に導入し、前記シリンダ内部に導入された前記溶湯を押圧して、前記溶湯導出口を通じて導出するプランジャとを備え、前記ノズルに鋳造用金型を接続され、前記溶湯を前記鋳造用金型に射出するホットチャンバーダイカストマシンにおいて、
前記プランジャの下端縁部から前記プランジャの周面に沿って、前記シリンダ内部の前記プランジャの所定の下限位置の地点と前記溶湯導入口との間を前記溶湯導出口に連通しない経路で連通し、前記溶湯を前記シリンダ内部に誘導するための溶湯誘導溝を形成され、
前記プランジャの駆動機構に、前記プランジャを軸芯回りに回転運動する回転機構を併せて備え、
前記プランジャを前記所定の上限位置から前記所定の下限位置まで駆動して、前記溶湯を前記シリンダ内から導出する場合、前記プランジャを駆動する前に、前記溶湯誘導溝を前記溶湯導入口及び前記溶湯導出口のいずれにも一致しない方向に向け、
前記プランジャを前記所定の下限位置から前記所定の上限位置まで駆動して、前記溶湯を前記シリンダ内に導入する場合、前記プランジャを駆動する前に、前記溶湯誘導溝を前記溶湯導入口に一致する方向に向ける、
ことを特徴とするホットチャンバーダイカストマシン。
【請求項2】
溶湯誘導溝はプランジャの周面に当該プランジャの下端縁部から当該プランジャの軸方向に向けて形成される請求項1に記載のホットチャンバーダイカストマシン。
【請求項3】
溶湯誘導溝はプランジャの周面に当該プランジャの下端縁部から当該プランジャの軸方向に対して斜めの方向に向けて形成される請求項1に記載のホットチャンバーダイカストマシン。
【請求項4】
プランジャの駆動機構は、中空軸からなるアウターシャフト及び前記アウターシャフトに回転可能に嵌挿される充実軸からなるインナーシャフトの2重構造に形成されるピストンロッドと、前記ピストンロッドが上下方向に貫通して配置され、前記ピストンロッドを油圧により直線往復運動する油圧シリンダと、前記油圧シリンダの上部に、前記ピストンロッドの直線往復運動を案内するガイド、及び前記ピストンロッドのインナーシャフトに回転方向の動力を伝達する動力伝達部材を介して配設され、前記動力伝達部材を駆動して前記インナーシャフトを回転運動する駆動モータとを有し、前記インナーシャフトの下部にプランジャがカップリングを介して連結される請求項1乃至3のいずれかに記載のホットチャンバーダイカストマシン。
【請求項5】
ガイド及び動力伝達部材は1ユニットにより構成され、インナーシャフトの上部に当該インナーシャフトと一体に回転可能に形成され、円周方向に複数の軸挿通部を有するフランジと、アウターシャフトの上部側の周囲に当該アウターシャフトに対して回転可能に配設され、円周方向に前記フランジの各軸挿通部に対応する複数の軸受を有するピストンロッド側の回転部材と、駆動モータの回転軸に回転可能に取り付けられ、円周方向に前記フランジの各軸挿通部に対応する複数の軸受を有する駆動モータ側の回転部材と、前記ピストンロッド側の回転部材の各軸受と前記駆動モータ側の回転部材の各軸受との間に前記インナーシャフトのフランジの各軸挿通部を挿通して連結される複数のガイドシャフトとを有する請求項4に記載のホットチャンバーダイカストマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−91083(P2013−91083A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235225(P2011−235225)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(591117413)株式会社菊池製作所 (33)