説明

ホットメルト型接着剤及びそれを用いた積層体

【課題】 本発明は、低温から高温の幅広い温度環境下でも十分な保持力を有し、接着力を付与、向上するための化学的反応を必要としないホットメルト型接着剤およびそれを用いた塗工物の提供を目的とする。
【解決手段】ガラス転移点が−40℃以下である粘稠性ポリマー(A)、軟化点が100℃以上であるワックス(B)、粘着付与樹脂(C)(ただし、(A)または(B)である場合を除く)、及び熱可塑性樹脂(D)(ただし、(A)または(B)または(C)である場合を除く)を含んでなることを特徴とするホットメルト型接着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温から高温の幅広い温度環境下でも十分な保持力を有し、接着力を付与、向上するための化学的反応を必要としないホットメルト型接着剤およびそれを用いた塗工物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト型接着剤は、加熱・溶融することで流動性が得られ、その状態で塗布し貼り合わせることで固化・接着することができる。また、無溶剤のため、環境面、安全面に優れていることや塗工方法を選択できることから、ホットメルト型接着剤がより注目されている。
【0003】
しかし、ホットメルト型接着剤は加熱により流動することから、耐熱性を要する分野ではホットメルト型接着剤を使用することは難しく、多くの場合は溶剤系硬化型接着剤が使用されている。
【0004】
上記課題を解決するために、空気中の湿気による架橋反応で硬化するホットメルト型接着剤が提案されている(特許文献1、2参照)。また、未反応タイプで軟化点の高いワックスを使用することにより耐熱性を付与するホットメルト型接着剤が提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載の湿気硬化型接着剤では、基材を貼り合わせてから使用するまでに14日間の養生期間を必要とする。また、湿気硬化により粘度上昇、硬化するため、塗工適性が一定に保たれにくいこと、保管が短期間であることから取扱いが難しい。
【0006】
また、特許文献3に記載のホットメルト型接着剤では80℃の保持力には優れているものの、100g以上の荷重や、80℃を超える温度では耐熱性は示さなかったことから、より厳しい耐熱性を必要とする用途には使用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−24107号公報
【特許文献2】特開2009−24108号公報
【特許文献3】特開2001−172590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、低温から高温の幅広い温度環境下でも十分な保持力を有し、接着力を付与、向上するための化学的反応を必要としないホットメルト型接着剤およびそれを用いた塗工物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ガラス転移点が−40℃以下である粘稠性ポリマー(A)、軟化点が100℃以上であるワックス(B)、粘着付与樹脂(C)(ただし、(A)または(B)である場合を除く)、及び熱可塑性樹脂(D)(ただし、(A)または(B)または(C)である場合を除く)を含んでなることを特徴とするホットメルト型接着剤に関する。
【0010】
また、本発明は、粘稠性ポリマー(A)5〜35重量%、ワックス(B)5〜45重量%、及び粘着付与樹脂(C)と熱可塑性樹脂(D)との合計が30〜60重量%を配合してなる上記ホットメルト型接着剤に関する。
【0011】
また、本発明は、粘着付与樹脂(C)と熱可塑性樹脂(D)は、重量比で(C)/(D)=0.4〜5.0である上記ホットメルト型接着剤に関する。
【0012】
また、本発明は、粘稠性ポリマー(A)は、炭素数4または5のオレフィンを重合してなるポリマーであることを特徴とする上記ホットメルト型接着剤に関する。
【0013】
また、本発明は、180℃で粘度が、20000mPa・s以下であり、軟化点が、120〜150℃からなることを特徴とする上記ホットメルト型接着剤に関する。
【0014】
また、本発明は、基材と、上記ホットメルト型接着剤から形成されてなる接着剤層とを備えた積層体に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、低温から高温の幅広い温度環境下でも十分な保持力を有し、接着力を付与、向上するための化学的反応を必要としないホットメルト型接着剤およびそれを用いた塗工物の提供できるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において粘稠性ポリマー(A)は、ガラス転移点が−40℃以下であることが重要である。ガラス転移点が−40℃以下であることで、低温での接着力を維持しやすいことや、ホットメルト型接着剤の膜割れを抑えやすくなる。ガラス転移点の下限は特にないが、−100℃以上が好ましい。ここで、粘稠性とは、室温で粘り気またはベタツキを有することをいうが、ガラス転移点が−40℃以下のポリマーであれば備えている性質である。本発明の接着剤において、複数のポリマーが使用されるため、あえて、ポリマー(A)に粘稠性という形容句を付与するものである。
なお、ガラス転移点とは、非晶質の固体が低温から高温に温度を上昇させた際にガラス状態からゴム状態或いは液状になる温度のことをいう。
【0017】
粘稠性ポリマー(A)は、炭素数4または5のオレフィンを重合してなるポリマーであり、ホモポリマー、ランダム共重合またはブロック重合などにより得られる。
炭素数4または5のオレフィンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、シクロペンタジエンなどが挙げられる。
ガラス転移点が−40℃以下である範囲内で、炭素数4または5のオレフィン以外のビニル重合性ポリマーを併用できる。
【0018】
本発明で用いられる粘稠性ポリマー(A)としては、具体的には、例えばポリブテンホモポリマー、ポリイソブチレンホモポリマー、イソプレンホモポリマー、スチレン−イソプレンブロックポリマー、イソプレン−ブタジエンブロックポリマー、または、これらに水素添加したポリマー、または水素添加されたイソプレン−イソプレンブロックポリマー等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0019】
粘稠性ポリマー(A)は、ホットメルト型接着剤100重量%中、5〜35重量%含むことが好ましく、10〜30重量%がより好ましい。5重量%以上含むことで、低温域での接着力を維持しやすい。また、35重量%以下含むことで高温域での接着力が低下しにくい。
【0020】
本発明においてワックス(B)は、軟化点が100℃以上であること重要である。軟化点が100℃以上であることで、ホットメルト型粘着剤でありながら高温域においても接着力を維持できる。軟化点の上限は特にないが160℃以下が好ましい。なお、剥がれとは複数の基材を積層した塗工物が、基材間で剥がれることをいう。
【0021】
さらにワックス(B)は160℃における粘度が1000mPa・s以下であることが好ましい。通常のワックス(B)の数平均分子量は、500〜20000、多くは1000〜10000である。
ワックス(B)は、具体的には、例えばパラフィン、マイクロクリスタリンなどの石油ワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エステル熱可塑性樹脂、エチレン−酢酸ビニル熱可塑性樹脂、エチレン−無水マレイン酸熱可塑性樹脂などのオレフィンワックスが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0022】
なお、軟化点とは、JIS K 6863に規定される方法により求められる温度である。すなわち、規定の環に充填し12時間以上静置させた樹脂を熱媒体中に入れて規定の球を置き、一定の割合で熱媒体の温度を上昇させたとき、樹脂の軟化により球が沈み環台の底板に触れたときの温度である。
【0023】
ワックス(B)は、ホットメルト型接着剤100重量%中、5〜45重量%含むことが好ましく、10〜40重量%がより好ましい。5重量%以上含むことで、高温域での接着力を高くしやすい。また、45重量%以下含むことで低温域での接着力が低下しにくい。
【0024】
本発明において粘着付与樹脂(C)は、粘稠性ポリマー(A)またはワックス(B)でなければ、特に制限はされないが、軟化点が80〜160℃のであることが好ましい。粘着付与樹脂(C)を含むことで基材への投錨性や接着力をより向上できる。軟化点が80℃以上になることで高温域での接着力を維持しやすい。また、軟化点が160℃以下になることで低温域での接着力を維持しやすい。
【0025】
粘着付与樹脂(C)は、例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂、水素添加された脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂、フェノール−変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、水素添加されたロジンエステル樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂、水素添加されたテルペン樹脂等を挙げることができる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0026】
粘着付与樹脂(C)は、ホットメルト型接着剤100重量%中、熱可塑性樹脂(D)と合計で20〜60重量%含むことが好ましい。20〜60重量%であることで高温域と低温域の接着力を両立しやすい。
【0027】
粘着付与樹脂(C)は、重量比で(C)/(D)=0.4〜5.0であることが好ましく、0.5〜4.5であることがより好ましい。0.4〜5.0であることで接着力と凝集力でも接着力を維持しやすい。
【0028】
熱可塑性樹脂(D)は、総合的な物性調整のために用いられ、粘稠性ポリマー(A)またはワックス(B)または粘着付与樹脂(C)でなければ、特に制限されないが、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合物(以下、「SBS」とも略記する)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEBS」とも略記する)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合物(以下、「SIS」とも略記する)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEPS」とも略記する)、スチレン−ブタジエン−イソプレン−スチレンブロック共重合物(以下、「SBIS」とも略記する)、 スチレン−ブタジエン−イソプレン−スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEEPS」とも略記する)、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレートブロック共重合物(以下、「アクリル系エラストマー」とも略記する)、ポリエチレン共重合物(以下、「PE」とも略記する)、ポリプロピレン共重合物(以下、「PP」とも略記する)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」とも略記する)、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、無定形ポリアルファオレフィン共重合物(以下、「APAO」とも略記する)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。2種類以上を併用する場合には、凝集力が損なわれない組み合わせを選択する必要がある。
【0029】
本発明のホットメルト型接着剤には、発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、接着昂進防止剤、抗菌剤、消臭剤、香料などの添加剤を含んでもよい。
【0030】
上記の酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0031】
上記のフェノール系酸化防止剤は、自動酸化の連鎖成長過程で生じるROO・(パーオキシラジカル)に水素を供与して安定化し、自身はオルト位置換基によって保護された安定なフェノキシラジカルとなって連鎖反応を停止するラジカルトラップ剤としての機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。特に、フェノール系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤よりラジカルトラップ反応の速いラクトン系酸化防止剤やビタミンE系酸化防止剤等とを併用することにより、より優れたものとなる。また、上記のリン系酸化防止剤は、過酸化物、ROOHを非ラジカル的に分解し、自動酸化過程の連鎖反応を停止する機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。
【0032】
上記の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの通常使用されるものが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0033】
上記の光安定剤としては、ヒンダードアミン系の通常使用されるものが挙げられる。
【0034】
上記の接着昂進防止剤としては、脂肪酸アミド、ポリエチレンイミンの長鎖アルキルグラフト物、大豆油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学工業社製、商品名「アラキード251」等)、トール油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学工業社製、商品名「アラキード6300」等)などが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0035】
上記の抗菌剤としては、ブテナフィン及びその塩等のベンジルアミン系抗菌剤、ビフォナゾール、ネチコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、チオコナゾール、クロコナゾール、オモコナゾール、スルコナゾール及びこれらの塩等のイミダゾール系抗菌剤、テルビナフィン及びその塩などのアリルアミン系抗菌剤、アモロルフィン及びその塩等のモルホリン系抗菌剤、リラナフタート、トルナフテート及びトルシクラート等のチオカルバミン酸系抗菌剤、ナイスタチン、トリコマイシン、バリオチン、シッカニン、ピロールニトリン等の抗生物質等の抗菌剤などが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0036】
上記の消臭剤としては、消臭効果を有するものであれば特に限定はないが、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロリネート、フィルムロネリルセネシオネート、テルペンアルデヒド類、ピルビン酸エステル類、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛などが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0037】
上記の香料としては、ピネン、リモネン等の炭化水素系香料、リナロール、ゲラニオール、フィルムロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェネチルアルコール等のアルコール系香料、アネトール、オイゲノール等のフェノール系香料、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、フィルムラール、フィルムロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド系香料、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、イオノン等のケトン系香料、γ―ブトルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトン系香料、オクチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、安息香酸メチル等のエステル系香料などが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0038】
本発明の目的を損なわない範囲で添加できる紫外線吸収剤、光安定剤、接着昂進防止剤、抗菌剤、消臭剤、香料などの添加剤はホットメルト型接着剤100重量%中、5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましい。5重量%を超えると低温域や高温域での接着力を低下してしまうことがある。
【0039】
ホットメルト型接着剤の180℃における粘度は、20000mPa・s以下が好ましい。180℃における粘度が20000mPa・sを超えると、濡れ広がりが悪くなるため、接着不良を起こすことがある。180℃における粘度の下限はないが、粘度が低いことにより問題が起こるのであれば、温度を下げることで粘度を上げることが好ましい。
なお粘度は、B型粘度計(測定条件は、180℃、ローターNo.3、12rpm、30秒間)を使用し、測定した値である。
【0040】
ホットメルト型接着剤の軟化点は、120〜150℃が好ましい。120〜150℃であることで、濡れ広がりが悪くなるため、接着不良を起こすことがある。180℃における粘度の下限はないが、粘度が低いことにより問題が起こるのであれば、温度を下げることで粘度を上げることが好ましい。
なお粘度は、B型粘度計(測定条件は、180℃、ローターNo.3、12rpm、30秒間)を使用し、測定した値である。
【0041】
本発明のホットメルト型接着剤は、その接着剤組成物が架橋性官能基などを有しないために、積層体形成後に、紫外線や電子線などの照射やエージングなどの化学的反応を必要としないことも特徴である。
【0042】
本発明のホットメルト型接着剤を製造する方法としては、特に限定されず、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、撹拌機を備えた溶融釜、一軸又は二軸の押し出し機のいずれかを用いて加熱混合するホットメルト法が好ましい。
【0043】
本発明の積層体は、ホットメルト型接着剤を加熱溶融し、ホットメルト塗工機を用いて基材上に、塗布し、塗工物として得ることが好ましい。また、ホットメルト型接着剤を一旦、離型性基材に塗布したのち、べつの基材に転写して積層させてもよい。また複数の基材をホットメルト型接着剤を介して積層することで積層体を得ることも好ましい。積層体の好ましい構成は、「基材/接着層/基材」のような積層体である。
【0044】
接着層の厚さ、すなわちホットメルト型接着剤の塗布量は、5g/m2以上であることが好ましい。塗布量が5g未満になると接着力が不足する恐れがある。塗布量の上限は特になく、100g/m2を超えても特に接着力向上は期待できない。
【0045】
基材は、特に制限はなく、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポオリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂などの単層或いは積層体がある。その他、前述記載のフィルム状基材と不織布、織布、布、紙、ガラス、金属箔、金属メッシュ等を含む積層体が挙げられる。また、必要に応じて、フィルムの表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理などの易接着処理、帯電防止処理、着色処理などを施してもよい。基材の厚みには特に制限はないが、作業性の観点から1〜500μmが好ましい。
【0046】
本発明の塗工物または積層体は、ヒートシールやラミネートなどの方法により、建材や自動車内装材などを固定、保持する目的で製造できる。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を実施例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様に過ぎず、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、例中、「部」とあるのは「重量%」を、「%」とあるのは「重量%」をそれぞれ表すものとする。
【0048】
(製造例1〜10)
表1に示した部数で、撹拌機を備えたニーダーに粘稠性ポリマー(A)、ワックス(B)、粘着付与樹脂(C)、熱可塑性樹脂(D)場合によりその他の成分を添加し、180℃で3時間撹拌することでホットメルト型接着剤を得た。
【0049】
【表1】

【0050】
表1に記載の粘稠性ポリマー(A)の略号を以下に示す。
粘稠性ポリマー1:イソプレン−ブタジエンブロックポリマー、ガラス転移点−95℃
粘稠性ポリマー2:スチレン−イソプレンブロックポリマー、ガラス転移点−57℃
粘稠性ポリマー3:イソブチレンポリマー、ガラス転移点−62℃
粘稠性ポリマー4:スチレン−ブチレンブロックポリマー、ガラス転移点−14℃
【0051】
表1に記載のワックス(B)の略号を以下に示す。
ワックス1:ポリエチレンワックス、軟化点110℃、粘度200mPa・s(160℃)
ワックス2:ポリプロピレンワックス、軟化点154℃、粘度650mPa・s(160℃)
ワックス3:パラフィンワックス、軟化点50℃、粘度50mPa・s(160℃)
ワックス4:ポリエチレンワックス、軟化点136℃、粘度50mPa・s(160℃)
【0052】
表1に記載の粘着付与樹脂(C)の略号を以下に示す。
粘着付与樹脂1:石油樹脂、軟化点100℃
粘着付与樹脂2:石油樹脂、軟化点140℃
粘着付与樹脂3:テルペン樹脂、軟化点100℃
粘着付与樹脂4:フェノール変性テルペン、軟化点125℃
【0053】
表1に記載の熱可塑性樹脂(D)の略号を以下に示す。
熱可塑性樹脂系1:SEBS、ジブロック含量<1%
熱可塑性樹脂系2:SIS、ジブロック含量13%
熱可塑性樹脂系3:PP、ポリプロピレン共重合物
熱可塑性樹脂系4:APAO、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合物
熱可塑性樹脂系5:EVA、酢酸ビニル含有量20重量%
なおジブロックとは、例えばSEBSの場合スチレン−エチレンブタジエンブロック共重合物のように2つのブロックポリマーからなるエラストマーのことをいう。
【0054】
(実施例1〜5、比較例1〜5)
上記製造例1〜10で得られたホットメルト型接着剤をロールコーターを用いてポリエチレンテレフタレートシート(以下、「PETシート」とも略記する)上に厚さが50μmとなるように、180℃に加熱、塗工して接着剤層を形成し、とした。この塗工物を2時間以上静置した後、接着剤層面に不織布を重ね130℃の温度で10秒間1kgf/cm2の荷重をかけ、試料サイズを長さ100mm×幅25mm、接着面積を長さ25×幅25mmに切り出した「PETシート/接着剤層/不織布」という構成の積層体を得た。
【0055】
[接着強度]
積層体を作製してから24時間静置した後、23℃雰囲気下でT字型になるように引張試験機にセットし、速度300mm/分で、T字方向に引き剥がし、その接着力を測定した。
[判定基準]
○:不織布表面が剥ける、または不織布が破れる。
×:ホットメルト型接着剤層と不織布の界面で剥がれる。
○を使用可能と判断する。
【0056】
[耐熱保持力]
積層体を作製してから23℃雰囲気下で24時間、その後90℃雰囲気下で20分間静置した後、せん断方向に200gの荷重をかけ、保持力を測定した。
[判定基準]
○:20時間落下しなかった。
×:20時間の間に落下した。
○を使用可能と判断する。
【0057】
[耐寒保持力]
積層体を作製してから23℃雰囲気下で24時間、その後−20℃雰囲気下で20分間静置した後、せん断方向に200gの荷重をかけ、保持力を測定した。
[判定基準]
○:20時間落下しなかった。
×:20時間の間に落下した。
○を使用可能と判断する。
【0058】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス転移点が−40℃以下である粘稠性ポリマー(A)、軟化点が100℃以上であるワックス(B)、粘着付与樹脂(C)(ただし、(A)または(B)である場合を除く)、及び熱可塑性樹脂(D)(ただし、(A)または(B)または(C)である場合を除く)を含んでなることを特徴とするホットメルト型接着剤。
【請求項2】
粘稠性ポリマー(A)5〜35重量%、ワックス(B)5〜45重量%、及び粘着付与樹脂(C)と熱可塑性樹脂(D)との合計が30〜60重量%を配合してなる請求項1記載のホットメルト型接着剤。
【請求項3】
粘着付与樹脂(C)と熱可塑性樹脂(D)は、重量比で(C)/(D)=0.4〜5.0である請求項2記載のホットメルト型接着剤。
【請求項4】
粘稠性ポリマー(A)は、炭素数4または5のオレフィンを重合してなるポリマーであることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のホットメルト型接着剤。
【請求項5】
180℃で粘度が、20000mPa・s以下であり、軟化点が、120〜150℃からなることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載のホットメルト型接着剤。
【請求項6】
基材と、請求項1ないし5いずれか記載のホットメルト型接着剤から形成されてなる接着剤層とを備えた積層体。

【公開番号】特開2013−82827(P2013−82827A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224579(P2011−224579)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【出願人】(591004881)東洋アドレ株式会社 (51)
【出願人】(711004506)トーヨーケム株式会社 (17)
【Fターム(参考)】