説明

ホットメルト接着剤の適用における使用のための新規多機能ポリマー

1または2以上の粘着付与剤およびシングルメタロセンか二元メタロセン触媒システムを用いて製造されたエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーを含む接着剤を作製し、これは広い温度範囲にわたって接着特性を有する。本発明のホットメルト接着剤組成物(「HMAs」)は、市販品として購入できる、エチレン酢酸ビニルポリマー、粘着付与剤およびワックスを含む3成分HMAsのものと比較して特性を有する。HMAの実施形態としては、エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーがエチレンおよびコポリマーとして1−オクテンまたはプロピレンを含むものが挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の説明
この出願は、内容が本明細書に参照により引用される2003年5月19日に出願された米国仮特許出願第60/471,318号および2003年9月19日に出願された米国特許出願(仮特許出願ではない)第10/666,488号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、選択されたエチレン/アルファ−オレフィン・インターポリマー、および任意の1または2以上の粘着付与剤から実質的になる新規なホットメルト接着剤組成物である。ポリマー、ワックス、粘着付与剤の3つの独立した構成成分からなる従来のホットメルト接着剤と異なり、本発明のホットメルト接着剤は、エチレン/α−オレフィン・インターポリマーを用いるものである。このインターポリマーは、ポリマーおよびワックス双方として接着剤組成物中で機能するように、その組成と特性に関して、注意深く選択される。このように、接着剤は、低粘着性の適用に対しては、1つの構成成分を含みうるし、粘着付与剤の添加を必要とする適用に対しては、単に2つの構成成分を含みうる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
基材ともう1つの物品との間に接着が必要とされる消費者用または工業用包装を含む取引の広い領域で、ホットメルト接着剤(「HMA’s」)は、使用される。通常、ダンボール箱や箱などのような製品において、これらは使用される。これらは、様々な領域でもまた使用される。例えば、製本;紙袋の端のシーリング;家具製造;削片板、ダンボール厚紙、種々の他の紙物品の製造、およびガラス、金属および種々のプラスチックのような他の物品への接着用、例えばプラスチック容器に紙ラベルを貼ることなどである。ホットメルト接着剤の更なる使用としては、カーペットの継ぎ目のシーリングテープ、ラミネーション、製品組み立て、不織布製造、および埋め込み用樹脂、カプセル化合物があげられる。
【0004】
このように多様に適用できるため、ホットメルト接着剤は、幅広い温度条件にわたって強い接着を維持することが要求される。例えば、冷蔵、または冷凍食品、または氷中にパッケージされた食品の輸送に使用されるダンボール箱の製造において、ホットメルト接着剤が一般的に選択される。なぜならば、低温度条件下でも、強い接着を維持できるからである。しかしながら、他の適用においては、ホットメルト接着剤は、過度の圧力や取り扱い時の衝撃、高湿度下で、ホットメルト接着剤は、基材に対して強い接着を維持しなければならない。
【0005】
溶剤中で溶液としてしばしば使用される、他の接着剤と異なり、HMA’sは、通常固体であり、そして、商業的な使用においては、約350°Fの温度で溶融状態にして、通常、基材に適用する。溶融した接着剤を冷却し、固化させると、基材と2つ目の物品との間に接着が形成される。ロールコーター、ナイフコーターおよび噴霧装置を含め、基材へのホットメルト接着剤の適用に、種々の技術が使用されうる。
【0006】
ホットメルト接着を行うにあたっての2つの他の重要な要素が、接着のいわゆる「セットタイム」と「オープンタイム」である。ホットメルト接着剤の「オープンタイム」は、固化して目的の物品ともはや接着することができなくなるまでにかかる時間である。ホットメルト接着剤の「セットタイム」は、接着を形成するのに十分な強さにまで接着剤を冷却させるのに必要な時間である。速度設定は、不完全なシーリングや封をされていない箱を生じさせないために、素早く接着を行うことが必要である高速パッケージラインのような適用において、重要なパラメーターである。
【0007】
大部分のホットメルト接着剤は、ワックス、粘着付与剤および高分子樹脂の3つの構成成分の混合物である。各々の構成成分は、通常、HMA剤中で、おおよそ同じ割合で存在するが、特定の適用において必要に応じて、しばしばその相対的割合は、「微調整」される。
【0008】
高分子成分により、接着ボンドに強度が付加される。粘着付与剤は、湿潤を向上させることによって、接着剤に粘着性を付与し、接着剤が固定される間、接着される品を固定することに役立ち、また、接着剤を基材に適用しやすくするためにシステムの粘度を低下させる。ワックスは、オープンタイムを短縮させ、また、システムの粘度を低下させる。一般的に、ワックスの割合は、最小限に留め、所望の粘度と設定速度を得るために十分な量でワックスを添加する。
【0009】
多くのホットメルト接着剤は、ポリマー成分として、酢酸ビニル(「VA」)ポリマーを利用し、ポリマーの酢酸ビニル含有量に応じて、処方は変化する。酢酸ビニル含有量が低いことが、低コスト故に好まれ、相性がよい製剤を得るために、酢酸ビニルポリマーは比較的非極性であるため、それらは他の比較的非極性の粘着付与剤およびワックスとともに形成されうる。より高い酢酸ビニル含有量のポリマー樹脂(酢酸ビニル含有量が約18%より高い)がホットメルト接着剤で使用されるとき、紙のような極性の基材に対してより強いイオン性結合が形成され、その結果、より強い接着が得られる。しかしながら、より高い酢酸ビニル含有量ポリマーを使用する場合、製剤の適合性を維持するために、より高い極性のワックスと粘着付与剤との形成が必要となる。フィッシャー−トロプシュ(「FT」)ワックスのようなより高い極性のワックスは、一般的にパラフィンワックスよりも高価で、より極性が高いワックスの選択と供給は、限定される。これらは、国内で獲得するのは困難であり、それ故に、世界的な出来事によって引き起こされる供給遮断を、潜在的に受けやすい。
【0010】
接着の必要性に加えて、HMA’sは、温度安定性や酸化安定性のような他の点においても能力が要求される。ホットメルト接着剤は溶融状態で使用され;引き続いて多くの使用では、更に長い時間、より高い温度に曝される。良好な温度安定性と酸化安定性は、HMAが黒くならず、炭化物や膜やゲルを生成せず、経時で大幅な粘度変化を示さないことを意味する。そのような炭化、膜化、ゲル形成および/または粘度変化は、工業的適用で使用するとき、製剤のラインおよびノズルの詰まりを生ずる傾向をも高める。HMA製剤にいかなるワックスを配合しても、より極性の高いワックスの場合は特に、製剤の温度安定性および酸化安定性は低下する傾向にある。
【0011】
酢酸ビニルを組み込むもの以外のエチレンポリマーを含むホットメルト接着剤が、先行技術中に開示されている。例えば、Fosterらの1991年6月4日に発行された米国特許第5,021,257号は、135℃で約3,000から約25,000センチポイズの粘度を有し、約90℃から約125℃の環球法軟化点を有するホットメルト接着剤組成物を開示しており、前記接着組成物は、少なくとも1つの実質的に非晶質なプロピレン/ヘキセンコポリマーと、少なくとも1つの粘着付与剤と、少なくとも1つの実質的に結晶性な、低粘性炭化水素ワックスとの混合物を含む。
【0012】
Tseらの1996年6月25日に発行された米国特許第5,530,054号では、(a)30重量パーセントから70重量パーセントのエチレンコポリマー、および6重量パーセントから30重量パーセントの、メタロセンとアルモキサンを含み、約20,000〜約100,000のMである触媒組成物の存在下で製造されるC〜C20のα−オレフィン;および(b)列挙されたリストから選択された炭化水素粘着付与剤から実質的になるホットメルト接着組成物を請求している。
【0013】
Tseらの1996年8月20日に発行された米国特許第5,548,014号は、エチレン/アルファ−オレフィンコポリマーの混合物で、一番目のコポリマーは約20,000〜約39,000のMを有し、二番目のコポリマーはMが約40,000〜約100,000である混合物を含むホットメルト接着組成物を請求している。例示されているホットメルト接着剤のそれぞれが、2.5より大きい多分散性を有するコポリマーの少なくとも1つを有するコポリマーの混合物を含む。さらに、例示されている最も低密度のコポリマーは、比重が0.894g/cmである。
【0014】
Duboisらの1991年8月22日に発行された米国特許第6,107,430号では、均質の直線状の、または実質的に直線状の少なくとも1つのエチレンのインターポリマーを含むホットメルト接着剤が開示されており、この接着剤は、密度が0.850〜0.895g/cmである少なくとも1つのC〜C20のα−オレフィンインターポリマー、任意に少なくとも1つの粘着付与剤樹脂;さらに任意に少なくとも1つのワックスを含み、またこのホットメルト接着剤は、150℃で約5000cPより低い粘度である。
【0015】
また、Simmomsらの2001年9月19日に公開されたEP 0 886 656 B1では、均質の直線状の、または実質的に直線状の少なくとも1つのエチレンのインターポリマーを5〜95重量パーセント含むホットメルト接着剤が開示されており、この接着剤は、多分散性指数(M/M)が1.5〜2.5で、密度が0.850〜0.885g/cmである、少なくとも1つのα−オレフィンインターポリマー、5〜95重量パーセントの少なくとも1つの粘着付与剤樹脂;任意に少なくとも1つのワックスを含む。
【0016】
Tseはポリオレフィン表面に対する改良されたホットメルト接着剤の接着に対する接着モデルの適用,Journal of Adhesion,Vol.48,Issue1−4,pp.149−167,1995中で、エチレン−酢酸ビニルコポリマーを基本とするホットメルト接着剤に較べて、均質の直線状エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーは、高い粘度を示し、引っ張り強度に劣るが、ポリオレフィン表面への接着が良好で、切断部でのより高い引っ張り、より低い降伏点を示すことを述べている。
【0017】
これらのポリマーを含むホットメルト接着剤は、HMA剤に含まれる酢酸ビニルの強度性能に匹敵して製造されうるが、非極性粘着付与剤を含むことができれば、酢酸ビニルを含むホットメルト接着剤以上に、温度安定性が良好なホットメルト剤を得ることができる。
【0018】
しかしながら、ホットメルト接着剤のワックスおよびポリマー双方の構成成分に代替しうる、たった1つの合成ポリマーが作られうるところの本発明は、酢酸ビニルベースの接着剤を含む先行技術およびポリマーベース接着剤を含む非酢酸ビニル系の先行技術のいずれもが予想しないものである。
【0019】
(粘着付与剤以外に)ただ1つの構成成分から成り、溶融状態で運送され荷降ろしされる、そのような低コストのホットメルト接着剤は、非常に有利であろう。混合段階が最小限で調製することができ、その結果コストと製剤のばらつきを最小限にすることができるHMA剤を有することは、また非常に有利であるであろう。さらに、主として輸入され、および/または、輸入された油性原料由来の高価な石油ろうを組み合わせる必要なく、高いVA比率を含むエチレン−酢酸ビニル(「EVA」)ポリマーを含むHMA’sの接着性能に匹敵しうるHMA剤を有することは、また非常に有利であるであろう。さらに、そのようなホットメルト接着剤が、良好な温度安定性と酸化安定性を有しつつ、EVAを含む製剤の強度および接着特性を示すことができれば、非常に有利であろう。
【0020】
本発明のHMAsはただ1つのポリマー構成要素を含むが、このポリマーは、ポリマーおよびワックス双方として機能し、溶融状態で簡単に運送され、および/または荷降ろしされることが可能である。低粘着の使用においては、何ら成分を添加することを必要としないが、より高い粘着の使用においては、1またはそれ以上の粘着付与剤が追加されうる。このようにして、混合段階では、それぞれの段階が追加のコストと最終的なHMA剤のばらつきをもたらすが、本発明のHMA組成物は、最小限の混合段階のみを必要とする。製剤中の高価な極性ワックスを必要とすることなく、本発明のHMA組成物は、機能することができる。
【0021】
本発明のHMA組成物は、市販されているEVAを含むホットメルト接着剤と比較して、接着および強度特性をも示し、また、良好な温度および酸化安定性を示す。さらに、後にリサイクルされる消費者用包装に使用されるとき、ワックス成分を含まないこと、および/または、粘着付与剤の量が減少していることにより、従来のホットメルト接着剤以上に簡単にリサイクルすることが可能となる組成物を、本発明のHMA組成物は提供する。
【0022】
最終的には、ホットメルト接着剤の使用のため、また食品医薬品局によって一般的に安全とみなされる特性を有する紙加工のための組成物を、本発明の製剤は提供するものである。
【発明の開示】
【0023】
発明の概要
本発明は、1または2以上の粘着付与剤およびエチレン/α−オレフィンインターポリマーを有するホットメルト接着剤に関するものである。これらのエチレン/α−オレフィンポリマーは、1つのまたは2つのメタロセン触媒重合プロセスを使用して合成される。
【0024】
本発明の1つの実施の形態は、実質的に以下からなるホットメルト接着剤組成物である:
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーの約40〜100重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく);および
B)1または2以上の粘着付与剤 0〜約60重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)。
【0025】
他の実施の形態においては、本発明はホットメルト接着剤組成物であり、この際:
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが約60〜約85重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)の量で存在し、均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、以下の特徴を有し:
i)約0.880〜約0.930g/cmの密度
ii)約1,000〜約9,000の数平均分子量(Mn);そして
iii)約500〜約7,000cPのブルックフィールド粘度(300°Fで測定)そして
B)1または2以上の粘着付与剤が約15〜約40重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)の量で存在し;この際
C)ホットメルト接着剤組成物が以下で特徴付けられる;
i)約400〜約2,000cPのブルックフィールド粘度(350°Fで測定);
ii)110°F以上の剥離接着破壊温度(「PAFT」);および
iii)140°F以上の断界面破壊温度(「SAFT」)。
【0026】
3つめの実施の態様においては、本発明は以下のホットメルト接着剤である:
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、以下の特徴を有し:
i)約0.893〜約0.930g/cmの密度;
ii)約1,000〜約6,000の数平均分子量(Mn);および
iii)約1,500〜約5,000cPのブルックフィールド粘度(300°Fで測定);そして
B)ホットメルト接着剤組成物が以下で特徴付けられる;
i)約400〜約1,400cPのブルックフィールド粘度(350°Fで測定)を有し;
ii)90°F以上の剥離接着破壊温度(「PAFT」)を有し;
iii)200°F以上の断界面破壊温度(「SAFT」)を有し;そして
iv)120°Fで100%紙引裂きを示す。
【0027】
本発明のホットメルト接着剤(「HMAs」)の接着特性は試験され、ポリマー、ワックス、および粘着付与剤を含む、市販の3つの構成成分のホットメルト接着剤と比較された。
【0028】
発明の詳細な説明
他で示されていない限り、以下のテスト手順および定義が用いられる:
190℃/2.16kgの条件(公式には「Condition(E)」として知られる)で、ASTM D−1238に従って,メルト・インデックス(I)は測定された。
【0029】
分子量は、140℃のシステム温度で操作して、3つの混合多孔性カラム(ポリマーラボラトリーズ103、104、105および106)を備えたウォーターズ150℃高温クロマトグラフユニット上で、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)を使用して決定された。溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼンであり、そこから試料溶液の重量で0.3%が注入用に調製された。流速は、1.0mL/分であり、注入サイズは100ミクロリットルである。
【0030】
分子量決定は、溶出体積との結合中で狭い分子量分布のポリスチレン標準物質(ポリマーラボラトリー)を使用して、推定した。(Williams,Word in Journal of Polymer Science,Polymer Letters,Vol. 6,(621)1968で述べられているように)次式から導かれる、ポリエチレンとポリスチレンに対する概算のMark−Houwink係数を用いて、同等のポリエチレン分子量を決定した。
【0031】
ポリエチレン=a*(Mポリスチレン)b
この式において、a=0.4316、b=1.0である。重量平均分子量、M、は、次の式に従って、通常の方法で算出される:M=Σw*M;ここで、wとMそれぞれGPCカラムから溶出されるi番目の画分の重量画分および分子重量である。
【0032】
溶融粘度は、ブルックフィールドラボラトリーズのDVII+粘度計を使用して、使い捨てのアルミニウムサンプルチャンバー中で、以下の手順に従って決定した。使用したスピンドルは、10〜100,000センチポイズの範囲の粘度を測定するのに適したSC−31ホットメルトスピンドルである。幅1インチ、長さ5インチのサンプルチャンバーに適合するように、小さな断片にサンプルをカットするために、カッティングブレードを用いる。ブルックフィールドサーモセル中に組み込まれたチャンバー中に、順番にサンプルを設置し、曲がったニードルノーズプライヤーでその場所に閉じ込める。スピンドルが挿し込まれ、回転しているときに、チャンバーがひっくり返らないように、ブルックフィールドサーモセルの底に適合する切込みが、サンプルチャンバーの底にある。サンプルチャンバーの上部約1インチ下に溶解したサンプルが達するまで添加される追加のサンプルとともに、サンプルは所望の温度、例えば300°Fまたは350°Fまで加熱される。粘度計装置は下げられ、スピンドルはサンプルチャンバーに沈められる。粘度計のブラケットによりサーモセル上で調整されるまで、粘度計を下げる。粘度計をオンにして、30〜60パーセントの範囲のトルク表示となるシェアレートになるようにセットする。読み値は、約15分間、または、値が安定するまで、毎分測定し、最後の読み値を記録する。
【0033】
結晶化度パーセントは、TA−Q1000を用いて示差走査熱量測定によって決定する。結晶化度パーセントは、次式で算出される;
パーセントC=(A/292J/g)×100、
この際、パーセントCは、結晶化度パーセントを表し、Aはグラム当たりのジュール(J/g)でのエチレンの融解熱を表す。
【0034】
密度は、ASTM D−792に従って、測定する。サンプルは、測定が行われる前、24時間室温で、アニーリングさせた。
【0035】
コモノマーおよびモノマー結合は、核磁気共鳴(NMR)分光法を使用して決定される。エチレン含有量およびコモノマー含有量を決定するために、以下の手順に従って、13CNMR分析を使用する。
【0036】
13CNMR分析
サンプルは、10mmNMRチューブ中で、ポリマーのサンプル0.4gに対してアセチルアセトンクロム(緩和剤)中、0.025Mのテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物を約3g添加することにより、サンプルを調製した。サンプルを溶解し、チューブと内容物を150℃で加熱することにより、サンプルを均質化した。100.4MHzの13C共振周波数に対応した、バリアンユニティプラス400MHz分光計を使用して、データを集めた。緩和剤存在下で定量的な13Cデータが得られたかどうかを確かめるため、得られたパラメーターは選別された。プローブヘッドが130℃に加熱された状態で、ゲートHデカップリング、データファイル当たり4000の過渡電流、6秒パルスの反復遅延時間、24,200Hzのスペクトル幅、32Kデータポイントのファイルサイズを用いて、データを取得した。
【0037】
「インターポリマー」という用語は、ここでは、コポリマー、またはターポリマーなどを表すために用いられる。すなわち、インターポリマーを形成するために、エチレンと少なくとも1つの他のコモノマーが重合されている。
【0038】
ここで使用されている「狭い組成物分布」とは、均質のインターポリマーに対するコモノマー分布を意味する。狭い組成物分布の均質インターポリマーは、SCBDI(短鎖分岐分配指標(short chain branch distribution index))またはCDBI(組成物分布分岐指標(composition distribution branch index))によってもまた、特徴付けることができる。SCBDIまたは、CDBIは、全コモノマーモル含有量の中央値から50パーセント以内のコモノマー含有量を有するポリマー分子の重量パーセントとして、定義される。
【0039】
ポリマーのCDBIは、例えば、本明細書に参照により引用されるWildら、Journal of Polmer Science、Poly.Phys.Ed.、Vol.20、p.441(1982)、または、米国特許第5,548,014号中で述べられているような、例えば、温度上昇分離分別(temperature rising elution fractionation)(ここでは、「TREF」として省略する)のような本分野で公知の技術から得られるデータから容易に算出される。このように、CDBIを算出する以下の手順を使用することができる:
(1)TREFから得られる、溶離温度に対するコポリマー濃度の正規累積分布プロットを作成する;
(2)溶解したコポリマーの50重量パーセントが溶離した溶離温度を決定する;
(3)平均溶離温度で溶離したコポリマーフラクション中のコモノマーモル含有量を決定する;
(4)その平均温度で溶離したコポリマーフラクション中のコモノマーモル含有量の0.5倍および1.5倍の限界モルフラクション値を算出する;
(5)それらの限界モルフラクション値と関連する限界溶離温度値を決定する。
【0040】
(6)それらの限界溶離温度値間の累積溶離温度分布の部分を部分積分する;
(7)元の正規累積分布プロットのパーセンテージとして、部分積分、CDBI、の結果を表す。
【0041】
a)均質のエチレン/α−オレフィンインターポリマー成分
幾何拘束のまたはシングルサイトメタロセン触媒を使用して調製された直線状のまたは実質的に直線状のエチレンインターポリマーを示すために、ここでは、「均質のインターポリマー」という用語を用いる。均質のという用語は、どんなコモノマーも与えられたインターポリマー分子中に不規則に分布していて、実質的にインターポリマー分子の全てにおいて、インターポリマー中のエチレン/コモノマー比率が同じであることが意味する。示差走査熱量測定(DSC)によって決定される、均質の直線状のまたは実質的に直線状のエチレンポリマーの溶解ピークは、密度の減少、および/または、数平均分子量の減少に伴ってブロードするであろう。
【0042】
均質の直線状または実質的に直線状のエチレンポリマーは、分子量分布(M/M)が狭いことで特徴付けらうる。直線状および実質的に直線状のエチレンポリマーにおいて、M/Mは、好ましくは1.5〜2.5、さらに好ましくは1.8〜2.2である。しかしながら、本発明の特定のインターポリマーは、M/Mが非常に大きい値でありながら、優れた接着特性を示すものである。
【0043】
本発明に有用なエチレンポリマーは、高圧プロセス下で調製された低密度エチレンとは異なることに注意することが重要である。一点については、低密度ポリエチレンが0.900〜0.935g/cmの密度を有するエチレンホモポリマーであるのに対して、本発明に有用なエチレンポリマーは、0.935g/cmより小さく密度を減少させるためのコモノマーの存在を必要とする。
【0044】
実質的に直線状のエチレンポリマーは、長い分岐鎖を有する均質のポリマーである。長い分岐鎖は、ポリマー骨格と同じコモノマー分布を有し、ポリマー骨格の長さとほぼ同じ長さでありうる。本発明の実施に際して、実質的に直線状のエチレンポリマーを使用するとき、そのようなポリマーは、1000炭素あたり0.1〜3の長鎖分岐で置換されたポリマー骨格を有するという特徴付けがされうる。
【0045】
定量法については、例えば、米国特許第5,272,236号、および第5,278,272号;13C核磁気共鳴分光を用いた長鎖分岐の測定方法を論じている、Randall(Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3),p.285−297)、Zimm,G.H.and Stockmayer,W.H.,J.Chem.Phys.,17,1301(1949);小角レーザー光散乱検出器を備えたゲル透過クロマトグラフ(「GPC−LALIS」)と異なる粘度計検出器を備えたゲル透過クロマトグラフ(「GPC−DV」)の使用について論じているRudin,A.,Modern Methods of Polymer Characterization,John Wiley &Sons,New York(1991)pp.103−112、を参照のこと。
【0046】
均質の直線状または実質的に直線状のエチレンポリマーは、少なくとも1つのα−オレフィンとエチレンとのインターポリマーであろう。エチレンプロピレンジエンターポリマー(「EPDM’s」)が調製されるとき、ジエンは通常6〜15の炭素原子を有する非共役のジエンである。ターポリマーを調製するために使用されうる適切な非共役ジエンの代表例としては、以下のものが挙げられる:
(a)1,4−ヘキサジエン;1,5−ヘプタジエン;および1,6−オクタジエン;のような直鎖非環式ジエン;
(b)5−メチル−1,4−ヘキサジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;および3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン;のような分岐鎖非環式ジエン;
(c)4−ビニルシクロヘキセン;1−アリル−4−イソプロピリデンシクロヘキサン;3−アリルシクロペンテン;4−アリルシクロヘキサン;および1−イソプロペニル−4−ブテニルシクロヘキセンのような単環脂環式ジエン;
(d)ジシクロペンタジエンのような多重環脂環式の縮合および架橋環ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、および5−メチレン−2−ノルボルネン;5−メチレン−6−メチル−2−ノルボルネン;5−メチレン−6,6−ジメチル−2−ノルボルネン;5−プロペニル−2−ノルボルネン;5−(3−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン;5−エチリデン−2−ノルボルネン;5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン;などのようなシクロアルキリデンノルボルネン;など。
【0047】
好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン;ジシクロペンタジエン;5−エチリデン−2−ノルボルネン;5−メチレン−2−ノルボルネン;7−メチル−1,6オクタジエン;4−ビニルシクロヘキセン;などである。用いられる1つの好ましい共役ジエンは、ピペリレンである。
【0048】
最も好ましいものは、少なくとも1つのC−C30α−オレフィン(例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンチン、および1−オクテン)を有するエチレンのインターポリマーで、少なくとも1つのC−C20α−オレフィンを有するエチレンのインターポリマー、特に少なくとも1つのC−C30α−オレフィンを有するものが、最も好ましい。
【0049】
本発明に用いられる狭い組成物分布の均質のインターポリマーに対するSCBDIまたはCDBIは、密度(および、ある程度は分子量)依存性である。0.898g/cm以下の密度を有するポリマーに対して、CDBI値(米国特許第5,548,014号中で定義されているように)は、70%未満である。0.898g/cm以上の密度を有するインターポリマーに対して、CDBI値(米国特許第5,548,014号中で定義されているように)は70%以上である。
【0050】
本発明で使用される均質インターポリマーは、少なくとも1つのエチレン化不飽和モノマー、共役または非共役ジエン、ポリエン、などを有するエチレンの均質ポリマー
である。
【0051】
均質分岐直鎖エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、(Elstonによる米国特許第3,645,992号に記載されているように)均質の短鎖分岐分布を与える重合化プロセスを用いて調製されうる。Elstonの重合化プロセスにおいて、Elstonは、そのようなポリマーを作製するために溶解性バナジウム触媒システムを用いている。しかしながら、三井石油化学社とエクソンケミカル社のように、均質な直線構造を有するポリマーを作製するために、いわゆるシングルサイトメタロセン触媒システムを用いているものもある。均質な直線状エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、三井石油化学社の商品名「TAFMER(登録商標)」、エクソンケミカル社の商品名「EXACT(登録商標)」により現在入手することができる。
【0052】
実質的に直線状なエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ダウケミカル社のAFFINITY(登録商標)ポリオレフィンプラストマーにより、入手可能である。実質的に直線状のエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーは、双方の全内容は本明細書に参照により引用される、米国特許第5,272,236号および第5,278,272号中に記載されている技術に従って、調製することができる。
【0053】
本発明は、エチレンおよびアルファ−オレフィン由来のポリマー組成物であり、本発明の組成物は、後にボンド商品に使用される従来のホットメルト接着剤の代替として使用することが可能で、さらに、その組成物はポリマー、ワックス、粘着付与剤を含む接着剤と同程度の接着特性をもたらす。
【0054】
本発明は、インターポリマー自身によって、または、粘着付与剤と組みあわせることによって、驚くべきことに、均質インターポリマーのある特定の型の使用が、市販可能なホットメルト接着剤を製造するために用いられうることを、本発明の発明者らは見出した。本発明は、適切な粘着付与剤と組み合わせられるとき、3つの構成成分であるワックス、ポリマー、および粘着付与剤の混合物を含むホットメルト接着剤の代替物として使用されうる、特定の合成インターポリマーを含むホットメルト接着剤である。
【0055】
本発明のホットメルト接着剤中で使用される均質のインターポリマーは、本明細書に全体が参照により引用される米国特許第5,064,802号、第5,132,380号、第5,703,187号、第6,034,021号、欧州特許出願第0468651号、欧州特許出願第0514828号、国際公開第93/19104号パンフレット、および国際公開第95/00526号パンフレットに開示されている幾何拘束触媒を使用して調製することができる。他の適切な触媒のクラスは、本明細書に全体が参照により引用される米国第5,044,438号;第5,057,475号;第5,096,867号;および第5,324,800号で開示されているメタロセン触媒である。幾何拘束触媒は、メタロセン触媒として考えられうるが、双方はしばしば本分野において、シングルサイト触媒と称されることに注意されたい。
【0056】
例えば、触媒は、次の式に対応する金属配位錯体から選択されうる:
【0057】
【化1】

【0058】
式中、:Mは元素周期表の3,4−10族、またはランタニド系であり;Cpは、Mに対してηの結合モードで結合している、シクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基であり;Zは、ボロンまたは周期表の14族、および任意に硫黄または酸素を有する部分、40までの非水素原子を有する部分、を含み、そして任意にCpとZが一緒に縮合環システムを形成し;Xは各々が独立して存在するアニオンリガンド基であり、前記Xは30までの非水素原子を有し;Yがアニオンであるときは、nは、Mの原子価未満の2であり、Yが中性のときは、Mの原子価未満の1であり;Lは各々が独立して存在する中性ルイス塩基リガンド基であり、前記Lは、30までの非水素原子を有し;mは、0、1、2、3または4であり;そしてYがZとMとに結合しているアニオンまたは中性リガンド基であり、窒素、リン、酸素または硫黄を含み、そして40までの非水素原子を有し、任意にYとZとが一緒に縮合環システムを形成する。
【0059】
適切な触媒は、以下の式に対応する金属配位錯体からも選択されうる:
【0060】
【化2】

【0061】
式中、R’は各々の存在が独立して、水素、アルキル、アリル、シリル、ゲルミル、シアノ、ハロ、およびそれらの20までの非水素原子の組み合わせからなる群から選ばれ;Xは、独立して各々の存在が、ヒドリド、ハロ、アルキル、アリル、シリル、ゲルミル、アリロキシ、アルコキシ、アミド、シロキシ、およびそれらの20までの非水素原子の組み合わせからなる群から選ばれ;Lは独立して各々の存在が、30までの非水素原子を有する中性ルイス塩基リガンドであり;Yは、O−、−S−、−NR−、−PR−、またはOR、SR、NR、PRからなる群から選ばれる中性二電子ドナーリガンドであり;M、n、およびmは前に定義した通りであり;そしてZは、SIR、CR、SiRSiR、CRCR、CR=CR、CRSiR、GeR、BR、BRであり;ここで:Rは独立して各々の存在が、水素、20までの非水素原子を有するアルキル、アリル、シリル、ハロゲン化アルキル、ハロンゲン化アリル基、およびそれらの混合物からなる群から選ばれ、あるいはY、Zから2もしくはそれ以上のR基が、またはY、Z双方が縮合環システムを形成する。
【0062】
式1および以下の式は、触媒に対するモノマー構造を示すものである一方、複合体はダイマーまたはそれより高いオリゴマーとして存在しうることに注意しなければならない。
【0063】
さらに好ましくは、R’、Z、またはRのうち少なくとも1つが、電子供与部分であるものである。従って、より好ましいものは、Yが、式−N(R””)−またはP(R””)−、ここで、R””は、C1−10アルキルまたはアリール、すなわちアミドまたはホスフィド、に対応する基を含む窒素またはリンである。
【0064】
追加的な触媒としては、次の式に対応するアミドシランまたはアミドアルカンジイル化合物から選択されうる。
【0065】
【化3】

【0066】
式中:Mは、シクロペンタジエニル基にηの結合モードで結合している、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり;R’は独立して各々の存在が、水素、シリル、アルキル、アリル、および10までの炭素またはケイ素原子を有するそれらの組み合わせからなる群から選ばれ;Eはケイ素または炭素であり;Xは、独立して各々の存在が、ヒドリド、ハロ、アルキル、アリル、10までの炭素のアリロキシまたはアルコキシであり;mは1または2であり;そしてMの原子価によってnは1または2である。
【0067】
上述の金属遷移化合物の例としては、限定されるものではないが、化合物中のアミド基上のR’がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(異性体を含む)、ノルボニル、ベンジル、フェニル、など;化合物中のシクロペンタジエニル基がシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、など;前述のシクロペンタジエニル基上のR’のそれぞれの存在が水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(異性体を含む)、ノルボニル、ベンジル、フェニル、など;そしてXはクロロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、(異性体を含む)、ノルボルニル、ベンジル、フェニル、など、が挙げられる。
【0068】
特定の化合物としては、限定されるものではないが、(第三ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジメチル、(第三ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタニウムジメチル、(メチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−1,2エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタニウムジクロライド、(エチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−ジクロロメチレンチタニウム、(第三ブチルアミド)ジフェニル(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル−(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シランチタニウムジクロライド,(フェニルホスフィド)ジメチル(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、などが挙げられる。
【0069】
触媒の他の適切な類は、本明細書に全体が参照により引用される米国特許第5,965,756号および第6,015,868号中で開示されているように金属錯体を含む置換インデニルである。他の触媒は、同時係属出願である、米国出願第09/230,185号;第09/715,380号;および米国仮出願第60/215,456号;第60/170,175号,および第60/393,862号中で開示されている。先にされた特許出願の全ての開示は、本明細書に全体が参照により引用される。これらの触媒は、より高い分子量の可能性を有する傾向がある。
【0070】
上述の触媒の1つの類は、下記金属を含むインデニルである:
【0071】
【化4】

【0072】
Mは、+2、+3、または+4の形式的酸化状態中のチタニウム、ジルコニウム、またはハフニウムであり;
A’は、ヒドロカルビル、フルオロ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビロキシ−置換ヒドロカルビル、ジルキルアミノ置換ヒドロカルビル、シリル、ゲルミルおよびそれらの混合物から選ばれる基、40までの非水素原子を含む基であり、そしてさらにA’は二価のZ基によってMに共有結合している;Zはσ結合によってA’とMとに結合している二価部分であり、Zはボロンまたは周期表の14族の原子を含み、さらにまた窒素、リン、硫黄または酸素を含み;Xは、環式、非局在化、π結合リガンド群であるリガンド類を除いた60までの原子を有する、アニオン性の、または2価アニオンのリガンド基であり;X’は、独立して各々の存在が、20までの原子を有する、中性のルイス塩基であり;pは、0、1または2であり、そして形式的なMの酸化状態より2少なく、ただし、Xが2価アニオンリガンド基であるとき、pは1であり;そしてqは0、1または2である。
【0073】
上記の複合体は、ダイマーまたはそれらのキレート誘導体(ここでキレート剤は、有機物質、好ましくは中性のルイス塩基、特にトリヒドロカルビルアミン、トリヒドロカルビルホスフィン、またはそれらのハロゲン化誘導体である)の形で存在しうるのに加えて、場合によっては単独で単離された結晶として、またはときとして溶媒、とりわけ有機液体中の溶媒和付加物の形で、他の複合体との混合物として存在しうる。
【0074】
好ましい触媒は、式に対応する複合体である:
【0075】
【化5】

【0076】
式中、RとRは独立して、水素、ヒドロカルビル、ヒドロカルビル置換パーフルオロ、シリル、ゲラミル、およびそれらの混合物、20までの非水素原子を含む基から選ばれる基であるが、ただし、RとRの少なくとも一方は水素でなく;R、R、R、およびRは独立して、水素、ヒドロカルビル、ヒドロカルビル置換パーフルオロ、シリル、ゲラミル、およびそれらの混合物、20までの非水素原子を含む基から選ばれる基であり;Mはチタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり;Zは、ボロンまたは周期表の14族の原子を含み、さらにまた窒素、リン、硫黄または酸素を含む2価部分であり、その部分は60までの非水素原子を有し;pは0、1または2であり;qは0または1であり;pが2であるとき、qは0であるという条件であり、Mは、+4の形式的酸化状態であり、そしてXは、ハロゲン化物、ヒドロカルビル、ヒドロカルビロキシ、ジ(ヒドロカルビル)アミド、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィド、ヒドロカルビルスルフィド、およびシリル基、さらにハロ−、ジ(ヒドロカルビル)アミノ−、ヒドロカルビロキシ−およびジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ−で置換されたそれらの誘導体から選ばれるアニオン性のリガンドであり、X基は、20までの非水素原子を有し、pが1であるときは、qは0であり、Mは、+3の形式的酸化状態で、そしてXはアリル、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニル、そして2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジルからなる群から選ばれる安定アニオン性リガンドであり、またはMは+4の形式的酸化状態で、そしてXは共役ジエン、の2価誘導体であり、MおよびXがともにメタロシクロペンテン基を形成し、そしてpが0のときqは1であり、Mは+2の酸化状態で、X’が任意で1または2以上のヒドロカルビル基で置換された、中性、共役または非共役ジエンであり、X’は、40までの炭素原子を有し、Mとπ複合体を形成する。
【0077】
より好ましい触媒は、式に対応する複合体である:
【0078】
【化6】

【0079】
式中、RとRは水素またはC1−6アルキルであるが、ただしRとRの少なくとも一方が、水素であり;R、R、R、およびRは独立して、水素またはC1−6アルキルであり;Mはチタニウムであり;Yは−O−、−S−、NR−、−PR−であり;Zは、SiR、CR、SiRSiR、CRCR、CR=CR、CRSiR、またはGeRであり;Rは各々の存在が、独立して水素、またはヒドロカルビル、ヒドロカルビロキシ、シリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリル、およびそれらの組み合わせから選ばれる基であり、Rは、20までの非水素原子を有し、任意で、(Rが、水素ではないとき)Z由来の2つのR基、またはZ由来の1つのR基およびY由来の1つのR基が環状システムを形成し;pが0、1または2であり;qは0であり、Mは、+3の形式的酸化状態で、そしてXは、2−(N,N−ジメチル)アミノベンジルであり;またはMは+4の形式的酸化状態で、そしてXは1,4−ブタンジエニルであり、そしてpが0であるとき、Mは+2の形式的酸化状態であり、そしてX’が1,4−ジフェニル−1,3−ブタンジエンまたは1,3−ペンタンジエンである。後者のジエンは、幾何異性体各々の実質的な混合物である金属錯体の生成物となる非対称ジエン基の実例である。
【0080】
本明細書に開示されている発明実施に際して使用されうる他の触媒、共触媒、触媒システムおよび活性化技術としては、次に開示されているものが挙げられる;米国特許第5,616,664号、1996年8月1日に公表された国際公開第96/23010号パンフレット、1999年3月25日に公表された国際公開第99/14250号パンフレット、1998年9月24日に公表された国際公開第98/41529号パンフレット、1997年11月13日に公表された国際公開第97/42241号パンフレット(上述のものは、Scollardらによって、J.Am.Chem.Soc1996,118,10008−10009中で開示されている)、1996年11月13日に発行された欧州特許第0 468 537B1、1997年6月26日に公表された国際公開第97/22635号パンフレット、1999年10月13日に公表された欧州特許出願第0 949 278A2;1999年10月13日に公表された欧州特許出願第0 949 279A2;2000年12月27日に公表された欧州特許出願第1 063 244A2;米国特許第5,408,017号;米国特許第5,767,208号;米国特許第5,907,021号;1988年8月11日に公表された国際公開第88/05792号パンフレット;1988年8月11日に公表された国際公開第88/05793号パンフレット;1993年12月23日に公表された国際公開第93/25590号パンフレット;米国特許第5,599,761号;米国特許第5,218,071号;1990年7月12日に公表された国際公開第90/07526号パンフレット;米国特許第5,972,822号;米国特許第6,074,977号;米国特許第6,013,819号;米国特許第5,296,433号;米国特許第4,874,880号;米国特許第5,198,401号;米国特許第5,621,127号;米国特許第5,703,257号;米国特許第5,728,855号;米国特許第5,731,253号;米国特許第5,710,224号;米国特許第5,883,204号;米国特許第5,504,049号;米国特許第5,962,714号;米国特許第5,965,677号;米国特許第5,427,991号;1993年10月28日に公表された国際公開第93/21238号パンフレット;1994年2月17日に公表された国際公開第94/03506号パンフレット;1993年10月28日に公表された国際公開第93/21242号パンフレット;1994年1月6日に公表された国際公開第94/00500号パンフレット、1996年1月4日に公表された国際公開第96/00244号パンフレット、1998年11月12日に公表された国際公開第98/50392号パンフレット;Wangら,Organometallics1998,17,3149−3151;Younkinら,Science2000,287,460−462,Chen and Marks,Chem.Rev.2000,100,1391−1434,Alt and Koppl,Chem.Rev.2000,100,1205−1221;Resconiら,Chem.Rev.2000,100,1253−1345;Ittel,et al.,ChemRev.2000,100,1169−1203;Coates,Chem.Rev.,2000,100,1223−1251;1996年5月9日に公表された国際公開第96/13530号パンフレット;すべての特許および文献は全体が本明細書に参照により引用される。以下で開示されている触媒、共触媒、および触媒システムもまた有用である:1999年1月15日に出願された米国第09/230,185号;米国特許第5,965,756号;米国第6,150,297号;2000年11月17日に出願された米国第09/715,380号;;すべての特許および文献は全体が本明細書に参照により引用される。加えて、前述の触媒の調製方法が、例えば、米国特許第6,015,868号で開示されており、その全ての内容が本明細書に参照により引用される。
【0081】
触媒:
上述の触媒は、活性化共触媒との組み合わせることによって、または活性化技術の使用によって、触媒活性化されうる。本発明に用いるのに適切な活性化触媒は、限定されるものではないが、ポリマーの、またはオリゴマーのアルモキサンであり、特にメチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウム変性メチルアルモキサン、またはイソブチルアルモキサンであり;C1−30ヒドロカルビル置換13族化合物のような中性のルイス塩基、特にトリ(ヒドロカルビル)アルミニウム−またはトリヒドロカルビルボロン化合物およびそれらのハロゲン化(ペルハロゲン化を含む)誘導体であり、それらは各々のヒドロカルビルまたはハロゲン化ヒドロカルビル基中に1から30までの炭素を有し、さらに特に適切なのは、パーフルオロトリ(アリール)ボロンおよびパーフルオロトリ(アリール)アルミニウム化合物、アルキルを含むアルミニウム化合物とフルオル置換(アリール)ボロン化合物との混合物、特にトリアルキルアルミニウムとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの混合物、またはアルキルアルモキサンとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの混合物および一定割合のより高いアルキル基(NMAO)変性メチルアルモキサンとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの混合物であり、中でも最も特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムであり;非ポリマーの、適合する、非配位の、イオン形成化合物(酸化条件下でのそのような化合物の使用を含めて)、特に適合する、非配位アニオンのアンモニウム−、ホスホニウム−、オキソニウム−、カルボニウム−、シリリウム−またはスルホニウム−塩、または適合する、非配位アニオンのフェロセニウム塩の使用;バルク電解および前述の活性化共触媒と技術の組み合わせである。前述の活性化共触媒と活性化技術は、異なる金属錯体に関して以下の参考文献中に既に教示されている;欧州特許出願−A−第277,003号,米国−A−第5,153,157号,米国−A−第5,064,802号,欧州特許出願−A−第468,651号(米国第07/547,718号に相当),および欧州特許出願−A−第520,732号(米国第07/876,268号に相当),欧州特許出願−A−第520,732号(1992年5月1日に出願された米国第07/884,966号に相当)。先の特許または特許出願の全ての開示は、本明細書に全体で参照により引用される。
【0082】
中性のルイス酸の組み合わせ、特に各々のアルキル基中の1から4の炭素を有するトリアルキルアルミニウム化合物と各々のヒドロカルビル基に1から20の炭素を有するトリ(ヒドロカルビル)ボロン、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの組み合わせ、さらにそのような中性ルイス酸混合物とポリマーの、またはオリゴマーのアルモキサンとの混合物、そして単独の中性のルイス酸、特にポリマーの、またはオリゴマーのアルモキサンを含むトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが特に好ましい活性化共触媒である。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン/アルモキサン混合物の組み合わせのようなものを使用した、最も効率的な触媒活性が、アルモキサンが低下したレベルで起こることが観察された。4族金属複合体:トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン:アルモキサンの好ましいモル比率は、1:1:1から1:5:10であり、より好ましくは、1:1:1から1:3:5である。アルモキサンがより低いレベルでのそのような効率的な使用によって、高価なアルモキサン共触媒のより少ない使用で、高い触媒効率でのオレフィンポリマーの生成が可能となる。加えて、アルミニウム残余が少なく、そしてそれ故、高い透明度であるポリマーが得られる。
【0083】
本発明の複数の実施形態における共触媒として有用な、適切なイオン形成化合物は、プロトンを供与できるブレンステッド酸であるカチオンと、適合する、非配位のアニオンAとを含む。本発明で使用されるとき、「非配位」という用語は、アニオン、または前駆複合体とそれから由来する触媒誘導体とを含む4族金属に配位しないか、そのような複合体に弱く配位していて、(それ故、中性のルイス塩基によって置き換えられるほど十分に不安定なままである)物質を意味する。非配位のアニオンとは、特に、カチオン金属複合体中で荷電平衡アニオンとして機能するとき、そのアニオン置換物またはその断片をカチオンに移さず、その結果、中性の複合体を形成し、その間、触媒としてのカチオンの金属複合体の目的とする使用を実質的に阻害するアニオンを指す。「適合するアニオン」とは、最初に形成された複合体が分解するとき、中性に低下せず、また所望の続いて起こる重合化と、または他の複合体の使用との妨げとならないアニオンである。
【0084】
好ましいアニオンは、アニオンが2つの成分が結合したときに形成されうる活性化触媒種(金属カチオン)の電荷の平衡を保たせることができる電荷を生む金属またはメタロイド核を含む単独の配位体複合体を含むものである。さらに、アニオンは、オレフィンの、ジオレフィンの、およびアセチレン不飽和の化合物またはエーテルもしくはニトリルのような他の中性ルイス塩基によって置換されるために、十分に変化しやすいことが必要である。適切な金属としては、限定されるものではないが、アルミニウム、金、白金が挙げられる。適切なメタロイドとしては、限定されるものではないが、ボロン、リン、およびシリコンが挙げられる。1つの金属またはメトロイド原子を含む配位複合体を含有するアニオンを含む化合物が、もちろんこの分野において知られていて、そして多くの、特にアニオン部分中に1つのボロン原子を含むような化合物は、市販品によって入手可能である。
【0085】
そのような触媒の好ましいものとしては、以下の一般式で表されうる:
【0086】
【化7】

【0087】
式中、Lは中性ルイス塩基であり;(L−H)+はブレンステッド酸であり;Ad−はd−の電荷を有するアニオンであり、dは1から3の整数である。より好ましくは、次式に相当するAd−である:[M’Q4]、式中M’は+3の形式的酸化状態中のボロンまたはアルミニウムであり;そしてQは独立して各々の存在が、ヒドリド、ジアルキルアミド、ハロゲン化物、ヒドロカルビル、ヒドロカルビロキシド、ハロ置換ヒドロカルビル、ハロ置換ヒドロカルビロキシ、そしてハロ置換シリルヒドロカルビルラジカル(ペルハロゲン化ヒドロカルビル−、ペルハロゲン化ヒドロカルビロキシ−およびペルハロゲン化シリルヒドロカルビルラジカルを含む)から選ばれ、Qは20までの炭素を有するが、ただしQのハロゲン化物は1つ以上存在しない。適切なヒドロカルビロキシドQ官能基の例が、米国特許第5,296,433中に開示されている。
【0088】
より好ましい実施形態としては、dが1すなわち対イオンが1つの負電荷を有し、Aである。本発明の触媒調製においてとりわけ有用なボロンを含む活性化共触媒は、次の一般式によって表されうる:
【0089】
【化8】

【0090】
式中、Lは、前に定義したようであり;M’は、3の形式的酸化状態であるボロンまたはアルミニウムであり;そしてQは、20までの非水素原子のヒドロカルビル−、ヒドロカルビロキシ−、フッ素化シリルヒドロカルビル−、フッ素化ヒドロカルビロキシ−、またはフッ素化シリルヒドロカルビル−基であるが、Qのヒドロカルビルは1つ以上存在しないという条件である。最も好ましいのは各々に存在するQが、フッ素化アリール基であり、特にペンタフルオロフェニル基である。好ましい(L−H)カチオンは、N,N−ジ(オクタデシル)アニリニウム、ジ(オクタデシル)メチルアンモニウム、メチルビス(水素化タローイル)アンモニウム、そしてトリブチルアンモニウムである。
【0091】
実例となる、しかし限定されるものではないが、活性化共触媒として使用されうるボロン化合物の例としては次のものが挙げられる;以下のようなトリ−置換アンモニウム塩:トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;トリ(セク−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;N,N−ジメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;N,N−ジメチルアニリニウムn−ブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;N,N−ジメチルアニリニウムベンジルトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(4−(t−ブチルジメチルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩;N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(4−(トリイソプロピルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩;N,N−ジメチルアニリニウムペンタフルオロフェノキシトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;N,N−ジメチル−2,4,6−トリメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;トリメチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩;トリエチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩;トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩;ジメチル(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩;N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩;N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩;およびN,N−ジメチル−2,4,6−トリメチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ホウ酸塩;以下のようなジアルキルアンモニウム塩:ジ−(i−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、およびジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;以下のようなトリ置換ホスホニウム;トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、トリ(o−トリル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、およびトリ(2,6−ジメチルフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;以下のようなジ−置換オキソニウム塩:ジフェニルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、ジ(o−トリル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、およびジ(2,6−ジメチルフェニル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩;以下のようなジ置換スルホニウム塩:ジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、ジ(o−トリル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩、およびビス(2,6−ジメチルフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩。
【0092】
好ましいシリリウム塩活性化共触媒としては、限定されるものではないが、トリメチルシリリウムテトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸塩、トリメチルシリリウムテトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸塩およびそれらのエーテル置換付加化合物が挙げられる。シリリウム塩としては、Lambert,J.B.ら,Organometallics,1994,13,2430−2443中で開示されているのに加えて、以前に一般的にJ.Chem.Soc.Chem.Comm.,1993,383−384中で開示されている。追加の重合化触媒に対する活性化共触媒として上記のシリリウム塩の使用は、全体が本明細書に参照により引用される、米国特許第5,625,087号に開示されている。トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩とアルコール、メルカプタン、シラノール、およびオキシムとの特定の複合体は、効率的な触媒活性化剤でもあり、本発明の実施形態中で使用されうる。そのような共触媒は、米国特許第5,296,433中に開示されており、これも全体が本明細書に参照により引用される。
【0093】
触媒システムは、溶媒(その中で重合化が溶液重合化手順によって実行されうる)に不可欠な構成成分の添加によって、均質触媒として調製されうる。シリカゲル、アルミナまたは他の適切な無機支持材のような触媒支持材上で必要不可欠な成分を吸収することによって、不均質触媒として、触媒システムは調製され、用いられることも可能である。不均質なまたは支持形態中で調製されるときは、支持材としてシリカを用いることが好ましい。
【0094】
常に、触媒成分と同様に、個々の成分は、酸素と湿気から保護されなければならない。それ故、触媒成分および触媒は、酸素および湿気がない雰囲気中で調製され、回収されなければならない。それ故、好ましくは、例えば、窒素やアルゴンのような乾燥した、不活性ガスの存在下で反応は行われる。
【0095】
金属複合体:用いられる活性化共触媒のモル比は、好ましくは1:1000から2:1の範囲であり、より好ましくは、1:5から1.5:1であり、最も好ましくは、1:2から1:1である。金属複合体がトリスペンタフルオロフェニルボランとメチルアルモキサン変性されたトリイソブチルアンモニウムとによって活性化される、好ましい場合において、チタニウム:ボロン:アルミニウムのモル比は、一般的には1:10:50から1:0.5:0.1、最も一般的には約1:3:5からである。
【0096】
通常、重合化は、チーグラー−ナッタ(Ziegler−Natta)またはカミンスキー−シン(Kaminsky−Sinn)型重合反応に対する条件下、すなわち、大気圧から3500気圧(34.5kPa)の範囲の反応装置圧下で、達成されうる。より高い反応装置温度、すなわち、反応装置の温度は、80℃より高くなければならず、通常は、100℃から250℃であり、そして好ましくは100℃から150℃であり、反応装置の温度が高くなればなるほど、すなわち100℃より高くなれば、一般的により低い分子量のポリマーの形成を助ける。
【0097】
通常、10から1000psi(70から7000kPa)、最も好ましくは40から60psi(300から400kPa)であるエチレンの異なる気圧で、重合化プロセスは行われる。通常、80から250℃の温度で、好ましくは90から170℃の温度で、最も好ましくは95より高い温度から160℃の温度で、重合化は行われる。
【0098】
大部分の重合化反応において、触媒:使用される重合可能な化合物のモル比率は、10−12:1から10−1:1、より好ましくは、10−9:1から10−5である。
【0099】
溶液重合化条件は、個々の反応成分に対する溶媒を利用する。好ましい溶媒は、鉱物油、および反応温度で液状である種々の炭化水素である。有用な溶媒の実例としては、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびノナンのようなアルカンが挙げられ、加えて、ケロシンおよびエクソンケミカル社から購入可能なIsopar E(登録商標)を含むアルカンの混合物;シクロペンタン、およびシクロヘキサンのようなシクロアルカン;およびベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、およびジエチルベンゼンのような芳香族化合物も挙げられる。
【0100】
反応装置中の相分離を避けるために、溶媒は十分な量で存在するであろう。溶媒が熱を吸収する役割を果たすように、より少ない溶媒が、より断熱効果的でない反応装置に添加される。溶媒:エチレン比率(重量基準で)は一般的には、2.5:1から12:1であり、それを超えると、触媒効果が低下する。最も一般的な溶媒:エチレン比率(重量基準で)は、5:1から10:1の範囲である。
【0101】
重合化は、断続的に直線状ポリマーの準備が必要とされる連続的な重合化プロセスを用いて、回分式の、または、連続的な重合化プロセスとして行われうる。連続的なプロセス中では、エチレン、コモノマー、および任意の溶媒およびジエンが、連続的に反応ゾーンに供給され、ポリマー生成物は、連続的にそこから取り除かれる。
【0102】
b)粘着付与剤成分
粘着付与剤の添加によって、固まる、または接着する前に結合が形成されることが期待される。この例としては、ホットメルト接着剤が固まる間、箱の重なりフラップが互いに接着するのに必要である、高速のシリアルボックスシーリング操作におけるものである。
【0103】
本発明に有用な粘着付与剤樹脂としては、脂肪族の、脂環式の、および芳香族の炭化水素および変性炭化水素および水素添加された種類;テルペンおよび変性テルペンおよび水素添加された種類;およびロジンおよびロジン誘導体および水素添加された種類;およびそれらの混合物が挙げられる。これらの粘着付与剤樹脂は70℃から150℃までの環球法軟化点を有し、典型的には、350°F(177℃)でブルックフィールド粘度計による測定で2000センチポイズより高くない粘度を有する。これらは、水素添加、または、他の一般的に使用される用語である飽和の異なるレベルでもまた、利用できる。有用な例としては、テネシー州キングスポートのイーストマンケミカル社製のEastotac(登録商標)H−100、H−115およびH−130が挙げられ、これらの樹脂は、軟化点がそれぞれ100℃、115℃、および130℃である部分的水素付加脂環式石油炭化水素である。これらは、Eグレード、Rグレード、LグレードおよびWグレードで使用でき、ここで各グレードは、Eは最も少ない水素添加のレベルのものでRは最も水素添加されたものであるといった水素添加の異なるレベルを示す。Eグレードは15の臭素価であり、Rグレードは5の臭素価であり、Lグレードは3の臭素価であり、Wグレードは1の臭素価である。イーストマンケミカル社製のEastotac(登録商標)H−142Rは、約140℃の軟化点を有する。他の有用な粘着付与剤樹脂としては、部分水素添加脂環式石油炭化水素樹脂であるEscorez(登録商標)5300、5400および5637、ならびに部分水素添加芳香族変性石油炭化水素樹脂である、Escorez(登録商標)5600、全てテキサス州ヒューストンのエクソンケミカル社から購入できる;オハイオ州アクロンにあるグッドイヤーケミカル社から購入できる芳香族脂肪族石油炭化水素樹脂であるWingtack(登録商標)Extra;デラウェア州ウィルミングトンにあるハーキュリーズ社から購入できる部分水素添加環式石油炭化水素樹脂であるHercolite(登録商標)2100が挙げられる。
【0104】
異なる水素添加のレベルで利用できる多数のロジンおよび変性ロジンがあり、これらには、ガムロジン、ウッドロジン、トールオイルロジン、蒸留されたロジン、二量体ロジンおよび重合ロジンが含まれる。特定の変性ロジンは、ウッドレジンとトールオイルレジンとのグリセロールとペンタエリスリトールとのエステルを含む場合がある。市販品として利用できるグレードとしては、限定されるものではないが、アリゾナケミカル社から購入できるペンタエリスリトールロジンエステルであるSylvatac(登録商標)1103、ニュージャージー州ウェーンにあるユニオンキャンプ社製のペンタエリスリトールロジンエステルであるUnitac(登録商標)R−100 Lite、ハーキュリーズ社から購入できるエリスリトール変性ウッドロジンであるPermalyn(登録商標)305および、これもハーキュリーズ社から購入できる水素添加が高いペンタエリスリトールロジンであるForal 105が挙げられる。Sylvatac(登録商標)R−85および295は、アリゾナケミカル社から購入できる85℃および95℃の融点であるロジン酸であり、Foral AXは、ハーキュリーズ社から購入できる70℃の融点である水素添加ロジン酸である。Nirez V−2040は、アリゾナケミカル社から購入できるフェノール変性テルペン樹脂である。
【0105】
例示される他の粘着付与剤として挙げられる、Piccotac 115は、350°F(177℃)で約1600センチポイズの粘度を有する。他の典型的な粘着付与剤は、350°F(177℃)で1600センチポイズよりずっと低い粘度、例えば、50から300センチポイズである。
【0106】
例示される脂肪族樹脂としては、商品名Escorez(登録商標)、Piccotac(登録商標)、Mercures(登録商標)、Wingtack(登録商標)、Hi−Rez(登録商標)、Quintone(登録商標)、Tackirol(登録商標)などの市販品が挙げられる。例示されるポリテルペン樹脂としては、商品名Nirez(登録商標)、Piccolyte(登録商標)、Wingtack(登録商標)、Zonarez(登録商標)などの市販品が挙げられる。例示される水素添加樹脂としては、Escorez(登録商標)、Arkon(登録商標)、Clearon(登録商標)などの市販品が挙げられる。例示される混合脂肪族−芳香族樹脂としては、商品名Escorez(登録商標)、Regalite(登録商標)、Hercures(登録商標)、AR(登録商標)、Imprez(登録商標)、Norsolene(登録商標)M、Marukarez(登録商標)、Arkon(登録商標)M、Quintone(登録商標)などが挙げられる。これらの粘着付与剤は、本発明のポリマーとともに双方の相性がよいレベルで用いられうる。他の粘着付与剤は、均質な直線状または実質的に直線状のエチレン/αオレフィンインターポリマーと相性がよいように、用いられ供給される。
【0107】
本発明のある適用において、粘着付与剤を使用することなく、または最小量の粘着付与剤で、ホットメルト接着剤は調製されうる。粘着付与剤は臭いがあり、機械装置の腐食を起こしやすく、容易には再生紙パルプから分離することができないので、粘着付与剤の使用を最小限にするホットメルト接着剤は、利点がある。さらに、一般的に粘着付与剤は、温度の上昇とともに分解を引き起こすので、粘着付与剤の使用を最小限にするホットメルト接着剤によって、温度安定性の向上がみられるであろう。
【0108】
ホットメルト接着剤に添加される粘着付与剤は、軟化点、比重、または酸価のようなパラメーターによって特徴づけられうる。これらに限定されるわけではないが、上述したように、多様な粘着付与剤の中から粘着付与剤を選択することができ、また、0から100の間、より好ましくは0から25.8の間、および最も好ましくは酸価が3〜10である粘着付与剤の酸価のような、酸価の範囲で特徴付けられる粘着付与剤の中から、粘着付与剤を選択することができる。
【0109】
c)他の添加剤
接着剤、本発明のものも含む、は、安定化剤、可塑剤、充填剤または抗酸化剤のような多数の追加の成分もまた含みうる。本発明の接着剤組成物中に含まれうる適切な安定化剤または抗酸化剤は、高分子量ヒンダードフェノールと、硫黄含有およびリン含有フェノールのような多機能性フェノールとである。当業者には知られている、ヒンダードフェノールは、フェノールの水酸基に近接した位置に立体的に大きなラジカルも含む、フェノール性化合物として説明される。特に、フェノールの水酸基に対してオルト位の少なくとも1つのベンゼン環上で、一般的には第三ブチル基に置換される。水酸基の近くのこれらの立体的に大きな置換ラジカルの存在は、その伸縮振動数、これに対応して、その反応性を遅らせることに役立つ。この妨害によって、これらのフェノール性化合物の安定特性がもたらされるのである。
【0110】
代表的なヒンダードフェノールとしては、以下のものが挙げられる;限定されるものではないが:2,4,6−トリアルキルモノヒドロキシフェノール;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−タート−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン;商品名IRGANOX(登録商標)1010で市販されているペンタエリスリトールテトラキス−3(3,5−ジ−タート−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート;n−オクタデシル−3(3,5−ジ−タート−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート;4,4’−メチレンビス(4−メチル−6−タート−ブチル−フェノール);4,4’−チオビス(6−タート−ブチル−o−クレゾール);2,6−ジ−タートブチルフェノール;6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−2,4−ビス(n−オクチル−チオ)−1,3,5トリアジン;2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−タート−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンゾエート;ジ−n−オクタデシル3,5−ジ−タート−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート;およびソルビトールヘキサ(3,3,5−ジ−タート−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオネート。
【0111】
抗酸化剤としては、限定されるものではないが、ブチル化ヒドロキシアニゾール(「BHA」)またはブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)が挙げられ、これらは、製剤をより温度安定的なものとするために利用されうる。これらの安定化剤および抗酸化剤は、製剤重量で約0.01%から約5%の範囲の量で添加される。
【0112】
抗酸化剤と共同して周知の共力剤を用いると、これらの抗酸化剤の能力がより高められうる。これらの周知の共力剤としては、例えば、チオジプロピオネートエステルおよびホスフェートがある。キレート剤、および金属不活性化剤を用いてもよい。これらの化合物の例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(「EDTA」)、およびより好ましくは、その塩、およびジサリチルアルプロピレンジアミンが挙げられる。ジステアリルチオジプロピオネートが特に有用である。接着剤組成物に添加されるとき、これらの安定化剤は、もし使われるなら、一般的には、約0.1%から約1.5重量パーセントの量、より好ましくは約0.25から約1.0重量パーセントの範囲で存在する。
【0113】
本発明においてはまた、接着剤へのポリマー添加剤の添加も考えられる。ポリマー添加剤は、重量で10から28重量パーセントのメチルアクリル酸を含むエチレンメチルアクリル酸ポリマー;25から150の酸価を有するエチレンアクリル酸コポリマー;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリ(ブテン−1−コ−エチレン)ポリマーおよび低分子量および/または低融点指標のエチレンn−ブチルアクリル酸コポリマーからなる群から選ばれうる。そのようなポリマー添加物が添加されるとき、それは組成物重量で約15重量パーセントまでの量で存在する。
【0114】
接着剤組成物の予定される最終用途によって、可塑剤、顔料および染料のような通常ホットメルト接着剤に添加される他の添加剤が含まれうる。加えて、少量の追加の(二番目の)粘着付与剤および/またはマイクロクリスタリンワックス、水添ヒマシ油、スチレン−エチレンブチルスチレン(SEBS)樹脂およびビニル酢酸変性合成ワックスのようなワックスもまた、より少ない量、すなわち重量で約10重量パーセントまで、本発明の製剤中に組み込まれうる。接着剤組成物の粘性を改良するために、およびタック特性を向上させるために、可塑剤は、二番目の粘着付与剤の代わりに、または組み合わせて、使われうる。
【0115】
分散剤を、これらの組成物に添加することもできる。例えば、水性条件下で適用される表面からそれ自身で組成物を分散させるような分散剤は化学的でありうる。分散剤は、化学的に改良されたとき、適用される表面から組成物を分散させる試薬でもあってもよい。当業者には公知のように、これらの分散剤の例としては、界面活性剤、乳化剤、および様々なカチオンの、アニオンの、またはノニオンの分散剤が挙げられる。アミン、アミドおよびそれらの誘導体のような化合物が、カチオン分散剤の例である。石鹸、酸、エステルおよびアルコールが、アニオン性分散剤として知られているものである。分散剤の添加は、ホットメルト接着剤が適用されうる製品のリサイクル性に影響を与えうる。
【0116】
界面活性剤は、種々の公知の表面活性剤から選ばれうる。公知の表面活性剤には、商業的供給者から購入可能なエトキシレートのようなノニオン化合物が含まれうる。例としては、アルコールエトキシレート、アルキルアミンエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、オクチルフェノールエトキシレートなどが挙げられる。多数の脂肪酸エステルのような、他の界面活性剤が、用いられうる;例えば、限定されるものではないが、グリセロールエステル、ポリエチレングリコールエステルおよびソルビタンエステルである。
【0117】
本発明をある程度詳細に述べてきたが、以下の実施例は、単に本発明を説明する目的のものであり、請求項によって定義される本発明の範囲を意図するものではないことを理解されたい。
【0118】
本発明のホットメルト接着剤の組成と特性
本発明のホットメルト接着剤は、約40から約100重量パーセント、好ましくは約60から約85重量パーセント、より好ましくは、約65から約80重量パーセント(ホットメルト接着剤の最終重量に基づく)のエチレンアルファオレフィンインターポリマーと、0から約60重量パーセント、好ましくは約15から約40重量パーセント、より好ましくは約20から約35重量パーセント(ホットメルト接着剤の最終重量に基づく)の1または2以上の粘着付与剤から実質的になる。
【0119】
本発明のホットメルト接着剤のエチレンアルファオレフィンインターポリマー成分は、約0.880から約0.930g/cm、好ましくは約0.890から0.920g/cm、より好ましくは約0.8945から約0.915g/cm、さらにより好ましくは0.885g/cmより大きく、最も好ましくは0.895g/cmより大きい密度を有する。
【0120】
本発明のホットメルト接着剤のエチレンアルファオレフィンインターポリマー成分は、約1,000から約9,000、好ましくは、約1,250から約7,000、より好ましくは約1,500から約6000の平均分子量(GPCにより測定したMn)を有する。
【0121】
本発明のホットメルト接着剤のエチレンアルファオレフィンインターポリマー成分は、約500から約7,000cPの、好ましくは、約1,000から約6,000cPの、より好ましくは、約1,500から約5000cPの(300°Fで測定して)ブルックフィールド粘度を有する。
【0122】
本発明のホットメルト接着剤は、(350°Fで)約400から約2,000cPの、好ましくは、約500から約1,400cPの、より好ましくは、約750から1,200cPのブルックフィールド粘度を有する。
【0123】
本発明のホットメルト接着剤は、110°F以上、好ましくは115°F以上、より好ましくは120°F以上の剥離接着破壊温度(PAFT)を有する。
【0124】
本発明のホットメルト接着剤は、140°F以上、好ましくは150°F以上、より好ましくは170°F以上の断界面破壊温度(SAFT)を有する。
【0125】
本発明のホットメルト接着剤は、77°F〜140°Fの間で100%紙引裂きを、好ましくは、35℃〜140°Fで100%紙引裂きを、最も好ましくは140°Fで100%紙引裂きを示す。
【実施例】
【0126】
実施例の調製
特に明記しない限り、以下の実施例の粘度への言及は、使い捨てのアルミニウムサンプルチャンバー中のブルックフィールドラボラトリーズDVII+粘度計を使用して以下の手順に従って定められた。使用されたスピンドルは、10から100,000センチポイズの範囲の粘度を測定するのに適した、SC−31ホットメルトスピンドルである。カッティングブレードは、幅1インチ、長さ5インチのサンプルチャンバーに十分合うよう小さな切片にサンプルを切断するために、用いられる。サンプルをチャンバーに静置し、次々にブルックフィールドサーモセルに入れ、曲がったニードルノーズプライヤーで蓋を閉める。スピンドルを挿入し、回転するときに、チャンバーが確実に回らないようにするため、サンプルチャンバーは、ブルックフィールドサーモセルの底に適合する底にV字型の刻みを有する。サンプルを、所望の温度、例えば、300°Fまたは350°F、まで加熱し、同時に融解したサンプルが、サンプルチャンバー上部約1インチ下になるまで、追加のサンプルを添加する。粘度計装置を下げ、スピンドルをサンプルチャンバー中に沈める。サーモセル上で粘度計のブラケットが調整されるまで、下げ続ける。粘度計のスイッチをいれ、トルク読み値が30から60パーセントの範囲になるようにシェアレートを設定する。読みは、約15分間または値が安定するまで毎分行い、そして最終読み値を記録する。
【0127】
特に明記しない限り、断界面破壊温度(「SAFT」)テスト、(テストは通常接着性能を評価するために用いられ、当業者には周知である)、は標準SAFTテスト方法(ASTM D−4498)を用いて行った。SAFTテストは、500gm重量を用いてChemInstruments HT−8 Oven Shear Testerを用いて行った。テストは、室温(25℃/77°Fで)開始し、温度は0.5度C/分の割合で増加させた。結果は、°Fに転換し、報告した。SAFTテストは、接着がなくなる温度を測定する。
【0128】
特に明記しない限り、100グラム重量を用いてASTM D−D4498(剥離モードに改良)に従って、剥離接着破壊温度(「PAFT」)を行った。PAFTは、標準スチールパネルに対して、または他の表面に対して、角度で180度剥がされたときに、シングルコートされたテープへの対象物の接着性の大きさを与える。
【0129】
特に明記しない限り、350°Fまで加熱した接着剤の一滴を、紙上に適用したところで、標準工業テスト方法に従って段ボール紙上の%紙引裂きを行った。1.5秒後、所定のサイズ(11”×3“)の他の紙を、接着剤の一滴上に置き、元の紙に重ねた。2つの紙は、すぐに手で引き離し、%紙引裂き(FT)を測定した。
【0130】
特に明記しない限り、本発明の接着剤製剤の融点は、示差走査熱量測定(「DSC」)を使った。サンプルの数ミリグラムを機器の中に置き、温度を室温から180℃まで毎分10℃で上昇させた。その後、サンプルを3分間180℃で等温で保持し、その後、マイナス40℃まで毎分10℃で温度を傾斜をつけて下げていった。サンプルは−40℃で3分間、等温で保持した。その後、150℃まで毎分10℃で温度を傾斜上昇させた。結晶化度と融点のデータは、二番目の加熱カーブから報告した。
【0131】
サンプル密度は、ASTM D 792に従って決定した。
【0132】
サンプルの滴点は、ASTM 3954(Mettler滴点)に従って決定した。
【0133】
特に明記しない限り、本発明製剤の接着特性の評価は、段ボール箱の製造に通常使用され、ミネソタ州ミネアポリスのNational Papersから購入した45#秤量クラフト紙上にコートすることによって行った。
【0134】
【表1】

【0135】
実施例1.シングルメタロセン触媒システムを使用したエチレン/アルファ−オレフィンポリマー調製
エチレン/α−オレフィンインターポリマーのシリーズを、1ガロンのオイルジャケット形、オートクレーブ連続攪拌槽型反応器(「CSTR」)中でも調製した。Lightning A−320インペラーを備えた磁気連結攪拌器によって混合を行った。反応器を、475psig(3,275kPa)で液体を充填して運転した。プロセスフローは、底部では中で、上部では外であった。加熱移動オイルを、反応の熱を幾分か除去するために、反応器のジャケット中を循環させた。反応器の出口に、流量と溶液密度とを測定するMicro−Motion(登録商標)流量計を設置した。反応器の出口上の全てのラインを、50psi(344.7kPa)の蒸気でたどり、断熱した。
【0136】
30psig圧力でISOPAR−E溶媒とコモノマーとを反応器に供給した。反応器への溶媒供給を、Micro−Motion(登録商標)マスフローメーターによって測定した。様々なスピードのダイヤフラムポンプによって、溶媒流量がコントロールされ、反応器圧力への溶媒圧力を上昇させた。コモノマーは、Micro−Motion(登録商標)マスフローメーターによって測定し、流量をResearchコントロールバルブによってコントロールした。コモノマー蒸気を、溶媒ポンプの吸引で溶媒蒸気と混合し、溶媒とともに反応器へとくみ上げた。残余の溶媒を、エチレンおよび(任意の)水素と結合させ、反応器に運んだ。エチレン蒸気を、流量をコントロールするResearchバルブよりすぐ前のMicro−Motion(登録商標)マスフローメーターによって測定した。3つのブルックス流量計/コントローラー(1〜200sccmおよび2〜100sccm)を、エチレンコントロールバルブ出口で、エチレン蒸気中に水素を運搬するために使用した。
【0137】
エチレンまたはエチレン/水素混合物とを、溶媒/コモノマー蒸気に室温で結合させた。反応器に投入したとき、溶媒/モノマーの温度を、2つの熱交換器でコントロールした。この蒸気は、1ガロンのCSTRの底部に入る。3成分の触媒システムおよびその溶媒流も、反応器の底部に入るが、モノマー蒸気とは異なる引き込み口を通じて入る。
【0138】
溶液密度を測定するメーターの後の反応器生成物ライン中に、触媒効果を止めるものを添加して、重合化を止めた。他のポリマー添加物も触媒効果を止めるものとともに添加することができる。その後、反応器排出蒸気は溶媒除去フラッシュに対してさらなるエネルギーを与える次の反応加熱器に入った。排出により次の反応加熱器が終了し、圧力が475psigから10下まで反応器コントロールバルブで落ちたとき、このフラッシュが起こる。
【0139】
このフラッシュポリマーを、ホットオイルジャケット形液化装置に投入した。揮発成分の約90%が液化装置中のポリマーから除去された。揮発成分は、液化装置の上部から排出される。冷却水ジャケット形交換器で、残余の蒸気は液化し、その後、グリコールジャケットの溶媒/エチレン分離容器に入る。溶媒を、容器の底部で除去し、エチレンが上部から排出される。エチレン蒸気を、Micro−Motion(登録商標)マスフローメーターで測定した。未到のエチレンのこの測定は、エチレン転化を算出するために使用した。ポリマーを液化装置中で分離し、ギアポンプでくみ出した。製造物を、ライニングされたパン中に集め、140℃で24時間、真空オーブン中で乾燥した。表2は、重合条件をまとめたものであり、表3は、得られた重合体の特性をまとめたものである。
【0140】
【表2】

【0141】
【表3】

【0142】
実施例2.粘着付与剤を含む接着剤の調製
全重量100gに対して、材料を金属容器中で混合した。粘着付与剤樹脂を、容器中に添加し、温度コントロールのための加熱マントルで10分間加熱した。3〜5分にわたってゆっくりとポリマーを添加した。融解した時点で、金属スパチュラを使用して、適度な速度で手で成分を混合した。ポリマーを完全に添加した後、確実に均質にするために、さらに15分間、接着剤を混合した。全てのケースにおいて最終接着剤温度は、350〜360°Fであった。単一の粘着付与剤を、製剤において使用した場合もあるし、他の製剤においては、粘着付与剤の組み合わせを使用した場合もある。
【0143】
実施例3.接着剤製剤の評価
実施例2に従って調製した接着剤製剤について、前述の試験方法を用いて、接着性特性を評価した。これらの接着剤製剤の特性を、表4〜6にまとめ、数種の市販品として購入できる接着剤の特性と比較した。
【0144】
より高い温度範囲にわたって(77°F〜140°Fの間)紙引裂きを評価したとき、エチレンおよび1−オクテンを用いて合成したエチレン/アルファ−オレフィンポリマーの大部分が、良好な性能を示した。これらの製剤のいくつかは、35°Fにおいても効果があった。
【0145】
【表4】

【0146】
【表5】

【0147】
【表6】

【0148】
【表7】

【0149】
これらの結果は、これらのポリマーと粘着付与剤との組み合わせにより、接着剤用途の広い範囲での要求を満たすために形成されうる特性を有する接着剤を製造することができることを示す。
【0150】
この結果はまた、これらの新規ポリマーが、適切な粘着付与剤とともに作られたとき、ワックスおよび粘着付与剤およびEVA樹脂を用いて作られる従来のEVAホットメルト接着剤と同等か、またはそれ以上の接着特性を有することも示す。
【0151】
結果はまた本発明の新規ポリマーを、選択した粘着付与剤と混合したとき、紙引裂きで示されたように、最良のホットメルト接着剤に匹敵する特性を有することも示す。
【0152】
実施例4.熱安定度試験
従来のEVA樹脂と比較したとき、メタロセン由来のエチレン樹脂が非常に温度安定であることが知られている。本発明の新規樹脂の温度安定性を試験するため、0.9032g/cmの密度の本発明の新規エチレンオクテンコポリマー樹脂を、華氏350度、対流式オーブン中に置いた。表8に示すように、結果から、新規ポリマーの温度安定性が明らかとなった。ガードナー色度が、ホットメルト接着剤の熱劣化を測定する共通の方法である。色の発生が、直接的に熱劣化と関連する;それ故、ガードナー数が高くなればなるほど、ポリマーの色発生は、より顕著となる。
【0153】
【表8】

【0154】
実施例5.2元メタロセン触媒システムを使用したエチレン/α−オレフィンインターポリマーの調製
エチレン/α−オレフィンインターポリマーのシリーズを、1ガロンの、オイルジャケット形、オートクレーブ連続攪拌槽型反応器(CSTR)中で、調製した。Lightning A−320インペラーを備えた磁気連結攪拌器で混合した。反応器は、475psig(3,275kPa)で、液体を充填して運転した。プロセスフローは、底部では中で、上部では外であった。加熱移動オイルを、反応の熱を幾分か除去するために、反応器のジャケット中を循環させた。反応器の出口に、流量と溶液密度を測定するMicro−Motion(登録商標)流量計を設置した。反応器の出口上の全てのラインを、50psi(344.7kPa)蒸気でたどり、断熱した。
【0155】
ISOPAR−E溶媒とコモノマーとを、30psig圧力で、反応器に供給した。反応器への溶媒供給をMicro−Motion(登録商標)マスフローメーターによって測定した。様々なスピードのダイヤフラムポンプによって、溶媒流量がコントロールされ、反応器圧力への溶媒圧力を上昇させた。コモノマーは、Micro−Motion(登録商標)マスフローメーターによって測定し、流量はResearchコントロールバルブによって制御した。溶媒ポンプの吸引でコモノマー蒸気を、溶媒蒸気と混合し、溶媒とともに反応器へとくみ上げた。残余の溶媒を、エチレンと(任意で)水素とに結合させ、反応器に運搬した。エチレン蒸気を、Researchバルブ制御フローのすぐ前にMicro−Motion(登録商標)マスフローメーターによって測定した。エチレンコントロールバルブの出口で、エチレン蒸気中に水素を運搬するために、3つのブルックス流量計/コントローラー(1〜200sccmおよび2〜100sccm)を用いた。
【0156】
エチレンまたはエチレン/水素混合物と溶媒/コモノマー蒸気とを室温で結合させた。反応器に投入したとき、溶媒/モノマーの温度を、2つの熱交換器でコントロールした。この蒸気は、1ガロンCSTRの底部に入る。
【0157】
不活性雰囲気の中で、2つの成分の各々の濃縮溶液の適当な量と既知の濃度および組成の最終触媒溶液を与える溶液とを混合することによって、遷移金属複合体溶液を調製した。この溶液を重合反応器への運搬のための高圧定量ポンプに取り付けられた圧力容器へと、窒素下、移送した。
【0158】
同じ不活性雰囲気の中で、最初の触媒である、メチルビス(水素添加タローアルキル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩と第二の触媒である、MMAOタイプ3A、との溶液が溶媒中で調製され、触媒溶液に対して述べられているように、圧力容器を分離するために、移送された。もし、表9中に表されるような重合反応器中でモル比率を達成するために個々の計器がくみ上げるなら、遷移金属(「TM」)に対するAlの比率、TMに対するボランの比率を、容積測定の流量産出をコントロールすることによって達成した。3成分触媒システムおよびその溶媒流もまた、底部の反応器中に入るが、モノマー蒸気とは異なる引き込み口を通じて入る。
【0159】
溶媒密度を測定するメーターの後の反応器生成物ライン中に触媒を止めるものを添加して、重合化を止めた。反応器排出蒸気は、その後、溶媒除去フラッシュのためのさらなるエネルギーを与える次の反応加熱器に入った。次の反応加熱器が排出により終了し、圧力が475psigから10下まで反応器コントロールバルブで落ちたとき、このフラッシュが起こる。
【0160】
このフラッシュポリマーを、ホットオイルジャケット形液化装置に投入した。揮発成分の約90%が液化装置中のポリマーから除去された。揮発成分は、液化装置の上部から排出される。冷却ジャケット形交換器で、残余の蒸気は液化し、その後、グリコールジャケットの溶媒/エチレン分離容器に入る。溶媒を、容器の底部で除去し、エチレンが上部から排出される。エチレン蒸気は、Micro−Motion(登録商標)マスフローメーターで測定した。未到のエチレンのこの測定を、エチレン転化を算出するために使用した。ポリマーを液化装置中で分離し、ギアポンプでくみ出した。製造物を、ライニングされたパン中に集め、140℃で24時間、真空オーブン中で乾燥した。
【0161】
添加物(例えば、酸化防止剤、顔料など)はインターポリマー生成物中に組み込まれ、全てのポリマーは、約1000ppmのIRGANOX(登録商標)1010と2000ppmのIRGAFOS168とを用いて安定化されうる。IRGANOX(登録商標)とIRGAFOS(登録商標)とは、ともにチバガイギー社によって製造され、その商標である。IRGAFOS(登録商標)168は亜リン酸塩安定化剤であり、IRGANOX(登録商標)110は、ヒンダードポリフェノール安定化剤(すなわち、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]−メタン)である。表9は、重合条件をまとめたもので、表10は、得られたポリマーの特性をまとめたものである。
【0162】
【表9】

【0163】
【表10】

【0164】
実施例6.実施例5のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを用いた粘着付与剤を含む接着剤組成物の調製
実施例2で前述したように、ホットメルト接着剤組成物の成分を、金属容器中で全重量100gで混合した。粘着付与剤樹脂を、容器中に添加し、温度コントロールのための加熱マントルで10分間、加熱した。ポリマーを、ゆっくりと3〜5分間かけて添加した。融解した時点で、金属スパチュラを使用して、適度な速度で手で成分を混合した。ポリマーを完全に添加した後、確実に均質にするために、さらに15分間、接着剤を混合した。全てのケースにおいて最終接着剤温度は、350〜360°Fであった。
【0165】
実施例7.接着剤製剤の評価
実施例6の接着剤特性を、表11にまとめ、市販品として購入できる接着剤の特性との比較を、表7にまとめた。
【0166】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーの約40〜100重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく);および
B)1または2以上の粘着付与剤 0〜約60重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく):
から実質的になるホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが約60〜約85重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)の量で存在し、均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、以下の特徴を有し:
i)約0.880〜約0.930g/cmの密度;
ii)約1,000〜約9,000の数平均分子量(Mn);および
iii)約500〜約7,000cPのブルックフィールド粘度(300°Fで測定)および
B)1または2以上の粘着付与剤が約15〜約40重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)の量で存在し;この際
C)ホットメルト接着剤組成物が以下で特徴付けられる;
i)約400〜約2,000cPのブルックフィールド粘度(350°Fで測定);
ii)110°F以上の剥離接着破壊温度(「PAFT」);および
iii)140°F以上の断界面破壊温度(「SAFT」);
請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが約65〜約80重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)の量で存在し、均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、以下の特徴を有し:
i)約0.890〜約0.920g/cmの密度;
ii)約1,250〜約7,000の数平均分子量(Mn);および
iii)約1,000〜約6,000cPのブルックフィールド粘度(300°Fで測定);そして
B)1または2以上の粘着付与剤が約20〜約35重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)の量で存在し;この際
C)ホットメルト接着剤組成物が以下で特徴付けられる;
i)約500〜約1,400cPのブルックフィールド粘度(350°Fで測定)を有し;
ii)115°F以上の剥離接着破壊温度(「PAFT」)を有し;
iii)150°F以上の断界面破壊温度(「SAFT」)を有し;そして
iv)35°F〜140°Fで100%紙引裂きを示す:
請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、以下の特徴を有し:
i)約0.895〜約0.915g/cmの密度;
ii)約1,500〜約6,000の数平均分子量(Mn);および
iii)約1,500〜約5,000cPのブルックフィールド粘度(300°Fで測定);そして
B)ホットメルト接着剤組成物が以下で特徴付けられる;
i)約750〜約1,200cPのブルックフィールド粘度(350°Fで測定)を有し;
ii)120°F以上の剥離接着破壊温度(「PAFT」)を有し;
iii)170°F以上の断界面破壊温度(「SAFT」)を有し;そして
iv)0°F〜140°Fで100%紙引裂きを示す:
請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、以下の特徴を有し:
i)約0.893〜約0.930g/cmの密度;
ii)約1,000〜約6,000の数平均分子量(Mn);および
iii)約1,500〜約5,000cPのブルックフィールド粘度(300°Fで測定);そして
B)ホットメルト接着剤組成物が以下で特徴付けられる;
i)約400〜約1,400cPのブルックフィールド粘度(350°Fで測定)を有し;
ii)90°F以上の剥離接着破壊温度(「PAFT」)を有し;
iii)200°F以上断界面破壊温度(「SAFT」)を有し;そして
iv)140°Fで100%紙引裂きを示す:
請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、以下の特徴を有し:
i)約0.894〜約0.910g/cmの密度;
ii)約1,100〜約5,300の数平均分子量(Mn);および
iii)約1,600〜約3,200cPのブルックフィールド粘度(300°Fで測定);そして
B)ホットメルト接着剤組成物が以下で特徴付けられる;
i)約700〜約1,200cPのブルックフィールド粘度(350°Fで測定)を有し;
ii)90°F以上の剥離接着破壊温度(「PAFT」)を有し;
iii)200°F以上の断界面破壊温度(「SAFT」)を有し;そして
iv)140°Fで100%紙引裂きを示す:
請求項5に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレンと1または2以上のC〜C30のα−オレフィンとのインターポリマーであり;そして
B)1または2以上の粘着付与剤が、脂肪族炭化水素樹脂、水素添加炭化水素樹脂、C脂肪族または芳香族炭化水素樹脂または、芳香族変性C脂肪族または芳香族炭化水素樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれ;そして
この際、接着剤組成物は、繊維状セルロース物品を繊維状セルロース物品、木、金属、ガラス、プラスチックおよびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物品に結合させることができる;
請求項2、3、4、または6の何れか1項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマー中で、α−オレフィンが、C(1−オクテン);C10(1−デセン)、C12(1−ドデセン)、C14(1−デュオデセン)、C14(1−テトラデセン)、C16(1−ヘキサデセン)、C18(1−オクタデセン)、C20−24+,C24−28およびC30並びにこれらの組み合わせからなる群から選ばれ;そして
B)1または2以上の粘着付与剤が0から約25.8の酸価を有することによって特徴付けられる;
請求項4または5に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
安定化剤、可塑剤、充填剤、抗酸化剤、防腐剤、共力剤、染料、および顔料からなる群から選ばれる1または2以上の化合物をさらに含む、請求項7または8に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
α−オレフィンが1−オクテンおよびプロピレンからなる群から選ばれる、請求項8に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項11】
コポリマーが約2.1〜約16の範囲の分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項8または10に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項12】
前記粘着付与剤が約15〜約35重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)の量で存在する、請求項8、10または11に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項13】
ホットメルト接着剤組成物を使用して形成されるセルロース物品であって、接着剤組成物が、
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーの約40〜100重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく);そして
B)1または2以上の粘着付与剤の0〜約60重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく);
から実質的になる接着剤組成物である、セルロース物品。
【請求項14】
前記ホットメルト接着剤組成物において、
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが約60〜約85重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)の量で存在し、均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、以下の特徴を有し:
i)約0.880〜約0.930g/cmの密度;
ii)約1,000〜約9,000の数平均分子量(Mn);および
iii)約500〜約7,000cPのブルックフィールド粘度(300°Fで測定);そして
B)1または2以上の粘着付与剤が約15〜約40重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)の量で存在し;この際
C)ホットメルト接着剤組成物が以下で特徴付けられる;
i)約400〜約2,000cPのブルックフィールド粘度(350°Fで測定);
ii)110°F以上の剥離接着破壊温度(「PAFT」);および
iii)140°F以上の断界面破壊温度(「SAFT」);
請求項13に記載のセルロース物品。
【請求項15】
前記ホットメルト接着剤組成物において、
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが約65〜約80重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)の量で存在し、均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、以下の特徴を有し:
i)約0.890〜約0.920g/cmの密度;
ii)約1,250〜約7,000の数平均分子量(Mn);および
iii)約1,000〜約6,000cPブルックフィールド粘度(300°Fで測定);そして
B)1または2以上の粘着付与剤が約20〜約35重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)の量で存在し;この際
C)ホットメルト接着剤組成物が以下で特徴付けられる;
i)約500〜約1,400cPのブルックフィールド粘度(350°Fで測定)を有し;
ii)115°F以上の離接着破壊温度(「PAFT」)を有し;
iii)150°F以上の断界面破壊温度(「SAFT」)を有し;そして
iv)140°Fで100%紙引裂きを示す:
請求項13に記載のセルロース物品。
【請求項16】
前記ホットメルト接着剤組成物において、
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、以下の特徴を有し:
i)約0.893〜約0.930g/cmの密度;
ii)約1,000〜約6,000の数平均分子量(Mn);および
iii)約1,500〜約5,000cPのブルックフィールド粘度(300°Fで測定);そして
B)ホットメルト接着剤組成物が以下で特徴付けられる;
i)約400〜約1,400cPのブルックフィールド粘度(350°Fで測定)を有し;
ii)90°F以上の剥離接着破壊温度(「PAFT」)を有し;
iii)200°F以上の断界面破壊温度(「SAFT」)を有し;そして
iv)120°Fで100%紙引裂きを示す:
請求項13に記載のセルロース物品。
【請求項17】
前記ホットメルト接着剤組成物において、
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、以下の特徴を有し:
i)約0.894〜約0.910g/cmの密度;
ii)約1,100〜約5,300の数平均分子量(Mn);および
iii)約1,600〜約3,200cPのブルックフィールド粘度(300°Fで測定);そして
B)ホットメルト接着剤組成物が以下で特徴付けられる;
i)約700〜約1,200cPのブルックフィールド粘度(350°Fで測定)を有し;
ii)90°F以上の剥離接着破壊温度(「PAFT」)を有し;そして
iii)200°F以上の断界面破壊温度(「SAFT」)を有し;
iv)140°Fで100%紙引裂きを示す:
請求項13に記載のセルロース物品。
【請求項18】
前記ホットメルト接着剤組成物において、
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、エチレンと1または2以上のC〜C30のα−オレフィンとのインターポリマーであり;そして
B)1または2以上の粘着付与剤が、脂肪族炭化水素樹脂、水素添加炭化水素樹脂、C脂肪族または芳香族炭化水素樹脂または、芳香族変性C脂肪族または芳香族炭化水素樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群から選ばれる;
請求項16または17に記載のセルロース物品。
【請求項19】
前記ホットメルト接着剤組成物において、
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマー中で、前記α−オレフィンがC(1−オクテン);C10(1−デセン)、C12(1−ドデセン)、C14(1−デュオデセン)、C14(1−テトラデセン)、C16(1−ヘキサデセン)、C18(1−オクタデセン)、C20−24+、C24−28およびC30およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれ;そして
B)1または2以上の粘着付与剤が、0から約25.8の酸価を有することによって特徴付けられる;
請求項18に記載のセルロース物品。
【請求項20】
セルロース物品が、ダンボール紙、クラフト紙、ダンボール厚紙、および紙からなる群から選ばれる、請求項19に記載のセルロースの品。
【請求項21】
ポリマー組成物の製造方法であって、以下の特徴を有する:
i)約0.880〜約0.930g/cmの密度;
ii)約1,000〜約9,000の数平均分子量(Mn);および
iii)約500〜約7,000cPのブルックフィールド粘度(300°Fで測定)
均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーを約60〜約85重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)の量で混合する段階と;そして
粘着付与剤を15〜約40重量パーセント(ホットメルト接着剤組成物の最終重量に基づく)の量で混合する段階とを有し;この際
前記ポリマー組成物が以下で特徴付けられる;
i)約400〜約2,000cPのブルックフィールド粘度(350°Fで測定);
ii)110°F以上の剥離接着破壊温度(「PAFT」);および
iii)140°F以上の断界面破壊温度(「SAFT」);
ポリマー組成物の製造方法。
【請求項22】
A)均質エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、以下の特徴を有し:
i)約0.893〜約0.930g/cmの密度;
ii)約1,000〜約6,000の数平均分子量(Mn);および
iii)約1,500〜約5,000cPブルックフィールド粘度(300°Fで測定);そして
B)ポリマー組成物が以下で特徴付けられる;
i)約400〜約1,400cPのブルックフィールド粘度(350°Fで測定);
ii)90°F以上の剥離接着破壊温度(「PAFT」)を有し;
iii)200°F以上の断界面破壊温度(「SAFT」)を有し;および
iv)140°Fで100%紙引裂きを示す:
ポリマー組成物の製造方法。

【公表番号】特表2007−504350(P2007−504350A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533217(P2006−533217)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/015697
【国際公開番号】WO2004/104127
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505348418)エイチアールディー コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】