説明

ホットメルト接着剤組成物

【課題】140℃よりも低温での塗布が可能であり、かつ耐熱性、接着性、および低温接着性に優れたホットメルト接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)ガラス転移温度が−35℃以下であるエチレン系共重合体20重量%を超え40重量%未満、(B)軟化点が120℃以上である粘着付与樹脂30〜50重量%、(C)融解開始温度が60℃以上であるワックス20〜40重量%(ただし、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計量は100重量%となる量である)を主成分とする、ホットメルト接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤組成物に関する。さらに詳しくは、低温での塗布が可能であり、かつ耐熱性、接着性、および低温接着性に優れたホットメルト接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤は、溶剤を含有しない常温で固形状の接着剤であり、使用時に加熱して塗布可能な粘度まで溶融したホットメルト接着剤を被着体に塗布し、その後冷却固化することで接着する。このような使用形態のため、従来の溶剤型接着剤と比較して、溶剤により作業環境が悪化する懸念が少なく、さらには作業性、経済性に優れており、製本時の背張り、包装のための紙やプラスチックフィルムの接着、合板、建材、自動車部品、電子材料、家電などの用途で広く利用されている。
【0003】
製本や包装などの用途に使用されるホットメルト接着剤においては、塗布可能な粘度まで溶融するために、一般的に160〜180℃程度の高温で加熱する必要があり、エネルギー消費量が多い、加熱によってホットメルト接着剤が劣化する、などの問題があった。そこで、140℃程度のより低い温度領域で塗布可能なホットメルト接着剤組成物が種々検討されてきた。
【0004】
例えば、特許文献1には、エチレン系共重合体25〜50重量%、粘着付与樹脂30〜60重量%及びワックス15〜40重量%を含有するホットメルト接着剤であって、上記ワックス成分が、示差走査熱量測定における融解開始温度と終了温度範囲が65〜85℃の石油ワックスであり、かつ、ホットメルト接着剤の50℃における針入度が10〜20であることを特徴とするホットメルト接着剤が開示されている。しかし、このホットメルト接着剤は、低温塗布が可能で耐熱性を有しているものの、低温雰囲気下においてホットメルト接着剤が脆くなり、低温における接着性(以下「低温接着性」という場合がある)が悪化する問題がある。
【0005】
また、特許文献2には、メルトフローレートが50〜2,000g/10分、密度が860〜930kg/m3であるエチレン−α−オレフィン共重合体100量部に対して、粘着付与樹脂10〜200重量部と、ワックス10〜100重量部からなり、ヘイズが35%以下であるホットメルト接着剤組成物が開示されているが、常温における接着性(以下単に「接着性」という場合がある)を有しているものの、充分な低温塗布性、および耐熱性を有しているとはいえない。
【0006】
以上のように、従来、140℃程度の低温での塗布が可能であり、かつ耐熱性、接着性、および低温接着性に優れたホットメルト接着剤組成物はなく、改良が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−354940号公報
【特許文献2】特開2006−335785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、140℃よりも低温での塗布が可能であり、かつ耐熱性、接着性、および低温接着性に優れたホットメルト接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(A)ガラス転移温度が−35℃以下であるエチレン系共重合体20重量%を超え40重量%未満、(B)軟化点が120℃以上である粘着付与樹脂30〜50重量%、(C)融解開始温度が60℃以上であるワックス20〜40重量%(ただし、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計量は100重量%となる量である)を主成分とする、ホットメルト接着剤組成物である。
【0010】
ここで、本発明のホットメルト接着剤組成物の120℃における溶融粘度は、好ましくは500〜2,000mPa・sである。
また、上記(A)エチレン系共重合体としては、エチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。
さらに、(B)粘着付与樹脂としては、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、または石油系樹脂が好ましい。
さらに、(C)ワックスとしては、融解開始温度が60℃以上である、フィッシャートロプシュワックス、またはパラフィンワックスが好ましい。
さらに、本発明のホットメルト接着剤組成物は、製本、または包装の用途で使用するのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低温での塗布が可能であり、かつ耐熱性、接着性、および低温接着性に優れたホットメルト接着剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明で使用される(A)エチレン系共重合体は、エチレンと1種以上のエチレン性不飽和単量体を共重合して得られる共重合体であり、ガラス転移温度が−35℃以下であれば特に限定されない。(A)エチレン系共重合体のガラス転移温度が−35℃を超えるものは、低温接着性が悪化する場合があり好ましくない。
ここで、ガラス転移温度は、JIS K7121に準拠して示差走査熱量測定(DSC)により測定されるものである。
【0013】
エチレン性不飽和単量体としては、炭素数3〜13のα−オレフィンのほか、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸およびそのエステル類などが例示され、エチレン系共重合体としては、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびそれらのエステル類などが例示される。これらのうち、エチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。
【0014】
上記エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと1種以上の炭素数3〜13のα−オレフィンを共重合した重合体である。炭素数3〜13のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられるが、好ましくは1−オクテン、1−ヘキセンである。これらは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0015】
(A)エチレン系共重合体のメルトフローレート(MFR)については、通常は400〜2,000g/10分、好ましくは500〜1,000g/10分のものが好適に使用される。400g/10分未満であると、低温での塗布性が悪化する場合があり、一方2,000g/10分を超えると、得られるホットメルト接着剤組成物のホットメルト時の溶融粘度が低くなりすぎ耐熱性が低下して好ましくない場合がある。
(A)エチレン系共重合体のメルトフローレート(MFR)は、エチレンとα−オレフィンの共重合比率、α−オレフィンの種類などを選択することにより容易に調整することができる。
【0016】
ここで、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠し、径2.1mm、長さ8mmのオリフィスのあるシリンダ中に材料を入れ、190℃で2160gの荷重をかけて溶融材料を押し出し、3分間に流出した材料の重量を測り、これを10分間当たりのグラム数に換算して、MFRの値とするものである。すなわち、MFRの大きいものほど流動性がよいことを意味する。
【0017】
また、本発明の(A)エチレン系共重合体には、上記好ましい範囲内のエチレン系共重合体の単独または混合物以外に、凝集力や粘度などの物性を調整する目的で、好ましい範囲以外のエチレン系共重合体またはその他の相溶可能なポリマー類を混合しても良い。
【0018】
本発明における(A)エチレン系共重合体の配合量は20重量%を超え40重量%未満である。好ましくは、22〜38重量%であり、より好ましくは24〜36重量%である。配合量が20重量%以下では接着力が十分に得られない場合があり、一方40重量%以上ではセットタイムが長くなりやすく、耐熱性が低下する場合がある。
【0019】
(B)粘着付与樹脂は、軟化点が120℃以上であれば、特に限定されるものではなく、例えば、テルペン系樹脂、石油系樹脂、ロジン系樹脂等が挙げられる。接着剤の凝集力低下抑制、熱安定性、臭気、色調を考慮すると、水添された粘着付与樹脂が好ましい。これらは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
(B)粘着付与樹脂のうち、テルペン系樹脂としては、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテンなどのテルペン単量体の1種または2種以上を重合、または共重合することによって合成されるテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、およびそれらの水素添加物が挙げられる。市販品としては、ヤスハラケミカル製の商品名YSレジン、YSポリスター、クリアロンなど、アリゾナケミカル製の商品名シルバレッツ、ゾナタックなどが挙げられる。
【0021】
石油系樹脂は、主にナフサの分解で得られるCおよびC留分などを重合、または共重合した樹脂で、例えば、脂肪族系(C系)、芳香族系(C系)、両者の共重合系(C/C系)、芳香族系樹脂を水添した脂環族系等が挙げられる。
このうち、脂肪族系樹脂としては、トーネックス製の商品名エスコレッツ1000、日本ゼオン製の商品名クイントン、丸善石油化学製の商品名マルカレッツ、グッドイヤーケミカル製の商品名ウィングタックなどが市販品として容易に入手可能である。
芳香族系樹脂としては、三井化学製の商品名FTR、東邦化学工業製の商品名トーホーハイレジンなどが市販品として容易に入手可能である。
また、脂環族系樹脂としては、荒川化学工業製の商品名アルコン、トーネックス製の商品名エスコレッツ5000などが市販品として容易に入手可能である。
【0022】
ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジン、ロジングリセリンエステル、水添ロジングリセリンエステル等のロジンエステル、ロジンフェノールなどが挙げられる。市販品としては、荒川化学工業製の商品名スーパーエステル、ペンセルなどが挙げられる。
【0023】
(B)粘着付与樹脂の軟化点は、120℃以上であるが、好ましくは125〜180℃、さらに好ましくは130〜170℃である。120℃未満であるとホットメルトの耐熱性が低くなる場合がある。一方、180℃を超えると接着剤のオープンタイムが短くなり、接着性が低下する場合がある。
なお、(B)粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K5902およびJIS K2207に規定する軟化点試験方法(環球法)に基づいて測定された値として定義される。
軟化点が120℃以上の(B)粘着付与樹脂は、種々の粘着付与樹脂の中から上記に基づいて軟化点を測定して選定すればよい。
【0024】
また、本発明の(B)粘着付与樹脂には、上記好ましい範囲内の粘着付与樹脂の単独または混合物以外に、凝集力や粘度などの物性を調整する目的で、好ましい範囲以外の粘着付与樹脂を混合しても良い。
【0025】
(B)粘着付与樹脂の配合量は、30〜50重量%である。好ましくは32〜45重量%である。30重量%未満では耐熱接着性が得難く、一方50重量%より多いと接着性が低下する場合がある。
【0026】
次に、本発明で使用される(C)ワックスとしては、融解開始温度が60℃以上であれば、特に制限はないが、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、更に植物油の水添品(カスターワックスなど)などが例示される。これらは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ここで、上記融解開始温度は、JIS K7121に準拠して示差走査熱量測定(DSC)により測定されるものである。
(C)ワックスは、その融解開始温度が60℃以上であればよく、種々のワックスの中から上記に基づいて融解開始温度を測定して適宜選定すればよい。
【0027】
(C)ワックスの融解開始温度としては、60℃以上であるが、好ましくは65℃以上である。60℃未満であると耐熱性が低下したり、冷却時の固化速度が遅くなったりする場合がある。
【0028】
本発明における(C)ワックスの配合量は、20〜40重量%である。好ましくは22〜38重量%である。配合量が20重量%未満では粘度が高くなったり、セットタイムが長くなったりする場合があり、一方40重量%より多いと接着力が十分に得られない場合がある。
【0029】
本発明のホットメルト接着剤組成物の120℃における溶融粘度は、特に限定されないが、好ましくは500〜2,000mPa・s、さらに好ましくは700〜1,600mPa・sの範囲である。500mPa・s未満であると、接着剤としての凝集力が低下する場合があり、一方、2,000mPa・sを超えると、塗布性能が低下し、糸引き易くなる場合がある。
ここで、本発明のホットメルト接着剤組成物の120℃における溶融粘度は、日本接着剤工業会規格JAI−7−1999に準拠して測定された値である。
ホットメルト接着剤組成物の上記溶融粘度は、例えば上記の(A)〜(C)成分の割合を適宜選定することにより調整することができる。
【0030】
なお、本発明のホットメルト接着剤組成物は、上記(A)〜(C)成分のほかに、酸化防止剤、他の熱可塑性樹脂、エラストマー、ゴム、滑剤、アンチブロッキング剤、着色防止剤、フィラー、可塑剤、増量剤などを添加して使用してもよい。
【0031】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、公知の方法で調製することができる。例えば、1軸または2軸スクリュー押し出し機、ミキサー、ニーダー、バンバリーミキサーなどの加熱、撹拌、混練機能などを備えた装置を使用し、通常行われる操作で調製できる。各成分の混練は、組成物、使用装置などによって異なるが、通常、120〜180℃、好ましくは130〜160℃で、通常、30〜120分間、好ましくは40〜90分間行われる。
【0032】
各成分の混練により得られたホットメルト接着剤組成物は、溶融タンクから各種ポンプで圧送され、ノズルで間歇的に点またはビード状に、接着剤面に塗布される。本発明のホットメルト接着剤組成物の塗布温度は、組成物、使用装置などによって異なるが、通常、100℃〜200℃、好ましくは110℃〜150℃で行われる。
【0033】
本発明のホットメルト接着剤組成物を塗布する基材としては、例えば、紙類、木材、プラスチック成型物、プラスチックフィルムが挙げられ、中でもダンボール箱、小型カートンの接着に好適である。
【実施例】
【0034】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。また、実施例、及び比較例における物性の測定、および接着性能の評価は、以下に示す方法によって実施した。
【0035】
<120℃溶融粘度(低温塗布性)>
日本接着剤工業会規格JAI−7−1999に準拠し、ブルックフィールド社製B型粘度計デジタルレオメーターDV−II(ローターNO27)を用いて、温度120℃の条件にて溶融粘度を測定した。
評価基準
○:2,000mPa・s以下
×:2,000mPa・s超
<接着性>
下記の装置、および塗工条件で、25mm×75mmに裁断したダンボールに評価するサンプルを塗工し、試験片を作成した。次いで、両端に100gずつ荷重を掛け、23℃雰囲気内に24時間放置し、試験片をT型に折り曲げた状態で剥離速度1,000mm/分で剥離して材料破壊率を測定した。
評価基準
○:材料破壊率が70%以上である。
△:材料破壊率が50%以上70%未満である。
×:材料破壊率が50%未満である。
装置および塗工条件
装置:ホットメルトアプリケーター(JTトーシ(株)社製、タイプASM−15N)
塗工温度:120℃
基材:クラフトライナーの段ボールBフルート(220g/m2
オープンタイム:2秒
塗布量:2g/m
プレス荷重:2kg
ラインスピード:30m/分
<耐熱性>
上記接着性の評価と同様の方法で試験片5個を作成した。それぞれの試験片の両端に100gずつ荷重を掛け、55℃雰囲気内に24時間放置し、破断した試験片の個数から下記評価基準に基づいて評価した。
評価基準
○:全ての試験片が破断しなかった。
△:1〜4個の試験片が破断した。
×:全ての試験片が破断した。
<低温材料破壊率(低温接着性)>
上記接着性の評価と同様の方法で作成した試験片を使用し、−20℃にて、手で強制的に剥離して材料破壊率を測定した。
評価基準
○:材料破壊率が70〜100%である。
×:材料破壊率が70%未満である。
【0036】
実施例1
(A)エチレン系共重合体〔エチレン−α−オレフィン共重合体、ダウ・ケミカル社製:商品名AFFINITY GA1900、MFR1,000g/10分、ガラス転移温度:−55℃〕35%、(B)粘着付与樹脂〔水添テルペン樹脂、ヤスハラケミカル社製:商品名クリアロンP−135、軟化点:135℃〕35%、(C)ワックス〔フィッシャートロプシュワックス、サゾール社製:商品名サゾールH1、融点:112℃(融解開始温度:67℃)〕30%の合計量100%に対し、酸化防止剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:商品名イルガノックス1010F〕0.5%を配合し、160℃で溶融混合してホットメルト接着剤組成物を調製し、上記評価方法により、低温塗布性、耐熱性、接着性、および低温接着性を測定した。結果は表1に記載した。
【0037】
実施例2
(A)エチレン系共重合体の配合量を25%、(B)粘着付与樹脂の配合量を43%、(C)ワックスの配合量を32%に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0038】
実施例3
(A)エチレン系共重合体の配合量を30%、(B)粘着付与樹脂の配合量を40%に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0039】
実施例4
(C)ワックス30%のうちの15%を他社のパラフィンワックス〔日本精蝋社製:商品名パラフィンHNP−9、融点:75℃(融解開始温度:70℃)〕15%に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0040】
実施例5
(C)ワックス30%をすべて他社のパラフィンワックス〔日本精蝋社製:商品名パラフィンHNP−9、融点:75℃(融解開始温度:70℃)〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0041】
実施例6
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔水添テルペン樹脂、ヤスハラケミカル社製:商品名クリアロンP−125、軟化点:125℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0042】
実施例7
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔水添テルペン樹脂、ヤスハラケミカル社製:商品名クリアロンP−150、軟化点:150℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0043】
実施例8
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔芳香族変性水添テルペン樹脂、ヤスハラケミカル社製:商品名クリアロンM−125、軟化点:125℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0044】
実施例9
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔テルペンフェノール樹脂、ヤスハラケミカル社製:商品名YSポリスターT−130、軟化点:130℃〕に、(C)ワックスを他のワックス〔日本精蝋社製:商品名パラフィンHNP−9、融点:75℃(融解開始温度:70℃)〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0045】
実施例10
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔ロジン系樹脂、荒川化学工業社製:商品名スーパーエステルA−125、軟化点:125℃〕に、(C)ワックスを他のワックス〔日本精蝋社製:商品名パラフィンHNP−9、融点:75℃(融解開始温度:70℃)〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0046】
実施例11
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔石油系樹脂(脂環族系樹脂)、トーネックス社製:商品名エスコレッツ5320、軟化点:125℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0047】
実施例12
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔石油系樹脂(脂環族系樹脂)、トーネックス社製:商品名エスコレッツ5340、軟化点:137℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0048】
実施例13
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔石油系樹脂(脂環族系樹脂)、荒川化学工業社製:商品名アルコンP−125、軟化点:125℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0049】
実施例14
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔石油系樹脂(脂環族系樹脂)、荒川化学工業社製:商品名アルコンP140、軟化点:140℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0050】
実施例15
(A)エチレン系共重合体を他のエチレン系共重合体〔エチレン−α−オレフィン共重合体、ダウ・ケミカル社製:商品名AFFINITY GA1950、MFR5,000g/10分、ガラス転移温度:−53℃〕に、(C)ワックスを他のワックス〔日本精蝋社製:商品名パラフィンHNP−9、融点:75℃(融解開始温度:70℃)〕に変更した以外は、実施例3と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0051】
比較例1
(A)エチレン系共重合体の配合量を20%に変更するとともに、(B)粘着付与樹脂の配合量を45%、(C)ワックスの配合量を35%に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表2に記載した。
【0052】
比較例2
(A)エチレン系共重合体の配合量を40%に変更するとともに、(B)粘着付与樹脂の配合量を40%、(C)ワックスの配合量を20%に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表2に記載した。
【0053】
比較例3
(A)エチレン系共重合体をエチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製:商品名ウルトラセン735、MFR1,000g/10分、ガラス転移温度−25℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表2に記載した。
【0054】
比較例4
(C)ワックスの種類を変更した以外は、比較例3と同様に試験し評価した。結果は表2に記載した。
【0055】
比較例5
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔水添テルペン樹脂、ヤスハラケミカル社製:商品名クリアロンP−105、軟化点:105℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表2に記載した。
【0056】
比較例6
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔水添テルペン樹脂、ヤスハラケミカル社製:商品名クリアロンP−115、軟化点:115℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表2に記載した。
【0057】
比較例7
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔ロジン系樹脂、荒川化学工業社製:商品名ペンセルAZ、軟化点:100℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表2に記載した。
【0058】
比較例8
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔石油系樹脂(脂環族系樹脂)、トーネックス社製:商品名エスコレッツ5380、軟化点:85℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表2に記載した。
【0059】
比較例9
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔石油系樹脂(脂環族系樹脂)、トーネックス社製:商品名エスコレッツ5300、軟化点:105℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表1に記載した。
【0060】
比較例10
(B)粘着付与樹脂を他の粘着付与樹脂〔石油系樹脂(脂環族系樹脂)、荒川化学工業社製:商品名アルコンP−100、軟化点:100℃〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表2に記載した。
【0061】
比較例11
(C)ワックスを他のワックス〔パラフィンワックス、日本精蝋社製:商品名パラフィン155、融点:69℃(融解開始温度:54℃)〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表2に記載した。
【0062】
比較例12
(C)ワックスを他のワックス〔ポリエチレンワックス、三井化学社製:商品名ハイワックス110P、融点:109℃(融解開始温度:52℃)〕に変更した以外は、実施例1と同様に試験し評価した。結果は表2に記載した。
【0063】
比較例13〜14
(A)成分として表2記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体、(B)および(C)成分として表2記載のものを用いる以外は、実施例1に準じてホットメルト接着剤組成物を調製し評価した。結果を表2に示す。
(なお、比較例13は、上記特許文献1(特開2001−354940号)の実施例1に、比較例14は、同特許文献1の実施例5に相当する。)
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、140℃よりも低温での塗布が可能であり、かつ耐熱性、接着性、および低温接着性に優れており、例えば包装、製本、合板、木工などの用途に好適に使用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ガラス転移温度が−35℃以下であるエチレン系共重合体20重量%を超え40重量%未満、(B)軟化点が120℃以上である粘着付与樹脂30〜50重量%、(C)融解開始温度が60℃以上であるワックス20〜40重量%(ただし、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計量は100重量%となる量である)を主成分とする、ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
120℃における溶融粘度が500〜2,000mPa・sである請求項1記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
(A)エチレン系共重合体がエチレン−α−オレフィン共重合体である請求項1または2記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
(B)粘着付与樹脂が、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、または石油系樹脂である請求項1〜3いずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
(C)ワックスが、融解開始温度が60℃以上である、フィッシャートロプッシュワックス、またはパラフィンワックスである請求項1〜4いずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
製本、または包装用である請求項1〜5いずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。


【公開番号】特開2012−246375(P2012−246375A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118121(P2011−118121)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000117319)ヤスハラケミカル株式会社 (85)
【Fターム(参考)】