説明

ホットメルト接着部の検査方法および装置

【課題】段ボールの板厚の違い、ホットメルトの製造メーカ或いは製造ロットの違い、包装室の雰囲気温度並びに湿度等の違い、季節等の環境の違い等があっても、それらの違いに影響されにくいように、ホットメルト接着部の接着の良否判定ができるホットメルト接着部の検査方法を提供する。
【解決手段】段ボールケース10等のホットメルト7による接着部から放射される熱エネルギーを赤外線カメラ2により受光し、赤外線カメラ2の画像信号を画像処理装置3に取り込んで前記接着部の接着の良否を判定する検査方法において、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、1箇所の位置を基準位置とし、残りの位置の画像と前記基準位置の画像との相対的な割合の値が、画像処理装置3に予め設定しておいた値になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を判定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールケース等のホットメルト接着糊(以下ホットメルトと称する)による接着部から放射される熱エネルギーを赤外線カメラにより受光し、該赤外線カメラの画像信号を画像処理装置に取り込んで前記接着部の接着の良否を判定する検査方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボールケース等のホットメルトによる接着部から放射される熱エネルギーを赤外線カメラにより受光し、該赤外線カメラの画像信号を画像処理装置に取り込んで前記接着部の接着の良否を判定する検査装置が提案されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−20243号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1によれば、ホットメルトによる接着部を有する測定物から放射される熱エネルギーを赤外線カメラにより受光し、該赤外線カメラの画像信号を画像処理手段に取り込んで、前記接着部の接着状況を判別するとしている。
しかしながら、前記特許文献1の技術では、1個の段ボールケース等の被測定物の接着部の複数箇所からの熱画像を、高温部と低温部に2値化処理して高温部の面積等の大きさで接着部の良否を判断しており、段ボールの板厚の違いによる内面から外面への熱伝導率の変化や、ホットメルトの製造メーカ或いは製造ロットの違い等による熱伝導率の変化、包装室の雰囲気温度並びに湿度等の変化に影響されて、前記複数箇所においてホットメルト量が同じでも熱画像が大きく変化するという恐れがある。また、段ボールケースで梱包する段ボールケーサが、上流から流れてくるパッケージ製品の搬送量によって速度を変化させることがあり、低速になるとホットメルト噴射ノズルから噴射されるホットメルトの量が多くなってしまい、逆に高速になると少なくなってしまうため、画像上正常な面積であったとしてもホットメルトの量が正常であるかどうかの判断が難しいという恐れがある。さらに、例えば冬季に設定した条件で夏季に動作させると、検出できる画像が大きく異なってしまい、不良品を判定できないという恐れ、或いは、正常品を不良と判定してしまうという恐れがある。
即ち、前記熱画像を相対的でなく、高温、低温という絶対的観点で分析、処理しているので、前記複数箇所においてホットメルト量が同じでも画像が大きく変化して、ホットメルト接着部の接着の良否判定が狂ってしまうという恐れがある。
【0005】
本発明は、段ボールの板厚の違い、ホットメルトの製造メーカ或いは製造ロットの違い、包装室の雰囲気温度並びに湿度等の違い、季節等の環境の違い等があっても、それらの違いに影響されにくいように、ホットメルト接着部の接着の良否判定ができるホットメルト接着部の検査方法および装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題に対し、本発明は以下の手段により解決を図る。
(1)第1の手段のホットメルト接着部の検査方法は、段ボールケース等のホットメルトによる接着部から放射される熱エネルギーを赤外線カメラにより受光し、該赤外線カメラの画像信号を画像処理装置に取り込んで前記接着部の接着の良否を判定する検査方法において、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、1箇所の位置を基準位置とし、残りの位置の画像と前記基準位置の画像との相対的な割合の値が、前記画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を判定することを特徴とする。
(2)第2の手段のホットメルト接着部の検査方法は、前記第1の手段のホットメルト接着部の検査方法において、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、2箇所以上の位置を基準位置とし、その内の1箇所の基準位置の画像と該基準位置が属する位置群の残りの位置の画像との対比を、前記基準位置を変えて行い、それぞれの基準位置に対して該基準位置が属する位置群の残りの位置の画像と該基準位置の画像との相対的な割合の値が、それぞれに前記画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を2箇所以上の接着部について同時に判定することを特徴とする。
【0007】
(3)第3の手段のホットメルト接着部の検査方法は、前記第1および第2の手段のホットメルト接合部の検査方法において、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、前記基準位置を順次切替えて、その基準位置に対して残りの位置の画像と該基準位置の画像との相対的な割合の値が、前記画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかを、前記順次切替えた基準位置の場合で判定し、該判定の全ての場合或いは一部の場合を総合判定して、前記接着部の接着の良否を判定することを特徴とする。
(4)第4の手段のホットメルト接着部の検査方法は、前記第1から第3の手段のホットメルト接着部の検査方法において、前記画像処理装置に、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の各位置の画像に補正係数を乗じるように予め設定しておくことを特徴とする。
(5)第5の手段のホットメルト接着部の検査方法は、前記第1から第4の手段のホットメルト接着部の検査方法において、前記画像処理装置に、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の各位置の画像の合格点最低値を予め設定しておくようにしたことを特徴とする。
【0008】
(6)第6の手段のホットメルト接着部の検査装置は、段ボールケース等のホットメルトによる接着部から放射される熱エネルギーを受光する赤外線カメラと、該赤外線カメラの画像信号を取り込んで前記ホットメルトによる接着部の接着の良否を判定する画像処理装置を備えたホットメルト接着部の検査装置において、前記画像処理装置を、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、1箇所の位置を基準位置とし、残りの位置の画像と前記基準位置の画像との相対的な割合の値が、該画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を判定する画像処理装置としたことを特徴とする。
(7)第7の手段のホットメルト接着部の検査装置は、前記第6の手段のホットメルト接着部の検査装置において、前記画像処理装置を、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、2箇所以上の位置を基準位置とし、その内の1箇所の基準位置の画像と該基準位置が属する位置群の残りの位置の画像との対比を、前記基準位置を変えて行い、それぞれの基準位置に対して該基準位置が属する位置群の残りの位置の画像と該基準位置の画像との相対的な割合の値が、それぞれに前記画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を2箇所以上の接着部で同時に判定する画像処理装置としたことを特徴とする。
【0009】
(8)第8の手段のホットメルト接着部の検査装置は、前記第6および第7の手段のホットメルト接着部の検査装置において、前記画像処理装置を、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、前記基準位置を順次切替えて、その基準位置に対して残りの位置の画像と該基準位置の画像との相対的な割合の値が、前記画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかを、前記順次切替えた基準位置の場合で判定し、該判定の全ての場合或いは一部の場合を総合判定して、前記接着部の接着の良否を判定する画像処理装置としたことを特徴とする。
(9)第9の手段のホットメルト接着部の検査装置は、前記第6から第8の手段のホットメルト接着部の検査装置において、前記画像処理装置を、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の各位置の画像に補正係数を乗じるように予め設定しておく画像処理装置としたことを特徴とする。
(10)第10の手段のホットメルト接着部の検査装置は、前記第6から第9の手段のホットメルト接着部の検査装置において、前記画像処理装置を、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の各位置の画像の合格点最低値を予め設定しておく画像処理装置としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1および6に係わる本発明は、段ボールケース等のホットメルトによる接着部から放射される熱エネルギーを赤外線カメラにより受光し、該赤外線カメラの画像信号を画像処理装置に取り込んで前記接着部の接着の良否を判定する検査方法および装置において、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、1箇所の位置を基準位置とし、残りの位置の画像と前記基準位置の画像との相対的な割合の値が、前記画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を判定するようにした検査方法および装置としたことにより、ホットメルトの塗布部の面積が大きく見えても、小さく見えても相対評価の判定となるために、段ボールの板厚の違い、ホットメルトの製造メーカ或いは製造ロットの違い、包装室の雰囲気温度並びに湿度等の違い、季節等の環境の違い等があっても、それらの違いに影響されにくいように、ホットメルト接着部の接着状態の検査ができるという効果を有する。
【0011】
請求項2および7に係わる本発明は、請求項1および請求項6に記載するホットメルト接着部の検査方法および装置において、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、2箇所以上の位置を基準位置とし、その内の1箇所の基準位置の画像と該基準位置が属する位置群の残りの位置の画像との対比を、前記基準位置を変えて行い、それぞれの基準位置に対して該基準位置が属する位置群の残りの位置の画像と該基準位置の画像との相対的な割合の値が、それぞれに前記画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を2箇所以上の接着部について同時に判定するようにした検査方法および装置としたことにより、段ボールケースの側面の接着部の接着の良否を判定する検査、および、段ボールケースの天面の接着部の接着の良否を判定する検査といった接着部が異なる複数箇所の検査を同時に実施でき、また、検査精度を向上させることができるという効果を有する。
【0012】
請求項3および8に係わる本発明は、請求項1と2および6と7に記載するホットメルト接着部の検査方法および装置において、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、前記基準位置を順次切替えて、その基準位置に対して残りの位置の画像と該基準位置の画像との相対的な割合の値が、前記画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかを、前記順次切替えた基準位置の場合で判定し、該判定の全ての場合或いは一部の場合を総合判定して、前記接着部の接着の良否を判定するようにした検査方法および装置としたことにより、基準位置が1箇所のみによる判定の場合よりもホットメルト接着部の検査精度を向上させることができるという効果を有する。
【0013】
請求項4および9に係わる本発明は、請求項1から3および請求項6から8に記載するホットメルト接着部の検査方法および装置において、前記画像処理装置に、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の各位置の画像に補正係数を乗じるように予め設定しておく検査方法および装置としたことにより、赤外線カメラで熱画像を取り込む際、該赤外線カメラの中心と段ボールケースの被測定面の中心がずれていて、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置からの受光赤外線量に偏りがあっても、合理的に接着部の接着の良否を判定することができ、かつ、検査精度を向上させることができるという効果を有する。
【0014】
請求項5および10に係わる本発明は、請求項1から4および請求項6から9に記載するホットメルト接着部の検査方法および装置において、前記画像処理装置に、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の各位置の画像の合格点最低値を予め設定しておくようにしたことにより、全くホットメルトが塗布されていないような画像となった場合等には不合格と判断することができて、基準位置の画像との相対的な割合による接着部の接着の良否をさらに合理的にすることができ、かつ、検査精度を向上させることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係わるホットメルト接着部の検査装置を有する段ボールケーサの平面図である。
【図2】図1のA−A視図である。
【図3】ホットメルト接着部の接着状態を説明する図である。
【図4】段ボールケースの天面と側面にホットメルト接着部を有する場合を説明する図で、斜視図としてある。
【図5】赤外線カメラの中心と段ボールケースの中心がずれた場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
(発明を実施するための形態)
本発明の第1の実施の形態を図1、図2および図3に基づいて説明する。
図1は、本発明に係わるホットメルト接着部の検査装置を有する段ボールケーサの平面図である。
図2は、図1のA−A視図である。
図3は、ホットメルト接着部の接着状態を説明する図である。
【0018】
図において、段ボールケーサ5は、図示しないパッケージ製品をラップアラウンドしつつ段ボールケース10を矢印Fの方向へ搬送する搬送装置12、段ボールケース10のフラップ10aが図示のように開かれた状態で、図示のように既に折り込まれているフラップ10fおよびフラップ10gにホットメルト接着糊(以下ホットメルトと称する)7を噴射する噴射ノズル8、搬送装置12による段ボールケース10の搬送に伴ってフラップ10aをその捩れ形状により折り込んで前記フラップ10fおよびフラップ10gに接着させるガイド9、前記ホットメルト7による接着部の接着状態を検査するホットメルト接着部の検査装置1から構成されている。
【0019】
該ホットメルト接着部の検査装置1は、噴射ノズル8によって噴射されたホットメルト7の塗布位置7a(ここでは複数の塗布位置を総称して7aと称する。以下同じ。)から放射される熱エネルギー(ここでは赤外線とも称する。)を受光する赤外線カメラ2、該赤外線カメラ2の熱画像信号を取り込んで前記接着部の接着の良否を判定する画像処理装置3、前記段ボールケース10の存在を検出して検出信号を画像処理装置3に送り込む検出器4、前記赤外線カメラ2と前記画像処理装置3を結ぶ信号線6、および、前記検出器4と前記画像処理装置3を結ぶ信号線6aから構成されている。
なお、前記赤外線カメラ2は、熱画像を取り込む際に該赤外線カメラ2の中心C0と段ボールケース10の被測定面の中心C1が同じ位置になるように配置してあり、また、前記赤外線の受光が被測定物である段ボールケース10の対象とする面全体をカバーできるように、赤外線受光の角度αが設定されている。
【0020】
次に、第1の実施の形態に係わるホットメルト接着部の検査装置1の作用を説明する。
被測定物である段ボールケース10は、フラップ10fおよびフラップ10gに噴射されたホットメルト7が加熱されているので、フラップ10fおよびフラップ10gに折り込んで接着されたフラップ10aの表面まで熱伝導されることにより塗布位置7aの部分が周囲よりも高温であり、ここから放射される熱エネルギーを、前記赤外線カメラ2が所定の周期での走査により前記段ボールケース10の塗布位置7aから受光し、熱画像信号を前記画像処理装置3へ出力する。
【0021】
前記画像処理装置3は、前記検出器4による段ボールケース10の検出信号と同期した前記赤外線カメラ2からの前記熱画像信号をもとに、塗布位置7aからの熱エネルギーの大小を分析処理して、接着の大きさ、接着の配置の基準点からの相違量等が予め設定された値になっているかどうかで前記接着部の接着状態の良否を判定する。なお、接着の大きさは接着の長さとしてもよく、接着の面積としてもよい。
前記画像処理装置3に予め設定される値は、前記接着部の温度分布の許容範囲、最高温度および最低温度、平均温度、或いは、閾値を用いて高温部と低温部を2値化処理した高温部の面積、ホットメルトの塗布位置等が取り上げられるが、計算或いは実験または経験により求められた段ボールケース10のホットメルトによる接着強度等を基に定められる。
【0022】
ここで、ホットメルト接着部の接着状態と接着の良否判定(以下合否判定と称することがある。)について、図3を基に説明すると、図3(a)は、複数の塗布位置7aの各々の位置7a1から位置7a4(以下単に7a1、7a2、7a3、7a4と称する)の4箇所において、接着の大きさ、配置が所定の基準値通りとなっている状態を示している。即ち、接着の大きさ(ここでは説明の便宜上長手方向の大きさのみを対象とする。)は4箇所ともYとなっており、接着の配置は、図示のように、7a1と7a3の先頭位置がそれぞれy1およびy2から内側へS、x1から内側へLとなっており、7a2と7a4の後端位置が、y1およびy2から内側へS、x2から内側へLとなっている状態を示している。
【0023】
なお、本実施の形態では、前記赤外線カメラ2が熱画像を取り込む際に該赤外線カメラ2の中心C0と段ボールケース10の被測定面の中心C1が同じ位置になるように配置されているので、前記7a1、7a2、7a3、7a4から放射される熱エネルギーは、4箇所が均等の状態で前記赤外線カメラ2により受光される。
【0024】
次に、図3(b)は、7a1から7a4の4箇所の内、7a1と7a2が接着の大きさおよび接着の配置が図3(a)と同じ状態で、7a3が、接着の大きさはYs=0.7Yで、接着の配置は先頭位置がy1から内側へS、x1から内側へLs=0.7Lとなっていて、7a4が、接着の大きさはYb=1.3Yで、接着の配置は後端位置がy1から内側へS、x2から内側へLとなっている状態を示している。
【0025】
また、図3(c)は、7a1が接着の大きさと接着の配置は図3(a)と同じ状態で、7a2が接着の大きさは0、即ちホットメルト無しの状態で、7a3が、接着の大きさはYで、接着の配置は先頭位置がy1から内側へSb=1.3S、x1から内側へLb=1.3Lとなっており、7a4が接着の大きさはYb=1.3Yで、接着の配置は後端位置がy1から内側へSb=1.3S,x2から内側へLb=1.3Lとなっている状態を示している。
【0026】
さらに、図3(d)は、7a1が接着の大きさはYss=0.5Yで、接着の配置はLbb=2Lとなっていて、7a2から7a4が3箇所とも接着の大きさおよび接着の配置は図3(a)と同じとなっている状態を示している。
【0027】
前記画像処理装置3は、塗布位置4箇所の内の1箇所の7a1を基準とした場合、7a1の画像信号と、残りの3箇所7a2、7a3、7a4の画像信号を比較して、その比較値が設定された範囲内であれば、ホットメルト接着部の接着状態は合格と判定される。
ここでは、画像信号の比較は、接着の大きさと配置であり、大きさについては基準位置の7a1の大きさYに対して、7a2、7a3、7a4の大きさが0.7Yから1.3Yの範囲であれば大きさは合格、接着の配置については基準位置の7a1のS、Lに対して、7a2、7a3、7a4がそれぞれ0.7Sから1.3Sの範囲、および、0.7Lから1.3Lの範囲であれば接着の配置は合格とするように設定されており、接着の大きさと配置の両者が合格の場合にホットメルト接着部の接着状態は合格と判定される設定となっている。
【0028】
したがって、上記説明のような設定の場合、図3(a)はもちろん合格であるが、図3(b)のホットメルト接着部の接着状態は合格、図3(c)は7a2の画像が無いためにホットメルト接着部の接着状態は不合格と判定される。
また、図3(d)は、接着の大きさが、基準位置である7a1がY=0.5Yであり、7a2から7a4の3箇所がYであるので、7a2から7a4の大きさと基準位置7a1の大きさとの割合が2.0であり、接着の配置が、基準位置である7a1がy2からS、x1からLbb=2Lであり、7a2、7a3、7a4がそれぞれy2からはSとx2からL、y1からはSとx1からL、y1からはSとx2からLであるので、7a2、7a3、7a4の配置と基準位置7a1の配置との割合が、何れもSについては1.0であるが、Lについては0.5となり、7a2から7a4の合否判定は接着の大きさからも接着の配置からも不合格となる。
図3(d)の場合、本来なら7a2から7a4は接着の大きさ、接着の配置とも正常で、7a1が接着の大きさ、接着の配置とも異常であるにも拘わらず、上記説明のような設定のため、合否判定が不合格となっている。7a1は本来不合格の内容であるので、基準位置7a1と残りの位置との相対的な割合の値による合否判定が当を得ているものである。
【0029】
上記説明では、接着部の接着状態の合否判定の設定を、一例として接着の大きさが上記説明の基準位置の大きさに対して0.7Yから1.3Yの範囲内、接着の配置が上記説明の基準位置の配置に対して0.7Sから1.3Sの範囲内および0.7Lから1.3Lの範囲内とした場合を示したが、これに限定するものではないことはもちろんである。
【0030】
なお、上記説明では、7a1を基準位置として判定する場合を示したが、これに代えて7a2、7a3或いは7a4の何れかを基準位置とすることもできる。この場合、上記図3(d)は7a2から7a4の何れかを基準位置とすることで、7a1が不合格の判定となり、これによっても図3(d)は不合格となる。
また、基準位置は予め決めておいてもよく、任意に決めるとしてもよい。
【0031】
上記説明のように、ホットメルト接着部の接着状態の検査を、塗布位置4箇所の内の何れか1箇所を基準位置としてその画像信号とその残りの位置の画像信号の相対比較による判定としているため、ホットメルトの塗布部の面積が大きく見えても、小さく見えても合理的に接着状態の合否判定をすることができ、さらに、段ボールの板厚の違い、ホットメルトの製造メーカ或いは製造ロットの違い、包装室の雰囲気温度並びに湿度等の違い、季節等の環境の違いがあっても、それらの違いにより影響されにくいように、合理的に接着状態の合否判定をすることができる。
【0032】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を図4によって説明する。
図4は、段ボールケースの天面と側面にホットメルト接着部を有する場合を説明する図で、斜視図としてある。
図4において、第1の実施の形態と同じ構造のものは同じ記号を記してあり、重複する説明は省略する。
【0033】
図において、第2の実施の形態に係わるホットメルト接着部の検査装置21は、赤外線カメラ2、画像処理装置23、図示しない検出器(図1の検出器4と同じもの。以下本項において同じ。)、前記赤外線カメラ2と前記画像処理装置23を結ぶ信号線26、および、前記図示しない検出器と前記画像処理装置23を結ぶ信号線26aから構成されている。
なお、前記赤外線カメラ2は、熱画像を取り込む際に該赤外線カメラ2の中心と段ボールケース10pの搬送方向の中心が同じ位置になるように配置してあり、また、前記赤外線の受光が被測定物である段ボールケース10pの側面10bと天面10cの両方のホットメルト接着部から放射される熱エネルギーを受光できるように、図示のように、側面10bと天面10cに対して斜め上方から、側面10bと天面10cの両方の全面をカバーできるように赤外線受光の角度βが設定されている。
【0034】
図において、段ボールケース10pは、側面10bが矢印Bの方向へ折り込まれて、既に折り込まれている図示しないフラップに、ホットメルト塗布位置7b1、7b2、7b3、7b4のホットメルト7により接着され、天面10cが矢印Cの方向へ折り込まれ、既に折り込まれている図示しないフラップに、ホットメルト塗布位置7b5、7b6、7b7、7b8のホットメルト7により接着されている。
なお、ここでは、前記フラップ折り込みの構造等については第1の実施の形態の場合と類似しており、説明を省略する。
また、各ホットメルト塗布位置での接着の大きさおよび接着の配置については、前述の図3での説明と類似するので、詳細な説明は省略する。
【0035】
前記画像処理装置23は、複数のホットメルト塗布位置の内で7b1を基準位置として、残りの位置7b2、7b3、7b4の画像と基準位置7b1の画像との相対的な割合の値が前記画像処理装置23に予め設定された値になっているかどうかで、前記側面10bの接着部の接着の良否を判定するとともに、同時に、7b5を基準位置として、残りの位置7b6、7b7、7b8の画像と基準位置7b5の画像との相対的な割合の値が前記画像処理装置23に予め設定された値になっているかどうかで、前記天面10cの接着部の接着の良否を判定するように設定されている。
【0036】
次に、第2の実施の形態に係わるホットメルト接着部の検査装置21の作用を説明する。
ここでは、説明の便宜上、画像は接着の大きさのみを取り上げることとする。
また、図において、7b2、7b3、7b4の接着の大きさは基準位置7b1の接着の大きさと同じとしてあり、7b6、7b7の接着の大きさは基準位置7b5の接着の大きさと同じとし、7b8の接着の大きさは基準位置7b5の接着の大きさの1.3倍としてある。
【0037】
前記画像処理装置23が、それぞれ7b2、7b3、7b4の接着の大きさと基準位置7b1の接着の大きさとの相対的な割合の値を比較し、また、7b6、7b7、7b8の接着の大きさと基準位置7b5の接着の大きさとの相対的な割合の値を比較して、その割合の値が0.7から1.3の範囲内であれば、ホットメルト接着部の接着状態は合格と判定されるように予め設定されており、ホットメルト接着部の接着状態は、段ボールケース10pの側面10bおよび天面10cともに合格と判定される。
【0038】
このように、複数(ここでは8箇所)のホットメルト塗布位置の内、2箇所以上の位置(ここでは2箇所とし、7b1および7b5を選定する。)を基準位置として、その内の1箇所の基準位置7b1の画像と残りの7b2、7b3、7b4の画像の対比をし、同時に、基準位置を7b1から7b5に変えて、基準位置7b5の画像と残りの7b6、7b7、7b8の画像の対比を行い、それぞれの基準位置7b1および7b5に対して前記残りの位置の画像と基準位置の画像との相対的な割合の値が、それぞれに前記画像処理装置23に予め設定された値になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を判定するようにしたことにより、段ボールケース10pの側面10bおよび天面10cの両面のホットメルト接着部の接着の良否の判定を同時に検査できる。
【0039】
なお、上記説明では、側面10bの基準位置を7b1に選定したが、これに限定するものではなく、7b2、7b3或いは7b4を選定してもよく、また、天面10cの基準位置を7b5に選定したが、これに限定するものではなく、7b6、7b7或いは7b8を選定してもよいことはもちろんである。
【0040】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を、図1、図2および図3を利用して説明する。
ここで、図1において、第3の実施の形態に係わるものは、記号に( )表示がしてある。また、第1の実施の形態と同じ構造のものは同じ記号を記してあり、詳細な説明は省略する。
図において、第3の実施の形態に係わるホットメルト接着部の検査装置41は、赤外線カメラ2、画像処理装置43、検出器4、前記赤外線カメラ2と前記画像処理装置43を結ぶ信号線46、および、前記検出器4と前記画像処理装置43を結ぶ信号線46aから構成されている。
【0041】
前記画像処理装置43は、7a1を基準位置としてその残りの位置の画像と基準位置7a1の画像との相対的な割合で判定した後、瞬時に7a2を基準位置としてその残りの位置の画像と基準位置7a2の画像との相対的な割合で判定をし、続いて、7a3を基準位置としてその残りの位置の画像と基準位置7a3の画像との相対的な割合で判定をし、引続いて、7a4を基準位置としてその残りの位置の画像と基準位置7a4の画像との相対的な割合で判定をして、全てが合格であればホットメルト接着部の接着状態は合格と判定するように設定されている。
【0042】
次に、第3の実施の形態に係わるホットメルト接着部の検査装置41の作用を説明する。
7a1、7a2、7a3、7a4の内、1箇所の7a1を基準位置とし、7a2、7a3、7a4の画像と基準位置7a1の画像との相対的な割合が、前記画像処理装置43に予め設定しておいた値になっているかどうかの判定をした後、基準位置を7a1から7a2に、次いで7a3に、さらに7a4へと順次変えて、それぞれ7a1、7a3、7a4の画像と基準位置7a2の画像との相対的な割合、7a1、7a2、7a4の画像と基準位置7a3の画像との相対的な割合、7a1、7a2、7a3の画像と基準位置7a4の画像との相対的な割合が、それぞれ前記画像処理装置43に予め設定しておいた値になっているかどうかの判定をして、これらの判定の全てが合格であれば、前記接着部の接着の状態は合格と判定される。
【0043】
上記説明では、前記4箇所の基準位置の場合での判定の全て(ここでは4つ)が合格であれば、前記接着部の接着の状態は合格と判定される場合を説明したが、前記4箇所の基準位置の場合での判定の全て(ここでは4つ)ではなく、一部(2つ或いは3つ)が合格であれば、前記接着部の接着の状態は合格と判定されるように予め設定しておくこともできる。
このように、基準位置を順次切替えて判定するホットメルト接着部の検査装置41による検査方法によれば、基準位置が1箇所による判定の場合よりもホットメルト接着部の接着状態の検査精度は向上する。
【0044】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態を図5によって説明する。なお、一部図3を利用して説明する。
図5は、赤外線カメラの中心と段ボールケースの中心がずれた場合を説明する図である。
図5において、第1および第2の実施の形態と同じ構造のものは同じ記号を記してあり、重複する説明は省略する。
【0045】
図において、第4の実施の形態に係わるホットメルト接着部の検査装置31は、赤外線カメラ2、画像処理装置33、検出器4、前記赤外線カメラ2と前記画像処理装置33を結ぶ信号線36、および、前記検出器4と前記画像処理装置33を結ぶ信号線36aから構成されている。
前記赤外線カメラ2は、熱画像を取り込む際に、該赤外線カメラ2の中心C0と段ボールケース10の被測定面の中心C1が、段ボールケース10の高さ方向に対しては同じ中心位置になっているが、段ボールケース10の搬送方向に対しては図示のようにずれた配置となっている。この場合、前記赤外線の受光が被測定物である段ボールケース10の接着部を有する面の全体をカバーできるように、赤外線受光の角度γが設定されている。
【0046】
なお、上記説明では、説明の便宜上、熱画像を取り込む際に、前記赤外線カメラ2の中心C0が、段ボールケース10の被測定面の中心C1と、段ボールケース10の高さ方向に対しては同じ中心の配置になっており、段ボールケース10の搬送方向に対しては図示のようにずれた配置となっている場合を説明したが、段ボールケース10の高さ方向に対してずれた配置となっている場合も同様であり、重複する説明は省略する。
【0047】
前記画像処理装置33は、前記接着部の複数の塗布位置(図3を利用する。図3では4箇所)の内、1箇所の位置を基準位置とし、残りの位置の画像と該基準位置の画像との相対的な割合の値が、該画像処理装置33に予め設定しておいた値になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を判定するようになっているが、4箇所の画像に補正係数を乗じる演算が設定されている。
【0048】
次に、第4の実施の形態に係わるホットメルト接着部の検査装置31の作用を説明する。
本実施の形態の場合は、前記赤外線カメラ2は、熱画像を取り込む際に、該赤外線カメラ2の中心C0と段ボールケース10の被測定面の中心C1が、段ボールケース10の高さ方向に対しては同じ中心位置になっているが、段ボールケース10の搬送方向に対してはずれた位置となっているため、7a1および7a3の画像と7a2および7a4の画像は、接着の大きさが同じ場合でも赤外線受光の強さが異なり、7a2および7a4の画像は7a1および7a3の画像より赤外線受光量が少ない状態となる。ここでは、7a1および7a3の赤外線受光量を1.0として、7a2および7a4の赤外線受光量は7a1および7a3の赤外線受光量の0.9倍として説明する。
【0049】
ここで、前記画像処理装置33は、7a2および7a4の画像に補正係数0.9分の1を乗じて、7a1から7a4の画像としての接着の大きさを同じレベルで対比できるように演算が設定されており、7a3を基準位置とすると、7a1、7a2および7a4の接着の大きさと基準位置7a3の接着の大きさとの相対的な割合を適正に補正して、ホットメルト接着部の接着状態の合否判定をするようになっている。
【0050】
このように、前記画像処理装置33は、7a1から7a4に補正係数が乗じられた状態で、7a1、7a2および7a4の画像と基準位置7a3の画像との相対的な割合の値が、該画像処理装置33に予め設定しておいた値0.7から1.3の範囲内になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を判定するように設定されており、前記赤外線カメラ2が、熱画像を取り込む際に該赤外線カメラ2の中心C0と段ボールケース10の被測定面の中心C1が、段ボールケース10の搬送方向に対してずれた位置となっていても、適正に前記接着部の接着の良否を判定することができる。
【0051】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態を、図4を利用して説明する。
ここで、図4において、第5の実施の形態に係わるものは、記号に[ ]表示がしてある。また、第1から第4の実施の形態と同じ構造のものは同じ記号を記してあり、詳細な説明は省略する。
図において、第5の実施の形態に係わるホットメルト接着部の検査装置51は、赤外線カメラ2、画像処理装置53、図示しない検出器(図1の検出器4と同じもの。以下本項において同じ。)、前記赤外線カメラ2と前記画像処理装置53を結ぶ信号線56、および、前記図示しない検出器と前記画像処理装置53を結ぶ信号線56aから構成されている。
【0052】
なお、前記赤外線カメラ2は、前記第4の実施の形態の場合と同様に、熱画像を取り込む際に、該赤外線カメラ2の中心と段ボールケース10pの搬送方向に対して直角方向の中心がずれた配置になっており、また、前記赤外線の受光が被測定物である段ボールケース10pの側面10bと天面10cの両方のホットメルト接着部から放射される赤外線を受光できるように、図示のように、側面10bと天面10cに対して斜め上方から、側面10bと天面10cの両方の全面をカバーできるように赤外線受光の角度δが設定されている。
【0053】
前記画像処理装置53は、7b2、7b3、7b4の画像の大きさと基準位置7b1の画像の大きさとの相対的な割合の値を比較して、その比較値が予め定められた範囲内であれば、側面10bのホットメルト接着部の接着状態は合格と判定され、7b6、7b7、7b8の画像の大きさと基準位置7b5の画像の大きさとの相対的な割合の値を比較して、その比較値が予め定められた範囲内であれば、天面10cのホットメルト接着部の接着状態は合格と判定されるように、予め設定されているが、7b1から7b8の画像に補正係数を乗じる演算が設定されている。
【0054】
次に、第5の実施の形態に係わるホットメルト接着部の検査装置51の作用を説明する。
ここでは、説明の便宜上、画像は接着の大きさのみを取り上げることとする。
また、図では、7b1から7b8の接着の大きさは、第2の実施の形態の場合と同じとしてある。
【0055】
熱画像を取り込む際に、赤外線カメラ2の中心が段ボールケース10pの搬送方向に対して直角方向の中心からずれた位置になっているため、段ボールケース10pの側面10bと天面10cの各塗布位置において同じ接着の大きさでも受光する熱エネルギーが異なる。
したがって、側面10bの7b1から7b4について見ると、7b1から7b4の接着の大きさは実際には同じであっても、赤外線カメラ2により受光する7b1から7b4の熱エネルギーは受光角度に差があるために異なることになり、7b1から7b4の画像としての接着の大きさは全て同じと見做すことができない。
【0056】
ここで、前記画像処理装置53は、第4の実施の形態の場合と同様に、側面10bの7b1から7b4の画像に補正係数を乗じて、7b1から7b4の画像としての接着の大きさを同じレベルで対比できるように演算が設定されており、7b2、7b3および7b4の接着の大きさと基準位置7b1の接着の大きさとの相対的な割合を適正にして、ホットメルト接着部の接着状態の合否判定をするようになっている。
なお、天面10cについても同様の演算が設定されており、詳細な説明は省略する。
【0057】
上記第4の実施の形態および第5の実施の形態のように、補正係数を乗じる演算は、前記赤外線カメラ2により熱エネルギーを受光する受光角度の違いの補正の場合のみならず、段ボールケーサ5の周囲環境の内、例えば風により前記7b1と7b2が冷却されやすい状態の時のような環境の違いを補正する場合等に応用することができ、前記第1から第3の実施の形態の全てに応用することができる。
【0058】
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態を図1、図2および図3を利用して説明する。
ここで、図1において、第6の実施の形態に係わるものは、記号に[ ]表示がしてある。また、第1の実施の形態と同じ構造のものは同じ記号を記してあり、詳細な説明は省略する。
図において、第6の実施の形態に係わるホットメルト接着部の検査装置61は、赤外線カメラ2、画像処理装置63、検出器4、前記赤外線カメラ2と前記画像処理装置63を結ぶ信号線66、および、前記検出器4と前記画像処理装置63を結ぶ信号線66aから構成されている。
【0059】
前記画像処理装置63は、一つは7a1を基準位置としてその残りの位置の画像と基準位置7a1の画像との相対的な割合で判定をして、全てが合格であればホットメルト接着部の接着状態は合格と判定されるように設定されており、もう一つは基準位置7a1の画像の合格点最低値が設定されている。
【0060】
次に、第6のホットメルト接着部の検査装置61の作用を説明する。
ここでは、図3を利用して説明し、7a1を基準位置とする。
図3(a)では、7a2、7a3および7a4の接着の大きさ(本項では、説明の都合上画像は接着の大きさのみを取り上げる。以下同じ。)と基準位置7a1の接着の大きさとの相対的な割合の値が共に1.0であり、図3(b)では、7a2、7a3、7a4の接着の大きさと基準位置7a1の接着の大きさとの相対的な割合の値がそれぞれ1.0、0.7、1.3である。
【0061】
図3(c)では、7a2、7a3、7a4の接着の大きさと基準位置7a1の接着の大きさとの相対的な割合の値がそれぞれ1.0、0、1.3である。
図3(d)では、7a2、7a3、7a4の接着の大きさと基準位置7a1の接着の大きさとの相対的な割合の値がそれぞれ2.0、2.0、2.0である。
【0062】
前記画像処理装置63は、接着の大きさについて、一つは基準位置の7a1の大きさに対して、7a2、7a3、7a4の大きさが0.7Yから1.3Yの範囲であれば、ホットメルト接着部の接着状態は合格とするように設定されており、図3(a)、図3(b)の場合はホットメルト接着部の接着状態は合格と判定され、図3(c)、図3(d)の場合はホットメルト接着部の接着状態は不合格と判定されるが、もう一つは基準位置7a1の接着の大きさが0.6以下の場合はホットメルト接着部の接着状態は不合格と判定されるように設定されているので、図3(d)の場合は、この点からもホットメルト接着部の接着状態は不合格と判定される。
【0063】
なお、上記説明では、7a1を基準位置とした場合について説明したが、7a1の代わりに7a2、7a3或いは7a4を基準位置としてもよい。
また、上記説明では、基準位置7a1の画像に合格点最低値を設定する場合を説明したが、7a1から7a4の画像の全て或いは一部に合格点最低値を設定することとしてもよい。
【0064】
上記説明のように、上記ホットメルト接着部の検査方法および装置は、ホットメルト接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、1箇所の位置を基準位置とし、残りの位置の画像と前記基準位置の画像との相対的な割合の値を基に、接着の良否を判定するものであるため、全てのホットメルト塗布位置が同じ比率でホットメルト接着の量が減った場合や、同じ比率で位置がずれた場合には、合格と判断してしまうことがあるが、実際の段ボールケーサの複数のホットメルト噴射ノズルが同じ比率で異常が発生する確率は極めて低いものである。
【0065】
仮に、複数のホットメルト噴射ノズルが同じ比率で異常が発生する場合があったとしても、前記の同じ比率でホットメルト接着の量が減った場合や、同じ比率で位置がずれた場合が発生する可能性としては、ホットメルト装置の故障、電源の入れ忘れ等により、全くホットメルトを塗布しない現象等が考えられ、この点については、前記画像処理装置63に基準位置の画像の大きさ等の合格点最低値を条件として入れておくことにより、全くホットメルトが塗布されていない場合は不合格と判断することができ、合理的に接着状態の合否の判定をすることができる。
【符号の説明】
【0066】
1、21、31、41、51、61 ホットメルト接着部の検査装置
2 赤外線カメラ
3、23、33、43、53、63 画像処理装置
4 検出器
5 段ボールケーサ
7 ホットメルト
7a (ホットメルトの)塗布位置(総称)
7a1〜7a4、7a5〜7a8 (ホットメルトの)塗布位置(各位置)
8 (ホットメルト)噴射ノズル
10、10p 段ボールケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボールケース等のホットメルトによる接着部から放射される熱エネルギーを赤外線カメラにより受光し、該赤外線カメラの画像信号を画像処理装置に取り込んで前記接着部の接着の良否を判定する検査方法において、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、1箇所の位置を基準位置とし、残りの位置の画像と前記基準位置の画像との相対的な割合の値が、前記画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を判定することを特徴とするホットメルト接着部の検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載するホットメルト接着部の検査方法において、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、2箇所以上の位置を基準位置とし、その内の1箇所の基準位置の画像と該基準位置が属する位置群の残りの位置の画像との対比を、前記基準位置を変えて行い、それぞれの基準位置に対して該基準位置が属する位置群の残りの位置の画像と該基準位置の画像との相対的な割合の値が、それぞれに前記画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を2箇所以上の接着部について同時に判定することを特徴とするホットメルト接着部の検査方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載するホットメルト接着部の検査方法において、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、前記基準位置を順次切替えて、その基準位置に対して残りの位置の画像と該基準位置の画像との相対的な割合の値が、前記画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかを、前記順次切替えた基準位置の場合で判定し、該判定の全ての場合或いは一部の場合を総合判定して、前記接着部の接着の良否を判定することを特徴とするホットメルト接着部の検査方法。
【請求項4】
請求項1から3のうちいずれか一項に記載するホットメルト接着部の検査方法において、前記画像処理装置に、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の各位置の画像に補正係数を乗じるように予め設定しておくことを特徴とするホットメルト接着部の検査方法。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか一項に記載するホットメルト接着部の検査方法において、前記画像処理装置に、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の各位置の画像の合格点最低値を予め設定しておくようにしたことを特徴とするホットメルト接着部の検査方法。
【請求項6】
段ボールケース等のホットメルトによる接着部から放射される熱エネルギーを受光する赤外線カメラと、該赤外線カメラの画像信号を取り込んで前記ホットメルトによる接着部の接着の良否を判定する画像処理装置を備えたホットメルト接着部の検査装置において、前記画像処理装置を、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、1箇所の位置を基準位置とし、残りの位置の画像と前記基準位置の画像との相対的な割合の値が、該画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を判定する画像処理装置としたことを特徴とするホットメルト接着部の検査装置。
【請求項7】
請求項6に記載するホットメルト接着部の検査装置において、前記画像処理装置を、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、2箇所以上の位置を基準位置とし、その内の1箇所の基準位置の画像と該基準位置が属する位置群の残りの位置の画像との対比を、前記基準位置を変えて行い、それぞれの基準位置に対して該基準位置が属する位置群の残りの位置の画像と該基準位置の画像との相対的な割合の値が、それぞれに前記画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかで、前記接着部の接着の良否を2箇所以上の接着部で同時に判定する画像処理装置としたことを特徴とするホットメルト接着部の検査装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載するホットメルト接着部の検査装置において、前記画像処理装置を、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の内、前記基準位置を順次切替えて、その基準位置に対して残りの位置の画像と該基準位置の画像との相対的な割合の値が、前記画像処理装置に予め設定しておいた値になっているかどうかを、前記順次切替えた基準位置の場合で判定し、該判定の全ての場合或いは一部の場合を総合判定して、前記接着部の接着の良否を判定する画像処理装置としたことを特徴とするホットメルト接着部の検査装置。
【請求項9】
請求項6から8のうちいずれか一項に記載するホットメルト接着部の検査装置において、前記画像処理装置を、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の各位置の画像に補正係数を乗じるように予め設定しておく画像処理装置としたことを特徴とするホットメルト接着部の検査装置。
【請求項10】
請求項6から9のうちいずれか一項に記載するホットメルト接着部の検査装置において、前記画像処理装置を、前記接着部の複数のホットメルト塗布位置の各位置の画像の合格点最低値を予め設定しておく画像処理装置としたことを特徴とするホットメルト接着部の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−107021(P2011−107021A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263826(P2009−263826)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】