説明

ホッパー装置

【課題】広い範囲を小さな力で攪拌することに有利なブリッジ防止機構を備えるホッパー装置を提供する。
【解決手段】ホッパー装置100は、粉粒状体90を収容し、下部に設けられた排出口12が開かれることにより排出口12を通して粉粒状体90を排出する貯留容器10と、貯留容器10の内部に粉粒状体90によってブリッジが形成されることを防止するブリッジ防止機構61とを備える。ブリッジ防止機構61は、回転軸30と、回転軸30の中心軸に対して傾斜した1又は複数の傾斜面に沿って回転軸30から放射状に延びる複数の攪拌棒とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒状体を貯留し必要に応じてそれを排出口から排出するホッパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホッパー装置は、粉粒状体を収容する貯留容器を備えている。貯留容器内では、粉粒状体がブリッジを形成し易い。ブリッジは、典型的には、排出口に向かって徐々に断面積が小さくなる円錐形状等を有する貯留容器の内部において断面積の低下に応じて粉粒状体が押し固められることによって起こりうる。粉粒状体によってブリッジが形成されると、排出口からの粉粒状体の排出が滞ることになる。
【0003】
特許文献1には、回転軸に対して垂直な面に沿って該回転軸から放射状に延びた棒材をコンベアスクリューの羽根の運動によって回転させるブリッジ防止装置が開示されている。
【特許文献1】特開平2006−335412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貯留容器の内部おいて粉粒状体が通過する全体領域のうちの一部の領域にブリッジが形成されると、そのブリッジの上流側(粉粒状体の移動方向と反対方向)にそのブリッジが拡大し、粉粒状体の移動を完全に遮断するような完全なブリッジに成長しうる。
【0005】
したがって、ブリッジの形成を防止する機構によって広い領域を攪拌することが好ましい。しかしながら、広い領域を攪拌しようとすると、攪拌のための部材を駆動するために大きな力を必要とするし、当該部材の強度を高める必要もある。
【0006】
特許文献1に記載されたブリッジ防止装置では、回転軸に対して垂直な面に沿って該回転軸から棒材が放射状に延びた構造を有するので、比較的小さな力でも棒材が回転しうるが、棒材は当該面内でしか粉粒状体を攪拌することができない。
【0007】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、例えば、広い範囲を小さな力で攪拌することに有利なブリッジ防止機構を備えるホッパー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの側面は、ホッパー装置に係り、前記ホッパー装置は、粉粒状体を収容し、下部に設けられた排出口が開かれることにより前記排出口を通して粉粒状体を排出する貯留容器と、前記貯留容器の内部に粉粒状体によってブリッジが形成されることを防止するブリッジ防止機構とを備え、前記ブリッジ防止機構は、回転軸と、前記回転軸の中心軸に対して傾斜した1又は複数の傾斜面に沿って前記回転軸から放射状に延びる複数の攪拌棒とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、広い範囲を小さな力で攪拌することに有利なブリッジ防止機構を備えるホッパー装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の好適な実施形態のホッパー装置の概略構成を示す図である。本発明の好適な実施形態のホッパー装置100は、粉粒状体90を貯留し、必要に応じてそれを排出口12から排出するように構成される。
【0012】
ホッパー装置100は、貯留容器10と、ブリッジ防止機構61とを備えている。貯留容器10は、粉粒状体90を収容し、下部に設けられた排出口12が開かれることにより排出口12を通して粉粒状体90を排出する。排出口12には、バルブ15が設けられていて、バルブ15が不図式の駆動機構によって駆動されることによって排出口12が開閉される。貯留容器10は、典型的には、断面積が徐々に小さくなる部分を含む。当該部分は、例えば、円錐を逆さまにした形状を有しうる。
【0013】
ブリッジ防止機構61は、貯留容器10の内部に粉粒状体90によってブリッジが形成されることを防止する。ブリッジ防止機構61は、回転軸30と、1又は複数の攪拌部21、22、23を含みうる。図2に例示的に示すように、攪拌部21、22、23は、それぞれ、回転軸30の中心軸に対して角度α(例えば、30〜80度)だけ傾斜した面(以下、傾斜面)IPに沿って回転軸30から放射状に延びる複数の攪拌棒(棒状部材)71を含む。傾斜面IPに沿って回転軸30から放射状に延びた攪拌棒71を設けることによって、該中心軸に対して垂直な方向に延びた攪拌棒を有する構成に比べて広い領域を攪拌することができる。しかも、放射状に延びた攪拌棒(棒状部材)71によって粉粒状体90を攪拌することによって、例えば面状の攪拌部材を用いる場合に比べて、攪拌に要する力を小さく抑えることができる。また、棒状部材である攪拌棒71によって粉粒状体90を攪拌する構成によれば、攪拌棒71と攪拌棒71との間を通して粉粒状体90が排出口12に向かって移動することが可能であるので、攪拌部による粉粒状体90の移動の妨げが少ない。これは、攪拌部自体がブリッジの形成原因となることを抑制する。
【0014】
攪拌部21は、傾斜面IPに沿って回転軸30から放射状に延びる複数の攪拌棒71の先端を相互に連結するリング部材75を含むことが好ましい。リング部材75は、回転軸30から放射状に延びる攪拌棒71の強度の向上に寄与する。リング部材75は、回転軸30から放射状に延びる攪拌棒71が仮に折れた場合においても、それがリング部材75に連結されている限り、それが脱落して粉粒状体90に混ざり込むことを防止する。攪拌部22、23も、攪拌部21と同様の構成を有しうる。各リング部材75は、複数の傾斜面IPのうち当該リング部材75が属する傾斜面に沿った攪拌棒71の先端を相互に連結する。
【0015】
この実施形態では、攪拌部22の傾斜面は、攪拌部21を回転軸30の回転中心の周りに120度回転させたときの攪拌部21の傾斜面と平行であり、攪拌部23の傾斜面は、攪拌部21を回転軸30の回転中心の周りに240度回転させたときの攪拌部21の傾斜面と平行である。つまり、複数の傾斜面IPは、それぞれ、回転軸30の中心軸を中心として一定角度だけ回転させると他の1つの傾斜面と平行になる関係にある。図3は、ブリッジ防止機構61の一構成例を示す図である。
【0016】
ホッパー装置100は、1又は複数の他のブリッジ防止機構62を備えることができる。他のブリッジ防止機構62は、ブリッジ防止機構61とともに、貯留容器10の内部に粉粒状体90によってブリッジが形成されることを防止する。ブリッジ防止機構62は、回転軸31と、1又は複数の攪拌部24、25、26、27を含みうる。図2に例示的に示すように、攪拌部24、25、26、27は、それぞれ、回転軸31の中心軸に対して傾斜した傾斜面IPに沿って回転軸31から放射状に延びる複数の攪拌棒71を含む。攪拌部24、25、26、27は、それぞれ、傾斜面IPに沿って回転軸30から放射状に延びる複数の棒状棒71を相互に連結するリング部材75を含むことが好ましい。
【0017】
この実施形態では、攪拌部25の傾斜面は、攪拌部24を回転軸30の回転中心の周りに90度回転させたときの攪拌部24の傾斜面と平行であり、攪拌部26の傾斜面は、攪拌部24を回転軸30の回転中心の周りに180度回転させたときの攪拌部21の傾斜面と平行であり、攪拌部27を回転軸30の回転中心の周りに270度回転させたときの攪拌部21の傾斜面と平行である。
【0018】
回転軸30、31は、それぞれベアリング50、51によって支持され、モータを含む回転駆動機構40、41によって回転駆動される。回転軸30、31は、相互に平行に配置されてもよいし、非平行に配置されてもよい。
【0019】
本発明の好適な実施形態のホッパー装置100は、例えば、粉粒状体90として、水分を含有した粉粒状体、例えばモルトフィードを一時的に貯留するために好適である。モルトフィードは、水分を多く含む状態で貯留容器10に収容されうる。モルトフィードのように水分を多く含有する粉粒状体(例えば、全重量の20パーセント以上の水分を含有する粉粒状体)を貯留するホッパー装置では、水分を含まない粉粒状体や少量の水分しか含まない粉粒状体を貯留するホッパー装置よりもブリッジの形成が起こりやすく、また、ブリッジが形成されるとそれを破壊することが容易ではない。上記のように、傾斜面に沿って回転軸から放射状に延びた攪拌棒を設けた構成によれば、該中心軸に対して垂直な方向に延びた攪拌棒を有する構成に比べて広い領域を攪拌することができるので、モルトフィードのように水分を多く含有する粉粒状体(例えば、全重量の20パーセント以上の水分を含有する粉粒状体)を貯留する場合においても効果的にブリッジの形成を防止することができる。
【0020】
なお、特許文献1に記載されたブリッジ防止装置では、回転軸に対して垂直な面に沿って該回転軸から放射状に延びた棒材をコンベアスクリューの羽根の運動によって回転させるが、このような機構によってモルトフィードによるブリッジの形成を防止することは難しいと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好適な実施形態のホッパー装置の概略構成を示す図である。
【図2】攪拌部の構成を示す図である。
【図3】ブリッジ防止機構の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
10
21〜27 攪拌部
30、31 回転軸
40、41 回転駆動機構
50、51 ベアリング
61、62 ブリッジ防止機構
71 攪拌棒
75 リング部材
90 粉粒状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒状体を収容し、下部に設けられた排出口が開かれることにより前記排出口を通して粉粒状体を排出する貯留容器と、
前記貯留容器の内部に粉粒状体によってブリッジが形成されることを防止するブリッジ防止機構とを備え、
前記ブリッジ防止機構は、
回転軸と、
前記回転軸の中心軸に対して傾斜した1又は複数の傾斜面に沿って前記回転軸から放射状に延びる複数の攪拌棒とを含む、
ことを特徴とするホッパー装置。
【請求項2】
前記ブリッジ防止機構は、
前記複数の傾斜面のそれぞれについて設けられた複数のリング部材を更に含み、前記リング部材によって前記複数の傾斜面のうち当該リング部材が属する面に沿った前記攪拌棒の先端が相互に連結される、
ことを特徴とする請求項1に記載のホッパー装置。
【請求項3】
前記複数の傾斜面は、それぞれ、前記中心軸を中心として回転させると他の傾斜面と平行になる関係にある、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のホッパー装置。
【請求項4】
前記複数の傾斜面は、それぞれ、前記中心軸を中心として一定角度だけ回転させると他の1つの傾斜面と平行になる関係にある、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のホッパー装置。
【請求項5】
1又は複数の他のブリッジ防止機構を更に備え、
前記他のブリッジ防止機構は、
前記他の回転軸と、
前記他の回転軸の中心軸に対して傾斜した複数の傾斜面のそれぞれに沿って前記他の回転軸から放射状に延びる複数の攪拌棒とを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のホッパー装置。
【請求項6】
前記貯留容器は、前記排出口に向かって徐々に断面積が小さくなる部分を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のホッパー装置。
【請求項7】
前記粉粒状体は、モルトフィードを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のホッパー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−6402(P2010−6402A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166527(P2008−166527)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】