説明

ホッパ装置および投入方法

【課題】容器が載置される面への衝撃や加重などの影響を緩和することができるホッパ装置および投入方法を提供すること。
【解決手段】開口を有する容器100に流動体Wを収容させるホッパ装置1であって、容器100に流動体Wを投入する投入手段2を備え、投入手段2は、容器100の開口に流動体Wを案内する案内筒6と、案内筒6と容器100との間に伸縮可能に設けられ、容器100に接して容器100を封止する封止部7と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホッパ装置および投入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射性廃棄物を廃棄する場合、放射性廃棄物を容器内に収容し、地中に設けた蔵置施設などにこの容器を蔵置することが行われている。
容器を運搬したり蔵置したりする際に放射性廃棄物が容器から漏れたりこぼれたりしないようにする目的、および放射線を遮蔽する目的で、容器内の放射性廃棄物はコンクリート、セメント、あるいはモルタルなどによって固化される(例えば特許文献1参照)。
特許文献1には、容器(ドラム缶)内に放射性廃棄物を収容する場合に、容器の開口から放射性廃棄物を投入するとともに、放射性廃棄物投入された容器の重量を測定し、容器内に収容された放射性廃棄物の量を重量により管理することが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、放射性廃棄物を容器内に投入する場合に容器の底で跳ね返った放射性廃棄物が容器外に飛散するおそれがある。
【0003】
容器外に放射性廃棄物が飛散するのを防止する目的で、たとえば特許文献2には、放射性廃棄物焼却装置における焼却処理後に発生する焼却灰をドラム缶に収容する装置が開示されている。
特許文献2には、ドラム缶の開口の上端にシールパッキンを当接させることにより、ドラム缶の開口を封止しながら焼却灰をドラム缶の内部に収容することができる。これにより、ドラム缶外に焼却灰が飛散するのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2799074号公報
【特許文献2】特開平4−169897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の装置では、ドラム缶の開口の上端にシールパッキンを押し当てているので、ドラム缶の下方への押圧力がかかっている。このため、特許文献2に開示された技術を特許文献1に適用しようとすると、容器が載置される面(特許文献1の場合には計量器)への衝撃や加重などの影響が生じてしまう。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、容器が載置される面への衝撃や加重などの影響を緩和することができるホッパ装置および投入方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のホッパ装置は、開口を有する容器に流動体を収容させるホッパ装置であって、前記容器に前記流動体を投入する投入手段を備え、前記投入手段は、前記容器の開口に流動体を案内する案内筒と、前記案内筒と前記容器との間に伸縮可能に設けられ、前記容器に接して前記容器を封止する封止部と、を備えることを特徴とするホッパ装置である。
【0008】
この発明によれば、封止部によって容器が封止されるので、容器内に流入する流動体が容器外に飛散するのを防止できる。
さらに、封止部が伸縮可能であるので、容器に封止部を接触させたときに、容器が載置される面への衝撃や加重などの影響を緩和することができる。
【0009】
また、前記封止部は、前記案内筒の外周面に設けられており、収縮時には前記容器の内周面から離間し、伸張時には前記容器の内周面を押圧することが好ましい。
この場合、封止部が容器を封止しているときには、封止部は伸張して容器の内周面に接し、容器の径方向に容器の内周面を押圧するので、容器を移動させるような力が生じない。このため、容器が載置される面への衝撃や加重などの影響をさらに緩和することができる。
【0010】
また、前記封止部は、前記容器への押圧力を制限する圧力制限手段を有することが好ましい。
この場合、圧力制限手段によって、封止部が伸張することにより容器が移動するような力がかからない程度に押圧力を制限するように調整することができるようになり、容器が載置される面への衝撃や加重などの影響をさらに緩和することができる。
【0011】
また、本発明のホッパ装置は、前記容器内に収容された前記流動体の重量を測定する重量測定部をさらに備えることが好ましい。
この場合、容器が載置される面への衝撃や加重が重量測定部に伝わりにくいので、重量測定部における測定値の変動を抑え、精度よく流動体の重量を測定することができる。
【0012】
本発明の投入方法は、開口を有する容器に流動体を投入する投入方法であって、前記流動体を内部に流す案内筒における流出口の外周面と前記容器との間に伸縮可能な封止部を介在させ、前記封止部を前記容器に接触させて前記開口を封止し、前記開口が前記封止部により封止された状態で前記流出口から前記流動体を流出させることを特徴とする投入方法である。
この発明によれば、容器の開口を封止してから流動体を容器内に流入させることができるので、容器内に流入する流動体が容器外に飛散するのを防止できる。
さらに、封止部が伸縮可能であるので、容器に封止部を接触させたときに、容器が載置される面への衝撃や加重などの影響を緩和することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のホッパ装置および投入方法によれば、封止部によって容器が封止されるので、容器内に流入する流動体が容器外に飛散するのを防止できる。さらに、封止部が伸縮可能であるので、容器に封止部を接触させたときに、容器が載置される面への衝撃や加重などの影響を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態のホッパ装置の模式図である。
【図2】図1の一部の拡大図である。
【図3】同ホッパ装置における圧力調整部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態の投入方法を示すフローチャートである。
【図5】同ホッパ装置の変形例を示す模式図である。
【図6】同ホッパ装置の他の変形例を示す模式図である。
【図7】同ホッパ装置のさらに他の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態のホッパ装置および投入方法について説明する。
まず、本実施形態のホッパ装置の構成について説明する。図1は、本実施形態のホッパ装置の模式図である。
図1に示すように、本実施形態のホッパ装置1は、粉粒体、液体、ゲル、およびゾルなど(以下「流動体W」と称する。)を、開口を有する容器100に収容させるための装置である。
ホッパ装置1は、容器100に流動体Wを投入する投入手段2と、投入された流動体Wの重量を測定する重量測定手段15とを備える。
【0016】
投入手段2は、ホッパ本体3と、流出バルブ4と、カバー5と、案内筒6と、封止部7とを備える。
ホッパ本体3は、上方から流動体Wが供給される中空部材であり、下方へ行くに従って漸次縮径されている。ホッパ本体3の下端は、流出バルブ4の内部と連通されている。また、ホッパ本体3は、図示しない昇降機構を有し、上下方向へ移動させることができるようになっている。
【0017】
流出バルブ4は、開度が調整可能なバルブであり、ホッパ本体3の下端から流出バルブ4内へ流入した流動体Wの流量を制御して下方へ通過させるバルブである。
【0018】
カバー5は、流出バルブ4を通過した流動体Wが飛散するのを防止する目的で流出バルブ4の下に取り付けられた筒形部材である。
【0019】
案内筒6は、流動体Wを収容する容器100の開口の内径よりも小さい外径を有する筒状部材であり、本実施形態ではカバー5の内側に固定されている。案内筒6は、円筒状であってもよいし、角筒状であってもよい。本実施形態では、案内筒6が円筒状である例で説明する。案内筒6の下端は、ホッパ本体3の昇降機構によりホッパ本体3が下降したときに、容器100の開口から内部へ差し込むことができるようになっている。案内筒6の下端は、流動体Wが流出する流出口6aとなっており、案内筒6の下端が容器100内に差し込まれることにより、容器100の開口に流動体Wを案内することができる。
【0020】
図2は、図1において符号Xで示す部分を拡大して示す拡大図である。
封止部7は、案内筒6と容器100との間に設けられた伸縮可能な環状中空シール8と、環状中空シール8内に流体を供給して環状中空シール8の内圧を調整する圧力調整部9と、環状中空シール8の外周面に固定された低摩擦部材14とを有する。
【0021】
環状中空シール8は、案内筒6の下端の外周面に取り付けられており、内部に空気などの流体が供給されることにより案内筒6の径方向へ向って伸張する弾性部材である。環状中空シール8の外径は、収縮時には容器100の開口の内寸より小さく、伸張時には容器100の開口の内寸より大きくなる。また、環状中空シール8は、収縮状態から伸張状態となるときに、案内筒6の中心軸線方向への伸張量よりも案内筒6の径方向への伸張量の方が大きくなるように形成されている。具体的には、環状中空シール8は、案内筒6の周方向に沿った稜線Lを有する蛇腹部8aを有し、環状中空シール8の内部に流体が供給されたときに蛇腹部8aが径方向へ伸張するようになっている。環状中空シール8には、詳細は後述する圧力調整部9と連通された流体管路が接続されている。
【0022】
圧力調整部9は、環状中空シール8の内部と流体管路を介して連通されている。本実施形態では、圧力調整部9は、環状中空シール8内に流体として空気を出入りさせるようになっており、送気部10と、排気バルブ11と、圧力センサ12と、制御部13とを備える。
【0023】
送気部10は、例えば電気によって駆動され、給気バルブ10aを通じて圧縮空気を供給する送気ポンプである。なお、ホッパ装置1が設備される工場等の施設に圧縮空気供給施設が設備されている場合には、圧縮空気供給施設からの高圧空気管路に給気バルブ10aを接続して圧縮空気を使用することができる。
【0024】
排気バルブ11は、送気部10によって環状中空シール8内に供給された空気を外部へ排気するためのバルブであり、制御部13によって開度が調整されている。
【0025】
圧力センサ12は、環状中空シール8内に供給された空気の圧力を測定するセンサである。圧力センサ12は制御部13に接続されており、圧力センサ12が測定した圧力は、制御部13によって参照されている。
【0026】
図3は、制御部13の構成を示すブロック図である。
制御部13は、環状中空シール8を伸張させる伸張信号と、環状中空シール8の伸張および収縮を停止させる停止信号と、環状中空シール8を収縮させる収縮信号を受け付ける受付手段13a(図3参照)を有する。また、制御部13は、伸張信号に基づいて排気バルブ11を閉じるとともに給気バルブ10aを開き、停止信号に基づいて給気バルブ10aおよび排気バルブ11を閉じ、収縮信号に基づいて給気バルブ10aを閉じるとともに排気バルブ11を開く制御を行うバルブ開閉部13bを有する。さらに、制御部13は、圧力センサ12が測定した圧力を参照して環状中空シール8の内圧を上限内圧以下に制限する圧力制限手段13cを有する。
【0027】
圧力制限手段13cには、環状中空シール8が容器100の内周面を押圧する押圧力の上限値に対応する環状中空シール8の上限内圧が記憶されている。圧力制限手段13cは、環状中空シール8の内圧が上限内圧を超えたときに、環状中空シール8の内圧が上限内圧に下がるまで排気バルブ11を開く制御をバルブ開閉部13bに対して行う。
【0028】
図2に示すように、低摩擦部材14は、環状中空シール8の外周面に互いに隙間を空けて複数設けられている。詳細は図示しないが、各低摩擦部材14は平行四辺形状に形成されており、隣り合う低摩擦部材14の隙間は環状中空シール8の外周面に沿う螺旋の一部をなす帯状に空けられている。また、各低摩擦部材14の外面には、環状中空シール8の周方向に沿った複数の凸条部14aが互いに間隔を空けて形成されている。低摩擦部材14の材質は、環状中空シール8と容器100との間の摩擦係数よりも容器100に対する摩擦係数が小さい材質となっている。
【0029】
図1に示すように、重量測定手段15は、容器100内に流入する流動体Wの重量を測定する目的でホッパ本体3の下に設けられている。重量測定手段15は、容器100を載置する載置台16と、載置台16に接続された図示しない秤量機構と、この秤量機構に接続され秤量結果が出力される出力部17とを備える。
重量測定手段15は、容器100と容器100内の流動体Wとの合計重量から容器100の重量を差し引いた正味重量W1を出力部17に出力し、出力部17では正味重量W1が表示されるようになっている。
【0030】
次に、本実施形態の投入方法について、ホッパ装置1を用いた例で説明する。なお、以下では、流動体Wの例として、原子力施設などにおいて発生した放射性固体廃棄物のペレット、具体的には使用済み樹脂を例示し、流動体Wを注入固化により固体廃棄物として処理する例を説明する。
【0031】
図4は、本実施形態の投入方法を示すフローチャートである。
図4に示すステップS101は、案内筒6の下端を容器100に挿入する工程である。
ステップS101では、まず、ホッパ本体3の流出バルブ4の下に、開口が流出バルブ4側に向くように容器100を配置する(図1参照)。また、このとき圧力調整部9により環状中空シール8は収縮状態とされている。さらに、ホッパ本体3の図示しない昇降機構を動作させてホッパ本体3を下降させ、案内筒6の先端を容器100の開口から内部に挿入する。この状態で、案内筒6の下端の外周面に取り付けられた環状中空シール8は容器100の内周面との間に介在された位置関係となる。封止部7の環状中空シール8は、収縮時には容器100の内寸よりも外径が小さくなっているので、容器100の内周面からは離間している。
これでステップS101は終了し、ステップS102へ進む。
【0032】
ステップS102は、環状中空シール8を伸張させる工程である。
ステップS102では、案内筒6の先端が開口内に挿入された後、手入力あるいは図示しない入力手段により、制御部13に対して伸張信号が発せられる。制御部13においては、受付手段13aによって伸張信号が受け付けられたこと基づいてバルブ開閉部13bが給気バルブ10aを開き、環状中空シール8内に空気が供給される。これにより、環状中空シール8は径方向へ伸張する。環状中空シール8の内周面は案内筒6の外周面によって支持されているので、伸張した環状中空シール8の外周面は径方向外側へ移動する。これにより、環状中空シール8の外周面に設けられた低摩擦部材14は容器100の内周面に接し、環状中空シール8は低摩擦部材14を介して容器100の内周面を押圧する。その結果、封止部7により容器100の開口は封止される。
これでステップS102は終了し、ステップS103へ進む。
【0033】
ステップS103は、環状中空シール8の内圧に基づいて処理を分岐する工程である。
ステップS103では、圧力調整部9の制御部13は、圧力センサ12が検出した圧力を参照し、環状中空シール8の内圧が上限圧力であるか否かを判定する。環状中空シール8の内圧が上限圧力以外である場合にはステップS104へ進み、環状中空シール8の内圧が上限圧力である場合にはステップS105へ進む。
【0034】
ステップS104は、圧力制限手段13cにより環状中空シール8の内圧が上限内圧となるように調整する工程である。
ステップS104では、環状中空シール8の内圧が不足している場合には環状中空シール8内に空気を供給する。また、圧力制限手段13cによって環状中空シール8の内圧は上限圧力に制限され、これにより、環状中空シール8が容器100を押圧する押圧力は制限される。
これでステップS104は終了しステップS103へ進む。
【0035】
ステップS105は、環状中空シール8の伸張を停止させる工程である。
ステップS105では、手入力あるいは図示しない入力手段によって制御部13に対して停止信号が発せられ、制御部13においては受付手段13aによって停止信号が受け付けられたことに基づいてバルブ開閉部13bが給気バルブ10aを閉じる。これにより、容器100の内周面を環状中空シール8によって押圧する押圧力は一定に維持される。
これでステップS105は終了し、ステップS106へ進む。
【0036】
ステップS106は、流動体Wを容器100に投入して計量する工程である。
ステップS106では、手入力等によって流出バルブ4が開かれ、流出バルブ4を通じてホッパ本体3から流動体Wがカバー5内へ移動し、さらに案内筒6の下端の流出口6aから流動体Wが流出する。流出口6aから流出した流動体Wは、容器100の内部に流入する。
このとき、流動体Wは重力によってホッパ本体3から落下するので、容器100の底などにおいて跳ね返り、容器100の開口側へ向う場合がある(図1参照)。本実施形態では流動体Wは放射性廃棄物であるので、容器100の開口から外部へ流動体Wが飛散すると、容器100の外部環境を汚染する可能性がある。しかしながら、本実施形態のホッパ装置1では、容器100の開口は封止部7によって封止されているので、流動体Wは開口から外部へは飛散せず全て容器100内に収容される。
また、重量測定手段15の載置台16に載せられた容器100は、容器100内に流動体Wが流入することにより下方へ沈みこむ。このとき、低摩擦部材14と容器100の内周面とが摺動することにより封止部7およびホッパ本体3を含む投入手段2が下方に引かれることなく容器100が下方へ移動する。これにより、容器100内に流動体Wが流入したときに封止部7によって容器100が吊り下げられた状態となることが抑えられ、流動体Wの重量の分だけ重力測定部に力がかかるようになる。
流動体Wの重量分の力がかけられた重量測定手段15では、流動体Wの重量が測定される。
これでステップS106は終了し、ステップS107へ進む。
【0037】
ステップ107は、容器100内の流動体Wの重量に応じて処理を分岐する工程である。
ステップS107では、ステップS106において測定された重量が、容器100内に収容予定の流動体Wの重量に対して不足である場合にはステップS106へ進み、ステップS106において測定された重量が、容器100内に収容予定の流動体Wの重量に対して適正である場合にはステップS108へ進む。
このように、ステップS106およびステップS107の繰り返しにより、容器100内に流入した流動体Wの重量は、流動体Wの流入中継続して重量測定手段15により測定されている。
【0038】
ステップS108は、容器100への流動体Wの投入を終了する工程である。
ステップS108では、手入力などにより流出バルブ4を閉じて流動体Wの流出を停止させる。このとき、容器100内に収容予定の収容体の重量と実際に容器100内に収容された流動体Wの重量との間に誤差が生じる場合もあるが、実際に容器100内に収容された流動体Wの重量が重量測定手段15において測定されており、出力部17において実際の重量を確認し、記録することができる。
続いて、圧力調整部9の制御部13に例えば手入力により収縮信号が発せられ、これによりバルブ開閉部13bが排気バルブ11を開く。これにより、排気バルブ11を通じて環状中空シール8内の空気が外部に排気される。すると、環状中空シール8の外周面は径方向内側へ移動し、低摩擦部材14は容器100の内周面から離間する。低摩擦部材14が容器100の内周面から離間したら、ホッパ本体3の昇降手段によりホッパ本体3を上昇させ、案内筒6を容器100の開口から抜き取る。
これでステップS108は終了し、ホッパ装置1による一連の動作は終了する。
【0039】
ホッパ装置1によって容器100内に流動体Wが収容されたあと、容器100内に、セメントやモルタルなどの固化剤を注入して固化させる。さらに、容器100の開口に蓋をして、流動体Wが内部に収容された容器100を固体廃棄物として廃棄する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のホッパ装置1によれば、封止部7によって容器100が封止されるので、容器100内に流入する流動体Wが容器100外に飛散するのを防止できる。
さらに、封止部7が伸縮可能であるので、容器100に封止部7を接触させたときに、容器100が載置される面への衝撃や加重などの影響を緩和することができる。
特に、本実施形態では、容器100が載置される面への衝撃や加重などの影響を緩和することができることにより、重量測定手段15における秤量を精度よく行うことができる。
【0041】
また、封止部7が容器100を封止しているときには、封止部7は伸張して容器100の内周面に接し、容器100の径方向に容器100の内周面を押圧するので、容器100を移動させるような力が生じない。このため、容器100が載置される面への衝撃や加重などの影響をさらに緩和することができる。
【0042】
また、圧力制限手段13cによって、封止部7が伸張することにより容器100が移動するような力がかからない程度に押圧力を制限するように調整することができるようになり、容器100が載置される面への衝撃や加重などの影響をさらに緩和することができる。
【0043】
また、本実施形態の投入方法によれば、容器100の開口を封止してから流動体Wを容器100内に流入させることができるので、容器100内に流入する流動体Wが容器100外に飛散するのを防止できる。さらに、封止部7が伸縮可能であるので、容器100に封止部7を接触させたときに、容器100が載置される面への衝撃や加重などの影響を緩和することができる。
【0044】
(変形例1)
次に、本実施形態のホッパ装置1の変形例について説明する。
図5は、本実施形態のホッパ装置1の変形例を示す模式図である。
図5に示すように、本変形例のホッパ装置1Aは、上述の環状中空シール8とは構成が異なる環状中空シール8Aを有する点において上述の実施形態のホッパ装置1と異なっている。
環状中空シール8Aは、案内筒6の外周面に取り付けられており、案内筒6の中心軸線方向に伸縮可能となっている。また、圧力調整部9と環状中空シール8Aとの間には、空気を貯留するバッファタンク20が設けられている。
【0045】
本変形例では、環状中空シール8Aは、伸張することにより容器100の開口の端部に当接する。また、環状中空シール8Aが容器100の開口の端部に当接したときには、環状中空シール8Aの内部へ供給された空気の一部はバッファタンク20内へ移動し、これにより環状中空シール8Aは凹む。
【0046】
本変形例では、環状中空シール8Aの内部へ供給された空気の一部がバッファタンク20内へ移動することにより環状中空シール8Aが凹むので、容器100が載置される面への衝撃が緩和される。また、環状中空シール8Aが凹んだ状態で容器100の内部に流動体Wが流入すると、容器100が下方へ沈みこむに従って環状中空シール8Aは伸張状態における形状へと徐々に復元し、環状中空シール8Aの容器100への当接状態は維持される。これにより、環状中空シール8Aと容器100との間に隙間が空くことが防止され、容器100内へ流入する流動体Wが容器100外へ飛散するのを防止することができる。
【0047】
(変形例2)
次に、本実施形態のホッパ装置1の他の変形例について説明する。
図6は、本実施形態のホッパ装置1の他の変形例を示す模式図である。
図6に示すように、本変形例のホッパ装置1Bは、バッファタンク20に代えて精密レギュレータ30を備える点が異なっている。
精密レギュレータ30は、環状中空シール8A内の圧力変動に応じて環状中空シール8A内へ供給される空気の量を調整するものである。
このような構成であっても上述のホッパ装置1Aと同様の効果を奏する。
【0048】
(変形例3)
次に、本実施形態のホッパ装置1のさらに他の変形例について説明する。
図7は、本実施形態のホッパ装置1のさらに他の変形例を示す模式図である。
図7に示すように、本変形例のホッパ装置1Cは、圧力調整部9およびバッファタンク20を備えておらず、環状中空シール8Aの内外が連通されている点が上述のホッパ装置1Aと異なっている。
本変形例では、重力によって環状中空シール8Aの下端が下がることで伸張状態となる。また、案内筒6が下降して環状中空シール8Aが容器100の開口の端部に当接すると、環状中空シール8A内の空気は外部へ排出される。これにより環状中空シール8Aは収縮する。
【0049】
また、環状中空シール8Aが収縮した状態で容器100の内部に流動体Wが流入すると、容器100が下方へ沈みこむに従って環状中空シール8Aは再び伸張し、環状中空シール8Aの容器100への当接状態は維持される。これにより、環状中空シール8Aと容器100との間に隙間が空くことが防止され、容器100内へ流入する流動体Wが容器100外へ飛散するのを防止することができる。
また、本変形例では、環状中空シール8A内の圧力を変えるための手段を設ける必要がないので装置構成が単純であり、故障の発生確率が低いという効果もある。
なお、本変形例における環状中空シール8Aは、案内筒6の中心軸線方向へ容易に伸縮可能な形状として、たとえばベローズ状の折りたたみ構造を有していてもよい。
【0050】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、上述の実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のホッパ装置および投入方法は、粉粒体、液体、ゲル、およびゾルなどの流動体を容器内に収容する目的で利用することができる。流動体の種類および容器の種類については特に限定されない。具体的には、本発明のホッパ装置および投入方法は、容器の内部に収容される流動体が収容作業に容器外へ飛散することを抑える必要がある場合、例えば放射性汚染物や生物学的汚染物、その他人体や環境に影響を与える可能性がある汚染物の流動体Wを取り扱う場合に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1、1A、1B、1C ホッパ装置
2 投入手段
3 ホッパ本体
4 流出バルブ
5 カバー
6 案内筒
7 封止部
8、8A 環状中空シール
9 圧力調整部
10 送気部
11 排気バルブ
12 圧力センサ
13 制御部
13c 圧力制限手段
14 低摩擦部材
15 重量測定手段
16 載置台
17 出力部
20 バッファタンク
30 精密レギュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する容器に流動体を収容させるホッパ装置であって、
前記容器に前記流動体を投入する投入手段を備え、
前記投入手段は、
前記容器の開口に流動体を案内する案内筒と、
前記案内筒と前記容器との間に伸縮可能に設けられ、前記容器に接して前記容器を封止する封止部と、
を備えることを特徴とするホッパ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のホッパ装置であって、
前記封止部は、前記案内筒の外周面に設けられており、収縮時には前記容器の内周面から離間し、伸張時には前記容器の内周面を押圧する
ことを特徴とするホッパ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のホッパ装置であって、
前記封止部は、前記容器への押圧力を制限する圧力制限手段を有することを特徴とするホッパ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のホッパ装置であって、
前記容器内に収容された前記流動体の重量を測定する重量測定部をさらに備えることを特徴とするホッパ装置。
【請求項5】
開口を有する容器に流動体を投入する投入方法であって、
前記流動体を内部に流す案内筒における流出口の外周面と前記容器との間に伸縮可能な封止部を介在させ、
前記封止部を前記容器に接触させて前記開口を封止し、
前記開口が前記封止部により封止された状態で前記流出口から前記流動体を流出させる
ことを特徴とする投入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−140165(P2012−140165A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144(P2011−144)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】