説明

ホトクロミック成形組成物及びそれから製造される物品

【課題】改善されたホトクロミック材料を提供する。
【解決手段】70〜99.99質量%の割合の少なくとも1つの透明ポリエステルアミド;0〜30質量%の割合の少なくとも1つの更なるポリマー;0.01〜2質量%の割合の少なくとも1つのホトクロミック染料;また場合により更なる染料及び/又は添加剤を含む、ポリアミド成形組成物が記載される。本発明は、更に、それらから製造される物品、例えば、ホトクロミック眼用レンズの被覆用のホイルなどを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホトクロミック成形組成物及びそれから製造される物品、例えば透明な押出又は射出成形部品、またこれらの物品の製造方法に関する。成形組成物は、好ましくはバルク着色成形組成物であるが、ホトクロミック染料を導入する/計量供給する浸漬浴又は他の方法によって着色することも同様に可能である。
【背景技術】
【0002】
ホトクロミック成形組成物は、ホトクロミック物品、例えば光への暴露に対して可逆的に着色するサングラスレンズ又は同様の物品の製造に使用される出発材料である。
【0003】
ホトクロミックとは、染料が、光(UV又は短波VIS)への暴露によって励起状態に変換されることを意味し、ここで非励起状態及び励起状態は、異なる吸収スペクトルを有する(フォトクロミズム「ホトクロミック」の定義は非特許文献1を参照すること)。励起状態は、最初の形態は無色であるのに対して、一般に強い色を有する。励起染料分子は、熱又は放射線誘導逆反応により非励起状態に戻る。
【0004】
これらの染料を使用して、その可変性が光誘導性である光学フィルターを、例えば染料をプラスチックマトリックスに導入すること(バルク着色)、又は染料を有する被覆をガラス又はプラスチックに適用することにより製造することができる(例えば、そのような染料のポリマーマトリックスへの組み込みについては、非特許文献2を参照すること)。
【0005】
重要な用途が、眼用レンズ、例えば日光に曝されると自発的に暗色化するサングラスレンズによりもたらされる。このようなレンズに所望の色合い与えるために、複数のホトクロミック染料及び/又は1つ以上の不活性染料をホトクロミック染料と一緒に使用する。不活性染料を使用する場合、レンズは、非照射状態であっても、内在する色彩又は色を有し、このことは透過率を低減する。
【0006】
そのような用途の重要な局面は、可逆的なホトクロミック工程の可能な繰り返しの回数が最大化されること、及び染料が環境の作用(例えば、酸素)又は(例えばポリマーマトリックス又は添加剤との)副反応によりこのサイクルから不可逆的に排除されないことである。更なる前提条件は、「スイッチング工程」(励起)及び/又は熱逆反応が進行して、許容される時間内に実質的に完了することである。そうではない場合は、レンズの着色は、光への暴露によって生じることはなく(透過率の低減はない)、及び/又はレンズは光への暴露後長時間にわたってその色彩を保持することになる。両方とも望ましくない。
【0007】
最初のホトクロミックプラスチックレンズの市販は、早くも1980に開始された。しかし、ホトクロミック系が適切な寿命及び満足できるスペクトル性能を達成する前に、染料及びポリマーマトリックスにおいて多数の改善を成し遂げなければならなかった。最初は、そのようなプラスチックレンズは、実質的に完全に流し込み系、例えばビスアリルカーボネートの重合により得られるアリルジグリコールカーボネートCR39に基づいていた。後に、(メタ)アクリレート及びポリカーボネートに基づいたレンズが入手可能になり、最近では、熱可塑的に製造されたレンズの数が増えており、ここで使用される材料は、多くの場合、熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。
【0008】
ホトクロミック的にドープされたプラスチックの一般的な文脈において、特許文献から幾つかの開示を下記に記載する。流し込み工程において架橋により加工してレンズを得るCR39のような系についての多種多様な記載は、本発明はそのような系を包含しないので意図的に詳細を提示しない。
【0009】
特許文献1は、可塑剤が混合されている(2〜15質量%)PET(ポリエチレンテレフタレート)プラスチックマトリックスをホトクロミック染料でドープしたホトクロミック系を記載する。このマトリックスの選択の意図は、そのような層の光及び熱への持続的な暴露下での長期安定性を改善すること、及びこの層を、例えばナイロンフィルムに適用できることである。
【0010】
特許文献2は、同様に、耐熱性及び耐候性が意図されるホトクロミック材料を記載する。これは、透明なプラスチックと、ヒドロキシル基を有する規定された割合のモノマーを有するポリマー、例えばPVB(ポリビニルブチラール)又はポリビニルアセテートである添加剤から構成される、プラスチックマトリックスにより構成される。多種多様の可能な系が透明なプラスチックとして記述されており、例はPMMA、PC、透明ナイロンなどである。
【0011】
特許文献3も、上記の2つの明細書と同様に、着色した乗り物のフロントガラス部分についてであり、2つのガラス層と、ホトクロミック材料を含む中間層から構成される多層構造を記載する。この中間層の透明材料として多数の可能性が記述されており、とりわけ、ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びポリアミド樹脂である。染料として、とりわけスピロオキサジンが記述されており、染料の特有の配分が利点として強調されている。
【0012】
特許文献4は、PC基材と、熱可塑性ポリウレタン(TPU)により構成されるホトクロミック的にドープした被覆から構成された、ホトクロミックレンズを記載する。この被覆を、成形型内被覆工程によりPC予備成形品に適用する。
【0013】
特許文献5は、プラスチック、ホトクロミック染料及びUV吸収剤から構成されたホトクロミック系を記載する。この文書に記載されているこの系による利点は、短いスイッチングタイム及び長い寿命である。可能性のあるマトリックスとして提案されている材料、すなわち上記の意味のプラスチックは、ポリアミドであり、とりわけポリエーテルセグメントを有するポリアミドブロックコポリマーである。
【0014】
特許文献6は、レンズのようなホトクロミック改質光学的物品を記載する。ここでホトクロミック染料は、ポリマーアクリレートに、特にアクリレート改質デンドリマーポリマーマトリックスに埋め込まれている。非常に多種多様な系が、アクリレート改質デンドリマーポリマーマトリックスとして提示されているが、デンドリマーポリエステルアクリレートだけが実施例に使用されている。
【0015】
特許文献7は、ポリマー材料から構成されるメソ−及びナノチューブを記載し、多数の可能なもののリストが、チューブの可能な材料として提示されている。実施例に提示された材料は、ポリ(p−キシレン)、ポリイミド、アルミニウム及びケイ素を含み、そのようなチューブの空洞を熱変色性又はホトクロミック材料で充填できるという事実を通り越して記述がなされている。
【0016】
特許文献8は、染料浴の収集及びこれらの水性浸漬浴における機能性添加剤の使用による成形品の染色又はドーピングの工程を開示する。眼用レンズ、サングラス用のレンズ、拡大鏡などのような成形品は、実質的に、透明又は半透明の(コ)ポリアミド、ここではとりわけMACM12を含むか、あるいは(コ)ポリアミドのみのブレンドを含む。色は、均一の色又は勾配を有する色として設計することができる。グリコールの適切な組み合わせである浸漬浴添加剤、及び特定の浸漬工程を使用して、成形品において又は前記成形品を含む複合材において均一の色分布が得られ、ここでは、<1%の色の深さで10〜93%の光透過率である、低い曇り値が達成される。
【0017】
特許文献9は、食品包装用の透明なホイルの領域におけるポリアミドとポリエステルアミドから構成される混合物を開示する。
【0018】
【特許文献1】特開昭63−027837
【特許文献2】特開平01−180536
【特許文献3】特開平01−024740
【特許文献4】国際公開公報WO01/49478
【特許文献5】国際公開公報WO2005/030856
【特許文献6】米国特許出願第2007/0045596号
【特許文献7】米国特許第6,667,099号
【特許文献8】ヨーロッパ特許第1712581号
【特許文献9】ヨーロッパ特許第0922731号
【非特許文献1】Rompp Lexikon Chemie [Rompp's Chemical Encyclopedia], 10th edition, page 3303, Georg Thieme Verlag, Stuttgart
【非特許文献2】J.F. Rabek in "Mechanisms of Photophysical Processes and Photochemical Reactions in Polymers", chapter 10, pages 377 - 391
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明は、とりわけ、従来技術の材料よりも改善されたホトクロミック材料を提供するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的は、特に、70〜99.99質量%の割合で少なくとも1つの透明なポリエステルアミド(PEA又はPESTAとも呼ばれる)、及び0.01〜2質量%の割合で少なくとも1つのホトクロミック染料を含むホトクロミックポリアミド成形組成物を提供することによって達成される。ホトクロミックポリアミド成形組成物は、場合により、少なくとも1つの更なるポリマーを、特に0〜30質量%の割合で含むことができる。ここではこの材料は、とりわけ、場合により更なる染料及び/又は添加剤を含むこともできる。ポリアミド成形組成物は、1つのポリエステルアミドのみ及びホトクロミック染料、又は1つのポリエステルアミドのみ、1つの更なるポリマー、好ましくはポリアミド及び染料のいずれかで形成されることが好ましい。ここでは、ホトクロミック染料を材料と予め混合する必要がなく、ポリエステルアミドと更なるポリマーから構成される混合物を初期装填として使用すること、及び物品の製造(例えば、射出成形プロセルにおけるレンズの製造)の後又は間に、例えば浸漬浴中で物品に染料を導入することも可能である。
【0021】
更なるポリマーは、好ましくは透明なポリマーである。
【0022】
ポリエステルアミドは、好ましくは、エステル画分又はポリエステル画分から誘導される少なくとも1つの無定形相を有し、この相のガラス移転温度は高々20℃である。この透明なポリエステルアミドの無定形相のガラス移転温度は、好ましくは0℃未満、好ましくは高々20℃以下である。このようにすると理想的なホトクロミック動力学を得ることができる。
【0023】
硬質セグメント、すなわち通常はポリエステルアミドの直鎖ポリアミド画分も、好ましくは最大融点(Tm)を有する。これは、好ましくは高々240℃、好ましくは高々220℃、特に高々200℃であるべきである。ガラス移転温度に関しても、硬質セグメントは、最大値を超えるべきではない。Tgの前記最大値は、高々180℃、好ましくは高々150℃、特に高々140℃であるべきである。
【0024】
本明細書で使用されるような、透明なポリエステルアミド又は透明な成形組成物又は透明な更なるポリマーという用語は、ポリエステルアミド又は成形組成物又は更なるポリマー(純粋な形態、すなわち本発明の成形組成物の上記に記載された更なる構成成分のない形態)が厚さ2mmの薄いプラークの形態を取る場合、その光透過率が少なくとも80%である、ポリエステルアミド又は更なるポリマー又はこれらから形成された成形組成物を示すことが意図される。ここで光透過率は、70×2mmの寸法のディスクで200〜800nmの範囲によりPerkin ElmerからのUV/VISスペクトロメーターで測定する。透過率の値は、500〜700nmの波長範囲について、又は波長600nmについて記述している。この目的のため、例として70×2mmのディスをArburg射出成形機により製造し、研磨成形型において、シリンダー温度は200〜340℃であり、成形型温度は、20〜140℃である。
【0025】
したがって、ポリエステルアミド及び/又は成形組成物の透過率は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは88%を超えることが好ましい。これよりも低い透過率、実際には僅かな曇りがあることも、光学的規格のより低い成分又はホトクロミック工程が反射においてのみ関連する成分(例えば、装飾品)にとっては可能である。一つの好ましい実施態様において、更なるポリマーの透過率も、少なくとも85%である。
【0026】
ポリエステルアミド及び/又は成形組成物の曇り度が高々10%、好ましくは高々8%、特に好ましくは高々5%(ASTM1003、層厚2mm)であることが、更に好ましい。
【0027】
数年前に、光学的用途に必要とされる純度の無定形ポリアミド、例えば、DE−A−19642885に記載され、EMS CHEMIE, Switzerlandから商標Grilamid TR 90で入手可能なMACM12型のポリアミドの製造に成功しているが、単にホトクロミック染料を添加しただけでは、この種類の純粋系から製造されたレンズにおいて満足できるホトクロミックな結果を得ることはできない。
【0028】
ここでMACMは、ISO名称のビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンを表し、商標Laromin C260等級の3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(CAS No.6864−37−5)で市販されている。数字の12は、脂肪族直鎖C12ジカルボン酸(DDA、ドデカン二酸)を表し、これにジアミンMACMが重合している。
【0029】
驚くべきことに、ホトクロミック染料を透明なポリアミドに添加しても満足できるホトクロミック挙動が得られないという以前の経験に反して、本発明の材料を加工してホトクロミック物品を得ると、予想外に長寿命の可逆的なホトクロミック挙動、すなわち多くの繰り返しが可能であるホトクロミック挙動を示すことが見出された。更に好ましい染料は、最も安定したホトクロミック系のものである。更に切換処理(励起)は素速く進行し、熱逆反応も同様に数秒から高々数分の有用な時間内にほぼ完全に進行する。
【0030】
通常、ガラス移転温度が100℃未満の直鎖ポリアミド材料のみ、すなわちポリエステルアミドの形態を取らないものだけが、顕著なホトクロミック挙動を示す(例は、MACM36又はPACM36であり、ここでPACMは、ISO名称のビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンを表し、これはDicykanの等級の4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(CAS No.1761−71−3)として市販されている)。しかし、これらの機械的又は熱特性における欠点が、一般に、これらを例えば眼用レンズ用途に不適切にしている。染料と共に、更なるポリマーの透明な(コ)ポリアミドへの添加が、可能である。しかし、高い必要条件が、特に眼用レンズ用途においてこれらのポリマー又は得られた混合物(ブレンド)に課され、混合は、通常、ブレンドに曇りをもたらす。しかし、混合物(ブレンド)の光学特性(透過率、曇り、アッベ数)は、直鎖ポリアミドよりも実質的に劣っているべきではない。ホトクロミック工程は、良好な動力学(数秒から数分の時間内、好ましくは20〜60秒内に暗色化する又は退色する)を有し、長い寿命にわたって続くべきである。このことは、提案している材料及びそれから製造される物品の場合も同じである。上記に記述したように、これらのバルク着色物品の良好な特性は、物品が染料なしのブレンドから製造され、染料が物品の成形の後に、例えば浸漬浴により導入される場合でも生じる。透明なポリエステルアミドと共に、任意の更なるポリマーの存在は、主に染料の励起の際に生じ、かつ一般に色変化を必要とする配置変化及び/又は配座変化の可逆的作用を許容する環境をホトクロミック染料のために作り出すことができるが、これは、ポリエステルアミド単独でも達成することができる。
【0031】
使用することができる更なるポリマーの例は、DE−A−10224947、DE−A−10122188、CH−A−688624又はEP−A−0725100に記載されているポリアミド及び/若しくはコポリアミド、又はこれらの混合物である。前記文献、並びにそれに記述されているポリアミド系及びコポリアミド系の開示は、更なるポリマーとしての透明なポリアミドに関して、本記載に明確に組み込まれる。特に好ましいものは、化学構造が、使用されるポリエステルアミドのポリアミド画分の構造に近いか、又はそれと同一か、又はそれと適合性がある、無定形又は微晶質ポリアミドである。例として、MACM12に基づいた硬質セグメントを有するポリエステルアミドを使用する場合、好ましい更なるポリマーも同様に実質的にポリアミドMACM12に基づいている。
【0032】
基本材料としてポリエステルアミドを使用する一つの利点は、眼用レンズの製造に今まで使用されてきた、重合(架橋)を結果的に伴う伝統的な流し込み法を必要とする材料であるCR39又はアクリレートのような材料と対照的に、透明なポリエステルアミド又はそれらのブレンドは、少ないサイクル数で簡単な射出成形工程により加工することができる、すなわち低価格で大量生産することができる。したがって本発明のポリアミド成形組成物は、好ましくは非架橋性でもある。
【0033】
ホモポリアミド/コポリアミドの高含有量を有するポリアミド成形組成物と比較した利点は、相対的に低い加工温度であり、本発明のポリアミド成形組成物の場合では、180〜260℃の範囲であるが、少なくとも50%のホモポリアミド/コポリアミドの含有量を有するポリアミド成形組成物の場合では、この温度は、240℃〜320℃のより高い範囲である。更に、柔軟性のあるポリエステルアミドの割合が高いと、提案しているポリアミド成形組成物から構成される成型品を、著しくより柔軟性にし、またより耐衝撃性にする。したがってこれらの成型品は、例えば、ホトクロミック染料を有するこの種類のポリエステルアミドのホイルを使用するレンズの被覆に特に適している。すなわち、提案している材料は、室温でISO179の耐衝撃性及びノッチ付耐衝撃性試験を破壊なしに合格したことが見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
最初の一つの好ましい実施態様によると、ポリアミド成形組成物は、少なくとも1つのポリエステルアミド又は単独のポリエステルアミドの存在が、40〜95質量%を占めるポリアミド画分及び5〜60質量%を占めるポリエステル画分から構成されるものである。ここでポリエステルアミドにおける反復単位としてのポリアミド単位及びポリエステル単位の配置は、ランダム、交互又はブロック様であることができる。本発明のポリエステルアミドは、例としては、DE19820661C1に記載されている方法及び記載されている出発材料を使用して製造することができる。ここで好ましいものは、ポリアミド成分、並びに脂肪族ポリアミドPA6、PA66、PA69、PA610、PA1010、PA11、PA12、PA612、PA6/12、PA614、PA618及びPA636に基づいている、それぞれのポリアミドの硬質セグメント、またこれらのコポリマーである。
【0035】
しかし、特に好ましいものは、無定形又は微晶質の硬質セグメントを含有するポリエステルアミドである。本発明のポリエステルアミドにおけるポリアミドの無定形又は微晶質の硬質セグメントの数平均モル質量は、500〜6000g/molの範囲、好ましくは700〜5000g/molの範囲、極めて特別に好ましくは750〜3000g/molの範囲である。
【0036】
微晶質ポリアミド硬質セグメント、又はそれぞれのコポリアミドの硬質セグメントが使用される場合、この微晶質ポリアミド硬質セグメント及び/又はコポリアミドの硬質セグメントの縮合エンタルピーは、4〜40J/gの範囲、特に4〜25J/gの範囲(示差走査熱量測定、DSCにより測定)であることが好ましい。ポリアミド/コポリアミドの微晶質の硬質セグメント構成成分が、高分子量形態で加工され、更なる構成成分を有さない場合に透明な成形品を与えるポリアミド系であることが好ましい。このことは、結晶の大きさが可視光線の波長より小さいことを意味する。上記に記述したように、硬質セグメントの選択は、好ましくは、融点及び/又はガラス移転温度が好ましい最大値を超えないようなものである。更に微晶質ポリアミド硬質セグメントのガラス移転温度は、好ましくは、少なくとも50℃超、好ましくは80℃超、特に好ましくは100℃超であり、その融点は、少なくとも120℃、好ましくは少なくとも135℃、特に少なくとも150℃である。
【0037】
一つの好ましい実施において、ポリアミド硬質セグメントは、脂環式ジアミン及び/又は芳香族環を有するジアミン(例えば、MXDA又はPXDA)に基づいた微晶質ポリアミド及び/又はコポリアミドである。ここで、これは、脂環式ジアミン及び6〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸に基づいていることが好ましく、脂環式ジアミンは、好ましくはMACM及び/又はPACM及び/又は追加の置換基を有するか若しくは有さないIPD(イソホロンジアミン)であり、特に好ましいものは、それぞれの場合において6〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸を使用するMACM/PACM型のコポリアミドであり、例えば、好ましくは55モル%を超える、特に70モル%を超えるPACM濃度を使用するMACM12/PACM12である。ここでMACMは、ISO名称のビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンであり、商標Laromin C260等級の3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(CAS No.6864−37−5)で市販されている。それぞれの場合において表現MACMの後の数字は、脂肪族直鎖ジカルボン酸を表し(例えば、C12はドデカン二酸である)、これにはジアミンMACMが重合している。PACMは、ISO名称のビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンであり、これはジシカングレードの4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(CAS No.1761−71−3)として市販されている。
【0038】
代替案として又は追加的に、上記に説明したように、ポリアミド硬質セグメントは、無定形ポリアミド及び/又はコポリアミドであることが可能であり、その縮合エンタルピーは、好ましくは4J/g未満(示差走査熱量測定、DSCにより測定)である。無定形ポリアミド硬質セグメントのガラス移転温度は、好ましくは少なくとも50℃超、好ましくは80℃超、特に好ましくは100℃超である。
【0039】
別の好ましい実施態様は、無定形ポリアミド硬質セグメント及び/又は無定形コポリアミド硬質セグメントが、脂肪族及び/又は脂環式ジアミンに基づくものであり、好ましいものが、MACMI/12型の無定形ポリアミドであり、この場合のラウロラクタムの含有量が好ましくは50モル%より少ない、特に35モル%より少ないものである。それぞれの場合において、Iはイソフタル酸を表す。
【0040】
別の実施態様において、ポリアミド硬質セグメントは、8〜18個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸に基づくか、若しくは6〜36個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸に基づいているか、又は好ましくはラクタム及び/又はアミノカルボン酸に基づいている、これらのホモポリアミド及び/若しくはコポリアミドの混合物であり、ここで芳香族ジカルボン酸は、例としてTPA(テレフタル酸)及び/又はIPA(イソフタル酸)である。ホモポリアミド及び/又はコポリアミドの硬質セグメントは、有利には、6I/6T、TMDT、6I/MACMI/MACMT、6I/6T/MACMI、MACMI/MACM36、6I、並びに12/PACMI、12/MACMI、12/MACMT、6/PACMT、6/6I、6/IPDTのようなラクタム含有ポリアミド又はこれらの混合物の群から選択されるポリアミドであることができる。他の可能な系は、MACM6−18若しくはPACM6−18、MACM6−18/PACM6−18、6I/PACMI/PACMT、又はこれらから形成される混合物である。ISO1874−1の名称がポリアミドに使用されてきた。ここでは、それぞれの場合において、Iはイソフタル酸を表し、Tはテレフタル酸を表し、TMDはトリメチルヘキサメチレンジアミンを表し、IPDはイソホロンジアミンを表す。
【0041】
ホモポリアミド及び/又はコポリアミドの硬質セグメントは、少なくとも1つのジカルボン酸に基づき、かつ芳香族環を有する少なくとも1つのジアミンに基づいた、好ましくはMXD(メタ−キシリレンジアミン)に基づいたポリアミドであることが更に有利及び可能であり、ここで、ジカルボン酸は、芳香族及び/又は脂肪族であることができ、材料の好ましい例は6I/MXDIである。
【0042】
別の好ましい実施態様は、少なくとも1つの透明ポリエステルアミドの質量に基づいた割合での存在が、80〜99.9質量%、好ましくは90〜99.9質量%、特に好ましくは95〜99.9質量%であるものであり、そのような透明なポリエステルアミドは1つしか存在しないことが特に好ましい。ポリアミド成形組成物は更なるポリマーを含まないことが特に好ましい。
【0043】
別の好ましい実施態様は、0.5質量%のm−クレゾール溶液中のポリエステルアミドの20℃での溶液粘度(ηrel)が、1.3〜2.5、特に好ましくは1.4〜2.3であり、及び/又はその弾性率が、2000Mpa未満、好ましくは1200Mpa未満、特に好ましくは500Mpa未満であるものである。
【0044】
更なるポリマーの溶液粘度又は相対粘度ηrelは、好ましくは1.3〜2.0、特に1.40〜1.85である。更に、更なるポリマーのガラス移転温度Tgは、通常90℃超、好ましくは110℃超、特に好ましくは130℃超である。
【0045】
更なるポリマーのガラス移転温度は、特に90℃を超えることができ、その透過率は、特に、80%を超える又は85%を超えることができる。
【0046】
以下の構造出発材料がポリエステルアミドに関して好ましい:少なくとも1つのポリアミドに基づき、かつ少なくとも1つのポリエステル画分及び/又はエステル画分に基づいた透明なポリエステルアミドであり、ここでポリアミドはジカルボン酸及びジアミンから、並びに又はラクタム及び/若しくはアミノカルボン酸から形成されており、ポリエステル画分及び/又はエステル画分は、ジオールから及びジカルボン酸から形成されている。
【0047】
ジカルボン酸(ポリアミド画分とポリエステル画分の両方):
少なくとも1つのジカルボン酸は、以下の群:脂肪族C4〜C44二酸、脂環式C8〜C36二酸、芳香族二酸(好ましくはTPA、IPA又はNDA)、あるいはこれらの混合物又は組み合わせの群から選択されうる。少なくとも1つのジカルボン酸は、好ましくはアジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸及びこれらの混合物の群から選択される。<
【0048】
ジアミン:
分岐鎖若しくは非分岐鎖脂肪族C4〜C18ジアミン、脂環式C8〜C20ジアミン、芳香族環を有するジアミン(好ましくは、MXDA、PXDA)、ポリオキシアルキレンジアミン(C2〜C4アルキレン)、またこれらの混合物又は組み合わせの群から選択されるジアミン。少なくとも1つのジアミンは、好ましくは、メチルペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、メチルオクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ドデカンジアミン、m−キシレンジアミン、MACM、PACMの群から選択される。
【0049】
ラクタム又はアミノカルボン酸:
カプロラクタム、ラウロラクタム、アミノカプロン酸、アミノラウリン酸、アミノウンデカン酸の群から選択されるラクタム又はアミノカルボン酸。
【0050】
ジオール:
脂肪族C2〜C36ジオール、脂環式C6〜C36ジオール、芳香族環を有するC8〜C36ジオール、エーテル基を含有するジオール、ポリカプロラクトンジオール又はこれらの組み合わせの群から選択されるジオール。ジオールは、好ましくは、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、C36二量体脂肪性ジオール、ポリオキシアルキレンジオール(C2〜C4アルキレン)(特に200〜2000g/molの範囲のモル質量)、500〜3000g/mol(特に好ましくは750〜2000g/mol)の範囲のモル質量のポリカプロラクトンジオール、またこれらの組み合わせから選択される。
【0051】
ポリオキシアルキレンジオール及び/又はジアミンが使用される場合、軟質セグメントとして知られている、ポリエステル画分又はエステル画分の全体に基づく濃度は、好ましくは高々75質量%、特に高々50質量%である。
【0052】
好ましいポリアミド画分:
透明なPESTAは、好ましくは、PA6、PA66、PA610、PA612、PA6/12、PA1010、PA11、PA12、PA MACM6−18、PA PACM6−18、MACM6−18/PACM6−18、6T、9T、10T及び/又は12T単位を含むコポリマー、並びにこれらの混合物及び/又は組み合わせの群から選択されるポリアミド系に基づいているポリエステルアミドである。
【0053】
好ましいポリエステル画分及び/又はエステル画分:
透明なPESTAは、好ましくは、C36ジオール及び/又はアジピン酸及び/又はセバシン酸及び/又はC36二量体脂肪酸及び/又はテレフタル酸から構成されるポリエステルを使用する、ポリエステル画分及び/又はエステル画分に基づいているポリエステルアミドである。
【0054】
更なるポリマーは、脂肪族及び/又は脂環式ジアミンに基づき、かつ6〜40個、好ましくは6〜36個、特に好ましくは10、12、14若しくは18個の炭素原子を有する脂肪族及び/又は芳香族ジカルボン酸に基づいたポリアミドであることができるか、或いはホモポリアミド及び/又はこの種類のコポリアミドの混合物であるか、並びに/或いは軟質セグメントを有するポリアミドブロックコポリマーであるか、並びに/或いは以下の群:軟質セグメントを有するポリエステル;軟質セグメントを有するTPUエラストマー;アクリレートポリマー;特に好ましくは長側基を有するメタクリレートポリマー;ポリカーボネートコポリマー;好ましくはアクリロニトリル、ブタジンエン、アクリレート、メタクリレートに基づくスチレンコポリマー;ポリオレフィン、特にグラフトポリオレフィン;特にプロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ウンデセン、ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、イソプレン、イソブチレン、(メタ)アクリル酸の誘導体、酢酸ビニル、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロペン及び2−クロロブタジエンに基づくエチレンコポリマー;ポリイソブチレン;ポリブチルアクリレート、また、これらの組み合わせ及び混合物から選択される系である。
【0055】
原則的には、上記の定義において記述したように、更なるポリマーは、微晶質ポリアミド、又は無定形ポリアミド、又は2つ(若しくはそれ以上)のそのようなポリアミド(若しくは同様に対応するコポリアミド)の混合物であることができる。微晶質ポリアミド、又はそれぞれのコポリアミドが使用される場合、前記微晶質ポリアミド及び/又はコポリアミドの縮合エンタルピーは、4〜40J/gの範囲、特に4〜25J/gの範囲(示差走査熱量測定、DSCにより測定)であることが好ましい。微晶質ポリアミド/コポリアミドは、好ましくは、更なる任意の構成成分なしに加工した場合に透明な成形品が得られるポリアミドである。
【0056】
一つの好ましい実施において、更なるポリマーは、脂環式ジアミン及び/又は芳香族環を有するジアミン(例えば、MXDA又はPXDA)に基づいた微晶質ポリアミド及び/又はコポリアミドである。
【0057】
ここで、これは、脂環式ジアミン及び6〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸から構成されており、脂環式ジアミンは、好ましくはMACM及び/又はPACM及び/又は追加の置換基を有するか若しくは有さないIPD(イソホロンジアミン)であり、全体が、それぞれの場合において6〜18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸を使用するMACM/PACM型のコポリアミドであることが特に好ましく、例えば、好ましくは55モル%を超える、特に70モル%を超えるPACM濃度を使用するMACM12/PACM12である。
【0058】
代替案として又は追加的に、上記に説明したように、更なるポリマーは、無定形ポリアミド及び/又はコポリアミドであることができ、その縮合エンタルピーは、好ましくは4J/g未満(示差走査熱量測定、DSCにより測定)である。成分Bとして使用される無定形ポリアミドのガラス移転温度は、好ましくは、90℃超、好ましくは110℃超、特に好ましくは130℃超である。
【0059】
別の好ましい実施態様は、更なるポリマーが、脂肪族及び/又は脂環式ジアミンに基づいた無定形ポリアミド及び/又は無定形コポリアミドであり、好ましいものが、MACMI/12型の無定形ポリアミドであり、この場合のラウロラクタムの含有量が好ましくは50モル%より少ない、特に35モル%より少ないものである。それぞれの場合において、Iはイソフタル酸を表す。
【0060】
したがって、更なるポリマーは、8〜18個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸に基づくか、若しくは6〜36個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸に基づいているポリアミドであるか、又は好ましくはラクタム及び/若しくはアミノカルボン酸に基づいている、そのようなホモポリアミド及び/若しくはコポリアミドの混合物であることができ、ここで芳香族ジカルボン酸は、例としてTPA(テレフタル酸)及び/又はIPA(イソフタル酸)である。(透明な)ホモポリアミド及び/又はコポリアミドは、有利には、6I/6T、TMDT、6I/MACMI/MACMT、6I/6T/MACMI、MACMI/MACM36、6I、並びに12/PACMI、12/MACMI、12/MACMT、6I/PACMT、6/6I、6/IPDTのようなラクタム含有ポリアミド又はこれらの混合物の群から選択されるポリアミドであることができる。他の可能な系は、MACM6−18若しくはPACM6−18、MACM6−18/PACM6−18、6I/PACMI/PACMT、又はこれらから形成される混合物である。
【0061】
更なるポリマーは、少なくとも1つのジカルボン酸に基づき、かつ芳香族環を有する少なくとも1つのジアミンに基づいた、好ましくはMXD(メタ−キシリレンジアミン)に基づいたホモポリアミド及び/又はコポリアミドであることが更に有利及び可能であり、ここで、ジカルボン酸は、芳香族及び/又は脂肪族であることができ、材料は、例えば、好ましくは6I/MXDIである。
【0062】
更なるポリマーは、MACM12(例えば、Grilamid TR 90)、MACM14、MACM18の群から選択されるホモポリアミド、並びに/或いはMACM12/PACM12、MACM14/PACM14、MACM18/PACM18の群から選択されるコポリアミド、並びに/或いは8〜18個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸に基づいているホモポリアミド及び/又はコポリアミド、或いは好ましくはラクタム及び/又はアミノカルボン酸に基づいている、そのようなホモポリアミド及び/又はコポリアミドの混合物であり、ここで芳香族ジカルボン酸は、好ましくはTPA(テレフタル酸)及び/又はIPA(イソフタル酸)である。そのような系の屈折率は、好ましくは1.50以上であり、アッベ数は、40以上であり、密度は、1.1g/cm3以下である。
【0063】
更なるポリマーとしての透明なホモポリアミド及び/又はコポリアミドは、好ましくは、6I/6T、TMDT、6I/MACMI/MACMT、6I/6T/MACMI、MACMI/MACM36、6I、12/PACMI、12/MACMI、12/MACMT、12/MACM12、6/PACMT、6/6I、6/IPDT又はこれらの混合物の群から選択されるポリアミドである。
【0064】
特に、透明なホモポリアミド及び/又はコポリアミドの形態の更なるポリマーの溶液粘度(ηrel)は、1.3〜2.0、特に好ましくは1.40〜1.85であり、及び/又はそのガラス移転温度Tgは、90℃超、好ましくは110℃超、特に好ましくは130℃超であることが一般に有利である。
【0065】
曇り度及び光互変効果を、ナイロン−12、特に低粘度PA12(m−クレゾールの質量に基づいて0.5%濃度の溶液中、20℃でのDIN EN ISO 307の溶液粘度又は相対粘度ηrelが、1.5〜2.0、好ましくは1.6〜1.9)の添加により改善することができる
【0066】
更に、ナイロン−12及び/又はポリアミドオリゴマーの添加は、ホトクロミックポリアミド成形組成物の攻撃性の低い加工、又は熱可塑性成形組成物へのホトクロミック染料の攻撃性の低い組み込みを許容し、それによって、押出及び/又は射出成形工程の際に、感受性のあるホトクロミック染料の分解を実質的に防止することができる。適切なポリアミドオリゴマーの例は、好ましくは1500〜2500g/molの平均モル質量を有し、特に好ましくは主に非縮合性アルキル末端基を有するナイロン−12オリゴマーである。
【0067】
更なるポリマーとポリエステルアミドの溶液粘度の比率が、1.2より小さい、特に1.1より小さい場合、起こりうるゲートマークを避けることができる(本開示の目的のために、ηrelは、常にDIN EN ISO 1628−1又はDIN EN ISO 307に準じている)。ポリマー成分の同一の化学構造では、2つのポリマー成分の溶液粘度の比率が低下すると、曇り度も低減する。ナイロン−12オリゴマーの添加は、低い溶融粘度及び長い流路のために、全体的な加工を容易にする。
【0068】
ホトクロミック染料は、通常、UV又は短波VISにより可逆的に励起可能であり、好ましくは染料はスピロオキサジンに基づいている。励起可能であるとは、染料がポリマーから構成されるマトリックスの中、すなわち本発明の透明なポリエステルアミドの中及び透明なポリエステルアミドと更なるポリマーのブレンドの中に埋め込まれている場合、励起が、状態を、可視光線が吸収されるように吸収スペクトルを変化する状態へ変換できることを意味する。可視光線範囲で達成可能なフィルター効果は、ホトクロミック染料の選択及びその濃度の調整によって広範囲に調整することができる。例えば、初期透過率(一般に80〜90%)の40%さらには10%への低減を完全に可逆的に達成することができる(それぞれの場合、平らな並行面で1、2又は3mm厚のプラークにより測定する)。ここでホトクロミック染料は、0.01〜2%の範囲、好ましくは0.05〜0.15%の範囲、特に0.1〜1%の範囲の濃度で使用される。
【0069】
ホトクロミック系として組み込むことができる他の可能性のある染料は、例としては、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology Vol. 6, "Chromogenic Materials, Photochromic", pages 587-605, John Wiley and Sons, Inc.、あるいは Heinz Durr, Henri Bouas-Laurent (Eds.), Photochromism: Molecules and Systems, Elsevier 2003に記載されている。これらの染料は、本発明のブレンドへの添加に関して、本開示に明確に組み込まれ、ここで好ましいものは、これらの選択肢に記載されているスピロオキサジンである。他の可能性のある系は、特に、DE−A−3622871に記載されているもの、又はWO2005/030856に記載されているもの、又はEP−A−0313941に記載されているものである。これらの染料も、本明細書に参照として明確に組み込まれる。
【0070】
暗色化(染料の励起波長の照射による成分の着色)及び淡色化(染料の熱逆反応により可視波長領域で吸収しない形態にする)に関するスイッチングタイムは、非常に素速く、僅か数秒である(室温での確定されたサイクルにおいて5〜20秒、以降の文章を参照すること)。
【0071】
記述された添加剤は、UV安定剤、熱安定剤若しくはフリーラジカルスカベンジャーのような安定剤であり、及び/又は加工助剤、可塑剤若しくは更なるポリマーであり、及び/又は、好ましくは特に屈折率のような光学特性に影響を与える機能性添加剤でありうるか、又はこれらの組み合わせ若しくは混合物でありうる。成形組成物は、更に、ナノスケール充填剤及び/又はナノスケール機能性材料を含むことができ、例は、眼用レンズの屈折率を増加する、層状鉱物又は金属酸化物である。
【0072】
光学フィルタリングは、眼鏡用レンズにおいて2つの機能を有する。第1には、眼に影響を与える光の強度を低減すること、第2には、危険なUV放射線が眼に進入するのを防止することである。大部分のホトクロミック染料がUV−A及びUV−B領域に強力な吸収帯を有するので、Tinuvin 326のような更なるUV吸収剤(UVブロッカー)の濃度が低くても、眼鏡用レンズのUV領域において十分に高い吸収を達成するのに十分である。
【0073】
本発明は、更に、上記で特徴付けしたポリアミド成形組成物から構成される少なくとも1つの領域又は1つの層を有する透明な、好ましくは曇りのない物品を提供する。
【0074】
特に、高い規格の光学的用途におけるこの種類の物品が提供され、特に、物品は、ポリアミド成形組成物から構成される層の層厚が2mmである場合、500〜700nmの波長範囲で曇り度が10未満、好ましくは8未満であり、透過率が80%超、好ましくは85%超であるものである。
【0075】
この種類の物品は、ホイル、異形材、管、中空体、又は光学可変フィルター、又は光学レンズであることができる。したがって、例としては、眼用レンズ、又はこの種類のレンズのための被覆の形態のホイルであることができ、特に好ましくは、例えば眼鏡レンズ、サンレンズ、屈折補正用レンズ若しくは光学フィルターの形態の又は光信号処理用スイッチングアセンブリー、スキー用ゴーグル、日除け、安全眼鏡、写真記録、ディスプレー、光学データ記憶若しくは建物及び乗り物の窓の形態のスペクトルフィルター作用の要素であることができるか、又は、例えば眼鏡枠、玩具、若しくはカバーの形態の、特に携帯電話のケース、電子装置の部品、特に包装用の、装飾品用の、スポーツ用具用の、若しくはクラッディング用の、好ましくは自動車部門における被覆の形態の装飾要素又は構造要素であることができる。
【0076】
ここで物品は、色勾配を有し、及び/又はホトクロミック被覆、反射防止被覆、引掻き抵抗性被覆、光学フィルター被覆、偏光被覆、酸素遮断被覆又はこれらの被覆の組み合わせを有することができる。
【0077】
ポリアミド成形組成物から構成される領域又は層のガラス移転温度は、典型的には50℃超、好ましくは80℃超、特に好ましくは100℃超であり、及び/又はその融点は、120℃超、好ましくは135℃超、特に好ましくは150℃超である。
【0078】
ホトクロミックポリエステルアミド成形組成物を、射出成形によってバルク着色成分に直接変換することができる。しかし、ホトクロミック成形組成物から構成されるホイル又は挿入物を、透明なポリアミド又は他のポリマーで成形型内被覆することも考えられる。更に成分を適切な着色転写工程又は熱転写工程によってホトクロミック染料でドープすることもできる。本発明の成形組成物を、射出成形だけでなく押し出しにより加工して、例えば、繊維、ホイル、管、異形材又は中空体を得ることもできる。
【0079】
したがって本発明は、上記に記載された、すなわち上記の前段に記載されたポリエステルアミド成形組成物に基づいた物品の製造方法も提供する。その工程は、特に好ましくは、このポリアミド成形組成物を、押し出し工程、射出成形工程又は成形型内被覆工程において成形して物品を得て、適切である場合、ホトクロミック染料を浸漬浴工程及び/又は熱転写工程の下流に導入して、透明なポリエステルアミドと更なるポリマーから構成される混合物の中に入れることができ、ホトクロミック物品は、ホイルであることもでき、それを基材、好ましくは光学レンズに積層又は接着結合を介して適用することができることを含むものである。
【0080】
ホトクロミック染料を、ポリエステルアミド及び更なるポリマーと一緒に配合し、ここで、染料を、ポリエステルアミドと更なるポリマーから構成されるポリマー溶融物に定量ポンプの助けを借りて液体濃縮物の形態で加えることができ、及び/又は染料を固体又は液体(例えば、溶液)の形態でドラムミキサーの中の他の成分に適用し、適切であれば、ローリング適用工程に助剤を使用することもできる。
【0081】
本発明は、染料及びポリエステルアミド、及び/又は更なるポリマーを加工して、好ましくは30%までの高色濃度のマスターバッチを得て、前記マスターバッチの必要量をポリエステルアミド及び/又は更なるポリマーと押出機で加工して、ペレットを得るか、又は射出成形機で直接変換して、最終成形品とする、バルク着色成形品の製造方法も提供する。
【0082】
(発明を実施する方法)
更なる実施態様が従属クレームに記載されており、本記載に含まれる。
【0083】
下記の実施例を使用して、本発明を説明する。実施例は、ポリアミド成形組成物をどのようにして調製し、例えば加工して、成形品を得ることができるかを示すことが意図されており、添付の特許請求項に定義されている保護される主題を限定するものとして解釈されることを意図していない。
【0084】
本発明の実施例1〜6及び比較例(CE)1及び3
出発材料IE1〜IE5(全てPESTA等級)及びCE1(ポリエーテルアミド)、またCE3(軟質セグメントのないMACM12)を最初に重合工程により調製した。表1は、重合材料で測定した対応する構造及び特性をまとめる:
【0085】
【表1】

表1:本発明の実施例IE1〜IE5及び比較例CE1及びCE3、nssは軟質セグメントの存在なしを表し;n.f.は破壊なしを表し;n.m.は測定不能を表す。
【0086】
ここで以下の材料が使用される:
DDA ドデカン二酸。
MACM ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン。
Pripol 2033は、Uniqemaから入手可能なC36ジオール(CAS No.147853−32−5)である。
Priplast 3197は、二量体ジオール、例えばPripol 2033と、Uniqemaから入手可能なC36二量体脂肪酸により調製された二量体ジオールダイマレート(CAS No.177591−08−1)である。
Tyzor NPZ Dupontより入手可能なテトラ(n−プロピル)ジルコネート。
Elastamine RP-409は、モル質量が約440g/molであり、Huntsmanから入手可能なポリエーテルジアミンである。
【0087】
出発材料は、上記記載の材料を撹拌タンクの中に投入することによる以下のように調製した:
ポリアミド硬質セグメントを第1段階で最初に重合する。これに、ポリアミド形成モノマー(MACM、ドデカン二酸など、)及び消泡剤を最初に反応器に投入し、窒素で不活性化する。次に反応器を270℃に加熱し、反応混合物を窒素ブランケット下(気圧脱ガス)、生成物温度260℃で4時間撹拌する。
【0088】
本発明の実施例において、カルボキシ末端ポリアミド硬質セグメントを、第2段階でジオールと及び/又はヒドロキシ末端ポリエステルと反応させる。ここで、ジオール、ポリエステル及びエステル化触媒から構成される混合物を、ポリアミド硬質セグメントの溶融体(生成物温度:230〜260℃)に加える。
【0089】
比較例において、カルボキシ末端ポリアミド硬質セグメントを、第2段階でポリエーテルジアミンと反応させる。ここで、150℃に予熱したポリエーテルジアミンを、適切であれば、安定剤及び縮合促進剤と一緒に、ポリアミド硬質セグメントの溶融体に加える(溶融体の生成物温度は230〜260℃である)。
【0090】
次に反応器の圧力を60分以内に200mbarに低減する。反応混合物を前記圧力で30分間撹拌すると、圧力を60分間かけて下げて、最終圧力を20mbar未満にする。所望のトルクが達成されると直ぐに真空を中断し、ポリマー溶融体に窒素を5barで適用し、それをダイを通して水浴の中に放出する。引き出された押出物をペレット化し、ペレットを80℃で24時間乾燥する。
【0091】
スピロオキサジン染料(OP 14 BLUE)をドラムミキサーの中の透明なポリエステルアミド(IE1〜IE5)又はポリエールアミド(CE1)のペレットに、Tween 20(0.05質量%)を用いて適用した。次にこれらの混合物をArburg Allrounder 350-90-220D射出成形機で加工して、30×30×1mm(標準成形体)及び70×2mm(ディスク;研磨成形体)のプラークを得た(シリンダー温度は180〜260であり、成形型温度は20〜60℃である)。スクリューの回転速度は、150〜400rpmであった。
【0092】
表2は、それぞれの実施例で使用されたホトクロミックポリアミド成形組成物の構造をまとめる。
【0093】
【表2】

表2:ホトクロミック的に改質した成形組成物IE6〜IE11及びCE2、またCE4の構造及び光学特性
【0094】
符号−−、−、o、+及び++を使用した、ホトクロミック挙動の表において使用される評価は、定性目視評価に基づいており、これは、着色及び退色の迅速さ(動力学)に基づき、照射後の色の深さにも基づいている。
【0095】
実施例IE1〜IE3の基礎になっている及び比較例CE1の基礎になっているポリアミド硬質セグメントは、高分子量形態(PA MACM12)で高度に透明な材料(600nmの透過率>92%)であり、これは理想的な加工性を有し、曇り度<1%(2mm層厚)を有する。前記透明な硬質セグメントの画分が比較的多いにもかかわらず、CE1のポリエーテルアミドは、透過率及び曇り度に関して著しく劣った値を有する。
【0096】
IE11は、IE5(透明なポリエステルアミド)及びCE3(軟質セグメントのないMACM12)と添加されたホトクロミック染料から構成されるブレンドであり、更なる透明なポリマーが、高々30質量%、好ましくは高々20質量%の割合で存在できることも実証する。
【0097】
比較例CE4は、EP1712581に記載され、その序文で考察されている、ホトクロミック的に改質されたMACM12であり、その文書に記載されている系が同じ高い規格の(光学)特性を有するにはほど遠く、特に素速い色変化を達成するのが不可能であることを確認する(下記の表4も参照すること)。
【0098】
光学測定は、Datacolor SF600Plusカラー測定装置で実施した。約415nm(半値幅約50nm)で最大発光を有するLEDパネル(10×8ダイオード)を染料の励起に使用し、電流0.05アンペアで電圧27Vを印可した。この方法は、ホトクロミック効果に関して、この照射により達成される効果が晴れた空からの自然光を使用して適用者の位置で起きるものと同じであるので選択した。スペクトル研究を20℃の温度で実施し、暗色化及び退色の動力学は温度依存性であることが知られている。
【0099】
次に非照射のプラークを、閃光灯のビーム路に置き(透過率測定モード)、吸収スペクトルを400〜700nmで測定した。次にプラークをLEDパネルにより30秒間照射し、吸収スペクトルを、放射線源を取り外した直後に記録した。このように記録した吸収スペクトルは、本発明の考察の目的の最大達成可能暗色化(色飽和)を提供する。しかし、無色形態を与える染料の逆反応が、時々、非常に素速く、結果的にプラークの退色をもたらすため、このようにして決定された最大暗色化は、実際のスペクトル測定が実施される前に最大2秒が経過する可能性があるので、照射により達成される真の飽和よりも著しく低くなる。逆反応は、特に、励起分子の最高濃度が存在する最大暗色化の状態で最も迅速に起こることが明白である。
【0100】
退色の速度を測定するために、吸収スペクトルを、放射線源を取り外した後の多様な時間に記録した。波長600nmで多様な時点で決定した透過率の値を、実施例IE6〜IE11について、また比較例CE2及びCE4について表3及び4にまとめる。
【0101】
LEDパネルによる著しく長時間の照射は、表3の値で示されているより顕著な暗色化(飽和)を与えた。
【0102】
【表3】

表3:時間(退色)の関数として30×30×1mmプラークで測定した600nmでの透過率(%);プラークをLEDパネルにより30秒間予め照射した;したがって「0秒」は、照射の終了後の最初の測定を表す。
【表4】

表4:時間(退色)の関数として30×30×1mmプラークで測定した600nmでの透過率(%);プラークをLEDパネルにより30秒間予め照射した;したがって「0秒」は、照射の終了後の最初の測定を表す。
【0103】
EP922731に記載され、その序文で考察されているPA6又はPA66とPESTA(BAK1095)のブレンドである材料が、不十分な透過率及び過剰な曇り度を有し、したがって本発明の材料を使用して可能な意図される高規格光学用途に使用できないことを示すために、EP922731に記載されている実施例を繰り返した。
【0104】
これには以下を使用した:
相対粘度1.75(m−クレゾール中0.5%)を有する、カプロラクタム60質量%、ブタンジオール15.25質量%及びアジピン酸24.75質量%から構成されるポリエステルアミド(PESTA)。
PA6ポリアミド:IOS1628−1に準じて粘度数200を有するGrilon F34(EMS-CHEMIE AG)。
結晶化促進剤:IT Extra microtalk。
【0105】
【表5】

表5:EP922731に提示された実施例の比較測定、透過率及び曇り度の測定のために表2で測定された値と全く同じ条件を確立した。
【0106】
透過率の値、すなわち、表5に記述されている厚さ2mmでの透過率の値を考察すると(ここで関連する比較は、表2の非励起状態での600nmの透過率である)、EP922731の材料は全て80%未満の透過率を有することが明白である。EP922731の材料の曇り度が、厚さ2mmの材料では全く許容できないほど高いことも明白である。
【0107】
最大50μmの厚さのホイルを使用する、例えば包装用のホイル用途では、表5のEP922731の材料で測定した透過率及び曇り度の値は適切である。しかし、この種類の材料が2mm層厚で与えるそのような高い曇り度の値及びそのように低い透過率の値では、光学用途を実現することは不可能であり、高規格の光学用途を実現することは全く不可能である。
【0108】
要点:
Tween 20は、ソルビタンの脂肪酸エステルのポリオキシエチレン誘導体であり、Polysorbitat 20とも呼ばれ、多様な染料でしばしば使用されるローリング適用助剤である。
New Prismatic Enterprise Co., Ltd., TaiwanからのNCC(登録商標)染料OP 14 BLUEをホトクロミック染料として使用した。
相対粘度(ηrel)は、DIN EN ISO 307に準じて、20℃の温度で0.5質量%のm−クレゾール溶液中で決定した。
ガラス移転温度(Tg)、融点(Tm)及び縮合エンタルピー(Hm)は、ISO 11357−1/2に準じて決定した。
示差走査熱量測定(DSC)は、20K/分の加熱速度を使用して実施した。
曇り度及び透過率は、70×2mmディスクによりASTM D 1003(光源C)に準じてByk-GardenerからのHaze-Gard Plusを使用して23℃で決定した。
引張弾性率、極限引張強さ及び極限引張歪は、23℃の温度で標準:ISO/CD 3167、A1型、170×20/10×4mmのISO引張試験片により、1mm/分の引張速度を使用して、ISO527に準じて決定した。
耐衝撃性及びノッチ付耐衝撃性(Charpy)は、23℃の温度で標準:ISO/CD 3167、B1型、80×10×4mmのISO引張試験片により、ISO 179/*eUに準じて測定した。
アミノ及びカルボン末端基の濃度は、電位差滴定によって決定する。ここでアミノ末端基では、0.2〜1.0gのポリアミド又はポリアミドオリゴマーを、50mlのm−クレゾール及び25mlのイソプロパノールから構成される混合物に50〜90℃で溶解し、アミノカプロン酸の添加の後、0.05モルの過塩素酸で滴定した。COOH末端基を決定するためには、0.2〜1.0gの決定すべき試験片を、溶解度の関数として、ベンジルアルコールに、又はo−クレゾール及びベンジルアルコールから構成される混合物に100℃で溶解し、安息香酸の添加の後、0.1モルのテトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド溶液で滴定する。
ポリアミドセグメントの数平均モル質量は、以下の式に基づいて決定した。
【0109】
【数1】

R=調節剤の量(g)
m=ポリアミド形成モノマーの量(g)
H2O=生成された水の量(g)
R=調節剤のモル質量(g/mol)
n=理論ブロック長さ(g/mol)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
70〜99.99質量%の割合の少なくとも1つの透明ポリエステルアミド、
0〜30質量%の割合の少なくとも1つの更なるポリマー、
0.01〜2質量%の割合の少なくとも1つのホトクロミック染料、及び
場合により、更なる染料及び/又は添加剤、
を含むことを特徴とするポリアミド成形組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのポリエステルアミドが、40〜95質量%を占めるポリアミド画分、並びに5〜60質量%を占めるエステル画分及び/又はポリエステル画分から構成され、ポリエステルアミドにおける反復単位としてのポリアミド単位とポリエステル単位の配置が、ランダム、交互又はブロック様でありうる、請求項1記載のポリアミド成形組成物。
【請求項3】
ポリエステルアミド及び/又は更なるポリマー及び/又はポリアミド成形組成物の透過率が、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは88%を超える、請求項1又は2記載のポリアミド成形組成物。
【請求項4】
ポリエステルアミド及び/又は更なるポリマー及び/又はポリアミド成形組成物の曇り度が、多くて10%、好ましくは多くて8%、特に好ましくは多くて5%である、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの透明ポリエステルアミドの質量に基づいた割合での存在が、80〜99.9質量%、好ましくは90〜99.9質量%、特に好ましくは95〜99.9質量%であり、そのような透明なポリエステルアミドが1つしか存在しないことが特に好ましい、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項6】
更なるポリマーを含まない、請求項1〜5のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項7】
0.5質量%のm−クレゾール中のポリエステルアミドの20℃での溶液粘度(ηrel)が、1.3〜2.5、特に好ましくは1.4〜2.3であり、及び/又はその弾性率が、2000Mpa未満、好ましくは1200Mpa未満、特に好ましくは500Mpa未満である、請求項1〜6のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項8】
更なるポリマーのガラス移転温度が90℃を超え、その透過率が85%を超える、請求項1〜7のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項9】
透明なポリエステルアミドが、ジカルボン酸及びジアミン、及び/又はラクタム及び/又はアミノカルボン酸に基づく少なくとも1つのポリアミドに基づき、ジオール及びジカルボン酸に基づく少なくとも1つのポリエステル画分及び/又はエステル画分に基づいている、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのジカルボン酸が、脂肪族C4〜C44二酸、脂環式C8〜C20二酸、芳香族二酸、好ましくはTPA、IPA又はNDA、あるいはこれらの混合物又は組み合わせの群から選択される、請求項9記載のポリアミド成形組成物。
【請求項11】
少なくとも1つのジカルボン酸が、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸及びこれらの混合物の群から選択される、請求項10記載のポリアミド成形組成物。
【請求項12】
前記ジアミンが、分岐鎖又は非分岐鎖脂肪族C4〜C18ジアミン、脂環式C8〜C20ジアミン、ポリオキシアルキレンジアミン(C2〜C4アルキレン)、芳香族環を有するジアミン、好ましくはMXDA又はPXDA、またこれらの混合物又は組み合わせの群から選択され、ポリオキシアルキレンジアミンが存在する場合、総ポリエステル画分又はエステル画分に基づく濃度が、好ましくは多くて75質量%、特に多くて50質量%である、請求項9〜11のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項13】
前記ジアミンが、メチルペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、メチルオクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ドデカンジアミン、m−キシリレンジアミン、MACM、PACMの群から選択される、請求項12記載のポリアミド成形組成物。
【請求項14】
少なくとも1つのラクタム又は少なくとも1つのアミノカルボン酸が、カプロラクタム、ラウロラクタム、アミノカプロン酸、アミノラウリン酸、アミノウンデカン酸の群から選択される、請求項9〜13のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項15】
前記透明なポリエステルアミドが、PA6、PA66、PA610、PA612、PA6/12、PA1010、PA11、PA12、PA MACM6−18、PA PACM6−18、MACM6−18/PACM6−18、6T、9T、10T及び/又は12T単位を含むコポリマー、並びにこれらの混合物及び/又は組み合わせの群から選択されるポリアミド系に基づいているポリエステルアミドである、請求項9記載のポリアミド成形組成物。
【請求項16】
前記ジオールが、脂肪族C2〜C36ジオール、脂環式C6〜C36ジオール、芳香族環を有するC8〜C36ジオール、エーテル基を含有するジオール、ポリカプロラクトンジオール又はこれらの組み合わせの群から選択され、特に好ましくは、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、C36二量体脂肪ジオール、特に200〜2000g/molの範囲のモル質量のポリオキシアルキレンジオール(C2〜C4アルキレン)、500〜3000g/mol、特に好ましくは750〜2000g/molの範囲のモル質量のポリカプロラクトンジオール、またこれらの組み合わせから選択され、ここでポリオキシアルキレンジオールが存在する場合、総ポリエステル画分又はエステル画分に基づく濃度が、好ましくは高々75%、特に高々50質量%である、請求項9〜15のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項17】
ポリエステル画分及び/又はエステル画分が、C36ジオール及び/又はアジピン酸及び/又はセバシン酸及び/又はC36二量体脂肪酸及び/又はテレフタル酸から構成されるポリエステルである、請求項9〜15のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項18】
前記透明なポリエステルアミドのエステル画分又はポリエステル画分から、好ましくはそれらにより形成された無定形相から誘導されるガラス移転温度が、20℃未満、好ましくは−20℃以下である、請求項1〜17のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項19】
前記透明なポリエステルアミドが、少なくとも1つの無定形又は微晶質の硬質セグメントを含有し、これらの無定形又は微晶質ポリアミド硬質セグメントの数平均モル質量が、好ましくは500〜5000g/molの範囲、好ましくは700〜4000g/molの範囲、極めて特別に好ましくは750〜3000g/molの範囲である、請求項1〜18のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項20】
微晶質ポリアミド硬質セグメントのガラス移転温度が、少なくとも50℃超、好ましくは80℃超、特に好ましくは100℃超であり、及び/又はその融点が、少なくとも120℃、好ましくは少なくとも135℃、特に少なくとも150℃である、請求項19記載のポリアミド成形組成物。
【請求項21】
無定形ポリアミド硬質セグメントのガラス移転温度が、少なくとも50℃超、好ましくは80℃超、特に好ましくは100℃超である、請求項19記載のポリアミド成形組成物。
【請求項22】
更なるポリマーが、脂肪族及び/又は脂環式ジアミンに基づき、かつ6〜40個、好ましくは6〜36個、特に好ましくは10、12、14若しくは18個の炭素原子を有する脂肪族及び/又は芳香族ジカルボン酸に基づいたポリアミドであるか、或いはホモポリアミド及び/又はこの種類のコポリアミドの混合物であるか、並びに/或いは軟質セグメントを有するポリアミドブロックコポリマーであるか、並びに/或いは以下の群:軟質セグメントを有するポリエステル;軟質セグメントを有するTPUエラストマー;アクリレートポリマー;特に好ましくは長側基を有するメタクリレートポリマー;ポリカーボネートコポリマー;好ましくはアクリロニトリル、ブタジンエン、アクリレート、メタクリレートに基づくスチレンコポリマー;ポリオレフィン、特にグラフトポリオレフィン;特にプロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ウンデセン、ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、イソプレン、イソブチレン、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロペン又は2−クロロブタジエンの誘導体に基づくエチレンコポリマー;ポリイソブチレン;ポリブチルアクリレート、また、これらの組み合わせ及び混合物から選択される、請求項1〜21のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項23】
更なるポリマーが、MACM12、MACM14、MACM18の群から選択されるホモポリアミドであり、並びに/又はMACM12/PACM12、MACM14/PACM14、MACM18/PACM18の群から選択されるコポリアミドであり、並びに/又は8〜18個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸に基づくホモポリアミド及び/若しくはコポリアミドであり、又は好ましくはラクタム及び/若しくはアミノカルボン酸に基づくホモポリアミド及び/若しくはこの種類のコポリアミドの混合物であり、ここで芳香族ジカルボン酸が、好ましくはTPA及び/又はIPAである、請求項1〜22のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項24】
前記透明なホモポリアミド及び/又はコポリアミドが、6I/6T、TMDT、6I/MACMI/MACMT、6I/6T/MACMI、MACMI/MACM36、6I、12/PACMI、12/MACMI、12/MACMT、12/MACM12、6/PACMT、6/6I、6/IPDT又はこれらの混合物の群から選択されるポリアミドである、請求項23記載のポリアミド成形組成物。
【請求項25】
特に透明な形態で、好ましくは無定形又は微晶質ホモポリアミド及び/若しくはコポリアミドである、更なるポリマーの溶液粘度(ηrel)が、1.3〜2.0、特に好ましくは、1.40〜1.85であり、並びに/又はそのガラス移転温度Tgが、90℃超、好ましくは110℃超、特に好ましくは130℃超である、請求項1〜24のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項26】
ホトクロミック染料が、UV又は短波VISにより可逆的に励起可能であり、好ましくは染料がスピロオキサジンに基づいている、請求項1〜25のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項27】
添加剤が、UV安定剤、熱安定剤若しくはフリーラジカルスカベンジャーのような安定剤であり、及び/又は加工助剤、可塑剤若しくは更なるポリマーであり、及び/又は、好ましくは特に屈折率のような光学特性に影響を与える機能性添加剤であるか、又はこれらの組み合わせ若しくは混合物である、請求項1〜26のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項28】
ナイロン−12、好ましくは低粘度ナイロン−12を含む、請求項1〜27のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項29】
更なる透明なポリマーとポリエステルアミドの溶液粘度(ηrel)の比率が、1.2より小さい、特に1.1より小さい、請求項1〜28のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物。
【請求項30】
少なくとも1つの領域又は少なくとも1つの層が、請求項1〜29のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物から構成されている、透明で好ましくは曇りがない物品。
【請求項31】
高い規格の光学的用途において、ポリアミド成形組成物から構成される層の層厚が2mmである場合、500〜700nmの波長範囲で曇り度が10未満、好ましくは8未満であり、透過率が80%超、好ましくは85%超である、請求項1〜30のいずれか1項記載の物品。
【請求項32】
ホイル、異形材、管、中空体、又は光学可変フィルター、又は光学レンズであり、好ましくは眼用レンズ、特に好ましくは、例えば眼鏡レンズ、サンレンズ、屈折補正用レンズ若しくは光学フィルターの形態の又は光信号処理用スイッチングアセンブリー、スキー用ゴーグル、日除け、安全眼鏡、写真記録、ディスプレー、光学データ記憶若しくは建物及び乗り物の窓の形態のスペクトルフィルター作用の要素であるか、或いは、例えば眼鏡枠、玩具、若しくはカバーの形態の、特に携帯電話のケース、電子装置の部品、特に包装用の、装飾品用の、スポーツ用具用の、若しくはクラッディング用の、好ましくは自動車部門における被覆の形態の装飾要素又は構造要素である、請求項30又は31記載の物品。
【請求項33】
色勾配を有し、及び/又はホトクロミック被覆、反射防止被覆、引掻き抵抗性被覆、光学フィルター被覆、偏光被覆、酸素遮断被覆又はこれらの被覆の組み合わせを有する、請求項30〜32のいずれか1項記載の物品。
【請求項34】
ポリアミド成形組成物から構成される領域又は層のガラス移転温度が、50℃超、好ましくは80℃超、特に好ましくは100℃超であり、及び/又はその融点が、120℃超、好ましくは135℃超、特に好ましくは150℃である、請求項30〜33のいずれか1項記載の物品。
【請求項35】
請求項30〜34のいずれか1項記載の物品の製造方法であって、請求項1〜29のいずれか1項記載のポリアミド成形組成物を、押出工程、射出成形工程又は成形型内被覆工程において成形して物品を得て、適切である場合、ホトクロミック染料を浸漬被覆浴工程及び/又は熱転写工程の下流に導入して、透明なポリエステルアミドと更なるポリマーから構成される混合物の中に入れることができ、ホトクロミック物品は、ホイルであることもでき、それを基材、好ましくは光学レンズに成形型内被覆、積層又は接着結合を介して適用することができる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項30〜34のいずれか1項記載のバルク着色成形品の製造方法であって、ホトクロミック染料をポリエステルアミド及び更なるポリマーと一緒に配合し、ここで、染料を、ポリエステルアミドと更なるポリマーから構成されるポリマー溶融物に定量ポンプを用いて液体濃縮物の形態で加えることができ、及び/又は染料を固体又は液体の形態でドラムミキサーの中の他の成分に適用し、適切であれば、ローリング適用工程に助剤を使用することもできる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
染料及びポリエステルアミド、及び/又は更なるポリマーを加工して、好ましくは30%までの高色濃度のマスターバッチを得て、前記マスターバッチの必要量をポリエステルアミド及び/又は更なるポリマーと押出機で加工して、ペレットを得るか、又は射出成形機で直接変換して、最終成形品とする請求項35記載のバルク着色成形品の製造方法。

【公開番号】特開2009−30053(P2009−30053A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186269(P2008−186269)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(505319810)エーエムエス−パテント アクチェンゲゼルシャフト (4)
【Fターム(参考)】