説明

ホホバオイルを含むメイクアップ除去ゲル

【課題】ケラチン物質に関して非常に無害である天然起源の成分を含みながら、あらゆるタイプのメイクアップ(従来品及びロングラスティング品)に対する高いパフォーマンスと、使用時の実用性と快適性とを兼ね備えた製品についての必要とされる特性を有するメイクアップ除去製品を有する必要性が継続している。本出願人は、スクロース脂肪酸エステル界面活性剤と、所定量の一つの特定の植物オイルとの組み合わせが、これらの課題を達成すること可能であることを発見した。
【解決手段】水性相、組成物の全重量に対して少なくとも35重量%のホホバオイル、および少なくとも一つのスクロース脂肪酸エステルを含む化粧品組成物が提供される。得られた組成物がゲルの形態で存在する。それは特に、皮膚及び/または眼及び/または唇からメイクアップを除去するために使用されて良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一つの主題は、ホホバオイルとスクロース脂肪酸エステル乳化剤とを含む化粧品組成物、及び特にケラチン線維からメイクアップを除去し及び/またはケラチン線維をクレンジングするための、美容分野におけるその使用である。
【背景技術】
【0002】
現代のメイクアップ技術は、ますます革新的で高く実施されており、移りのないファンデーション、ロングラスティング口紅、ウォータープルーフマスカラ、またはツーステップマスカラ(はじめにマスカラのベースを適用し、ついでマスカラのトップコートを適用することを含む)のようなロングラスティング製品を使用するメイクアップ製品のユーザーがますます増加している。
しかしながら、これらのタイプの製品は、従来のメイクアップ製品よりも除去が困難であり、その結果、高いパフォーマンスと実際の使用性を兼ね備え、皮膚に穏やかでありながら、良好な美容特性(ユーザーへの快適性、柔軟性)を有するメイクアップ除去製品に対する必要性が存在している。
【0003】
更に、数年の間で、化粧品市場は、天然由来の成分を含む製剤に対して非常に著しい需要によって特徴付けられている。消費者は、化学物質を含まず、その代わり天然由来の製品を与え、皮膚に対する良好な寛容性と親和性について有名であり、より経済的に親しみやすい製剤を所望している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願WO2007/068371
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故、ケラチン物質に関して非常に無害である天然起源の成分を含みながら、あらゆるタイプのメイクアップ(従来品及びロングラスティング品)に対する高いパフォーマンスと、使用時の実用性と快適性とを兼ね備えた製品についての必要とされる特性を有するメイクアップ除去製品を有する必要性が継続している。
本出願人は、スクロース脂肪酸エステル界面活性剤と、所定量の一つの特定の植物オイルとの組み合わせが、これらの課題を達成すること可能であることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
それ故、本発明の一つの主題は、水性相、組成物の全重量に対して少なくとも35重量%のホホバオイル、および少なくとも一つのスクロース脂肪酸エステルを含む化粧品組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る組成物は、ゲル化されるため使用が容易であり一方で快適であり、あらゆるタイプのメイクアップ、特にウォータープルーフまたはロングラスティングメイクアップの良好な除去が可能であるという利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る組成物は、ゲル化形態、特に水性相に分散した脂肪相を含む水中油型エマルションタイプのゲルの形態で好ましくは存在する。用語「ゲル化」は、組成物が流動しない、即ち特定の粘度を有するという事実を意味すると解される。その粘度は、例えば5から190ポアズ(0.5から19Pa.s)、好ましくは5から150ポアズ(0.5から15Pa.s)、好適には10から120ポアズ(1から12Pa.s)の範囲であり、前記粘度は200s−1の剪断速度で25℃でRheomat 180粘度計を使用して測定される。
【0009】
本発明に係る組成物は、局所適用について企図され、それゆえ生理学的に許容可能な媒体を含む。用語「生理学的に許容可能な媒体」は、皮膚、粘膜、頭皮、眼のようなケラチン物質、及び/またはまつげ若しくは毛髪のようなケラチン線維と適合可能な媒体を意味するようにここで解される。
【0010】
スクロース脂肪酸エステル
本発明によれば、スクロース脂肪酸エステルは好ましくは、スクロース(サッカロース)と、10から24の炭素原子、好ましくは12から20の炭素原子、好適には12から18の炭素原子、より好適には12から16の炭素原子を含む脂肪酸との反応から由来するエステルから選択される。
10から24の炭素原子を含む脂肪酸は、直鎖状または分枝状でも良く、飽和または不飽和でも良い。前記脂肪酸は、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、リノール酸、カプリン酸、またはそれらの混合物から選択されて良い。
【0011】
一つの実施態様によれば、スクロース脂肪酸エステルは、スクロースと、12から18の炭素原子、好ましくは12から16の炭素原子を含む脂肪酸、例えばラウリン酸及び/またはパルミチン酸との反応から由来するエステル、例えばスクロースラウレート、スクロースパルミテート、またはそれらの混合物から選択される。
【0012】
スクロース脂肪酸エステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル及びテトラエステル、ポリエステル、並びにそれらの混合物から選択されて良い。好ましくは、低い度合いのエステル化を有するエステル、例えばスクロース脂肪酸モノエステル、ジエステル、またはトリエステル、あるいはそれらの混合物の使用が好ましい。スクロース脂肪酸エステルは、低い度合いのエステル化を有するエステルの混合物、例えばモノエステルとジエステルとの混合物、またはモノエステル、ジエステル、及びトリエステルの混合物の形態であっても良い。
【0013】
スクロース脂肪酸エステルの混合物が使用される場合、低い度合いのエステル化を有するエステル、特にモノエステルが主のものであり、例えばスクロース脂肪酸エステルの混合物の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%を占める混合物が好ましい。
特に12から16の炭素原子を含む脂肪酸のスクロースエステルの混合物、特にラウリン酸またはパルミチン酸のモノエステル、ジエステル、及びトリエステルの混合物の使用が挙げられ、前記混合物は、主なものではない(スクロース脂肪酸エステルの混合物の重量に対して40重量%以下の量で)ものとして、脂肪酸が16を超える炭素原子を含むスクロース脂肪酸エステルを含むことができる。
【0014】
好ましくは、本発明で使用されるスクロース脂肪酸エステルは、10以上、好ましくは12以上のHLBを有する。
周知であるように、HLB(親水性−親油性バランス)は、界面活性剤の親水性基のサイズ及び強度と、界面活性剤の親油性基のサイズ及び強度との間のバランスである。
GriffinによるHLB値は、J. Soc. Cosm. Chem. 1954 (第5巻), 249-256頁に定義されている。
【0015】
スクロース脂肪酸エステルまたはエステルの混合物の例として、以下のものが挙げられる:
−16のHLBを有し、約80%のモノマーと、残りのジエステル及びトリエステルからなる混合物を含む、スクロースミリステートであるSurfhope SE COSME C-1416;
−16に等しいHLBを有し、約75から90%のモノエステルと、残りのジエステル及びトリエステルからなる混合物を含む、INCI名がスクロースラウレートであるSurfhope SE COSME C-1216;
−15に等しいHLBを有し、約70%のモノエステルと、残りのジエステル及び他のポリエステルからなる混合物を含む、INCI名がスクロースラウレートであるSurfhope SE COSME C-1215L;
−16のHLBを有し、75から90%のモノエステルと、残りのジエステル及びトリエステルからなる混合物を含む、スクロースステアレートとスクロースパルミテートステアレートとを含むことができる、パルミチン酸及び/またはステアリン酸のサッカロースエステルの混合物であるSurfhope SE COSME C-1616(INCI名:スクロースパルミテート)。
【0016】
17に等しいHLBを有し、70%のモノエステルと30%のジエステル及びトリエステルとを含む、DK Ester S-L18Aの名称で第一三共製薬によって市販されている、INCI名スクロースラウレートを有するエステルも挙げられる。
【0017】
スクロース脂肪酸エステルまたはエステルの混合物の例として、以下のものが挙げられる:
−それぞれ73%のモノエステルと27%のジエステル及びトリエステル、61%のモノエステルと39%のジエステル、トリエステル、及びテトラエステル、52%のモノエステルと48%のジエステル、トリエステル、及びテトラエステル、45%のモノエステルと55%のジエステル、トリエステル、及びテトラエステル、39%のモノエステルと61%のジエステル、トリエステル、及びテトラエステルから形成されるスクロースパルミト−ステアレート、並びにスクロースモノラウレートを表す、Crodesta社によりF160、F140、F110、F90、F70、SL40の名称で市販されている製品;
−20%のモノエステルと80%のジエステル/トリエステル/ポリエステルから形成されるサッカロースベヘネートに対応する、例えばB370の参照番号でRyoto Sugar Estersの名称で市販されている製品;
−Tegosoft(登録商標)PSEの名称でGoldschmidt社により市販されているスクロースモノ-ジパルミト-ステアレート。
【0018】
スクロース脂肪酸エステルの量は、例えば組成物の全重量に対して0.1から20重量%、好ましくは0.5から15重量%、好適には1から15重量%、より好適には2から10重量%の範囲であってよい。
【0019】
一つの実施態様によれば、本発明に係る組成物は、スクロース脂肪酸エステルに加えて、アニオン性、非イオン性、または両性界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤を含んでも良いが、これらの界面活性剤の存在は、組成物の快適性(無害性)に負に作用しない範囲でなければならない。
本発明に係る組成物で使用されて良い更なる界面活性剤は好ましくは、天然に存在して良い化合物、及び化学的合成により再生産される化合物を含む天然起源の界面活性剤であり、それらは特に、石鹸(脂肪酸の塩)、ダイズオイルの誘導体、乳酸の誘導体、アミノ酸、アシルアミノ酸、それらの塩、アルキルポリグルコシド(APG)、疎水性化ゴム、及びそれらの混合物から選択されて良い。
【0020】
別の実施態様によれば、スクロース脂肪酸エステルまたはエステル群は、前記組成物の主たる界面活性剤システムを構成する。
用語「主たる界面活性剤システム」は、それが不在である際に、安定な組成物の形成を引き起こさないシステムを意味するように解される。
用語「安定な」は、45℃で2ヶ月間配置し、環境温度へ戻した後に、脂肪相と水性相の相分離を示さず、または表面で脂肪相の浸出を示さない組成物を意味するように解される。
【0021】
別の実施態様によれば、スクロース脂肪酸エステルまたはエステル群は、前記組成物の唯一の界面活性剤システムを構成する。
用語「唯一の」は、いずれかの任意の更なる界面活性剤システムが、1%を超えない量、好ましくは0.5%を超えない量で存在することを意味するように解される。より好ましくは、用語「唯一の」は、いずれかの他の界面活性剤システムが全く存在しないことを表す。
【0022】
水性相
本発明に係る組成物は、水及び/またはポリオールのような親水性溶媒を含む水性相を含む。
水は好ましくは、組成物の全重量に対して20重量%以下の量、好ましくは15重量%以下の量、好適には10重量%以下の量で存在する。組成物中の水の量は、例えば組成物の全重量に対して0.5から20重量%、好ましくは0.6から15重量%、好適には0.6から13重量%、より好適には1から10重量%、更により好適には3から10重量%の範囲であってよい。
【0023】
本発明の組成物で使用される水は、純粋脱鉱水または鉱水及び/または温泉水及び/または海水であってよい;言い換えると、本発明の水は、鉱水、温泉水、海水、及びそれらの混合物から選択される水を一部または全部で含んでも良い。一般的に言うと、鉱水は消費に適しているが、温泉水の場合は常にそうであるわけではない。これらの水の各々は、他の水分として、可溶化したミネラル及び/または微量元素を含む。それらが含む特定のミネラル及び微量元素に依存して、特定の処置目的のためのこれらの水の使用が既知であり、そのような処置は、皮膚の保湿及び脱感作、または特定の皮膚炎の治療を含む。用語「鉱水」または「温泉水」は、天然の鉱水または温泉水だけでなく、更なるミネラル成分及び/または微量元素で富化されている天然の鉱水または温泉水、及び純水(脱鉱水または蒸留水)から調製された微量元素を含む水性ミネラル溶液及び水溶液を表すように使用されるであろう。
【0024】
本発明によって使用される天然の温泉水または鉱水は、例えばVittel水、Vichy basin水、Uriage水、La Roche Posay水、Bourboule水、Enghien-les-Bains水、Saint Gervais-les-Bains水、Neris-les-Bains水、Allevar-les-Bains水、Lons-le-Saunier水、Eaux Bonnes水、Rochefort水、Saint Christau水、Fumades水、Tercis-les-Bains水、及びAvene水から選択されて良い。
【0025】
本発明の組成物の水性相は、一つ以上のポリオールを含んでよい。本発明に係る組成物で使用できるポリオールは、特にグリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、例えばPEG−8、ジプロピレングリコール、及びそれらの混合物を含む。本発明の一つの好ましい実施態様によれば、ポリオールはグリセロールであり、それは適用時により良好な快適性を与える。グリセロールは、組成物の質が維持されるのであれば、他のポリオールと混合できる。
【0026】
ポリオールの量は、例えば組成物の全重量に対して0.5から15重量%、好ましくは0.5から10重量%、好適には1から10重量%、より好適には2から10重量%、更により好適には2から8重量%の範囲であってよい。
【0027】
前記組成物は、天然起源のゲル化剤、特に植物起源のゲル化剤、またはバイオテクノロジー起源のポリサッカリド(例えばキサンタンゴム)を含んでも良い。
【0028】
この植物由来のポリサッカリドは、適切であれば、その親水性価を促進するために化学的に変性されても良く、セルロース誘導体、特にヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)の場合にこれが当てはまる。
【0029】
本発明によって使用されて良い植物起源のポリサッカリドの例として、特に以下のものが挙げられる:
a)藻類抽出物、例えばアルギナート、カラギーナン及びアガー、並びにそれらの混合物。カラギーナンの例として、Degussa社製のUTC(登録商標)30及びUTC(登録商標)10が挙げられる;アルギナートの例として、ISP社によりKelcosol(登録商標)の名称で市販されているアルギン酸ナトリウムが挙げられる;
b)ゴム、例えばグアゴム及びその非イオン性誘導体(ヒドロキシプロピルグア)、アラビアゴム、コンニャクゴムまたはマンナンゴム、トラガカントゴム、ガティゴム、カラヤゴム、またはイナゴマメゴム;例として、Rhodia社によりJaguar(登録商標)HP105の名称で市販されているグアゴム;GfN社により市販されているマンナンおよびコンニャクゴム(登録商標)(1%グルコマンナン)が挙げられる。
c)変性または未変性デンプン、例えば穀物、例えばコムギ、トウモロコシまたはコメ、マメ、例えばブロンドマメ、ジャガイモ、例えばポテトまたはキャッサバから得られるもの、及びタピオカデンプン;デキストリン、例えばトウモロコシデキストリン;例として、Remy社により市販されているコメデンプンRemy(登録商標)DR I;Roquette社製のトウモロコシデンプン(登録商標)B;National Starch社によりStructure Solanace(登録商標)の名称で市販されている、水酸化ナトリウムで中和された2-クロロエチルアミノジプロピオン酸で変性されたポテトデンプン;National Starch社によりTapioca pure(登録商標)の名称で市販されている天然タピオカデンプンパウダーが挙げられる;
d)デキストリン、例えばNational Starch社製のIndex(登録商標)の名称でトウモロコシから抽出されたデキストリン;
e)セルロース及びその誘導体、特にアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース;特にメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。例として、Aqualon社製のPolysurf(登録商標)67CS及びNatrosol(登録商標)Plus 330の名称のセチルヒドロキシエチルセルロースが挙げられる;
並びにこれらの混合物。
【0030】
一つの実施態様によれば、本発明に係る組成物は、1.5重量%未満、好ましくは1重量%未満、好適には0.5重量%未満、更には0.2重量%未満の合成ゲル化または増粘ポリマーを含む。
【0031】
そのような合成ポリマーは、例えばアクリルポリマー(カルボポールファミリー)、アクリル/アルキルアクリレートコポリマー、または2-アシルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸に基づく(コ)ポリマーである(例えば、Pemulen、Sepigel、Simulgel、またはAristoflexの名称で市販されているポリマー)。
【0032】
脂肪酸
本発明に係る組成物の脂肪相は、環境温度(25℃)で液体である脂肪物質、またはオイル(油性相を形成する)、環境温度で固体である脂肪物質、例えばワックス、またはペースト状化合物、脂肪アルコール、または脂肪酸を含む、組成物中に存在する全ての親油性化合物または油分散性化合物を含む。
【0033】
ホホバオイル
ホホバオイルは、組成物の全重量に対して35重量%以上、好ましくは40重量%以上、好ましくは50重量%以上、好適には60重量%以上、より好適には70重量%以上の量で、組成物中に存在する。ホホバオイルの量は、特に組成物の全重量に対して35から90重量%、好ましくは40から85重量%、好適には45から80重量%の範囲であってよい。
【0034】
本発明に係る組成物は、ホホバオイルに加えて、更なるオイル、特に植物起源の更なるオイルを含んでよい。
【0035】
前記組成物が更なるオイルを含む場合、前記更なるオイルは、ホホバオイルの量より少ない量で存在する。
特にホホバオイルは、組成物の油性相の全重量に対して少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好適には少なくとも70重量%の量で存在し、それは油性相の100重量%までの範囲であってよい。
【0036】
更なるオイルは、組成物の全重量に対して0.5から40重量%、好ましくは0.5から30重量%、好適には1から20重量%の範囲の量で存在してよい。
【0037】
本発明の組成物で使用できるオイルは、例えば以下のものを含んでよい:
−動物起源の炭化水素オイル、例えばパーヒドロスクアレン;
−植物起源の炭化水素オイル、例えば4から30の炭素原子を含む脂肪酸の液体トリグリセリド、例えばヘプタン酸若しくはオクタン酸のトリグリセリド、または例えばヒマワリオイル、トウモロコシオイル、ダイズオイル、マローオイル、グレープシードオイル、ゴマオイル、ヘーゼルナッツオイル、アンズオイル、マカダミアオイル、アララオイル、コリアンダーオイル、ヒマシ油、アボカドオイル、カプリル酸/カプリン酸トリトリグリセリド、例えばStearineries Dubois社により市販されているもの、またはDynamit Nobel社によりMyglyol 810、812及び818の名称で市販されているもの、及びシェアバターオイル;
−特に脂肪酸の合成エステル及びエーテル、例えば式RCOOR及びROR[式中、Rは8から29の炭素原子を含む脂肪酸または脂肪アルコールの残基を表し、Rは3から30の炭素原子を含む分枝状または非分枝状の炭化水素鎖を表す]のオイル、例えばパーセリンオイル、2-オクチルドデシルステアレート、2-オクチルドデシルエルケート、イソステアリルイソステアレート;ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシルヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレート、トリイソセチルシトレート、並びに脂肪アルコールヘプタノエート、オクタノエート、デカノエート;ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、及びジエチレングリコールジイソノナノエート;並びにペンタエリスリトールエステル、例えばペンタエリスリチルテトライソステアレート;
−鉱物または合成起源の直鎖状または分枝状炭化水素、例えば揮発性または非揮発性流動パラフィン及びそれらの誘導体、ワセリン、ポリデセン、イソヘキサデカン、イソドデカン、水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)オイル;
−シリコーンオイル、例えば環境温度で液体またはペースト状である、直鎖状または環状シリコーン鎖を含む揮発性または非揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、特に揮発性シリコーンオイル、特にシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン)、例えばシクロヘキサジメチルシロキサン、及びシクロペンタジメチルシロキサン;シリコーン鎖の末端でまたはそこにペンダント状に存在するアルキル、アルコキシ、またはフェニル基(2から24の炭素原子を有する)を含むポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルジメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、及びポリメチルフェニルシロキサン;
−並びにこれらの混合物。
【0038】
特に以下のものから選択されるオイルが挙げられる:
−少なくとも6の炭素原子、好ましくは6から26の炭素原子、好適には6から20の炭素原子、より好適には6から16の炭素原子を含む少なくとも一つの脂肪酸と、1から17の炭素原子、好適には3から15の炭素原子を含む少なくとも一つのアルコールとの反応から由来するエステル;特にイソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、2-エチルヘキシルカプレート/カプリレート(またはオクチルカプレート/カプリレート)、2-エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルネオペンタノエート、イソノニルイソノナノエート、ヘキシルラウレート、乳酸と12または13の炭素原子を含む脂肪アルコールとのエステル、ジカプリリルカルボネート、例えばCognis社によりCETIOL CCの名称で市販されているもの;
−6から20の炭素原子を含む脂肪エーテル、例えばジカプリリルエーテル(Cognis社製のCetiol OE);
−6から12の炭素原子を含むグリセリルエーテル、例えば2-エチルヘキシルグリセリルエーテル(INCI名:エチルヘキシルグリセリン)、例えばSchulke & Mayr GmbH社製のSensiva SC 50;
−7から17の炭素原子、特に9から15の炭素原子、とりわけ11から13の炭素原子を含む、有利には植物起源の揮発性直鎖状アルカン。本発明に適した揮発性直鎖状アルカンの例として、Cognis社による特許出願WO 2007/068371に記載されたものが挙げられる。本発明に適した揮発性直鎖状アルカンの例として、n-ノナン(C)、n−デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-トテラデカン(C14)、n-ペンタデカン(C15)、n-ヘキサデカン(C16)、及びn-ヘプタデカン(C17)、及びそれらの混合物が挙げられる。
一つの実施態様によれば、Cognis社によるWO 2008/155059の実施例1及び2によって調製されたウンデカン(C11)とトリデカン(C13)との混合物の使用が挙げられる。
【0039】
一つの実施態様によれば、PARAFOL 12-97及びPARAFOL 14-97の商標名でSASOL社によりそれぞれ市販されているn-ドデカン(C12)またはn-トテラデカン(C14)、及びそれらの混合物の使用が挙げられる。
【0040】
好ましくは、更なるオイルは、植物オイル、揮発性直鎖状アルカン、有利には植物起源のもの、脂肪酸エステル及びエーテル、並びにそれらの混合物から選択されるものを含む/である。
【0041】
一つの有利な実施態様によれば、本発明に係る組成物は、5%未満、好ましくは1%未満の鉱物オイルしか含まない。好ましくは、植物起源のオイルのみを含む。
【0042】
本発明の化粧品組成物は、更に、化粧品分野で一般的であるアジュバント、例えば抗酸化剤、防腐剤、香料、香料分散剤、着色剤、フィラー、親水性または親油性活性剤を含んでも良い。アジュバントの性質及びその量は、それらが本発明に係る組成物の特性を変更しないものでなければならない。これらのアジュバントの量は、化粧品分野で一般的に使用されるものであり、例えば組成物の全重量の0.001から10%である。
【0043】
本発明の組成物で使用できる活性剤として、例えばアラントイン及びビサボロール;香水、例えば鎮静剤、例えばライム水またはヤグルマソウ水;グリシルリチン酸及びその塩;抗菌剤、例えばオクトピロックス、トリクロサン、及びトリクロカルバン;香油;ビタミン、例えばレチノール(ビタミンA)、アスコルビン酸(ビタミンC)、トコフェロール(ビタミンE)、ナイシンアミド(ビタミンPPまたはB3)、パンテノール(ビタミンB5)、及びそれらの誘導体、例えばこれらのビタミンのエステル(パルミテート、アセテート、プロピオネート)、アスコルビルリン酸マグネシウム、グリコシル化ビタミンC、またはグルコピラノシルアスコルビン酸(アスコルビルグルコシド);コエンザイム、例えばコエンザイムQ10またはユビキノン、及びコエンザイムRまたはビオチン;タンパク質加水分解産物;それらの混合物が挙げられる。
【0044】
もちろん当業者は、本発明に係る組成物に添加される任意の添加剤を選択する際に、本発明に係る組成物に固有に結びつく有利な特性が、考慮される添加によって負に影響されない、または実質的に負に影響されないようにするであろう。
【0045】
フィラーとして、無機フィラー、例えばLuzenac社によりLuzenac(登録商標)15 M00の名称で市販されているタルクまたはケイ酸マグネシウム(粒径:5ミクロン)、カオリンまたはケイ酸アルミニウム、例えばImerys社によりKaolin Supreme(登録商標)の名称で市販されているもの、あるいは有機フィラー、例えばデンプン、例えばRoquette社によりMaize Starch(登録商標)Bの名称で市販されている製品、ナイロンミクロスフェア、例えばAtochem社によりOrgasol(登録商標)2002 UD NAT COSの名称で市販されているもの、イソブタンで封入したビニリデンクロリド/アクリロニトリル/メタクリロニトリルのコポリマーに基づく膨張ミクロスフェア、例えばExpancel社によりExpancel(登録商標)551 DEの名称で市販されているものが挙げられる。繊維、例えばナイロン(登録商標)繊維(Etablissements Paul Bonte社により市販されているPolyamide 0.9 DTEX 0.3mm)、またはセルロース若しくは「レーヨン(登録商標)」繊維(Claremont Flock Corporation社により市販されているRayon Flock RCISE(登録商標)NOOO3 MO4)が、本発明に係る組成物に添加されても良い。
【0046】
本発明の一つの特定の実施態様によれば、本発明に係る組成物は、フィラーとして、皮膚をスクラブすることが可能な剥離粒子を含む。剥離粒子として、無機、植物、または有機起源の剥離またはスクラブ粒子を使用することが可能である。かくして例えば、ポリエチレンビーズまたはパウダー、例えばEquistar社によりMicrothene MN 727またはMicrothene MN 710-20の名称で市販されているもの、またはDupont社によりGotalene 120 Colourless 2の名称で市販されているパウダー;ナイロン(登録商標)粒子、例えばOrgasol 2002 EXD NAT COSの名称でArkema社により市販されているもの;繊維、例えばポリアミド繊維、例えばPulpe Polyamide 12185 Taille 0.3 MN[Polyamide Pulp 12185 サイズ0.3mm]の名称でUtexbel社により市販されているもの;ポリビニルクロリドパウダー;パミス(INCI名:パミス)、例えばEyraud社製のパミス3/B;果実石の粉砕殻、例えばアンズ実またはナッツ殻ホモジェネート;おがくず;ガラスビーズ;アルミナ(酸化アルミニウム)(INCI名:Alumina)、例えばMarketech International社によりDermagrain 900の名称で市販されている製品;砂糖結晶;皮膚への適用時に溶融するビーズ、例えばInduchem社によりUnispheresの名称で市販されているマンニトールとセルロースに基づくスフェア、Cognis社によりPrimspongeの名称で市販されているアガーベースのカプセル、並びにFloratech社によりFloraspheresの名称で市販されているホホバエステルに基づくスフェア;並びにそれらの混合物を使用することが可能である。
【0047】
本発明に係る組成物は、皮膚(身体、顔、眼、頭皮)のようなケラチン物質及び/またはケラチン線維からメイクアップをクレンジングまたは除去するための製品を必須に構成してよい。
【0048】
本発明の別の主題は、上述の化粧品組成物をケラチン線維に適用することによって特徴付けられる、頭皮を含む皮膚のようなケラチン物質、まつげ若しくは毛髪のようなケラチン線維、及び/または唇からメイクアップをクレンジングまたは除去するための方法である。
【0049】
本発明の別の主題は、ケラチン物質からメイクアップをクレンジング及び/または除去するための製品としての、上述の組成物の美容的使用を含む。
【0050】
本発明の別の主題は、本発明の組成物を水の不存在下でケラチン物質に適用し、形成された付着物及び汚れ残余物を水ですすいで除去するということによって特徴付けられる、ケラチン物質をクレンジングする美容方法を含む。
【0051】
顔をクレンジングする場合、本発明に係る組成物は、1分から3分のリーブオンの後にすすがれるマスクを構成しても良い。
【0052】
以下の実施例は本発明の説明のために与えられ、制限的な性質を有さない。全ての量は、組成物の全重量に対する重量パーセンテージとして与えられる。化合物の名称は、各場合に応じて、化学名またはINCI名として示されている。
【0053】
実施例1〜4
【表1】

【0054】
方法:
スクロールエステルとグリセロールとを混合し、A相の他の化合物を添加し、混合物を75−80℃で加熱する。
B相の化合物を混合し、75−80℃で加熱し、穏やかに攪拌しながらA相に添加し、この攪拌を続けながら冷却させる。混合物が35−40℃に冷却された際に、C相を添加する。
【0055】
in vivoメイクアップ除去効力の評価
実施例1〜4の各組成物のメイクアップ除去効力を、以下のプロトコールに従って5人の被験者で評価する。
【0056】
各被験者について、3×3cmの4の領域を前腕で定め、0.05gのInfallible 300ファンデーション(L'Oreal Paris)を、3×3cmの各領域に指を使って適用し、次いで30分間放置して乾かす。
【0057】
0.3gの各組成物を、10秒間指を使って領域に適用し、次いで前腕を設定温度と流速の水流に通過させる。
【0058】
混合物が乳化してすすがれると、4ポイントスケールによるメイクアップ除去効力のレベルに従って試験された4種の組成物を各被験者が評価して分類する。
【0059】
結果:
5人の被験者の平均の平均に基づいて、メイクアップ除去効力の順番は以下のようになった:実施例4の組成物>実施例3の組成物>実施例2の組成物>実施例1の組成物。
【0060】
これらの実施例は、ホホバオイルが良好なメイクアップ除去特性を有すること、特にそれはオリーブオイルのような他の植物オイルよりも著しいことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性相、組成物の全重量に対して少なくとも35重量%のホホバオイル、および少なくとも一つのスクロース脂肪酸エステルを含む化粧品組成物。
【請求項2】
前記スクロース脂肪酸エステルが、スクロースと、10から24の炭素原子、好ましくは12から20の炭素原子、好適には12から18の炭素原子、より好適には12から16の炭素原子を含む脂肪酸との反応から由来するエステルから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記脂肪酸が、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、リノール酸、カプリン酸、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記スクロース脂肪酸エステルが、スクロースと、12から18の炭素原子、好ましくは12から16の炭素原子を含む脂肪酸との反応から由来するエステルから選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記スクロース脂肪酸エステルが、スクロースラウレート、スクロースパルミテート、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記スクロース脂肪酸エステルが、スクロース脂肪酸モノエステル、ジエステル、若しくはトリエステル、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記スクロース脂肪酸エステルの量が、組成物の全重量に対して0.1から20重量%、好ましくは0.5から15重量%、好適には1から15重量%、より好適には2から10重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記スクロース脂肪酸エステルが、組成物の主たる界面活性剤システムを構成することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記スクロース脂肪酸エステルが、組成物の唯一の界面活性剤システムを構成することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物の全重量に対して20重量%以下の量、好ましくは15重量%以下の量、好適には10重量%以下の量の水を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ホホバオイルが、組成物の全重量に対して40重量%以上、好ましくは50重量%以上、好適には60重量%以上、より好適には70重量%以上の量で存在することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ホホバオイルが、組成物の油性相の全重量に対して少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好適には少なくとも70重量%の量で存在し、それは油性相の100重量%までの範囲であってよいことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
5%未満、好ましくは1%未満の鉱物オイルを含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の化粧品組成物をケラチン物質に適用することを特徴とする、ケラチン物質からメイクアップをクレンジングまたは除去する方法。

【公開番号】特開2010−189389(P2010−189389A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−29250(P2010−29250)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】