説明

ホモグルタミン酸誘導体

本願発明は、18Fまたは19Fで標識するのに適する、または既に18Fまたは19Fで標識されているホモグルタミン酸誘導体、かかる化合物の製造法、かかる化合物を含む組成物、かかる化合物または組成物を含むキット、およびかかる化合物、組成物またはキットの診断撮影のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、18Fまたは19Fで標識するのに適する、または既に18Fまたは19Fで標識されているホモグルタミン酸誘導体に、かかる化合物の製造方法に、かかる化合物を含む組成物に、かかる化合物または組成物を含むキットに、および診断を画像化するためのかかる化合物、組成物またはキットの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明は、特許請求の範囲に示される内容、すなわち、一般式Iおよび/またはIIのホモグルタミン酸誘導体、式IIIのその先駆体、それらの使用およびそれらの調製方法に関する。
【0003】
悪性腫瘍の初期診断は腫瘍患者の生命予後において重要な役割を果たす。この診断では、非侵襲的撮影法が重要な助けとなる。過去数年において、特にPET(陽電子放出型断層撮影(Positron Emisson Tomography))技法が特に有用であることが判明した。PET技法の感受性および特異性は、本質的に、使用されるシグナル供給物質(トレーサー)およびその体内での分布に依存する。適切なトレーサーを探し求める上で、人々は、腫瘍組織を健康な周辺組織と区別する腫瘍におけるある特性を利用しようとする。PETに利用される好ましい市販の同位体が18Fである。その半減期は2時間未満と短いため、18Fはそれを用いて適当なトレーサーを調製する場合に特に要求が厳しい。さもなければ、該トレーサーが診断に使用され得る前に、この同位体のかなりの量の放射能が既に消えているため、該同位体は複雑な長い合成経路および精製手段を許さない。従って、18Fトレーサーの合成に、非放射性フッ素化の確立された合成経路を適用できないことも多い。さらには、18Fの高比活性(約80GBq/ナノモル)は、トレーサーの合成において[18F]−フルオリドの量を非常に少ない量とし、そのことは極めて過剰量の先駆体を必要とし、非放射性フッ素化反応に基づく放射合成法の結果を予測できないものとする。
【0004】
FDG([18F]-2-フルオロデオキシグルコース)−PETは世界中で受け入れられ、診断で、さらには腫瘍障害の臨床的モニター観察にて補助的に使用されることが多い。悪性腫瘍は宿主器官と栄養供給源としてのグルコースについて競合する(Warburg O、Uber den Stoffwechsel der Carcinomzelle [The metabolism of the carcinoma cell], Biochem.Zeitschrift 1924; 152: 309-339;Kellof G.、Progress and Promise of FDG-PET Imaging for Cancer Patient Management and Oncologic Drug Development, Clin. Cancer Res. 2005; 11(8): 2785-2807)。
【0005】
正常組織の周辺細胞と比べて、腫瘍細胞は、通常、グルコース代謝作用が高い。このことを利用して、フルオロデオキシグルコース(FDG)、グルコース誘導体を用いた場合、それは漸増的に細胞に輸送されるが、それはリン酸化反応後にFDG6−ホスフェートとして代謝的に捕獲される(ワールブルグ効果)。従って、18F標識のFDGはPET技法を用いて患者の腫瘍障害を診断するのに効果的なトレーサーである。新しいPETトレーサーを探し求める上で、最近では、アミノ酸が18F−PETの画像化にて漸増的に利用されている(例えば(review):Eur. J. Nucl. Med. Mol. Imaging May 2002; 29 (5): 681-90)。ここで、18F標識のアミノ酸のいくつかは蛋白合成の速度を測定するのに適しているが、他の誘導体の大部分は腫瘍における直接的な細胞取り込み量を測定するのに適している。既知の18F標識のアミノ酸が、例えばチロシンアミノ酸、フェニルアラニンアミノ酸、プロリンアミノ酸、アスパラギンアミノ酸および非天然アミノ酸より誘導される(例えば、J. Nucl. Med. 1991; 32:1338-1346、J. Nucl. Med. 1996; 37:320-325、J. Nucl. Med. 2001; 42: 752-754 and J. Nucl. Med. 1999; 40: 331-338)。18F-標識のホモグルタミン酸誘導体はこれまで知られていない。
【0006】
腫瘍診断に最近使用されるPETトレーサーには明らかな欠点がある:というのも、FDGはグルコース代謝作用の高い細胞にて蓄積されるが好ましいが、異なる病理学的および生理学的症状の下では、例えば感染部位または損傷治癒に関連する細胞および組織もグルコース代謝作用の高い細胞および組織である。高い頻度で、FDG-PETを介して検出される病変が実際に新生生物起源であるか、組織の生理学的または病理学的症状の結果であるかどうかを確認することは困難でもある。全体として、腫瘍学におけるFDG-PETによる診断は84%の感受性および88%の特異性を有する(Gambhirら、「A tabulated summary of the FDG PET literature」, J.Nucl. Med. 2001, 42, 1-93S)。例えば、脳腫瘍の画像化は、健康な脳組織にてFDGが多量に蓄積しているため、極めて困難である。
【0007】
ある場合には、最近になって知られた18F標識のアミノ酸誘導体が脳における腫瘍の検出に最適である((review):Eur. J. Nucl. Med. Mol. Imaging. 2002 May; 29(5): 681-90);しかし、他の腫瘍の場合には、それらは「ゴールドスタンダード」の[18F]2-FDGの画像特性と競合し得ない。腫瘍組織における最新のF-18標識のアミノ酸の代謝蓄積および保持は、一般に、FDGよりも小さい。加えて、異性体として純粋なF−18標識の非芳香族アミノ酸の調製は化学的に要求が厳しい。
【0008】
グルコースと同様に、グルタミン酸およびグルタミンでもまた、増殖腫瘍細胞における代謝作用の増加が記載されている(Medina、J. Nutr. 1131: 2539S-2542S, 2001;Souba、Ann Surg 218: 715-728, 1993)。蛋白および核酸合成速度の増加およびエネルギー生成そのものの増加も、腫瘍細胞のグルタミン消費を増加させる理由であると考えられる。このように、天然基質と同一である、対応するC−11およびC−14標識の化合物の合成は、既に文献に記載されている(例えば、Antoni、Enzyme Catalyzed Synthesis of L [4-C-11]aspartate and L [5-C-11]glutamate. J. Labelled Compd. Radiopharm. 44; (4) 2001: 287-294およびBuchanan、The biosynthesis of showdomycin: studies with stable isotopes and the determination of principal precursors, J. Chem. Soc. Chem. Commun.; EN; 22; 1984; 1515-1517)。C−11標識の化合物を用いる最初の試験は腫瘍にて顕著な蓄積を示さない。
【0009】
18F]-標識の形態にて、PETを基準とする診断に適する、新規な化合物を提供することが本願発明の目的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
腫瘍を画像化するための適切なPET造影剤を見つけることの上記した利点にも拘わらず、とりわけ臨床PETセンターでの実践的使用をも可能とする、空間分解能に関するポジトロン放出断層撮影法を実施するための新規なアミノ酸誘導体に対する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明の化合物はヘキサン二酸足場に直接結合したフッ素置換基を特徴とし、例えば、肺および前立腺腫瘍などの腫瘍を画像化するための強力なPET造影剤であることも見出された。意外にも、本願発明の化合物は腫瘍にて高い取り込み、および腫瘍にて経時的に優れた滞留性を示すことが見出された。
【0012】
要約
本願発明は特許請求の範囲にて言及される発明の要旨、すなわち、一般式Iおよび/IIのホモグルタミン酸誘導体、式IIIのその先駆体に、その使用、およびその製造に関する。
【0013】
式12S、IAS、IBS、II2S、IIB2S、III2S、IIIA、IIIA2S、IIIBおよびIIIB2Sが本願発明の化合物の好ましい化合物である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】細胞競合実験における本願発明の化合物の生物学的活性の検査結果を示す。(NCI−H460非小細胞肺癌細胞、1μCi3H―グルタミン酸/PBSパファー(Puffer)と共に10分間インキュベート、各々1mM濃度の競合剤)。
【図2】放射性標識した中間体である、1−tert−ブチル6−エチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−フルオロ−プロピル)ヘキサンジオエートのHPLCを示す。
【図3】OPAフタルジアルデヒド試薬溶液で誘導化した後の(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸のHPLCを示す。
【図4】(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸の経時的取り込みを測定した。H460細胞を0.25MBqの(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸と一緒に最大60分間インキュベートし、10、20、30および60分後に細胞結合フラクションを測定した。
【図5】H460腫瘍細胞における(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸の保持を示す。H460細胞を0.25MBqの(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸とPBS/BSA中にて30分間ローディングした。洗浄後、該細胞を新たな緩衝液(放射活性のない)と共にさらに10、20、30分間インキュベートした。放射活性の上澄への放出ならびに細胞内での保持を測定した。
【図6】H460の担腫瘍ラットでの(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸のPET−画像化を示す。8.35MBqの放射性トレーサーをラットに静脈内注射した。Siemens Inveon製PET/CTスキャナーを用い、60分のp.i.から10分間、PET画像を得た。
【図7】細胞競合実験における(2S)−2−アミノ−5−(4−シアノ−3−フルオロベンジル)ヘキサンジオン酸の生物学的活性を示す(H460細胞、PBSパファー中放射性標識したグルタミン酸誘導体と共に30分間インキュベーション、1mMおよび0.1mM濃度の競合剤)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第一の態様において、当該発明は、一般式(I):
【化1】

(I)
[式中
、RおよびRは、相互に独立して、水素およびXより選択される、ただしR、RおよびRの一つはXであり、
ここで、Xは、
フッ素原子(F)、ただしFはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、
所望により1または2個の酸素原子が炭素鎖に割り込んでいてもよい分岐または直鎖F−C−C10アルキル、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシ、ただしXはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、ここで炭素鎖には所望により1個の付加的な酸素原子が割り込んでいてもよく、2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1であり、
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり、
F−C−Cシクロアルキルである、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−Cシクロアルキル−(CH、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である、ただし、Xはsp混成軌道炭素原子に結合していないか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である、ただしXはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子を意味する]
で示される化合物を対象とする。
【0016】
式Iは単一異性体、EおよびZ−異性体、ジアステレオマーおよびエナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0017】
第一の実施態様において、当該発明は、フッ素原子(F)が18F同位元素である、一般式(I)の化合物を対象とする。
【0018】
、R、RおよびXは上記と同意義である。
【0019】
好ましくは、RおよびRは水素であり;RはXである。
【0020】
より好ましくは、第一の実施態様を包含する一般式(I)の化合物は、一般式(I2S):
【化2】

(I2S)
で示される化合物である。
【0021】
第二の実施態様において、当該発明は、フッ素原子(F)が19F同位元素である、一般式(I)の化合物を対象とする。
【0022】
、R、RおよびX上記と同意義である。
【0023】
好ましくは、RおよびRは水素であり;RはXである。
【0024】
好ましくは、Xは、次のとおりである:
フッ素原子(F)、ただしFはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、
所望により1または2個の酸素原子が炭素鎖に割り込んでいてもよい分岐または直鎖F−C−C10アルキル、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシ、ただしXはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、ここで炭素鎖には所望により1個の付加的な酸素原子が割り込んでいてもよく、2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
F−C−Cシクロアルキルである、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−Cシクロアルキル−(CH、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である、ただしXはsp混成軌道炭素原子に結合していないか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である、ただしXはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0025】
より好ましくは、第二の実施態様を包含する一般式(I)の化合物は、一般式(I2S):
【化3】

(I2S)
で示される化合物である。
【0026】
第三の実施態様において、当該発明は、一般式(I)の化合物であって、
【化4】

(I)
[式中
およびRは水素であり;
はXであり、
ここで、Xは
フッ素原子(F)、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシ、ただしC−4とC−5の間には二重結合はなく、該炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり、
F−C−Cシクロアルキル、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である、ただしC−4およびC−5の間に二重結合はないか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である]
で示される化合物である。
【0027】
式Iは単一異性体、EおよびZ−異性体、ジアステレオマーおよびエナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0028】
好ましくは、フッ素原子(F)は18Fまたは19F同位元素である。
【0029】
好ましくは、一般式(I)の化合物は、一般式(IA)
【化5】

(IA)
[式中
およびRは水素であり;
はXであり、
ここでXは
フッ素原子(F)、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシであり、ここで炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり、
F−C−Cシクロアルキル、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1であるか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である]
で示される化合物である。
【0030】
式IAは単一異性体、ジアステレオマーおよびエナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0031】
より好ましくは、一般式(I)の化合物は、フッ素原子(F)が18F同位元素である、一般式(IA)の化合物である。
【0032】
さらにより好ましくは、一般式(I)の化合物は、下記に示されるような一般式(IA2S):
【化6】

(IA2S)
[式中、R、RおよびRは式(I)または第三の実施態様の式(IA)の記載と同意義である。
【0033】
より好ましくは、一般式(I)の化合物は、フッ素原子(F)が19F同位元素である、一般式(IA)の化合物である。
【0034】
さらにより好ましくは、一般式(I)の化合物は、下記に示されるような一般式(IA2S):
【化7】

(IA2S)
[式中、R、RおよびRは式(I)または第三の実施態様の式(IA)の記載と同意義である。
【0035】
好ましくは、一般式(I)の化合物は、一般式(IB):
【化8】

(IB)
[式中
およびRは水素であり;
はXであり、
ここで、Xは
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり、
F−C−Cシクロアルキル、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合している]
で示される化合物である。
【0036】
式IBは単一異性体、E−およびZ−異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0037】
より好ましくは、一般式(I)の化合物は、フッ素原子(F)が18F同位元素である、一般式(IB)の化合物である。
【0038】
さらにより好ましくは、一般式(I)の化合物は、下記に示されるような一般式(IB2S):
【化9】

(IB2S)
[式中、R、RおよびRは式(I)または第三の実施態様の式(IB)の記載と同意義である。
【0039】
より好ましくは、一般式(I)の化合物は、フッ素原子(F)が19F同位元素である、一般式(IB)の化合物である。
【0040】
さらにより好ましくは、一般式(I)の化合物は、下記に示されるような一般式(IB2S):
【化10】

(IB2S)
[式中、R、RおよびRは式(I)または第三の実施態様の式(IB)の記載と同意義である。
【0041】
好ましくは、(IA)および(IB)にて、RおよびRは水素であり、RはXである。
【0042】
以下に開示される好ましい特徴は、(IA)に適用される:
【0043】
好ましくは、Xは
フッ素原子(F)、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシであり、ここで炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であるか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0044】
より好ましくは、Xは
フッ素原子(F)、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であるか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0045】
さらにより好ましくは、Xは
フッ素原子(F)、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルである。
【0046】
さらにより好ましくは、Xはフッ素原子(F)である。
【0047】
フッ素原子(F)が19F同位元素である場合に、以下に開示される好ましい特徴が(IA)に適用される:
【0048】
好ましくは、Xは
フッ素原子(F)、ただしFはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここで該炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシ、ただしXはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、ここで炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
F−C−Cシクロアルキル、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−Cシクロアルキル−(CH、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である、ただしXはsp混成軌道炭素原子に結合していないか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である、ただしXはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0049】
より好ましくは、Xは
フッ素原子(F)、ただしFはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシであり、ここで炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基がある。
【0050】
さらにより好ましくは、Xは
フッ素原子(F)、ただしFはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基がある。
【0051】
さらにより好ましくは、Xは
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基がある。
【0052】
さらにより好ましくは、Xは分岐または直鎖F−C−C10アルキル、好ましくはF−C−Cアルキル、より好ましくはF−プロピルである。
【0053】
フッ素原子(F)が18F同位元素である場合に、以下に開示される好ましい特徴が(IA)に適用される:
【0054】
好ましくは、Xは
フッ素原子(F)、ただしFはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここで該アルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシであり、ここで炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1であるか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1であり、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0055】
より好ましくは、Xは
フッ素原子(F)、ただしFはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1であるか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1であり、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0056】
より好ましくは、Xは
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1であるか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1であり、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0057】
さらにより好ましくは、Xは
フッ素原子(F)、ただしFはsp混成軌道炭素原子に結合していないか、または
分岐または直鎖F−C−C10アルキルである。
【0058】
さらにより好ましくは、Xは分岐または直鎖F−C−C10アルキル、好ましくはF−C−Cアルキル、より好ましくはF−プロピルである。
【0059】
以下に開示される好ましい特徴は、(IB)に適用される:
【0060】
好ましくは、Xは
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であるか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0061】
より好ましくは、Xは
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基がある。
【0062】
さらにより好ましくは、Xは
分岐または直鎖F−C−C10アルキル、より好ましくは、F−C−Cアルキルである。
【0063】
フッ素原子(F)が19F同位元素である場合に、以下に開示される好ましい特徴が(IB)に適用される:
【0064】
好ましくは、Xは
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここで該炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
F−C−Cシクロアルキル、ただしFは該環のCH基の一つに結合しているか、または
F−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合している。
【0065】
より好ましくは、Xは
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基がある。
【0066】
さらにより好ましくは、Xは
分岐または直鎖F−C−C10アルキル、好ましくはF−C−Cアルキル、より好ましくはF−プロピルである。
【0067】
フッ素原子(F)が18F同位元素である場合に、以下に開示される好ましい特徴が(IB)に適用される:
【0068】
好ましくは、Xは
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここで該アルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1であるか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1であり、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0069】
好ましくは、Xは
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
F−C−Cシクロアルキル、ただしFは該環のCH基の一つに結合しているか、または
F−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合している。
【0070】
より好ましくは、Xは
分岐または直鎖F−C−C10アルキル、好ましくはF−C−Cアルキル、より好ましくはF−プロピルである。
【0071】
以下に開示の好ましい特徴は(IA)および(IB)に適用される:
【0072】
好ましくは、分岐または直鎖F−C−C10アルキルはF−C−CアルキルまたはF−C−C10アルキルである。より好ましくは、F−C−C10アルキルはF−C−Cアルキル、F−Cアルキル(F−CH)、F−Cアルキル(F−(CH)、F−Cアルキル(例、F−(CH)、F−Cアルキル(例、F−(CH)またはF−Cアルキル(例、F−(CH)である。
【0073】
アルキル鎖はどの位置でもフッ素原子(F)により置換され得る。好ましくは、アルキル鎖は該鎖の末端位置でフッ素原子(F)で置換される。
【0074】
好ましくは、アルキル鎖が所望により1または2個の酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間に少なくとも2個のメチレン基が存在する、分岐または直鎖F−C−C10アルキルは、(2−フルオロエトキシ)メチル、2−(2−フルオロエトキシ)エチル、3−(2−フルオロエトキシ)プロピル、[2−(2−フルオロエトキシ)エトキシ]メチル、3−(フルオロメトキシ)プロピル、2−[2−(2−フルオロエトキシ)エトキシ]エチルである。
【0075】
好ましくは、分岐または直鎖F−C−C10アルコキシは、F−C−CアルコキシまたはF−C−C10アルコキシである。より好ましくは、F−C−C10アルコキシは、F−Cアルコキシ(F−(CHO)、F−Cアルコキシ(例、F−(CHO)、F−Cアルコキシ(例、F−(CHO)またはF−Cアルコキシ(例、F−(CHO)である。
【0076】
アルコキシ鎖はどの炭素原子でもフッ素原子(F)で置換され得る。好ましくは、アルコキシ鎖は、該鎖の末端位置でフッ素原子(F)で置換される。
【0077】
好ましくは、炭素鎖が所望により1個の付加的な酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間に少なくとも2個のメチレン基が存在する、分岐または直鎖F−C−C10アルコキシは、フルオロメトキシ、2−フルオロエトキシ、3−フルオロプロポキシ、2−(2−フルオロエトキシ)エトキシ、3−(フルオロメトキシ)プロパン−1−オキシ、3−(2−フルオロエトキシ)プロパン−1−オキシである。
【0078】
好ましくは、F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHは、F−C−(CHであって、n=1ないし3、好ましくはn=1である。アリールはどの位置でもフッ素原子(F)で置換され得る。単環式または二環式アリール残基は、所望により、CF、CN等の電子求引基で置換され得る。
【0079】
好ましくは、F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHは、F−Cアリール−(CHであって、n=1ないし3、好ましくはn=1である。アリールはどの位置でもフッ素原子(F)で置換される。アリールは所望により置換されていてもよい。
【0080】
好ましくは、F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHは、F−ピリジニル−(CHまたはF−ピリミジニル−(CHであって、n=1ないし3、好ましくはn=1である。ヘテロアリールはどの炭素原子でもフッ素原子(F)で置換され得る。ヘテロアリールは所望により置換されていてもい。
【0081】
好ましくは、F−C−Cシクロアルキルは、F−Cシクロアルキル、F−Cシクロアルキル、F−CシクロアルキルまたはF−Cシクロアルキルである。シクロアルキルはどの位置でもフッ素原子(F)で置換され得る。
【0082】
好ましくは、F−C−Cシクロアルキル−(CHは、F−シクロプロピル−(CH、F−シクロブチル−(CH、シクロペンチル−(CHまたはF−シクロヘキシル−(CHであって、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である。シクロアルキルはどの位置でもフッ素原子(F)で置換され得る。
【0083】
好ましくは、F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oは、F−C−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である。アリールはどの位置でもフッ素原子(F)で置換され得る。
【0084】
好ましくは、Xは4−シアノ−3−フルオロベンジルである。
【0085】
好ましくは、F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oは、F−ピリジニル−(CH−OまたはF−ピリミジニル−(CH−Oであって、n=1ないし3、好ましくはn=1である。ヘテロアリールはどの位置でもフッ素原子(F)で置換され得る。
【0086】
実施態様および好ましい特徴は組み合わせることができ、本願発明の範囲内にある。
【0087】
本願発明の化合物は、限定されるものではないが、次の化合物より選択される:
(2S)−2−アミノ−5−(3−フルオロプロピル)ヘキサンジオン酸水素アンモニウム
【化11】

(2S)−2−アミノ−5−(3−[18F]フルオロプロピル)ヘキサンジオン酸
【化12】

(2S)−2−アミノ−5−フルオロヘキサンジオン酸
【化13】

(2S)−2−アミノ−5−[18F]フルオロヘキサンジオン酸
【化14】

(E)−(S)−5−アミノ−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸
【化15】

(E)−(S)−5−アミノ−2−(3−[18F]フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸
【化16】

(Z)−(S)−5−アミノ−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸トリフルオロ酢酸塩
【化17】

(Z)−(S)−5−アミノ−2−(3−[18F]フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸
【化18】

(2S)−2−アミノ−5−(4−シアノ−3−フルオロベンジル)ヘキサンジオン酸
【化19】

(2S)−2−アミノ−5−(4−シアノ−3−[18F]フルオロベンジル)ヘキサンジオン酸
【化20】

【0088】
第二の態様において、当該発明は一般式(II):
【化21】

(II)
[式中
、RおよびRは、相互に独立して、水素およびXから選択される、ただしR、RおよびRの一はXであり、
ここで、Xは
フッ素原子(F)、ただしFはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここで炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシ、ただしFはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、ここで該炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の原子はヘテロ原子であり、
F−C−Cシクロアルキル、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしXはsp混成軌道炭素原子に結合していないか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであって、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしXはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはN−保護基であり;
=水素またはN−保護基であるか;または
基NRは1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基である;
ただし置換基R、R、RまたはRの少なくとも1つは水素以外の基である]
で示される化合物を対象とする。
【0089】
式IIは単一異性体、EおよびZ−異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0090】
好ましくは、フッ素原子(F)が19F同位元素である場合、その場合、式IIの化合物は6−エチル−1−メチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−フルオロヘキサンジオエートではない。
【0091】
第一の実施態様において、当該発明は、一般式(II)の、フッ素原子(F)が18F同位元素である、化合物を対象とする。
【0092】
、R、R、R、R、R、RおよびX上記と同意義である。
【0093】
好ましくは、RおよびRは水素であり;RはXである。
【0094】
より好ましくは、第一の実施態様に含まれる一般式(II)の化合物は、一般式(II2S):
【化22】

(II2S)
の化合物である。
【0095】
第二の実施態様において、当該発明は、一般式(II)の、フッ素原子(F)が19F同位元素である、化合物を対象とする、ただし式(II2S)の化合物は6−エチル−1−メチル−(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−フルオロヘキサンジオエートではない。
【0096】
、R、R、R、R 、R、RおよびX上記と同意義である。
【0097】
好ましくは、RおよびRは水素であり;RはXである。
【0098】
好ましくは、Xは
フッ素原子(F)、ただしFはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここで炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシ、ただしFはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、ここで該炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
F−C−Cシクロアルキル、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしXはsp混成軌道炭素原子に結合していないか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであって、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしXはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0099】
より好ましくは、第二の実施態様に包含される一般式(II)の化合物は、一般式(II2S):
【化23】

(II2S)
の化合物である、ただし式(II2S)の化合物は6−エチル−1−メチル−(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−フルオロヘキサンジオエートではない。
【0100】
第三の実施態様において、当該発明は、一般式(II):
【化24】

(II)
[式中
およびRは水素であり;
はXであり、
ここで、Xは
フッ素原子(F)、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここで炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシ、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ここで該炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の原子はヘテロ原子であり、
F−C−Cシクロアルキル、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はないか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであって、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはN−保護基であり;
=水素またはN−保護基であるか;または
基NRは1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基である;
ただし置換基R、R、RまたはRの少なくとも1つは水素以外の基である]
で示される化合物を対象とする。
【0101】
式IIは単一異性体、EおよびZ−異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0102】
好ましくは、フッ素原子(F)が19F同位元素である場合、その場合、式IIの化合物は6−エチル−1−メチル−(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−フルオロヘキサンジオエートではない。
【0103】
好ましくは、一般式(II)の化合物は、一般式(IIA):
【化25】

(IIA)
[式中
およびRは水素であり;
はXであり、
ここで、Xは
フッ素原子(F)、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここで炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシであり、ここで該炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の原子はヘテロ原子であり、
F−C−Cシクロアルキル、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はないか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであって、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはN−保護基であり;
=水素またはN−保護基であるか;または
基NRは1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基である;
ただし置換基R、R、RまたはRの少なくとも1つは水素以外の基である]
で示される化合物である。
【0104】
式IIAは単一異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0105】
好ましくは、フッ素原子(F)が19F同位元素である場合、その場合、式IIAの化合物は6−エチル 1−メチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−フルオロヘキサンジオエートではない。
【0106】
より好ましくは、一般式(II)の化合物は、フッ素原子(F)が18F同位元素である、一般式(IIA)の化合物である。
【0107】
さらにより好ましくは、一般式(II)の化合物は、下記に示される一般式(IIA2S):
【化26】

(IIA2S)
[式中、R、R、R、R、R、RおよびRは、第三の実施態様の式(II)または(IIA)の記載と同意義である]
で示される化合物である。
【0108】
より好ましくは、一般式(II)の化合物は、一般式(IIA)の、フッ素原子(F)が19F同位元素である、化合物である、ただし式(IIA)の化合物は6−エチル−1−メチル−(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−フルオロヘキサンジオエートではない。
【0109】
さらにより好ましくは、一般式(II)の化合物は、下記に示される一般式(IIA2S):
【化27】

(IIA2S)
[式中、R、R、R、R、R、RおよびRは、第三の実施態様の式(II)または(IIA)の記載と同意義である]
で示される化合物である。
【0110】
好ましくは、一般式(II)の化合物は、一般式(IIB):
【化28】

(IIB)
[式中
およびRは水素であり;
はXであり、
ここで、Xは
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここで炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の原子はヘテロ原子であり、
F−C−Cシクロアルキル、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはN−保護基であり;
=水素またはN−保護基であるか;または
基NRは1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基である;
ただし置換基R、R、RまたはRの少なくとも1つは水素以外の基である]
で示される化合物である。
【0111】
式IIBは、単一異性体、EおよびZ−異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0112】
より好ましくは、一般式(II)の化合物は、フッ素原子(F)が18F同位元素である、一般式(IIB)の化合物である。
【0113】
さらにより好ましくは、一般式(II)の化合物は、下記に示される一般式(IIB2S):
【化29】

(IIB2S)
[式中:R、R、R、R、R、RおよびRは、第三の実施態様の式(II)または(IIB)における上記した記載と同意義である]
で示される化合物である。
【0114】
より好ましくは、一般式(II)の化合物は、フッ素原子(F)が19F同位元素である、一般式(IIB)の化合物である。
【0115】
さらにより好ましくは、一般式(II)の化合物は、下記に示される一般式(IIB2S):
【化30】

(IIB2S)
[式中:R、R、R、R、R、RおよびRは、第三の実施態様の式(II)または(IIB)における上記した記載と同意義である]
で示される化合物である。
【0116】
式IIの化合物は、OHおよびNHなどの官能基が、各々、RないしRとして定義された適当な保護基で保護されている、フルオロ標識の化合物である。
【0117】
一般式(II)の化合物について開示されている好ましい特性RないしRはこの中に組み入れられる。
【0118】
およびRが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、アリル、ベンジル、4−メトキシベンジル、4−メトキシフェニルからなる群より選択されるO−保護基である。好ましくは、Rはメチル、エチル、t−ブチル、ベンジルからなる群より選択されるO−保護基である。
【0119】
N−保護基は、カルボベンジルオキシ(Cbz)、p−メトキシベンジルカルボニル(MozまたはMeOZ)、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル(DMPM)、トリフェニルメチルおよびp−メトキシフェニル(PMP)からなる群より選択されるか、または基NRは、1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基である。
【0120】
好ましくは、RおよびRは、相互に独立して、カルボベンジルオキシ(Cbz)、p−メトキシベンジルカルボニル(MozまたはMeOZ)、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ベンジル(Bn)からなる群より選択される。
【0121】
より好ましくは、RおよびRは、相互に独立して、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)および9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)からなる群より選択される。
【0122】
さらにより好ましくは、RはN−保護基であり、Rは水素またはN−保護基である。
【0123】
一般式(I)の化合物について開示されている好ましい特性Xはこの中に組み入れられる。
【0124】
発明の化合物は、限定されるものではないが、以下の化合物より選択される:
6−tert−ブチル1−エチル(Z)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエート;
6−tert−ブチル1−エチル(E)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエート;
【化31】

1−tert−ブチル6−エチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−フルオロプロピル)ヘキサンジオエート
【化32】

1−tert−ブチル6−ヒドロゲン(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−フルオロプロピル)ヘキサンジオエート
【化33】

(Z)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸
【化34】

2a
ここで、フッ素原子(F)は18Fまたは19F同位元素である
ジ−tert−ブチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(4−シアノ−3−フルオロベンジル)ヘキサンジオエート
【化35】

【0125】
第三の態様において、当該発明は、一般式(III):
【化36】

(III)
[式中
、RおよびR10は、相互に独立して、水素およびYより選択される、ただしR、RおよびR10の一つはYであり、
ここで、Yは
脱離基(LG)、ただしYはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここで該炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
分岐または直鎖LG−C−C10アルコキシ、ただしYはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、ここで該炭素鎖は、所望により1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり、
LG−C−Cシクロアルキル、ただしLGは該環のCH基の一つに結合しており、
LG−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただし、LGは該環のCH基の一つに結合しており
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしYはsp混成軌道炭素原子に結合していないか、または
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしYはsp混成軌道炭素原子に結合しておらず、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり;
=O−保護基であり;
=O−保護基であり;
=N−保護基であり;
=水素またはN−保護基であるか、または
基NRは1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基を意味する]
で示される化合物を対象とする。
【0126】
式IIIは、単一異性体、EおよびZ−異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、その混合物 その適当な塩を包含する。
【0127】
好ましくは、一般式(III)の化合物は1−ベンジル−6−メチル−(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(2−チオキソピリジン−1(2H)−イル)ヘキサンジオエートではない。
【0128】
好ましくは、一般式(III)の化合物は、一般式(III2S):
【化37】

(III2S)
[式中、R、R、R、R10、R、RおよびRは、式(III)において上記したとおりである]
の化合物である。
【0129】
より好ましくは、一般式(III)の化合物は、一般式(III2S)の化合物である、一般式(III2S)の化合物は1−ベンジル−6−メチル−(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(2−チオキソピリジン−1(2H)−イル)ヘキサンジオエートではない。
【0130】
第一の実施態様において、当該発明は、一般式(III):
【化38】

(III)
[式中
およびR10は水素であり;
はYであり、
ここで、Yは
脱離基(LG)、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここで該炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
分岐または直鎖LG−C−C10アルコキシ、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ここで該炭素鎖は、所望により1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり、
LG−C−Cシクロアルキル、ただしLGは該環のCH基の一つに結合しており、
LG−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただし、LGは該環のCH基の一つに結合しており
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はないか、または
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり;
=O−保護基であり;
=O−保護基であり;
=N−保護基であり;
=水素またはN−保護基であるか、または
基NRは1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基を意味する]
で示される化合物を対象とする。
【0131】
式IIIは単一異性体、EおよびZ−異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0132】
好ましくは、一般式(III)の化合物は、1−ベンジル−6−メチル−(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(2−チオキソピリジン−1(2H)−イル)ヘキサンジオエートではない。
【0133】
好ましくは、一般式(III)の化合物は、一般式(III2S):
【化39】

(III2S)
[式中、R、R、R、R10、R、RおよびRは、式(III)にて上記したとおりである]
で示される化合物である。
【0134】
より好ましくは、一般式(III)の化合物は、一般式(III2S)の化合物である、ただし一般式(III2S)の化合物は1−ベンジル−6−メチル−(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(2−チオキソピリジン−1(2H)−イル)ヘキサンジオエートである。
【0135】
好ましくは、一般式(III)の化合物は、一般式(IIIA):
【化40】

(IIIA)
[式中
およびR10は水素であり、
はYであり、
ここで、Yは
脱離基(LG)、
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここで該炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
分岐または直鎖LG−C−C10アルコキシであり、ここで該炭素鎖は、所望により1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり、
LG−C−Cシクロアルキル、ただしLGは該環のCH基の一つに結合しており、
LG−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただし、LGは該環のCH基の一つに結合しており、
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であるか、または
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり;
=O−保護基であり;
=O−保護基であり;
=N−保護基であり;
=水素またはN−保護基であるか、または
基NRは1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基を意味する]
で示される化合物である。
【0136】
式IIIAは単一異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0137】
より好ましくは、一般式(IIIA)の化合物は、一般式(IIIA2S):
【化41】

(IIIA2S)
[式中、R、R、R、R10、R、RおよびRは、式(IIIA)について上記したとおりである]
の化合物である。
【0138】
さらにより好ましくは、一般式(IIIA2S)の化合物は、1−ベンジル−6−メチル−(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(2−チオキソピリジン−1(2H)−イル)ヘキサンジオエートではない。
【0139】
好ましくは、一般式(III)の化合物は、一般式(IIIB):
【化42】

(IIIB)
[式中
およびR10は水素であり、
はYであり、
ここで、Yは
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここで該炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり、
LG−C−Cシクロアルキル、ただしLGは該環のCH基の一つに結合しており、
LG−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただし、LGは該環のCH基の一つに結合しており、
=O−保護基であり;
=O−保護基であり;
=N−保護基であり;
=水素またはN−保護基であるか、または
基NRは1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基を意味する]
で示される化合物である。
【0140】
式IIIBは単一異性体、EおよびZ−異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する。
【0141】
より好ましくは、一般式(IIIB)の化合物は、一般式(IIIB2S):
【化43】

(IIIB2S)
[式中、R、R、R、R10、R、RおよびRは、式(IIIB)にて上記したとおりである]
で示される化合物である。
【0142】
式III、(IIIA)または(IIIB)の化合物は、OHおよびNHなどの官能基が、各々、RないしRなどの適当な保護基で保護されている、フルオロ標識化に適する化合物である。
【0143】
好ましくは、RおよびR10は水素であり、RはYである。
【0144】
好ましくは、(IIIA)および(IIIB)にて、RおよびR10は水素であり、RはYである。
【0145】
以下に開示される好ましい特徴は(IIIA)に適用される:
【0146】
好ましくは、Yは
脱離基(LG)、
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここで該アルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
分岐または直鎖LG−C−C10アルコキシであり、ここで該炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であるか、または
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0147】
より好ましくは、Yは、
脱離基(LG)、
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここで該アルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があるか、または
分岐または直鎖LG−C−C10アルコキシであり、ここで該炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基がある。
【0148】
さらにより好ましくは、Yは
脱離基(LG)、
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルまたは
分岐または直鎖LG−C−C10アルコキシ
である。
【0149】
さらにより好ましくは、Yは
脱離基(LG)または
分岐または直鎖LG−C−C10アルキル
である。
【0150】
以下に開示の好ましい特徴は(IIIA)に適用される:
【0151】
好ましくは、Yは
脱離基(LG)、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここで該炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
分岐または直鎖LG−C−C10アルコキシ、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ここで該炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
LG−C−Cシクロアルキル、ただしLGは該環のCH基の一つに結合しており、
LG−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただし、LGは該環のCH基の一つに結合しており、
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はないか、または
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0152】
より好ましくは、Yは
脱離基(LG)、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここで該炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
分岐または直鎖LG−C−C10アルコキシ、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ここで該炭素鎖は所望により1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基がある。
【0153】
さらにより好ましくは、Yは
脱離基(LG)、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここで該炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0154】
さらにより好ましくは、Yは
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここで該炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0155】
さらにより好ましくは、Yは分岐または直鎖LG−C−C10アルキル、より好ましくは、LG−C−Cアルキルである。
【0156】
以下に開示の好ましい特徴が(IIIB)に適用される:
【0157】
好ましくは、Yは
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であるか、または
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である。
【0158】
より好ましくは、Yは
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間に少なくとも2個のメチレン基がある。
【0159】
さらにより好ましくは、Yは
分岐または直鎖LG−C−C10アルキル、より好ましくはLG−C−Cアルキルである。
【0160】
以下の開示の好ましい特徴は(IIIB)に適用される:
【0161】
Yは
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここで該炭素鎖は所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
LG−C−Cシクロアルキルである、ただしLGは該環のCH基の一つに結合しており、
LG−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしLGは該環のCH基の一つに結合している。
【0162】
以下に開示の好ましい特徴は(IIIA)および(IIIB)に適用される:
【0163】
好ましくは、分岐または直鎖LG−C−C10アルキルはLG−C−CアルキルまたはLG−C−C10アルキルである。より好ましくは、LG−C−C10アルキルはLG−C−Cアルキル、LG−Cメチル(LG−CH)、LG−エチル(LG−(CH)、LG−プロピル(例、LG−(CH)、LG−ブチル(例、LG−(CH)またはLG−ペンチル(例、LG−(CH)である。
【0164】
アルキル鎖は、脱離基(LG)でどの位置ででも置換され得る。好ましくは、アルキル鎖は該鎖の末端位置で脱離基(LG)で置換される。好ましくは、分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであって、そのアルキル鎖が所望により1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基がある、アルキルは、3−[(メチルスルホニル)オキシ]プロピル、3−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}プロピル、3−{[(4−ニトロフェニル)スルホニル]オキシ}プロピル、3−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}プロピル、(メチルスルホニル)オキシメチル、[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシメチル、[(4−ニトロフェニル)スルホニル]オキシメチル、[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシメチル、{2−[(メチルスルホニル)オキシ]エトキシ}メチル、(2−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}エトキシ)メチル、(2−{[(4−ニトロフェニル)スルホニル]オキシ}エトキシ)メチル、(2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}エトキシ)メチル、3−{2−[(メチルスルホニル)オキシ]エトキシ}プロピル、3−(2−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}エトキシ)プロピル、3−(2−{[(4−ニトロフェニル)スルホニル]オキシ}エトキシ)プロピル、3−(2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}エトキシ)プロピルである。
【0165】
好ましくは、分岐または直鎖LG−C−C10アルコキシは、LG−C−CアルコキシまたはLG−C−C10アルコキシである。より好ましくは、LG−C−C10アルコキシはLG−Cアルコキシ(LG−(CHO)、LG−Cアルコキシ(例、LG−(CHO)、LG−Cアルコキシ(例、LG−(CHO)またはLG−Cアルコキシ(例、LG−(CHO)である。
【0166】
アルコキシ鎖は脱離基(LG)でどの炭素原子でも置換され得る。好ましくは、アルコキシ鎖は該鎖の末端位置で脱離基(LG)で置換される。
【0167】
好ましくは、分岐または直鎖LG−C−C10アルコキシであって、該炭素 鎖が所望により1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基がある、アルコキシは、2−[(メチルスルホニル)オキシ]エトキシ、2−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}エトキシ、2−{[(4−ニトロフェニル)スルホニル]オキシ}エトキシ、2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}エトキシ、3−[(メチルスルホニル)オキシ]プロパン−1−オキシ、3−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}プロパン−1−オキシ、3−{[(4−ニトロフェニル)スルホニル]オキシ}プロパン−1−オキシ、3−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}プロパン−1−オキシ、2−{2−[(メチルスルホニル)オキシ]エトキシ}エトキシ、2−(2−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}エトキシ)エトキシ、2−(2−{[(4−ニトロフェニル)スルホニル]オキシ}エトキシ)エトキシ、2−(2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ}エトキシ)エトキシである。
【0168】
好ましくは、LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHは、LG−C−(CHであって、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である。アリールはどの位置でも脱離基(LG)で置換され得る。
【0169】
好ましくは、LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHは、LG−Cアリール−(CHであって、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である。アリールはどの位置でも脱離基(LG)で置換される。アリールは所望により置換されていてもよい。
【0170】
好ましくは、LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHは、LG−ピリジニル−(CHまたはLG−ピリミジニル−(CHであって、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である。ヘテロアリールはどの炭素原子でも脱離基(LG)で置換され得る。ヘテロアリール 所望により置換されていてもよい。
【0171】
好ましくは、LG−C−Cシクロアルキルは、LG−Cシクロアルキル、LG−Cシクロアルキル、LG−CシクロアルキルまたはLG−Cシクロアルキルである。シクロアルキルは環のCH基のどの位置でも脱離基(LG)で置換され得る。
【0172】
好ましくは、LG−C−Cシクロアルキル−(CHは、LG−Cシクロアルキル−(CH、LG−Cシクロアルキル−(CH、LG−Cシクロアルキル−(CHまたはLG−Cシクロアルキル−(CHであって、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である。シクロアルキルは環のCH基のどの位置でも脱離基(LG)で置換され得る。
【0173】
好ましくは、LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oは、LG−C−(CHOであって、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である。アリールはどの位置でも脱離基(LG)で置換され得る。
【0174】
好ましくは、LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−OはLG−ピリジニル−(CHOまたはLG−ピリミジニル−(CHOであって、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である。ヘテロアリールはどの炭素原子でも脱離基(LG)で置換され得る。
【0175】
実施態様および好ましい特徴は組み合わせることができ、それは本願発明の範囲内である。
【0176】
好ましくは、脱離基(LG)は、それがsp混成軌道炭素原子に結合している場合、
ハロゲン、
メチルスルホニルオキシ、
トリフルオロメチルスルホニルオキシ、
(4−ニトロフェニル)スルホニルオキシ、
ノナフルオロブチルスルホニルオキシ、および
(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ
の群より選択される。
【0177】
より好ましくは、脱離基(LG)は、それがsp混成軌道炭素原子に結合している場合、
クロロ、
ブロモ、
メチルスルホニルオキシ、
トリフルオロメチルスルホニルオキシ、
(4−ニトロフェニル)スルホニルオキシ、
ノナフルオロブチルスルホニルオキシ、
(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ、および
ヨード
の群より選択される。
【0178】
さらにより好ましくは、脱離基(LG)は、それがsp混成軌道炭素原子に結合している場合、
メチルスルホニルオキシ、
トリフルオロメチルスルホニルオキシ、
(4−ニトロフェニル)スルホニルオキシ、
ノナフルオロブチルスルホニルオキシ、および
(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ
の群より選択される。
【0179】
さらにより好ましくは、脱離基(LG)は、それがsp混成軌道炭素原子に結合している場合、(4−メチルフェニル)スルホニルオキシである。
【0180】
好ましくは、脱離基(LG)は、それがアリールまたはヘテロアリールに結合している場合、
ハロゲン、
ニトロ、
トリメチルアンモニウム、
4−メトキシフェニルヨードニウム、および
2−チエニルヨードニウム
の群より選択される。
【0181】
より好ましくは、脱離基(LG)は、それがアリールまたはヘテロアリールに結合している場合、
ブロモ、
ヨード、
ニトロ、
トリメチルアンモニウム、
4−メトキシフェニルヨードニウム、および
2−チエニルヨードニウム
の群より選択される。
【0182】
またはRは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、アリル、ベンジル、4−メトキシベンジル、4−メトキシフェニルからなる群より選択されるO−保護基である。好ましくは、Rはメチル、エチル、t−ブチル、ベンジルからなる群より選択されるO−保護基である。
【0183】
N−保護基は、カルボベンジルオキシ(Cbz)、p−メトキシベンジルカルボニル(MozまたはMeOZ)、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル(DMPM)、トリフェニルメチルおよびp−メトキシフェニル(PMP)からなる群より選択されるか、またはNR基は1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基である。
【0184】
好ましくは、RおよびRは、相互に独立して、カルボベンジルオキシ(Cbz)、p−メトキシベンジルカルボニル(MozまたはMeOZ)、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ベンジル(Bn)からなる群より選択される。
【0185】
より好ましくは、RおよびRは、相互に独立して、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)および9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)からなる群より選択される。
【0186】
さらにより好ましくは、RはN−保護基であり、Rは水素またはN−保護基である。
【0187】
本願発明の化合物は、限定されるものではないが、
1−tert−ブチル6−エチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−[(メチルスルホニル)オキシ]ヘキサンジオエート
【化44】

1−tert−ブチル6−エチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−{3−[(メチルスルホニル)オキシ]プロピル}ヘキサンジオエート
【化45】

1−tert−ブチル6−エチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}プロピル)ヘキサンジオエート
【化46】

【0188】
第四の態様において、当該発明は、一般式(I)、(II)、(III)、(IA)、(IA2S)、(IB)、(IB2S)、(IIA)、(IIA2S)、(IIB)、(IIB2S)、(IIIA)、(IIIA2S)、(IIIB)または(IIIB2S)の化合物あるいはその混合物、および医薬上許容される担体または希釈体を含む、組成物を対象とする。
【0189】
当業者は、その専門的知識を理由として、所望の医薬製剤、調製物または組成物に適する、補助剤、ベヒクル、賦形剤、希釈剤、担体またはアジュバントに精通している。
【0190】
本願発明の化合物、医薬組成物または組み合わせの投与は、当該分野にて利用可能な一般に許容される投与方法にて実施される。静脈内送達が好ましい。
【0191】
一般に、本願発明の医薬組成物は、活性な化合物の用量が37MBq(1mCi)ないし740MBq(20mCi)の範囲にあるように投与され得る。特に、150MBqから370MBqの範囲にある線量が使用されるであろう。
【0192】
第五の態様において、本願発明は、式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIA)または(IIB)の化合物あるいはその混合物を得る方法を対象とする。当該発明の方法はフルオロ標識化法である。
【0193】
好ましくは、該フルオロ標識化法は、当該発明の化合物を含フッ素原子(F)部分で標識する方法であって、該含フッ素原子(F)部分が好ましくは18Fまたは19Fを含む、方法に関する。
【0194】
より好ましくは、含フッ素原子(F)部分は18Fを含む。さらにより好ましくは、該含フッ素原子(F)部分は4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサンK18F(クラウンエーテル塩 Kryptofix K18F)、K18F、H18F、KH18、Cs18F、Na18Fまたは18Fのテトラアルキルアンモニウム塩(例、[F−18]テトラブチルアンモニウムフルオリド)である。最も好ましくは、含フッ素原子(F)部分はK18F、H18FまたはKH18である。
【0195】
好ましくは、フルオロ標識化法はフルオロ放射性標識化法である。
【0196】
本願発明においては、該方法は、式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIA)または(IIB)の化合物またはその混合物を直接標識化して得る方法である。
【0197】
フルオロ標識化法は次の工程を含む:
−一般式(III)、(IIIA)または(IIIB)の化合物を含フッ素原子(F)部分とカップリングさせる工程、
−式(II)、(IIA)または(IIB)の化合物を脱保護する工程、および
−所望により、得られた化合物を、無機または有機酸のその適当な塩に、その水和物、複合体、エステル、アミドまたは溶媒和物に変換してもよい工程。
【0198】
好ましくは、該方法は、式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIA)または(IIB)の化合物あるいはその混合物を直接標識化して得る方法である。
【0199】
フルオロ標識化法は次の工程を含む:
−一般式(III)、(IIIA)または(IIIB)の化合物を含フッ素原子(F)部分とカップリングさせ、ここで含フッ素原子(F)が18Fを含む、工程、
−式(II)、(IIA)または(IIB)の化合物を脱保護する工程、および
−所望により、得られた化合物を、無機または有機酸のその適当な塩に、その水和物、複合体、エステル、アミドまたは溶媒和物に変換してもよい工程。
【0200】
好ましくは、該方法は、式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIA)または(IIB)の化合物あるいはその混合物を直接標識化して得る方法である。
【0201】
フルオロ標識化法は次の工程を含む:
−一般式(III)、(IIIA)または(IIIB)の化合物を含フッ素原子(F)部分とカップリングさせ、ここで含フッ素原子(F)が19Fを含む、工程、
−式(II)、(IIA)または(IIB)の化合物を脱保護する工程、および
−所望により、得られた化合物を、無機または有機酸のその適当な塩に、その水和物、複合体、エステル、アミドまたは溶媒和物に変換してもよい工程。
【0202】
このフッ素化に用いることができる試薬、溶媒および条件は、当業者に一般的であり、周知である。例えば、J. Fluorine Chem.、27(1985):177-191を参照のこと。
【0203】
好ましくは、本願発明の方法に使用される溶媒は、DMF、DMSO、アセトニトリル、DMAまたはその混合液であり、好ましくは該溶媒はDMSOである。
【0204】
式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIA)または(IIB)の化合物あるいはその混合物を得る方法であって、式(I)の化合物が上記に開示されているとおりである、方法は次のとおりである。
【0205】
式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIA)、(IIB)、(III)、(IIIA)および(IIIB)の化合物は上記にて定義されており、ここでその実施態様および好ましい特徴を当該記載の一部とする。
【0206】
式(IA2S)、(IB2S)、(IIA2S)または(IIB2S)の化合物あるいはその混合物を得る方法は、以下の工程を含む:
−一般式(IIIA2S)または(IIIB2S)の化合物を含フッ素原子(F)部分とカップリングさせる工程、
−所望により式(IIA2S)または(IIB2S)の化合物を脱保護してもよい工程、および
−所望により、得られた化合物を、無機または有機酸のその適当な塩に、その水和物、複合体、エステル、アミドまたは溶媒和物に変換してもよい工程。
【0207】
好ましくは、該方法は、式(IA2S)、(IB2S)、(IIA2S)または(IIB2S)の化合物であって、フッ素原子(F)が18Fであり、含フッ素原子(F)部分が4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]−ヘキサコサンK18F(クラウンエーテル塩 Kryptofix K18F)、K18F、H18F、KH18、Cs18F、Na18Fまたは18Fのテトラアルキルアンモニウム塩(例、[F−18]テトラブチルアンモニウムフルオリド)である、化合物に関する。最も好ましくは、含フッ素原子(F)部分はK18F、H18FまたはKH18である。
【0208】
好ましくは、該方法は、式(IA2S)、(IB2S)、(IIA2S)または(IIB2S)の化合物であって、フッ素原子(F)が19Fであり、含フッ素原子(F)部分がFluorineまたはフッ素担持のビルディングブロックである、化合物に関する。
【0209】
式(IA2S)、(IB2S)、(IIA2S)、(IIB2S)、(IIIA2S)または(IIIB2S)の化合物は上記にて開示されており、当該記載の一部とする。
【0210】
第六の態様において、当該発明は、増殖性疾患を画像化するための造影トレーサーを製造するための一般式(I)または(II)の化合物を対象とする。
【0211】
言い換えれば、本願発明は、増殖性疾患を画像化するための造影トレーサーを製造するための一般式(I)および(II)の化合物の使用を対象とする。
【0212】
一般式(I)および(II)の化合物は上記したとおりであり、すべての実施態様および好ましい特徴を包含する。好ましくは、本願発明の化合物は一般式 (I)または(II)の化合物であって、フッ素原子(F)が18F同位元素である、化合物である。
【0213】
該造影トレーサーは、陽電子放出型断層撮影PETに適する造影トレーサーである。
【0214】
本願発明はまた、増殖性疾患を画像化または診断するための方法であって、次の工程を含む:
−有効量の一般式(I)または(II)で示される化合物を含む化合物を哺乳動物に投与する工程、
−該哺乳動物の画像を得る工程、および
−画像を評価する工程。
【0215】
増殖性疾患は、腫瘍および/または転移の存在によって特徴付けられる癌である。好ましくは、胃腸または結腸直腸管の悪性腫瘍、肝臓癌、膵臓癌、腎臓癌、膀胱癌、甲状腺癌、前立腺癌、子宮内膜癌、卵巣癌、精巣癌、黒色腫、小細胞および非小細胞気管支癌、形成異常口腔粘膜癌、浸潤性口腔癌;ホルモン依存性およびホルモン非依存性乳癌を含む乳癌、扁平上皮癌、神経学的癌障害、例えば神経芽細胞腫、神経膠腫、星状細胞腫、骨肉腫、髄膜腫、軟組織肉腫;血管腫および内分泌腫瘍、例えば下垂体性腺腫、有色細胞腫、傍神経節腫、リンパ腫および白血病を含む血液学的腫瘍障害からなる群より選択される。 好ましくは、腫瘍は気管支癌(肺癌)または前立腺癌である。
【0216】
好ましくは、転移は上記した腫瘍の一の転移である。
【0217】
好ましくは、本願発明の化合物および使用は、哺乳動物の腫瘍を画像化するためのPET造影トレーサーを製造するためであって、ここで該腫瘍が好ましくは非小細胞癌(肺癌)である。
【0218】
一般式(IA2S)、(IB2S)、(IIA2S)または(IIB2S)の化合物あるいはその混合物は、増殖性疾患を画像化するための造影トレーサーを製造するためのものである。
【0219】
第七の態様において、本願発明は、一般式(I)、(II)または(III)の化合物の、生物学的アッセイおよびクロマトグラフィー同定法を行うための使用を対象とする。より好ましくは、該使用は一般式(I)または(II)の化合物であって、フッ素同位元素が18Fまたは19Fである、より好ましくは19Fである、化合物に関する。
【0220】
一般式(I)、(II)または(III)の化合物であって、フッ素同位元素が19Fである化合物は、対照および/または測定物質として有用である。
【0221】
一般式(I)、(II)および(III)の化合物は上記に定義されるとおりであり、すべての実施態様および好ましい特徴を包含する。
【0222】
一般式(IA2S)、(IB2S)、(IIA2S)、(IIB2S)、(IIIA2S)または(IIIB2S)の化合物の使用は、生物学的アッセイおよびクロマトグラフィー同定法を行うためである。より好ましくは、該使用は一般式(IA2S)、(IB2S)、(IIA2S)、(IIB2S)、(IIIA2S)または(IIIB2S)の化合物であって、フッ素同位元素が18Fまたは19F、より好ましくは19Fである、化合物に関する。
【0223】
第八の態様において、本願発明は、所定量の一般的化学式(I)、(II)または(III)の化合物あるいは無機または有機酸のその適当な塩、その水和物、複合体、エステル、アミドまたは溶媒和物を含有する密封したバイアルを含む、キットを提供する。所望により、該キットは、医薬上許容される担体、希釈体、賦形剤またはアジュバントを含んでもよい。
【0224】
所定量の一般的化学式(IA2S)、(IB2S)、(IIA2S)、(IIB2S)、(IIIA2S)または(IIIB2S)の化合物あるいは無機または有機酸のその適当な塩、その水和物、複合体、エステル、アミドまたは溶媒和物を含有する密封したバイアルを含む、キットも提供される。所望により、該キットは、医薬上許容される担体、希釈体、賦形剤またはアジュバントを含んでもよい。好ましくは、該キットは所定量の一般的化学式(IIIA2S)または(IIIB2S)の化合物を含有する密封したバイアルを含む。
【0225】
定義
本願発明にして使用される定義が以下に記載されるが、発明の範囲を限定するものではない。
【0226】
本願発明の化合物に、キラル中心または他の形態の異性中心があるならば、エナンチオマーおよびジアステレオマーを含め、かかる立体異性体のいずれの形態も本願発明の範囲内に含まれることを意図とするものである。キラル中心を含有する化合物は、ラセミ混合物として、エナンチオマーに富む混合物として、ジアステレオマー混合物として、ジアステレオマーに富む混合物として使用されてもよく、あるいはこれらの異性体混合物は周知技法を用いて分離され、個々の立体異性体を単独で使用してもよい。化合物が炭素−炭素二重結合を有する場合には、(Z)−異性体および(E)−異性体の両方ならびにその混合物も本願発明の範囲内にある。化合物が、ケト−エノ−ル互変異性体などの互変異性体の形態にて存在しうる場合には、各互変異性体が、均等に、あるいは一の形態にて優勢的に存在するいずれであっても、本願発明の範囲内に含まれるものと考えられる。
【0227】
本願発明に関連して、好ましい適切な塩は、本願発明の化合物の医薬上許容される塩である。本願発明はまた、その自体は医薬用途に適しないが、例えば本願発明の化合物を単離または精製するのに用いることのできる、塩を包含する。
【0228】
本願発明の化合物の医薬上許容される塩は、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩を包含する。
【0229】
本願発明の化合物の医薬上許容される塩はまた、一例として、かつ好ましいものとして、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、アンモニア、または一例として、かつ好ましいものとして、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジンなどの炭素数1―16の有機アミンより誘導されるアンモニウム塩などの、慣用的な塩基の塩を包含する。
【0230】
本願明細書にて、それ自体で、あるいは他の基の一部として使用される「C−C10アルキル」なる語は、直鎖または分岐していてもよい飽和炭素鎖、特にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、メチルプロピル、n−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルまたはn−デシル基をいう。好ましくは、アルキルはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。
【0231】
本願明細書にて、それ自体で、あるいは他の基の一部として使用される「C−C10−アルコキシ」なる語は、O−アルキル鎖、特にメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノニルオキシまたはn−デシルオキシ基をいう。好ましくは、アルコキシはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペンチルオキシまたはn−ヘキシルオキシである。
【0232】
本願明細書にて、それ自体で、あるいは他の基の一部として使用される「アリール」なる語は、単環式または二環式C−C10の芳香族環、特にフェニルまたはナフチル基、例えば、1−ナフチルおよび2−ナフチルをいい、それ自体が、限定されるものではないが、ハロゲン、NO、CN、COOH、(C−C)アルキル、ホルミル、アセチル、アルコキシカルボニルまたはトリフルオロメチルからなる群より、独立して、個々に選択される1または2個の置換基で置換され得る。
【0233】
本願明細書にて、それ自体で、あるいは他の基の一部として使用される「ヘテロアリール」なる語は、5ないし10個の環原子を含み、環部分の1または2個の原子が独立してN、OまたはSより選択される、単環式または二環式ヘテロ芳香族基、例えば、チエニル、フラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、インドリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリン、イソキノリン等をいい;それ自体が、限定されるものではないが、ハロゲン、NO、CN、COOH、(C−C)アルキル、ホルミル、アセチル、アルコキシカルボニルまたはトリフルオロメチルからなる群より、独立して、個々に選択される1または2個の置換基で置換され得る。
【0234】
本願明細書にて、それ自体で、あるいは他の基の一部として使用される「C−Cシクロアルキル」なる語は、1または2個の(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシ基で置換され得る、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルをいう。
【0235】
本願明細書にて使用されるハロゲンはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードをいう。
【0236】
本願明細書にて、それ自体で、あるいは他の基の一部として使用される「アミン保護基」なる語は当業者に公知であるか、自明なものであり、限定されるものではないが、一連の保護基、すなわち、カルバメート、アミド、イミド、N−アルキルアミン、N−アリールアミン、イミン、エナミン、ボラン、N−P保護基、N−スルフェニル、N−スルホニルおよびN−シリルより選択され、それは限定されるものではないが、出典明示により本願明細書の一部とする、テキストブックGreene and Wuts、Protecting groups in Organic Synthesis、第三版、494−653頁に記載されるもの
より選択される。
【0237】
アミノ保護基は、カルボベンジルオキシ(Cbz)、p−メトキシベンジルカルボニル(MozまたはMeOZ)、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル(DMPM)、トリフェニルメチルおよびp−メトキシフェニル(PMP)からなる群より選択されるか、または保護アミノ基は1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基である。
【0238】
O−保護基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、アリル、ベンジル、4−メトキシベンジル、4−メトキシフェニルからなる群より選択される。
【0239】
本願明細書にて、それ自体で、あるいは他の基の一部として使用される「脱離基」なる語は、当業者に知られているか、または自明であり、一の原子または一群の原子が求核剤により化学物質より取り外し可能であることを意味する。その一例が、例えば、Synthesis (1982)、p.85-125、表2(p. 86;(この表2の最終項目は修正を必要とする:「n−CS(O)−O−ノナフラット(nonaflat)ではなく、「n−CS(O)−O−ノナフラット」である));CareyおよびSundberg、Organische Synthese、(1995)、p. 279-281、表5.8;またはNetscher、Recent Res. Dev. Org. Chem.、2003、7、71-83、スキーム1、2、10および15など(Coenen、Fluorine-18 Labeling Methods:Features and Possibilities of Basic Reactions、(2006), in:Schubiger P.A.、Friebe M.、Lehmann L.、(eds)、PET-Chemistry-The Driving Force in Molecular Imaging. Springer, Berlin Heidelberg, pp.15-50, explicitly:scheme 4 pp. 25、scheme 5 pp 28, table 4 pp 30, Fig 7 pp 33)に記載される。
【0240】
特記しない限り、本願発明の式の化合物その物に、ならびにその医薬組成物に言及する場合は、本願発明は水和物、塩および複合体のすべてを包含する。
【0241】
F−18化合物:アルキル−Fおよびヘテロアリール−Fの一般的合成
放射性フッ素化反応は、例えば、当業者に既知の、典型的な反応容器(例、ホイートンバイアル(Wheaton vial))にて、またはマイクロ反応容器にて実施され得る。反応体は、典型的な方法、例えば、油浴、加熱ブロックまたはマイクロ波により加熱され得る。放射性フッ素化反応は、ジメチルホルムアミド中、塩基として炭酸カリウム、クラウンエーテルとして「クリプトフィックス(kryptofix)」を用いて実施される。しかしながら、専門家に周知の他の溶媒も使用され得る。これらの可能性のある条件は、限定されるものではないが、溶媒としてのジメチルスルホキシドおよびアセトニトリル、塩基としてのテトラアルキルアンモニウムおよびテトラアルキルホスホニウムカルボネートを包含する。水および/またはアルコールはかかる反応における共溶媒として関連付けられる。放射性フッ素化反応は1ないし60分間実施される。好ましい反応時間は5ないし50分である。さらに好ましい反応時間は10ないし40分である。かかる放射性フッ素化反応についてのこのおよび他の条件は専門家に既知である(Coenen、Fluorine-18 Labeling Methods:Features and Possibilities of Basic Reactions、(2006), in:Schubiger P.A.、Friebe M.、Lehmann L.、(eds)、PET-Chemistry-The Driving Force in Molecular Imaging. Springer、Berlin Heidelberg、pp.15-50)。放射性フッ素化反応は「ホットセル」および/またはモジュールの使用により実施され得(Krasikowa、Synthesis Modules and Automation in F-18 labeling (2006)、in:Schubiger P.A.、Friebe M.、Lehmann L.、(eds)、PET-Chemistry-The Driving Force in Molecular Imaging. Springer、Berlin Heidelberg、pp. 289-316)、それにより自動または半自動合成が可能となる。
【0242】
一般式IおよびIAのアリール−F−18化合物はまた、各[F−19]−化合物のF−19/F−18交換を介して入手可能である。
【0243】
一般式Iのアルキル−F−18化合物の先駆体は、例えば、トシレート、ブロシレート、ノシレート、メシレート、トリフレート、ノナフレート等(式III)であり、当該分野にて既知の方法にしたがって、各ヒドロキシ化合物より合成され得る(J. March, Advanced Organic Chemistry, 4th ed. 1992, John Wiley & Sons, pp 352ff)。より具体的には、sp混成軌道炭素原子に結合されるヒドロキシ基が、活性化剤、例えば塩化チオニル(例、Organic and Biomolecular Chemistry; 4; 22; (2006); 4101- 4112)、五塩化リン(例、Bioorganic and Medicinal Chemistry; 16; 6; (2008); 3309-3320)、塩化メタンスルホニル(例、Organic and Biomolecular Chemistry; English; 4; 24; (2006); 4514 - 4525)、四塩化炭素/トリフェニルホスフィン(Tetrahedron: Asymmetry; English; 19; 5; 2008; 577 - 583)、塩化水素(例、Russian Chemical Bulletin; English; 56; 6; 2007; 1119-1124)、N−クロロ−スクシンイミド/ジメチルスルフィド(例、Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 72; 3; (2008); 851-855)、臭化水素(例、Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals; 51; 1; (2008); 12-18)、三臭化リン(Journal of the American Chemical Society; 130; 12; (2008); 3726-3727)、四臭化炭素/トリフェニルホスフィン(例、Journal of the American Chemical Society; 130; 12; (2008); 4153-4157)、N−ブロモスクシンイミド/SMe(例、Chemical Communications (Cambridge, United Kingdom); 1; (2008); 120-122)、臭素/トリフェニルホスフィン(例、Journal of the American Chemical Society; 130; 12; (2008); 4153-4157)、N−ブロモスクシンイミド/SMe(例、Chemical Communications (Cambridge, United Kingdom); 1; (2008); 120-122)、Br/PPh(例、European Journal of Organic Chemistry; 9; (2007); 1510-1516)、塩化メシル、塩化トシル、トリフルオルメチルスルホニルクロリド、ノナフルオロブチルスルホニルクロリド、(4−ブロモ−フェニル)スルホニルクロリド、(4−ニトロ−フェニル)スルホニルクロリド、(2−ニトロ−フェニル)スルホニルクロリド、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニルクロリド、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニルクロリド、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニルクロリド、(4−tertブチル−フェニル)スルホニルクロリド、(4−メトキシ−フェニル)スルホニルクロリド、メシル無水物、トシル無水物、トリフルオルメチルスルホニル無水物、ノナフルオロブチルスルホニル無水物、(4−ブロモ−フェニル)スルホニル無水物、(4−ニトロ−フェニル)スルホニル無水物、(2−ニトロ−フェニル)スルホニル無水物、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニル無水物、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニル無水物、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニル無水物、(4−tertブチル−フェニル)スルホニル無水物、(4−メトキシ−フェニル)スルホニル無水物等により脱離基に変換され得る。
【0244】
1または2個の酸素原子により割り込まれている式IIIのアルキル鎖Rの合成に適用しうる方法は、付加的に、適切なビス(アリールスルホネート)またはビス(アルキルスルホネート)等、例えばTsO−(CH−OTsによるヒドロキシ化合物のアルキル化を含む。
【0245】
一般式IのF−18化合物の他の先駆体は、例えば、その個々のフルオリドへの変換が該分野にて既知でもある(J. March、前掲参照)、ヨーダイドおよびブロミド等である。
【0246】
一般式Iのアリール−F−18化合物の先駆体は、例えば、アリールまたはヘテロアリールブロミド、ヨーダイド、ニトロ化合物、トリアルキルアンモニウム、アリールヨードニウムであり、当該分野にて公知の方法(L. Cai、S. Lu、V. Pike、Eur. J. Org. Chem 2008, 2853-2873)により、本願発明の個々のF−18化合物に変換され得る。これら先駆体の出発物質は商業的に入手可能であるか、または当該分野にて公知の方法により合成され得る(R. C. Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers 1989)。
【0247】
一般式IおよびIAなどのアリール−F−18化合物の先駆体、例えば、(2S)−2−アミノ−5−(4−シアノ−3−[18F]フルオロベンジル)ヘキサンジオン酸は、例えば、実施例5に記載の、エチル(ジエトキシホスホリル)アセテートの適当なアルキル化を含む反応に付し、その後でWittig-Horner(Chemical Review 1974, 74, 87-99)の記載に従って、tert−ブチル(S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−オキソブタノエートと反応させ、つづいて要すれば、実施例1fに従って二重結合を水素添加に供することで合成され得る。
【0248】
トシレート、ブロシレート、ノシレート、メシレート、トリフレート、ノナフレート等についての出発物質としてのヒドロキシ化合物の合成は、OH−保護基を脱保護することを含む。極めて用途の広い保護基の一つとして、アセチル保護基に言及され得る。多くの他の保護基が当該分野にて公知であり、例えば、T.W. GreeneおよびP.G.M. Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、3rd ed、1999、John Wiley & Sons、pp 17ffを参照のこと。
【0249】
ヒドロキシ化合物は別法として当業者により直接合成され得、例えば対応するビニル化合物をヒドロホウ素化に付し、カルボニル化合物を還元するか、または脱プロトン化されたホモグルタミン酸塩誘導体をエポキシドでアルキル化し(R.C. Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers 1989、p. 479-582)、あるいはカルボニル化合物をスルホニルオキサジリジン(F. A. Davisら、J. Org. Chem. 1984, 49(17), 3241-3243)を介して、またはMoOPH(J. Marinら、JOC 2002, 67, 8440-8449)を介して、例えばC5で直接β−酸化に供することで合成され得る。
【0250】
保護されたヒドロキシ化合物は、保護されたホモグルタメートをC5で適当な塩基(例、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、nBuLi等)を用いて脱保護し、保護されたヒドロキシ基を担持するオキシ置換のアルキルハライド、スルホネート等のアルキル化剤と反応させること(例、Lunneyら、J. Med. Chem. 1994、37(17)、2664)で得ることができる。
【0251】
従って、アルコキシ−ホモグルタメート誘導体は、5−ヒドロキシホモグルタメート誘導体を、例えば、フィンケルステイン(Finkelstein)またはミツノブ(Mitsunobu)反応(R. C. Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers 1989、p. 443-453)に供してエーテル化することで当業者が利用できる。
【0252】
別法として、C5で置換された飽和ホモグルタメート誘導体は、C4とC5の間にC−C−二重結合を担持する対応する不飽和誘導体を水素添加することで合成され得る。後者の化合物は、メタセシス反応(K. C. Bicolaouら、Angewandte Chemie Int. Ed. 2005、44(29)、4490-4527)、アルドール縮合反応またはウィッチ反応(R.C.Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers 1989、p.129-180)などの当業者に公知の方法によりC4とC5の間にC−C結合形成反応を施すことで利用可能である。各々、実施例1dおよび1fも参照のこと。
【0253】
本願発明のホモグルタミン酸に対する別の方法は、個々の6員環のラクタムを、例えば、酸性加水分解を介して開環に付し、段階的または並行して保護基を除去して式Iの開鎖化合物を得る。
【化47】

【0254】
19F化合物は、デオキシフッ素化反応(M.Hudlicky, Org. React. 1988, 35, 513; H.Vorbruggen, Synthesis 2008, 8, 1165-1174)、求電子フッ素化反応(T.Suzukiら、J.Org.Chem. 2007, 72, 246-250)またはフッ素担持ビルディングブロックを用いて(例えば、実施例1aを参照のこと)、上記した18F化合物の合成にしたがって合成され得る。
【0255】
sp混成軌道炭素原子に結合しているヒドロキシ基の脱離基への変換は、塩化チオニル(例、Organic and Biomolecular Chemistry; 4; 22; (2006); 4101-4112)、五塩化リン(例、Bioorganic and Medicinal Chemistry; 16; 6; (2008); 3309-3320)、塩化メタンスルホニル(例、Organic and Biomolecular Chemistry; English; 4; 24; (2006); 4514-4525)、四塩化炭素/トリフェニルホスフィン(Tetrahedron: Asymmetry; English; 19; 5; 2008; 577-583)、塩化水素(例、Russian Chemical Bulletin; English; 56; 6; 2007; 1119-1124)、N−クロロ−スクシンイミド/ジメチルスルフィド(例、Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 72; 3; (2008); 851-855)、臭化水素(例、Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals; 51; 1; (2008); 12-18)、三臭化リン(Journal of the American Chemical Society;130;12;(2008);3726-3727)、四臭化炭素/トリフェニルホスフィン(例、Journal of the American Chemical Society;130;12;(2008);4153-4157)、N−ブロモ−スクシンイミド/SMe(例、Chemical Communications(Cambridge、United Kingdom);1;(2008);120-122)、臭素/トリフェニルホスフィン(例、Journal of the American Chemical Society;130;12;(2008);4153-4157)、N−ブロモ−スクシンイミド/SMe(例、Chemical Communications (Cambridge、United Kingdom); 1;(2008);120-122)、Br/PPh(例、European Journal of Organic Chemistry; 9;(2007);1510-1516)、塩化メシル、塩化トシル、トリフルオルメチルスルホニルクロリド、ノナ−フルオロブチルスルホニルクロリド、(4−ブロモ−フェニル)スルホニルクロリド、(4−ニトロ−フェニル)スルホニルクロリド、(2−ニトロ−フェニル)スルホニルクロリド、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニルクロリド、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニルクロリド、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニルクロリド、(4−tert−ブチル−フェニル)スルホニルクロリド、(4−メトキシ−フェニル)スルホニルクロリド、メシル無水物、トシル無水物、トリフルオルメチルスルホニル無水物、ノナ−フルオロブチルスルホニル無水物、(4−ブロモ−フェニル)スルホニル無水物、(4−ニトロ−フェニル)スルホニル無水物、(2−ニトロ−フェニル)スルホニル無水物、(4−イソプロピル−フェニル)スルホニル無水物、(2,4,6−トリ−イソプロピル−フェニル)スルホニル無水物、(2,4,6−トリメチル−フェニル)スルホニル無水物、(4−tertブチル−フェニル)スルホニル無水物、(4−メトキシ−フェニル)スルホニル無水物等を用いて行うことが可能である。
【0256】
実験項目
略語
【表1】

【0257】
実施例1
1a)エチル2−(ジエトキシホスホリル)−5−フルオロペンタノエート
【化48】

【0258】
水素化ナトリウム(2.72g、鉱油中60%、68.0ミリモル)を、窒素雰囲気下、ヘキサンで数回洗浄し、ついでおよび乾燥THF(60mL)に懸濁させた。エチル(ジエトキシホスホリル)アセテート(13.3g、59.1ミリモル)を乾燥THF(20mL)中溶液として室温で20分以内に滴下した。室温で2時間攪拌した後、1−ブロモ−3−フルオロプロパン(10.0g、70.9ミリモル)を加え、該混合物を14時間加熱して還流させた。次に、該混合物を室温に冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液(50mL)を添加することで反応をクエンチさせた。該混合物を酢酸エチル(3x50mL)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させた後、該粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル勾配)に付して精製した。
【0259】
収量:3.90g、13.7ミリモル、19%
MS(ESIpos):m/z=285[M+H]
H−NMR(400MHz、クロロホルム−d):δ[ppm]=1.25−1.37(m,9H)、1.66−1.90(m,2H)、1.92−2.17(m,2H)、2.97(ddd,1H)、4.09−4.27(m,6H)、4.39(td,1H)、4.51(td,1H)
【0260】
1b)tert−ブチルN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−ホモセリネート
【化49】

【0261】
Boc−L−Asp−OtBu(3.00g、10.4ミリモル)の1,2−ジメトキシエタン(10mL)中溶液に、15℃で4−メチルモルホリン(1.14mL、10.4ミリモル)およびイソブチルクロロホルメート(1.35mL、10.4ミリモル)を添加した。−15℃で10分間攪拌した後、沈殿物を濾過し、冷1,2−ジメトキシエタン(20mL)で洗浄した。該濾液に、−15℃にて水素化ホウ素ナトリウム(0.59g、15.6ミリモル)の水(5mL)中溶液を添加した。5分後、水(250mL)を添加した。該反応混合物を酢酸エチル(3x100mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮させて標記化合物を得た。
【0262】
収量: 2.70g、9.81ミリモル、95%
MS(ESIpos):m/z=276[M+H]
H−NMR(400MHz、クロロホルム−d):δ[ppm]=1.46(s,9H)、1.48(s,9H)、1.51−1.58(m,1H)、2.09−2.20(m,1H)、3.45(br.s,1H)、3.55−3.76(m,2H)、4.31−4.40(m,1H)、5.35(d,1H)
【0263】
1c)tert−ブチル(S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−オキソブタノエート
【化50】

【0264】
tert−ブチルN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−ホモセリネート(1.00g、3.63ミリモル)のジクロロメタン(50mL)中溶液に、室温でピリジン(0.88mL、10.9ミリモル)およびデス−マーチン−ペルヨージナン(2.31g、5.45ミリモル)を添加した。90分後、該反応混合物を酢酸エチル(40mL)で希釈し、チオ硫酸ナトリウム10%溶液(30mL)、炭酸水素ナトリウム飽和溶液(40mL)およびブライン(40mL)で洗浄した。合わせた水層を酢酸エチル(50mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。
【0265】
収量:0.95g、3.48ミリモル、96%
MS(ESIpos):m/z=274[M+H]
H−NMR(300MHz、クロロホルム−d):δ[ppm]=1.45(br.s,9H)、1.46(s,9H)、2.84−3.08(m,2H)、4.37−4.54(m,1H)、5.37(d,1H)、9.74(s,1H)
【0266】
1d)6−tert−ブチル1−エチル(Z)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエート;1e)6−tert−ブチル1−エチル(E)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエート
【化51】

【0267】
エチル2−(ジエトキシホスホリル)−5−フルオロペンタノエート(1.30g、4.12ミリモル)の乾燥THF(15mL)中溶液を、0℃で水素化ナトリウム(0.20g、鉱油中60%、4.94ミリモル)の乾燥THF(35mL)中溶液に滴下した。15分間攪拌した後、tert−ブチル(S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−オキソブタノエート(1.13g、4.12ミリモル)を乾燥THF(15mL)中溶液として該反応混合物に滴下した。0℃で90分間攪拌した後、炭酸水素ナトリウム飽和溶液(50mL)を添加することで反応をクエンチさせた。相分離の後で、該水層を酢酸エチル(3x50mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮させて、該残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル勾配)に付して精製し、6−tert−ブチル1−エチル(E)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエートおよび6−tert−ブチル1−エチル(Z)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエートを、ジアステレオマーの混合物として得、それをHPLC(Chiralpak IC 5μm 250x30mm、ヘキサン/2−プロパノール 90:10、50mL/分)に付して精製し、6−tert−ブチル1−エチル(E)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエート(1e)(0.75g、1.86ミリモル、45%)および6−tert−ブチル1−エチル(Z)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエート(1d)(0.23g、0.56ミリモル、14%)を得た。
【0268】
1d)6−tert−ブチル1−エチル(Z)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエートについての分析
【化52】

【0269】
MS(ESIpos):m/z=404[M+H]
H−NMR(300MHz、クロロホルム−d):δ[ppm]=1.32(t,3H)、1.44(s,9H)、1.46(s,9H)、1.61(s,4H)、1.74−1.92(m,2H)、2.33−2.45(m,2H)、2.87(t,2H)、4.15−4.31(m,2H)、4.36(dt,2H)、5.26(d,1H)、5.91(t,1H)
【0270】
1e)6−tert−ブチル1−エチル(E)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエートについての分析
【化53】

【0271】
MS(ESIpos):m/z=404[M+H]
H−NMR(300MHz、クロロホルム−d):δ[ppm]=1.13−1.38(m,3H)、1.44(s,9H)、1.47(s,9H)、1.70−1.91(m,2H)、2.44(t,2H)、2.57−2.78(m,2H)、4.20(q,2H)、4.35(t,2H)、4.50(t,1H)、5.17(d,1H)、6.75(t,1H)
【0272】
1f)1−tert−ブチル6−エチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−フルオロプロピル)ヘキサンジオエート
【化54】

【0273】
6−tert−ブチル1−エチル(E)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエートおよび6−tert−ブチル1−エチル(Z)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエート(100mg、0.25ミリモル)およびパラジウム(20.0mg、チャコール上10%、0.02ミリモル)のエタノール(10mL)中混合物を、水素雰囲気下、室温で2時間攪拌した。次に、該混合物をセライト(登録商標)を介して濾過し、減圧下で濃縮させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル勾配)に付して精製した。
【0274】
収量:90mg、0.22ミリモル、90%
MS(ESIpos):m/z=406[M+H]
H−NMR(300MHz、クロロホルム−d):δ[ppm]=1.26(td,3H)、1.44(s,9H)、1.46(s,9H)、1.52−1.86(m,8H)、2.28−2.46(m,1H)、4.08−4.25(m,3H)、4.35(dt,2H)、5.04(d,1H)
【0275】
1g)1−tert−ブチル6−ヒドロゲン(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−フルオロプロピル)ヘキサンジオエート
【化55】

【0276】
1−tert−ブチル6−エチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−フルオロプロピル)ヘキサンジオエート(1f)(90.0mg、0.22ミリモル)および水酸化リチウム(53.0mg、2.22ミリモル)の1mLの水/エタノール(1:1)中混合物を室温で14時間攪拌した。該混合物に2N水性塩酸を添加してそのpHを2の酸性にし、酢酸エチル(3x5mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。
【0277】
収量:57.0mg、0.15ミリモル、68%
【0278】
1h)(2S)−2−アミノ−5−(3−フルオロプロピル)ヘキサンジオン酸水素アンモニウム
【化56】

【0279】
1−tert−ブチル6−ヒドロゲン(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−フルオロプロピル)ヘキサンジオエート(57.0mg、0.15ミリモル)およびトリフルオロ酢酸(0.5mL)およびジクロロメタン(0.5mL)の混合物を室温で30分間攪拌した。ついで、該混合物を減圧下で濃縮させ、該残渣を分取性HPLC(ZIC HILIC、5μm 100x4.6mm、アセトニトリル/0.1Mギ酸アンモニウム水溶液 勾配、10mL/分)に付して精製した。
【0280】
収量: 10.0mg、0.04ミリモル、28%
H−NMR(300MHz、酸化ジュウテリウム):δ[ppm]=1.45−1.88(m,8H)、2.33(br.s,1H)、3.64−3.72(m,1H)、4.46(dt,2H)、8.35(br.s,1H)
【0281】
実施例2
2a)(Z)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸
【化57】

【0282】
6−tert−ブチル1−エチル(Z)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエート(50.0mg、0.12ミリモル)および水酸化リチウム(29.7mg、1.24ミリモル)のエタノール(0.5mL)および水(0.5mL)中混合物を室温で24時間、60℃(マイクロ波放射)で30分間および40℃(油浴)で14時間攪拌した。該混合物を室温にまで冷却し、2N水性塩酸を添加してそのpHを2の酸性にした。次に、エタノールを減圧下で除去し、該水溶液を酢酸エチル(3x10mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮させた。粗生成物を分取性HPLC(XBridge C18、5μm 150x19mm、アセトニトリル/水(0.1%TFA)勾配、21mL/分)に付して精製した。収量:10.0mg、0.03ミリモル、25%
【0283】
MS(ESIpos):m/z=320[M+H]
【0284】
2b)(Z)−(S)−5−アミノ−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸−トリフルオロ酢酸塩
【化58】

【0285】
(Z)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸(10.0mg、0.03ミリモル)を、トリフルオロ酢酸(1.0mL)およびジクロロメタン(1.0mL)の混合液中、室温で4時間攪拌した。該混合物を減圧下で濃縮させた後、該残渣をを水(10mL)に溶かし、該溶液を凍結乾燥させた。収量:6.0mg、0.02ミリモル、56%
【0286】
MS(ESIpos):m/z=220[M+H]
H−NMR(300MHz、DMSO−d6):δ[ppm]=1.66−1.84(m,2H)、2.27(t,2H)、2.89(t,2H)、3.94(t,1H)、4.35(dt,2H)、5.92(t,1H)、8.13(br.s,1H)
【0287】
実施例3
3a)(E)−(S)−5−アミノ−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸
【化59】

【0288】
6−tert−ブチル1−エチル(E)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエート(1e)(80.0mg、0.20ミリモル)および4N水性塩酸(1mL)の混合物を加熱して4時間還流させた。ついで、該混合物を室温に冷却し、水(5mL)で希釈し、凍結乾燥させた。粗生成物を分取性HPLC(XBridge C18、5μm 150x19mm、アセトニトリル/水(0.1%TFA)勾配、21mL/分)に付して精製した。収量:12.0mg、0.04ミリモル、19%
【0289】
H−NMR(400MHz、DMSO−d6):δ[ppm]=1.61−1.87(m,2H)、2.23−2.40(m,2H)、2.61−2.83(m,2H)、4.08−4.20(m,1H)、4.35(t,1H)、4.47(t,1H)、6.71(t,1H)、8.40(br.s,3H)、12.48(br.s,1H)
【0290】
19F−NMR(376MHz、DMSO−d6):δ[ppm]=−232.03(m,1F)
【0291】
実施例4:細胞取り込み実験
本願発明の化合物の、グルタミン酸と競合して腫瘍細胞に取り込まれる能力を試験した。したがって、腫瘍細胞を3H標識のグルタミン酸および本願発明の数種の化合物と一緒にインキュベートした。これらの化合物は、トレーサー3H−グルタミン酸と比べて、過剰に(1mMにて)使用された。興味深いことに、試験したすべての化合物はグルタミン酸の取り込みを減少させることができ、このことは同じ輸送システムが試験化合物によって活用されていることを示す。図1を参照のこと。
【0292】
実施例5
5a)6−tert−ブチル1−エチル(2Z,5S)−2−[3−(ベンジルオキシ)プロピル]−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサ−2−エンジオエート
6−tert−ブチル1−エチル(2E,5S)−2−[3−(ベンジルオキシ)プロピル]−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサ−2−エンジオエート
【化60】

【0293】
水素化ナトリウム(0.40g、鉱油中60%、16.7ミリモル)を、窒素雰囲気下、ヘキサンで数回洗浄し、ついで乾燥THF(5mL)に懸濁させた。エチル(ジエトキシホスホリル)アセテート(Aldrich、1.96g、8.74ミリモル)を乾燥THF(7mL)中溶液として室温で20分以内に滴下した。室温で2時間攪拌した後、(3−ブロモ−プロポキシメチル)ベンゼン(5.0g、21.82ミリモル)を加え、該混合物を加熱して14時間還流させた。次に該混合物を室温に冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液(10mL)を添加して反応物をクエンチさせた。該混合物を酢酸エチル(3x10mL)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させた後、粗5−ベンジルオキシ−2−(ジエトキシ−ホスホリル)ペンタン酸エチルエステルをカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル勾配)に付して精製した。収量:2.33g、6.26ミリモル、71.6%;MS(ESIpos):m/z=373[M+H]
【0294】
5−ベンジルオキシ−2−(ジエトキシホスホリル)ペンタン酸エチルエステル(1.36g、3.65ミリモル)の乾燥THF(5mL)中溶液を、0℃で水素化ナトリウム(0.18g、7.46ミリモル)の乾燥THF(3mL)中溶液に滴下した。15分間攪拌した後、tert−ブチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−オキソブタノエート(実施例1c)(1.0g、3.66ミリモル)を、乾燥THF(5mL)中溶液として、該反応混合物に滴下した。0℃で90分間攪拌した後、炭酸水素ナトリウム飽和溶液(50mL)を添加することで反応物をクエンチさせた。相分離の後で、該水層を酢酸エチル(3x50mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮させ、該残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル勾配)に付して精製し、ジアステレオマーの混合物として、(Z)−(S)−2−(3−ベンジルオキシプロピル)−5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサ−2−エンジオン酸6−tert−ブチルエステル1−エチルエステルおよび(E)−(S)−2−(3−ベンジルオキシプロピル)−5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサ−2−エンジオン酸6−tert−ブチルエステル1−エチルエステルを得た。
【0295】
収量:270mg、0.55ミリモル、15.2%
MS(ESIpos):m/z=492[M+H]
H−NMR(300MHz、クロロホルム−d):δ[ppm]=1.27(t,3H)、1.44(s,9H)、1.45(s,9H)、1.60(s,1H)、1.70−1.77(m,2H)、2.34−2.42(m,2H)、2.62−2.83(m,2H)、3.44−3.48(m,2H)、4.15−4.33(m,3H)、4.49(s,2H)、5.15−5.28(m,1H)、5.81−6.72(m,1H)、7.26−7.34(m,5H)
【0296】
5b)1−tert−ブチル6−エチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−ヒドロキシプロピル)ヘキサンジオエート
【化61】

【0297】
(Z)−(S)−2−(3−ベンジルオキシプロピル)−5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサ−2−エンジオン酸6−tert−ブチルエステル1−エチルエステルおよび(E)−(S)−2−(3−ベンジルオキシプロピル)−5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキサ−2−エンジオン酸6−tert−ブチルエステル1−エチルエステル(270mg、0.55ミリモル)およびパラジウム(30.0mg、チャコール上10%)のメタノール(30mL)中混合物を、水素雰囲気下、室温で6時間攪拌させた。次に、該混合物をセライト(登録商標)を介して濾過し、減圧下で濃縮させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル 勾配)に付して精製した。
【0298】
収量:198mg、0.49ミリモル、89.4%
MS(ESIpos):m/z=403[M+H]
H−NMR(300MHz、クロロホルム−d):δ[ppm]=1.25(td,3H)、1.44(s,9H)、1.46(s,9H)、1.58−1.78(m,8H)、2.34−2.45(m,1H)、3.63 (br、1H)、4.12−4.19(m,2H)、5.04(d,1H)
【0299】
5c)1−tert−ブチル6−エチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}プロピル)ヘキサンジオエート
【化62】

【0300】
190mg(0.47ミリモル)の1−tert−ブチル6−エチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−ヒドロキシプロピル)ヘキサンジオエート(5b)を0℃で10mLのジクロロメタンに溶かした。ついで、284mg(391マイクロリットル、2.8ミリモル)のトリエチルアミンおよび179mg(0.94ミリモル)のp−トルエンスルホニルクロリドを0℃で添加し、該混合物をこの温度で3時間攪拌した。室温で18時間攪拌した後、該溶液を減圧下で濃縮させ、該残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル勾配)に付して精製し、(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−5−[3−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−プロピル]−ヘキサンジオン酸1−tert−ブチルエステル6−エチルエステルを無色油として得た。
【0301】
収量:138mg(85%)
MS(ESIpos):m/z=558[M+H]
H−NMR(300MHz、クロロホルム−d):δ[ppm]=1.23(td,3H)、1.44(s,9H)、1.45(s,9H)、1.48−1.72(m,8H)、2.26−2.30(m,1H)、2.45(s,3H)、3.98−4.16(m,5H)、5.00−5.02(d,1H)、5.30(s,1H)、7.33−7.79(m,4H)
【0302】
実施例6
1−tert−ブチル6−エチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−{[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}プロピル)ヘキサンジオエートの放射性標識化
【化63】

【0303】
[F−18]フルオリド(1230MBq)をアニオン交換カートリッジ(QMA light、Waters)にトラップした。活性体を炭酸カリウム/クリプトフィックスの混合物(アセトニトリル/水中の1.5mg K2CO3、7.5mg K222)で反応容器に溶出した。該混合物を緩やかな窒素流の下で120℃で乾燥させた。アセトニトリル(1mL)を添加した後、乾燥を繰り返した。3mgのトシレート先駆体/アセトニトリル(500μL)を該乾燥した残渣に加え、得られた溶液を120℃で15分間攪拌した。該放射性標識の中間体の溶液を水(30mL)で希釈し、C18カートリッジ(SepPak C18 plus、Waters)に通した。該カートリッジを水(10mL)で洗浄し、中間体をメタノール(2mL)で溶出した(図2、放射性標識した中間体の分析性HPLC;Chromolith SpeedRod;0−95%アセトニトリル/リン酸緩衝液 pH7.4;放射能検出器)。1M LiOH(1mL)を加え、該混合物を外界温度で5分間攪拌した。該混合物を水(30mL)で希釈し、C18カートリッジ(SepPak C18 plus、Waters)に通した。該カートリッジを水(10mL)で洗浄し、活性体をアセトニトリル(1mL)で溶出した。4M HCl(1mL)を加え、得られた混合物を140℃で15分間加熱した。該粗生成物を水(30mL)で希釈し、2つのMCXカートリッジ(MCX plus、Waters)に通した。カートリッジを0.9%塩化ナトリウム溶液(10mL)で洗浄した。119MBq(放射性崩壊のため、20%修正)の(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸を等張性重リン酸二ナトリウム/塩化ナトリウム緩衝液で溶出した(図3、OPAフタルジアルデヒド試薬溶液で誘導した後の(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸の分析性HPLC;Pierce;Chromolith SpeedRod;0−95%アセトニトリル/リン酸緩衝液 pH7.4;放射能検出器)。
【0304】
実施例7
(7a)ジ−tert−ブチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサンジオエート
【化64】

【0305】
13.67g(50ミリモル)のジ−tert−ブチル−L−アルファ−アミノアジペート(J Med Chem 1994、37(20)、3294-3302)を150mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶かした。20.79mL(150ミリモル)のトリエチルアミンを、および14.19g(65ミリモル)のジ−tert−ブチルジカルボネートの、50mLのTHF中溶液を添加した。該混合物を室温で一夜攪拌し、溶媒を真空下で濃縮させた。残渣を水および酢酸エチルに溶かし、有機相を分離し、水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮させた。この操作にて得られた粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチルの勾配を用いる、シリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、適切なフラクションを合わせ、真空下で濃縮した。
【0306】
収量:8.4g(45.0%)
MS(ESIpos):m/z=374[M+H]
1H NMR(400 MHz、クロロホルム−d)δppm 1.43−1.46(m,27H)、1.58−1.65(m,3H)、1.76−1.79(m,1H)、2.22−2.25(m,2H)、4.12−4.19(m,1H)、5.02−5.04(m,1H)
【0307】
(7b)(2S)−2−アミノ−5−(4−シアノ−3−フルオロベンジル)ヘキサンジオン酸
【化65】

【0308】
1.49 g (4ミリモル)のジ−tert−ブチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサンジオエート 7aを50mLのTHFに溶かし、−70℃に冷却した。8.8mL(8.8ミリモル)のリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのTHF中1M溶液をこの温度で2時間にわたって滴下し、該混合物を−70℃でさらに2時間攪拌した。次に、0.985g(4.6ミリモル)の4−シアノ−3−フルオロベンジルブロミドを滴下し、この温度で2時間経過した後、冷却浴を取り外し、20mLの2N水性塩酸および100mLのジクロロメタンを加えた。有機相を分離し、水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮させた。この操作にて得られた粗生成物をヘキサン/酢酸エチルの勾配を用いる、シリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、適切なフラクションを合わせ、濃縮した(150mg)。MS(ESIpos):m/z=507[M+H]
【0309】
残渣を1mLのトリフルオロ酢酸に溶かし、室温で一夜乾燥させた。ついで、該反応混合物を蒸発乾固させ、次に得られた粗生成物をC18−シリカゲル上で水/メタノールを用いるクロマトグラフィーに付し、得られたフラクションを合わせ、蒸発により容量を減少させた。
【0310】
収量: 0.4mg (0.2%)
MS(ESIpos):m/z=295[M+H]
【0311】
実施例8
(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸の細胞の取り込みおよび滞留
(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸の生物学活性を測定するために、H460(ヒトNSCLC)細胞を用いる細胞取り込み実験にてF−18標識の化合物をトレーサーとして使用した。およそ100,000個の細胞を0.25MBq(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸と、0.1%BSA含有のPBS緩衝液中で60分間までインキュベートし、細胞結合フラクションを測定した。経時的取り込みを60分間のインキュベーションの期間中観察した。適用した量のおよそ20%がその60分間のインキュベーション期間の間に細胞に取り込まれた(図4)。
【0312】
第二の実験において、活性体の腫瘍細胞中での滞留を試験した。H460細胞を0.25MBqの(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸とPBS/BSA緩衝液中にて30分間ローディングした。この取り込みが終わった後、緩衝液を除去し、細胞をPBSで洗浄した。ついで該細胞を新しいPBS緩衝液(活性体を含まない)と30分間までインキュベートした。活性体の上澄みへの放出、活性体の細胞内での滞留を試験した。これらの流出条件下で30分間インキュベートした後、活性体の80%以上が腫瘍細胞内に保持されることが判明した(図5を参照のこと)。
【0313】
実施例9
H460腫瘍担持マウスにおける生体内分布
(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸の薬物動態特性を試験するために、フッ素化化合物をH460腫瘍担持マウスにて試験した。NMRI(nu/nu)マウスにH460腫瘍細胞を接種し、8ないし10日後に生体内分布を実験した。185kBqのフッ素化化合物の活性体を各マウスに注射した。各時点でn=3のマウスを用いた。F18標識の化合物を注射した後、指示される時点でマウスを殺した。器官のすべてを摘出し、γ−カウンターを用いて放射能を測定した。腫瘍にて極めて高い取り込み(注射した1時間後で、腫瘍1g当たり注射された量の10.29%の量)ならびに強い活性体の滞留(注射した4時間後で、腫瘍1g当たり注射された量の5.85%の量)が観察された。放射能の清掃は腎臓を介して行われ、注射した1時間後に67.9%の活性体が排泄された。血液に対する腫瘍の高い割合(割合34.7)ならびに筋肉に対する腫瘍の高い割合(割合62.6)は、(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸の優れたPET画像特性を示唆する(表1を参照のこと)。
【0314】
表1:H460腫瘍担持マウスにおける生体内分布
【表2】

【0315】
実施例10
PET画像化
(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸を、PET−画像化を用い、NCI−H460(ヒトNSCLC)腫瘍担持ヌードラット(RH−Foxn1 nu/nu)にて試験した。8.35MBqの(2S)−2−アミノ−5−[3−[18F]フルオロプロピル]ヘキサンジオン酸を該ラットに注射した。注射した60分後の10分間、PET画像を撮影した。その画像では腫瘍は極めて鮮明に写っていた。関心領域(ROI)分析により測定した場合、注射された量の3.2%が腫瘍1gに付き取り込まれていた(図6)。
【0316】
実施例11
(2S)−2−アミノ−5−(4−シアノ−3−フルオロベンジル)ヘキサンジオン酸の、グルタミン酸誘導体と競合して腫瘍細胞に取り込まれる能力を試験した。したがって、腫瘍細胞を放射標識されたグルタミン酸誘導体および(2S)−2−アミノ−5−(4−シアノ−3−フルオロベンジル)ヘキサンジオン酸と一緒にインキュベートした。この化合物をトレーサーに比べてかなり過剰に使用した。2種の濃度(1mMまたは0.1mM)を試験した。興味深いことに、この化合物は放射標識されたグルタミン酸誘導体の取り込みを大きく減少させ、このことは同じ送達システムが試験化合物により活用されている可能性を示唆するものである(図7)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

(I)
[式中
およびRは水素であり;
はXであり、
ここで、Xは
フッ素原子(F)、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここでアルキル鎖は1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシ、ただしC−4とC−5の間には二重結合はなく、該炭素鎖は1個の付加的な酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり、
F−C−Cシクロアルキル、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3であり、好ましくはn=1である、ただしC−4およびC−5の間に二重結合はないか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子である]
で示される化合物であって、その単一異性体、EおよびZ−異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する、化合物。
【請求項2】
一般式(II):
【化2】

(II)
[式中
およびRは水素であり;
はXであり、
ここで、Xは
フッ素原子(F)、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、
分岐または直鎖F−C−C10アルキルであり、ここで炭素鎖は1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
分岐または直鎖F−C−C10アルコキシ、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ここで該炭素鎖は1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基が存在し、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の原子はヘテロ原子であり、
F−C−Cシクロアルキル、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしFは該環のCH基の一つに結合しており、
F−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はないか、または
F−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであって、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはO−保護基であり;
=水素またはN−保護基であり;
=水素またはN−保護基であるか;または
基NRは1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基である;
ただし置換基R、R、RまたはRの少なくとも1つは水素以外の基である]
で示される化合物であって、その単一異性体、EおよびZ−異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する、化合物。
【請求項3】
Xがフッ素原子(F)、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、あるいは分岐または直鎖F−C−C10アルキル、好ましくはF−C−Cアルキルである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
フッ素原子(F)が18Fまたは19F同位元素である、請求項1、2または3記載の化合物。
【請求項5】
(2S)−2−アミノ−5−(3−フルオロプロピル)ヘキサンジオン酸水素アンモニウム
【化3】

(2S)−2−アミノ−5−(3−[18F]フルオロプロピル)ヘキサンジオン酸
【化4】

(E)−(S)−5−アミノ−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸
【化5】

(E)−(S)−5−アミノ−2−(3−[18F]フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸
【化6】

(Z)−(S)−5−アミノ−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸−トリフルオロ酢酸塩
【化7】

(Z)−(S)−5−アミノ−2−(3−[18F]フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸
【化8】

(2S)−2−アミノ−5−(4−シアノ−3−フルオロベンジル)ヘキサンジオン酸
【化9】

(2S)−2−アミノ−5−(4−シアノ−3−[18F]フルオロベンジル)ヘキサンジオン酸
【化10】

から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項6】
6−tert−ブチル1−エチル(E)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオエート
【化11】

1d 1e
1−tert−ブチル6−エチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−フルオロプロピル)ヘキサンジオエート
【化12】

1−tert−ブチル6−ヒドロゲン(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(3−フルオロプロピル)ヘキサンジオエート
【化13】

(Z)−(S)−5−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(3−フルオロプロピル)ヘキサ−2−エンジオン酸
【化14】

ジ−tert−ブチル(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−(4−シアノ−3−フルオロベンジル)ヘキサンジオエート
【化15】

から選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項7】
一般式(III):
【化16】

(III)
[式中
およびR10は水素であり;
はYであり、
ここで、Yは
脱離基(LG)、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、
分岐または直鎖LG−C−C10アルキルであり、ここで該炭素鎖は1または2個の酸素原子により割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
分岐または直鎖LG−C−C10アルコキシ、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ここで該炭素鎖は、1個の付加的な酸素原子で割り込まれていてもよい、ただし2個の酸素原子の間には少なくとも2個のメチレン基があり、
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1であり、ヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり、
LG−C−Cシクロアルキル、ただしLGは該環のCH基の一つに結合しており、
LG−C−Cシクロアルキル−(CHであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただし、LGは該環のCH基の一つに結合しており
LG−C−C10の単環式または二環式アリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はないか、または
LG−単環式または二環式ヘテロアリール−(CH−Oであり、ここでn=1ないし3、好ましくはn=1である、ただしC−4とC−5の間に二重結合はなく、ここでヘテロアリールは5ないし10個の環原子を含み、1または2個の環原子はヘテロ原子であり;
=O−保護基であり;
=O−保護基であり;
=N−保護基であり;
=水素またはN−保護基であるか、または
基NRは1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基を意味する]
で示される化合物であって、その単一異性体、EおよびZ−異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、その混合物およびその適当な塩を包含する、化合物。
【請求項8】
脱離基(LG)がsp混成軌道炭素原子に結合している場合、その場合、LGは
ハロゲン、
メチルスルホニルオキシ、
トリフルオロメチルスルホニルオキシ、
(4−ニトロフェニル)スルホニルオキシ、
ノナフルオロブチルスルホニルオキシ、
(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ、および
ヨード
の群より選択され、あるいは
脱離基(LG)がアリールまたはヘテロアリールに結合している場合、その場合、LGは、
ハロゲン、
ニトロ、
トリメチルアンモニウム、
4−メトキシフェニルヨードニウム、および
2−チエニルヨードニウム
の群より選択され、
またはRが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、アリル、ベンジル、4−メトキシベンジル、4−メトキシフェニルからなる群より選択されるO−保護基であり、好ましくは、Rがメチル、エチル、t−ブチル、ベンジルからなる群より選択されるO−保護基であり、および/または
N−保護基がカルボベンジルオキシ(Cbz)、p−メトキシベンジルカルボニル(MozまたはMeOZ)、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(PMB)、3,4−ジメトキシベンジル(DMPM)、トリフェニルメチルおよびp−メトキシフェニル(PMP)からなる群より選択されるか、またはNR基が1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル(フタルイミド)またはアジド基であり、好ましくはtert−ブチルオキシカルボニル(BOC)または9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)である、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
一般式(I)、(II)、(III)の上記した請求項に記載の化合物またはその混合物と、医薬上許容される担体または希釈体を含む、組成物。
【請求項10】
式(I)または(II)の化合物を得る方法。
【請求項11】
−一般式(III)の化合物を含フッ素原子(F)部分とカップリングさせる工程、
−式(II)の化合物を脱保護する工程、および
−得られた化合物を、無機または有機酸のその適当な酸、その水和物、その複合体、そのエステル、そのアミドまたはその溶媒和物に変換する工程
を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
増殖性疾患を画像化するための造影トレーサーの製造のための一般式(I)または(II)で示される化合物。
【請求項13】
増殖性疾患を画像化または診断するための方法であって:
−有効量の一般式(I)で示される化合物を含む化合物を哺乳動物に投与する工程、
−該哺乳動物の画像を得る工程、および
−画像を評価する工程
からなる、方法。
【請求項14】
生物学的アッセイおよびクロマトグラフィー同定を行うための一般式(I)、(II)または(III)で示される化合物の使用。
【請求項15】
所定量の一般的化学式(I)、(II)または(III)の化合物および無機または有機酸のその適当な塩、その水和物、複合体、エステル、アミドまたは溶媒和物を含有する密封したバイアルを含む、キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−510816(P2013−510816A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538298(P2012−538298)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067011
【国際公開番号】WO2011/057986
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(507113188)バイエル・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】