説明

ホモレプティック平面正方形錯体からの有機発光ダイオード

M(II)金属中心に2つの同一のNΛN二座陰イオン配位子が配位したホモレプティック平面正方形錯体[M(NΛN)2]は、トリアゾレートの二座平面正方形錯体を含み、光学的および電気的デバイスならびに用途に幅広く有用な光学的および電気的特性を有する。特に、この錯体は、白色または単色の有機発光ダイオード(OLED)を製造するために有用である。改良された白色または単色の有機発光ダイオード(OLED)の構成は、ビス[3,5-ビス(2-ピリジル)-1,2,4-トリアゾラト]白金(II)(Pt(ptp)2)を含むホモレプティック平面正方形錯体を使用するシングルまたはデュアルエミッタの白色または単色有機発光ダイオード(OLED)において、高輝度での向上した効率および/または色安定性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年8月8日付けで出願された、発明の名称が「トリアゾレートの二座平面正方形錯体およびその使用(Bidentate Square Planar Complexes of Triazolates and Uses Thereof)」である、米国仮特許出願第61/188,428号、および2009年5月7日付けで出願された、発明の名称が「ホモレプティック平面正方形錯体からの改良された有機発光ダイオード(Improved Organic Light-Emitting Diodes From Homoleptic Square Planar Complexes)」である、米国仮特許出願第61/176,190号に基づく優先権を主張するものであって、当該出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【0002】
この発明は、米国エネルギー省(DOE(Department of Energy))共同契約第DE-FC26-06NT42859号からの資金を一部使用した。米国政府は、本願発明に一定の権利を有し得る。
【0003】
この発明は、トリアゾレートの二座平面正方形錯体、ならびに特に有機発光ダイオード(OLEDs)、n型半導体材料およびその他の用途におけるそれらの使用に関する。
この発明は、好ましい態様例のビス[3,5-ビス(2-ピリジル)-1,2,4-トリアゾラト]白金(II)(Pt(ptp)2」)に例示されるような、M(II)金属中心に2つの同一のNΛN二座アニオン性配位子が配位しており、一般式:[M(NΛN)]で示されるホモレプティック平面正方形錯体を使用するシングルもしくはデュアルエミッタの白色または単色有機発光ダイオード(OLED)における、高輝度での向上した効率および/もしくは色安定性に関する。
【背景技術】
【0004】
発光性の有機または金属−有機分子材料は、種々の用途を有する。これらは、白色または単色の電界発光を示す有機発光ダイオード(OLED)を含む。そのようなデバイスは、米国における電力消費全量の22%にも及ぶ今日の照明技術でのエネルギー要求を大幅に低減させることができる半導体照明(SSL:Solid-State lighting)に使用することができ、テレビジョン、ビデオカメラ、モニター、携帯電話等の電子デバイスにおけるビデオディスプレイに用いることができる。特に、リン光性金属−有機錯体を有機発光ダイオード(OLED)に使用すると、蛍光性有機材料によって達成されるパフォーマンスと比べて、より高いデバイスパフォーマンスが達成される。その理由は、リン光性金属−有機錯体が(蛍光有機材料についての25%と対比して100%の上限効率を有する)三重項励起子および一重項励起子(triplet and singlet excitons)の両者の発光再結合(radiative recombination)を許容するためである。
【0005】
有機発光ダイオード(OLED)は、半導体照明およびディスプレイ用途のための有望な候補として出現した。単色のエレクトロルミネセントデバイスについては、一重項励起子および三重項励起子の両者を使用するリン光性分子を用いて100%の内部量子効率が報告されており、エレクトロフルオレセントデバイス(electrofluorescent devices)と比較して4倍もの効率の向上を示す。。白色有機発光ダイオード(WOLED)は今日では従来の白熱灯の12〜17m/Wの電力効率を凌ぐことができる。効率的なWOLEDの戦略には、単一の発光層の中の赤色、緑色および青色のリン光ドーパント(D'Andrade, 2004)、積層構成におけるリン−ドープされたホスト層(Qi, 2008)、ならびに積層したフルオレセントおよびリン光ドーパントの組合せ(Kanno, 2006)が含まれる。WOLEDを製造するための最も一般的なアプローチは、複数のエミッタ、例えば、赤色、緑色および青色の組合せまたはRGBエミッタが典型的である。このアプローチは、通常は精巧なデバイス構造を必要とし、制御することが困難なプロセス条件、RGBエミッタの較差エイジングおよび/または赤色色中心へのエネルギー遷移を生じる結果となる(Misra, 2006; D'Andrade, 2004)。第1の例では、単一のドーパントを使用して、標準的なデバイス構造および材料を有する、有機発光ダイオード(OLED)における白色エレクトロホスホレセンス(電子リン光発光性)を製造したが、電力効率およびデバイス安定性において半導体照明(SSL)についての今日の基準を満たさないパフォーマンス測定基準(performance metrics)が得られた(D'Andrade, 2004)。従来の白熱灯または蛍光灯光源と置き換えるには、白色有機発光ダイオード(WOLED)は、高い演色指数(CRI)、1000cd/m以上という高い輝度、および10,000時間を超える長期間の操作寿命を示す必要がある。
【0006】
近年、共通ホスト内で緑色リン光体および赤色リン光体と組み合わせた青色フルオロフォア(blue fluorophore)を使用する蛍光/リン光白色有機発光ダイオード(fluorescent/phosphorescent WOLEDs)について、より高い外部量子効率および出力効率が示された(Sun, 2006)。パフォーマンスの向上は、一重項励起子および三重項励起子を慎重に利用することによるものである。ホストからドーパントへの共鳴エネルギー遷移によって、交換エネルギー損失を排除し、向上した効率が得られる。
【0007】
リン光エミッタの自己クエンチングおよび長い発光寿命は、有機発光ダイオード(OLED)の効率および安定性が低下する原因の1つとなる(Baldo, I998; D'Andrade, 2004)。従って、これらの問題点を克服する新しい材料およびデバイスのコンセプトが、高輝度での向上した効率および/色安定性を有する有機発光ダイオード(OLED)に非常に求められている。
【0008】
以下の文献および刊行物を参照して本明細書に組み込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/1188428号明細書
【特許文献2】米国仮特許出願第61/176,190号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Brooks, J., Y. Babayan, S. Lamansky, P. I. Djuorvich, I. Tsyba, R. Bau and M. E. Thompson,Inorg. Chem., 41, 3055 (2002).
【非特許文献2】D'Andrade, B. W.; Adamovich, V.; Thompson, M. E.; Forrest, S.; Adv. Matt. 14, 1032(2002).
【非特許文献3】D' Andrade, B. W., R.J. Holmes, S. R. Forrest, Adv. Mater. 16, 624 (2004).
【非特許文献4】Kanno, H., N. C. Giebink, Y. Sun and S. R. Forrest, Appl. Phys. Lett. 89, 023503 (2006).
【非特許文献5】Ma, B.W., P. I. Djurovich, S. Garon, B. Alleyne, and M. E. Thompson, Adv. Funct. Mater.,16, 2438 (2006).
【非特許文献6】Misra, A.; Kumar, P.; Kamalasanan, M. N.; Chandra, S. "White organic LEOs and their recent advancements", Semicond. Sci. Technol. 21, R35-R47 (2006).
【非特許文献7】Newman, C. R.; Frisbie, C. D.; da Silva Filho, D. A.; Bredas, J.-L.; Ewbank, P. C.; Mann, K. R. "Introduction to Organic Thin Film Transistors and Design ofn-Channel Organic Semiconductors" Chem. Mater. 16, 4436 (2004).
【非特許文献8】Qi, X., M. Slootsky, and S. R. Forrest, Appl. Phys. Lett. 93, 193306 (2008).
【非特許文献9】Ramos-Ortiz, G., Y. Oki, B. Domercq and B. Kippelen, Phys. Chem. Chern. Phys., 4, 4109 (2002).
【非特許文献10】Sun, Y., N. C. Giebink, H. Kanno, B. Ma, M. E. Thompson & S. R. Forrest, Nature, 908 (2006).
【非特許文献11】Williams, E. L., K.Haavisto, J. Li, and G. E. Jabbour, Adv. Mater. 19, 197 (2007).
【非特許文献12】Wu, Y.Z., X.Y. Zheng, W.Q. Zhu, R.G. Sun, X.Y. Jiang, Z.L. Zhang, and S.H. Xu, Appl. Phys. Lett., 83, 5077 (2003)
【非特許文献13】Yang, X., Z. Wang, S. Madakuni, J. Li, and G. E. Jabbour, Adv. Mater., 20, 2405 (2008).
【非特許文献14】Yang, X., Z. Wang, S. Madakuni, J. Li, and G. E. Jabbour, Appl. Phys. Lett. 93, 193305 (2008).
【発明の概要】
【0011】
本発明は一般に、光学的および電気的デバイスならびに用途に幅広く有用な光学的および電気的特性を有する金属−有機錯体の分野に関する。これらは2つの同じNΛN二座アニオン性配位子がM(II)金属中心に配位した、ホモレプティック平面正方形錯体[M(NΛN)]を含む。材料は、種々の置換基およびPt(II)、Pd(II)およびNi(II)等の金属イオンを有するトリアゾレートの平面正方形錯体を含む。本発明は、有機発光ダイオード(OLED)、特に白色有機発光ダイオード(WOLED)にも関する。本発明は、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、特にn型の有機薄膜トランジスタ(OTFT)、ならびに半導体特性を有する金属−有機錯体材料にも関する。本発明は一般に、シングルもしくはデュアルエミッタの単色または白色有機発光ダイオード(OLED)における高輝度での向上した効率および/または色安定性にも関する。
【0012】
トリアゾレート配位子の二座平面正方形錯体を使用することによって、それらのエレクトロルミネセンス(EL)発光プロファイルおよび色座標が電圧によってあまりシフトしない白色有機発光ダイオードの色度を制御することができ、そしてそれらは高い輝度、電圧および/または電流密度であっても、高出力および輝度効率がピーク値に近い値に留まるように維持することができる。この錯体は、白色デバイスだけでなく、切望されていた青色有機発光ダイオードを含む単色デバイスも達成する優れた色度制御を行うことができる。高効率、安定性および純粋な青色(genuine blue chromaticity)を有するエレクトロホスホレセント有機発光ダイオード(OLED)は達成することが困難であるが、本発明の材料はそのようなデバイスに有用である。錯体は、種々の金属イオンならびに置換配位子を用いて変更することができ、好ましい形態は白金および配位子ptp(3,5−ビス(2−ピリジル)1,2,4−トリアゾレート)を使用する形態である。
【0013】
金属−有機錯体は、薄膜トランジスタ(TFT)および有機半導体に使用するためのn型分子材料として有用でもあり得る。このことは、重なって積層された(overlapping stacked)錯体の延びた直鎖(又は直線状に延びた鎖状体:extended linear chains)が半導体挙動を引き起こす結晶多形によって生じる。
【0014】
1つの改良された白色有機発光ダイオード(WOLED)の構成は、2種類の異なる緑色および赤色のリン光体の代わりに、1種類の広帯域(broad-band)黄色リン光体のみを用いる簡略化された蛍光/リン光ドーパントモデルを使用して、「冷たい白色(cool white)」光を提供することを特徴とする。積層構造は、ドープされていない(アンドープの)ホストの薄いスペーサ層によって隔てられた2つのドープされた蛍光層(フルオレセント層)の間に挟まれたリン光発光層を使用する。一例として、低温の白色有機発光ダイオード(WOLED)は、ホール輸送層(hole transporting layer)としてのN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル−4,4”−ジアミン(”NPB”)、電子輸送層としての1,3,5−トリス(フェニル−2−ベンズイミダゾリル)−ベンゼン(”TPBI”)、ホストおよびスペーサーとしての4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル (”CBP”)、ならびに4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(”BCzVBi”)濃青色蛍光ドーパント(deep-blue fluorescence dopant)およびビス[3,5−ビス(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾラト]白金(II)(”Pt(ptp)2”)黄色リン光ドーパントを含み得る。
【0015】
もう1つの改良された白色有機発光ダイオード(WOLED)の構成は、「暖かみのある白色(warm white)」光を提供することで特徴付けられ、1つの発光領域または2つの異なる発光領域(一方は青色−緑色領域にある短波長を提供し、他方は黄色−橙色−赤色領域にある長波長を提供する)において、1つのリン光体のみを使用する。一例として、暖かいWOLEDは、ホール輸送層としてのN,N’−ジフェニル−N,N ’−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル−4,4”−ジアミン(”NPB”)、電子−および励起子ブロッキング層としてのN,N’−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン(”mCP”)、電子輸送層としての1,3,5−トリス(フェニル−2−ベンズイミダゾリル)−ベンゼン(”TPBI”)、1〜10%のPt(ptp)リン光ドーパントによってドープされた1つの発光層ためのホストとしての4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル (”CBP”)、およびPt(ptp)のみの(ニートな:neat)もしくは(30%を超えて)高度にドープされた膜からなるもう1つの発光層を含み得る。
【0016】
改良された冷たいWOLEDを製造するため、一例として、共通のホスト(common host)、(例えば4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(”CBP”))中で、濃青色蛍光ドーパント(例えば4,4’−(ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル)からの濃青色蛍光(deep-blue fluorescence)を、広帯域黄色リン光ドーパント(例えばビス[3,5−ビス(2− ピリジル)−1,2,4−トリアゾラト]白金(II))からの広帯域黄色リン光へ、システマティックに導入することがまず挙げられる。改良された冷たいWOLEDは、1000cd/mという高輝度でのパラメータを50cd/mでのパラメータ値の94〜122%に維持していることからもわかるように、色および効率の顕著な安定性を示す。
【0017】
改良された暖かいWOLEDを製造するためには、一例として、ホスト(例えばCBP)中で、(1〜10体積%の)軽度にドープされたPt(ptp)リン光ドーパントからの青色−緑色リン光を、同じPt(ptp)リン光体のみのもしくは(30%を超えて)高度にドープされた層からの黄色−オレンジ色−赤色リン光へ、システマティックに導入することがまず挙げられる。改良された暖かいWOLEDは、82という優れた演色指数(CRIと)、1000cd/mという高輝度においても非常に小さいロールオフ(roll-off)である色および効率についての顕著な安定性とを示す。
【0018】
改良された暖かいWOLEDの構成のもう1つの例には、Pt(ptp)のみのもしくは高度にドープされた膜のみを用いることが含まれる。発光層の厚さ、高ドープタイプの白色有機発光ダイオード(WOLED)中のホスト材料、発光層以外の層の材料もしくは厚みを変更することによって、デバイスパフォーマンスと、CIE色度座標もしくは演色指数(CRI)として特徴付けられる白色測定基準との改良がもたらされ得る。
【0019】
トリアゾレートの二座平面正方形錯体、例えばPt(ptp)を使用する白色および単色の有機発光ダイオード(OLED)における効率の向上は、デバイス構造を更に変更することによって達成される。一例として、輸送層NPBの後に電子−および励起子ブロック層としてのmCPの薄層を加えること、または両者を1,1−ビス−(4− ビス(4−メチル−フェニル)−アミノ−フェニル)−シクロヘキサン(”TPAC”)によって置換することによって、Pt(ptp)のみのもしくはドープされた発光層を含む有機発光ダイオード(OLED)の劇的な改良がもたらされる。電子輸送層において、他の材料、例えば他の電子輸送材料、例えば、トリス(2,4,6−トリメチル−3−(ピリジン−3−イル)フェニル)ボラン(”3TPYMB”もしくは”TPYMB”)、1,3,5−トリス(m−ピリド−3−イル−フェニル)ベンゼン(”TmPyPB”)、1,3,5−トリス(p−ピリド−3−イル−フェニル)ベンゼン(”TpPyPB”)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(”BPhen”)、またはその他の好適な材料を使用することによって、著しい向上を更に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、トリアゾレートの二座平面正方形錯体の一般式を示している。
【図2】図2は、Pt(ptp)2の分子構造を示している。
【図3】図3は、改良された冷たいWOLEDの一例の構造を示している。
【図4】図4は、Pt(ptp)2の合成の一般的なスキームを示している。
【図5】図5は、共昇華(co-sublimation)によって堆積したx% Pt(ptp):CBP薄膜のPLスペクトルを示している。
【図6】図6は、Pt(ptp)2:CBP発光層に基づく複層有機発光ダイオード(OLED)のエレクトロルミネセンス(EL)を示している。
【図7】図7はPt(ptp)2の結晶構造であって、(a)は溶媒和された状態の結晶を、(b)は乾燥した状態の結晶を示している。
【図8】図8は、改良された冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)の一例の、電流密度に対する規格化されたELスペクトルを示している。
【図9】図9は、改良された冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)の一例について、電圧(x軸)に対する、電流密度(■印:丸囲みと左向きの矢印によって示された左側のy軸)と、輝度(▲印:丸囲みと右向きの矢印によって示された右側のy軸)との変動を示している。
【図10】図10は、改良された冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)の一例について、電子輸送層(TPBI)の厚さを変化させた場合の、輝度に対するCIEおよびCRIを示している。
【図11】図11は、2つの異なる発光領域にただ1つのエミッタPt(ptp)2を用いた、改良された冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)の一例について、電圧に対するELスペクトルを示している。
【図12】図12は、励起子および電子ブロッキング材料mCPの薄膜を追加することにより、Pt(ptp)2ドープのCBPに基づく有機発光ダイオード(OLED)のパフォーマンスを部分的に最適化する例について、デバイスの構造(a)と、輝度に対する出力効率(b)とを示している。
【図13】図13は、デュアルエミッタのフルロフォア/リン光体の組み合わせに基づく、部分的に最適化された冷たいWOLEDについて、デバイスの構造(a)と、出力効率(PE)および外部量子効率(EQE)のプロット(b)とを示している。
【図14】図14は、ホール輸送層をNBPからTPACに変え、電子輸送層をtPBIからTPYMBに変えた場合の、Pt(ptp)2のみの発光層に基づく、部分的に最適化されたOLEDについて、出力効率とEQEをプロットしたものである。
【図15】図15は、Pt(ptp)2のみの発光層の厚みを変化させることによるOLED色のチューニングからの、波長に対する規格化されたELを示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<好適な実施の形態>
一般に、本発明は、一般式:[M(NΛN)]で示されるホモレプティック平面正方形錯体(式中、2つの同一のNΛN二座アニオン性配位子はM(II)金属中心に配位している。)に関する。
実施例は、トリアゾレートの二座平面配位子、ならびに改良されたプロセスに従って製造され、向上した色安定性および効率を有する有機発光ダイオード(OLED)が含まれる。
【0022】
一般的な型の[M(NΛN)]のホモレプティック平面正方形錯体は、M(II)金属中心に配位している2つの同一のNΛN二座アニオン配位子を有する。具体例には、トリアゾレートの二座平面正方形錯体がある。
この構造の変形例には、他のN−ドナー二座配位子、例えばトリアゾレート基の代わりにピラゾレート基を、または、ピリジン基の代わりにイミダゾール基を含むものがある。
【0023】
高い輝度および効率パラメータと、白色を含む調節可能な色度座標と、n型半導体を示唆する電気的挙動とを備えた有機発光ダイオード(OLED)は、(ピリジル)トリアゾレートの二座正方形錯体(例えばPt(ptp)錯体であって、式中、ptpは、3,5−ビス(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾレートである)を用いて得ることができる。錯体は、特に、有機発光ダイオード(OLED)ホスト材料CBP中におけるPt(ptp)の種々の濃度の溶液もしくはドープされた薄膜のいずれかにおいて白色又は単色を達成するための、これらの発光の組み合わせならびに純粋な化合物の固体用のモノマー、エキシマー、および延びたエキシマー(エクステンデッドエキシマー:extended excimer)のリン光を含めて、Pt(ptp)について、著しいフォトルミネッセンス(PL)挙動を示す。これらのフォトルミネッセンス(PL)は、フォトルミネッセンス(PL)変化を反映するエレクトロルミネセンス(EL)特性を達成する有機発光ダイオード(OLED)の構成を導く。更に、錯体Pt(ptp)には2種の構造が存在しており、一方はエキシマー生成を安定化させる様式で重ねられた分子の対を有しており、他方は無限鎖形態に重ねられた分子を有している。後者の重なりは、エクステンデッドエキシマー発光を安定化させ、および半導体挙動をも示す。
【0024】
トリアゾレートの二座正方形錯体は、図1に示すような一般式で示され、式中、MはPt、PdもしくはNiであってよく、Rはピリジル、CF、F、Cl、Br、COOR’、NO、CN、H、n−アルキルまたはその他の好適な置換基であってよい。ビピリジン(bpy)およびチオフェンは、R置換基として使用することができる。
【0025】
図1に示すような錯体における種々の金属(M)に関して、パラジウム(Pd)の使用はn型OTFTsの形成に好適である。ニッケル(Ni)は、有機発光ダイオード(OLED)および有機薄膜トランジスタ(OTFT)の両者にとって低コストであるため、金属として良好な選択肢である。配位子(R)をHに替えると、より良好なスタッキング(積層)が形成される。置換基F、Cl、Br、CN、COOR’またはNO(n型)を用いることは、それらが電子不足の置換基であるために好ましい。良好な青色は、高い効率および安定性を有する非常に切望されていた青色エレクトロホスホレセント有機発光ダイオード(OLED)を達成するための電子不足の置換基を用いて得られる。n−アルキル基などの可溶化基も、溶液処理には有用である。
【0026】
有機金属シクロメタレート型白金(II)錯体(Organometallic cyclometalated platinum(II) complexes)は、白色有機発光ダイオード(WOLED)における発光性ドーパントとして研究されてきており(Brooks,et al. 2002)、典型的にはPt(II)リン光体の広帯域エキシマー発光と、異なるIr(III)青色リン光体もしくは同じPt(II)リン光体のモノマー放射とを組み合わせることによる(D'Andrade, 2002; D'Andrade, 2004; Williams, 2007; Brooks, 2002; Yang, Adv.Master. 2008; Yang, Appl Pys. Lett. 2008; Ma, 2006)。改良された白色有機発光ダイオード(WOLED)において使用するPt(ptp)錯体は、2つのptp二座配位子が白金(II)にN,N'−配位した(ピリジル)トリアゾレートを有する非有機金属/非シクロメタレート型(非C−Pt結合)である。1分子あたり6個の芳香族環が存在すること、および自己会合性を制御することによって、ドーピングレベルを変更することによる可視領域にわたる明色−調節可能なフォト−およびエレクトロルミネセンスを含めて、優れた発色特性および発光特性(chromophoric and luminescence properties)が錯体にもたらされる。
【0027】
二座正方形錯体を使用して、Pt(ptp)および他の材料の変更、例えば(ピリジル)トリアゾレートの錯体を用いることによるエレクトロルミネセンスを利用する白色、近白色、および単色有機発光ダイオード(OLEDs)を得ることができる。これには、Pt(ptp)のEL発光に基づく近白色有機発光ダイオード(OLEDs)が含まれる。これには、同じデバイス内におけるPt(ptp)および他のエミッタのエレクトロルミネセンス(EL)発光の組み合わせに基づく白色および近白色有機発光ダイオード(OLED)も含まれる。Pt(ptp)のエレクトロルミネセンス(EL)発光を用いて単色有機発光ダイオード(OLED)を得ることもできる。白色および近白色有機発光ダイオード(OLED)ならびに(青色を含む)単色有機発光ダイオード(OLED)は、同じデバイス内に他のエミッタがある場合も無い場合も、(ピリジル)トリアゾレートの二座平面正方形白金(II)錯体のエレクトロルミネセンス(EL)発光を用いて得ることができる。白色および近白色有機発光ダイオード(OLED)ならびに(青色を含む)単色有機発光ダイオード(OLED)は、同じデバイス内に他のエミッタがある場合も無い場合も、(ピリジル)トリアゾレートの二座平面正方形ニッケル(II)錯体のエレクトロルミネセンス(EL)発光を用いて得ることができる。CBP固体マトリクス内の錯体の濃度の許容範囲は、以下の実施例に更に記載するように直感的に求めることができる。錯体の濃度を変えると、カラースキームをシフトさせ得る。
【0028】
半導体材料を得るためには二座平面正方形錯体の適用も重要である。いずれかの分子電子デバイスの中心的要素はトランジスタである。今日の薄膜トランジスタ(TFT)の最大の用途は、フラットパネルもしくはフレキシブルディスプレイ用のアクティブ・マトリクス背面(active matrix backplanes)のためのものである。FET用の主要な市販の材料は水素化されたアモルファスシリコン(a-Si:H)であるが、移動性(mobility)、安定性(stability)およびより低い製造コストを目的として他の無機および有機材料が鋭意研究されている。未解決のまま残されている主要な事項は、有機TFT(OTFTs)の見劣りのするパーフォーマンス(inferior performance)および/もしくは安定性(特に、n型デバイス(もしくは「n−チャンネル)である(Newman, 2004)。水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)またはペンタセンのいずれかによって得られる回路スタイルはすべてレシオ化されたロジックであり、工業的標準CMOS(相補型金属酸化物半導体)よりも所定の速度にてゲート毎により多くの出力を消費する。CMOSはn型およびp型TFTの両者を用いて形成されており、高いパフォーマンスアナログ回路機構およびデジタルロジックのための好ましい回路スタイルである。CMOSに基づいて有機発光ダイオード(OLED)を製造する能力(ability)によって、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイと同様のフレキシブルCMOSストラクチャードASIC(特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit))を製造するための科学技術が提供される。必要とされる本質的なアナログ回路は演算増幅器(operational amplifier)である。これには、安定化された閾値電圧および移動性を有するn−FETおよびp−FETデバイスの両者が必要とされることになる。大部分の有機半導体は電子リッチ(p型)であり、最も一般的な例はペンタセンおよびフタロシアニン類、例えばCuPcである。有機または分子材料に基づく電子デバイスには、p型およびn型の両方の材料が必要とされる。
【0029】
本発明の材料はn型分子材料のレアクラスに属する。フレキシブル電子デバイスはp型およびn型の両者の有機材料を必要とするが、今日のCMOS技術はp型有機材料のみを通常は使用しており、n型材料についてはアモルファスシリコンが使用されている。このように、分子材料、例えばPd(ptp)および他の態様は、全有機CMOSおよびフレキシブル電子デバイスに利用される大きな潜在性を有している。Pt(ptp)錯体の結晶は、(a)溶媒和された淡黄色結晶と(b)乾燥したオレンジ色の結晶、という異なる充填形態を有する2種の多形を示す。形態(a)は隣接する分子ユニットとオフセット状態であまり十分に重ならずに配置された分子を有し、錯体に水素結合された(H-bonded)溶媒(メタノール)分子を含んでおり、形態(b)は大幅に重なって積層された錯体の延びた直鎖と、短いPt−Pt分子間距離(3.289 A)とを有している。
【0030】
(ピリジル)トリアゾレートの二座正方形錯体の用途には、OTFTs、n型OTFTsおよび、n型半導体を含むCMOSデバイスが含まれる。これらのデバイスは(ピリジル)トリアゾレートの二座平面正方形パラジウム(II)錯体、(ピリジル)トリアゾレートの二座平面正方形ニッケル(II)錯体、および(ピリジル)トリアゾレートの二座平面正方形白金(II)錯体を用いて得ることができる。(ピリジル)トリアゾレートの正方形錯体は、導体および半導体ソリッド(薄膜、単結晶または加圧ペレット)の製造に用いることができる。
【0031】
更なる態様において、(ピリジル)トリアゾレートの平面正方形錯体を用いた温度、圧力、金属イオン、pHおよび他のパラメータのためのセンサーを含むセンサを製造することができる。例えば、配位されていないピリジン基は プロトンの結合のための「眼(eye)」として機能し、従ってpHの検知を行い、または金属イオンの結合のための眼となって重金属を検知することができる。更なる態様において、配位されていないピリジン基は 他の金属イオンに配位するための配位子として用いられ、改良された光学ポリマーとの配位ポリマーまたは多分子錯体を形成することができる。R置換基としてビピリジン(bpy)またはチオフェンを使用することによって、硬質および軟質金属の結合をそれぞれ支援することができ、それによってより広範囲のセンサーを形成することができる。
【0032】
追加の態様例は、トリアゾレートの二座平面正方形錯体、例えばビス[3,5−ビス(2− ピリジル)−1,2,4−トリアゾラト]白金(II)(Pt(ptp))等を使用して、高い輝度、向上した効率および色彩安定性を達成する、シングルもしくはデュアルエミッタの白色または単色有機発光ダイオード(OLED)を含む有機発光ダイオード(OLED)の構成に関連する。
【0033】
1つの改良された白色有機発光ダイオード(WOLED)の構成は、理想的な80〜100の値に近い演色指数(CRI)を有する「暖かみのある白色(warm white)」光を提供することを特徴とすることができ、1つは青色−緑色領域のより短い波長を提供し、もう1つは黄色−橙色−赤色領域のより長い波長を提供する2つの異なる発光領域であり得る、1つのリン光体のみを使用する。
【0034】
1つの改良された白色有機発光ダイオード(WOLED)の構成は、2種類の異なる緑色および赤色リン光体の代わりに、1種類のみの広帯域黄色リン光体を用いる簡略化された蛍光/リン光ドーパントを使用して、「冷たい白色(cool white)」光を提供することを特徴とする。積層構造は、ドープされていないホストの薄いスペーサ層によって隔てられた2つのドープされたフルオレセント層の間に挟まれたリン光発光層(emissive layer)を使用する。好適なホスト材料の例には、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(”CBP”)、4,4−ビス(9−カルバゾリル)−2,2−ジメチル−ビフェニル(”CDBP”)、N、N’−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン(mCP)、および4,4’,4”−トリス(Ν−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)がある。
【0035】
暖かみのある白色有機発光ダイオード(WOLED)の例には、ホール輸送層としてのN,N’−ジフェニル−N,N ’−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル−4,4”−ジアミン(”NPB”)、電子−および励起子ブロッキング層としてのN,N’−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン(mCP)、電子輸送層としての1,3,5−トリス(フェニル−2−ベンズイミダゾリル)−ベンゼン(”TPBI”)、1〜10%のPt(ptp)2 リン光ドーパントによってドープされた1つの発光層、およびPt(ptp)のみのもしくは(30%を超えて)高度にドープされた膜からなるもう1つの発光層のためのホストとしての4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル (”CBP”) を含み得る。
【0036】
冷たい白色エレクトロルミネセンス(EL)を達成するためには、Pt(ptp)リン光体について約30%もしくはそれ以上、濃青色フルオロフォア、例えば、4,4’−(ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(”BCzVBi”)について約5%の、ドーパントのホスト材料に対する体積基準でのドーピング濃度が好適であるが、他のドーピング濃度を使用することもできる。Pt(ptp)に対して30%の単独ドーパントデバイスは、弱いモノマーリン光(λmax 〜476nm)と同時に、より長い波長(λmax 〜570nm)にて主たるダイマー/エキシマーリン光を生じさせ、(0.42, 0.53)CIE色度座標の黄色−オレンジ色光を生じ、次いで、BCzVBiフルオレセンス(λmax 〜450nm)と混合すると、理想的な(0.33, 0.33)CIE色度座標に近い色座標を有する冷たい白色光を達成することができる。
【0037】
改良された冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)デバイスの例の構造は図3に示している。発光層は、共通のホスト中で、同じホスト材料のドーピングされていなスペーサ層によって隔てられた2つの濃青色フルオレセント層(両側に10nm)の間に挟まれた黄色リン光層(20nm)を有する。ドーパントは、Pt(ptp)黄色フルオレセントおよびBCzVBi濃青色フルオレセントドーパントである。ホストは4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(”CBP”)であってよい。改良された冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)デバイスは、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル−4,4”−ジアミン(”ΝPB”)であってよいホール輸送層、1,3,5−トリス(フェニル−2−ベンズイミダゾリル)−ベンゼン(”TPBI”)であってよい電子輸送層、CBPであってよいホストおよびスペーサ材料、フォトリソグラフィカルなパターン形成されたインジウム−スズ−酸化物(ITO)であってよい基材、ならびにMg:Ag、LiF/Al、Ca/AlもしくはCa/Agであってよいカソードを有する。
【0038】
特に、改良された冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)構造の一例において、中央に配置されるのは、黄色リン光ドーパントによりドーピングされたホスト材料によって形成された黄色リン光発光層である。ホスト材料は、4,4'-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル("CBP")であってよい。黄色リン光ドーパントは、ビス[3,5−ビス(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾラト]白金(II)(Pt(ptp))であってよい。 黄色リン光発光層は約20nmの厚みであってよい。
【0039】
改良された冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)構造の一例において、黄色リン光発光層の両側は、ドーピングされていないホスト材料の層であってよい。
これらスペーサ層におけるホスト材料は、黄色リン光発光層に用いられるホスト材料と同じであってよい。ホスト材料CBPであってよい。スペーサ層の厚さは、青色蛍光体からより低いエネルギーのリン光体のエネルギー遷移を防止するように、Foerster radius (〜3nm) (Ramos-Ortiz, 2002) によって求められる。ドーピングされていないスペーサ層の厚さは異なっていて良い。例えば、 黄色リン光発光層の上側のドーピングされていないスペーサ層は6nmの厚さであってよく、黄色リン光発光層の下側のドーピングされていないスペーサ層は4nmであってよい。
【0040】
改良された冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)構造の一例において、ドーピングされていないスペーサ層の両側、従って、黄色リン光発光層の両側は、濃青色フルオレセントドーパントによりドープされたホスト材料によって形成された濃青色フルオレセント発光層であってよい。ホスト材料は、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(”CBP”)であってよい。濃青色フルオレセントドーパントは、4,4’−(ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(”BCzVBi”)であってよい。濃青色フルオレセント発光層は、約10nmの厚さであってよい。濃青色フルオレセント発光層のドーピング濃度は、ホスト材料に対してドーパントの約5体積%であってよい。
【0041】
改良された冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)構造の一例において、下側の濃青色フルオレセント発光層の下側はホール輸送層であってよい。ホール輸送層はN,N’−ジフェニル−N,N−ビス(1−ナフチル)−1,1 ’−ビフェニル−4,4”−ジアミン(NPB)により形成することができる。ホール輸送層は、約40nmの厚さであってよい。1つの例では、N,N’−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン(mCP)の膜(約10nmの厚みであってよい)を、NBP層の頂部に追加することによって、または、もう1つの例では両方のNPBを1,1−ビス(4−ビス(4−メチル−フェニル)−アミノ−フェニル)−シクロヘキサン(”TPAC”)に置き換えることによって、向上したパフォーマンスを達成することができる。
【0042】
改良された冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)構造の一例において、高い側の濃青色フルオレセント発光層の上側は電子輸送層であってよい。この実施例の白色有機発光ダイオード(WOLED)構造における電子輸送層は、1,3,5−トリス(フェニル−2−ベンズイミダゾリル)−ベンゼン(”TPBI”)であってよく、これは40nmの厚みを有していてよい。もう1つの実施例において、TPBIは、他の材料、例えばトリス(2,4,6−トリメチル−3−(ピリジン−3−イル)フェニル)ボラン(”3TPYMB”もしくは”TPYMB”)、1,3,5−トリス(m−ピリド−3−イル−フェニル)ベンゼン(”TmPyPB”)、1,3,5−トリス(p−ピリド−3−イル−フェニル)ベンゼン(”TpPyPB”)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(”BPhen”)またはその他の好適な材料に置換することができる。
【0043】
標準的な有機発光ダイオード(OLED)の場合のように、改良された白色有機発光ダイオード(WOLED)デバイスは、基材およびカソードをも有する。
【実施例1】
【0044】
<PT(PTP)2の合成>
配位子ptp(3,5−ビス(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾレート)の合成は、文献(Bentissら, 2002)に記載された手順に基づいて行った。Pt(ptp)錯体を合成するため、丸底フラスコ内で、0.4500gのptp配位子をピリジンに懸濁させ、その後、固体が十分に溶解するまでオイルバス内で加熱した。得られたptp配位子に、アセトン中の金属前駆体m−ビス(ベンゾニトリル)ジクロロ白金(II)0.4700gのもう1つの用を徐々に添加した。反応は50〜60℃にて3日間維持した。最終生成物は、65%の収率でPt(ptp)の黄色粉末として得られた。
【0045】
得られた化合物は大部分の溶媒に対して難溶性を示し;最良の溶媒系はジクロロメタンとメタノールとの混合物であった。この溶媒混合物中のPt(ptp)の溶液を、室温にて、ゆっくりと蒸発させると、緑色のフォトルミネッセンス(PL)を伴った黄色結晶が生成した。X線分析は、黄色の形態のPt(ptp)はメタノール溶媒和化合物を含むことを示し、減圧下にてこの材料を乾燥させると、溶媒和されていないオレンジ色形態が得られ、オレンジ色のフォトルミネッセンス(PL)を示した。図4は、Pt(ptp)の合成の態様をまとめている。
【実施例2】
【0046】
<薄膜のフォトルミネッセンス(PL)特性>
図5は、有機発光ダイオード(OLED)の共通ホストCBPにおけるPt(ptp)薄膜のフォトルミネッセンス(PL)を示している。図5は、Pt(ptp):CBP薄膜の特定の割合(百分率)のフォトルミネッセンス(PL)スペクトルを示している。薄膜は、Trovato有機デポジションシステム内において、Pt(ptp)とCBPとの両化合物の純粋な粉末試料を熱蒸発(昇華)によってガラス基材に共蒸着(co-deposition)させることによって形成した。モノマーおよびエキシマーバンドを結合させた。図5のデータは、有機発光ダイオード(OLED)の機能的薄膜における白色光は、CBPにおけるPt(ptp)のドーピングレベルを制御することによって達成されることを示しており、このことはSSLにとって重要である。白色光は、20−30体積%Pt(ptp):CBPドープされたフィルムに、青色モノマー発光とオレンジ色エキシマー発光との組み合わせによって達成されている。図5のデータは、発色する色は、CBPにおけるPt(ptp)のドーピングレベルを単に変更することによって、青色と赤色との間で直感的に調節することができるということも示している。これらのPLデータは、白色又は単色有機発光ダイオード(OLED)の構成(または設計)を案内するための背景となり得る。
【実施例3】
【0047】
<エレクトロルミネセンス(EL)データ>
図6は、標準的なデバイス構成における発光層としてのPt(ptp):CBPに基づく有機発光ダイオード(OLED)について、代表的なエレクトロルミネセンス(EL)を示している。デバイス構成は、すべてのデバイスについて同じ、即ち、ITO/NPB(40nm)/x vol%Pt(ptp):CBP(25nm)/TPBI(30nm)/Mg:Agである。
【0048】
図6のELスペクトルは、ドーピングレベルを変更することによって発光色を調節し得るという点に関して、図5のPLスペクトルを明らかに反映している。図5に示す白色エレクトロホスホレセンスを示す最良のデバイスは、8.34lm/Wの最大出力効率と13.54cd/Aの最大発光効率とを有する。これらの値は、この材料についての下限値を示している。その理由は、デバイスは、理想的な条件を下回る条件(例えば、クリーンルームもしくはin situ条件ではない、不十分な基材処理、昇華されていないドーパント、および最適化されていないデバイス構造)にて製造されたからである。例えば、 Pt(ptp):CBPデバイスについて使用したものと同じデバイス構造を有する発光層として、よく知られているIr(ppy):CBPシステムを用いる標準的なベースラインデバイスは、最適化された条件下で文献に報告されたデバイスについてのパフォーマンスの40〜50%を達成し、他のデバイス構造はより高いパフォーマンスを導くことが知られている。
【0049】
Pt(ptp)-ベースのデバイスについてのパフォーマンス・パラメータは、デバイス構造を更に最適化すること、および電荷バランスを向上させることによって劇的に向上させて、20−100lm/Wの出力効率を達成することができる。このようにすることによって、1つの例での、単にmCPの10nm薄膜を電子および励起子ブロッキング層として追加することによって、40−80% Pt(ptp):CBPのオレンジ色有機発光ダイオード(OLED)について25−30lm/Wを含めて、図6のデータに対する出力効率の桁違いの向上(もしくは増加)が達成された。もう1つの例では、NPBをTPACに置換し、TPBTをTPYMBに置換することによって、Pt(ptp)のみの発光層を有するオレンジ色有機発光ダイオード(OLED)について30−40lm/Wが達成された。3つ目の例では、ホストおよびカソード材料を含むデバイス構成における他の変更を行うことによって、Pt(ptp)の1−10%ドーピングレベルを有する青−緑色有機発光ダイオード(OLED)について、60−70lm/Wが達成された。これらの結果は、モノマーおよびエキシマーエレクトロホスホレセンスを示すPt錯体に基づくデバイスについて、従来の文献の例よりもはるかに良好なパフォーマンスを示している(D' Andrade, 2002; D' Andrade, 2004; Williams, 2007; Brooks, 2002; Yang, Adv. Mater. 2008; Yang, Appl. Pys. Lett. 2008; Ma, 2006)。これらの文献の例と対比した場合のPt(ptp)系の単色または白色有機発光ダイオード(OLED)についての、より高い最大出力効率以外の2つの重要な利点は、(i)電圧、電流密度もしくは輝度によって発光プロファイルに大きなシフトを生じることがないが、上述した文献の例におけるモノマー/エキシマーピーク比における厳密なシフトが得られたこと;ならびに(ii)デバイスは、上述した文献の例だけでなく、Ir(III)リン光ドーパント、例えば、Ir(ppy)またはFlrpic系のものを一般に含むエレクトロホスホレセント有機発光ダイオード(OLED)とも対比して、一般に高い電流密度にてより安定であることである。
【実施例4】
【0050】
<X線構造データ>
Pt(ptp)錯体の結晶は、(a)溶媒和された黄色結晶と(b)乾燥したオレンジ色の結晶、という異なる充填形態のを有する2種の多形を示す。形態(a)は隣接する分子ユニットとオフセット状態であまり十分に重ならずに配置された分子を有し、錯体に水素結合された(H-bonded)溶媒(メタノール)分子を含んでおり、形態(b)は大幅に重なって積層された錯体の延びた直鎖と、短いPt−Pt分子間距離(3.289 A)とを有している。図7は、両方の形態の構造的データを示している。2種の多形ではPL特性が異なる。黄色の形態(a)はモノマーに起因して青−緑色発光を有し、一方、オレンジ色の形態(b)はエクステンデッドエキシマーに起因してオレンジ色−赤色発光を有する。PLおよびELバンドの同定が促進されることに加えて、X線構造データは、乾燥形態におけるPt中心の密接な積層(スタッキング)に起因する、Pt(ptp)および同様の錯体の導体的もしくは半導体的挙動を示唆してもいる。同様に、ピリジル(トリアゾレート)配位子は一般に、そして、ptp配位子は特に電子不足状態にあるため、導電性は単極性(ユニポーラ)であって、ホールの代わりに電子に対して選択的である。このユニポーラ特性と延びた構造(エクステンデッドストラクチャー:extended structure)との組み合わせによって、平面正方形ピリジル(トリアゾレート)錯体は、有機薄膜トランジスタ(OTFTs)としても知られており、電子デバイスの中心的要素である−有機電界効果トランジスタ(OFETs)におけるn型半導体として用いることについて理想的なものとされる。図1は、このクラスの錯体の一般的な化学構造を示している。金属(M)もしくは置換基(R)を替えることによって、固体の熱蒸発(昇華)もしくは溶液からのキャスティング(スピンコーティングもしくはインクジェット印刷)のいずれかによる、デバイスに必要とされる機能的薄膜形態への材料のデポジションを促進し、ならびに/またはn型導体挙動の範囲を制御することができる。
【実施例5】
【0051】
<デバイス製造>
デバイスは、有機層のデポジションの前に清浄化されおよびOプラズマ中で300Wで10分間の前処理されており、フォトリソグラフィカルなパターン形成されたITO基材上に形成された。すべての有機分子は、H. W. Sands Corp. (Jupiter, FL)またはLumtec Corp. (Taiwan)から高純度試薬として購入したものを、更に精製することなく受け入れた状態で使用し、一方、リン光錯体は米国仮特許出願第61/188428号に記載されたように合成した。有機積層物(The organic stack)は、減圧状態(7×10Torrを保持したまま1A/s未満で堆積した。電気的特性化の前に、Mg:Agカソード、〜100nm厚みを熱蒸発させて有機層をキャップし、Nパージしたグローブボックス内でデバイスを即座にシールした。
【実施例6】
【0052】
<エレクトロルミネセンス特性−冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)>
図8は、改良された白色有機発光ダイオード(WOLED)の一例のエレクトロルミネセンス(EL)スペクトルを示している。BCzVBiおよびPt(ptp)の相対発光強度の変化は、より高い操作バイアスまたは電流にて、エレクトロルミネセンス(EL)スペクトルおよびCIE色度座標におけるわずかな変化を生じる、より低い電流密度での蛍光体ドープ領域からリン光体ドープ層への再結合ゾーンの拡張を示している。
【0053】
図9は、この例の冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)の電流密度−電圧−輝度(J−V−L)特性を示している。デバイスは、ETL厚さにおいてシステマティックに増加すると、向上したBCzVBi発光を示している。図10は、この実施例においてTPBI厚さを替えることによる、輝度に対するCIE色座標の結果として生じる最適化を示している。好適な有機層を添加することによる、より効率的な励起子の閉じ込めおよび電荷バランスは、効率測定基準を更に最適化し得る。
【0054】
出力効率(P.E.)、発光効率(L.E.)および外部量子効率(EQE)は、以下の表1に示すように、より薄いETLの代わりの30nmの改良された白色有機発光ダイオード(WOLED)についてもより高かった。表1は、30nmのTPBIを有する白色有機発光ダイオード(WOLED)についてのデバイス特性の概要を示している。デバイス構成を図3に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
表1に示す全てのパフォーマンスパラメータの安定性は著しいものである。このように、白色有機発光ダイオード(WOLED)において〜1000cd/mの操作条件での、出力及び発光効率、CRI、および外部量子収率は、ターンオン電圧付近での低い輝度でのそれらの対応する最高値の94%、123%、95%および110%である。この安定性は、他の従来の全リン光体または蛍光体/リン光体白色有機発光ダイオード(WOLED)よりも、より良好であって、エレクトロルミネセントデバイスの通常通りに分解する三重項−三重項消滅プロセスは、本発明のPt(ptp)含有白色有機発光ダイオード(WOLED)の場合よりも、著しいものではないということを示している。
【実施例7】
【0057】
<エレクトロルミネセンス(EL)特性−暖かみのある白色有機発光ダイオード(WOLED)>
図11は、2つの異なる発光領域において単独のエミッタPt(ptp)のみを用いる、改良された白色有機発光ダイオード(WOLED)の実施例についてのエレクトロルミネセンス(EL)スペクトルの電圧に対する関係を示している。デバイス構造は、ホール輸送層としてのNBP、電子および励起子ブロック層としてのmCP、電子輸送層としてのTPBI、5%Pt(ptp)リン光ドーパントによってドープされた1つの発光層のためのホストとしてのCBP、ならびに、Pt(ptp)のみの膜からなるもう1つの発光層を有する。CRIは82までであって、そのデバイスについての優れた色安定性を有している。
【0058】
そのような暖かみのある白色有機発光ダイオード(WOLED)の色品質および/またはデバイスパフォーマンスの更なる向上は、2つの発光層においてニートの(neat)もしくはドープされた膜の厚みを変えること、2つの発光層の配置を変えること、ニート膜を、例えば30%超のドーピングレベルを有する高度にドープされた膜に置換すること、例えば1−10%程度の軽度にドープされた膜のドーピングレベルを多少変化させること、ホストをCBPから他のホストへ変えること、Mg:AgカソードをLiF/Alもしくは他の低仕事関数カソードに変えること、ならびにデバイスの発光層以外の層の材料および/もしくは厚さを変えることなどによって達成することができる。これらのストラテジーによって、デバイスパフォーマンスの向上ならびに白色座標およびCRIの微妙なチューニング(調節)が導かれる。
【実施例8】
【0059】
<デバイスの最適化−有機発光ダイオード(OLED)における単色および近白色ドーピング>
Pt(ptp)をベースとする単色、近白色および白色有機発光ダイオード(OLED)は、各デバイス層を形成する材料および/もしくは厚さを変えることによって達成し得る、デバイスにおける電荷バランスを向上させることによって部分的に最適化することができる。完全な(または十分な)最適化は時間と労力を要する作業であるが、以下の多くの例は、Pt(ptp)をベースとする種々の型の有機発光ダイオード(OLED)の構造を部分的に最適化すると、デバイスパフォーマンスを大幅に向上させることを示している。
【0060】
図12は、電子/励起子ブロック層(EBL/XBL)としてmCPの10nm薄膜を添加して、Pt(ptp)ドープしたCBPをベースとする有機発光ダイオード(OLED)のパフォーマンスの部分的最適化を行った一例についての、(a)構造および(b)出力効率と発光効率との関係を示している。この部分的最適化での、他のX%Pt(ptp):CBPドーピングレベルによって、約20−50lm/Wの出力効率が得られ、この一般的なデバイス構造を用いた大部分のデバイスは高い輝度にて非常にわずかな効率のロールオフを示した。デバイス構造の更なる最適化によって、幾分より高いパフォーマンスが予測される。
【実施例9】
【0061】
<デバイス最適化−冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)>
図13は、電子および励起子ブロック材料「mCP」の薄膜を加えることによってデバイス構成を改良すると、この例の冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)のエレクトロルミネセンス(EL)パフォーマンスが更に向上することを示している。従って、図13(b)に示す出力効率(PE)および外部量子効率(EQE)は、図3のデバイス構成と対比して、図13(a)のデバイス構成を用いる部分的最適化によってほぼ倍増した。
【0062】
そのような冷たい白色有機発光ダイオード(WOLED)のデバイスパフォーマンスおよび/もしくは色品質の更なる向上は、濃青色フルオロフォア層(deep-blue fluorophore layers)のドーピングレベルもしくは材料を変えること、CBPホスト中のPt(ptp)のドーピングレベルを変えること、ドープしたPt(ptp):CBP膜をPt(ptp)のみの膜に置換すること、蛍光体もしくはリン光体膜の厚みを変えること、共通のホストをCBPから他のホストへ変えること、Mg:AgカソードをLiF/Alにまたは他の低仕事関数カソードに変えること、ならびにデバイスにおける発光層以外の層の材料および/もしくは厚みを変えることなどによって達成することができる。
これらのストラテジーによって、Pt(ptp)をベースとする他の型の有機発光ダイオード(OLED)について以下に示すように、デバイスパフォーマンスの向上ならびに白色座標およびCRIの微妙なチューニング(調節)が導かれる。
【実施例10】
【0063】
<デバイス最適化−暖かみのある白色有機発光ダイオード(WOLED)>
1つもしくは2つの発光層におけるシングルエミッタとしてのPt(ptp)をベースとする暖かみのある白色有機発光ダイオード(WOLED)は、デバイス構造を変化させることによって最適化することができる。図14−15は、Pt(ptp)のみの単独発光層をベースとするデバイスについての最適化の2つの例を示している。同じ原理が、2つの発光層におけるシングルエミッタとしてのPt(ptp)をベースとする、CRIを有する暖かみのある白色有機発光ダイオード(WOLED)にも当てはまる。図14は、Pt(ptp)のみの発光層をベースとする部分的に最適化された有機発光ダイオード(OLED)について出力効率および外部量子効率(EQE)をプロットしたものを示している。部分的最適化は、ホール輸送層をNPBからTPACに変え、および電子輸送材料をTPBIからTPYMBに変えてベースラインデバイス構造を改良することによって、達成された。ニート膜をベースとするデバイスは、HTLとしてのNPBおよびETLとしてのTPBIを有するベースライン構造においてむしろ非効率的(〜3lm/W)であるが、別の材料を用いることによってデバイスの電荷バランスを向上させると、出力効率において桁違いの向上が達成されている。
【0064】
図15は、Pt(ptp)のみの発光層の厚みを変えることによる、シングル発光層から形成された有機発光ダイオード(OLED)の色チューニングを示している。図15は、以下に示す表2に示すような、厚みに対する最大半値を有する規格化されたエレクトロルミネセンス(EL)強度の波長に対する関係を示している。
【0065】
【表2】

【0066】
このように、ピーク最大値および半値全幅は、発光層の厚みを変えることによって制御することができる。色座標およびデバイス効率における更なる改良は、上述した同じストラテジーに従うことによって達成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式として[M(NΛN)]を有し、
式中、Mは金属中心、NΛNは二座アニオン配位子であり、
前記金属中心に対して2つの同一の前記二座アニオン配位子が配位しているホモレプティック平面正方形錯体。
【請求項2】
1つ以上の発光層を有し、
前記発光層の少なくとも1つは請求項1に記載のホモレプティック平面正方形錯体を含むことを特徴とする有機発光ダイオード(OLEDs)。
【請求項3】
請求項1に記載のホモレプティック平面正方形錯体を含むことを特徴とする有機薄膜トランジスター(OTFTs)。
【請求項4】
前記有機薄膜トランジスタ(OTFTs)がn型有機薄膜トランジスタ(OTFTs)であることを特徴とする請求項3に記載の有機薄膜トランジスター(OTFTs)。
【請求項5】
請求項3に記載の有機薄膜トランジスター(OTFTs)を含むことを特徴とする相補型金属酸化物半導体(CMOS)デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のホモレプティック平面正方形錯体を含むセンサーであって、
前記センサーは、温度、圧力、金属イオンまたはpH用のセンサーであることを特徴とするセンサー。
【請求項7】
ホモレプティック平面正方形錯体は、トリアゾレートの二座平面正方形錯体を含むことを特徴とする請求項1に記載のホモレプティック平面正方形錯体。
【請求項8】
白色発光ダイオード(WOLEDs)を製造する方法であって、
1つ以上の発光層に、請求項1に記載のホモレプティック平面正方形錯体を所定量ドープする工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項9】
一般式として
【化1】

を有し、
式中、MはPt、PdもしくはNiであり、Rはピリジル、CF、F、Cl、Br、COOR’、NO、CN、H、n−アルキル、ビピリジン(bpy)もしくはチオフェンである、トリアゾレートの二座平面正方形錯体。
【請求項10】
Mは白金であり、Rはピリジルであることを特徴とする請求項9に記載のトリアゾレートの二座平面正方形錯体。
【請求項11】
1つ以上の発光層を有し、
前記発光層の少なくとも1つは請求項9に記載のトリアゾレートの二座平面正方形錯体を含むことを特徴とする白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項12】
前記1つ以上の発光層は、ホスト材料を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項13】
前記ホスト材料は、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−2,2’−ジメチル−ビフェニル(CDBP)、N,N’−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン(mCP)、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)またはそれらの組合せを含むことを特徴とする請求項12に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項14】
請求項9に記載のトリアゾレートの二座平面正方形錯体は、前記1つ以上の発光層の前記ホスト材料に、層ごとに異なる量でドープされていることを特徴とする請求項12に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項15】
前記1つ以上の発光層はホスト材料を含み、
前記発光層の少なくとも1つは請求項9に記載のトリアゾレートの二座平面正方形錯体のみからなることを特徴とする請求項11に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項16】
前記1つ以上の発光層は、1つ以上の追加の蛍光またはリン光発光材料を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項17】
請求項9に記載のトリアゾレートの二座平面正方形錯体と、1つ以上の追加の蛍光またはリン光発光材料とが、少なくとも1つの発光層内に一緒に存在することを特徴とする請求項16に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項18】
前記発光層の少なくとも1つは、1つ以上の追加の蛍光またはリン光発光材料によってドープされたホスト材料を含み、
前記発光層の少なくとも1つは請求項9に記載のトリアゾレートの二座平面正方形錯体のみからなることを特徴とする請求項16に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項19】
白色発光ダイオード(WOLEDs)を製造する方法であって、
1つ以上の発光層に、請求項9に記載のトリアゾレートの二座平面正方形錯体を所定量ドープする工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項20】
濃青色蛍光ドーパントを含む2つの濃青色蛍光発光層と、
ビス[3,5−ビス(2−ピリジリル)−1,2,4−トリアゾラト]白金(II)(Pt(ptp))を含む黄色リン光発光層とを含み、
前記黄色リン光発光層は、2つの濃青色蛍光発光層の間に設けられていることを特徴とする白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項21】
前記2つの濃青色蛍光および前記黄色リン光発光層は、ホスト材料を更に含むことを特徴とする請求項20に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項22】
前記ホスト材料は、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−2,2’−ジメチル−ビフェニル(CDBP)、N,N’−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン(mCP)、4,4’,4”−トリス(Ν−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)またはそれらの組合せを含むことを特徴とする請求項21に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項23】
濃青色蛍光ドーパントは、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)であることを特徴とする請求項20に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項24】
1つ以上のアンドープのスペーサ層を更に含むことを特徴とする請求項20に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項25】
1つ以上のホール輸送層を更に含むことを特徴とする請求項20に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項26】
前記1つ以上のホール輸送層は、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル−4,4”−ジアミン(ΝPB)、N,N’−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン(mCP)、1,1−ビス−(4− ビス(4−メチル−フェニル)−アミノ−フェニル)−シクロヘキサン(TPAC)またはそれらの組合せを含むことを特徴とする請求項25に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項27】
1つ以上の電子輸送層を更に含むことを特徴とする請求項20に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項28】
1つ以上の電子輸送層は、1,3,5−トリス(フェニル−2−ベンズイミダゾリル)−ベンゼン(TPBI)、トリス(2,4,6−トリメチル−3−(ピリジン−3−イル)フェニル)ボラン(3TPYMBまたはTPYMB)、1,3,5−トリス(m−ピリド−3−イル−フェニル)ベンゼン(TmPyPB)、1,3,5−トリス(p−ピリド−3−イル−フェニル)ベンゼン(TpPyPB)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BPhen)またはそれらの組合せを含むことを特徴とする請求項27に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項29】
ビス[3,5−ビス(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾラト]白金(II)(Pt(ptp))のみからなる少なくとも1つの発光層を含むことを特徴とする白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項30】
ビス[3,5−ビス(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾレート]白金(II)(Pt(ptp))とホスト材料とを含んでいる少なくとも1つの発光層を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項31】
前記ホスト材料が、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−2,2’−ジメチル−ビフェニル(CDBP)、N,N’−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン(mCP)、4,4’,4”−トリス(Ν−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)またはそれらの組合せを含むことを特徴とする請求項30に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項32】
1つ以上のホール輸送層を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項33】
前記1つ以上のホール輸送層は、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチル)−1,1’−ビフェニル−4,4”−ジアミン(NPB)を含むことを特徴とする請求項32に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項34】
1つ以上の電子輸送層を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項35】
前記1つ以上の電子輸送層は、1,3,5−トリス(フェニル−2−ベンズイミダゾリル)−ベンゼン(TPBI)を含むことを特徴とする請求項34に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項36】
1つ以上の電子および励起子ブロッキング層を更に含むことを特徴とする請求項29に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項37】
前記1つ以上の電子および励起子ブロッキング層は、N,N’−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン(mCP)を含むことを特徴とする請求項36に記載の白色発光ダイオード(WOLEDs)。
【請求項38】
白色発光ダイオード(WOLEDs)を合成する方法であって、
濃青色蛍光ドーパントを含む第1の濃青色蛍光発光層を堆積する工程と、
ビス[3,5−ビス(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾラト]白金(II)(Pt(ptp))を含む黄色リン光発光層を堆積する工程と、
濃青色蛍光ドーパントを含む第2の濃青色蛍光発光層を堆積する工程とを含み、
前記黄色リン光発光層は、2つの濃青色蛍光発光層の間に設けられていることを特徴とする合成方法。
【請求項39】
色発光ダイオード(WOLEDs)を合成する方法であって、
ビス[3,5−ビス(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾラト]白金(II)(Pt(ptp))のみからなる発光層を堆積する工程を含むことを特徴とする合成方法。
【請求項40】
ビス[3,5−ビス(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾラト]白金(II)(Pt(ptp))とホスト材料とを含んでいる少なくとも1つの発光層を堆積する工程を更に含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2011−530510(P2011−530510A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522086(P2011−522086)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/049938
【国際公開番号】WO2010/016990
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(511033232)ユニバーシティ・オブ・ノース・テキサス (1)
【氏名又は名称原語表記】University of North Texas
【Fターム(参考)】