説明

ホルダーガード

【課題】農作業機の回転軸の爪ホルダー部の磨耗を防止できるホルダーガードを提供する。
【解決手段】ホルダーガード51は、回転軸31の爪ホルダー部33に脱着可能に取り付ける取付部52を備える。取付部52には、土付着部50に付着した土をその土付着部50から剥離する土落し部53を設ける。取付部52は、爪ホルダー部33の回転方向前面を覆う前面覆い板部である第1覆い板部分61を有する。取付部52は、爪取付用のボルト36およびナット37によって爪ホルダー部33に爪35とともに取り付けることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機の回転軸の爪ホルダー部の磨耗を防止するためのホルダーガードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された農作業機である畦塗り機が知られている。
【0003】
この従来の畦塗り機は、トラクタ等の走行車に連結される機体と、この機体に回転可能に設けられ田面および元畦の土を耕耘して盛り上げる盛土体(ロータリ)と、機体に回転可能に設けられ盛土体による盛土を締め固めて新たな畦(新畦)を形成する畦形成体と、盛土体の前方で元畦の畦上面を前処理する前処理体とを備えている。
【0004】
そして、図19に示されるように、この畦塗り機の盛土体1は、回転軸2を備え、この回転軸2の各爪ホルダー部3に盛土用の爪(耕耘爪)4が脱着可能に取り付けられている。また、これら複数の爪4は、所定形状のカバー部材(ロータリカバー)5にて覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−45995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の畦塗り機(農作業機)の場合、例えばカバー部材5の内面に付着した土が、回転軸2の爪ホルダー部3の板部3aに接触するため、その爪ホルダー部3の板部3aが土で擦られて磨耗するおそれがある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、農作業機の回転軸の爪ホルダー部の磨耗を防止することができるホルダーガードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のホルダーガードは、農作業機の回転軸の爪ホルダー部の磨耗を防止するためのホルダーガードであって、前記爪ホルダー部に脱着可能に取り付けられる取付部と、土付着部に付着した土をその土付着部から剥離する土落し部とを備えるものである。
【0009】
請求項2記載のホルダーガードは、請求項1記載のホルダーガードにおいて、取付部は、爪ホルダー部の回転方向前面を覆う前面覆い板部を有するものである。
【0010】
請求項3記載のホルダーガードは、請求項1または2記載のホルダーガードにおいて、取付部は、爪取付用のボルトおよびナットによって、爪ホルダー部に爪とともに取り付けられるものである。
【0011】
請求項4記載のホルダーガードは、請求項1ないし3のいずれか一記載のホルダーガードにおいて、土落し部によって土付着部から剥離された土が通る土通し用孔部を備えるものである。
【0012】
請求項5記載のホルダーガードは、請求項4記載のホルダーガードにおいて、土落し部がコ字状に形成されているものである。
【0013】
請求項6記載のホルダーガードは、請求項5記載のホルダーガードにおいて、コ字状の土落し部は、農作業機の回転軸の軸方向に沿って位置する1対の長手状部分と、これら両長手状部分の端部同士を連結する連結部分とを有するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、農作業機の回転軸の爪ホルダー部に脱着可能に取り付けられる取付部と、土付着部に付着した土をその土付着部から剥離する土落し部とを備えるため、農作業機の回転軸の爪ホルダー部の磨耗を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るホルダーガードを具備した農作業機である畦塗り機の前進作業時の平面図である。
【図2】同上畦塗り機の非作業時の平面図である。
【図3】同上畦塗り機の後進作業時の平面図である。
【図4】同上畦塗り機の部分平面図である。
【図5】同上畦塗り機の要部斜視図である。
【図6】同上畦塗り機が具備したホルダーガードの平面図である。
【図7】同上ホルダーガードの斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るホルダーガードの平面図である。
【図9】同上ホルダーガードの斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るホルダーガードの平面図である。
【図11】同上ホルダーガードの正面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係るホルダーガードの平面図である。
【図13】同上ホルダーガードの斜視図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係るホルダーガードの斜視図である。
【図15】本発明の第6の実施の形態に係るホルダーガードの斜視図である。
【図16】本発明の第7の実施の形態に係るホルダーガードの平面図である。
【図17】同上ホルダーガードの斜視図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態に係るホルダーガードを具備した農作業機である耕耘作業機を示す図である。
【図19】従来の畦塗り機の部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図7を参照して説明する。
【0017】
図1ないし図3において、11は農作業機である畦塗り機で、この畦塗り機11は、例えば図示しない走行車であるトラクタの後部に連結して使用するものである。
【0018】
畦塗り機11は、前進作業時には、トラクタの後部に連結された状態で、トラクタの前進走行により進行方向(前方)に向かって移動しながら畦塗り作業(畦修復作業)をする(図1参照)。また、畦塗り機11は、圃場の隅部での後進作業時(バック作業時)には、トラクタの後部に連結された状態で、トラクタの後進走行(バック走行)により進行方向(後方)に向かって移動しながら畦塗り作業をする(図3参照)。なお、畦塗り機11は、一の圃場から他の圃場への移動の際等の非作業時には、トラクタの後部に連結された状態で、トラクタの後方に位置するように格納される(図2参照)。
【0019】
畦塗り機11は、図1ないし図3等に示されるように、トラクタの後部に脱着可能に連結される機体12と、機体12に回転可能に設けられ所定方向(図5に示す回転方向)に回転しながら田面および元畦の土を耕耘して盛り上げる盛土体(ロータリ)13と、機体12に回転可能に設けられ盛土体13の進行方向後方で所定方向に回転しながら盛土体13による盛土を締め固めて新たな畦(新畦)を形成する畦形成体(ディスク)14と、盛土体13の進行方向前方で元畦の畦上面を前処理、すなわち例えば雑草除去のために元畦の畦上面の土を耕耘して削る前処理体である上面削り体15とを備えている。
【0020】
機体12は、トラクタの後部に脱着可能に連結される固定機枠16と、この固定機枠16に対して可動可能で、図1に示す前進作業状態、図2に示す非作業状態および図3に示す後進作業状態となる可動機枠17と、この可動機枠17を固定機枠16に対して可動させる駆動手段であるシリンダ18,19とを有している。可動機枠17によって、盛土体13、畦形成体14および上面削り体15が回転可能に支持されている。
【0021】
固定機枠16は、軸支持部20を有し、この軸支持部20にて入力軸21が回転可能に支持されている。入力軸21には、トラクタのPTO軸がジョイント等を介して接続される。なお、盛土体13、畦形成体14および上面削り体15は、入力軸21側からの動力によって所定方向に駆動回転するようになっている。
【0022】
畦形成体14は、機体12の可動機枠17にて回転可能に支持された回転軸23と、この回転軸23とともに回転しながら盛土体13の進行方向後方で盛土体13による盛土を締め固めて傾斜状の畦側面を形成する截頭円錐状の畦側面形成部材(側面ローラ)24と、回転軸23とともに回転しながら盛土体13の進行方向後方で盛土体13による盛土を締め固めて水平状の畦上面を形成する円筒状の畦上面形成部材(上面ローラ)25とを有している。
【0023】
上面削り体15は、機体12の可動機枠17の軸支持部27にて回転可能に支持された回転軸28と、この回転軸28とともに回転しながら盛土体13の進行方向前方で元畦の畦上面を前処理する複数本の上面削り爪29とを有している。
【0024】
盛土体13は、図4ないし図7等にも示されるように、機体12の可動機枠17の円筒状の軸支持部(ボス部)30にて回転可能に水平状に支持され入力軸21側からの動力によって前後方向の回転中心軸線Xを中心として所定方向(図5に示す回転方向)に回転する回転軸(爪ホルダー部付き回転軸)31と、この回転軸31とともに回転しながら田面および元畦の土を耕耘して元畦上に盛り上げる複数本の爪(耕耘爪)35とを有している。
【0025】
各爪35は、例えば周知のもので、湾曲した細長い板形状をなすものであり、その基端部にはボルト用孔部が形成されている。また、これら複数本の爪35は、爪35にて切削された土を元畦上に向けて誘導案内するとともにその土の飛散を防止する所定形状のカバー部材(ロータリカバー)34にて覆われている。なお、図6および図7は、爪35の記載を省略した図である(後述する図8等も同様)。
【0026】
回転軸31は、断面円形状の丸軸からなる回転軸本体部32と、この回転軸本体部32の円筒面状の外周面における軸方向に間隔をおいた複数箇所に溶接等により一体的に固設された筒状の爪ホルダー部33とを有している。なお、回転軸本体部32と爪ホルダー部33とを一体に設けたものでもよい。
【0027】
そして、各爪ホルダー部33には、土を耕耘する所定形状の耕耘爪である爪35が爪取付手段である爪取付用のボルト36およびナット37によって脱着可能に取り付けられている。ボルト36は、例えば6角形状の頭部36aと、外周面にねじ溝が形成された丸軸状の軸部36bとにて構成されている。
【0028】
ここで、爪ホルダー部33は、矩形状の先端面開口40によって回転軸31の径方向外方(回転中心軸線Xに対して直交する方向)に向かって開口する4角筒状のものである。つまり、爪ホルダー部33は、回転方向前側の第1板部分(回転方向前板)41と、第1板部分41と離間対向する回転方向後側の第2板部分(回転方向後板)42と、これら第1板部分41および第2板部分42の一方側(軸支持部30側)の端部同士を連結する第3板部分43と、この第3板部分43と離間対向し第1板部分41および第2板部分42の他方側(軸支軸部30側とは反対側)の端部同士を連結する第4板部分44とを有している。また、第3板部分43には6角形状の頭部用孔部45が形成され、この頭部用孔部45にボルト36の頭部36aが嵌脱可能に嵌入されている。第4板部分44には円形状の軸部用孔部46が形成され、この軸部用孔部46にボルト36の軸部36bが挿通されている。
【0029】
そして、回転軸31が有する複数の爪ホルダー部33のうち、例えば回転軸31の軸支持部30側の端部に位置する2つの爪ホルダー部33には、土との接触による爪ホルダー部33の磨耗を防止するためのホルダーガード51が、爪取付用のボルト36およびナット37によって、爪35とともに脱着可能に取り付けられている。
【0030】
ホルダーガード51は、ボルト36およびナット37によって回転軸31の爪ホルダー部33に爪35とともに脱着可能に取り付けられた取付部52と、この取付部52の回転方向前側に固定的に設けられ可動機枠17の土付着部50に付着した土をその土付着部50から掻き取るようにして剥離する土落し部53と、この土落し部53によって土付着部50から剥離された土が通る矩形状の土逃がし用空間部である土通し用孔部54とを備えている。
【0031】
土付着部50は、爪35の周囲を覆うカバー部材34の略半円形状の板部(爪と対向する壁面部)55と、回転軸31の回転軸本体部32を回転可能に支持する軸支持部30の円筒面状の外周面部56とにて構成されている。なお、軸支持部30は、例えばボールベアリング等にて構成されている。
【0032】
カバー部材34の鉛直面状の板部(爪対向板部)55は、回転軸31の軸支持部30側の端部に位置する爪ホルダー部33に取り付けられた爪35と近接して対向している。この板部55の上側の縁部には湾曲板部57が取り付けられ、この湾曲板部57には板部55と離間対向する対向板部58が取り付けられている。また、軸支持部30の円筒面状の外周面部56の端部にはフランジ部59が突設され、このフランジ部59がボルト等の取付具(図示せず)にて被取付部に取り付けられている。
【0033】
取付部52は、例えば爪ホルダー部33の4つの側面すべてを覆うもので、両端面開口状の4角筒状に形成され、爪ホルダー部33の外周側に嵌合されている。この取付部52は、爪ホルダー部33の第1板部分41の外面を覆う矩形板状の第1覆い板部分61と、爪ホルダー部33の第2板部分42の外面を覆う矩形板状の第2覆い板部分62と、爪ホルダー部33の第3板部分43の外面を覆う矩形板状の第3覆い板部分63と、爪ホルダー部33の第4板部分44の外面を覆う矩形板状の第4覆い板部分64とを有している。
【0034】
第1覆い板部分61と第3覆い板部分63とが、断面L字状となるように中間の一箇所で直角に折り曲げられた1枚の折曲板部材68にて構成されている。同様に、第2覆い板部分62と第4覆い板部分64とが、断面L字状となるように中間の一箇所で直角に折り曲げられた1枚の折曲板部材69にて構成されている。
【0035】
なお、取付部52の第1覆い板部分61が、爪ホルダー部33の回転方向前面の全体を覆う前面覆い板部である。そして、この前面覆い板部である第1覆い板部分61にて爪ホルダー部33の回転方向前面の全体が覆われているため、回転軸31の回転時に土が爪ホルダー部33に直接接触しない。
【0036】
また、第3覆い板部分63は、土付着部50の板部55と離間対向して平行状に位置している。この第3覆い板部分63には、ボルト36の頭部36aが通過可能な大きさの円形状の孔部65が形成されている。第4覆い板部分64には円形状の軸部用孔部66が形成され、この軸部用孔部66にボルト36の軸部36bが挿通されている。
【0037】
そして、頭部36aが爪ホルダー部33の第3板部分43の頭部用孔部45に回転不能に嵌入されかつ軸部36bが爪35のボルト用孔部(図示せず)と爪ホルダー部33の第4板部分44の軸部用孔部46と取付部52の第4覆い板部分64の軸部用孔部66とに挿通された状態のボルト36に対して、ナット37が螺合されて締め付けられることにより、爪35の基端部(取付部)およびホルダーガード51の取付部52が爪ホルダー部33に共締めにより取り付けられている。なお、ナット37と第4覆い板部分64との間には、座金38を介在させる。
【0038】
また、取付部52は、回転軸31の回転時に土との接触により爪ホルダー部33の代わりに磨耗する磨耗部分(爪ホルダー部磨耗防止部)70を有している。磨耗部分70は、第1覆い板部分61の第3覆い板部分63側の端部(土落し部53にて覆われている部分を除く)にて構成されている。つまり、磨耗部分70は、折曲板部材68の折曲部分68aにて構成されている。そして、取付部52が磨耗部分70を有するため、回転軸31の回転時において土が爪ホルダー部33の第3板部分43に直接当たらないようになっている。なお、図7において斜線を施した部分が、磨耗部分70である。
【0039】
土落し部53は、例えば細長い平板部材にて構成されたもので、コ字状(略コ字状を含む)に形成されている。土落し部53は、取付部52の第1覆い板部分61の外面(爪ホルダー部33の回転方向前面)にその一部が重なり合うようにして固設され、その取付部52の第1覆い板部分61からカバー部材34の板部55側に向かって突出している。そして、取付部52の磨耗部分70と土落し部53とにて、略正方形状の土通し用孔部54が区画形成されている。
【0040】
また、このコ字状の土落し部53は、盛土体13の回転軸31の軸方向(回転中心軸線X)に沿って位置する細長平板状の1対の長手状部分71,72と、これら両長手状部分71,72の先端部同士を連結する細長平板状の連結部分73とにて構成されている。両長手状部分71,72の基端部が、取付部52の第1覆い板部分61の外面に固設されている。
【0041】
爪ホルダー部33の先端側に位置する長手状部分71の幅寸法(短手方向長さ寸法)は、爪ホルダー部33の基端側に位置する長手状部分72の幅寸法(短手方向長さ寸法)よりも大きく、連結部分73の幅寸法(短手方向長さ寸法)と同じである。
【0042】
このように爪ホルダー部33の先端側に位置する長手状部分71を爪ホルダー部33の基端側に位置する長手状部分72よりも幅広にする理由は、爪35が板部55側を向いているので、板部55に付着した土が徐々に回転軸31側に押し込まれることとなり、長手状部分71にてその土を常時掻き落さなければならず、その長手状部分71が長手状部分72よりも磨耗し易いからである。
【0043】
なお、例えば長手状部分72の幅寸法が長手状部分71の幅寸法よりも大きく連結部分73の幅寸法と同じである構成や、各部分71,72,73の幅寸法がいずれも同じである構成等でもよい。
【0044】
そして、連結部分73は、回転軸31の回転時に、カバー部材34の板部(カバー板部)55に付着した土と接触してその土を板部55から剥離する。つまり、連結部分73は、板部55の内面の付着土を削ぎ落とす。また、軸支持部30側の長手状部分72は、回転軸31の回転時に、軸支持部30の外周面部56に付着した土と接触してその土を外周面部56から剥離する。つまり、長手状部分72は、外周面部56の付着土を削ぎ落とす。
【0045】
次に、畦塗り機11の作用等を説明する。
【0046】
トラクタの前進走行により畦塗り機11が進行方向に向かって移動すると、上面削り体15にて元畦の畦上面が前処理され、盛土体13にて田面および元畦の土が耕耘されて盛り上げられ、畦形成体14にてその盛土が締め固められて新畦が形成される。
【0047】
このとき、盛土体13の回転軸31は、爪35およびホルダーガード51とともに所定の回転方向に向かって回転する。
【0048】
すると、ホルダーガード51の土落し部53が、板部55および外周面部56からなる土付着部50に付着した土をその土付着部50から掻き取って剥離し、この剥離された土が、土通し用孔部54を通って圃場上に落下していく。
【0049】
つまり、土落し部53の連結部分73が土付着部50の板部55の付着土を掻き落とし、かつ、土落し部53の長手状部分72が土付着部50の外周面部56の付着土を掻き落とす。その結果、図19に示す従来の場合とは異なり、土付着部50に土が付着して成長して固まってしまうようなことがない。
【0050】
そして、このようなホルダーガード51によれば、畦塗り機11の盛土体13の回転軸31の爪ホルダー部33に脱着可能に取り付けられる取付部52と、この取付部52に設けられた土落し部53とを備えるため、回転軸31の爪ホルダー部33の磨耗を防止できる。よって、爪ホルダー部33の磨耗によって高価な回転軸31を交換しなければならない事態が生じるのを防止できる。
【0051】
また、取付部52は、爪ホルダー部33の回転方向前面を覆う前面覆い板部である第1覆い板部分61を有するため、回転軸31の回転時に土が爪ホルダー部33に直接接触せず、爪ホルダー部33の磨耗を適切に防止できる。
【0052】
さらに、取付部52を爪取付用のボルト36およびナット37によって爪ホルダー部33に爪35とともに取り付けることができるため、取付部52をホルダーガード専用の取付部材によって爪ホルダー部33に取り付ける構成に比べて、部品点数を少なくでき、コスト低減を図ることができる。
【0053】
また、土落し部53にて土付着部50から離された土が通る土通し用孔部54を備えるため、土の流れがスムーズとなり、回転軸31の回転抵抗が小さくなり、省エネ化を図ることができる。
【0054】
さらに、土落し部53がコ字状に形成されているため、十分な強度を確保でき、爪ホルダー部33の磨耗を適切かつ効果的に防止できる。
【0055】
また、取付部52の磨耗部分70が磨耗して交換が必要となったとしても、ホルダーガード51を容易に交換でき、その交換費用も回転軸31自体を交換する場合に比べて安価である。
【0056】
さらに、ホルダーガード51によって、草等の雑物が軸支持部30の外周側に巻き付くことや土が軸支持部30の内部に浸入すること等も防止できる。
【0057】
図8および図9には、本発明の第2の実施の形態が示されている。
【0058】
図8および図9に示されるように、ホルダーガード51の取付部52は、平面視U字状で、第2覆い板部分62を有しないものでもよい。なお、図9において斜線を施した部分が磨耗部分70である。
【0059】
図10および図11には、本発明の第3の実施の形態が示されている。
【0060】
図10および図11に示されるように、ホルダーガード51の取付部52は、平面視L字状で、第2覆い板部分62および第3覆い板部分63を有しないものでもよい。つまり、取付部52は、少なくとも、ボルト36に対するナット37の締め付けによりナット37と爪ホルダー部33との間で挟持される取付板部である第4覆い板部分64と、この第4覆い板部分64に設けられ爪ホルダー部33の第1板部分41の外面(爪ホルダー部33の回転方向前面)を覆う前面覆い板部である第1覆い板部分61とを有するものであればよい。また、土落し部53は、第1覆い板部分61の側縁に連続するように一体に連設されたものでもよい。
【0061】
そして、この第3の実施の形態に係るホルダーガード51は、中間の一箇所で直角に折り曲げられた1枚の折曲板部材のみで構成されており、きわめて安価に製造できる。なお、図11において斜線を施した部分が磨耗部分70である。
【0062】
図12および図13には、本発明の第4の実施の形態が示されている。
【0063】
図12および図13に示されるように、ホルダーガード51の土落し部53は、平板部材でなく、コ字状に折り曲げた丸棒部材にて構成してもよい。なお、図13において斜線を施した部分が磨耗部分70である。例えば図示しないが、土落し部53を角棒部材で構成してもよい。しかも、図14に示す第5の実施の形態のようにL字状の土落し部53でもよく、図15に示す第6の実施の形態のように真っ直ぐな直線状の土落し部53でもよい。
【0064】
図16および図17には、本発明の第7の実施の形態が示されている。
【0065】
図16および図17に示されるように、ホルダーガード51の取付部52は、第2覆い板部分62および第4覆い板部分64を有しないものでもよい。なお、図17において斜線を施した部分が磨耗部分70である。また、この図16および図17に示す爪ホルダー部33は、図6に示すものとは異なり、第4板部分44に6角形状の頭部用孔部45が形成され、第3板部分43に円形状の軸部用孔部46が形成されている。
【0066】
なお、上記各実施の形態では、ホルダーガード51を畦塗り機11の盛土体13の回転軸31の爪ホルダー部33に取り付けた場合について説明したが、例えば図18に示すように、農作業機である耕耘作業機81の回転軸31の爪ホルダー部33に取り付けて使用することも可能である。
【0067】
この耕耘作業機(ロータリー作業機)81は、トラクタの後部に脱着可能に連結される機体82と、機体82のチェーンケース部83およびブラケット部84にて回転可能に支持され入力軸86側からの動力で所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体85と、この耕耘体85の後方で整地作業をする整地体(図示せず)とを備えている。
【0068】
耕耘体85は、入力軸86側からの動力によって所定の回転方向に向かって回転する回転軸(爪ホルダー部付き回転軸)31と、この回転軸31とともに回転しながら圃場の土を耕耘する複数本の爪(耕耘爪)35とを有している。
【0069】
回転軸31の一端部はチェーンケース部83の下部の軸支持部(ボス部)30にて回転可能に支持され、回転軸31の他端部はブラケット部84の下部の軸支持部(ボス部)30を介して回転可能に支持されている。
【0070】
そして、回転軸31が有する複数の爪ホルダー部33のうち、例えば回転軸31の左右両端部に位置する爪ホルダー部33にホルダーガード51がボルト36およびナット37によって爪35とともに脱着可能に取り付けられている。
【0071】
左側のホルダーガード51は、チェーンケース部83の内側板部83aと左側の軸支持部30の外周面部56とにて構成された土付着部50に付着した土をその土付着部50から剥離する土落し部53を有している。また、右側のホルダーガード51は、ブラケット部84と右側の軸支持部30の外周面部56とにて構成された土付着部50に付着した土をその土付着部50から剥離する土落し部53を有している。
【0072】
そして、このような耕耘作業機81にホルダーガード51を使用した場合でも、回転軸31の爪ホルダー部33の磨耗を防止でき、よって爪ホルダー部33の磨耗によって高価な回転軸31を交換しなければならない事態が生じるのを防止できる。なお図示しないが、畦塗り機11や耕耘作業機81以外に、代掻き機或いは溝堀機等の各種の農作業機に適用可能である。
【0073】
なお、各実施の形態を適宜組み合わせるようにしてもよい。
【0074】
また、いずれの実施の形態においても、土落し部53が取付部52に溶接等により一体的に固設された構成には限定されず、例えば取付部52と土落し部53とをプレス加工等により一体形成した構成等でもよい。
【0075】
さらに、例えば取付部52に取付部である土落し部取付孔部を形成し、この土落し部取付孔部に土落し部53を脱着可能に取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
11 農作業機である畦塗り機
31 回転軸
33 爪ホルダー部
35 爪
36 爪取付用のボルト
37 爪取付用のナット
50 土付着部
51 ホルダーガード
52 取付部
53 土落し部
54 土通し用孔部
61 前面覆い板部である第1覆い板部分
71,72 長手状部分
73 連結部分
81 農作業機である耕耘作業機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作業機の回転軸の爪ホルダー部の磨耗を防止するためのホルダーガードであって、
前記爪ホルダー部に脱着可能に取り付けられる取付部と、
土付着部に付着した土をその土付着部から剥離する土落し部と
を備えることを特徴とするホルダーガード。
【請求項2】
取付部は、爪ホルダー部の回転方向前面を覆う前面覆い板部を有する
ことを特徴とする請求項1記載のホルダーガード。
【請求項3】
取付部は、爪取付用のボルトおよびナットによって、爪ホルダー部に爪とともに取り付けられる
ことを特徴とする請求項1または2記載のホルダーガード。
【請求項4】
土落し部によって土付着部から剥離された土が通る土通し用孔部を備える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のホルダーガード。
【請求項5】
土落し部がコ字状に形成されている
ことを特徴とする請求項4記載のホルダーガード。
【請求項6】
コ字状の土落し部は、
農作業機の回転軸の軸方向に沿って位置する1対の長手状部分と、
これら両長手状部分の端部同士を連結する連結部分とを有する
ことを特徴とする請求項5記載のホルダーガード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−78278(P2013−78278A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219795(P2011−219795)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】