説明

ホルダー

【課題】湯戻しされる即席乾燥食品や電子レンジ加熱調理用の食品を収容する包装袋を安定的に支持可能であると共に、湯戻し用のお湯や食材を簡便に包装袋に注入することが可能なホルダーを提供する。
【解決手段】湯戻しされる即席乾燥具材や電子レンジ加熱調理用の食品が収容されると共に、開封部51から湯や食材が注入可能に形成される包装袋5を支持するホルダー1であって、包装袋5が挿入される上端開口部21を有し、開封部51を上に向けて包装袋5を立てた状態で保持する筒状部材2を備えており、上端開口部21の平面視における最大径は、包装袋5が筒状部材2に保持された場合の上端開口部21に対応する位置の包装袋5の幅よりも小さくなるように形成されているホルダー1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルダー、特に、湯戻しされる即席乾燥食品や電子レンジで加熱調理される食品が収容されると共に、開封部から湯や食材が注入可能に形成される包装袋を支持するホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装袋の内部に液状のカレーのルーやスープ、シチュー等の種々の食品が収容されたレトルト食品が知られている。このようなレトルト食品を温める場合、お湯の中に包装袋を所定時間浸漬させたり、電子レンジで加熱すること等により行われる(例えば、特許文献1等)。
【0003】
また、包装袋の内部に即席乾燥具材を収容した食品の開発も行われてきている。このような食品を喫食できる状態にするには、包装袋の上部を開封して開封部を形成し、この開封部から湯戻し用のお湯を包装袋内部に注入することにより行われる。
【特許文献1】特開2005−112428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した包装袋に収容されている即席乾燥具材の湯戻しを行う場合、一方の手で包装袋の開封部を広げながら、他方の手で薬缶やポットを操作してお湯を包装袋に注入することになるが、このような動作は行いにくく面倒であるという問題があった。
【0005】
また、開封部を開いて包装袋を立てた状態で台等に載置し、その後、お湯を包装袋内に注入する場合には、お湯の注入作業の途中で包装袋の開封部が閉じる方向に開口状態が変化してしまい、お湯を包装袋に注入することが難しいという問題や、お湯の注入作業の途中で包装袋がバランスを崩して倒れてしまうという問題もあった。したがって、包装袋を立てた状態で載置した後にお湯を包装袋内に注入する場合であっても、一方の手で包装袋が倒れないように支持したり、開封部が良好に開口するように当該開封部を広げておく必要がある。
【0006】
この他、包装袋の中に食材が入れられていて、開封後に電子レンジで加熱調理するような製品の開発も行われてきたが、包装袋内に新たに食材や湯、水を追加する場合に注入しづらかったり、電子レンジ加熱調理時に安定性がなくなり、包装袋が転倒するような問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、湯戻しされる即席乾燥食品や電子レンジ加熱調理用の食品を収容する包装袋を安定的に支持可能であると共に、調理用の食材や湯戻し用のお湯を簡便に包装袋に注入することが可能なホルダーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、食品が収容されると共に、開封部から湯又は食材が注入可能に形成される包装袋を支持するホルダーであって、前記包装袋が挿入される上端開口部を有し、前記開封部を上に向けて前記包装袋を立てた状態で保持する筒状部材を備えており、前記上端開口部の平面視における最大径は、前記包装袋が前記筒状部材に保持された場合の前記上端開口部に対応する位置の前記包装袋の幅よりも小さくなるように形成されているホルダーにより達成される。
【0009】
また、このホルダーにおいて、前記筒状部材は、可撓性材料により形成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記筒状部材は、紙材料により形成されていることが好ましい。
【0011】
また、前記筒状部材の最大高さは、前記筒状部材に保持される前記包装袋の最大高さの1/3〜2/3であることが好ましい。
【0012】
また、前記筒状部材の内周面の少なくとも一部は、前記包装袋の外周面に接着可能に構成されていることが好ましい。
【0013】
また、前記上端開口部は、平面視楕円形状を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、食品を収容する包装袋を安定的に支持可能であると共に、湯戻し用のお湯や食材を簡便に包装袋に注入することが可能なホルダーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係るホルダーについて添付図を参照して説明する。図1は、本発明に係るホルダー1が包装袋5を支持している状態を示す斜視図である。図2は、図1に示すホルダー1の平面図である。
【0016】
本実施形態に係るホルダー1が支持する包装袋5は、内部に湯戻しされる即席乾燥食品や電子レンジ加熱調理用の食品(図示せず)が収容されると共に、上部における開封部51から湯や食材を注入可能に形成される食品用包装袋である。この包装袋5は、図3に示すように、例えば、正面視略矩形状の密閉袋であり、主にプラスチックを主体とするフィルムにより形成されている。包装袋5の側縁5a,5bの上部又は中部には、袋の開封性を高めるためのIノッチやVノッチといった各種の切れ目52が設けられている。この切れ目52を起点として包装袋5を引き裂くことにより開封することが可能となるように包装袋5は形成されている。開封された包装袋5の上部開口が開封部51となる。
【0017】
包装袋5に収容される即席乾燥具材とは、各種食品素材やその加工品、これらを用いた食品を乾燥状態あるいは半乾燥状態としたものをいい、例えば、即席カレーや、即席麺、即席粥、即席粉末スープ、即席味噌汁、吸物、スープ等の具材、しるこ、ぜんざいの素等、湯を用いて、乾燥状態あるいは半乾燥状態から戻して喫食することのできる食品を言う。
【0018】
具体的な食品素材としては、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉等の畜肉及びこれらを加工した加工食肉、海水魚、淡水魚及び甲殻類、貝類等の魚介類及びこれらの加工品、鶏卵、うずら卵、魚卵等の卵類、米、小麦、トウモロコシ、アワ、ヒエ等の穀類、大豆、インゲン豆、エンドウ豆、落花生等の豆類、さらに上記の食品素材の加工品、例えば大豆より抽出した大豆タンパク質や、トウモロコシより抽出されたトウモロコシ澱粉、牛肉より分離されたヘッド等が挙げられる。これら1種のみを用いても良いし、2種以上の組み合わせ使用も可能である。
【0019】
上記の食品素材やその加工品を用いた食品の具体的な例としては、カレーやシチュー等の煮込み料理食品、牛丼、親子丼、中華丼などのどんぶりもの、梅粥、鮭粥、中華粥等の粥類、コーンスープ、ポタージュスープ、コンソメスープ等のスープ類、ハンバーグ、ミートボール、ハム、プレスハム、ソーセージ、ベーコン、ミートローフ等の畜肉加工食品、植物蛋白等を利用した疑似畜肉加工食品、板付き蒲鉾、蒸し蒲鉾、焼き蒲鉾、かに風味蒲鉾、竹輪、揚げ蒲鉾、はんぺん、なると、笹蒲鉾、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、魚介類を用いたハンバーグ、つみれ、伊達巻き等の水産練り製品、スクランブルエッグ、卵焼き、厚焼き卵、かき卵等の卵を原材料として加工した卵加工食品、玉子豆腐、ごま豆腐、厚揚げ、油揚げ、コンニャク、餅、ふ、あられ等の穀物を主原料として加工した穀物加工食品、餃子、シュウマイ、春巻き、コロッケ、お好み焼き、たこ焼き、カキ揚げ等の惣菜類、練りウニ、練り梅、わさび、しょうが、からし等の練り調味料、及びスープなどが挙げられ、これら1種のみでも2種以上を用いたものでも良い。
【0020】
本実施形態に係るホルダー1は、包装袋5の開封部51を上に向けて当該包装袋5を立てた状態で保持する筒状部材2を備えている。この筒状部材2は、包装袋5が挿入される上端開口部21を有している。筒状部材2の上端開口部21は、図2に示すように、平面視楕円形状に形成されており、その平面視における最大径は、包装袋5が筒状部材2に保持された場合における上端開口部21に対応する位置の包装袋5の幅よりも小さくなるように形成されている。つまり、上端開口部21の平面視における最大径は、筒状部材2に収容する前の状態での包装袋5における筒状部材2の上端開口部21に対応する位置の幅よりも小さくなるように形成されている。なお、筒状部材2の上端開口部21の最大径とは、図2に示す平面図においては楕円形状の上端開口部21の長軸方向長さに相当する。また、包装袋5の幅とは、図3における左右方向の包装袋5の長さのことを指す。
【0021】
また、筒状部材2の最大高さは、筒状部材2によって立った状態で保持される包装袋5の最大高さの1/3〜2/3とすることが好ましい。このような範囲に筒状部材2の最大高さを設定することにより、包装袋5を安定的に支持することが可能になる。
【0022】
筒状部材2を形成する材料は、特に限定されず、紙材料や、ポリプロピレン等のプラスチック材料、アルミニウムやステンレス等の金属材料等により形成することができるが、使用後の廃棄処分を容易にするという観点から、折り畳んだり、潰したりすることが容易な可撓性材料により形成することが特に好ましい。また、製造コストを下げると共に加工性を高めるという観点から紙材料により形成することが好ましい。
【0023】
紙材料のうち、特に板紙により筒状部材2を形成する場合、例えば、図4に示すように所定形状に切断した紙シート3を準備し、この紙シート3の両端部3a,3b同士が互いに重なるように紙シート3を湾曲させた後、当該両端部3a,3b同士を接着テープ3cで接合する。その後、筒状部材2の上端開口部21の平面視形状が、略楕円形状となるように筒状部材2の形を変形させることにより行うことができる。なお、平面視楕円形状となるように変形させた筒状部材2の上端開口部21がその形状を維持するために、紙シート3を構成する紙材の特性として、板紙を用いた場合には、こわさ強度(紙を折るのにどの程度力が必要かの目安)1.0mN・m以上(計測方法はJIS法に記載)であることが好ましい。
【0024】
その他、紙材料としてマイクロフルート等の加工が施された段ボール紙や、ポリエチレンなどの樹脂フィルム、アルミ箔などがラミネートされた紙材料を用いても良い。この場合にもこわさ強度としては、1.0mN・m以上であることが好ましい。
【0025】
また、紙シート3の両端部3a,3b同士の接合方法は、上述した接着テープによる場合の他、例えば、両端部に接着材を塗布し、当該両端部同士を重ね合わせることにより接合してもよく、或いは、両端部同士を重ね合わせた後、結束部材により両端部同士を接合してもよい。
【0026】
次に、本実施形態に係るホルダー1の使用方法について説明する。まず、湯戻しされる即席乾燥食品が収容された包装袋5における側縁5a,5bの上方に形成されている切れ目52を起点として、包装袋5を開封する。
【0027】
次いで、図1に示すように、包装袋5の開封部51が上を向くように、かつ、包装袋5を立てた状態にしてホルダー1に収容する。なお、ホルダー1に包装袋5を収容した状態で、包装袋5の切れ目52を起点として開封しても良い。
このとき、ホルダー1を構成する筒状部材2の上端開口部21の最大径が、包装袋5が筒状部材2に保持された場合における上端開口部21に対応する位置の包装袋5の幅よりも小さくなるように形成されているため、包装袋5の両側縁5a,5bは、筒状部材2の上端開口部21によって互いに近づく方向に押圧されることになる。この結果、包装袋5は、その開封部51が開口した状態を維持してホルダー1に支持されることになる。
【0028】
その後、包装袋5の開封部51から包装袋5の内部に所定量のお湯を注入して、即席乾燥食品の湯戻しを行う。ここで、包装袋5の内部に注入されたお湯の量が増えるに従い、包装袋5はその底部から体積が増加して膨張していくと共に、この包装袋5の膨張に伴って包装袋5の開封部51も徐々に自動的に広がっていくことなる。このように、お湯の注入を進行させるに従って、ホルダー1に収容されて立った状態で支持されている包装袋5の安定性が増すと共に、お湯を注入しやすくなる。
【0029】
即席乾燥食品の湯戻しが完了したら、湯戻しされた即席乾燥食品をお皿等に移し替えて喫食する。即席乾燥食品が、例えば、カレーのルーである場合には、別途、ご飯をよそっているお皿に湯戻しされたカレーのルーを注ぎ入れた後、喫食する。また、即席乾燥食品が、ハンバーグ、ミートボール等の畜肉加工食品である場合や、餃子、シュウマイ等の惣菜等である場合には、所定のお皿に移し替えた後、喫食する。なお、災害地やキャンプ地などにおいてお皿が無い場合には、湯戻しした食品を包装袋5から直接取り出して喫食することもできる。
【0030】
本実施形態に係るホルダー1は、お湯が注入される包装袋5を保持する筒状部材2を備えているため、倒れやすい包装袋5を確実に立てた状態で支持することができる。また、筒状部材2の上端開口部21の平面視における最大径が、包装袋5が筒状部材2に保持された場合における上端開口部21に対応する位置の包装袋5の幅よりも小さくなるように形成されているので、包装袋5の開封部51が開口した状態を確実に維持したまま包装袋5を支持することができる。この結果、人がわざわざ包装袋5の開封部51を開いた状態となるように開封部51を摘んで広げておくことなく、お湯を極めて簡便に開封部51に注入することが可能になる。
【0031】
また、ホルダー1を構成する筒状部材2が可撓性材料により形成されているので、例えば、ホルダー1の一部分を変形させつつ、当該一部分を介してホルダー1に収容されている包装袋5の側縁5a(5b)を挟持することができる。この結果、お湯が注入されて高温となっている包装袋5を直接的に把持する必要がないため、熱い思いをすることなく湯戻しされた食品をお皿等に簡単に移し替えることができる。特に筒状部材2を紙材料により形成した場合、紙材料は断熱性に優れているので、このような効果が大きいものとなる。
【0032】
以上、本発明に係るホルダー1の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な構成は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、平面視形状が略楕円形状となるように筒状部材2を形成しているが、このような形状に特に限定されず、例えば、平面視円形状であってもよく、或いは、平面視矩形状であってもよい。
【0033】
また、上記実施形態において、筒状部材2の内周面の少なくとも一部が、包装袋5の外周面に接着可能となるように構成することもできる。例えば、筒状部材2の内周面の所定位置に両面接着テープを貼り付けておき、筒状部材2に包装袋5を挿入した後に筒状部材2と包装袋5とが接着されるように構成することができる。このような構成を採用する場合、筒状部材2に包装袋5を設置する前段階において包装袋5と接着する両面接着テープの接着面の接着力が低下することを防止するために、当該接着面を離型紙で保護しておくことが好ましい。なお、包装袋5と筒状部材2との接着を確実にするという観点から、筒状部材2の内周面の複数箇所に両面接着テープを貼り付けておくことが好ましい。
【0034】
また、即席乾燥食品や電子レンジ加熱調理用の食品を収容した包装袋5の製造過程において、ホットメルト接着材等により筒状部材2の内周面と包装袋5の外周面とを接着しておき、製品販売過程において、ホルダー1と包装袋5とが一体的となるように構成することも可能である。
【0035】
このように、筒状部材2の内周面の少なくとも一部が、包装袋5の外周面に接着可能となるように構成することにより、包装袋5をホルダー1にセットした場合にホルダー1と包装袋5とを一体的な構造とすることができる。これにより、湯戻しした食品をお皿等に移し替える行為や、湯戻しした食品をお皿に移し替えることなく直接的に包装袋5から取り出して喫食する行為を、ホルダー1のみを持って行うことが可能になる。また、包装袋5の外周面が筒状部材2の内周面に接着固定されることにより、包装袋5の開封部52を確実に開いた状態に維持することが可能になる。
【0036】
また、上記実施形態において、ホルダー1が、筒状部材2の下端部を閉塞する底部材を備えるように構成することもできる。このような構成により、包装袋5が収容されたホルダー1を移動させる場合に、包装袋5が筒状部材2から抜け落ちてしまうことを確実に防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態にホルダーが包装袋を収容した状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すホルダーの平面図である。
【図3】図1に示すホルダーによって支持される包装袋の正面図である。
【図4】図1に示すホルダーが備える筒状部材を形成する方法の一例を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ホルダー
2 筒状部材
21 上端開口部
3 紙シート
3a,3b 紙シートの端部
3c 接着テープ
5 包装袋
5a,5b 包装袋の側縁
51 開封部
52 切れ目



【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品が収容されると共に、開封部から湯又は食材が注入可能に形成される包装袋を支持するホルダーであって、
前記包装袋が挿入される上端開口部を有し、前記開封部を上に向けて前記包装袋を立てた状態で保持する筒状部材を備えており、
前記上端開口部の平面視における最大径は、前記包装袋が前記筒状部材に保持された場合の前記上端開口部に対応する位置の前記包装袋の幅よりも小さくなるように形成されているホルダー。
【請求項2】
前記筒状部材は、可撓性材料により形成されている請求項1に記載のホルダー。
【請求項3】
前記筒状部材は、紙材料により形成されている請求項1又は2に記載のホルダー。
【請求項4】
前記筒状部材の最大高さは、前記筒状部材に保持される前記包装袋の最大高さの1/3〜2/3である請求項1から3のいずれかに記載のホルダー。
【請求項5】
前記筒状部材の内周面の少なくとも一部は、前記包装袋の外周面に接着可能に構成されている請求項1から4のいずれかに記載のホルダー。
【請求項6】
前記上端開口部は、平面視楕円形状を有している請求項1から5のいずれかに記載のホルダー。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−1059(P2010−1059A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162261(P2008−162261)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000000228)江崎グリコ株式会社 (187)
【Fターム(参考)】