説明

ホルムアミドを含有する反応系

本発明は、ジアミンまたはトリアミンから誘導される新規なホルムアミドに関する。アミンと比べた場合、これらのホルムアミド末端組成物は、ポリイソシアネート、すなわちプレポリマーへの遅くなった反応性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
反応性アミンは、塗料、接着剤およびシーラント工業において、とりわけ、主に、2成分系としての適用のための反応性生成物における架橋剤として、例えばポリイソシアネートと組み合わせて、広く用いられる。得られる架橋ポリウレタンポリウレアは、全体的に極めて良好な特性の水準により区別される。しかしながら、アミンの高い反応性に起因して、極めて急速な、ときには自発的な反応が起こり、安全で再現性のある塗布が困難または不可能にさえなることが多い。
【背景技術】
【0002】
この種のバインダー組み合わせにより得られる高品質特性により、ポリイソシアネートまたはイソシアネート官能性プレポリマーへ遅延反応性を有するアミン成分について強い必要性がなお存在するが、これは、該アミン成分が適切な処理時間(ポットライフ)を確保するために欠かせないからである。
【0003】
これまで、ホルムアミドを含有するこの種の反応系は知られていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
意外にも、ジアミンまたはポリアミンに基づくホルムアミド末端化合物は、アミンと比べてポリイソシアネートまたはイソシアネート官能性プレポリマーへ遅延反応性を有し、例えば被覆物、塗料、接着剤、シーラント、成形品および発泡品へ加工することができることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0005】
従って、本発明は、ホルムアミドを含有する、アミンと比較して延長された処理時間を有する新規反応系を提供する。
【0006】
また、本発明は、
A)ホルムアミド構造を含有する少なくとも1つの成分、
B)ポリイソシアネート基を有する少なくとも1つの成分、
C)必要に応じて、イソシアネート反応性基を任意に含有する他の成分
を含有する反応性バインダーの組み合わせを提供する。
【0007】
ホルムアミド構造を含有する成分A)は、例えば、
A1)ポリイソシアネートと反応して低粘性アシルウレアプレポリマーを形成するポリエーテル系ホルムアミド末端オリゴマージ−またはポリアミン、
A2)他のホルムアミド末端オリゴ−およびポリアミン、例えばアミノ官能性コポリマーおよびアミノ官能性重縮合物
A3)ホルムアミド末端低分子量化合物、例えばギ酸C1〜C4アルキルエステルとアミンとの反応により得られる化合物
であってよい。
【0008】
適当なアミンは、例えば2〜40個、好ましくは2〜20個の炭素原子を有する、直鎖および/または分枝および/または置換および/またはヘテロ原子含有、例えば酸素原子含有、脂肪族、脂環式、ヘテロ環式および/または芳香族構造単位を有するモノ−、ジ−および/またはトリアミンである。これらは、45〜700、好ましくは60〜300g/モルの分子量を有する。
【0009】
ジ−またはトリアミンとして、脂肪族アミン、例えばエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ネオペンタンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(Dytek(登録商標) A、DuPont)、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、4−アミノメチル−1,8−オクタンジアミン(トリアミノノナン)、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、脂環式アミン、例えば1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチル−シクロヘキサン(イソホロンジアミン、IPDA)、TCDジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルエンジアミン(HTDA)、イソプロピル−2,4−ジアミノシクロヘキサンおよび/またはイソプロピル−2,6−ジアミノシクロヘキサン、トリシクロデカンビス(メチルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,4’−および/または4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM 20)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(Laromin(登録商標) C 260、BASF AG、ドイツ)、環置換基としてメチル基を有する異性体ジアミノジシクロヘキシルメタン(=C−モノメチルジアミノジシクロヘキシルメタン)、3(4)−アミノメチル−1−メチルシクロヘキシルアミン(AMCA)および芳香脂肪族ジ−またはトリアミン、例えば1,3−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、2,4−および/または2,6−ジアミノトルエン(TDA)、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、m−キシリレンジアミン、4,6−ジメチル−1,3−ベンゼン−ジメタンアミン、4,4’−および/または2,4’−および/または2,2’−メチレンビスベンゼンアミン(MDA)またはヘテロ原子含有アミンダイマー脂肪酸ジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、アルコキシシラン基含有ジアミンを用いることが好ましい。また、適当なのはマイケル付加物であり、これは、例えば2官能性第1級アミンと、不飽和基を含有する化合物、例えばヘキサンジオールジアクリレート等との反応により得られる。
【0010】
適当なポリイソシアネート成分B)は、1分子当たり少なくとも2つの遊離イソシアネート基を有するポリイソシアネートであってよい。適当な例は、ジ−およびポリイソシアネート
X−(NCO)
〔式中、n=2〜10、好ましくは2〜5、およびXは、4〜36個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素残基、6〜15個の炭素原子を有する脂環式炭化水素残基、6〜15個の炭素原子を有する芳香族炭化水素残基または7〜15個の炭素原子を有する芳香脂肪族炭化水素残基を表す〕
である。
【0011】
これらのジ−または多官能性ポリイソシアネートの例は、1,4−、1,3−および/または1,2−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジイソシアナトシクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、H2,4−および/または2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタン、メタ−および/またはパラ−キシリレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアナトトルエンおよび/または2,6−ジイソシアナトトルエン、イソプロペニルジメチルトルエンジイソシアネート、α,α,α’,α’,−テトラメチルm−および/またはp−キシリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート、ノナントリイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよび/または2,2’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンおよびこれらのモノメチル−およびジメチル−置換誘導体である。
【0012】
また、適しているのは、ウレタン、ビウレット、カルボジイミド、イソシアヌレート、アロファネート、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはウレットジオン構造単位を有する上記ポリイソシアネートの反応生成物、同族体、オリゴマーおよび/またはポリマー、ならびに例として記載したイソシアネートの、必要に応じて他のイソシアネートとの混合物である。
【0013】
ポリイソシアネート成分B)の平均官能価は、少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2.0、特に好ましくは少なくとも2.4である。
【0014】
ポリイソシアネート成分B)は、好ましくは、ウレタン、ウレア、イソシアヌレート、ビウレット、ウレットジオン、カルボジイミド、アロファネートおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造単位を有するヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、H2,4−および/または2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタン、メタ−および/またはパラ−キシリレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアナトトルエンおよび/または2,6−ジイソシアナトトルエンに基づく液体オリゴマーポリイソシアネートおよび/または好ましいと記載のジイソシアネートと、ヒドロキシ官能性化合物、例えばトリメチロールプロパン、ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、C2、C3および/またはC4ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ヒマシ油等とのウレタンおよび/またはアロファネート基含有反応生成物またはプレポリマーから構成される。
【0015】
ポリイソシアネート成分B)は、特に好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−ジイソシアナトトルエンおよび/または2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタンまたは異性体の混合物から構成される。
【0016】
成分C)は、ヒドロキシ−、アミノ−および/またはチオール官能性化合物、例えばポリエステル、C2ポリエーテル、C3ポリエーテル、C4ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエーテルカーボネート、ポリマー、重縮合物、ヒマシ油、ポリカプロラクトン、アルキド樹脂、ポリアミン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、コポリマー、マイケル付加物、ポリエポキシドおよび/または低分子量アルコール、アミンおよび/またはチオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,4−または1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、糖類、フェノール、イソノニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,2,2−または1,1,2−トリス(ヒドロキシフェニル)エタン、エチレンジアミン、テトラ−またはヘキサメチレンアミン、トリエタノールアミン、アニリン、フェニレンジアミン、2,4−および2,6−ジアミノトルエンおよびポリフェニルポリメチレンポリアミン、イソホロンジアミン、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MBOCA)、3,5−ジアミノ−4−クロロイソブチルベンゾエート、4−メチル−2,6−ビス(メチルチオ)−1,3−ジアミノベンゼン(Ethacure 300)、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエート(Polacure 740M)および4,4’−ジアミノ−2,2’−ジクロロ−5,5’−ジエチルジフェニルメタン(MCDEA)であってよく、遊離アミンの組み込みは少量に限られる。
【0017】
また、オキサゾラン官能性化合物、オキサゾリジン官能性化合物、アスパラギン酸エステル、ケチミン、アルジミン、ヘキサヒドロピリミジンおよび/またはテトラヒドロイミダゾールは、成分C)として適当である。上記化合物C)および異なった官能基を有する化合物C)の混合物を用いることも可能である。
【0018】
本発明はまた、室温において結晶質または固体形態で存在する本発明によるホルムアミドに基づくバインダー組み合わせ、およびその使用、例えば粉末被覆物またはホットメルト接着剤としてのまたは粉末被覆物またはホットメルト接着剤におけるその使用を提供する。
【0019】
ホルムアミドの製造は、幅広い種類の方法により行うことができる:
【0020】
ジ−および/またはポリアミンの反応は、ギ酸アルキルエステルの過剰によりギ酸エステルの沸点において行うことができ、過剰ギ酸アルキルエステルおよび生じるアルコールを、ホルムアミド基を形成するアミノ基の反応の終了時に留去する。
【0021】
また、ホルムアミド末端低分子量化合物を形成するモノ−、ジ−またはトリアミンを、ギ酸またはギ酸誘導体、例えば一酸化炭素、混合ギ酸−カルボン酸無水物、低分子量アミドまたはギ酸の活性エステルまたはギ酸とアミドカップリング剤、例えばカルボジイミドまたは縮合リン酸誘導体等との予備反応生成物等と反応させることも可能である。
【0022】
また、ホルムアミドまたは生成されたホルムアミドのアニオンと強塩基とを、式(I):
X−[A] (I)
〔式中、Xは、脂肪族、脂環式または芳香族残基を表し、nは、自然数2〜5を表し、およびAは、離脱基、例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物、メシラート、トシレートまたはトリフラート等を表す〕
で示されるアルキル化試薬により反応させることも可能である。
【0023】
好ましくは、ホルムアミドを形成する反応は、1モルジアミンと、過剰の2〜6モル、特に好ましくは2.5〜4モルギ酸C1〜C4アルキルエステル、好ましくはギ酸メチルまたはギ酸メチルとを反応させる過剰のギ酸C1〜C4アルキルエステル中で、ギ酸エステルの沸点において行い、過剰のギ酸アルキルエステルおよび生じるアルコール、好ましくはメタノールまたはエタノールを、ホルムアミド基を形成するアミノ基の反応の完了の際、留去する。
【0024】
異なったアミン成分またはその溶液を混合することにより、このようにしてホルムアミド成分の混合物を得ることができる。
【0025】
本発明による反応系は、周囲温度〜250℃まで硬化させることができる。
【0026】
反応性に影響を与えることができる触媒は、有機金属化合物、例えばカルボン酸の錫(II)塩またはチタン(IV)塩、強塩基、例えばアルカリ性水酸化物、アルコラートおよびフェノラート、例えばジ−n−オクチル錫メルカプチド、ジブチル錫マレイン酸、ジアセタート、ジラウレート、ジクロライド、ビスドデシルメルカプチド、酢酸錫II、エチルヘキサノエートおよびジエチルヘキサノエート、テトライソプロピルチタネートまたはフェニルエチルジチオカルバミン酸鉛等である。他の種類の化合物は、カルボン酸ジアルキル錫(IV)により示される。ジカルボン酸を用いることも可能である。酸の例として次の物質が挙げられる:アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、テレフタル酸、フェニル酢酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸および2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸。特定の化合物は、ジブチル−およびジオクチル錫ジアセテート、マレイン酸、ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジラウレート、トリブチル錫アセテート、ビス(β−メトキシカルボニルエチル)錫ジラウレートおよびビス(β−アセチルエチル)錫ジラウレートである。
【0027】
酸化錫および硫化錫ならびに錫チオレートを用いることもできる。特定の化合物は、ビス(トリブチル錫)オキシド、ビス(トリオクチル錫)オキシド、ジブチル−およびジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシルチオレート)ジブチル−およびジオクチル錫ジドデシルチオレート、ビス(β−メトキシカルボニルエチル)錫ジドデシルチオレート、ビス(β−アセチルエチル)錫ビス(2−エチルヘキシルチオレート)、ジブチル−およびジオクチル錫ジドデシルチオレート、ブチル−およびオクチル錫トリス(チオグリコール酸2−エチルヘキサノエート)、ジブチル−およびジオクチル錫ビス(チオグリコール酸2−エチルヘキサノエート)、トリブチル−およびトリオクチル錫(チオグリコール酸2−エチルヘキサノエート)並びにブチル−およびオクチル錫トリス(チオエチレングリコール2−エチルヘキサノエート)、ジブチル−およびジオクチル錫ビス(チオエチレングリコール2−エチルヘキサノエート)、トリブチル−およびトリオクチル錫(チオエチレングリコール2−エチルヘキサノエート)、ビス(β−メトキシカルボニルエチル)錫ビス(チオエチレングリコール2−エチルヘキサノエート)、ビス(β−メトキシカルボニルエチル)錫ビス(チオグリコール酸2−エチルヘキサノエート)およびビス(β−アセチルエチル)錫ビス(チオエチレングリコール2−エチルヘキサノエート)およびビス(β−アセチルエチル)錫ビス(チオグリコール酸2−エチルヘキサノエート)である。
【0028】
有機ビスマス化合物、例えばトリアリールビスマス化合物、これらの化合物の酸化物およびタイプR2 BiXおよびR3 BiX2のアルキルまたはアリールハロビスムチン、ならびにビスマスのフェノレートおよびカルボキシレートを用いることもできる。とりわけ、カルボン酸ビスマスを有機ビスマス化合物として用いるが、カルボン酸は、2〜20個の炭素原子、好ましくは4〜14個の炭素原子を有する。特に、以下の酸が挙げられる:酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、イソ酪酸および2−エチルヘキサン酸。カルボン酸ビスマスと他の金属炭酸塩との混合物、例えばカルボン酸錫を用いることもできる。
【0029】
とりわけ、以下の第3級アミンを、触媒として、個々にまたは上記触媒の少なくとも1つと組み合わせて用いる:ジアザビシクロオクタン(Dabco)、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン(Desmorapid DB、Bayer)、ビスジメチルアミノエチルエーテル(Catalyst Al、UCC)、テトラメチルグアニジン、ビスジメチルアミノメチルフェノール、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、2−ジ−メチルアミノエチル−3−ジメチルアミノプロピルエーテル、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−アザノルボラン、Tacat(登録商標)DP−914(Texaco Chemical)、Jeffcat(登録商標)、N,N,N,N−テトラメチルブタン−1,3−ジアミン、N,N,N,N−テトラメチル−プロパン−1,3−ジアミン、N,N,N,N−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ならびに例えばトリエタノールアミンまたはトリイソプロパノールアミン。
【0030】
触媒は、オリゴマー化または重合化形態、例えばN−メチル化ポリエチレンイミンとして存在させてもよい。
【0031】
また、適しているのは、1−メチルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、1−アリルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1,2,4,5−テトラメチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、ピリミダゾール、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン、4−モルホリノピリジン、4−メチルピリジンおよびN−ドデシル−2−メチルイミダゾールである。
【0032】
特別な作用を得るために、塗料および接着剤工業において従来用いられる補助物質、例えば表面活性物質、乳化剤、安定剤、沈降防止剤、UV安定剤、架橋反応のための触媒、消泡剤、抗酸化剤、皮張防止剤、流れ促進剤、増粘剤および/または殺菌剤等の少量を、本発明による反応系の製造中に添加することも可能である。
【0033】
本発明による反応系は、塗料、被覆物、サイズ、インキ、印刷インキ、接着剤、シーラント、ホットメルト接着剤、接着性フォーム、積層性接着剤、封入化合物、必要に応じて既に予備被覆された鉱物またはセラミックの基材および物質、コンクリート、アスファルト、ビチューメン、硬質繊維材料、金属基材、プラスチック、紙、印刷紙、カード、複合材料、ガラス、磁器、編織布、皮革、木製および木のような基材、例えば家具、繊維板、寄木張り、窓枠、ドア、フェンス、パネル、ボード、梁、屋根等の被覆、接合、封止のための軟質、硬質または構造フォーム中で、またはそれらとして、例えば1塗り塗料として、多塗り塗料中で、下塗りコート、中間コート、フィラー、ベースコート、トップコート、バリア層、プライマー、接着促進剤、保護コート、剥離ラッカー、仮被覆物、サイズとして、機能性コート中で、オーバーコート、透明ラッカー、着色ラッカーとして、成形品の製造のための、およびさらに接着剤、シーラント、印刷インキ、インキ、フォーム、フィルムおよび繊維中で用いることができる。
【0034】
被覆物の製造は、種々の噴霧法、例えば圧縮空気噴霧法、無気噴霧法または静電噴霧法等により、1成分または必要に応じて2成分噴霧装置を用いて行うことができる。しかしながら、本発明に従って製造および用いるべき塗料および被覆組成物は、他の方法により、例えば刷毛法、回転法またはナイフ塗布法により塗布することもできる。
【実施例】
【0035】
用いた出発物質:
1,6−ヘキサメチレンジアミン、2官能性アミノ末端脂肪族化合物、
2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2官能性アミノ末端分枝脂肪族化合物、
Jeffamin(登録商標) ED 600(Huntsman、イギリス)2官能性ポリエーテルアミン、
4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、2官能性アミノ末端化合物、
4−アミノメチル−1,8−オクタンジアミン、3官能性アミノ末端脂肪族化合物、
酢酸エチル、
塩化ベンゾイル、
Irganox(登録商標) 1076 (Ciba、スイス)、立体障害フェノール、
Desmodur(登録商標) N 3300 (Bayer MaterialScience AG、ドイツ)、21.8%のNCO含有量を有する脂肪族ポリイソシアネート、
Desmodur(登録商標) N 100、22.0%のNCO含有量を有する脂肪族ポリイソシアネート、
Desmodur(登録商標) E 23、15.4%のNCO含有量を有する芳香族プレポリマー、
Desmodur(登録商標) E 14、3.3%のNCO含有量を有する芳香族プレポリマー、
Desmodur(登録商標) E 14、10.5%のNCO含有量を有する脂肪族−芳香族プレポリマー。
【0036】
ポットライフ: 混合物の製造と粘度または架橋性の明らかな上昇との間の時間(ポットライフ)。
【0037】
耐溶媒性: 溶媒含浸パッドを、1分間、試験すべき表面上へ適用する。取り除いた後、表面を視覚的に検査および評価する。
【0038】
実施例1
最大50℃において、ギ酸エチル222gを、4時間内にエタノール170gに溶解した1,6−ヘキサメチレンジアミン116gへ液滴状に添加し、撹拌を4時間継続する。次いで過剰のギ酸エチルおよび形成されたおよび用いたエタノールを留去する。
【0039】
ホルムアミド末端低分子量化合物を、105〜108℃の融点および表1に記載の反応性で得る。
【0040】
実施例2
最大50℃において、ギ酸エチル222gを、4時間内に2−メチル−1,5−ジアミノペンタン116gへ液滴状に添加し、撹拌を4時間継続する。次いで過剰のギ酸エチルおよび形成されたおよび用いたエタノールを留去する。
【0041】
ホルムアミド末端低分子量化合物を、581mPasの粘度および表1に記載の反応性で得る。
【0042】
実施例3
最大50℃において、ギ酸エチル222gを、2時間内に600gのJeffamin(登録商標) ED 600へ液滴状に添加し、撹拌を4時間還流下で継続する。次いで過剰のギ酸エチルおよび形成されたおよび用いたエタノールを留去する。
【0043】
ホルムアミド末端オリゴマー化合物を、223mPasの粘度および表1に記載の反応性で得る。
【0044】
実施例4
最大50℃において、ギ酸エチル800gを、3時間内に4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン793gへ液滴状に添加し、撹拌を4時間還流下で継続する。次いで過剰のギ酸エチルおよび形成されたおよび用いたエタノールを留去する。
【0045】
ホルムアミド末端低分子量化合物を、239mPasの粘度および表1に記載の反応性で得る。
【0046】
実施例5
最大50℃において、ギ酸エチル667gを、3時間内に4−アミノメチル−1,8−オクタンジアミン346gへ液滴状に添加し、撹拌を4時間還流下で継続する。次いで過剰のギ酸エチルおよび形成されたおよび用いたエタノールを留去する。
【0047】
ホルムアミド末端低分子量化合物を、10200mPasの粘度および表1に記載の反応性で得る。
【0048】
比較物質
1. ヘキサンジアミン
2. 2−メチル−1,5−ジアミノペンタン
3. マレイン酸ジメチル2モルおよび2−メチル−1,5−ジアミノペンタン1モルに基づくアスパラギン酸エステル
【0049】
表1(次の頁)では、ホルムアミドに基づく本発明による反応系のポットライフおよび幾つかの塗料特性を、従来使用されるアミンに基づく反応系と比較する。ホルムアミドを含有する本発明による反応系は全て、比較アミンより著しく長い処理時間/ポットライフを有する。実用的な処理時間が得られる。
【0050】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのホルムアミドを含有する反応性バインダー系。
【請求項2】
A)ホルムアミド構造を含有する少なくとも1つの成分、
B)ポリイソシアネート基を有する少なくとも1つの成分、および
C)必要に応じて、イソシアネート反応性基を任意に含有する他の成分
から構成されることを特徴とする、請求項1に記載の反応性バインダー系。
【請求項3】
A)は、2〜40個の炭素原子を含有する、ジ−および/またはトリアミンに基づく少なくとも1つのホルムアミドを含有することを特徴とする、請求項2に記載の反応性バインダー系。
【請求項4】
A)は、2〜40個の炭素原子を含有する、ポリエーテルアミンに基づく少なくとも1つのホルムアミドを含有することを特徴とする、請求項2に記載の反応性バインダー系。
【請求項5】
塗料もしくは被覆物における、または塗料もしくは被覆物としての、請求項1に記載の反応性バインダー系の使用。
【請求項6】
接着剤もしくはシーラントにおける、または接着剤もしくはシーラントとしての、請求項1に記載の反応性バインダー系の使用。
【請求項7】
インキもしくは印刷インキにおける、またはインキもしくは印刷インキとしての、請求項1に記載の反応性バインダー系の使用。
【請求項8】
フラット成形品または発泡成形品の製造のための、請求項1に記載の反応性バインダー系の使用。
【請求項9】
サイズにおける、またはサイズとしての、請求項1に記載の反応性バインダー系の使用。
【請求項10】
金属、木材、木材系材料、皮革、編織布、プラスチック、鉱物材料、コルク、繊維、コンクリート、紙、カードおよびフィルムの被覆、接合および/または封止のための、請求項1に記載の反応性バインダー系の使用。

【公表番号】特表2012−533635(P2012−533635A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519913(P2012−519913)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004107
【国際公開番号】WO2011/006607
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】