説明

ホルモン依存性癌の治療剤

(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤と(b)ホルモン療法剤および/もしくは化学療法剤とを同時にまたは時間を置いて別々に投与することを特徴とするホルモン依存性癌の治療剤ならびに治療方法を提供する。また、(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤からなる第1成分と、(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤からなる第2成分とを含有することを特徴とするホルモン依存性癌の治療用キットを提供する。さらに、(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤を含有する医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害剤を含有するホルモン依存性癌の治療剤に関する。
【背景技術】
腫瘍の中には、ホルモンが癌細胞の増殖を促進しているものがあり(ホルモン依存性癌)、ホルモン依存性癌としては、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、甲状腺癌等があげられる。
近年これらホルモン依存性癌の治療法として、特定のホルモンを分泌している臓器の外科的な摘出(外科的卵巣摘出術等)、ホルモン依存性癌の癌細胞の増殖を抑制することを目的としたホルモンの働きを抑制する薬の投与(ホルモン療法、化学療法等)等が行われている。また、これらを組み合わせた治療が行われることもある。
ホルモン療法剤としては、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、プロゲステロン製剤、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)アゴニスト製剤等が用いられる。
一方、ステロイドスルファターゼは、不活性型エストロゲンであるエストロンスルフェートを活性型エストロゲンであるエストロンへ変換する加水分解酵素である。またステロイドスルファターゼは、不活性型アンドロゲンであるアンドロステンジオールスルフェートを活性型アンドロゲンであるアンドロステンジオールへ変換する加水分解酵素である。このようにステロイドスルファターゼは、乳腺上皮細胞、ホルモン依存性癌の癌細胞または腫瘍細胞の増殖に係わっている。
また、乳癌での高いエストロゲンレベルはステロイドスルファターゼ(エストロンスルファターゼ)によってエストロンスルフェートがエストロンへ加水分解されることに起因しているものと考えられている。従って、ステロイドスルファターゼ阻害剤はエストロン依存性乳癌(ホルモン依存性乳癌)の治療において有効な治療薬であり、さらに他のエストロン類が関与すると考えられる疾病、例えば子宮内膜癌、卵巣癌、子宮内膜症、子宮腺筋症等の予防または治療にも有効であると考えられる。また、ステロイドスルファターゼはアンドロゲンの生合成過程にも関与していることから、アンドロゲン類が関与すると考えられる疾病、例えば前立腺癌等の予防または治療にも有効であると考えられる。
エストロン−3−スルファマート(EMATE)がステロイドスルファターゼの代表的な阻害剤として報告されているが[例えば、米国特許第5,616,574号明細書;インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー(International Journal of Cancer)、1995年、第63巻、p.106−111参照]、EMATEはエストロゲン様作用を示すことからエストロン依存性の疾病の治療に対して有用ではないことが示されている[例えば、キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、1996年、第56巻、p.4950−4955参照]。
また、これまでに数多くのステロイドスルファターゼ阻害剤が見い出されている[例えば、米国特許第5,830,886号明細書;国際公開第98/11124号パンフレット;国際公開第98/32763号パンフレット;エクスパート・オピニオン・オン・セラピューティック・パテンツ(Expert Opinion on Therapeutic Patents)、1999年、第9巻、p.1083参照]。
これらの具体例としては、例えば、チラミン誘導体[例えば、米国特許第5,567,831号明細書;キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、1997年、第57巻、p.702−707;ザ・ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー(The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology)、1996年、第59巻、p.41−48;ザ・ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー(The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology)、1999年、第68巻、p.31−40;ザ・ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー(The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology)、1999年、第69巻、p.227−238参照]、ケイ皮酸誘導体(例えば、米国特許第6,011,024号明細書参照)、ジエチルスチルボエストロール誘導体[例えば、ザ・ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー(The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology)、1999年、第69巻、p.227−238参照]等があげられる。また、最近になって幾つかのステロイドスルファターゼ阻害剤が開示された(例えば、国際公開第01/04086号パンフレット;国際公開第01/02349号パンフレット参照)。
また、エストロン−3−メチルチオホスホネート、エストロン−3−メチルホスホネート、エストロン−3−フェニルホスホノチオエート、エストロン−3−フェニルホスホネート[例えば、米国特許第5,604,215号明細書;キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、1993年、第53巻、p.298−303;バイオオーガニック&メディシナル・ケミストリー・レターズ(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters)、1993年、第3巻、p.313−318参照]、および3−モノアルキルチオホスフェート誘導体がステロイドスルファターゼ阻害剤として開示されている(例えば、国際公開第91/13083号パンフレット参照)。
その他にも、ステロイドスルファターゼ阻害剤が開示されている(例えば、国際公開第93/05064号パンフレット;国際公開第97/30041号パンフレット;国際公開第99/33858号パンフレット;国際公開第99/52890号パンフレット;国際公開第01/36398号パンフレット;国際公開第00/43408号パンフレット参照)。
【発明の開示】
本発明の目的は、ステロイドスルファターゼ阻害剤とホルモン療法剤および/または化学療法剤とからなるホルモン依存性癌の治療剤等を提供することにある。
本発明は以下の(1)〜(36)に関する。
(1)(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤と(b)ホルモン療法剤および/もしくは化学療法剤とからなる同時にまたは時間を置いて別々に投与するためのホルモン依存性癌の治療剤。
(2)(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/もしくは化学療法剤を同時にまたは時間を置いて別々に投与することを特徴とするホルモン依存性癌の治療方法。
(3)ホルモン療法剤および/もしくは化学療法剤と同時にまたは時間を置いて別々に併用するためのステロイドスルファターゼ阻害剤。
(4)(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤からなる第1成分と、(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤からなる第2成分とを有することを特徴とするホルモン依存性癌の治療用キット。
(5)(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤を含有することを特徴とする医薬組成物。
(6)ホルモン依存性癌の治療剤の製造のための、(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤の使用。
(7)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、式(I)

[式中、Xは燐原子または硫黄原子を表し、Xが燐原子であるときYはヒドロキシであり、Xが硫黄原子であるときYはオキソであり、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリールまたは−NR(式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニルまたは置換もしくは非置換のアリールを表すか、またはRとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)を表し、−O−Rは、単環式アルコールの残基または多環式アルコールの残基を表す]で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(1)記載のホルモン依存性癌の治療剤。
(8)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(7)記載の式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(2)記載のホルモン依存性癌の治療方法。
(9)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(7)記載の式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(3)記載のステロイドスルファターゼ阻害剤。
(10)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(7)記載の式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(4)記載の治療用キット。
(11)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(7)記載の式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(5)記載の医薬組成物。
(12)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(7)記載の式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(6)記載の(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤の使用。
(13)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、式(IA)

(式中、−O−R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(1)記載のホルモン依存性癌の治療剤。
(14)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(13)記載の式(IA)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(2)記載のホルモン依存性癌の治療方法。
(15)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(13)記載の式(IA)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(3)記載のステロイドスルファターゼ阻害剤。
(16)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(13)記載の式(IA)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(4)記載の治療用キット。
(17)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(13)記載の式(IA)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(5)記載の医薬組成物。
(18)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(13)記載の式(IA)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(6)記載の(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤の使用。
(19)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、式(IB)

[式中、RおよびRはそれぞれ前記と同義であり、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−NR(式中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)、−OR(式中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)または−SR8A(式中、R8Aは前記Rと同義である)を表す]で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(1)記載のホルモン依存性癌の治療剤。
(20)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(19)記載の式(IB)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(2)記載のホルモン依存性癌の治療方法。
(21)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(19)記載の式(IB)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(3)記載のステロイドスルファターゼ阻害剤。
(22)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(19)記載の式(IB)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(4)記載の治療用キット。
(23)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(19)記載の式(IB)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(5)記載の医薬組成物。
(24)ステロイドスルファターゼ阻害剤が、上記(19)記載の式(IB)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である上記(6)記載の(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤の使用。
(25)ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、プロゲステロン製剤、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)アゴニスト製剤からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上である上記(1)、(7)、(13)または(19)記載のホルモン依存性癌の治療剤。
(26)ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、プロゲステロン製剤、LH−RHアゴニスト製剤からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上である上記(2)、(8)、(14)または(20)記載のホルモン依存性癌の治療方法。
(27)ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、プロゲステロン製剤、LH−RHアゴニスト製剤からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上である上記(3)、(9)、(15)または(21)記載のステロイドスルファターゼ阻害剤。
(28)ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、プロゲステロン製剤、LH−RHアゴニスト製剤からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上である上記(4)、(10)、(16)または(22)記載の治療用キット。
(29)ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、プロゲステロン製剤、LH−RHアゴニスト製剤からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上である上記(5)、(11)、(17)または(23)記載の医薬組成物。
(30)ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、プロゲステロン製剤、LH−RHアゴニスト製剤からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上である上記(6)、(12)、(18)または(24)記載の(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤の使用。
(31)ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤および/またはアロマターゼ阻害剤である上記(1)、(7)、(13)または(19)記載ホルモン依存性癌の治療剤。
(32)ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤および/またはアロマターゼ阻害剤である上記(2)、(8)、(14)または(20)記載のホルモン依存性癌の治療方法。
(33)ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤および/またはアロマターゼ阻害剤である上記(3)、(9)、(15)または(21)記載のステロイドスルファターゼ阻害剤。
(34)ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤および/またはアロマターゼ阻害剤である上記(4)、(10)、(16)または(22)記載の治療用キット。
(35)ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤および/またはアロマターゼ阻害剤である上記(5)、(11)、(17)または(23)記載の医薬組成物。
(36)ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤および/またはアロマターゼ阻害剤である上記(6)、(12)、(18)または(24)記載の(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤の使用。
本発明において、治療されるホルモン依存性癌としては、ホルモンが癌細胞または腫瘍細胞の増殖を促進しているもの(ホルモン依存性癌または腫瘍)であればいずれでも適用可能であるが、具体的には乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、甲状腺癌等があげられる。
使用されるステロイドスルファターゼ阻害剤としては、ステロイドスルファターゼ活性を阻害するものであればいずれでもよいが、有効成分としてステロイドスルファターゼ阻害活性を有する例えば単環式アルコールもしくは多環式アルコールのスルホネートエステル、ホスホネートエステル、スルファマート、チオホスフェート等またはそれらの薬理学的に許容される塩を含有する組成物等があげられる。
具体的には、式(I)

[式中、Xは燐原子または硫黄原子を表し、Xが燐原子であるときYはヒドロキシであり、Xが硫黄原子であるときYはオキソであり、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリールまたは−NR(式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニルまたは置換もしくは非置換のアリールを表すか、またはRとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)を表し、−O−Rは、単環式アルコールの残基または多環式アルコールの残基を表す]で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物等があげられる。
中でも好ましくは、式(IA)

(式中、−O−R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物があげられ、さらに好ましくは、式(IB)

[式中、RおよびRはそれぞれ前記と同義であり、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−NR(式中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)、−OR(式中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)または−SR8A(式中、R8Aは前記Rと同義である)を表す]で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物があげられる。
以下、式(I)で表される化合物を化合物(I)という。他の式番号の化合物についても同様である。
式(I)、(IA)及び(IB)の各基の定義において、(i)単環式アルコールの残基および多環式アルコールの残基における単環式アルコールおよび多環式アルコールは、単環式アルコールまたは多環式アルコールであれば特に限定されないが、例えばこれらに対応するスルフェート化合物(ヒドロキシがスルフェートに変換された化合物)がステロイドスルファターゼの基質になるものがあげられ、中でも該スルフェート化合物が、pH7.4および37℃にてステロイドスルファターゼ活性を有する酵素とインキュベートした場合、50μmol/L未満のKm値を提供するものが好ましい。
単環式アルコールとしては、例えば置換基の1つとしてヒドロキシを有する置換もしくは非置換の複素環[該複素環は、後記複素環基(x)の定義のうち単環性のものに水素原子を1つ付加したものと同義であり、該置換複素環におけるヒドロキシ以外の置換基は、後記置換複素環基における置換基(xii)と同義である]、置換もしくは非置換のフェノール[該置換フェノールにおける置換基は、後記置換複素環基における置換基(xii)と同義である]等があげられる。具体的には、例えばチラミンアミド誘導体、ヒドロキシ桂皮酸誘導体等があげられる。
多環式アルコールとしては、例えば置換もしくは非置換の縮合環があげられ、該縮合環としては例えば炭素数6〜60の、好ましくは炭素数6〜30の、置換基の1つとしてヒドロキシを有する3〜8員の環が縮合した二環〜五環性の縮合環等があげられ、各環は飽和でも不飽和でもよく、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の原子を含んでいてもよい。具体的には、置換もしくは非置換のステロール、テトラヒドロナフトール誘導体、置換基の1つとしてヒドロキシを有するクマリン誘導体、クロマン誘導体またはイソフラボン誘導体、4−ヒドロキシタモキシフェン誘導体等があげられる。該置換縮合環および該置換ステロールにおける置換基は、後記置換ステロールにおける置換基(iii)と同義である。
(ii)ステロールとしては、例えばエストロン、エストラジオール、エストリオール、デヒドロエピアンドロステロン等の3−ステロール等があげられる。
(iii)置換ステロールにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3のハロゲン、ニトロ、シアノ、アジド、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−C(=X)R(式中、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、Rは前記と同義である)、−NR10{式中、RおよびR10は、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−C(=X)R11(式中、XおよびR11は、それぞれ前記XおよびRと同義である)または−SO12[式中、R12は、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−NR1314(式中、R13およびR14は、それぞれ前記RおよびRと同義である)または−OR15(式中、R15は前記Rと同義である)を表す]を表す}、−OR16[式中、R16は、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基または−SO17(式中、R17は前記R12と同義である)を表す]、−S(O)18(式中、mは0〜1の整数を表し、R18は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)、−SO19(式中、R19は前記R12と同義である)等があげられる。
ここで示したハロゲン、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリールおよび複素環基は、それぞれ後記ハロゲン(ix)、低級アルキル(iv)、シクロアルキル(vii)、低級アルケニル(v)、低級アルキニル(vi)、アリール(viii)および複素環基(x)と同義であり、置換低級アルキル、置換低級アルケニルおよび置換低級アルキニル、ならびに置換シクロアルキル、置換アリールおよび置換複素環基における置換基は、それぞれ後記置換低級アルキルにおける置換基(xiii)、ならびに置換シクロアルキルにおける置換基(xvi)と同義である。
置換ステロールとしてより具体的には、例えば2−ヒドロキシエストロン、2−メトキシエストロン、4−ヒドロキシエストロン、6α−ヒドロキシエストロン、1α−ヒドロキシエストロン、15α−ヒドロキシエストロン、15β−ヒドロキシエストロン等の置換エストロン、2−ヒドロキシ−17β−エストラジオール、2−メトキシ−17β−エストラジオール、4−ヒドロキシ−17β−エストラジオール、6α−ヒドロキシ−17β−エストラジオール、7α−ヒドロキシ−17β−エストラジオール、16α−ヒドロキシ−17α−エストラジオール、16β−ヒドロキシ−17α−エストラジオール、16β−ヒドロキシ−17β−エストラジオール、17α−エストラジオール、17β−エストラジオール、17α−エチニル−17β−エストラジオール等の置換エストラジオール、2−ヒドロキシエストリオール、2−メトキシエストリオール、4−ヒドロキシエストリオール、6α−ヒドロキシエストリオール、7α−ヒドロキシエストリオール等の置換エストリオール、6α−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン、7α−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン、16α−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン、16β−ヒドロキシデヒドロエピアンドロステロン等の置換デヒドロエピアンドロステロン等の置換3−ステロール等、これらにさらに上述の置換基を有するもの等があげられる。
(iv)低級アルキルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数1〜20のアルキル、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、エイコシル等があげられる。
(v)低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜8のアルケニル、具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル等があげられる。
(vi)低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜8のアルキニル、具体的にはエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル等があげられる。
(vii)シクロアルキルとしては、例えば炭素数3〜8のシクロアルキル、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。
(viii)アリールとしては、例えば炭素数6〜14のアリール、具体的にはフェニル、ナフチル、アントラニル等があげられる。
(ix)ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素の各原子を表す。
(x)複素環基としては、例えば脂肪族複素環基、芳香族複素環基等があげられる。
脂肪族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂肪族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂肪族複素環基等があげられ、具体的にはテトラヒドロピラニル、ピラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジノ、ピペリジル、パーヒドロアゼピニル、パーヒドロアゾシニル、モルホリノ、モルホリニル、チオモルホリノ、チオモルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、オキサゾリニル、ジオキソラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、インドリニル、1−オキソ−1,3−ジヒドロイソインドリル、1,1−ジオキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]イソチアゾリル、2−ピロリニル、2−ピロリドニル、3−ピロリドニル、2−ピペリドニル、3−ピペリドニル、4−ピペリドニル、パーヒドロ−2−アゼピノニル、パーヒドロ−3−アゼピノニル、パーヒドロ−4−アゼピノニル、2−チアゾリドニル、4−チアゾリドニル、2−オキサゾリドニル、4−オキサゾリドニル、スクシンイミド、グルタルイミド、ヒダントイニル、チアゾリジンジオニル、オキサゾリジンジオニル等があげられる。
芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基等があげられ、具体的にはフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、フラザニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、フタラジニル、プリニル、インドリル、イソインドリル、2−ピリドニル、4−ピリドニル、ウラシリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドリル、1,1,3−トリオキソ−2,3−ジヒドロベンゾ[d]イソチアゾリル、マレイミド、フタルイミド等があげられる。
(xi)隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基は、酸素原子、硫黄原子または他の窒素原子を含んでいてもよく、具体的にはピロリジニル、チアゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジノ、ホモピペリジノ、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピラゾリジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、オクタヒドロキノリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、プリニル、ジヒドロインドリル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリニル、イミダゾリル等があげられる。
(xii)置換複素環基における置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アジド、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−C(=X)R(式中、XおよびRはそれぞれ前記と同義である)、−NR10(式中、RおよびR10はそれぞれ前記と同義である)、−OR16(式中、R16は前記と同義である)、−S(O)18(式中、mおよびR18はそれぞれ前記と同義である)、−SO19(式中、R19は前記と同義である)等があげられる。
ここで示したハロゲン、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリールおよび複素環基は、それぞれ前記ハロゲン(ix)、低級アルキル(iv)、シクロアルキル(vii)、低級アルケニル(v)、低級アルキニル(vi)、アリール(viii)および複素環基(x)と同義であり、置換低級アルキル、置換低級アルケニルおよび置換低級アルキニル、ならびに置換シクロアルキル、置換アリールおよび置換複素環基における置換基は、それぞれ後記置換低級アルキルにおける置換基(xiii)、ならびに置換シクロアルキルにおける置換基(xvi)と同義である。
(xiii)置換低級アルキル、置換低級アルケニルおよび置換低級アルキニルにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アジド、低級アルケニル、低級アルカジエニル、低級アルカトリエニル、低級アルキニル、低級アルコキシ低級アルコキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−C(=X1A)R5A[式中、X1Aは、前記Xと同義であり、R5Aは、水素原子、低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリールアルキル、−NR6A7A(式中、R6AおよびR7Aは同一または異なって、水素原子、低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキルまたは置換もしくは非置換のヘテロアリールアルキルを表す)、−OR8A(式中、R8Aは水素原子、低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキルまたは置換もしくは非置換のヘテロアリールアルキルを表す)または−SR8Aa(式中、R8Aaは前記R8Aと同義である)を表す]、−NR9A10A{式中、R9AおよびR10Aは、同一または異なって、水素原子、低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリールアルキル、−C(=X2A)R11A(式中、X2AおよびR11Aは、それぞれ前記X1AおよびR4Aと同義である)または−SO12A[式中、R12Aは、低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリールアルキル、−NR13A14A(式中、R13AおよびR14Aは、それぞれ前記R6AおよびR7Aと同義である)または−OR15A(式中、R15Aは前記R8Aと同義である)を表す]を表す}、−OR16A[式中、R16Aは水素原子、低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキル、置換もしくは非置換のヘテロアリールアルキルまたは−SO17A(式中、R17Aは前記R12Aと同義である)を表す]、−S(O)ma18A(式中、maは0〜1の整数を表し、R18Aは水素原子、低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換のアラルキルまたは置換もしくは非置換のヘテロアリールアルキルを表す)、−SO19A(式中、R19Aは前記R12Aと同義である)等があげられる。
ここで示したハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、シクロアルキル、アリールおよび複素環基は、それぞれ前記ハロゲン(ix)、低級アルキル(iv)、低級アルケニル(v)、低級アルキニル(vi)、シクロアルキル(vii)、アリール(viii)および複素環基(x)と同義であり、低級アルカジエニル(xiv)としては、例えば炭素数4〜8のアルカジエニル、具体的には1,3−ブタジエニル、1,3−ペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、2,4−ヘキサジエニル、1,3−オクタジエニル等があげられ、低級アルカトリエニル(xv)としては、例えば炭素数6〜8のアルカトリエニル、具体的には1,3,5−ヘキサトリエニル、1,3,5−オクタトリエニル等があげられ、低級アルコキシ低級アルコキシの低級アルキル部分は、前記低級アルキル(iv)と同義であり、低級アルコキシ低級アルコキシ、アラルキルおよびヘテロアリールアルキルのアルキレン部分は、前記低級アルキル(iv)の定義から水素を1つ除いたものと同義であり、アラルキルのアリール部分は、前記アリール(viii)と同義であり、ヘテロアリールアルキルのヘテロアリール部分は、前記複素環基(x)の定義中、芳香族複素環基と同義である。
また、ここで示した置換シクロアルキル、置換アリール、置換複素環基、置換アラルキルおよび置換ヘテロアリールアルキルにおける置換基は、後記置換シクロアルキルにおける置換基(xvi)と同義である。
(xiv)置換シクロアルキル、置換アリールおよび隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換複素環基における置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、低級アルキル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アジド、低級アルケニル、低級アルカジエニル、低級アルカトリエニル、低級アルキニル、低級アルコキシ低級アルコキシ、シクロアルキル、アリール、4−スルファモイルオキシベンジル、複素環基、−C(=X1B)R5B[式中、X1Bは前記Xと同義であり、R5Bは、水素原子、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール、複素環基、−NR6B7B(式中、R6BおよびR7Bは、同一または異なって、水素原子、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、アリールまたは複素環基を表す)、−OR8Ba(式中、R8Bは水素原子、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、アリールまたは複素環基を表す)または−SR8Ba(式中、R8Baは前記R8Bと同義である)を表す]、−NR9B10B{式中、R9BおよびR10Bは、同一または異なって、水素原子、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、アリール、複素環基、−C(=X2B)R11B(式中、X2BおよびR11Bは、それぞれ前記X1BおよびR5Bと同義である)または−SO12B[式中、R12Bは、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、アリール、複素環基、−NR13B14B(式中、R13BおよびR14Bは、それぞれ前記R6BおよびR7Bと同義である)または−OR15B(式中、R15Bは、前記R8Bと同義である)を表す]を表す}、−OR16B[式中、R16Bは水素原子、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、アリール、複素環基または−SO17B(式中、R17Bは前記R12Bと同義である)を表す]、−S(O)mb18B(式中、mbは0〜1の整数を表し、R18Bは水素原子、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルケニル、アリールまたは複素環基を表す)、−SO19B(式中、R19Bは前記R12Bと同義である)等があげられる。
ここで示したハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルカジエニル、低級アルカトリエニル、低級アルキニル、シクロアルキル、アリールおよび複素環基は、それぞれ前記ハロゲン(ix)、低級アルキル(iv)、低級アルケニル(v)、低級アルカジエニル(xiv)、低級アルカトリエニル(xv)、低級アルキニル(vi)、シクロアルキル(vii)、アリール(viii)および複素環基(x)と同義であり、低級アルコキシ低級アルコキシの低級アルキル部分は、前記低級アルキル(iv)と同義であり、低級アルコキシ低級アルコキシのアルキレン部分は、前記低級アルキル(iv)の定義から水素を1つ除いたものと同義である。
以上に示した本発明に用いられるステロイドスルファターゼ阻害剤の有効成分の製造法の例を以下に示す。
例えば、エストロン−3−メチルチオホスホネート、エストロン−3−メチルホスホネート、エストロン−3−フェニルホスホノチオエート、およびエストロン−3−フェニルホスホネート[キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、53巻、298頁(1993年);バイオオーガニック&メディシナル・ケミストリー・レターズ(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters)、3巻、313頁(1993年);米国特許5,604,215号]、エストロン−3−スルファメート誘導体[ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)、37巻、219頁(1994年)]、3−デスオキシエストロン−3−スルホネート誘導体[ステロイズ(Steroids)、58巻、106頁(1993年);ザ・ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー(The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology)、50巻、261頁(1994年)]、3−デスオキシエストロン−3−メチルスルホネート誘導体[ステロイズ(Steroids)、60巻、299頁(1995年)]、エストロン−3−アミノ誘導体[ザ・ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー(The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology)、59巻、83頁(1996年);米国特許5,571,933号;同5,866,603号]、ビタミンD誘導体[ザ・ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー(The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology)、48巻、563頁(1994年)]、デヒドロエピアンドロステロン誘導体[ザ・ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー(The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology)、45巻、383頁(1993年);バイオケミストリー(Biochemistry)、36巻、2586頁(1997年)]、エストロン−3−スルファマートの修飾体[ザ・ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー(The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology)、64巻、269頁(1998年);WO98/24802;WO98/32763]、17−アルキルエストラジオール誘導体[バイオオーガニック&メディシナル・ケミストリー・レターズ(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters)、8巻、1891頁(1998年);ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)、42巻、2280頁(1999年)]、3−置換−D−ホモ−1,3,5,(10)−エストラトリエン誘導体(WO98/11124;WO99/27935)、エストロンの修飾体[WO98/42729;WO99/27936;カナディアン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー・アンド・ファーマコロジー(Canadian Journal of Physiology and Pharmacology)、76巻、99頁(1998年)]、17β−(N−アルキルカルバモイル)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−スルファマートおよび17β−(N−アルカノイルアミノ)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−スルファマート[ステロイズ(Steroids)、63巻、425頁(1998年);WO99/03876]、種々のエストロンの17位修飾体(WO99/33858)、テトラヒドロナフトール誘導体[ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)、37巻、219頁(1994年)]、4−メチルクマリン−7−スルファマート[キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、56巻、4950頁(1996年);WO97/30041]、チラミン誘導体およびフェノール誘導体[キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、57巻、702頁(1997年);バイオケミストリー(Biochemistry)、36巻、2586頁(1997年);ザ・ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー(The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology)、68巻、31頁(1999年);米国特許5,567,831号]、フラボノイド[ザ・ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー(The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology)、63巻、9頁(1997年);WO97/32872]、4−ヒドロキシタモキシフェン誘導体[ザ・ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー(The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology)、45巻、383頁(1993年);バイオオーガニック&メディシナル・ケミストリー・レターズ(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters)、9巻、141頁(1999年)]、イソフラボン誘導体[ザ・ジャーナル・オブ・ステロイド・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー(The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology)、69巻、227頁(1999年)]、クロマン誘導体(WO99/52890)等が上記それぞれの文献に記載の方法またはそれらに準じて得られる。
さらに、WO93/05064、WO01/02349、WO97/30041、WO01/36398およびWO00/43408等に記載のステロイドスルファターゼ阻害活性を有する化合物もそれらに記載の方法またはそれらに準じて得られ、本発明に用いることができる。
使用されるホルモン療法剤としては、(a)エストロゲンまたはアンドロゲンの産生を抑制する、(b)エストロゲン受容体へのエストロゲンの結合を遮断する、(c)アンドロゲン受容体へのアンドロゲンの結合を遮断するまたは(d)エストロゲンまたは黄体形成ホルモンの分泌を抑制するものであればいずれでもよいが、例えば抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、LH−RHアゴニスト製剤、プロゲストロン製剤等があげられ、これらを単独でまたは組み合わせて用いてもよい。
抗エストロゲン剤としては、例えばタモキシフェン、ICI−182780(商品名;ファスロデックス、一般名;fulvestrant)、トレミフェン等またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物等があげられる。
アロマターゼ阻害剤としては、例えばアミノグルタチオン、アナストロゾール、レトロゾール、エグゼメスタン、ボロゾール、ファドロゾール等またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物等があげられる。
抗アンドロゲン剤としては、例えばフルタミド、ピカルタミド、ニルタミド、シプロテロン等またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物等があげられる。
LH−RHアゴニスト製剤としては、例えばリュープロリド、ゴセレリン等またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物等があげられる。
プロゲストロン製剤としては、例えばメガストロアセテート、メドロキシプロゲステロンアセテート等またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物等があげられる。
使用される化学療法剤としては、例えばアドリアマイシン、シクロホスファミド、パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、フルオロウラシル、イリノテカン、メトトレキセート等またはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物等があげられる。
ステロイドスルファターゼ阻害剤、ホルモン療法剤および化学療法剤を組成する有効成分の薬理学的に許容される塩は、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等を包含する。酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、コハク酸塩等の有機酸塩等があげられ、金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげられ、アンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩があげられ、有機アミン付加塩としては、例えばモルホリン、ピペリジン等の付加塩があげられ、アミノ酸付加塩としては、例えばリジン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の付加塩があげられる。
本発明のホルモン依存性癌の治療剤および医薬組成物で使用されるステロイドスルファターゼ阻害剤とホルモン療法剤および/または化学療法剤は、これらそれぞれの有効成分を含有するように製剤化したものであれば、単剤としてでも複数の製剤の組み合わせとしてでも使用または投与することができるが、中でも2つ〜4つの製剤の組み合わせが好ましい。複数の製剤の組み合わせとして使用または投与する際には、同時にまたは時間を置いて別々に使用または投与することができる。
これら製剤は、それぞれ有効成分の他に製剤学的に許容される希釈剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、水、生理食塩水、植物油可溶化剤、等張化剤、保存剤、抗酸化剤等を用いて常法により作成することができる。
複数の製剤の組み合わせとして投与する際には、例えば(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤からなる第1成分と、(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤からなる第2成分とを、それぞれ上記のように別途製剤化し、治療用キットとして作成しておき、これらを用いて同時にまたは時間を置いて、同一対象に対して同一経路または異なった経路で投与することができる。なお、第2成分は、さらに複数の成分、好ましくは2つまたは3つの成分に分割されていてもよい。
該キットとしては、例えば保存する際に外部の温度や光による内容物である成分の変性、容器からの化学成分の溶出等がみられない容器であれば材質、形状等は特に限定されない2つ以上の容器(例えばバイアル、バッグ等)と内容物からなり、内容物である上記第1成分と第2成分が別々の経路(例えばチューブ等)または同一の経路を介して投与可能な形態を有するものが用いられる。好ましくは注射剤のキットがあげられ、例えば第1成分と第2成分がそれぞれ輸液等と混合できるように輸液等が充填されたバッグと連結された形態を有するものがあげられる。
また、本発明のホルモン依存性癌の治療方法は、上記で記載したホルモン依存性癌の治療剤で使用されるステロイドスルファターゼ阻害剤とホルモン療法剤および/または化学療法剤の使用または投与方法と同様にして実施できる。つまり、ステロイドスルファターゼ阻害剤とホルモン療法剤および/または化学療法剤を、それぞれの有効成分を含有するように製剤化し、例えば単剤としてまたは複数の製剤の組み合わせとして、好ましくは2つ〜4つの製剤を組み合わせて投与することにより実施できる。複数の製剤を組み合わせて投与する際には、これら製剤は、同時にまたは時間を置いて別々に投与することができ、上記で記載したような治療用キットを用いて投与することもできる。
次に、ステロイドスルファターゼ阻害剤およびホルモン療法剤を同時投与することによるホルモン依存性癌の治療の効果について試験例により具体的に説明する。
試験例1:抗エストロゲン剤とステロイドスルファターゼ阻害剤の組み合わせによる乳癌細胞増殖抑制効果
(1)ヒト乳癌細胞であるMCF−7細胞に、ヒトステロイドスルファターゼを過剰発現させた細胞(MCS−2)を構築し、MCS−2細胞に対する抗エストロゲン剤単独またはステロイドスルファターゼ阻害剤単独での増殖抑制活性と、抗エストロゲン剤との組み合わせにおけるステロイドスルファターゼ阻害剤の細胞増殖抑制活性を比較した。抗エストロゲン剤としてはICI−182780を用い、ステロイドスルファターゼ阻害剤としては、下記の化合物1を用いた。

デキストランシャコール処理した5%牛胎児血清(HyClone laboratories)、1mmol/Lピルビン酸ナトリウム(和光純薬)、1%ノンエッセンシャルアミノ酸(1%non−essential amino acid;NEAA、大日本製薬)、2mmol/L L−グルタミン(GIBCO BRL)および0.11%炭酸水素ナトリウム水溶液(ICN Biomedicals)を含有するフェノールレッド不含イーグルMEM培地[PR(−)MEM、日水製薬:以下培地Aという]で、MCS−2細胞を培養し継代維持した。
10mmol/Lエストロンスルフェート(シグマ)のジメチルスルホキシド(DMSO、関東化学)溶液を培地Aで適宜希釈し、最終濃度10−8mol/Lになるように調製した(培地B)。
エストロンスルフェート(最終濃度:10−8mol/L)を含む上記培地Bにて2.5×10cells/mLに希釈したMCS−2細胞を、96ウェルマイクロタイタープレート(NUNC)に各ウェルあたり100μLで播種した。該プレートを37℃、湿度95%以上、5%CO条件下にあるインキュベーター内で24時間インキュベーションし、培地を新鮮なエストロンスルフェート含有の培地Bまたはエストロンスルフェート不含の培地Aに交換した。さらに該新鮮なエストロンスルフェート含有の培地Bに交換したものには、培地Aで倍列希釈した被験薬剤[(i)抗エストロゲン剤単独添加、(ii)ステロイドスルファターゼ阻害剤単独添加、または(iii)抗エストロゲン剤とステロイドスルファターゼ阻害剤の共添加]を添加し、エストロンスルフェート不含の培地Aに交換したものは(iv)無添加で、それぞれ37℃、湿度95%以上、5%CO条件下にあるインキュベーター内で168時間培養した。培養終了後、細胞がはがれ落ちないように上清を除去し、最終濃度0.5mg/mLになるように調製したMTT溶液{3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド[3−(4,5−dimethylthiazol−2−yl)−2,5−diphenyltetrazoliumbromide](シグマ)をエストロンスルフェート不含の培地Aに溶解した}を各ウェルあたり50μL添加した。プレートを37℃、5%CO条件下にあるインキュベーター内で4時間インキュベーションした後、MTT溶液を除去し、DMSOを各ウェルあたり0.1mL添加した。プレートをプレートミキサー(Micro Mixer Model MX−4,三光純薬)で攪拌し、形成されたホルマザンを溶出させ、プレートリーダーSpectra MAX 250(和光)にて550nmと630nmでの吸光度の差を測定した。なお、MCS−2細胞の増殖抑制の結果は、薬剤無添加群でのMCS−2細胞数に対する各条件でのMCS−2細胞数の相対値をそれぞれの吸光度の相対値(%)として示した(MTTアッセイ)。
ICI−182780の添加濃度を固定し、化合物1の添加濃度を変えた場合のMCS−2細胞の増殖抑制曲線を図1に、化合物1の添加濃度を固定し、ICI−182780の添加濃度を変えた場合のMCS−2細胞の増殖抑制曲線を図2に示した。
図1から、ICI−182780を添加しない場合と比較して、ICI−182780の添加濃度が0.234nmol/L以上で、化合物1の添加によるMCS−2細胞の増殖抑制の促進が見られた。
図2から、化合物1を添加しない場合と比較して、化合物1の添加濃度が0.140nmol/L以上で、ICI−182780の添加によるMCS−2細胞の増殖抑制の促進が見られた。
(2)抗エストロゲン剤とステロイドスルファターゼ阻害剤の組み合わせによる併用療法の有効性評価に使用するアイソボログラム(Isoborogram)を、上記で得られた図1および図2のMCS−2細胞の増殖抑制曲線を元にして、インターナショナル・ジャーナル・オブ・ラジエーション・オンコロジー・バイオロジー・フィジクス(International Journal of Radiation Oncology Biology Physics)、85頁(1979年)、同1145頁(1979年)等に記載の方法に従って作成した。
抗エストロゲン剤単独添加、ステロイドスルファターゼ阻害剤単独添加それぞれにおけるMCS−2細胞の増殖を50%阻害する濃度(IC50値)、45%阻害する濃度(IC45値)、40%阻害する濃度(IC40値)、35%阻害する濃度(IC35値)、30%阻害する濃度(IC30値)、25%阻害する濃度(IC25値)、20%阻害する濃度(IC20値)、15%阻害する濃度(IC15値)、10%阻害する濃度(IC10値)および5%阻害する濃度(IC値)を、上記(1)の図1および図2のMCS−2細胞の増殖抑制曲線からプレートリーダーに付属する測定用ソフト(Soft Max Proの計算式)を用いて算出した。これらのIC値−IC50値を用い、上記文献に従ってIC50値のIsobologramを作成した。図3にそのIsobologramを示す。
(3)併用療法の有効性判定を、インターナショナル・ジャーナル・オブ・ラジエーション・オンコロジー・バイオロジー・フィジクス(International Journal of Radiation Oncology Biology Physics)、85頁(1979年)、同1145頁(1979年)等に記載の方法に従って、各薬剤の組み合わせにおけるIC50値での各薬剤の濃度を図3のIsobologram上にプロットすることにより行った。
ICI−182780の添加濃度を固定し化合物1の添加濃度を変えた場合のMCS−2細胞の増殖を50%阻害する濃度(IC50値)を、上記(2)で得られたIsobologram(図3)上にプロットしたものを図4に、化合物1の添加濃度を固定しICI−182780の添加濃度を変えた場合のMCS−2細胞の増殖を50%阻害する濃度(IC50値)を、上記(2)で得られたIsobologram(図3)上にプロットしたものを図5に示した。
なお、併用療法の有効性については、該プロットが、Isobologram上のモードIの線上より下側にある場合は、その併用に相加的効果(additive)があると判定され、さらにモードIIaの線上より下側にある場合は、その併用に相乗的効果(supra−additive)があると判定される。
図4から、ICI−182780の添加濃度を固定した場合、化合物1の添加による増殖抑制効果は相乗的であることが示された。
図5から、化合物1の添加濃度を固定した場合、ICI−182780の添加による増殖抑制効果は相乗的であることが示された。
試験例2:アロマターゼ阻害剤とステロイドスルファターゼ阻害剤の組み合わせによる乳癌細胞増殖抑制効果
ヒトステロイドスルファターゼを過剰発現する乳癌細胞株(MCS−2)に対するアロマターゼ阻害剤単独またはステロイドスルファターゼ阻害剤単独での増殖抑制活性と、アロマターゼ阻害剤との組み合わせにおけるステロイドスルファターゼ阻害剤の増殖抑制活性を比較した。アロマターゼ阻害剤としてはボロゾールを用い、ステロイドスルファターゼ阻害剤としては化合物1を用いた。
10mmol/Lエストロンスルフェート(シグマ)のDMSO溶液および10mmol/Lテストステロン(シグマ)のDMSO溶液を試験例1で用いたものと同じ培地Aで適宜希釈し、それぞれ最終濃度10−8mol/Lおよび最終濃度10−7mol/Lとなるように調製した(培地C)。
培地Aにて2.5×10cells/mLに希釈したMCS−2細胞を、24ウェルマイクロタイタープレート(NUNC)に各ウェルあたり100μLで播種した。37℃、湿度95%以上、5%CO条件下にあるインキュベーター内で24時間培養し、培地を新鮮なエストロンスルフェート(最終濃度:10−8mol/L)およびテストステロン(最終濃度:10−7mol/L)含有の培地C、またはエストロンスルフェートおよびテストステロン不含の培地Aに交換した。さらに培地Cに交換した各ウェルには、培地Aで希釈した被験薬剤[(i)アロマターゼ阻害剤単独添加、(ii)ステロイドスルファターゼ阻害剤単独添加、または(iii)アロマターゼ阻害剤とステロイドスルファターゼ阻害剤の共添加]を添加し、または(iv)無添加で、それぞれ37℃、湿度95%以上、5%CO条件下にあるインキュベーター内で168時間培養した。上記エストロンスルフェートおよびテストステロン不含の培地Aに交換したウェルには被験薬剤は添加せず、同様に培養しコントロールとした。培養終了後、細胞がはがれ落ちないように上清を除去し、リン酸緩衝液(GIBCO)にて細胞がはがれ落ちないようにリンスした後、0.25%トリプシン溶液(GIBCO)と0.02%エチレンジアミン四酢酸(EDTA、和光純薬)水溶液にて細胞をバラバラに懸濁した。各ウェルの細胞数をシスメックス社マイクロセルカウンターにて算出した。
エストロンスルフェートおよびテストステロン存在下にアロマターゼ阻害剤(ボロゾール)、ステロイドスルファターゼ阻害剤(化合物1)、またはボロゾールと化合物1を添加した場合のMCS−2細胞の細胞数を図6に示した(N=3)。
その結果、化合物1無添加の場合、ボロゾールの添加濃度の増加に関わらず、細胞増殖抑制は極めて弱く、ボロゾール濃度100nmol/Lの添加により増殖抑制傾向が見られたに過ぎない。一方、化合物1を添加した場合、ボロゾールの単独添加ではみられない大幅な増殖抑制が見られた。
本発明のホルモン依存性癌の治療剤および医薬組成物は、ステロイドスルファターゼ阻害剤とホルモン療法剤および/または化学療法剤それぞれの有効成分を含有するように製剤化したものであれば、単剤としてでも複数の製剤の組み合わせとしてでも使用、投与または製造することができる。これらの治療剤は、経口的または注射剤等の非経口的投与に対して適する単位服用形態にあることが望ましい。また、複数の製剤の組み合わせとして使用または投与する際には、同時にまたは時間を置いて別々に使用または投与することができる。
これら製剤は、それぞれ有効成分の他に製剤学的に許容される希釈剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、水、生理食塩水、植物油可溶化剤、等張化剤、保存剤、抗酸化剤等を用いて常法により作成することができる。
錠剤の調製にあたっては、例えば乳糖等の賦形剤、澱粉等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤等を常法に従って用いればよい。
注射剤の調製にあたっては、水、生理食塩水、植物油、溶剤、可溶化剤、等張化剤、保存剤、抗酸化剤等を常法により用いればよい。
化合物(I)、化合物(IA)もしくは化合物(IB)またはそれらの薬理学的に許容される塩は、上記の目的で用いる場合、通常、経口的または注射剤等として非経口的に投与可能であり、その有効容量および投与回数は投与形態、患者の年齢、体重、症状等により異なるが、通常一日当たり、0.01〜20mg/kgを投与するのが好ましい
【図面の簡単な説明】
図1 ICI−182780の添加濃度を0−1.801nmol/Lの範囲で固定し、化合物1の添加濃度を0.004−3.000nmol/Lの範囲で2/3倍列希釈した場合のMCS−2細胞の増殖抑制効果(N=3)を、MTTアッセイの結果として示したものである。グラフの縦軸は、薬剤無添加群でのMCS−2細胞数に対する各条件でのMCS−2細胞数の相対値をそれぞれの吸光度の相対値(%)として示したものであり、グラフの横軸は化合物1の添加濃度(nmol/L)を示す。グラフ上の各プロットはICI−182780の添加濃度(nmol/L)を示す。
−○−:ICI−182780無添加
−●−:ICI−182780の添加濃度0.030nmol/L
−◇−:ICI−182780の添加濃度0.051nmol/L
−◆−:ICI−182780の添加濃度0.084nmol/L
−−○−−:ICI−182780の添加濃度0.140nmol/L
−−●−−:ICI−182780の添加濃度0.234nmol/L
−□−:ICI−182780の添加濃度0.390nmol/L
−−□−−:ICI−182780の添加濃度0.649nmol/L
−△−:ICI−182780の添加濃度1.081nmol/L
−▲−:ICI−182780の添加濃度1.801nmol/L
図2 化合物1の添加濃度を0−1.081nmol/Lの範囲で固定し、ICI−182780の添加濃度を0.014−10.000nmol/Lの範囲で2/3倍列希釈した場合のMCS−2細胞の増殖抑制効果(N=3)を、MTTアッセイの結果として示したものである。グラフの縦軸は、薬剤無添加群でのMCS−2細胞数に対する各条件でのMCS−2細胞数の相対値をそれぞれの吸光度の相対値(%)として示したものであり、グラフの横軸はICI−182780の添加濃度(nmol/L)を示す。グラフ上の各プロットは以下に示す化合物1の添加濃度(nmol/L)を示す。
−○−:化合物1無添加、
−●−:化合物1の添加濃度0.018nmol/L
−◇−:化合物1の添加濃度0.030nmol/L
−◆−:化合物1の添加濃度0.051nmol/L
−−○−−:化合物1の添加濃度0.084nmol/L
−−●−−:化合物1の添加濃度0.140nmol/L
−□−:化合物1の添加濃度0.234nmol/L
−−□−−:化合物1の添加濃度0.389nmol/L
−△−:化合物1の添加濃度0.649nmol/L
−▲−:化合物1の添加濃度1.081nmol/L
図3 図1および図2のMCS−2細胞の増殖抑制曲線から算出した抗ICI−182780単独添加、化合物1単独添加におけるそれぞれのIC50値、IC45値、IC40値、IC35値、IC30値、IC25値、IC20値、IC15値、IC10値およびIC値を用い作成したIC50値のIsobologramである。グラフの縦軸は、ICI−182780のIC50値の画分を示し、グラフの横軸は化合物1のIC50値の画分を示す。
図4 図3のIsobologram上に、ICI−182780の添加濃度を0.030−1.801nmol/Lの範囲で固定し、化合物1の添加濃度を0.004−3.000nmol/Lの範囲で2/3倍列希釈した場合のMCS−2細胞の増殖を50%抑制する濃度(IC50値)を●として図1の増殖抑制曲線をもとにプロットしたものである。
図5 図3のIsobologram上に、化合物1の添加濃度を0.018−1.081nmol/Lの範囲で固定し、ICI−182780の添加濃度を0.014−10.000nmol/Lの範囲で2/3倍列希釈した場合のMCS−2細胞の増殖を50%抑制する濃度(IC50値)を●として図2の増殖抑制曲線をもとにプロットしたものである。
図6 エストロンスルフェートおよびテストステロン存在下で、ボロゾールと化合物1を併用(共添加)した場合のMCS−2細胞の増殖抑制効果を示したものである。グラフの縦軸は、MCS−2細胞の細胞数(×103cells/mL)示したものであり、グラフの横軸はコントロールまたはボロゾールの添加濃度(nmol/L)を示す。3種の棒グラフは、左から順に、それぞれ化合物1無添加、化合物1(添加濃度;3.0nmol/L)、化合物1(添加濃度;10.0nmol/L)の場合を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に製剤例を示すが、これらの製剤例は本発明を何ら限定するものではない。
製剤例1(錠剤)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。
化合物1 5mg
乳糖 60mg
馬鈴薯澱粉 30mg
ポリビニルアルコール 2mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
タール色素 微量
製剤例2(錠剤)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。
化合物1 5mg
タモキシフェン 10mg
乳糖 60mg
馬鈴薯澱粉 30mg
ポリビニルアルコール 2mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
タール色素 微量
製剤例3(注射剤)
常法により、次の組成からなる注射剤を調製する。
化合物1 2mg
D−マンニトール 10mg
塩酸水溶液 適量
水酸化ナトリウム水溶液 適量
注射用蒸留水 適量
【産業上の利用可能性】
本発明により、ステロイドスルファターゼ阻害剤を単独で、またはホルモン療法剤および/もしくは化学療法剤を単独で使用する場合より優れたホルモン依存性癌の治療作用を示す、(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤と(b)ホルモン療法剤および/もしくは化学療法剤とからなるホルモン依存性癌の治療剤等が提供される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤と(b)ホルモン療法剤および/もしくは化学療法剤とからなる同時にまたは時間を置いて別々に投与するためのホルモン依存性癌の治療剤。
【請求項2】
(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/もしくは化学療法剤を同時にまたは時間を置いて別々に投与することを特徴とするホルモン依存性癌の治療方法。
【請求項3】
ホルモン療法剤および/もしくは化学療法剤と同時にまたは時間を置いて別々に併用するためのステロイドスルファターゼ阻害剤。
【請求項4】
(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤からなる第1成分と、(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤からなる第2成分とを有することを特徴とするホルモン依存性癌の治療用キット。
【請求項5】
(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤を含有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項6】
ホルモン依存性癌の治療剤の製造のための、(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤の使用。
【請求項7】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、式(I)

[式中、Xは燐原子または硫黄原子を表し、Xが燐原子であるときYはヒドロキシであり、Xが硫黄原子であるときYはオキソであり、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリールまたは−NR(式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニルまたは置換もしくは非置換のアリールを表すか、またはRとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)を表し、−O−Rは、単環式アルコールの残基または多環式アルコールの残基を表す]で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲1記載のホルモン依存性癌の治療剤。
【請求項8】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲7記載の式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲2記載のホルモン依存性癌の治療方法。
【請求項9】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲7記載の式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲3記載のステロイドスルファターゼ阻害剤。
【請求項10】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲7記載の式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲4記載の治療用キット。
【請求項11】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲7記載の式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲5記載の医薬組成物。
【請求項12】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲7記載の式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲6記載の(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤の使用。
【請求項13】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、式(IA)

(式中、−O−R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲1記載のホルモン依存性癌の治療剤。
【請求項14】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲13記載の式(IA)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲2記載のホルモン依存性癌の治療方法。
【請求項15】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲13記載の式(IA)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲3記載のステロイドスルファターゼ阻害剤。
【請求項16】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲13記載の式(IA)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲4記載の治療用キット。
【請求項17】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲13記載の式(IA)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲5記載の医薬組成物。
【請求項18】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲13記載の式(IA)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲6記載の(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤の使用。
【請求項19】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、式(IB)

[式中、RおよびRはそれぞれ前記と同義であり、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−NR(式中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)、−OR(式中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)または−SR8A(式中、R8Aは前記Rと同義である)を表す]で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲1記載のホルモン依存性癌の治療剤。
【請求項20】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲19記載の式(IB)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲2記載のホルモン依存性癌の治療方法。
【請求項21】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲19記載の式(IB)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲3記載のステロイドスルファターゼ阻害剤。
【請求項22】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲19記載の式(IB)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲4記載の治療用キット。
【請求項23】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲19記載の式(IB)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲5記載の医薬組成物。
【請求項24】
ステロイドスルファターゼ阻害剤が、請求の範囲19記載の式(IB)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する組成物である請求の範囲6記載の(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤の使用。
【請求項25】
ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、プロゲステロン製剤、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)アゴニスト製剤からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上である請求の範囲1、7、13または19記載のホルモン依存性癌の治療剤。
【請求項26】
ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、プロゲステロン製剤、LH−RHアゴニスト製剤からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上である請求の範囲2、8、14または20記載のホルモン依存性癌の治療方法。
【請求項27】
ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、プロゲステロン製剤、LH−RHアゴニスト製剤からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上である請求の範囲3、9、15または21記載のステロイドスルファターゼ阻害剤。
【請求項28】
ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、プロゲステロン製剤、LH−RHアゴニスト製剤からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上である請求の範囲4、10、16または22記載の治療用キット。
【請求項29】
ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、プロゲステロン製剤、LH−RHアゴニスト製剤からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上である請求の範囲5、11、17または23記載の医薬組成物。
【請求項30】
ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、抗アンドロゲン剤、プロゲステロン製剤、LH−RHアゴニスト製剤からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上である請求の範囲6、12、18または24記載の(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤の使用。
【請求項31】
ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤および/またはアロマターゼ阻害剤である請求の範囲1、7、13または19記載ホルモン依存性癌の治療剤。
【請求項32】
ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤および/またはアロマターゼ阻害剤である請求の範囲2、8、14または20記載のホルモン依存性癌の治療方法。
【請求項33】
ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤および/またはアロマターゼ阻害剤である請求の範囲3、9、15または21記載のステロイドスルファターゼ阻害剤。
【請求項34】
ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤および/またはアロマターゼ阻害剤である請求の範囲4、10、16または22記載の治療用キット。
【請求項35】
ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤および/またはアロマターゼ阻害剤である請求の範囲5、11、17または23記載の医薬組成物。
【請求項36】
ホルモン療法剤が、抗エストロゲン剤および/またはアロマターゼ阻害剤である請求の範囲6、12、18または24記載の(a)ステロイドスルファターゼ阻害剤ならびに(b)ホルモン療法剤および/または化学療法剤の使用。

【国際公開番号】WO2004/035089
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【発行日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544926(P2004−544926)
【国際出願番号】PCT/JP2003/012986
【国際出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】