説明

ホルモン感受性リパーゼ阻害剤としてのメチルフェニルカルバミン酸5−(4−イソブチル−2,6−ジオキソピペラジン−1−イル)ピリジン−2−イルエステルおよび塩

新規メチルフェニルカルバミン酸、それらを含む医薬組成物および、ホルモン感受性リパーゼに関連する疾患および障害の治療および/または予防におけるその使用。より詳しくは、当該化合物はホルモン感受性リパーゼの活性の調節が有益な疾患および障害の治療および/または予防のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は特許請求の範囲の請求項1で言及した新規化合物、これらの化合物を含む医薬組成物、これらの化合物の医薬組成物としての使用、およびこれらの化合物および組成物を使用する治療方法に関する。本化合物はホルモン感受性リパーゼに強い阻害を示す。結果として、当該化合物はホルモン感受性リパーゼに関連する疾患および障害の治療および/または予防のために有用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
哺乳類の系の全体的なエネルギー恒常性は、高度な調節を必要とし、それにより適切な時期での適切な基質の利用能を保証している。血漿グルコ-ス濃度は、食後状態の間に上昇し、2〜3時間内に食前の濃度に戻る。これらの2〜3時間の間に、インスリンが、骨格筋および脂肪組織によるグルコース取り込みを促進し、遊離脂肪酸(FFA)の脂肪細胞からの放出を減少し、それにより当該二つの物質が互いに競合しないことを保証する。血漿グルコース濃度が減少するときに、血漿FFAの上昇が多様な組織によるグルコースからの脂肪利用へのスイッチのために必要である。
【0003】
インスリン抵抗性を有する個体においては、FFA濃度は、正常な個体においてそれらかするようにはインスリンに対する応答において減少せず、骨格筋、脂肪および肝臓によるグルコースの正常な利用が阻害される。更に、インスリン感受性と血漿FFA濃度の間には負の相関が存在する。
【0004】
ホルモン感受性リパーゼ(HSL)は酵素であり、脂肪組織、マクロファージ、筋、副腎、精巣および島において発現される (Kraemer and Shen、J. Lipid Res. 2002、43、1585-1594)。脂肪細胞において、HSLがトリグリセリドからグリセロールおよび脂肪酸への変換を触媒する。この酵素の調節を介して、循環するFFAの濃度が調節される。インスリンは、HSLの不活性化を導き、それに続き、食後状態の間に血漿FFA濃度が低下し、続いて、後吸収期の間に当該インスリン濃度が低下およびカテコールアミンが上昇する時に当該酵素が活性化する。当該HSLの活性化は、血漿FFA上昇を招き、それにより、それらが空腹時の主なエネルギー源となる。
【0005】
HSLの活性化−不活性化は、主に、cAMPタンパク質キナーゼAとAMP依存性キナーゼ経路を介して仲介される。ニコチン酸様化合物およびその誘導体が存在するが、それらはこれらの経路を介してHSLの活性化を低下し、脂肪分解を低下を引き起こし、FFA濃度の減少を導く。これらの薬物は、グルコースの利用およびFFAの増加した患者において見られる過剰なトリグリセリド合成の正常化において有利な効果を有する。しかしながら、これらの経路は生体における他の過程によっても使用さるため、これらの薬物は重篤な副作用を有する。
【0006】
国際公開番号WO 03/051841 (Novo Nordisk A/S)の国際特許出願における式 XXXXIVa-b (請求項266、右側の式)は、あるカルバミン酸2-ピリジルエステルに関する。WO2004/111031 (Novo Nordisk A/S)は、あるメチルフェニル-カルバミン酸 2-ピリジルエステルに関する。これらの2つの出願は何れも、特に以下の例1または例2の当該化合物を製造するものではない。
【0007】
本発明の目的は、従来技術の不都合の少なくとも1を克服または改善すること、または例えば、以下のような有益な代替物を提供することである:
I) HSLの脂肪分解活性を阻害する化合物および医薬組成物を提供すること、または
II) 溶解性、生物学的利用能、特異性などの良好な薬学的性質を有する化合物を提供すること。
【発明の開示】
【0008】
定義
ここで使用される場合、用語「疾患」、「状態」および「障害」は、相互交換可能に、ヒトとして正常な生理的状態ではない患者の特定の状態のために使用される。
【0009】
ここで使用される場合、用語「治療」は、進行した疾患、状態または障害を有する患者の管理およびケア、並びに前記疾患、状態または障害の臨床的な発症前に当該疾患、状態または障害が進行する危険性のある個体の管理およびケアを意味する。治療の目的は、当該疾患、状態または障害と闘うこと、並びに当該疾患、状態または障害の進行と闘うことである。治療は、当該活性化合物を投与し症状または合併症の発症を予防または遅延すること、および当該疾患、状態または障害を消失若しくは管理すること、並びに当該疾患、状態または障害に関連する症状または合併症を緩和することを含む。
【0010】
ここで使用する場合、用語「有効量」は、未治療と比べて有効であるべき、当該患者の治療のために充分な用量を意味する。
ここで使用する場合、用語「調節」は、パラメータに影響すること、即ち、パラメータを調節することを意味し、所望の方法においてそのパラメータに影響することを意味する。例えば、β細胞からのインスリン分泌を調節すること、および遊離脂肪酸の血漿濃度を調節することである。
【0011】
ここで使用する場合、用語「医薬」は、患者に対して薬学的に活性な化合物を投与するために適切な医薬組成物を意味する。
【0012】
ここで使用する場合、用語「薬学的に許容される」は、正常な薬学的適用のために適切な、即ち、患者などにおいて有害でない現象を与えることを意味する。
【0013】
発明の詳細な説明
一つの側面において、本発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載の化合物に関する。
【0014】
もう一つの側面において、本発明は、本発明の化合物または薬学的に共用されるその塩を薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物に関する。
【0015】
本発明の更に詳しい態様、側面および特徴は以下の態様a)〜bb)である:
a) 単位用量形態における医薬組成物であって、約0.05〜約2000mg、好ましくは約0.1〜約500mg、更に好ましくは約1.0〜約100mgの本発明に従う前記化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、ここで記載される医薬組成物。
【0016】
b) トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、コレステロールアシルエステルまたはステロイドアシルエステルに対するホルモン感受性リパーゼの脂肪分解性活性を阻害するための医薬として使用されるためのここで記載される医薬組成物、本発明に従う化合物または薬学的に許容されるその塩を薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物。
【0017】
c) 経口投与のためのここに記載される医薬組成物。
【0018】
d) 経鼻、経皮、経肺または非経口投与のためのここで記載される医薬組成物。
【0019】
e) 医薬組成物の製造のための本発明に従う化合物の使用。
【0020】
f) ホルモン感受性リパーゼを阻害するための本発明に従う化合物の使用。
【0021】
g) トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、コレステロールアシルエステルまたはステロイドアシルエステルに対するホルモン感受性リパーゼの脂肪分解性活性を阻害するための医薬組成物の製造のための本発明に従う化合物の使用。
【0022】
h) a)遊離脂肪酸、グリセロール、LDL-コレステロール、HDL-コレステロール、インスリンおよび/またはグルコースの血漿濃度を調節すること; および/または b)細胞内トリアシルグリセロールおよびコレステロールエステル貯蔵、細胞内脂肪酸、脂肪酸エステル、例えば、ジアシルグリセロール、ホスファチジン酸、長鎖アシル-CoA’およびシトラートまたはマロニル-CoAを調節すること; および/または c)脂肪組織、骨格筋、肝臓または膵β細胞におけるインスリン感受性を増加すること; および/または d) 膵β細胞からのインスリン分泌を調節すること;が望ましい何れかの障害を治療または予防するための医薬組成物の製造のための本発明に従う化合物の使用。
【0023】
i) 上記の使用であって、ここで、前記障害が以下からなる群より選択される使用;インスリン抵抗性、1型糖尿病、2型糖尿病、代謝性症候群X、障害性のグルコース耐性、高血糖、異脂肪血症、肥満症、アテローム性動脈硬化、高血圧症、リポタンパク質代謝異常およびその何れかの組み合わせ。
【0024】
j) 異脂肪血症の治療および/または予防のための医薬組成物の製造のための本発明に従う化合物の使用。.
k) 高脂質血症の治療および/または予防のための医薬組成物の製造のための本発明に従う化合物の使用。
【0025】
l) 高血糖の治療および/または予防のための医薬組成物の製造のための本発明に従う化合物の使用。
【0026】
m) HbA1cを低下するための本発明に従う化合物の使用。
【0027】
n) 障害性のグルコース耐性の治療および/または予防のための医薬組成物の製造のための本発明に従う化合物の使用。
【0028】
o) 代謝性シンドロームXの治療および/または予防のための医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用。
【0029】
p) アテローム性動脈硬化症の治療および/または予防のための医薬組成物の製造のための本発明に従う化合物の使用。
【0030】
q) 障害性のグルコース耐性から2型糖尿病への進行の遅延または予防のための医薬組成物の製造のための本発明に従う化合物の使用。
r) 非インスリン要求性2型糖尿病からインスリン要求性2型糖尿病への進行の遅延または予防のための医薬組成物の製造のための本発明に従う化合物の使用。
【0031】
s) 上に示した何れか1つに従う使用であって、ここで、更に抗糖尿病、抗肥満症薬、抗高血圧症薬または食欲調節薬が使用される使用。
【0032】
t) 上に示した何れか1つに従う使用であって、ここで、メトホルミンが使用される使用。
【0033】
u) 2型糖尿病の治療および/または予防のための医薬組成物の製造。
【0034】
v) ホルモン感受性リパーゼの活性化の調節が望まれるここで記載されるような患者の障害治療方法であって、当該方法が、本発明に従う化合物または薬学的に許容されるその塩の治療学的有効量をそれを必要とする対象に対して投与することを具備する方法。
【0035】
w) ホルモン感受性リパーゼの活性の低下が望まれるここで記載の患者の障害を治療する方法であって、当該方法が、本発明に従う化合物または薬学的に許容されるその塩の治療学的有効量をそれを必要とする対象に対して投与することを具備する方法。
【0036】
x) 上記方法であって、ここで、前記投与が経口、経鼻、経皮、経肺または非経口経路により実施される方法。
【0037】
y) 上記方法であって、ここで、前記障害が以下からなる群より選択される方法;インスリン抵抗性、1型糖尿病、2型糖尿病、代謝性シンドロームX、障害性のグルコース耐性、高血糖、異脂肪血症、肥満症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、リポタンパク質代謝異常およびその何れかの組み合わせ。
【0038】
z) 上記何れか1つの方法であって、 ここで、当該化合物の治療学的有効量が1日当たり約0.05〜約2000 mg、好ましくは約0.1 〜約500 mgおよび更により好ましくは約1.0 〜約100 mgの前記化合物である方法。
【0039】
aa) 上記何れか1つの方法であって、ここで、更に抗糖尿病薬、抗肥満症薬、降圧剤または食欲調節薬が当該患者に投与される方法。
【0040】
bb) 上記何れか1つの方法であって、ここで、メトホルミンもまた当該患者に投与される方法。
【0041】
本発明はまた、式Iの当該化合物の薬学的に許容される塩も含む。そのような塩は、薬学的に許容される酸付加塩、薬学的に許容される塩、薬学的に許容される金属塩、アンモニウムおよびアルキル化アンモニウム塩を含む。酸付加塩は、無機酸塩、並びに有機酸塩を含む。代表的な例である適切な無機酸は、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、リン酸、硫酸、硝酸などを含む。代表的な例である適切な有機酸は、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、琥珀酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモ酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、スルフエート、ニトラート、ホスフエート、、ペルクロラート、ボラート、アセテート、ベンゾエート、ヒドロキシルナフトエート、グリケロホスフエート、ケトグルタレートなどを含む。薬学的に許容される無機または有機の酸付加塩の更なる例は、以下に収載される薬学的に許容される塩を含む:J. Pharm. Sci. 1977、66、2:これは参照することによりここに組み込まれる。例である金属塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム塩などを含む。アミンおよび有機アミンの例は、以下を含む;アンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、テトラメチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、エチレンジアミン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、N-ベンジルフェニルエチルアミン、N-メチル-D-グルカミン、グアニジンなど。陽イオン性のアミノ酸の例は以下を含む:リジン、アルギニン、ヒスチジンなど。
【0042】
適用可能な酸付加塩は、溶媒中、例えば、エチルアセテート、エーテル、アルコール、アセトン、THF、ジオキサンなどの中で、強酸で処理することにより調製する。溶媒の混合物も使用してよい
式Iの化合物の詳細な例は、以下の通りである:メチル-フェニル-カルバミン酸 5-(4-イソ-ブチル-2,6-ジオキソ-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イル エステルのトリフルオロ酢酸塩; メチルフェニルカルバミン酸 5-(4-イソブチル-2,6-ジオキソピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル エステルの塩酸塩; メチルフェニルカルバミン酸 5-(4-イソブチル-2,6-ジオキソピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル エステルの臭化水素酸塩; メチルフェニルカルバミン酸 5-(4-イソブチル-2,6-ジオキソピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イルエステルのヨウ化水素酸塩;メチルフェニルカルバミン酸 5-(4-イソブチル-2,6-ジオキソピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル エステルのリン酸塩; メチル-フェニル-カルバミン酸 5-(4-イソ-ブチル-2,6-ジオキソ-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イル エステルの硫酸塩; メチル-フェニル-カルバミン酸 5-(4-イソ-ブチル-2,6-ジオキソ-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イル エステルの硝酸塩; メチル-フェニル-カルバミン酸 5-(4-イソ-ブチル-2,6-ジオキソ-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イル エステルのギ酸塩; メチル-フェニル-カルバミン酸 5-(4-イソ-ブチル-2,6-ジオキソ-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イル エステルの酢酸塩; メチル-フェニル-カルバミン酸 5-(4-イソ-ブチル-2,6-ジオキソ-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イル エステルのトリクロロ酢酸塩; メチル-フェニル-カルバミン酸 5-(4-イソ-ブチル-2,6-ジオキソ-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イル エステルのプロピオン酸塩; メチル-フェニル-カルバミン酸 5-(4-イソ-ブチル-2,6-ジオキソ-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イル エステルの安息香酸塩; メチル-フェニル-カルバミン酸 5-(4-イソ-ブチル-2,6-ジオキソ-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イル エステルのメタンスルホン酸塩; メチル-フェニル-カルバミン酸 5-(4-イソ-ブチル-2,6-ジオキソ-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イル エステルのエタンスルホン酸塩; メチル-フェニル-カルバミン酸 5-(4-イソ-ブチル-2,6-ジオキソ-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イルエステルのベンゼンスルホン酸塩およびメチル-フェニル-カルバミン酸 5-(4-イソ-ブチル-2,6-ジオキソ-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イル エステルのp-トルエンスルホン酸塩。
【0043】
本発明の一部分を形成する式Iの化合物の種々の多型は、異なる条件下で本発明の式Iの化合物を結晶化することにより製造してよい。例えば、通常使用される異なる溶媒やまたはそれらの混合物を使用しての結晶化; 異なる温度での結晶化; 冷却の種々の方法、超急速から非常に遅い速度での結晶化;などによる。多形はまた、当該化合物を加温または融解した後に徐々にまたは急速に冷却することにより得られてもよい。多型の存在は、ソリッドプローブNMR分光法、IR分光法、ディファレンシャルスキャニング熱量測定、粉末X線回折などまたはそのような他の技術により測定することが可能である。
【0044】
本発明はまた、本化合物のプロドラッグも含み、これは投与において、活性薬理学的物質になる前の代謝過程により化学的変換を受ける。一般的には、そのようなプロドラッグは、本化合物の機能誘導体であり、これはインビボにおいて容易に所望の当該式Iの化合物に変換され得る。適切なプロドラッグ誘導体の慣習的な選択および製造のための手順は、例えば、以下に記載される;「Design of Prodrugs」、ed. H. Bundgaard、Elsevier、1985。
本発明はまた、本化合物の活性代謝産物も含む。
【0045】
本発明はまた、活性成分として少なくとも1つの式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を1以上の薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物に関する。
【0046】
更に本発明は、式Iの化合物またはそれらの多形、それらの薬学的に供される塩をその溶媒和化合物を、血漿FFAの濃度を減少することが望ましい、例えば、上述の状態のよう状態などの、障害の治療および/または予防のための医薬組成物の製造のための使用に関する。
【0047】
もう一つの側面において本発明は、2型糖尿病、インスリン抵抗性、代謝性症候群 X、障害されたグルコ-ス耐性、異脂肪血症およびリポタンパク質代謝異常の治療および/または予防の方法に関する。
【0048】
更なる側面において本発明は、2型糖尿病、インスリン抵抗性、代謝性症候群 X、障害されたグルコ-ス耐性、異脂肪血症およびリポタンパク質代謝異常の治療および/または予防のための医薬組成物の製造のための式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の1以上の使用に関する。
【0049】
更なる側面において本化合物は、障害されたグルコ-ス耐性から2型糖尿病への進行の遅延または予防のために有用である。
【0050】
更なる側面において、本化合物は、非インスリン要求性2型糖尿病からインスリン要求性2型糖尿病への進行の遅延または予防のために有用である。
【0051】
もう一つの側面において、本化合物は、トリグリセリド濃度を減少し、それによって糖尿病および/または肥満症などの病気および障害の治療および/または予防のために有用である。
【0052】
更なるもう一つの側面において、本発明の当該化合物は、高血糖、HBA1C濃度の上昇、高インスリン血症、1.5型糖尿病、成人における不顕性自己免疫性糖尿病、成熟期発症糖尿病(maturity onset diabetes)、β細胞アポトーシス、糖尿病を含み血色素症、障害されたグルコース耐性、障害された空腹時グルコース、代謝性症候群 X、インスリン抵抗性、障害された脂質耐性、嚢胞性線維症関連糖尿病、多嚢胞性症候群および妊娠性糖尿病の治療のために有用である。
【0053】
更なるもう一つの側面において、本発明の当該化合物は、肥満症、異脂肪血症、糖尿病性異脂肪血症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、高リポタンパク質血症、高コレステロール血症、高血圧症、本態性高血圧症、急性高血圧緊急時(acute hypertensive emergency)、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、間欠性跛行(アテローム性動脈硬化性閉塞(atherosclerosis oblitterens))、循環器病、心筋症、心臓肥大、左心室肥大、冠動脈疾患、初期冠状動脈疾患、心不全、運動負荷、慢性心不全、軽症慢性心不全、不整脈、心臓調律異常(cardiac dysrythmia)、シンコピー(syncopy)、心発作、心筋梗塞、Q波心筋梗塞、脳卒中、急性冠動脈症候群、狭心症、不安定狭心症、心臓バイパス再閉塞、拡張期障害、収縮期障害、非Q波心筋梗塞、術後分解性変化(catabolic changes after surgery)、急性膵炎および過敏性大腸炎症候群の治療のために有用である。
【0054】
更なるもう一つの側面において、本発明の当該化合物は、糖尿病性網膜症、バックグラウンド網膜症(background retinopathy)、前増殖型網膜症(preproliferative retinopathy)、増幅型網膜症(proliferative retinopathy)、横斑性浮腫(macular edema)、白内障、腎障害、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎障害、ミクロアルブミン尿症、マクロアルブミン尿症、ニューロパチー、糖尿病性ニューロパチー、遠心性対称性感覚運動多発ニューロパチー、および糖尿病性自律神経性ニューロパチーの治療のために有用であってよい。
【0055】
更なるもう一つの側面において、本発明の当該化合物は、患者におけるβ細胞の数の増加、患者におけるβ細胞のサイズの増加、またはβ細胞増殖への刺激、それを必要とする患者におけるβ細胞機能およびインスリン分泌の調節のために有用であり、そのような方法は、それを必要とする患者に対して本発明の当該化合物の有効量を投与することを具備する。
【0056】
本発明の当該化合物はまた、それを必要とする患者における体重減少のために有用である。
【0057】
本発明の当該化合物はまた、上述の疾患の中枢性治療のために有用である。
【0058】
本発明の当該化合物はまた、それを必要とする患者における脂肪の再分布のために有用である。
【0059】
本発明の当該化合物はまた、それを必要とする患者における中枢性脂肪(central fat)の再分布のために有用である。
【0060】
本発明の当該化合物はまた、中枢性肥満症を減少または予防するために有用である。
【0061】
本発明の当該化合物はまた、摂食後の血清脂質の可動域を減少するために有用である。
【0062】
本発明の当該化合物はまた、脂肪酸酸化障害、例えば、MCADなどの治療のために有用である。
【0063】
更なるもう一つの側面において、本発明の当該化合物は、コレステロールが前駆体である疾患、状態または障害の治療のために有用である。そのような疾患、状態または障害はテストステロンに関係してよく、例えば、男性の避妊、過剰なテストステロン濃度、PCOSおよび前立腺癌などに関してよい。それらはまた、コルチゾールまたはコルチコトロピン、例えば、クッシング疾患に関してもよい。
【0064】
本発明の当該化合物はまた、癌の治療のために有用である。従って、本発明の当該化合物は、インスリノーマ(膵島細胞腫)、例えば、悪性インスリノーマおよび多発性インスリノーマ、脂肪細胞癌、例えば、リポカルカルコノーマ(lipocarcinoma)の治療のために有用であってもよい。
【0065】
本発明の当該化合物はまた、褐色細胞種およびカテコールアミン内分泌の増加を伴う他の疾患の治療のために使用されてもよい。
【0066】
本発明の当該化合物はまた、前立腺癌、例えば、アデノカルシノーマの治療のために有用である。
【0067】
更なるもう一つの側面において、本発明の当該化合物は、肝脂肪変性の治療のために使用されてもよい。
【0068】
更なるもう一つの側面において、本発明の当該化合物は、肝硬変の治療のために使用されてもよい。
【0069】
更なるもう一つの側面において、本発明の当該化合物は、AIDSまたはAIDS関連疾患、状態または障害の治療のために使用されてもよい。
【0070】
更なるもう一つの側面において、本発明の当該化合物は、脂肪異栄養症治療のために使用されてもよい。
【0071】
更なるもう一つの側面において、本発明の当該化合物は乳酸アシドーシスの治療のために試用されてもよい。
【0072】
更なる側面において、本発明の当該化合物はCNS疾患、状態または障害の治療のために使用されてもよい。
【0073】
従って、本発明の当該化合物はパーキンソン病、アルツハイマー病、ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)、摂食障害、例えば、過食症、食欲不振症など、鬱病、不安、認知記憶障害、加齢関連認知低下、軽度認知障害および統合失調症などの治療のために使用されてよい。
【0074】
もう一つの側面において、本発明の当該化合物は、炎症性障害、例えば、関節リウマチ、乾癬、全身性炎症性応答症候群、敗血症などの治療のために使用してよい。
【0075】
本発明の当該化合物はまた、1以上の更なる薬学的活性物質、例えば、抗肥満薬、抗糖尿病薬、抗高血圧薬、糖尿病から生じるおよび関連する合併症の治療および/または予防のための薬などから、肥満症から生じるおよび関連する合併症および障害を治療および/または予防するための薬などから選択される1以上の更なる薬学的活性物質と組み合わせて投与されてもよい。
【0076】
従って、本発明の更なる側面において、本発明の当該化合物は、1以上の抗肥満薬または食欲調節薬と組み合わせて投与されてもよい。
【0077】
そのような薬剤は、以下からなる群より選択されてよい:CART (コカイン・アンフェタミン調節転写物(cocaine amphetamine regulated transcript)アゴニスト、NPY (ニューロペプチド Y)アンタゴニスト、MC4 (メラノコルチン4) アゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、TNF(腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF (コルチコトロピン放出因子)アゴニスト、CRF BP (コルチコトロピン放出因子結合タンパク質)アンタゴニスト、ウロコルチン(urocortin)アゴニスト、β3 アゴニスト、MSH (メラノサイト−刺激ホルモン)アゴニスト、MCH (メラノサイト・コンセントレーティング・ホルモン(melanocyte-concentrating hormone))アンタゴニスト、CCK (コレシストキニン)アゴニスト、セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、混合されたセロトニンおよびノルアドレナリン作動性化合物、5HT(セロトニン)アゴニスト、ボンベシンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、成長ホルモン放出化合物、TRH (サイレオトロピン放出ホルモン(thyreotropin releasing hormone)アゴニスト、UCP 2または3(脱共役(uncoupling) タンパク質 2または3)モジュレーター、レプチンアゴニスト、DA アゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、RXR (レチノイドX 受容体)モジュレーターまたはTR β アゴニスト。
【0078】
本発明の1態様において、抗肥満症薬はレプチンである。
もう一つの態様において、抗肥満症薬はデキサムフェット(dexamphet)アミンまたはアンフェタミンである。
【0079】
もう一つの態様において、抗肥満症薬はフェンフルラミン(fenfluramine)またはデキセフェンフルラミン(dexfenfluramine)である。
【0080】
更なるもう一つの態様において、抗肥満症薬はシブトラミン(sibutramine)である。
【0081】
更なる態様において、抗肥満症薬はオルリスタット(orlistat)である。
【0082】
もう一つの態様において、肥満症薬はマジンドールまたはフェンテルミン(phentermine)である。
【0083】
適切な抗糖尿病薬は、インスリン、エキセンジン-4(exendin-4)、GLP-1 (グルカゴン様ペプチド-1)およびその誘導体を含み、例えば、WO 98/08871 (Novo Nordisk A/S)に開示される物質、これは引用によりここに組み込まれ、並びに、経口活性低血糖薬を含む。
【0084】
当該経口活性低血糖薬は、好ましくはスルホニルウレア、ビグアニド、メグリチニド、グルコシダーゼ阻害剤、グルカゴンアンタゴニスト、例えば、WO 99/01423(Novo Nordisk A/S and Agouron Pharmaceuticals、Inc.)に開示されるもの、GLP-1 アゴニスト、カリウムチャンネルオープナー、例えば、WO 97/26265およびWO 99/03861(Novo Nordisk A/S)に開示されるもの(これらは引用することによりここに組み込まれる)、DPP-IV (ジペプチジルペプチダーゼ-IV)阻害剤、糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関連する肝臓酵素阻害剤の阻害剤、グルコ-ス取り込みモジュレーター、抗高脂血症薬および抗脂肪血症剤などの脂質代謝を修飾する化合物、例えば、HMG CoA 阻害剤(スタチン類)、食物摂取を低下する化合物、RXR アゴニストおよびβ細胞のATP-依存性カリウムチャンネルにおいて作用する薬などを含む。
【0085】
本発明の1態様において、本発明の当該化合物はインスリンと組み合わせて投与される。
【0086】
更なる態様において、本当該化合物はスルホニルウレア、例えば、トルムタミド、グリベンクラミド、グリピジドまたはグリカジドなどと組み合わせて投与される。
【0087】
もう一つの態様において、本当該化合物は、ビグアニド、例えば、メトホルミンと組み合わせて投与される。
【0088】
更なるもう一つの態様において、本当該化合物は、メグリチニド、例えば、レパグリニドまたはセナグリニド(senaglinide)と組み合わせて投与される。
【0089】
更なる態様において、本化合物はα−グルコシダーゼ阻害剤、例えば、ミグリトールまたはカルボースと組み合わせて投与される。
【0090】
もう一つの態様において、本化合物は、β細胞のATP依存性カリウムチャンネルにおいて作用する薬剤、例えば、トルムタミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリカジドまたはレパグリニドと組み合わせて投与される。
【0091】
更に、本化合物は、ナテグリニド(nateglinide)と組み合わせて投与される。
【0092】
更なるもう一つの態様において、本化合物は、抗高脂血症薬または抗脂質血症薬、例えば、コレスチラミン、コレスチポール、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、プロブコールまたはデキストロチロキシンオキシンと組み合わせて投与される。
【0093】
更なる態様において、本化合物は、上述の化合物の1以上と組み合わせて投与され、例えば、スルホニルウレアとメトホルミン、スルホニルウレアとアカルボース、レパグリニドとメトホルミン、インスリンとスルホニルウレア、インスリンとメトホルミン、インスリン、インスリンおよびロバスタチンなどの組み合わせにおいて投与される。
【0094】
更に、本化合物は、1以上の抗高血圧症薬と組み合わせて投与されてもよい。抗高血圧薬の例は、βブロッカー、例えば、アルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドール、プロプラノロールおよびメトプロロール、ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤、例えば、ベナゼプリル、カプトプリル、アラートリオプリル(alatriopril)、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリルおよびラミプリル(ramipril)、カルシウムチャンネルブロッカー、例えば、ニフェジピン、フェロジピン(felodipine)、ニカルジピン、イスラジピン(isradipine)、ニモジピン(nimodipine)、ジルチアゼム(diltiazem)およびベラパミル、およびαブロッカー、例えば、オキサゾシン、ウラピジル(urapidil)、プラゾシン(prazosin)およびテラゾシン(terazosin)などである。更なる参考は、レミントン(Remington: The Science and Practice of Pharmacy、19th Edition、Gennaro、Ed.、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1995)が挙げられる。
【0095】
何れかの適切な本発明に従う当該化合物と1以上の上述の化合物および任意の1以上の更なる薬理活性物質との何れか適切な組み合わせが本発明の範囲に含まれるべきであるとみなされることが理解されるべきである。
【0096】
本発明の当該化合物は、単独で投与されてもよく、または薬学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせて、単回投与量または複数回の投与量で投与されてもよい。本発明に従う当該医薬組成物は、薬学的に許容される担体または希釈剤、並びに何れかの他の公知の補助剤および賦形剤と、レミントンに開示されるもののような通常の技術に従って製剤化されてもよい(Remington, The Science and Practice of Pharmacy、19th Edition、Gennaro、Ed.、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1995)。当該組成物は、通常の形態、例えば、カプセル、錠剤、エアロゾル、溶液、懸濁液または局所的な適用であってもよい。
【0097】
当該医薬組成物は、何れか適切な経路、例えば、経口、経直腸、経鼻、経肺、局所(バッカルおよび舌下を含む)、経皮、嚢内、腹腔内、膣内および非経口(皮下、筋肉内、くも膜下腔内、静脈内および皮内を含む)経路による投与のために特定の目的をもって製剤化されてもよいが、経口経路が好ましい。好ましい経路は一般的な状態および治療されるべき当該対象の年齢、治療されるべき状態の性質、および選択された活性成分に依存するであろうことは理解されるであろう。
【0098】
経口投与のための医薬組成物は、固体の投与形態、例えば、カプセル、錠剤、糖衣錠、ピル、口内錠、粉末および顆粒を含む。適切である場合、それらは、例えば、腸溶コーティングなどのコーティングを施されてもよく、またはそれらは、当該活性成分が調節された放出、例えば、持続する若しくは延長された放出を提供するように当該分野で周知の方法に従って製剤化されてもよい。
【0099】
経口投与のための液体投与形態は、溶液、エマルジョン、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤を含む。
【0100】
非経口投与のための医薬組成物は、滅菌した水性および非水性注射可能な溶液、分散系、懸濁剤、またはエマルジョン、並びに使用前に滅菌された注射可能な溶液または分散系に再構成されるべき滅菌粉末を含む。デポの注射可能な製剤もまた、本発明の範囲内であると考えられる。
【0101】
その他の適切な投与形態は、坐薬、スプレー、軟膏、ゲル、吸入剤、経皮パッチ、インプラントなどを含む。
【0102】
当該化合物の治療用の投与量は、投与の頻度および方法、治療される対象の性別、年齢、体重および一般的な状態、治療される状態の性質および重症度および治療されるべき何れの付随する疾患および当業者に対して明らかな他の因子に依存するであろう。当該製剤は、都合よく、当業者に公知の方法により単位用量形態にあってよい。1態様において、単位用量形態にある当該組成物は、約0.05〜約2000mg、好ましくは約0.1〜約500mgの式Iの当該化合物、薬学的に許容される塩を含む。
【0103】
更なる態様において、当該医薬組成物は、経口、経鼻、経皮、経肺または非経口投与のためのものである。
【0104】
非経口経路、例えば、静脈内、くも膜下腔内、および同様な投与経路などの経路の典型的な用量は、経口投与のために使用される用量の約半分のオーダーである。
【0105】
本発明の当該化合物は、一般的に、遊離型の物質または薬学的に許容されるその塩が利用される。1例は、遊離塩基の有用性を有する化合物の酸付加塩である。本発明の化合物は遊離塩基を含み、そのような塩は当該化合物の溶液または懸濁液を化学的に等価の薬学的に許容される酸、例えば、無機および有機酸などで処理することによる通常の方法においてにおいて製造される。代表的な例は上述される。ヒドロキシ基を有する化合物の生理的に許容される酸は、ナトリウムまたはアンモニウムイオンなどの適切なカチオンとの組みあわせにおいて、前記化合物のアニオンを含む。
【0106】
非経口投与のためには、本化合物の滅菌水溶液、水性プロピレングリコールまたはゴマまたはピーナッツ油における溶液が使用されてもよい。そのような水溶液は、必要であれば適切に緩衝されるべきであり、および当該液体希釈剤は最初に充分な塩類またはグルコースで等張性を与えられるべきである。当該水溶液は、特に、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与のための適切である。使用される当該滅菌水性媒体は、全て当業者に公知の標準的な技術により容易に入手可能である。
【0107】
適切な薬学的担体は、不活性な固体希釈剤または充填剤、滅菌水溶液および種々の有機溶媒を含む。適切な担体の例は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエートキシル化ヒマシ油、ピーナッツ油、オリーブ油、ゼラチン、ラクトース、石膏、ショ糖、シクロデキストリン、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、セルロースのステアリン酸または低級アルキルエーテル、ケイ酸、脂肪酸、脂肪酸アミン、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン、ヒドロキシメチルセルロースおよびポリビニル−ピロリドンである。同様に、当該担体または希釈剤は、当該分野で公知の何れの持続放出物質、例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートなど、を単独でまたはワックスとの混合で含んでもよい。当該製剤は、また、湿潤剤、懸濁剤、保存剤、甘味剤または香味剤を含んでもよい。
【0108】
本発明の当該化合物と当該薬学的に許容される担体を組み合わせることにより形成された当該医薬組成物は、続いて、該開示した経路の投与のために適切な種々の用量形態において容易に投与される。当該製剤は、都合よく、薬学の分野において公知の方法により単位投与量形態にすることが可能である。
【0109】
経口投与に適切な本発明の製剤は、個別の単位、例えば、カプセル、錠剤、などとしてもよく、各々が予め決められた量の活性成分を含んでもよく、およびこれらは適切な賦形剤を含んでもよい。これらの製剤は、粉末または顆粒の形態であってもよく、水性または非水性液体の溶液または懸濁液であってもよく、または水中油または油中水液体エマルジョンであってもよい。
固体担体が経口投与のために使用される場合、当該製剤は、錠剤化されても、硬ゼラチンカプセル中で粉末またはペレット形態で配置されてもよく、またはトローチまたは口内錠の形態であってもよい。固体担体の量は、広く変動するが、通常は、約25 mg〜約1 gであるだろう。液体担体が使用される場合、当該製剤は、シロップ、エマルジョン、軟ゼラチンカプセルまたは滅菌注射可能な液体、例えば、水性若しくは非水性液体懸濁液若しくは溶液など、の形態にあってもよい。
【0110】
通常の錠剤化技術により製造され得る典型的な錠剤は、5 mg の活性化合物(遊離化合物またはその塩として)、1.5 mg のコロイド状ケイ素ジオキシド(Aerosil)、70 mg の セルロ-ス、ミクロ結晶(Avicel)、7.5 mg の修飾されたセルロースガム(Ac-di-Sol)およびステアリン酸マグネシウム(q.s.)を含むコアを、約 9mgのHPMCおよび約 0.9 mgのマイワセット9-40T(フィルムコーティングのための可塑剤として使用されるアシル化モノグリセリド)のコーティング剤を伴って含んでもよい。
【0111】
本発明の当該化合物は、それを必要とする哺乳類、特にヒト、である患者に対して投与されてよい。そのような哺乳類は、また、家畜、例えば、家庭内のペットなど、および野生動物などの非家畜の両方の動物を含む。
【0112】
本発明の更なる側面において、本化合物は、更なる薬理学的活性物質、例えば、抗糖尿病またはインスリン抵抗性および疾患の治療および/または予防のための他の化合物を含む他の薬学的活性物質と組み合わせて投与されてもよく、ここで、インスリン抵抗性は、病態生理学的な機序である。
【0113】
更に、本化合物は、抗肥満症薬または食欲調節薬との組み合わせで投与されてもよい。
【0114】
本発明の化合物は、それ自身公知の方法により製造することが可能である。
【0115】
薬理学的方法
本発明の化合物は、インビトロでそれらのHSL阻害に対する有効性および効力を評価されてもよく、そのような評価が以下に記載されるように実行されてもよい。
【0116】
アッセイ
ホルモン感受性リパーゼ(HSL)
材料:ホルモン感受性リパーゼは、Dr. Cecilia Holmにより、Lund University Swedenから提供され、並びにDr. Holmにより使用される試薬およびプロトコールを使用してNovo Nordisk (NN)が産生および精製した。使用した基質は、アマシャム(Amersham、Buckinghamshire、U.K. cat No. TRA191; 5-20 Ci/mmol)からのトルエンに溶解した状態の3H−標識化トリオレイン(TO)、トリオレイン(Sigma、Cat. No. T-1740)、通常の方法によりNovo Nordisk (NN)により製造されたフルオロクロム-ラベル化トリアシルグリセリド(cis-オクタデカン-9-エン酸 2-[12-(7-ニトロベンゾ[1,2,5]オキサジアゾ-ル-4-イルアミノ)-ドデカノイル-オキシ]-1-cis-オクタデカン-9-エノイル-オキシ-メチルエチルエステル)、および1,3-(ジ-[3H]-ステアリン)、Amersham Pharmaciabiotech(UK)との共同で製造されたWO 01/073442 に記載の2-(PEG-ビオチン)グリセロールである。ホスファチジルコリン (PC)およびホスファチジルイノシト-ル (PI) はシグマ(Sigma (それぞれSt Luis MO cat. Nos. P-3556およびP-5954))から得た。他の全ての試薬は市販のグレードのものであり、商業的な供給元から得た。
【0117】
方法
3190.1: 10μMサンプル濃度での化合物によるホルモン感受性リパーゼの百分率阻害の決定するためのアッセイ。
【0118】
フルオロクロム標識化とトリアセルグリセリドおよびリン脂質との脂質エマルジョンを基質として、標準濃度の高度精製HSL(600ng/mL最終濃度に対応する12μ g/mL 初期濃度)と共に使用した。BSAをプロダクトアクセプターとして添加する。当該脂質相から水(BSA)相へのフルオロクロムの移動で、フルオロクロムの蛍光特性が変化する。当該変化は励起波長450nm、蛍光波長545nmの蛍光計でモニターが可能である。
【0119】
化合物およびHSL (20μL 化合物、10μL 酵素および70μL PED-BSA 緩衝液)のプレインキュベートを30分間25℃で、基質(100μL)の添加前に行う。形成された生成物の量は120分間37℃でのインキュベートした後に測定する。
【0120】
結果は、非阻害サンプル(化合物なし)に対する百分率活性で相対的に示した。
【0121】
3190.2: 化合物によるホルモン感受性リパーゼの阻害についてのIC50を決定するためのためのアッセイ。標準濃度の化合物は100μMおよび5倍希釈(10μMの最終濃度および5倍に対応する初期濃度)である。
【0122】
フルオロクロム標識化トリアシルグリセリドおよびリン脂質との脂質エマルジョンを基質として、標準濃度の高純度HSL(600ng/mLに対応する12 μg/mLの初期濃度)と使用する。BSAはプロダクトアクセプターとして添加する。当該脂質相から水(BSA)相へのフルオロクロムの移動は、フルオロクロムの蛍光特性を変化させる。その変化は、励起波長450nmおよび蛍光波長545nmの蛍光計でモニターが可能である。
【0123】
基質(100μL)を添加する前に、化合物およびHSL (20 μL 化合物、10 μL 酵素および70 μL PED-BSA 緩衝液)を、30分間、25℃でプレインキュベーションを行う。生成物の量は、120分間、37℃でのインキュベートの後で測定する。
【0124】
結果は、4PLフィットの得られた活性データの後にIC50値として得る。
【0125】
以下の例1において製造される化合物(メチルフェニルカルバミン酸 5-(4-イソブチル-2,6-ジオキソ-ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル エステル)について、IC50 値は23 nMであった。
【0126】
HPLC-MS
以下の機器類が用いられる:
・Hewlett Packard series シリ-ズ1100 G1312Aビンポンプ
・Hewlett Packard series シリ-ズ1100 カラムコンパ-トメント
・Hewlett Packard series シリ-ズ1100 G1315A DAD ダイオ-ドアレイ検出器
・Hewlett Packard series シリ-ズ1100 MSD
・Sedere 75 蒸発光散乱検出器
機器はHPケムステーションソフトウエアにより管理した。
【0127】
HPLCポンプは、以下を含む2つの溶離液リザーバーに接続した:
A:水中の0.05% TFA
B:アセトニトリル中の0.05% TFA。
【0128】
当該分析は、40℃で、適切なサンプル量(好ましくは1μL)で当該カラムに注入した。これはアセトニトリルのグラジエントで溶出される。
【0129】
当該DADの後、当該流出は、分けて回収し、ELSに対して約1mL/minで、MSに対して0.5mL/minを回収する。
【0130】
The HPLC 条件、検出器の設定および質量分光器の設定は以下の通りに使用された:
方法 A:
カラム 水 Xterra MS C18 5μm 3 mm id x 50 mm
グラジエント 5% - 100% アセトニトリルリニア 7.5 min 間 1.5ml/min
検出 210 nm (類似体 output from DAD)
ELS (類似体 output from ELS)
MS ロニゼーションモード API-ES, スキャン 100-1000 amu step 0.1 amu。
【0131】
例1
メチルフェニルカルバミン酸 5-(4-イソブチル-2,6-ジオキソピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イルエステル
テトロヒドロフラン(200μL)中の(カルボキシメチルイソブチルアミノ)酢酸トリフルオロ酢酸塩 (17.0 g、56.1mmol)、トリエチルアミン(7.8 mL、56.1 mmol)および1,1'-カルボニルジイミダゾール(20.0 g、123 mmol)の溶液を15分間加温して還流した。メチルフェニル-カルバミン酸 5-アミノピリジン-2-イルエステル(13.6 g、56.1 mmol)を添加し、還流を1時間継続した。完全な変換が観察れるまで(HPLC-MS)、余分な1,1'-カルボニル-ジ-イミダゾールを少量ずつ添加した。その溶媒を減圧下で蒸発させ、その残渣をシリカゲルのショートパッド上で濾過した(エチルアセテート/ジクロロメタン 50/50)。当該溶媒の蒸発で固体を得て、エチルアセテート/ヘプタンから2回結晶化し表題化合物を得た (12.14 g、収率55%)。融点: 124-125 °C。
【0132】
1H NMR (400 MHz、CDCl3):δ= 0.96 (d、6H)、1.82 (m、1H)、2.29 (d、2H)、3.43 (br.s、3H)、3.52 (s、4H)、7.13 (br.s、1H)、7.27 (m、1H)、7.39 (m、4H)、7.56 (br.d、1H)、8.17 (s、1H); HPLC-MS (Method A): m/z = 397 (M+H)+; Rt = 3.59 min。
【0133】
例2
メチルフェニルカルバミン酸 5-(4-イソブチル-2,6-ジオキソピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル エステルトリフルオロ酢酸塩
工程 A
N,N-ジメチル-ホルムアミド (150 mL)中のN-((tert-ブチルオキシ)カルボニル)イミノジ酢酸(4.66 g、20.0 mmol)の溶液を1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドハイドロクロライド(3.95 g、20.6 mmol)により室温で処理した。攪拌を1時間継続し、続いてメチルフェニルカルバミン酸 5-アミノピリジン-2-イルエステル(4.87 g、20.0 mmol)を添加した。一晩の攪拌の後、1,1'-カルボニルジイミダゾール(3.24 g、20.0 mmol)を当該反応混合物に対して添加した。攪拌を1時間継続し、ほとんどの溶媒を減圧下での蒸発により取り除いた(約100 mL)。水(300 mL)をゆっくりと添加し、その間当該溶液を氷浴中で冷却した。当該固体を吸引により回収し水で2回洗浄し、50℃で減圧オーブンで乾燥し、4-[6-(メチルフェニル-カルバモイルオキシ)ピリジン-3-イル]-3,5-ジオキソピペラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル(6.65 g、収率74%)を得た。
【0134】
工程B
ジクロロメタン(100 mL)中、10%のトリフルオロ酢酸、4-[6-(メチルフェニルカルバモイルオキシ)ピリジン-3-イル]-3,5-ジオキソピペラジン-1-カルボン酸 tert-ブチルエステル(6.34 g、14.4 mmol) 溶液を室温で1時間攪拌した。その溶媒を減圧下で蒸発し、高濃度のオイルを得た。その残渣を少量のジクロロメタンに溶解した。エーテルをゆっくりと攪拌しながら添加し、白色固体を得て、これを吸引により単離し、エーテルで洗浄し、減圧オーブンで乾燥し、メチルフェニルカルバミン酸 5-(2,6-ジオキソピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イルエステルトリフルオロ酢酸塩(6.02 g、収率92%)を得た。
【0135】
工程C
N,N-ジメチルホルムアミド (1 mL)中のメチルフェニルカルバミン酸 5-(2,6-ジオキソピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イルエステルトリフルオロ酢酸塩(50 mg、0.11 mmol)、ナトリウムヒドロゲンカルボナート(23 mg、0.28 mmol)、1-ブロモ-2-メチル-プロパン(60 mg、0.44 mmol)および触媒量のナトリウムヨウ化物の溶液を一晩80℃で攪拌した。その生成物を分取HPLCにより精製し、表題化合物をオイルとして得た(15 mg、収率27%)。
【0136】
1H NMR (300 MHz、CDCl3): δ = 0.95 (d、6H)、1.82 (m、1H)、2.31 (d、2H)、3.44 (br.s、3H)、3.54 (s、4H)、7.16 (br.s、1H)、7.27 (m、1H)、7.37 (m、4H)、7.56 (br.d、1H)、8.17 (s、1H); HPLC-MS (Method A): m/z = 397 (M+H)+; Rt = 3.98 min。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

メチルフェニルカルバミン酸 5-(4-イソブチル-2,6-ジオキソピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イルエステルと命名される式 Iの化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
前記化合物が式Iの化合物の塩である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記塩が明細書に詳細に記載された個々に挙げられた特定の塩の何れか1つである請求項1または2の何れか1項に記載の化合物。
【請求項4】
式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の医薬としての使用(または医薬としての使用のための式I若しくは薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
本明細書で記載の疾患の何れかを治療するための医薬を製造するための式Iまたは薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項6】
請求項1〜3の何れか1項に記載の化合物を薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物。
【請求項7】
本明細書の態様a)〜d)の何れか1に従う医薬組成物。
【請求項8】
本明細書の態様のe)〜t)の何れか1に従う使用。
【請求項9】
本明細書の態様u)に従う製造。
【請求項10】
本明細書の態様v)〜bb)の何れか1に従う方法。
【請求項11】
本明細書および特許請求の範囲で記載した何れかの新規の特長または特徴の組み合わせ。

【公表番号】特表2008−530173(P2008−530173A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555583(P2007−555583)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050881
【国際公開番号】WO2006/087308
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(391032071)ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (148)
【氏名又は名称原語表記】NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB
【Fターム(参考)】