説明

ホログラフィックフィルムを製造するためのプレポリマーベースポリウレタン組成物

【課題】良好な表面品質および加工性を有するホログラフィック感光性ポリマーを調製でき、良好な比屈折率も有する、ポリウレタン組成物を提供する。
【解決手段】A)NCO基が主に脂肪族的に結合され、1.6〜2.05のOH官能価を有するOH官能性化合物に基づくNCO末端ポリウレタンプレポリマーを含有するポリイソシアネート成分、B)NCO反応性ポリエーテルポリオール、C)芳香族構造単位および405nmで1.50より大きい屈折率を有し、NCO基およびOH基を自身に含有しない、ウレタン(メタ)アクリレート、D)フリーラジカル安定剤、E)ホウ酸塩と400〜800nmのスペクトル域をカバーする吸収帯を有する染料との組み合わせに基づく光開始剤、F)触媒、G)助剤および添加剤を含んでなるポリウレタン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレポリマーベースポリウレタン組成物に基づく新規なホログラフィック感光性ポリマー、前記感光性ポリマーの製造方法、および極めて広範な光学用途のための前記感光性ポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィック媒体は、とりわけ、セキュリティー技術分野(例えば、ヒトまたは対象物の三次元表示、およびヒトまたは物品の確認)におけるデータストアとして、対象物を表示するものとして、広告媒体として、複合三次元構造物の製造のためのおよびスクリーンとしてまたはスクリーン部品成分としての補助材料として、およびレンズ機能、ミラー機能、フィルター機能、散乱スクリーン機能、回折素子機能、導光体機能および/またはマスク機能を有する光学素子の製造のための補助材料として、使用され得る。
【0003】
ポリマーマトリックスと、その上に固定され、ラジカル重合できる、書込モノマーとしての1種以上の化合物とに基づくホログラフィック媒体は、例えばUS 6,743,552に記載されている。
【0004】
US 6,743,552、US 6,765,061、US 6,780,546およびUS 2006/0194120は、そのような二成分ポリウレタン組成物を開示している。これらに記載されている組成物の一部は、イソシアネート成分としてプレポリマーを含有する。該プレポリマーはもっぱら第二級イソシアネート基含有プレポリマーであり、従って硬化速度が不十分である。
【0005】
ホログラフィック媒体を製造するためのポリマー組成物は、とりわけ、未公開特許出願EP 08017279.4、EP 08017277.8、EP 08017273.7、EP 08017275.2に記載されている。EP 08017277.8およびEP 08017273.7は、一般にホログラフィック媒体の製造に適した、ポリエーテルベールポリウレタン組成物およびプレポリマーベースポリウレタン組成物を記載している。EP 08017275.2は、特定のアクリレートを含んでなるポリウレタン組成物を記載しており、該組成物はホログラムの記録に適している。更に、EP 08017279.4は、初めて、典型的なフィルム構造体、および該フィルム複合体における感光性ポリマーとしての多様なポリウレタン組成物の応用を記載した。一方、全可視波長スペクトル(400〜800nm)をカバーする染料/開始剤混合物の組み合わせを伴った被覆フィルム用プレポリマーベースポリウレタン組成物の使用は、今まで記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US 6,743,552
【特許文献2】US 6,765,061
【特許文献3】US 6,780,546
【特許文献4】US 2006/0194120
【特許文献5】EP 08017279.4
【特許文献6】EP 08017277.8
【特許文献7】EP 08017273.7
【特許文献8】EP 08017275.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、良好な表面品質および加工性を有するホログラフィック感光性ポリマーを調製でき、良好な比屈折率も有する、ポリウレタン組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
意外にも、マトリックス材料としてプレポリマーベースポリウレタン組成物をある種のポリエーテルポリオールと組み合わせて使用し、屈折率が大きく少なくとも1個の芳香族構造単位を含有する特定のウレタンアクリレートを書込モノマーとして使用すれば、前記要求が満足されることが見出された。
【0009】
従って、本発明は、
A)NCO基が主に脂肪族的に結合され、OH官能価1.6〜2.05のヒドロキシ官能性化合物に基づくNCO末端ポリウレタンプレポリマーを、少なくとも含有するポリイソシアネート成分、
B)イソシアネート反応性ポリエーテルポリオール、
C)少なくとも1個の芳香族構造単位および405nmで1.50より大きい屈折率を有し、NCO基およびOH基を自身に含有しない、ウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレート、
D)フリーラジカル安定剤、
E)ホウ酸塩と、400〜800nmのスペクトル域を少なくとも部分的にカバーする吸収帯を有する1種以上の染料との組み合わせに基づく光開始剤、
F)任意に触媒、
G)任意に助剤および添加剤
を含んでなるポリウレタン組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】反射型ホログラムを書き込むためのλ=633nm(He−Neレーザー)でのホログラフィック媒体試験器の配置を示す。
【図2】角度離調ΔΩに対する、Kogelnikによるブラッグ曲線ηのプロット(点線)、測定した回折効率のプロット(黒丸)、および透過出力のプロット(黒色実線)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に必須である成分A)のプレポリマーは、場合により触媒および溶媒を使用して、適当な化学量論で、モノマーイソシアネート、オリゴマーイソシアネートまたはポリイソシアネートである成分A1)と、イソシアネート反応性化合物である成分A2)とを反応させることによる、当業者にそれ自体よく知られている方法で得られる。
【0012】
このようにして、ウレタン基、アロファネート基、ビウレット基および/またはアミド基を含有するNCO官能性プレポリマーを調製できる。
【0013】
適当なポリイソシアネートA1)は、当業者にそれ自体知られている、脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族のジイソシアネートおよびトリイソシアネートの全てであり、それらがホスゲン法によって得られたのか、或いはホスゲンフリー法によって得られたのかは重要ではない。また、当業者にそれ自体よく知られている、ウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を有するモノマージイソシアネートおよび/またはモノマートリイソシアネートのより高分子量の二次製品も、いずれの場合にも、単独でまたは所望の混合物として使用できる。
【0014】
成分A1)として使用され得る、好ましいモノマージイソシアネートまたはモノマートリイソシアネートは、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、および/またはイソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)である。TIN、TMDIおよびHDIが特に好ましく、HDIがとりわけ好ましい。
【0015】
好ましくは1.9〜2.01、特に好ましくは2.0のOH官能価を有するヒドロキシ官能性化合物を、プレポリマーの合成のためのイソシアネート反応性化合物A2)として使用する。
【0016】
前記官能価範囲のオリゴマーまたはポリマーイソシアネート反応性化合物、例えば、低分子量短鎖の脂肪族、芳香脂肪族または脂環式のジオール、即ち2〜20個の炭素原子を含有するものが、この目的に適している。そのようなジオールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、ジエチルオクタンジオール位置異性体、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネートである。
【0017】
前記官能価範囲の比較的高分子量の脂肪族ポリオールおよび脂環式ポリオール、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ヒドロキシ官能性アクリル樹脂、ヒドロキシ官能性ポリウレタン、ヒドロキシ官能性エポキシ樹脂または対応するハイブリッドも適している。
【0018】
そのようなポリエーテルポリオールとして、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシドの二官能性重付加物並びにそれらの混合付加物およびグラフト生成物、並びに多価アルコールまたはその混合物の縮合によって得られたポリエーテルポリオール、並びに多価アルコールのアルコキシル化によって得られたポリエーテルポリオールを挙げることができる。好ましい二官能性ポリエーテルポリオールは、200〜18000g/molの数平均モル質量、好ましくは600〜8000g/molの数平均モル質量、特に好ましくは1000〜4500g/molの数平均モル質量を有する、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)、およびランダムコポリマーまたはブロックコポリマーとしてのそれらの化合物である。
【0019】
650〜4500g/molの数平均モル質量、好ましくは1000〜4100g/molの数平均モル質量、特に好ましくは1900〜2100g/molの数平均モル質量を有する、前記官能価範囲のポリ(プロピレンオキシド)が、成分A2)として特に好ましく使用される。
【0020】
プレポリマー合成では、成分A1)に従ったイソシアネートを、成分A2)に従ったアルコールと化学量論量で反応させてウレタン化し、ウレタン基を形成させる。この場合、前記したジイソシアネート、トリイソシアネートおよびポリイソシアネートとの反応に適したアルコールは、前記したタイプのオリゴマーまたはポリマー、第一級または第二級の二官能性アルコールの全てである。ウレタンプレポリマーにおいて、該アルコールは、好ましくは以下である:エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびテトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドおよび/または他の1−アルケンオキシドのブロックポリマーおよび/またはコポリマー、ポリ(THF)、10000g/molまでの数平均モル質量を有する、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびポリアクリレートポリオール、またはそれらの互いの所望の混合物。
【0021】
プレポリマー合成では、アロファネート化のために、まず、成分A1)に従ったイソシアネートを、成分A2)に従ったアルコールと化学量論比で反応させてウレタンを得、次いでウレタンを更にイソシアネートと反応させてアロファネートを形成させる。前記タイプのオリゴマーまたはポリマー、第一級または第二級の二官能性アルコールの全てが、前記したジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートと反応させてウレタンを得るための、この場合のアルコールとして適している。アロファネートへの更なる反応のため、モノマージイソシアネートまたはモノマートリイソシアネートであるHDI、TMDIおよびTINを好ましくは添加する。
【0022】
好ましいプレポリマーは、脂肪族イソシアネート官能性化合物とオリゴマーイソシアネート反応性化合物またはポリマーイソシアネート反応性化合物とに基づく、ウレタンまたはアロファネートである。プレポリマーは、200〜10000g/molの数平均モル質量および1.9〜5.0のNCO官能価を有する。特に好ましいウレタンは、脂肪族イソシアネート官能性化合物とオリゴマーポリオールまたはポリマーポリオールとから調製された、1.9〜2.1のNCO官能価および650〜8200g/molの数平均モル質量を有するウレタン、並びに脂肪族イソシアネート官能性化合物とオリゴマーポリオールまたはポリマーポリオール或いはそれらの所望の混合物とから調製された、2.0超〜3.2または3.9〜4.2の官能価および650〜8200g/molの数平均モル質量を有するアロファネートである。特に好ましいウレタンは、脂肪族イソシアネート官能性化合物とオリゴマーポリオールまたはポリマーポリオールとから調製された、1.9〜2.1のNCO官能価および1900〜4100g/molの数平均モル質量を有するウレタン、並びに脂肪族イソシアネート官能性化合物とオリゴマーポリオールまたはポリマーポリオール或いはそれらの所望の混合物とから調製された、2.0超〜3.2または3.9〜4.2の官能価および1900〜4100g/molの数平均モル質量を有するアロファネートである。
【0023】
前記プレポリマーは、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは0.2重量%未満の遊離モノマーイソシアネート残留含量を有する。
【0024】
もちろん、本発明に必須である前記プレポリマーに加えて、成分A)は別のイソシアネートを適当に含有してもよい。芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環式のジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートが、この目的のための使用に適している。そのようなジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートの混合物を使用することもできる。適当なジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびそれらの所望の異性体含量を有する混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’4’’−トリイソシアネート、またはそれらのウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を含有する誘導体、およびそれらの混合物である。適当な方法によって過剰ジイソシアネートを除去した、オリゴマー化ジイソシアネートおよび/または誘導体化ジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネートに基づくものが好ましい。HDIのオリゴマーイソシアヌレート、ウレトジオンおよびイミノオキサジアジンジオン、並びにそれらの混合物が特に好ましい。
【0025】
場合により、前記イソシアネート成分A)が、被覆技術から当業者に知られているブロッキング剤と完全にまたは部分的に反応させたイソシアネートを、完全にまたは適当に含有することも可能である。ブロッキング剤の例として以下を挙げることができる:アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アルキルアセトアセテート、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾールおよびアミン、例えば、ブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセトンオキシム、3,5−ジメチルピラゾール、ε−カプロラクタム、N−tert−ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステル、またはこれらブロッキング剤の所望の混合物。
【0026】
好ましくは、成分A)には、本発明に必須である前記プレポリマーしか使用しない。
【0027】
好ましくは一分子あたり平均して少なくとも1.5個のイソシアネート反応性基を含有する多官能性イソシアネート反応性ポリエーテルポリオールの全てを、成分B)として本質的に使用できる。
【0028】
本発明において、イソシアネート反応性基は、好ましくはヒドロキシ化合物である。
【0029】
前記タイプの適当な多官能性イソシアネート反応性化合物は、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレートおよび/またはポリウレタンポリオール、好ましくはヒドロキシ官能性ポリエーテルポリオールである。
【0030】
ポリエーテルポリオールは、場合により、環状エーテルとヒドロキシ官能性スターター分子との重付加物であってよい。該重付加物は、ブロック構造を有する。適当な環状エーテルは、例えば、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンおよびそれらの所望の混合物である。
【0031】
2以上のOH官能価を有する多価アルコール、並びに第一級または第二級のアミンおよびアミノアルコールを、スターターとして使用できる。それらの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびテトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、またはそれらの互いの所望の混合物である。
【0032】
そのようなポリエーテルポリオールは、好ましくは500〜8500g/mol、より好ましくは1000〜6500g/mol、特に好ましくは1900〜4500g/molの数平均モル質量を有する。そのOH官能価は、好ましくは1.5〜4.0、特に好ましくは1.8〜3.0である。
【0033】
また、成分B)は、低分子量(即ち500g/mol未満の分子量を有する)短鎖(即ち2〜20個の炭素原子を含有する)の、脂肪族、芳香脂肪族または脂環式の、二官能性、三官能性または多官能性のアルコールを含有してもよい。純粋なヒドロキシ官能性ポリエーテルポリオールの使用が好ましい。
【0034】
成分B)の好ましい化合物は、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーとしてのそれらの化合物、およびプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドのブロックコポリマーである。生成物全体の重量%に基づくエチレンオキシドの割合は、好ましくは55%未満、より好ましくは55〜45%または30%未満、特に好ましくは10%未満である。
【0035】
親ポリエーテルの総量に基づいて10重量%未満のエチレンオキシド割合および2000〜4200g/molの数平均モル質量を有し、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとに基づく二官能性ポリエーテルポリオールが、特に好ましい成分B)の化合物として使用される。
【0036】
成分A)および成分B)は、感光性ポリマー組成物の調製において、典型的には0.9〜1.2、好ましくは0.95〜1.05のOH/NCO比で使用される。
【0037】
成分C)には、少なくとも1個の芳香族構造単位および405nmで1.50より大きい屈折率を有する、ウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレートを使用する。ウレタン(メタ)アクリレートは、少なくとも1個のアクリレート基またはメタクリレート基を含有し、更に少なくとも1個のウレタン結合も含有する化合物を意味すると理解される。そのような化合物は、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートとイソシアネート官能性化合物との反応によって得られることが知られている。
【0038】
この目的のために使用され得るイソシアネートの例は、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環式のジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートである。そのようなジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートの混合物を使用することもできる。適当なジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびそれらの所望の異性体含量を有する混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’4’’−トリイソシアネート、およびトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート、またはそれらのウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を含有する誘導体、およびそれらの混合物である。芳香族のジイソシアネート、トリイソシアネートまたはポリイソシアネートが好ましい。
【0039】
ウレタンアクリレートの調製に適したヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートは、例えば以下のような化合物である:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えばTone(登録商標)M100(Dow(ドイツ国シュヴァルバッハ在))、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化された、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール)またはそれらの工業用混合物のヒドロキシ官能性モノ−、ジ−またはテトラアクリレート。2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートおよびポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートが好ましい。また、アクリレート基および/またはメタクリレート基含有イソシアネート反応性オリゴマーまたはポリマー不飽和化合物として、前記モノマー化合物単独またはそれらの組み合わせが適している。ヒドロキシ基を含有し、20〜300mgKOH/gのヒドロキシ含量を有する、それ自体既知のエポキシ(メタ)アクリレート、またはヒドロキシ基を含有し、20〜300mgKOH/gのヒドロキシ含量を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、または20〜300mgKOH/gのヒドロキシ含量を有するアクリル化ポリアクリレート、並びにそれらの、互いの混合物およびヒドロキシ基含有不飽和ポリエステルとの混合物およびポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物、或いはヒドロキシ基含有不飽和ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物を、同様に使用することも可能である。ヒドロキシ基を含有し、所定のヒドロキシ官能価を有するエポキシアクリレートが好ましい。ヒドロキシ基含有エポキシ(メタ)アクリレートは特に、アクリル酸および/またはメタクリル酸と、モノマー、オリゴマーまたはポリマーのビスフェノールA、ビスフェノールF、ヘキサンジオールおよび/またはブタンジオールのエポキシド(グリシジル化合物)との反応生成物、或いはそれらのエトキシル化および/またはプロポキシル化誘導体に基づく。アクリル酸および/またはメタクリル酸およびグリシジル(メタ)アクリレートの既知の反応から得られるような、所定の官能価を有するエポキシアクリレートが更に好ましい。
【0040】
少なくとも1個の芳香族構造単位を含有する前記タイプのウレタン(メタ)アクリレートが、好ましく使用される。これらのウレタン(メタ)アクリレートは、405nmで、典型的には1.50より大きい、好ましくは1.55より大きい、特に好ましくは1.58より大きい屈折率を有する。
【0041】
成分C)として使用される特に好ましい化合物は、芳香族イソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレートおよびポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートとに基づく、ウレタンアクリレートおよびウレタンメタクリレートである。
【0042】
特に好ましい態様では、芳香族トリイソシアネート(とりわけ好ましくは、トリス−(4−フェニルイソシアナト)チオホスフェート、または芳香族ジイソシアネート(例えばトルイレンジイソシアネート)三量体)とヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートとの付加物を、成分C)として使用する。更に好ましい態様では、3−チオメチルフェニルイソシアネートとヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートとの付加物を、成分C)として使用する。
【0043】
成分D)の適当な化合物は、例えば、例として"Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry]" (Houben-Weyl), 第4版、第XIV/1巻、第433頁以下、Georg Thieme Verlag, シュトゥットガルト、1961に記載されているような、重合禁止剤および酸化防止剤である。適当な物質の種類は、例えば、フェノール、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、クレゾール、ヒドロキノン、ベンジルアルコール、例えばベンズヒドロール、場合によりキノン、例えば、2,5−ジ−tert−ブチルキノン、場合により芳香族アミン、例えばジイソプロピルアミンまたはフェノチアジンである。
【0044】
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、p−メトキシフェノール、2−メトキシ−p−ヒドロキノンおよびベンズヒドロールが好ましい。
【0045】
1種以上の光開始剤を成分E)として使用する。それらは通常、化学線によって活性化され得、対応する重合性基の重合を開始する開始剤である。光開始剤は、それ自体既知の市販化合物であり、一分子(I型)開始剤と二分子(II型)開始剤とに分類されている。更に、化学的性質に依存して、これらの開始剤は、前記重合のラジカル状態、アニオン状態(または)、カチオン(または混合)状態に使用される。
【0046】
II型開始剤、例えば、EP−A 0223587に記載され、アリールホウ酸アンモニウムと1種以上の染料との混合物からなる光開始剤系を、本発明では使用する。例えば、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレートおよびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートが、アリールホウ酸アンモニウムとして適している。適当な染料は、例えば、ニューメチレンブルー、チオニン、ベーシックイエロー、ピナシアノールクロリド、ローダミン6G、ガロシアニン、エチルバイオレット、ビクトリアブルーR、セレスチンブルー、キナルジンレッド、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、アストラゾンオレンジG、ダロウレッド、ピロニンY、ベーシックレッド29、ピリリウムI、シアニンおよびメチレンブルー、アズールA(Cunninghamら、RadTech '98 North America UV/EB Conference Proceedings, シカゴ、1998年4月19日〜22日)である。
【0047】
好ましい光開始剤E)は、テトラブチルアンモニウムテトラヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレートおよびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレート(成分E1)と、染料、例えば、アストラゾンオレンジG、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、アズールA、ピリリウムI、サフラニンO、シアニン、ガロシアニン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エチルバイオレットおよびチオニン(成分E2)との混合物である。1種の青感性染料、1種の緑感性染料および1種の赤感性染料(例えば、アストラゾンオレンジG、エチルバイオレットおよびニューメチレンブルー)の各染料と1種の前記ホウ酸塩との組み合わせが、特に好ましい。
【0048】
場合により、成分F)の化合物として1種以上の触媒を使用できる。それらは、ウレタン生成を促進するための触媒である。この目的のために知られている触媒は、例えば、オクタン酸錫、オクタン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタンナン、ジメチル錫ジカルボキシレート、ジルコニウムビス(エチルヘキサノエート)、ジルコニウムアセチルアセトネートまたは第三級アミン、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド(1,2−a)ピリミジンである。
【0049】
ジブチル錫ジラウレート、ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタンナン、ジメチル錫ジカルボキシレート、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド(1,2−a)ピリミジンが好ましい。
【0050】
もちろん、場合により、更なる添加剤G)を使用できる。それらは、例えば、溶媒、可塑剤、均展剤、消泡剤または接着促進剤のような、被覆技術分野で常套の添加剤であり得る。好ましく使用される可塑剤は、良好な溶解性、低揮発性、および高沸点を有する液体である。例えばポリジメチルシロキサンのような表面活性化合物は、均展剤として使用され得る。1つのタイプの添加剤を複数種同時に使用することも有利であり得る。もちろん、異なったタイプの添加剤を複数種使用することも有利であり得る。
【0051】
典型的な感光性ポリマー組成物は以下を含んでなる:
10〜30重量%の成分A)、
25〜79.497重量%の成分B)、
10〜40重量%の成分C)、
0〜1重量%のフリーラジカル安定剤D)、
0.5〜3重量%の光開始剤E1)、
各々の場合に0.001〜0.2重量%の、吸収スペクトルをレーザー波長赤、緑および青に調整した3種の染料E2)、
0〜4重量%の触媒F)、
0〜10重量%の助剤および添加剤G)。
【0052】
好ましくは、本発明のポリウレタン組成物は以下を含んでなる:
15〜30重量%の成分A)、
30〜60.96重量%の成分B)、
20〜35重量%の成分C)、
0.01〜0.5重量%のフリーラジカル安定剤D)、
1〜3重量%の光開始剤E1)、
各々の場合に0.01〜0.2重量%の、吸収スペクトルをレーザー波長赤、緑および青に調整した3種の染料E2)、
0〜1重量%の触媒F)、
3〜8重量%の助剤および添加剤G)。
【0053】
特に好ましくは、本発明のポリウレタン組成物は以下を含んでなる:
18〜30重量%の成分A)、
40〜52.37重量%の成分B)、
25重量%の成分C)、
0.02〜0.1重量%のフリーラジカル安定剤D)、
1〜1.5重量%の光開始剤E1)
各々の場合に0.03〜0.1重量%の、吸収スペクトルをレーザー波長赤、緑および青に調整した3種の染料E2)、
0.02〜0.1重量%の触媒F)、
3.5〜5重量%の助剤および添加剤G)。
【0054】
本発明のポリウレタン組成物は、全成分の完全混合直後、典型的には10〜1000000mPas、好ましくは100〜20000mPas、特に好ましくは200〜10000mPas、とりわけ好ましくは500〜5000mPasの25℃での粘度を有するので、溶媒を含有しない状態でさえ極めて良好な加工特性を有する。適当な溶媒中の溶液では、10000mPas未満、好ましくは2000mPas未満、特に好ましくは500mPas未満の25℃での粘度が確立され得る。
【0055】
0.004重量%〜0.1重量%の触媒含量で、80℃×6分未満で硬化する前記タイプのポリウレタン組成物が有利であることが見出された。0.01重量%〜0.08重量%の触媒濃度が好ましく、0.03重量%〜0.06重量%の触媒濃度が特に好ましい。
【0056】
基材または型への適用には、当業者に知られている各常套法の全てが適しており、その例は、特に、ナイフ塗布、キャスティング、印刷、スクリーン印刷、噴霧またはインクジェット印刷である。好ましくは、ナイフ塗布機およびスロットノズルが適用手段として適している。
【0057】
本発明は更に、本発明のポリウレタン組成物から得られた感光性ポリマー、および光学用物品の製造へのその使用、特にホログラムの記録に適した媒体の製造へのその使用に関する。
【0058】
本発明は更に、本発明に必須であるポリウレタン組成物の1種以上を基材または型に適用して硬化させる、そのような映像ホログラム記録用媒体の製造方法に関する。本発明はまた、そのようにして得られた媒体にも関する。
【0059】
そのような媒体は、少なくとも1つのキャストフィルムまたは基材の層(I)、本発明に必須であるポリウレタン組成物に基づく1つ以上の感光性ポリマー層(II)、およびトップフィルムまたはラミネーティングフィルム(III)を含んでなる、フィルム複合体であり得る。フィルム複合体は、更なるフィルムを含んでもよい。
【0060】
本発明のポリウレタン組成物は、適当な方法で、キャストフィルムまたは基材の層(I)に適用され得る。
【0061】
基材層(I)の好ましい材料または材料複合体は、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースアセテート、水和セルロース、硝酸セルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリスルホン、セルローストリアセテート(CTA)、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、またはポリジシクロペンタジエン、或いはそれらの混合物に基づく。加えて、ラミネートフィルムまたは共押出品のような材料複合体を、基材フィルム(I)として使用できる。材料複合体の例は、下記スキームの1つに従った構造を有する、二重フィルムおよび三重フィルムである:A/B、A/B/AまたはA/B/C、例えば、PC/PET、PET/PC/PETおよびPC/TPU(TPU=熱可塑性ポリウレタン)。PCおよびPETが、基材フィルム(I)として特に好ましく使用される。
【0062】
光学的に透明である、即ち曇りのない透明な基材(I)が好ましい。曇りはヘイズ値によって測定でき、ヘイズ値は3.5%未満、好ましくは1%未満、特に好ましくは0.3%未満である。
【0063】
ヘイズ値は、照射を受けた試料によって前進方向に散乱された透過光の割合を示す。従って、ヘイズ値は、透明な材料の不透明度または曇りの尺度であり、透明性に悪影響を及ぼす、材料または材料表面における材料欠陥、粒子、不均一性または結晶性相境界を定量化する。ヘイズの測定方法は、規格であるASTM D 1003に記載されている。
【0064】
好ましくは、基材(I)は、大きすぎない複屈折、即ち典型的には1000nm未満、好ましくは700nm未満、特に好ましくは300nm未満の平均光学的遅延を有する。
【0065】
遅延Rは、複屈折Δnおよび基材厚さdの数学的結果である。遅延の客観的自動測定は、イメージング偏光計(例えば、ilis GmbH製StainMatic(登録商標)M3/Mモデル)を用いて実施される。
【0066】
遅延は、垂直入射で測定される。基材(I)に対して示された遅延値は、横方向平均値である。
【0067】
片側または両側に可能な被膜を有する基材(I)は、典型的には5〜2000μm、好ましくは8〜300μm、特に好ましくは30〜200μm、とりわけ125〜175μmまたは30〜45μmの厚さを有する。
【0068】
感光性ポリマー層(II)は、層(II)として適用された感光性ポリマー層の全体に基づいて、好ましくは200μm以下、より好ましくは3〜100μm、特に好ましくは15〜60μmの全層厚さを有する。
【0069】
構成要素(I)および(II)に加えて、フィルム複合体は、感光性ポリマー層(II)の上に、感光性ポリマー層を汚れおよび環境の影響から保護するために、1種以上の被覆層を有することができる。プラスチックフィルムまたはフィルム複合体系だけでなく、クリヤコートも、この目的のために使用され得る。
【0070】
好ましく使用される被覆層(III)は、基材層に使用した材料に類似しているフィルム材料であり、それらの厚さは、典型的には5〜200μm、好ましくは8〜125μm、特に好ましくは20〜50μmである。
【0071】
可能な限り滑らかな表面を有する被覆層(III)が好ましい。DIN EN ISO 4288 "Geometrical Product Specification (GPS) - Surface Texture...", 試験条件R3z前後に従って測定した粗さを、尺度として使用する。好ましい粗さは、2μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲である。
【0072】
20〜60μmの厚さを有する、PEフィルムまたはPETフィルムが、ラミネーティングフィルム(III)として好ましく使用される。40μm厚さのポリエチレンフィルムが特に好ましく使用される。
【0073】
更なる保護層、例えば基材フィルム(I)の裏材料を使用してもよい。
【0074】
本発明の媒体製造方法は、好ましくは、成分A)を除いた本発明のポリウレタン組成物の合成成分を互いに均一に混合し、基材または型への適用直前に成分A)を混合する方法によって実施される。
【0075】
特に逆圧と関係なく輸送し、脈動をほとんど示さず、正確である、当業者に知られているポンプシステムの全てが、輸送および計量供給時の望ましい精度に適している。従って、膜ポンプ、ギアポンプ、偏心スクリューポンプ(Mohno ポンプ)、蠕動ポンプおよびピストンポンプが好ましい。ギアポンプおよび偏心スクリューポンプ(Mohno ポンプ)が特に好ましい。
【0076】
好ましい計量供給速度は、2ml/分〜1000ml/分の範囲、特に好ましくは2ml/分〜100ml/分の範囲である。
【0077】
混合には、混合技術から当業者にそれ自体既知の方法および装置の全て、例えば、撹拌槽、動的ミキサーおよび静的ミキサーを使用できる。しかしながら、デッドスペースのないまたは小さいデッドスペースしかない装置が好ましい。更に、好ましい方法は、混合される二成分を厳密に混合しながら極めて短時間で混合する方法である。特に動的ミキサー、とりわけ、成分がミキサー内でしか互いに接触しない動的ミキサーが、この目的に適している。
【0078】
工程中の温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃、特に好ましくは20〜60℃である。
【0079】
必要ならば、減圧下(例えば1mbar)で、各成分の揮発分除去または混合物全体の揮発分除去を実施してもよい。得られる媒体中での残留気体による気泡形成を防ぐために、特に成分A)の添加後に揮発分を除去することが好ましい。
【0080】
成分A)の混合前、混合物を貯蔵安定中間生成物として、場合により数ヶ月間貯蔵できる。
【0081】
本発明のポリウレタン組成物の成分A)を混合した後、組成に応じて室温で数秒から数時間以内に硬化する、透明な液状組成物を得る。
【0082】
ポリウレタン組成物の合成成分の比、タイプおよび反応性は、好ましくは、成分A)の混合後に硬化が室温で数分から1時間以内に起こるように調節する。好ましい態様では、混合後に組成物を30〜180℃、好ましくは40〜120℃、特に好ましくは50〜100℃の温度に加熱することによって、硬化を促進する。
【0083】
硬化挙動に関する前記アプローチは、当業者にとって、選択に使用可能な成分および各合成成分、特に好ましい合成成分の前記量的範囲内での常套実験として容易に実施可能である。
【0084】
また、本発明は、映像ホログラムを記録するため、および光学素子、画像、表示を製造するための、本発明の媒体の使用、並びに本発明のポリウレタン組成物を用いたホログラムの記録方法、並びにそれから得られた媒体またはホログラフィックフィルムに関する。
【0085】
本発明のポリウレタン組成物を用いて、可視領域全体および近紫外領域(300〜800nm)での光学用途のためのホログラムを、適当な照射方法によって製造できる。映像ホログラムは、当業者に既知の方法によって記録され得るホログラムの全てを包含し、とりわけ、インライン(ガボール)ホログラム、オフアクシスホログラム、全開口トランスファーホログラム、白色光透過型ホログラム(レインボーホログラム)、デニシュークホログラム、オフアクシス反射型ホログラム、エッジリットホログラム、およびホログラム立体画像を包含する。反射型ホログラム、デニシュークホログラム、透過型ホログラムが好ましい。光学素子、例えば、レンズ、ミラー、偏向ミラー、フィルター、散乱スクリーン、回折素子、ライトガイド、導波管、映写スクリーンおよび/またはマスクが好ましい。しばしば、これら光学要素は、どのようにホログラムが照射されるかおよびホログラムが何次元であるかによって周波数選択性を示す。
【0086】
また、本発明のポリウレタン組成物によって、例えば、個人肖像写真、生体認証表示およびセキュリティードキュメントのための、或いは一般に広告、セキュリティーラベル、商標保護、商標ブランド設定、ラベル、意匠要素、装飾、イラスト、回数券、イメージなど向けの画像または画像構造の、およびとりわけ前記生成物と組み合わせたデジタルデータを表し得る画像といった、ホログラム画像またはホログラム表示を製造することもできる。前記対象物が照射される角度、照射に使用される光源(可動光源を含む)等に依存して、ホログラム画像は三次元画像の印象を与え得るが、画像シーケンス、短編映画または多くの様々な対象物も表し得る。これらの様々な設計可能性の故に、ホログラム、特に体積ホログラムは、前記応用にとって魅力的な技術的解決法である。
【実施例】
【0087】
出発物質:
Desmodur(登録商標)XP 2599は、NCO含量5.6〜6.4%を有する、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)製の実験用製品、ヘキサンジイソシアネートとAcclaim 4200との全アロファネートである。
プレポリマー1は、NCO含量3.2〜3.75%を有する、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)製の実験用製品、ヘキサンジイソシアネートとAcclaim 2200とのウレタンである。
ポリオール1(Acclaim(登録商標)4200)は、数平均モル質量4000g/molを有する、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)製のポリプロピレンオキシドである。
ポリオール2(Acclaim(登録商標)4220 N)は、数平均モル質量4000g/molを有する、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)製のエチレンオキシドキャップトポリプロピレンオキシドである。
ポリオール3(Acclaim(登録商標)2200)は、数平均モル質量2000g/molを有する、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)製のポリプロピレンオキシドである。
ウレタンアクリレート1は、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)製の実験用製品、HEAとトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートとに基づくウレタンアクリレートである。
Fomrez(登録商標)UL28:ウレタン化触媒、ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタンナン、Momentive Performance Chemicals(米国コネティカット州ウィルトン在)社製の市販品(N−エチルピロリドン中10%濃度溶液として使用される)。
CGI 909:Ciba Inc.(スイス国バーゼル在)製のホウ酸塩系共開始剤。
ニューメチレンブルー(亜鉛不含有):Sigma-Aldrich Chemie GmbH(ドイツ国シュタインハイム在)製の染料。
エチルバイオレット:MP Biomedicals LLC(米国オハイオ州ソロン在)製の染料。
アストラゾンオレンジG: Sigma-Aldrich Chemie GmbH(ドイツ国シュタインハイム在)製の染料。
Byk 310:約2200g/molの数平均モル質量を有する、BYK-Chemie GmbH(ドイツ国ヴェーゼル在)製のシリコーン系界面活性剤(約25%濃度のキシレン溶液)。
【0088】
回折効率DEおよび比屈折率Δnの測定:
図1に示した測定装置を用い、実験の部で製造した本発明の媒体および比較媒体を、ホログラム特性について試験した。
【0089】
図1:反射型ホログラムを書き込むためのλ=633nm(He−Neレーザー)でのホログラフィック媒体試験器の配置:M=ミラー、S=シャッター、SF=空間フィルター、CL=コリメーターレンズ、λ/2=λ/2プレート、PBS=偏光感受型ビームスプリッター、D=検出器、I=虹彩絞り、α=21.8°およびβ=41.8°は、試料の外側(媒体の外側)で測定したコヒーレント光線の入射角である。
【0090】
ラミネーティングフィルムをフィルム複合体から剥がす。次いで、基材フィルムが外側を向くように、感光性ポリマー物質をガラス上に貼り合わせる。
【0091】
空間フィルター(SF)およびコリメーターレンズ(CL)を用いて、He−Neレーザー光線(発光波長633nm)を平行均一光線に変換した。虹彩絞り(I)によって、信号光線と参照光線の最終断面を確立する。虹彩絞りの開口径は4mmである。偏光感受型ビームスプリッター(PBS)は、レーザー光線を2つの均一偏光コヒーレント光線に分ける。λ/2プレートによって、参照光線の出力を0.5mWに調節し、信号光線の出力を0.65mWに調節した。試料を取り除いた状態で、半導体検出器(D)を用いて出力を測定した。参照光線の入射角(α)は21.8°、信号光線の入射角(β)は41.8°である。試料(媒体)の位置で、2つの重なった光線の干渉場は、試料への2つの入射光線の角2等分線と垂直である明暗縞の回折格子を生じた(反射型ホログラム)。媒体における縞間隔は、約225nmである(媒体の屈折率は約1.49と考えられる)。
【0092】
以下の方法で、ホログラムを媒体に書き込んだ。
照射時間tの間、両方のシャッター(S)を開放する。その後、シャッター(S)を閉じた状態で、媒体を5分間おいて、まだ重合されていない書込モノマーを拡散させた。ここで、書き込まれたホログラムを、以下の方法で読み込んだ。信号光線のシャッターは閉じたままであった。参照光線のシャッターを開放した。参照光線の虹彩絞りを1mm未満の直径まで閉じた。これにより、媒体の回転角(Ω)の全てにおいて、光線は、先に書き込まれたホログラムに常に完全に存在することが確実になった。コンピューター制御の下、回転台は、0.05°の角度ステップ幅でΩ=0°からΩ=20°まで角度範囲をカバーした。各々の角度に近づくと、対応する検出器Dを用いて、ゼロ次透過された光線の出力を測定し、検出器Dを用いて、一次回折された光線の出力を測定した。以下の式:
【数1】

の商として、各々の角度Ωに近づいた時点での回折効率ηを得た。Pは回折光線の検出器での出力であり、Pは透過光線の検出器での出力である。
【0093】
前記方法によって、ブラッグ曲線(これは、回折効率ηを、書き込まれたホログラムの回転角Ωの関数として表す。)を測定し、コンピューターに保存した。また、ゼロ次透過された強度を、回転角Ωに対してプロットし、コンピューターに保存した。
【0094】
ホログラムの最大回折効率(DE=ηmax)、即ち回折効率のピーク値を測定した。この最大値を測定するために、場合により、回折光線の検出器の位置を変える必要があった。
【0095】
次に、角度の関数としての測定ブラッグ曲線および透過強度変化から、結合波理論(H. Kogelnik, The Bell System Technical Journal, 第48巻、1969年11月、第9号、第2909頁〜第2947頁参照)を用いて、感光性ポリマー層の比屈折率Δnおよび厚さdを決定した。その方法を以下に示す。
【0096】
Kogelnikによれば、反射型ホログラムのブラッグ曲線η/(Ω)について、以下の式があてはまる。
【数2】

ここで、
【数3】

である。
【0097】
Φは回折格子厚さであり、χは離調パラメーターであり、Ψは書き込まれた屈折率格子の傾斜角である。α’およびβ’は、媒体内であるがホログラムの書き込みの際の角度αおよびβに相当する。ΔΘは、媒体内で測定された角度離調、即ち角度α’からの偏差である。ΔΩは、媒体の外側で測定された角度離調、即ち角度αからの偏差である。nは、感光性ポリマーの平均屈折率であり、1.504に設定した。
【0098】
次いで、以下の式のように、χ=0、即ちΔΩ=0に対して最大回折効率(DE=ηmax)を得る。
【数4】

【0099】
図2に、回折効率、理論ブラッグ曲線および透過強度の測定データの、中心回転角Ω−α−シフトに対するプロットを示す。光重合中の幾何学的収縮および平均屈折率変化の故に、DEを測定する角度がαと異なるので、X軸の中心をこのシフト付近におく。シフトは、典型的には0°〜2°である。
【0100】
DEはわかっているので、Kogelnikによる理論ブラッグ曲線の形状は、もっぱら感光性ポリマー層厚さdによって決まる。次いで、DEの測定値と理論値とが常に一致するように、与えられた厚さdに対し、DEを介してΔnを補正する。そして、理論ブラッグ曲線の第一二次極小の角度位置が透過強度の第一二次極大の角度位置と一致し、加えて、理論ブラッグ曲線と透過強度の半値全幅(FWHM)が一致するまで、dを適合させる。
【0101】
反射型ホログラムの方向はΩスキャンによる再構成時に付随的に回転するが、回折光の検出器は測定可能な角度範囲しか検出できないので、幅広のホログラム(小さいd)のブラッグ曲線は、適当に検出器の位置を調節しても、Ωスキャンで完全には検出されず、中心領域しか検出されない。従って、ブラッグ曲線に相補的である透過強度の形状を、層厚さdを適合させるために付加的に使用する。
【0102】
図2:角度離調ΔΩに対する、Kogelnikによるブラッグ曲線ηのプロット(点線)、測定した回折効率のプロット(黒丸)、および透過出力のプロット(黒色実線)。光重合中の幾何学的収縮および平均屈折率変化の故に、DEを測定する角度がαと異なるので、X軸の中心をこのシフト付近におく。シフトは、典型的には0°〜2°である。
【0103】
ホログラムの書き込み中にDEが飽和値に達する、入射レーザー光線の平均エネルギー線量を測定するため、組成物について、この手順を、様々な媒体で、様々な照射時間tに対して場合により数回繰り返した。平均エネルギー線量Eは以下の式で得られる。
【数5】

【0104】
使用される角度αおよびβで、媒体において同じ出力密度が達成されるように、部分光線の出力を適合させた。
【0105】
別の態様として、532nmの真空中放射波長λを有する緑色レーザーを用いて、図1に示した手順に相当する試験も実施した。ここで、α=11.5°、β=33.5°、Pα=1.84mW、Pβ=2.16mW。
【0106】
ウレタンアクリレート1の調製
まず、0.1gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.05gのジブチル錫ジラウレート(Desmorapid Z、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在))、および213.07gの酢酸エチル中27%濃度トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、500ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、42.37gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、混合物を更に60℃で維持した。その後、冷却し、酢酸エチルを真空下で完全に除去した。半結晶性固体として、生成物を得た。
【0107】
ホログラフィック媒体を製造するため、成分C)、成分D)(成分C中に既に予備溶解させておいてもよい)並びに任意に成分G)および成分F)を成分B)に、場合により60℃で溶解し、十分に混合する。次いで、成分E)を純粋な状態またはNEP中希釈溶液として、暗闇または適当な照明の下で計量添加し、再び混合する。場合により、10分以下の時間、乾燥炉の中で60℃まで加熱する。得られた混合物を10mbar未満で撹拌しながら揮発分除去することができる。
【0108】
同様に、成分A)を10mbar未満で撹拌しながら揮発分除去することができる。次いで、前記混合法の1つを経て、2つの組成物をポジティブ定量ポンプによって連続的に計量添加し、混合する。続いて、混合物を、例えばナイフ塗布機またはスロットノズルのような適用装置によって、連続的かつ均一に基材に適用する。
【0109】
塗布された基材を約80℃で乾燥し、次いで、前記被覆層の1つで覆い、光を通さないパッケージに入れる。
【0110】
感光性ポリマー層の厚さdは、対応する被覆デバイスの被覆パラメーターに由来し、このことは当業者に知られている。
【0111】
本発明の方法を説明するために以下に実施例を記載するが、これらを、限定するものとして理解すべきではない。特に記載のない限り、記載した感光性ポリマーのパーセントの全ては重量パーセントに基づく。
【0112】
実施例1:
13.75gのウレタンアクリレート1(成分C)、次いで0.275gのFomrez(登録商標)UL 28(成分F)および0.165gのByk 310(成分G)、最後に1.678gのN−エチルピロリドン(成分G)中の0.825gのCGI 909、0.028gのニューメチレンブルー、0.028gのエチルバイオレットおよび0.028gのアストラゾンオレンジG(共に成分E)の溶液を、暗闇の中で、27.83gのポリオール1(成分B)に逐次的に添加し、混合して透明溶液を得た。続いて、10.395gのDesmodur(登録商標)XP 2599(成分A)を30℃で添加し、再び混合した。その後、得られた液状物質を175μm厚さのポリカーボネートフィルムに適用し、80℃で4.5分間乾燥した。乾燥層厚さ:45μm、最大Δn:0.016(633nm);0.017(532nm)。
【0113】
実施例2:
5.00gのウレタンアクリレート1(成分C)、次いで0.100gのFomrez(登録商標)UL 28(成分F)および0.060gのByk 310(成分G)、最後に0.610gのN−エチルピロリドン(成分G)中の0.300gのCGI 909、0.010gのニューメチレンブルー、0.010gのエチルバイオレットおよび0.010gのアストラゾンオレンジG(共に成分E)の溶液を、暗闇の中で、10.245gのポリオール2(成分B)に逐次的に添加し、混合して透明溶液を得た。続いて、3.655gのDesmodur(登録商標)XP 2599(成分A)を30℃で添加し、再び混合した。その後、得られた液状物質を175μm厚さのポリカーボネートフィルムに適用し、80℃で4.5分間乾燥した。乾燥層厚さ:25μm、最大Δn:0.012(633nm);0.010(532nm)。
【0114】
実施例3:
13.75gのウレタンアクリレート1(成分C)、次いで0.275gのFomrez(登録商標)UL 28(成分F)および0.165gのByk 310(成分G)、最後に1.678gのN−エチルピロリドン(成分G)中の0.825gのCGI 909、0.028gのニューメチレンブルー、0.028gのエチルバイオレットおよび0.028gのアストラゾンオレンジG(共に成分E)の溶液を、暗闇の中で、19.946gのポリオール3(成分B)に逐次的に添加し、混合して透明溶液を得た。続いて、6.467gのDesmodur(登録商標)XP 2599および11.812gのプレポリマー1(共に成分A)の混合物を30℃で添加し、再び混合した。その後、得られた液状物質を175μm厚さのポリカーボネートフィルムに適用し、80℃で4.5分間乾燥した。乾燥層厚さ:32μm、最大Δn:0.016(633nm);0.017(532nm)。
【0115】
実施例4:
5.00gのウレタンアクリレート1(成分C)、次いで0.100gのFomrez(登録商標)UL 28(成分F)および0.060gのByk 310(成分G)、最後に0.610gのN−エチルピロリドン(成分G)中の0.300gのCGI 909、0.010gのニューメチレンブルー、0.010gのエチルバイオレットおよび0.010gのアストラゾンオレンジG(共に成分E)の溶液を、暗闇の中で、8.432gのポリオール3(成分B)に逐次的に添加し、混合して透明溶液を得た。続いて、5.468gのDesmodur(登録商標)XP 2599(成分A)を30℃で添加し、再び混合した。その後、得られた液状物質を36μm厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムに適用し、80℃で4.5分間乾燥した。乾燥層厚さ:30μm、最大Δn:0.013(633nm);0.014(532nm)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)NCO基が主に脂肪族的に結合され、OH官能価1.6〜2.05のヒドロキシ官能性化合物に基づくNCO末端ポリウレタンプレポリマーを、少なくとも含有するポリイソシアネート成分、
B)イソシアネート反応性ポリエーテルポリオール、
C)少なくとも1個の芳香族構造単位および405nmで1.50より大きい屈折率を有し、NCO基およびOH基を自身に含有しない、ウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレート、
D)フリーラジカル安定剤、
E)ホウ酸塩と、400〜800nmのスペクトル域を少なくとも部分的にカバーする吸収帯を有する1種以上の染料との組み合わせに基づく光開始剤、
F)任意に触媒、
G)任意に助剤および添加剤
を含んでなるポリウレタン組成物。
【請求項2】
ウレタン基、アロファネート基、ビウレット基および/またはアミド基を含有するNCO官能性プレポリマーを成分A)に使用することを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項3】
脂肪族イソシアネート官能性化合物とオリゴマーポリオールまたはポリマーポリオールとに基づき、650〜8200g/molの数平均モル質量および2.0〜3.2または3.9〜4.2のNCO官能価を有するウレタンまたはアロファネートを、成分A)におけるイソシアネー官能性プレポリマーとして使用することを特徴とする、請求項1または2に記載のポリウレタン組成物。
【請求項4】
HDIと二官能性ポリエーテルポリオールとに基づき、1900〜4100g/molの数平均モル質量および2.0〜3.2または3.9〜4.2のNCO官能価を有するアロファネートを、成分A)におけるイソシアネー官能性プレポリマーとして使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【請求項5】
成分A)におけるイソシアネー官能性プレポリマーとして使用される化合物が、0.5重量%未満の遊離モノマーイソシアネート残留含量を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【請求項6】
ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)、およびランダムコポリマーまたはブロックコポリマーとしてのそれらの化合物を成分B)に使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【請求項7】
親ポリエーテルの総量に基づいて10重量%未満のエチレンオキシド割合および2000〜4200g/molの数平均モル質量を有し、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとに基づく二官能性ポリエーテルポリオールを、成分B)に使用することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【請求項8】
成分C)に使用される化合物が1.55より大きい屈折率n20を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【請求項9】
芳香族イソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレートおよびポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートとに基づく、ウレタンアクリレートおよびウレタンメタクリレートを、成分C)に使用することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【請求項10】
成分E1)と成分E2)との混合物を成分E)に使用し、成分E1)の化合物の群が、テトラブチルアンモニウムテトラヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレートおよびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートからなり、成分E2)の化合物の群が、アストラゾンオレンジG、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、アズールA、ピリリウムI、サフラニンO、シアニン、ガロシアニン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エチルバイオレットおよびチオニンからなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のポリウレタン組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のポリウレタン組成物を基材または型に適用し、硬化させる、映像ホログラム記録用媒体の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法によって得られた映像ホログラム記録用媒体。
【請求項13】
光学素子または画像としての、或いは画像表示または画像投影のための、請求項12に記載の媒体の使用。
【請求項14】
請求項12に記載の媒体を使用する、ホログラムの記録方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−209319(P2010−209319A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−27566(P2010−27566)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】