説明

ホログラフィック磁気ストライプのデメタライゼーションによる防護手段

データを符号化するための磁気層と、ホログラムをエンボス加工するためのエンボス加工可能な層と、金属層とを有する防護手段付きホログラフィック磁気テープ。金属層が、テープの所定の磁気標識に基づいてパターンを形成する複数の区間を有する。防護手段付きホログラフィック磁気テープを製造しさらに同ホログラフィック磁気テープをカードに組み込む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィック磁気ストライプに関し、詳細には、防護手段付きホログラフィック磁気ストライプに関する。
【背景技術】
【0002】
「スキミング詐欺」は、一般に、後でデータを利用して偽造カードを製造するためにクレジット・カードの磁気ストライプ上に符号化されているデータをコピーすることを必要とする。その後、これらの偽造カードは違法に広められ、合法的な請求により何百万ドルを集めるのに使用される。スキミングは、驚くべき割合で増加して世界的な問題となっており、業界に年間10億ドルを超える被害をもたらしている。実際に、スキミングは、金融取引市場において、磁気ストライプ符号化カードでの最も急速に増加している類の詐欺とみなされることが多い。
【0003】
スキミングは、まさにその性質上、各クレジット・カード上の磁気ストライプが、コピー品と元の磁気ストライプとの間で認識可能な差異がない状態でほぼ完全にコピーされ得ることを利用している。通常、磁気ストライプは、安価で、容易かつ迅速に作られる。したがって、磁気ストライプ・カードは、おそらく、最も汎用性のある携帯型データ記憶装置である。しかし、この安価な使い勝手のよさにより、磁気ストライプ・カードは特に詐欺に使用されやすくもなる。磁気ストライプまたは磁気カードの磁気特性または光学特性を利用してスキミングを阻止するいくつかの試みがなされてきたが、この問題に対処するための現在有効な試みは、データの転送または読み取りにおいて信頼性がなく、さらに、カードの機能を制限し、さらに、現在販売設備が置かれている箇所を再構築すること、またはそこに新たに設備を設置することを必要とし、さらに、導入にコストがかかる。
【0004】
したがって当技術分野では、信頼性があり、現行のPOS設備に容易に導入され、費用効果の高い、スキミングを阻止するための防護特性を有する磁気ストライプが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、防護手段付きホログラフィック磁気テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示の一実施形態によると、防護手段付きホログラフィック磁気テープは、データを符号化するための磁気層と、ホログラムをエンボス加工するためのエンボス加工可能な層(embossable layer)と、金属層とを有する。金属層は、テープの所定の磁気標識に基づいてパターンを形成する複数の区間を有する。
【0007】
本発明の例示の一実施形態によると、ホログラフィック磁気テープカードは、担体と、担体上にある防護手段付きホログラフィック磁気テープとを有する。防護手段付きホログラフィック磁気テープは、データを符号化するための磁気層と、ホログラムをエンボス加工するためのエンボス加工可能な層と、金属層とを有する。金属層は、テープの所定の磁気標識に基づいてパターンを形成する複数区間を有する。
【0008】
本発明の例示の一実施形態によると、ホログラフィック磁気テープを防護する方法は、ベース・フィルム上でホログラムをエンボス加工するためのエンボス加工可能な樹脂層を蒸着するステップと、金属層を蒸着するステップと、テープの所定の磁気標識に基づいてパターンを形成するために金属層を複数の区間に分割するステップと、データを符号化するための磁気層を蒸着するステップとを含む。
【0009】
本発明の他の種々の目的、利点および特徴は、以下の詳細な説明から容易に明らかとなり、新規の特徴は、添付の特許請求の範囲で特に指摘される。
【0010】
以降の詳細な説明は、例として提供されるものであり、本発明をそれらの説明のみに限定することを意図するものではなく、添付の図面と併用すれば、最もよく理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】PVCカードが読み取り器に通されたときの、PVCカード上にある金属化/導電性磁気ストライプなどの非導電性の担体上にある例示の導電層上で発生する摩擦帯電電荷の概略図である。
【図2】図2A〜Bは本発明の例示の一実施形態による、非導電性/絶縁PVCカードなどの基盤上にあるホログラフィック磁気ストライプの概略図である。
【図3】非導電性の担体上にある例示の導電層から電子装置への例示的な静電気放電を示す概略図である。
【図4】カードを保持する人間の指からの、非導電性の担体上にある例示の導電層での追加の摩擦帯電電荷の発生を例示的に示す概略図である。
【図5】図5A〜Bは本発明の例示の実施形態による、複数の区間に分割される例示の導電層を示す概略図である。
【図6】図6A〜Bは本発明の例示の一実施形態による、例示の導電層を複数の区間に分割する工程を示す概略図である。
【図7】本発明の例示の一実施形態による、例示の導電層を2つの例の縮小された金属区間(左側の線パターンおよび右側のドット・パターン)に分割することにより例示の導電層からの静電気放電を減少させることあるいは排除することを示す概略図である。
【図8】本発明の例示の実施形態による、2つの区間に分割された例示の導電層を示す概略図である。
【図9】図9A〜Bは本発明の例示の一実施形態による、導電層を複数の区間に分割するためのデメタライゼーション処理を示す概略図である。
【図10】本発明の例示の一実施形態による、金属化フィルムの線形のデメタライゼーションを示す図である。
【図11】本発明の例示の一実施形態による、金属化フィルムの拡大したドット・パターンのデメタライゼーションを示す図である。
【図12】金属化ホログラフィック・スレッド(またはリボン)と金属化ホログラフィック・パッチとを備える例示の紙またはプラスチックの銀行券を示す図である。
【図13】金属化ホログラフィック・スレッド(またはリボン)と金属化ホログラフィック・パッチとを備える例示の紙またはプラスチックの銀行券を示す図である。
【図14】本発明の例示の一実施形態による、デメタライゼーション・パターンがない、完全に構築されたホログラフィック磁気テープの概略図である。
【図15】本発明の例示の実施形態による、デメタライズされていないアルミニウム領域上に塗布されるレジスト・コーティングを備える完全に構築されたホログラフィック磁気テープの概略図である。
【図16A】本発明の例示の一実施形態による、すべてのバイナリゼロのデータ記録のための磁気ストライプ・カード上のトラック2からの信号振幅の変化を示すグラフである。
【図16B】本発明の例示の一実施形態による、すべてのバイナリゼロのデータ記録のための磁気ストライプ・カード上のトラック2からの信号振幅の変化を示すグラフである。
【図16C】本発明の例示の一実施形態による、すべてのバイナリゼロのデータ記録のための磁気ストライプ・カード上のトラック2からの信号振幅の変化を示すグラフである。
【図16D】本発明の例示の一実施形態による、すべてのバイナリゼロのデータ記録のための磁気ストライプ・カード上のトラック2からの信号振幅の変化を示すグラフである。
【図17】本発明の例示の一実施形態による、すべてのバイナリゼロを表すトラック2の符号化された信号の顕微鏡写真である。
【図18】本発明の例示の一実施形態による、ホログラフィック磁気ストライプの上面に符号化されたトラック2のデータからの信号振幅の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の発明性のあるスキミング防止用防護手段は、別の一連の実施形態ではESD(静電気放電)用に処理されるような任意のホログラフィック磁気ストライプに適用することができる。発明性のあるこれらのホログラフィック磁気ストライプまたはホログラフィック磁気テープは、アルミニウム層を複数の小さな区間に分けることにより、磁気ストライプのホログラフィック部分にある金属成分からの静電気放電(electro−static discharge(ESD))を大幅に減少させるあるいは最小化する。これらの区間は、デメタライゼーションとして知られている処理を用いてアルミニウムを選択的に除去して既定のパターンを形成させることによって作成することができる。このデメタライゼーション・パターンにより、磁気信号の振幅をデメタライゼーションの繰り返しパターンへと変調することができるレジスト/アルミニウム区間(ドット)の繰り返しパターンが生み出される。この読出し信号振幅の繰り返し変調は、本発明の一実施形態による磁気ストライプの磁気標識(magnetic signature)または識別特徴(fingerprint)として使用することができる。本発明の例示の一実施形態によると、デメタライゼーション標識は、その後、符号化されたデータをホログラフィック磁気ストライプ・カードに結合するのに使用することができ、それにより、あるカードから別の偽造カードへのデータのスキミングが大幅に最小化されるあるいは防止される。本発明のホログラフィック磁気のデメタライゼーションによる防護手段がPOS端末に及ぼす影響は最小であり、復号チップ内の復号アルゴリズムの変更を必要とするのみである。デメタライゼーション・パターンのエラー強さにより、以前のスキミング防止用磁気ストライプシステムより耐久性のあるホログラフィック磁気標識と、これらの防護機能のより信頼性の高い性能とが提供される。デメタライゼーション・パターンはテープ構造体の内部にあるため、損耗および酷使の影響を受けない。また、ホログラフィック磁気のデメタライゼーションによる防護手段は、複製するのが極めて困難でありながら、カードの耐用期間を上回る高い耐久性を有し、繰り返し使用できるはずである。
【0013】
上述したように、本発明の発明性のある防護手段の特徴は、ESDを減少させるあるいは排除するホログラフィック磁気ストライプに適用される。一般に、帯電してその後電子装置内へ放電される可能性がある導電性の要素を保持する絶縁体装置の例は多くある。一連の実施形態では、ESDを減少させるための本発明の方法は、絶縁体100上の導電性の要素110からのESDを減少させるあるいは排除するのに適用可能である。図1を参照すると、ESDを減少させるホログラフィック磁気ストライプを製造する本発明の方法が、導電性の金属被覆磁気ストライプ(金属要素)110を備えるポリ塩化ビニル(PVC)プラスチック・カード(絶縁体)100に適用されたものとして示されており、これは、絶縁体100上の導電性の金属要素110からのESDを減少させるあるいは排除することを目的としている。金属化磁気ストライプ110を保持するPVCプラスチック・カード100が、POS(point of sale)端末200などの磁気ストライプ・カード読み取り器200に挿入されており、ここでは、金属化磁気ストライプ110からPOS端末200へのESD300が、POS端末200の処理を中断させる可能性がある。以下の記述では、帯電した導体110および非導電性の担体100が電子装置200に接触するように挿入あるいは配置されている場合に、非導電性の担体100の上にある導体または導電層110がどのように電子装置200を中断させる電荷を保持することができるかを説明する。
【0014】
クレジット・カード、ATM(automatic teller machine)用カード、チャージ・カード、トランジット・カード、テレホン・カード、ストアド・バリューカード、ギフト・カードおよびデビット・カードなどのプラスチック・カード100は、通常、PVCプラスチックから作られており、これらは摩擦電気を利用することができる。PVCの摩擦電気特性により、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などの別のプラスチックと擦れ合うことで電荷が発生する。POS端末200内の磁気スワイプ(swipe)読み取り器(MSR)210はABSプラスチックから作られることが多い。PVCカード100がMSR210に通されると、ABSとPVCカード100との間に摩擦帯電電荷が発生することがある。PVCカード100には正電荷または負電荷が残り、MSR本体には大きさの等しい反対の正電荷または負電荷が残る。カード100を通すときの摩擦力による摩擦帯電電荷のこのような蓄積の例が図1に示されており、ここでは、MSR210にある磁気スワイプ領域のABSプラスチック内で負の摩擦帯電電荷が蓄積する。MSR210の磁気スワイプ領域上の摩擦帯電電荷により生じる電界の向きの線215が、金属化磁気ストライプ110の上端部のところの正電荷と金属化磁気ストライプ110の底端部上の反対の負電荷とを誘導する。
【0015】
カード100がMSR210を通過するときにカード100上に発生する電荷は、14.3平方インチの表面積(カードの表および裏の表面積)を有する標準的な国際標準化機構(ISO)規格のプラスチック・カード上で1000ボルトから3000ボルトを超える電圧に到達することができる。これは、合計でカード100上に2〜3ナノクーロンまでの上向きの電荷を有することを示しており、この電荷は、PVCカード100上で1〜3ピコファラッドのキャパシタンスに転換される。PVCカード100および金属化磁気ストライプ110はコンデンサのように機能し、機会が与えられると蓄積された電荷を接地されている低インピーダンスの電流ドレインへと放電する。このような機会は、図1に示すように、PVCカード100の金属化磁気ストライプ110がMSR210内の金属磁気読取ヘッド220に接近したときに生じてよい。
【0016】
金属読取ヘッド220は金属ケースと金属コアとから構成されており、金属コアは、符号化磁気ストライプ110から出る磁束を捕捉することができ、さらに、捕捉した磁束を電気的なパルスに変換することができる。磁気ストライプ110からの時間変動する磁束が読取ヘッド220の金属コアの読取コイルに到達すると、磁束の変化が読取コイルにより電気信号に変換され、さらに、この電気信号は、MSR210の読取回路内にある半導体チップまたはPOS端末200のマザーボードによって復号され得る。
【0017】
金属読取ヘッド220が帯電したPVCカード100に接近した場合、カード100の金属化磁気ストライプ110上の電荷が、金属化磁気ストライプ110からPOS端末200の金属読取ヘッド220内へと放電され得る。これにより、POS端末200のESDに対する許容範囲が小さい場合にはPOS端末200の機能が中断される。その後、電荷は、接地点まであるいはPOS端末200の半導体チップなどの種々の電子部品までたどり着くことができる。蓄積電荷の導電層または金属化磁気ストライプ110から離れての伝導は、PVCカード100の導電層または磁気ストライプ110の抵抗率の関数である。金属化磁気ストライプ110上の電荷は、通常、金属化磁気ストライプ110から離れて読取ヘッド220内へと流れる。カード100がMSR210のABSに沿って通されたときにカード100上に発生して蓄積される摩擦帯電電荷は、磁気ストライプ110がPOS端末200の金属読取ヘッド220に接触するときにMSR210の磁気読取ヘッド220内に放電され得る。POS端末200内にあるMSR210および復号電子回路は、一般に、カード100がMSR210を通る電気摩擦的な移動によって発生させられてカード100上に蓄積される電荷の放電を処理するように設計される。しかし、市場に出ている一部のPOS端末200は、金属化磁気ストライプ110からのESDを十分に効果的に処理するようには、適切に設計されていない(すなわち、ESDに対する許容範囲が小さい)。したがって、本発明の例示の一実施形態によると、絶縁体100が、その中での電荷の蓄積を減少させるために、不連続の金属要素110(または、物理的な断絶部をその間に有する金属要素110)を保持し、それにより、起こり得る任意のESDが減少する。すなわち、例えば、PVCカード100は、ESDに対する許容範囲が小さい既存のPOS端末200に対応するために、磁気ストライプ110上に不連続の金属化層を有する。したがって本発明は、導電性の要素110を複数の区間に分割することにより、金属または導電性の要素110を保持する絶縁体または非導電性の担体100が電子装置200内へ放電する可能性があるESDエネルギーをなくしたいあるいはその量を減少させたいという要望に端を発する。これにより、有利には、ESDによる電子装置200の処理上の中断または機能的中断が最小化あるいは防止される。
【0018】
PVCカード100上にある金属被覆磁気ストライプまたは金属化磁気ストライプ110の一例として、図2Aに示すようなホログラフィック磁気ストライプ120がある。例示のホログラフィック・ストライプ120の断面図を図2Bに示す。ホログラフィック磁気ストライプ120は、ホログラフィック磁気ストライプ120内にホログラフィック画像を表示するのに必要な反射条件を満たすような導電性の金属部(例えば、真空蒸着されたアルミニウム、銅、アルミニウム/クロム合金など)を有する。磁気ストライプ110の金属部は、一般に、50オームから数千オームまでの範囲の抵抗値を有する。磁気ストライプ110の金属部の抵抗は、一般に、カード100上の摩擦帯電電荷のための導電経路を形成するのに十分なほど低く、それにより、カード100上に摩擦帯電電荷が、図3に示すように、磁気読取ヘッド220を通ってPOS端末200の電子回路または接地経路内へと放電される。
【0019】
読取ヘッド220内へのESDとなる可能性がある、絶縁体またはカード100上ならびに金属磁気ストライプ110上に蓄積される静電荷は、複数の供給源から発生させられ得る。磁気ストライプ読み取り器210の表面に対してのカード100の摩擦動作により摩擦帯電電荷を発生させることができる。一般に、磁気ストライプ読み取り器210の大部分の領域は、図1に示すようにABSプラスチックを有する。人体も摩擦帯電電荷の別の供給源である。人体は、歩くこと、財布からカードを取り出すことなどによる様々な摩擦力によって摩擦帯電電荷を発生させることができる。このような人体による摩擦帯電電荷の一例が図4に示されているが、人間の指300がカードを保持して通過させる場合では、例えば指300がカーペットを横切って動くなどの人体の動きよって生じる摩擦力により指300は正に帯電している。指の上の正電荷からの電界により金属化磁気ストライプ110上により多くの負電荷および正電荷がさらに誘起され、それにより、金属化磁気ストライプ110上での電荷分離が増大または減少される。また、静電荷は、前回のカードの通過によって端末200の磁気スワイプ領域内に残る可能性もある。さらに、通常は捕捉電荷である、ラミネート加工されたばかりのPVCカード100からの圧電電荷が、金属磁気ストライプ110内の自由電荷を誘起する場合もある。
【0020】
電荷(正電荷または負電荷)のこれらすべての供給源は、POS端末200などの電気装置または電子装置200内への静電荷の放電を引き起こすことができる。金属化磁気ストライプ110から磁気読取ヘッド220の金属要素への静電気放電により、このESD(すなわち、電流)がPOS端末200の様々な電気回路内へと向かうための導電経路が形成される。このことが、ESDに対する許容範囲が小さいPOS端末200を一時的に動作不能にし、それにより端末200の再起動が必要となる場合があり、あるいはさらに悪いケースでは、端末内の電気回路が短絡し、それにより端末が故障する場合がある。
【0021】
導電性の層110および絶縁体または非導電性の層100のキャパシタンスにより、金属または導電性の層110上に電荷を蓄積することができる。キャパシタンスは、所与の電圧に対してコンデンサ上に蓄積され得る電荷(q)の量として定義される。キャパシタンス(C)は、プレート間に発生する所与の電位差または電圧(V)に対して各プレート上に蓄積される電荷(q)の量の測定値である。
【数1】

【0022】
コンデンサ値は、電荷を保持するプレートまたは表面の面積に直接に関係する。プレートの面積が大きいと、より多くの電荷をその領域の上に置くことができ、その結果キャパシタンスが増大する。
【0023】
【数2】

ここで、Aはコンデンサの面積であり、dはコンデンサの2つの金属要素の距離であり、εは金属要素間の任意の物質の誘電率である。
【0024】
コンデンサ上に蓄えられるエネルギーは、キャパシタンスの大きさまたはコンデンサ上に蓄積される電荷(Q)の2乗に関係する。
【0025】
【数3】

【0026】
コンデンサが直列につながれた場合、キャパシタンスの合計は減少し、全体の電圧はコンデンサの数ごとに分割される。直列につながれた2つのコンデンサの合計のキャパシタンスおよび電荷蓄積容量は、個別のコンデンサのキャパシタンスおよび電荷蓄積容量より小さい。すなわち、コンデンサのキャパシタンスおよび電荷蓄積容量は、コンデンサを別のコンデンサと直列に接続することにより下げることができる。
【0027】
【数4】

すべてのコンデンサが等しい大きさのCである場合、Ceg=C/nとなる。
【0028】
したがって、例えば、本発明は、コンデンサのこのような特性を利用して絶縁体100の導電性の要素110上に蓄積される電荷を減少させ、それにより導電性の要素110上に蓄えられるエネルギーを減少させる。これにより、有利には、導電性の要素110を有する絶縁体100が挿入されてあるいは電子装置200に接触してそれにより導電性の要素110上に蓄積されている電荷(キャパシタンス)が接地点へあるいは電子装置200内に放電されるときの、電子装置200内に放電される電荷量およびエネルギーが減少する。本発明の一実施形態によると、導電性の要素110の全体のキャパシタンスは、導電性の要素110をほぼ同じ大きさの多数の小さな区間に分割して不連続の導電性の要素を形成することによって減少させられてよい。これらの区間は、本質的に、直列につながれた複数のコンデンサ(例えば、大きさが等しいn個のコンデンサ)として機能し、それにより、導電性の要素110の合計のキャパシタンスが減少する。直列につながれたn個の等しい部分に分割された導電性の要素110の実効キャパシタンスはC/nとなり、ここで、Cは元の連続導電性の要素110のキャパシタンスである。これにより、有利には、導電性の要素110上に蓄積される全体の電荷およびエネルギーがn分の1に減少し、その結果、絶縁体100の導電性の要素110からのESDが電子装置200の電子部品を損傷させる可能性が大幅に減る。
【0029】
本発明の例示の一実施形態によると、金属化層110(例えば、ホログラフィック磁気ストライプ120)のキャパシタンスが、金属化層110を多数の部分(または多数のコンデンサ)に分割することにより減少される。すなわち、金属化層110が、直列につながれたほぼ同じ大きさの多数の小さなコンデンサ(例えば、大きさが等しいn個のコンデンサ)に分割され、それにより、金属化層110の合計のキャパシタンスが減少する。金属化層110の実効キャパシタンスはn分の1に減少することから、これによって、有利には、やはり金属化要素110上に蓄積される全体の電荷およびエネルギーがn分の1に減少し、それにより、金属化層110からのESDのレベルが下がる。したがって、本発明は、金属化層110上に蓄積される静電荷のレベルを下げることにより、たとえ電子装置200のESDに対する許容範囲が小さい場合でも、金属化層110を有する絶縁体100が任意の電子装置200上で使用されるのを可能にする。
【0030】
また、各金属化区間の面積が減少することにより、接続されていない金属化部分のそれぞれのキャパシタンスは金属化層の合計のキャパシタンスより著しく小さくなり、それにより、金属化層110の電荷蓄積容量が低下する。
【0031】
非導電性の担体100上の導体110は、電子装置200(特に、静電気放電に対する許容範囲が小さい電子装置)を損傷させる可能性がある電荷を保持することができることから、本発明の導電層110は、静電気放電を排除するあるいは大幅に減少させるための不連続の導電層110として構成され、それにより、電子装置200への可能性があるいかなるESD損傷も最小化あるいは排除される。本発明の一実施形態によると、非導電性の担体100上の導体110は、面積がほぼ等しいあるいは面積が異なるn個の区間に分割され、これらの区間は、n個の区間のうちの任意の1つまたは複数からの蓄積電荷の放電(ESD)を阻止するあるいは減少させるのに使用されてよい。非導電性の担体100が、面積がほぼ等しいあるいは面積が異なる様々な数の区間にそれぞれが分割されてよい複数の導体110を有することができることが認識される。各区間は、線、ドット、不規則な形状のドット(例えば、鳥または会社のロゴ)、あるいは、他の不連続形状などであってよい。
【0032】
図12および13を参照すると、金属化ホログラフィック・スレッドまたは金属化ホログラフィック・リボン1210あるいは金属化ホログラフィック・パッチ1220を有するプラスチックまたは紙の銀行券1200が本明細書における一例として使用されており、ここでは、導電層110(すわなち、金属化ホログラフィック・スレッド1210)をn個の区間に分割する本発明の方法が示される。非導電性の担体(すなわち、銀行券1200)上の金属ホログラフィック・スレッド1210または金属化ホログラフィック・パッチ220(すなわち、銀行券の導電性部分)が、銀行券1200が電子装置によって数えられるあるいは処理されるときに放電する可能性がある銀行券1200上での静電荷の蓄積を阻止するあるいは減少させるためにn個の区間に分割される。非導電性の担体(すなわち、銀行券1200)の導電性部分(すなわち、金属化ホログラフィック・スレッド1210または金属化ホログラフィック・パッチ1220)をn個の区間に分割して各区間を他の区間から分離することにより、導電性区間(すなわち、金属化ホログラフィック・スレッド1210または金属化ホログラフィック・パッチ1220)が保持する電荷が、導電性部分が電子装置200に接触したときに電子装置200内に放電されるのを阻止することができる。これは、銀行券1200が選別機または計数機によって数えられるまたは処理されるときに行われてよい。
【0033】
本発明の例示の一実施形態によると、プラスチック・カード100上の金属化磁気ストライプ110(または、ホログラフィック磁気ストライプ120)が、プラスチック・カード100がPOS端末200に接触したときに放電する場合があるプラスチック・カード100上での静電荷の蓄積を阻止するまたは減少させるためにn個の区間に分割される。ホログラフィック磁気ストライプ120においては、ホログラフィック磁気ストライプ120上に保持されるホログラムが、一般には、ホログラフィック磁気ストライプ120内のアルミニウム金属層によって視覚化される。非導電性の担体(すなわち、プラスチック・カード100)の導電性部分(すなわち、ホログラフィック磁気ストライプ120のアルミニウム金属層)をn個の区間に分割してアルミニウム金属層の各区間をアルミニウム金属層の他の区間から分離することにより、各導電性区間が保持する電荷が、カード100がPOS端末200に通されるあるいはその中に挿入されるときにPOS端末200内に放電するのを阻止することができる。別法として、複数の区間は、接続された区間のそれぞれがPOS端末が許容できるESDより大きなESD事象を発生させない限りにおいて、接続されてもよい。本明細書で前述したように、導電性区間の合計のキャパシタンスはn分の1に減少させられ、各導電性区間のキャパシタンスは小さくなることから、各区間に蓄積される電荷は、カード100がPOS端末200に接触したときに放電するには不十分となる(すなわち、各導電性区間からのESDは十分に小さくなり、基本的には電子装置に損害を与えない)。
【0034】
ESDを阻止するあるいは減少させるために非導電性の担体100の導電性部分(すなわち、金属層)110をn個の区間に分割するのに、任意の既知の方法が使用されてよい。本発明の例示の一実施形態によると、静電気放電を減少させる方法は、金属または導電性の層110(例えば、ホログラフィック磁気ストライプ120または金属化ホログラフィック・スレッド1210内のアルミニウム層または金属層(例えば、銅、アルミニウム/クロム合金など))内で複数の線をレーザ・アブレーションまたはレーザ彫刻することを含み、それにより、導電層110が幅がx(例えば、0.10インチ)であるn個の等しい区間に分割される。
【0035】
本発明の一実施形態によると、導電性の層110内に縦方向の線などのパターンを刻むことによって非導電性の担体100上の金属または導電性の層110から金属を除去するのにレーザが使用される。例えば、レーザを使用して、図5〜8および図10〜11に示すように、金属層110、金属化ホログラフィック・スレッド1210の金属層、ホログラフィック磁気ストライプ120のアルミニウム層、または、金属化ホログラフィック・パッチ1220内に縦方向の線パターンを刻み、それにより、金属層を幅xのn個の等しい区間140に分割する。
【0036】
本発明の例示の一実施形態によるホログラフィック磁気テープを構成するために、ウェッブ(web)上に既に剥離層(release layer)およびエンボス加工可能な層がある状態のポリエステル基材上にアルミニウム、銅、アルミニウム/クロム合金などの金属を蒸着することにより、アルミニウムまたは他の金属をホログラフィック・テープに塗布する。金属化(アルミ化)されたウェッブは、その後、スペクトルの赤外線部分または紫外線部分に調整されたレーザの前を通過させられ、レーザ・ビームまたは導電性尖筆器具(conductive stylus)による彫刻によって金属(または、アルミニウム)が線または規定のパターンになるように焼失させられる。
【0037】
図5〜8に示すように、線(または、パターン)の配置は、連続した金属(または、アルミニウム、銅、アルミニウム/クロム合金など)層あるいはテープ110が複数の短い区間140に分割され、テープ110の複数の金属区間140の間の隙間130内の、レーザによって切断された金属(すなわち、アルミニウム、銅、アルミニウム/クロム合金など)のない線部分によって分離された状態となる、ように設定される。これらの金属区間140の長さxは、各区間140の合計のキャパシタンスが十分な輝度は維持しながらも各区間140での電荷の蓄積を制限または防止するくらいに小さくなるように、十分に小さくなければならない。
【0038】
区間140の電荷q(q=C×V、ここで、Cは区間のキャパシタンス、Vは区間内の電荷によって発生する電圧)が十分に小さい場合、電子装置200内への静電気放電は、電子装置200の機能に影響を与えることがないくらいに十分に小さい。任意の区間140の最大の長さおよび幅(面積)は、非導電性の担体100(すなわち、PVCカード100)上に蓄積され得る最大電荷によって制限され、その結果、非導電性の担体100がESDに対する許容範囲が小さい電子装置200と共に作動できるようになる。最大電荷はキャパシタンス、摩擦帯電、湿度、および、非導電性の担体100の表面の状態と相関関係があると認識されたい。
【0039】
レーザ彫刻によるパターンには、図5Aに示されるように金属テープ110の長さ方向に対して垂直であるようなあるいは図5Bおよび8に示されるように金属テープの方向に対して角度がつけられた縦方向の線が含まれてよい。レーザ彫刻された線部分の距離すなわち導電性アルミニウムテープまたは金属テープ110の区間ごとの隙間130は、電圧により電荷が隙間130を飛び越えてそれにより金属テープ110が金属テープ110と接触している電子装置200内までの導通状態を維持し続けることがないように、十分に広くなければならないということが認識される。したがって、金属区間140のサイズおよび隙間130の幅は、特定のデザインに合うように調整されてよい。例えば、これら2のパラメータは、ホログラムの十分な視認性を確保するための十分な輝度を有する範囲内で最も小さな金属区間140(例えば、幅が少なくとも約0.10インチ)を有するホログラフィック・パターンを形成するように、調整されてよい。
【0040】
本発明の一実施形態によると、金属テープまたは金属層110の複数の区間は、図6B、8および9A〜Bに示すように、酸エッチングまたは苛性洗浄溶液を用いて金属(すなわち、アルミニウム、銅、アルミニウム/クロム合金など)の複数の区間を化学的にエッチング除去することによって取り除かれる(すなわち、デメタライゼーション処理)。除去されない金属テープ110の領域は、グラビア・シリンダまたは他の適用可能な印刷手法を用いて金属テープ110上に印刷されてよい化学レジスト・コーティング150(図5b)によって保護される。グラビア・シリンダは、アルミニウム層を有する構成物のウェッブ上にあるアルミニウム(すなわち、金属)を保護するのに使用されるようなパターンになるようにエッチングされる。
【0041】
本発明の例示の一実施形態によると、図9A〜9Bに示すように、ホログラフィック層から金属(すなわち、アルミにウルム)を選択的に除去することにより特定のパターンの不連続の導電層(すなわち、ホログラフィック金属層)を生成するのに、デメタライゼーション処理が使用される。ステップ900では、エンボス加工されたホログラフィック画像のロールがアルミニウムを用いて金属化される。ステップ910では、ウェッブ上のアルミニウム区間を苛性洗浄剤から選択的に保護および維持するために、グラビア・シリンダ(または、他の同等の印刷手法)により、ロール状のアルミ化フィルム上に化学レジスト・パターン(すなわち、ドットまたは他の幾何形状のレジスト・パターン)が印刷される。グラビア・シリンダにより、アルミニウムが保護されなければならないアルミ化フィルムの領域内に化学レジストが印刷されるが、アルミニウムが除去されなければならない領域には化学レジストは一切印刷されない。その後、ステップ920では、グラビア・シリンダにより化学レジスト・パターンが印刷されたアルミ化フィルムのロールまたはウェッブが、アルミニウムを除去するための化学浴(例えば、水酸化ナトリウム)または酸洗浄剤に通され、それにより、化学レジストがない領域のアルミニウムはエッチング除去され、化学レジストによって保護されているアルミニウムは残る。
【0042】
ステップ930では、苛性化学溶液がデメタライズされたウェッブから洗い落とされる。次に、磁気コーティングまたは他のコーティングがデメタライズされたウェッブに塗布される。アルミ化フィルムの線形のデメタライゼーションの例が図7および10に示されており、ドット・パターンのデメタライゼーション処理の例が図7および11に示されている。図7に示された線パターンは、特定の間隔および幅を有する平行線すなわちアルミニウム区間を含む。図7に示されたドット・パターンは、楕円形状または円形状などの種々の形状のドットを含む。明るい領域は、金属層の島状のアルミニウムすなわちアルミニウム区間140を表しており、暗い領域は、選択的に塗布された化学レジストによって島状のアルミニウムが保護されている状態において苛性化学浴によってアルミニウムが除去された隙間130を表している。
【0043】
本明細書に記載するデメタライゼーション処理は、苛性レジストマスクの塗布後の苛性洗浄剤の使用を伴うが、他の既知のデメタライゼーションまたは別の手法が、本発明において断片的なあるいは不連続の導電層または導電性表面を生成するのに使用されてよいことが認識される。本発明の例示の一実施形態によると、断片的な導電層はデメタライゼーション処理を用いて生成されてよく、デメタライゼーションでは、金属化表面または導電性表面上に直接にエッチング剤が加えられ、その後、洗浄溶液を用いて洗浄が行われる。別法として、本発明の例示の一実施形態によると、断片的な導電層は、非金属化ホログラフィック表面に水溶性物質を加え、さらに、ホログラフィック表面を金属化し、さらに、水溶性物質および覆っている金属を溶解するために洗浄剤を用いて金属化ホログラフィック表面を処理することによって生成され得る。
【0044】
本発明のデメタライゼーション処理は、不連続のアルミニウム層または他の金属層を生成するのに使用され、その結果、金属層の導電率およびキャパシタンスが著しく変化する。アルミニウム層の分離された各区間140内に蓄積されるESDエネルギー/電荷は、連続した金属層のESDエネルギー/電荷よりはるかに小さい。各区間140(すなわち、島状のアルミニウム)が分離されていることにより電気抵抗が増し、それにより、区間130内の蓄積電荷が電子装置200内に放電されにくくなる。
【0045】
デメタライゼーション処理は、金属区間140の間の隙間130に金属が残らないように注意深く調整されなければならない。これには、レジスト・パターンの間のアルミニウムをエッチング除去する苛性洗浄剤を十分に塗布することが必要となる場合がある。金属区間140の間の隙間130に少しでも金属物質が残ると、金属区間140が橋絡する可能性があり、それにより、電子装置200内へのESDを引き起こすのに十分な導電経路が形成される。しかし、苛性洗浄剤が過剰に加えられた場合、レジスト・パターンによって保護された金属領域が破壊され、維持されるべきアルミニウム領域(または、金属区間140)が減少する場合がある。これにより、ホログラフィック画像の輝度および画像品質が低下する。
【0046】
本発明の例示の一実施形態によると、本方法は、デメタライズされた(すなわち、選択的に金属化された)ドット・パターン(例えば、「ハーフトーン・パターン」)を形成することにより不連続の金属層を生成し、このドット・パターンは、ハーフトーン・ドットが「つながる」ほどには高くないがホログラフィック画像を再現するのに十分な高さのドット濃度を有する。すなわち、図11に示すように、ドット濃度は、ハーフトーン・ドットが「つながる」のを防止するくらい十分に低い。例えば、ドット濃度すなわち導電性の要素の全面積に対する金属「ドット」のカバー率が50%より大きい場合、ハーフトーン・ドットがつながることなく、ホログラフィック画像は再現され得る。一部の用途では、ドット濃度またはドット範囲は、ホログラフィック画像の輝度を向上させるために70%より大きくてよい、あるいは70%より大きくなければならない。本発明の一実施形態によると、ハーフトーン・ドット・パターンを用いる手法は、ドットをつなげることなく最も高いドット濃度を有する不連続の金属層を生成するのに使用される。
【0047】
ホログラフィック・テープの金属層から複数の金属区間を選択的に除去することによって不連続の金属層を生成する処理では、キャパシタンス、および、1つまたは複数の任意のアルミニウム区間上に蓄積され得る電荷の量を減少させることによりならびに金属層の抵抗を増大させることにより、ESDが磁気読取ヘッドなどの電子装置の敏感な要素に到達することが減少するあるいは阻止される。
【0048】
本発明の一実施形態によると、不連続の金属層110は、非導電性の担体または基盤100上に不連続の金属パターンを選択的に塗布することによって生成されてよい。不連続の金属パターンは、所与の領域での電荷の蓄積を防止するあるいは最小にするために、制限された領域の分離金属区間を有してよい。各区間140は、隣接する区間から十分な距離で分離されており、1つの区間140に蓄積される電荷が隙間130を越えて別の区間140に電弧をなすことはない。
【0049】
本発明は、非導電性の担体100上の連続金属層110から選択的に金属を除去することによりあるいは非導電性の担体100上に選択的に金属を塗布することにより非導電性の担体100上に不連続の金属層110(すなわち、分離した小さな金属領域)を生成する。ESDに対する許容範囲が小さい電子装置を含む任意の電子装置200内へのESDを阻止するために他の金属領域から十分に分離された小さな金属領域(すなわち、不連続の金属層)を生成するために、本発明では、種々の金属除去手法、金属印刷手法または金属蒸着手法が使用されてよい。
【0050】
本発明の一実施形態によると、既定のパターンにするための金属除去および金属塗布の方式は次の2つの基準を満たさなければならない:a)電荷の蓄積を最小にする(すなわち、金属領域が保持する画像の輝度が一定の範囲内にある最小の金属被覆領域)、および、b)金属区間140どうしがつながるのを防止し、それにより、各区間140上に蓄積される電荷が、他の金属区間140とあいまって、電子装置200を損傷させるような電流または電圧によるESDを様々な形で引き起こす可能性がなくなる。
【0051】
放電地点までの電荷移動の実際の経路は埋め込まれた導電層110の存在の影響を受け、電気抵抗は金属層110の完全性によって決まることが認識される。金属層110の抵抗は金属の分離状態に依存する。金属層110の電気抵抗は金属の分離状態(すなわち、不連続の金属パターン)によって増大し、それにより、導電層110上での蓄積電荷の伝搬が縮小される。図1および4を参照すると、ここでは、蓄積電荷がカード100の上側垂直端部(上端部)に沿って金属化ストライプ110の全幅にわたって右から左へと伝搬するが、本発明は、磁気ストライプの任意の露出端部に沿ってあるいは磁気ストライプ本体から静電気放電が発生するのを防止するために上記の導電経路の停滞を誘発するような任意の機構を使用してよい。
【0052】
本発明の例示の一実施形態によると、ホログラフィック画像内で戦略的に具体化される深くエッチングされた回折要素が、金属層110または導電経路を中断するための予め金属化された一般的なホログラフィック・フォイルを機械的にエンボス加工すること、さらには、それに付随してこのフォイルを変形および分離させることに使用される。この意図的な金属層110の微小な中断により電荷の伝搬が効果的に妨げられ、それにより、非導電性の担体100の任意の露出端部に沿って起こる静電気放電が減少あるいは防止される。
【0053】
本発明は、電子装置、人間自体または物体との接点となる導電性の要素を有する任意の非導電性の担体での用途を含む。導電性部分または導電性の要素が非導電性の担体の上にあるいはその中に複合されている場合、導電性の要素は潜在的に静電荷を保持することができ、さらに、担体と導体との組み合わせが電子装置に接触したときに蓄積電荷を電子装置内に放電することができる。本発明の一実施形態によると、導電性部分を複数の小さな区間の断片化または分割することにより、各領域に蓄積される電荷は減少し、これらの区間を分離することにより、蓄積された電荷の電子装置内への起こり得るいかなる放電も阻止される。以下は、本発明の種々の用途における例示的な実施例である。
【0054】
金属化磁気テープは、それ自体で、金属層と、ポリエステル基材などの非導電性の担体とを保持することができ、非導電性の担体は、テープ読取・書込装置と共に使用されたときに金属化テープを2次非導電性の担体にはめ込むあるいは取り付けることなくESDを発生させる場合がある。テープの金属化部分は、本発明のこの実施形態で説明する工程によって分割される場合、ESDの発生を防止し、さらに、非導電性テープ基材上の金属化テープを使用または処理するときのいかなる装置、人またはシステムへの放電も防止する。
【0055】
紙またはプラスチックの銀行券1200の上にある金属化ホログラフィック・スレッド1210または金属化ホログラフィック・パッチ1220は、潜在的に銀行券受取装置(banknote acceptor)内へ放電され得る電荷を保持することができる。本発明の例示の一実施形態によると、ホログラフィック・リボン1210またはホログラフィック・パッチ1220の金属層は、分離した小さな金属区間に断片化または分割されてよく、それにより、ホログラフィック・リボン1210またはホログラフィック・パッチ1220の表示状態を維持しながら銀行券受取装置内への起こり得る任意のESDを減少させるまたは排除する。
【0056】
通常、磁気ストライプの一部ではないプラスチック・カード上のホログラムは、多くの支払用カードで視覚による防護手段およびデザインのために使用される。ホログラム内の金属層が十分なサイズでありかつ適当な位置にある場合、この金像層は、摩擦帯電電荷が生成されることにより電荷を蓄積することもでき、潜在的に、磁気読取ヘッドを通してPOS端末内へ、あるいは、接地経路またはチップ読み取り器内へ放電する可能性がある。本発明の例示の一実施形態によると、ホログラム内の金属層は、POS端末内への起こり得る任意のESDを減少させるあるいは最小にするために複数の区間に断片化または分割されてよい。
【0057】
プラスチック・カード内の金属電池が、RF−IDカードおよび表示装置に電力を供給するのに使用される。本発明の例示の一実施形態によると、電池の表面は、読み取り器内への起こり得る任意のESDを減少させるあるいは最小にするために複数の小さな金属区間に断片化または分割されてよい。
【0058】
スマートカード上の接触パッドは金属であり、スマートカード読み取り器の読取回路に接続される(すなわち、接触する)。本発明の例示の一実施形態によると、接触パッドは、カード内のチップに通じている大きなピンコネクタとの電気的接触を維持した状態で、スマートカード読み取り器内への起こり得る任意のESDを最小にするあるいは減少させるために複数の小さな金属区間に断片化または分割されよい。
【0059】
さらに、ある装置から別の装置へのあるいは人への起こり得る任意のESDを減少させるあるいは排除することが有利であるような用途は他にも多くある。例えば、高酸素雰囲気中にある金属製の手術器具は、低キャパシタンスの多数の小さな区間に分割された絶縁体を覆う金属表面の恩恵を受ける場合がある。人の心臓の中にあるペースメーカーは、電磁誘導またはESDによる任意の起こり得る危害を減少させるために小さな複数の金属区間に断片化された表面を有する金属ケース内に格納されることが有利である場合がある。
【0060】
本発明の例示の実施形態では、ホログラフィック磁気ストライプまたはホログラフィック磁気テープのデメタライゼーション・パターンによる信号変調が、スキミングを阻止するために磁気ストライプの安全性を向上させるのに使用されてよい。カードに塗布される前の、デメタライゼーション・パターンのない完全に構築されたホログラフィック磁気テープ1400の例を図14に示す。テープの合計の厚さはおよそ38〜42μmである。テープは概ね以下の層を有する:ベース・フィルム1410;剥離層1420;エンボス加工可能な樹脂層1430;好ましくは、アルミニウム、クロム、銅、アルミニウム/クロム合金などの金属層である反射層1140;分離層(例えば、タイ・コーティング層(tie coating layer))1450;磁気層1460;接着層1470。反射層1420の上面にある分離層または分離コート1450により、テープ(図2Aに示すように、実際にカード上に配置されている場合)の上側表面とデータが符号化されている磁気層1460との間に付加的な間隔が設けられる。テープの上側表面と接触している磁気読取ヘッド220と磁気層1460がわずかに離れているだけでも、符合化されたデータを読み取るときに信号損失が生じることはよく知られている。一般に、磁気ストライプ・カードから読み取られる符号化された磁気信号の磁気信号振幅およびジッタは、ISOの磁気ストライプ規格の範囲内である。
【0061】
本発明は、デメタライゼーション処理またはレーザ・アブレーション処理において反射層または金属層1440の複数の部分を選択的に除去することによって磁気層1460とテープの上側表面との間の間隔を減少させそれにより読出し信号の振幅を増大させたいという要望に端を発する。本発明の一実施形態による例示のホログラフィック磁気テープ1500を図15に示す。本明細書で説明したように、金属層(例えば、アルミニウム)1540の複数の部分を選択的に除去する1つの手法は、ウェッブ型の金属層または金属ストライプ1540の金属部分に塗布される特定のデザインに印刷されたレジスト・コーティングまたはレジスト分離層1550を使用するデメタライゼーション処理である。このレジスト・パターンは、レジスト・パターンの印刷後の化学的苛性洗浄剤から金属を保護する。化学的洗浄剤により、レジスト・パターンが印刷されていないところの金属層1540が除去される。デメタライゼーション処理の完了後、ホログラフィック金属ウェッブには、磁気層1560を形成するための磁気酸化コーティングおよび接着層1570を形成するための接着性コーティングなどの追加のコーティングが被覆されてよい。
【0062】
この状態では、金属(すなわち、アルミニウム)が苛性洗浄剤によって除去された領域では、磁気層1560はテープの上側表面により接近していることから(図2Aに示すように、デメタライゼーション・ホログラフィック磁気カード上に配置される場合)、POS端末200にある磁気読取ヘッド220内でより強い読出し信号が生成される。(図1、3、4、7を参照)読出し信号は、レジスト/金属コーティングが最小であるあるいは存在しない(この状態では、磁気酸化コーティングで埋められている)ホログラフィック磁気テープ1500の領域1580上では信号振幅が大きくなり、レジスト/金属コーティングの数が最大である領域1590上では信号振幅が小さくなる。
【0063】
図16A〜Dは、本発明の例示の一実施形態による、すべてのバイナリゼロのデータ記録のためのデメタライゼーション・ホログラフィックス磁気トライプ・カード100上のトラック2からの信号振幅の変化を示すグラフである。信号振幅の繰り返し変調パターンは、レジスト/アルミニウム領域1590とレジスト/アルミニウム被覆物が存在しない領域1580との繰り返しパターンに起因する。例示のピーク1610などの信号振幅の最大ピークは、領域1590より多くの領域1580(レジスト/アルミニウムコーティングが最小であるあるいは存在しない領域)があるホログラフィック磁気テープ1500の1区間上にある磁気読取ヘッド220で発生し、例示のピーク1620などの信号振幅の最小ピークは、領域1580より多くの領域1590(レジスト/アルミニウムコーティングを備える領域)があるホログラフィック磁気テープ1500の1区間上にある磁気読取ヘッド220で発生する。図16Dの繰り返しパターンは、領域1580、1590の正確な位置に応じて、例示のパターン1630で示したように6パルスから例示のパターン1640で示した7パルスとなる。デメタライゼーション・ホログラフィック磁気ストライプ・カード100の符号化された磁気信号に重畳する、本発明のレジスト/アルミニウムパターンによる信号振幅の変化は、磁気信号振幅およびジッタをISOの磁気ストライプ規格の範囲内に維持するのに十分なほど小さい。
【0064】
本発明の例示の一実施形態による、すべてのバイナリゼロを表すトラック2での符号化された磁気信号の顕微鏡写真を図17に示す。暗線1700は、バイナリゼロを画定する磁化領域の端部に付着する磁性粉末を使用することによって視覚化される符号化されたバイナリゼロの端部である。バイナリゼロの境界線を示す暗線1700〜1700の間には、例示の領域1710で示された本発明のホログラフィック磁気テープ1500のレジスト/アルミニウム領域1590がある。例示のピーク1610などの、図16A〜Dに示される正パルスの頂部の変調パターンは、暗線1700のすぐ下にあるレジスト/金属ドット1710の量に一致する。暗線1700は、符号化された磁気信号の強さが最大であるところのバイナリビットの端部に対応している。暗色のバイナリデータビットの端部1700の下にある金属ドット1710の数が増すほど、例示のピーク1620で示される読出し信号振幅は小さくなる。暗色のバイナリデータビットの端部1700の下にある金属ドット1710の数が減少するほど、例示のピーク1610で示される読出し信号振幅が大きくなる。読出し信号振幅は、金属ドット1710を所定の繰り返し距離で印刷することによる本発明の例示の一実施形態による所定の繰り返しパターン(図16A〜Dに示した、例示のパターン1630、1640など)で変調され得る。
【0065】
本発明の一実施形態によると、この変調された信号振幅は、ホログラフィック磁気テープ1500に沿ったならびに符号化データに沿った位置マーカとして機能することができる。デメタライゼーション・パターンは、ホログラフィック磁気ストライプの長さ方向では不規則になる可能性があり、それにより、信号振幅の変調もホログラフィック磁気ストライプの長さ方向においては不規則になることが認識される。本発明の例示の一実施形態では、この変調は、ホログラフィック磁気ストライプ上に記憶される符号化データの磁気標識または識別特徴として使用されてよい。
【0066】
本発明の例示の一実施形態によると、デメタライゼーション・アルミニウム/レジスト・パターンによって生成される磁気信号振幅の変調パターンは、ホログラフィック磁気ストライプおよび符号化されたデータの識別特徴として使用され得る強力な一定繰り返しの一貫した信号となる。信号変調パターンは、ホログラフィック磁気テープ1500のデメタライゼーション構造体内の規則的な金属/レジスト・ドット・パターンにより、図16A〜Bおよび17に示すように規則的になることができる。別法として、信号変調は、調節可能な金属/レジスト・パターンをホログラフィック磁気テープ1500のデメタライゼーション構造体に導入することによって変化させられてよい。
【0067】
信号変調パターンは、符号化されたデータが本発明の例示の一実施形態による信号変調パターンに対応しているような箇所を識別することにより符号化されたデータをデメタライゼーション・ホログラフィック磁気カード100にロックするのに使用され得る。例えば、信号変調パターンの5番目のピークが、ホログラフィック磁気ストライプ1500上に符号化されたプライマリ・アカウントナンバーの2番目の文字の3番目の上側縁部に対応していてよい。この位置的関係は、金属/レジスト・ドットまたはデメタライゼーション・ドット1710と符号化されたデータとの既定の関係によってカード100にロックされ得る。このカード100からの符号化データが別のデメタライゼーション・ホログラフィック磁気カードへとスキミングされた場合、新しいカードでは金属/レジスト・ドット1710と符号化データとの間の位置的関係が等しくないことから、不正カードを容易に探知することができ、それにより、前例のない防護レベルを実現することができる。
【0068】
図18は、本発明の例示の一実施形態によるホログラフィック磁気ストライプ1500の上面に符号化されたトラック2のデータからの信号振幅の変化を示すグラフである。符号化されたデータは、デメタライゼーション・ドット1710に基づいた変調パターンへと変調される。図16A〜Dと図18と違いは、図16A〜Dに示した変調すなわちデメタライゼーションによる変調が、デメタライゼーションによる信号振幅の変調を明確に視覚化するためのすべてのバイナリゼロのデータを対象としていることである。図18では、変調パターンは、時間変化する二周波数または2倍の周波数(frequency double frequency(F2F))または二位相符号化データの、バイナリゼロおよびバイナリ1の両方に重畳する。バイナリ1はF2F符号化ではバイナリゼロの周波数の2倍であることから、パルスはバイナリゼロと比較して2倍だけ互いに接近している。このようなパルスの接近によりいくらかの信号損失(パルス・クラウディング(pulse crowding))が生じ、それにより、例示のピーク1810で示したようなすべての磁気符号化において、バイナリ1の信号振幅がバイナリゼロの信号レベルを下回る。
【0069】
本発明の例示の一実施形態によると、本システムおよび本方法は、デメタライゼーションによる変調に起因する違いに加えて、バイナリ1とバイナリゼロとの信号振幅の固有の違いを考慮に入れてよい。図18に見られるように、信号振幅の包絡線全体でのデメタライゼーションによる変調は、デメタライゼーション・ドット・パターンによって識別され得る。加えて、後続ゼロ列は、カード100の後続ゼロ列の領域におけるデメタライゼーション・ドット・パターンによりバイナリゼロのみのタイミング・シークエンスを確立するのに使用されてもよい。次いで、本発明は、バイナリゼロおよびバイナリ1の両方が存在することにより符号化データの位置に同期することができ、本発明の例示の一実施形態によるホログラフィック磁気ストライプ1500の磁気標識が形成される。
【0070】
本発明の例示の一実施形態によると、カードの磁気標識は、ドット濃度を変化させるといったようにデメタライゼーション・パターンを変更することによって変更され得る。これにより、有利には、ブランドまたは会社ごとにカードを識別するのに磁気標識を使用することが可能となる。本発明は、カードのブランドを識別するためにデメタライゼーション・パターンを認識する安価な携帯用照合装置を使用するような分野における迅速な識別に適用可能である。デメタライゼーション・パターンを変更することにより、符号化されたデータのデメタライゼーション・パターンへのより不規則な関連付けを行うことにより、さらなる防護レベルを実現することもできる。この手法により、POS端末レベルでのカードにロックされた符号化データのオフライン照合で必要となる付加的な防護手段を実現することができる。
【0071】
POS端末200(または、カードを照合するための同等のデメタライゼーション防護アルゴリズム)は、本発明を実施するためには最小限のアップデートを必要とする。例えば、POS端末内の復号装置は、符号化されたデータとカードから読み取られる磁気信号のデメタライゼーションによる変調との間の位置的関係を認識するためにアップデートを必要とする。本発明の例示の一実施形態では、デメタライゼーション防護アルゴリズムまたはデメタライゼーション変調による復号機能(ソフトウェアおよび/またはハードウェアのいずれかで具体化されてよい)は、磁気ストライプ読み取り器220の標準的なF2Fデータ復号チップに組み込まれてよい。デメタライゼーション防護アルゴリズムの出力は、安全性に関する分野などでは、ホログラフィック磁気ストライプ1500上に符号化されるオフセット値であってよい。この場合、本発明はカードの磁気標識(すなわち、オフセット値)と符号化されたオフセット値とを照合することから、カード上のデータの真正性はオフラインで判断されてよく、銀行のデータベースの発行を必要としない。代替の実施形態では、真正性は、最初の符号化で確立される真正性との差を比較するために読取試行ごとにオフセット値をデータベースに戻すことによって確立もされてよい。
【0072】
以前に提案された磁気ストライプの防護手法には多くの欠点があった。提案されたこれらの手法の主な欠点は、POS読取端末に及ぼす影響が大きかった。例えば、現行の解決策を実施するためには、磁気ストライプ・カード、読取ヘッド、復号電子回路、および/または、銀行のデータベースのいずれかを全面的に変更する必要があり、これは、必然的にコスト面でPOS設備全体に影響を及ぼすことになる。しかし、本発明のホログラフィック・デメタライゼーション防護手段は、磁気読取ヘッドに及ぼす影響がない。実際、これは、金融市場のPOS端末で常態化している読取ヘッドの位置および摩損状況の変化の影響を受けない。磁気ストライプの固有特性(ノイズまたはジッタ)に由来する別の形態の磁気データ保護では必要とされるような、POS端末内の読取ヘッドの正確な位置決めが必要ない。
【0073】
本発明および本発明の利点を詳細に説明してきたが、種々の変更、置換および代用が、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく本明細書において行われ得ることを理解されたい。また、本出願の範囲は、本明細書で説明した処理、機械、製造、ならびに、物の構成、手段、手法および工程の特定の実施形態に制限されることを意図しない。当業者は、本発明の開示内容から、本明細書で説明した対応する実施形態と実質的に同等の機能を実施するあるいは実質的に同等の結果をもたらすような現存するあるいは後で開発され得るような処理、機械、製造、物の構成、手段、手法または工程が、本発明にしたがって使用され得ることを容易に理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、このような処理、機械、製造、物の構成、手段、手法または工程をその範囲内に包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防護手段付きホログラフィック磁気テープであって、
データを符号化するための磁気層と、
ホログラムをエンボス加工するためのエンボス加工可能な層と、
前記テープの所定の磁気標識に基づいてパターンを形成する複数の区間を有する金属層と
を有するホログラフィック磁気テープ。
【請求項2】
前記磁気標識が前記所定のパターンと前記符号化されたデータとの間の位置的関係を表す、請求項1に記載の防護手段付きホログラフィック磁気テープ。
【請求項3】
前記符号化されたデータが読み取り時に磁気信号によって表され、前記磁気標識が前記磁気信号の振幅変化に対応している、請求項1に記載の防護手段付きホログラフィック磁気テープ。
【請求項4】
前記パターンが規則的なパターンである、請求項1に記載の防護手段付きホログラフィック磁気テープ。
【請求項5】
前記パターンが調節可能なパターンである、請求項1に記載の防護手段付きホログラフィック磁気テープ。
【請求項6】
前記磁気標識が前記符号化されたデータの位置に対応している、請求項1に記載の防護手段付きホログラフィック磁気テープ。
【請求項7】
前記複数の区間が、デメタライゼーション処理またはレーザ・アブレーション処理により前記金属層の複数の部分を選択的に除去することによって形成される、請求項1に記載の防護手段付きホログラフィック磁気テープ。
【請求項8】
前記位置的関係がオフセット値によって表され、前記符号化されたデータが前記オフセット値を有する、請求項2に記載の防護手段付きホログラフィック磁気テープ。
【請求項9】
ホログラフィック磁気テープカードであって、
担体と、
データを符号化するための磁気層、
ホログラムをエンボス加工するためのエンボス加工可能な層、および
前記テープの所定の磁気標識に基づいてパターンを形成する複数の区間を有する金属層
を有する前記担体上にある防護手段付きホログラフィック磁気テープと
を有するホログラフィック磁気テープカード。
【請求項10】
前記磁気標識が前記所定のパターンと前記符号化されたデータとの間の位置的関係を表す、請求項9に記載のホログラフィック磁気テープカード。
【請求項11】
前記符号化されたデータが読み取り時に磁気信号によって表され、前記磁気標識が前記磁気信号の振幅変化に対応している、請求項9に記載のホログラフィック磁気テープカード。
【請求項12】
前記所定のパターンが規則的なパターンである、請求項9に記載のホログラフィック磁気テープカード。
【請求項13】
前記所定のパターンが調節可能なパターンである、請求項9に記載のホログラフィック磁気テープカード。
【請求項14】
前記磁気標識が前記符号化されたデータの位置に対応している、請求項9に記載のホログラフィック磁気テープカード。
【請求項15】
前記複数の区間が、デメタライゼーション処理またはレーザ・アブレーション処理により前記金属層の複数の部分を選択的に除去することによって形成される、請求項9に記載のホログラフィック磁気テープカード。
【請求項16】
前記位置的関係がオフセット値によって表され、前記符号化されたデータが前記オフセット値を有する、請求項10に記載のホログラフィック磁気テープカード。
【請求項17】
前記カードが、クレジット・カード、現金自動預け払い機(ATM)用カード、トランジット・カード、テレホン・カード、チャージ・カード、ストアド・バリューカード、ギフト・カードおよびデビット・カードのうちの1つである、請求項9に記載のホログラフィック磁気テープカード。
【請求項18】
ホログラフィック磁気テープを防護する方法であって、
ベース・フィルム上にホログラムをエンボス加工するためにエンボス加工可能な樹脂層を蒸着するステップと、
金属層を蒸着するステップと、
前記テープの所定の磁気標識に基づいてパターンを形成するために前記金属層を複数の区間に分割するステップと、
データを符号化するための磁気層を蒸着するステップと
を含む方法。
【請求項19】
前記所定のパターンと前記符号化されたデータとの間の位置的関係に基づいて前記磁気標識を設定するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記符号化されたデータを読み取り時に磁気信号によって表すステップと、前記磁気信号の振幅変化に基づいて前記磁気標識を設定するステップとをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記分割ステップが、前記テープの所定の磁気標識に基づいて規則的なパターンを形成するために前記金属層を複数の区間に分割するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記分割ステップが、前記テープの所定の磁気標識に基づいて調節可能なパターンを形成するために前記金属層を複数の区間に分割するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記符号化されたデータの位置に基づいて前記磁気標識を設定するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記分割ステップが、デメタライゼーション処理またはレーザ・アブレーションにより前記金属層の複数の部分を選択的に除去するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
請求項19に記載の方法であって、前記位置的関係がオフセット値で表されており、前記オフセット値を符号化するステップをさらに含む方法。
【請求項26】
前記磁気標識から得られる前記オフセット値を前記符号化されたオフセット値と照合することにより前記テープの真正性を確認するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2009−544111(P2009−544111A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520839(P2009−520839)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/016381
【国際公開番号】WO2008/011108
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】430 N. McCarthy Boulevard, Milpitas, California, 95035, USA
【Fターム(参考)】