説明

ホログラムパターン付きフィルム及びホログラムパターン付き容器

【課題】簡便な構成により、対象物の保管、運送、及び陳列の状態及び条件を選ばずに、ホログラムパターンを視認することのできるともに、ホログラムパターンを残したい部分と消したい部分とを、任意の形状、パターンで設定することができ、より装飾性の高いホログラムパターンを形成することができるホログラムパターン付きフィルム及びホログラムパターン付き容器を提供する。
【解決手段】凹凸状のホログラムパターンが形成されたホログラムパターン形成層12を備え、ホログラムパターンの少なくとも一部において、ホログラムパターンとの間に空隙を有するようにカバーフィルム15が固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムパターン付きフィルム及びホログラムパターン付き容器に関し、ホログラムパターン付きフィルムについては、特に、飲料品又は食品を収容する容器、包装物に用いることのできるホログラムパターン付きフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装飾を目的として、容器、包装物その他の対象物の外面にホログラムパターンを備えたものが提案されている。このホログラムパターンは、平面内に記録された干渉縞のパターンを、エンボス状又はレリーフ状をなす微細な凹凸形状としたものであって、対象物の外面に直接形成し、又は、別途形成したパターンを容器外面に貼着する方法が検討されている。
【0003】
ホログラムパターンを容器外面に直接形成する方法としては、凹凸状のホログラムパターンが形成された金属板を対象物たる容器表面に係合させるものが提案されている。また、ホログラムパターンを別途形成する方法としては、金属薄膜からなる母型に形成された凹凸状のホログラムパターンを、熱可塑性樹脂や紫外線硬化型樹脂に加圧成形し、樹脂を硬化させた後に、容器外面に接着するものが提案されている(特許文献1〜2)。
【0004】
これらのホログラムパターンにおいては、外側に保護層を形成せずに、ホログラムパターンを最外層としていた。これは、ホログラムパターンを形成した材料と同程度の屈折率を有する物質によって、凹凸状のパターンを埋めると、ホログラム効果が消失してしまうおそれがあるためである。
【特許文献1】特開平11−268746号公報
【特許文献2】特開2000−128176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、対象物が、保管中、運送中、店頭陳列中その他の生産から消費までの期間中に、冷蔵下、冷凍下、又は水中下に置かれるような容器その他の対象物である場合、ホログラムパターンが消失してしまうおそれがある。すなわち、ホログラムパターン上に、結露による水滴の付着や冷却用の水の付着により、凹凸状のパターンが埋められてしまうと、水とホログラムパターンを形成する材料との屈折率が近いときは、ホログラムパターンが消失してホログラム効果を発現することができない。
【0006】
また、対象物の取扱者又は対象物を購入した消費者が、ホログラムパターンに触れることによっても、ホログラムパターンが消失するおそれがある。これは、取扱者又は消費者の手の皮脂、手からの汗、手についた水その他の液体によって、凹凸状のパターンが埋められてしまうことによって起こるものである。
【0007】
このような問題を解決するために、蒸着その他の手段を用いて、ホログラムパターンに保護層を形成することが知られている。しかし、例えば蒸着の場合には、真空状態で成膜処理を行う必要があるため、製造能率の低下及び製造コストの増大を招き、容器その他の対象物の高価格化につながるおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、製造効率の低下及び製造コストの増大を抑えつつ、ホログラムパターン上に水滴、皮脂、汗がついてホログラムパターンが消失することを防止することができ、保管中、運送中、店頭陳列中その他の生産から消費までの期間においてホログラム効果を発現することのできるホログラムパターン付きフィルム及びホログラムパターン付き容器を提供することを目的とする。したがって、本発明の目的は、簡便な構成により、対象物の保管、運送、及び陳列の状態及び条件を選ばずに、ホログラムパターンを視認することのできるホログラムパターン付きフィルム及びホログラムパターン付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のホログラムパターン付きフィルムにおいては、凹凸状のホログラムパターンが形成されたホログラムパターン形成層を備え、ホログラムパターンの少なくとも一部において、ホログラムパターンとの間に空隙を有するようにカバーフィルムが固定されていることを特徴としている。
【0010】
本発明のホログラムパターン付きフィルムにおいて、空隙は、少なくともホログラムパターンの凹部との間に形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明のホログラムパターン付きフィルムにおいて、ホログラムパターンは、流体材料によってホログラムパターンが埋められた非表示部を備え得る。
【0012】
本発明のホログラムパターン付きフィルムにおいて、非表示部は接着性材料によって埋められており、カバーフィルムは、接着性材料によって、非表示部に接着固定されているとよい。
【0013】
本発明のホログラムパターン付きフィルムにおいて、カバーフィルムは、接着性材料によって、ホログラムパターンが形成されていない領域に接着固定されていることが好ましい。
【0014】
本発明のホログラムパターン付きフィルムにおいて、カバーフィルムは、ホログラムパターンの全面を覆うように配置することができる。
【0015】
本発明のホログラムパターン付きフィルムにおいて、ホログラムパターンは、基材フィルムたるホログラムパターン形成層に形成することができる。
【0016】
本発明のホログラムパターン付きフィルムにおいて、接着性材料は自己硬化型材料とすることができる。
【0017】
本発明のホログラムパターン付き容器は、凹凸状のホログラムパターンが形成されたホログラムパターン形成層と、ホログラムパターンの少なくとも一部において、ホログラムパターンとの間に空隙を有するように固定されたカバーフィルムと、を有するホログラムパターン付きフィルムを外面上に備えることを特徴としている。
【0018】
本発明のホログラムパターン付き容器においては、凹凸状のホログラムパターンが形成されたホログラムパターン形成層が、容器の外面に対して空隙を有するように、容器に固定されているとよい。
【0019】
本発明のホログラムパターン付き容器において、ホログラムパターン付きフィルムは、カバーフィルムによって容器外面に固定されていることが好ましい。
【0020】
本発明のホログラムパターン付き容器において、カバーフィルムに反射層を設けることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、凹凸状のホログラムパターンが形成されたホログラムパターン形成層を備えるとともに、ホログラムパターンの少なくとも一部において、少なくとも凹部との間に空隙を有してカバーフィルムが固定されていることから、ホログラムパターンを残したい部分に、空隙を介して、カバーフィルムが設けられているため、水滴、皮脂、汗がカバーフィルムにつくことはあってもホログラムパターンには付着することがなくなる。これにより、保管中、運送中、店頭陳列中その他の生産から消費までの期間中にホログラムパターンが消失することを防止することができる。また、ホログラムパターンを消したい部分では、流体材料(例えば、接着性材料、塗料、インキ)によってホログラムパターンを埋めることができる。したがって、ホログラムパターンを残したい部分と消したい部分とを、任意の形状、パターンで設定することができ、より装飾性の高いホログラムパターンを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るホログラムパターン付きフィルム及びホログラムパターン付き容器について図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0023】
本実施形態に係るホログラムパターン付きフィルム10は、飲料品又は食品を収容する容器、包装物その他の対象物の外面上に配置して用いられる、シート状、ロールフィルム状、又はラベル状のフィルムである。対象物としては、例えば、金属製の缶体、プラスチック製の容器及び包装物、紙製の容器及び包装物、アルミを含む容器が挙げられる。ここで、容器としては、例えば、パウチ(フレキシブルパッケージ)、カップ、缶、プラスチックボトルが挙げられる。
【0024】
ホログラムパターン付きフィルム10は、凹凸状のホログラムパターン13が形成されたホログラムパターン形成層12を備えるとともに、ホログラムパターン13の少なくとも一部において空隙17を有するようにカバーフィルム15が固定されている。以下に、各層の詳細な構成について、製造工程の順序に沿って説明する。以下の説明では、ホログラムパターン付きフィルムを容器に適用する実施形態を例に挙げて説明するが、本発明に係るホログラムパターン付きフィルムは、容器以外の対象物に対しても適応可能である。
【0025】
(1)ホログラムパターン形成
図1は、本実施形態に係るホログラムパターン付きフィルム10及びホログラムパターン付き容器30の各製造工程における層構成を示す断面図である。
ホログラムパターン形成工程では、まず、基材11(図1(a−1))上にホログラムパターン形成層12を形成する(図1(a−2))。ホログラムパターン形成層12は基材11の全面に形成しても良いし、一部のみに形成してもよい。
【0026】
基材11は、透過性を有した材料又はアルミ箔その他の金属箔で構成することができる。透過性を有した材料としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ナイロン(商標)製のフィルム、OPP(延伸ポリプロピレン)フィルムその他の樹脂製フィルムを用いることができる。これらの樹脂フィルム又はアルミ箔は、あらかじめ印刷(例えばグラビア印刷)によって形成しておくことが好ましい。また、基材11は、ホログラムパターンの形成対象物たる容器の種類や仕様に応じて、枚葉状、ロール状の何れの形態も使用できる。
【0027】
ホログラムパターン形成層12としては、例えば、熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂、自己硬化型樹脂を用いることができる。成膜は、例えば、塗布ロールによる転写、スプレーによる噴霧、スピンコートによって行うことができる。
【0028】
つづいて、ホログラムパターン形成層12の外面12a上に、凸部13a及び凹部13bを備えた凹凸状のホログラムパターン13を形成する(図1(a−3))。ホログラムパターン13は、母型に形成された凹凸状のホログラムパターンを、ホログラムパターン形成層12に加圧成形した後に、材料に対応した方法で硬化させて形成する。なお、ホログラムパターン13は、ホログラムパターン形成層12の全面にわたって形成してもよいし、一部のみに形成してもよい。また、図1においては、説明の便宜のためにホログラムパターン形成層12が凸部13a及び凹部13bの2種類のみからなる単純なものとして表示している。
【0029】
ここで、母型は、例えば次のように形成する。すなわち、フォトレジストを塗布した乾板にレーザー干渉膜を露光して、その干渉縞の濃度に応じた凹凸のレジストパターンを形成した後に、これに金属を蒸着して薄膜を形成して導電性を持たせ、その上にニッケルをメッキする。次に、このメッキ層を剥離することにより、ニッケル上に微細な凹凸状のホログラムパターンが精密に転写された母型が形成される。
【0030】
(2)カバーフィルム貼着
次に、ホログラムパターン13を覆うようにカバーフィルム15を固定する。カバーフィルム15でホログラムパターン13を覆うことによって、水滴、皮脂、汗がカバーフィルム15につくことはあってもホログラムパターン13には付着することがなくなるため、保管中、運送中、店頭陳列中その他の生産から消費までの期間中にホログラムパターン13が消失することを防止することができる。
【0031】
カバーフィルム15の固定は、流体の接着性材料からなる接着層14を用いた接着により行うことが好ましい。接着層14を構成する接着性材料は、図2(a)に示すように、ホログラムパターン13の一部を埋めるように、又は、図2(b)のように、基材11のうちホログラムパターン13が形成されていない部分に塗布することができる。ここで、図2は、本実施形態に係るホログラムパターン付きフィルム10における、ホログラムパターン13と接着層14との関係を模式的に示した平面図であって、(a)はホログラムパターン13の一部に接着層14を形成した場合を示し、(b)はホログラムパターン13の外側に接着層14を形成した場合を示す図である。
【0032】
図2(a)のように、ホログラムパターン13の一部に接着層14を構成する接着性材料を塗布すると、塗布された部分のホログラムパターン13が消失する。すなわち、ホログラムパターン形成層12上にホログラムパターンが表示されない非表示部を形成することができる。これに対して、図2(b)のようにホログラムパターン13にかからないように接着層14を構成する接着性材料を塗布すると、ホログラムパターン13のすべてを表示することができる。
【0033】
このように、接着層14の形成により、任意の位置、範囲に、非表示部を設定することができることから、ホログラムパターン13を残したい部分と消したい部分とを、任意の形状、パターンで設定することができ、より装飾性の高いホログラムパターンを形成することができる。
【0034】
接着層14を構成する接着性材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂、自己硬化型樹脂を用いることができる。接着層14の形成は、例えば、塗布ロールによる転写、スプレーによる噴霧によって行うことができる。
【0035】
接着層14の層厚は、後に接着層14上に接着されるカバーフィルム15と、少なくとも凹部13bとの間に空隙ができる程度であることが好ましく、カバーフィルム15と凸部13aとの間にも空隙が生ずる程度であるとなおよい。このような膜厚とすると、カバーフィルム15によってホログラムパターン13の凹凸形状が埋められてホログラムパターン13が消失することがなくなる。
【0036】
なお、カバーフィルム15の固定は、接着層14による接着以外の方法(例えばカバーフィルム15と基材11又はホログラムパターン形成層12との融着、固定治具による固定)によって行うこともできる。この場合、ホログラムパターン13については、接着性材料のほか、接着性を有さない流体材料(例えば塗料、インキ)によって非表示部を形成することができる。
【0037】
カバーフィルム15は、透過性を有した材料(例えば、PETフィルム、ナイロンフィルム、OPPフィルムその他の樹脂製フィルム)を用いることができ、ホログラムパターン13を覆うことができれば、その形状、面積を任意に定めることができる。例えば、図3(a)に示すように、基材11の上面全体を覆うこともできる一方、図3(b)に示すように、基材11のうちのホログラムパターン13を覆う部分のみに配置することもできる。ここで、図3は、ホログラムパターン付きフィルム10における、ホログラムパターン13とカバーフィルム15との関係を模式的に示した平面図であって、(a)は基材11全体をカバーフィルム15で覆った場合を示し、(b)は基材11のうちのホログラムパターン13及びその周辺のみをカバーフィルム15で覆った場合を示す図である。なお、図3においては接着層14の表示を省略している。なお、カバーフィルム15は、あらかじめ印刷(例えばグラビア印刷)により、部分的に形成しておくことが好ましい。この場合、印刷されていない部分を通してのみ、ホログラムパターンを視認することができる。
【0038】
また、接着層14の形成パターンは、非表示部の設定、接着強度その他の設定に応じて、任意に選択することができる。すなわち、図2に示すように、ホログラムパターンを表示する部分(表示部)を窓状に残してその周囲の一定の範囲に一様(ベタ)に形成することもできるほか、図4(a)に示すような格子状、図4(b)に示すような点状のパターンを選択することができる。ここで、図4は、ホログラムパターン付きフィルム10における、接着層14の形成パターンを模式的に示した平面図であって、(a)は格子状に形成した場合を示し、(b)は点状に形成した場合を示す図である。なお、図4(a)、(b)に示すパターンは、説明の便宜上例示したものであって、これに代えて、文字(例えば企業名、商品名)、図案その他の任意のパターンを形成することができる。
【0039】
カバーフィルム15は、ホログラムパターン13又は基材11上に塗布形成した接着層14(図1(a−4))上にカバーフィルム15を載置し、接着層14の接着力によってカバーフィルム15を固定する(図1(a−5))。カバーフィルム15の載置及び接着過程においては、ホログラムパターン13とカバーフィルム15との間の空隙を維持するために、カバーフィルム15に一定の張力を加えておくことが好ましい。以上の工程によってホログラムパターン付きフィルム10が形成される。
【0040】
(3)容器貼着
最後に、接着層22の接着力により、ホログラムパターン付きフィルム10を容器21の外面に貼着固定する。接着層22に用いる接着材料は、任意のものを用いることができるが、ホログラムパターン付きフィルム10の容器21への貼着作業中には硬化が完了せず、かつ、貼着作業後に速やかに硬化させることができるものが好ましい。そのような接着材料としては、例えば、熱硬化性、熱可塑性、自己硬化型の材料を挙げることができる。なお、ホログラムパターン付き容器30の表面31(容器21に貼着したカバーフィルム15の表面)には、容器の製造、内容物の充填、流通その他の過程で必要な、滑性その他の物性の付与、及び、装飾性向上のための光沢付与の目的で、透過性又は半透過性を有する材料(例えば塗料、インキ)を全面あるいは部分的に塗布しても良い。
【0041】
以上のように構成されたことから、上記実施形態によれば、次の効果(1)〜(3)を奏する。
(1)カバーフィルム15に水滴、皮脂、汗がつくことはあってもホログラムパターン13には到達する可能性はきわめて低くなる。これにより、保管中、運送中、店頭陳列中その他の生産から消費までの期間中にホログラムパターン13が消失することを防止することができる。
(2)ホログラムパターン13を消したい部分では、接着性材料、塗料、インキその他の流体材料によってホログラムパターン13を埋めることにより、これを実現することができる。したがって、ホログラムパターン13を残したい部分と消したい部分とを、任意の形状、パターンで設定することができ、より装飾性の高いホログラムパターンを形成することができる。
(3)(1)及び(2)の効果を、簡便な構成により実現できるため、製造効率の低下及び製造コストの増大を抑えることができる。
【0042】
以下に変形例について説明する。
上述の実施形態では、基材11上に形成したホログラムパターンを、カバーフィルム15にて、空隙を持って挟み込む構成としていたが、基材11の容器21への貼り付け方向を変えることにより、カバーフィルム15を必要としない、より簡便な構成のホログラムパターン付き容器を実現することができる。このようなホログラムパターン付き容器について、図5(a)を参照しつつ、以下に説明する。
【0043】
図5(a)は、第1変形例に係るホログラムパターン付き容器60の構成を示す断面図である。なお、上述の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
基材11には、透過性を有する材料として、例えば樹脂製フィルム(例えば、PETフィルム、ナイロンフィルム、OPPフィルム)を用いる。この基材11は、印刷(例えばグラビア印刷)によってあらかじめ形成することができる。この場合、最終的なホログラムパターン付き容器60では、ホログラムパターン13に接着層14が塗布されていない部分を通してのみホログラムパターンを視認することができる。
【0044】
ホログラムパターン付き容器60は次のように形成する。まず、図1の(a−1)〜(a−4)と同様の工程により、カバーフィルムのないホログラムパターン付きフィルムを形成する。このホログラムパターン付きフィルムは、基材11が外側に配置されるように、接着層14により容器21に貼り付けられる。容器21の表面21aには、あらかじめ既知の印刷方法(例えば、オフセット印刷、凸版、グラビア印刷)により、所望のパターン(例えば、文字、図案)を形成することができる。このように容器21にパターンを形成することにより、印刷する図案の色や濃淡により部分毎に反射光が変わるため、より装飾性を高めることができる。
【0045】
また、容器21の表面21aとして、金属光沢を持つ物質を用いると、最終的なホログラムパターン付き容器60において、多くの反射光を得ることができるようになるため、ホログラムパターンの視認性をより高めることができる。なお、ホログラムパターン付き容器60の表面61(基材11の外面)は、容器の製造、内容物の充填、流通その他の過程で必要な、滑性その他の物性の付与、及び、装飾性向上のための光沢付与の目的で、透過性又は半透過性を有する材料(例えば塗料、インキ)を全面あるいは部分的に塗布しても良い。
【0046】
図5(b)は、第2変形例に係るホログラムパターン付き容器70の構成を示す断面図である。
図5(a)において、容器21の表面21aが金属光沢を持たない場合には、最終的なホログラムパターン付き容器からの反射光が少なくなるため、金属光沢を持つ場合と比べて、ホログラムパターンの視認性が低くなる。これに対して、図5(b)に示す第2変形例は、容器21の表面21aが金属光沢を持たない場合であってもホログラムパターン付き容器からの反射光を増やすことができ、これにより、ホログラムパターンの視認性を向上させ、より装飾性の高いホログラムパターン付き容器を実現するものである。以下にその詳細について説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
基材11には、透過性を有する材料として、例えば樹脂製フィルム(例えば、PETフィルム、ナイロンフィルム、OPPフィルム)を用いる。この基材11は、印刷(例えばグラビア印刷)によってあらかじめ形成することができる。この場合、最終的なホログラムパターン付き容器70では、ホログラムパターン13に接着層14が塗布されていない部分を通してのみホログラムパターンを視認することができる。
【0048】
ホログラムパターン付き容器70は次のように形成する。まず、図1の(a−1)〜(a−4)と同様の工程により、カバーフィルムのないホログラムパターン付きフィルムを形成する。次に、図1の(a−5)と同様に、接着層14を用いてカバーフィルム15を貼り付ける。ここで、カバーフィルム15のホログラムパターン13側の表面15a又は裏面15bの少なくとも一部に反射層(不図示)を形成して、反射面とすることが好ましい。反射層を備えたカバーフィルムとしては、真空蒸着、スパッタリング、その他の方法でアルミニウムの薄膜を塗布した透過性フィルム(例えば、PET、ナイロン、OPP)又はアルミ箔その他の金属箔を用いることができる。また、カバーフィルム15は、あらかじめ印刷(例えばグラビア印刷)により形成することで、印刷する図案の色や濃淡により部分毎に反射光が変わるため、より装飾性を高めることができる。
【0049】
最後に、カバーフィルム15の裏面15bに接着剤を塗布して接着層22を形成し、この接着層22を容器21の表面21aに貼り付けることにより、ホログラムパターン付き容器70を得る。
なお、ホログラムパターン付き容器70の表面71(基材11の外面)は、容器の製造、内容物の充填、流通その他の過程で必要な、滑性その他の物性の付与、及び、装飾性向上のための光沢付与の目的で、透過性又は半透過性を有する材料(例えば塗料、インキ)を全面あるいは部分的に塗布しても良い。
【0050】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明に係るホログラムパターン付きフィルムは、簡便な構成により、対象物の保管、運送、及び陳列の状態及び条件を選ばずに、ホログラムパターンの視認性を維持することができるため、容器、包装物その他の対象物の装飾に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係るホログラムパターン付きフィルム及びホログラムパターン付き容器の各製造工程における層構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るホログラムパターン付きフィルムにおける、ホログラムパターンと接着層との関係を模式的に示した平面図であって、(a)はホログラムパターンの一部に接着層を形成した場合を示し、(b)はホログラムパターンの外側に接着層を形成した場合を示す図である。
【図3】本実施形態に係るホログラムパターン付きフィルムにおける、ホログラムパターンとカバーフィルムとの関係を模式的に示した平面図であって、(a)は基材全体をカバーフィルムで覆った場合を示し、(b)は基材のうちのホログラムパターン及びその周辺のみをカバーフィルムで覆った場合を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るホログラムパターン付きフィルムにおける、接着層の形成パターンを模式的に示した平面図であって、(a)は格子状に形成した場合を示し、(b)は点状に形成した場合を示す図である。
【図5】(a)は第1変形例に係るホログラムパターン付き容器の構成を示す断面図、(b)は第2変形例に係るホログラムパターン付き容器の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
10 ホログラムパターン付きフィルム
11 基材
12 ホログラムパターン形成層
12a 外面
13 ホログラムパターン
13a 凸部
13b 凹部
14 接着層
15 カバーフィルム
15a 表面(反射面)
15b 裏面
17 空隙
21 容器(対象物)
21a 容器表面
22 接着層
30 ホログラムパターン付き容器
31 表面
60 ホログラムパターン付き容器
61 表面
70 ホログラムパターン付き容器
71 表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸状のホログラムパターンが形成されたホログラムパターン形成層を備え、
前記ホログラムパターンの少なくとも一部において、前記ホログラムパターンとの間に空隙を有するようにカバーフィルムが固定されていることを特徴とするホログラムパターン付きフィルム。
【請求項2】
前記空隙は、少なくとも前記ホログラムパターンの凹部との間に形成されている請求項1に記載のホログラムパターン付きフィルム。
【請求項3】
前記ホログラムパターンは、流体材料によって前記ホログラムパターンが埋められた非表示部を備える請求項1又は請求項2に記載のホログラムパターン付きフィルム。
【請求項4】
前記非表示部は接着性材料によって埋められており、前記カバーフィルムは、前記接着性材料によって、前記非表示部に接着固定されている請求項3に記載のホログラムパターン付きフィルム。
【請求項5】
前記カバーフィルムは、接着性材料によって、前記ホログラムパターンが形成されていない領域に接着固定されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のホログラムパターン付きフィルム。
【請求項6】
前記カバーフィルムは、前記ホログラムパターンの全面を覆うように配置されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のホログラムパターン付きフィルム。
【請求項7】
前記ホログラムパターンは、基材としての前記ホログラムパターン形成層に形成されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のホログラムパターン付きフィルム。
【請求項8】
前記接着性材料は自己硬化型材料である請求項4に記載のホログラムパターン付きフィルム。
【請求項9】
凹凸状のホログラムパターンが形成されたホログラムパターン形成層と、
前記ホログラムパターンの少なくとも一部において、前記ホログラムパターンとの間に空隙を有するように固定されたカバーフィルムと、
を有するホログラムパターン付きフィルムを外面上に備えることを特徴とするホログラムパターン付き容器。
【請求項10】
凹凸状のホログラムパターンが形成されたホログラムパターン形成層を、容器の外面に対して空隙を有するように、前記容器に固定したことを特徴とするホログラムパターン付き容器。
【請求項11】
前記ホログラムパターン付きフィルムは、前記カバーフィルムによって前記容器外面に固定されている請求項9に記載のホログラムパターン付き容器。
【請求項12】
前記カバーフィルムに反射層を設けた請求項9又は請求項11に記載のホログラムパターン付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−23236(P2009−23236A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189097(P2007−189097)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】