説明

ホログラム付き媒体、ロール状媒体、判別装置およびホログラム付き媒体製造装置ならびに情報判定方法

【課題】ホログラム付き媒体に対し、真贋判定機能および偽造防止対策を付与する。
【解決手段】ホログラム付き媒体は、ホログラムによる目視読取識別情報と、ホログラムによる機械読取識別情報とを含む。ホログラムによる目視読取識別情報およびホログラムによる機械読取識別情報は、予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされる。目視読取識別情報および機械読取識別情報は、関連付けられた識別情報である。目視読取識別情報および機械読取識別情報を所定の再生照明光によって読み取る。読み取られた機械読取識別情報から、関連付けに基づき、読み取られた目視読取識別情報を復元できるか否かを判定することにより、読み取られた目視読取識別情報が正しいデータであるか否かを確認する。ホログラム付き媒体の観察者は、ホログラムによる識別情報の少なくとも一部と、該識別情報とは別の識別情報の少なくとも一部とが一致しているかどうかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、少なくとも、二つ以上の識別情報が記録された媒体であって、該識別情報のうちの少なくとも一つがホログラムによる識別情報であることを特徴とするホログラム付き媒体、ロール状媒体、判別装置およびホログラム付き媒体製造装置ならびに情報判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
立体表示が可能なホログラムは、クレジットカード、身分証明書等の真贋判定のために使用されている。現状では、干渉膜を表面の凹凸として記録したエンボス型ホログラムが多く使用されている。しかしながら、エンボス型ホログラムは、偽造されやすい問題があった。これに対して、干渉パターンを記録層内部の屈折率の差として記録する体積型ホログラムは、偽造が極めて困難である。その理由は、記録画像を制作するのに高度な技術が必要とされ、また、記録材料が入手困難なことによる。
【0003】
体積型ホログラムの制作方法としては、被写体にレーザを照射する実写ホログラムと、多視点からの視差画像をもとに記録するホログラフィックステレオグラムとがある。体積型ホログラフィックステレオグラムを制作する過程は、概略的には、画像の取得と、取得した画像の編集等の処理からなるコンテンツ制作工程と、ホログラム原版作成工程と、複製(量産)工程とからなる。画像は、撮像、またはコンピュータグラフィックスにより取得される。画像編集工程で得られた複数の画像のそれぞれが例えば円筒状レンズによって短冊状の画像に変換される。画像の物体光と参照光との干渉縞が短冊状の要素ホログラムとしてホログラム記録媒体に順次記録されることによって原版が作成される。原版を使用したコンタクトプリントによってホログラムが複製(量産)される。すなわち、原版に対してホログラム記録媒体が密着され、レーザ光が照射され、ホログラムが複製される。
【0004】
上述したように、未露光のホログラム用記録材料を近接させ、記録波長と近い波長のレーザを照射することにより、体積型ホログラム自体を複製することは不可能ではない。また、大量生産の都合上、同じホログラムの図柄を多数の品物に共通で使用しているケースもしばしば見受けられる。
【0005】
したがって、個々のホログラム自体を識別できるようにする等、ホログラム自体がより高い真贋判定機能および偽造防止対策を有していることが望ましい。このとき、個々のホログラム自体を識別できるようにするためにホログラムに与えられる識別情報は、機械または目視により読み取りができることが好ましい。さらに、ホログラムの用途に鑑み、ホログラムと結合されたホログラム利用品に対してもより高い真贋判定機能および偽造防止対策を施し、セキュリティ性をさらに向上させることが望ましい。
【0006】
ホログラム利用品の偽造をより困難とするために、例えば下記の特許文献1には、体積ホログラムおよび保護すべき文書のそれぞれにコードを記録または印刷し、ホログラムに記録されたコードと同じコードが印刷された文書とを接合することにより、ホログラムにより確実に保護された文書を製造することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2005−535469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、各ホログラムと対応する文書とを、コードを照合して一体とすることにより、確実に対応させた上で接合できるというものにすぎない。また、ホログラムに記録されたコードと文書に印刷されたコードとが対応づけられてからホログラムと文書とが一体とされることに加え、ホログラムの制作および文書の印刷から、コードを照合した後にこれらを一体とする工程までがインラインで構成されている。
【0009】
したがって、ホログラムに付加情報として与えられるべきコードが、連続したシリアル番号のようなユニークな識別情報であった場合、ホログラムの印画時に何らかの不具合が生じると、シリアル番号に欠番が生じてしまう。これは、欠番を埋めるためにホログラムを再制作した場合、管理上のミスやコストアップにつながってしまうという問題が生じることを意味する。また、装置がインラインで構成されていると、ホログラムおよび文書のそれぞれの完成までにかかるスピードが異なる場合に問題が生じる。すなわち、ホログラム利用品の完成までに要する時間が、一番時間のかかる工程によって規定されることになるため、工程の管理が複雑となる。
【0010】
したがって、本技術の目的は、少なくとも、二つ以上の識別情報が記録された一体構成とされた媒体において、ホログラムに記録された識別情報と、該識別情報とは異なる形態によって記録される識別情報とを関連付けることにより、偽造防止性および利便性を満たすことのできるホログラム付き媒体、ロール状媒体、判別装置およびホログラム付き媒体製造装置ならびに情報判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本技術は、
少なくとも、二つ以上の識別情報が記録された一体構成とされた媒体であって、
識別情報のうちの一つは、予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる識別情報であることを特徴とするホログラム付き媒体である。
【0012】
好ましくは、二つ以上の識別情報が、予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる目視読取識別情報、および予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる機械読取識別情報を含む。目視読取識別情報と機械読取識別情報との間には、関連付けがなされる。
【0013】
本技術は、
予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる目視読取識別情報と、
予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされるとともに、目視読取識別情報と関連付けられた、ホログラムによる機械読取識別情報と
を含むホログラムの複数個が、同一のセパレータ上に配置されたロール状媒体である。
【0014】
本技術は、
予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる目視読取識別情報と、予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされるとともに、目視読取識別情報と関連付けられた、ホログラムによる機械読取識別情報とを含むホログラムに対し、
目視読取識別情報および機械読取識別情報を読み取り、目視読取識別情報と機械読取識別情報との間の関連付けに基づき、読み取られた機械読取識別情報から、読み取られた目視読取識別情報を復元できるか否かを判定することにより、読み取られた目視読取識別情報が正しいデータであるか否かを確認する情報判定方法である。
【0015】
本技術は、
ホログラムによる識別情報が記録されたホログラムに対し、予め定められた角度から再生照明光を照射する光源と、
ホログラムからの再生像を予め定められた方向から撮像する撮像素子と、
撮像素子により撮像した画像から、文字認識および/または画像認識を行う認識部と、
識別情報が記録された媒体を読み取る情報取得部と、
認識部および情報取得部から得られた識別情報と関連付けられた情報を生成するデータ登録部と、
データ登録部によって生成された情報が登録されるデータベースと、
ホログラムと、識別情報が記録された媒体とを一体構成とする貼り合わせ部と
を備えるホログラム付き媒体製造装置である。
【0016】
本技術は、
予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる目視読取識別情報と、予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされるとともに、目視読取識別情報と関連付けられた、ホログラムによる機械読取識別情報とを含むホログラムに対し、予め定められた角度から再生照明光を照射する光源と、
ホログラムからの再生像を予め定められた方向から撮像する撮像素子と、
撮像素子により撮像した画像から、文字認識および/または画像認識を行う認識部と、
認識部から得られた機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できるかどうかを判定する判定部と、
判定部により機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できないと判定されたホログラムを、機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できると判定されたホログラムの群から分離する選別部と
を備える判別装置である。
【0017】
本技術は、
予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる目視読取識別情報と、予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされるとともに、目視読取識別情報と関連付けられた、ホログラムによる機械読取識別情報とを含むホログラムに対し、予め定められた角度から再生照明光を照射する光源と、
ホログラムからの再生像を予め定められた方向から撮像する撮像素子と、
撮像素子により撮像した画像から、文字認識および/または画像認識を行う認識部と、
認識部から得られた機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できるかどうかを判定する判定部と、
判定部により機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できないと判定されたホログラムを、機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できると判定されたホログラムの群から分離する選別部と、
機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できると判定されたホログラムと、機械読取識別情報または目視読取識別情報と関連付けられる識別情報が記録される媒体とを貼り合わせ、一体構成とする貼り合わせ部と
を備えるホログラム付き媒体製造装置である。
【0018】
予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる識別情報を、所定の再生照明光によって読み取る。該ホログラムと、識別情報が記録された媒体とが一体構成とされたホログラム付き媒体に、該読み取った識別情報と関連付けられた情報を記録する。該ホログラム付き媒体の観察者は、ホログラムによる識別情報の少なくとも一部と、該ホログラムによる識別情報とは別の識別情報の少なくとも一部とが一致しているかどうかを判定する。
【0019】
好ましくは、ホログラムが、互いに関連付けられた目視読取識別情報および機械読取識別情報を含んでいる。目視読取識別情報および機械読取識別情報を所定の再生照明光によって読み取る。読み取られた機械読取識別情報から、関連付けに基づき、読み取られた目視読取識別情報を復元できるか否かを判定することにより、読み取られた目視読取識別情報が正しいデータであるか否かを確認する。
【発明の効果】
【0020】
少なくとも1つの実施例によれば、従来のホログラム利用品よりも高い真贋判定機能をホログラム付き媒体に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本技術の第1の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。
【図2】図1におけるA方向からの矢視図である。
【図3】ホログラムサプライロールの一構成例を示す斜視図である。
【図4】ホログラムサプライロールに形成されるホログラムの層構成の一例を示す断面模式図である。
【図5】ホログラム識別情報を下4桁に含む冗長なデータと、それに相当するバーコードを印字して、ホログラム付き媒体とした例である。
【図6】ラベルとホログラムの両方にまたがる形で印字した例を示す図である。
【図7】本技術の第2の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。
【図8】本技術の第2の実施の形態にかかるホログラム付き媒体の一構成例の断面模式図である。
【図9】ホログラム識別情報を下4桁に含む冗長なデータと、それに相当する二次元バーコードをラベルに印字し、さらにこれらを非接触ICカードに貼り合わせて一体としたホログラム付き媒体の例である。
【図10】本技術の第3の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。
【図11】図10におけるA方向からの矢視図である。
【図12】識別情報が付加されたホログラムと、二次元バーコードが印字されたラベルとを一体構成としたホログラム付き媒体の例である。
【図13】本技術の第4の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。
【図14】本技術の第5の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。
【図15】図15は、本技術による第6の実施の形態にかかるホログラム付き媒体の一構成例を示す平面図である。
【図16】図16は、再生照明光の光源、ホログラム付き媒体および撮像素子の配置の説明に用いる略線図である。
【図17】図17Aおよび図17Bは、再生照明光の光源、ホログラム付き媒体および撮像素子の配置の説明に用いる略線図である。
【図18】図18は、ホログラムによる目視読取識別情報および機械読取識別情報を含む複数のホログラム付き媒体が、同一のセパレータ上に配置されたロール状媒体の構成例を示す斜視図である。
【図19】図19Aは、機械読み取りされた機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元することができないホログラムと機械読み取りされた機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元することができるホログラムとを分離する判別装置の一構成例を示す略線図である。図19Bは、図19AにおけるA方向からの矢視図である。
【図20】図20は、判別装置の他の構成例を示す略線図である。
【図21】図21は、第7の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。
【図22】図22は、第8の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。
【図23】図23は、第8の実施の形態にかかるホログラム付き媒体の構成例を示す略線図である。
【図24】本技術の第1の実施の形態の概略図である。
【図25】本技術の第1の実施の形態の変形例の概略図である。
【図26】本技術の第2の実施の形態の概略図である。
【図27】本技術の第2の実施の形態の変形例の概略図である。
【図28】本技術の第3の実施の形態の概略図である。
【図29】本技術の第3の実施の形態の変形例の概略図である。
【図30】本技術の第4の実施の形態の概略図である。
【図31】本技術の第5の実施の形態の概略図である。
【図32】本技術の第5の実施の形態の変形例の概略図である。
【図33】本技術の第6の実施の形態の概略図である。
【図34】図34Aは、本技術の第7の実施の形態の概略図である。図34Bは、本技術の第7の実施の形態の変形例の概略図である。
【図35】図35Aは、本技術の第8の実施の形態の概略図である。図35Bは、本技術の第8の実施の形態の変形例の概略図である。
【図36】ホログラフィックステレオグラム作成システムの一構成例を示す略線図である。
【図37】ホログラフィックステレオグラム作成時の画像処理の一例の説明に用いる略線図である。
【図38】ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置の光学系の一例を示す略線図である。
【図39】ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置の光学系の他の例を示す略線図である。
【図40】ホログラム用記録媒体の一例を示す断面図である。
【図41】光重合型フォトポリマの感光プロセスを示す略線図である。
【図42】記録媒体送り機構の一構成例を示す略線図である。
【図43】露光処理の一例のフローチャートである。
【図44】先に提案した画像記録媒体に関する複製装置の第1の実施の形態の構成を示す略線図である。
【図45】視野角についての一般的な説明に使用する略線図である。
【図46】先に提案した画像記録媒体に関する第1の実施の形態における視野角についての説明に使用する略線図である。
【図47】先に提案した画像記録媒体に関する第1の実施の形態の第1の変形例の構成を示す略線図である。
【図48】先に提案した画像記録媒体に関する第1の実施の形態の第2の変形例の構成を示す略線図である。
【図49】先に提案した画像記録媒体に関する第1の実施の形態の第2の変形例の一部の構成を示す略線図である。
【図50】一般的なホログラムの視野角の説明に使用する略線図である。
【図51】本出願の発明者らが先に提案した画像記録媒体に関する視野角制御の説明に使用する略線図である。
【図52】先に提案した画像記録媒体に関する視野角制御の説明に使用する略線図である。
【図53】先に提案した画像記録媒体に関する複製装置の第2の実施の形態の構成を示す略線図である。
【図54】先に提案した画像記録媒体に関する複製装置の第3の実施の形態の構成を示す略線図である。
【図55】先に提案した画像記録媒体に関する複製装置の第4の実施の形態の構成を示す略線図である。
【図56】先に提案した画像記録媒体に関する複製装置の第5の実施の形態の構成を示す略線図である。
【図57】先に提案した画像記録媒体に関する複製装置の第5の実施の形態の変形例の説明に使用する略線図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本技術を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする。)について説明する。説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.第4の実施の形態
5.第5の実施の形態
6.第6の実施の形態
7.第7の実施の形態
8.第8の実施の形態
9.変形例
10.付加情報を記録したホログラム
なお、以下に説明する実施の形態は、本技術の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本技術の範囲は、以下の説明において、特に本技術を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
【0023】
<1.第1の実施の形態>
次に、本技術によるホログラム付き媒体およびホログラム付き媒体製造装置の第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、ホログラムの持つ識別情報を所定の再生照明光によって読み取り、ホログラムおよびラベルを一体構成としたホログラム付き媒体とし、該読み取った識別情報と関連付けられた情報をラベルに印字する。ホログラム付き媒体の観察者は、ホログラムに記録された識別情報の少なくとも一部と、ラベルに印字された情報の少なくとも一部とが一致しているかどうかを判定することができる。したがって、本技術の第1の実施の形態によれば、より高い真贋判定機能をホログラム付き媒体に与えることができる。なお、以下において印字とある場合には、文字以外の情報を記録することも含むとする。
【0024】
図1は、本技術の第1の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。図1に示すように、本技術の第1の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例では、専用照明光LED光源11(LED:Light Emitting Diode)、撮像素子12、文字認識装置15(OCR:Optical Character Recognition)、データバッファ16、印画データプロセッサ17、およびプリンタ18を備えている。ロール状のホログラムサプライロール1は、長尺状セパレータシートに粘着剤付きのホログラム2が形成されたものである。なお、ホログラム2の各々は、識別情報が記録されており、各々のホログラムを識別できるようにされている。ロール状のキャリアサプライロール6は、ホログラム2のキャリアとなるラベル台紙がロール状に巻かれたものである。以下、ホログラム自体と結合されるべきものを、キャリアと適宜称する。
【0025】
本技術の実施の形態に適用されるホログラムは、好ましくは、ホログラム原版からの複製の際にホログラム原版に記録されたホログラムとは異なる付加情報がさらに記録され、かつその付加情報がユニークな情報(例えばシリアル番号)のような識別情報とされたホログラムである。より好ましくは、所定の角度から照明した際に所定の角度範囲において付加情報が観察できるようにされた画像記録媒体である。該画像記録媒体は、本出願の発明者らが先に提案した画像記録媒体によって実現されるが、該画像記録媒体の詳細については後述する。以下に記載する本技術の実施の形態の説明においては、ホログラムとして該画像記録媒体を適用したものとして説明を行う。
【0026】
本技術の第1の実施の形態では、ホログラム付き媒体の製造方法は、ホログラムに記録された識別情報を読み取る工程と、ホログラムとラベルとを貼り合わせ、一体構成とされたホログラム付き媒体とする工程と、ホログラムから読み取った識別情報と関連付けられた情報を生成する工程と、該読み取った情報と関連付けられた情報を印字する工程とを有している。
【0027】
次に、本技術の第1の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の動作を、図1を参照しながら以下に説明する。ホログラムサプライロール1からホログラム2が繰り出されるとともに、セパレータシートが位置出しロール3、剥離プラテンローラ4を経て、巻き取りロール5に巻き取られる。上述の剥離プラテンローラ4は、ホログラム2がセパレータから剥離するのに十分小さい曲率とされることにより、ホログラム2がセパレータから離れて、キャリアサプライロール6から繰り出されるラベル台紙に近づく。このとき、繰り出し量センサ9がホログラム2の端部を検出し、キャリアサプライロール6から供給されるラベルの所定の位置に貼ることができるようになされる。セパレータから剥離されたホログラム2は、ラベル貼り合わせプラテン7と、圧着ピンチローラ8とにより圧着され、しっかりラベルに貼りあわされる。ホログラム2がラベルに貼り合わされた後、プリンタ18により、ホログラム2に記録された識別情報と関連付けられた情報がラベル上に印字される。上述のようにホログラムとキャリアであるラベルとが一体構成とされ、ホログラム2に記録された識別情報と関連付けられた情報が印字されたホログラム付き媒体は、カッター19により所定の寸法に裁断される。
【0028】
ホログラムとラベルとを一体構成とする貼り合わせの工程に先立って、ホログラム2には、専用照明光LED光源11から図示しないコリメータレンズ14を介して、所定の波長、入射角度、ビーム広がり角をもつ再生照明光31が照射される。ホログラム2からの再生光33は、結像レンズ13を介して撮像素子12にて、光電変換される。光電変換された画像は文字認識装置15により、テキストデータに変換され、データバッファ16に蓄えられる。このとき、位置出しロール3、剥離プラテンローラ4の間は、ホログラムサプライロール1の残量に関わらず同じ位置関係が保たれるようにされる。
【0029】
図2は、図1におけるA方向からの矢視図である。図2に示すように、専用照明光LED光源11からコリメータレンズ14を介して照射される再生照明光31は、ホログラム2に記録された識別情報が再生されるのに適した方向から、ホログラム2に向けて照射されるようにされる。すなわち、専用照明光LED光源11、コリメータレンズ14、ホログラム2、結像レンズ13、撮像素子12の配置は、再生像である識別情報の鮮明度が最も高くなるような方向から再生照明光31が照射され、かつ、識別情報が観察されるのに適した方向から撮像されるような配置とされる。
【0030】
図3は、ホログラムサプライロール1の一構成例を示す斜視図である。図4はホログラムサプライロール1に形成されるホログラム2の層構成の一例を示す断面模式図である。図4に示すように、例えばホログラム2は、セパレータシート5aに、粘着剤2b、ホログラム記録層2a、保護層2cを順に積層する構成として形成されている。
【0031】
上述したように、長尺状セパレータシートに粘着剤付きのホログラム2が形成されている。このホログラム2には、付加情報として識別情報が記録されている。図3では、ホログラム2に記録される識別情報として、4桁の数字の配列を記録した例を示している。上述したように、再生像の鮮明度が最も高くなるような方向から、再生照明光31が照射される。図3では、ホログラムに立てた法線とαの角度をなすようにして再生照明光31が照射される様子を示している。なお、ホログラフィックな手段によるID(IDentification)情報の記録は高度な記録技術を要するため、コストダウンのために、専用装置で一括に個別情報が発行されることが多い。そのため、図3では、識別情報が記録済みのホログラムがロールに巻かれたような状態で供給される例を示したが、連続的にホログラムが供給できるのであれば、その他の形態、方法を用いてもよい。
【0032】
ホログラム2がラベルに貼り合わされた後、プリンタ18により、データバッファ16に蓄えられている情報と関連付けられた情報が、ラベル上に印字される。例えば、ホログラム上にシリアル番号が記録されていた場合、そのシリアル番号そのものを全て印字したり、そのシリアル番号を一部に含む、より冗長なデータを印字したり、またはシリアル番号の一部だけを印字したりすることができる。すなわち、個別に作成されたホログラムおよびラベルは、一体とされた後に印字され、それぞれが関連付けられる。このようにして、本技術の第1の実施の形態にかかるホログラム付き媒体10が得られる。該ホログラム付き媒体10は、例えば接着剤等により、クレジットカード、身分証明書等に接合して用いることができる。
【0033】
図5は、ホログラム識別情報21を下4桁に含む冗長なデータ22(ホログラム識別情報21と一致する下4桁を、枠をつけて示した。)と、それに相当するバーコード32をラベル51に印字して、ホログラム付き媒体10とした例である。一般的にホログラムは小さい面積であるため、ホログラム印字できる情報量は少なめである。そのため、ラベルに印字するデータ量を多くし、ラベル印字データをバーコードや2次元バーコード等で機械読み取りできるようにすれば、読み取りやすさの利便性が向上する。したがって、本技術の第1の実施の形態にかかる構成例によれば、通常の量産型ホログラムより製造難易度が高い、識別情報の記録されたホログラムが有する偽造防止性と、機械読み取りできる印字データが有する利便性との両方を満たすホログラム付き媒体を得ることができる。さらに、その識別情報と、ラベル印字データとが、その一部でも一致していることを判定者に見てもらうことにより、より高い真贋判定機能をホログラム付き媒体に与えることができる。
【0034】
「第1の実施の形態の変形例」
本技術の第1の実施の形態は、上述した例に限定されず種々の変形が可能である。例えば、ホログラムサプライおよびキャリアとなるラベルは、ロール形状に限らず、カットシート状のものを供給してもよい。ラベル51は、裏面に粘着剤、セパレータ等が形成されたシール形態となっていてもよい。その他にも、ホログラム2のキャリアはラベルに限らず、文書としてもよい。この場合において、別々のところで作成されたホログラムおよび文書を後から関連付けることができる。
【0035】
ホログラム2のキャリアの材質は紙に限られない。樹脂、金属、ガラス又は布であってもよい。樹脂や金属、ガラスを用いた場合にあっては、印字の形態としてエンボス加工またはグルービング加工を施したりしてもよい。
【0036】
ホログラム2に記録された識別情報21は、ホログラム2とラベル51とが一体構成とされた後に読み取るような構成としてもよい。
【0037】
上述した例においては、ホログラム2に記録された識別情報を読み取った後、データバッファ16に蓄えられている情報と関連付けられた情報をキャリアへ印字する構成とされているが、この関係を逆転させてもよい。すなわち、キャリアに印字された識別情報を読み取り、該読み取った識別情報と関連付けられた情報を生成し、該生成された情報をホログラムに記録する構成としてもよい。
【0038】
この場合においては、識別情報の印字されたキャリアを作成する工程と、キャリアに印字された識別情報を読み取る工程と、キャリアから読み取った識別情報と関連付けられた情報を生成する工程と、該読み取った識別情報と関連付けられた情報をホログラムに記録する工程と、ホログラムとキャリアとを貼り合わせ、一体構成とされたホログラム付き媒体とする工程を有することになる。
【0039】
これらの工程を経て製造されるホログラム付き媒体は、図5に示したホログラム付き媒体と同様であるので、上述した第1の実施の形態のホログラム付き媒体10と同様の効果を奏することができる。なお、ホログラムとキャリアとを貼り合わせ、一体構成とされたホログラム付き媒体とする工程にのみ着目すると、特許文献1に記載のものに類似するが、上述の変形例においては、工程をインラインで構成する必要がないので、複雑な工程管理という問題は発生しない。
【0040】
ラベル51に印字される情報と、ホログラム2から再生される付加情報とは、一見して関連性がないものであってもよい。すなわち、ホログラム付き媒体10を製造、供給する側において、データデータバッファ16に蓄えられている情報とラベル51に印字されるべき情報とに対応がつきさえすればよく、さらに、その対応は1対1でなくともよい。ホログラム2から読み取った識別情報とラベル51に印字すべき情報とをテーブル形式等でメモリ等に保持し、またはデータベースを構築してもよい。このようにすることで、一方または両方が暗号化された情報を使用することもでき、偽造防止性をさらに高めることができる。または、ホログラム2から読み取った識別情報とラベル51に印字すべき情報とから生成された新たな暗号をデータベースに記憶させてもよい。このように、ホログラム付き媒体から離れたところに保存された暗号情報は、ホログラム付き媒体から推測することが困難であり、偽造防止性をより一層高めることができる。例えば、ホログラム付き媒体を所定の装置によって読み取らせ、インターネット等のネットワークを介してデータベースに問い合わせることにより、ホログラム付き媒体上に表面化されていない情報を用いて、ホログラム付き媒体が真正なものであるかを判定することができるようになる。なお、暗号化の方法としては種々のものを適用できる。
【0041】
ラベル51に印字する装置としては、インクジェットプリンタ、他に感熱紙を使ったもの、感熱リボンから熱転写するもの、昇華熱転写を行うもの、またはレーザマーキングするもの等、種々のものが使用できる。ラベル自体が書き換えのできる媒体となっていてもよく、例えば感熱タイプで書き換えのできるものとして、ホログラム2に記録されている識別情報の全部または一部を、その媒体の一部に感熱型で書き込むこともできる。
【0042】
さらに、図6に示すように、ラベル51とホログラム2の両方にまたがる形で印字するようにしてもよい。こうすることにより、割印の効果が出て、ラベル51からホログラム2を剥がして別のラベルに貼り換えようとする不正を防止する効果が得られる。さらには、キャリアであるラベル台紙にデータ印字するのではなく、ホログラム付き媒体そのもの、つまりホログラム2を形成しているホログラム層またはホログラム層より観察者側あるいは観察者とは反対側の層に印字してもよい。レーザマーキングを行うと、必ずしも表面だけではなく内部にマーキングすることも可能である。
【0043】
<2.第2の実施の形態>
次に、本技術によるホログラム付き媒体およびホログラム付き媒体製造装置の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、ホログラムの持つ識別情報を所定の再生照明光によって読み取り、ホログラムおよびRF(Radio Frequency)タグを一体構成としたホログラム付き媒体とし、該読み取った識別情報と関連付けられた情報をRFタグに書き込む。ホログラム付き媒体の観察者は、既にインフラ整備されているRFID(Radio Frequency IDentification)を用いて、ホログラム付き媒体の真贋判定を行うことができる。したがって、本技術の第2の実施の形態によれば、RFIDリーダで読み取って初めてホログラム付き媒体の真贋判定ができることになり高度に暗号化された真贋判定システムを提供できる。
【0044】
図7は、本技術の第2の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。図7に示すように、本技術の第2の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例では、専用照明光LED光源11、撮像素子12、文字認識装置15、データバッファ16、および印画データプロセッサ17を備えている点で、第1の実施の形態と共通する。しかし、プリンタ18に替えてRFIDライタ78を備えている点で第1の実施の形態と異なる。プリンタ18をRFIDライタ78に置き換えたような形のほか、必要に応じて、プリンタ18にRFIDライタ78を加えたような形としてもよい。また、ロール状のキャリアサプライロール6からは、ラベルに替えて長尺状セパレータシートに支持されたRFタグ、例えば非接触ICカード(Integrated Circuit カード)等が連続的に供給される。この場合において、キャリアとなる非接触ICカードは、ロールに限らずシート状のものに支持させて供給してもよい。
【0045】
本技術の第2の実施の形態では、ホログラム付き媒体の製造方法は、ホログラムに記録された識別情報を読み取る工程と、ホログラムとRFタグとを貼り合わせ、一体構成とされたホログラム付き媒体とする工程と、ホログラムから読み取った識別情報と関連付けられた情報を生成する工程と、該読み取った識別情報と関連付けられた情報をRFタグに書き込む工程とを有している。第1の実施の形態と同様に、ホログラムに記録された識別情報を読み取る工程においては、ホログラムを読み取るための光源、所定の位置からの撮像角度を規定していることが重要である。
【0046】
図8は、本技術の第2の実施の形態にかかるホログラム付き媒体70の一構成例の断面模式図である。図8に示すように、本技術の第2の実施の形態にかかるホログラム付き媒体は、付加情報として識別情報が記録されたホログラム2と、ホログラム2から読み取った識別情報と関連付けられた情報が書き込まれたRFタグ82とが一体構成とされたものである。この例では、RFタグ82が被覆材81、例えば樹脂に埋め込まれ、その上にホログラム2が貼り付けられている。被覆材81の、ホログラム2が貼り付けられるべき位置に、フライス加工等で凹部を形成し、ホログラム2を貼りつけたときにホログラム付き媒体の表面がフラットになるようにしておいてもよい。
【0047】
第1の実施の形態と同様に、データバッファ16に蓄えられている情報とRFタグ82に書き込みされるべき情報とは対応がつきさえすればよく、さらに、その対応は1対1でなくともよい。RFタグ82に書き込まれた情報と、ホログラム2から再生される付加情報とから新たな暗号を生成できることも同様である。例えば、RFIDリーダを備えたパーソナルコンピュータによりホログラム付き媒体70のRFタグ82に記録された情報を読み取らせ、インターネット等のネットワークを介してデータベースに問い合わせることにより、ホログラム付き媒体上に表面化されていない情報を用いて、ホログラム付き媒体70が真正なものであるかを判定することができる。
【0048】
「第2の実施の形態の変形例」
本技術の第2の実施の形態も、上述した例に限定されず種々の変形が可能である。第1の実施の形態の変形例と同様に、RFタグに記録された識別情報を読み取り、該読み取った識別情報と関連付けられた情報を生成し、該生成された情報をホログラムに記録し、ホログラムとRFタグとを貼り合わせ、一体構成とされたホログラム付き媒体とする構成としてもよい。このような構成としても、RFIDリーダで読み取って初めてホログラム付き媒体の真贋判定ができ、高度に暗号化された真贋判定システムを提供できるという効果が得られる。
【0049】
また、第1の実施の形態と組み合わせた形を適用してもよい。図9は、ホログラム識別情報を下4桁に含む冗長なデータと、それに相当する二次元バーコードをラベル51に印字し、さらにこれらを非接触ICカード91に貼り合わせて一体構成としたホログラム付き媒体の例である。この例では、ホログラム2に記録された識別情報、二次元バーコードに印字された情報およびRFタグ82に書き込まれた情報を組み合わせた媒体として使用することができる。
【0050】
例えば、第2の実施の形態にかかるホログラム付き媒体を身分証等に用いて、ホログラム2には発行されたホログラム付き媒体のシリアル番号を、二次元バーコードには、発行番号等、ホログラム付き媒体の発行者側で管理すべき情報を、RFタグには個人情報を記録するといった使い方もできる。ホログラム付き媒体をこのように構成すると、ホログラム付き媒体にはRFタグ82が埋め込まれているので、複数のホログラム付き媒体をRFIDリーダで一括読み取りすることもできる。このように構成されたホログラム付き媒体を例えば展示会等の入場証等に適用すれば、以下のような使い方ができる。受付は、目視により、ホログラムの付加情報とラベルに印字されたホログラム識別情報を下4桁に含む冗長なデータとを照合する。各出展者は、バーコードの情報をバーコードリーダにより取得する。主催者は、回収したホログラム付き媒体をRFIDリーダで一括して読み取ることにより、入場者に関する統計を簡便に得る。
【0051】
その他にも、ホログラム2のキャリアとして、RFタグを埋め込んだ紙を用いてもよい。この場合において、別々のところで作成されたホログラムおよび文書を後から関連付けることができる。RFタグを埋め込むのは、文書に限らずラベル台紙であってもよい。また、製品または包装の一部、例えば樹脂で構成される部分にRFタグを埋め込んでおけば、製品の真正性の保証と、製品の流通管理を両立させることができる。
【0052】
上述したように、ホログラムに記録された付加情報と、印字するデータの一部または全部を一致させれば、道具を使わないでより高い真贋判定ができる。さらに、印字されない情報は、RFIDリーダで読み取って初めて真贋判定ができることになり、高度に暗号化された真贋判定システムを提供できる。
【0053】
<3.第3の実施の形態>
次に、本技術によるホログラム付き媒体およびホログラム付き媒体製造装置の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、ホログラムおよびラベルを一体構成としたホログラム付き媒体とし、所定の再生照明光によって読み取ったホログラムの持つ識別情報と、ラベルから読み取った情報とを関連付けてデータベースに登録する。ホログラム付き媒体の観察者は、ホログラムに記録された識別情報を例えば目視により確認し、バーコードリーダ等でラベルから読み取った情報とともにデータベースに照会することにより、ホログラム付き媒体が真正なものであるかどうかを確認することができる。したがって、本技術の第3の実施の形態によれば、ホログラム付き媒体に記録された複数種類の情報をデータベースに照会して初めてホログラム付き媒体の真贋判定ができることになり、ホログラム単体に比してより高い真贋判定機能をホログラム付き媒体に与えることができる。
【0054】
図10は、本技術の第3の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。図10に示すように、本技術の第3の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例では、データバッファ16に替えてデータ登録装置102を、プリンタ18に替えてバーコードリーダ104を備え、さらにはデータベース101を備えている点で第1の実施の形態と異なる。キャリアサプライロール6からは、第1の実施の形態と同様に、ホログラム2のキャリアとなるラベル台紙が供給される。このラベル台紙には、例えば、個々のラベルを識別するための情報が、二次元バーコード等の形態で記録されているものとされる。なお、この一構成例においては、ホログラムとキャリアが一体構成となされた後にホログラムに記録された識別情報を読み取るような構成とされている。
【0055】
図11は、図10におけるA方向からの矢視図である。図11に示すように、専用照明光LED光源11からコリメータレンズ14を介して照射される再生照明光31は、ホログラム2に記録された識別情報が再生されるのに適した方向から、ホログラム2に向けて照射されるようにされる点は、第1および第2の実施の形態と同様である。すなわち、専用照明光LED光源11、コリメータレンズ14、ホログラム2、結像レンズ13、撮像素子12の配置は、再生像である識別情報の鮮明度が最も高くなるような方向から再生照明光31が照射され、かつ、識別情報が観察されるのに適した方向から撮像されるような配置とされる。
【0056】
本技術の第3の実施の形態では、ホログラム付き媒体の製造方法は、ホログラムとラベルとを貼り合わせ、一体構成とされたホログラム付き媒体とする工程と、ホログラムに記録された識別情報を読み取る工程と、ラベルに記録された識別情報を読み取る工程と、ホログラムおよびラベルから読み取った識別情報を関連付けてデータベースに登録する工程とを有している。第1および第2の実施の形態と同様に、ホログラムに記録された識別情報を読み取る工程においては、ホログラムを読み取るための光源、所定の位置からの撮像角度を規定していることが重要である。
【0057】
本技術の第3の実施の形態によれば、ホログラム2に記録された識別情報と、ラベルに記録された識別情報とが、関連付けられてデータベース101に登録されるので、ホログラムおよびキャリアは、個別に制作され、関連性を持たないものであっても構わない。すなわち、元々それぞれに記録されている識別情報が関連性を持たないものであっても構わない。これは、生産管理や、特にトレーサビリティの保証に用いて好適であることを意味する。
【0058】
図12は、識別情報が付加されたホログラム2と、二次元バーコード121が印字されたラベル51とを一体構成としたホログラム付き媒体100の例である。ホログラム2およびキャリアが一体構成とされたホログラム付き媒体100は、データベース101に問い合わせることにより真贋判定を行うことができる。すなわち、ホログラム2に記録された識別情報を例えば目視により確認し、バーコードリーダで読み取った情報とともにデータベース101に照会するといったことができる。
【0059】
「第3の実施の形態の変形例」
本技術の第3の実施の形態も、上述した例に限定されず種々の変形が可能である。例えば、第1および第2の実施の形態と同様に、ホログラムおよびラベルから読み取った識別情報のうち、一方または両方が暗号化された情報を使用することもでき、偽造防止性をさらに高めることができる。その他、データ登録装置に、ホログラムおよびラベルから読み取った識別情報から暗号を生成する暗号器としての機能を持たせることもできる。すなわち、ホログラムおよびラベルから読み取った識別情報からマッピングを生成し、データベースに登録することができる。または、ホログラムおよびラベルから読み取った識別情報に演算を施し、演算によって得られた演算値をデータベースに登録することもできる。新しく生成された暗号は、第3者がホログラム付き媒体を不正に取得した場合にも、ホログラム付き媒体から推測することが困難な暗号となる。
【0060】
また、例えば、ラベルに記録される識別情報は1つに限られない。異なる情報を記録した二次元バーコードを複数印字しておいてもよいし、数字、文字等の羅列や、記号、バーコード等と組み合わせてもよい。ホログラムおよびラベルから読み取った識別情報を関連付けてデータベースに登録する工程において、該関連付けは必ずしも1対1である必要はなく、多対多の対応付けが可能である。ラベルに複数種類の形態で識別情報を記録しておく場合には、情報の印字の形態に応じて、バーコードリーダ104を適宜別の読み取り手段に置き換え、または別の読み取り手段と組み合わせればよい。
【0061】
もちろん、キャリアはラベルに限られない。文書でもよいし、キャリアの材質は紙に限られない。印字の形態として、点字のような形態のほか、貫通穴や切り欠きを設けたり、エンボス加工またはグルービング加工を施したりしてもよい。
【0062】
また、ホログラムの識別情報と関連付けられる識別情報としては、例えばディスクの個別IDであってもよい。すなわち、ブルーレイディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、DVD(Digital Video Disc)、CD(Compact Disc)などに予め固有の識別情報が記録されている場合、ディスクプレーヤーにより読み取った情報と、ホログラムの識別情報とを関連付けることも可能である。このようにすることで、例えば再生しようとする記録媒体が真正なものであるか、すなわち海賊版でないかどうかといったことを、ネットワークに接続されたディスクプレーヤーからデータベースに照会することにより判定するといったことが可能になる。また例えば、海賊版と判定されたディスクを再生しないようにディスクプレーヤーに指令を与えるといったことや、プログラムや音楽が記録された記録媒体を再生することに対して、データベースと課金情報をやり取りすることも可能となる。
【0063】
<4.第4の実施の形態>
次に、本技術によるホログラム付き媒体およびホログラム付き媒体製造装置の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では、ホログラムおよびRFタグを一体構成としたホログラム付き媒体とし、所定の再生照明光によって読み取ったホログラムの持つ識別情報と、RFタグから読み取った識別情報とを関連付けてデータベースに登録する。ホログラム付き媒体の観察者は、ホログラムに記録された識別情報を例えば目視により確認し、RFIDリーダで読み取った識別情報とともにデータベースに照会することにより、ホログラム付き媒体が真正なものであるかどうかを確認することができる。したがって、本技術の第4の実施の形態によれば、ホログラム付き媒体に記録された複数種類の情報をデータベースに照会して初めてホログラム付き媒体の真贋判定ができることになり、ホログラム単体に比してより高い真贋判定機能をホログラム付き媒体に与えることができる。
【0064】
図13は、本技術の第4の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。図13に示すように、本技術の第4の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例では、バーコードリーダ104に替えてRFIDリーダ134を備えている点で第3の実施の形態と異なる。なお、この一構成例においては、ホログラムとキャリアが一体構成となされた後にホログラムに記録された識別情報を読み取るような構成とされている。
【0065】
本技術の第4の実施の形態では、ホログラム付き媒体の製造方法は、ホログラムとRFタグとを貼り合わせ、一体構成とされたホログラム付き媒体とする工程と、ホログラムに記録された識別情報を読み取る工程と、RFタグに記録された識別情報を読み取る工程と、ホログラムおよびRFタグから読み取った識別情報を関連付けてデータベースに登録する工程とを有している。第1ないし第3の実施の形態と同様に、ホログラムに記録された識別情報を読み取る工程においては、ホログラムを読み取るための光源、所定の位置からの撮像角度を規定していることが重要である。
【0066】
本技術の第4の実施の形態によれば、ホログラム2に記録された識別情報と、RFタグに記録された識別情報とが、関連付けられてデータベース101に登録されるので、ホログラムおよびキャリアは、個別に制作され、関連性を持たないものであっても構わない。すなわち、元々それぞれに記録されている識別情報が関連性を持たないものであっても構わない。これは、第3の実施の形態と同様に、生産管理や、特にトレーサビリティの保証に用いて好適であることを意味する。
【0067】
ホログラム2およびキャリアが一体構成とされたホログラム付き媒体130は、データベース101に問い合わせることにより真贋判定を行うことができる。すなわち、ホログラム2に記録された識別情報を例えば目視により確認し、RFIDリーダで読み取った情報とともにデータベース101に照会するといったことができる。
【0068】
「第4の実施の形態の変形例」
本技術の第4の実施の形態も、上述した例に限定されず種々の変形が可能である。例えば、第1ないし第3の実施の形態と同様に、ホログラムおよびRFタグから読み取った識別情報のうち、一方または両方が暗号化された情報を使用することもでき、偽造防止性をさらに高めることができる。その他、データ登録装置に、ホログラムおよびRFタグから読み取った識別情報から暗号を生成する暗号器としての機能を持たせることもできる。すなわち、ホログラムおよびRFタグから読み取った識別情報からマッピングを生成し、データベースに登録することができる。または、ホログラムおよびRFタグから読み取った識別情報に演算を施し、演算によって得られた演算値をデータベースに登録することもできる。新しく生成された暗号は、第3者がホログラム付き媒体を不正に取得した場合にも、ホログラム付き媒体から推測することが困難な暗号となる。
【0069】
ホログラムおよびRFタグから読み取った識別情報を関連付けてデータベースに登録する工程において、該関連付けは必ずしも1対1である必要はなく、多対多の対応付けが可能である点も、第3の実施の形態と同様である。
【0070】
<5.第5の実施の形態>
次に、本技術によるホログラム付き媒体およびホログラム付き媒体製造装置の第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態では、ホログラムおよびRFタグを一体構成としたホログラム付き媒体とし、所定の再生照明光によって読み取ったホログラムの持つ識別情報と、RFタグから読み取った情報とから新たな情報を生成して、これらを関連付けてデータベースに登録する。さらに、新しく生成された情報をRFタグに記録する。ホログラム付き媒体の観察者は、ホログラムに記録された識別情報を例えば目視により確認し、新しく生成された情報をRFIDリーダで読み取り、これらの情報をデータベースに照会することにより、ホログラム付き媒体が真正なものであるかどうかを確認することができる。したがって、本技術の第5の実施の形態によれば、RFタグに記録される情報が元々RFタグに記録されていたものとは異なるので、ホログラム付き媒体に記録された複数種類の情報をデータベースに照会して初めてホログラム付き媒体の真贋判定ができることになり、ホログラム単体に比してより高い真贋判定機能をホログラム付き媒体に与えることができる。
【0071】
図14は、本技術の第5の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。図14に示すように、本技術の第5の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例では、RFIDリーダ134に替えてRFIDリーダ/ライタ146を備えている点で第4の実施の形態と異なる。
【0072】
本技術の第5の実施の形態では、ホログラム付き媒体の製造方法は、ホログラムとRFタグとを貼り合わせ、一体構成とされたホログラム付き媒体とする工程と、ホログラムに記録された識別情報を読み取る工程と、RFタグに記録された情報を読み取る工程と、ホログラムおよびRFタグから読み取った情報と関連付けられた情報を生成する工程と、これらの情報を関連付けてデータベースに登録する工程と、該関連付けられた情報をRFタグに書き込む工程とを有している。第1ないし第4の実施の形態と同様に、ホログラムに記録された識別情報を読み取る工程においては、ホログラムを読み取るための光源、所定の位置からの撮像角度を規定していることが重要である。
【0073】
本技術の第5の実施の形態によれば、ホログラム2に記録された識別情報と、RFタグに記録された情報と、これらから新たに生成された情報とが、関連付けられてデータベース101に登録されるので、ホログラムおよびキャリアは、個別に制作され、関連性を持たないものであっても構わない。すなわち、元々それぞれに記録されている情報が関連性を持たないものであっても構わない。これは、第3および第4の実施の形態と同様に、生産管理や、特にトレーサビリティの保証に用いて好適であることを意味する。
【0074】
ホログラムおよびキャリアが一体構成とされたホログラム付き媒体140には、ホログラム2に記録された識別情報とRFタグに記録された情報とから新たに生成された情報が追記または上書きされる。これらの情報は互いに関連付けられてデータベース101に登録されるので、データベース101に問い合わせることにより真贋判定を行うことができる。すなわち、ホログラム2に記録された識別情報を例えば目視により確認し、RFIDリーダで読み取った情報とともにデータベース101に照会するといったことができる点において、第5の実施の形態は第4の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0075】
「第5の実施の形態の変形例」
ここで、RFタグに書き込まれる情報は、初めにRFタグ記録されていた情報とはもはや異なっている。したがって、第3の実施の形態の変形例および第4の実施の形態の変形例と同様にして、データ登録装置にホログラム2およびRFタグから読み取った情報から暗号を生成する暗号器としての機能を持たせると、新たな効果が生じる。すなわち、暗号器により生成された暗号をRFタグに上書き保存させれば、ホログラム付き媒体140からデータベース101に登録した情報を推測することは極めて困難となる。RFタグに書き込むべき暗号の他に別の暗号をさらに複数生成し、関連付けをした上でデータベース101に登録することもできる。
【0076】
また、ホログラム2に記録された識別情報と、RFタグに記録された情報とから新たに生成された情報は、RFタグに追記または上書きするだけでなく、該ホログラム(以下、第1のホログラムと適宜称する。)とは異なる第2のホログラムに付加情報として記録することもできる。第2のホログラムは、ホログラムおよびRFタグを一体構成としたホログラム付き媒体とする工程とは別の工程または場所で制作することができる。第1のホログラムの識別情報から、別の場所で制作される第2のホログラムに付加される情報を推測することは、極めて難しいものとなる。
【0077】
したがって、第1のホログラムとRFタグが一体構成とされたホログラム付き媒体に、さらに第2のホログラムを結合したホログラム付き媒体は、極めて強力な偽造防止性および真贋判定性機能を有するものとなる。これは、ホログラム付き媒体から読み取った情報および記録されるべき情報が、多対多の関連付けをされた上で、データベースに登録できることによる。もちろん、ホログラムの個数は2つに限られず、いくつであってもよい。
【0078】
このように、本技術の第5の実施の形態も、上述した例に限定されず種々の変形が可能である。RFタグに記録する情報を種々の段階において書き換えることができるため、特に、不特定多数の人間の手に渡るものや、多数の工程を経て製造される製品に用いて好適である。
【0079】
本技術の第5の実施の形態にかかるホログラム付き媒体140は、量産品だけでなく工芸品や芸術作品等にも適用することができる。例えば、洋画に適用する場合には、キャンバス地のような消耗品にRFタグを織り込んでおき、識別情報を記録したホログラム2を、容易に分離できないような形態でキャンバス裏面に貼り付けておく。RFタグは、1mm角以下程度の大きさであれば、絵の具とともに作品の一部に埋め込むこともできる。制作者は、完成した作品に対し、自身で決めた情報と、ホログラム2に記録された識別情報とから暗号を生成させ、RFIDライタによりRFタグに記録させる。これらの情報は互いに関連付けられてデータベース101に登録される。このようにしておけば、その絵画が真作であるかどうかを、制作者が保有する特定の情報があって初めて判別するようにできる。すなわち、RFタグの情報は書き換え可能なため、絵画の所有者が代わる度に新しい暗号を書き込めば、信頼性のある鑑定および来歴確認を容易に行うことができる。
【0080】
<6.第6の実施の形態>
次に、本技術によるホログラム付き媒体の第6の実施の形態について説明する。第1〜第5の実施の形態により説明したように、本技術は、少なくとも、二つ以上の識別情報が記録された媒体であって、該識別情報のうちの少なくとも一つがホログラムによる識別情報であることを特徴とする。第6の実施の形態では、媒体に記録される二つ以上の識別情報に、ホログラムによる識別情報を少なくとも二つ含む。ホログラムによる識別情報の一つは、目視により確認できる形態の識別情報とされ、他の一つは、目視により確認できる形態とは異なる形態によって記録される。ここで、目視により確認できる形態とは、例えば、シリアル番号に例示されるように、観察者が目視により情報の内容を認識できる形態をいうものとする。また、目視により確認できる形態と異なるとは、例えば、バーコードに例示されるように、情報の確認に機械を必要とすることをいうものとする。目視により確認できる形態で記録された識別情報と、情報の確認に機械を必要とする識別情報とは、互いに関連付けがなされる。以下では、目視により確認できる識別情報を目視読取識別情報と適宜称する。また、情報の確認に機械を必要とする識別情報(目視読取識別情報を除く。)を機械読取識別情報と適宜称する。
【0081】
第1〜第5の実施の形態によれば、製造者や消費者は、ホログラム付き媒体に記録された識別情報により、商品の製造工程や流通過程を追跡したり、商品が真正なものであるかどうかを確認したりすることができる。ホログラムに記録される情報をユニークな識別情報とし、ホログラム付き媒体を追跡システム(track & trace system)として使用するためには、ホログラムに記録されているシリアル番号などの目視読取識別情報が正しく機械読み取りできることが前提となる。言い換えれば、機械読み取りされた目視読取識別情報と、ホログラム付き媒体の観察者が目視により確認した目視読取識別情報との間に食い違いがないことが前提となる。
【0082】
機械読み取りされた目視読取識別情報と、ホログラム付き媒体の観察者が目視により確認した目視読取識別情報との間に食い違いの生じる原因の一つとして、ホログラムから再生させた識別情報を画像認識させる際の誤変換が挙げられる。例えば、光学式文字認識(OCR)の過程では、パターンマッチングや構造解析などにより、登録済のフォントとの類似度合が判断されるが、登録済のフォントとの類似度合によっては、誤変換が起こり得る。
【0083】
したがって、ホログラムに記録される目視読取識別情報が正しく機械読み取りできるかどうか、および機械読み取りされた目視読取識別情報が間違ったものでないかどうかの確認が、ホログラム付き媒体の出荷前に行われていることが好ましい。また、記録されている目視読取識別情報を正しく機械読み取りできないホログラムが発見された場合には、該ホログラムが使用されないように、ホログラム付き媒体の製造工程において、不良品の出荷防止の対策が講じられていることがより好ましい。
【0084】
ここで、ホログラムに記録される識別情報が、機械読取識別情報、例えば、二次元バーコードの形態であると、二次元バーコードにはチェックデジットが設定されているため、読み取られたデータが間違ったデータである確率は低くなる。したがって、二次元バーコードと同様に、ホログラムに記録される目視読取識別情報にチェックデジットを設定することが考えられる。しかしながら、ホログラムに記録される目視読取識別情報が、例えば、シリアル番号のように文字や数字の形態であると、利便性は向上するが、記録できる情報量の制約が大きく、目視読取識別情報にチェックデジットを設定することが困難な場合もある。
【0085】
そこで、第6の実施の形態では、ホログラム付き媒体が、ホログラムによる識別情報を少なくとも二つ含む。ホログラムによる識別情報の一つは、目視読取識別情報とされ、他の一つは、機械読取識別情報とされる。目視読取識別情報および機械読取識別情報は、予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされる。目視読取識別情報と、機械読取識別情報とは、互いに関連付けがなされる。該関連付けとしては、例えば、機械読取識別情報の少なくとも一部が、目視読取識別情報の少なくとも一部と一致するようにされる。ホログラムの持つ目視読取識別情報および機械読取識別情報を所定の再生照明光によって再生させる。再生されたホログラムによる識別情報を、撮像素子などにより撮像する。撮像素子などにより撮像したホログラムによる識別情報に対して文字認識および/または画像認識を行うことにより、目視読取識別情報および機械読取識別情報を読み取る。読み取られた目視読取識別情報と機械読取識別情報との間の照合を行い、読み取られた機械読取識別情報から、読み取られた目視読取識別情報を復元できるかどうかを判定する。該判定により、読み取られた機械読取識別情報から、読み取られた目視読取識別情報を復元できないものと復元できるものとの間の選別を行う。すなわち、目視読取識別情報のチェックデジットの機能を、機械読取識別情報に持たせることにより、ホログラム付き媒体から読み取られる目視読取識別情報が正しいデータであるか否かの判定を行う。したがって、本技術の第6の実施の形態によれば、機械読み取りされた目視読取識別情報と、ホログラム付き媒体の観察者が目視により確認した目視読取識別情報との間に食い違いがないことを保証することができる。また、識別情報が正しく機械読み取りされないホログラムが使用されたホログラム付き媒体の出荷を防止することができ、ホログラム付き媒体を追跡システムとして確実に使用することができる。
【0086】
[ホログラム付き媒体]
図15は、本技術による第6の実施の形態にかかるホログラム付き媒体の一構成例を示す平面図である。図15に示すホログラム付き媒体260の構成例は、少なくとも、二つ以上の識別情報が記録された媒体として、同一のホログラムに目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mを記録した例である。なお、図15では、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mが横に並んだ例を示しているが、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mの配置は、この例に限られない。
【0087】
ホログラム付き媒体260に記録される目視読取識別情報221hとしては、例えば、数字、文字等の羅列を挙げることができ、記号や図形を含むものであってもよい。なお、第1〜第5の実施の形態と同様に、目視読取識別情報221hは、ユニークな識別情報とされる。図15に示す構成例では、目視読取識別情報221hとして、文字列「EFGxY2」がホログラム付き媒体260に記録されている。
【0088】
ホログラム付き媒体260に記録される機械読取識別情報221mとしては、例えば、一次元バーコード、二次元バーコード等を挙げることができる。図15に示す構成例では、機械読取識別情報221mとして、二次元バーコードがホログラム付き媒体260に記録されている。
【0089】
ホログラム付き媒体260に記録される目視読取識別情報221hと機械読取識別情報221mとの間には、関連付けがなされている。例えば、機械読取識別情報221mの少なくとも一部が、目視読取識別情報221hの少なくとも一部と一致するようにされる。具体的には、例えば、機械読取識別情報221mとして記録された二次元バーコードをデコードした情報が数字を表すようにし、その末尾の数字が、目視読取識別情報221hとして記録された文字列「EFGxY2」の末尾の数字と一致するようにされる。そのほか、二次元バーコードをデコードした情報が、文字列「EFGxY2」を含むようにすることもできる。または、計算式等を用いた対応をさせることにより、二次元バーコードをデコードした情報から目視読取識別情報221hの少なくとも一部を復元できるようにするといったことが考えられる。もちろん、目視読取識別情報221hと機械読取識別情報221mとの間の関連付けに、暗号化のプロセスを介在させてもよい。
【0090】
ホログラム付き媒体260に記録される目視読取識別情報221hと機械読取識別情報221mとの間に関連付けがなされているため、ホログラム付き媒体260から所定の再生照明光により再生させた目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mの間の照合が可能である。撮像素子などにより取得させた目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mの間の照合を行い、読み取られた機械読取識別情報221mから、読み取られた目視読取識別情報221hを復元できるかどうかを判定することができる。すなわち、機械読取識別情報221mを目視読取識別情報221hのチェックデジットとして機能させ、ホログラム付き媒体260から読み取られる目視読取識別情報221hが正しいデータであるか否かを判定することができる。
【0091】
したがって、第6の実施の形態によれば、機械読取識別情報221mを目視読取識別情報221hのチェックデジットとして機能させることができるため、ホログラム付き媒体260から読み取られる目視読取識別情報221hが正しいデータであるか否かを判定することができる。また、ホログラム付き媒体260から読み取られる目視読取識別情報221hが正しいデータであるか否かの判定は、ホログラムに記録されたデータのリストが存在しなくても、オフラインで行うことが可能である。
【0092】
なお、第1〜第5の実施の形態により説明したように、ホログラムによる識別情報は、所定の角度から照明した際に所定の角度範囲において付加情報が観察できるようにされる。第6の実施の形態にかかるホログラム付き媒体260は、ホログラムによる識別情報として、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mの二つを含んでいる。ここで、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mが、同一の再生照明光により照射されたときに、同一の角度方向を含む所定の角度範囲において再生するように記録がなされていることが好ましい。なお、再生照明光が同一であるとは、再生照明光の照射方向が同一であることをいい、再生照明光の波長に関しては、必ずしも同一でなくともよい。再生照明光として蛍光体励起型LEDや蛍光灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ、クリプトンランプなど、可視光において様々な波長成分が含まれている光源を用いる場合、必ずしも再生照明光の波長が同一でなくとも、同一の方向から観察、撮像することが可能である。
【0093】
図16および図17は、再生照明光の光源、ホログラム付き媒体および撮像素子の配置の説明に用いる略線図である。図16に示すように、再生照明光231は、例えば、第1〜第5の実施の形態と同様に、専用照明光LED光源211からホログラム付き媒体260に照射される。
【0094】
図16では、再生照明光231を照射したときに目視読取識別情報221hを観察できる範囲を円錐Chとして想定し、円錐Chの軸と同じ方向に沿った矢印を再生光Rhとして模式的に示している。機械読取識別情報221mからの再生光Rmも、同様とする。このとき、例えば、矢印Rh(以下、再生光Rhと記載する。)の方向は、目視読取識別情報221hから再生される光の輝度が最も高くなる角度方向である。図16に示すように、再生光Rhの方向は、ホログラム付き媒体260の面内の角φh、およびホログラム付き媒体260の面から測った角θhの組(φh,θh)により表される。角φhは、ホログラム付き媒体260の面内において、ある方向に沿った直線DLを想定したときの、再生光Rhのホログラム付き媒体260の面内への射影と、直線DLとのなす角である。角θhは、再生光Rhと、再生光Rhのホログラム付き媒体260の面内への射影とのなす角である。
【0095】
ホログラム付き媒体260に対して、ホログラムに記録された識別情報が再生されるのに適した方向から再生照明光231が照射されると、同一の角度方向を含む所定の角度範囲において、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mが再生される。例えば、φh=φmかつθh=θmである。この場合は、同一の再生照明光231を照射することにより、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mを、一つの撮像素子212により一度に撮像することができる。
【0096】
または、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mが、異なる再生照明光により照射されたときに、異なる角度方向を中心とする所定の角度範囲において再生するように記録がなされていてもよい。図17Aに示すように、目視読取識別情報221hが再生されるのに適した方向から、専用照明光LED光源211hからの再生照明光231hが、ホログラム付き媒体260に対して照射される。目視読取識別情報221hは、ある角度方向(φh,θh)を中心とする所定の角度範囲において再生される。また、図17Bに示すように、機械読取識別情報221mが再生されるのに適した方向から、専用照明光LED光源211mからの再生照明光231mが、ホログラム付き媒体260に対して照射される。機械読取識別情報221mは、ある角度方向(φm,θm)を中心とする所定の角度範囲において再生される。この場合は、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mの再生されるそれぞれの角度方向に応じて、撮像素子212h,212mが配置され、再生照明光231hと、再生照明光231mとが異なるタイミングで照射されることになる。したがって、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mのそれぞれを確実に撮像することができる。
【0097】
そのほか、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mが、同一の再生照明光により照射されたときに、異なる角度方向を中心とする所定の角度範囲において再生するように記録がなされていてもよい。例えば、図16に示す場合と同様にして、専用照明光LED光源211から再生照明光231をホログラム付き媒体260に対して照射したときに、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mがともに再生されるようにする。目視読取識別情報221hは、ある角度方向(φh,θh)を中心とする所定の角度範囲において再生され、機械読取識別情報221mは、ある角度方向(φm,θm)を中心とする所定の角度範囲において再生される。このとき、(φh,θh)≠(φh,θh)とされ、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mの再生されるそれぞれの角度方向に応じて、撮像素子212h,212mが配置される。この場合は、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mの再生されるそれぞれの角度方向に応じて、撮像素子を複数配置する必要があるが、一度の照射で目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mを撮像することができる。
【0098】
または、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mが、異なる再生照明光により照射されたときに、同一の角度方向を含む所定の角度範囲において再生するように記録がなされていてもよい。例えば、図17Aに示すように、目視読取識別情報221hが再生されるのに適した方向から、専用照明光LED光源211hからの再生照明光231hが、ホログラム付き媒体260に対して照射される。また、図17Bに示すように、機械読取識別情報221mが再生されるのに適した方向から、専用照明光LED光源211mからの再生照明光231mが、ホログラム付き媒体260に対して照射される。目視読取識別情報221hは、ある角度方向(φh,θh)を中心とする所定の角度範囲において再生される。機械読取識別情報221mは、ある角度方向(φm,θm)を中心とする所定の角度範囲において再生される。このとき、図16に示す場合と同様に、例えば、φh=φmかつθh=θmとされる。この場合は、目視読取識別情報221hを再生させるための再生照明光と、機械読取識別情報221mを再生させるための再生照明光とが異なるタイミングで照射されることになるが、一つの撮像素子で目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mを撮像することができる。
【0099】
再生照明光の照射方向と、目視読取識別情報または機械読取識別情報のそれぞれの再生像との関係は、目視読取識別情報または機械読取識別情報のそれぞれについてのホログラム記録の際の条件により調整が可能である。例えば、ホログラム記録の際の参照光に対して、目視読取識別情報および機械読取識別情報に関する信号光を同一の方向とすれば、同一の再生照明光に対して、目視読取識別情報および機械読取識別情報が、同一の角度方向を含むようにして再生される。
【0100】
[ロール状媒体]
図18は、ホログラムによる目視読取識別情報および機械読取識別情報を含む複数のホログラム付き媒体が、同一のセパレータ上に配置されたロール状媒体の構成例を示す斜視図である。図18に示す例では、複数のホログラム付き媒体260が、長尺状セパレータシート205に粘着剤を介して配置され、ロール状媒体201とされている。図18に示すように、ホログラム付き媒体260を、同一のホログラムに目視読取識別情報および機械読取識別情報が記録されるホログラムシールとして構成してもよい。このとき、ホログラム付き媒体は、例えば、図4に示すホログラムの層構成の例と同様に、粘着剤、ホログラム記録層および保護層が順に積層された構成とされる。
【0101】
[判別装置]
上述したように、第6の実施の形態にかかるホログラム付き媒体によれば、ホログラム付き媒体260から読み取られる目視読取識別情報221hが正しいデータであるか否かを判定することができる。ここで、該判定結果を利用して、目視読取識別情報が正しく機械読み取りできないホログラム付き媒体、言い換えれば、機械読み取りされた機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元することができないホログラム付き媒体の出荷を防止できることが好ましい。
【0102】
図19Aは、機械読み取りされた機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元することができないホログラムと機械読み取りされた機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元することができるホログラムとを分離する判別装置の一構成例を示す略線図である。図19Bは、図19AにおけるA方向からの矢視図である。
【0103】
図19に示すように、判別装置200(二点鎖線で示す。)は、専用照明光LED光源211、撮像素子212、画像認識装置215、データバッファ216、および選別機構制御用コンピュータ202を備えている。また、判別装置200は、選別機構として、剥離用テープ繰り出しロール291、不良品剥離用ローラ292および剥離用テープ巻き取りロール293の組Trを備えている。図示しないが、ロールの組Trは、例えば、ガイド用のレール等の支持材により支持され、ステッピングモータ等の機械的手法により該支持材に沿って往復移動できるようにされる。ロールの組Trの移動方向は、例えば、図19Aに示す不良品剥離プラテンローラ280と不良品剥離用ローラ292とを接近させ、または引き離す方向(図19A中、矢印C方向、または−C方向)である。
【0104】
剥離用テープ繰り出しロール291からは、剥離用テープ290が繰り出されており、剥離用テープ290は、不良品剥離用ローラ292の周面に巻きつけられた後に剥離用テープ巻き取りロール293に巻き取られるようにされている。剥離用テープ290の不良品剥離用ローラ292の周面と接する側とは逆側の表面には、ホログラム222をセパレータ255に配置するための粘着剤よりも剥離強度の大きい粘着剤がシート状に形成されている。
【0105】
次に、判別装置の動作を、図19Aを参照しながら以下に説明する。ホログラムサプライロール1からホログラム222が繰り出されるとともに、セパレータ255が位置出しロール203、不良品剥離プラテンローラ280を経て、選別品巻き取りロール295に巻き取られる。ホログラムサプライロール1としては、例えば、図18に示すロール状媒体201を用いることができるが、連続的にホログラムが供給できるのであれば、シート状など、その他の形態、方法を用いてもよい。
【0106】
セパレータ255とともにホログラムサプライロール1から繰り出されたホログラム222が、不良品剥離プラテンローラ280に到達するまでの間に、ホログラム222に記録された目視読取識別情報および機械読取識別情報の取得が行われる。上述した第1〜第5の実施の形態と同様にして、専用照明光LED光源211から、図示しないコリメータレンズ14を介して、所定の波長、入射角度、ビーム広がり角をもつ再生照明光231がホログラム222に照射される。
【0107】
ここで、例えば、ホログラム222に記録された目視読取識別情報および機械読取識別情報が、同一の再生照明光により照射されたときに、同一の角度方向を含む所定の角度範囲において再生するように記録がなされているとする。このとき、再生照明光231が照射されることにより、ホログラム222から目視読取識別情報および機械読取識別情報がともに再生され、目視読取識別情報の再生光Rhおよび機械読取識別情報の再生光Rmが、結像レンズ13を介して撮像素子212に入射する。撮像素子212に入射した再生光Rh,Rmは、光電変換がなされ、画像認識装置215により、例えば、テキストデータに変換されてデータバッファ216に蓄えられる。なお、画像認識装置215は文字認識の機能も兼ねるものとされ、同一の再生照明光231の一度の照射で、ホログラム222に記録された目視読取識別情報および機械読取識別情報を同時に取得することができる。
【0108】
データバッファ216に蓄えられたデータは、例えば、選別機構制御用コンピュータ202に送られ、選別機構制御用コンピュータ202により、目視読取識別情報と機械読取識別情報との間の照合が行われる。具体的には、目視読取識別情報と機械読取識別情報との間の関連付けに基づき、読み取られた機械読取識別情報から、読み取られた目視読取識別情報を復元できるか否かの判定が行われる。ホログラム222への目視読取識別情報および機械読取識別情報の記録時の不具合や、ちりやほこりがホログラム222に載っているなどの理由により、機械読取識別情報から目視読取識別情報が復元できなかった場合には、そのホログラムは、不良品であると判定される。
【0109】
ホログラムが不良品であると判定されると、ロールの組Trを移動させるためのステッピングモータ等に対して、選別機構制御用コンピュータ202から信号Sが送られる。ステッピングモータ等が信号Sを受け取ると、ロールの組Trが、図19Aに示す矢印Cの方向に沿って移動され、不良品剥離プラテンローラ280と不良品剥離用ローラ292とが近づけられる。
【0110】
セパレータ255に対してホログラム222は軽剥離とされているため、不良品剥離プラテンローラ280と不良品剥離用ローラ292とが接近すると、剥離用テープ290により、不良品と判断されたホログラムがセパレータ255から剥離されて剥離用テープ290に移る。すなわち、不良品と判定されたホログラムが、良品のホログラムの群から分離される。不良品と判定されたホログラムがセパレータ255から剥離されると、剥離用テープ巻き取りロール293の回転が行われ、剥離用テープ290に貼り付けられたホログラムは、剥離用テープ巻き取りロール293に巻き取られる。
【0111】
一方、不良品と判定されなかったホログラムは、セパレータ255とともに選別品巻き取りロール295に巻き取られる。
【0112】
したがって、第6の実施の形態によれば、上述した判別装置により、機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できないと判定されたホログラムを、機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できると判定されたホログラムから分離することができる。すなわち、機械読み取りされた機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元することができないホログラム付き媒体の出荷を防止することができる。
【0113】
「判別装置の変形例」
上述した判別装置の構成例では、ロールの組Trを選別機構として備え、不良品と判定されたホログラムを剥離用テープ290によりセパレータ255から剥離して良品のホログラムの群と分離したが、選別機構をその他の構成としてもよい。例えば、不良品と判定されたホログラムに対して、不良品と判別できるように、印字や穴あけなどを行うようにしてもよい。この場合は、判別装置が、ローラの組Trに替えて、選別機構としてプリンタや打ち抜き型などを備えるようにすればよい。
【0114】
また、上述した判別装置では、機械読取識別情報による目視読取識別情報のチェックデジットの機能を利用し、ホログラム222から読み取られる目視読取識別情報が正しいデータであるか否かの判定をオフラインで行うが、オンラインで判定を行ってもよい。
【0115】
図20は、判別装置の他の構成例を示す略線図である。なお、図20におけるA方向から判別装置を観察したとき構成は、図19Bに示す構成と同様であるので、ここでは図20におけるA方向からの矢視図の図示を省略する。図20に示す判別装置の他の構成例では、判別装置270(二点鎖線で示す。)が、ホログラム222に記録されるデータのリストが登録されたデータベース299との通信を行うデータ送受信部230をさらに備える。図20に示すデータベース299は、例えば、ホログラム222に記録される目視読取識別情報および機械読取識別情報の少なくとも一方についてのデータが登録されるデータベースである。データベース299は、例えば、ホログラム222への目視読取識別情報および機械読取識別情報の記録を行った者(以下、ホログラムの発行者と適宜記載する。)により管理される。
【0116】
図20に示す判別装置270は、まず、ホログラム222から目視読取識別情報および機械読取識別情報の取得を行い、機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できるか否かの判定をオフラインで行う。該判定により、機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できないと判定された場合には、ローラの組Trにより、機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できないと判定されたホログラムがセパレータ255から剥離される。
【0117】
一方、機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できると判定された場合には、判別装置270は、データ送受信部230およびネットワークNWを介して、例えば、データバッファ216に蓄えられた目視読取識別情報に関するデータをデータベース299に照会する。
【0118】
該照会は、例えば、データベース299に登録された機械読取識別情報から、ホログラム222から取得された目視読取識別情報を復元できるか否かを確認するものである。ホログラム222から取得された目視読取識別情報と、データベース299に登録された目視読取識別情報とが一致するかどうかを判定するようにしてもよい。データベース299に登録された機械読取識別情報から、ホログラム222から取得された目視読取識別情報を復元できないとの判定は、実際には存在しない目視読取識別情報の記録されたホログラムが混入していることを意味する。したがって、該照会により、ホログラム222から取得された目視読取識別情報を復元できないとの判定がされると、ロールの組Trを移動させるためステッピングモータ等に対して、選別機構制御用コンピュータ202から信号Sが送られる。すなわち、データベース299に登録された機械読取識別情報から、ホログラム222から取得された目視読取識別情報を復元できないとの判定がされたホログラムが排除される。このとき、排除されたホログラムの目視読取識別情報および機械読取識別情報に関するデータを、データベース299から消去するようにしてもよい。または、当該データに対応するホログラムが排除されたことを、データベース299に追加して登録してもよい。
【0119】
上述したように、図20に示す判別装置270は、ホログラム222から読み取られる目視読取識別情報が正しいデータであるか否かに関して、二段階の判定を行う。さらに、この二段階の判定は、ホログラムの一点一点について行うことが可能である。したがって、発行されたはずの目視読取識別情報が確実にホログラムに記録されていること、および偽造されたホログラムが混入していないことを保証することができる。
【0120】
<7.第7の実施の形態>
上述した第6の実施形態では、機械読取識別情報を目視読取識別情報のチェックデジットとして機能させることにより、ホログラムから読み取られる目視読取識別情報が正しいデータであるか否かの判定を行う。したがって、一点一点のホログラムに対して照合を行い、不良品と判定されたホログラムを排除することができる。
【0121】
ここで、ホログラムに対して別機能材料との貼り合わせを行う場合や、スリットの形成またはハーフカットなどが行われる場合には、その後工程において不具合が発生することも考えられる。後工程において不具合が発生したホログラムを排除するには、一点一点のホログラムに対して照合を行う必要があり、不良品と判定されたホログラムを排除するには、識別情報の記録のインラインで照合を行わない限り、複雑なシステムを構築しなければならない。特に、ホログラムに記録する目視読取識別情報および機械読取識別情報のデータが登録されたデータベースに対して、不良品と判定されたホログラムに関するデータを消去していくには、さらに複雑なシステムを構築しなければならなくなる。
【0122】
そこで、第7の実施の形態では、媒体に記録される二つ以上の識別情報に、ホログラムによる識別情報を少なくとも二つ含む。ホログラムによる識別情報の一つは、目視読取識別情報とされ、他の一つは、機械読取識別情報とされる。目視読取識別情報と、機械読取識別情報とは、互いに関連付けがなされる。ホログラムの持つ目視読取識別情報および機械読取識別情報を所定の再生照明光によって再生させ、撮像素子などにより目視読取識別情報および機械読取識別情報を取得し、目視読取識別情報と機械読取識別情報との間の照合を行う。該照合により、読み取られた機械読取識別情報から、読み取られた目視読取識別情報を復元できるかどうかを判定し、復元できないものと復元できるものとの間の選別を行う。該選別により、読み取られた機械読取識別情報から、読み取られた目視読取識別情報を復元できるホログラムに対して、キャリアとの貼り合わせが行われる。キャリアには、機械読取識別情報または目視読取識別情報と関連付けられる識別情報が記録される。したがって、第7の実施の形態によれば、ホログラムとキャリアとの貼り合わせの直前に、目視読取識別情報と機械読取識別情報との間の照合がインラインで行われるので、不良品と判定されなかったホログラムのみをキャリアと一体とすることができる。
【0123】
図21は、第7の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。なお、図21におけるA方向からホログラム付き媒体製造装置を観察したとき構成は、図19Bに示す構成と同様であるので、ここでは図21におけるA方向からの矢視図の図示を省略する。第7の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置は、概略的には、第1〜第5の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置のいずれかと、第6の実施の形態にかかる判別装置とが一体とされた構成を有している。ここでは、図21に示すように、第1の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置と、第6の実施の形態にかかる判別装置とが一体的に構成された例について説明を行う。
【0124】
すなわち、第7の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置は、第1の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の構成に加えて、選別機構制御用コンピュータ202、図21に破線で示す選別機構TM、および不良品剥離プラテンローラ280を備え、文字認識装置15に替えて、画像認識装置215を備えている。選別機構TMは、剥離用テープ繰り出しロール291、不良品剥離用ローラ292、剥離用テープ巻き取りロール293の組Trを備えている。ロールの組Trは、第6の実施の形態と同様に、不良品剥離プラテンローラ280と不良品剥離用ローラ292とを接近させ、または引き離す方向(図21中、矢印C方向、または−C方向)に移動ができるような態様で支持されている。
【0125】
次に、第7の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の動作を、図21を参照しながら以下に説明する。ホログラムサプライロール1からホログラム222が繰り出されるとともに、セパレータ255が位置出しロール203、不良品剥離プラテンローラ280、剥離プラテンローラ4を経て、巻き取りロール5に巻き取られる。
【0126】
ホログラムサプライロール1から繰り出されるホログラム222は、互いに関連付けがされた目視読取識別情報および機械読取識別情報を含み、必要に応じて、別機能材料との貼り合わせや、スリットの形成またはハーフカットなどが施されている。ホログラムサプライロール1としては、例えば、図18に示すロール状媒体201を用いることができるが、連続的にホログラムが供給できるのであれば、シート状など、その他の形態、方法を用いてもよい。
【0127】
上述の剥離プラテンローラ4は、第1の実施の形態と同様に、ホログラム222がセパレータ255から剥離するのに十分小さい曲率とされ、ホログラム222がセパレータ255から離れて、キャリアサプライロール6から繰り出されるラベル台紙に近づく。セパレータ255から剥離されたホログラム222は、ラベル貼り合わせプラテン7と、圧着ピンチローラ8とにより圧着され、しっかりラベルに貼り合わされる。
【0128】
第7の実施の形態では、ホログラム222とラベルとを一体構成とする貼り合わせの工程に先立って、ホログラム222が不良品剥離プラテンローラ280に到達するまでの間に、ホログラム222に記録された目視読取識別情報および機械読取識別情報の取得が行われる。
【0129】
上述した第1〜第6の実施の形態と同様にして、専用照明光LED光源211から、図示しないコリメータレンズ14を介して、所定の波長、入射角度、ビーム広がり角をもつ再生照明光231がホログラム222に照射される。ホログラム222からの目視読取識別情報の再生光Rhおよび機械読取識別情報の再生光Rmは、結像レンズ13を介して撮像素子212に入射する。撮像素子212に入射した再生光Rh,Rmは、光電変換がなされ、画像認識装置215により、例えば、テキストデータに変換されてデータバッファ216に蓄えられる。
【0130】
データバッファ216に蓄えられたデータは、例えば、選別機構制御用コンピュータ202に送られ、選別機構制御用コンピュータ202により、目視読取識別情報と機械読取識別情報との間の照合が行われる。具体的には、機械読取識別情報から、目視読取識別情報が復元できるかどうかの判定が行われる。機械読取識別情報から目視読取識別情報が復元できなかった場合には、そのホログラムが不良品であると判定され、選別機構TMにより、不良品と判定されたホログラムが、良品のホログラムの群から分離される。不良品と判定されたホログラムがセパレータ255から剥離されると、剥離用テープ巻き取りロール293の回転が行われ、剥離用テープ290に貼り付けられたホログラムは、剥離用テープ巻き取りロール293に巻き取られる。
【0131】
不良品と判定されなかったホログラムは、剥離プラテンローラ4によりセパレータ255から剥離され、ラベルに貼りあわされる。このとき、繰り出し量センサ9が、不良品と判定されなかったホログラムの端部を検出し、不良品と判定されなかったホログラムを、キャリアサプライロール6から供給されるラベルの所定の位置に貼ることができるようになされる。そのため、不良品と判定されたホログラムがセパレータ255から剥離されることにより、不良品と判定されなかったホログラムの間隔が異なっていても問題はない。
【0132】
ホログラムがラベルに貼り合わされた後、プリンタ18により、ホログラム222から取得された目視読取識別情報または機械読取識別情報と関連付けられた情報が、ラベル上に印字される。目視読取識別情報または機械読取識別情報と関連付けられた情報がラベル上に印字されたホログラム付き媒体300は、必要に応じて、カッター19により所定の寸法に裁断される。
【0133】
第7の実施の形態によれば、不良品と判定されなかったホログラムのみをキャリアと一体とすることができるとともに、第1の実施の形態にかかるホログラム付き媒体と同様の効果を得ることができる。
【0134】
「第7の実施の形態の変形例」
ホログラムとキャリアとが貼り合わせられたホログラム付き媒体を追跡システムとして確実に使用するためには、どのような識別情報を持つホログラムがキャリアに貼り付けられたかのデータベースを構築しておくことが望まれる。
【0135】
そこで、データバッファ216に蓄えられたデータからデータベースを構築することが考えられるが、光学式文字認識の過程で誤変換が起こると、間違った識別情報がデータベースに登録されるおそれがある。仮に、光学式文字認識などの機械読み取りの過程において、間違った識別情報がデータベースに登録されてしまったとする。すると、ホログラム付き媒体の観察者が、ホログラムに記録されている識別情報を目視により確認してデータベースに問い合わせても、ホログラム付き媒体が偽物であるとの誤った判定がなされてしまう。ホログラム付き媒体の観察者がホログラムから確認した識別情報が、例えば、データベース上に存在しなかったとしても、問い合わせ対象がデータベース上にないことを、ホログラム付き媒体の観察者が該識別情報のみから判断することは困難である。
【0136】
第7の実施の形態では、ホログラムが目視読取識別情報および機械読取識別情報を含んでいるため、機械読取識別情報を目視読取識別情報のチェックデジットとして機能させることができ、間違った識別情報のデータベースへの登録を防止することができる。したがって、ホログラムから読み取られる目視読取識別情報が正しいデータであるか否かを確認したうえで、どのような識別情報が記録されたホログラムがホログラム付き媒体に使用されたかのデータベースを構築することができる。また、ホログラム付き媒体の観察者が目視により確認した識別情報が、データベースに確実に登録されていることを保証できる。
【0137】
ホログラムから読み取った識別情報とラベルに印字すべき情報とをデータベースに登録するようにしてもよい。この場合、ホログラム付き媒体を製造、供給する側において、ホログラムから読み取った識別情報とラベルに印字すべき情報とに対応がつきさえすればよく、もちろん、その対応は1対1でなくともよい。
【0138】
ホログラムとキャリアとを一体とする直前でデータベースを構築することにより、ホログラムに記録されたデータのリストを不要とできる。言い換えれば、ホログラムの発行者により管理されるデータベースが存在しなくても、ホログラム付き媒体から読み取られる目視読取識別情報が正しいデータであるか否かの判定を、オフラインで行うことができる。
【0139】
<8.第8の実施の形態>
図22は、第8の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例を示す略線図である。なお、図22におけるA方向からホログラム付き媒体製造装置を観察したとき構成は、図19Bに示す構成と同様であるので、ここでは図22におけるA方向からの矢視図の図示を省略する。第8の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置は、概略的には、第1〜第5の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置のいずれかと、第6の実施の形態にかかる判別装置とが一体とされた構成を有している。ここでは、図22に示すように、第2の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置と、第6の実施の形態にかかる判別装置とが一体的に構成された例について説明を行う。
【0140】
図22に示すように、第8の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置は、図21に示す第7の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置と比較して、プリンタ18に替えてRFIDライタ78を備えている点で異なる。また、図22に示すように、第8の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置は、ホログラムの発行者により管理されるデータベース299との通信を行うデータ送受信部230をさらに備える。データベース299には、例えば、ホログラム付き222に記録される目視読取識別情報および機械読取識別情報の少なくとも一方についてのデータが登録されている。なお、ロール状のキャリアサプライロール6からは、ラベルに替えて、例えば、長尺状セパレータシートに支持されたRFタグ、例えば、非接触ICカード等が連続的に供給される。
【0141】
第8の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の動作は、概略的には、データバッファ216に蓄えられている情報のラベルへの印字に替えて、RFタグへの情報の書き込みがされる点が異なるだけであるので、詳細については省略する。ただし、第8の実施の形態にかかるホログラム付き媒体製造装置の一構成例では、上述した判別装置の変形例と同様に、ホログラム222から読み取られる目視読取識別情報が正しいデータであるか否かに関して、二段階の判定を行う。
【0142】
ホログラム付き媒体製造装置は、ホログラム222から目視読取識別情報および機械読取識別情報の取得を行い、まず、機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できるか否かの判定をオフラインで行う。該判定により、機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できないと判定された場合には、ローラの組Trにより、当該ホログラムをセパレータ255から剥離する。次に、ホログラム222から読み取られる目視読取識別情報が正しいデータであるか否かの判定をオンラインで判定を行う。すなわち、機械読取識別情報から目視読取識別情報を復元できると判定された場合には、ホログラム付き媒体製造装置は、データ送受信部230およびネットワークNWを介して、データバッファ216に蓄えられたデータをデータベース299に照会する。該照会により、例えば、データベース299に登録された機械読取識別情報から、ホログラム222から取得された目視読取識別情報を復元できないと判定された場合には、ローラの組Trにより、当該ホログラムをセパレータ255から剥離する。
【0143】
不良品と判定されなかったホログラムは、剥離プラテンローラ4によりセパレータから剥離されてRFタグと貼り合わされ、ホログラム222から取得された目視読取識別情報または機械読取識別情報と関連付けられた情報が、RFタグに書き込まれる。図23に、第8の実施の形態にかかるホログラム付き媒体の構成例を示す。図23に示す構成例では、目視読取識別情報221hおよび機械読取識別情報221mがホログラム記録されたホログラム222が、非接触ICカード391に貼り合わされて一体構成とされている。図23に示す例では、目視読取識別情報221hと機械読取識別情報221mとは、互いに関連付けがなされており、機械読取識別情報221mが目視読取識別情報221hのチェックデジットとして機能する。また、RFタグ382には、例えば、ホログラム222に記録された目視読取識別情報221hまたは機械読取識別情報221mに関連付けられた情報が書き込まれる。したがって、ホログラム付き媒体310を、ホログラム222に記録された目視読取識別情報221hまたは機械読取識別情報221m、およびRFタグ382に書き込まれた情報を組み合わせた媒体として使用することができる。
【0144】
第8の実施の形態によれば、不良品と判定されなかったホログラムのみをキャリアと一体とすることができるとともに、第2の実施の形態にかかるホログラム付き媒体と同様の効果を得ることができる。さらに、ホログラムの発行者に管理されるデータベース299に対して、ホログラム付き媒体から読み取られた識別情報の照会が行われるため、ホログラムに記録されるべき情報とホログラムに記録された情報との間に食い違いがないことを保証することができる。したがって、ホログラム付き媒体の観察者が目視により確認した識別情報が、ホログラムの発行者に管理されるデータベース299に確実に登録されていることを保証でき、ホログラム付き媒体を追跡システムとして確実に使用することができる。
【0145】
「第8の実施の形態の変形例」
第7の実施の形態の変形例と同様に、データバッファ216に蓄えられたデータからデータベースを構築するようにしてもよい。この場合も、どのような識別情報を持つホログラムがキャリアに貼り付けられたかを、ホログラム付き媒体を製造、供給する側においてデータベースにより管理することが可能となる。
【0146】
<9.変形例>
以上、本技術を適用した具体的な実施の形態について説明してきたが、本技術は、これに限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく種々の変形が可能である。例えば、上述した実施の形態を、互いに組み合わせた形態としてもよい。なお、図24−図35に、本技術の実施の形態、実施の形態の変形例の概略図を示す。
【0147】
ホログラムの層構成は図4のような形態に限られず、保護層は複層または無くともよく、粘着剤には種々のものを使用することができる。ホログラムは、体積型に関わらず、エンボス型等様々な種類に適用できる。もちろん、ホログラムとキャリアの供給元が異なっていてもよい。
【0148】
ホログラムに付加情報として記録される識別情報としては、ユニークなものであれば数字の配列に限定されることはなく、種々の情報を利用してよい。例えば、シリアル番号、製造者名、ロット番号、バイオメトリクス情報等の種々の情報を記録できる。記録の形態も、文字、記号、図形、これらの結合に限らず、一次元バーコード、二次元バーコード等の識別情報以外の画像情報を記録することもできる。ホログラムに文字以外の識別情報が記録されている場合には、ホログラム付き媒体製造装置が、文字認識装置15に替えて画像認識の手段を備えるようにすればよい。さらに、2以上の付加情報を記録するようにしてもよい。
【0149】
ホログラムを照明するための光源は、LEDに限らず、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、または外光から開口部や光ファイバーによって導光されたものでもよい。撮像素子はCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等に代表されるものが使えるが、これに限らない。ホログラムを読み取るための光源、所定の位置からの撮像角度を規定していることが重要である。
【0150】
ホログラムとキャリアとの一体化は、粘着剤による接着に限らず、ホットメルト材や接着剤、UV硬化樹脂、ラミネーションフィルムによる加熱封止加工等様々な種類を適用できる。
【0151】
また、キャリアとしては、第3の実施の形態の変形例のように、RFIDのみならず、記録媒体とホログラムを組み合わせてもよい。例えば、磁気記録、光記録、光磁気記録、接触型IC、非接触IC等、その他の機械読み取りできる記録媒体を使用してもよい。機械読み取りができるという点で、ホログラフィックメモリを組み合わせてもよい。または、フラッシュメモリのように、内部に固有のID情報を有する記録媒体を使用または組み合わせてもよい。これらに複数種類の情報を記録させてもよい。もちろん、ホログラムと一体構成とされる媒体としては、上に挙げたような記録媒体に限定されない。すなわち、ホログラムと一体構成とされる媒体としては識別情報を有していればよく、必ずしも記録媒体と組み合わせなければならないというわけではない。
【0152】
本技術は、非接触ICカード、IDカード、銀行カード、クレジットカード、社員証、学生証、定期券、運転免許証、外国旅券、ビザ、証券、通帳、印紙、切手、携帯電話、貨幣等にも応用することができる。
【0153】
<10.付加情報を記録したホログラム>
以下に、本出願の発明者らが先に提案した画像記録媒体について説明する。該画像記録媒体は、所定の角度から照明した際に所定の角度範囲において付加情報が観察できるようにされた画像記録媒体である。
【0154】
「ホログラフィックステレオグラム作成システム」
該画像記録媒体に関する複製装置および複製方法の説明に先立ち、被複製ホログラム原版の作成について説明する。一般的に、異なる視点から見た被写体の2次元画像を原画として、3次元画像を再生するホログラムを合成することが可能である。ホログラフィックステレオグラムは、例えば、被写体を異なる観察点から順次撮影することにより得られた多数の画像を原画として、これらを1枚のホログラム用記録媒体に短冊状の要素ホログラムとして順次記録することにより作成される。
【0155】
短冊状の要素ホログラムを順次記録する場合には、水平方向のみに視差を持つHPO(Horizontal Parallax Only)ホログラフィックステレオグラムが作成される。HPO型は
、プリントにかかる時間が短く、高画質記録が実現できる。一方、水平方向のみならず、上下の視差も持たせてより自然な立体感を記録したいという要求は多くあった。また、これまでクレジットカードの偽造防止目的に使われてきたエンボス型という方式は既に簡単に偽造できてしまっており、より高度な体積型記録媒体が取って代わりつつある。体積型記録媒体を使えば、エンボス型では原理的に表現できない上下方向視差も記録できるため、記録方式において上下視差も入れて偽造防止効果をさらに強固なものにすることが望まれていた。
【0156】
水平方向および垂直方向の両方向に視差を持つFP(Full Parallax)型のホログラフィックステレオグラムは、従来では、球面レンズの組み合わせで光学系を組む構成とされていた。本出願の発明者は、先に、従来のFP型ホログラムの作成方法の問題点を解決できる画像記録装置を提案している。かかる画像記録装置は、水平視差を持った要素ホログラムを記録する光学系、機構部、制御部を使用して、上下視差と水平視差と独立の視差数をもつ高画質なフルパララックスのホログラフィックステレオグラムを得ることができる。これにより、ドット状のフルパララックスに比べて、高速で、かつ、要素ホログラム形状が目立たない高画質を達成することができる。
【0157】
まず、ホログラフィックステレオグラムを作成するホログラフィックステレオグラム作成システムの一構成例について説明する。以下、短冊状の複数の要素ホログラムを1つの記録媒体上に記録することにより、水平方向の視差情報を持たせたホログラフィックステレオグラムを構成するための装置について説明する。
【0158】
このホログラフィックステレオグラム作成システムは、物体光と参照光との干渉縞が記録されたホログラム記録媒体をそのままホログラフィックステレオグラムとする、いわゆるワンステップホログラフィックステレオグラムを作成するシステムである。図36に示すように、記録対象の画像データの処理を行うデータ処理部601と、このシステム全体の制御を行う制御用コンピュータ602と、ホログラフィックステレオグラム作成用の光学系を有するホログラフィックステレオグラムプリンタ装置603とから構成されている。
【0159】
データ処理部601は、多眼式カメラや移動式カメラ等を備えた視差画像列撮影装置613から供給される視差情報を含む複数の画像データD1に基づいて、視差画像列D3を生成する。他のデータとして、画像データ生成用コンピュータ614によって生成された視差情報を含む複数の画像データD2に基づいて、視差画像列D3を生成する。
【0160】
ここで、視差画像列撮影装置613から供給される視差情報を含む複数の画像データD1は、複数画像分の画像データである。かかる画像データは、例えば、多眼式カメラによる同時撮影、または移動式カメラによる連続撮影等によって、実物体を水平方向の異なる複数の観察点から撮影することにより得られる。
【0161】
また、画像データ生成用コンピュータ614によって視差情報を含む複数の画像データD2が生成される。画像データD2は、例えば、水平方向に順次視差を与えて作成された複数のCAD(Computer Aided Design)画像やCG(Computer Graphics)画像等の画像データである。
【0162】
そして、データ処理部601は、視差画像列D3に対して画像処理用コンピュータ611によってホログラフィックステレオグラム用の所定の画像処理を施す。そして、所定の画像処理が施された画像データD4を、メモリまたはハードディスク等の記憶装置612に記録する。
【0163】
また、データ処理部601は、ホログラム用記録媒体に画像を記録する際に、記憶装置612に記録された画像データD4から、1画像分毎にデータを順番に読み出し、この画像データD5を制御用コンピュータ602に送出する。
【0164】
一方、制御用コンピュータ602は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置603を駆動する。データ処理部601から供給された画像データD5に基づく画像がホログラフィックステレオグラムプリンタ装置603内にセットされたホログラム用記録媒体630に、短冊状の要素ホログラムとして順次記録される。
【0165】
このとき、制御用コンピュータ602は、後述するように、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置603に設けられたシャッタ632、表示装置641および記録媒体送り機構等の制御を行う。すなわち、制御用コンピュータ602は、シャッタ632に制御信号S1を送出してシャッタ632の開閉を制御する。また、表示装置641に画像データD5を供給して表示装置641に当該画像データD5に基づく画像を表示させる。さらに、記録媒体送り機構に制御信号S2を送出して記録媒体送り機構によるホログラム用記録媒体630の送り動作を制御する。
【0166】
画像処理は、図37に示すように、視差情報を含む複数の画像データD1のそれぞれを視差方向、すなわち、横(幅)方向にスリット状に分割し、分割後のスライスを寄せ集めて処理後の画像D5を再構成するものである。この画像D5が表示装置641に表示される。
【0167】
上述したホログラフィックステレオグラムプリンタ装置603の光学系について、図38を参照してより詳細に説明する。なお、図38Aは、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置603全体の光学系を上方から見た図であり、図38Bは、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置603全体の光学系を横から見た図である。
【0168】
「ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置」
ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置603は、図38に示すように、所定の波長のレーザ光を出射するレーザ光源631と、レーザ光源631からのレーザ光L1の光軸上に配されたシャッタ632、ミラー638およびハーフミラー633とを備えている。ここで、レーザ光源631には、例えば、波長が約532nmのレーザ光を出射するものを用いる。
【0169】
シャッタ632は、制御用コンピュータ602によって制御され、ホログラム記録媒体630を露光しないときには閉じられ、ホログラム記録媒体630を露光するときに開放される。また、ハーフミラー633は、シャッタ632を通過してきたレーザ光L2を、参照光と物体光とに分離するためのものであり、ハーフミラー633によって反射された光L3が参照光となり、ハーフミラー633を透過した光L4が物体光となる。
【0170】
なお、この光学系において、ハーフミラー633によって反射され、ホログラム記録媒体630に入射する参照光の光路長と、ハーフミラー633を透過しホログラム記録媒体630に入射する物体光の光路長とは、ほぼ同じ長さとする。これにより、参照光と物体光との干渉性が高まり、より鮮明な再生像が得られるホログラフィックステレオグラムを作成することが可能となる。
【0171】
ハーフミラー633によって反射された光L3の光軸上には、参照光用の光学系として、シリンドリカルレンズ634と、参照光を平行光とするためのコリメータレンズ635と、コリメータレンズ635からの平行光を反射する反射ミラー636とがこの順に配置されている。
【0172】
そして、ハーフミラー633によって反射された光は、まず、シリンドリカルレンズ634によって発散光とされる。次に、コリメータレンズ635によって平行光とされる。その後、反射ミラー636によって反射され、ホログラム記録媒体630の裏面側に入射する。
【0173】
一方、ハーフミラー633を透過した光L4の光軸上には、物体光用の光学系が設けられる。光学系として、ハーフミラー633からの透過光を反射する反射ミラー638、凸レンズとピンホールを組み合わせたスペーシャルフィルタ639、物体光を平行光とするためのコリメータレンズ640が使用される。さらに、記録対象の画像を表示する表示装置641、表示装置641を透過してきた光を要素ホログラムの幅方向に拡散させる一次元拡散板642が使用される。さらに、一次元拡散板642を透過した物体光をホログラム記録媒体630上に集光するシリンドリカルレンズ643、一次元拡散機能をもつ光学機能板645が使用される。
【0174】
シリンドリカルレンズ643が第1の視差方向(要素ホログラム短手方向または観察時水平方向)に物体光を集光する。
【0175】
光学機能板645は、集光された物体光を短冊状の要素ホログラムの長手方向に一次元的に拡散するもので、長手方向での視点の移動に対応するためのものである。光学機能板645は、微細な構造体であり、例えばピッチが微細なレンチキュラーレンズを光学機能板645として使用することができる。
【0176】
そして、ハーフミラー633を透過した光L4は、反射ミラー638によって反射された後、スペーシャルフィルタ639によって点光源からの発散光とされる。次に、コリメータレンズ640によって平行光とされ、その後、表示装置641に入射する。ここで、スペーシャルフィルタ639には、20倍の対物レンズと直径20μmのピンホールを用いた。また、コリメータレンズ640の焦点距離は100mmとした。
【0177】
表示装置641は、例えば液晶ディスプレイからなる投影型の画像表示装置であり、制御用コンピュータ602によって制御され、制御用コンピュータ602から送られた画像データD5に基づく画像を表示する。本例では、画素数480×1068、大きさ16.8mm×29.9mmの白黒液晶パネルを用いた。
【0178】
そして、表示装置641を透過した光は、表示装置641に表示された画像によって変調された光となり、一次元拡散板642によって拡散される。一次元拡散板642は、表示装置641の近傍に配置すればよく、表示装置641の直前、あるいは直後に配置される。本例では、表示装置641の直後に配置した。
【0179】
ここで、一次元拡散板642は、表示装置641からの透過光を要素ホログラム幅方向に若干拡散させることにより、要素ホログラム内に光を分散させることで、作成されるホログラフィックステレオグラムの画質の向上に寄与する。
【0180】
このとき、拡散板642には、拡散板移動手段(図示は省略する)を設け、各要素ホログラムを形成する毎にこれをランダムに移動し、その位置を要素ホログラム毎に変えるようにする。これにより、ホログラムを観察したときに無限遠に定位するノイズを低減することができる。
【0181】
拡散板642の移動のための拡散板移動手段としては、ステッピングモータ等の機械的手法によって拡散板642を一定量ずつ移動する移動機構等が採用できる。この構成による拡散板642の移動方向は、要素ホログラムの幅方向(図38B中、矢印X方向)であってもよいし、これとは直交する方向(図38A中、矢印Y方向)であってもよい。さらには、これらを組み合わせてもよいし、全くのランダムに移動してもよい。往復動とすることも可能である。
【0182】
このように、拡散板642を配置することで、要素ホログラムの幅内が一様に露光される。そのため、得られるホログラムの画質が向上する。しかしながら、一様な露光を実現しようとすると、拡散板642の拡散をある程度強くする必要がある。拡散板642により拡散された物体光は、ホログラム記録媒体630上で広がりを持ち、本来の要素ホログラムの幅よりも広い範囲を露光してしまうことになる。
【0183】
そこで、光路中に、図39に示すように、マスク644を配置し、その像を記録材料上に投影することにより、各要素ホログラムが適正な幅で露光されるようにする。すなわち、拡散板642による拡散と、マスク644による不要光の遮蔽によって、一様で適正な露光幅が得られるようにする。マスクの位置は、図39Aおよび図39Bに示すように、拡散板642とシリンドリカルレンズ643との間に設けてもよいし、ホログラム記録媒体630に近接させてもよい。
【0184】
すなわち、表示装置641からの透過光は、拡散板642を透過して要素ホログラムの幅方向に拡散された後、シリンドリカルレンズ643によりホログラム記録媒体630上に集束される。このとき、拡散板642の影響により、物体光は1点には集光せず、ある範囲に広がる。
【0185】
図39に示すように、この広がった集束光のうち、中心部の所定範囲だけをマスク644の開口部644aを透過させ、物体光としてホログラム記録媒体630に入射する。物体光の形状は短冊状である。
【0186】
上述したように、光学機能板645が第2の拡散板として配置されており、物体光は、短冊状の要素ホログラムの長手方向に一次元的に拡散され、ホログラム記録媒体630に照射される。これにより、反射型ホログラムの縦方向(垂直方向)の視野角を広げることができる。
【0187】
通常の水平方向のみに視差を持つホログラフィックステレオグラムでは、この光学機能板645は、最終ホログラフィックステレオグラムの上下方向視野角とほぼ同等の光学機能角を持たせる。一方、該記録媒体においては、この一次元拡散角を敢えて狭くし、後述する別の識別情報とのオーバーラップは避けるようにしている。
【0188】
ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置603は、制御用コンピュータ602の制御のもとに、ホログラム記録媒体630を1要素ホログラム分だけ間欠送りし得る記録媒体送り機構650を備えている。この記録媒体送り機構650は、後述するように、制御用コンピュータ602からの制御信号に基づいて、フィルム状のホログラム記録媒体を間欠送りし得るようになっている。そして、プリンタ装置603でホログラフィックステレオグラムを作成する際は、記録媒体送り機構650にセットされたホログラム記録媒体630に対して、視差画像列の各画像データに基づく画像を短冊状の要素ホログラムとして順次記録する。
【0189】
「ホログラム記録媒体の一例」
ここで、上述したホログラフィックステレオグラム作成システムにおいて使用されるホログラム記録媒体630について、詳細に説明する。このホログラム記録媒体630は、図40に示すように、テープ状に形成されたフィルムベース材630a上に光重合型フォトポリマからなるフォトポリマ層630bが形成される。さらに、当該フォトポリマ層630b上にカバーシート630cが被着されることにより形成された、いわゆるフィルム塗布タイプの記録媒体である。
【0190】
光重合型フォトポリマは、初期状態では、図41Aに示すように、モノマMがマトリクスポリマに均一に分散している。これに対して、図41Bに示すように、10〜400mJ/cm2 程度のパワーの光LAを照射すると、露光部においてモノマMが重合する。そして、ポリマ化するにつれて周囲からモノマMが移動してモノマMの濃度が場所によって変化し、これにより、屈折率変調が生じる。この後、図41Cに示すように、1000mJ/cm2 程度のパワーの紫外線または可視光LBを全面に照射することにより、モノマMの重合が完了する。このように、光重合型フォトポリマは、入射された光に応じて屈折率が変化するので、参照光と物体光との干渉によって生じる干渉縞を、屈折率の変化として記録することができる。
【0191】
このような光重合型フォトポリマを用いたホログラム記録媒体630は、露光後に特別な現像処理を施す必要が無い。したがって、光重合型フォトポリマを感光部に用いたホログラム記録媒体630を使用するホログラフィックステレオグラムプリンタ装置603は、構成を簡略化することができる。
【0192】
「記録媒体送り機構」
次に、記録媒体送り機構650について、詳細に説明する。図42は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置603の記録媒体送り機構650の部分を拡大した図である。
【0193】
図42に示すように、記録媒体送り機構650は、ローラ651と、間欠送り用ローラ652とを備えており、ホログラム記録媒体630は、ローラ651に巻き付けられた状態でフィルムカートリッジ653内に収納されている。そして、この記録媒体送り機構650は、所定位置に装填されたフィルムカートリッジ653内のローラ651を所定のトルクをもって回転自在に軸支する。さらに、当該フィルムカートリッジ653から引き出されたホログラム記録媒体630は、ローラ651と間欠送り用ローラ652とで保持し得るようになされている。このとき、記録媒体送り機構650は、ホログラム用記録媒体630の主面が、ローラ651と間欠送り用ローラ652と間において物体光に対してほぼ垂直とされる。そのため、ホログラム記録媒体630を保持する。また、ローラ651および間欠送り用ローラ652は、トーションコイルばねにより互いに離反する方向に付勢されている。これにより、ローラ651と間欠送り用ローラ652との間に掛け渡されるようにローディングされたホログラム用記録媒体630に対して、所定のテンションが付与される。
【0194】
記録媒体送り機構650の間欠送り用ローラ652は、図示しないステッピングモータに接続されており、当該ステッピングモータからの回転力に基づいて、図中矢印A1で示す方向に自在に回転し得るようになされている。このステッピングモータは、制御用コンピュータ602から供給される制御信号S2に基づいて、1画像分の露光終了毎に1要素ホログラムに対応した所定角度だけ、間欠送り用ローラ652を順次回転させる。これにより、ホログラム記録媒体630は、1画像分の露光毎に1要素ホログラム分だけ送られることとなる。
【0195】
また、ホログラム記録媒体630の進路のうち間欠送り用ローラ652の後段には、当該進路に沿って紫外線ランプ654が配設されている。この紫外線ランプ654は、露光されたホログラム記録媒体630のモノマMの重合を完了させるためのものであり、間欠送り用ローラ652によって送られてきたホログラム記録媒体630に対して、所定パワーの紫外線UVを照射し得るようになされている。
【0196】
さらに、ホログラム記録媒体630の進路のうち紫外線ランプ654の後段には、回転自在に軸支されたヒートローラ655と、一対の排出用送りローラ656,657と、カッター658とが順次配設されている。
【0197】
ここで、排出用送りローラ656,657は、ホログラム記録媒体630のカバーシート630c側がヒートローラ655の周側面に約半周にわたって密着した状態に巻きつくように、ホログラム記録媒体630を送るようになされている。この排出用送りローラ656,657は、図示しないステッピングモータに接続されており、当該ステッピングモータからの回転力に基づいて回転し得るようになされている。このステッピングモータは、制御用コンピュータ602から供給される制御信号S2に基づいて回転される。すなわち、1画像分の露光終了毎に1要素ホログラムに対応した所定角度だけ、間欠送り用ローラ652の回転と同期して、排出用送りローラ656,657が順次回転する。これにより、ホログラム記録媒体630は、間欠送り用ローラ652と排出用送りローラ656,657と間において弛むことなく、確実にヒートローラ655の周側面に密着した状態で送られることとなる。
【0198】
ヒートローラ655は、内部にヒータ等の発熱手段を備えており、この発熱手段により、その周側面が約120℃程度の温度を保ち得るようになされている。そして、このヒートローラ655は、送られてきたホログラム記録媒体630のフォトポリマ層630bをカバーシート630cを介して加熱する。この加熱により、フォトポリマ層630bの屈折率変調度を増加させ、ホログラム記録媒体630に記録画像を定着させる。このため、ヒートローラ655は、その周側面にホログラム記録媒体630が当接し始めてから離れるまでに記録画像が定着し得る程度の時間がかかるようにその外径が選定されている。
【0199】
また、カッター658は、図示しないカッター駆動機構を備えており、このカッター駆動機構を駆動することにより、送られてきたホログラム記録媒体630を切断し得るようになされている。このカッター駆動機構は、カッター658を駆動させる。すなわち、記録媒体630に視差画像列の各画像データに基づく各画像が全て記録された後、当該記録媒体630の画像が記録された全ての部分が排出された段階で、カッター658が駆動される。これにより、画像データが記録された部分が他の部分から切り離され、1枚のホログラフィックステレオグラムとして外部に排出される。
【0200】
「ホログラフィックステレオグラム作成システムの動作」
以上のような構成を有するホログラフィックステレオグラム作成システムにおいて制御用コンピュータ602の制御の下でホログラフィックステレオグラムを作成する際の動作について図43のフローチャートを参照して説明する。
【0201】
ステップST1では、ホログラム記録媒体630が初期位置とされる。ステップST2がループの開始端のステップであり、ステップST7がループの終了端のステップである。ステップST3〜ステップST6の一連の処理が実行される毎に、要素ホログラムの1本の処理が終了され、全ての要素ホログラムの本数(n)が終了するまで、ST3〜ST6が繰り返される。
【0202】
ステップST3において、制御用コンピュータ602は、データ処理部601から供給された画像データD5に基づいて表示装置641を駆動して、表示装置641に画像を表示させる。ステップST4において、制御用コンピュータ602は、シャッタ632に制御信号S1を送出して所定時間だけシャッタ632を開放させ、ホログラム記録媒体630を露光する。このとき、レーザ光源631から出射されシャッタ632を透過したレーザ光L2のうち、ハーフミラー633によって反射された光L3が、参照光として、ホログラム記録媒体630に入射する。同時に、ハーフミラー633を透過した光L4が、表示装置641に表示された画像が投影された投影光となり、当該投影光が物体光としてホログラム記録媒体630に入射する。これにより、表示装置641に表示された1画像が、ホログラム記録媒体630に短冊状の要素ホログラムとして記録される。
【0203】
そして、1画像の記録が終了すると、ステップST5において、制御用コンピュータ602は、間欠送り用ローラ652を駆動するステッピングモータと、排出用送りローラ656,657を駆動するステッピングモータに制御信号S2を送出する。ステッピングモータを駆動することにより、ホログラム記録媒体630を1要素ホログラム分だけ送らせる。ホログラム記録媒体630を送った後は、振動が減衰するのを待つ時間が設けられる(ステップST6)。
【0204】
次いで、ステップST3に処理が戻り、制御用コンピュータ602がデータ処理部601から供給される次の画像データD5に基づいて表示装置641を駆動して、次の画像を表示装置641に表示させる。この後、上述と同様の動作(ST4,ST5,ST6)を順次繰り返すことにより、データ処理部601から供給される各画像データD5に基づく各画像が、ホログラム記録媒体630に短冊状の要素ホログラムとして順次記録される。
【0205】
すなわち、このホログラフィックステレオグラム作成システムでは、記憶装置612に記録された画像データに基づく画像が表示装置641に順次表示される。これとともに、各画像毎にシャッタ632が開放され、各画像がそれぞれ短冊状の要素ホログラムとしてホログラム記録媒体630に順次記録される。このとき、ホログラム記録媒体630は、1画像毎に1要素ホログラム分だけ送られるので、各要素ホログラムは、観察時の水平方向(横方向)に連続して並ぶこととなる。これにより、水平方向の視差情報の画像が、横方向に連続した複数の要素ホログラムとしてホログラム用記録媒体630に記録される。このようにして水平方向の視差を有するホログラフィックステレオグラムが得られる。
【0206】
以上、露光過程までを説明したが、その後、必要に応じて後処理(ステップST8)が行われ、プリント工程が完了する。紫外線照射、および、加熱が必要なフォトポリマーの場合、図42に示すような装置構成とすることができる。すなわち、紫外線ランプ654から紫外線UVが照射される。これにより、モノマMの重合が完了する。次いで、ホログラム記録媒体630は、ヒートローラ655により加熱され、これにより、記録画像の定着がなされる。
【0207】
そして、画像が記録された部分が全て外部に送り出されると、制御用コンピュータ602は、カッター駆動機構に制御信号S2を供給して、カッター駆動機構を駆動する。これにより、ホログラム記録媒体630のうち、画像が記録された部分がカッター658によってから切り離され、1枚のホログラフィックステレオグラムとして外部に排出される。
以上の工程により、水平方向の視差を有するホログラフィックステレオグラムが完成する。
【0208】
「複製装置の構成」
図44に示すように、該画像記録媒体に関する第1の実施の形態が構成される。レーザ光源700からのレーザ光が1/2波長板701を介して偏光ビームスプリッタ702に入射される。1/2波長板701は、レーザ光の偏光面を90°回転させる。偏光ビームスプリッタ702によってレーザ光(S偏光)が反射され、レーザ光が空間フィルタ703によって拡大される。空間フィルタ703からのレーザ光(すなわち、参照光)がコリメーションレンズ704に入射される。コリメーションレンズ704によって平行光とされたレーザ光が感光性材料の層を有するホログラム記録媒体705およびホログラム原版706に照射される。
【0209】
ホログラム原版706は、上述したように作成され、観察時に水平方向および垂直方向の両方向に視差を有するホログラフィックステレオグラムである。水平方向の視差のみを有するホログラフィックステレオグラムであってもよい。また、被写体にレーザ光を照射して制作された実写ホログラムであってもよい。ホログラム記録媒体705およびホログラム原版706は、直接密着されるか、屈折率調整液(インデックスマッチング液と称される)を介して密着される。ホログラム記録媒体705には、ホログラム原版706によって回折した光と参照光とによって形成される干渉縞、ならびに付加情報光と参照光とによる干渉縞が記録される。
【0210】
偏光ビームスプリッタ702を通過したレーザ光(P偏光)がミラー707で反射されて空間フィルタ708に入射される。空間フィルタ708によって拡大されたレーザ光がコリメーションレンズ709によって平行光とされ、ミラー710に入射される。
【0211】
ミラー710によって反射されたレーザ光が拡散板711を介して空間光変調素子としての液晶パネル712に入射される。拡散板711は、ミラー710からのレーザ光を要素ホログラム幅方向および長手方向の少なくとも一方に拡散させることによって、複製されるホログラフィックステレオグラムの視野角を広げる。拡散板711によって拡散されたレーザ光は、絞り(マスク)715によって絞られ、観察時の正面においてのみ視野角が広くされる。
【0212】
液晶パネル712に対しては、図示しないが、液晶駆動部例えばマイクロコンピュータが接続されている。液晶駆動部によって、液晶パネル712上に付加情報の画像が表示される。付加情報としては、ホログラムの各々に対するユニークな番号(シリアル番号)のような識別情報が使用される。液晶表示パネル712の出射面に偏光板713が設けられている。偏光板713によって偏光面が回転され、P波がS波とされる。
【0213】
液晶表示パネル712によって発生し、偏光板713を介された付加情報光が投影レンズ714、絞り715および投影レンズ716からなる結像光学系を介してホログラム原版706に入射される。ホログラム記録媒体705には、ホログラム原版706によって回折した光およびホログラム原版706を通過した付加情報光が重畳された光と、入射レーザ光とによって形成される干渉縞が記録される。したがって、ホログラム原版706のホログラム領域内に付加情報を記録することができる。なお、ミラー710からホログラム記録媒体705に至る光学経路に配される光学素子は、レール等の支持部材によって所定の位置に取り付けられている。
【0214】
「視野角について」
ホログラム記録媒体705に対する記録と、記録されたホログラム記録媒体705を再生する際の視野角との一般的関係について、図45を参照して説明する。図45Aに示すように、記録時には、ホログラム記録媒体705’に対して参照光760が入射角θ1で入射され、ホログラム記録媒体705’の反対側から物体光761が入射角θ2で入射される。物体光761と参照光760とで形成される干渉縞がホログラム記録媒体705’に記録される。
【0215】
このように記録されたホログラム記録媒体705’に対して、図45Bに示すように、入射角θ1でもって照明光770を照射すると、ホログラム記録媒体705’によって出射角θ2でもって物体光(再生光)771が出射される。したがって、物体光771の延長方向の視点から物体光を見ることができる。
【0216】
該画像記録媒体の一実施の形態では、図44に示すように、参照光が入射角θ1でホログラム記録媒体705に入射され、付加情報光がホログラム記録媒体705に対して、入射角θ2で入射され、付加情報光が液晶パネル712に近接した拡散板711と絞り715により±θ3の拡散角を有している。再生時には、図46に示すように、複製済みのホログラム記録媒体705に対して、入射角θ1で参照光772を入射する。ホログラム記録媒体705によって再生された付加情報光773は、出射角θ2を中心として±θ3の広がりを持つ。すなわち、付加情報は、出射角θ2を中心として±θ3の範囲に視点がある場合のみ見ることができることを意味する。このとき、拡散角±θ3の大きさは、近接拡散板の仕様により自由に変えられるが、一般的にある中心分で強度が最大となり、徐々に漸減する強度分布を以って再生されるようになるようにすることにより、2ステップ方式で記録された切り替え型ホログラムとは異なった見え方を実現することができるようになる。
【0217】
該画像記録媒体に関する一実施の形態では、付加情報光の光軸がホログラム記録媒体705に対してなす入射角θ2によって、複製後のホログラム記録媒体705を再生した時に、付加情報画像を見ることができる視点の中心角度を設定できる。さらに、投影レンズ714、716および絞り715からなる結像光学系によって付加情報光の光束の広がりを制御することによって、再生時の付加情報画像の見える視点の範囲を設定することができる。
【0218】
したがって、該画像記録媒体に関する一実施の形態の複製装置により複製されたホログラム記録媒体705は、以下のような特徴を有するものとなり、視点の移動によって互いに独立してホログラム画像と付加情報画像とを観察することができる。視点の移動は、観察眼の移動およびホログラム記録媒体の移動の何れによってもなされる。
所定の角度から照明した際に、法線に対して左右に視点を動かすと少なくとも水平方向には連続した視差を持ち、上下方向には視野角を制御したホログラム画像が再生される。この場合、上下方向の視野角が制御されなくてもよい。
ホログラム記録媒体の法線に対して上下および左右の少なくとも一方の方向に視点を相対的に動かすと、該ホログラム画像とは異なる連続しない他の画像(付加情報画像)が再生されるように、1層の材料中に屈折率変調が記録されている。
【0219】
ホログラム画像は、画像を記録したホログラムまたはホログラフィックスステレオグラムである。上下方向および左右の少なくとも一方の方向の別の角度から再生されるホログラムとしては、奥行き方向には略一定平面に定位する2次元画像である。この奥行き方向に略一定平面に定位する2次元画像が識別情報を有する付加情報画像である。
【0220】
2次元画像を定位させる奥行きは、画像処理や拡散板の位置により自由に設定することができる。画像を記録したホログラムまたはホログラフィックスステレオグラムとは異なる深さに2次元画像を定位させることにより、観察者が容易に画像と2次元画像(識別情報)とを区別して認識することができる。面上から大きく離れると拡散光源による照明でシャープネスが劣化するため、適度な奥行き例えば2mm程度奥に定位するように設計したところ、見やすいという結果が得られた。
【0221】
該画像記録媒体に関する一実施の形態では、ホログラム領域内に付加情報画像(シリアル番号や機械読取可能なバーコード情報等)を記録することができる。さらに、付加情報画像が見える視点の範囲を規定できるので、付加情報画像が本来のホログラム画像の観察の妨げとなることを防止できる。
【0222】
該画像記録媒体に関する一実施の形態では、画像を記録したホログラムとして、上述したようなワンステップのホログラフィックステレオグラムの記録方法によって得られたものを使用した。該画像記録媒体では、模型にレーザを照射する所謂実写ホログラムを使用できるが、ワンステップ・ホログラフィックステレオグラムを使用した場合、真贋判定にとって、有利な点が生じる。すなわち、ワンステップ・ホログラフィックステレオグラムにおける要素ホログラムの大きさを0.1mm幅の短冊形状とすると、虫眼鏡を用いると、0.1mm幅の短冊形状が見え、短冊の間に暗い部分が見える。一方、識別情報である2次元画像には、このような短冊形状が見えない。画像がエリア分割されており、識別情報が連続していることは、明確な特徴となり、記録されたホログラムを識別するためのポイントとなる。
【0223】
「該画像記録媒体に関する実施の形態の第1の変形例」
光学的に等価と考えられる位置であれば、図47に示すように、拡散板711を投影レンズ716からの光が入射される側等に配置してもよい。この場合、拡散板の拡散角によって付加情報光の視野範囲を制御することができる。さらに、図47の構成では、拡散板711とホログラム原版706との間にルーバー717が介在されている。ルーバー717を設けることによって、反射光等の不要な光がホログラム原版706に入射されることを防止することができる。ルーバー717は、黒色の平面状の吸収層を一定間隔で透明板の内部に配置した構成を有する。ルーバー717の吸収層によって、付加情報光およびその拡散成分が通過し、且つコリメーションレンズ704を通過してくる複製用平行光が通過しないようになされる。
【0224】
「該画像記録媒体に関する実施の形態の第2の変形例」
上述したように、液晶パネル712による付加情報画像を法線から外れた光軸光学系でホログラム原版706の近傍に全面で結像させる際に、液晶パネル712の表示面をホログラム原版706の面に対して傾ける必要がある。液晶パネル712は、斜めからの入射を想定して設計されていないので、光利用効率の低下、均一性の低下、散乱の増加等が起こりうる。
【0225】
図48に示す複製装置の例は、かかる問題を解決することができるものである。すなわち、液晶パネル712(偏光板713を含む)の表示面とホログラム原版706の面とが平行を保つ配置としたものである。ホログラム原版706に対しては、図48に示すように、投影レンズ721、投影レンズ722、光偏向シート723およびルーバー717を介して付加情報光が入射される。
【0226】
図49Aに示すように、ホログラム原版706には、密着層724を介してルーバー717が被着されると共に、密着層725を介してホログラム記録媒体705が被着される。光偏向シート723としては、ホログラフィックオプティカルエレメント、回折光学素子、屈折角制御プリズムシート等を使うことができ、予め設定された方向(入射角)に付加情報光を偏向する。図49Bに示すように、光偏向シート723の近傍に拡散板711を配置することにより、視野角を適度に広げることも可能である。光偏向シート723は、光路差をなくし、全面に渡って焦点の合いやすい状況とするために設けられる。
【0227】
「視野角の制御」
設計値通りの角度で視野角を制御することは可能であると述べたが、より見やすい明るいホログラムを作るためには、以下のような角度とすることが好ましい。
参照光角度をホログラム面の法線に対してθとして、2次元画像が上下方向に最大輝度で再生する角度が、ホログラム面の法線に対してφとして、画像を記録したホログラムまたはホログラフィックステレオグラムが最も強く再生される角度は、ほぼ(θ+φ)/2になるようにする。
または、参照光角度をホログラム面の法線に対してθとして、2次元画像が上下方向に最大輝度で再生する角度が、ホログラム面の法線に対してφとして、画像を記録したホログラムまたはホログラフィックステレオグラムが最も強く再生される角度は、ほぼ(φ−θ)/2になるようにする。
さらに、ホログラム画像1種、2次元画像1種を入れる場合の一例として、参照光角度はホログラム面の法線に対してθとして、2次元画像が上下方向に最大輝度で再生する角度は、ホログラム面の法線に対して−θ/3±θ/3、画像を記録したホログラムまたはホログラフィックステレオグラムが最も強く再生される角度は、同様に法線に対して+θ/3±θ/3になるようにすると、参照光とそれぞれの画像の最大輝度角度が均等に離れることになり、効率よい画像を記録することができる。同様に、参照光角度はホログラム面の法線に対してθとして、2次元画像が上下方向に最大輝度で再生する角度は、ホログラム面の法線に対して+θ/3±θ/3、画像を記録したホログラムまたはホログラフィックステレオグラムが最も強く再生される角度は、同様に法線に対して−θ/3±θ/3になるようにしてもよい。
【0228】
このような角度の設定が好ましい理由について、図50、図51および図52を用いて説明する。図50Aは、二光束平行光の反射型ホログラムを記録する例を示す。方向901からの参照光の入射角度が(θ=45°)に設定され、方向900からの物体光の入射角度が180°に設定される。
【0229】
図50Bに示すように、記録されたホログラムが照明されて再生される。参照光と同様に、照明光を方向902からホログラムを照射すると、方向904へ回折光が出射される。方向902に対して180°異なる方向903から照明光を入射すると、方向905へ回折光が出射される。この場合では、スードスコピック(pseudoscopic:3次元画像の奥行きが実物と逆になること)画像が再生される。図50Cに示すように、方向908から照明光を照射すると、ブラッグ回折の条件により方向906へ回折光が出射される。さらに、方向909から照明光を照射すると、方向907へ回折光が出射され、スードスコピック画像が再生される。
【0230】
該画像記録媒体に関しては、図50Dに示すように、ホログラム原版706と被露光体(ホログラム記録媒体)705とを光学的に密着させて、複製のために、方向901から参照光を入射させることが必要である。方向900から2次元画像を記録しようとすると、ホログラム原版706に画像がある場合、原版706のホログラムにより、図50Cまたは図50Dの回折光として示すように、回折が生じ、その結果、被露光体705にまで2次元識別画像(付加情報)を記録するためのレーザが到達しない場合がある。たとえ、レーザが到達しても、ホログラム原版706の画像によって2次元画像の強弱が発生する問題が生じる。方向900からの光は、実際には平行光ではなくある集光している光なので、この影響を受ける場合があり、最も影響を生じない角度を選定することが必要である。
【0231】
該画像記録媒体に関しては、この点を考慮して、図51に示すように、複製(記録)時の角度が選定される。図51Aに示すように、参照光を斜め上45°の方向911から入射する。像を2つの上下方向切替とする場合、斜め上15°の方向912と、斜め下15°の方向913を像再生角度とする。この場合では、参照光から上方向切替までの角度が30°となり、上と下の像再生角度の差も30°となり、参照光の正反射の方向914に対して30°離れており、見やすい角度関係となる。正反射は参照光のミラー反射の角度であり、ホログラムを光源に照射した場合、ホログラム像と同時に光源が目に入ることになり見づらいものになる。
【0232】
斜め上の方向912の角度で再生される第1の像をホログラム原版706にする場合には、図51Bにおいて、915で示すように、付加情報光の入射角が設定される。破線で示す方向の光は、ブラッグ回折により戻り回折する光を示す。斜め下の方向913の角度で再生される第2の像をホログラム原版706にする場合には、図51Cにおいて、916で示すように、付加情報光の入射角が設定される。破線で示す方向の光は、ブラッグ回折により戻り回折する光を示す。
【0233】
したがって、複製されたホログラム記録媒体705は、図52に示すように、視点の移動によって互いに独立してホログラム画像と付加情報画像とを観察することができる。図52Aが垂直方向に視点を移動した場合を示し、図52Bが水平方向に視点を移動した場合を示す。なお、視点の移動は、ホログラム記録媒体の回転および観察眼の移動の何れかによって行うことができる。例えば垂直方向の視点の移動は、ホログラム記録媒体を固定し、観察眼をホログラム記録媒体から立てた法線に対して±45°の範囲で上下に移動させることで可能である。または、観察眼の位置を法線上に固定し、水平軸を中心としてホログラム記録媒体を±45°の範囲で回転させることで可能である。水平方向の視点の移動は、ホログラム記録媒体を固定し、観察眼をホログラム記録媒体から立てた法線に対して±45°の範囲で左右に移動させることで可能である。または、観察眼の位置を法線上に固定し、垂直軸を中心としてホログラム記録媒体を所定の角度例えば±45°の範囲で回転させることで可能である。
【0234】
図52Aにおいて、BRVが垂直方向に視点を移動した場合のホログラム画像の輝度変化を示し、brvが垂直方向に視点を移動した場合の2次元画像の輝度変化を示す。図52Bにおいて、BRHが水平方向に視点を移動した場合のホログラム画像の輝度変化を示し、brhが水平方向に視点を移動した場合の2次元画像の輝度変化を示す。図52に示すように、所定の角度から照明した際に、水平方向に視点を動かすと、水平方向には連続した視差を持ち、上下方向には視野角を制御したホログラム画像が再生される。ホログラム記録媒体の法線に対して上下方向に視点を相対的に動かすと、該ホログラム画像とは異なる連続しない他の画像(2次元画像)が再生される。上述した例では、垂直方向に参照光角度θ=45°、視差ホログラム画像φ=−15°として、(θ+φ)/2=(45−15)/2=15°の視点において2次元画像の輝度が大きくなる。水平方向では、(0°±15°)の範囲において2次元画像を見ることができる。
参照光角度θ=45°、視差ホログラム画像φ=15°とした場合、2次元画像を(φ−θ)/2=(15−45)/2=−15°とすると見やすい。
さらに、参照光角度θ=45°、視差ホログラム画像φ=0°の場合、(θ+φ)/2=(45−0)/2=22.5°、または、(φ−θ)/2=(0−45)/2=−22.5°とした場合、上述のような見えやすさや製造のしやすさの両立を達成することができた。
【0235】
なお、上述した該画像記録媒体に関する角度の設定は、典型的な例であるが、ホログラム像と付加情報のどちらが主として見えるようにするかによって、種々の変形が可能である。また、必ずしも上下は2つの像の切替ではなく、ホログラム原版に元々数種類の縦方向を視差情報入れておきその角度とはかぶらない角度に付加情報を入れることも可能である。
例えば、参照光45°、視差ホログラム画像を、+22.5°と0°の2種、2次元画像を−22.5°のそれぞれの角度に記録すると良好なホログラム記録を実現できた。同様に、参照光45°、視差ホログラム画像を、−22.5°と0°の2種、2次元画像を22.5°のそれぞれの角度に記録しても同様に良好なホログラムとなった。
【0236】
「複製装置に関する第2の実施の形態」
図53に示すように、偏光ビームスプリッタ702によって、参照光とレーザ光とが分岐され、参照光が空間フィルタ703およびコリメーションレンズ704を介してホログラム記録媒体705に入射される。分岐されたレーザ光がミラー707で反射され、空間フィルタ708およびコリメーションレンズ709を介してハーフミラー726に入射される。
【0237】
ハーフミラー726で反射されたレーザ光が第1の分岐されたレーザ光となる。ハーフミラー726を通過したレーザ光がミラー727に入射される。ミラー727で反射されたレーザ光が第2の分岐されたレーザ光となる。第1の分岐されたレーザ光が第1の実施の形態と同様に、拡散板711aを介して液晶パネル712a(偏光板を含む)に入射される。液晶パネル712aの付加情報画像が結像光学系(投影レンズ714a、716a、絞り715a)およびホログラム原版706を介してホログラム記録媒体705に結像される。
【0238】
一方、第2の分岐されたレーザ光が拡散板711bを介して液晶パネル712b(偏光板を含む)に入射される。液晶パネル712bの付加情報画像が結像光学系(投影レンズ714b、716b、絞り715b)およびホログラム原版706を介してホログラム記録媒体705に結像される。第1の分岐されたレーザ光から生成された付加情報光のホログラム記録媒体705に対する入射角と、第2の分岐されたレーザ光から生成された付加情報光のホログラム記録媒体705に対する入射角とが異なるものとなる。したがって、液晶パネル712aによる付加情報画像を見ることができる視点と、液晶パネル712bによる付加情報画像を見ることができる視点とを異ならせることができる。したがって、2つの視点に応じて2種類の付加情報画像を見ることができる。
【0239】
二つ分岐されたレーザ光は、同時にホログラム記録媒体705に対して照射される。しかしながら、時間順次で二つの分岐されたレーザ光をホログラム記録媒体705に照射するようにしてもよい。さらに、3以上の分岐されたレーザ光を使用してもよい。
【0240】
「複製装置に関する第3の実施の形態」
上述した実施の形態においては、コンタクトプリント用の参照光を分岐して付加情報を多重記録するのに使用している。しかしながら、図54に示すように、コンタクトプリントのためのレーザ光と別のレーザ光を使用して付加情報を記録するようにしてもよい。
【0241】
図54に示す例では、コンタクトプリントが行われ、且つUV定着部735により定着される前に付加情報が記録される。図示せぬローラから繰り出されたホログラム記録フィルム731がローラの周面に巻き付けられる。ホログラム記録フィルムは、透過性ベースフィルム上に感光性材料が塗布されたものである。ローラの周面にはホログラム原版732が貼り付けられている。ホログラム原版732は、例えば水平方向連続視差画像である。ホログラム原版732とホログラム記録フィルム731が密着された状態で、複製用レーザ光733が照射され、ホログラム原版732のホログラムがホログラム記録フィルム731に複製される。
【0242】
複製は、ホログラム記録フィルム731が送られることによってなされる。ホログラム記録フィルム731の送りが停止されると同時に図示しない複製用レーザ733のシャッタが閉じられ、複製用レーザ733が照射される。複製後にホログラム記録フィルム731が付加情報重畳露光部734に送られ、付加情報が記録される。付加情報の記録のための構成としては、上述した複製装置と同様の構成を使用できる。付加情報重畳露光部734からUV定着部735に向かって複製および付加情報が記録されたホログラム記録フィルム731が送られる。なお、先に付加情報を記録し、次に、ホログラムをコンタクトプリントし、そして、定着を行う順序でもよい。
【0243】
「複製装置に関する第4の実施の形態」
以上の実施の形態は、ホログラム原版が反射型ホログラムの例である。しかしながら、ホログラム原版が透過型ホログラムの場合にも適用することができる。図55に示すように、ホログラム原版706およびホログラム記録媒体705が密着される。偏光ビームスプリッタ702で分離され、空間フィルタ703およびコリメーションレンズ704を介して参照光がホログラム原版706に入射される。
【0244】
ミラー707で反射されたレーザ光が空間フィルタ708、コリメーションレンズ709および拡散板711を経由して液晶パネル712に入射される。液晶パネル712からの付加情報光が偏光板713と結合光学系(投影レンズ714、716および絞り715)を介してホログラム原版706に入射される。ホログラム記録媒体705には、ホログラム原版706のホログラムと付加情報画像とが重畳されて記録される。
【0245】
該画像記録媒体に関するその他の実施の形態は、2次元画像(付加情報)とホログラム画像とのそれぞれを異なる色で再生させることによって、両者の分離性を良くするものである。白色光で照明したときに、被験者30人を対象に、色分離して見えやすいかどうかという統計を取ったところ、例えば25nm以上の再生ピーク波長が離れていると見えやすいという結果が得られた。
【0246】
付加情報と画像ホログラムの色を変える方法としては、複数の方法が可能である。その一つの方法は、記録するレーザ光の波長を変えて多重露光する方法である。図56に示すように例えば2次元画像記録用の赤のレーザ光源(例えば、波長633nmのHeNeレーザ)700Rを偏光ビームスプリッタ702Rによって分岐する。画像複製用の緑色レーザ光源(例えば、半導体励起第二次高調波を使った波長532nmのレーザ)700Gが設けられる。
【0247】
緑色レーザ光が1/2波長板701を介して偏光ビームスプリッタ702Gに入射される。偏光ビームスプリッタ702Gに対して、偏光ビームスプリッタ702Rによって分岐された赤色のレーザ光も入射される。偏光ビームスプリッタ702Gによって赤色レーザ光および緑色レーザ光が合成され、空間フィルタ703に入射される。空間フィルタ703からのレーザ光がコリメーションレンズ704を介することによって平行光とされ、ホログラム記録媒体705およびホログラム原版706に照射される。
【0248】
偏光ビームスプリッタ702Rによって分岐された赤色レーザ光がミラー707で反射され、空間フィルタ708に入射され、空間フィルタ708によって拡大されたレーザ光がコリメーションレンズ709を介してミラー710に入射される。ミラー710によって反射されたレーザ光が空間光変調素子としての液晶パネル712に入射される。液晶パネル712に対しては、図示しないが、液晶駆動部例えばマイクロコンピュータが接続されている。液晶駆動部によって、液晶パネル712上に付加情報の画像が表示される。液晶表示パネル712の出射面に偏光板713が設けられている。偏光板713によって偏光面が回転され、P波がS波とされる。
【0249】
図56の構成では、拡散板711が投影レンズ716からの光が入射される側に配置される。液晶表示パネル712によって発生し、偏光板713を介された付加情報光が投影レンズ714、絞り715および投影レンズ716からなる結像光学系を介して拡散板711に対して入射される。
【0250】
さらに、図56の構成では、拡散板711とホログラム原版706との間にルーバー717が介在されている。ルーバー717を設けることによって、反射光等の不要な光がホログラム原版706に入射されることを防止することができる。ルーバー717は、黒色の平面状の吸収層を一定間隔で透明板の内部に配置した構成を有する。ルーバー717の吸収層によって、付加情報光およびその拡散成分が通過し、且つコリメーションレンズ704を通過してくる複製用平行光が通過しないようになされる。
【0251】
ホログラム記録媒体705には、ホログラム原版706によって回折した光およびホログラム原版706を通過した付加情報光が重畳された光と、入射レーザ光とによって形成される干渉縞が記録される。したがって、ホログラム原版706のホログラム領域内に緑色の複製画像と赤色の2次元画像を記録することができる。この赤色の画像と緑色の画像は、同時に記録してもよいし、時間順次に記録してもよい。さらに、複製および付加情報のための光学的構成としては、上述した複数の実施の形態と同様の構成を使用できる。
【0252】
付加情報と画像ホログラムの色を変えるための他の方法について、図57を参照して説明する。他の方法では、別色のレーザを用いず、画像複製用のレーザのみ使用して、元々のレーザとは異なる波長での発色で認識してもらうものである。記録時に、図57Aに示すように、例えば532nmの波長の緑のレーザを使用し、参照光の入射角を45°に設定し、物体光の入射角を200°に設定する。
【0253】
再生時に、図57Bに示すように、照明光を入射角45°で入射すると、20°の角度で出射される再生光は、緑色となる。一方、図57Cに示すように、照明光を入射角80°で入射すると、0°(正面)に出射される再生光は、波長が500nm程度の青色がかった色となることが実験により分かった。この理由は、実際にはホログラフィック記録材料の厚さ変化や移動度等にも左右されるが、ブラッグ回折の条件により再生波長がシフトするからである。この原理を利用すれば、回折させたい角度で、複製画像の色と付加情報画像の色とを異ならせることができ、二つの情報を区別することが容易になる。
【0254】
以上、該画像記録媒体に関する具体的な実施形態について説明してきたが、これに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば付加情報としては、シリアル番号、製造者名、ロット番号、1次元バーコード、2次元バーコード等の識別情報以外の画像情報を記録することができる。付加情報は、空間光変調素子を等倍投影する例で説明したが、拡大あるいは縮小投影してもよい。さらに、2以上の付加情報を記録するようにしてもよい。フィルム状ホログラム記録媒体を他の実施の形態のホログラム記録媒体として使用してもよい。上述した説明では、空間光変調素子として液晶パネルを使用したが、液晶パネル以外の素子を使用してもよい。
【符号の説明】
【0255】
1 ・・・ホログラムサプライロール
2 ・・・ホログラム
6 ・・・キャリアサプライロール
11 ・・・専用照明光LED光源
12 ・・・撮像素子
13 ・・・結像レンズ
14 ・・・コリメータレンズ
15 ・・・文字認識装置
16 ・・・データバッファ
17 ・・・印画データプロセッサ
18 ・・・プリンタ
51 ・・・ラベル
78 ・・・RFIDライタ
82 ・・・RFタグ
101・・・データベース
102・・・データ登録装置
104・・・バーコードリーダ
121・・・二次元バーコード
134・・・RFIDリーダ
146・・・RFIDリーダ/ライタ
200・・・判別装置
201・・・ロール状媒体
202・・・選別機構制御用コンピュータ
215・・・画像認識装置
222・・・ホログラム
260・・・ホログラム付き媒体
221h・・・目視読取識別情報
221m・・・機械読取識別情報
230・・・データ送受信部
290・・・剥離用テープ
291・・・剥離用テープ繰り出しロール
292・・・不良品剥離用ローラ
293・・・剥離用テープ巻き取りロール
299・・・データベース
310・・・ホログラム付き媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる目視読取識別情報と、
予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる機械読取識別情報と
を含み、
上記目視読取識別情報および上記機械読取識別情報が、関連付けられた識別情報である
ホログラム付き媒体。
【請求項2】
上記目視読取識別情報および上記機械読取識別情報が、同一のホログラムに記録されている請求項1に記載のホログラム付き媒体。
【請求項3】
上記目視読取識別情報および上記機械読取識別情報が、同一の再生照明光で照明したときに、それぞれ同じ角度方向を含む予め定められた角度範囲において観察できる請求項1または2に記載のホログラム付き媒体。
【請求項4】
上記目視読取識別情報および上記機械読取識別情報のそれぞれが、相異なる再生照明光で照明したときに、相異なる角度方向を中心とする予め定められた角度範囲において観察できる請求項1または2に記載のホログラム付き媒体。
【請求項5】
上記目視読取識別情報および上記機械読取識別情報が、同一の再生照明光で照明したときに、相異なる角度方向を中心とする予め定められた角度範囲において観察できる請求項1または2に記載のホログラム付き媒体。
【請求項6】
上記目視読取識別情報および上記機械読取識別情報のそれぞれが、相異なる再生照明光で照明したときに、それぞれ同じ角度方向を含む予め定められた角度範囲において観察できる請求項1または2に記載のホログラム付き媒体。
【請求項7】
予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる目視読取識別情報と、
予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされるとともに、上記目視読取識別情報と関連付けられた、ホログラムによる機械読取識別情報と
を含むホログラムの複数個が、同一のセパレータ上に配置されたロール状媒体。
【請求項8】
予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる目視読取識別情報と、予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされるとともに、上記目視読取識別情報と関連付けられた、ホログラムによる機械読取識別情報とを含むホログラムに対し、
上記目視読取識別情報および上記機械読取識別情報を読み取り、上記目視読取識別情報と上記機械読取識別情報との間の関連付けに基づき、上記読み取られた機械読取識別情報から、上記読み取られた目視読取識別情報を復元できるか否かを判定することにより、上記読み取られた目視読取識別情報が正しいデータであるか否かを確認する情報判定方法。
【請求項9】
予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる目視読取識別情報と、予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされるとともに、上記目視読取識別情報と関連付けられた、ホログラムによる機械読取識別情報とを含むホログラムに対し、予め定められた角度から再生照明光を照射する光源と、
上記ホログラムからの再生像を予め定められた方向から撮像する撮像素子と、
上記撮像素子により上記撮像した画像から、文字認識および/または画像認識を行う認識部と、
上記認識部から得られた上記機械読取識別情報から上記目視読取識別情報を復元できるかどうかを判定する判定部と、
上記判定部により上記機械読取識別情報から上記目視読取識別情報を復元できないと判定されたホログラムを、上記機械読取識別情報から上記目視読取識別情報を復元できると判定されたホログラムの群から分離する選別部と
を備える判別装置。
【請求項10】
上記ホログラムに記録される目視読取識別情報が予め登録されたデータベースとの通信を行うデータ送受信部をさらに備え、
上記判定部が、上記認識部から得られた目視読取識別情報と上記データベースに登録された目視読取識別情報とが一致するかどうかをさらに判定し、
上記選別部が、上記判定部により上記認識部から得られた目視読取識別情報と上記データベースに登録された目視読取識別情報とが一致しないと判定されたホログラムを、上記判定部により上記認識部から得られた目視読取識別情報と上記データベースに登録された目視読取識別情報とが一致すると判定されたホログラムの群から分離する請求項9に記載の判別装置。
【請求項11】
予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされた、ホログラムによる目視読取識別情報と、予め定められた角度から照明した際に、予め定められた角度範囲において観察ができるようにされるとともに、上記目視読取識別情報と関連付けられた、ホログラムによる機械読取識別情報とを含むホログラムに対し、予め定められた角度から再生照明光を照射する光源と、
上記ホログラムからの再生像を予め定められた方向から撮像する撮像素子と、
上記撮像素子により上記撮像した画像から、文字認識および/または画像認識を行う認識部と、
上記認識部から得られた上記機械読取識別情報から上記目視読取識別情報を復元できるかどうかを判定する判定部と、
上記判定部により上記機械読取識別情報から上記目視読取識別情報を復元できないと判定されたホログラムを、上記機械読取識別情報から上記目視読取識別情報を復元できると判定されたホログラムの群から分離する選別部と、
上記機械読取識別情報から上記目視読取識別情報を復元できると判定されたホログラムと、上記機械読取識別情報または上記目視読取識別情報と関連付けられる識別情報が記録される媒体とを貼り合わせ、一体構成とする貼り合わせ部と
を備えるホログラム付き媒体製造装置。
【請求項12】
上記ホログラムに記録される目視読取識別情報が予め登録されたデータベースとの通信を行うデータ送受信部をさらに備え、
上記判定部が、上記認識部から得られた目視読取識別情報と上記データベースに登録された目視読取識別情報とが一致するかどうかをさらに判定し、
上記選別部が、上記判定部により上記認識部から得られた目視読取識別情報と上記データベースに登録された目視読取識別情報とが一致しないと判定されたホログラムを、上記判定部により上記認識部から得られた目視読取識別情報と上記データベースに登録された目視読取識別情報とが一致すると判定されたホログラムの群から分離する請求項11に記載のホログラム付き媒体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【公開番号】特開2012−173300(P2012−173300A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31670(P2011−31670)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(594064529)株式会社ソニーDADC (88)
【Fターム(参考)】