説明

ホログラム記録媒体

【課題】ホログラムのセキュリティ性を高くする。
【解決手段】ホログラム記録媒体は、ホログラム記録層と光散乱層とを備える。該光散乱層には、光散乱層を構成する主材料とは異なる反射特性を持つ材料が配されている。該光散乱層は、ホログラムの観察者に対してホログラム記録層より奥側または手前側に形成される。該ホログラム記録媒体を原版とする不正な複製を行うと、本来のホログラム画像情報とともに、該光散乱層を構成する主材料とは異なる反射特性を持つ該材料の反射によるホログラム像が、ホログラム画像情報と同じ色で記録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、真贋判定目的に使われるホログラムのセキュリティ性を高めることができるホログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
立体表示が可能なホログラムは、クレジットカード、身分証明書等の真贋判定のために使用されている。近年は、上記目的に用いられるホログラムとして、干渉パターンを表面の凹凸として記録したエンボス型ホログラムに替えて、干渉パターンを記録層内部の屈折率の差として記録する体積型ホログラムが使用されることが多い。これは、エンボス型ホログラムと比較して、体積型ホログラムの偽造が困難なことによる。その理由は、体積型ホログラムは、記録画像を制作するのに高度な技術が必要とされ、また、記録材料が入手困難なことによる。
【0003】
体積型ホログラムを1枚ずつプリンタで作成することは効率が悪いため、ホログラムを原版として密着コピーにより多数のホログラムを複製する、コンタクトプリントと呼ばれる方法がとられる。図17は、コンタクトプリントによる、体積型ホログラム複製の概略を示した図である。レーザ光源70からのレーザ光が空間フィルタ73によって拡大され、コリメーションレンズ74に入射される。コリメーションレンズ74によって平行光とされたレーザ光が感光性材料を含むホログラム記録媒体75および原版76に照射される。原版76自体もホログラムであり、例えば、多視点からの視差画像をもとに記録するホログラフィックステレオグラムを適用した体積型ホログラムを原版76に用いることができる。
【0004】
感光性材料の層を有するホログラム記録媒体75および原版76は、直接密着されるか、屈折率調整液(インデックスマッチング液と称される。)を介して密着される。ホログラム記録媒体75には、原版76によって回折した光(S偏光)と、入射レーザ光とによって形成される干渉縞が記録される。
【0005】
このようにして、ホログラム原版を使用したコンタクトプリントにより、体積型ホログラムを複製(量産)することができる。なお、下記の特許文献1には、コンタクトプリントによるホログラムシールの製造方法および製造装置が開示されている。これによれば、コンタクトプリントにより、連続的かつ確実にホログラムシールを得ることができるとされる。図18および図19に示すように、下記の特許文献1に記載のものは、ホログラム記録層900および保護層908と、粘着層902および剥離層904とをコンタクトプリントの後に一体構成としている。図19Aに、該製造装置のP1部におけるホログラム記録媒体の層構成を、図19Bに、該製造装置のP2部における粘着層902および剥離層904,944の層構成を、図21Cに、該製造装置のP3部におけるホログラム記録媒体の層構成を、それぞれ示す。
【0006】
このように、コンタクトプリントの手法によれば、未露光のホログラム用記録材料を近接させ、記録波長と近い波長のレーザを照射することにより、ホログラム原版(以下、オリジナル原版と適宜称する。)から複製された体積型ホログラムを、さらに複製することが不可能ではない。すなわち、偽造防止の対策が何ら施されていないホログラムを原版として、コンタクトプリントの手法による不正な複製を行うことは不可能ではない。
【0007】
したがって、オリジナル原版から適法に複製されたホログラム、すなわち真正なホログラムを原版としての不正な複製ができない、または真正なホログラムを原版としてさらに不正な複製したものが真正なホログラムと違うことが分かる、というような対策が望まれている。この場合において、不正な複製の防止手段は、ホログラム画像の観察の邪魔にならないようにされていることが好ましい。
【0008】
例えば下記の特許文献2には、りん片状の隠蔽顔料に該顔料よりも小径の着色料を均一に吸着させ、カードの樹脂層中に均一に分散配置することにより、目視角度により色相と明度が変化するようにされたカードが記載されている。また、下記特許文献3には、偏光制御層が設けられたホログラムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5798850号明細書
【特許文献2】実開平4−94481号公報
【特許文献3】特許第3342056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載のものは、仮にホログラムの記録層に該着色料を吸着させたりん片顔料をホログラム記録層に分散配置させたとすると、オリジナル原版からのコンタクトプリントの妨げとなるために、体積型ホログラムにそのまま適用することはできない。また、特許文献3に記載のものは、複製されるホログラム画像の効率が全体的に悪くする効果はあっても潜像が顕在化するような顕著な効果までは生み出せなかった。
【0011】
したがって、この発明の目的は、ホログラムシールを原版として不正に複製されたものが明らかに不正な複製だと判別できるようにすることにより、不正な複製による偽造を防止するホログラム記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、この発明は、ホログラム記録層と、光散乱層とを備え、光散乱層には、光散乱層を構成する主材料とは異なる反射特性を持つ材料が配されていることを特徴とするホログラム記録媒体である。
【0013】
ホログラム記録層と上記光散乱層とを分離させる場合に、ホログラム記録層の凝集破壊を伴って分断される。
【0014】
ここで、本明細書でいう拡散反射とは、鏡面反射を除いた拡散的な光の反射をいい、JIS Z 8741に規定されるものである。鏡面反射とは、鏡の面での反射のように反射の法則に従う光の反射をいい、JIS Z 8741に規定されるものである。図20Aおよび図20Bに、拡散反射と鏡面反射を示す模式図をそれぞれ示す。図21に、JIS Z 8741に規定される鏡面光沢度計の概念図を示す。拡散反射の成分はこのような鏡面光沢度計を用いて測定ができる。また、本明細書中において、正反射方向とは、図20Bに示すように、入射光の入射角α1と同じ角度の反射角α2の方向に反射する光の方向をいう。
【0015】
この発明にかかるホログラム記録媒体は、光散乱層を構成する主材料とは異なる反射特性を持つ材料が配されている層を備える。光散乱層を構成する主材料とは異なる反射特性を持つ材料は、ホログラムの観察者から容易に観察できる。この発明にかかるホログラム記録媒体を原版としたコンタクトプリントによる複製を行うと、該反射材料の像が、ホログラムの記録色と同じ色で、不正な複製を行った記録媒体に記録される。そのため、不正な複製を行った記録媒体に記録されたホログラムは、この発明にかかるホログラム記録媒体から観察されるホログラム像とは明らかに異なったものとなる。
【発明の効果】
【0016】
この発明では、ホログラム記録媒体を原版とする不正な複製を行ったときには、光散乱層を構成する主材料とは異なる反射特性を持つ材料のホログラム像が複製後のホログラムに記録されるため、複製されたホログラムが不正に複製されたものと容易に判別でき、偽造防止の効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に適用できるホログラフィックステレオグラム作成システムの一構成例を示す略線図である。
【図2】ホログラフィックステレオグラム作成時の画像処理の一例の説明に用いる略線図である。
【図3】ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置の光学系の一例を示す略線図である。
【図4】ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置の光学系の他の例を示す略線図である。
【図5】ホログラム用記録媒体の一例を示す断面図である。
【図6】光重合型フォトポリマの感光プロセスを示す略線図である。
【図7】記録媒体送り機構の一構成例を示す略線図である。
【図8】露光処理の一例のフローチャートである。
【図9】この発明の第1の実施の形態にかかるホログラム記録媒体の積層構造の一構成例を示す断面模式図である。
【図10】この発明の実施の形態にかかるホログラム記録媒体の偽造防止の機能を説明するための略線図である。
【図11】黒色の中間基材層を備えるホログラム記録媒体の例を示す断面模式図である。
【図12】被着体に拡散反射部材を配した例を示す断面模式図である。
【図13】この発明の第2の実施の形態にかかるホログラム記録媒体の積層構造の一構成例を示す断面模式図である。
【図14】この発明の第2の実施の形態の第1の変形例の一構成例を示す断面模式図である。
【図15】この発明の第2の実施の形態の第2の変形例の一構成例を示す断面模式図である。
【図16】この発明の第2の実施の形態の第2の変形例の一構成例を示す断面模式図である。
【図17】コンタクトプリントの説明に使用する略線図である。
【図18】ホログラム記録媒体の製造装置の一例を示す略線図である。
【図19】ホログラム記録媒体の各製造工程における層構成の例を示す断面模式図である。
【図20】拡散反射と鏡面反射の説明に使用する模式図である。
【図21】JIS Z 8741に規定される鏡面光沢度計の概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする。)について説明する。説明は、以下の順序で行う。
<1.オリジナル原版の作成>
「ホログラフィックステレオグラム作成システム」
「ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置」
「ホログラム記録媒体の一例」
「記録媒体送り機構」
「ホログラフィックステレオグラム作成システムの動作」
<2.第1の実施の形態>
「ホログラム記録媒体の積層構造」
「拡散反射部材」
「偽造防止の機能」
「第1の実施の形態の変形例」
<3.第2の実施の形態>
「第2の実施の形態の変形例」
<4.変形例>
なお、以下に説明する実施の形態は、この発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
【0019】
<1.オリジナル原版の作成>
「ホログラフィックステレオグラム作成システム」
この発明によるホログラム記録媒体の説明に先立ち、オリジナル原版の作成について説明する。一般的に、異なる視点から見た被写体の2次元画像を原画として、3次元画像を再生するホログラムを合成することが可能である。このように合成されるホログラムをホログラフィックステレオグラムと呼ぶ。ホログラフィックステレオグラムは、例えば、被写体を異なる観察点から順次撮影することにより得られた多数の画像を原画として、これらを1枚のホログラム用記録媒体に短冊状の要素ホログラムとして順次記録することにより作製される。
【0020】
オリジナル原版となるホログラフィックステレオグラムを制作する過程は、概略的には、画像の取得と、取得した画像の編集等の処理からなるコンテンツ制作工程と、ホログラフィックステレオグラムのプリント工程とからなる。画像は、撮像、またはコンピュータグラフィックスにより取得される。画像編集工程で得られた複数の画像のそれぞれが例えば円筒状レンズによって短冊状の画像に変換される。画像の物体光と参照光との干渉縞が短冊状の要素ホログラムとしてホログラム記録媒体に順次記録されることによってオリジナル原版となるホログラフィックステレオグラムが作製される。
【0021】
先ず、ホログラフィックステレオグラムを作成するホログラフィックステレオグラム作成システムの一構成例について説明する。以下、短冊状の複数の要素ホログラムを1つの記録媒体上に記録することにより、水平方向の視差情報を持たせたホログラフィックステレオグラムを構成するための装置について説明する。
【0022】
このホログラフィックステレオグラム作成システムは、物体光と参照光との干渉縞が記録されたホログラム記録媒体をそのままホログラフィックステレオグラムとする、いわゆるワンステップホログラフィックステレオグラムを作成するシステムである。図1に示すように、記録対象の画像データの処理を行うデータ処理部1と、このシステム全体の制御を行う制御用コンピュータ2と、ホログラフィックステレオグラム作成用の光学系を有するホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3とから構成されている。
【0023】
データ処理部1は、多眼式カメラや移動式カメラ等を備えた視差画像列撮影装置13から供給される視差情報を含む複数の画像データD1に基づいて、視差画像列D3を生成する。他のデータとして、画像データ生成用コンピュータ14によって生成された視差情報を含む複数の画像データD2に基づいて、視差画像列D3を生成する。
【0024】
ここで、視差画像列撮影装置13から供給される視差情報を含む複数の画像データD1は、複数画像分の画像データである。かかる画像データは、例えば、多眼式カメラによる同時撮影、または移動式カメラによる連続撮影等によって、実物体を水平方向の異なる複数の観察点から撮影することにより得られる。
【0025】
また、画像データ生成用コンピュータ14によって視差情報を含む複数の画像データD2が生成される。画像データD2は、例えば、水平方向に順次視差を与えて作成された複数のCAD(Computer Aided Design)画像やCG(Computer Graphics)画像等の画像データである。
【0026】
そして、データ処理部1は、視差画像列D3に対して画像処理用コンピュータ11によってホログラフィックステレオグラム用の所定の画像処理を施す。そして、所定の画像処理が施された画像データD4を、メモリまたはハードディスク等の記憶装置12に記録する。
【0027】
また、データ処理部1は、ホログラム用記録媒体に画像を記録する際に、記憶装置12に記録された画像データD4から、1画像分毎にデータを順番に読み出し、この画像データD5を制御用コンピュータ2に送出する。
【0028】
一方、制御用コンピュータ2は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3を駆動する。データ処理部1から供給された画像データD5に基づく画像がホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3内にセットされたホログラム用記録媒体30に、短冊状の要素ホログラムとして順次記録される。
【0029】
このとき、制御用コンピュータ2は、後述するように、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3に設けられたシャッタ32、表示装置41および記録媒体送り機構等の制御を行う。すなわち、制御用コンピュータ2は、シャッタ32に制御信号S1を送出してシャッタ32の開閉を制御する。また、表示装置41に画像データD5を供給して表示装置41に当該画像データD5に基づく画像を表示させる。さらに、記録媒体送り機構に制御信号S2を送出して記録媒体送り機構によるホログラム用記録媒体30の送り動作を制御する。
【0030】
画像処理は、図2に示すように、視差情報を含む複数の画像データD1のそれぞれを視差方向、すなわち、横(幅)方向にスリット状に分割し、分割後のスライスを寄せ集めて処理後の画像D5を再構成するものである。この画像D5が表示装置41に表示される。
【0031】
「ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置」
上述したホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3の光学系について、図3を参照してより詳細に説明する。なお、図3Aは、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3全体の光学系を上方から見た図であり、図3Bは、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3全体の光学系を横から見た図である。
【0032】
ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3は、図3に示すように、所定の波長のレーザ光を出射するレーザ光源31と、レーザ光源31からのレーザ光L1の光軸上に配されたシャッタ32、ミラー38およびハーフミラー33とを備えている。ここで、レーザ光源31には、例えば、波長が約532nmのレーザ光を出射するものを用いる。
【0033】
シャッタ32は、制御用コンピュータ2によって制御され、ホログラム記録媒体30を露光しないときには閉じられ、ホログラム記録媒体30を露光するときに開放される。また、ハーフミラー33は、シャッタ32を通過してきたレーザ光L2を、参照光と物体光とに分離するためのものであり、ハーフミラー33によって反射された光L3が参照光となり、ハーフミラー33を透過した光L4が物体光となる。
【0034】
なお、この光学系において、ハーフミラー33によって反射され、ホログラム記録媒体30に入射する参照光の光路長と、ハーフミラー33を透過しホログラム記録媒体30に入射する物体光の光路長とは、ほぼ同じ長さとする。これにより、参照光と物体光との干渉性が高まり、より鮮明な再生像が得られるホログラフィックステレオグラムを作成することが可能となる。
【0035】
ハーフミラー33によって反射された光L3の光軸上には、参照光用の光学系として、シリンドリカルレンズ34と、参照光を平行光とするためのコリメータレンズ35と、コリメータレンズ35からの平行光を反射する反射ミラー36とがこの順に配置されている。
【0036】
そして、ハーフミラー33によって反射された光は、先ず、シリンドリカルレンズ34によって発散光とされる。次に、コリメータレンズ35によって平行光とされる。その後、反射ミラー36によって反射され、ホログラム記録媒体30の裏面側に入射する。
【0037】
一方、ハーフミラー33を透過した光L4の光軸上には、物体光用の光学系が設けられる。光学系として、ハーフミラー33からの透過光を反射する反射ミラー38、凸レンズとピンホールを組み合わせたスペーシャルフィルタ39、物体光を平行光とするためのコリメータレンズ40が使用される。さらに、記録対象の画像を表示する表示装置41、表示装置41を透過してきた光を要素ホログラムの幅方向に拡散させる一次元拡散板42が使用される。さらに、一次元拡散板42を透過した物体光をホログラム記録媒体30上に集光するシリンドリカルレンズ43、一次元拡散機能をもつ光学機能板45が使用される。
【0038】
シリンドリカルレンズ43が視差方向(要素ホログラム短手方向または観察時水平方向)に物体光を集光する。
【0039】
光学機能板45は、集光された物体光を短冊状の要素ホログラムの長手方向に一次元的に拡散するもので、長手方向での視点の移動に対応するためのものである。光学機能板45は、微細な構造体であり、例えばピッチが微細なレンチキュラーレンズを光学機能板45として使用することができる。
【0040】
そして、ハーフミラー33を透過した光L4は、反射ミラー38によって反射された後、スペーシャルフィルタ39によって点光源からの発散光とされる。次に、コリメータレンズ40によって平行光とされ、その後、表示装置41に入射する。ここで、本実施の形態では、スペーシャルフィルタ39には、20倍の対物レンズと直径20μm(マイクロメートル)のピンホールを用いた。また、コリメータレンズ40の焦点距離は100mmとした。
【0041】
表示装置41は、例えば液晶ディスプレイからなる投影型の画像表示装置であり、制御用コンピュータ2によって制御され、制御用コンピュータ2から送られた画像データD5に基づく画像を表示する。本例では、画素数480×1068、大きさ16.8mm×29.9mmの白黒液晶パネルを用いた。
【0042】
そして、表示装置41を透過した光は、表示装置41に表示された画像によって変調された光となり、一次元拡散板42によって拡散される。一次元拡散板42は、表示装置41の近傍に配置すればよく、表示装置41の直前、あるいは直後に配置される。本例では、表示装置41の直後に配置した。
【0043】
ここで、一次元拡散板42は、表示装置41からの透過光を要素ホログラム幅方向に若干拡散させることにより、要素ホログラム内に光を分散させることで、作成されるホログラフィックステレオグラムの画質の向上に寄与する。
【0044】
このとき、拡散板42には、拡散板移動手段(図示は省略する。)を設け、各要素ホログラムを形成する毎にこれをランダムに移動し、その位置を要素ホログラム毎に変えるようにする。これにより、ホログラムを観察したときに無限遠に定位するノイズを低減することができる。
【0045】
拡散板42の移動のための拡散板移動手段としては、ステッピングモータ等の機械的手法によって拡散板42を一定量ずつ移動する移動機構等が採用できる。この構成による拡散板42の移動方向は、要素ホログラムの幅方向(図3B中、矢印X方向)であってもよいし、これとは直交する方向(図3A中、矢印Y方向)であってもよい。さらには、これらを組み合わせてもよいし、全くのランダムに移動してもよい。往復動とすることも可能である。
【0046】
このように、拡散板42を配置することで、要素ホログラムの幅内が一様に露光される。そのため、得られるホログラムの画質が向上する。しかしながら、一様な露光を実現しようとすると、拡散板42の拡散をある程度強くする必要がある。拡散板42により拡散された物体光は、ホログラム記録媒体30上で広がりを持ち、本来の要素ホログラムの幅よりも広い範囲を露光してしまうことになる。
【0047】
そこで、光路中に、図4に示すように、マスク44を配置し、その像を記録材料上に投影することにより、各要素ホログラムが適正な幅で露光されるようにする。すなわち、拡散板42による拡散と、マスク44による不要光の遮蔽によって、一様で適正な露光幅が得られるようにする。マスクの位置は、図4Aおよび図4Bに示すように、拡散板42とシリンドリカルレンズ43との間に設けても良いし、ホログラム記録媒体30に近接させても良い。
【0048】
すなわち、表示装置41からの透過光は、拡散板42を透過して要素ホログラムの幅方向に拡散された後、シリンドリカルレンズ43によりホログラム記録媒体30上に集束される。このとき、拡散板42の影響により、物体光は1点には集光せず、ある範囲に広がる。
【0049】
図4に示すように、この広がった集束光のうち、中心部の所定範囲だけをマスク44の開口部44aを透過させ、物体光としてホログラム記録媒体30に入射する。物体光の形状は短冊状である。
【0050】
上述したように、光学機能板45が第2の拡散板として配置されており、物体光は、短冊状の要素ホログラムの長手方向に一次元的に拡散され、ホログラム記録媒体30に照射される。これにより、反射型ホログラムの縦方向(垂直方向)の視野角を広げることができる。
【0051】
通常の水平方向のみに視差を持つホログラフィックステレオグラムでは、この光学機能板45は、最終ホログラフィックステレオグラムの上下方向視野角とほぼ同等の光学機能角を持たせる。
【0052】
ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3は、制御用コンピュータ2の制御のもとに、ホログラム記録媒体30を1要素ホログラム分だけ間欠送りし得る記録媒体送り機構50を備えている。この記録媒体送り機構50は、後述するように、制御用コンピュータ2からの制御信号に基づいて、フィルム状のホログラム記録媒体を間欠送りし得るようになっている。そして、プリンタ装置3でホログラフィックステレオグラムを作成する際は、記録媒体送り機構50にセットされたホログラム記録媒体30に対して、視差画像列の各画像データに基づく画像を短冊状の要素ホログラムとして順次記録する。
【0053】
「ホログラム記録媒体の一例」
ここで、上述したホログラフィックステレオグラム作成システムにおいて使用されるホログラム記録媒体30について、詳細に説明する。このホログラム記録媒体30は、図5に示すように、テープ状に形成されたフィルムベース材30a上に光重合型フォトポリマからなるフォトポリマ層30bが形成される。さらに、当該フォトポリマ層30b上にカバーシート30cが被着されることにより形成された、いわゆるフィルム塗布タイプの記録媒体である。
【0054】
光重合型フォトポリマは、初期状態では、図6Aに示すように、モノマMがマトリクスポリマに均一に分散している。これに対して、図6Bに示すように、10〜400mJ/cm2程度のパワーの光LAを照射すると、露光部においてモノマMが重合する。そして、ポリマ化するにつれて周囲からモノマMが移動してモノマMの濃度が場所によって変化し、これにより、屈折率変調が生じる。この後、図6Cに示すように、1000mJ/cm2程度のパワーの紫外線または可視光LBを全面に照射することにより、モノマMの重合が完了する。このように、光重合型フォトポリマは、入射された光に応じて屈折率が変化するので、参照光と物体光との干渉によって生じる干渉縞を、屈折率の変化として記録することができる。
【0055】
このような光重合型フォトポリマを用いたホログラム記録媒体30は、露光後に特別な現像処理を施す必要が無い。したがって、光重合型フォトポリマを感光部に用いたホログラム記録媒体30を使用する本実施の形態に係るホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3は、構成を簡略化することができる。
【0056】
「記録媒体送り機構」
次に、記録媒体送り機構50について、詳細に説明する。図7は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3の記録媒体送り機構50の部分を拡大した図である。
【0057】
図7に示すように、記録媒体送り機構50は、ローラ51と、間欠送り用ローラ52とを備えており、ホログラム記録媒体30は、ローラ51に巻き付けられた状態でフィルムカートリッジ53内に収納されている。そして、この記録媒体送り機構50は、所定位置に装填されたフィルムカートリッジ53内のローラ51を所定のトルクをもって回転自在に軸支する。さらに、当該フィルムカートリッジ53から引き出されたホログラム記録媒体30は、ローラ51と間欠送り用ローラ52とで保持し得るようになされている。このとき、記録媒体送り機構50は、ホログラム用記録媒体30の主面が、ローラ51と間欠送り用ローラ52と間において物体光に対してほぼ垂直とされる。そのため、ホログラム記録媒体30を保持する。また、ローラ51および間欠送り用ローラ52は、トーションコイルばねにより互いに離反する方向に付勢されている。これにより、ローラ51と間欠送り用ローラ52との間に掛け渡されるようにローディングされたホログラム用記録媒体30に対して、所定のテンションが付与される。
【0058】
記録媒体送り機構50の間欠送り用ローラ52は、図示しないステッピングモータに接続されており、当該ステッピングモータからの回転力に基づいて、図中矢印A1で示す方向に自在に回転し得るようになされている。このステッピングモータは、制御用コンピュータ2から供給される制御信号S2に基づいて、1画像分の露光終了毎に1要素ホログラムに対応した所定角度だけ、間欠送り用ローラ52を順次回転させる。これにより、ホログラム記録媒体30は、1画像分の露光毎に1要素ホログラム分だけ送られることとなる。
【0059】
また、ホログラム記録媒体30の進路のうち間欠送り用ローラ52の後段には、当該進路に沿って紫外線ランプ54が配設されている。この紫外線ランプ54は、露光されたホログラム記録媒体30のモノマMの重合を完了させるためのものであり、間欠送り用ローラ52によって送られてきたホログラム記録媒体30に対して、所定パワーの紫外線UVを照射し得るようになされている。
【0060】
さらに、ホログラム記録媒体30の進路のうち紫外線ランプ54の後段には、回転自在に軸支されたヒートローラ55と、一対の排出用送りローラ56,57と、カッター58とが順次配設されている。
【0061】
ここで、排出用送りローラ56,57は、ホログラム記録媒体30のカバーシート30c側がヒートローラ55の周側面に約半周にわたって密着した状態に巻きつくように、ホログラム記録媒体30を送るようになされている。この排出用送りローラ56,57は、図示しないステッピングモータに接続されており、当該ステッピングモータからの回転力に基づいて回転し得るようになされている。このステッピングモータは、制御用コンピュータ2から供給される制御信号S2に基づいて回転される。すなわち、1画像分の露光終了毎に1要素ホログラムに対応した所定角度だけ、間欠送り用ローラ52の回転と同期して、排出用送りローラ56,57が順次回転する。これにより、ホログラム記録媒体30は、間欠送り用ローラ52と排出用送りローラ56,57と間において弛むことなく、確実にヒートローラ55の周側面に密着した状態で送られることとなる。
【0062】
ヒートローラ55は、内部にヒータ等の発熱手段を備えており、この発熱手段により、その周側面が約120℃程度の温度を保ち得るようになされている。そして、このヒートローラ55は、送られてきたホログラム記録媒体30のフォトポリマ層30bをカバーシート30cを介して加熱する。この加熱により、フォトポリマ層30bの屈折率変調度を増加させ、ホログラム記録媒体30に記録画像を定着させる。このため、ヒートローラ55は、その周側面にホログラム記録媒体30が当接し始めてから離れるまでに記録画像が定着し得る程度の時間がかかるようにその外径が選定されている。
【0063】
また、カッター58は、図示しないカッター駆動機構を備えており、このカッター駆動機構を駆動することにより、送られてきたホログラム記録媒体30を切断し得るようになされている。このカッター駆動機構は、カッター58を駆動させる。すなわち、記録媒体30に視差画像列の各画像データに基づく各画像が全て記録された後、当該記録媒体30の画像が記録された全ての部分が排出された段階で、カッター58が駆動される。これにより、画像データが記録された部分が他の部分から切り離され、1枚のホログラフィックステレオグラムとして外部に排出される。
【0064】
「ホログラフィックステレオグラム作成システムの動作」
以上のような構成を有するホログラフィックステレオグラム作成システムにおいて制御用コンピュータ2の制御の下でホログラフィックステレオグラムを作成する際の動作について図8のフローチャートを参照して説明する。
【0065】
ステップST1では、ホログラム記録媒体30が初期位置とされる。ステップST2がループの開始端のステップであり、ステップST7がループの終了端のステップである。ステップST3〜ステップST6の一連の処理が実行される毎に、要素ホログラムの1本の処理が終了され、全ての要素ホログラムの本数(n)が終了するまで、ST3〜ST6が繰り返される。
【0066】
ステップST3において、制御用コンピュータ2は、データ処理部1から供給された画像データD5に基づいて表示装置41を駆動して、表示装置41に画像を表示させる。ステップST4において、制御用コンピュータ2は、シャッタ32に制御信号S1を送出して所定時間だけシャッタ32を開放させ、ホログラム記録媒体30を露光する。このとき、レーザ光源31から出射されシャッタ32を透過したレーザ光L2のうち、ハーフミラー33によって反射された光L3が、参照光として、ホログラム記録媒体30に入射する。同時に、ハーフミラー33を透過した光L4が、表示装置41に表示された画像が投影された投影光となり、当該投影光が物体光としてホログラム記録媒体30に入射する。これにより、表示装置41に表示された1画像が、ホログラム記録媒体30に短冊状の要素ホログラムとして記録される。
【0067】
そして、1画像の記録が終了すると、ステップST5において、制御用コンピュータ2は、間欠送り用ローラ52を駆動するステッピングモータと、排出用送りローラ56,57を駆動するステッピングモータに制御信号S2を送出する。ステッピングモータを駆動することにより、ホログラム記録媒体30を1要素ホログラム分だけ送らせる。ホログラム記録媒体30を送った後は、振動が減衰するのを待つ時間が設けられる(ステップST6)。
【0068】
次いで、ステップST3に処理が戻り、制御用コンピュータ2がデータ処理部1から供給される次の画像データD5に基づいて表示装置41を駆動して、次の画像を表示装置41に表示させる。この後、上述と同様の動作(ST4,ST5,ST6)を順次繰り返すことにより、データ処理部1から供給される各画像データD5に基づく各画像が、ホログラム記録媒体30に短冊状の要素ホログラムとして順次記録される。
【0069】
すなわち、このホログラフィックステレオグラム作成システムでは、記憶装置12に記録された画像データに基づく画像が表示装置41に順次表示される。これとともに、各画像毎にシャッタ32が開放され、各画像がそれぞれ短冊状の要素ホログラムとしてホログラム記録媒体30に順次記録される。このとき、ホログラム記録媒体30は、1画像毎に1要素ホログラム分だけ送られるので、各要素ホログラムは、観察時の水平方向(横方向)に連続して並ぶこととなる。これにより、水平方向の視差情報の画像が、横方向に連続した複数の要素ホログラムとしてホログラム用記録媒体30に記録される。このようにして水平方向の視差を有するホログラフィックステレオグラムが得られる。
【0070】
以上、露光過程までを説明したが、その後、必要に応じて後処理(ステップST8)が行われ、プリント工程が完了する。紫外線照射、および、加熱が必要なフォトポリマの場合、図7に示すような装置構成とすることができる。すなわち、紫外線ランプ54から紫外線UVが照射される。これにより、モノマMの重合が完了する。次いで、ホログラム記録媒体30は、ヒートローラ55により加熱され、これにより、記録画像の定着がなされる。
【0071】
そして、画像が記録された部分が全て外部に送り出されると、制御用コンピュータ2は、カッター駆動機構に制御信号S2を供給して、カッター駆動機構を駆動する。これにより、ホログラム記録媒体30のうち、画像が記録された部分がカッター58によって切り離され、1枚のホログラフィックステレオグラムとして外部に排出される。
【0072】
以上の工程により、オリジナル原版となる水平方向の視差を有するホログラフィックステレオグラムが完成する。
【0073】
<2.第1の実施の形態>
次に、この発明の第1の実施の形態にかかるホログラム記録媒体の一構成例について説明する。この発明の実施の形態に係るホログラム記録媒体は、オリジナル原版から複製されるホログラムであり、真贋判定が容易なホログラムである。すなわち、この発明の第1の実施の形態にかかるホログラム記録媒体を原版としてさらに不正な複製をしたホログラムは、真正なホログラムと違うことが分かる、という効果がある。さらに、この発明の第1の実施の形態にかかるホログラム記録媒体の不正な複製の防止手段は、本来のホログラム画像の観察の妨げとならない。
【0074】
「ホログラム記録媒体の積層構造」
図9は、この発明の第1の実施の形態にかかるホログラム記録媒体60の積層構造の一構成例を示す断面模式図である。図9に示す一構成例では、ホログラムの観察者側(図9において上側)から順に、保護層98、ホログラム記録層90、光散乱層としての粘着層(接着層とも呼ばれる。)92、剥離層94が積層された構成とされている。粘着層92中には拡散反射部材91が配されている。以下、各層について説明する。
【0075】
ホログラム記録層90は、例えば、上述したような光重合型フォトポリマからなるフォトポリマ層を有する層である。フォトポリマ層の形状維持のために、フィルムベース材30aに相当する層を備えていてもよい。コンタクトプリントにおいて、入射レーザ光と、オリジナル原版からの回折光との干渉縞がホログラム記録層90に記録される。
【0076】
保護層98は、傷の防止、帯電防止、ならびにホログラム形状の安定化のために設けられているものであり、上述のカバーシート30cに対応する層である。特に、オリジナル原版の複製の工程において種々のローラを通すような場合には、ホログラム記録層90の上に保護層98が形成されていることが好ましい。
【0077】
保護層98を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフイルム、アクリルフィルム、ポリアセチルロースフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、トリアセチルロース、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート等を使用できる。保護層98の厚さとしては、0.001mm以上10mm以下が好ましく、0.01mm以上0.1mm以下がより好ましい。
【0078】
粘着層92は、コンタクトプリントによりオリジナル原版の画像情報が記録されたホログラム記録媒体60を被着体に接合するために設けられているものである。粘着層92を構成する材料としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、天然ゴム、カゼイン、ゼラチン、ロジンエステル、テルペン樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、クロマンインデン樹脂、ポリビニルエーテル、シリコーン樹脂等が例示され、また、アルファ−シアノアクリレート系、シリコーン系、マレイミド系、スチロール系、ポリオレフィン系、レゾルシノール系、ポリビニルエーテル系、シリコーン系接着剤等が挙げられる。いずれの粘着材層もその膜厚は、4μm以上300μm以下に塗布形成するとよい。また、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系、変性オレフィン系、反応型ウレタン系、エチレン酢酸ビニル共重合系などの熱可塑性ホットメルト接着剤を用いても良い。この場合、所謂転写箔として薄膜形成することができる。これらホットメルト接着剤のようなものも含めて、今後、粘着材として記述する。
【0079】
粘着層92中には、拡散反射部材91が配されており、光散乱層として作用する。拡散反射部材91は、例えば、金属粉や表面に凹凸を有する金属片である。後述するように、この拡散反射部材91は、この発明の実施の形態にかかるホログラム記録媒体60を観察する際に、該ホログラム記録媒体60に入射した光を拡散反射させるために配される部材である。
【0080】
なお、粘着層92の被着体に対する接合力は、ホログラム記録層90の自己結集力または破断強度に比して、より強くされていることが望ましい。すなわち、ホログラム記録層90と上述した光散乱層とを分離させる場合に、ホログラム記録層の少なくとも一部が、凝集破壊を伴って分断されることが望ましい。その理由は、拡散反射部材91を取り除いてのコンタクトプリントを試みようとして、ホログラム記録層90と粘着層92とを分離しようとしたときに、ホログラム記録層90が先に破壊され、不正な複製を防止できるからである。なお、このような破壊の状況は、剥離速度等に依存する。凝集破壊が起こるかどうかは、JIS Z 0237で規定する180°剥離試験により測定が可能である。その測定条件は、下記の通りである。
測定雰囲気:23℃±2℃、50±5%RH
試験片:25mm巾
貼合:2kgのゴムローラー1往復で圧着
貼合時間:貼り合わせ60分後
剥離角:180°
剥離速度:250mm/min
【0081】
剥離層94は、PET等の樹脂からなる剥離フィルムである。このような構成にすることで、剥離層94を剥離するだけで、ホログラム記録媒体60を粘着層92を介して被着体に対して容易に貼り合わせることができ、該ホログラム記録媒体60をホログラムシールとして使用することができる。
【0082】
上述したような構成を備えるホログラム記録媒体60の製造には、例えば、上述した米国特許第5798850号明細書に記載されている種類のものが適用できるが、もちろん、該ホログラム記録媒体60の製造に用いる装置は、この例に限定されない。
【0083】
「拡散反射部材」
ここで、粘着層92中に配される拡散反射部材91について詳細に説明する。この拡散反射部材91は、この発明の実施の形態にかかるホログラム記録媒体60を原版としたさらなる複製、すなわち不正な複製を試みた際に、オリジナル原版にはなかった画像を不正な複製がされたホログラムに記録する働きをする。
【0084】
図9に示す、この発明の実施の形態にかかるホログラム記録媒体60の一構成例は、拡散反射部材91として、光沢を有する金属粉を粘着層92中に適量混入させた例である。例えば、粘着層92の層厚を30μm程度とした場合、この中に平均約25μm径の金属粉を1cm3当たりに1500個程度混入させる。このとき、15mm角のホログラム記録媒体60を観察すると、混入された金属片が平均10個程度、ランダムの位置に見えることになる。この程度の量の混入では、全体的なホログラムの見易さを悪くすることはないが、マイクロスコープや虫眼鏡で見ればその存在は認識できる。なお、この場合において、粘着層92の透明性は、金属粉の観察の邪魔にならない程度とされる。
【0085】
拡散反射部材91としては、例えば、下記のものが適用できる。
A.メタルカラー蒸着粉(メタリックフレーク、例:ダイヤ工業株式会社製「エルジー」)
B.パールピグメント(真珠光沢顔料、例:日本光研工業株式会社製「アルティミカ(登録商標)」)
C.銀メッキガラスフレーク顔料、アルミニウムフレーク顔料、二酸化チタン顔料またはそれらの混合体
D.クロマフレア顔料(見る角度によってカラーシフトする材料、例:日本ペイント株式会社製「マジョーラ(登録商標)」)
E.ホログラム片(例:ダイヤ工業株式会社製のダイヤホログラムALタイプ、HG−S20AL(0.2mm片、厚さ0.012mm))
F.グリッター(ラメ感のある顔料、例:日本光研工業株式会社製)
G.蛍光顔料(例:シンロイヒ株式会社製「シンロイヒカラー(登録商標)」)
H.蓄光顔料
I.金粉、銅粉、亜鉛粉、金箔、銅箔、亜鉛箔などの金属粉または金属箔
J.ポリエチレンテレフタレートとポリメチルメタクリレートなどの異種フィルム積層体(例:ダイヤ工業株式会社製「レインボーフレーク」)
【0086】
拡散反射部材91として使用される部材は、もちろん、上述したものに限られないし、これらのうちの何種かを積層した多層構造としたり、混合したりしてもよい。拡散反射部材91は、ホログラム記録媒体60を正面から観察した際に、拡散反射部材91の存在が確認できる程度に拡散反射するものが選ばれる。拡散反射部材91を配した層を備えるホログラム記録媒体60をコンタクトプリントによる不正な複製をした際に、拡散反射部材91のホログラム像を不正な複製がされたホログラムに印画させるためである。なお、拡散反射部材91に代えて鏡面反射部材を使用することが可能である。すなわち、球形の反射部材は、鏡面反射成分が多いものであるが、球面の何れか一部が反射して正面が光るし、平面的な金属箔などで、入射光の大部分が反射されてもその方向へのホログラムができる。仮に観察方向が正反射方向に限られるとしても、その正反射のホログラムを見ることで、真正品と偽造品との判別が可能となる。
【0087】
このような反射特性を持つ拡散反射部材91を混入させることで、ホログラム記録媒体60の観察者は、該ホログラム記録媒体60が不正な複製を防止する手段の施されたものであることを容易に知ることができる。また、不正な複製がされたホログラムに印画された拡散反射部材91のホログラム像の存在を、正反射方向とは異なる方向においても確認することができる。
【0088】
拡散反射部材91の大きさは、いずれも、大きさ0.01mm以上3mm以下のものが好ましい。粘着層92の厚みによって拡散反射部材91の大きさの上限が規定され、また、顕微鏡等で拡散反射部材91の存在が確認できること(可視光の波長のオーダより大きいこと)から、拡散反射部材91の大きさの下限が規定される。なお、拡散反射部材91が真球状であれば、粘着層92の厚さに制限を受けるが、箔、片、フレーク状のものであれば、厚さ方向について、粘着層92の厚さ(好ましくは3μm以上50μm以下程度)に入っていれば、ホログラム記録媒体60の主面に沿った方向に3mm程度の大きさがあってもかまわない。
【0089】
拡散反射部材91の含有量は、体積比率にして、好ましくは0.01%以上30%以下、より好ましくは、0.1%以上5%以下である。拡散反射部材91の混入量が少なすぎると、偽造防止性という所期の目的を達しがたくなり、逆に、混入量が多すぎると、ホログラム自体の視認性が劣化したり、粘着層92の粘着性能が劣化したりする。
【0090】
「偽造防止の機能」
次に、この発明の実施の形態にかかるホログラム記録媒体の偽造防止の機能について説明する。図10Aは、この発明の実施の形態にかかるホログラム記録媒体60の上面図である。ここに、ホログラム記録媒体60には、オリジナル原版からコンタクトプリントされた「GENUINE」という画像情報100が記録されているものとする。また、このときの画像情報100は、緑色に対応する波長のレーザ光で記録されたものとする。画像情報100はホログラム記録層90に記録されており、観察者から見てホログラム記録層90の奥側の粘着層92に、拡散反射部材91y,91rが配されている。ホログラム記録媒体60を観察したときに、拡散反射部材91yから知覚される色が黄色に近いものであり、また、拡散反射部材91rから知覚される色が赤色に近いものであるとする。なお、図10においては、偽造防止の機能の理解を容易とするために、拡散反射部材91y,91rを誇張して大きく図示してある。
【0091】
一般的に、ホログラムが観察できる視野角はある範囲に限定されるが、拡散反射部材91y,91rは、鏡面反射以外の反射成分を多く持つため、入射光の正反射方向だけでなく、ホログラムの観察ができる範囲においても、拡散反射部材91y,91rの存在を知覚することができる。また、拡散反射部材91y,91rは、観察者から見てホログラム記録層90の奥側の粘着層92に配されているため、ホログラムに記録された画像情報100の観察の邪魔にはならない。したがって、ホログラム記録媒体の観察者は、緑色の「GENUINE」の画像情報100、拡散反射部材91yからの黄色みを帯びた反射、拡散反射部材91rからの赤みを帯びた反射を確認できることになる。
【0092】
次に、このホログラム記録媒体60を原版とし、図17に示すような方法で、コンタクトプリントによるさらなる複製、すなわち、不正な複製を試みたとする。例えば、この発明の実施の形態にかかるホログラム記録媒体60を原版とし、ホログラム記録媒体(以下、不正記録媒体と適宜称する。)を密着させ、これらの主面にたてた法線と45°の角度をなす方向から、オリジナル原版からのコンタクトプリントに用いたのと同じ波長のレーザ光を入射させたとする。
【0093】
このとき、拡散反射部材91y,91rに入射したレーザ光は、正反射以外の方向にも拡散反射されるため、不正記録媒体には、「GENUINE」の画像情報のみならず、拡散反射部材91y,91rのホログラム像も記録されることになる。さらに、不正記録媒体に記録される拡散反射部材91y,91rのホログラム像は、ホログラムの記録色、すなわち緑色として記録される。図10Bに、この発明の実施の形態にかかるホログラム記録媒体60を原版として、不正な複製を試みた場合の不正記録媒体65の上面図を示す。図10Bにおいて、G部は全て緑色として記録される。
【0094】
したがって、不正記録媒体65に記録されたホログラム像は、真正品であるホログラム記録媒体、すなわち、この発明の実施の形態にかかるホログラム記録媒体60から観察されるホログラム像とは明らかに異なったものとなり、ホログラム記録媒体の真贋判定が容易に行えることになる。
【0095】
また、仮に、不正な複製を行った後の不正記録媒体65の粘着層に、この発明の実施の形態にかかるホログラム記録媒体60の拡散反射部材91y,91rを真似て、黄色みを帯びた反射材93yおよび赤みを帯びた反射材93rを混入させたとする。この場合においても、不正な記録時に印画された、拡散反射部材91y,91rの反射による緑色のホログラム画像は消すことができない。そのため、図10Cに示すように、反射材93y,93rのみならず、拡散反射部材91y,91rの反射による緑色のホログラム画像が観察される。このような緑色のパターンが残っていれば、観察しているホログラムが、不正な複製が行われたものだということがすぐに判別できる。
【0096】
しかも、粘着層92の被着体に対する接合力は、ホログラム記録層90の自己結集力または破断強度に対して強くされているため、拡散反射部材91y,91rを取り除いてのコンタクトプリントを防止することができる。
【0097】
また、例えば、拡散反射部材91として金属粉をこの発明の実施の形態にかかるホログラム記録媒体60の粘着層92に混入させた場合には、粘着層92のどの位置に金属粉が現れるかはランダムであるため、ホログラム画像と金属粉の位置関係はユニークなものとなる。したがって、この発明の実施の形態にかかるホログラム記録媒体60を原版として不正な複製をした不正記録媒体には、同じ位置に金属粉のホログラム像が定位することになる。すなわち、同じ位置に金属粉のホログラム画像が記録されたホログラム記録媒体が多数存在すれば、それは、真正なホログラム記録媒体について不正な複製が行われたことを意味することになる。
【0098】
「第1の実施の形態の変形例」
図11に、黒色の中間基材層93を備えるホログラム記録媒体61の例を示す。このように、ホログラム記録層90および拡散反射部材91が配された粘着層92に対して、観察者から見て奥側に、黒色の層を設けてもよい。この中間基材層93には、被着体に接合するための粘着層92aと、剥離層94とが形成されている。このように、ホログラム記録層90に対して、観察者から見て奥側に、黒色の層を設けるのは、ホログラムの画像のコントラストを上げてホログラムを観察しやすくするためである。ホログラムは光を観察者側に回折させるため、ホログラム画像の無い部分は暗い色、理想的には黒が最もコントラストが高く、ホログラムが見やすいものになる。ここでいう黒色とは、OD(OPTICAL DENSITY)にて1.0以上、または、JIS Z 8729に規定される、L*a*b表色系における明度において30以下、または、可視光領域波長400〜750nmにおける平均反射率が20%以下である。上述の範囲とすると、ホログラムが観察しやすいという結果となった。上述したような黒色の層は、例えば紙でできた層であってもよい。
【0099】
なお、粘着層92に拡散反射部材91を混入させたときの、粘着層92の粘着性能については、拡散反射部材91の粘着層92に対する体積含有率または重量密度で議論するのが適当であるが、粘着層92の厚さにより、見た目の効果は大きく変わる。そのため、拡散反射部材91の混入の効果を見る場合には、粘着層92を形成した後、ホログラム面を垂直方向から観察したときの、単位面積あたりの拡散反射部材91の見える面積を考えるとよい。この面積比率にして、拡散反射部材91の見える面積は、0.001%以上50%以下が好ましく、0.1%以上10%以下がより好ましい。本例においては、0.1%以上10%以下の範囲とした。拡散反射部材91がこの範囲に入っていると、全体として黒っぽいためホログラムのコントラストが上がり、視認性がよい上に、偽造防止対策の効果も十分に発揮できた。
【0100】
黒色の中間基材層93は、カーボン等を分散させたポリエチレンテレフタレートフィルムを用いてもよいし、必要とされる粘着力を落とさない程度に、カーボン等を練り込んだ粘着材を粘着層92aに用いて、黒色の中間層の代わりとしてもよい。また、黒色でなくとも、上面から入射した光の反射を抑える構造体が形成された層を用いてもよい。
【0101】
このような構成とした場合にも、ホログラム記録層90を含むT部、拡散反射部材91が配された粘着層92を含むB部を個別に制作した後にこれらを結合し、一体構成とされたホログラム記録媒体61とできる。
【0102】
図12に、粘着層92ではなく、被着体99に拡散反射部材91を配した例を示す。この例においては、粘着層92bは透明粘着層である。または、被着体99に配された拡散反射部材91が、ホログラムの上面から観察できる程度の透明度を有していれば、例えば、グレーに近い色合いでもよい。この例においては、ホログラムの画像のコントラストを上げるために、被着体99のうちホログラムが被着される部分が黒色とされることが好ましいが、黒色に限定されるわけではなくグレーに近い色合いでもよい。また、拡散反射部材91は、被着体99に完全に埋没しないようにして被着体99に配される。
【0103】
<3.第2の実施の形態>
図13は、この発明の第2の実施の形態にかかるホログラム記録媒体の積層構造の一構成例を示す断面模式図である。図13に示す一構成例では、ホログラムの観察者側(図13において上側)から順に、保護層、ホログラム記録層、粘着層、剥離層が積層された構成とされている点において第1の実施の形態と共通する。ここで、拡散反射部材91が粘着層92中ではなく、ホログラムの観察側の保護層98aに配されている点で、第1の実施の形態とは異なる。
【0104】
第2の実施の形態においても、この発明の第2の実施の形態にかかるホログラム記録媒体120を原版としてさらに不正な複製をしたホログラムには、反射部材の像が不正記録媒体に記録される。したがって、この発明の第2の実施の形態にかかるホログラム記録媒体120を原版としてさらに不正な複製したホログラムは、真正なホログラムと違うことが分かる、という効果がある。
【0105】
第2の実施の形態では、ホログラム記録層90より観察者側に拡散反射部材91が配されているため、ホログラムの再生像の上に、拡散反射部材91が観察されることになる。そのため、ホログラムの再生像を乱さない程度に拡散反射部材91が配される。
【0106】
「第2の実施の形態の変形例」
図14、図15および図16に、その他の層構成の例を示す。図14は、保護層98とホログラム記録層90とを接合する粘着層92bの中に拡散反射部材91を配した層構成の例である。図15は、黒色の中間基材層93をさらに備える層構成の例である。図16は、ホログラム記録層90より観察者側に、透明基材に拡散反射部材91を混入させた中間層95を配した層構成の例である。
【0107】
上述したように、ホログラム記録層90より観察者側の保護層、中間基材層、または粘着層の中に拡散反射部材91を混入させたものであってもよい。この場合、ホログラムの観察者に対してホログラム記録層90より手前側に拡散反射部材が配された層が形成されているので、ホログラム記録媒体90よりも被着体に近い側の粘着層を黒色または黒色に近い色合いとしてもよい。また、上述したような層構成としても、ホログラム記録層90にホログラムを記録後に、上述の層やそれらが積層された部材を貼り合わせることによって、これらのホログラム記録媒体を得ることができる。
【0108】
拡散反射部材が配された層は複数存在してもよい。すなわち、拡散反射部材はホログラム記録層の観察者に対して手前側の粘着層や保護層、奥側の粘着層や保護層の複数に配されるようにしてもよい。それぞれの層には異なる種類の粒子を配しておくと、一層一種から構成されているものよりは偽造防止効果が高まる。つまり、複数の光散乱層とは、樹脂層から構成される光散乱層と粘着層から構成される光散乱層を各々一層以上備えるようにした組み合わせ、樹脂層から構成される光散乱層とホットメルト接着剤から構成される光散乱層を各々一層以上備えるようにした組み合わせ、粘着層から構成される光散乱層とホットメルト接着剤から構成される光散乱層を各々一層以上備えるようにした組み合わせ、樹脂層から構成される光散乱層と粘着層から構成される光散乱層とホットメルト接着剤から構成される光散乱層を各々一層以上備えるようにした組み合わせ、など多数の形態が考えられる。
【0109】
<4.変形例>
以上、この発明の複製防止ホログラムをいくつかの実施例に基づいて説明してきたが、この発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【0110】
拡散反射部材91には、上述したものに限らず、ホログラムの再生色波長を反射、または回折、屈折させるような部材であれば、例えば回折格子片、エンボスホログラム片などを適用してもよい。また、円板状の蒸着フィルム片のようなものを使用してもよい。この場合、フィルム片の層とホログラム記録層90とが平行に近いと、不正な複製によって記録されるホログラム像は正反射方向から見える像となるが、それでもオリジナルと不正な複製との判別は容易である。
【0111】
拡散反射部材は、無機膜層または有機膜層として形成し、無反射粒子を混入させることも可能である。この場合、例えば、スパッタリングなどにより薄膜を形成する際、拡散反射状態の異なる微粒子を同時に形成することができる。
【0112】
ホログラム記録層90と粘着層との間にブロッキング層を設けるようにしてもよい。なお、いずれの例においても、この発明にかかるホログラム記録媒体を構成する粘着層の接合力は、ホログラム記録層90の自己結集力または破断強度に対して、強くされていることが望ましい。
【0113】
コンタクトコピーを防止する目的で、実施例で説明したホログラムは体積型(ボリューム型、リップマン型ともいう。)であるが、エンボス型にも適用できる。
【符号の説明】
【0114】
60、61、62 ・・・ホログラム記録媒体
90 ・・・ホログラム記録層
91、91y、91r ・・・拡散反射部材
92、92a、92b、
92c ・・・粘着層
93 ・・・黒色中間基材層
94 ・・・剥離層
95 ・・・透明中間基材層
98、98a ・・・保護層
99 ・・・被着体
120、121、122、
123 ・・・ホログラム記録媒体
190 ・・・光源
192 ・・・試料
194 ・・・受光器
AP1、AP2 ・・・開口スリット
LE1、LE2、LE3・・・レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラム記録層と、
光散乱層と
を備え、
上記光散乱層には、上記光散乱層を構成する主材料とは異なる反射特性を持つ材料が配されていることを特徴とするホログラム記録媒体。
【請求項2】
上記ホログラム記録層と上記光散乱層とを分離させる場合に、上記ホログラム記録層の凝集破壊を伴って分断されることを特徴とする請求項1に記載のホログラム記録媒体。
【請求項3】
上記ホログラム記録層が、体積型ホログラムまたは体積型ホログラフィックステレオグラムであることを特徴とする請求項1または2に記載のホログラム記録媒体。
【請求項4】
上記光散乱層が、ホログラムの観察者に対して上記ホログラム記録層より奥側に形成されている請求項1ないし3に記載のホログラム記録媒体。
【請求項5】
上記光散乱層が、ホログラムの観察者に対して上記ホログラム記録層より手前側に形成されている請求項1ないし3に記載のホログラム記録媒体。
【請求項6】
上記光散乱層が、光透過部材からなる樹脂に、その樹脂層を構成する主材料とは異なる反射特性を持つ材料が配された層である請求項1ないし5に記載のホログラム記録媒体。
【請求項7】
上記光散乱層が、光透過部材からなる粘着剤に、その粘着剤を構成する主材料とは異なる反射特性を持つ材料が配された層である請求項1ないし5に記載のホログラム記録媒体。
【請求項8】
上記光散乱層が、光透過部材からなるホットメルト接着剤に、そのホットメルト接着剤を構成する主材料とは異なる反射特性を持つ材料が配された層である請求項1ないし5に記載のホログラム記録媒体。
【請求項9】
上記光散乱層が、複数の層から構成されていることを特徴とする請求項1ないし8に記載のホログラム記録媒体。
【請求項10】
上記光散乱層が、着色されている着色層となっていることを特徴とする請求項1ないし9に記載のホログラム記録媒体。
【請求項11】
上記光散乱層よりホログラムの観察者に対して奥側に、さらに着色層を備えることを特徴とする請求項1ないし9に記載のホログラム記録媒体。
【請求項12】
上記着色層が黒色である請求項10または11に記載のホログラム記録媒体。
【請求項13】
上記着色層が樹脂層である請求項11または12に記載のホログラム記録媒体。
【請求項14】
上記着色層が粘着層である請求項11または12に記載のホログラム記録媒体。
【請求項15】
上記着色層が着色された紙層である請求項11または12に記載のホログラム記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−164554(P2011−164554A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30706(P2010−30706)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(594064529)株式会社ソニーDADC (88)
【Fターム(参考)】