説明

ホワイトバランス回路の色温度範囲検出方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、カラーテレビカメラにおけるホワイトバランス回路の色温度範囲検出方法に関するものであり、ホワイトバランス回路の調整精度を向上ならしめるものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、カラーテレビカメラにおけるホワイトバランス回路として図2に示すものが知られている。図2はホワイトバランス回路の本発明に関連した要部のみを示すものである。図2において、1はY信号(輝度信号)が入力される端子であり、CCD等の撮像手段から周知の処理回路を介してY信号が供給される。このY信号はコンパレータよりなる高輝度部分検出回路2に入力される。3はR−Y信号(色差信号)が入力される端子であり、前記撮像手段から前記処理回路を介してこのR−Y信号が供給される。4はB−Y信号(色差信号)が入力される端子であり、前記撮像手段から前記処理回路を介してこのR−Y信号が供給される。前記端子3と4からのR−Y信号とB−Y信号は加算器5と減算器6に供給され、加算器5からはR+B−2Y信号が、また減算器6からはR−B信号が出力される。これらのR+B−2Y信号及びR−B信号は色温度範囲検出回路7に入力される。
【0003】色温度範囲検出回路7は4個の図示していないコンパレータを有し、図3の色度ベクトル平面における斜線部8の範囲内にR+B−2Y信号及びR−B信号の電圧が入るか否かが検出され、これらの電圧が斜線部8内であるときには「ハイ」が出力され、これらの電圧が斜線部8から外れるときには「ロー」が出力される。前記斜線部8はR−B軸に沿ったものであり、光源の色温度変化による白色のベクトル軌跡に一致するように設定してあるが、それ以外の有彩色も含まれている。前記高輝度部分検出回路2では入力されたY信号の電圧が設定値を越えているときには「ハイ」が、また設定値を越えていないときには「ロー」が出力される。前記撮像手段からのテレビ信号が白色を示すものであるときには、高輝度部分検出回路2の出力及び色温度範囲検出回路7の出力が「ハイ」になるので、これらが入力されるアンド回路9の出力は「ハイ」になり、この出力が「ハイ」のときにはスイッチ10が閉成される。この閉成により、前記減算器6からのR−B信号は端子11から白色部分検出信号として出力される。
【0004】この白色部分検出信号により、前記の処理回路においてR−Y信号とB−Y信号のホワイトバランスレベルが制御される。前記R−B信号は色温度の変化と平行して変化するものであり、前記白色部分検出信号は色温度の変化に対応するものとなる。この白色部分検出信号からの色温度情報によってホワイトバランス調整回路が制御されることによりホワイトバランスがとられる。12は前記端子1からのY信号が出力される端子であり、VTRのビデオ回路に供給される。13はエンコーダ回路であり、前記端子3、4からのR−Y信号とB−Y信号とが入力され、クロマ信号に変換される。この変換されたクロマ信号は端子14を介して前記VTRのビデオ回路に供給される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図3の色度ベクトル平面は、基準色温度でホワイトバランス調整した場合における、「低色温度」、「基準色温度」、「高色温度」のカラーバーチャートを写したときの図である。ある色温度でホワイトバランス調整するということは、その色温度の光源の白色が図3の座標の原点に一致することである。もしも、斜線部8がこの範囲で固定されていたとすると、高色温度でホワイトバランス調整すると(WHを原点に移動させることになる)、低色温度の白色WLは斜線部8の範囲外になり、色温度は検出されなくなってしまう。同様に、低色温度でホワイトバランス調整すると(WLを原点に移動させることになる)、高色温度の白色WHは斜線部8の範囲外になり、色温度は検出されなくなってしまう。
【0006】このように、低色温度の白色WLや高色温度の白色WHが斜線部8の範囲外になるのを防止するために、従来では色温度の検出範囲を広くしていた。図4及び図5は色温度の検出範囲を広くしたときの色度ベクトル平面を示すものであり、図4は低色温度でホワイトバランス調整をした場合、図5は高色温度でホワイトバランス調整をした場合である。このように、検出範囲を広くすると、白色の他にも有彩色を検出することになり、ホワイトバランスの調整に誤動作を生ずるという欠点があった。この発明は上記のような従来のものの欠点を除去しするためになされたものであり、有彩色を誤って検出するのを大幅に少なくすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、この発明は、被写体の白色部分を検出してホワイトバランスを制御すべく、R+B−2Y信号とR−B信号とが、設定された色温度範囲にあるか否かを検出する色温度範囲検出回路と、前記R+B−2Y信号とR−B信号とが前記色温度範囲にある場合のみ前記R−B信号を白色部分検出信号として出力するスイッチ等の手段とを備え、該手段から出力された白色部分検出信号によりホワイトバランスを制御するようにしたものにおいて、前記色温度範囲にあるか否かを検出する回路は、4個のコンパレータを有し、これらのコンパレータのうち第1と第2のコンパレータには前記R+B−2Y信号が、また第3と第4のコンパレータには前記R−B信号が入力されて、これらのコンパレータそれぞれに供給されている基準電圧と比較され、これにより前記したR+B−2Y信号とR−B信号とが前記色温度範囲にあるか否かが検出されるようになし、かつ、前記第3と第4のコンパレータに供給される前記基準電圧は前記ホワイトバランスを制御する電圧に応じた電圧、即ち色温度に応じたのであり、これにより前記の設定された色温度範囲は色温度に応じて可変され、比較的狭い色温度範囲でも、高色温度でホワイトバランス調整した際に低色温度の白色が前記色温度範囲の範囲内になり、また低色温度でホワイトバランス調整した際に高色温度の白色が前記色温度範囲の範囲内になるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
【作用】この発明は、上記のように構成することにより、前記斜線部8は必要最小限の範囲のものとなり、このため有彩色を検出するという誤りを大幅に少なくすることができる。
【0009】
【実施例】以下に、この発明の実施例を図について説明する。図1は、図2で説明した色温度範囲検出回路7に代えて用いるこの実施例の色温度範囲検出回路を示すものであり、コンパレータ15、16、17、18とノア回路19により構成されている。コンパレータ15、16には、端子20を介して図2で説明したのと同様のR+B−2Y信号が入力され、またコンパレータ17、18には、端子21を介して図2で説明したのと同様のR−B信号が入力される。コンパレータ15の他方の入力端子には、端子22を介して図3の■から■に至る線上の電圧が、コンパレータ16の他方の入力端子には、端子23を介して図3の■から■に至る線上の電圧が、コンパレータ17の他方の入力端子には、端子24を介して図3の■から■に至る線上の電圧が、またコンパレータ18の他方の入力端子には、端子25を介して図3の■から■に至る線上の電圧が、それぞれ入力される。
【0010】前記コンパレータ15は、Mg、R、Bのときに出力が「ハイ」になり、コンパレータ16は、Ye、Cy、Gのときに出力が「ハイ」になる。コンパレータ17は、最低色温度以下のときに出力が「ハイ」になり、コンパレータ18は、最高色温度以上のときに出力が「ハイ」になる。従って、ノア回路19の出力は図3の色度ベクトル平面上の■から■に至る線、■から■に至る線、■から■に至る線及び■から■に至る線に囲まれたときのみ「ハイ」になる。この出力は、端子26を介して前記図2のアンド回路9に供給される。
【0011】前記コンパレータ15〜18に入力される基準電圧のうち、コンパレータ17、18に入力される基準信号である、図3の■から■に至る線上の電圧と■から■に至る線上の電圧として、それぞれ図示していないD/Aコンバータの出力が供給されるようになっている。これらのD/Aコンバータの出力は、前記したホワイトバランスを制御している電圧に応じた電圧であり、色温度に応じたものである。このように、コンパレータ17、18の基準電圧を色温度に応じて変化させることにより、色温度検出の範囲は必要最小限に小さくすることができる。色温度検出範囲が小さいと、誤って有彩色を検出することが大幅に減少する。図6、図7は図1の回路を用いた場合の色温度検出範囲を示すものであり、図6は低色温度でホワイトバランス調整をした場合、図7R>7は高色温度でホワイトバランス調整をした場合である。図6、図7では、前記図4、図5に比べて色温度検出の範囲が狭くなった分、有彩色を誤って検出する確率は大幅に減少する。
【0012】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、有彩色を誤って検出する確率を大幅に減少させることができるので、白色部分を検出する方式のホワイトバランス回路の調整精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を説明するための回路図である。
【図2】従来のホワイトバランス回路の要部を示す回路図である。
【図3】ホワイトバランス回路の作用を説明するための色度ベクトル平面図である。
【図4】従来のホワイトバランス回路の作用を説明するための色度ベクトル平面図である。
【図5】従来のホワイトバランス回路の作用を説明するための色度ベクトル平面図である。
【図6】この発明の実施例の作用を説明するための色度ベクトル平面図である。
【図7】この発明の実施例の作用を説明するための色度ベクトル平面図である。
【符号の説明】
2 高輝度部分検出回路
7 色温度範囲検出回路
9 アンド回路
10 スイッチ
15 コンパレータ
16 コンパレータ
17 コンパレータ
18 コンパレータ
19 ノア回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カラーテレビカメラにおけるホワイトバランス回路であって、被写体の白色部分を検出してホワイトバランスを制御すべく、カラー撮像手段からの処理回路を介して得られたR+B−2Y信号とR−B信号とが設定された色温度範囲にあるか否かを検出する手段と、前記R+B−2Y信号とR−B信号とが前記色温度範囲にある場合のみ前記R−B信号を白色部分検出信号として出力する手段とを備え、該手段から出力された白色部分検出信号によりホワイトバランスを制御するようにしたものにおいて、前記色温度範囲にあるか否かを検出する手段は、4個のコンパレータを有し、これらのコンパレータのうち第1と第2のコンパレータには前記R+B−2Y信号が、また第3と第4のコンパレータには前記R−B信号が入力されて、これらのコンパレータそれぞれに供給されている基準電圧と比較され、これにより前記したR+B−2Y信号とR−B信号とが前記色温度範囲にあるか否かが検出されるようになし、かつ、前記第3と第4のコンパレータに供給される前記基準電圧は前記ホワイトバランスを制御する電圧に応じた電圧、即ち色温度に応じたものであり、これにより前記の設定された色温度範囲は色温度に応じて可変され、比較的狭い色温度範囲でも、高色温度でホワイトバランス調整した際に低色温度の白色が前記色温度範囲の範囲内になり、また低色温度でホワイトバランス調整した際に高色温度の白色が前記色温度範囲の範囲内になるようにしたことを特徴とするホワイトバランス回路の色温度範囲検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【特許番号】第2618297号
【登録日】平成9年(1997)3月11日
【発行日】平成9年(1997)6月11日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−181989
【出願日】平成3年(1991)6月26日
【公開番号】特開平5−7370
【公開日】平成5年(1993)1月14日
【出願人】(000000022)赤井電機株式会社 (4)
【参考文献】
【文献】特開 昭63−219291(JP,A)
【文献】特開 平2−94790(JP,A)
【文献】特開 平4−79692(JP,A)