説明

ホースの製法およびそれによって得られたホース

【課題】バリア性(耐冷媒透過性)と柔軟性の両立を図ることができ、屈曲時のホース割れの問題を解消することができる、ホースの製法の提供を目的とする。
【解決手段】ポリアミド樹脂4と、変性ポリオレフィン系エラストマー5とのブレンド物を主成分とする樹脂層用材料からなる管状の樹脂層1を有するホースの製法であって、押し出し工程によって得られた管状の樹脂層1において、その内周面および外周面に形成された内側スキン層2および外側スキン層3のうち、外側スキン層3に化学的表面処理を施し、外側スキン層3を除去するホースの製法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースの製法およびそれによって得られたホースに関するものであり、詳しくは、自動車用の冷媒輸送ホース等に使用されるホースの製法およびそれによって得られた、冷媒輸送ホース等のホースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オゾン層破壊ガスの蒸散規制強化に伴い、自動車等に使用される冷媒輸送ホース(エアコンホース)のバリア性(耐冷媒透過性)に対する要求が厳しくなっている。そのため、冷媒輸送ホース材料には、ポリアミド樹脂のような結晶性の高い樹脂が使用されている。
【0003】
このポリアミド樹脂はバリア性(耐冷媒透過性)には優れているが、柔軟性が劣るため、ホースが屈曲する際に割れやすいという欠点がある。そのため、冷媒輸送ホース材料としては、ポリアミド樹脂が単体で使用されることはなく、変性ポリオレフィン等のポリアミド樹脂に比べて柔らかい材料を、ポリアミド樹脂にブレンドしたものが使用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4365454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の冷媒輸送ホースは、変性ポリオレフィンをブレンドすることにより、ポリアミド樹脂単体に比べて、ホースに柔軟性を付与することができるが、屈曲時(振動時)にホースが割れるという不具合があり、ホース割れの問題を充分に解消することができないという問題が残されている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、バリア性(耐冷媒透過性)と柔軟性の両立を図ることができ、屈曲時のホース割れの問題を解消することができる、ホースの製法およびそれによって得られたホースの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、ポリアミド樹脂と変性ポリオレフィン系エラストマーとのブレンド物を主成分とする樹脂層用材料からなる管状の樹脂層を有するホースの製法であって、押し出し工程によって得られた管状の樹脂層において、その内周面および外周面に形成された内側スキン層および外側スキン層のうち、外側スキン層に化学的表面処理を施し、外側スキン層を除去するホースの製法を第1の要旨とする。
【0008】
また、本発明は、上記ホースの製法により得られるホースを第2の要旨とする。
【0009】
すなわち、本発明者らは、バリア性(耐冷媒透過性)と柔軟性の両立を図ることができ、屈曲時のホース割れの問題を解消することができるホースを得るため、鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、ポリアミド樹脂と、変性ポリオレフィン系エラストマーとのブレンド物を主成分とする樹脂層用材料をホース状に押し出すと、上記樹脂層用材料からなる管状の樹脂層1(図1参照)の内周面および外周面に、図2(図1のA部の拡大図)に示すように、ポリアミド樹脂4からなる、厚み3〜5μm程度の内側スキン層2および外側スキン層3が形成されることを突き止めた。これは、ポリアミド樹脂4の溶融粘度が、変性ポリオレフィン系エラストマー5の溶融粘度に比べて低く、溶融粘度が低いポリアミド樹脂4が、変性ポリオレフィン系エラストマー5よりも溶融しやすいため、ポリアミド樹脂4からなるスキン層2,3が形成されるものと思われる。しかしながら、先に述べたように、ポリアミド樹脂は、結晶性が高い樹脂で、柔軟性が劣るため、ポリアミド樹脂4からなるスキン層2,3も、柔軟性に劣る。管状の樹脂層1の内周面側の内側スキン層2は、ホースの屈曲に追従しやすく、ホース割れの問題は生じることがないが、管状の樹脂層1の外周面側の外側スキン層3は、ホースの屈曲(振動)に追従しにくく、ホース屈曲時に局部的に応力が集中するため、外側スキン層3が起点となって樹脂層1の割れが生じることを突き止めた。そこで、本発明者らは、この問題を解決するためさらに研究を続けたところ、上記外側スキン層3に酸処理,溶剤処理等の化学的表面処理を施すと、外側スキン層3を形成しているポリアミド樹脂4の表面スキン層を溶解し、その結果、図3に示すように、管状の樹脂層1の表面から外側スキン層3のみを除去することができ、ホース割れの不具合を解消することができることを見いだし、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明は、外側スキン層3に化学的表面処理を施すことにより、樹脂層1表面から、ホース屈曲時のホース変形に追従することができない外側スキン層3を除去している。そのため、得られたホースは、ホース屈曲時の応力の集中を緩和することができ、ホース変形に追従することができるようになり、結果、ホースの内面樹脂割れという不具合を解消することができる。また、上記化学的表面処理により、図3に示すように、樹脂層1の外周表面1aは、凹凸に形成されるため、樹脂層1の外周面にゴム層を成形するようなホース態様(例えば、冷媒輸送ホース)においては、いわゆる投錨効果により、樹脂層1とゴム層との接着性が向上するようになる。さらに、管状の樹脂層は、バリア性(耐冷媒透過性)に優れたポリアミド樹脂と、柔軟性のある変性ポリオレフィン系エラストマーとのブレンド物を主成分とする樹脂層用材料からなるため、得られたホースは、バリア性(耐冷媒透過性)と柔軟性の両立を図ることができる。
【0011】
上記図3においては、化学的表面処理により、外側スキン層3を完全に除去しているが、本発明においては、外側スキン層3を完全に除去する場合に限定されず、樹脂層1の外周表面に外側スキン層3が部分的に残っている場合も含む意味である。この場合は、部分的に存在する外側スキン層3による投錨効果がより大きくなるため、樹脂層1とゴム層との接着性がより向上するようになる。
【0012】
また、変性ポリオレフィン系エラストマーの変性が、無水マレイン酸変性およびエポキシ変性の少なくとも一方であると、ホースの柔軟性が向上するようになる。
【0013】
そして、ポリアミド樹脂(a)と、変性ポリオレフィン系エラストマー(b)とのブレンド比が、重量比で、(a)/(b)=90/10〜60/40の範囲であると、バリア性(耐冷媒透過性)に優れたポリアミド樹脂と、柔軟性のある変性ポリオレフィン系エラストマーとにより、バリア性(耐冷媒透過性)と柔軟性のバランスが良好となる。
【0014】
また、外側スキン層を除去した樹脂層面上に、ゴム層を形成すると、このゴム層がカバーゴム層として作用するため、例えば、自動車用の冷媒輸送ホース等の用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】押し出し工程によって得られた管状の樹脂層を示す模式図である。
【図2】図1に示す管状の樹脂層のA部を拡大した模式図である。
【図3】化学的表面処理後の本発明のホースを示す模式図である。
【図4】ホイップ試験の内容を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0017】
本発明のホースの製法は、ポリアミド樹脂と、変性ポリオレフィン系エラストマーとのブレンド物を主成分とする樹脂層用材料をホース状に押し出して、管状の樹脂層1を形成する(図1参照)。つぎに、上記管状の樹脂層1において、その内周面および外周面に形成された内側スキン層2および外側スキン層3のうち(図2参照)、外側スキン層3に化学的表面処理を施し、図3に示すように、樹脂層1表面から外側スキン層3を除去してなるホースを製造する。本発明においては、この化学的表面処理により、外側スキン層3を除去する工程が最大の特徴である。なお、管状の樹脂層1の形成においては、必要に応じて、マンドレルを使用しても差し支えない。
【0018】
《化学的表面処理》
樹脂層1の外周面から外側スキン層3を除去するための化学的表面処理としては、例えば、酸処理、溶剤処理等があげられる。なかでも、取扱い、加工性の点で、酸処理が好ましい。
【0019】
上記酸処理としては、例えば、ギ酸、酢酸等の有機酸の5〜10%水溶液を作製し、これを外側スキン層3の表面に塗布した後、洗浄する方法があげられる。
【0020】
また、上記溶剤処理に使用する溶剤としては、例えば、クレゾール、レゾルシノール、フェノール、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)等の有機溶剤があげられる。
【0021】
上記溶剤処理としては、例えば、レゾルシノールの5〜10%水溶液を作製し、これを外側スキン層3の表面に塗布し、洗浄した後、乾燥する方法や、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を直接外側スキン層3の表面に塗布した後、乾燥する等の方法があげられる。なお、場合により60〜80℃程度に熱した溶液を使用することも可能である。
【0022】
上記溶液の塗布方法としては、刷毛塗り、スプレーコーティング、ディッピング等の方法があげられる。
【0023】
上記溶液の洗浄方法としては、例えば、水洗、中和剤による洗浄等の方法があげられる。
【0024】
また、上記溶液の乾燥法としては、例えば、自然乾燥、熱風乾燥等の方法があげられる。
【0025】
つぎに、樹脂層1を形成する各成分について説明する。
【0026】
《ポリアミド樹脂》
ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド92(PA92)、ポリアミド99(PA99)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド912(PA912)、ポリアミド1010(PA1010)、ポリアミド6とポリアミド12との共重合体(PA6/12)、ポリアミド6とポリアミド66との共重合体(PA6/66)、芳香族系ナイロン等があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、バリア性(耐冷媒透過性)、層間接着性に優れることから、ポリアミド6が好ましい。
【0027】
《変性ポリオレフィン系エラストマー》
変性ポリオレフィン系エラストマーは、例えば、エチレン,プロピレン,ブタジエン等のオレフィンやジエンモノマーを単独重合または共重合したポリオレフィン系エラストマーに、無水マレイン酸、シリコーン(シラン)、塩素、アミン、アクリル、エポキシ化合物等でポリマー側鎖および末端を化学修飾することによって得られる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、接着性や加工性に優れる点で、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)あるいはグリシジルメタクリレートとエチレンとのコポリマー(エポキシ変性ポリオレフィン系エラストマー)が好ましい。
【0028】
上記ポリアミド樹脂(a)と、変性ポリオレフィン系エラストマー(b)とのブレンド比は、重量比で、(a)/(b)=90/10〜60/40の範囲が好ましく、特に好ましくは(a)/(b)=85/15〜70/30の範囲である。すなわち、ポリアミド樹脂(a)のブレンド比が高すぎると、柔軟性が悪くなる傾向がみられ、逆にポリアミド樹脂(a)のブレンド比が低すぎると、バリア性(耐冷媒透過性)が悪くなる傾向がみられるからである。
【0029】
上記ポリアミド樹脂と、変性ポリオレフィン系エラストマーとのブレンド物としては、例えば、ポリアミド樹脂と、変性ポリオレフィン系エラストマーとをアロイ化したもの等があげられる。
【0030】
なお、上記樹脂層1用形成用材料(樹脂材料)には、上記ポリアミド樹脂と、変性ポリオレフィン系エラストマーとのブレンド物以外にも、充填剤、可塑剤、老化防止剤等の添加剤を必要に応じて適宜に配合することができる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0031】
本発明に使用するホースは、その用途に応じて、ホースの層構成が異なるが、例えば、自動車用の冷媒輸送用途には、上記樹脂層1の外周面に、ブチルゴム層(カバーゴム層)が形成され、補強層を介して、一層もしくは二層のEPDM層が形成された構成の冷媒輸送ホースが使用される。なお、二層のEPDM層を形成する場合は、必要に応じて、EPDM層間に補強層を形成しても差し支えない。また、ホースの層間接着性向上のため、各層間には接着剤を塗布しても差し支えない。なお、本発明においては、バリア性(耐冷媒透過性)向上の点から、管状の樹脂層1は、流通流体(冷媒等)と接する最内層であることが好ましい。
【0032】
《ブチルゴム層(カバーゴム層)》
上記樹脂層1の外周面には、冷媒遮断作用や水分遮断作用の点から、ブチル系ゴムをゴム基材とするブチルゴム層が形成される。上記ブチルゴム層を形成するゴム組成物としては、ブチル系ゴムの他、樹脂架橋剤、レゾルシノール系化合物(接着剤成分)、メラミン系化合物(接着剤成分)、カーボンブラック、充填剤、軟化剤、粘着付与剤、加工助剤等を、必要に応じて適宜に配合することができる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0033】
〈ブチル系ゴム〉
上記ブチル系ゴムとしては、例えば、ブチルゴム(IIR)や、ハロゲン化ブチルゴム等が用いられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。上記ハロゲン化ブチルゴムとしては、例えば、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)等が用いられる。
【0034】
〈樹脂架橋剤〉
樹脂架橋剤としては、例えば、アルキルフェノールのホルムアルデヒド縮合体等があげられる。上記樹脂架橋剤としては、具体的には、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド縮合体(田岡化学工業社製、タッキロール201MB35)等があげられる。
【0035】
上記樹脂架橋剤の含有量は、上記ブチル系ゴム100重量部に対して20〜40重量部が好ましい。
【0036】
〈レゾルシノール系化合物(接着剤成分)〉
上記レゾルシノール系化合物としては、主に接着剤として作用するものが好ましく、例えば、変性レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン、レゾルシン・ホルムアルデヒド(RF)樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、蒸散性、ゴムとの相溶性の点で、変性レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂が好適に用いられる。
【0037】
上記変性レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、下記の一般式(1)〜(3)で表されるものがあげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、特に一般式(1)で表されるものが好ましい。
【0038】
【化1】

【0039】
【化2】

【0040】
【化3】

【0041】
上記レゾルシノール系化合物の含有量は、上記ブチル系ゴム100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜5重量部である。
【0042】
〈メラミン系化合物(接着剤成分)〉
メラミン系化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド・メラミン重合物のメチル化物、ヘキサメチレンテトラミン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらは、架橋の際の加熱下で分解し、ホルムアルデヒドを系に供給する。これらのなかでも、低揮発性、ゴムとの相溶性が優れるという点で、ホルムアルデヒド・メラミン重合物のメチル化物が好ましい。
【0043】
上記ホルムアルデヒド・メラミン重合物のメチル化物としては、例えば、下記の一般式(4)で表されるものが好ましい。特に、一般式(4)中、n=1の化合物が43〜44重量%、n=2の化合物が27〜30重量%、n=3の化合物が26〜30重量%の混合物が好ましい。
【0044】
【化4】

【0045】
上記メラミン系化合物の含有量は、上記ブチル系ゴム100重量部に対して、5重量部以下が好ましい。
【0046】
上記レゾルシノール系化合物とメラミン系化合物との配合比は、重量比で、1:0.5〜1:2の範囲が好ましく、特に好ましくは1:0.77〜1:1.5の範囲である。
【0047】
〈カーボンブラック〉
カーボンブラックとしては、例えば、SAF級、ISAF級、HAF級、MAF級、FEF級、GPF級、SRF級、FT級、MT級等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0048】
上記カーボンブラックの含有量は、上記ブチル系ゴム100重量部に対して30〜150重量部の範囲が好ましい。
【0049】
〈充填剤〉
充填剤としては、例えば、タルク、マイカのような鉱物由来の無機化合物等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0050】
上記充填剤の含有量は、上記ブチル系ゴム100重量部に対して1〜200重量部の範囲が好ましい。
【0051】
〈軟化剤〉
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリン等のワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0052】
上記軟化剤の含有量は、上記ブチル系ゴム100重量部に対して40重量部以下が好ましい。
【0053】
上記ゴム組成物は、各成分を配合し、これらをニーダー,バンバリーミキサー,ロール等の混練機を用いて混練することにより、調製することができる。
【0054】
《補強層》
上記補強層の形成材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN),アラミド,ポリアミド,ビニロン,レーヨン,金属ワイヤ等の補強線材を用いることができる。上記補強層は、上記補強線材をスパイラル編組,ブレード編組,ニット編組等により編組することにより作製することができる。
【0055】
《EPDM層》
上記EPDM層を形成する材料(ゴム組成物)としては、EPDM以外に、カーボンブラック、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、プロセスオイル、共架橋剤、老化防止剤、リターダ等を、必要に応じて適宜に配合することができる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0056】
〈カーボンブラック〉
上記カーボンブラックとしては、押出加工性や補強性に優れたものが好ましく、例えば、SAF級、ISAF級、HAF級、MAF級、FEF級、GPF級、SRF級、FT級、MT級等のものがあげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、SAF級カーボンブラックが好ましい。
【0057】
上記カーボンブラックの含有量は、EPDM100重量部に対して、20〜140重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは60〜120重量部の範囲である。すなわち、カーボンブラックの含有量が少なすぎると、補強性の効果が乏しく、逆にカーボンブラックの含有量が多すぎると、硬くなり柔軟性が悪化する傾向がみられるからである。
【0058】
〈加硫剤〉
上記加硫剤としては、例えば、硫黄、過酸化物加硫剤(パーオキサイド加硫剤)等が、単独でもしくは併用される。このなかでも、貯蔵安定性、コストの点で、硫黄が好ましい。
【0059】
上記過酸化物加硫剤としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類や、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類や、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類や、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類や、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、臭気の問題がない点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンが好適に用いられる。
【0060】
上記加硫剤として硫黄を使用する場合、その含有量は、EPDM100重量部に対して、0.2〜5重量部の範囲が好まし、特に好ましくは0.5〜2重量部の範囲である。また、上記加硫剤として過酸化物加硫剤を使用する場合、その含有量は、EPDM100重量部に対して、0.2〜5重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜2重量部の範囲である。すなわち、加硫剤の含有量が少なすぎると、加硫が不充分で、ホースの強度に劣り、逆に加硫剤の含有量が多すぎると、硬くなりすぎ、ホースの柔軟性に劣る傾向がみられる他、スコーチタイムが短くなり、加工性が悪化する傾向がみられるからである。
【0061】
〈加硫促進剤〉
上記加硫促進剤としては、例えば、チアゾール系,スルフェンアミド系,チウラム系,アルデヒドアンモニア系,アルデヒドアミン系,グアニジン系,チオウレア系等の加硫促進剤があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、加硫反応性に優れる点で、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
【0062】
上記加硫促進剤の含有量は、EPDM100重量部に対して、0.2〜5重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜2重量部の範囲である。
【0063】
上記チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール(M)、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩(NaMBT)、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩(ZnMBT)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、加硫反応性に優れる点で、ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール(M)が好ましい。
【0064】
上記スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NOBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CM)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド(BBS)、N,N′−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0065】
上記チウラム系加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TET)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBZTD)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0066】
〈加硫助剤〉
上記加硫助剤としては、例えば、亜鉛華(ZnO)、ステアリン酸、酸化マグネシウム等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0067】
上記加硫助剤の含有量は、EPDM100重量部に対して、1〜25重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは3〜10重量部の範囲である。
【0068】
〈プロセスオイル〉
上記プロセスオイルとしては、例えば、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、アロマ系オイル等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0069】
上記プロセスオイルの含有量は、EPDM100重量部に対して、5〜100重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは20〜80重量部の範囲である。
【0070】
〈共架橋剤〉
上記共架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好適に用いられ、これらとともに、トリアリルシアヌレート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、p−キノンジオキシム、p,p−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0071】
上記共架橋剤の含有量は、EPDM100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜7重量部の範囲である。
【0072】
〈老化防止剤〉
上記老化防止剤としては、例えば、カルバメート系,フェニレンジアミン系,フェノール系,ジフェニルアミン系,キノリン系等の老化防止剤や、ワックス類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0073】
上記老化防止剤の含有量は、EPDM100重量部に対して、0.2〜2重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜1重量部の範囲である。
【0074】
上記ゴム組成物は、各成分を配合し、これらをニーダー,バンバリーミキサー,ロール等の混練機を用いて混練することにより、調製することができる。
【0075】
ここで、上述した冷媒輸送ホースの製法について説明する。すなわち、まず、ポリアミド樹脂と、変性ポリオレフィン系エラストマーとのブレンド物を主成分とする樹脂層用材料をホース状に押し出して、管状の樹脂層1を形成する(図1参照)。つぎに、上記管状の樹脂層1において、その内周面および外周面に形成された内側スキン層2および外側スキン層3のうち(図2参照)、外側スキン層3に化学的表面処理を施し、図3に示すように、樹脂層1表面から外側スキン層3を除去してなるホースを製造する。なお、必要に応じて、マンドレルを使用しても差し支えない。つぎに、ブチルゴム層用材料であるゴム組成物を押し出し成形して、ブチルゴム層を形成した後、その外周面に補強糸をブレード編組することにより補強層を形成する。さらに、上記補強層の外周面に、EPDM層用材料であるゴム組成物を押し出し成形して、EPDM層を形成する。なお,必要に応じて、このEPDM層の外周面に、補強糸をブレード編組して補強層を形成し、さらに、その外周面にEPDM層を形成しても差し支えない。
【0076】
本発明のホースにおいて、ホース内径は5〜40mmの範囲が好ましい。また、上記樹脂層1の厚みは、0.01〜0.5mmの範囲が好ましく、特に好ましくは0.10〜0.20mm、スキン層2,3の厚みは、1〜7μmの範囲が好ましく、特に好ましくは3〜5μmの範囲である。また、ブチルゴム層の厚みは、通常、1〜2mmの範囲、EPDM層の厚みは、通常、0.5〜2mmの範囲である。
【実施例】
【0077】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0078】
〔実施例1〕
〈樹脂層用材料の調製〉
ポリアミド樹脂であるポリアミド6(PA6)(宇部興産社製、ナイロン6 1030B)に、変性ポリオレフィン系エラストマーである無水マレイン酸変性EPDM(三井化学社製、タフマーMH7030)を2軸混練機(JSW社製)を使用し、ポリアミド樹脂の融点以上(250℃)の設定温度でブレンドして準備した。なお、ポリアミド樹脂(a)と、変性ポリオレフィン系エラストマー(b)とのブレンド比(重量比)は、(a)/(b)=70/30である。
【0079】
〈ゴム層用材料(ゴム組成物)の調製〉
塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)(JSR社製、ブチルHT1066)100重量部と、前記一般式(3)で表される変性レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂(住友化学工業社製、スミカノール620)5重量部と、前記一般式(4)で表されるホルムアルデヒド・メラミン重合物のメチル化物(住友化学工業社製、スミカノール507AP)3.85重量部と、酸化亜鉛(堺化学工業社製、酸化亜鉛二種)5重量部と、ステアリン酸(花王社製、ルーナックS30)1重量部と、FEF級カーボンブラック(東海カーボン社製、シーストSO)50重量部と、ナフテンオイル(出光興産社製、ダイアナプロセスNM−300)10重量部とを配合し、これらをバンバリーミキサー(神戸製鋼社製)およびロール(日本ロール社製)を用いて混練してゴム組成物を調製した。
【0080】
〈樹脂層の形成〉
TPX(三井化学社製)製のマンドレル(外径12mm)を準備し、マンドレル上に、上記樹脂層用材料をホース状に押し出し成形して、内側スキン層(厚み4μm)および外側スキン層(厚み4μm)を有する、管状の樹脂層(厚み0.15mm)を形成した。
【0081】
〈化学的表面処理〉
つぎに、上記外側スキン層に酸処理を施した。すなわち、ギ酸の10%水溶液を作製し、これを外側スキン層の表面に刷毛塗りにより塗布した後、水洗して水溶液を洗浄した。
【0082】
〈ゴム層の形成〉
上記樹脂層の外周面上に、上記で調製したゴム組成物を押し出し成形して、ゴム層(厚み1.6mm)を形成した。つぎに、この積層ホース体を加硫(170℃×30分)した後、マンドレルを抜き取り、長尺の成形品を所望の長さ(長さ40cm)に切断することにより、ホース(内径12mm)を作製した。
【0083】
〔実施例2〕
〈樹脂層用材料の調製〉
ポリアミド樹脂であるポリアミド6(PA6)(宇部興産社製、ナイロン6 1030B)に、グリシジルメタクリレートとエチレンとのコポリマー(住友化学社製、ボンドファースト2C)を2軸混練機(JSW社製)を使用し、ポリアミド樹脂の融点以上(250℃)の設定温度でブレンドして準備した。なお、ポリアミド樹脂(a)と、変性ポリオレフィン系エラストマー(b)とのブレンド比(重量比)は、(a)/(b)=80/20である。
そして、上記樹樹脂層用材料を用いる以外は、実施例1に準じて、ホースを作製した。
【0084】
〔実施例3〕
化学的表面処理を実施例1の酸処理に代えて、溶剤処理に変更する以外は、実施例1に準じて、ホースを作製した。
【0085】
〈樹脂層の形成〉
実施例1に準じて、内側スキン層(厚み4μm)および外側スキン層(厚み4μm)を有する、管状の樹脂層(厚み0.15mm)を形成した。
【0086】
〈化学的表面処理〉
上記外側スキン層に溶剤処理を施した。すなわち、上記外側スキン層の表面に、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)溶液を刷毛塗りにより塗布した後、自然乾燥した。
【0087】
〈ゴム層の形成〉
上記樹脂層の外周面上に、上記で調製したゴム組成物を押し出し成形して、ゴム層(厚み1.6mm)を形成した。つぎに、この積層ホース体を加硫(170℃×30分)した後、マンドレルを抜き取り、長尺の成形品を所望の長さ(長さ40cm)に切断することにより、ホース(内径12.0mm)を作製した。
【0088】
〔実施例4〕
〈樹脂層用材料の調製〉
ポリアミド樹脂であるポリアミド6(PA6)(宇部興産社製、ナイロン6 1030B)に代えて、ノナンジアミンと蓚酸ジブチルとの重縮合体(ポリオキサミド樹脂)であるポリアミド92(PA92)(宇部興産社製、400B)を使用する以外は、実施例1に準じて、樹脂層用材料を調製した。
そして、上記樹樹脂層用材料を用いる以外は、実施例1に準じて、ホースを作製した。
【0089】
〔比較例1〕
化学的表面処理を施されない以外は、実施例1に準じて、ホースを作製した。
【0090】
〈樹脂層の形成〉
実施例1に準じて、内側スキン層(厚み4μm)および外側スキン層(厚み4μm)を有する、管状の樹脂層(厚み0.15mm)を形成した。
【0091】
〈ゴム層の形成〉
上記樹脂層の外周面に存在する外側スキン層の表面に、上記で調製したゴム組成物を押し出し成形して、ゴム層(厚み1.6mm)を形成した。つぎに、この積層ホース体を加硫(170℃×30分)した後、マンドレルを抜き取り、長尺の成形品を所望の長さ(長さ40cm)に切断することにより、ホース(内径12.0mm)を作製した。
【0092】
このようにして得られた実施例および比較例のホースを用いて、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。これらの結果を、下記の表1に併せて示した。
【0093】
〔化学的表面処理後の状態〕
化学的表面処理後の、管状の樹脂層の外周表面の状態を目視により観察した。評価は、外側スキン層が完全に除去されておらず、樹脂層の外側表面に外側スキン層が部分的に残っているものを「凹凸」、化学的表面処理を施しておらず、外側スキン層が除去されていないものを「平坦」と記載した。
【0094】
〔層間接着性〕
各ホースから接着評価用試料(幅20mm、長さ100mm)を切り出し、これを引張試験機(JIS B 7721)に取り付けて、ゴム層側を固定して樹脂層側を毎分50mmの速度で引張り、ゴム層と樹脂層の剥離状態を目視により観察した。評価は、ゴム層が破壊したものを「ゴム破壊」とした。
【0095】
〔屈曲疲労性〕
各ホースの屈曲疲労性を評価するため、以下のようにしてホイップ試験を行った。すなわち、図4に示すように、試験長(ホース長)300mmのホース11の一端12を固定し、縦9mm、横18mmの楕円振動、圧力3.5MPa、試験温度130℃の条件で、100万回ホイップ試験を行った。評価は、樹脂層に割れが生じたものを×、割れが生じなかったものを○とした。
【0096】
【表1】

【0097】
上記表1の結果から、実施例品はいずれも、化学的表面処理を行っているため、外側スキン層が部分的に除去され、屈曲疲労試験において樹脂層の割れが生じなかった。また、実施例品は、化学的表面処理(酸処理、溶剤処理)により、外側スキン層を除去することができるが、外側スキン層は完全に除去されておらず、樹脂層の外側表面に部分的に残って、樹脂層の表面が凹凸になっているため、投錨効果により、ゴム層との層間接着性が、比較例1に比べて、向上した。
【0098】
これに対して、比較例1は、化学的表面処理を行っていないため、樹脂層の外周面にスキン層が存在する。そのため、屈曲疲労試験において樹脂層の割れが生じた。また、化学的表面処理を行っていないため、樹脂層の外周面にスキン層が存在し、表面が平坦であるため、表面が凹凸である実施例品に比べて、ゴム層との層間接着性が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明のホースは、振動吸収性が必要となるホースに用いることが好ましく、例えば、自動車用の冷媒輸送用ホース、燃料ホース、ラジエーターホース等に使用することができる。なお、本発明のホースは、自動車のみならず、その他の輸送機械(飛行機,フォークリフト,ショベルカー,クレーン等の産業用輸送車両、鉄道車両等)等に用いることも可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 樹脂層
2 内側スキン層
3 外側スキン層
4 ポリアミド樹脂
5 変性ポリオレフィン系エラストマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂と変性ポリオレフィン系エラストマーとのブレンド物を主成分とする樹脂層用材料からなる管状の樹脂層を有するホースの製法であって、押し出し工程によって得られた管状の樹脂層において、その内周面および外周面に形成された内側スキン層および外側スキン層のうち、外側スキン層に化学的表面処理を施し、外側スキン層を除去することを特徴とするホースの製法。
【請求項2】
管状の樹脂層が、流通流体と接する最内層である請求項1記載のホースの製法。
【請求項3】
化学的表面処理が酸処理である請求項1または2記載のホースの製法。
【請求項4】
化学的表面処理が溶剤処理である請求項1または2記載のホースの製法。
【請求項5】
外側スキン層の除去が、外側スキン層の部分的な除去である請求項1〜4のいずれか一項に記載のホースの製法。
【請求項6】
変性ポリオレフィン系エラストマーの変性が、無水マレイン酸変性およびエポキシ変性の少なくとも一方である請求項1〜5のいずれか一項に記載のホースの製法。
【請求項7】
ポリアミド樹脂(a)と、変性ポリオレフィン系エラストマー(b)とのブレンド比が、重量比で、(a)/(b)=90/10〜60/40の範囲である請求項1〜6のいずれか一項に記載のホースの製法。
【請求項8】
外側スキン層を除去した管状の樹脂層面上に、ゴム層を形成する工程を備えた請求項1〜7のいずれか一項に記載のホースの製法。
【請求項9】
ホースが、自動車用の冷媒輸送ホースに使用されるものである請求項1〜8のいずれか一項に記載のホースの製法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のホースの製法により得られることを特徴とするホース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−91486(P2012−91486A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56920(P2011−56920)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】