説明

ホース保持構造および配管プロテクタ

【課題】自動車に設けられた金属配管にゴムホースを並列に並べて保持するホース保持構造において、配管プロテクタを金属配管の直管部に装着するだけで、当該直管部に連続する金属配管の曲部でもゴムホースとの接触を防止する。
【解決手段】金属配管30と、金属配管の直管部30aに対して並列に隣接して保持されたゴムホース40と、基端部31bが金属配管の直管部の外周面に固着され先端部31aが金属配管の直管部の側方へ延出されてゴムホース40を保持する保持部材31と、金属配管30に装着され、その金属配管の長手方向に沿って延在する開口部を有するように断面略C字形状に形成された配管プロテクタ10と、を備える。配管プロテクタ10は、金属配管の直管部の外周面に沿って装着された本体部11と、本体部の端部11aの一部から延出して金属配管の曲部30bの一部を覆う舌片部12と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に設けられる金属配管等の配管に可撓性ホースを保持させるホース保持構造、およびこのホース保持構造の構成要素である配管プロテクタに関する。特に、配管と可撓性ホースとが互いに接触し合って磨耗することを防止するホース保持構造および配管プロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載される内燃機関においては、エンジン、補機等の間で冷却水等の液体を搬送するために金属配管やゴムホースが使用される。
【0003】
自動車のエンジンルームなどの狭小スペースにおいて、エンジン等に取り付けられたゴムホースは、車両の振動、加減速等の影響を受けて振動、揺動等を起こしやすい。この場合に、ゴムホースがエンジンルーム内の他の物(例えば、金属配管、他のゴムホース等)と干渉して擦れ合うことがある。そうなると、ゴムホースやゴムホースと擦れ合う金属配管が磨耗するおそれがある。このため、エンジンルーム内では、ゴムホースをクランプ等によって所定の位置に保持し、ゴムホースが振動等して他の物と擦れ合わないような処置が講じられることが多い。
【0004】
例えば、ゴムホースを金属配管にクランプ等を用いて保持したり(例えば特許文献1を参照。)、並列方向に延びる2本のゴムホースをクランプにてエンジンルーム内に保持する構造が知られている(例えば特許文献2を参照。)。
【0005】
また、従来より図17に示すようなホース保持構造も知られている。このホース保持構造は、金属配管50とゴムホース60とが互いに擦れ合って磨耗しないように、断面略コ字形状の保持部材51によって金属配管50にゴムホース60を保持させるものである。保持部材51は金属配管50にロウ付けされており、ゴムホース60にはスポンジゴム製の配管プロテクタ61が巻き付けられている。この配管プロテクタ61によって、金属配管50とゴムホース60との間に非接触状態が確保され、これら金属配管50およびゴムホース60が互いに擦れ合って磨耗しないようになっている。
【0006】
図17においては、金属配管50は図示右端部を除いて概ね紙面に沿って真直に延びた直管部50aとなっており、図示右端部は紙面に対して交差する方向(紙面の向こう側)へ向かって湾曲した曲部50bとなっている。また、ゴムホース60は、上記保持部材51によって保持されているほか、図外の部分がクランプ等によりエンジンルーム内に留め付けられている。このため、ゴムホース60は、概ね図示するような配置形状を維持する。なお、ゴムホース60の図示中間部60aは、紙面に沿って真直に延びており、図示両端部60b,60bは金属配管50から離反する方向(紙面上側)へ向かって湾曲している。
【特許文献1】特開2000−104859号公報
【特許文献2】特開平7−71520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、既述したような配管プロテクタは、スポンジゴム製のものより、耐摩耗性等に優れた非発泡樹脂、例えば66ナイロン製等のものを採用することが望ましい。また、そのような材料からなる配管プロテクタを金属配管50側に装着して樹脂(配管プロテクタ)と樹脂(ゴムホース)とが接触するような状態にした方が耐磨耗性を向上させる上で望ましい。
【0008】
しかし、非発泡樹脂などの耐摩耗性に優れた樹脂は、スポンジゴム製のものと比べて柔軟性に乏しい。このため、配管プロテクタを金属配管50の直管部50aから曲部50bに及んで取り付けるには、金属配管50の直管部50aおよび曲部50bの双方に亘って対応した形状の配管プロテクタを成形加工により製造する必要がある。そうなると、配管プロテクタの形状が複雑となり、金属配管50への取り付けが簡単に行えなくなるおそれがある。
【0009】
一方、金属配管50の直管部50aのみに対応した配管プロテクタであれば、直管部50aへの取り付けは簡単に行うことができる。しかしながら、配管プロテクタによって覆われて得ない金属配管50の曲部50bがゴムホース60と擦れ合って金属配管50およびゴムホース60が磨耗するおそれがある。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みて創案されたものであり、自動車等の車両に設けられた配管に可撓性ホースを並列に並べて保持するホース保持構造において、配管プロテクタを配管の直管部に装着するだけで、当該直管部に連続する配管の曲部でも可撓性ホースとの接触を防止することが可能なホース保持構造を提供することを目的とする。また、本発明は、そのようなホース保持構造に構成要素として含まれる配管プロテクタを提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するための手段として、本発明のホース保持構造および配管プロテクタは、以下のように構成されている。
【0012】
すなわち、本発明のホース保持構造は、車両に設けられた配管と、前記配管の直管部に対してその一部が並列に隣接して保持された可撓性ホースと、基端部が前記配管の直管部の外周面に固着されるとともに、先端部が前記配管の直管部の側方へ延出された、前記可撓性ホースの前記一部を保持する保持部材と、前記配管に装着され、その配管の長手方向に沿って延在する開口部を有するように断面略C字形状に形成された配管プロテクタと、を備えるホース保持構造を前提としている。そして、前記配管プロテクタは、前記配管の直管部の外周面に沿って装着された本体部と、前記本体部の端部の一部から延出して前記配管の曲部の一部を覆う舌片部と、を有することを特徴としている。
【0013】
かかる構成を備えるホース保持構造(第1発明)によれば、車両に設けられた配管に可撓性ホースを並列に並べて保持する場合において、配管プロテクタを配管の直管部に装着するだけで、配管の曲部の舌片部に覆われた部分でも可撓性ホースとの接触が防止される。
【0014】
また、本発明のホース保持構造は、既述の構成を備えるものにおいて、前記舌片部の内周面が前記本体部の内周面より外径側に偏在していることが望ましい。
【0015】
かかる構成を備えるホース保持構造(第2発明)によれば、舌片部が設けられている方向と異なる方向へ湾曲している配管の曲部とこの曲部を覆う舌片部との接触を回避したり、あるいは、その接触圧を弱めることができる。その結果、配管プロテクタを適切な位置へ装着する作業が容易に行える。
【0016】
また、本発明のホース保持構造は、既述の構成を備えるものにおいて、前記配管プロテクタの開口部側縁部の中間位置に、周方向に凹んだ凹部が形成されており、前記保持部材は、前記配管プロテクタが長手方向へ移動することを規制するように、前記配管プロテクタの前記凹部に嵌まり込んでいることが望ましい。
【0017】
かかる構成を備えるホース保持構造(第3発明)によれば、配管プロテクタは、長手方向への移動が規制されるので、車両の振動等の影響によって配管プロテクタが本来の位置から配管に沿ってずれてしまうことが防止される。
【0018】
また、本発明のホース保持構造は、既述の構成を備えるものにおいて、前記配管プロテクタは、弾性変形してその開口部の開口幅を拡縮可能なように形成されていることが望ましい。
【0019】
かかる構成を備えるホース保持構造(第4発明)によれば、開口部に配管を通すことで簡単に配管プロテクタを配管に装着することができる。また、配管からの取り外しも容易に行える。
【0020】
本発明の配管プロテクタは、配管の長手方向に沿って延在する開口部を有するように断面略C字形状に形成されたものを前提としており、配管の直管部に沿って装着される本体部と、前記本体部の端部の一部から延出した舌片部と、を備えることを特徴とするものである。
【0021】
かかる構成を備える配管プロテクタによれば、第1発明に係るホース保持構造の配管プロテクタとして適用することで、第1発明と同様の作用効果が奏される。
【0022】
また、本発明の配管プロテクタは、既述の構成を備えるものにおいて、前記舌片部の内周面が前記本体部の内周面より外周面側に偏在していることが望ましい。
【0023】
かかる構成を備える配管プロテクタによれば、第2発明に係るホース保持構造の配管プロテクタとして適用することで、第2発明と同様の作用効果が奏される。
【0024】
また、本発明の配管プロテクタは、既述の構成を備えるものにおいて、前記配管プロテクタの開口部側縁部の中間位置に、周方向に凹んだ凹部が形成されていることが望ましい。
【0025】
かかる構成を備える配管プロテクタによれば、第3発明に係るホース保持構造の配管プロテクタとして適用することで、第3発明と同様の作用効果が奏される。
【0026】
また、本発明の配管プロテクタは、既述の構成を備えるものにおいて、前記配管プロテクタは、弾性変形してその開口部の開口幅を拡縮可能なように形成されていることが望ましい。
【0027】
かかる構成を備える配管プロテクタによれば、第4発明に係るホース保持構造の配管プロテクタとして適用することで、第4発明と同様の作用効果が奏される。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るホース保持構造によれば、配管プロテクタを配管の直管部に装着するだけで、配管の曲部の舌片部に覆われた部分でも配管と可撓性ホースとの接触を防止することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態に係るホース保持構造およびこのホース保持構造に構成要素として含まれる配管プロテクタについて図面を参照して説明する。以下では、最初に配管プロテクタについて説明し、その後に、ホース保持構造について説明する。
【0030】
[配管プロテクタ]
図1〜図7に、本発明の実施の形態に係る配管プロテクタ10を示す。図1、図6および図7は配管プロテクタ10の正面図、図2は図1におけるA−A断面図、図3は図1におけるB矢視図、図4は図1におけるC矢視図、図5は図4におけるD−D断面図である。
【0031】
上記配管プロテクタ10は、自動車等の車両の配管(例えば金属配管等の非可撓性配管)に装着され、その配管を後述する可撓性ホースとの接触による磨耗から保護するものである。
【0032】
配管プロテクタ10は、主に本体部11と舌片部12とから構成されている。
【0033】
本体部11は、真直に延びた直管の外周面に沿って装着されるように形成されており、且つ、その直管の長手方向に沿って延在する開口部11cを有するように断面略C字形状に形成されている。
【0034】
上記開口部11cの開口幅F(図2参照)は、本体部11が弾性変形することにより、拡縮可能となっている。より具体的には、上記開口部11cの開口幅Fは、後述する金属配管へ装着される前には当該金属配管の外径値より小さく、その金属配管への装着に際して上記開口幅Fが拡大してその金属配管を挿通する。つまり、そうなるように、本体部11の肉厚、材質等が設定され、金属配管への装着作業の容易化が図られている。本体部11の開口部11c(後述する凹部11dが形成されている範囲を除く。)には、図2〜図4に示すように、径方向外側に湾曲した湾曲部11gが形成されている。この湾曲部11gは、配管プロテクタ10の金属配管へ装着を容易にするためのものである。
【0035】
また、本体部11の開口部11c側の縁部の長手方向(矢印Eの方向)の中間位置には、周方向に凹んだ凹部11d,11dが形成されている。この凹部11d,11dは後述する保持部材31が嵌まり込む形状となっている。
【0036】
また、本体部11の内周面のうち、上記凹部11d,11d同士の間に形成された部分(以下、「第1内周面11e」という。)は、開口側に向かって拡開した形状となっている。
【0037】
配管プロテクタ10は、例えば、66ナイロン、6ナイロン等の樹脂材料を金型を用いて成形加工を施すことにより製造される。そして、第1内周面11eが上記のように形成されていることによって、配管プロテクタ10の長手方向(矢印Eの方向)に対して直交する方向へ(開口側へ)金型を離型させることが可能となる。
【0038】
このような離型処理が可能となることで、図6に示すように、配管プロテクタ10の内周面11bを形成する金型を3つに分けることができる。すなわち、配管プロテクタ10を成形する際に、第1内周面11eを形成する中間部金型20と、第1内周面11eの両側の内周面(以下「第2内周面11f,11f」ともいう。)を形成する端部金型21,22とを用いる。そして、2つの端部金型21,22については、配管プロテクタ10の長手方向(矢印Eの方向)に向かって相反する側(図6の矢印Z1,Z2の方向)へ離型し、中間部金型20については、上記長手方向に対して直交する方向(図6の矢印Z3の方向)に離型することができる。
【0039】
このように3つの金型を用いて配管プロテクタ10の内周面11bを形成する場合は、例えば図7に示すように、配管プロテクタ10の内周面11bを2つの金型23,24を用いて形成する場合と比較して、配管プロテクタ10の長手方向(矢印Eの方向)に向かって離脱しなければならない金型21,22の離脱距離を短くすることができるので、金型の離型性が良好となる。
【0040】
図1に示すように、前記舌片部12は、本体部11の端部11aの一部から本体部11が延在する方向(矢印Eの方向)と同じ方向に延出している。また、図5に示すように、この舌片部12の内周面12aは、本体部11の内周面11bより外周面12b側に偏在しており、その結果、舌片部12の肉厚は、本体部11の肉厚より薄くなっている。なお、舌片部12の外周面12bと本体部11の外周面11hとは、図5に示すように、段差の無い同一連続面を形成している。
【0041】
[ホース保持構造]
つぎに、本発明の実施の形態に係るホース保持構造について説明する。このホース保持構造は、既述の配管プロテクタ10と、図8〜図11に示すような自動車等の車両に設けられる金属配管30等とから構成される。この金属配管30は、例えば、自動車の内燃機関の冷却水を流通させるためのものである。なお、金属配管30は配管の一例であり、金属配管30に代えて非金属製の非可撓性配管を使用したものに本発明を適用することも可能である。
【0042】
図8〜図11に示す金属配管30には、後述するホース40をこの金属配管30と並列方向に隣接した状態で保持する保持部材31が固定されている。この保持部材31の両端部31a,31bは、金属配管30およびホース40の外径面に沿うように湾曲している。両端部31a,31bの一方である基端部31bは、金属配管30の直管部30aの外周面にロウ付け固着されている。他方の先端部31aは、ホース40の外径サイズに対応して金属配管30の直管部30aの側方へ延出している。
【0043】
なお、図示する金属配管30は、前記直管部30aのほか、この直管部30aから連続した曲部30bとを有している。
【0044】
本発明の実施の形態に係るホース保持構造は、図12〜図16に示すように、上記金属配管30の直管部30aに既述の配管プロテクタ10を装着し、上記保持部材31に可撓性ホース40(以下単に「ホース40」という。)を保持させたものである。以下、このホース保持構造について更に詳細に説明する。
【0045】
上記ホース保持構造においては、図12および図13に示すように、配管プロテクタ10の本体部11は、金属配管30の直管部30aの外周面に沿って装着されている。また、配管プロテクタ10の舌片部12は、本体部11から配管プロテクタの長手方向(矢印Eの方向)へ延出し、金属配管30の曲部30bの一部を覆っている。舌片部12は、既述したように、その内周面12aが外周面12b側に偏在している(図15参照。但し図15では舌片部12は断面表示にしていない。)。これにより、舌片部12と、舌片部12と異なる方向に湾曲している金属配管30の曲部30bとの接触が回避され、あるいは、それらが接触している場合であってもその接触圧が弱められる。この結果、金属配管30への配管プロテクタ10の装着作業が容易に行えるようになっている。
【0046】
保持部材31は、配管プロテクタ10の長手方向(矢印Eの方向)への移動を規制するように、配管プロテクタ10の凹部11dに嵌まり込んでいる。つまり、配管プロテクタ10が長手方向(矢印Eの方向)へ移動しようとしても、配管プロテクタ10の凹部11d,11dが保持部材31の側部31dに係止されるため、それ以上配管プロテクタ10が長手方向(矢印Eの方向)へ移動することはできない。
【0047】
また、保持部材31は、図14に示すように、配管プロテクタ10の周方向Tへの回転を規制するようにも、配管プロテクタ10の凹部11dに嵌まり込んでいる。つまり、配管プロテクタ10が周方向T側へ回転しようとしても、配管プロテクタ10の凹部11d,11dが保持部材31の基端部31b又は保持部材31の中間面31cに係止されるため、それ以上配管プロテクタ10が周方向Tへ回転することはできない。
【0048】
ホース40は、ゴムホース等の可撓性のものであって、例えば、内燃機関の冷却水を流通するためのものである。このホース40には、種々のゴムホースを適用することができるが、例えば、補強ナイロン糸を網状にしたナイロンネット層が積層されてなる既知の耐熱ゴムホースが使用される。
【0049】
ホース40は、金属配管30に並列に隣接した状態で、保持部材31の湾曲した先端部31aと金属配管30に装着された配管プロテクタ10との間に嵌めこまれることにより保持されている。
【0050】
また、ホース40は、図13に示すように、符号41に示す範囲、つまり、配管プロテクタ10が延在する範囲で金属配管30に沿って真直に延びているが、その範囲41の両側では、金属配管30から離反する方向へ湾曲している。したがって、上記41から外れた領域にあるホース40と金属配管30とは、配管プロテクタ10がこれらの間に介在していなくても接触することがない。なお、ホース40は、図示しない部分において図示しないホースクランプ等にて所定位置に固定されているため、概ね図示するような形状および配置に保持される。
【0051】
以上に説明したホース保持構造によれば、車両の振動などがホース40に伝播してホース40の保持されていない部分が振動、揺動等を起こすことがある。しかし、金属配管30とホース40が近接する範囲41には、配管プロテクタ10の本体部11および舌片部12が介在しているので、ホース40と金属配管30とが擦れ合って金属配管30(又はホース40)が磨耗してしまうことは避けられる。
【0052】
また、配管プロテクタ10は、本体部11および舌片部12を含めた全体が真直な方向に延在しているため、成形加工が容易である。また、そのように真直な方向に延在した構造によって、金属配管の直管部30aのほか、金属配管30の曲部30bの一部を覆って近接するホース40との接触を防止することができる。
【0053】
また、配管プロテクタ10は、既述したように、長手方向(矢印Eの方向)への移動が規制されるので、車両の振動等にさらされるような環境下であっても配管プロテクタ10は初期位置のまま安定的に保持される。その結果、車両の振動等の影響によって配管プロテクタが長手方向(矢印Eの方向)にずれてしまい、ホース40と金属配管30とが擦れ合ってしまうことが防止される。
【0054】
また、配管プロテクタ10は、既述したように、周方向Tへの回転が規制されているので、車両の振動にさらされるような環境下であっても配管プロテクタ10の周方向位置を保持することができる。つまり、配管プロテクタ10の舌片部12を、図12および図13に示すように、金属配管30の曲部30bとホース40との間に介在した状態で安定的に保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、例えば、自動車のエンジンルームに設けられるゴムホースの一部を金属配管に並列に隣接配置して保持させるホース保持構造に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態に係る配管プロテクタの正面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】図1におけるB矢視図である。
【図4】図1におけるC矢視図である。
【図5】図4におけるD−D断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る配管プロテクタの正面図であって、3つの金型の配置を示したものである。
【図7】本発明の実施の形態に係る配管プロテクタの正面図であって、2つの金型の配置を示したものである。
【図8】本発明の実施の形態における金属配管および保持部材を示した正面図である。
【図9】本発明の実施の形態における金属配管および保持部材を示した平面図である。
【図10】図8におけるP−P断面図である。
【図11】図8におけるQ−Q断面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るホース保持構造を示した正面図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るホース保持構造を示した平面図である。
【図14】図12におけるU−U断面図である。
【図15】図12におけるR−R断面図である。但し、舌片部に限り断面表示していない。
【図16】図12におけるS−S断面図である。
【図17】従来例に係るホース保持構造を示した図である。
【符号の説明】
【0057】
10 配管プロテクタ
11 本体部
11a 本体部の端部
11b 本体部の内周面
11c 開口部
11d 凹部
12 舌片部
12a 舌片部の内周面
12b 舌片部の外周面
30 金属配管(配管)
30a 金属配管の直管部(配管の直管部)
30b 金属配管の曲部(配管の曲部)
31 保持部材
31a 保持部材の先端部
31b 保持部材の基端部
40 ホース(可撓性ホース)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた配管と、
前記配管の直管部に対してその一部が並列に隣接して保持された可撓性ホースと、
基端部が前記配管の直管部の外周面に固着されるとともに、先端部が前記配管の直管部の側方へ延出された、前記可撓性ホースの前記一部を保持する保持部材と、
前記配管に装着され、その配管の長手方向に沿って延在する開口部を有するように断面略C字形状に形成された配管プロテクタと、
を備えるホース保持構造であって、
前記配管プロテクタは、
前記配管の直管部の外周面に沿って装着された本体部と、
前記本体部の端部の一部から延出して前記配管の曲部の一部を覆う舌片部と、
を有することを特徴とするホース保持構造。
【請求項2】
請求項1に記載のホース保持構造において、
前記舌片部の内周面が前記本体部の内周面より外径側に偏在していることを特徴とするホース保持構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のホース保持構造において、
前記配管プロテクタの開口部側縁部の中間位置に、周方向に凹んだ凹部が形成されており、
前記保持部材は、前記配管プロテクタが長手方向へ移動することを規制するように、前記配管プロテクタの前記凹部に嵌まり込んでいることを特徴とするホース保持構造。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のホース保持構造において、
前記配管プロテクタは、弾性変形してその開口部の開口幅を拡縮可能なように形成されていることを特徴とするホース保持構造。
【請求項5】
配管の長手方向に沿って延在する開口部を有するように断面略C字形状に形成された配管プロテクタであって、
配管の直管部に沿って装着される本体部と、
前記本体部の端部の一部から延出した舌片部と、
を備えることを特徴とする配管プロテクタ。
【請求項6】
請求項5に記載の配管プロテクタにおいて、
前記舌片部の内周面が前記本体部の内周面より外径側に偏在していることを特徴とする配管プロテクタ。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の配管プロテクタにおいて、
前記配管プロテクタの開口部側縁部の中間位置に、周方向に凹んだ凹部が形成されていることを特徴とする配管プロテクタ。
【請求項8】
請求項5〜7の何れか1項に記載の配管プロテクタにおいて、
前記配管プロテクタは、弾性変形してその開口部の開口幅を拡縮可能なように形成されていることを特徴とする配管プロテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−112457(P2010−112457A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285194(P2008−285194)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】