ホース接続装置
【課題】構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、ホースの抜けをより確実に防止することができるホース接続装置を提供する。
【解決手段】軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出したスプール12を有する配管部材10にホース20の一端部が外嵌接続された接続部に対して、ホースクランプ30とクリップ40を組付ける。ホースクランプ30は、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することによりホース20の外嵌端部を配管部材10に締め付け可能に構成されている。クリップ40は、ホース20の外嵌端部に設けられた係合溝21に係合する一対の第1係合アーム42と、スプール12の後端面と係合する一対の第2係合アーム44とを有する。クリップ40の第1係合アーム42と第2係合アーム44によって、ホース20と配管部材10との抜け方向への相対変位を規制する。
【解決手段】軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出したスプール12を有する配管部材10にホース20の一端部が外嵌接続された接続部に対して、ホースクランプ30とクリップ40を組付ける。ホースクランプ30は、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することによりホース20の外嵌端部を配管部材10に締め付け可能に構成されている。クリップ40は、ホース20の外嵌端部に設けられた係合溝21に係合する一対の第1係合アーム42と、スプール12の後端面と係合する一対の第2係合アーム44とを有する。クリップ40の第1係合アーム42と第2係合アーム44によって、ホース20と配管部材10との抜け方向への相対変位を規制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流通路となる配管部材の先端部に弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続する際に用いられるホース接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、配管部材の先端部に弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続する場合には、配管部材からのホースの抜けを防止するために、ホースの外嵌端部を配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプ等のホース接続装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、筒状の帯状本体の端部が互いに周方向に対向し互いに重なり合う外側配置と内側配置に基づいて、外側重なり部分をもつ第1の自由端部と内側重なり部分をもつ第2の自由端部とを備え、弾性を有するホースの外周回りを包囲せしめて実質的に求心方向に該ホースを緊締するためのバネ弾性を有するホースクランプが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ホースを挿通する拡径状態からの縮径によりホースを配管部材に締付け可能に構成されたホース締付具(ホースクランプ)と、拡径状態のホース締付具を収容可能に形成された保持部材を有する接続具とを備え、保持部材には、ホース締付具内に配置される配管部材に係合可能な抜止部が設けられているホース接続装置が開示されている。
【特許文献1】特開平7−239081号公報
【特許文献2】特開2007−187307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年においては、環境対応等の理由により配管部材の表面処理(メッキ)が多様化しており、配管部材とホースとの間の摩擦抵抗が低くなる傾向がある。また、配管部材の先端部にホースの一端部を外嵌接続する際の作業負荷(摩擦抵抗)を低減するために、ホース挿入助剤も使用されていることから、このような状況においては、配管部材に外嵌接続されたホースの抜け力が低下することが考えられる。
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に開示されたホースクランプの場合には、ホースの抜け対策が十分になされていない。即ち、ホースの抜け力が低い場合には、図12(a)に示すように、配管部材10に設けられたスプール12に一端面が当接するまで深く嵌め込まれていたホース50の外嵌端部が、図12(b)に示すように、ホース50の抜け方向へホースクランプ30と共にずれてしまうという事態が発生する。また、最悪の場合には、ホース50内を流通する流体の圧力に耐えることができずに、ホース50が配管部材10から抜けてしまうという不具合を発生させる可能性がある。
【0007】
一方、特許文献2に開示されたホース接続装置は、接続具の保持部材に、配管部材に係合可能な抜止部が設けられ、配管部材に対するホースの引抜力を向上させていることにより、ホースの抜け防止対策が採られている。しかしながら、特許文献2に開示されたホース接続装置の場合には、保持部材を含んで構成される接続具の構造が複雑であり、コスト高を招くという問題が内在している。また、そのような接続具を用いてホースを配管部材に接続する作業を行う際には、配管部材のバルジ部に対してホースクランプの軸方向の位置決めをする必要があり、且つホースクランプに対しても接続具の位置決めを必要があることから、組付け作業が繁雑になるという問題も内在している。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、ホースの抜けをより確実に防止することができるホース接続装置を提供することを解決すべき課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段について、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
【0010】
〔手段1〕 手段1に記載のホース接続装置は、軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、前記ホースクランプと一体又は別体に設けられ、前記ホースの前記外嵌端部の外周部又は前記ホースクランプに係合する第一の要素と、前記環状突部の後端面と係合する第二の要素と、軸方向に延びるように形成され前記第一の要素と前記第二の要素とを一体的に連結する連結部とを有するクリップと、を備えていることを特徴としている。
【0011】
手段1のホース接続装置では、ホースクランプが、ホースの外嵌端部の外周を包囲するようにして、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径した状態に装着されることにより、ホースの外嵌端部が配管部材に締め付けられた状態になり、ホースの所定の抜け力が確保される。そして、ホースの外嵌端部の外周部又はホースクランプに第一の要素が係合すると共に、環状突部の後端面と第二の要素が係合するように取り付けられるクリップによって、ホースと配管部材との抜け方向への相対変位が規制される。これにより、ホースの抜けがより確実に防止される。
【0012】
手段1におけるクリップは、第一の要素と第二の要素と連結部が主要な要素として構成されているため、構造がシンプルとなり、コスト高も回避することが可能となる。また、連結部によって一体的に連結される第一の要素と第二の要素の間には空間部が形成されているので、クリップを取り付ける際に、その空間部より第一の要素及び第二の要素の取り付け位置を視認することが可能になるため、組付け作業を容易に行うことができる。
【0013】
したがって、手段1によれば、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、ホースの抜けをより確実に防止することができる。
【0014】
〔手段2〕 手段2に記載のホース接続装置は、軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、前記ホースの前記外嵌端部の外周部に設けられた係合溝に係合する第1係合アームと、該第1係合アームと軸方向に延びる連結部を介して一体に設けられ、前記環状突部の後端面と係合する第2係合アームとを有するクリップと、を備えていることを特徴としている。
【0015】
なお、手段2におけるクリップは、ホースクランプと別体に設けられるものであり、手段1における第一の要素が第1係合アームであり、第二の要素が第2係合アームである。
【0016】
手段2に係るホース接続装置では、ホースクランプが、ホースの外嵌端部の外周を包囲するようにして、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径した状態に装着されることにより、ホースの外嵌端部が配管部材に締め付けられた状態になり、ホースの所定の抜け力が確保される。そして、ホースの外嵌端部の外周部に設けられた係合溝に第1係合アームが係合すると共に、環状突部の後端面と第2係合アームが係合するように取り付けられるクリップによって、ホースと配管部材との抜け方向への相対変位が規制されるので、ホースの抜けがより確実に防止される。
【0017】
手段2におけるクリップは、第1及び第2係合アームと連結部が主要な要素として構成されているため、構造がシンプルとなり、コスト高も回避することが可能となる。また、第1係合アームがホースの外嵌端部の外周部に設けられた係合溝に係合するように構成されているため、第1係合アームと第2係合アームの間の距離(軸方向長さ)を短くすることができるので、クリップをコンパクト化することが可能となる。さらには、連結部によって一体的に連結された第1係合アームと第2係合アームの間には空間部が形成されているので、クリップを取り付ける際に、その空間部より第1係合アーム及び第2係合アームの取付け位置を視認することが可能になるため、組付け作業を容易に行うことができる。
【0018】
したがって、手段2によれば、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、ホースの抜けをより確実に防止することができる。
【0019】
〔手段3〕 手段2に記載のホース接続装置において、前記第1係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰したときに前記係合溝と係合し、前記第2係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰したときに前記環状突部の後端面と係合するように構成されていることを特徴としている。
【0020】
手段3によれば、第1及び第2係合アームの弾性復帰力を利用して、第1係合アームを係合溝に、また、第2係合アームを環状突部の後端面と確実に係合させることができる。
【0021】
〔手段4〕 手段2又は3に記載のホース接続装置において、前記クリップは、前記配管部材の軸方向先端側に位置する第1基部と、該第1基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第1係合アームと、前記配管部材の軸方向後端側に位置する第2基部と、該第2基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第2係合アームと、軸方向に延び前記第1基部と前記第2基部とを連結する連結部と、からなることを特徴としている。
【0022】
手段4によれば、手段2又は3に係るホース接続装置において用いられるクリップとして最適なものを得ることができる。
【0023】
〔手段5〕 手段2〜4の何れか一つに記載のホース接続装置において、前記ホースの前記係合溝は、円筒状に成形したゴム材料を加硫成形して前記ホースを作製する際に、前記ゴム材料の一端部外周に前記係合溝を形成するキャップをセットして加硫成形することにより形成されていることを特徴としている。
【0024】
手段5によれば、ホースに対して、第1係合アームが係合する係合溝を簡単に且つ容易に設けることができる。
【0025】
〔手段6〕 手段6に記載のホース接続装置は、軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、該ホースクランプと軸方向に延びる連結部を介して一体に設けられ、前記環状突部の後端面と係合する係合アームを有するクリップと、を備えていることを特徴としている。
【0026】
なお、手段6におけるクリップは、ホースクランプと一体に設けられるものであり、手段1における第一の要素がホースクランプであり、第二の要素が係合アームである。
【0027】
手段6のホース接続装置では、ホースクランプが、ホースの外嵌端部の外周を包囲するようにして、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径した状態に装着されることにより、ホースの外嵌端部が配管部材に締め付けられた状態になり、ホースの所定の抜け力が確保される。また、このホースクランプが取り付けられる際には、ホースクランプと一体に設けられたクリップの係合アームが環状突部の後端面と係合するようにして、ホースクランプと共にクリップも取り付けられる。このように取り付けられたホースクランプとクリップとにより、ホースと配管部材とのホースの抜け方向への相対変位が規制されるので、ホースの抜けがより確実に防止される。
【0028】
手段6におけるクリップは、ホースクランプと一体に設けられており、且つ係合アームと連結部が主要な要素として構成されているため、部品点数の増加を回避してシンプルな構造にすることができ、コスト高も回避することが可能となる。また、係合アームとホースクランプの間の距離(軸方向長さ)を短くすることができるので、クリップをコンパクト化することが可能となる。さらには、連結部によって一体的に連結された係合アームとホースクランプの間には空間部が形成されているので、ホースクランプ及びクリップを取り付ける際に、その空間部よりそれらの取り付け位置を視認することが可能になるため、組付け作業を容易に行うことができる。
【0029】
なお、ホースクランプは、通常、高ばね弾性を有するばね鋼等の金属材料で形成されていることから、ホースクランプと一体に設けられる手段6におけるクリップは、ホースクランプと同じ金属材料で形成することができる。このようにした場合には、係合アームと環状突部との係合が金属(剛性材)同士の接触となることから、ホースの抜け方向に作用する力に対して、係合アームと環状突部との係合が外れ難くなるので、ホースの抜け防止において有利となる。
【0030】
したがって、手段6によれば、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、ホースの抜けをより確実に防止することができる。
【0031】
〔手段7〕 手段6に記載のホース接続装置において、前記係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰したときに前記環状突部の後端面と係合するように構成されていることを特徴としている。
【0032】
手段7によれば、係合アームの弾性復帰力を利用して、係合アームを環状突部の後端面と確実に係合させることができる。
【0033】
〔手段8〕 手段6又は7に記載のホース接続装置において、前記クリップは、前記ホースクランプから前記配管部材の軸方向後端側に距離を隔てた位置に配置された基部と、該基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の係合アームと、軸方向に延び前記基部と前記ホースクランプとを連結する連結部と、からなることを特徴としている。
【0034】
手段8によれば、手段6又は7のホース接続装置において用いられるクリップとして最適なものを得ることができる。
【0035】
〔手段9〕 手段9に記載のホース接続装置は、軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、該ホースクランプの先端側端面と係合する第1係合アームと、該第1係合アームと軸方向に延びる連結部を介して一体に設けられ、前記環状突部の後端面と係合する第2係合アームとを有するクリップと、を備えていることを特徴としている。
【0036】
なお、手段9におけるクリップは、ホースクランプと別体に設けられるものであり、手段1における第一の要素が第1係合アームであり、第二の要素が第2係合アームである。
【0037】
手段9のホース接続装置では、ホースクランプが、ホースの外嵌端部の外周を包囲するようにして、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径した状態に装着されることにより、ホースの外嵌端部が配管部材に締め付けられた状態になり、ホースの所定の抜け力が確保される。そして、ホースクランプの先端側端面と第1係合アームが係合すると共に、環状突部の後端面と第2係合アームが係合するように取り付けられるクリップによって、ホースと配管部材とのホースの抜け方向への相対変位が規制されるので、ホースの抜けがより確実に防止される。
【0038】
手段9におけるクリップは、第1及び第2係合アームと連結部が主要な要素として構成されているため、構造がシンプルとなり、コスト高も回避することが可能となる。また、連結部によって一体的に連結された第1係合アームと第2係合アームの間には空間部が形成されているので、クリップを取り付ける際に、その空間部より第1係合アーム及び第2係合アームの取付け位置を視認することが可能になるため、組付け作業を容易に行うことができる。
【0039】
なお、手段9におけるクリップは、通常、高剛性を有する鉄系金属等の剛性材により形成される。そのため、第1係合アームとホースクランプとの係合、及び第2係合アームと環状突部との係合が金属(剛性材)同士の接触となることから、ホースの抜け方向に作用する力に対して、それらの係合が外れ難くなるので、ホースの抜け防止において有利となる。
【0040】
したがって、手段9によれば、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、ホースの抜けをより確実に防止することができる。
【0041】
〔手段10〕 手段9に記載のホース接続装置において、前記第1係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰したときに前記ホースクランプの先端側端面と係合し、前記第2係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰したときに前記環状突部の後端面と係合するように構成されていることを特徴としている。
【0042】
手段10によれば、第1及び第2係合アームの弾性復帰力を利用して、第1係合アームをホースクランプの先端側端面に、また、第2係合アームを環状突部の後端面と確実に係合させることができる。
【0043】
〔手段11〕 手段9又は10に記載のホース接続装置において、前記クリップは、前記配管部材の軸方向先端側に位置する第1基部と、該第1基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第1係合アームと、前記配管部材の軸方向後端側に位置する第2基部と、該第2基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第2係合アームと、軸方向に延び前記第1基部と前記第2基部とを連結する連結部と、からなることを特徴としている。
【0044】
手段11によれば、手段9又は10に記載のホース接続装置において用いられるクリップとして最適なものを得ることができる。
【0045】
〔手段12〕 手段1〜11の何れか一つに記載のホース接続装置において、前記連結部の周方向幅は、前記配管部材の軸線Lを中心とする周方向角度αが180°以下となる範囲に設定されていることを特徴としている。
【0046】
手段12によれば、連結部の幅寸法を小さくすることが可能なるので、連結部によって一体的に連結される第一の要素(第1係合アーム、ホースクランプ)と第二の要素(第2係合アーム、係合アーム)の間に形成される空間部を大きくすることができる。これにより、クリップを取り付ける際の取付け位置の視認性を十分に確保することができるため、組付け作業性をが向上させることができる。なお、連結部が設けられる角度範囲は、小さくするほど、第一の要素と第二の要素の間に形成される空間部を大きくすることができるので、より好ましい周方向角度は90°以下である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0048】
〔実施形態1〕
図1は実施形態1に係るホース接続装置の取付状態を示す正面図であり、図2は図1に示すホース接続装置を矢印A方向から見た側面図であり、図3は実施形態1において配管部材とホースが接続された接続部の軸方向の沿う断面図であり、図4は実施形態1において配管部材に接続されるホースの正面図であり、図5は実施形態1に係るホース接続装置のクリップを示す図であって、(a)はその側面図であり、(b)はその正面図である。
【0049】
実施形態1のホース接続装置は、図1及び図2に示すように、配管部材10の軸方向先端部にホース20の一端部を外嵌接続するためのものであって、ホース20の外嵌端部の外周に装着されるホースクランプ30と、一対の第1係合アーム42、42及び一対の第2係合アーム44、44を有するクリップ40と、から構成されている。
【0050】
配管部材10は、例えば、鉄系金属や硬質樹脂などの剛性材でパイプ状に形成されている。配管部材10の先端部には、図1及び図3に示すように、拡径されて径方向外方へ膨出したバルジ部11が設けられている。このバルジ部11は、外嵌されるホース20の抜け止め用として設けられており、ホース20内に配管部材10を適度な挿入抵抗をもって挿入可能な程度に、配管部材10の外径よりも所定寸法大きい外径を有するように形成されている。また、配管部材10の先端面から後端側に所定距離隔てた部位には、径方向外方へ突出したスプール(環状突部)12が設けられている。このスプール12は、配管部材10に外嵌されるホース20の一端面が当接することによって、ホース20の位置決めをするものである。
【0051】
ホース20は、網目状に編み込んだ補強糸(図示せず)が埋設されたゴムホースが用いられている。このホース20は、図1及び図3に示すように、配管部材10の先端部外周に、一端面(先端面)がスプール12に当接する位置まで圧入により嵌合(外嵌)されている。このホース20の配管部材10に外嵌された一端部(外嵌端部)の外周面には、図3及び図4に示すように、所定の幅で周方向に連続して延びる円環状の係合溝21が設けられている。係合溝21は、ホース20の一端面から他端面側に所定距離隔てた、一端面の近傍部位に設けられている。この係合溝21は、クリップ40の各第1係合アーム42、42(各湾曲部42b、42b)の肉厚よりも少し大きい深さに形成されている。
【0052】
なお、係合溝21は、円筒状に成形したゴム材料を加硫成形してホース20を作製する際に形成されている。即ち、係合溝21は、加硫成形時において、円筒状に成形されたゴム材料の一端部外周に、係合溝21と符合する型面を有するキャップをセットして加硫成形することにより形成されている。
【0053】
ホースクランプ30は、金属製の帯板状ばね材により形成されている。このホースクランプ30は、リング状に巻回されたクランプ本体31と、クランプ本体31の周方向両端部から径方向外方へ折り曲げられた一対の起立片32、33とを有する。クランプ本体31には、クランプ本体31の一端部から一方の起立片32に跨る長孔部(図示せず)が形成されている。また、クランプ本体31の他方の起立片33を含む他端部は幅狭状に形成されている。なお、説明の都合上、クランプ本体31の幅広側の端部に連なる起立片32を幅広側の起立片32といい、クランプ本体31の幅狭側の端部に連なる起立片33を幅狭側の起立片33という。
【0054】
クランプ本体31の巻回に伴い、幅狭側の起立片33が幅広側の起立片32における長孔部内を潜り抜けていると共に、クランプ本体31の幅狭側の端部が幅広側の端部内に遊嵌状に嵌合されている。クランプ本体31の自由状態における内径は、ホース20を締付け可能な口径、即ち、ホース20の外径に比べて小さい口径となるように設定されている。これにより、図1及び図2に示すように、配管部材10の先端部に外嵌されたホース20の外周に、クランプ本体31が自由状態で装着されている場合には、クランプ本体31によって、ホース20の外嵌端部が配管部材10に締め付けられた状態になっている。
【0055】
また、クランプ本体31の自由状態においては、クランプ本体31が小径をなし、両起立片32、33が周方向に離れた状態となる。この状態から、両起立片32、33を互いに近付ける方向へ付勢することにより、クランプ本体31をそのばね性いわゆる弾性変形を利用して拡径させることができる。また、クランプ本体31の巻回部分の外周面には、補強材34が積層状に重ね合わされている。
【0056】
クリップ40は、SUS(ステンレス)板により形成されており、ホース20の係合溝21に係合する一対の第1係合アーム42、42と、配管部材10のスプール12の後端面と係合する一対の第2係合アーム44、44とを有する。即ち、このクリップ40は、図5に示すように、配管部材10の軸方向先端側(図5(b)の右側)に位置する第1基部41と、第1基部41の両端から互いに対向した状態で軸直角方向(図5の上方向)に延出する一対の第1係合アーム42、42と、配管部材10の軸方向後端側(図5(b)の左側)に位置する第2基部43と、第2基部43の両端から互いに対向した状態で軸直角方向(図5の上方向)に延出する一対の第2係合アーム44、44と、軸方向に延び第1基部41と第2基部43とを連結する連結部45とから構成されている。
【0057】
各第1係合アーム42、42は、第1基部41の両端から直角方向に立ち上がる立上り部42a、42aと、各立上り部42a、42aの先端から円弧状に湾曲して延びる湾曲部42b、42bと、各湾曲部42b、42bの先端からそれぞれ径方向外方へ屈曲して先端が開くように延出する拡開先端部42c、42cとからなる。両湾曲部42b、42bは、ホース20の係合溝21に実質的に係合する部位であり、係合溝21の底面形状に対応した円弧状の湾曲形状に形成されている。また、両第1係合アーム42、42は、弾性変形した状態で両湾曲部42b、42bが係合溝21に装着されたときに、適度な弾性復帰力により両湾曲部42b、42bが係合溝21の底面に圧接した状態で挟持するように構成されている。
【0058】
また、各第2係合アーム44、44は、第2基部43から直角方向に立ち上がる立上り部44a、44aと、各立上り部44a、44aの先端から円弧状に湾曲して延びる湾曲部44b、44bと、各湾曲部44b、44bの先端からそれぞれ径方向外方へ屈曲して先端が開くように延出する拡開先端部44c、44cとからなる。両湾曲部44b、44bは、配管部材10の外周面に圧接しつつスプール12の後端面と軸方向において実質的に係合する部位であり、配管部材10の外周面形状に対応した円弧状の湾曲形状に形成されている。また、両第2係合アーム44、44は、弾性変形した状態で両湾曲部44b、44bが配管部材10の外周面に装着されたときに、適度な弾性復帰力により両湾曲部44b、44bが配管部材10の外周面に圧接した状態で挟持するように構成されている。
【0059】
そして、連結部45の軸方向長さは、図3に示す状態に配管部材10とホース20が接続されたときに、両第1係合アーム42、42が係合溝21に係合すると共に、両第2係合アーム44、44がスプール12の後端面と係合するように設定されている。また、連結部45の周方向幅は、図5(a)に示すように、配管部材10の軸線Lを中心とする周方向角度αが180°以下となる範囲(実施形態1では約30°)に設定されている。即ち、連結部45の周方向幅が小さくされていることにより、第1係合アーム42、42と第2係合アームとの間に形成される空間部が周方向において大きくされている。
【0060】
以上のように構成された実施形態1のホース接続装置は、次のようにして取り付けられる。まず、ホースクランプ30の両起立片32、33を互いに近付ける方向へ付勢して、クランプ本体31を補強材34と共に弾性変形させることにより拡径した状態にする。そして、この状態にされたクランプ本体31の内部にホース20の一端部を挿入した後、両起立片32、33の付勢を解除して、ホース20の挿入方向先端から後方側へ所定距離隔てた位置にホースクランプ30を仮止めする。ホースクランプ30の仮止め位置は、この後、配管部材10の先端部にホース20の一端部が外嵌されたときに、配管部材10とホース20が重なり合っていない所であればよい。
【0061】
続いて、配管部材10の先端部に、そのホース20の一端部を圧入により外嵌して接続する。このとき、ホース20は、進行方向先端面が配管部材10のスプール12に当接する位置まで嵌め込まれる。そして、ホース20に仮止めされているホースクランプ30を、両起立片32、33を互いに近付ける方向へ付勢してクランプ本体31が拡径した状態にし、配管部材10のバルジ部11とホース20の係合溝21の間の位置へ移動させた後、両起立片32、33への付勢を解除する。これにより、クランプ本体31が縮径してホース20の外嵌端部を配管部材10に締め付けた状態になることによって、ホース20の所定の抜け力が確保される。
【0062】
次に、上記のように接続された配管部材10とホース20に対してクリップ40を取り付ける。この場合、第1係合アーム42、42を、ホース20の係合溝21に拡開先端部42c、42c側から弾性変形させつつ嵌め込んで、係合溝21を両湾曲部42b、42bが両側から弾性復帰力により挟持する状態に係合させる。これと同時に、第2係合アーム44、44を、配管部材10の外周面に拡開先端部44c、44c側から弾性変形させつつ嵌め込んで、配管部材10の外周面を両湾曲部44b、44bが両側から弾性復帰力により挟持する状態に係合させる。このとき、第2係合アーム44、44の両湾曲部44b、44bは、スプール12の後端面と接触乃至は近接した所に位置している。
【0063】
これにより、ホース20が配管部材10から抜ける方向へ力が作用したときに、ホース20の係合溝21に係合した第1係合アーム42、42と、スプール12の後端面と軸方向において係合する第2係合アーム44、44(両湾曲部44b、44b)とによって、ホース20と配管部材10との抜け方向への相対変位が規制されるので、ホース20の抜けがより確実に防止された状態になる。
【0064】
以上のように、実施形態1のホース接続装置によれば、上記のように構成されたホースクランプ30及びクリップ40を備えているため、配管部材10からのホース20の抜けをより確実に防止することができる。また、クリップ40は、構造がシンプルであることから、コスト高を回避することができる。また、クリップ40の第1係合アーム42、42は、ホース20の係合溝21に係合するように構成されているため、第1係合アーム42、42と第2係合アーム44、44の間の距離(軸方向長さ)を短くすることができるので、クリップ40をコンパクト化することが可能となる。
【0065】
さらには、連結部45により連結された第1係合アーム42、42と第2係合アーム44、44の間には、空間部が形成されているので、クリップ40を取り付ける際に、その空間部より第1及び第2係合アーム42、44の取付け位置を視認することが可能になるため、組付け作業を容易に行うことができる。特に、連結部45は、周方向幅が小さくなるように設定されているので、視認性が極めて良好となる。
【0066】
また、ホース20の係合溝21は、円筒状に成形したゴム材料を加硫成形してホース20を作製する際に、ゴム材料の一端部外周にセットされるキャップにより形成されているため、ホース20に対して簡単に且つ容易に設けることができる。
【0067】
〔実施形態2〕
図6は実施形態2に係るホース接続装置の取付状態を示す正面図であり、図7は図6に示すホース接続装置を矢印B方向から見た側面図であり、図8は実施形態2に係るホース接続装置のホースクランプ及びクリップを示す図であって、(a)はその側面図であり、(b)はその正面図である。
【0068】
実施形態2のホース接続装置は、配管部材10及びホースクランプ30が実施形態1のものと同じであるが、クリップ60がホースクランプ30と一体に設けられている点、及びホース50に係合溝が設けられていない点で、実施形態1のものと異なる。よって、実施形態1と共通する配管部材10及びホースクランプ30については、図6〜図8に同じ符号を付すのみに止めて詳しい説明は省略する。また、実施形態2のホース50は、係合溝が設けられていない点以外は実施形態1のものと同じであるので詳しい説明は省略する。以下、異なる点を中心に説明する。
【0069】
実施形態2のクリップ60は、軸方向に延びる連結部63を介してホースクランプ30の補強材34と一体に設けられており、配管部材10の外周面に弾性復帰力により圧接しつつスプール12の後端面と係合する一対の係合アーム62、62を有する。即ち、このクリップ60は、図8に示すように、ホースクランプ50から配管部材10の軸方向後端側に距離を隔てた位置に配置された基部61と、基部61の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の係合アーム62、62と、軸方向に延び基部61とホースクランプ30とを連結する連結部63とからなる。
【0070】
各係合アーム62、62は、基部61から直角方向に立ち上がる立上り部62a、62aと、各立上り部62a、62aの先端からそれぞれ径方向外方へ屈曲して先端が開くように延出する拡開先端部62b、62bとからなる。この係合アーム62、62は、実施形態1の第2係合アーム44、44と同様に構成されている。また、基部61とホースクランプ30を連結する実施形態2の連結部63は、実施形態1の連結部45と軸方向長さ及び周方向幅が同じである。
【0071】
以上のように構成された実施形態2のホース接続装置は、次のようにして取り付けられる。まず、ホースクランプ30の両起立片32、33を互いに近付ける方向へ付勢して、クランプ本体31を補強材34と共に弾性変形させることにより拡径した状態にすると共に、クリップ60の両係合アーム62、62を弾性変形させることにより拡開した状態にする。そして、この状態にされたホースクランプ30及びクリップ60を、配管部材10の先端部にクリップ60側を先にして軸方向に嵌め込む。このとき、ホースクランプ30及びクリップ60は、ホースクランプ30が配管部材10のスプール12を越える位置まで嵌め込まれた後、両起立片32、33の付勢が解除されることにより仮止めされる。
【0072】
続いて、配管部材10の先端部に、ホース50の一端部を圧入により外嵌して接続する。このとき、ホース20は、進行方向先端面が配管部材10のスプール12に当接する位置まで嵌め込まれる。そして、配管部材10に仮止めされているホースクランプ30の両起立片32、33を互いに近付ける方向へ付勢してクランプ本体31が拡径した状態にして、そのホースクランプ30及びクリップ60を、クリップ60の両係合アーム62、62がスプール12に当接する位置まで移動させた後、両起立片32、33への付勢を解除する。
【0073】
これにより、ホースクランプ30は、配管部材10のバルジ部11とスプール12との間の位置に移動しており、その位置で、クランプ本体31が縮径してホース20の外嵌端部を配管部材10に締め付けた状態になる。このホースクランプ30の締付け力によってホース50の所定の抜け力が確保される。また、ホース20が配管部材10から抜ける方向への力が作用したときには、ホース20を締め付けているホースクランプ30の締付け力と、スプール12の後端面と軸方向において係合するクリップ60の係合アーム62、62とによって、ホース50と配管部材10との抜け方向への相対変位が規制されるので、ホース50の抜けがより確実に防止された状態になる。
【0074】
以上のように、実施形態2のホース接続装置によれば、上記のように構成されたホースクランプ30及びクリップ60を備えているため、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、配管部材10からのホース50の抜けをより確実に防止することができる等、実施形態1と同様の作用及び効果を奏する。特に、実施形態2では、クリップ60がホースクランプ30と一体に設けられているため、部品点数の増加を回避してよりシンプルな構造にすることができ、コスト高も有利に回避することができる。
【0075】
〔実施形態3〕
図9は実施形態3に係るホース接続装置の取付状態を示す正面図であり、図10は図9に示すホース接続装置を矢印C方向から見た側面図であり、図11は実施形態3に係るホース接続装置のクリップを示す図であって、(a)はその側面図であり、(b)はその正面図である。
【0076】
実施形態3のホース接続装置は、配管部材10及びホースクランプ30が実施形態1のものと同じであるが、クリップ70の第1係合アームがホースクランプ30の一端面と係合するように構成されている点、及びホース50に係合溝が設けられていない点で、実施形態1のものと異なる。よって、実施形態1と共通する配管部材10及びホースクランプ30については、図9及び図10に同じ符号を付すのみに止めて詳しい説明は省略する。また、実施形態3のホース50は、係合溝が設けられていない点以外は実施形態1のものと同じであり、実施形態2のものと同じであるので詳しい説明は省略する。以下、異なる点を中心に説明する。
【0077】
実施形態3のクリップ70は、ホース50の外周面に弾性復帰力により圧接しつつホースクランプ30の他方側端面(配管部材10の先端側端面)と係合する一対の第1係合アーム72、72と、配管部材10の外周面に弾性復帰力により圧接しつつスプール12の後端面と係合する一対の第2係合アーム74、74とを有する。即ち、このクリップ70は、図11に示すように、配管部材10の軸方向先端側(図11(b)の右側)に位置する第1基部71と、第1基部71の両端から互いに対向した状態で軸直角方向(図11の上方向)に延出する一対の第1係合アーム72、72と、配管部材10の軸方向後端側(図11(b)の左側)に位置する第2基部73と、第2基部73の両端から互いに対向した状態で軸直角方向(図11の上方向)に延出する一対の第2係合アーム74、74と、軸方向に延び第1基部71と第2基部73とを連結する連結部75とから構成されている。
【0078】
各第1係合アーム72、72は、第1基部71の両端から直角方向に立ち上がる立上り部72a、72aと、各立上り部72a、72aの先端から円弧状に湾曲して延びる湾曲部72b、72bと、各湾曲部72b、72bの先端からそれぞれ径方向外方へ屈曲して先端が開くように延出する拡開先端部72c、72cとからなる。両湾曲部72b、72bは、ホース50の外周面に圧接しつつホースクランプ30の他方側端面(配管部材10の先端側端面)と実質的に係合する部位であり、ホース50の外周面形状に対応した円弧状の湾曲形状に形成されている。また、第1係合アーム72、72は、両湾曲部72b、72bがホース50の外周面に係合したときに、適度な弾性復帰力により両湾曲部72b、72bがホース50の外周面に圧接した状態で挟持するように構成されている。
【0079】
また、連結部75の軸方向長さは、図9に示す状態に配管部材10とホース50が接続されたときに、両第1係合アーム72、72がホース50の外周面に圧接してホースクランプ30の他端側端面(配管部材10の先端側端面)と近接した所に位置すると共に、両第2係合アーム74、74がスプール12の後端面と近接した所に位置するように設定されている。この連結部75の周方向幅は、実施形態1の連結部45と同じである。
【0080】
なお、各第2係合アーム74、74は、第立上り部74a、74aと、湾曲部74b、74bと、拡開先端部74c、74cとからなるが、実施形態1の第2係合アーム44、44と構成が同じであるので詳しい説明は省略する。
【0081】
実施形態3のホース接続装置の取付けは、配管部材10の先端部に外嵌接続されたホース50の外嵌端部(配管部材10のバルジ部11とスプール12との間の位置)に、ホースクランプ30を締め付けた状態に取り付けるまでは、実施形態1と同様に行われる。そして、配管部材10とホース50に対してクリップ70を取り付ける場合には、第1係合アーム72、72を、配管部材10のバルジ部11とホースクランプ30との間に拡開先端部72c、72c側から弾性変形させつつ嵌め込んで、ホース50の外周面を両湾曲部72b、72bが両側から弾性復帰力により挟持する状態に係合させる。これと同時に、第2係合アーム74、74を、配管部材10の外周面に拡開先端部74c、74c側から弾性変形させつつ嵌め込んで、配管部材10の外周面を両湾曲部74b、74bが両側から弾性復帰力により挟持する状態に係合させる。
【0082】
これにより、ホース50が配管部材10から抜ける方向へ力が作用したときに、ホースクランプ30の他方側端面(配管部材10の先端側端面)と軸方向において係合する第1係合アーム72、72(湾曲部72b、72b)と、スプール12の後端面と軸方向において係合する第2係合アーム74、74(湾曲部74b、74b)とによって、ホース50と配管部材10との抜け方向への相対変位が規制されるので、ホース50の抜けがより確実に防止された状態になる。
【0083】
以上のように、実施形態3のホース接続装置によれば、上記のように構成されたホースクランプ30及びクリップ70を備えているため、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、配管部材10からのホース50の抜けをより確実に防止することができる等、実施形態1と同様の作用及び効果を奏する。特に、実施形態3では、第1係合アーム72、72とホースクランプ30との係合、及び第2係合アーム74、74とスプール12との係合が金属(剛性材)同士の接触となることから、ホース50の抜け方向に作用する力に対して、それらの係合が外れ難くなるので、ホース50の抜け防止において有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態1に係るホース接続装置の取付状態を示す正面図である。
【図2】図1に示すホース接続装置を矢印A方向から見た側面図である。
【図3】本発明の実施形態1において配管部材とホースが接続された接続部の軸方向の沿う断面図である。
【図4】本発明の実施形態1において配管部材に接続されるホースの正面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るホース接続装置のクリップを示す図であって、(a)はその側面図であり、(b)はその正面図である。
【図6】本発明の実施形態2に係るホース接続装置の取付状態を示す正面図である。
【図7】図6に示すホース接続装置を矢印B方向から見た側面図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るホース接続装置のホースクランプ及びクリップを示す図であって、(a)はその側面図であり、(b)はその正面図である。
【図9】本発明の実施形態3に係るホース接続装置の取付状態を示す正面図である。
【図10】図9に示すホース接続装置を矢印C方向から見た側面図である。
【図11】本発明の実施形態3に係るホース接続装置のクリップを示す図であって、(a)はその側面図、(b)はその正面図である。
【図12】従来のホース接続装置において不具合の発生状態を示す説明図であって、(a)は正常時の正面図であり、(b)不具合発生時の正面図である。
【符号の説明】
【0085】
10…配管部材 11…バルジ部 12…スプール(環状突起) 20、50…ホース 21…係合溝 30…ホースクランプ 31…クランプ本体 32、33…起立片 34…補強材 40、60、70…クリップ 41、71…第1基部 42、72…第1係合アーム 42a、72a…立上り部 42b、72b…湾曲部 42c、72c…拡開先端部 43、73…第2基部 44、74…第2係合アーム 44a、74a…立上り部 44b、74b…湾曲部 44c、74c…拡開先端部 45、75…連結部 61…基部 62…係合アーム 62a…立上り部 62b…拡開先端部 63…連結部
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流通路となる配管部材の先端部に弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続する際に用いられるホース接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、配管部材の先端部に弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続する場合には、配管部材からのホースの抜けを防止するために、ホースの外嵌端部を配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプ等のホース接続装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、筒状の帯状本体の端部が互いに周方向に対向し互いに重なり合う外側配置と内側配置に基づいて、外側重なり部分をもつ第1の自由端部と内側重なり部分をもつ第2の自由端部とを備え、弾性を有するホースの外周回りを包囲せしめて実質的に求心方向に該ホースを緊締するためのバネ弾性を有するホースクランプが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ホースを挿通する拡径状態からの縮径によりホースを配管部材に締付け可能に構成されたホース締付具(ホースクランプ)と、拡径状態のホース締付具を収容可能に形成された保持部材を有する接続具とを備え、保持部材には、ホース締付具内に配置される配管部材に係合可能な抜止部が設けられているホース接続装置が開示されている。
【特許文献1】特開平7−239081号公報
【特許文献2】特開2007−187307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年においては、環境対応等の理由により配管部材の表面処理(メッキ)が多様化しており、配管部材とホースとの間の摩擦抵抗が低くなる傾向がある。また、配管部材の先端部にホースの一端部を外嵌接続する際の作業負荷(摩擦抵抗)を低減するために、ホース挿入助剤も使用されていることから、このような状況においては、配管部材に外嵌接続されたホースの抜け力が低下することが考えられる。
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に開示されたホースクランプの場合には、ホースの抜け対策が十分になされていない。即ち、ホースの抜け力が低い場合には、図12(a)に示すように、配管部材10に設けられたスプール12に一端面が当接するまで深く嵌め込まれていたホース50の外嵌端部が、図12(b)に示すように、ホース50の抜け方向へホースクランプ30と共にずれてしまうという事態が発生する。また、最悪の場合には、ホース50内を流通する流体の圧力に耐えることができずに、ホース50が配管部材10から抜けてしまうという不具合を発生させる可能性がある。
【0007】
一方、特許文献2に開示されたホース接続装置は、接続具の保持部材に、配管部材に係合可能な抜止部が設けられ、配管部材に対するホースの引抜力を向上させていることにより、ホースの抜け防止対策が採られている。しかしながら、特許文献2に開示されたホース接続装置の場合には、保持部材を含んで構成される接続具の構造が複雑であり、コスト高を招くという問題が内在している。また、そのような接続具を用いてホースを配管部材に接続する作業を行う際には、配管部材のバルジ部に対してホースクランプの軸方向の位置決めをする必要があり、且つホースクランプに対しても接続具の位置決めを必要があることから、組付け作業が繁雑になるという問題も内在している。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、ホースの抜けをより確実に防止することができるホース接続装置を提供することを解決すべき課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段について、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
【0010】
〔手段1〕 手段1に記載のホース接続装置は、軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、前記ホースクランプと一体又は別体に設けられ、前記ホースの前記外嵌端部の外周部又は前記ホースクランプに係合する第一の要素と、前記環状突部の後端面と係合する第二の要素と、軸方向に延びるように形成され前記第一の要素と前記第二の要素とを一体的に連結する連結部とを有するクリップと、を備えていることを特徴としている。
【0011】
手段1のホース接続装置では、ホースクランプが、ホースの外嵌端部の外周を包囲するようにして、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径した状態に装着されることにより、ホースの外嵌端部が配管部材に締め付けられた状態になり、ホースの所定の抜け力が確保される。そして、ホースの外嵌端部の外周部又はホースクランプに第一の要素が係合すると共に、環状突部の後端面と第二の要素が係合するように取り付けられるクリップによって、ホースと配管部材との抜け方向への相対変位が規制される。これにより、ホースの抜けがより確実に防止される。
【0012】
手段1におけるクリップは、第一の要素と第二の要素と連結部が主要な要素として構成されているため、構造がシンプルとなり、コスト高も回避することが可能となる。また、連結部によって一体的に連結される第一の要素と第二の要素の間には空間部が形成されているので、クリップを取り付ける際に、その空間部より第一の要素及び第二の要素の取り付け位置を視認することが可能になるため、組付け作業を容易に行うことができる。
【0013】
したがって、手段1によれば、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、ホースの抜けをより確実に防止することができる。
【0014】
〔手段2〕 手段2に記載のホース接続装置は、軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、前記ホースの前記外嵌端部の外周部に設けられた係合溝に係合する第1係合アームと、該第1係合アームと軸方向に延びる連結部を介して一体に設けられ、前記環状突部の後端面と係合する第2係合アームとを有するクリップと、を備えていることを特徴としている。
【0015】
なお、手段2におけるクリップは、ホースクランプと別体に設けられるものであり、手段1における第一の要素が第1係合アームであり、第二の要素が第2係合アームである。
【0016】
手段2に係るホース接続装置では、ホースクランプが、ホースの外嵌端部の外周を包囲するようにして、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径した状態に装着されることにより、ホースの外嵌端部が配管部材に締め付けられた状態になり、ホースの所定の抜け力が確保される。そして、ホースの外嵌端部の外周部に設けられた係合溝に第1係合アームが係合すると共に、環状突部の後端面と第2係合アームが係合するように取り付けられるクリップによって、ホースと配管部材との抜け方向への相対変位が規制されるので、ホースの抜けがより確実に防止される。
【0017】
手段2におけるクリップは、第1及び第2係合アームと連結部が主要な要素として構成されているため、構造がシンプルとなり、コスト高も回避することが可能となる。また、第1係合アームがホースの外嵌端部の外周部に設けられた係合溝に係合するように構成されているため、第1係合アームと第2係合アームの間の距離(軸方向長さ)を短くすることができるので、クリップをコンパクト化することが可能となる。さらには、連結部によって一体的に連結された第1係合アームと第2係合アームの間には空間部が形成されているので、クリップを取り付ける際に、その空間部より第1係合アーム及び第2係合アームの取付け位置を視認することが可能になるため、組付け作業を容易に行うことができる。
【0018】
したがって、手段2によれば、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、ホースの抜けをより確実に防止することができる。
【0019】
〔手段3〕 手段2に記載のホース接続装置において、前記第1係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰したときに前記係合溝と係合し、前記第2係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰したときに前記環状突部の後端面と係合するように構成されていることを特徴としている。
【0020】
手段3によれば、第1及び第2係合アームの弾性復帰力を利用して、第1係合アームを係合溝に、また、第2係合アームを環状突部の後端面と確実に係合させることができる。
【0021】
〔手段4〕 手段2又は3に記載のホース接続装置において、前記クリップは、前記配管部材の軸方向先端側に位置する第1基部と、該第1基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第1係合アームと、前記配管部材の軸方向後端側に位置する第2基部と、該第2基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第2係合アームと、軸方向に延び前記第1基部と前記第2基部とを連結する連結部と、からなることを特徴としている。
【0022】
手段4によれば、手段2又は3に係るホース接続装置において用いられるクリップとして最適なものを得ることができる。
【0023】
〔手段5〕 手段2〜4の何れか一つに記載のホース接続装置において、前記ホースの前記係合溝は、円筒状に成形したゴム材料を加硫成形して前記ホースを作製する際に、前記ゴム材料の一端部外周に前記係合溝を形成するキャップをセットして加硫成形することにより形成されていることを特徴としている。
【0024】
手段5によれば、ホースに対して、第1係合アームが係合する係合溝を簡単に且つ容易に設けることができる。
【0025】
〔手段6〕 手段6に記載のホース接続装置は、軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、該ホースクランプと軸方向に延びる連結部を介して一体に設けられ、前記環状突部の後端面と係合する係合アームを有するクリップと、を備えていることを特徴としている。
【0026】
なお、手段6におけるクリップは、ホースクランプと一体に設けられるものであり、手段1における第一の要素がホースクランプであり、第二の要素が係合アームである。
【0027】
手段6のホース接続装置では、ホースクランプが、ホースの外嵌端部の外周を包囲するようにして、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径した状態に装着されることにより、ホースの外嵌端部が配管部材に締め付けられた状態になり、ホースの所定の抜け力が確保される。また、このホースクランプが取り付けられる際には、ホースクランプと一体に設けられたクリップの係合アームが環状突部の後端面と係合するようにして、ホースクランプと共にクリップも取り付けられる。このように取り付けられたホースクランプとクリップとにより、ホースと配管部材とのホースの抜け方向への相対変位が規制されるので、ホースの抜けがより確実に防止される。
【0028】
手段6におけるクリップは、ホースクランプと一体に設けられており、且つ係合アームと連結部が主要な要素として構成されているため、部品点数の増加を回避してシンプルな構造にすることができ、コスト高も回避することが可能となる。また、係合アームとホースクランプの間の距離(軸方向長さ)を短くすることができるので、クリップをコンパクト化することが可能となる。さらには、連結部によって一体的に連結された係合アームとホースクランプの間には空間部が形成されているので、ホースクランプ及びクリップを取り付ける際に、その空間部よりそれらの取り付け位置を視認することが可能になるため、組付け作業を容易に行うことができる。
【0029】
なお、ホースクランプは、通常、高ばね弾性を有するばね鋼等の金属材料で形成されていることから、ホースクランプと一体に設けられる手段6におけるクリップは、ホースクランプと同じ金属材料で形成することができる。このようにした場合には、係合アームと環状突部との係合が金属(剛性材)同士の接触となることから、ホースの抜け方向に作用する力に対して、係合アームと環状突部との係合が外れ難くなるので、ホースの抜け防止において有利となる。
【0030】
したがって、手段6によれば、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、ホースの抜けをより確実に防止することができる。
【0031】
〔手段7〕 手段6に記載のホース接続装置において、前記係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰したときに前記環状突部の後端面と係合するように構成されていることを特徴としている。
【0032】
手段7によれば、係合アームの弾性復帰力を利用して、係合アームを環状突部の後端面と確実に係合させることができる。
【0033】
〔手段8〕 手段6又は7に記載のホース接続装置において、前記クリップは、前記ホースクランプから前記配管部材の軸方向後端側に距離を隔てた位置に配置された基部と、該基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の係合アームと、軸方向に延び前記基部と前記ホースクランプとを連結する連結部と、からなることを特徴としている。
【0034】
手段8によれば、手段6又は7のホース接続装置において用いられるクリップとして最適なものを得ることができる。
【0035】
〔手段9〕 手段9に記載のホース接続装置は、軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、該ホースクランプの先端側端面と係合する第1係合アームと、該第1係合アームと軸方向に延びる連結部を介して一体に設けられ、前記環状突部の後端面と係合する第2係合アームとを有するクリップと、を備えていることを特徴としている。
【0036】
なお、手段9におけるクリップは、ホースクランプと別体に設けられるものであり、手段1における第一の要素が第1係合アームであり、第二の要素が第2係合アームである。
【0037】
手段9のホース接続装置では、ホースクランプが、ホースの外嵌端部の外周を包囲するようにして、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径した状態に装着されることにより、ホースの外嵌端部が配管部材に締め付けられた状態になり、ホースの所定の抜け力が確保される。そして、ホースクランプの先端側端面と第1係合アームが係合すると共に、環状突部の後端面と第2係合アームが係合するように取り付けられるクリップによって、ホースと配管部材とのホースの抜け方向への相対変位が規制されるので、ホースの抜けがより確実に防止される。
【0038】
手段9におけるクリップは、第1及び第2係合アームと連結部が主要な要素として構成されているため、構造がシンプルとなり、コスト高も回避することが可能となる。また、連結部によって一体的に連結された第1係合アームと第2係合アームの間には空間部が形成されているので、クリップを取り付ける際に、その空間部より第1係合アーム及び第2係合アームの取付け位置を視認することが可能になるため、組付け作業を容易に行うことができる。
【0039】
なお、手段9におけるクリップは、通常、高剛性を有する鉄系金属等の剛性材により形成される。そのため、第1係合アームとホースクランプとの係合、及び第2係合アームと環状突部との係合が金属(剛性材)同士の接触となることから、ホースの抜け方向に作用する力に対して、それらの係合が外れ難くなるので、ホースの抜け防止において有利となる。
【0040】
したがって、手段9によれば、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、ホースの抜けをより確実に防止することができる。
【0041】
〔手段10〕 手段9に記載のホース接続装置において、前記第1係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰したときに前記ホースクランプの先端側端面と係合し、前記第2係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰したときに前記環状突部の後端面と係合するように構成されていることを特徴としている。
【0042】
手段10によれば、第1及び第2係合アームの弾性復帰力を利用して、第1係合アームをホースクランプの先端側端面に、また、第2係合アームを環状突部の後端面と確実に係合させることができる。
【0043】
〔手段11〕 手段9又は10に記載のホース接続装置において、前記クリップは、前記配管部材の軸方向先端側に位置する第1基部と、該第1基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第1係合アームと、前記配管部材の軸方向後端側に位置する第2基部と、該第2基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第2係合アームと、軸方向に延び前記第1基部と前記第2基部とを連結する連結部と、からなることを特徴としている。
【0044】
手段11によれば、手段9又は10に記載のホース接続装置において用いられるクリップとして最適なものを得ることができる。
【0045】
〔手段12〕 手段1〜11の何れか一つに記載のホース接続装置において、前記連結部の周方向幅は、前記配管部材の軸線Lを中心とする周方向角度αが180°以下となる範囲に設定されていることを特徴としている。
【0046】
手段12によれば、連結部の幅寸法を小さくすることが可能なるので、連結部によって一体的に連結される第一の要素(第1係合アーム、ホースクランプ)と第二の要素(第2係合アーム、係合アーム)の間に形成される空間部を大きくすることができる。これにより、クリップを取り付ける際の取付け位置の視認性を十分に確保することができるため、組付け作業性をが向上させることができる。なお、連結部が設けられる角度範囲は、小さくするほど、第一の要素と第二の要素の間に形成される空間部を大きくすることができるので、より好ましい周方向角度は90°以下である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0048】
〔実施形態1〕
図1は実施形態1に係るホース接続装置の取付状態を示す正面図であり、図2は図1に示すホース接続装置を矢印A方向から見た側面図であり、図3は実施形態1において配管部材とホースが接続された接続部の軸方向の沿う断面図であり、図4は実施形態1において配管部材に接続されるホースの正面図であり、図5は実施形態1に係るホース接続装置のクリップを示す図であって、(a)はその側面図であり、(b)はその正面図である。
【0049】
実施形態1のホース接続装置は、図1及び図2に示すように、配管部材10の軸方向先端部にホース20の一端部を外嵌接続するためのものであって、ホース20の外嵌端部の外周に装着されるホースクランプ30と、一対の第1係合アーム42、42及び一対の第2係合アーム44、44を有するクリップ40と、から構成されている。
【0050】
配管部材10は、例えば、鉄系金属や硬質樹脂などの剛性材でパイプ状に形成されている。配管部材10の先端部には、図1及び図3に示すように、拡径されて径方向外方へ膨出したバルジ部11が設けられている。このバルジ部11は、外嵌されるホース20の抜け止め用として設けられており、ホース20内に配管部材10を適度な挿入抵抗をもって挿入可能な程度に、配管部材10の外径よりも所定寸法大きい外径を有するように形成されている。また、配管部材10の先端面から後端側に所定距離隔てた部位には、径方向外方へ突出したスプール(環状突部)12が設けられている。このスプール12は、配管部材10に外嵌されるホース20の一端面が当接することによって、ホース20の位置決めをするものである。
【0051】
ホース20は、網目状に編み込んだ補強糸(図示せず)が埋設されたゴムホースが用いられている。このホース20は、図1及び図3に示すように、配管部材10の先端部外周に、一端面(先端面)がスプール12に当接する位置まで圧入により嵌合(外嵌)されている。このホース20の配管部材10に外嵌された一端部(外嵌端部)の外周面には、図3及び図4に示すように、所定の幅で周方向に連続して延びる円環状の係合溝21が設けられている。係合溝21は、ホース20の一端面から他端面側に所定距離隔てた、一端面の近傍部位に設けられている。この係合溝21は、クリップ40の各第1係合アーム42、42(各湾曲部42b、42b)の肉厚よりも少し大きい深さに形成されている。
【0052】
なお、係合溝21は、円筒状に成形したゴム材料を加硫成形してホース20を作製する際に形成されている。即ち、係合溝21は、加硫成形時において、円筒状に成形されたゴム材料の一端部外周に、係合溝21と符合する型面を有するキャップをセットして加硫成形することにより形成されている。
【0053】
ホースクランプ30は、金属製の帯板状ばね材により形成されている。このホースクランプ30は、リング状に巻回されたクランプ本体31と、クランプ本体31の周方向両端部から径方向外方へ折り曲げられた一対の起立片32、33とを有する。クランプ本体31には、クランプ本体31の一端部から一方の起立片32に跨る長孔部(図示せず)が形成されている。また、クランプ本体31の他方の起立片33を含む他端部は幅狭状に形成されている。なお、説明の都合上、クランプ本体31の幅広側の端部に連なる起立片32を幅広側の起立片32といい、クランプ本体31の幅狭側の端部に連なる起立片33を幅狭側の起立片33という。
【0054】
クランプ本体31の巻回に伴い、幅狭側の起立片33が幅広側の起立片32における長孔部内を潜り抜けていると共に、クランプ本体31の幅狭側の端部が幅広側の端部内に遊嵌状に嵌合されている。クランプ本体31の自由状態における内径は、ホース20を締付け可能な口径、即ち、ホース20の外径に比べて小さい口径となるように設定されている。これにより、図1及び図2に示すように、配管部材10の先端部に外嵌されたホース20の外周に、クランプ本体31が自由状態で装着されている場合には、クランプ本体31によって、ホース20の外嵌端部が配管部材10に締め付けられた状態になっている。
【0055】
また、クランプ本体31の自由状態においては、クランプ本体31が小径をなし、両起立片32、33が周方向に離れた状態となる。この状態から、両起立片32、33を互いに近付ける方向へ付勢することにより、クランプ本体31をそのばね性いわゆる弾性変形を利用して拡径させることができる。また、クランプ本体31の巻回部分の外周面には、補強材34が積層状に重ね合わされている。
【0056】
クリップ40は、SUS(ステンレス)板により形成されており、ホース20の係合溝21に係合する一対の第1係合アーム42、42と、配管部材10のスプール12の後端面と係合する一対の第2係合アーム44、44とを有する。即ち、このクリップ40は、図5に示すように、配管部材10の軸方向先端側(図5(b)の右側)に位置する第1基部41と、第1基部41の両端から互いに対向した状態で軸直角方向(図5の上方向)に延出する一対の第1係合アーム42、42と、配管部材10の軸方向後端側(図5(b)の左側)に位置する第2基部43と、第2基部43の両端から互いに対向した状態で軸直角方向(図5の上方向)に延出する一対の第2係合アーム44、44と、軸方向に延び第1基部41と第2基部43とを連結する連結部45とから構成されている。
【0057】
各第1係合アーム42、42は、第1基部41の両端から直角方向に立ち上がる立上り部42a、42aと、各立上り部42a、42aの先端から円弧状に湾曲して延びる湾曲部42b、42bと、各湾曲部42b、42bの先端からそれぞれ径方向外方へ屈曲して先端が開くように延出する拡開先端部42c、42cとからなる。両湾曲部42b、42bは、ホース20の係合溝21に実質的に係合する部位であり、係合溝21の底面形状に対応した円弧状の湾曲形状に形成されている。また、両第1係合アーム42、42は、弾性変形した状態で両湾曲部42b、42bが係合溝21に装着されたときに、適度な弾性復帰力により両湾曲部42b、42bが係合溝21の底面に圧接した状態で挟持するように構成されている。
【0058】
また、各第2係合アーム44、44は、第2基部43から直角方向に立ち上がる立上り部44a、44aと、各立上り部44a、44aの先端から円弧状に湾曲して延びる湾曲部44b、44bと、各湾曲部44b、44bの先端からそれぞれ径方向外方へ屈曲して先端が開くように延出する拡開先端部44c、44cとからなる。両湾曲部44b、44bは、配管部材10の外周面に圧接しつつスプール12の後端面と軸方向において実質的に係合する部位であり、配管部材10の外周面形状に対応した円弧状の湾曲形状に形成されている。また、両第2係合アーム44、44は、弾性変形した状態で両湾曲部44b、44bが配管部材10の外周面に装着されたときに、適度な弾性復帰力により両湾曲部44b、44bが配管部材10の外周面に圧接した状態で挟持するように構成されている。
【0059】
そして、連結部45の軸方向長さは、図3に示す状態に配管部材10とホース20が接続されたときに、両第1係合アーム42、42が係合溝21に係合すると共に、両第2係合アーム44、44がスプール12の後端面と係合するように設定されている。また、連結部45の周方向幅は、図5(a)に示すように、配管部材10の軸線Lを中心とする周方向角度αが180°以下となる範囲(実施形態1では約30°)に設定されている。即ち、連結部45の周方向幅が小さくされていることにより、第1係合アーム42、42と第2係合アームとの間に形成される空間部が周方向において大きくされている。
【0060】
以上のように構成された実施形態1のホース接続装置は、次のようにして取り付けられる。まず、ホースクランプ30の両起立片32、33を互いに近付ける方向へ付勢して、クランプ本体31を補強材34と共に弾性変形させることにより拡径した状態にする。そして、この状態にされたクランプ本体31の内部にホース20の一端部を挿入した後、両起立片32、33の付勢を解除して、ホース20の挿入方向先端から後方側へ所定距離隔てた位置にホースクランプ30を仮止めする。ホースクランプ30の仮止め位置は、この後、配管部材10の先端部にホース20の一端部が外嵌されたときに、配管部材10とホース20が重なり合っていない所であればよい。
【0061】
続いて、配管部材10の先端部に、そのホース20の一端部を圧入により外嵌して接続する。このとき、ホース20は、進行方向先端面が配管部材10のスプール12に当接する位置まで嵌め込まれる。そして、ホース20に仮止めされているホースクランプ30を、両起立片32、33を互いに近付ける方向へ付勢してクランプ本体31が拡径した状態にし、配管部材10のバルジ部11とホース20の係合溝21の間の位置へ移動させた後、両起立片32、33への付勢を解除する。これにより、クランプ本体31が縮径してホース20の外嵌端部を配管部材10に締め付けた状態になることによって、ホース20の所定の抜け力が確保される。
【0062】
次に、上記のように接続された配管部材10とホース20に対してクリップ40を取り付ける。この場合、第1係合アーム42、42を、ホース20の係合溝21に拡開先端部42c、42c側から弾性変形させつつ嵌め込んで、係合溝21を両湾曲部42b、42bが両側から弾性復帰力により挟持する状態に係合させる。これと同時に、第2係合アーム44、44を、配管部材10の外周面に拡開先端部44c、44c側から弾性変形させつつ嵌め込んで、配管部材10の外周面を両湾曲部44b、44bが両側から弾性復帰力により挟持する状態に係合させる。このとき、第2係合アーム44、44の両湾曲部44b、44bは、スプール12の後端面と接触乃至は近接した所に位置している。
【0063】
これにより、ホース20が配管部材10から抜ける方向へ力が作用したときに、ホース20の係合溝21に係合した第1係合アーム42、42と、スプール12の後端面と軸方向において係合する第2係合アーム44、44(両湾曲部44b、44b)とによって、ホース20と配管部材10との抜け方向への相対変位が規制されるので、ホース20の抜けがより確実に防止された状態になる。
【0064】
以上のように、実施形態1のホース接続装置によれば、上記のように構成されたホースクランプ30及びクリップ40を備えているため、配管部材10からのホース20の抜けをより確実に防止することができる。また、クリップ40は、構造がシンプルであることから、コスト高を回避することができる。また、クリップ40の第1係合アーム42、42は、ホース20の係合溝21に係合するように構成されているため、第1係合アーム42、42と第2係合アーム44、44の間の距離(軸方向長さ)を短くすることができるので、クリップ40をコンパクト化することが可能となる。
【0065】
さらには、連結部45により連結された第1係合アーム42、42と第2係合アーム44、44の間には、空間部が形成されているので、クリップ40を取り付ける際に、その空間部より第1及び第2係合アーム42、44の取付け位置を視認することが可能になるため、組付け作業を容易に行うことができる。特に、連結部45は、周方向幅が小さくなるように設定されているので、視認性が極めて良好となる。
【0066】
また、ホース20の係合溝21は、円筒状に成形したゴム材料を加硫成形してホース20を作製する際に、ゴム材料の一端部外周にセットされるキャップにより形成されているため、ホース20に対して簡単に且つ容易に設けることができる。
【0067】
〔実施形態2〕
図6は実施形態2に係るホース接続装置の取付状態を示す正面図であり、図7は図6に示すホース接続装置を矢印B方向から見た側面図であり、図8は実施形態2に係るホース接続装置のホースクランプ及びクリップを示す図であって、(a)はその側面図であり、(b)はその正面図である。
【0068】
実施形態2のホース接続装置は、配管部材10及びホースクランプ30が実施形態1のものと同じであるが、クリップ60がホースクランプ30と一体に設けられている点、及びホース50に係合溝が設けられていない点で、実施形態1のものと異なる。よって、実施形態1と共通する配管部材10及びホースクランプ30については、図6〜図8に同じ符号を付すのみに止めて詳しい説明は省略する。また、実施形態2のホース50は、係合溝が設けられていない点以外は実施形態1のものと同じであるので詳しい説明は省略する。以下、異なる点を中心に説明する。
【0069】
実施形態2のクリップ60は、軸方向に延びる連結部63を介してホースクランプ30の補強材34と一体に設けられており、配管部材10の外周面に弾性復帰力により圧接しつつスプール12の後端面と係合する一対の係合アーム62、62を有する。即ち、このクリップ60は、図8に示すように、ホースクランプ50から配管部材10の軸方向後端側に距離を隔てた位置に配置された基部61と、基部61の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の係合アーム62、62と、軸方向に延び基部61とホースクランプ30とを連結する連結部63とからなる。
【0070】
各係合アーム62、62は、基部61から直角方向に立ち上がる立上り部62a、62aと、各立上り部62a、62aの先端からそれぞれ径方向外方へ屈曲して先端が開くように延出する拡開先端部62b、62bとからなる。この係合アーム62、62は、実施形態1の第2係合アーム44、44と同様に構成されている。また、基部61とホースクランプ30を連結する実施形態2の連結部63は、実施形態1の連結部45と軸方向長さ及び周方向幅が同じである。
【0071】
以上のように構成された実施形態2のホース接続装置は、次のようにして取り付けられる。まず、ホースクランプ30の両起立片32、33を互いに近付ける方向へ付勢して、クランプ本体31を補強材34と共に弾性変形させることにより拡径した状態にすると共に、クリップ60の両係合アーム62、62を弾性変形させることにより拡開した状態にする。そして、この状態にされたホースクランプ30及びクリップ60を、配管部材10の先端部にクリップ60側を先にして軸方向に嵌め込む。このとき、ホースクランプ30及びクリップ60は、ホースクランプ30が配管部材10のスプール12を越える位置まで嵌め込まれた後、両起立片32、33の付勢が解除されることにより仮止めされる。
【0072】
続いて、配管部材10の先端部に、ホース50の一端部を圧入により外嵌して接続する。このとき、ホース20は、進行方向先端面が配管部材10のスプール12に当接する位置まで嵌め込まれる。そして、配管部材10に仮止めされているホースクランプ30の両起立片32、33を互いに近付ける方向へ付勢してクランプ本体31が拡径した状態にして、そのホースクランプ30及びクリップ60を、クリップ60の両係合アーム62、62がスプール12に当接する位置まで移動させた後、両起立片32、33への付勢を解除する。
【0073】
これにより、ホースクランプ30は、配管部材10のバルジ部11とスプール12との間の位置に移動しており、その位置で、クランプ本体31が縮径してホース20の外嵌端部を配管部材10に締め付けた状態になる。このホースクランプ30の締付け力によってホース50の所定の抜け力が確保される。また、ホース20が配管部材10から抜ける方向への力が作用したときには、ホース20を締め付けているホースクランプ30の締付け力と、スプール12の後端面と軸方向において係合するクリップ60の係合アーム62、62とによって、ホース50と配管部材10との抜け方向への相対変位が規制されるので、ホース50の抜けがより確実に防止された状態になる。
【0074】
以上のように、実施形態2のホース接続装置によれば、上記のように構成されたホースクランプ30及びクリップ60を備えているため、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、配管部材10からのホース50の抜けをより確実に防止することができる等、実施形態1と同様の作用及び効果を奏する。特に、実施形態2では、クリップ60がホースクランプ30と一体に設けられているため、部品点数の増加を回避してよりシンプルな構造にすることができ、コスト高も有利に回避することができる。
【0075】
〔実施形態3〕
図9は実施形態3に係るホース接続装置の取付状態を示す正面図であり、図10は図9に示すホース接続装置を矢印C方向から見た側面図であり、図11は実施形態3に係るホース接続装置のクリップを示す図であって、(a)はその側面図であり、(b)はその正面図である。
【0076】
実施形態3のホース接続装置は、配管部材10及びホースクランプ30が実施形態1のものと同じであるが、クリップ70の第1係合アームがホースクランプ30の一端面と係合するように構成されている点、及びホース50に係合溝が設けられていない点で、実施形態1のものと異なる。よって、実施形態1と共通する配管部材10及びホースクランプ30については、図9及び図10に同じ符号を付すのみに止めて詳しい説明は省略する。また、実施形態3のホース50は、係合溝が設けられていない点以外は実施形態1のものと同じであり、実施形態2のものと同じであるので詳しい説明は省略する。以下、異なる点を中心に説明する。
【0077】
実施形態3のクリップ70は、ホース50の外周面に弾性復帰力により圧接しつつホースクランプ30の他方側端面(配管部材10の先端側端面)と係合する一対の第1係合アーム72、72と、配管部材10の外周面に弾性復帰力により圧接しつつスプール12の後端面と係合する一対の第2係合アーム74、74とを有する。即ち、このクリップ70は、図11に示すように、配管部材10の軸方向先端側(図11(b)の右側)に位置する第1基部71と、第1基部71の両端から互いに対向した状態で軸直角方向(図11の上方向)に延出する一対の第1係合アーム72、72と、配管部材10の軸方向後端側(図11(b)の左側)に位置する第2基部73と、第2基部73の両端から互いに対向した状態で軸直角方向(図11の上方向)に延出する一対の第2係合アーム74、74と、軸方向に延び第1基部71と第2基部73とを連結する連結部75とから構成されている。
【0078】
各第1係合アーム72、72は、第1基部71の両端から直角方向に立ち上がる立上り部72a、72aと、各立上り部72a、72aの先端から円弧状に湾曲して延びる湾曲部72b、72bと、各湾曲部72b、72bの先端からそれぞれ径方向外方へ屈曲して先端が開くように延出する拡開先端部72c、72cとからなる。両湾曲部72b、72bは、ホース50の外周面に圧接しつつホースクランプ30の他方側端面(配管部材10の先端側端面)と実質的に係合する部位であり、ホース50の外周面形状に対応した円弧状の湾曲形状に形成されている。また、第1係合アーム72、72は、両湾曲部72b、72bがホース50の外周面に係合したときに、適度な弾性復帰力により両湾曲部72b、72bがホース50の外周面に圧接した状態で挟持するように構成されている。
【0079】
また、連結部75の軸方向長さは、図9に示す状態に配管部材10とホース50が接続されたときに、両第1係合アーム72、72がホース50の外周面に圧接してホースクランプ30の他端側端面(配管部材10の先端側端面)と近接した所に位置すると共に、両第2係合アーム74、74がスプール12の後端面と近接した所に位置するように設定されている。この連結部75の周方向幅は、実施形態1の連結部45と同じである。
【0080】
なお、各第2係合アーム74、74は、第立上り部74a、74aと、湾曲部74b、74bと、拡開先端部74c、74cとからなるが、実施形態1の第2係合アーム44、44と構成が同じであるので詳しい説明は省略する。
【0081】
実施形態3のホース接続装置の取付けは、配管部材10の先端部に外嵌接続されたホース50の外嵌端部(配管部材10のバルジ部11とスプール12との間の位置)に、ホースクランプ30を締め付けた状態に取り付けるまでは、実施形態1と同様に行われる。そして、配管部材10とホース50に対してクリップ70を取り付ける場合には、第1係合アーム72、72を、配管部材10のバルジ部11とホースクランプ30との間に拡開先端部72c、72c側から弾性変形させつつ嵌め込んで、ホース50の外周面を両湾曲部72b、72bが両側から弾性復帰力により挟持する状態に係合させる。これと同時に、第2係合アーム74、74を、配管部材10の外周面に拡開先端部74c、74c側から弾性変形させつつ嵌め込んで、配管部材10の外周面を両湾曲部74b、74bが両側から弾性復帰力により挟持する状態に係合させる。
【0082】
これにより、ホース50が配管部材10から抜ける方向へ力が作用したときに、ホースクランプ30の他方側端面(配管部材10の先端側端面)と軸方向において係合する第1係合アーム72、72(湾曲部72b、72b)と、スプール12の後端面と軸方向において係合する第2係合アーム74、74(湾曲部74b、74b)とによって、ホース50と配管部材10との抜け方向への相対変位が規制されるので、ホース50の抜けがより確実に防止された状態になる。
【0083】
以上のように、実施形態3のホース接続装置によれば、上記のように構成されたホースクランプ30及びクリップ70を備えているため、構造がシンプルで組付け作業を容易に行うことができ、配管部材10からのホース50の抜けをより確実に防止することができる等、実施形態1と同様の作用及び効果を奏する。特に、実施形態3では、第1係合アーム72、72とホースクランプ30との係合、及び第2係合アーム74、74とスプール12との係合が金属(剛性材)同士の接触となることから、ホース50の抜け方向に作用する力に対して、それらの係合が外れ難くなるので、ホース50の抜け防止において有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態1に係るホース接続装置の取付状態を示す正面図である。
【図2】図1に示すホース接続装置を矢印A方向から見た側面図である。
【図3】本発明の実施形態1において配管部材とホースが接続された接続部の軸方向の沿う断面図である。
【図4】本発明の実施形態1において配管部材に接続されるホースの正面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るホース接続装置のクリップを示す図であって、(a)はその側面図であり、(b)はその正面図である。
【図6】本発明の実施形態2に係るホース接続装置の取付状態を示す正面図である。
【図7】図6に示すホース接続装置を矢印B方向から見た側面図である。
【図8】本発明の実施形態2に係るホース接続装置のホースクランプ及びクリップを示す図であって、(a)はその側面図であり、(b)はその正面図である。
【図9】本発明の実施形態3に係るホース接続装置の取付状態を示す正面図である。
【図10】図9に示すホース接続装置を矢印C方向から見た側面図である。
【図11】本発明の実施形態3に係るホース接続装置のクリップを示す図であって、(a)はその側面図、(b)はその正面図である。
【図12】従来のホース接続装置において不具合の発生状態を示す説明図であって、(a)は正常時の正面図であり、(b)不具合発生時の正面図である。
【符号の説明】
【0085】
10…配管部材 11…バルジ部 12…スプール(環状突起) 20、50…ホース 21…係合溝 30…ホースクランプ 31…クランプ本体 32、33…起立片 34…補強材 40、60、70…クリップ 41、71…第1基部 42、72…第1係合アーム 42a、72a…立上り部 42b、72b…湾曲部 42c、72c…拡開先端部 43、73…第2基部 44、74…第2係合アーム 44a、74a…立上り部 44b、74b…湾曲部 44c、74c…拡開先端部 45、75…連結部 61…基部 62…係合アーム 62a…立上り部 62b…拡開先端部 63…連結部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、
前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、
前記ホースクランプと一体又は別体に設けられ、前記ホースの前記外嵌端部の外周部又は前記ホースクランプに係合する第一の要素と、前記環状突部の後端面と係合する第二の要素と、軸方向に延びるように形成され前記第一の要素と前記第二の要素とを一体的に連結する連結部とを有するクリップと、
を備えていることを特徴とするホース接続装置。
【請求項2】
軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、
前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、
前記ホースの前記外嵌端部の外周部に設けられた係合溝に係合する第1係合アームと、該第1係合アームと軸方向に延びる連結部を介して一体に設けられ、前記環状突部の後端面と係合する第2係合アームとを有するクリップと、
を備えていることを特徴とするホース接続装置。
【請求項3】
前記第1係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰するときに前記係合溝と係合し、前記第2係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰するときに前記環状突部の後端面と係合するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のホース接続装置。
【請求項4】
前記クリップは、前記配管部材の軸方向先端側に位置する第1基部と、該第1基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第1係合アームと、前記配管部材の軸方向後端側に位置する第2基部と、該第2基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第2係合アームと、軸方向に延び前記第1基部と前記第2基部とを連結する連結部と、からなることを特徴とする請求項2又は3に記載のホース接続装置。
【請求項5】
前記ホースの前記係合溝は、円筒状に成形したゴム材料を加硫成形して前記ホースを作製する際に、前記ゴム材料の一端部外周に前記係合溝を形成するキャップをセットして加硫成形することにより形成されていることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載のホース接続装置。
【請求項6】
軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、
前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、
該ホースクランプと軸方向に延びる連結部を介して一体に設けられ、前記環状突部の後端面と係合する係合アームを有するクリップと、
を備えていることを特徴とするホース接続装置。
【請求項7】
前記係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰するときに前記環状突部の後端面と係合するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載のホース接続装置。
【請求項8】
前記クリップは、前記ホースクランプから前記配管部材の軸方向後端側に距離を隔てた位置に配置された基部と、該基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の係合アームと、軸方向に延び前記基部と前記ホースクランプとを連結する連結部と、からなることを特徴とする請求項6又は7に記載のホース接続装置。
【請求項9】
軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、
前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、
該ホースクランプの先端側端面と係合する第1係合アームと、該第1係合アームと軸方向に延びる連結部を介して一体に設けられ、前記環状突部の後端面と係合する第2係合アームとを有するクリップと、
を備えていることを特徴とするホース接続装置。
【請求項10】
前記第1係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰するときに前記ホースクランプの先端側端面と係合し、前記第2係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰するときに前記環状突部の後端面と係合するように構成されていることを特徴とする請求項9に記載のホース接続装置。
【請求項11】
前記クリップは、前記配管部材の軸方向先端側に位置する第1基部と、該第1基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第1係合アームと、前記配管部材の軸方向後端側に位置する第2基部と、該第2基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第2係合アームと、軸方向に延び前記第1基部と前記第2基部とを連結する連結部と、からなることを特徴とする請求項9又は10に記載のホース接続装置。
【請求項12】
前記連結部の周方向幅は、前記配管部材の軸線Lを中心とする周方向角度αが180°以下となる範囲に設定されていることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載のホース接続装置。
【請求項1】
軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、
前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、
前記ホースクランプと一体又は別体に設けられ、前記ホースの前記外嵌端部の外周部又は前記ホースクランプに係合する第一の要素と、前記環状突部の後端面と係合する第二の要素と、軸方向に延びるように形成され前記第一の要素と前記第二の要素とを一体的に連結する連結部とを有するクリップと、
を備えていることを特徴とするホース接続装置。
【請求項2】
軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、
前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、
前記ホースの前記外嵌端部の外周部に設けられた係合溝に係合する第1係合アームと、該第1係合アームと軸方向に延びる連結部を介して一体に設けられ、前記環状突部の後端面と係合する第2係合アームとを有するクリップと、
を備えていることを特徴とするホース接続装置。
【請求項3】
前記第1係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰するときに前記係合溝と係合し、前記第2係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰するときに前記環状突部の後端面と係合するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のホース接続装置。
【請求項4】
前記クリップは、前記配管部材の軸方向先端側に位置する第1基部と、該第1基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第1係合アームと、前記配管部材の軸方向後端側に位置する第2基部と、該第2基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第2係合アームと、軸方向に延び前記第1基部と前記第2基部とを連結する連結部と、からなることを特徴とする請求項2又は3に記載のホース接続装置。
【請求項5】
前記ホースの前記係合溝は、円筒状に成形したゴム材料を加硫成形して前記ホースを作製する際に、前記ゴム材料の一端部外周に前記係合溝を形成するキャップをセットして加硫成形することにより形成されていることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載のホース接続装置。
【請求項6】
軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、
前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、
該ホースクランプと軸方向に延びる連結部を介して一体に設けられ、前記環状突部の後端面と係合する係合アームを有するクリップと、
を備えていることを特徴とするホース接続装置。
【請求項7】
前記係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰するときに前記環状突部の後端面と係合するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載のホース接続装置。
【請求項8】
前記クリップは、前記ホースクランプから前記配管部材の軸方向後端側に距離を隔てた位置に配置された基部と、該基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の係合アームと、軸方向に延び前記基部と前記ホースクランプとを連結する連結部と、からなることを特徴とする請求項6又は7に記載のホース接続装置。
【請求項9】
軸方向の先端から後端側に所定距離隔てた部位に径方向外方へ突出した環状突部を有する配管部材の先端部に、弾性体よりなるホースの一端部を外嵌接続するためのホース接続装置であって、
前記ホースの外嵌端部の外周を包囲するように装着され、弾性変形により拡径された状態から弾性復帰して縮径することにより前記ホースの外嵌端部を前記配管部材に締め付け可能に構成されたホースクランプと、
該ホースクランプの先端側端面と係合する第1係合アームと、該第1係合アームと軸方向に延びる連結部を介して一体に設けられ、前記環状突部の後端面と係合する第2係合アームとを有するクリップと、
を備えていることを特徴とするホース接続装置。
【請求項10】
前記第1係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰するときに前記ホースクランプの先端側端面と係合し、前記第2係合アームは、弾性変形した状態から弾性復帰するときに前記環状突部の後端面と係合するように構成されていることを特徴とする請求項9に記載のホース接続装置。
【請求項11】
前記クリップは、前記配管部材の軸方向先端側に位置する第1基部と、該第1基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第1係合アームと、前記配管部材の軸方向後端側に位置する第2基部と、該第2基部の両端から互いに対向した状態で軸直角方向に延出する一対の第2係合アームと、軸方向に延び前記第1基部と前記第2基部とを連結する連結部と、からなることを特徴とする請求項9又は10に記載のホース接続装置。
【請求項12】
前記連結部の周方向幅は、前記配管部材の軸線Lを中心とする周方向角度αが180°以下となる範囲に設定されていることを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載のホース接続装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−78061(P2010−78061A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247248(P2008−247248)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
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